説明

軸流コンプレッサおよびそれに関連した作動方法

【課題】特にガスタービンのための軸流コンプレッサは流れ媒体を圧縮することを目的としている。
【解決手段】コンプレッサはステータブレード列を形成するために組み立てられ且つ各々がステータブレードキャリアに固定された複数のコンプレッサステータブレードと、ロータブレード列を形成するために組み立てられ且つ各々がコンプレッサシャフトのコンプレッサディスクに固定された複数のコンプレッサロータブレードと、を備え、各々2つの連続したコンプレッサディスクはそれらの間に形成された中空スペースを収容し、最後のコンプレッサディスクは、流れ媒体の流れ方向から見て後方中空スペースを画定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流れ媒体を圧縮するための、特にガスタービンのための軸流コンプレッサに関し、そのコンプレッサはステータブレード列を形成するために組み立てられ且つ各々がステータブレードキャリアに固定された複数のコンプレッサステータブレードと、ロータブレード列を形成するために組み立てられ且つ各々がコンプレッサシャフトのコンプレッサディスクに固定された複数のコンプレッサロータブレードと、を備え、各々2つの連続したコンプレッサディスクはそれらの間に形成された中空スペースを収容し、最後のコンプレッサディスクは、流れ媒体の流れ方向から見て後方中空スペースを画定している。本発明はそのような軸流コンプレッサを作動するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは発電機または被駆動機械の駆動のために多くの分野において使用されている。この場合、燃料のエネルギ含量はタービンシャフトの回転動作を生み出すために使用されている。この目的のために、燃料は燃焼チャンバ内で燃焼され、圧縮空気がエアコンプレッサから供給される。この場合のエアコンプレッサは慣習的に軸流コンプレッサとして構成されている。燃料の燃焼の結果として燃焼チャンバ内に生成された高圧且つ高温の作動媒体は、この場合タービンユニットを通じて導かれる。タービンユニットには下流において燃焼チャンバが接続されており、そこで作動媒体は膨張して作動する。エアコンプレッサ、略してコンプレッサとタービンユニットとは慣習的に共通のシャフトに配置され、タービンユニットは作動の際にコンプレッサを駆動する。
【0003】
ガスタービンの燃焼チャンバは、いわゆる環状燃焼チャンバとして構成され、その中にはタービンシャフトの周囲に周方向に配列された多数のバーナが、高耐熱周壁によって収容された共通の燃焼空間において開口している。この目的のために、燃焼チャンバは全体として環状構造としてデザインされている。単一の燃焼チャンバに追加して、複数の燃焼チャンバが設けられることも可能である。
【0004】
タービンシャフトの回転動作のために、この場合はブレード群またはブレード列に慣習的に組み付けられた複数のタービンロータブレードは、このシャフト上に配列されている。この場合、タービンロータブレードがそのブレード根を利用して固定されたタービンディスクは、慣習的に各々のタービンステージに設けられている。さらに、タービンユニット内の作動媒体の流れをガイドするために、タービンケーシングに接続され、組み立てられてステータブレード列を形成したタービンステータブレードは、隣り合ったロータブレード列の間に慣習的に配置されている。
【0005】
そのようなガスタービンのコンプレッサは、構成に関して慣習的にタービンユニットと類似して構成され、軸流コンプレッサの形態において、ステータブレード列を形成するために組み立てられ且つ各々がステータブレードキャリアに固定された複数のコンプレッサステータブレードと、ロータブレード列を形成するために組み立てられ且つ各々がコンプレッサシャフトに固定された複数のコンプレッサロータブレードと、を具備している。ロータブレードと、流れ媒体(この場合は空気)の流れ方向から見てロータブレードに直接的に続いたステータブレードと、はこの場合コンプレッサステージを形成している。一般に、複数のコンプレッサステージが設けられている。
【0006】
ガスタービンの全ての回転部品全体、特にシャフトおよびロータブレードはロータとしても言及され、固定部品、特にケーシングおよびステータブレードは集合的にステータとしても言及される。
【0007】
コンプレッサシャフトは慣習的に複数のコンプレッサディスクから組み立てられ、このディスクは軸方向から見て1つの後方に他のディスクが配置され、例えば締付けボルトを利用して一体に保持されている。タービンユニットに向かう方向において、コンプレッサシャフトはシャフト中間部品を介してタービンシャフトとして連続している。その外周において、各々のコンプレッサディスクは慣習的にロータブレード列のコンプレッサロータブレードを坦持しており、ロータブレードはブレード根を利用して例えばコンプレッサディスクの対応した固定溝内に固定されている。コンプレッサディスクは複数のロータブレード列も担持することが可能である。
【0008】
以下の記載において各場合にキャビティとも称される環状中空スペースは、慣習的に各々の連続したコンプレッサディスクの間に設けられており、結果的にコンプレッサシャフトの重量は完全にソリッドタイプの構造と比較して減少されている。慣習的なタイプの構成における流れ媒体の流れ方向から見て、最後のコンプレッサディスクは、後続のタービンユニットに向かい且つ他の構成部品と一体となった上面または端面を備えており、例えば流れ媒体のための流路から分離された後方キャビティと称される後方中空スペースを画定しているか、または部分的に収容している。そのようなデザインは例えば特許文献1(その図2と比較)から公知である。中空スペースの複数のグループはコンプレッサシャフト内に設けられることが可能であり、例えば、第1グループの中空スペースは径方向から見てさらに外側に配置され、一方で、第2グループ、妥当な場合さらなるグループの中空スペースはさらに内側に配置される。
【0009】
そのようなガスタービンのデザインにおいて、入手可能な動力に加えて、特別に高レベルの効率が慣習的に設計目標となっている。効率の向上はこの場合熱力学的理由のために、基本的に作動媒体が燃焼チャンバから排出される位置およびタービンユニット内に流入する位置における出口温度によって達成され得る。この場合、例えば1200℃以上となる作動媒体の比較的高い温度が目標とされ、且つそのようなガスタービンのために達成される。
【0010】
そのような高温または相応して高レベルの効率が達成され得るので、コンプレッサ内の空気は可能な限り強く圧縮されるべきである。ガスの流れ方向に沿ってますます増大したコンプレッサ内の圧力次第で、コンプレッサ出口温度もそれに沿って上昇する。材料または後方コンプレッサディスクの許容される最高作動温度は、工程において場合によっては到達される。
【0011】
今のところ、入手可能な材料に関する許容される最高作動温度は、コンプレッサ出口温度に関してガスタービンの進化のために限定的な境界条件を示している。例えば高い周囲温度の場合においてこの限界が超えられる危険性が存在する場合、装置の作動モードは抑制されなければならない。結果的に、ガスタービンの潜在能力は完全に使用されることができない。
【0012】
出願人の前提において、技術的な解決策が開発され、それは流れ媒体の流れ方向から見て最後のコンプレッサディスク、特にその上側領域および端部領域が冷却空気の衝突を利用して冷却されることを利用している。このために、例えば基本的に冷却された冷却空気を前方タービンブレードに供給するために提供された冷却空気クーラーが使用されている。この冷却空気はいわゆるシャフトカバーを通じてロータ内に供給され、特に流れ媒体の流れ方向から見てエアコンプレッサの下流に配置されたシャフトカバーまたはケーシングに供給される。そこから、次に冷却空気はタービンブレードに到達する。この冷却空気のいくらかは、工程内で最後のコンプレッサディスクの上部領域を冷却するために、シャフトカバーから最後のコンプレッサディスクの下流のキャビティに導かれる。
【0013】
冷却空気供給のこの形式を伴って、キャビティへの冷却空気はガスタービンの多様な構成部品を通じて比較的長い距離を移動し、特に、シャフトカバーへの供給ラインを通じて、次に高温のコンプレッサエアによる周囲流れに暴露されるシャフトカバー自身を通じて移動する欠点がある。結果的に、冷却空気の温度はキャビティに到達する前に顕著に高くなり、最後のコンプレッサディスクのための冷却能力は大きく減少される。さらに、最後のコンプレッサディスクは一側のみから冷却され、流れ媒体の流れ方向から見て最後のコンプレッサディスクのさらに上流に配置されたコンプレッサディスクは、最後のコンプレッサディスクとまったく同じ大きさであるとはいえないがある程度認め得るほどに熱負荷を受けており、場合によってはまったく冷却されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明は導入部において言及されたタイプの軸流コンプレッサのさらなる改良を目的とすることに基づいており、それは後方コンプレッサディスク、特に流れ媒体の流れ方向から見て最後のコンプレッサディスクの単純且つ効果的な冷却を維持する手段が達成されるようになっている。さらに、対応する作動方法が開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
軸流コンプレッサに関して、この目的は本発明によって達成される。本発明では、少なくとも1つの冷却媒体供給ダクトはステータブレードおよびステータブレードに固定されたコンプレッサステータブレードを通じてコンプレッサディスクの間に形成された1つの中空スペースにおいて開口しており、冷却媒体供給ダクトは流れ媒体の流れ方向から見て最後のコンプレッサディスクの上流に配置され、冷却媒体供給ダクトはコンプレッサステータブレードの先端においてそこに配置された排出開口を介してコンプレッサシャフトと面しており、中空スペースは後続のコンプレッサディスクを通じて誘導された少なくとも1つの冷却媒体移送経路を介して後方中空スペースに接続されている。
【0016】
この場合、本発明は、後方コンプレッサディスク、特に流れ媒体の流れ方向から見て最後のコンプレッサディスクの冷却効率が、上面または端面の2つのうちの少なくとも1つ、好適には上面と端面との双方に比較的低温の冷却媒体を衝突させることによって達成されることを考慮することに基づいている。この場合、中空スペース内への経路において、隣接した中空スペース内に導入される冷却媒体の過度の加熱は回避される。
【0017】
この目的のために、本発明によれば、冷却媒体はコンプレッサディスクに隣接したまたはコンプレッサディスク付近の中空スペースに供給され、コンプレッサディスクは、径方向において中空スペースに直接的に対向して配置されたステータブレード列の少なくとも1つのコンプレッサステータブレードを介して冷却される。冷却されるこのステータブレード列と中空スペースとは軸方向から見て基本的に同じ位置に配置されているので、冷却媒体の供給は基本的に径方向において外側から内向きに実行され、ガスタービンの様々な高温の構成部品を通じて軸方向に比較的長い移送または供給経路が回避されることが可能であり、冷却媒体の望ましくない加熱が発生し得ることが回避可能である。
【0018】
したがって、冷却媒体の導入は、2つのコンプレッサディスクの間に位置した1つの前方中空スペース内へ、例えば流れ媒体の流れ方向から見て最後のコンプレッサディスクの上流に位置した中空スペース内へコンプレッサステータブレードを介して実行され、従って、通常は最後のロータブレード列の上流である。次いで、この中空スペースから、少なくとも1つの冷却媒体移送経路(これ以降略して移送経路とも称され、後続のコンプレッサディスクに続いている。)を介して、冷却媒体は最後のコンプレッサディスクの下流にある後方中空スペースに導かれ、この領域もその近傍の構成部品とともに冷却される。したがって、最後のコンプレッサディスクは両方において、すなわち上面および端面の両方において冷却される。後方中空スペースから、「使用された」冷却媒体は、ギャップリークの結果としてまたは他の方法によって圧縮される流れ媒体のための流路内へ、および/または下流の冷却媒体排出経路もしくは同様のものへと最終的に排出される。
【0019】
個々の移送経路はこの目的のために有利に軸方向ボアのスタイルにおいて最後のコンプレッサディスク内に導かれている。冷却媒体がコンプレッサシャフトにおいてさらに前方に配置された中空スペース内にコンプレッサステータを介して導入され、および流れに関してその間に接続された複数の中空スペースを介して後方中空スペースに導かれるとき、その間に配置された全てのコンプレッサディスクを通じた対応する移送経路が便宜上設けられる。
【0020】
例えばコンプレッサのより低温な領域においてさらに上流のコンプレッサエア流れから部分的な流れとして抜き出された冷却空気が、冷却媒体として便宜上使用される。代替的にまたは追加的に、外部冷却空気クーラーまたは同様のものを利用して冷却空気を再冷却することも提供され得る。
【0021】
本発明の原理を実現するためには、対応したステータブレード列の単一の1つのコンプレッサステータブレードに前術のタイプの冷却媒体供給ダクトが設けられるのみでよい。しかしながら、特に効率的に且つ均一に後方コンプレッサディスクを冷却するために、周方向から見て、冷却媒体の導入のために設けられたステータブレード列の好適に複数のまたは好適に全てのコンプレッサステータブレードに、対応した冷却媒体供給ダクトが備わっている。
【0022】
同じ理由のために、特に冷却媒体側に並列に接続された複数の移送経路は、周方向から見て対象の各々のコンプレッサディスクのために便宜上設けられている。この場合の個々の移送経路は対応したコンプレッサディスクを通じて、特に軸方向ボアのスタイルにおいて導かれることが可能である。
【0023】
前術の改良の場合において、環状冷却媒体分配チャンバがステータブレードキャリアまたは周囲を取り囲んだケーシング部品に形成されており、環状冷却媒体分配チャンバにはコンプレッサステータブレード内に配置された冷却媒体供給ダクトのセクションが接続されている。
【0024】
さらなる有利な改良において、冷却媒体を供給するために設けられたステータブレード列のコンプレッサステータブレードは、その先端において、一側においてこの位置では比較的高温の流れ媒体のための流路をその外側面によって画定し且つ他側においてその内側面によって中空スペースを画定した共通の環状ボディに接続されており、中空スペースは冷却され且つその内部に冷却媒体の導入が行われる。したがって、シュラウドのスタイルで構成された環状ボディは中空スペースを流路に関してシールしており、且つ空間領域を互いに熱的に離間している。
【0025】
この場合、個々の冷却媒体供給ダクトは便宜的に管状ボディを通じて誘導されており、冷却媒体排出開口は中空スペースに面した面の内側に配置されている。
【0026】
さらに好都合の改良において、後方中空スペースは、一側において最後のコンプレッサディスクの後端面に対向して配置され、例えば環状または中空ロータカバー(シャフトカバー)の端面によって画定されている。この場合、ロータカバーの端面も冷却媒体を利用して冷却され、冷却媒体は作動の間に移送経路を介して後方中空スペース内に移送される。
【0027】
ガスタービン内でのエアコンプレッサとしての上述の軸流コンプレッサの使用は特に好適であり、ガスタービンのエアコンプレッサとタービンユニットとは共通のシャフトに沿って有利に配列されている。しかしながら、軸流コンプレッサを、流れ媒体がその内部で圧縮される他の装置の目的のために、独立ユニットとして作動させることも当然に考えられる。コンプレッサ出口領域の冷却を改良した前術の利点は、この場合においても効果を奏する。
【0028】
方法に関して、導入部において言及された目的は、冷却媒体は、コンプレッサディスクの間に配置された中空スペース内に、少なくとも1つの冷却媒体供給ダクトによって導入され、冷却媒体供給ダクトはステータブレードおよびステータブレードに固定されたコンプレッサステータブレードを通じて誘導され、且つ流れ媒体の流れ方向から見て最後のコンプレッサディスクの上流に配置され、冷却媒体供給ダクトから、冷却媒体は、後続のコンプレッサディスクを通じて誘導された少なくとも1つの冷却媒体移送経路を介して後方中空スペースに導入されることによって達成されている。
【0029】
本発明に関連した利点は、特に軸流コンプレッサにおいて、空間的に隣接したステータブレード列を介して基本的に径方向において実行される冷却媒体の供給を利用して、効果的に特に熱負荷が与えられた後方コンプレッサディスクおよびそれに隣接した部品を冷却することを可能にしたことである。後方コンプレッサディスクの低い熱負荷またはコンプレッサディスクの変化しない負荷を伴ったコンプレッサ出口圧力の可能な増大は、この結果である。
【0030】
本発明の例示的な実施形態が添付図を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ガスタービン全体の部分断面を示した図である。
【図2】最後のコンプレッサディスクのための冷却装置があらかじめ設けられた、図1のガスタービンのコンプレッサの詳細の拡大図を示している。
【図3】後方コンプレッサディスクの冷却のための、図2と比較して改良された冷却装置を備えた図1のコンプレッサの詳細を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
類似の部分にはすべての図において同じ符号が付されている。
【0033】
図1によれば、ガスタービン1は燃焼用空気のためのコンプレッサ2、燃焼チャンバ4ならびにコンプレッサ2の駆動のためおよび図示されていない発電機または被駆動機械のためのタービンユニット6を備えている。この目的のために、タービンユニット6とコンプレッサ2とは、タービンロータとして言及される共通のタービンシャフト8を通じて配置され、このシャフトに発電機または被駆動機械も連結されており、シャフトは中心軸9の周りに回転可能に組み付けられている。燃焼チャンバ4は環状燃焼チャンバの形式で構成されており、液体燃料または気体燃料を燃焼するための複数のバーナ10を備えている。
【0034】
タービンユニット6は、タービンシャフト8に接続された回転可能な複数のロータブレード12を備えている。タービンロータブレード12はタービンシャフト8にリング様式で配列されており、したがって、複数のロータブレード列を形成している。さらに、タービンユニット6は複数の固定タービンステータブレード14を具備し、このステータブレードもリング様式でタービンユニット6のステータブレードキャリア16に固定されており、ステータブレード列を形成している。この場合、タービンロータブレード12はタービンシャフト8の駆動に寄与しており、タービンユニット6を介して流れる作動媒体Mからのインパルス移送に帰結している。一方で、タービンステータブレード14は、作動媒体Mの流れの方向から見て、各々の連続した2つのロータブレード列またはロータブレードリングの間において作動媒体Mの流れのガイドに寄与している。連続した一組のタービンステータ14のリングまたはステータブレード列、およびタービンロータブレード12のリングまたはロータブレード列は、この場合、タービンステージとも称される。
【0035】
ガスタービン1のコンプレッサ2はタービンユニット6と同様に構成されている。コンプレッサは複数のコンプレッサロータブレード18を具備し、それらは組み立てられてロータブレード列を形成し、それらの基部がガスタービン1のこの領域においてコンプレッサシャフトと称されるタービンシャフト8に固定されており、コンプレッサロータブレードは誘導された流れ媒体Sのための流路22内に突出している。この場合、媒体は空気である。コンプレッサロータブレード18はコンプレッサシャフト20を介して回転するように設定されており、流れ媒体Sの圧縮動作を実行し且つタービンユニット8に向かう方向に移送している。一方で、固定コンプレッサステータブレード24は組み付けられてステータブレード列を形成し、流れ媒体の流れ方向から見て各々の連続した2つのロータブレード間において流れ媒体Sのガイドに寄与している。コンプレッサステータブレード24は関連したステータブレードキャリア26に固定されており、それらは図示されていない方法によって外側コンプレッサケーシングに接続され、さらなるリングセグメントとともに流路22の外側境界を形成している。ステータブレードキャリア26は複数のセグメントから組み立て可能である。連続した一組のコンプレッサロータブレード18またはロータブレード列、およびコンプレッサステータブレード24のリングまたはステータブレード列も、この場合コンプレッサステージとして称される。
【0036】
図2は、燃焼チャンバ4およびタービンユニット6へ向かう流れ媒体Sの流れ方向28における、コンプレッサ2の出口領域または排出領域およびその後に続いた遷移領域の拡大図を示している。
【0037】
コンプレッサ20は複数のコンプレッサディスク30から組み立てられており、それらは1つの後に他のディスクが積重ねられるように配列され、1つのコンプレッサディスク30、流れ媒体Sの流れ方向28から見て特に後部または最後のコンプレッサディスク30のみが図2において見えている。個々のコンプレッサディスク30は、その外周の関連したロータブレード列のコンプレッサロータブレード18を坦持している。個々のコンプレッサディスク30の外周面は、その延在している領域において、同時に流路22の内側境界を形成している。中間領域において、コンプレッサステータブレード24が配列されており、一方で流路22の内側境界が環状ボディ34の外側32によって形成され、環状ボディは関連したステータブレード列のコンプレッサステータブレード24の先端36に接続されている。環状ギャップ38は個々の(空間的に固定された)環状ボディ34と、軸方向に隣接した(回転)コンプレッサディスク30と、の間に配置され、例えばラビリンスシール40を利用して、従来の方法によってシールされることが可能である。
【0038】
図2による改良の場合において、最後のロータブレード列の下流にある最後のコンプレッサステージは、直接的に連続した2つのステータブレード列(2列配列とも称される)を具備しており、それは共通の環状ボディ34に関連している。しかしながら、この場合においてはこの詳細は記載していない。
【0039】
燃焼チャンバ4に向かう方向において、流路22はコンプレッサ2内で圧縮された流れ媒体Sのために広くなっており、拡散器の形態となっている。流路22の内側境界は、シャフトカバー42と称される環状の外周面を利用してこの領域において形成されている。固定シャフトカバー42は回転タービンシャフト8を収容しており、コンプレッサシャフト20が延在しているために、タービンユニット6に向かって延在し、個々のシャフトセグメント44またはディスクから組み立てられ得る。シャフトカバー42は、ほとんど最後の(ダブル)ステータブレード列の環状ボディ34までコンプレッサ2に向かう軸方向に延在している。コンプレッサ2に向けられた端面において、シャフトカバー42は端面48を備えた環状フランジ46を有し、この端面48は軸方向環状ギャップ50によって環状ボディ34から離間されている。環状フランジ46は、この場合さらに径方向において、環状ギャップ52によって離間されている。環状ギャップ38に類似した環状ギャップ50には、コンプレッサ流出口の流路22からキャビティとしても言及される中空スペース54内への比較的高温の流れ媒体Sの移動を防止するために、適切なシール手段が設けられている。中空スペースは最後のコンプレッサディスク30、環状ボディ34、環状フランジ46およびタービンシャフト8の対応した領域によって画定され、または収容されている。
【0040】
これらのシール手段にもかかわらず、中空スペース54に隣接した部品、特に最後のコンプレッサディスク30はガスタービン1またはコンプレッサ2の作動中にかなりの熱負荷にさらされる。この負荷を減少するために、図2によればガスタービン1内に対策がとられており、これは冷却媒体K、この場合は冷却空気を中空スペース54内に導入するためである。冷却媒体Kは、この場合冷却媒体供給ライン56を介して、例えばシャフトカバー42内に統合された円筒輪郭の冷却媒体ダクト58内に誘導されている。そこから、冷却媒体は1つ以上の移送通路60を通じて環状フランジ46内に誘導され、中空スペース54内に流れ、最後のコンプレッサディスク30の所望の冷却は端面62の衝撃冷却の形式で実現する。使用された冷却媒体Kの排出は、例えば環状ギャップ38、50および52におけるギャップからの漏れを利用して実行されている。
【0041】
しかしながら、この冷却の概念の場合、冷却媒体供給ライン56を通じた経路の冷却媒体(空間的な理由のために、燃焼チャンバ4を過ぎて導入される)およびシャフトカバー42のケーシング内の冷却媒体ダクト58を通じた経路の冷却媒体(外側においてシャフトカバー42を過ぎて流れ且つコンプレッサ2によって比較的高温となった流れ媒体Sに対向して流れる)は、極度に高温となり、工程においてその冷却能力を部分的に失っていることが欠点となり得る。
【0042】
この問題を回避するために、代替的な冷却概念が図3によるガスタービン1の場合において提供されている。コンプレッサ2およびタービンユニット6の構成は基本的に図2のものと対応しており、この点において、差異点のみが詳細に記載されている。
【0043】
図3による変化形の場合、2つの後方コンプレッサディスク64および66の各々は2つのステータブレード列を坦持しているが、この場合そのことは極めて重要なことではない。ステータブレード列は、流れ媒体Sの流れ方向から見て、2つのロータブレード列の間且つ最後のロータブレード列の下流に配置されている。特に、ステータブレード列、特に以下により詳細に記載された冷却媒体供給ステータブレード列68は、最後の1つ前のコンプレッサディスク64と最後のコンプレッサディスク66との間の軸領域に配置されている。最後の1つ前のコンプレッサディスク64と最後のコンプレッサディスク66との間には環状中空スペース70が存在し、このスペースは最後の1つ前のコンプレッサディスク64の後端面72および最後のコンプレッサディスク66の前端面74によって画定されている。最後のコンプレッサディスク66の後端面75は、少なくとも部分的に、後方環状中空スペース78を画定している。中空スペース70および78は、径方向から見てほぼ同じ位置に配置されている。
【0044】
中空スペース70の冷却のために、冷却媒体Kの供給は冷却媒体供給ステータブレード列68の複数のコンプレッサステータ列24を介して実行されている。この目的のために、少なくとも1つの冷却媒体供給ダクト80が形成され、このダクトは第1セクション82内において対応したステータブレードキャリア26を通じて対応したコンプレッサステータブレード24へと誘導され、第1セクション84内においてブレード翼86の内部の径方向において実質的に連続している。コンプレッサステータブレード24の先端36において、冷却媒体供給ダクト80は、径方向に延在した端部セクション88内においても、環状ボディ90内において連続しており、環状ボディ90はコンプレッサブレード24に接続され且つ中空スペース70に面した環状ボディ90の内側92の排出口94内において終端となっている。すでに記載された図2による変化形と同様に、環状ボディ90は流路22に関連した中空スペース70をシールしており、環状ボディ90の外側96はその延在した領域内において流路22の内側境界を形成している。例えばラビリンスシールのような形式の適切なシャフトシールが、環状ボディ90と、隣接したコンプレッサディスク64および66と、の間に形成された環状ギャップ98内に配置されることが可能である。
【0045】
比較的短く且つ直接的な流入経路の結果として、中空スペース70に供給される冷却媒体Kはわずかにのみ加熱され、これによって比較的高い冷却能力を、特に最後の1つ前のコンプレッサディスク64の後端面72と最後のコンプレッサディスク66の前端面74とを冷却する場合に、向上させる。
【0046】
次いで、わずかに加熱された冷却媒体Kは、外周に分配される態様において好適に配列された1つ以上の冷却媒体移送経路100を介して中空スペース70から最後のコンプレッサディスク66の下流の後方中空スペース78へと誘導される。この目的のために、個々の冷却媒体移送経路100は軸方向ボアのスタイルで最後のコンプレッサディスク66内に誘導されている。個々の軸方向ボアは、最後のコンプレッサディスク66の前端面74内に配列された移送経路100の流入開口102を、後端面76内に配列された排出開口104に接続している。後方中空スペース78内に排出されるとき、冷却媒体Kは、後方中空スペース78に隣接した部品、特に最後のコンプレッサディスク66の後端面76を冷却するのに十分な程度に冷たい。
【0047】
特に有利な変化形において、周方向においてほぼ均一な、環状にデザインされた中空スペース70への冷却媒体の供給は、対応したステータブレード68の複数のコンプレッサステータブレード24を介して実行されており、例えば、周方向から見てこのステータブレード列68のコンプレッサステータブレード24毎に、他のコンプレッサステータブレードまたは3番目のコンプレッサステータブレード毎に、冷却媒体供給ダクト80の対応したセクションおよび冷却媒体Kのための対応した排出開口94が設けられることが可能である。したがって、これらのダクトセクションは冷却媒体側を並列に接続しており、且つ周方向に延在した冷却媒体分配チャンバ106を介して新しい冷却媒体Kが同時に供給されている。例えば、冷却媒体分配チャンバ106は図3において概略的にのみ示されており、ステータブレードキャリア26にまたはケーシング部品に隣接して配列されている。
【0048】
図3に示されたいくつかの詳細は実施例の目的のみの特性を備えている。ここで選択された図から逸脱して、例えば冷却媒体供給ダクト80の端部セクション88の向きおよび排出開口94の位置は変化することが可能である。また、冷却媒体の供給は、ステータブレード列68の上流に位置した関連したステータブレード列を介して、流れ媒体Sの方向から見て中空スペース70の上流に位置した中空スペース、例えば中空スペース108内に代替的もしくは追加的に実行されることが可能である。この変化形の場合、前側中空スペース108は冷却媒体Kの流入に晒されており、言い換えると、追加的な冷却媒体移送経路を介して間接的に接続されており(図3において図示略)、すなわち、さらに後方に位置した中空スペースを介して、もしくは後側中空スペース78に直接的に接続されている。
【0049】
さらに、図2による冷却概念と図3による冷却概念との2つを互いに結合することが考えられる。
【符号の説明】
【0050】
1 ・・・ガスタービン、 2 ・・・コンプレッサ、 4 ・・・燃焼チャンバ、 6 ・・・タービンユニット、 8 ・・・タービンシャフト、 9 ・・・中心軸、 10 ・・・バーナ、 12 ・・・ロータブレード、 14 ・・・ステータブレード、 18 ・・・コンプレッサロータブレード、 20 ・・・コンプレッサシャフト、 22 ・・・流路、 24 ・・・コンプレッサステータブレード、 30,64,66 ・・・コンプレッサディスク、 34,90 ・・・環状ボディ、 42 ・・・シャフトカバー、 46 ・・・環状フランジ、 50 ・・・軸方向環状ギャップ、 54 ・・・中空スペース、 56 ・・・冷却媒体供給ライン、 58 ・・・冷却媒体ダクト、 70 ・・・環状中空スペース、 78 ・・・後方環状中空スペース、 80 ・・・冷却媒体供給ダクト 86 ・・・ブレード翼、 100 ・・・冷却媒体移送経路、 102 ・・・流入開口、 104 ・・・排出開口、 106 ・・・冷却媒体分配チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れ媒体(S)を圧縮するための、特にガスタービン(1)のための軸流コンプレッサ(2)であって、該コンプレッサは、ステータブレード列を形成するために組み立てられ且つ各々がステータブレードキャリア(26)に固定された複数のコンプレッサステータブレード(24)と、ロータブレード列を形成するために組み立てられ且つ各々がコンプレッサシャフト(20)のコンプレッサディスク(64,66)に固定された複数のコンプレッサロータブレード(18)と、を備え、
各々2つの連続した前記コンプレッサディスク(64,66)はそれらの間に形成された中空スペース(70)を収容し、
最後の前記コンプレッサディスク(66)は、前記流れ媒体(S)の流れ方向から見て後方中空スペース(78)を画定した軸流コンプレッサにおいて、
少なくとも1つの冷却媒体供給ダクト(80)は前記ステータブレード(26)および前記ステータブレード(26)に固定された前記コンプレッサステータブレード(24)を通じて前記コンプレッサディスク(64,66)の間に形成された1つの前記中空スペース(70)において開口しており、前記冷却媒体供給ダクト(80)は前記流れ媒体(S)の流れ方向から見て最後の前記コンプレッサディスク(66)の上流に配置され、前記冷却媒体供給ダクトは前記コンプレッサステータブレード(24)の先端においてそこに配置された排出開口(94)を介して前記コンプレッサシャフト(20)と面しており、
前記中空スペース(70)は後続の前記コンプレッサディスク(66)を通じて誘導された少なくとも1つの冷却媒体移送経路(100)を介して前記後方中空スペース(78)に接続されていることを特徴とする軸流コンプレッサ(2)。
【請求項2】
最後の前記コンプレッサディスク(66)の上流に配置されたステータブレード列の複数の前記コンプレッサステータブレード(24)には、周方向から見て、対応した冷却媒体供給ダクト(80)が備わっていることを特徴とする請求項1に記載の軸流コンプレッサ(2)。
【請求項3】
環状冷却媒体分配チャンバ(106)が前記ステータブレードキャリア(26)または周囲を取り囲んだケーシング部品に形成されており、前記環状冷却媒体分配チャンバには前記コンプレッサステータブレード(24)内に配置された前記冷却媒体供給ダクト(80)のセクションが接続されていることを特徴とする請求項2に記載の軸流コンプレッサ(2)。
【請求項4】
冷却媒体を供給するために設けられた前記ステータブレード列(68)のコンプレッサステータブレード(24)は、その先端(36)において、一側において前記流れ媒体(S)のための流路(22)を画定し且つ他側において前記中空スペース(70)を前記流路(22)に関してシールした環状ボディ(90)に接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の軸流コンプレッサ(2)。
【請求項5】
個々の前記冷却媒体供給ダクト(80)は前記管状ボディを通じて誘導されていることを特徴とする請求項4に記載の軸流コンプレッサ(2)。
【請求項6】
個々の前記冷却媒体供給ダクト(80)は、前記後方中空スペース(78)に直接先行した前記中空スペース(70)において開口していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の軸流コンプレッサ(2)。
【請求項7】
前記後方中空スペース(78)は、一側において最後の前記コンプレッサディスク(66)の後端面(76)に対向して配置され、環状ロータカバーの端面によって画定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の軸流コンプレッサ(2)。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の軸流コンプレッサを備えたガスタービン(1)。
【請求項9】
軸流コンプレッサ(2)を作動するための方法であって、該軸流コンプレッサは各々がステータブレードキャリア(26)に固定された複数のコンプレッサステータブレード(24)と、ロータブレード列を形成するために組み立てられ且つ各々がコンプレッサシャフト(20)のコンプレッサディスク(64,66)に固定された複数のコンプレッサロータブレード(18)と、を備え、
各々2つの連続した前記コンプレッサディスク(64,66)はそれらの間に形成された中空スペース(70)を収容し、
最後の前記コンプレッサディスク(66)は、前記流れ媒体(S)の流れ方向から見て後方中空スペース(78)を画定した軸流コンプレッサを作動するための方法において、
冷却媒体(K)は、前記コンプレッサディスク(64,66)の間に配置された前記中空スペース(70)内に、少なくとも1つの冷却媒体供給ダクト(80)によって導入され、前記冷却媒体供給ダクトは前記ステータブレード(26)および前記ステータブレード(26)に固定された前記コンプレッサステータブレード(24)を通じて誘導され、且つ前記流れ媒体(S)の流れ方向から見て最後の前記コンプレッサディスク(66)の上流に配置され、前記冷却媒体供給ダクトから、前記冷却媒体(K)は、後続の前記コンプレッサディスク(66)を通じて誘導された少なくとも1つの冷却媒体移送経路(100)を介して前記後方中空スペース(78)に導入されることを特徴とする軸流コンプレッサ(2)を作動するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−97748(P2012−97748A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−241009(P2011−241009)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(508008865)シーメンス アクティエンゲゼルシャフト (99)
【Fターム(参考)】