説明

輻輳制御装置、基地局装置及び輻輳制御方法

【課題】 ATMセルの破棄を最小限に抑えることができ、ユーザ間の通信品質を確保できるようにする。
【解決手段】 ATM監視制御部24は、基地局装置20においてATMセルの破棄が発生したか否かを判定し、その判定結果にもとづいて破棄発生頻度係数X(n)を求める。また、ATM監視制御部24は、求めた破棄発生頻度係数X(n)と所定の閾値Xth1とを比較することによって、ATMセルの破棄が所定の頻度以上発生していると判断すると、ATMセルの輻輳中であると判定する。ATMセルの輻輳中であると判定すると、呼処理信号制御部28−2は、RNC1からの新規呼の受け付けを制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムにおいて輻輳を制御する輻輳制御装置、基地局装置及び輻輳制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムでは、従来通話等の音声通信の利用が主流であったが、データ通信の利用が増加しており送受信されるデータ量が増加する傾向にある。特に、W−CDMAを用いた第3世代移動通信システムにおいては、加入者数の増加やパケット通信のトラフィック量の増加によって、基地局装置が処理しなければならないユーザデータのトラフィック量が増加する傾向にある。そのため、加入者数の増加やパケット通信のトラフィック量の増加によって、基地局装置内のバス容量(例えば、ユーザデータを中継するATMバスの伝送容量)が不足する恐れがある。
【0003】
第3世代移動通信システムでは、基地局装置とその上位装置とは、ATM(非同期転送モード)を用いて、信号やデータをATMセルに分けて送受信する。上位装置は、例えば、ユーザデータを分割し、AAL−Type2を用いたATMセルのペイロード部分にそれぞれ挿入して基地局装置に送信する。この場合、基地局装置と上位装置との間で送受信されるATMセルは、呼の発生や呼の終了で増減するだけでなく呼の種類によっても増減する。特に、呼の種類がパケット呼である場合、ATMセルは、送受信されるユーザデータのトラフィック量によっても増減する。ユーザデータのトラフィック量が大きいと、基地局装置のATMバスの帯域(ATMバスの伝送容量)を上回り、受信したATMセルを一時蓄積するバッファが輻輳する恐れがある。また、バッファが輻輳するとATMセルが破棄され、エンドユーザ間の通信品質を損なう可能性がある。
【0004】
輻輳を制御するシステムとして、例えば、特許文献1には、輻輳レベルに応じて変化させた通信拒否率にもとづいて、通信端末からのデータ送信を拒否することによって輻輳を制御する交換局の輻輳制御システムが記載されている。また、例えば、特許文献2には、算出した目標トラフィック量にもとづいて、通信装置に流入するトラフィック量を制限することによって輻輳を制御するトラフィックコントロールシステムが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−88502号公報(段落0011−0013、図1−2)
【特許文献2】特開2003−309599号公報(段落0028−0037、図2−3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたシステムを用いれば、交換局へのデータ送信を制限することによって輻輳を制御することができる。しかし、移動通信システムにおいて、基地局装置が処理しなければならないユーザデータのトラフィック量を制御することはできない。そのため、ユーザデータのトラフィック量が増加すると、ATMセルが破棄され、エンドユーザ間の通信品質を損なう可能性がある。また、特許文献2に記載されたシステムでは、オペレーションシステムを用いた通信ネットワークの輻輳制御を行っているにすぎず、移動通信システムにおいて、基地局装置が処理しなければならないユーザデータのトラフィック量を制御することはできない。
【0007】
既存の基地局装置からATMバス帯域を拡張した新たな基地局装置に置き換えることによって、ATMセルの破棄の増加を防止することも考えられるが、コストや作業負担が大きい。また、ユーザデータのトラフィック量が更に増加した場合には、ATMセルの破棄が増加し、エンドユーザ間の通信品質を確保できない可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、移動通信システムにおいて、ATMセルの破棄を最小限に抑えることができ、ユーザ間の通信品質を確保できる輻輳制御装置、基地局装置及び輻輳制御方法を提供することを目的とする。また、本発明は、既存の基地局装置の収容帯域を最大限に活用することができ、簡易で低コストにユーザ間の通信品質を確保できる輻輳制御装置、基地局装置及び輻輳制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による輻輳制御装置は、基地局装置が送受信するATMセルの輻輳を制御する輻輳制御装置(例えば、ATM監視制御部24及び呼処理信号制御部28−2によって実現される)であって、外部装置(例えば、上位装置であるRNC1)から受信したATMセルを基地局装置が破棄したことを検出するセル破棄検出手段(例えば、ATM監視制御部24によって実現される)と、セル破棄検出手段がATMセルの破棄を検出すると、ATMセルの破棄が予め定めた所定の頻度以上で発生しているか否かを判定する頻度判定手段(例えば、ATM監視制御部24によって実現される)と、頻度判定手段が予め定めた所定の頻度以上でATMセルの破棄が発生していると判定すると、ATMセルが輻輳していると判定する輻輳判定手段(例えば、ATM監視制御部24によって実現される)と、輻輳判定手段がATMセルが輻輳していると判定すると、外部装置からの新たな呼の受け付けを制限する呼制限手段(例えば、呼処理信号制御部28−2によって実現される)とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、輻輳制御装置は、輻輳判定手段がATMセルが輻輳していると判定した後に、ATMセルが輻輳していない非輻輳状態に基地局装置が移行したか否かを判定する非輻輳状態判定手段(例えば、ATM監視制御部24によって実現される)を備え、呼制限手段は、非輻輳状態判定手段が基地局装置が非輻輳状態に移行したと判定すると、外部装置からの新たな呼の受け付け制限を解除するものであってもよい。
【0011】
また、輻輳制御装置は、セル破棄検出手段がATMセルの破棄を検出すると、ATMセルの破棄の発生頻度を示す係数である破棄発生頻度係数(例えば、破棄発生頻度係数X(n))を求める頻度係数算出手段(例えば、ATM監視制御部24によって実現される)を備え、頻度判定手段は、頻度係数算出手段が求めた破棄発生頻度係数が、予め定めた第1の閾値(例えば、閾値Xth1)以上であるか否かを判断し、破棄発生頻度係数が第1の閾値以上であると判断すると、ATMセルが輻輳していると判定するものであってもよい。そのような構成によれば、ATMセルの破棄の検出時に直ちに輻輳状態と判定するのでなく、ATMセルの破棄が所定の頻度以上発生したことを条件に輻輳状態と判定することができる。従って、ATMセルの破棄が所定の頻度以上発生したことを条件に判断することによって、非輻輳中から輻輳中への状態遷移の判断がばたつくことを防止することができる。
【0012】
また、頻度係数算出手段は、所定の周期毎に、1周期前における破棄発生頻度係数に所定の重み付けを行うことによって、現周期における破棄発生頻度係数を求めるものであってもよい。
【0013】
また、非輻輳状態判定手段は、頻度係数算出手段が求めた破棄発生頻度係数が予め定めた第2の閾値(例えば、閾値Xth2)より小さいか否かを判断することによって、基地局装置が非輻輳状態に移行したか否かを判定するものであってもよい。
【0014】
また、非輻輳状態判定手段は、第1の閾値より小さい第2の閾値を用いて、基地局装置が非輻輳状態に移行したか否かを判定するものであってもよい。そのような構成によれば、ATMセルの輻輳中と判定してから非輻輳状態に移行したと判定するまでにヒステリシスが生じるようにすることができ、輻輳状態から非輻輳状態への状態遷移の判断がばたつくことを防止することができる。
【0015】
また、非輻輳状態判定手段は、予め定めた所定回数連続して破棄発生頻度係数が第2の閾値より小さいと判定したか否かを判断し、所定回数連続して破棄発生頻度係数が第2の閾値より小さいと判定したと判断すると、基地局装置が非輻輳状態に移行したと判定するものであってもよい。そのような構成によれば、所定の条件に所定回数連続して合致することを非輻輳状態への移行条件とすることによって、輻輳状態から非輻輳状態への状態遷移の判断がばたつくことを防止している。
【0016】
また、呼制限手段は、輻輳判定手段がATMセルが輻輳していると判定すると、外部装置からの新たな呼のうちハンドオーバに伴う呼だけを受け付けるものであってもよい。そのような構成によれば、ハンドオーバに伴う新規呼の受け付けを制限してしまうことによって、ユーザ間の通信が切断されてしまうことを防止できる。従って、ハンドオーバに伴う呼設定要求がされた場合であっても、ユーザ間の通信品質の低下を防止することができる。
【0017】
本発明による基地局装置は、送受信するATMセルの輻輳を制御する輻輳制御装置を搭載した基地局装置であって、外部装置から受信したATMセルを破棄したことを検出するセル破棄検出手段と、セル破棄検出手段がATMセルの破棄を検出すると、ATMセルの破棄が予め定めた所定の頻度以上で発生しているか否かを判定する頻度判定手段と、頻度判定手段が予め定めた所定の頻度以上でATMセルの破棄が発生していると判定すると、ATMセルが輻輳していると判定する輻輳判定手段と、輻輳判定手段がATMセルが輻輳していると判定すると、外部装置からの新たな呼の受け付けを制限する呼制限手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明による輻輳制御方法は、基地局装置が送受信するATMセルの輻輳を制御する輻輳制御方法であって、基地局装置が外部装置から受信したATMセルを破棄したことを検出するステップと、ATMセルの破棄を検出すると、ATMセルの破棄が予め定めた所定の頻度以上で発生しているか否かを判定するステップと、予め定めた所定の頻度以上でATMセルの破棄が発生していると判定すると、ATMセルが輻輳していると判定するステップと、ATMセルが輻輳していると判定すると、外部装置からの新たな呼の受け付けを制限するステップとを含むことを特徴とする。
【0019】
また、輻輳制御方法は、ATMセルの破棄を検出すると、ATMセルの破棄の発生頻度を示す係数である破棄発生頻度係数を求めるステップと、求めた破棄発生頻度係数が予め定めた閾値以上であるか否かを判断するステップと、破棄発生頻度変数が予め定めた閾値以上であると判断すると、ATMセルが輻輳していると判定するステップとを含むものであってもよい。そのような構成によれば、ATMセルの破棄の検出時に直ちに輻輳状態と判定するのでなく、ATMセルの破棄が所定の頻度以上発生したことを条件に輻輳状態と判定することができる。従って、ATMセルの破棄が所定の頻度以上発生したことを条件に判断することによって、非輻輳中から輻輳中への状態遷移の判断がばたつくことを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、予め定めた所定の頻度以上でATMセルの破棄が発生していると判断すると、ATMセルが輻輳していると判定する。そして、ATMセルが輻輳していると判定すると、外部装置からの新規呼の受け付けを制限する。新規呼を制限することによって基地局装置におけるトラフィック量の増加を防ぎ、ユーザへの影響を最小限に抑えつつ、収容中の呼が終了するに従いATMセルの輻輳を解消することができる。従って、ATMセルの破棄を最小限に抑えることができ、ユーザ間の通信品質を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明による輻輳制御方法を用いた移動通信システムの構成の一例を示すブロック図である。なお、本実施の形態では、W−CDMAを用いた第3世代移動通信システムにおいて、輻輳を制御する場合を説明する。図1に示すように、移動通信システムは、ユーザが使用する移動機3,4と、基地局2と、基地局装置の上位装置1とを含む。
【0022】
移動機3,4は、具体的には、携帯電話機等の情報処理端末である。移動機3,4は、基地局2のサービスエリア(無線エリア)内において、基地局2と無線信号を送受信する機能を備える。なお、図1では、2つの移動機3,4を示しているが、移動通信システムは、3以上の移動機を含む。
【0023】
基地局2は、図1に示すように、基地局装置20を備える。基地局装置20は、アンテナを介して、各移動機3,4と無線信号を送受信する機能を備える。また、基地局装置20は、上位装置1と各種制御信号やユーザデータを送受信する機能を備える。例えば、基地局装置20と上位装置1とは、専用線等の伝送回線(例えば、メタル回線や光回線)100で接続されている。そして、基地局装置20は、ATM(非同期転送モード)と呼ばれるデータ通信方式を用いて、呼の接続や呼の切断の制御信号、各種装置を監視するための制御信号又はユーザデータ(例えば、Iub Frame Protocolを用いたデータ)を、伝送回線100を介して上位装置1と送受信する。
【0024】
上位装置1は、具体的には、RNC(無線ネットワーク制御装置)等の装置である。以下、本実施の形態では、上位装置1がRNCである場合を説明する。RNC1は、各種制御信号やユーザデータを、伝送回線100を介して基地局装置20と送受信する機能を備える。なお、RNC1は、基地局2の上位局(例えば、交換局)に設置される。
【0025】
なお、図1では、移動通信システムにおいて、各移動機3,4が無線信号を送受信し基地局装置20やRNC1にアクセス可能なRAN(無線アクセスネットワーク)が形成されている。
【0026】
基地局装置20とRNC1とは、各種制御信号やユーザデータをATMセルに分けて送受信する。図2は、基地局装置20とRNC1とが送受信するATMセルの例を示す説明図である。図2に示すように、基地局装置20とRNC1とは、ATMヘッダとATMペイロードとを含むATMセルを送受信する。また、基地局装置20とRNC1とは、図2に示すように、各種制御信号やユーザデータを分割し、ATMセルのATMペイロード部分にそれぞれ挿入して送受信する。
【0027】
また、基地局装置20とRNC1とは、ATMセルの種別として、ITU規格に準拠したAAL−Type2又はAAL−Type5プロトコルを用いたATMセルを送受信する。本実施の形態では、基地局装置20とRNC1とは、U−Planeと呼ばれるユーザデータを伝送する場合、AAL−Type2を用いたATMセルを送受信する。また、基地局装置20とRNC1とは、C−Planeと呼ばれる制御信号を伝送する場合、AAL−Type5を用いたATMセルを送受信する。
【0028】
ATMセルは、図2に示すように、ATMヘッダにVPI及びVCIと呼ばれる識別子を含む。ATMセルは、ATMヘッダのVPI/VCIの値を設定されることにより、VC(バーチャル・チャネル)に分類される。例えば、C−Planeを伝送する場合、呼の接続や呼の切断、又は各種装置の監視制御等の用途に応じて、VCと呼ばれる仮想的なチャネルが形成され、それぞれのATMセルに固有のVPI/VCI値が設定される。
【0029】
また、ATMセルは、U−Planeを伝送する場合においても、C−Planeと同様にVCが形成される。この場合、1つのVCに複数呼のU−Planeのデータを収容するので、ATMセルは、図2に示すように、ATMペイロードにCIDと呼ばれる情報要素を設けられ、CID値を設定されることによってデータを識別される。
【0030】
基地局装置20は、RNC1からATMセルを受信すると、受信したATMセルを基地局装置20内部の各種機能部に配信するためにアドレス変換を行う機能を備える。本実施の形態では、基地局装置20は、ATMセルに含まれるVPIやVCI、CID等のアドレス情報を、信号やデータの配信元や配信先の機能部を示すアドレス情報に変換する。また、基地局装置20は、変換後のアドレスにもとづいて、ATMセルを基地局装置20内部の各種機能部に配信する機能を備える。また、基地局装置20の各種機能部は、配信されたATMセルを用いて各種処理を実行する。
【0031】
図3は、基地局装置20の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、基地局装置20は、物理i/f変換部21、ATM監視制御処理部28−3、Utopiaバスマスタ25,26,27、各種制御機能部28−1〜m、及び各ユーザデータ送受信部29−1〜n,30−1〜oを含む。
【0032】
物理i/f変換部21は、物理回線のインタフェースの終端部であり、基地局装置20がRNC1からATMセルを受信すると、受信したATMセルを抽出する機能を備える。
【0033】
ATM監視制御処理部28−3は、アドレス変換部22、ATMスイッチ23及びATM監視制御部24を含む。アドレス変換部22は、物理i/f変換部21が抽出したATMセルを基地局装置20内部の各機能部に振り分けて配信するために、ATMセルに含まれるアドレス情報を変換する機能を備える。本実施の形態では、アドレス変換部22は、各制御機能部28−1〜mや各ユーザデータ送受信部29−1〜n,30−1〜oに振り分けるためのアドレスの変換処理を行う。
【0034】
なお、本実施の形態では、各制御機能部28−1〜m、及びユーザデータ送受信部29−1〜n,30−1〜oを包括的に表現する場合、単にスレーブ機能部ともいう。
【0035】
アドレス変換部22は、ATMヘッダに含まれるVPI/VCIをキーとして、配信先の機能部のアドレス変換を行い、U−Planeデータを呼毎に識別するための呼番号を設定する。図4は、アドレス変換部22がアドレス変換したATMセルの一例を示す説明図である。図4に示すように、アドレス変換部22は、ATMセルについて、機能部発アドレス(配信元アドレス)や機能部着アドレス(配信先アドレス)のアドレス変換を行い、呼番号を設定する。本実施の形態では、U−Planeデータの送受信が開始される前の呼処理の段階で、後述する呼処理信号制御部28−2が、アドレスや呼番号の変換情報を予めアドレス変換部22に通知(出力)している。そして、アドレス変換部22は、予め通知された変換情報にもとづいてアドレスの変換処理を行う。
【0036】
ATMスイッチ23は、アドレス変換したATMセルを、Utopiaバスマスタ25,26,27を介して、配信先アドレスに対応するスレーブ機能部に配信する機能を備える。また、ATMスイッチ23は、バッファを備え、アドレス変換後のATMセルを一時記憶する機能を備える。なお、ATMスイッチ23において、入力するATMセルの量が出力するATMセルの量より多いと、ATMスイッチ23のバッファがフルの状態になることがある。この場合、ATMスイッチ23に更にATMセルが入力されると、入力されたATMセルをATMスイッチ23が破棄する「ATMセルの破棄」が発生する。
【0037】
ATM監視制御部24は、基地局装置20においてATMセルの破棄が発生したか否かを検出する機能を備える。本実施の形態では、ATM監視制御部24は、ATMスイッチ23がATMセルを破棄したか否かを検出する。また、ATM監視制御部24は、ATMセルの破棄を検出すると、ATMセルの破棄が予め定めた所定の頻度以上で発生しているか否かを判定する機能を備える。また、ATM監視制御部24は、ATMセル破棄の発生頻度の判定結果にもとづいて、ATMセルの輻輳が発生しているか否かを判定する機能を備える。また、ATM監視制御部24は、所定の条件に従って、ATMセルの輻輳状態からATMセルが輻輳していない状態(以下、非輻輳状態ともいう)に移行したか否かを判定する機能を備える。
【0038】
Utopiaバスマスタ25,26,27は、ATMスイッチ23と各スレーブ機能部とを接続するUtopiaバス(ATMバス)201,202,203をそれぞれ収容している。各Utopiaバスマスタ25,26,27は、ATMスイッチ23から各スレーブ機能部へのATMセルの配信を中継する機能を備える。また、Utopiaバスマスタ25,26,27は、各スレーブ機能部から発生する上り方向のATMセル(各スレーブ機能部からATMスイッチ23に送信するセル)についても、ポーリングを行うことによって中継する機能を備える。
【0039】
本実施の形態では、Utopiaバスマスタ25は、主としてATMスイッチ23から各制御機能部28−1〜mへのC−PlaneのATMセルの配信を中継する。本実施の形態では、基地局装置20は、制御機能部28−1〜mとして、例えば、保守信号制御部28−1や呼処理信号制御部28−2等の各種機能部を含む。なお、図3に示すATM監視制御処理部28−3も、Utopiaバスマスタ25がセル配信を中継する制御機能部28−1〜mの1つである。
【0040】
Utopiaバスマスタ26は、主としてATMスイッチ23から各ユーザデータ送受信部29−1〜nへのユーザデータのATMセルの配信を中継する。また、Utopiaバスマスタ27は、主としてATMスイッチ23から各ユーザデータ送受信部30−1〜oへのユーザデータのATMセルの配信を中継する。
【0041】
呼処理信号制御部28−2は、RNC1からの呼制御信号にもとづいて、新規に呼設定要求のメッセージの受け付けを行う機能を備える。また、呼処理信号制御部28−2は、ATM監視制御部24がATMセルの輻輳が発生していると判定すると、輻輳制御を行う機能を備える。本実施の形態では、呼処理信号制御部28−2は、新規呼の受け付けを制限することによってATMセルの輻輳を制御する。
【0042】
次に、基地局装置20内におけるATMセルの流れについて説明する。図5は、基地局装置20内におけるATMセルの流れの一例を示す説明図である。また、図6は、基地局装置20において形成されるVCの一例を示す説明図である。本実施の形態では、図6に示すVC1〜VC5の仮想チャネルが形成され、基地局装置20内でATMセルが配信される場合を説明する。
【0043】
図6において、VC1は、RNC1から呼処理信号制御部28−2へのC−Planeの制御信号を配信するための仮想チャネルである。この場合、物理i/f変換部21がATMセルを抽出すると、アドレス変換部22は、配信元アドレスとしてRNC1のアドレスに変換し、配信先アドレスとして呼処理信号制御部28−2のアドレスに変換する。ATMスイッチ23は、変換後のアドレスにもとづいて、ATMセルをUtopiaバスマスタ25を介して呼処理信号制御部28−2に配信する。そして、Utopiaバスマスタ25は、ATMスイッチ23から呼処理信号制御部28−2へのATMセルの配信を中継する。
【0044】
また、図6において、VC2〜VC4は、RNC1からユーザデータ送受信部29−3,30−1へのU−Planeデータを配信するための仮想チャネルである。この場合、物理i/f変換部21がATMセルを抽出すると、アドレス変換部22は、配信元アドレスとしてRNC1のアドレスに変換し、配信先アドレスとしてユーザデータ送受信部29−3,30−1のアドレスに変換し、呼番号を設定する。ATMスイッチ23は、変換後のアドレスや呼番号にもとづいて、ATMセルをUtopiaバスマスタ26,27を介してユーザデータ送受信部29−2,30−1に配信する。そして、Utopiaバスマスタ26,27は、ATMスイッチ23からユーザデータ送受信部29−3,30−1へのATMセルの配信を中継する。
【0045】
また、図6において、V5は、呼処理信号制御部28−2とユーザデータ送受信部29−3との間の制御信号を送受信するための仮想チャネルである。図5及び図6に示すように、V5を用いて、基地局装置20内部の各スレーブ機能部間においてもATMセルの送受信が行われる。
【0046】
図7は、基地局装置20とRNC1との間の専用線等の伝送回線100に割り当てられるコネクションの一例を示す説明図である。RNC1は、図7に示すように、物理回線毎に所定のVPI及びVCIを割り当てる。また、U−Planeのコネクションの割り当てを行う場合には、RNC1は、図7に示すように、所定のVC内での呼の発生や呼の終了に伴い、VPI及びVCIに加えてCIDを割り当てたり解放したりする。そして、RNC1が割り当てたコネクションに従って、図5に示すように、RNC1からのATMセルが所定のスレーブ機能部に中継され配信される。
【0047】
次に、動作について説明する。本実施の形態では、基地局装置20において、ATM監視制御部24がATMセルの輻輳を検出し、呼処理信号制御部28−2が新規呼の受け付け制限を行うことによって、ATMセルの輻輳を制御する輻輳制御装置が実現される。以下、ATM監視制御部24がATMセルの輻輳状態を判定する動作、及び呼処理信号制御部28−2がセル輻輳中に新規呼の受け付けを制限する動作について説明する。
【0048】
図8は、ATM監視制御部24がATMセルの輻輳状態を判定する輻輳判定処理の一例を示す流れ図である。ATM監視制御部24は、所定のタイミングで、基地局装置20においてATMセルの破棄を検出したか否かを判断する(ステップS101)。本実施の形態では、ATM監視制御部24は、予め定めた所定の周期毎に、ATMスイッチ23によるATMセルの破棄を検出したか否かを判断する。
【0049】
ATMセルの破棄を検出したと判断すると、ATM監視制御部24は、所定の変数kの値を1に設定する(ステップS102)。また、ATMセルの破棄を検出していないと判断すると、ATM監視制御部24は、変数kの値を0に設定する(ステップS103)。
【0050】
ATM監視制御部24は、設定した変数kを用いて、ATMセルの破棄の発生頻度を示す係数である破棄発生頻度係数X(n)を求める(ステップS104)。本実施の形態では、ATM監視制御部24は、式(1)を用いて破棄発生頻度係数X(n)を求める。
【0051】
X(n)=X(n−1)×α+k×(1−α) 式(1)
【0052】
式(1)において、αは、予め定めた重み定数である。本実施の形態では、αは、0≦α≦1.0となるように定められる。また、式(1)において、nは、ステップS101においてATMセルの破棄の検出の有無を判断する周期を示している。例えば、式(1)において、X(n)は現周期における破棄発生頻度係数を示しており、X(n−1)は1周期前における破棄発生頻度係数を示している。本実施の形態では、式(1)に示すように、ATM監視制御部24は、1周期前の破棄発生頻度係数X(n−1)の値に所定の重み付け(α)を行うことによって、現周期における破棄発生頻度係数X(n)を求める。
【0053】
ATM監視制御部24は、所定の周期毎に、式(1)に従って破棄発生頻度係数X(n)を繰り返し算出している。例えば、基地局装置20におけるATMセルの破棄が連続して発生すると(連続してk=1と設定されると)、ATM監視制御部24が求める破棄発生頻度係数X(n)の値は増加する。また、例えば、ATMセルの破棄が発生しないと(k=0と設定されると)、ATM監視制御部24が求める破棄発生頻度係数X(n)の値は減少する。従って、破棄発生頻度係数X(n)の値が大きくなるに従ってATMセルの破棄の発生頻度が大きいことが分かり、破棄発生頻度係数X(n)の値が小さくなるに従ってATMセルの破棄の発生頻度が小さいことが分かる。
【0054】
ATM監視制御部24は、求めた現周期における破棄発生頻度係数X(n)にもとづいて、ATMセルの輻輳が発生しているか否かを判定する(ステップS105)。本実施の形態では、ATM監視制御部24は、予め定めた所定の閾値Xth1と破棄発生頻度係数X(n)とを比較することによって、ATMセルの輻輳中であるか否かを判定する。
【0055】
破棄発生頻度係数X(n)が閾値Xth1以上であると判断すると、ATM監視制御部24は、ATMセルの輻輳中であると判定する。すなわち、ATM監視制御部24は、ATMセルの破棄が所定の頻度以上で発生しているので、ATMセルの輻輳中であると判定する。破棄発生頻度係数X(n)が閾値Xth1より小さいと判断すると、ATM監視制御部24は、ATMセルの輻輳中でない(以下、非輻輳中ともいう)と判定する。すなわち、ATM監視制御部24は、ATMセルの破棄が所定の頻度以上で発生していないので、ATMセルの非輻輳中であると判定する。
【0056】
ステップS105でATMセルの非輻輳中と判定すると、ATM監視制御部24は、所定の周期毎に、破棄発生頻度係数X(n)が閾値Xth1以上であるか否かを繰り返し判断する(ステップS106)。本実施の形態では、ATM監視制御部24は、所定の周期毎にステップS101〜S104の処理を繰り返し実行し、破棄発生頻度係数X(n)を繰り返し求めている。ATMセルの非輻輳中と判定した場合、ATM監視制御部24は、破棄発生頻度係数X(n)を求める毎に破棄発生頻度係数X(n)と閾値Xth1とを比較する。ステップS106で破棄発生頻度係数X(n)が閾値Xth1以上であると判断すると、ATM監視制御部24は、ATMセルの輻輳中であると判定する(ステップS107)。
【0057】
以上のように、ステップS101からステップS107までの処理が実行されることによって、ATM監視制御部24は、ATMセルの破棄が所定の頻度以上発生すると、ATMセルの輻輳状態であると判定する。本実施の形態では、ATMセルの破棄の検出時に直ちに輻輳状態と判定するのでなく、ATMセルの破棄が所定の頻度以上発生したことを条件に輻輳状態と判定することによって、非輻輳中から輻輳中への状態遷移の判断がばたつくことを防止している。
【0058】
ステップS105又はステップS107でATM監視制御部24がATMセルの輻輳中であると判定すると、呼処理信号制御部28−2は、新規呼の受け付けの制限を開始する。この場合、呼処理信号制御部28−2は、例えば、RNC1から呼制御信号を受信し新規呼設定要求のメッセージを受けると、RNC1に対するNack(否定応答)を返すことによって、新規呼の受け付けを制限する。
【0059】
例えば、基地局装置20の各Utopiaバス(ATMバス)201,202,203の帯域(伝送容量)が、RNC1との間の伝送回線100等の外部回線の帯域に比べて十分大きい場合には、U−Planeデータの配信に加えて基地局装置20内部で発生する各機能部間のメッセージの送受信を行ってもATMセルが輻輳する恐れはない。しかし、ユーザデータ送受信部29−1〜n,30−1〜oが接続されているUtopiaバス202,203の帯域が外部回線の帯域より小さいか同程度である場合、ATMセルが輻輳し破棄される恐れがある。
【0060】
また、外部回線で割り当てられたユーザデータが、基地局装置20でUtopiaバス202とUtopiaバス203とに均等に割り当てられるとは限らない。そのため、例えば、基地局装置20で全てのユーザデータがUtopiaバス202に割り当てられてしまうと、ATMスイッチ23においてATMセルの輻輳が発生し、ATMセルが破棄される恐れがある。
【0061】
本実施の形態では、ATM監視制御部24がATMセルの輻輳状態であるか否かを監視し、輻輳中である場合に呼処理信号制御部28−2に通知し、呼処理信号制御部28−2が新規呼を制限する。そして、新規呼を制限することによって基地局装置20におけるトラフィック量の増加を防ぎ、収容中の呼が終了(終話)するに従いATMセルの輻輳を解消することができる。
【0062】
なお、新規呼設定要求が他の基地局からのハンドオーバに伴う要求である場合、新規呼の受け付けを制限してしまうと、ユーザ間の通信が切断されてしまい通信品質の低下につながってしまう。そのため、ATM監視制御部24がATMセルの輻輳中であると判定した場合であっても、呼処理信号制御部28−2は、ハンドオーバに伴う呼の受け付けのみを許可するようにしてもよい。また、呼処理信号制御部28−2は、ハンドオーバに伴う呼であっても、呼の受け付けを一時的に制限するようにしてもよい。また、例えば、RNC1が所定のフラグを含む呼制御信号を送信し、呼処理信号制御部28−2は、呼制御信号に含まれるフラグの設定値にもとづいて呼設定要求のメッセージの内容を判別し、新規呼の受け付けを許可するか否かを判断するようにしてもよい。
【0063】
次に、ATM監視制御部24が、ATMセルの輻輳中であると判定した後に、再び非輻輳状態に移行したか否かを判定する動作を説明する。ステップS105又はステップS107でATMセルの輻輳中であると判定すると、ATM監視制御部24は、予め定めた所定の移行条件にもとづいて、基地局装置20が再びATMセルの非輻輳状態に移行したか否かを判定する。本実施の形態では、ATM監視制御部24は、ATMセルの輻輳中であると判定した後においても、所定の周期毎にステップS101〜S104の処理を繰り返し実行し、破棄発生頻度係数X(n)を繰り返し求めている。そして、ATM監視制御部24は、予め定めた所定の閾値Xth2と現周期における破棄発生頻度係数X(n)とを比較し、ATMセルの非輻輳状態に移行したか否かを判定する。
【0064】
ATM監視制御部24は、破棄発生頻度係数X(n)が閾値Xth2より小さいか否かを判断する(ステップS108)。破棄発生頻度係数X(n)が閾値Xth2以上であると判断すると、ATM監視制御部24は、依然としてATMセルの輻輳中であり非輻輳状態に移行するに至っていない判定する。そして、ATM監視制御部24は、ステップS108に戻り、ATMセルの非輻輳状態に移行したと判定するまで、ステップS108移行の処理を繰り返し実行する。
【0065】
破棄発生頻度係数X(n)が閾値Xth2より小さいと判定すると、ATM監視制御部24は、破棄発生頻度係数X(n)が閾値Xth2より小さいと判定した判定回数のカウント処理を行う。本実施の形態では、ATM監視制御部24は、所定のカウンタCを用いて、破棄発生頻度係数X(n)が閾値Xth2より小さいと判定した判定回数のカウントを行う。本実施の形態では、ステップS105又はステップS107でATMの輻輳中であると判定すると、ATM監視制御部24は、カウンタCの値を予め定めた「C1」に設定する。そして、ステップS108で破棄発生頻度係数X(n)が閾値Xth2より小さいと判定すると、ATM監視制御部24は、カウンタCの値を1だけ減算(デクリメント)する(ステップS109)
【0066】
ATM監視制御部24は、デクリメントしたカウンタCの値が0であるか否かを判断する(ステップS110)。すなわち、ATM監視制御部24は、C1回連続して(C1周期連続して)、破棄発生頻度係数X(n)が閾値Xth2より小さいと判定したか否かを判断する。
【0067】
カウンタCの値が0でない(すなわち、破棄発生頻度係数X(n)が閾値Xth2より小さいと連続して判定した回数がC1回に満たない)と判断した場合、ATM監視制御部24は、依然としてATMセルの非輻輳状態に移行するに至っていないと判定する。そして、ATM監視制御部24は、ステップS108に戻り、ATMセルの非輻輳状態に移行したと判定するまで、ステップS108以降の処理を繰り返し実行する。カウンタCの値が0である(すなわち、破棄発生頻度係数X(n)が閾値Xth2より小さいと連続してC1回判定した)と判断した場合、ATM監視制御部24は、ATMセルの非輻輳状態に移行したと判定する(ステップS111)。
【0068】
ATM監視制御部24がATMセルの非輻輳状態に移行したと判定すると、呼処理信号制御部28−2は、新規呼の受け付けの制限を解除する。そして、呼処理信号制御部28−2は、通常の手順に従い、RNC1からの呼制御信号にもとづいて、新規呼設定要求のメッセージの受け付け処理を再開する。
【0069】
なお、ATM監視制御部24は、ステップS101〜S111までの処理を繰り返し実行し、基地局装置20がATMセルの輻輳状態であるか否かを繰り返し判定する。そして、呼処理信号制御部28−2は、ATM監視制御部24の判定結果に従って、新規呼の受け付け制限を行う。
【0070】
また、本実施の形態では、閾値Xth2は閾値Xth1より小さい値(Xth2<Xth1)となるように定められている。すなわち、本実施の形態では、閾値Xth2を閾値Xth1より小さくすることによって、ATMセルの輻輳中と判定してから非輻輳状態に移行したと判定するまでにヒステリシスが生じるようにしている。本実施の形態では、輻輳中の判定から非輻輳状態に移行したと判定するまでにヒステリシスが与えれ、更に所定の条件式に連続C1回合致することを非輻輳状態への移行条件とすることによって、輻輳状態から非輻輳状態への状態遷移の判断がばたつくことを防止している。
【0071】
以上のように、本実施の形態によれば、基地局装置20のATM監視制御部24は、予め定めた所定の頻度以上でATMセルの破棄が発生していると判断すると、ATMセルが輻輳していると判定する。そして、呼処理信号制御部28−2は、RNC1からの新規呼の受け付けを制限する。新規呼の制限を基地局装置20が自律して行うことによって基地局装置20におけるトラフィック量の増加を防ぎ、ユーザへの影響を最小限に抑えつつ、収容中の呼が終了(終話)するに従いATMセルの輻輳を解消することができる。従って、ATMセルの破棄を最小限に抑えることができ、ユーザ間の通信品質を確保することができる。また、ATMセルの輻輳に伴う伝送品質の劣化を最小限に留めることができ、基地局装置20内のATMバスの有効利用を図ることができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、帯域(伝送容量)を拡張した新たな基地局装置を導入しなくても、既存の基地局装置のファームウェア変更を行うことによって、ATMセルの輻輳を制御することができる。従って、既存の基地局装置の収容帯域を最大限に活用することができ、簡易で低コストにユーザ間の通信品質を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、移動通信システムにおいて、基地局装置の輻輳制御の用途に適用できる。特に、W−CDMAを用いた第3世代移動通信システムにおいて、基地局装置と上位装置との間で送受信されるATMセルの輻輳を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明による輻輳制御方法を用いた移動通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】基地局装置20とRNC1とが送受信するATMセルの例を示す説明図である。
【図3】基地局装置20の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】アドレス変換部22がアドレス変換したATMセルの一例を示す説明図である。
【図5】基地局装置20内におけるATMセルの流れの一例を示す説明図である。
【図6】基地局装置20において形成されるVCの一例を示す説明図である。
【図7】基地局装置20とRNC1との間の専用線等の伝送回線100に割り当てられるコネクションの一例を示す説明図である。
【図8】ATM監視制御部24がATMセルの輻輳状態を判定する輻輳判定処理の一例を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0075】
1 RNC(無線ネットワーク制御装置)
2 基地局
3,4 移動機
21 物理i/f変換部
22 アドレス変換部
23 ATMスイッチ
24 ATM監視制御部
25,26,27 Utopiaバスマスタ
28−1〜m 制御機能部
28−2 呼処理信号制御部
28−3 ATM監視制御部
29−1〜n ユーザデータ送受信部
30−1〜o ユーザデータ送受信部
100 伝送回線
201,202,203 Utopiaバス(ATMバス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置が送受信するATMセルの輻輳を制御する輻輳制御装置であって、
外部装置から受信したATMセルを前記基地局装置が破棄したことを検出するセル破棄検出手段と、
前記セル破棄検出手段がATMセルの破棄を検出すると、ATMセルの破棄が予め定めた所定の頻度以上で発生しているか否かを判定する頻度判定手段と、
前記頻度判定手段が予め定めた所定の頻度以上でATMセルの破棄が発生していると判定すると、ATMセルが輻輳していると判定する輻輳判定手段と、
前記輻輳判定手段がATMセルが輻輳していると判定すると、外部装置からの新たな呼の受け付けを制限する呼制限手段とを
備えたことを特徴とする輻輳制御装置。
【請求項2】
輻輳判定手段がATMセルが輻輳していると判定した後に、ATMセルが輻輳していない非輻輳状態に基地局装置が移行したか否かを判定する非輻輳状態判定手段を備え、
呼制限手段は、前記非輻輳状態判定手段が基地局装置が非輻輳状態に移行したと判定すると、外部装置からの新たな呼の受け付け制限を解除する
請求項1記載の輻輳制御装置。
【請求項3】
セル破棄検出手段がATMセルの破棄を検出すると、ATMセルの破棄の発生頻度を示す係数である破棄発生頻度係数を求める頻度係数算出手段を備え、
頻度判定手段は、
前記頻度係数算出手段が求めた破棄発生頻度係数が、予め定めた第1の閾値以上であるか否かを判断し、
破棄発生頻度係数が第1の閾値以上であると判断すると、ATMセルが輻輳していると判定する
請求項1又は請求項2記載の輻輳制御装置。
【請求項4】
頻度係数算出手段は、所定の周期毎に、1周期前における破棄発生頻度係数に所定の重み付けを行うことによって、現周期における破棄発生頻度係数を求める請求項3記載の輻輳制御装置。
【請求項5】
非輻輳状態判定手段は、頻度係数算出手段が求めた破棄発生頻度係数が予め定めた第2の閾値より小さいか否かを判断することによって、基地局装置が非輻輳状態に移行したか否かを判定する請求項4記載の輻輳制御装置。
【請求項6】
非輻輳状態判定手段は、第1の閾値より小さい第2の閾値を用いて、基地局装置が非輻輳状態に移行したか否かを判定する請求項5記載の輻輳制御装置。
【請求項7】
非輻輳状態判定手段は、
予め定めた所定回数連続して破棄発生頻度係数が第2の閾値より小さいと判定したか否かを判断し、
所定回数連続して破棄発生頻度係数が第2の閾値より小さいと判定したと判断すると、基地局装置が非輻輳状態に移行したと判定する
請求項6記載の輻輳制御装置。
【請求項8】
呼制限手段は、輻輳判定手段がATMセルが輻輳していると判定すると、外部装置からの新たな呼のうちハンドオーバに伴う呼だけを受け付ける請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載の輻輳制御装置。
【請求項9】
送受信するATMセルの輻輳を制御する輻輳制御装置を搭載した基地局装置であって、
外部装置から受信したATMセルを破棄したことを検出するセル破棄検出手段と、
前記セル破棄検出手段がATMセルの破棄を検出すると、ATMセルの破棄が予め定めた所定の頻度以上で発生しているか否かを判定する頻度判定手段と、
前記頻度判定手段が予め定めた所定の頻度以上でATMセルの破棄が発生していると判定すると、ATMセルが輻輳していると判定する輻輳判定手段と、
前記輻輳判定手段がATMセルが輻輳していると判定すると、外部装置からの新たな呼の受け付けを制限する呼制限手段とを
備えたことを特徴とする基地局装置。
【請求項10】
基地局装置が送受信するATMセルの輻輳を制御する輻輳制御方法であって、
前記基地局装置が外部装置から受信したATMセルを破棄したことを検出するステップと、
前記ATMセルの破棄を検出すると、ATMセルの破棄が予め定めた所定の頻度以上で発生しているか否かを判定するステップと、
前記予め定めた所定の頻度以上でATMセルの破棄が発生していると判定すると、ATMセルが輻輳していると判定するステップと、
前記ATMセルが輻輳していると判定すると、外部装置からの新たな呼の受け付けを制限するステップとを
含むことを特徴とする輻輳制御方法。
【請求項11】
ATMセルの破棄を検出すると、ATMセルの破棄の発生頻度を示す係数である破棄発生頻度係数を求めるステップと、
前記求めた破棄発生頻度係数が予め定めた閾値以上であるか否かを判断するステップと、
破棄発生頻度変数が予め定めた閾値以上であると判断すると、ATMセルが輻輳していると判定するステップとを含む
請求項10記載の輻輳制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−135516(P2006−135516A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−320787(P2004−320787)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】