説明

軸受支持ユニットおよび画像形成装置

【課題】複数の軸受をこれに対応する複数の穴形状に同時に取り付ける際に、その取り付け作業性を向上させることができる軸受支持ユニットを提供する。
【解決手段】軸受支持ユニット200は、レジスト前搬送ローラ105および水平搬送ローラ106を保持するための軸受230が複数個支持され、これらの軸受230が同時に取り付けられる。また、軸受支持ユニット200は、軸受支持部材210および固定部材280を備える。軸受支持部材210は、軸受230を支持することにより軸受230に支持される軸220の位置を固定するための第1穴形状260が複数個所に形成されている。固定部材280は、軸受支持部材210を固定するための部材である。第1穴形状260は、軸受230が軸220を中心に第1位置から第2位置に回転する際の軸受230の軌跡を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受を支持するための軸受支持ユニットおよびこの軸受支持ユニットを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な画像形成装置においては、画像形成装置本体に備えられた搬送ローラによって、記録媒体としてのシートを搬送する。これらの搬送ローラは、通常、軸受を介して軸受支持部材に保持されている。搬送ローラを軸受支持部材に保持させるためには、搬送ローラの軸に取り付けられた軸受を、軸受支持部材に設けられた穴形状に挿入してなされる。
【0003】
軸受は、その内面を搬送ローラの軸が回転摺動するものである。したがって、軸と一緒に軸受が連れ回って回転しないようにするため、軸受支持部材の穴形状に対し公差分のがたつきだけにして軸受を挿入保持させていた。当該穴形状に挿入された軸受は、搬送ローラの軸方向に動きやすいため、軸受を軸受支持部材に強固に支持する手法が開発されていた。
【0004】
その一例として、軸受を軸受支持部材に強固に支持するために、軸受と同形状の穴形状を設けた軸受支持部材において、軸受を保持するためのスナップフィット形状を有する軸受支持部材が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−205964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術は、軸受を軸受支持部材に強固に支持することを可能にするものである。しかしながら、特許文献1に記載された技術は、搬送ローラの軸受を軸受支持部材に設けられた穴形状に取り付けるためには、搬送ローラの軸受を穴形状の向きに合わせる必要があり、当該軸受が複数ある場合には、全ての軸受を穴形状の向きに合わせなければならないため、複数の軸受をこれに対応する複数の穴形状に同時に挿入することは大変煩雑であった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、複数の軸受をこれに対応する複数の穴形状に同時に取り付ける際に、その取り付け作業性を向上させることができる軸受支持ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の軸受支持ユニットは、回転する軸を支持するための軸受が複数個支持され、これらの軸受が同時に取り付けられる。また、本発明の軸受支持ユニットは、軸受支持部材および固定部材を備える。軸受支持部材は、軸受を支持することにより軸受に支持される軸の位置を固定するための第1穴形状が複数個所に形成されている。固定部材は、軸受支持部材を固定するための部材である。第1穴形状は、軸受が軸を中心に第1位置から第2位置に回転する際の軸受の軌跡を含む。
【0009】
この構成は、複数の軸受をこれに対応する複数の第1穴形状に同時に取り付けるものであるが、その際に、軸受が所定位置から所定の角度範囲内で回転している場合には、その回転を許容することができる。すなわち、軸受が所定位置から所定の角度範囲内で回転している場合であっても、複数の軸受をこれに対応する複数の第1穴形状に同時に取り付けることが可能である。したがって、複数の軸受をこれに対応する複数の第1穴形状に同時に取り付ける際に、その取り付け作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明における軸受支持ユニットは、複数の軸受をこれに対応する複数の穴形状に同時に取り付ける際に、その取り付け作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る軸受支持ユニットを備える画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る軸受支持ユニットとローラとの関係を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る軸受支持ユニットの構成を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る軸受支持ユニットの正面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る軸受支持ユニットにおける軸受支持部材の正面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る軸受支持ユニットに支持される軸受およびこれに対応する第1穴形状を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る軸受支持ユニットに支持される軸受およびこれに対応する第1穴形状を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る軸受支持ユニットに支持される軸受およびこれに対応する第1穴形状を示す図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る軸受支持ユニットに支持される軸受およびこれに対応する第1穴形状を示す図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係る軸受支持ユニットに支持される軸受およびこれに対応する第1穴形状を示す図である。
【図11】本発明の第6実施形態に係る軸受支持ユニットに支持される軸受およびこれに対応する第1穴形状を示す図である。
【図12】本発明の第7実施形態に係る軸受支持ユニットに支持される軸受およびこれに対応する第1穴形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る軸受支持ユニットを、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
最初に、本発明の第1実施形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態に係る軸受支持ユニット200を備える画像形成装置100の構成を示す図である。
【0015】
画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(記録用紙)に対して多色または単色の画像を形成するものである。画像形成装置100は、原稿処理装置120、給紙部80、画像形成部110および排紙部90から構成されている。
【0016】
原稿処理装置120は、原稿載置台121、原稿搬送装置122および原稿読取部123を有する。原稿載置台121は、透明ガラスからなり、原稿が載置可能な構成となっている。原稿搬送装置122は、原稿トレイに積載された原稿を1枚ずつ搬送する。また、原稿搬送装置122は、矢印124方向に回動自在に構成され、原稿載置台121の上を開放することにより原稿載置台121に原稿を置くことができるようになっている。原稿読取部123は、原稿搬送装置122で搬送中の原稿または原稿載置台122に載置された原稿を読み取る。
【0017】
給紙部80は、給紙カセット81、手差し給紙カセット82、ピックアップローラ83およびピックアップローラ84が設けられている。給紙カセット81は、定形シートを蓄積しておくためのトレイである。手差し給紙カセット82は、不定形シートを載置することができるトレイである。ピックアップローラ83は、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路101に供給する。同様にピックアップローラ84は、手差し給紙カセット82の端部近傍に設けられ、手差し給紙カセット82からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路101に供給する。
【0018】
画像形成部110は、画像形成ステーション31,32,33,34、露光ユニット30、中間転写ベルトユニット50および定着ユニット70から構成されている。画像形成ステーション31,32,33,34は、それぞれ感光体ドラム10、帯電器20、現像器40およびクリーナユニット60が設けられており、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。本実施形態では、画像形成ステーション31について説明する。
【0019】
感光体ドラム10は、画像形成時に回転し、現像剤像を担持するためのものである。感光体ドラム10の周囲には、回転方向上流から帯電器20、露光ユニット30、現像器40、中間転写ベルトユニット50、クリーナユニット60の順に配置されている。定着ユニット70は、搬送路101上において画像形成部110の最も下流に位置する。
【0020】
帯電器20は、感光体ドラム10の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器が用いられることもある。
【0021】
露光ユニット30は、帯電された感光体ドラム10を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。露光ユニット30は、レーザ射出部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成される。露光ユニット30は、レーザ光を走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム10に導くためのレンズやミラー等の光学要素が配置されている。露光ユニット30としては、この他発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書き込みヘッドを用いる手法も採用できる。
【0022】
現像器40は、感光体ドラム10上に形成された静電潜像をトナーにより顕像化するものである。
【0023】
中間転写ベルトユニット50は、中間転写ベルト51、中間転写ベルト駆動ローラ52、中間転写ベルト従動ローラ53、中間転写ローラ54および中間転写ベルトクリーニングユニット55を備えている。
【0024】
中間転写ベルト駆動ローラ52、中間転写ベルト従動ローラ53および中間転写ローラ54は、中間転写ベルト51を張架して回転駆動させる。また、中間転写ローラ54は、感光体ドラム10のトナー像を、中間転写ベルト51上に転写するための転写バイアスを与える。
【0025】
中間転写ベルト51は、感光体ドラム10に接触するように設けられている。そして、感光体ドラム10に形成されたトナー像を中間転写ベルト51に転写することによって、中間転写ベルト51上にトナー像を形成する機能を有している。中間転写ベルト51は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0026】
感光体ドラム10から中間転写ベルト51へのトナー像の転写は、中間転写ベルト51の裏側に接触している中間転写ローラ54によって行われる。中間転写ローラ54には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ54は、直径8mm〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト51に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施形態では転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0027】
上述のように感光体ドラム10上で顕像化された静電潜像は中間転写ベルト51で積層される。このように積層された画像情報は、中間転写ベルト51の回転によって、用紙と中間転写ベルト51との接触位置に配置される転写ローラ56によって用紙上に転写される。
【0028】
このとき、中間転写ベルト51と転写ローラ56は所定ニップで圧接されるとともに、転写ローラ56にはトナーを用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、転写ローラ56は上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ56もしくは中間転写ベルト駆動ローラ52のいずれか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等)としている。
【0029】
また、上記のように、感光体ドラム10に接触することにより中間転写ベルト51に付着したトナーもしくは転写ローラ56によって用紙上に転写が行われず中間転写ベルト51上に残存したトナーは、中間転写ベルトクリーニングユニット55によって除去・回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット55には、中間転写ベルト51に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト51は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ53で支持されている。
【0030】
クリーナユニット60は、現像・画像転写後における感光体ドラム10上の表面に残留したトナーを除去・回収する。
【0031】
定着ユニット70は、加熱ローラ71および加圧ローラ72を備えており、加熱ローラ71および加圧ローラ72は、シートを挟んで回転するようになっている。また加熱ローラ71は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ72とともにトナーをシートに熱圧着することにより、シートに転写されたトナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。また、加熱ローラ71を外部から加熱するための外部加熱ベルト73が設けられている。
【0032】
排紙部90は、排紙トレイ91および排紙ローラ92を有する。定着ユニット70を通過した用紙は、排紙ローラ92を経て排紙トレイ91に排出される。排紙トレイ91は、印刷済みのシートを集積するためのトレイである。
【0033】
また、両面印字要求のときは、上記のように片面印字が終了し定着ユニット70を通過したシートの後端が排紙ローラ92で把持されたときに、排紙ローラ92が逆回転することによってシートを搬送ローラ102,103に導く。そしてその後レジストローラ104を経てシート裏面に印字が行われた後にシートが排紙トレイ91に排出される。
【0034】
図2〜図6において、軸受支持ユニット200の構成について説明する。ここで、各実施形態において、軸220と記載する場合は、軸220A〜220Cの少なくともいずれかを示すものとする。また、各実施形態において、軸受230と記載する場合は、軸受230A〜230Hの少なくともいずれかを示すものとする。さらに、各実施形態において、第1穴形状260と記載する場合は、第1穴形状260A〜260Gの少なくともいずれかを示すものとする。
【0035】
軸受支持ユニット200は、図2〜図4に示すように、回転する軸220を支持するための軸受230を複数個支持している。軸受230は、ローラ以外にも、駆動ギアを回転させる駆動軸を保持してもよい。図2では、軸受支持ユニット200に支持された軸受230に保持されるローラの一例として、レジスト前搬送ローラ105および水平搬送ローラ106が図示されている。
【0036】
軸受支持ユニット200は、軸受支持部材210および固定部材280を備える。軸受支持部材210は、軸受230を支持することにより軸受230に支持される軸220の位置を固定するための第1穴形状260が複数個所に形成されている。第1穴形状260については、図6(B)を参照されたい。また、軸受230の形状については、図6(A)を参照されたい。固定部材280は、図3に示すように、軸受支持部材210を固定するための部材である。
【0037】
軸220は、SUM(硫黄快削鋼)にNiメッキ処理を施したものやステンレスを材料としており、軸受230は、銅焼結またはPOM(ポリアセタール)等によって構成されるのが一般的である。
【0038】
軸受支持ユニット200は、軸受支持部材210に形成されている第1穴形状260に対して、第1穴形状260に対応する軸受230の全てが同時に取り付けられるものである。本実施形態の軸受230の形状は、小判型形状である。また、本実施形態の第1穴形状260は、小判型形状の直線部と曲線部との接点を変形させている(いわゆる切り欠きが形成されている)。具体的には、第1穴形状260は、軸受230が軸220を中心に第1位置(例えば、図6(C)の軸受230の位置)から第2位置(例えば、図6(D)の軸受230の位置)に回転する際の軸受230の軌跡を含む。
【0039】
本実施形態では、図6(A)に示すように、軸受230の直線部と直線部との間の距離を8.0mm(公差:−0.03,−0.170)とし、曲線部と曲線部との間の距離を10mm(公差:−0.032,−0.069)とした。また、図6(B)に示すように、第1穴形状260の直線部と直線部との間の距離を8.1mm(公差:+0.1,0)とし、曲線部と曲線部との間の距離を10mm(公差:+0.05,+0.01)とした。この寸法により、軸受230を第1穴形状260に取り付けたときに、第1穴形状260に対して軸受230が多少がたつく程度のクリアランスが発生する。
【0040】
第1穴形状260をこのような形状にすることにより、軸受230が図6(A)の位置にある場合、図6(C)の位置にある場合、および、図6(D)の位置にある場合であっても、軸受230を第1穴形状260に取り付けることが可能である。
【0041】
すなわち、本実施形態の軸受支持ユニット200は、複数の軸受230をこれに対応する複数の第1穴形状260に同時に取り付けるものであるが、その際に、軸受230が所定位置から所定の角度範囲内で回転している場合には、その回転を許容することができる。つまり、軸受230が所定位置から所定の角度範囲内で回転している場合であっても、複数の軸受230をこれに対応する複数の第1穴形状260に同時に取り付けることが可能である。したがって、複数の軸受230をこれに対応する複数の第1穴形状260に同時に取り付ける際に、その取り付け作業性を向上させることができる。
【0042】
また、第1穴形状260は、軸受230の直線部に対応する直線部が設けられている。本実施形態では、当該直線部の距離を1.8mmに設定している。第1穴形状260に直線部を設けた理由は、軸受230がスラスト方向に移動することを防止するために軸受230を第1穴形状260にホールドさせる機能を第1穴形状260に持たせるためである。
【0043】
その他の理由として、第1穴形状260の直線部と直線部との間の距離がほとんど変わることなく軸受支持部材210を量産可能である。したがって、軸受230の第1穴形状260に対するラジアル方向のがたを最小限に抑えることができるため、第1穴形状260に対する軸受230の同軸度のズレを最小限に抑えることができる。
【0044】
さらに、軸受支持ユニット200の使用に基づくローラの回転力が加わっても、軸受230の第1穴形状260に対するラジアル方向のがたを最小限に抑えることができるため、第1穴形状260に対する軸受230の同軸度のズレを最小限に抑えることができる。
【0045】
第1穴形状267は、軸受230が軸を中心に第1位置から第2位置に回転する際の軸受230の軌跡から構成されるものであってもよい。この場合、図6(E)に示すように、軸受230は、第1穴形状267に取り付けられている状態において、第1位置から第2位置の許容角度範囲外に回転する領域が存在しない。
【0046】
次に、第1穴形状267における接触点291〜294の決定方法について説明する。第1穴形状267においては、直線部の寸法として、第1穴形状260と同様の1.8mmが設定されている。当該直線部の端点がそれぞれ接触点292,294である。軸受230は、第1穴形状267において回転したときに、接触点292と接触点294とに接触し、これ以上は回転しない。この状態において、接触点292を外周方向に軸受230の直線部に沿って延ばした直線と軸受230の曲線部との交点が接触点291であり、接触点294を外周方向に軸受230の直線部に沿って延ばした直線と軸受230の曲線部との交点が接触点293である。
【0047】
そして、第1穴形状267の切り欠きは、図6(E)および図6(F)に示すように、接触点291と接触点292とを結んで形成される。同様に、接触点293と接触点294とを結んで形成される。第1穴形状267におけるその他の切り欠きも同様にして形成される。
【0048】
この構成により、軸受230を第1穴形状267に取り付ける際の取り付け作業性を向上させることができるとともに、軸受支持部材210に対して余分な領域が形成されないため、軸受支持部材210の強度に有利である。
【0049】
これに対して、軸受230が第1穴形状260に取り付けられた状態において揺動可能である場合、すなわち、軸受230を第1穴形状260に取り付けた状態において軸受230と第1穴形状260との間に公差分のがたがある場合、第1穴形状260は、軸受230が軸220を中心に第1位置から第2位置に回転する際の軸受230の軌跡の範囲外の領域269を含むと好ましい。
【0050】
軸受230と第1穴形状260との間に公差分のがたがあり、かつ、第1穴形状260が領域269を含むことにより、軸受230が第1位置から第2位置の許容角度範囲外に位置している場合であっても、軸受230を第1穴形状260に取り付けることが可能であるため、その取り付け作業性をさらに向上させることができる。
【0051】
本実施形態では、レジストローラ104の軸240に対する軸受230に対応する穴形状は、図5に示すように、軸受230と同形状の第2穴形状270である。第2穴形状270を軸受230と同形状とした理由は、レジストローラ104は、用紙の搬送タイミングを調整するためのローラであり、用紙搬送路101の上流から搬送されてきた用紙を一旦止める機能を有しているためである。
【0052】
すなわち、レジストローラ104間のニップ圧は、他のローラに比べて大きく設定されているため、レジストローラ104の軸240に対する軸受230に対応する穴形状を第1穴形状260とすると、第1穴形状260の軸受230に対する支持力が第2穴形状270に比べて低くなるため、軸受230がスラスト方向に動く虞がある。また、軸受230のビビリ振動が軸受支持部材210に伝わるため、異音が発生する。したがって、これを防止するために、本実施形態では、第2穴形状270を軸受230と同形状としている。
【0053】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0054】
図7は、本発明の第2実施形態に係る軸受支持ユニット200に支持される軸受230およびこれに対応する第1穴形状261を示す図である。第2実施形態以降の各実施形態の説明においては、第1実施形態と重複する部分の説明は省略する。
【0055】
図7(A)は、第1穴形状261を示す図である。第1穴形状261は、図7(B)を第1位置とし、図7(C)を第2位置とした場合に、軸受230が軸220を中心に第1位置から第2位置に回転する際の軸受230の軌跡を含む。
【0056】
第1実施形態における第1穴形状260は、4か所に切り欠きが形成されていたが、本実施形態のように、少なくとも2か所に切り欠きが形成されれば、複数の軸受230をこれに対応する第1穴形状261に同時に取り付ける際のその取り付け作業性を向上させることができるという効果を奏する。
【0057】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0058】
図8は、本発明の第3実施形態に係る軸受支持ユニット200に支持される軸受230およびこれに対応する第1穴形状262を示す図である。
【0059】
図8(A)は、第1穴形状262を示す図である。第1穴形状262は、図8(B)を第1位置とし、図8(C)を第2位置とした場合に、軸受230が軸220を中心に第1位置から第2位置に回転する際の軸受230の軌跡を含む。また、第1穴形状262は、軸受230の直線部と曲線部との交点に対応する4か所に、軸受230の回転を許容する領域(切り欠き)が形成されている。
【0060】
本実施形態では、軸受230の第1位置と第2位置とは、第1実施形態と同様であるが、第1穴形状262が第1穴形状260における直線部を有さない点が第1実施形態と相違する。本実施形態のように、第1穴形状260における直線部を有さなくても、複数の軸受230をこれに対応する第1穴形状262に同時に取り付ける際のその取り付け作業性を向上させることができるという効果を奏する。
【0061】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
【0062】
図9は、本発明の第4実施形態に係る軸受支持ユニット200に支持される軸受233およびこれに対応する第1穴形状263を示す図である。
【0063】
図9は、軸受の形状が、D形状である場合およびこれに対応する第1穴形状を示している。図9(A)は、第1穴形状263を示す図である。第1穴形状263は、図9(B)を第1位置とし、図9(C)を第2位置とした場合に、軸受233が軸220を中心に第1位置から第2位置に回転する際の軸受233の軌跡を含む。
【0064】
本実施形態における第1穴形状263は、軸受233の形状に加えて、1か所に切り欠きが設けられている。この構成により、複数の軸受233をこれに対応する複数の第1穴形状263に同時に取り付ける際のその取り付け作業性を向上させることができるという効果を奏する。
【0065】
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
【0066】
図10は、本発明の第5実施形態に係る軸受支持ユニット200に支持される軸受233およびこれに対応する第1穴形状264を示す図である。
【0067】
図10は、図9と同様に、軸受の形状が、D形状である場合およびこれに対応する第1穴形状を示している。図10(A)は、第1穴形状264を示す図である。第1穴形状264は、図10(B)を第1位置とし、図10(C)を第2位置とした場合に、軸受233が軸220を中心に第1位置から第2位置に回転する際の軸受233の軌跡を含む。また、第1穴形状264は、軸受233の直線部と曲線部との交点に対応する2か所に、軸受233の回転を許容する領域(切り欠き)が形成されている。
【0068】
本実施形態における第1穴形状264は、軸受233の形状に加えて、2か所に切り欠きが設けられている。この構成は、第4実施形態における第1穴形状263よりも軸受233の回転許容角度が大きいため、複数の軸受233をこれに対応する複数の第1穴形状264に同時に取り付ける際のその取り付け作業性をさらに向上させることができるという効果を奏する。
【0069】
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
【0070】
図11は、本発明の第6実施形態に係る軸受支持ユニット200に支持される軸受235およびこれに対応する第1穴形状265を示す図である。
【0071】
図11は、軸受の形状が、三角形状である場合およびこれに対応する第1穴形状を示している。図11(A)は、第1穴形状265を示す図である。第1穴形状265は、図11(B)を第1位置とし、図11(C)を第2位置とした場合に、軸受235が軸220を中心に第1位置から第2位置に回転する際の軸受235の軌跡を含む。
【0072】
本実施形態における第1穴形状265は、軸受235の各頂点と接する部分が円弧状に形成されており、第1穴形状265の直線部は、軸受235が第1位置から第2位置に回転する際の軸受235の軌跡によって形成されている。この構成により、複数の軸受235をこれに対応する複数の第1穴形状265に同時に取り付ける際のその取り付け作業性を向上させることができるという効果を奏する。
【0073】
最後に、本発明の第7実施形態について説明する。
【0074】
図12は、本発明の第7実施形態に係る軸受支持ユニット200に支持される軸受236およびこれに対応する第1穴形状266を示す図である。
【0075】
図12は、軸受の形状が、四角形状である場合およびこれに対応する第1穴形状を示している。図12(A)は、第1穴形状266を示す図である。第1穴形状266は、図12(B)を第1位置とし、図12(C)を第2位置とした場合に、軸受236が軸220を中心に第1位置から第2位置に回転する際の軸受236の軌跡を含む。
【0076】
本実施形態における第1穴形状266は、軸受236の各頂点と接する部分が円弧状に形成されており、第1穴形状266の直線部は、軸受236が第1位置から第2位置に回転する際の軸受236の軌跡によって形成されている。この構成により、複数の軸受236をこれに対応する複数の第1穴形状266に同時に取り付ける際のその取り付け作業性を向上させることができるという効果を奏する。
【0077】
なお、軸受および第1穴形状は、第1実施形態〜第7実施形態において例示された形状に限定されるものではなく、軸受および第1穴形状が円形状である場合を除いて適用可能である。
【0078】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0079】
100−画像形成装置
104−レジストローラ
105−レジスト前搬送ローラ
106−水平搬送ローラ
110−画像形成部
200−軸受支持ユニット
210−軸受支持部材
220−軸
230−軸受
233−軸受
235−軸受
236−軸受
260−第1穴形状
261−第1穴形状
262−第1穴形状
263−第1穴形状
264−第1穴形状
265−第1穴形状
266−第1穴形状
270−第2穴形状
280−固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する軸を支持する軸受が複数個支持され、これらの軸受が同時に取り付けられる軸受支持ユニットであって、
前記軸受を支持することにより前記軸受に支持される前記軸の位置を固定するための第1穴形状が複数箇所に形成された軸受支持部材と、
前記軸受支持部材を固定するための固定部材と、
を備え、
前記第1穴形状は、前記軸受が軸を中心に第1位置から第2位置に回転する際の前記軸受の軌跡を含む軸受支持ユニット。
【請求項2】
前記軸受は、前記第1穴形状に取り付けられた状態において揺動可能であり、
前記第1穴形状は、前記軌跡の範囲外の領域を含む請求項1に記載の軸受支持ユニット。
【請求項3】
前記第1穴形状は、前記軸受が軸を中心に第1位置から第2位置に回転する際の前記軸受の軌跡から構成される請求項1に記載の軸受支持ユニット。
【請求項4】
前記第1穴形状は、前記軸受がD形状の場合は、前記軸受の直線部と曲線部との交点に対応する2か所に、前記軸受の回転を許容する領域が形成された請求項1〜3のいずれか1項に記載の軸受支持ユニット。
【請求項5】
前記第1穴形状は、前記軸受が小判型形状の場合は、前記軸受の直線部と曲線部との交点に対応する4か所に、前記軸受の回転を許容する領域が形成された請求項1〜3のいずれか1項に記載の軸受支持ユニット。
【請求項6】
軸受支持ユニット本体は、ローラを保持するための軸受を支持し、
前記軸受支持部材は、用紙の搬送タイミングを調整するためのレジストローラの軸に対応する軸受と同形状の第2穴形状がさらに形成された請求項1〜5のいずれか1項に記載の軸受支持ユニット。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の軸受支持ユニットと、
前記軸受支持ユニットに保持されたローラによって搬送された用紙に対して画像を形成するための画像形成部と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−37822(P2012−37822A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180041(P2010−180041)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】