説明

輸送用保冷ケース

【課題】容易に廃棄でき、かつ、被収容物の鮮度を確保できる輸送用保冷ケースを提供する。
【解決手段】容器本体1を耐水性板紙材製とすることで、容易に廃棄できる。外板16と内板35との間に保冷用の空間部S2を形成して保冷性を向上する。底板7に設けた各孔部18に空間部S2を介して連通する切欠部47および解体孔部56を内板35に設ける。収容空間S1に収容した被収容物からの水分を、切欠部47および解体孔部56と空間部S2とを介して各孔部18から容器本体1の外部に排出することで、被収容物の鮮度を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば生鮮品などの被収容物を収容する輸送用保冷ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆる発泡スチロールなどの発泡性合成樹脂にて形成された容器本体および蓋体を備えた輸送用保冷ケースがある。このような輸送用保冷ケースは、箱本体に例えば魚類などの生鮮品を冷却用の氷などとともに収容し、蓋体を容器本体に被嵌して輸送、あるいは出荷などする。
【0003】
しかしながら、上記輸送用保冷ケースでは、輸送時などに経時的に氷が溶けて水分が生じ、容器本体内に溜まってこの水分が生鮮品を傷めるおそれがある。
【0004】
そこで、氷などの溶解により生じた水分を、容器本体から外部へと排出する孔部を設けた輸送用保冷ケースが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許第2939746号公報(第2−3頁、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の輸送用保冷ケースでは、発泡スチロールを適切に処理しないと、環境に好ましくない影響を与えるガスなどを発生するおそれがあるため、使用済み後の廃棄処理に経費がかかり、また、被収容物とともに輸送用保冷ケースを家庭などに配送した場合には、各家庭において解体および分別などの労を生じ、かつ、再利用も容易でないなどの問題点を有している。
【0006】
そこで、廃棄処理の容易な厚板紙材にて容器本体および蓋体を形成することが考えられるが、一般的な厚板紙材は、発泡スチロール製の収容箱に比べて保冷性の面で不利であり、被収容物の鮮度を保つことが容易でないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、容易に廃棄でき、かつ、被収容物の鮮度を確保できる輸送用保冷ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の輸送用保冷ケースは、底板と、この底板の外縁部に延設された外板と、この外板から延設された内板とを有し、前記底板から前記外板を曲げ起こすとともにこの外板の内側へと前記内板を折り込んで、この内板で囲まれ被収容物を収容する収容空間と、この収容空間に連通する上面開口と、前記収容空間の周囲にて前記外板と前記内板との間に区画される保冷用の空間部とを形成するように組み立てられる耐水性板紙材製の容器本体を備え、前記底板と前記外板との少なくともいずれか一方に、前記空間部に連通する排水用の孔部が設けられ、前記内板には、前記空間部を介して前記孔部に連通する切欠部が設けられているものである。
【0009】
請求項2記載の輸送用保冷ケースは、請求項1記載の輸送用保冷ケースにおいて、孔部は、底板に設けられ、前記孔部と、上側に積み重ねられた容器本体の孔部とを連通させる開口部が設けられているものである。
【0010】
請求項3記載の輸送用保冷ケースは、請求項1または2記載の輸送用保冷ケースにおいて、切欠部は、少なくとも一部が容器本体の解体用であるものである。
【0011】
請求項4記載の輸送用保冷ケースは、請求項1ないし3いずれか一記載の輸送用保冷ケースにおいて、底板の下部に、下側に積み重ねられた容器本体の上側開口の少なくとも一部に係合して積み重ねられた容器本体同士のずれ移動を防止するずれ移動防止部が設けられているものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、容器本体を耐水性板紙材製とすることで、容易に廃棄でき、かつ、外板と内板との間に保冷用の空間部を形成して保冷性を向上するとともに、底板と外板との少なくともいずれか一方に設けられた孔部に空間部を介して連通する切欠部を内板に設けることにより、収容空間に収容された被収容物からの水分を、切欠部と空間部とを介して孔部から容器本体の外部に排出することで、被収容物の鮮度を確保できる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、容器本体の底板に設けた孔部と、この容器本体の上側に積み重ねられた容器本体の底板に設けた孔部とを開口部で連通することで、容器本体を積み重ねて使用した際に、上側の容器本体の孔部からの排水を下側の容器本体の被収容物などに掛けることなく開口部を介して最下部に位置する容器本体の孔部から排出でき、容器本体を積み重ねた状態で使用しても、被収容物の鮮度を確保できる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、切欠部の少なくとも一部を容器本体の解体用とすることで、この切欠部を用いて容器本体を容易に解体でき、利便性を向上できる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、底板の下部に、下側に積み重ねられた容器本体の上側開口の少なくとも一部に係合するずれ移動防止部を設けることで、例えば梱包帯などを用いることなく積み重ねた容器本体同士のずれ移動を確実に防止できるとともに、蓋板などを用いることなく下側の容器本体の上面開口を底板で閉塞して梱包の作業性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態の輸送用保冷ケースの構成を図1ないし図6を参照して説明する。
【0017】
図1および図2は輸送用保冷ケースとしての積み重ね用保冷段ボールケースを示し、この積み重ね用保冷段ボールケースは、耐水性の段ボール板材にて四角形箱状に組み立てられた容器本体1を備え、この容器本体1の四角形状の上面開口3が耐水性の段ボール板材の蓋板5によって閉塞可能な構成となっており、容器本体1単体に蓋板5を用いたり、図3に示すように、複数の容器本体1を積み重ねて最上段の容器本体1の上面開口3を蓋板5にて閉塞するように使用したりすることが可能なものである。
【0018】
そして、図6に示すように、容器本体1の段ボール板材には、略四角形状の相対する長辺側の両側辺縁と相対する短辺側の両端辺縁とを有する四角形状の底板7が形成されている。
【0019】
また、この底板7の両側片縁には、これら両側片縁に沿って形成した折り目11,11から折り曲げられる外面側板部12,12が延設され、さらに、底板7の両端辺縁には、これら両端辺縁に沿って形成した折り目13,13から折り曲げられる外面端板部14,14が延設され、これら外面側板部12,12と外面端板部14,14との間が、連結板部15,15,15,15により連結されている。そして、これら外面側板部12,12と外面端板部14,14とで、容器本体1の外板16(図1)が構成される。また、底板7の外面側には、ずれ移動防止部17,17が形成されている。さらに、底板7の四隅には、それぞれ四角形状の孔部18,18,18,18が穿設されている。
【0020】
各外面側板部12は、図6に示す上下方向に長手状の長方形状に形成され、底板7と反対側に、折り目21,22を介して長方形状の上側板部23と略長方形状の内面側板部24とが順次延設され、各内面側板部24の両端部に、折り目26を介して係合フラップ部27,27が延設されている。
【0021】
また、各外面端板部14は、図6に示す左右方向に長手状の長方形状に形成され、底板7と反対側に、折り目31,32を介して長方形状の上端板部33と略長方形状の内面端板部34とが順次延設されている。
【0022】
そして、内面側板部24,24と内面端板部34,34とで、図1に示すように、容器本体1の内板35が構成され、この内板35の内方に、海産物、水産物などの生鮮品である被収容物を収容する収容空間S1が区画されるとともに、この収容空間S1の周囲にて、内板35と外板16との間に、保冷用の空間部S2が区画される。
【0023】
図6に戻って、各上側板部23の長手寸法は、底板7の孔部18,18の図6に示す上下方向間の距離と略等しく形成されている。すなわち、これら上側板部23は、各外面側板部12よりも長手寸法が若干小さく形成され、両端部に段差部23a,23aがそれぞれ形成されている。そして、これら上側板部23の段差部23a,23aは、図1および図4に示すように、容器本体1を組み立てた状態で、各孔部18に対応してこれら孔部18の上方に形成される開口部37の縁部の一部を形成している。
【0024】
各内面側板部24は、容器本体1を組み立てた状態で、各上側板部23の幅寸法分、各外面側板部12と離間されて略平行に配設され、これら外面側板部12との間に空間部S2の各側部を形成している。また、各内面側板部24の上側板部23と反対側には、略長方形状の重合板部41が折り目42を介して延設されている。
【0025】
ここで、各重合板部41は、容器本体1を組み立てた状態で、各折り目42から各内面側板部24の各外面側板部12と反対側である内方へと折り曲げられ、底板7上に重合されてこの底板7に接する部分である。また、各重合板部41と各内面側板部24との連続部には、折り目42の中央部にて、各重合板部41を各内面側板部24に対して折り曲げた状態で、切り起こし突部44が各重合側板部14と一体的に切り起こし形成され、これら切り起こし形成された切り起こし突部44の切り込みにより、各内面側板部24の折り曲げ状態での下端縁の中央部に、空間部S2内に収容空間S1内の冷気を流入させる連通孔としての冷気流入孔45が切り欠き形成される。そして、切り起こし突部44の先端部が各外面側板部12に当接することにより、各外面側板部12と各内面側板部24との間にて、空間部S2の形状が保持される。
【0026】
さらに、各重合板部41には、四角形状の切欠部47,47が図6に示す上下方向の両端近傍にそれぞれ切り欠き形成されている。これら切欠部47は、折り目42と交差して各重合板部41から各内面側板部24まで連続して形成されている。このため、これら切欠部47は、各重合板部41を底板7上に重合した状態で底板7上に位置し、空間部S2を介して収容空間S1と孔部18とを連通する。
【0027】
各係合フラップ部27は、各内面側板部24と反対側である先端部に、図6に示す左右方向の係合フラップ部27同士を係合させる係合切欠部51が切り欠き形成され、この係合切欠部51が形成されている近傍にこの係合切欠部51に係合される係合片部52が形成されている。
【0028】
係合切欠部51は、図6に示す上側左右に位置する係合フラップ部27,27には、左側に切り欠き形成され、図6に示す下側左右に位置する係合フラップ部27,27には、右側に切り欠き形成されている。したがって、図5に示すように、容器本体1を組み立てる際に、長手方向の一端での係合切欠部51,51と係合片部52,52との係合方向が、長手方向の他端での係合切欠部51,51と係合片部52,52との係合方向と反対となっている。
【0029】
また、各係合フラップ部27と各内面側板部24との連続部である折り目26は、重合板部41側の部分が図6に示す上下方向の中心側へと段差状に切り込み形成されており、容器本体1の組み立て状態で各係合フラップ部27が折り目26から各内面側板部24に対して折り曲げられることで、上記切り込み部分が、各内面端板部34の両側が係合される係合凹部53となる。
【0030】
一方、各上端板部33の幅寸法は、底板7の孔部18,18の図6に示す左右方向間の距離と略等しく形成されている。すなわち、これら上端板部33は、各外面端板部14よりも幅寸法が若干小さく形成され、両側部に段差部33a,33aが形成されている。そして、これら上端板部33の段差部33a,33aは、図5に示すように、容器本体1を組み立てた状態で、各孔部18に対応してこれら孔部18の上方に形成される開口部37の縁部の一部を形成している。
【0031】
各内面端板部34は、図1に示すように、容器本体1を組み立てた状態で、各上端板部33の図6に示す上下方向寸法分、各外面端板部14と離間されて略平行に配設され、これら外面端板部14との間に空間部S2の各端部を形成している。また、各内面端板部34の各上端板部33と反対側である先端側の幅方向両側には、各係合フラップ部27を折り目26に沿って折り曲げることで形成される係合凹部53に係合される係合凸部54,54が突設されている。
【0032】
さらに、各内面端板部34の各上端板部33と反対側である先端側の両側部には、容器本体1の組み立ての際の各内面端板部34と各内面側板部24との擦れを抑制するための切り落とし部55,55(図6)が傾斜状に切り落とし形成されている。そして、各内面端板部34の先端縁、すなわち底板7と接する部分の中央部には、切欠部としての解体孔部56が切り欠き形成されている。この解体孔部56は、略半円状に切り欠き形成され、底板7上に位置し、空間部S2を介して収容空間S1と孔部18とを連通するとともに、空間部S2内に収容空間S1内の冷気を流入させる連通孔としての機能を有し、かつ、容器本体1の解体時には、各内面端板部34を上方に開く際に指が挿入される、解体用の孔部である。
【0033】
また、各連結板部15は、図6に示すように、各外面側板部12側に折り目58を介して連続する連結側板15aと、各外面端板部14側に折り目59を介して連続する連結端板15bとが、底板7の角部に連続する折り目61にて連続した形状に形成されている。
【0034】
各ずれ移動防止部17は、図2に示すように、例えば容器本体1を構成する耐水性の段ボール板材よりも若干厚みが大きい耐水性の段ボール板材などにより、例えば容器本体1の長手方向に沿って長手状に形成され、互いに幅方向に離間されている。
【0035】
なお、各ずれ移動防止部17は、上面開口3の内縁に係合してずれ移動を防止するものであれば、その形状および設ける個数などは問わない。
【0036】
各孔部18は、収容空間S1に生鮮品などの被収容物を、例えば氷とともに収容した場合などに、この氷が解けて生じる水分などを、容器本体1の外部に排出するためのものである。
【0037】
さらに、図1に示すように、蓋板5は、容器本体1の上面開口面を閉塞する四角形状の蓋板部64と、この蓋板部64の相対する両側辺縁65を両端辺縁66側から容器本体1の上側板部23の幅寸法分内側の位置にて下方に向かって切り起こし形成した折り込み片部67がそれぞれ設けられるとともに、この折り込み片部67の折り曲げにより蓋板部64と一体の載置部68が水平状に形成されている。そして、蓋板5を容器本体1に取り付けた状態で、各折り込み片部67は容器本体1の上面開口3の内縁すなわち各内面側板部24の内面にそれぞれ当接され、各載置部68は各上側板部23に載置される。
【0038】
次に、上記一実施の形態の組み立て手順を説明する。
【0039】
まず、底板7に対して折り目11,11を介して外面側板部12,12を曲げ起こし、さらに、外面側板部12,12に対して折り目21,22を介して、上側板部23,23と内面側板部24,24とを折り曲げ、かつ、折り目42,42を介して重合板部41,41を折り曲げて底板7上に重合させる。
【0040】
次いで、各内面側板部24に対して、折り目26,26を介して係合フラップ部27,27を折り曲げ、互いに対向する係合フラップ部27,27同士の係合切欠部51,51に互いの係合片部52,52を係合させる。
【0041】
さらに、底板7に対して、折り目13,13を介して外面端板部14,14を曲げ起こし、さらに、各連結板部15の折り目61を幅方向中心側に突出させるように折り目58,59を介して各連続側板15aと各連続端板15bとを折り曲げて図5に示すように外面端板部14,14と内面端板部34,34との間に折り込みつつ、外面端板部14,14に対して折り目31,32を介して上端板部33,33と内面端板部34,34とを折り曲げる。
【0042】
そして、各内面端板部34の係合凸部54,54を、それぞれ係合凹部53,53に挿入して係合させ、容器本体1を完成する。
【0043】
次に、上記一実施の形態の作用効果を説明する。
【0044】
容器本体1は、使用前では板状であるため嵩張らず、重ねて収納することができ、収納スペースを取ることがない。
【0045】
容器本体1の使用に際しては、上記のように組み立てた後、例えば、生鮮品などの被収納物を氷などとともに収容空間S1に収容し、蓋板5を被せて蓋板部64にて上面開口3を閉塞する。
【0046】
このとき、氷により冷却された収容空間S1内の冷却空気が、各冷気流入孔45、各切欠部47および各解体孔部56などから空間部S2内に流入し、この空間部S2内に冷気が保持されることで、収容空間S1内の被収容物の保冷性を確保するとともに、経時的に氷が溶けて容器本体1内に生じた水分が、各切欠部47および各解体孔部56から空間部S2を介して孔部18から容器本体1の外部へと順次排出されることで、被収容物の鮮度を確保できる。
【0047】
特に、各切欠部47と各解体孔部56とが、底板7に接する部分に設けられているため、氷が溶けて生じた水分が底板7上に溜まる前に速やかに収容空間S1の外部へと排出できる。
【0048】
さらに、容器本体1を積み重ねて使用する場合には、各ずれ移動防止部17を他の容器本体1の上面開口3に嵌合させるように、図3に示すように、複数段、例えば5〜10段ほど積み重ねる。
【0049】
このとき、各ずれ移動防止部17の両側縁および両端縁がそれぞれ上面開口3の両側縁および両端縁に係合することで、積み重ねた容器本体1が確実に位置決めされ、例えば梱包帯などを用いることなく、容器本体1のずれ移動を確実に防止できるとともに、底板7が下側の容器本体1の蓋板5の代わりとなって、下側の容器本体1の上面開口3を、蓋板5を用いることなく上側の容器本体1の底板7で閉塞して梱包の作業性を向上できる。
【0050】
さらに、最上段の容器本体1の上面開口3に蓋板5を被せて蓋板部64にて容器本体1の上面開口面を閉じる。
【0051】
この状態で、上下に積み重ねられた容器本体1では、上側の容器本体1の各孔部18が、下側の容器本体1の各開口部37の上方に位置し、これら開口部37を介して、下側の容器本体1の空間部S2から各孔部18へと順次連通している。すなわち、積み重ねられた複数の容器本体1において、四隅の部分が上下に直線状に連続する樋状となっている。
【0052】
この結果、上側の容器本体1から経時的に生じる水分を、各孔部18から下側の容器本体1の各開口部37を介して下側の容器本体1の各孔部18へと順次送り、下側の容器本体1の被収容物などに掛かることなく最下部に位置する容器本体1の各孔部18から排出でき、容器本体1を積み重ねた状態で使用しても被収容物の鮮度を確保できる。
【0053】
さらに、使用済み後は、各解体孔部56に指を挿入し、各内面端板部34の係合凸部54,54と係合凹部53,53との係合を外して各内面端板部34を上方向に開いた後、係合フラップ部27,27の係合切欠部51,51と係合片部52,52との係合を外すことで、容器本体1を容易に解体できる。
【0054】
しかも、解体孔部56は、容器本体1内に生じた水分を、空間部S2を介して各孔部18へと導く切欠部を利用することで、解体孔部56を利用して容器本体1を容易に解体でき、利便性を向上できるとともに、解体用の孔部などを別個に設ける必要がなく、製造性も向上する。
【0055】
そして、解体した容器本体1は、耐水性の段ボール板材で形成されているので、焼却処理などにより容易に廃棄できるとともに、容易に再利用することも可能である。
【0056】
なお、上記一実施の形態において、孔部18は、空間部S2に連通する底板7、外板16、あるいはこれら底板7と外板16との両方などの任意の位置に設けることも可能である。
【0057】
同様に、切欠部は、内板35の下端部の任意の位置に設けることが可能である。
【0058】
また、容器本体1の形状は、四角形だけでなく、円形、三角形など、他の様々な形状とすることができる。この場合には、各ずれ移動防止部17の形状を、上面開口3に嵌合するように上面開口3の内縁形状に応じて適宜設定する。
【0059】
さらに、容器本体1の非組み立て時の形状は、上記に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施の形態の輸送用保冷ケースを示す斜視図である。
【図2】同上輸送用保冷ケースの容器本体を示す斜視図である。
【図3】同上輸送用保冷ケースの積み重ね状態を示す斜視図である。
【図4】同上輸送用保冷ケースの要部を拡大して示す斜視図である。
【図5】同上輸送用保冷ケースの組み立て手順の一部を示す斜視図である。
【図6】同上輸送用保冷ケースを示す展開図である。
【符号の説明】
【0061】
1 容器本体
3 上面開口
7 底板
16 外板
17 ずれ移動防止部
18 孔部
35 内板
37 開口部
47 切欠部
56 切欠部としての解体孔部
S1 収容空間
S2 空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、この底板の外縁部に延設された外板と、この外板から延設された内板とを有し、前記底板から前記外板を曲げ起こすとともにこの外板の内側へと前記内板を折り込んで、この内板で囲まれ被収容物を収容する収容空間と、この収容空間に連通する上面開口と、前記収容空間の周囲にて前記外板と前記内板との間に区画される保冷用の空間部とを形成するように組み立てられる耐水性板紙材製の容器本体を備え、
前記底板と前記外板との少なくともいずれか一方に、前記空間部に連通する排水用の孔部が設けられ、
前記内板には、前記空間部を介して前記孔部に連通する切欠部が設けられている
ことを特徴とした輸送用保冷ケース。
【請求項2】
孔部は、底板に設けられ、
前記孔部と、上側に積み重ねられた容器本体の孔部とを連通させる開口部が設けられている
ことを特徴とした請求項1記載の輸送用保冷ケース。
【請求項3】
切欠部は、少なくとも一部が容器本体の解体用である
ことを特徴とした請求項1または2記載の輸送用保冷ケース。
【請求項4】
底板の下部に、下側に積み重ねられた容器本体の上側開口の少なくとも一部に係合して積み重ねられた容器本体同士のずれ移動を防止するずれ移動防止部が設けられている
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載の輸送用保冷ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−186250(P2007−186250A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−7303(P2006−7303)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(392005056)
【Fターム(参考)】