較正基板および較正方法
本発明は、基板の透過率を確実に検出するシステムおよび方法に関する。構成基板の透過率を検出することによって、例えば温度測定装置を較正することができる。本方法および本システムは、半導体ウェハが集積回路チップへと加工される熱処理チャンバにおける使用に殊に適している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、較正基板、ディスク状の基板を熱処理するための装置、ならびに、較正基板を使用するその種の装置における温度測定装置の較正装置に関する。さらに本発明は、基板に関する複数の透過率・温度測定値を求める方法ならびに較正基板を使用して温度測定装置を較正するための方法に関する。
【0002】
半導体の製造において、半導体ウェハのような基板を熱処理するための急速加熱装置、いわゆるRTPシステムが公知である。その種の装置の例はUS-Patenten US 5,359,693およびUS 5,580,830に記載されている。急速加熱装置は基板、殊にウェハの熱処理に使用される。この種の基板はシリコンから構成されていることが多いが、他の半導体材料、例えばゲルマニウム、SiGe,SiCまたは化合物半導体、例えばGaAsまたはInPから構成することもできる。急速加熱装置においては、所定の処理結果、例えばウェハのドーピングまたはウェハのコーティングを達成するために、ウェハが種々の処理雰囲気で熱処理に曝される。
【0003】
この種の処理中は、半導体ウェハの温度が如何なる時点においても可能な限り正確にその都度設定されている温度に対応していることが非常に重要である。所定の温度・時間経過の遵守を保証するために、温度はウェハ全体にわたり可能な限り均一であり、また如何なる時点においても可能な限り正確に検出できることが望ましい。さらには、温度測定がウェハの熱処理自体を妨害しないことが重要である。したがって多くの場合は、パイロメータ測定システムのような非接触式の温度測定システムが問題になる。
【0004】
パイロメータ温度測定システムは、例えば基板の熱放射を介して基板の温度を非接触式に測定するという利点を提供する。このために、パイロメータ温度測定システムには大抵の場合狭帯域フィルタが設けられ、狭い限定された波長領域のビームのみが検出される。しかしながらパイロメータによって検出されたビームから基板の温度を推定するためには、パイロメータを熱的に較正することが必要である。この較正の際に、内部に基板が配置されているチャンバの特性が非常に重要になる。パイロメータは通常の場合、基板に配向されている固有放射だけでなく、基板の周囲からの直接的および間接的な(反射および多重反射された)ビーム成分、例えばチャンバによって反射されたビーム成分も検出する。さらにパイロメータは、基板を加熱するエレメント(ランプ、レーザ、抵抗加熱エレメントなど)から放射されるビームならびに隣接する対象物のビーム成分による放射および反射を検出する。測定される基板からの熱放射が通過する水晶のような透明な材料の吸収特性もパイロメータの測定に影響を及ぼす。さらに透明および/または半透明の材料、殊に温度に依存する伝達特性を有する基板、例えばシリコンウェハにおいては、基板の裏側に位置する基板の周囲から基板を通過して伝達されるビーム成分も測定される。温度に依存する基板の透過率測定の正確な知識が無くては、パイロメータを用いて検出されたビーム成分をそのビーム成分のビーム源に十分正確に対応付けられないことが多い。
【0005】
パイロメータ温度測定システムの較正は、大抵の場合、ウェハ上に取り付けられており、その温度・電圧経過が既知である1つまたは複数のサーモエレメントを介してウェハ固有、またチャンバ固有に行われる。例えばハロゲンランプ、アークランプ、レーザまたは抵抗加熱エレメントを用いて基板を加熱し、それと同時に、1つまたは複数のサーモエレメントに印加されている電圧を取り出し、またパイロメータ信号を測定することによって、特定のパイロメータ信号に特定の温度を対応付けているルックアップテーブルを形成することができる。
【0006】
この方式の較正は時間が掛かり、さらには回転しないシステムにしか有効でない。この方式は、良好に基板と熱的に接触していなければならない複数のサーモエレメントを基板に実装し、その種の基板をチャンバ内に設置することを必要とする。さらには、低温時のパイロメータによるシリコンウェハのような対象の温度測定は、測定されるバックグラウンドビームに比べて基板の熱放射が非常に少ないことに基づき非常に不正確になる。シリコンウェハは低温時に一般的な測定波長の領域においては、例えば光学的にほぼ透明でよい。
【0007】
熱的に処理すべき基板の温度を検出する代替的な手段は基板の透過率の直接的な測定である。この手段は、その透過率が所定の波長の光ビームに対して特定の温度依存性を有している基板において実現される。その種の透過率測定は適切な測定波長および所定の角度で行われることが望ましい。ディスク状の基板の透過率を測定するために、例えば、光ビームを放射するビーム源と光ビームの強度を測定する検出器との間のビーム路内に基板を設置することができる。基板に入射するビームの強度I0が既知である場合には、基板の裏側において測定される強度(透過ビーム)ITとの比率から基板の透過係数を求めることができる。透過ビームの測定された強度の温度に対する較正は適切な波長において、例えばサーモエレメントによって、または既に熱的に較正されたパイロメータによって行うことができる。熱的に較正されたパイロメータを用いる温度較正の利点は、基板が回転する場合であっても処理チャンバ内の基板の透過率を容易に検出できることである。
【0008】
透過率測定のための光源としては、特定のスペクトル線を出力結合するレーザ、ガス放電ランプまたはアークランプが殊に適しているが、狭帯域フィルタが設けられているハロゲンランプも適している。測定された透過信号はチャンバ特性にもビーム源の強度にも依存している。
【0009】
ビーム源の強度I0は測定前に一度だけ検出され、その後は測定周期全体にわたり一定と見なされるので、熱処理中のウェハ温度に依存するウェハにおける透過率測定の再現性は低い。このことは、強度I0が一定である必要が無く、熱処理中に大抵は変化することに起因する。そのような変化は透過率測定のためにレーザ光源が使用される場合に生じる。何故ならば、レーザ光源の出力強度が時間的に一定でないからである。しかしながら、透過率測定のために光源の光が通過する材料の透過特性の変化も、最終的にウェハに入射するビームI0を変化させる。これに関する例は、光を基板へと誘導する光導体のような手段の移動、または、例えば熱応力に際し歪む可能性があるか、時間の経過においてその反射特性が変化するチャンバの変化、または、例えば基板表面の変化(コーティングなど)によって生じる可能性がある基板の反射率の変化、または、透過ビームを基板へと誘導する水晶製品の温度変化(例えば屈折率の変化および吸収)である。
【0010】
温度と共に変化する半導体の特性を半導体の温度の検出のために使用する原理が公知である。Christensen等(US 4,136,566)は1977年に既に、半導体材料から成る集積基板を備えた温度センサについて記述しており、この温度センサでは半導体材料を通過する単色光の光学的な透過率を測定することによって温度を検出している。この方法においては、単色光(レーザまたはレーザダイオードによって放射することができる)が、第1の光導波体に固定されており半導体材料から成るプリズム基板を通過して誘導される。半導体プリズムにおける別の箇所に固定されている第2の光導波体は、半導体を再度放れた光を検出器、例え受信器ディスプレイにさらに誘導する。光源と第1の導波体との間に配置されているビーム分割器(ビームスプリッタ)は光源の光の一部を出力結合して、ビーム源の出力強度を検出するための基準検出器へと転送する。つまり、例えば光源の強度の変動を補償することができる。
【0011】
シリコンウェハによる赤外線ビームの光学的な吸収の温度依存性およびその物理的な原因は、例えばSturm等(IEEE Transactions on Electron Devices, Vol. 39, No. 1, January 1992 p 81 ff)によって記述されている。
【0012】
Amith等(US 4,890933)は、材料のバンドギャップエネルギに近いエネルギを有するビームの透過率を測定することにより、温度の関数として変化するバンドギャップエネルギを有する薄いGaAsからなる材料部分を非接触式に温度測定するための装置について記述している。この方法は、温度の関数として吸光係数が単調に変化すること、また温度の上昇に伴い半導体のバンドギャップが狭くなることを基礎としている。透過信号が測定され、その強度に基づき材料の温度が検出される。熱処理チャンバ内に存在する基板の透過率を測定するために適切な光源から放射されたビームは、チャンバに入射する前にチョッパによってパルス制御され、ミラーを介してビームスプリッタへと配向される。ビームスプリッタは一次ビームの一部を出力結合し、光源の強度を検出するために基準検出器へとさらに誘導する。ビームの別の部分は熱処理チャンバを通り、この熱処理チャンバ内に設けられている測定すべき基板へと誘導される。基板を通過するビームは熱処理チャンバを再び放れ、チャンバ外の第2の検出器によって測定される。ロックイン増幅器を介して2つの信号が相互に比較され、基板の透過率が求められる。この測定方式の欠点は、基準ビームがチャンバの外側に延びることである。基板周囲の変化に起因する透過率の変化は検出されないか、基板の吸収の変化として解釈される。
【0013】
TimansはUS 2003/0236642において、熱処理チャンバ内のパイロメータのような温度測定手段を較正するための装置および方法を開示している。熱処理チャンバ内に配置されている基板に光を放射する光源が較正に使用される。基板は例えば、反射防止コーティングが施されている別個に処理されたシリコンウェハであり、このシリコンウェハは、異なる種類の材料によって覆われている複数の開口部を有する、および/または、出発材料が比較的薄い複数の箇所を有する。検出器は基板を透過した光を検出する。検出された光は全体のシステムによって使用される温度測定装置の較正のために使用される。この装置および方法の欠点は、例えば基板周囲の変化に起因する透過率の変化を検出する基準ビームが存在しないことである。したがってここでもまた、チャンバ特性の変化を基板の吸収の変化と区別することができず、相応に対応付けられることができない可能性がある。
【0014】
したがって本発明の課題は、基板の透過率を簡単且つ確実に検出することができる較正基板を提供することである。別の課題は、その種の較正基板のための複数の透過率・温度測定値を求めるための簡単且つ確実な方法、ならびに較正基板を使用する温度測定装置の較正方法を提供することである。さらに別の課題は、本発明による方法を実施することができる、ディスク状の基板を熱処理するための装置を提供することである。
【0015】
この課題を解決するために、温度測定装置を較正するためのディスク状の基板が半導体ウェハを熱処理するための装置内に設けられており、この基板は少なくとも部分的に、温度に依存して透過特性が変化する第1の材料から成る。少なくとも1つの貫通開口部が第1の材料内に設けられており、この貫通開口部は少なくとも1つの部分領域において、基板を通過する光ビームのための自由通路を形成する。その種の基板により、基板を通過する光ビームを対向する検出器に配向させることができ、光ビームは基板が1回転する際に一定期間だけ自由に同一のビーム路において貫通開口部を通過することができる。これによって、同一のビーム路を辿った透過したビームと自由に通過したビームとを比較し、基板の透過率値を求めることができる。そのようにして求められた透過率値にその都度検出された温度が対応付けられる場合(この対応付けは、例えば温度測定と同時に、またはほぼ同時に行うことができる)、その種の較正基板は種々の熱処理チャンバの熱的な検出器を較正するために使用することができる。その種の基板が使用される場合、種々の熱処理チャンバの較正に関して、温度を検出するための熱電対または基板の光ビームを検出するためのパイロメータを省略することができる。種々の温度領域に関して、種々の較正基板を使用することができる。
【0016】
少なくとも1つの貫通開口部は基板において有利には基板の中心点から間隔r1を空けて配置されており、また完全に第1の材料によって包囲ないし縁取られている。殊に、少なくとも1つの貫通開口部は弓形状であり、基板の中心点から間隔r1を有している円周上に位置する。
【0017】
本発明の実施形態においては、第1の材料は第1の半導体ウェハ、殊に良好な既知の温度依存性透過率を示すシリコンウェハである。有利には、今日において通常使用されている急速加熱装置内に配置されている基板保持装置に収容できるようにするために、半導体ウェハは少なくとも200mmの直径を有している。有利には、較正基板は処理すべき基板の寸法に対応する寸法を有する。1つの実施形態において、第1の半導体ウェハは少なくとも5×1E17cm-3、最大で1E16cm-3の異種材料でドーピングされたシリコンウェハである。
【0018】
較正基板の種々の温度依存性透過特性を考慮するために少なくとも1つの第2の材料が使用される。第2の材料は有利には基板の中心点から間隔r1を空けて配置されている。殊に、第1の材料における少なくとも1つの貫通開口部を1つの部分領域において少なくとも1つの第2の材料によって覆うことができる。第2の材料は第1の材料とは完全に異なる材料、または、例えば第1の材料と同一の材料から成るものでよいが、第1の材料とは異なる透過特性を示すために、例えば(半導体基板において)コーティング部または異なるドーピング部を有することができる。有利には、少なくとも1つの第2の材料が第1の材料とは異なる温度依存性透過特性を有する。これによって、例えば1つの基板を用いて種々の温度領域に関して複数の温度依存性透過特性を求めることができる。殊に、第2の材料は光ビームに対し、第1の材料と同じ温度では透過性である。例えば、少なくとも1つの第2の材料は、グラファイト、Si、Ge、SiGe、GaAs、SiC、InPおよびInSbの化合物群から成る材料を有する。第2の材料は、有利には第1の半導体ウェハと同じ直径を有する第2の半導体ウェハでよい。本発明の1つの実施形態においては、第2の半導体ウェハは少なくとも5×1E17cm-3、最大で1E16cm-3の異種材料でドーピングされたシリコンウェハであり、有利には少なくとも1つの第2の材料は、最大で250μmの厚さを有する単結晶半導体材料から成る。
【0019】
本発明の別の実施形態においては、少なくとも1つの第2の貫通開口部が第1の材料内に設けられており、この第2の貫通開口部は少なくとも部分領域において基板を通過する光ビームのための自由通路を形成し、基板の中心点から間隔r2を有するように配置されている。種々の送信器・受信器ペア(光源・検出器)を用いて透過率測定を実現するために、有利にはr1≠r2である。
【0020】
本発明が基礎とする課題は、基板が加熱および/または冷却される間に光ビームが配向される、上述のタイプの基板に関する複数の透過率・温度測定値を求めるための方法によっても解決される。光ビームの強度は基板の対向する側において測定され、基板は光ビームが毎回転時に少なくとも1つの貫通開口部を自由に通過するように回転軸について回転される。光ビームが少なくとも1つの貫通開口部を自由に通過したときに測定された光ビームの強度と、光ビームが第1の材料を通過したときに測定された光ビームの強度との比較から基板に関する複数の第1の透過率値が求められ、比較はその都度、所定の期間内に得られる測定値に関して行われる。さらに基板の温度が所定の期間内に求められ、続いて、所定の期間内に求められた第1の透過率値とそれぞれの期間内に測定された温度との関係が求められる。したがって上述の方法では、較正基板の光学的な温度依存性透過特性の較正が行われ、続けてこの較正基板を熱処理ユニットにおける温度測定ユニットの較正に使用することができる。
【0021】
光ビームは有利には、影響を受けない自由な通過を実現するために、少なくとも1つの貫通開口部の最小直径よりも小さく束ねられた光ビームである。さらに、光ビームは有利には固有の偏光を有する。殊に、光ビームは例えば1310nmおよび/または1550nmの特定の波長を有するレーザ光ビームである。
【0022】
本発明の1つの実施形態においては、通常は光ビームと共に測定されるバックグラウンドビームを区別できるようにするために、光ビームが所定の周波数でパルス制御される。光ビームのパルス周波数は例えば100Hz〜10000Hzであり、基板の回転数よりも実質的に高い。有利には、光ビームのパルス周波数が基板の回転数よりも少なくとも係数10だけ高い。例えば基板は毎分20〜500回転で回転される。
【0023】
本発明の1つの実施形態においては、光ビームの強度に関係する、透過率値測定のために使用される測定信号が光ビームに直接的に由来しない成分について補正される。このことは、少なくとも光ビームも測定される測定信号から、光ビームが測定されない少なくとも1つの測定信号の成分が減算されることによって達成される。
【0024】
有利には、基板に配向されているビーム測定ユニット、殊にパイロメータを介して基板の温度が非接触式に求められる。例えば、基板の温度を求める際に、基板表面上において貫通開口部が位置する環状領域において測定が行われる。有利には基板の温度を求めるために、貫通開口部の領域に由来する測定値は考慮されない。
【0025】
基板全体にわたり基板の温度を可能な限り均一にするために、基板の加熱および/または冷却が有利には10℃/sよりも低い加熱率ないし冷却率で実施される。測定が行われるその都度の期間における温度変動を回避するために、所定の期間は1つの実施形態において2秒よりも短い期間である。
【0026】
例えば、種々の温度領域に関して複数の透過率・温度測定値を得るために、さらに本発明の1つの実施形態においては、光ビームが少なくとも1つの貫通開口部を自由に通過したときに測定された光ビームの強度と、光ビームが第2の材料を通過したときに測定された光ビームの強度との比較から基板に関する複数の第2の透過率値が求められ、比較はその都度、所定の第2の期間内に得られる測定値に関して行われる。また、基板の温度が所定の第2の期間内に求められ、所定の第2の期間内に求められた第2の透過率値とそれぞれの第2の期間内に測定された温度との関係が求められる。
【0027】
本発明が基礎とする課題は、例えば上述の方法によって求めることができる複数の透過率・温度測定値が既知である、上述のタイプの基板を用いる温度測定装置の較正方法によっても解決される。この方法においては、基板が加熱および/または冷却される間に、光ビームが基板へと配向される。光ビームの強度は基板の対向する側において測定され、その一方で基板は光ビームが毎回転時に少なくとも1つの貫通開口部を自由に少なくとも一度は通過するように回転軸について回転される。光ビームが少なくとも1つの貫通開口部を自由に通過したときに測定された光ビームの強度と、光ビームが第1の材料を通過したときに測定された光ビームの強度との比較から基板に関する複数の第1の透過率値が求められ、比較はその都度、所定の期間内に得られる測定値に関して行われる。所定の期間内に、基板の温度と関係する少なくとも1つのパラメータも測定される。求められた第1の透過率値にはその都度、基板に関する既知の複数の透過率・温度測定値に基づき、1つの温度値が対応付けられる。最後に、所定の期間内に求められた第1の透過率値に対応付けられた温度値と、それぞれの期間内に測定され、基板の温度に関係する少なくとも1つのパラメータとの関係が記録される。(上述の較正基板を用いる)上述の方法によって、温度測定装置の較正を簡単且つ確実に実施することができる。
【0028】
光ビームは有利には、影響を受けない自由な通過を実現するために、少なくとも1つの貫通開口部の最小直径よりも小さく束ねられた光ビームである。さらに、光ビームは有利には固有の偏光を有する。殊に、光ビームは例えば1310nmおよび/または1550nmの特定の波長を有するレーザ光ビームである。
【0029】
本発明の1つの実施形態においては、通常は光ビームと共に測定されるバックグラウンドビームを区別できるようにするために、光ビームが所定の周波数でパルス制御される。光ビームのパルス周波数は例えば100Hz〜10000Hzであり、基板の回転数よりも実質的に高い。有利には、光ビームのパルス周波数が基板の回転数よりも少なくとも係数10だけ高い。例えば基板は毎分20〜500回転で回転される。
【0030】
本発明の1つの実施形態においては、光ビームの強度に関係する、透過率値測定のために使用される測定信号が光ビームに直接的に由来しない成分について補正される。このことは、少なくとも光ビームも測定される測定信号から、光ビームが測定されない少なくとも1つの測定信号の成分が減算されることによって達成される。
【0031】
有利には、基板の温度に関係するパラメータは、基板に配向されているビーム測定ユニット、殊にパイロメータを介して非接触式に測定される。例えば、基板の温度に関係する少なくとも1つのパラメータを測定する際に、基板表面上において貫通開口部が位置する環状領域において測定が行われる。有利には基板の温度に関係する少なくとも1つのパラメータを測定する際に、貫通開口部の領域に由来する測定値は考慮されない。
【0032】
基板全体にわたり基板の温度を可能な限り均一にするために、基板の加熱および/または冷却が有利には10℃/sよりも低い加熱率ないし冷却率で実施される。測定が行われるその都度の期間における温度変動を回避するために、所定の期間は1つの実施形態において2秒よりも短い期間である。
【0033】
例えば、種々の温度領域において較正を行うために、さらに本発明の1つの実施形態においては、光ビームが少なくとも1つの貫通開口部を自由に通過したときに測定された光ビームの強度と、光ビームが第2の材料を通過したときに測定された光ビームの強度との比較から基板に関する複数の第2の透過率値が求められ、比較はその都度、所定の第2の期間内に得られる測定値に関して行われる。また、基板の温度に関係する少なくとも1つのパラメータが所定の第2の期間内に求められ、基板に関する複数の既知の透過率・温度測定値に基づき、求められた第2の透過率値に1つの温度値が対応付けられる。最後に、所定の第2の期間内に求められた第2の透過率値に対応付けられた温度値と、それぞれの第2の期間内に測定され、基板の温度に関係する少なくとも1つのパラメータとの関係が記録される。
【0034】
本発明によれば、基板、殊に半導体ウェハを熱処理するための装置も提供される。本発明による装置は、熱処理チャンバと、基板収容領域を規定する処理チャンバ内に基板を保持するための基板保持装置と、基板保持装置を回転させるための回転機構と、加熱ビームを処理チャンバ内に放射するための少なくとも1つのビーム源と、基板が処理チャンバ内に収容されている場合に基板から到来するビームを検出する、基板収容領域に配向されている少なくとも1つの第1の検出器とを有する。装置はさらに少なくとも1つの第2の検出器と、処理チャンバおよび基板収容領域を通過して第2の検出器の方向に配向されている少なくとも1つの第2のビーム源と、第2のビーム源に直接的に由来するビームおよび第2の検出器において検出されたビームと第2の検出器において検出されたその他のビームとを区別するための手段とを有する。その種の装置は例えば本発明による方法の実施に適しており、したがって本方法に関する利点を提供する。
【0035】
本発明の実施形態においては、第2のビーム源と基板収容面との間のビーム路を機械的に開閉するための少なくとも1つの装置が設けられている。択一的、および/または、付加的に、熱処理中に第2のビーム源をパルス駆動させるための制御装置も設けることができる。
【0036】
第2の検出器に入射するビームのうち第2のビーム源に由来しない成分を低減するために、第2の検出器と第2のビーム源に配向されている処理チャンバとの間に長く延びるビーム管を設けることができる。実質的に直線的に延びる光のみを通過できるようにするために、ビーム管の内側面を構造化することができる、および/または、光吸収性の高い材料から構成することができる。上述のタイプの種々の装置において均一な透過率測定結果を保証するために、第2のビーム源から基板に入射する光ビームは固有の偏光を有する。有利には、第2のビーム源は固有の波長を有する光を放射し、これによりバックグラウンドビームの区別が容易になる。1つの実施形態において第2のビーム源はレーザ、例えばダイオードレーザであり、例えば1310nmおよび/または1550nmの波長を有する光を放射する。第2の検出器に入射するバックグラウンドビームを低減するために、第2の検出器と処理チャンバとの間に、第2のビーム源の固有の波長以外の波長を有する光を少なくとも部分的にフィルタリング除去するフィルタを配置することができる。
【0037】
1つの実施形態において、第1の検出器および第2のビーム源は回転機構の回転軸から間隔r1を空けて基板収容領域に配向されている。有利には、熱処理チャンバが半導体ウェハを熱処理するための急速加熱システムの処理チャンバである。加熱ビームを処理チャンバ内に放射するための複数のビーム源を設けることができ、この場合には回転機構の上方と下方それぞれにビーム源が少なくとも1つ設けられている。加熱ビームを処理チャンバ内に放射するための少なくとも1つのビーム源は少なくとも1つのハロゲンランプおよび/または少なくとも1つのアークランプを有することができる。有利には、第1の検出器および/または第2の検出器は、基板に配向されているビーム測定ユニット、殊にパイロメータを有する。
【0038】
本発明によれば、基板を熱処理するための上述のタイプの装置において温度測定装置を較正するための装置も設けられており、この装置においては上述のタイプの基板が、基板保持装置の回転時に基板の貫通開口部が第2のビーム源と第2の検出器との間のビーム路内に収まるように基板保持装置上に収容されている。
【0039】
以下では、図面を参照しながら有利な実施例に基づき本発明を詳細に説明する。しかしながら当業者であれば、特許請求の範囲において規定されている本発明の着想から逸脱することなく、実施例ならびに実施例の組み合わせの種々の実施形態および変形形態が可能であることが分かる。
【0040】
殊に本発明による装置を、他の使用分野または他の方法との関係においても、本明細書に記載されたものとして有利に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による熱的な急速加熱システムにおいてディスク状の基板の透過率を測定するための装置の断面図を示す。
【図2a】本発明によるディスク状の較正基板の平面図を示す。
【図2b】本発明によるディスク状の較正基板の平面図を示す。
【図2c】本発明によるディスク状の較正基板の平面図を示す。
【図2d】本発明によるディスク状の較正基板の平面図を示す。
【図3a】旋回半径に沿った本発明によるディスク状の較正基板の断面図を示す。
【図3b】旋回半径に沿った本発明によるディスク状の較正基板の断面図を示す。
【図3c】旋回半径に沿った本発明によるディスク状の較正基板の断面図を示す。
【図3d】旋回半径に沿った本発明によるディスク状の較正基板の断面図を示す。
【図3e】旋回半径に沿った本発明によるディスク状の較正基板の断面図を示す。
【図3f】旋回半径に沿った本発明によるディスク状の較正基板の断面図を示す。
【図3g】旋回半径に沿った本発明によるディスク状の較正基板の断面図を示す。
【図3h】旋回半径に沿った本発明によるディスク状の較正基板の断面図を示す。
【図4a】本発明による較正プロセスの温度・時間経過を示す。
【図4b】回転する較正基板における、本発明による較正基板に配向されているビーム測定器の生測定信号と時間の関係を示す。
【図4c】生測定信号から熱的なバックグラウンドビームが減算された後の図4bによる補正された測定信号を示す。
【図5a】基板が約4回転する間の図4cの透過率測定信号の一部を示す。
【図5b】較正基板の貫通開口部がビーム測定器の視野へと延びている間の時間の関数としての図4による測定信号の相対的な信号強度を示す。
【図6】それぞれの基板の温度に依存する2つの異なる基板の測定された透過率を示す。
【0042】
図1は、熱的な急速加熱システム1の概略的な断面図を示す。急速加熱システム1はディスク状の基板、例えば半導体ウェハを熱処理するために設けられている。この急速加熱システム1はフレーム状のメインボディ3を有し、このメインボディ3の上端および下端は急速加熱チャンバ7を形成するためのプレートエレメント5,6によって覆われている。急速加熱チャンバ7の内部には上側のプレートエレメント14および下側のプレートエレメント15が設けられており、これらのプレートエレメント14,15は急速加熱チャンバ7を上部ランプチャンバ17、下部ランプチャンバ18およびプレートエレメント14,15間に位置する処理チャンバ19に分割する。プレートエレメント14,15は光学的に透明な材料、例えば水晶またはサファイアから構成されている。
【0043】
上部ランプチャンバ17の領域には、多数の加熱エレメント22、例えばハロゲンランプまたはアークランプが設けられている。使用分野に応じて、加熱ランプ22を全て同一のタイプのものにすることができるが、異なるタイプの加熱ランプ22を設けることもできる。
【0044】
下部ランプチャンバ18の領域にも同様に多数の加熱ランプ23が設けられている。これらの加熱ランプ23を加熱ランプ22と同一のタイプにすることができるが、異なるタイプであってもよい。
【0045】
フレーム状のメインボディ3には、処理チャンバ19を帯電または放電させるための、ドア25によって閉鎖可能な入口/出口開口部26が設けられている。図1には処理チャンバ内に収容されている基板30が示されている。基板30は較正基板であり、また少なくとも1つの材料非含領域32を有する。領域32を包囲している基板の材料は、基板の温度と一緒に変化する透過率値を有する材料から成る。以下では基板30の構造を詳細に説明する。熱処理のために処理チャンバ19内に収容されている基板は通常の場合、材料非含領域32を有していないが、温度に依存する透過特性を有していることが多い。
【0046】
基板30は基板保持装置によって処理チャンバ19内に保持される。基板保持装置は基板保持ピン35を有する。基板保持ピン35は多点式基板支持部を規定し、この多点式支持部は処理チャンバ19内に配置されている回転装置38と少なくとも部分的に固く接続されている。しかしながら、図示されている基板保持ピン35の代わりに、基板保持装置は回転装置と接続されている別の保持部材を有することもできる。収容されている基板30は、材料非含領域32が有利には基板の中心点を通るように延びている回転軸40に対して間隔r1を空けているように保持されている。したがって材料非含領域32は、以下では測定円39と称する円の円周上で回転可能である。基板30はこの基板の中心点を軸にして回転するので、基板が回転すると材料非含領域32は常に同じ間隔で基板軸の周りを回転する。
【0047】
急速加熱チャンバ7の外側にはビーム源41が設けられており、このビーム源41から放射された光ビーム46がプレートエレメント5における開口部を通って急速加熱チャンバ7へと入射するように配置されている。光ビーム46は有利には特定の波長を有する束ねられた光ビームであり、急速加熱チャンバ7を通り、プレートエレメント5における開口部に対向しているプレートエレメント6における第1の開口部へと配向されている。光ビーム46は基板保持ピン35によって規定されている基板収容面と実質的に直角に交わる。プレートエレメント6における第1の開口部の急速加熱チャンバ7側とは反対側に検出器51が配置されており、したがってこの検出器51も急速加熱チャンバ7の外側に設けられている。プレートエレメント6における第1の開口部は短い簡単な貫通開口部として示されているが、この第1の開口部を長く延びる管として構成することもでき、その内側面は構造化されている、および/または、光吸収性材料から構成されているので、直線的に管を通過する光しか実質的に第1の検出器51に入射しない。
【0048】
同様に急速加熱チャンバ7の外側に配置されている別の検出器52はプレートエレメント6における第2の開口部を介して基板30に配向されている。プレートエレメントにおける第2の開口部も上述のように長く延びる管として構成することができる。第2の検出器は基板収容面の領域に視野を有し、この視野を以下では測定地57と称する。図1によれば、前述の測定円39は測定地57と交差するが、これは必ずしも必要ではない。
【0049】
ビーム源41を詳細には図示していない制御装置によってパルス制御して駆動させることができる。すなわち、ビーム源41は所定のパルス周波数で交番的にオンオフされる。ビーム源41は例えばレーザまたはレーザダイオードであり、例えば1310nmおよび/または1550nmの特定の波長で光を放射する。これに補完的に、検出器51と急速加熱チャンバ7との間にフィルタを設けることができ、このフィルタは実質的にビーム源41の特定の波長を有するビームのみを通過させることができる。しかしながらビーム源41はハロゲンランプまたはアークランプでもよく、その光ビームを同様に、例えばビーム路を通って移動するチョッパとも称される機械的なエレメントを用いてパルス制御することができる。択一的に、光ビームを強度またはその他の点に関して変調させ、例えば急速加熱チャンバ7内に存在し、また場合によっては検出器51に入射する他のビームと区別することができる。
【0050】
有利には、検出器51および別の検出器52が入射した光ビームの強度を測定するビーム測定器、例えばパイロメータをそれぞれ有する。急速加熱装置1がいわゆる基準チャンバであるか、急速加熱装置1を較正基板の使用により熱的に較正できる場合、別の検出器52は有利には熱的に較正されている。以下ではこれを詳細に説明する。別の検出器は測定地57内の基板30の放射ビームを検出するために設けられている。これによって、基板が回転している場合には測定円39上に位置する環状領域の放射ビームが検出される。
【0051】
以下では、基板温度の関数としての基板30の複数の透過率値を求める際の上述の装置の動作を説明するが、ここでは急速加熱装置1は別の検出器52が熱的に較正されている基準装置であることを前提とする。先ず、基板30が開口部26を通り処理チャンバ19内に運ばれ、基板保持ピン35に載置される。開口部26はドア25によって閉鎖される。基板30は回転装置38によって回転され、また加熱エレメント22,23によって緩慢に加熱される。加熱プロセスは10℃毎秒、有利には3℃毎秒の加熱率で有利には数分にわたり行われる。択一的に、基板の温度経過がプラトーを有するように加熱することも可能である。すなわち、温度は漸次的に高められ、所定の期間にわたり一定の温度に維持される。加熱中は基板30が回転される。以下において説明する温度測定の際に基板は常に熱的な均衡状態にあることを保証するために、基板30は例えば毎分20〜500回転で回転される。
【0052】
基板に関する第1の透過率値を検出するために、加熱プロセス中の時点t1においては、ビーム源41から放射され、回転する基板30を横断して通過したビーム46が検出器51によって測定される。これにより第1の測定値が得られ、この第1の測定値は、基板30の材料非含領域32を通過して入射した第1の光ビーム46として検出器51により測定された第2の測定値と比較される。これら2つの測定値の比率から第1の透過率値を求めることができ、この第1の透過率値は記憶される。第1の透過率値を求めるために使用される第1の検出器の測定値は有利には、光ビーム46に直接的には由来しない成分について補正されている。このことは光ビーム46がパルス制御される場合に、例えば、少なくとも光ビーム46も測定される(光ビームが入射している)測定値から、光ビーム46が測定されない(光ビームが入射していない)検出器51の少なくとも1つの別の測定値を減算することによって達成することができる。
【0053】
時点t1と同時に、またはほぼ同時に、基板30から放射された熱ビームが、既に熱的に較正されている別の検出器52によって測定される。この熱測定値から基板の温度T1が求められ(検出器52は熱的に較正されている)、同様に記憶される。熱測定値から求められた温度が絶対温度と正確に一致していることは必ずしも必要ではない。むしろ、他の急速加熱チャンバにおける他の検出器を後に較正する際に使用される基準温度が定められる。基準チャンバにおいて試験が成功している熱プロセスをそのような他のチャンバに転用することができる。何故ならば、検出器はそれぞれ基準検出器について適合されており、したがって熱プロセスの同一の温度管理を保証するからである。
【0054】
求められた透過率値を温度T1に関係付けることができる。上述の測定は多数の時点において繰り返され、基板の種々の温度での複数の透過率値が得られる。これらの値または透過率値と温度の値組は、そのようにして測定された基板に関するテーブルに記憶される。もちろん、表の形態の離散的な個々の値の代わりに、基板の温度に依存するそれぞれの透過率値曲線を上述の値から抽出することも可能である。それぞれの測定を基板の加熱フェーズ中にも冷却フェーズ中にも行うことができる。基板30は上述のようにして、この基板30の温度依存性透過特性に関していわば較正されている。
【0055】
その種の基板を上述のタイプの任意の急速加熱装置において、その急速加熱装置に設けられている第2の検出器を熱的に較正するために使用することができる。そこでは実質的に上記と同様の処理が行われるが、それぞれ求められた透過率値にはテーブル(または曲線)に従い1つの温度値が対応付けられる。この温度値は別の検出器52を較正するために、この別の検出器52の測定値に対応付けられる。上述のように、テーブルから求められた温度値が絶対温度に正確に対応していることは必ずしも必要ではない(もっとも近似している場合は有利である)。むしろ別の検出器52は、較正サイクルにおいて使用された別の検出器52と同様に調整される。これによって、種々の急速加熱装置間での熱管理に関する差異を防止できる、もしくは少なくとも低減することができる。
【0056】
基板30の材料非含領域32は光ビーム46のビーム路内に一定期間だけ存在するので、チャンバを通過して測定されるビーム源41の強度は、基板を通過して測定された透過ビームと同じ光学的なビーム路において検出器51によって検出され、上述のように透過率値を求めるために基準値(第2の測定値)として使用することができる。基準値を第1の測定値と比較することによって、チャンバ特性の変化およびバックグラウンドビームの変化を検出することができるので、基準値について正規化されている基板30を通過する透過ビームは、チャンバ特性およびビーム源41の強度が変化した場合であっても、基板の透過特性を反映する。
【0057】
ビームバックグラウンド(すなわち、ビーム源41に由来せずに検出器51に入射するバックグラウンドビーム)を有利には上述のように求めて補正することができる。ビーム源41は例えばパルス制御されて駆動され、検出器51はビーム源41がスイッチオフされているときにバックグラウンドビームを検出する。したがって、ビーム源41によって測定された(基板を通過する)透過ビームの割合を、検出器51によって検出された放射からバックグラウンドビームを差し引いた後に正確に検出することができる。ビーム源41のパルス周波数は有利には100Hz〜10kHzであり、有利には基板の回転周波数の少なくとも10倍は高い。しかしながら、透過ビームとバックグラウンドビームを区別できる他の措置も使用することができる。
【0058】
図2a)〜2d)に基づき、上述のように使用することができる、ディスク状の基板30の種々の実施形態を詳細に説明する。それぞれの図面は基板30の概略的な平面図を示す。図2a)〜2d)においては、同一または同等の構成要素を表している限りにおいて同一の参照番号が使用されている。
【0059】
基板30はそれぞれ第1の半導体ウェハ101を有する。第1の半導体ウェハ101はこの第1の半導体ウェハ101の中心から所定の間隔を空けて貫通開口部102を有している。上述のタイプの急速加熱装置1においては基板が有利には、第1の半導体ウェハ101の中心点が回転軸40と一致し、また貫通開口部102が図2a)〜2d)においてそれぞれ概略的に示唆されている測定円39上に位置するように中心に配置されている。半導体ウェハ101の材料は、温度に依存する透過特性を示す材料である。材料は、複数の熱サイクルにわたり、例えば上述の較正周期にわたり、一定に維持される温度依存性透過特性を示すように選定されている。これを達成するために、それぞれの較正周期は、半導体ウェハ101の特性を変化させない制御された処理雰囲気において、例えば不活性ガスおよび/または真空において行われることが望ましい。さらには、半導体ウェハを較正周期間に可能な限り制御された雰囲気内に置き、特性の変化を阻止することが望ましい。
【0060】
図2a)には、測定円39上に配置することができる弓形状の貫通開口部102を有する第1の半導体ウェハ101から成るディスク状の基板(較正基板)の簡単な形態が示されている。貫通開口部102は弓形状に示されているが、必ずしも弓形状に構成する必要はない。さらに、貫通開口部102の平均弧半径が測定円39の半径と同じ半径を有し、したがって測定円39に沿って延在するように、貫通開口部102は基板上に配置されている。この実施形態においては、貫通開口部102は図1に示されている基板30の領域32に対応する。
【0061】
図2b)は図2a)に類似する実施例を示すが、貫通開口部102は別の基板103によって部分的に覆われている。これに関して、測定円39の半径上には半導体ウェハ101によってのみ覆われている第1の領域、材料非含領域(図1に示されている基板30の領域32に相当)、基板103によってのみ覆われている別の領域、半導体ウェハ101および基板103によって覆われている第4の領域が生じる。
【0062】
その種の基板を例えば700℃〜1100℃の範囲における透過率の測定のために使用することができる。第1の半導体ウェハは任意にドープされた、しかしながら有利には低ドープされたシリコンから成る半導体ウェハであり、有利には700μm〜800μmの厚さを有し、最大で1E16cm-3の異種材料でドーピングされている。貫通開口部102は有利には測定円の半径上に位置する弓形状の貫通口であり、有利には約3mm〜7mmの幅を有する。基板103は貫通口上には固定され、この貫通口を部分的に覆う。この基板103は有利には例えばシリコンのようなウェハ材料から成り、有利には同様に、最大で1E16cm-3で低ドープされており、また有利には20μm〜200μm、殊に30μm〜70μmの厚さを有する。
【0063】
ディスク状の基板30を例えば以下のように製造することができる。先ず、1E16cm-3よりも低いドーパント濃度を有し、標準的な厚さ775μmの低ドープされたウェハ101を出発材料とすることができる。このウェハからウェハ中心点の周りの測定円39上に沿って約120°の弓形状の部分がフライス削りされ、約3mm〜7mmの幅の弓形状の貫通口102が生じる。第2のステップにおいては、約40μm〜60μmの厚さで、シリコンから成り、同様に低ドープされており、1E16cm-3よりも低いドーパント濃度を有するウェハピース103が貫通口上において、この貫通口の一部が覆われて、貫通口のその他の部分が覆われないように固定される。このようにして製造された基板30は殊に700℃〜1100℃の温度範囲の較正周期に適している。何故ならば、約40μm〜60μmの厚さを有する低ドープされたウェハはIRビームに対して1100℃の温度までは依然として透過性であるが、775μmの標準的な層厚の低ドープされたウェハの透過率は約800℃を上回ると既にほぼ0になるからである。
【0064】
すなわち第1の半導体ウェハ101はここでは殊に基礎基板として、また基板103の安定化のために使用される。相応の較正周期において2つの半導体材料がその透過特性に関して較正される場合には、有意な温度依存性透過特性を求めることができる温度領域を必要に応じて拡張することができる。ここで、測定円39上には必要に応じて、それぞれが異なる温度依存性透過特性を有するさらに別の領域を複数設けることができることを言及しておく。
【0065】
上述の製造方法に代替的に、図2b)において製造された基板を、領域103内にその他の領域とは異なるドーパントを有する単一の半導体ウェハ101から構成することもできる。この場合、ドーパントを上方から注入することができる。続いて、対向する端部がそれぞれ異なるドープ型の領域に接触するように、貫通開口部102が測定円39上に構成される。さらに、領域103内の基板の下面には、貫通開口部102の弓形の形状に続く切り欠き部が形成される。これによって、貫通開口部102に隣接して位置する領域103のセクションが低減された厚さを有し、しかも、これはつなぎ合わされている2つの別個の半導体ウェハからなる基板30の構造に類似する。
【0066】
図2c)は、測定円39上に覆われていない貫通開口部102と、第2の基板103によって完全に覆われている別の貫通開口部104とが設けられている較正基板30を示す。この実施例においては、貫通開口部102は図1による材料非含領域32に対応する。ここでもまた、基板は例えば異なるドーピング領域を有するワンピースの半導体ウェハから構成することができ、このドーピング領域は一方では貫通されており、他方では貫通しない程度に除去されている。
【0067】
図2d)は、基板103が第1の半導体ウェハ101と固定して結合されている別の半導体ウェハであり、有利には2つの半導体ウェハの中心点が重なっている実施形態を示す。第1の半導体ウェハ101は第1の貫通開口部102を有し、この第1の貫通開口部102は、半導体ウェハ101の中心点の周囲の測定円39の縁部が第1の貫通開口部102によって少なくとも部分的に覆われるように第1の半導体ウェハ101上に配置されている。第2の半導体ウェハ103は別の貫通開口部106を有し、この別の貫通開口部106は、測定円39の半径と同じ半径を有する第2の半導体ウェハ103の中心点の周囲の円の縁部が別の貫通開口部106によって少なくとも部分的に覆われるように第2の半導体ウェハ103上に配置されている。この実施形態においては、貫通開口部106は図1に示されている基板30の材料非含領域32に対応する。
【0068】
2つの半導体ウェハ101および103は相互に固定的に結合されており、第1の半導体ウェハの外部縁と第2の半導体ウェハの外部縁とは一致している。2つの半導体ウェハは有利にはボンディングにより相互に結合されている。しかしながらこれらの半導体ウェハを接着剤によって相互に接着させることができるか、ネジまたは他の固定手段によって相互に結合させることができる。有利には、2つの半導体ウェハは、これらが相互に結合されている場合には、透過光源の光ビームを通過させるための共通の材料非含有通過領域を有するように、2つの貫通開口部102,106が少なくとも部分的に重畳するように相互に結合される。
【0069】
400℃〜700℃の温度測定のために、第1の半導体ウェハは有利には少なくとも5×1E17cm-3の異種材料で高ドープされており、有利には700μm〜800μmの厚さを有する。第2の半導体ウェハは最大で1E16cm-3の異種材料で低ドープされており、有利には500μm〜800μmの厚さを有する。半導体ウェハは例えばシリコン材料、GaAs、SiC、InPまたは他の化合物半導体から構成されている。
【0070】
例えばディスク状の基板30を、少なくとも5E17cm-3のドーパント濃度をする標準的な厚さの高ドープされたウェハから、ウェハ中心点の周囲の測定円39に沿った、約3mm〜7mmの幅を有する約120°の弓形状の部分がフライス削りされ、約5mmの幅の弓形状の貫通口102が生じることによって製造することができる。第2のステップにおいては、例えば775μmの標準的な厚さの同一の大きさの低ドープされたウェハ103の測定円39上に孔が設けられ、この孔の直径は高ドープされたウェハの弓形状の開口部の幅とほぼ同じ幅であり、低ドープされたウェハは1E16cm-3よりも低いドーパント濃度を有する。低ドープされたウェハの孔を高ドープされたウェハのフライス削りされた箇所の上に置き、続いて固定的に相互に結合させるように、2つのウェハ101と103が上下に重ねられる。一般的に、例えば複数のパイロメータを同時に較正すべき場合、および/または、複数の透過率測定ユニットが同時に駆動されるべき場合には、複数の測定半径上に複数の孔が設けられているヴァリエーションも考えられる。しかしながら、複数のパイロメータが同時に較正されるべき場合には、これらのパイロメータが同じ測定半径上に配置されることも有利である。
【0071】
図3a)〜3h)は、0〜2πの弧の測度で測定円に沿った断面図でのディスク状の基板30の別の実施形態を示す。図3a)〜3h)においては、同一または同等の構成要素を表している限りにおいて同一の参照番号が使用されている。
【0072】
図3a)は、測定円に沿った弧の測度の断面図での、基板部分103によって部分的に覆われている貫通開口部102を有する第1の半導体ウェハ101を示す。
【0073】
図3b)は、基板部分103が貫通開口部102を覆っていない別の実施例を示す。
【0074】
図3c)は、第1の半導体ウェハ101が貫通開口部102を有し、また半導体ウェハ101の領域として構成されている基板103が別の材料から成る実施例を示す。この種の実施例を、例えば、半導体ウェハ101の材料がその位置において別のドーパントを有するか、例えば反射層または反射防止層(例えば金属性のコーティング部)が設けられることによって形成することができる。有利には、ここでは少なくとも、半導体ウェハ101の表面が領域103の表面と共にそれぞれ平坦な平面を形成するが、上述のように例えば貫通開口部102に隣接する位置では低減された厚さを有することもできる。
【0075】
図3d)は、第1の貫通開口部102と、この第1の貫通開口部102とは間隔を空けている第2の貫通開口部104とを有する半導体ウェハ101から成る基板30を示す。第1の貫通開口部102および第2の貫通開口部104は弧の長さにおいて異なる寸法を有しているが、これは必ずしも必要ではない。第1の貫通開口部102は基板103によって部分的に覆われているが、第2の貫通開口部は覆われていない。
【0076】
図3e)は、図3d)に類似する、第1の貫通開口部102および第2の貫通開口部104が設けられている実施例を示す。しかしながらこの実施例においては、第2の貫通開口部104が基板103の材料によって完全に覆われており、第1の貫通開口部102は覆われていない。
【0077】
図3f)および3g)は、基板103が貫通開口部106を有し、この貫通開口部106が第1の半導体ウェハ101の貫通開口部102を部分的に覆っている実施例を示す。基板103はディスク状の基板の形状を有することができ、この基板は貫通開口部106を除き第1の半導体ウェハ101と同一の形状を有する。有利には基板103は第2の半導体ウェハである。
【0078】
最後に図3h)は、基板30が貫通開口部102,104を有する半導体ウェハならびに2つの別の材料から成る実施例を示す。半導体ウェハ101は有利には第2の半導体ウェハ103と固定的に結合されている。第2の半導体ウェハ103は貫通開口部106および別の貫通開口部108を有する。貫通開口部106および108は、第1の半導体ウェハ101の貫通開口部102および104を部分的に覆うように配置されている。第2の半導体ウェハ103は別のディスク状の基板109、有利には貫通開口部110を有する同じ大きさの第3の半導体ウェハと結合されている。貫通開口部110は光ビームが自由に通過できる少なくとも1つの領域が残されるように貫通開口部102および106を覆うように配置されている。
【0079】
図4aは、急速加熱チャンバ内で回転するディスク状の基板30において実施された較正プロセスの温度・時間経過を示す。この測定のために使用されたディスク状の基板30は図2bの実施形態に従い構成されたものである:出発材料は、1E16cm-3よりも低いドーパント濃度のホウ素により低ドープされた、標準的な厚さ775μmを有するウェハ101であった。このウェハからウェハ中心点の周りの測定円39に沿って約120°の弓形状の部分がフライス削りされ、約5mmの幅の弓形状の貫通口102が形成された。第2のステップにおいては、54μmの厚さで、シリコンから成り、同様に低ドープされており、1E16cm-3よりも低いドーパント濃度の蛍光物質により同様に低ドープされたウェハピース103が貫通口上において、この貫通口の一部が覆われて、貫通口のその他の部分が覆われないように固定された。
【0080】
この実施例においては、透過率測定がオープンループ加熱シーケンス中に実施された。先ず、約250秒間基板30が加熱された。続いて約80秒間基板30が冷却された。ディスク状の基板は、基板を加熱するためにハロゲンランプが設けられている急速加熱装置において緩慢に加熱された。ディスク状の基板の温度が熱的に較正されたパイロメータによって測定され、時間に依存して曲線200として記録された。
【0081】
図4bは、較正プロセスの間に回転する基板30を通過して検出器51を用いて記録された光源41の信号の例を示す。光源41が変調される間に、信号は時間の関数として検出器51の信号電圧の形態を示す。上側の曲線212を表している、光源41の光ビームが基板の貫通開口部を自由に通過する場合の信号電圧に相当する複数の上側の測定値が得られていることが見て取れる。真ん中の曲線214を表している、光源41の光ビームが基板の薄い半導体材料を通過する場合の信号電圧に相当する複数の真ん中の測定値が得られていることが見て取れる。基板の透過率は比較的高い温度では減少するので、曲線214は温度が上昇すると降下していることが見て取れる。
【0082】
光源41として、500Hzでパルス制御され駆動される、1550nmの放射波長を有するIRレーザダイオードが使用された。検出器51はレーザダイオードのビームも、基板30を加熱するハロゲンランプの外部ビーム成分(ランプビーム)並びに基板の固有ビームの一部(ウェハビーム)も検出する。このことは、光源41の最大ビーム強度が時間にわたり変化しないにもかかわらず、上側の測定値が温度の上昇に応じて曲線を表していることからも良く見て取れる。レーザダイオードがスイッチオフされている状態で検出器51によって測定された信号を求め、この値をレーザダイオードがスイッチオンされている状態で検出器51によって測定された信号電圧から減算することによって、この外部ビーム成分(バックグラウンドビーム)の和を求めることができる。
【0083】
図4cにおける曲線220はバックグラウンドビームについて補正された信号を示す。ここでもまた上側の曲線212と下側の曲線214が見て取れる。ここで上側の曲線212は(期待されるように)平坦であり、下側の曲線は温度の上昇に連れ0に近付く。曲線212の測定値と曲線214の測定値の比率から、基板の温度依存性透過特性を求めることができる。それ以外にも、右端では下側の曲線が温度の低下時に再び上昇し始めていることが見て取れる。差電圧がボルトの単位で時間にわたりプロットされている。
【0084】
図5a)は、急速加熱チャンバ内で基板30が約4回転する間の曲線220の経過を示す。曲線220の最大値221は、光源41の光ビームが基板30内の孔を通過して検出器51に入射し、光源41の出力強度I0に関する基準として使用される場合の透過信号のレベルを表す。曲線220のプラトー222は、低ドープされた薄いウェハピース103を通過する光源41の透過信号のレベルを示す。プラトー223は低ドープされた厚いウェハ101を通過する透過ビームのレベルを示す。これらの曲線から見て取れるように、y軸にプロットされている差電圧が約0.3Vであるので、ウェハ101は約660℃のウェハ温度では(図4aを参照されたい)、使用されるIRレーザの測定波長1550nmに対して光学的に依然として半透明である。最後に、曲線220の最小値224は、厚いウェハおよび薄いウェハを通過する光源41の透過信号のレベルを示す。
【0085】
図5bは、IRレーザが基板30内の孔を通過している間の244.36秒〜244.42秒の間の曲線220の経過の一部を示す。この時点において、基板の温度は約1050℃に達している。個々の測定は点225として示されている。この測定の経過からは、孔の通過後にIRレーザの透過信号をもはや測定できないことが見て取れる。このことは、1050℃の温度において薄いウェハがIRレーザのIRビームに対しては同様に、もはや殆ど透過性ではないことに起因する。
【0086】
図6は、低ドープされた薄いウェハに関する温度の関数としての透過係数310の経過ならびに低ドープされた厚いウェハに関する温度の関数としての透過係数320の経過が対数の尺度で示されている。
【0087】
基板30を形成する材料101,103および109は同一または異なる金属もしくは半導体でよいが、本発明の思想はこれに制限されるものではない。基板30を例えばSi,GaAs,InP,SiCのような半導体材料または他の化合物半導体材料から構成することができ、また基板30は局所的に異なるドーパント材料またはドーパント濃度を有していてもよい。シリコンが使用される場合には、例えばB,As,PまたはSbをドーパント材料として使用することができる。基板30を形成する材料101,103および109が局所的にまたは全体的に同一の反射特性または異なる反射特性を有していてもよい。これらの材料は反射性領域および非反射領域を有することができ、またこれらの材料を局所的に種々にコーティングすることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、較正基板、ディスク状の基板を熱処理するための装置、ならびに、較正基板を使用するその種の装置における温度測定装置の較正装置に関する。さらに本発明は、基板に関する複数の透過率・温度測定値を求める方法ならびに較正基板を使用して温度測定装置を較正するための方法に関する。
【0002】
半導体の製造において、半導体ウェハのような基板を熱処理するための急速加熱装置、いわゆるRTPシステムが公知である。その種の装置の例はUS-Patenten US 5,359,693およびUS 5,580,830に記載されている。急速加熱装置は基板、殊にウェハの熱処理に使用される。この種の基板はシリコンから構成されていることが多いが、他の半導体材料、例えばゲルマニウム、SiGe,SiCまたは化合物半導体、例えばGaAsまたはInPから構成することもできる。急速加熱装置においては、所定の処理結果、例えばウェハのドーピングまたはウェハのコーティングを達成するために、ウェハが種々の処理雰囲気で熱処理に曝される。
【0003】
この種の処理中は、半導体ウェハの温度が如何なる時点においても可能な限り正確にその都度設定されている温度に対応していることが非常に重要である。所定の温度・時間経過の遵守を保証するために、温度はウェハ全体にわたり可能な限り均一であり、また如何なる時点においても可能な限り正確に検出できることが望ましい。さらには、温度測定がウェハの熱処理自体を妨害しないことが重要である。したがって多くの場合は、パイロメータ測定システムのような非接触式の温度測定システムが問題になる。
【0004】
パイロメータ温度測定システムは、例えば基板の熱放射を介して基板の温度を非接触式に測定するという利点を提供する。このために、パイロメータ温度測定システムには大抵の場合狭帯域フィルタが設けられ、狭い限定された波長領域のビームのみが検出される。しかしながらパイロメータによって検出されたビームから基板の温度を推定するためには、パイロメータを熱的に較正することが必要である。この較正の際に、内部に基板が配置されているチャンバの特性が非常に重要になる。パイロメータは通常の場合、基板に配向されている固有放射だけでなく、基板の周囲からの直接的および間接的な(反射および多重反射された)ビーム成分、例えばチャンバによって反射されたビーム成分も検出する。さらにパイロメータは、基板を加熱するエレメント(ランプ、レーザ、抵抗加熱エレメントなど)から放射されるビームならびに隣接する対象物のビーム成分による放射および反射を検出する。測定される基板からの熱放射が通過する水晶のような透明な材料の吸収特性もパイロメータの測定に影響を及ぼす。さらに透明および/または半透明の材料、殊に温度に依存する伝達特性を有する基板、例えばシリコンウェハにおいては、基板の裏側に位置する基板の周囲から基板を通過して伝達されるビーム成分も測定される。温度に依存する基板の透過率測定の正確な知識が無くては、パイロメータを用いて検出されたビーム成分をそのビーム成分のビーム源に十分正確に対応付けられないことが多い。
【0005】
パイロメータ温度測定システムの較正は、大抵の場合、ウェハ上に取り付けられており、その温度・電圧経過が既知である1つまたは複数のサーモエレメントを介してウェハ固有、またチャンバ固有に行われる。例えばハロゲンランプ、アークランプ、レーザまたは抵抗加熱エレメントを用いて基板を加熱し、それと同時に、1つまたは複数のサーモエレメントに印加されている電圧を取り出し、またパイロメータ信号を測定することによって、特定のパイロメータ信号に特定の温度を対応付けているルックアップテーブルを形成することができる。
【0006】
この方式の較正は時間が掛かり、さらには回転しないシステムにしか有効でない。この方式は、良好に基板と熱的に接触していなければならない複数のサーモエレメントを基板に実装し、その種の基板をチャンバ内に設置することを必要とする。さらには、低温時のパイロメータによるシリコンウェハのような対象の温度測定は、測定されるバックグラウンドビームに比べて基板の熱放射が非常に少ないことに基づき非常に不正確になる。シリコンウェハは低温時に一般的な測定波長の領域においては、例えば光学的にほぼ透明でよい。
【0007】
熱的に処理すべき基板の温度を検出する代替的な手段は基板の透過率の直接的な測定である。この手段は、その透過率が所定の波長の光ビームに対して特定の温度依存性を有している基板において実現される。その種の透過率測定は適切な測定波長および所定の角度で行われることが望ましい。ディスク状の基板の透過率を測定するために、例えば、光ビームを放射するビーム源と光ビームの強度を測定する検出器との間のビーム路内に基板を設置することができる。基板に入射するビームの強度I0が既知である場合には、基板の裏側において測定される強度(透過ビーム)ITとの比率から基板の透過係数を求めることができる。透過ビームの測定された強度の温度に対する較正は適切な波長において、例えばサーモエレメントによって、または既に熱的に較正されたパイロメータによって行うことができる。熱的に較正されたパイロメータを用いる温度較正の利点は、基板が回転する場合であっても処理チャンバ内の基板の透過率を容易に検出できることである。
【0008】
透過率測定のための光源としては、特定のスペクトル線を出力結合するレーザ、ガス放電ランプまたはアークランプが殊に適しているが、狭帯域フィルタが設けられているハロゲンランプも適している。測定された透過信号はチャンバ特性にもビーム源の強度にも依存している。
【0009】
ビーム源の強度I0は測定前に一度だけ検出され、その後は測定周期全体にわたり一定と見なされるので、熱処理中のウェハ温度に依存するウェハにおける透過率測定の再現性は低い。このことは、強度I0が一定である必要が無く、熱処理中に大抵は変化することに起因する。そのような変化は透過率測定のためにレーザ光源が使用される場合に生じる。何故ならば、レーザ光源の出力強度が時間的に一定でないからである。しかしながら、透過率測定のために光源の光が通過する材料の透過特性の変化も、最終的にウェハに入射するビームI0を変化させる。これに関する例は、光を基板へと誘導する光導体のような手段の移動、または、例えば熱応力に際し歪む可能性があるか、時間の経過においてその反射特性が変化するチャンバの変化、または、例えば基板表面の変化(コーティングなど)によって生じる可能性がある基板の反射率の変化、または、透過ビームを基板へと誘導する水晶製品の温度変化(例えば屈折率の変化および吸収)である。
【0010】
温度と共に変化する半導体の特性を半導体の温度の検出のために使用する原理が公知である。Christensen等(US 4,136,566)は1977年に既に、半導体材料から成る集積基板を備えた温度センサについて記述しており、この温度センサでは半導体材料を通過する単色光の光学的な透過率を測定することによって温度を検出している。この方法においては、単色光(レーザまたはレーザダイオードによって放射することができる)が、第1の光導波体に固定されており半導体材料から成るプリズム基板を通過して誘導される。半導体プリズムにおける別の箇所に固定されている第2の光導波体は、半導体を再度放れた光を検出器、例え受信器ディスプレイにさらに誘導する。光源と第1の導波体との間に配置されているビーム分割器(ビームスプリッタ)は光源の光の一部を出力結合して、ビーム源の出力強度を検出するための基準検出器へと転送する。つまり、例えば光源の強度の変動を補償することができる。
【0011】
シリコンウェハによる赤外線ビームの光学的な吸収の温度依存性およびその物理的な原因は、例えばSturm等(IEEE Transactions on Electron Devices, Vol. 39, No. 1, January 1992 p 81 ff)によって記述されている。
【0012】
Amith等(US 4,890933)は、材料のバンドギャップエネルギに近いエネルギを有するビームの透過率を測定することにより、温度の関数として変化するバンドギャップエネルギを有する薄いGaAsからなる材料部分を非接触式に温度測定するための装置について記述している。この方法は、温度の関数として吸光係数が単調に変化すること、また温度の上昇に伴い半導体のバンドギャップが狭くなることを基礎としている。透過信号が測定され、その強度に基づき材料の温度が検出される。熱処理チャンバ内に存在する基板の透過率を測定するために適切な光源から放射されたビームは、チャンバに入射する前にチョッパによってパルス制御され、ミラーを介してビームスプリッタへと配向される。ビームスプリッタは一次ビームの一部を出力結合し、光源の強度を検出するために基準検出器へとさらに誘導する。ビームの別の部分は熱処理チャンバを通り、この熱処理チャンバ内に設けられている測定すべき基板へと誘導される。基板を通過するビームは熱処理チャンバを再び放れ、チャンバ外の第2の検出器によって測定される。ロックイン増幅器を介して2つの信号が相互に比較され、基板の透過率が求められる。この測定方式の欠点は、基準ビームがチャンバの外側に延びることである。基板周囲の変化に起因する透過率の変化は検出されないか、基板の吸収の変化として解釈される。
【0013】
TimansはUS 2003/0236642において、熱処理チャンバ内のパイロメータのような温度測定手段を較正するための装置および方法を開示している。熱処理チャンバ内に配置されている基板に光を放射する光源が較正に使用される。基板は例えば、反射防止コーティングが施されている別個に処理されたシリコンウェハであり、このシリコンウェハは、異なる種類の材料によって覆われている複数の開口部を有する、および/または、出発材料が比較的薄い複数の箇所を有する。検出器は基板を透過した光を検出する。検出された光は全体のシステムによって使用される温度測定装置の較正のために使用される。この装置および方法の欠点は、例えば基板周囲の変化に起因する透過率の変化を検出する基準ビームが存在しないことである。したがってここでもまた、チャンバ特性の変化を基板の吸収の変化と区別することができず、相応に対応付けられることができない可能性がある。
【0014】
したがって本発明の課題は、基板の透過率を簡単且つ確実に検出することができる較正基板を提供することである。別の課題は、その種の較正基板のための複数の透過率・温度測定値を求めるための簡単且つ確実な方法、ならびに較正基板を使用する温度測定装置の較正方法を提供することである。さらに別の課題は、本発明による方法を実施することができる、ディスク状の基板を熱処理するための装置を提供することである。
【0015】
この課題を解決するために、温度測定装置を較正するためのディスク状の基板が半導体ウェハを熱処理するための装置内に設けられており、この基板は少なくとも部分的に、温度に依存して透過特性が変化する第1の材料から成る。少なくとも1つの貫通開口部が第1の材料内に設けられており、この貫通開口部は少なくとも1つの部分領域において、基板を通過する光ビームのための自由通路を形成する。その種の基板により、基板を通過する光ビームを対向する検出器に配向させることができ、光ビームは基板が1回転する際に一定期間だけ自由に同一のビーム路において貫通開口部を通過することができる。これによって、同一のビーム路を辿った透過したビームと自由に通過したビームとを比較し、基板の透過率値を求めることができる。そのようにして求められた透過率値にその都度検出された温度が対応付けられる場合(この対応付けは、例えば温度測定と同時に、またはほぼ同時に行うことができる)、その種の較正基板は種々の熱処理チャンバの熱的な検出器を較正するために使用することができる。その種の基板が使用される場合、種々の熱処理チャンバの較正に関して、温度を検出するための熱電対または基板の光ビームを検出するためのパイロメータを省略することができる。種々の温度領域に関して、種々の較正基板を使用することができる。
【0016】
少なくとも1つの貫通開口部は基板において有利には基板の中心点から間隔r1を空けて配置されており、また完全に第1の材料によって包囲ないし縁取られている。殊に、少なくとも1つの貫通開口部は弓形状であり、基板の中心点から間隔r1を有している円周上に位置する。
【0017】
本発明の実施形態においては、第1の材料は第1の半導体ウェハ、殊に良好な既知の温度依存性透過率を示すシリコンウェハである。有利には、今日において通常使用されている急速加熱装置内に配置されている基板保持装置に収容できるようにするために、半導体ウェハは少なくとも200mmの直径を有している。有利には、較正基板は処理すべき基板の寸法に対応する寸法を有する。1つの実施形態において、第1の半導体ウェハは少なくとも5×1E17cm-3、最大で1E16cm-3の異種材料でドーピングされたシリコンウェハである。
【0018】
較正基板の種々の温度依存性透過特性を考慮するために少なくとも1つの第2の材料が使用される。第2の材料は有利には基板の中心点から間隔r1を空けて配置されている。殊に、第1の材料における少なくとも1つの貫通開口部を1つの部分領域において少なくとも1つの第2の材料によって覆うことができる。第2の材料は第1の材料とは完全に異なる材料、または、例えば第1の材料と同一の材料から成るものでよいが、第1の材料とは異なる透過特性を示すために、例えば(半導体基板において)コーティング部または異なるドーピング部を有することができる。有利には、少なくとも1つの第2の材料が第1の材料とは異なる温度依存性透過特性を有する。これによって、例えば1つの基板を用いて種々の温度領域に関して複数の温度依存性透過特性を求めることができる。殊に、第2の材料は光ビームに対し、第1の材料と同じ温度では透過性である。例えば、少なくとも1つの第2の材料は、グラファイト、Si、Ge、SiGe、GaAs、SiC、InPおよびInSbの化合物群から成る材料を有する。第2の材料は、有利には第1の半導体ウェハと同じ直径を有する第2の半導体ウェハでよい。本発明の1つの実施形態においては、第2の半導体ウェハは少なくとも5×1E17cm-3、最大で1E16cm-3の異種材料でドーピングされたシリコンウェハであり、有利には少なくとも1つの第2の材料は、最大で250μmの厚さを有する単結晶半導体材料から成る。
【0019】
本発明の別の実施形態においては、少なくとも1つの第2の貫通開口部が第1の材料内に設けられており、この第2の貫通開口部は少なくとも部分領域において基板を通過する光ビームのための自由通路を形成し、基板の中心点から間隔r2を有するように配置されている。種々の送信器・受信器ペア(光源・検出器)を用いて透過率測定を実現するために、有利にはr1≠r2である。
【0020】
本発明が基礎とする課題は、基板が加熱および/または冷却される間に光ビームが配向される、上述のタイプの基板に関する複数の透過率・温度測定値を求めるための方法によっても解決される。光ビームの強度は基板の対向する側において測定され、基板は光ビームが毎回転時に少なくとも1つの貫通開口部を自由に通過するように回転軸について回転される。光ビームが少なくとも1つの貫通開口部を自由に通過したときに測定された光ビームの強度と、光ビームが第1の材料を通過したときに測定された光ビームの強度との比較から基板に関する複数の第1の透過率値が求められ、比較はその都度、所定の期間内に得られる測定値に関して行われる。さらに基板の温度が所定の期間内に求められ、続いて、所定の期間内に求められた第1の透過率値とそれぞれの期間内に測定された温度との関係が求められる。したがって上述の方法では、較正基板の光学的な温度依存性透過特性の較正が行われ、続けてこの較正基板を熱処理ユニットにおける温度測定ユニットの較正に使用することができる。
【0021】
光ビームは有利には、影響を受けない自由な通過を実現するために、少なくとも1つの貫通開口部の最小直径よりも小さく束ねられた光ビームである。さらに、光ビームは有利には固有の偏光を有する。殊に、光ビームは例えば1310nmおよび/または1550nmの特定の波長を有するレーザ光ビームである。
【0022】
本発明の1つの実施形態においては、通常は光ビームと共に測定されるバックグラウンドビームを区別できるようにするために、光ビームが所定の周波数でパルス制御される。光ビームのパルス周波数は例えば100Hz〜10000Hzであり、基板の回転数よりも実質的に高い。有利には、光ビームのパルス周波数が基板の回転数よりも少なくとも係数10だけ高い。例えば基板は毎分20〜500回転で回転される。
【0023】
本発明の1つの実施形態においては、光ビームの強度に関係する、透過率値測定のために使用される測定信号が光ビームに直接的に由来しない成分について補正される。このことは、少なくとも光ビームも測定される測定信号から、光ビームが測定されない少なくとも1つの測定信号の成分が減算されることによって達成される。
【0024】
有利には、基板に配向されているビーム測定ユニット、殊にパイロメータを介して基板の温度が非接触式に求められる。例えば、基板の温度を求める際に、基板表面上において貫通開口部が位置する環状領域において測定が行われる。有利には基板の温度を求めるために、貫通開口部の領域に由来する測定値は考慮されない。
【0025】
基板全体にわたり基板の温度を可能な限り均一にするために、基板の加熱および/または冷却が有利には10℃/sよりも低い加熱率ないし冷却率で実施される。測定が行われるその都度の期間における温度変動を回避するために、所定の期間は1つの実施形態において2秒よりも短い期間である。
【0026】
例えば、種々の温度領域に関して複数の透過率・温度測定値を得るために、さらに本発明の1つの実施形態においては、光ビームが少なくとも1つの貫通開口部を自由に通過したときに測定された光ビームの強度と、光ビームが第2の材料を通過したときに測定された光ビームの強度との比較から基板に関する複数の第2の透過率値が求められ、比較はその都度、所定の第2の期間内に得られる測定値に関して行われる。また、基板の温度が所定の第2の期間内に求められ、所定の第2の期間内に求められた第2の透過率値とそれぞれの第2の期間内に測定された温度との関係が求められる。
【0027】
本発明が基礎とする課題は、例えば上述の方法によって求めることができる複数の透過率・温度測定値が既知である、上述のタイプの基板を用いる温度測定装置の較正方法によっても解決される。この方法においては、基板が加熱および/または冷却される間に、光ビームが基板へと配向される。光ビームの強度は基板の対向する側において測定され、その一方で基板は光ビームが毎回転時に少なくとも1つの貫通開口部を自由に少なくとも一度は通過するように回転軸について回転される。光ビームが少なくとも1つの貫通開口部を自由に通過したときに測定された光ビームの強度と、光ビームが第1の材料を通過したときに測定された光ビームの強度との比較から基板に関する複数の第1の透過率値が求められ、比較はその都度、所定の期間内に得られる測定値に関して行われる。所定の期間内に、基板の温度と関係する少なくとも1つのパラメータも測定される。求められた第1の透過率値にはその都度、基板に関する既知の複数の透過率・温度測定値に基づき、1つの温度値が対応付けられる。最後に、所定の期間内に求められた第1の透過率値に対応付けられた温度値と、それぞれの期間内に測定され、基板の温度に関係する少なくとも1つのパラメータとの関係が記録される。(上述の較正基板を用いる)上述の方法によって、温度測定装置の較正を簡単且つ確実に実施することができる。
【0028】
光ビームは有利には、影響を受けない自由な通過を実現するために、少なくとも1つの貫通開口部の最小直径よりも小さく束ねられた光ビームである。さらに、光ビームは有利には固有の偏光を有する。殊に、光ビームは例えば1310nmおよび/または1550nmの特定の波長を有するレーザ光ビームである。
【0029】
本発明の1つの実施形態においては、通常は光ビームと共に測定されるバックグラウンドビームを区別できるようにするために、光ビームが所定の周波数でパルス制御される。光ビームのパルス周波数は例えば100Hz〜10000Hzであり、基板の回転数よりも実質的に高い。有利には、光ビームのパルス周波数が基板の回転数よりも少なくとも係数10だけ高い。例えば基板は毎分20〜500回転で回転される。
【0030】
本発明の1つの実施形態においては、光ビームの強度に関係する、透過率値測定のために使用される測定信号が光ビームに直接的に由来しない成分について補正される。このことは、少なくとも光ビームも測定される測定信号から、光ビームが測定されない少なくとも1つの測定信号の成分が減算されることによって達成される。
【0031】
有利には、基板の温度に関係するパラメータは、基板に配向されているビーム測定ユニット、殊にパイロメータを介して非接触式に測定される。例えば、基板の温度に関係する少なくとも1つのパラメータを測定する際に、基板表面上において貫通開口部が位置する環状領域において測定が行われる。有利には基板の温度に関係する少なくとも1つのパラメータを測定する際に、貫通開口部の領域に由来する測定値は考慮されない。
【0032】
基板全体にわたり基板の温度を可能な限り均一にするために、基板の加熱および/または冷却が有利には10℃/sよりも低い加熱率ないし冷却率で実施される。測定が行われるその都度の期間における温度変動を回避するために、所定の期間は1つの実施形態において2秒よりも短い期間である。
【0033】
例えば、種々の温度領域において較正を行うために、さらに本発明の1つの実施形態においては、光ビームが少なくとも1つの貫通開口部を自由に通過したときに測定された光ビームの強度と、光ビームが第2の材料を通過したときに測定された光ビームの強度との比較から基板に関する複数の第2の透過率値が求められ、比較はその都度、所定の第2の期間内に得られる測定値に関して行われる。また、基板の温度に関係する少なくとも1つのパラメータが所定の第2の期間内に求められ、基板に関する複数の既知の透過率・温度測定値に基づき、求められた第2の透過率値に1つの温度値が対応付けられる。最後に、所定の第2の期間内に求められた第2の透過率値に対応付けられた温度値と、それぞれの第2の期間内に測定され、基板の温度に関係する少なくとも1つのパラメータとの関係が記録される。
【0034】
本発明によれば、基板、殊に半導体ウェハを熱処理するための装置も提供される。本発明による装置は、熱処理チャンバと、基板収容領域を規定する処理チャンバ内に基板を保持するための基板保持装置と、基板保持装置を回転させるための回転機構と、加熱ビームを処理チャンバ内に放射するための少なくとも1つのビーム源と、基板が処理チャンバ内に収容されている場合に基板から到来するビームを検出する、基板収容領域に配向されている少なくとも1つの第1の検出器とを有する。装置はさらに少なくとも1つの第2の検出器と、処理チャンバおよび基板収容領域を通過して第2の検出器の方向に配向されている少なくとも1つの第2のビーム源と、第2のビーム源に直接的に由来するビームおよび第2の検出器において検出されたビームと第2の検出器において検出されたその他のビームとを区別するための手段とを有する。その種の装置は例えば本発明による方法の実施に適しており、したがって本方法に関する利点を提供する。
【0035】
本発明の実施形態においては、第2のビーム源と基板収容面との間のビーム路を機械的に開閉するための少なくとも1つの装置が設けられている。択一的、および/または、付加的に、熱処理中に第2のビーム源をパルス駆動させるための制御装置も設けることができる。
【0036】
第2の検出器に入射するビームのうち第2のビーム源に由来しない成分を低減するために、第2の検出器と第2のビーム源に配向されている処理チャンバとの間に長く延びるビーム管を設けることができる。実質的に直線的に延びる光のみを通過できるようにするために、ビーム管の内側面を構造化することができる、および/または、光吸収性の高い材料から構成することができる。上述のタイプの種々の装置において均一な透過率測定結果を保証するために、第2のビーム源から基板に入射する光ビームは固有の偏光を有する。有利には、第2のビーム源は固有の波長を有する光を放射し、これによりバックグラウンドビームの区別が容易になる。1つの実施形態において第2のビーム源はレーザ、例えばダイオードレーザであり、例えば1310nmおよび/または1550nmの波長を有する光を放射する。第2の検出器に入射するバックグラウンドビームを低減するために、第2の検出器と処理チャンバとの間に、第2のビーム源の固有の波長以外の波長を有する光を少なくとも部分的にフィルタリング除去するフィルタを配置することができる。
【0037】
1つの実施形態において、第1の検出器および第2のビーム源は回転機構の回転軸から間隔r1を空けて基板収容領域に配向されている。有利には、熱処理チャンバが半導体ウェハを熱処理するための急速加熱システムの処理チャンバである。加熱ビームを処理チャンバ内に放射するための複数のビーム源を設けることができ、この場合には回転機構の上方と下方それぞれにビーム源が少なくとも1つ設けられている。加熱ビームを処理チャンバ内に放射するための少なくとも1つのビーム源は少なくとも1つのハロゲンランプおよび/または少なくとも1つのアークランプを有することができる。有利には、第1の検出器および/または第2の検出器は、基板に配向されているビーム測定ユニット、殊にパイロメータを有する。
【0038】
本発明によれば、基板を熱処理するための上述のタイプの装置において温度測定装置を較正するための装置も設けられており、この装置においては上述のタイプの基板が、基板保持装置の回転時に基板の貫通開口部が第2のビーム源と第2の検出器との間のビーム路内に収まるように基板保持装置上に収容されている。
【0039】
以下では、図面を参照しながら有利な実施例に基づき本発明を詳細に説明する。しかしながら当業者であれば、特許請求の範囲において規定されている本発明の着想から逸脱することなく、実施例ならびに実施例の組み合わせの種々の実施形態および変形形態が可能であることが分かる。
【0040】
殊に本発明による装置を、他の使用分野または他の方法との関係においても、本明細書に記載されたものとして有利に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による熱的な急速加熱システムにおいてディスク状の基板の透過率を測定するための装置の断面図を示す。
【図2a】本発明によるディスク状の較正基板の平面図を示す。
【図2b】本発明によるディスク状の較正基板の平面図を示す。
【図2c】本発明によるディスク状の較正基板の平面図を示す。
【図2d】本発明によるディスク状の較正基板の平面図を示す。
【図3a】旋回半径に沿った本発明によるディスク状の較正基板の断面図を示す。
【図3b】旋回半径に沿った本発明によるディスク状の較正基板の断面図を示す。
【図3c】旋回半径に沿った本発明によるディスク状の較正基板の断面図を示す。
【図3d】旋回半径に沿った本発明によるディスク状の較正基板の断面図を示す。
【図3e】旋回半径に沿った本発明によるディスク状の較正基板の断面図を示す。
【図3f】旋回半径に沿った本発明によるディスク状の較正基板の断面図を示す。
【図3g】旋回半径に沿った本発明によるディスク状の較正基板の断面図を示す。
【図3h】旋回半径に沿った本発明によるディスク状の較正基板の断面図を示す。
【図4a】本発明による較正プロセスの温度・時間経過を示す。
【図4b】回転する較正基板における、本発明による較正基板に配向されているビーム測定器の生測定信号と時間の関係を示す。
【図4c】生測定信号から熱的なバックグラウンドビームが減算された後の図4bによる補正された測定信号を示す。
【図5a】基板が約4回転する間の図4cの透過率測定信号の一部を示す。
【図5b】較正基板の貫通開口部がビーム測定器の視野へと延びている間の時間の関数としての図4による測定信号の相対的な信号強度を示す。
【図6】それぞれの基板の温度に依存する2つの異なる基板の測定された透過率を示す。
【0042】
図1は、熱的な急速加熱システム1の概略的な断面図を示す。急速加熱システム1はディスク状の基板、例えば半導体ウェハを熱処理するために設けられている。この急速加熱システム1はフレーム状のメインボディ3を有し、このメインボディ3の上端および下端は急速加熱チャンバ7を形成するためのプレートエレメント5,6によって覆われている。急速加熱チャンバ7の内部には上側のプレートエレメント14および下側のプレートエレメント15が設けられており、これらのプレートエレメント14,15は急速加熱チャンバ7を上部ランプチャンバ17、下部ランプチャンバ18およびプレートエレメント14,15間に位置する処理チャンバ19に分割する。プレートエレメント14,15は光学的に透明な材料、例えば水晶またはサファイアから構成されている。
【0043】
上部ランプチャンバ17の領域には、多数の加熱エレメント22、例えばハロゲンランプまたはアークランプが設けられている。使用分野に応じて、加熱ランプ22を全て同一のタイプのものにすることができるが、異なるタイプの加熱ランプ22を設けることもできる。
【0044】
下部ランプチャンバ18の領域にも同様に多数の加熱ランプ23が設けられている。これらの加熱ランプ23を加熱ランプ22と同一のタイプにすることができるが、異なるタイプであってもよい。
【0045】
フレーム状のメインボディ3には、処理チャンバ19を帯電または放電させるための、ドア25によって閉鎖可能な入口/出口開口部26が設けられている。図1には処理チャンバ内に収容されている基板30が示されている。基板30は較正基板であり、また少なくとも1つの材料非含領域32を有する。領域32を包囲している基板の材料は、基板の温度と一緒に変化する透過率値を有する材料から成る。以下では基板30の構造を詳細に説明する。熱処理のために処理チャンバ19内に収容されている基板は通常の場合、材料非含領域32を有していないが、温度に依存する透過特性を有していることが多い。
【0046】
基板30は基板保持装置によって処理チャンバ19内に保持される。基板保持装置は基板保持ピン35を有する。基板保持ピン35は多点式基板支持部を規定し、この多点式支持部は処理チャンバ19内に配置されている回転装置38と少なくとも部分的に固く接続されている。しかしながら、図示されている基板保持ピン35の代わりに、基板保持装置は回転装置と接続されている別の保持部材を有することもできる。収容されている基板30は、材料非含領域32が有利には基板の中心点を通るように延びている回転軸40に対して間隔r1を空けているように保持されている。したがって材料非含領域32は、以下では測定円39と称する円の円周上で回転可能である。基板30はこの基板の中心点を軸にして回転するので、基板が回転すると材料非含領域32は常に同じ間隔で基板軸の周りを回転する。
【0047】
急速加熱チャンバ7の外側にはビーム源41が設けられており、このビーム源41から放射された光ビーム46がプレートエレメント5における開口部を通って急速加熱チャンバ7へと入射するように配置されている。光ビーム46は有利には特定の波長を有する束ねられた光ビームであり、急速加熱チャンバ7を通り、プレートエレメント5における開口部に対向しているプレートエレメント6における第1の開口部へと配向されている。光ビーム46は基板保持ピン35によって規定されている基板収容面と実質的に直角に交わる。プレートエレメント6における第1の開口部の急速加熱チャンバ7側とは反対側に検出器51が配置されており、したがってこの検出器51も急速加熱チャンバ7の外側に設けられている。プレートエレメント6における第1の開口部は短い簡単な貫通開口部として示されているが、この第1の開口部を長く延びる管として構成することもでき、その内側面は構造化されている、および/または、光吸収性材料から構成されているので、直線的に管を通過する光しか実質的に第1の検出器51に入射しない。
【0048】
同様に急速加熱チャンバ7の外側に配置されている別の検出器52はプレートエレメント6における第2の開口部を介して基板30に配向されている。プレートエレメントにおける第2の開口部も上述のように長く延びる管として構成することができる。第2の検出器は基板収容面の領域に視野を有し、この視野を以下では測定地57と称する。図1によれば、前述の測定円39は測定地57と交差するが、これは必ずしも必要ではない。
【0049】
ビーム源41を詳細には図示していない制御装置によってパルス制御して駆動させることができる。すなわち、ビーム源41は所定のパルス周波数で交番的にオンオフされる。ビーム源41は例えばレーザまたはレーザダイオードであり、例えば1310nmおよび/または1550nmの特定の波長で光を放射する。これに補完的に、検出器51と急速加熱チャンバ7との間にフィルタを設けることができ、このフィルタは実質的にビーム源41の特定の波長を有するビームのみを通過させることができる。しかしながらビーム源41はハロゲンランプまたはアークランプでもよく、その光ビームを同様に、例えばビーム路を通って移動するチョッパとも称される機械的なエレメントを用いてパルス制御することができる。択一的に、光ビームを強度またはその他の点に関して変調させ、例えば急速加熱チャンバ7内に存在し、また場合によっては検出器51に入射する他のビームと区別することができる。
【0050】
有利には、検出器51および別の検出器52が入射した光ビームの強度を測定するビーム測定器、例えばパイロメータをそれぞれ有する。急速加熱装置1がいわゆる基準チャンバであるか、急速加熱装置1を較正基板の使用により熱的に較正できる場合、別の検出器52は有利には熱的に較正されている。以下ではこれを詳細に説明する。別の検出器は測定地57内の基板30の放射ビームを検出するために設けられている。これによって、基板が回転している場合には測定円39上に位置する環状領域の放射ビームが検出される。
【0051】
以下では、基板温度の関数としての基板30の複数の透過率値を求める際の上述の装置の動作を説明するが、ここでは急速加熱装置1は別の検出器52が熱的に較正されている基準装置であることを前提とする。先ず、基板30が開口部26を通り処理チャンバ19内に運ばれ、基板保持ピン35に載置される。開口部26はドア25によって閉鎖される。基板30は回転装置38によって回転され、また加熱エレメント22,23によって緩慢に加熱される。加熱プロセスは10℃毎秒、有利には3℃毎秒の加熱率で有利には数分にわたり行われる。択一的に、基板の温度経過がプラトーを有するように加熱することも可能である。すなわち、温度は漸次的に高められ、所定の期間にわたり一定の温度に維持される。加熱中は基板30が回転される。以下において説明する温度測定の際に基板は常に熱的な均衡状態にあることを保証するために、基板30は例えば毎分20〜500回転で回転される。
【0052】
基板に関する第1の透過率値を検出するために、加熱プロセス中の時点t1においては、ビーム源41から放射され、回転する基板30を横断して通過したビーム46が検出器51によって測定される。これにより第1の測定値が得られ、この第1の測定値は、基板30の材料非含領域32を通過して入射した第1の光ビーム46として検出器51により測定された第2の測定値と比較される。これら2つの測定値の比率から第1の透過率値を求めることができ、この第1の透過率値は記憶される。第1の透過率値を求めるために使用される第1の検出器の測定値は有利には、光ビーム46に直接的には由来しない成分について補正されている。このことは光ビーム46がパルス制御される場合に、例えば、少なくとも光ビーム46も測定される(光ビームが入射している)測定値から、光ビーム46が測定されない(光ビームが入射していない)検出器51の少なくとも1つの別の測定値を減算することによって達成することができる。
【0053】
時点t1と同時に、またはほぼ同時に、基板30から放射された熱ビームが、既に熱的に較正されている別の検出器52によって測定される。この熱測定値から基板の温度T1が求められ(検出器52は熱的に較正されている)、同様に記憶される。熱測定値から求められた温度が絶対温度と正確に一致していることは必ずしも必要ではない。むしろ、他の急速加熱チャンバにおける他の検出器を後に較正する際に使用される基準温度が定められる。基準チャンバにおいて試験が成功している熱プロセスをそのような他のチャンバに転用することができる。何故ならば、検出器はそれぞれ基準検出器について適合されており、したがって熱プロセスの同一の温度管理を保証するからである。
【0054】
求められた透過率値を温度T1に関係付けることができる。上述の測定は多数の時点において繰り返され、基板の種々の温度での複数の透過率値が得られる。これらの値または透過率値と温度の値組は、そのようにして測定された基板に関するテーブルに記憶される。もちろん、表の形態の離散的な個々の値の代わりに、基板の温度に依存するそれぞれの透過率値曲線を上述の値から抽出することも可能である。それぞれの測定を基板の加熱フェーズ中にも冷却フェーズ中にも行うことができる。基板30は上述のようにして、この基板30の温度依存性透過特性に関していわば較正されている。
【0055】
その種の基板を上述のタイプの任意の急速加熱装置において、その急速加熱装置に設けられている第2の検出器を熱的に較正するために使用することができる。そこでは実質的に上記と同様の処理が行われるが、それぞれ求められた透過率値にはテーブル(または曲線)に従い1つの温度値が対応付けられる。この温度値は別の検出器52を較正するために、この別の検出器52の測定値に対応付けられる。上述のように、テーブルから求められた温度値が絶対温度に正確に対応していることは必ずしも必要ではない(もっとも近似している場合は有利である)。むしろ別の検出器52は、較正サイクルにおいて使用された別の検出器52と同様に調整される。これによって、種々の急速加熱装置間での熱管理に関する差異を防止できる、もしくは少なくとも低減することができる。
【0056】
基板30の材料非含領域32は光ビーム46のビーム路内に一定期間だけ存在するので、チャンバを通過して測定されるビーム源41の強度は、基板を通過して測定された透過ビームと同じ光学的なビーム路において検出器51によって検出され、上述のように透過率値を求めるために基準値(第2の測定値)として使用することができる。基準値を第1の測定値と比較することによって、チャンバ特性の変化およびバックグラウンドビームの変化を検出することができるので、基準値について正規化されている基板30を通過する透過ビームは、チャンバ特性およびビーム源41の強度が変化した場合であっても、基板の透過特性を反映する。
【0057】
ビームバックグラウンド(すなわち、ビーム源41に由来せずに検出器51に入射するバックグラウンドビーム)を有利には上述のように求めて補正することができる。ビーム源41は例えばパルス制御されて駆動され、検出器51はビーム源41がスイッチオフされているときにバックグラウンドビームを検出する。したがって、ビーム源41によって測定された(基板を通過する)透過ビームの割合を、検出器51によって検出された放射からバックグラウンドビームを差し引いた後に正確に検出することができる。ビーム源41のパルス周波数は有利には100Hz〜10kHzであり、有利には基板の回転周波数の少なくとも10倍は高い。しかしながら、透過ビームとバックグラウンドビームを区別できる他の措置も使用することができる。
【0058】
図2a)〜2d)に基づき、上述のように使用することができる、ディスク状の基板30の種々の実施形態を詳細に説明する。それぞれの図面は基板30の概略的な平面図を示す。図2a)〜2d)においては、同一または同等の構成要素を表している限りにおいて同一の参照番号が使用されている。
【0059】
基板30はそれぞれ第1の半導体ウェハ101を有する。第1の半導体ウェハ101はこの第1の半導体ウェハ101の中心から所定の間隔を空けて貫通開口部102を有している。上述のタイプの急速加熱装置1においては基板が有利には、第1の半導体ウェハ101の中心点が回転軸40と一致し、また貫通開口部102が図2a)〜2d)においてそれぞれ概略的に示唆されている測定円39上に位置するように中心に配置されている。半導体ウェハ101の材料は、温度に依存する透過特性を示す材料である。材料は、複数の熱サイクルにわたり、例えば上述の較正周期にわたり、一定に維持される温度依存性透過特性を示すように選定されている。これを達成するために、それぞれの較正周期は、半導体ウェハ101の特性を変化させない制御された処理雰囲気において、例えば不活性ガスおよび/または真空において行われることが望ましい。さらには、半導体ウェハを較正周期間に可能な限り制御された雰囲気内に置き、特性の変化を阻止することが望ましい。
【0060】
図2a)には、測定円39上に配置することができる弓形状の貫通開口部102を有する第1の半導体ウェハ101から成るディスク状の基板(較正基板)の簡単な形態が示されている。貫通開口部102は弓形状に示されているが、必ずしも弓形状に構成する必要はない。さらに、貫通開口部102の平均弧半径が測定円39の半径と同じ半径を有し、したがって測定円39に沿って延在するように、貫通開口部102は基板上に配置されている。この実施形態においては、貫通開口部102は図1に示されている基板30の領域32に対応する。
【0061】
図2b)は図2a)に類似する実施例を示すが、貫通開口部102は別の基板103によって部分的に覆われている。これに関して、測定円39の半径上には半導体ウェハ101によってのみ覆われている第1の領域、材料非含領域(図1に示されている基板30の領域32に相当)、基板103によってのみ覆われている別の領域、半導体ウェハ101および基板103によって覆われている第4の領域が生じる。
【0062】
その種の基板を例えば700℃〜1100℃の範囲における透過率の測定のために使用することができる。第1の半導体ウェハは任意にドープされた、しかしながら有利には低ドープされたシリコンから成る半導体ウェハであり、有利には700μm〜800μmの厚さを有し、最大で1E16cm-3の異種材料でドーピングされている。貫通開口部102は有利には測定円の半径上に位置する弓形状の貫通口であり、有利には約3mm〜7mmの幅を有する。基板103は貫通口上には固定され、この貫通口を部分的に覆う。この基板103は有利には例えばシリコンのようなウェハ材料から成り、有利には同様に、最大で1E16cm-3で低ドープされており、また有利には20μm〜200μm、殊に30μm〜70μmの厚さを有する。
【0063】
ディスク状の基板30を例えば以下のように製造することができる。先ず、1E16cm-3よりも低いドーパント濃度を有し、標準的な厚さ775μmの低ドープされたウェハ101を出発材料とすることができる。このウェハからウェハ中心点の周りの測定円39上に沿って約120°の弓形状の部分がフライス削りされ、約3mm〜7mmの幅の弓形状の貫通口102が生じる。第2のステップにおいては、約40μm〜60μmの厚さで、シリコンから成り、同様に低ドープされており、1E16cm-3よりも低いドーパント濃度を有するウェハピース103が貫通口上において、この貫通口の一部が覆われて、貫通口のその他の部分が覆われないように固定される。このようにして製造された基板30は殊に700℃〜1100℃の温度範囲の較正周期に適している。何故ならば、約40μm〜60μmの厚さを有する低ドープされたウェハはIRビームに対して1100℃の温度までは依然として透過性であるが、775μmの標準的な層厚の低ドープされたウェハの透過率は約800℃を上回ると既にほぼ0になるからである。
【0064】
すなわち第1の半導体ウェハ101はここでは殊に基礎基板として、また基板103の安定化のために使用される。相応の較正周期において2つの半導体材料がその透過特性に関して較正される場合には、有意な温度依存性透過特性を求めることができる温度領域を必要に応じて拡張することができる。ここで、測定円39上には必要に応じて、それぞれが異なる温度依存性透過特性を有するさらに別の領域を複数設けることができることを言及しておく。
【0065】
上述の製造方法に代替的に、図2b)において製造された基板を、領域103内にその他の領域とは異なるドーパントを有する単一の半導体ウェハ101から構成することもできる。この場合、ドーパントを上方から注入することができる。続いて、対向する端部がそれぞれ異なるドープ型の領域に接触するように、貫通開口部102が測定円39上に構成される。さらに、領域103内の基板の下面には、貫通開口部102の弓形の形状に続く切り欠き部が形成される。これによって、貫通開口部102に隣接して位置する領域103のセクションが低減された厚さを有し、しかも、これはつなぎ合わされている2つの別個の半導体ウェハからなる基板30の構造に類似する。
【0066】
図2c)は、測定円39上に覆われていない貫通開口部102と、第2の基板103によって完全に覆われている別の貫通開口部104とが設けられている較正基板30を示す。この実施例においては、貫通開口部102は図1による材料非含領域32に対応する。ここでもまた、基板は例えば異なるドーピング領域を有するワンピースの半導体ウェハから構成することができ、このドーピング領域は一方では貫通されており、他方では貫通しない程度に除去されている。
【0067】
図2d)は、基板103が第1の半導体ウェハ101と固定して結合されている別の半導体ウェハであり、有利には2つの半導体ウェハの中心点が重なっている実施形態を示す。第1の半導体ウェハ101は第1の貫通開口部102を有し、この第1の貫通開口部102は、半導体ウェハ101の中心点の周囲の測定円39の縁部が第1の貫通開口部102によって少なくとも部分的に覆われるように第1の半導体ウェハ101上に配置されている。第2の半導体ウェハ103は別の貫通開口部106を有し、この別の貫通開口部106は、測定円39の半径と同じ半径を有する第2の半導体ウェハ103の中心点の周囲の円の縁部が別の貫通開口部106によって少なくとも部分的に覆われるように第2の半導体ウェハ103上に配置されている。この実施形態においては、貫通開口部106は図1に示されている基板30の材料非含領域32に対応する。
【0068】
2つの半導体ウェハ101および103は相互に固定的に結合されており、第1の半導体ウェハの外部縁と第2の半導体ウェハの外部縁とは一致している。2つの半導体ウェハは有利にはボンディングにより相互に結合されている。しかしながらこれらの半導体ウェハを接着剤によって相互に接着させることができるか、ネジまたは他の固定手段によって相互に結合させることができる。有利には、2つの半導体ウェハは、これらが相互に結合されている場合には、透過光源の光ビームを通過させるための共通の材料非含有通過領域を有するように、2つの貫通開口部102,106が少なくとも部分的に重畳するように相互に結合される。
【0069】
400℃〜700℃の温度測定のために、第1の半導体ウェハは有利には少なくとも5×1E17cm-3の異種材料で高ドープされており、有利には700μm〜800μmの厚さを有する。第2の半導体ウェハは最大で1E16cm-3の異種材料で低ドープされており、有利には500μm〜800μmの厚さを有する。半導体ウェハは例えばシリコン材料、GaAs、SiC、InPまたは他の化合物半導体から構成されている。
【0070】
例えばディスク状の基板30を、少なくとも5E17cm-3のドーパント濃度をする標準的な厚さの高ドープされたウェハから、ウェハ中心点の周囲の測定円39に沿った、約3mm〜7mmの幅を有する約120°の弓形状の部分がフライス削りされ、約5mmの幅の弓形状の貫通口102が生じることによって製造することができる。第2のステップにおいては、例えば775μmの標準的な厚さの同一の大きさの低ドープされたウェハ103の測定円39上に孔が設けられ、この孔の直径は高ドープされたウェハの弓形状の開口部の幅とほぼ同じ幅であり、低ドープされたウェハは1E16cm-3よりも低いドーパント濃度を有する。低ドープされたウェハの孔を高ドープされたウェハのフライス削りされた箇所の上に置き、続いて固定的に相互に結合させるように、2つのウェハ101と103が上下に重ねられる。一般的に、例えば複数のパイロメータを同時に較正すべき場合、および/または、複数の透過率測定ユニットが同時に駆動されるべき場合には、複数の測定半径上に複数の孔が設けられているヴァリエーションも考えられる。しかしながら、複数のパイロメータが同時に較正されるべき場合には、これらのパイロメータが同じ測定半径上に配置されることも有利である。
【0071】
図3a)〜3h)は、0〜2πの弧の測度で測定円に沿った断面図でのディスク状の基板30の別の実施形態を示す。図3a)〜3h)においては、同一または同等の構成要素を表している限りにおいて同一の参照番号が使用されている。
【0072】
図3a)は、測定円に沿った弧の測度の断面図での、基板部分103によって部分的に覆われている貫通開口部102を有する第1の半導体ウェハ101を示す。
【0073】
図3b)は、基板部分103が貫通開口部102を覆っていない別の実施例を示す。
【0074】
図3c)は、第1の半導体ウェハ101が貫通開口部102を有し、また半導体ウェハ101の領域として構成されている基板103が別の材料から成る実施例を示す。この種の実施例を、例えば、半導体ウェハ101の材料がその位置において別のドーパントを有するか、例えば反射層または反射防止層(例えば金属性のコーティング部)が設けられることによって形成することができる。有利には、ここでは少なくとも、半導体ウェハ101の表面が領域103の表面と共にそれぞれ平坦な平面を形成するが、上述のように例えば貫通開口部102に隣接する位置では低減された厚さを有することもできる。
【0075】
図3d)は、第1の貫通開口部102と、この第1の貫通開口部102とは間隔を空けている第2の貫通開口部104とを有する半導体ウェハ101から成る基板30を示す。第1の貫通開口部102および第2の貫通開口部104は弧の長さにおいて異なる寸法を有しているが、これは必ずしも必要ではない。第1の貫通開口部102は基板103によって部分的に覆われているが、第2の貫通開口部は覆われていない。
【0076】
図3e)は、図3d)に類似する、第1の貫通開口部102および第2の貫通開口部104が設けられている実施例を示す。しかしながらこの実施例においては、第2の貫通開口部104が基板103の材料によって完全に覆われており、第1の貫通開口部102は覆われていない。
【0077】
図3f)および3g)は、基板103が貫通開口部106を有し、この貫通開口部106が第1の半導体ウェハ101の貫通開口部102を部分的に覆っている実施例を示す。基板103はディスク状の基板の形状を有することができ、この基板は貫通開口部106を除き第1の半導体ウェハ101と同一の形状を有する。有利には基板103は第2の半導体ウェハである。
【0078】
最後に図3h)は、基板30が貫通開口部102,104を有する半導体ウェハならびに2つの別の材料から成る実施例を示す。半導体ウェハ101は有利には第2の半導体ウェハ103と固定的に結合されている。第2の半導体ウェハ103は貫通開口部106および別の貫通開口部108を有する。貫通開口部106および108は、第1の半導体ウェハ101の貫通開口部102および104を部分的に覆うように配置されている。第2の半導体ウェハ103は別のディスク状の基板109、有利には貫通開口部110を有する同じ大きさの第3の半導体ウェハと結合されている。貫通開口部110は光ビームが自由に通過できる少なくとも1つの領域が残されるように貫通開口部102および106を覆うように配置されている。
【0079】
図4aは、急速加熱チャンバ内で回転するディスク状の基板30において実施された較正プロセスの温度・時間経過を示す。この測定のために使用されたディスク状の基板30は図2bの実施形態に従い構成されたものである:出発材料は、1E16cm-3よりも低いドーパント濃度のホウ素により低ドープされた、標準的な厚さ775μmを有するウェハ101であった。このウェハからウェハ中心点の周りの測定円39に沿って約120°の弓形状の部分がフライス削りされ、約5mmの幅の弓形状の貫通口102が形成された。第2のステップにおいては、54μmの厚さで、シリコンから成り、同様に低ドープされており、1E16cm-3よりも低いドーパント濃度の蛍光物質により同様に低ドープされたウェハピース103が貫通口上において、この貫通口の一部が覆われて、貫通口のその他の部分が覆われないように固定された。
【0080】
この実施例においては、透過率測定がオープンループ加熱シーケンス中に実施された。先ず、約250秒間基板30が加熱された。続いて約80秒間基板30が冷却された。ディスク状の基板は、基板を加熱するためにハロゲンランプが設けられている急速加熱装置において緩慢に加熱された。ディスク状の基板の温度が熱的に較正されたパイロメータによって測定され、時間に依存して曲線200として記録された。
【0081】
図4bは、較正プロセスの間に回転する基板30を通過して検出器51を用いて記録された光源41の信号の例を示す。光源41が変調される間に、信号は時間の関数として検出器51の信号電圧の形態を示す。上側の曲線212を表している、光源41の光ビームが基板の貫通開口部を自由に通過する場合の信号電圧に相当する複数の上側の測定値が得られていることが見て取れる。真ん中の曲線214を表している、光源41の光ビームが基板の薄い半導体材料を通過する場合の信号電圧に相当する複数の真ん中の測定値が得られていることが見て取れる。基板の透過率は比較的高い温度では減少するので、曲線214は温度が上昇すると降下していることが見て取れる。
【0082】
光源41として、500Hzでパルス制御され駆動される、1550nmの放射波長を有するIRレーザダイオードが使用された。検出器51はレーザダイオードのビームも、基板30を加熱するハロゲンランプの外部ビーム成分(ランプビーム)並びに基板の固有ビームの一部(ウェハビーム)も検出する。このことは、光源41の最大ビーム強度が時間にわたり変化しないにもかかわらず、上側の測定値が温度の上昇に応じて曲線を表していることからも良く見て取れる。レーザダイオードがスイッチオフされている状態で検出器51によって測定された信号を求め、この値をレーザダイオードがスイッチオンされている状態で検出器51によって測定された信号電圧から減算することによって、この外部ビーム成分(バックグラウンドビーム)の和を求めることができる。
【0083】
図4cにおける曲線220はバックグラウンドビームについて補正された信号を示す。ここでもまた上側の曲線212と下側の曲線214が見て取れる。ここで上側の曲線212は(期待されるように)平坦であり、下側の曲線は温度の上昇に連れ0に近付く。曲線212の測定値と曲線214の測定値の比率から、基板の温度依存性透過特性を求めることができる。それ以外にも、右端では下側の曲線が温度の低下時に再び上昇し始めていることが見て取れる。差電圧がボルトの単位で時間にわたりプロットされている。
【0084】
図5a)は、急速加熱チャンバ内で基板30が約4回転する間の曲線220の経過を示す。曲線220の最大値221は、光源41の光ビームが基板30内の孔を通過して検出器51に入射し、光源41の出力強度I0に関する基準として使用される場合の透過信号のレベルを表す。曲線220のプラトー222は、低ドープされた薄いウェハピース103を通過する光源41の透過信号のレベルを示す。プラトー223は低ドープされた厚いウェハ101を通過する透過ビームのレベルを示す。これらの曲線から見て取れるように、y軸にプロットされている差電圧が約0.3Vであるので、ウェハ101は約660℃のウェハ温度では(図4aを参照されたい)、使用されるIRレーザの測定波長1550nmに対して光学的に依然として半透明である。最後に、曲線220の最小値224は、厚いウェハおよび薄いウェハを通過する光源41の透過信号のレベルを示す。
【0085】
図5bは、IRレーザが基板30内の孔を通過している間の244.36秒〜244.42秒の間の曲線220の経過の一部を示す。この時点において、基板の温度は約1050℃に達している。個々の測定は点225として示されている。この測定の経過からは、孔の通過後にIRレーザの透過信号をもはや測定できないことが見て取れる。このことは、1050℃の温度において薄いウェハがIRレーザのIRビームに対しては同様に、もはや殆ど透過性ではないことに起因する。
【0086】
図6は、低ドープされた薄いウェハに関する温度の関数としての透過係数310の経過ならびに低ドープされた厚いウェハに関する温度の関数としての透過係数320の経過が対数の尺度で示されている。
【0087】
基板30を形成する材料101,103および109は同一または異なる金属もしくは半導体でよいが、本発明の思想はこれに制限されるものではない。基板30を例えばSi,GaAs,InP,SiCのような半導体材料または他の化合物半導体材料から構成することができ、また基板30は局所的に異なるドーパント材料またはドーパント濃度を有していてもよい。シリコンが使用される場合には、例えばB,As,PまたはSbをドーパント材料として使用することができる。基板30を形成する材料101,103および109が局所的にまたは全体的に同一の反射特性または異なる反射特性を有していてもよい。これらの材料は反射性領域および非反射領域を有することができ、またこれらの材料を局所的に種々にコーティングすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハを熱処理する装置における温度測定装置を較正するためのディスク状の基板(30)であって、
少なくとも部分的に第1の材料から構成されており、
前記第1の材料は該第1の材料の温度に依存して透過特性が変化する、ディスク状の基板(30)において、
前記第1の材料内に少なくとも1つの貫通開口部(32)が設けられており、該第1の貫通開口部(32)は少なくとも1つの部分領域において、基板を通過する光ビームのための自由通路であることを特徴とする、ディスク状の基板(30)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの貫通開口部(32)は前記基板の中心点から間隔r1を空けて配置されている、請求項1記載の基板(30)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの貫通開口部(32)は前記第1の材料によって完全に縁取られている、請求項1または2記載の基板(30)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの貫通開口部(32)は弓形状であり、前記基板の中心点から間隔rを空けて円周上に位置する、請求項1または2記載の基板(30)。
【請求項5】
前記第1の材料は第1の半導体ウェハ(101)である、請求項1記載の基板(30)。
【請求項6】
前記第1の半導体ウェハ(101)はシリコンウェハである、請求項5記載の基板(30)。
【請求項7】
前記第1の半導体ウェハ(101)は少なくとも200mmの直径を有する、請求項5または6記載の基板(30)。
【請求項8】
前記第1の半導体ウェハは、少なくとも5×1E17cm-3の異種材料でドープされたシリコンウェハである、請求項5から7までのいずれか1項記載の基板(30)。
【請求項9】
前記第1の半導体ウェハは、最大で1E16cm-3の異種材料でドープされたシリコンから成る半導体ウェハである、請求項5から7までのいずれか1項記載の基板(30)。
【請求項10】
前記基板は少なくとも1つの第2の材料を有し、該第2の材料は前記基板の中心点から間隔rを空けて配置されている、請求項2から9までのいずれか1項記載の基板(30)。
【請求項11】
前記第1の材料における前記少なくとも1つの貫通開口部(32)は、1つの部分領域において前記少なくとも1つの第2の材料によって覆われている、請求項10記載の基板(30)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第2の材料は前記第1の材料とは異なる透過特性を有する、請求項10または11記載の基板(30)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第2の材料は該第2の材料の温度に依存して透過特性が変化する、請求項10から12までのいずれか1項記載の基板(30)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第2の材料は、グラファイト、Si、Ge、SiGe、GaAs、SiC、InPおよびInSbの化合物群から成る材料である、請求項10から13までのいずれか1項記載の基板(30)。
【請求項15】
前記第2の材料は前記第1の材料と同じ温度において光ビームに対して透過性である、請求項10から14までのいずれか1項記載の基板(30)。
【請求項16】
前記第2の材料は第2の半導体ウェハである、請求項10から15までのいずれか1項記載の基板(30)。
【請求項17】
前記第2の半導体ウェハは前記第1の半導体ウェハと同一の直径を有する、請求項5から15までのいずれか1項と組み合わされた請求項16記載の基板(30)。
【請求項18】
前記第2の半導体ウェハは、少なくとも5×1E17cm-3の異種材料でドープされたシリコンウェハである、請求項16または17記載の基板(30)。
【請求項19】
前記第2の半導体ウェハは、最大で1E16cm-3の異種材料でドープされたシリコンから成る半導体ウェハである、請求項16または17記載の基板(30)。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第2の材料は最大で250μmの厚さを有する単結晶の半導体材料から成る、請求項10から19までのいずれか1項記載の基板(30)。
【請求項21】
少なくとも1つの第2の貫通開口部が前記第1の材料内に設けられており、該第2の貫通開口部は少なくとも1つの部分領域において基板を通過する光ビームのための自由通路であり、且つ、前記基板の中心点から間隔r2を有するように配置されている、請求項1から20までのいずれか1項記載の基板(30)。
【請求項22】
r1≠r2である、請求項21記載の基板(30)。
【請求項23】
請求項1から22までのいずれか1項記載の基板(30)に関する複数の透過率・温度測定値を求める方法において、
a)光ビーム(46)を前記基板(30)に配向するステップ、
b)前記基板(30)を加熱および/または冷却するステップ、
c)前記光ビーム(46)の強度を前記基板(30)と対向する側において測定するステップ、
d)前記光ビーム(46)が毎回転時に少なくとも1つの貫通開口部(32)を自由に通過するように、回転軸(40)について前記基板(30)を回転させるステップ、
e)前記光ビーム(46)が前記少なくとも1つの貫通開口部(32)を自由に通過するときに測定された前記光ビーム(46)の強度と、前記光ビーム(46)が第1の材料を通過するときに測定された前記光ビーム(46)の強度の比較から前記基板(30)に関する複数の第1の透過率値を求めるステップ、ここで前記比較はその都度所定の期間内に得られる測定値に関して実施され、
f)前記所定の期間内に前記基板(30)の温度を求めるステップ、
g)前記所定の期間内に求められた前記第1の透過率値と、それぞれの期間内に測定された温度との関係を記録するステップ
を実施することを特徴とする、複数の透過率・温度測定値を求める方法。
【請求項24】
前記光ビーム(46)は束ねられた光ビーム(46)である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記光ビーム(46)のビーム直径は前記少なくとも1つの貫通開口部(32)の最小直径よりも小さい、請求項23または24記載の方法。
【請求項26】
前記光ビーム(46)はレーザ光ビームである、請求項23から25までのいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記光ビーム(46)は1310nmおよび/または1550nmの波長を有する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記光ビーム(46)は固有の偏光を有する、請求項22から27までのいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記光ビーム(46)を所定の周波数でパルス制御する、請求項23から28までのいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
前記光ビームのパルス周波数は100Hz〜10000Hzである、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記光ビーム(46)のパルス周波数は前記基板の回転数よりも少なくとも係数10だけ高い、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記基板(30)を毎分20〜500回転で回転させる、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記光ビーム(46)の強度に関する、前記透過率値を求めるために使用される測定信号を、少なくとも前記光ビーム(46)も測定される前記測定信号から、前記光ビーム(46)が測定されない少なくとも1つの測定信号の成分を減算することにより、前記光ビーム(46)に直接的に由来しない成分について補正する、請求項23から32までのいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記基板(30)の温度を非接触式に求める、請求項23から33までのいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
前記基板(30)の温度を、該基板に配向されているビーム測定ユニット、殊にパイロメータを介して求める、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記基板(30)の温度を、該基板の表面上において前記貫通開口部(32)が位置する環状領域において求める、請求項34または35記載の方法。
【請求項37】
前記基板(30)の温度を求めるために、前記貫通開口部(32)の領域に由来する測定値を考慮しない、請求項23から36までのいずれか1項記載の方法。
【請求項38】
前記基板(30)の加熱および/または冷却を10℃/sよりも低い加熱率ないし冷却率で実施する、請求項23から37までのいずれか1項記載の方法。
【請求項39】
前記所定の期間は2秒よりも短い期間を含む、請求項23から38までのいずれか1項記載の方法。
【請求項40】
さらに、
h)前記光ビームが前記少なくとも1つの貫通開口部(32)を自由に通過するときに測定された前記光ビームの強度と、前記光ビームが第2の材料を通過するときに測定された前記光ビームの強度との比較から前記基板(30)に関する複数の第2の透過率値を求めるステップ、ここで前記比較はその都度所定の第2の期間内に得られる測定値に関して実施され、
i)前記所定の第2の期間内に前記基板(30)の温度を求めるステップ、
j)前記所定の第2の期間内に求められた前記第2の透過率値と、それぞれの第2の期間内に測定された温度との関係を記録するステップ
を実施する、請求項23から29までのいずれか1項記載の方法。
【請求項41】
複数の透過率・温度測定値が既知である、請求項1から22までのいずれか1項記載の基板(30)を用いて、温度測定装置を較正する方法において、
a)光ビーム(46)を前記基板(30)に配向するステップ、
b)前記基板(30)を加熱および/または冷却するステップ、
c)前記光ビーム(46)の強度を前記基板(30)と対向する側において測定するステップ、
d)前記光ビーム(46)が毎回転時に少なくとも1つの貫通開口部(32)を自由に通過するように、回転軸(40)について前記基板(30)を回転させるステップ、
e)前記光ビーム(46)が前記少なくとも1つの貫通開口部(32)を自由に通過するときに測定された前記光ビーム(46)の強度と、前記光ビーム(46)が第1の材料を通過するときに測定された前記光ビーム(46)の強度の比較から前記基板(30)に関する複数の第1の透過率値を求めるステップ、ここで前記比較はその都度所定の期間内に得られる測定値に関して実施され、
f)前記基板(30)の温度と関係する少なくとも1つのパラメータを前記所定の期間内に測定するステップ、
g)前記基板に関する既知の複数の透過率・温度測定値に基づき、求められた前記第1の透過率値に1つの温度値をその都度対応付けるステップ、
h)前記所定の期間内に求められた前記第1の透過率値に対応付けられた温度値と、前記基板の温度に関係する、それぞれの期間内に測定された前記少なくとも1つのパラメータとの関係を記録するステップ
を実施することを特徴とする、温度測定装置を較正する方法。
【請求項42】
前記光ビーム(46)は束ねられた光ビーム(46)である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記光ビーム(46)のビーム直径は前記少なくとも1つの貫通開口部(32)の最小直径よりも小さい、請求項41または42記載の方法。
【請求項44】
前記光ビーム(46)はレーザ光ビームである、請求項41から43までのいずれか1項記載の方法。
【請求項45】
前記光ビーム(46)は1310nmおよび/または1550nmの波長を有する、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記光ビーム(46)は固有の偏光を有する、請求項41から45までのいずれか1項記載の方法。
【請求項47】
前記光ビーム(46)は所定の周波数でパルス制御される、請求項41から46までのいずれか1項記載の方法。
【請求項48】
前記光ビームのパルス周波数は100Hz〜10000Hzである、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記光ビーム(46)のパルス周波数は前記基板の回転数よりも少なくとも係数10だけ高い、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記基板(30)を毎分20〜500回転で回転させる、請求項41から49までのいずれか1項記載の方法。
【請求項51】
前記光ビーム(46)の強度に関する、前記透過率値を求めるために使用される測定信号を、少なくとも前記光ビーム(46)も測定される前記測定信号から、前記光ビーム(46)が測定されない少なくとも1つの測定信号の成分を減算することにより、前記光ビーム(46)に直接的に由来しない成分について補正する、請求項41から50までのいずれか1項記載の方法。
【請求項52】
前記基板(30)の温度に関するパラメータを非接触式に測定する、請求項41から51までのいずれか1項記載の方法。
【請求項53】
前記基板(30)の温度に関するパラメータを、前記基板に配向されているビーム測定ユニット、殊にパイロメータを介して測定する、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記基板(30)の温度に関する少なくとも1つのパラメータを、該基板の表面上において前記貫通開口部(32)が位置する環状領域において測定する、請求項52または53記載の方法。
【請求項55】
前記基板(30)の温度に関する少なくとも1つのパラメータを測定する際に、前記貫通開口部(32)の領域に由来する測定値を考慮しない、請求項41から54までのいずれか1項記載の方法。
【請求項56】
前記基板(30)の加熱および/または冷却を10℃/sよりも低い加熱率ないし冷却率で実施する、請求項41から55までのいずれか1項記載の方法。
【請求項57】
前記所定の期間は2秒よりも短い期間を含む、請求項41から56までのいずれか1項記載の方法。
【請求項58】
さらに、
i)前記光ビーム(46)が前記少なくとも1つの貫通開口部(32)を自由に通過するときに測定された前記光ビーム(46)の強度と、前記光ビーム(46)が第2の材料を通過するときに測定された前記光ビーム(46)の強度との比較から前記基板(30)に関する複数の第2の透過率値を求めるステップ、ここで前記比較はその都度所定の第2の期間内に得られる測定値に関して実施され、
j)前記所定の第2の期間内に、前記基板(30)の温度に関する少なくとも1つのパラメータを測定するステップ、
k)前記基板に関する既知の複数の透過率・温度測定値に基づき、求められた前記第2の透過率値に1つの温度値をその都度対応付けるステップ、
l)前記所定の第2の期間内に求められた前記第2の透過率値に対応付けられた温度値と、それぞれの第2の期間内に測定され、前記基板の温度に関する少なくとも1つのパラメータとの関係を記録するステップ
を実施する、請求項41から57までのいずれか1項記載の方法。
【請求項59】
基板、殊に半導体ウェハを熱処理する装置であって、
熱的な処理チャンバと、
基板収容領域を規定する前記処理チャンバ内に前記基板を保持する基板保持装置と、
前記基板保持装置を回転させる回転機構と、
前記処理チャンバ内に加熱ビームを放射する少なくとも1つのビーム源と、
前記基板が前記処理チャンバ内に収容されているときに前記基板から到来するビームを検出し、前記基板収容領域に配向されている少なくとも1つの第1の検出器とを備えた、基板を熱処理する装置において、
少なくとも1つの第2の検出器が設けられており、
少なくとも1つの第2のビーム源が設けられており、該第2のビーム源は前記処理チャンバおよび前記基板収容領域を通り前記第2の検出器の方向に配向されており、
前記第2のビーム源に直接的に由来するビームおよび前記第2の検出器において検出されたビームと、前記第2の検出器において検出されたその他のビームとを区別する手段が設けられていることを特徴とする、基板を熱処理する装置。
【請求項60】
前記第2のビーム源と基板収容面との間のビーム路を機械的に開閉するための少なくとも1つの装置が設けられている、請求項59記載の装置。
【請求項61】
熱処理中に前記第2のビーム源をパルス制御して駆動させるための制御装置が設けられている、請求項59または60記載の装置。
【請求項62】
前記第2の検出器と前記処理チャンバとの間に長く延びるビーム管が設けられており、該ビーム管は前記第2のビーム源に配向されている、請求項59から61までのいずれか1項記載の装置。
【請求項63】
実質的に直線的に延びる光のみを通過させるために前記ビーム管の内側面は構造化されている、請求項62記載の装置。
【請求項64】
実質的に直線的に延びる光のみを通過させるために前記ビーム管の内側面は光吸収性の高い材料から構成されている、請求項62または63記載の装置。
【請求項65】
前記基板に入射する前記第2のビーム源の前記光ビームは固有の偏光を有する、請求項59から64までのいずれか1項記載の装置。
【請求項66】
前記第2のビーム源は固有の波長を有する光を放射する、請求項59から65までのいずれか1項記載の装置。
【請求項67】
前記第2のビーム源はレーザである、請求項59から66までのいずれか1項記載の装置。
【請求項68】
前記レーザはダイオードレーザである、請求項67記載の装置。
【請求項69】
前記第2のビーム源は1310nmおよび/または1550nmの波長を有する光を放射する、請求項66から68までのいずれか1項記載の装置。
【請求項70】
前記第2の検出器と前記処理チャンバとの間にフィルタが配置されており、該フィルタは前記固有の波長以外の波長を有する光を少なくとも部分的にフィルタリングする、請求項66から69までのいずれか1項記載の装置。
【請求項71】
前記第1の検出器は前記回転機構の回転軸から間隔r1を空けて前記基板収容領域に配向されており、前記第2のビーム源は前記回転機構の回転軸から間隔r1を空けて前記基板収容領域に配向されている、請求項59から70までのいずれか1項記載の装置。
【請求項72】
前記熱的な処理チャンバ(19)は半導体ウェハを熱処理するための急速加熱システム(1)の処理チャンバである、請求項59から71までのいずれか1項記載の装置。
【請求項73】
加熱ビームを前記処理チャンバ内に放射するための複数のビーム源が設けられており、前記回転機構(38)の上方と下方それぞれにビーム源(22,23)が少なくとも1つ設けられている、請求項59から72までのいずれか1項記載の装置。
【請求項74】
加熱ビームを前記処理チャンバ内に放射するための少なくとも1つのビーム源は少なくとも1つのハロゲンランプおよび/または少なくとも1つのアークランプを有する、請求項59から73までのいずれか1項記載の装置。
【請求項75】
前記第1の検出器および/または前記第2の検出器は、前記基板に配向されているビーム測定ユニット、殊にパイロメータを有する、請求項59から74までのいずれか1項記載の装置。
【請求項76】
請求項59から75までのいずれか1項記載の基板を熱処理する装置における温度測定装置の較正装置において、
基板保持装置の回転時に貫通開口部(32)が第2のビーム源と第2の検出器との間のビーム路内に収まるように、基板保持装置上に請求項1から22までの1項記載の基板が収容されていることを特徴とする、較正装置。
【請求項1】
半導体ウェハを熱処理する装置における温度測定装置を較正するためのディスク状の基板(30)であって、
少なくとも部分的に第1の材料から構成されており、
前記第1の材料は該第1の材料の温度に依存して透過特性が変化する、ディスク状の基板(30)において、
前記第1の材料内に少なくとも1つの貫通開口部(32)が設けられており、該第1の貫通開口部(32)は少なくとも1つの部分領域において、基板を通過する光ビームのための自由通路であることを特徴とする、ディスク状の基板(30)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの貫通開口部(32)は前記基板の中心点から間隔r1を空けて配置されている、請求項1記載の基板(30)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの貫通開口部(32)は前記第1の材料によって完全に縁取られている、請求項1または2記載の基板(30)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの貫通開口部(32)は弓形状であり、前記基板の中心点から間隔rを空けて円周上に位置する、請求項1または2記載の基板(30)。
【請求項5】
前記第1の材料は第1の半導体ウェハ(101)である、請求項1記載の基板(30)。
【請求項6】
前記第1の半導体ウェハ(101)はシリコンウェハである、請求項5記載の基板(30)。
【請求項7】
前記第1の半導体ウェハ(101)は少なくとも200mmの直径を有する、請求項5または6記載の基板(30)。
【請求項8】
前記第1の半導体ウェハは、少なくとも5×1E17cm-3の異種材料でドープされたシリコンウェハである、請求項5から7までのいずれか1項記載の基板(30)。
【請求項9】
前記第1の半導体ウェハは、最大で1E16cm-3の異種材料でドープされたシリコンから成る半導体ウェハである、請求項5から7までのいずれか1項記載の基板(30)。
【請求項10】
前記基板は少なくとも1つの第2の材料を有し、該第2の材料は前記基板の中心点から間隔rを空けて配置されている、請求項2から9までのいずれか1項記載の基板(30)。
【請求項11】
前記第1の材料における前記少なくとも1つの貫通開口部(32)は、1つの部分領域において前記少なくとも1つの第2の材料によって覆われている、請求項10記載の基板(30)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第2の材料は前記第1の材料とは異なる透過特性を有する、請求項10または11記載の基板(30)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第2の材料は該第2の材料の温度に依存して透過特性が変化する、請求項10から12までのいずれか1項記載の基板(30)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第2の材料は、グラファイト、Si、Ge、SiGe、GaAs、SiC、InPおよびInSbの化合物群から成る材料である、請求項10から13までのいずれか1項記載の基板(30)。
【請求項15】
前記第2の材料は前記第1の材料と同じ温度において光ビームに対して透過性である、請求項10から14までのいずれか1項記載の基板(30)。
【請求項16】
前記第2の材料は第2の半導体ウェハである、請求項10から15までのいずれか1項記載の基板(30)。
【請求項17】
前記第2の半導体ウェハは前記第1の半導体ウェハと同一の直径を有する、請求項5から15までのいずれか1項と組み合わされた請求項16記載の基板(30)。
【請求項18】
前記第2の半導体ウェハは、少なくとも5×1E17cm-3の異種材料でドープされたシリコンウェハである、請求項16または17記載の基板(30)。
【請求項19】
前記第2の半導体ウェハは、最大で1E16cm-3の異種材料でドープされたシリコンから成る半導体ウェハである、請求項16または17記載の基板(30)。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第2の材料は最大で250μmの厚さを有する単結晶の半導体材料から成る、請求項10から19までのいずれか1項記載の基板(30)。
【請求項21】
少なくとも1つの第2の貫通開口部が前記第1の材料内に設けられており、該第2の貫通開口部は少なくとも1つの部分領域において基板を通過する光ビームのための自由通路であり、且つ、前記基板の中心点から間隔r2を有するように配置されている、請求項1から20までのいずれか1項記載の基板(30)。
【請求項22】
r1≠r2である、請求項21記載の基板(30)。
【請求項23】
請求項1から22までのいずれか1項記載の基板(30)に関する複数の透過率・温度測定値を求める方法において、
a)光ビーム(46)を前記基板(30)に配向するステップ、
b)前記基板(30)を加熱および/または冷却するステップ、
c)前記光ビーム(46)の強度を前記基板(30)と対向する側において測定するステップ、
d)前記光ビーム(46)が毎回転時に少なくとも1つの貫通開口部(32)を自由に通過するように、回転軸(40)について前記基板(30)を回転させるステップ、
e)前記光ビーム(46)が前記少なくとも1つの貫通開口部(32)を自由に通過するときに測定された前記光ビーム(46)の強度と、前記光ビーム(46)が第1の材料を通過するときに測定された前記光ビーム(46)の強度の比較から前記基板(30)に関する複数の第1の透過率値を求めるステップ、ここで前記比較はその都度所定の期間内に得られる測定値に関して実施され、
f)前記所定の期間内に前記基板(30)の温度を求めるステップ、
g)前記所定の期間内に求められた前記第1の透過率値と、それぞれの期間内に測定された温度との関係を記録するステップ
を実施することを特徴とする、複数の透過率・温度測定値を求める方法。
【請求項24】
前記光ビーム(46)は束ねられた光ビーム(46)である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記光ビーム(46)のビーム直径は前記少なくとも1つの貫通開口部(32)の最小直径よりも小さい、請求項23または24記載の方法。
【請求項26】
前記光ビーム(46)はレーザ光ビームである、請求項23から25までのいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記光ビーム(46)は1310nmおよび/または1550nmの波長を有する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記光ビーム(46)は固有の偏光を有する、請求項22から27までのいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記光ビーム(46)を所定の周波数でパルス制御する、請求項23から28までのいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
前記光ビームのパルス周波数は100Hz〜10000Hzである、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記光ビーム(46)のパルス周波数は前記基板の回転数よりも少なくとも係数10だけ高い、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記基板(30)を毎分20〜500回転で回転させる、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記光ビーム(46)の強度に関する、前記透過率値を求めるために使用される測定信号を、少なくとも前記光ビーム(46)も測定される前記測定信号から、前記光ビーム(46)が測定されない少なくとも1つの測定信号の成分を減算することにより、前記光ビーム(46)に直接的に由来しない成分について補正する、請求項23から32までのいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記基板(30)の温度を非接触式に求める、請求項23から33までのいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
前記基板(30)の温度を、該基板に配向されているビーム測定ユニット、殊にパイロメータを介して求める、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記基板(30)の温度を、該基板の表面上において前記貫通開口部(32)が位置する環状領域において求める、請求項34または35記載の方法。
【請求項37】
前記基板(30)の温度を求めるために、前記貫通開口部(32)の領域に由来する測定値を考慮しない、請求項23から36までのいずれか1項記載の方法。
【請求項38】
前記基板(30)の加熱および/または冷却を10℃/sよりも低い加熱率ないし冷却率で実施する、請求項23から37までのいずれか1項記載の方法。
【請求項39】
前記所定の期間は2秒よりも短い期間を含む、請求項23から38までのいずれか1項記載の方法。
【請求項40】
さらに、
h)前記光ビームが前記少なくとも1つの貫通開口部(32)を自由に通過するときに測定された前記光ビームの強度と、前記光ビームが第2の材料を通過するときに測定された前記光ビームの強度との比較から前記基板(30)に関する複数の第2の透過率値を求めるステップ、ここで前記比較はその都度所定の第2の期間内に得られる測定値に関して実施され、
i)前記所定の第2の期間内に前記基板(30)の温度を求めるステップ、
j)前記所定の第2の期間内に求められた前記第2の透過率値と、それぞれの第2の期間内に測定された温度との関係を記録するステップ
を実施する、請求項23から29までのいずれか1項記載の方法。
【請求項41】
複数の透過率・温度測定値が既知である、請求項1から22までのいずれか1項記載の基板(30)を用いて、温度測定装置を較正する方法において、
a)光ビーム(46)を前記基板(30)に配向するステップ、
b)前記基板(30)を加熱および/または冷却するステップ、
c)前記光ビーム(46)の強度を前記基板(30)と対向する側において測定するステップ、
d)前記光ビーム(46)が毎回転時に少なくとも1つの貫通開口部(32)を自由に通過するように、回転軸(40)について前記基板(30)を回転させるステップ、
e)前記光ビーム(46)が前記少なくとも1つの貫通開口部(32)を自由に通過するときに測定された前記光ビーム(46)の強度と、前記光ビーム(46)が第1の材料を通過するときに測定された前記光ビーム(46)の強度の比較から前記基板(30)に関する複数の第1の透過率値を求めるステップ、ここで前記比較はその都度所定の期間内に得られる測定値に関して実施され、
f)前記基板(30)の温度と関係する少なくとも1つのパラメータを前記所定の期間内に測定するステップ、
g)前記基板に関する既知の複数の透過率・温度測定値に基づき、求められた前記第1の透過率値に1つの温度値をその都度対応付けるステップ、
h)前記所定の期間内に求められた前記第1の透過率値に対応付けられた温度値と、前記基板の温度に関係する、それぞれの期間内に測定された前記少なくとも1つのパラメータとの関係を記録するステップ
を実施することを特徴とする、温度測定装置を較正する方法。
【請求項42】
前記光ビーム(46)は束ねられた光ビーム(46)である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記光ビーム(46)のビーム直径は前記少なくとも1つの貫通開口部(32)の最小直径よりも小さい、請求項41または42記載の方法。
【請求項44】
前記光ビーム(46)はレーザ光ビームである、請求項41から43までのいずれか1項記載の方法。
【請求項45】
前記光ビーム(46)は1310nmおよび/または1550nmの波長を有する、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記光ビーム(46)は固有の偏光を有する、請求項41から45までのいずれか1項記載の方法。
【請求項47】
前記光ビーム(46)は所定の周波数でパルス制御される、請求項41から46までのいずれか1項記載の方法。
【請求項48】
前記光ビームのパルス周波数は100Hz〜10000Hzである、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記光ビーム(46)のパルス周波数は前記基板の回転数よりも少なくとも係数10だけ高い、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記基板(30)を毎分20〜500回転で回転させる、請求項41から49までのいずれか1項記載の方法。
【請求項51】
前記光ビーム(46)の強度に関する、前記透過率値を求めるために使用される測定信号を、少なくとも前記光ビーム(46)も測定される前記測定信号から、前記光ビーム(46)が測定されない少なくとも1つの測定信号の成分を減算することにより、前記光ビーム(46)に直接的に由来しない成分について補正する、請求項41から50までのいずれか1項記載の方法。
【請求項52】
前記基板(30)の温度に関するパラメータを非接触式に測定する、請求項41から51までのいずれか1項記載の方法。
【請求項53】
前記基板(30)の温度に関するパラメータを、前記基板に配向されているビーム測定ユニット、殊にパイロメータを介して測定する、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記基板(30)の温度に関する少なくとも1つのパラメータを、該基板の表面上において前記貫通開口部(32)が位置する環状領域において測定する、請求項52または53記載の方法。
【請求項55】
前記基板(30)の温度に関する少なくとも1つのパラメータを測定する際に、前記貫通開口部(32)の領域に由来する測定値を考慮しない、請求項41から54までのいずれか1項記載の方法。
【請求項56】
前記基板(30)の加熱および/または冷却を10℃/sよりも低い加熱率ないし冷却率で実施する、請求項41から55までのいずれか1項記載の方法。
【請求項57】
前記所定の期間は2秒よりも短い期間を含む、請求項41から56までのいずれか1項記載の方法。
【請求項58】
さらに、
i)前記光ビーム(46)が前記少なくとも1つの貫通開口部(32)を自由に通過するときに測定された前記光ビーム(46)の強度と、前記光ビーム(46)が第2の材料を通過するときに測定された前記光ビーム(46)の強度との比較から前記基板(30)に関する複数の第2の透過率値を求めるステップ、ここで前記比較はその都度所定の第2の期間内に得られる測定値に関して実施され、
j)前記所定の第2の期間内に、前記基板(30)の温度に関する少なくとも1つのパラメータを測定するステップ、
k)前記基板に関する既知の複数の透過率・温度測定値に基づき、求められた前記第2の透過率値に1つの温度値をその都度対応付けるステップ、
l)前記所定の第2の期間内に求められた前記第2の透過率値に対応付けられた温度値と、それぞれの第2の期間内に測定され、前記基板の温度に関する少なくとも1つのパラメータとの関係を記録するステップ
を実施する、請求項41から57までのいずれか1項記載の方法。
【請求項59】
基板、殊に半導体ウェハを熱処理する装置であって、
熱的な処理チャンバと、
基板収容領域を規定する前記処理チャンバ内に前記基板を保持する基板保持装置と、
前記基板保持装置を回転させる回転機構と、
前記処理チャンバ内に加熱ビームを放射する少なくとも1つのビーム源と、
前記基板が前記処理チャンバ内に収容されているときに前記基板から到来するビームを検出し、前記基板収容領域に配向されている少なくとも1つの第1の検出器とを備えた、基板を熱処理する装置において、
少なくとも1つの第2の検出器が設けられており、
少なくとも1つの第2のビーム源が設けられており、該第2のビーム源は前記処理チャンバおよび前記基板収容領域を通り前記第2の検出器の方向に配向されており、
前記第2のビーム源に直接的に由来するビームおよび前記第2の検出器において検出されたビームと、前記第2の検出器において検出されたその他のビームとを区別する手段が設けられていることを特徴とする、基板を熱処理する装置。
【請求項60】
前記第2のビーム源と基板収容面との間のビーム路を機械的に開閉するための少なくとも1つの装置が設けられている、請求項59記載の装置。
【請求項61】
熱処理中に前記第2のビーム源をパルス制御して駆動させるための制御装置が設けられている、請求項59または60記載の装置。
【請求項62】
前記第2の検出器と前記処理チャンバとの間に長く延びるビーム管が設けられており、該ビーム管は前記第2のビーム源に配向されている、請求項59から61までのいずれか1項記載の装置。
【請求項63】
実質的に直線的に延びる光のみを通過させるために前記ビーム管の内側面は構造化されている、請求項62記載の装置。
【請求項64】
実質的に直線的に延びる光のみを通過させるために前記ビーム管の内側面は光吸収性の高い材料から構成されている、請求項62または63記載の装置。
【請求項65】
前記基板に入射する前記第2のビーム源の前記光ビームは固有の偏光を有する、請求項59から64までのいずれか1項記載の装置。
【請求項66】
前記第2のビーム源は固有の波長を有する光を放射する、請求項59から65までのいずれか1項記載の装置。
【請求項67】
前記第2のビーム源はレーザである、請求項59から66までのいずれか1項記載の装置。
【請求項68】
前記レーザはダイオードレーザである、請求項67記載の装置。
【請求項69】
前記第2のビーム源は1310nmおよび/または1550nmの波長を有する光を放射する、請求項66から68までのいずれか1項記載の装置。
【請求項70】
前記第2の検出器と前記処理チャンバとの間にフィルタが配置されており、該フィルタは前記固有の波長以外の波長を有する光を少なくとも部分的にフィルタリングする、請求項66から69までのいずれか1項記載の装置。
【請求項71】
前記第1の検出器は前記回転機構の回転軸から間隔r1を空けて前記基板収容領域に配向されており、前記第2のビーム源は前記回転機構の回転軸から間隔r1を空けて前記基板収容領域に配向されている、請求項59から70までのいずれか1項記載の装置。
【請求項72】
前記熱的な処理チャンバ(19)は半導体ウェハを熱処理するための急速加熱システム(1)の処理チャンバである、請求項59から71までのいずれか1項記載の装置。
【請求項73】
加熱ビームを前記処理チャンバ内に放射するための複数のビーム源が設けられており、前記回転機構(38)の上方と下方それぞれにビーム源(22,23)が少なくとも1つ設けられている、請求項59から72までのいずれか1項記載の装置。
【請求項74】
加熱ビームを前記処理チャンバ内に放射するための少なくとも1つのビーム源は少なくとも1つのハロゲンランプおよび/または少なくとも1つのアークランプを有する、請求項59から73までのいずれか1項記載の装置。
【請求項75】
前記第1の検出器および/または前記第2の検出器は、前記基板に配向されているビーム測定ユニット、殊にパイロメータを有する、請求項59から74までのいずれか1項記載の装置。
【請求項76】
請求項59から75までのいずれか1項記載の基板を熱処理する装置における温度測定装置の較正装置において、
基板保持装置の回転時に貫通開口部(32)が第2のビーム源と第2の検出器との間のビーム路内に収まるように、基板保持装置上に請求項1から22までの1項記載の基板が収容されていることを特徴とする、較正装置。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【公表番号】特表2010−539681(P2010−539681A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523625(P2010−523625)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【国際出願番号】PCT/IB2008/053613
【国際公開番号】WO2009/044303
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(502278714)マットソン テクノロジー インコーポレイテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】Mattson Technology, Inc.
【住所又は居所原語表記】47131 Bayside Parkway, Fremont, CA 94538, USA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【国際出願番号】PCT/IB2008/053613
【国際公開番号】WO2009/044303
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(502278714)マットソン テクノロジー インコーポレイテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】Mattson Technology, Inc.
【住所又は居所原語表記】47131 Bayside Parkway, Fremont, CA 94538, USA
【Fターム(参考)】
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