説明

転がり軸受の保持器摩耗試験方法及びその保持器摩耗試験装置

【課題】 実際の市場において、転がり軸受に付加されるアキシアル荷重の方向の変動や、軸方向の振動が加わる機械設備で起きている保持器異常摩耗や異常摩耗から進展した保持器破損を再現し、整合性の良い評価を行なう。
【解決手段】 第1と第2の軌道輪12,14間に二列に亘って介装された複数の転動体15a,15bを周方向に転動可能に保持する保持器17を備えた転がり軸受10の保持器摩耗試験方法であって、第1と第2の軌道輪12,14の一方を回転し、転がり軸受10にアキシアル荷重をその軸方向一端側及び軸方向他端側から交互に加える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受の保持器摩耗試験方法及びその保持器摩耗試験装置に関し、特に、転がり軸受に組み込まれる保持器の摩耗試験を実際の使用条件に近い状態で行うことが可能な転がり軸受の保持器摩耗試験方法及びその保持器摩耗試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、転がり軸受に組み込まれる保持器の強度を評価する試験機として、保持器の自励振動を誘発させて強度評価が行える軸受負荷試験機(例えば、特許文献1参照)や、内輪を所定の角度で繰り返し揺動させ、保持器の柱部と転動体とを衝突させて強度評価が行える保持器破壊試験機(例えば、特許文献2参照)等が知られている。
【特許文献1】特開2003−227541号公報
【特許文献2】特開2004−60669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載される試験機は、保持器を比較的短期間で破壊させるように、実際よりも厳しい条件を設定している。このため、実際に市場で起きている異常摩耗やこの異常摩耗から進展した保持器の破損を再現したり、整合性の良い評価したりすることが難しいという問題点があった。
【0004】
そこで、本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、実際の市場において、転がり軸受に付加されるアキシアル荷重の方向が変動したりするのを再現、或いは軸方向の振動が加わる機械設備で起きている保持器の異常摩耗やこの異常摩耗から進展した保持器の破損を再現しながら、整合性の良い評価をすることができる、転がり軸受の保持器摩耗試験方法及びその保持器摩耗試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、以下の構成によって達成される。
(1) 第1と第2の軌道輪間に二列に亘って介装された複数の転動体を周方向に転動可能に保持する保持器を備えた転がり軸受の保持器摩耗試験方法であって、
前記第1と第2の軌道輪の一方を回転する工程と、
前記転がり軸受にアキシアル荷重をその軸方向一端側及び軸方向他端側から交互に加える工程とを備え、
前記アキシアル荷重が前記軸方向一端側から加えられると、前記転がり軸受が一方の列の転動体を介して前記アキシアル荷重を負荷すると共に、他方の列の転動体が公転滑りし、
前記アキシアル荷重が前記軸方向他端側から加えられると、前記転がり軸受が前記他方の列の転動体を介して前記アキシアル荷重を負荷すると共に、前記一方の列の転動体が公転滑りすることを特徴とする転がり軸受の保持器摩耗試験方法。
(2) 前記公転滑りした転動体は、前記アキシアル荷重が前記転がり軸受に加えられた後、公転加速度が10〜100m/sとなった時、その理論公転数に実質的に回復することを特徴とする(1)に記載の転がり軸受の保持器摩耗試験方法。
(3) 前記転がり軸受に作用するラジアル荷重が基本動定格荷重の0.02%以下となるように、前記転がり軸受にラジアル荷重を付加する工程をさらに備えることを特徴とする(1)または(2)に記載の転がり軸受の保持器摩耗試験方法。
(4) 第1と第2の軌道輪間に二列に亘って介装された複数の転動体を周方向に転動可能に保持する保持器を備えた転がり軸受の保持器摩耗試験装置であって、
前記転がり軸受の軸方向一端側と軸方向他端側からアキシアル荷重を交互に加えるアキシアル荷重付与手段を備え、
前記アキシアル荷重が前記軸方向一端側から加えられると、前記転がり軸受が一方の列の転動体を介して前記アキシアル荷重を負荷すると共に、他方の列の転動体が公転滑りし、
前記アキシアル荷重が前記軸方向他端側から加えられると、前記転がり軸受が前記他方の列の転動体を介して前記アキシアル荷重を負荷すると共に、前記一方の列の転動体が公転滑りすることを特徴とする転がり軸受の保持器摩耗試験装置。
(5) 前記アキシアル荷重付与手段が、前記軸方向一端側から前記アキシアル荷重を付与するアキシアル荷重用ラムと前記軸方向他端側から前記アキシアル荷重を付与する弾性体と、を備えたことを特徴とする(4)に記載の転がり軸受の保持器摩耗試験装置。
(6) さらに、前記転がり軸受に作用するラジアル荷重が基本動定格荷重の0.02%以下となるように、前記転がり軸受にラジアル荷重を付加するラジアル荷重用ラムを備えることを特徴とする(4)または(5)に記載の転がり軸受の保持器摩耗試験装置。
【発明の効果】
【0006】
上述のような本発明の転がり軸受の保持器摩耗試験方法及びその保持器摩耗試験装置は、転がり軸受の軸方向一端側と軸方向他端側からアキシアル荷重を交互に加えるようにしたので、実際の市場において、転がり軸受に付加されるアキシアル荷重の方向が変動したり、軸方向の振動が加わる機械設備で起きている保持器の異常摩耗や、この異常摩耗から進展した保持器破損を再現したりすることができるので、整合性の良い評価を比較的簡単に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態に係る保持器摩擦試験方法及び保持器摩擦試験装置を図面に従って詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態である保持器摩耗試験方法に用いる保持器摩耗試験装置の概略断面図、図2は図1に示す保持器摩耗試験装置の要部拡大図である。
【0008】
本発明の摩擦試験装置に供試軸受として組み込まれる複列の転がり軸受である自動調心ころ軸受10は、図2に示されるように、外周面に2列の内輪軌道面11を有する第1の軌道輪である内輪12と内周面に2列の外輪軌道面13を有する第2の軌道輪である外輪14と、内輪軌道面11と外輪軌道面13との間に設けられた一方の列であるA列と他方の列であるB列にそれぞれ配置される複数の転動体であるころ15a,15bと、各列のころ15a,15bの内端面を案内する案内輪16と、各列のころ15a,15bを周方向に転動可能に保持するようにして設けられた保持器17とを備える。
【0009】
保持器摩耗試験装置20は、主軸21と、測定部22と、回転駆動部23と、アキシアル荷重用油圧ラム24と、ラジアル荷重用油圧ラム25と、主軸支持部26とを有する。
【0010】
回転駆動部23は、駆動モータ27と、その出力軸27aに取り付けられた駆動プーリ28と、主軸21の一端部に取り付けられた従動プーリ29と、駆動プーリ28と従動プーリ29との間に掛け渡される動力伝達ベルト30とを備える。これにより、回転駆動部23は、駆動モータ27の駆動によって、駆動プーリ28、動力伝達ベルト30、及び従動プーリ29を介して、主軸21を回転駆動する。
【0011】
主軸21は、2組の一対のサポート軸受31,31,32,32を含む主軸支持部26によって回転自在に支承されており、主軸21の他端部には、測定部22が設けられている。
【0012】
測定部22では、前述した自動調心ころ軸受10が主軸21とハウジング40との間に配置されている。自動調心ころ軸受10の内輪12は、内輪スリーブ41を介して主軸21の他端部に取り付けられ、外輪14は、外輪スリーブ42を介してハウジング40内に装着される。
【0013】
内輪スリーブ41の内周面は、主軸21の外周面と対応するテーパ形状に形成されており、ナット43を主軸21の他端部外周面に形成された雄ねじ部44に螺合することで、内輪スリーブ41は主軸21に固定される。また、ハウジング40の両端部には、蓋体45,46がボルト固定されており、外輪スリーブ42は、蓋体45,46によって、間座47,48を介してハウジング40に対して軸方向に固定される。また、外輪14は、その一端部を外輪スリーブ42の段差部42aに突き当て、その他端側で外輪スリーブ42に一方の間座47をボルト固定することで、外輪スリーブ42に対して軸方向に固定されている。
【0014】
また、蓋体46と主軸支持部26の軸端部材33との対向する端面間には、弾性体であるバネ49が配置されており、バネ49は、アキシアル荷重用油圧ラム24と共に、アキシアル荷重付与手段を構成する。2列のころ15a,15bの軸方向外方端面と対向する位置には、非接触変位センサ50,51が間座47に、また取付け具52を介して間座48にそれぞれ設置されており、非接触変位センサ50,51の先端近傍をころ15a,15bの端面が通過する際に、非接触変位センサ50,51からそれぞれ電気信号が得られるようになっている。
【0015】
アキシアル荷重用油圧ラム24は、静圧軸受53を介してハウジング40に固定された蓋体45に取付けられており、蓋体45の平面部を押すことで、自動調心ころ軸受10に軸方向一端側からアキシアル荷重Faを付加する。これにより、蓋体46に取付けられたバネ49が圧縮されて撓むが、アキシアル荷重油圧ラム24の圧力を抜くことで、圧縮されていたバネ49の力が反対方向に作用して、自動調心ころ軸受10の外輪14に軸方向他端側から軸方向一端側に向かうアキシアル荷重Faが負荷される。
【0016】
また、ラジアル荷重用油圧ラム25は、静圧軸受54を介して自動調心ころ軸受10を装着したハウジング40の下方に配置されている。ラジアル荷重用油圧ラム25は、ハウジング40の外周面を押して、自動調心ころ軸受10にラジアル荷重Frを付加するもので、ハウジング40の重量をキャンセルして、自動調心ころ軸受10に作用するラジアル荷重Frを基本動定格荷重Crの0.02%以下とすることで、アキシアル荷重を受けていない列のころに公転すべりを起こさせる。
【0017】
このように構成された保持器摩耗試験装置の動作を、図2及び図3を用いて説明する。 尚、図3(a)はアキシアル荷重用油圧ラム24によるアキシアル荷重Faの変化を時間と共に示す図で、図3(b)は非接触変位センサ51から得られるB列のころ通過パルス幅の変化図、図3(c)は非接触変位センサ50から得られるA列のころ通過パルス幅の変化図である。尚、試験にあたっては、自動調心ころ軸受10の潤滑は、ハウジング40内で最下位のころ15a,15bのPCD(ピッチ円直径)位置のレベルまで潤滑油を溜めて行なわれる。
【0018】
先ず、回転駆動部23により主軸21を回転駆動することで、自動調心ころ軸受10の内輪12を回転する。そして、アキシアル荷重用油圧ラム24の圧力により、自動調心ころ軸受10の外輪14の軸方向一端側からアキシアル荷重Faが加えられた場合には、図2の作用経路(i)に示されるように、アキシアル荷重Faは蓋体45の平面部からA列のころ15aを介して自動調心ころ軸受10に負荷され、同時に、蓋体46に取付けられたバネ49が圧縮されて撓む。また、アキシアル荷重用油圧ラム24の圧力を抜いた場合には、作用経路(ii)に示されるように、圧縮されていたバネ49の力が反対方向に作用し、従動プーリ29と離れる方向へ向かうアキシアル荷重Faが自動調心ころ軸受10の外輪14の軸方向他端側からB列のころ15bを介して自動調心ころ軸受10に負荷される。そして、自動調心ころ軸受10の軸方向一端側と軸方向他端側からアキシアル荷重を交互に加えた状態で、非接触変位センサ50,51は、各列のころ15a,15bの端面がその先端近傍を通過する際のころ通過パルスを検出する。
【0019】
従って、図3(a)の領域Aに示すように、保持器摩耗試験装置20が、アキシアル荷重用油圧ラム24の圧力を抜いている状態、即ち、蓋体46に取り付けたバネ49によって自動調心ころ軸受にアキシアル荷重Faが負荷されている場合には、B列のころ15bを介して荷重が負荷され、A列のころ15aは荷重が抜け、公転すべりを起こすことになる。一方、図3(a)の領域Bに示すように、アキシアル荷重用油圧ラム24に圧力を加え、ハウジング40の蓋体45に200kgfのアキシアル荷重Faを0.05秒から1秒の時間で瞬時に付加することで、アキシアル荷重はそれまで公転すべりをしていたA列のころ15aを介して負荷され、ころ15aは公転加速度が10m/s以上、好ましくは10〜100m/sで瞬時に正規の理論公転数に実質的に回復し、B列のころ15bは公転すべりを起こす。これを繰り返すことによって、ころ15a,15bが保持器17の柱部を押し付けながら一気に自転するので、保持器16の接触部を摩耗させることになる。
【0020】
従って、本実施形態の保持器摩耗試験方法及び保持器摩耗試験装置によれば、複列の転がり軸受10を組み込んだハウジング40を介してアキシアル荷重用油圧ラム24やバネ49によって、複列の転がり軸受10に負荷するアキシアル荷重の方向を繰り返し変えて、複列の転がり軸受10の片方の列のころ15a,15bが公転すべりを起こしている状態から瞬時に正規の理論公転数に回復させることを繰り返し行う。それにより、公転数の急激な変化を起こすことで、ころ15a,15bが保持器17の柱部に押し付けられた状態で一気にころ15a,15bが自転し、ころ15a,15bと保持器17の柱部での接触部の摩耗が進展する。よって、実際の市場において、複列の転がり軸受に負荷されるアキシアル荷重の方向が変動したり、軸方向の振動が加わる機械設備でおきている保持器の異常摩耗やこの異常摩耗から進展した保持器の破損を再現でき、整合性のよい評価を行なうことができる。
【実施例】
【0021】
次に、本発明の効果を確認するために、本実施形態による保持器摩耗試験装置を使用して、以下の実験を行った。但し、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0022】
試験条件を以下に示す。
Fr=25kgf(基本動定格荷重Crの0.02%以下)、
Fa=-100〜200kgf(3sec-on/off)、off時に逆方向の荷重がバネにより約100kgf負荷、
内輪回転数:N=2700rpm、
供試軸受:22310(自動調心ころ軸受、軸受内径と軸受外径間の中心径D:80mm)、
潤滑:オイルバス、
【0023】
その結果は、図4に示す通りである。図4(a)は、アキシアル荷重Faを付加させた時点の自動調心ころ軸受のA列のころ通過パルス、図4(b)は、アキシアル油圧ラム24によるアキシアル荷重Faの負荷挙動、図4(c)は、A列のころ通過パルスをFVコンバータを介して測定したころ公転数Ncである。
【0024】
図4の領域Aでは、ハウジング40の蓋体46に取り付けたバネ49により、自動調心ころ軸受10の軸方向他端側である従動プーリ29側よりアキシアル荷重Faを付加しているので、自動調心ころ軸受10はB列のころ15bを介してアキシアル荷重Faを負荷し、A列のころ15aは荷重を受けず、図4(a)に示すような公転すべりを起こす状態になる。この状態から逆方向のアキシアル荷重Faをアキシアル荷重用油圧ラム24により軸方向一端側から0.4秒程の時間で瞬時に付加することで、図4(a)の領域Bに示されるように、自動調心ころ軸受10はA列のころ15aを介してアキシアル荷重Faを負荷し、B列のころ15bは公転すべりを起こす状態となる。図4(a)の通過パルスから、ころ公転数をFVコンバータによりころ公転数Ncに変換した結果が図4(c)である。この計測によると、領域Bにおけるころ公転数Ncは1100rpmとなり、0.1s(秒)という僅かな時間で急激に正規の理論公転数(Ntch=1106rpm)に実質的に到達していることが確認できる。
この場合、公転加速度αは38m/sである。即ち、
v = {π・D・(N−N)}/{60×1000}
= {π・80・(1100−200)}/{60×1000}
= 3.76 m/s
α = Δv/Δt = 3.76/0.1 ≒ 38 m/s
【0025】
また、上記の試験条件を用いて、図5(a)に示されるように、自動調心ころ軸受に付加するアキシアル荷重Faを連続的に変化させることで、B列のころ15bのころ公転数NcB、A列のころ15aのころ公転数NcAを図5(b)、図5(c)にそれぞれ示すように変化させた。この試験を約1ヶ月行なった結果、保持器16の摩耗が進行し、保持器16の破損が生じるといった市場でのトラブルを再現できた。
【0026】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。
上記実施形態では、自動調心ころ軸受で説明したが、複列円錐ころ軸受、複列玉軸受や単列の転がり軸受を組み合わせて複列転がり軸受にした場合でも、同じように評価可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る保持器摩耗試験装置の全体の構成を概略的に示す断面図である。
【図2】図1に示す試験装置の要部拡大図である。
【図3】(a)はアキシアル荷重用油圧ラムによるアキシアル荷重Faの変化を時間と共に示す図であり、(b)は非接触変位センサ51から得られるB列のころ通過パルス幅の変化図であり、(c)は非接触変位センサ50から得られるA列のころ通過パルス幅の変化図である。
【図4】(a)は、アキシアル荷重Faを付加させた時に、理論公転数Ncthに実質的に到達するA列のころ通過パルスを示す図であり、(b)は、アキシアル荷重用油圧ラムによるアキシアル荷重Faの負荷挙動を示す図であり、(c)は、A列のころ通過パルスをFVコンバータを介して測定したころ公転数NcAを示す図である。
【図5】(a)はアキシアル荷重Faの変化を示す図であり、(b)は(a)のアキシアル荷重Faの変化時のB列のころ公転数の変化NcBを示す図であり、(c)は(a)のアキシアル荷重Faの変化時のA列のころ公転数変化NcAを示す図である。
【符号の説明】
【0028】
10 自動調心ころ軸受(複列転がり軸受)
12 内輪
14 外輪
15a,15b ころ(転動体)
16 案内輪
17 保持器
20 保持器摩耗試験装置
21 主軸
22 測定部
23 回転駆動部
24 アキシアル荷重用油圧ラム(アキシアル荷重用ラム)
25 ラジアル荷重用油圧ラム(ラジアル荷重用ラム)
26 主軸支持部
40 ハウジング
41 内輪スリーブ
42 外輪スリーブ
45,46 蓋体
47,48 間座
49 バネ(弾性体)
50,51 非接触変位センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1と第2の軌道輪間に二列に亘って介装された複数の転動体を周方向に転動可能に保持する保持器を備えた転がり軸受の保持器摩耗試験方法であって、
前記第1と第2の軌道輪の一方を回転する工程と、
前記転がり軸受にアキシアル荷重をその軸方向一端側及び軸方向他端側から交互に加える工程とを備え、
前記アキシアル荷重が前記軸方向一端側から加えられると、前記転がり軸受が一方の列の転動体を介して前記アキシアル荷重を負荷すると共に、他方の列の転動体が公転滑りし、
前記アキシアル荷重が前記軸方向他端側から加えられると、前記転がり軸受が前記他方の列の転動体を介して前記アキシアル荷重を負荷すると共に、前記一方の列の転動体が公転滑りすることを特徴とする転がり軸受の保持器摩耗試験方法。
【請求項2】
前記公転滑りした転動体は、前記アキシアル荷重が前記転がり軸受に加えられた後、公転加速度が10〜100m/sとなった時、その理論公転数に実質的に回復することを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受の保持器摩耗試験方法。
【請求項3】
前記転がり軸受に作用するラジアル荷重が基本動定格荷重の0.02%以下となるように、前記転がり軸受にラジアル荷重を付加する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の転がり軸受の保持器摩耗試験方法。
【請求項4】
第1と第2の軌道輪間に二列に亘って介装された複数の転動体を周方向に転動可能に保持する保持器を備えた転がり軸受の保持器摩耗試験装置であって、
前記転がり軸受の軸方向一端側と軸方向他端側からアキシアル荷重を交互に加えるアキシアル荷重付与手段を備え、
前記アキシアル荷重が前記軸方向一端側から加えられると、前記転がり軸受が一方の列の転動体を介して前記アキシアル荷重を負荷すると共に、他方の列の転動体が公転滑りし、
前記アキシアル荷重が前記軸方向他端側から加えられると、前記転がり軸受が前記他方の列の転動体を介して前記アキシアル荷重を負荷すると共に、前記一方の列の転動体が公転滑りすることを特徴とする転がり軸受の保持器摩耗試験装置。
【請求項5】
前記アキシアル荷重付与手段が、前記軸方向一端側から前記アキシアル荷重を付与するアキシアル荷重用ラムと前記軸方向他端側から前記アキシアル荷重を付与する弾性体と、を備えたことを特徴とする請求項4に記載の転がり軸受の保持器摩耗試験装置。
【請求項6】
さらに、前記転がり軸受に作用するラジアル荷重が基本動定格荷重の0.02%以下となるように、前記転がり軸受にラジアル荷重を付加するラジアル荷重用ラムを備えることを特徴とする請求項4または5に記載の転がり軸受の保持器摩耗試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−47180(P2006−47180A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230599(P2004−230599)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】