説明

農作業機

【課題】簡単且つ安価な構成で、農作業機に搭載した表示パネル装置内で発生する熱を外部に排出させる。
【解決手段】ボンネットカバー体9の上部に取付けられた表示パネル装置60における本体ケースのうち底カバー体62に設けられた空気排出口68に、排気筒69を接続し、この排気筒の開放端を、エンジン冷却フアン41における空気吸い込み側の近傍(冷却風採入口42に配置することにより、エンジン冷却フアン41が作動すれば、回りの空気を吸い込むときの負圧が排気筒69の開放端に作用し、この排気筒を介して本体ケース内の空気を外に吸い出す。一方、本体ケースには空気吸入口67が設けられているので、外気が本体ケースに吸い込まれ、冷却空気の強制的流れができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば苗載台及び苗植付爪を備えて連続的に苗植作業を行う田植機、トラクタ、コンバイン等の農作業機に係り、より詳しくは、農作業機の作業状態や警報等を表示するための表示パネル装置を冷却するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、田植機やコンバイン等の農作業機、特に乗用型の農作業機においては、運転席の前方に配置された運転部コラム又はエンジンの上部などを覆うボンネットカバー体の上面側に、表示パネル装置が取付けられている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【特許文献1】特開平8−205662号公報(図1及び図4参照)
【特許文献2】特開平9−140227号公報(図2及び図6参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
農作業機のように、屋外で、且つ日光にさらされた状態でも作業者が視認しやすいように、近年の表示パネル装置は、発光体として、通常の白熱ランプに代えて、赤色、青色、黄色などのカラーの発光ダイオードを多数個使用することが多い。従って、これらの発光ダイオードを駆動及び制御するために、表示パネル装置の本体ケース内に、トランジスタ、半導体素子などの電子部品を搭載した電子回路基板を備えている。この電子回路に駆動・制御のために大きい電流を流すことで、上記電子部品から発生する輻射熱や、上記日光による輻射熱によって表示パネル装置の内部の温度が著しく上昇し、表示パネル装置の部品の寿命が短くなったり、破損するという問題があった。
【0004】
それを防止するため、通常、本体ケースに空気流入口と排気口とを開口させて自然対流により空気冷却したり、さらに、表示パネル装置の本体ケースの内部に電動式の冷却フアンを装備して強制的に空気の流れを生じさせて、冷却することが考えられる。
【0005】
しかしながら、空気の自然対流だけでは、冷却効果がさほど得られないし、電動式の冷却フアンを装備すると、そのための製造コストが高くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、これらの従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、田植機やコンバイン等の農作業機において、作業時にエンジンから発生する熱を強制的に外部に排出するための冷却フアンや、作業部のためのブロア(送風フアン)を備えていることを利用して、表示パネル装置を効率的且つ安価に冷却するための装置(構造)を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、運転座席の前方位置に、作業状態や警報を運転者に表示するための表示パネル装置を備えた農作業機において、前記表示パネル装置における本体ケースを運転部カバー体の上面に取付けし、前記本体ケースには、表示部以外の箇所に空気吸入口と、空気排出口とが設けられ、前記空気排出口に接続した排気筒の開放端を、冷却フアンにおける空気吸い込み側の近傍に配置したことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の農作業機において、前記運転部カバー体はエンジン部を覆うボンネットカバー体であり、前記冷却フアンはエンジン冷却フアンであることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、運転座席の前方位置に、作業状態や警報を運転者に表示するための表示パネル装置を備えた農作業機において、前記表示パネル装置における本体ケースを適宜位置のカバー体の上面に取付けし、前記本体ケースには、表示部以外の箇所に空気吸入口と、空気排出口とが設けられ、前記空気排出口または前記空気排出口に接続した排気筒を送風フアンにおける空気吸い込み側の近傍に配置したものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の農作業機において、前記空気排出口は、前記本体ケース内の電子部品の配置位置近傍に設けられているものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、表示パネル装置における本体ケースに設けられた空気排出口に、排気筒を接続し、この排気筒の開放端を、冷却フアンにおける空気吸い込み側の近傍に配置することにより、冷却フアンが作動すれば、回りの空気を吸い込むときの負圧が排気筒の開放端に作用し、この排気筒を介して本体ケース内の空気を外に吸い出す。一方、本体ケースには空気吸入口が設けられているので、外気が本体ケースに吸い込まれ、冷却空気の強制的流れができる。そのための構成は、前記本体ケースに形成された空気吸入口と、空気排出口と、排気筒だけであるので、製造コストが安価になるという効果を奏する。
【0012】
また、空気吸入口と空気排出口とは、表示部以外の箇所であり、運転部カバー体にて覆われているので、農作業中の埃や、外部からの雨が空気吸入口を介して本体ケース内に進入せず、表示パネル装置の故障率も低下させることができるという効果を奏する。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、前記冷却フアンは農作業機に搭載されたエンジン冷却フアンであるので、そのエンジン冷却フアンの負圧を利用して強力な吸引力にて本体ケース内の空気を吸引し、外部に排出し、表示パネル装置の内部の温度の上昇を効率的に防止することができる。そして、前記運転部カバー体はエンジン部を覆うボンネットカバー体であるので、エンジン部と表示パネル装置との間を熱遮断するための遮蔽板を配置することも簡単にできる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、運転座席の前方位置に、作業状態や警報を運転者に表示するための表示パネル装置を備えた農作業機において、前記表示パネル装置における本体ケースを適宜位置のカバー体の上面に取付けし、前記本体ケースには、表示部以外の箇所に空気吸入口と、空気排出口とが設けられ、前記空気排出口または前記空気排出口に接続した排気筒を送風フアンにおける空気吸い込み側の近傍に配置したものである。本発明では、表示パネル装置が取付けられるカバー体は、運転部以外の走行機体上のカバー体や作業部のカバー体であって良く、また、送風フアンは、田植機における施肥機器に対する送風フアンなど、農作業機に搭載されているものを利用できるから、フアン及びその駆動源を別途設ける場合に比べて、コストが安価になるという効果を奏する。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、前記空気排出口は、前記本体ケース内の発熱量の大きい半導体素子の配置位置近傍に設けられているから、外部への熱の排出を効率的に行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を田植機に具体化した実施形態を図面に基づいて詳述する。図1は田植機全体の側面図、図2は同平面図、図3は車体フレームに搭載させた空冷式エンジン及びエンジン冷却用カバー体等を示す斜視図、図4は同じく右側面図、図5はボンネットカバー体及びエンジン冷却用カバー体等の縦断面図、図6はボンネットカバー体の平断面及びエンジン冷却用カバー体の平面図、図7は表示パネル装置の平面図、図8は表示パネル装置の下面図、図9は図7のIX−IX線矢視断面図、図10は図7のX−X線矢視断面図である。
【0017】
作業者が搭乗する走行車両1の車体フレーム3における前部には、空冷式エンジン2が搭載されている。図示しないミッションケースの側方にフロントアクスルケース5を介して水田走行用前輪6を支持させると共に、前記ミッションケースの後方のリヤアクスルケース7に水田走行用後輪8を支持させる。そして前記エンジン2等を覆うボンネットカバー体9の両側には車体フレーム3から立設されたフレームに予備苗載台10が多段に設けられている。
【0018】
作業者が搭乗する車体カバー11によって車体フレーム3等を覆い、車体カバー11の上面後側にシートフレーム12を介して運転席13が取付けられ、その運転席13の前方でボンネットカバー体9の後部に操向ハンドル14が設けられている。
【0019】
苗植装置15は、植付ケース17前側のヒッチブラケット18をトップリンク20及びロワーリンク19を含む昇降リンク機構を介し走行車両1の後側に上下動可能に連結されたものであり、前記リンク機構を介して苗植装置15を昇降させる油圧昇降シリンダ21がロワーリンク19に連結されている。
【0020】
8条植え用の苗載台16は前高後低状に配置された合成樹脂製である。苗載台16は下部レール22及び上部レール23を介して植付ケース17に左右往復摺動自在に支持されると共に、一方向に等速回転させるロータリケース24を植付ケース17に支持させ、ロータリケース24の回転軸芯を中心に対称位置に一対の爪ケース25を配設し、その爪ケース25の先端に苗植付爪26がそれぞれ取付けられている。
【0021】
中央2条均平用センタフロート27、左右2条均平用サイドフロート28及び左右最外側1条均平用補助フロート29が植付ケース20の側方に配置されている。なお、図示しないが、ミッションケースの後方に突出させたPTO出力軸から自在継手軸を介して植付ケース17の入力軸に連結し、苗植装置15に動力を伝える。
【0022】
上記の構成により、各フロート27、28、29が圃場の泥面を滑走するよう苗植装置25を下降させた状態で、前後輪6・8を走行駆動して移動すると同時に、左右に往復摺動させる苗載台16から一株分の苗を植付爪26によって取出し、連続的に苗を植える田植作業を行うことができる。
【0023】
8条用側条施肥機31は、走行車両1の後部側であって、運転席13より後方で走行車両1の幅方向に沿って配置される複数の肥料ホッパ32と、車体カバー11の後部デッキの一側部に固定された1つの送風機33と、図示しない肥料搬送ホース等を有し、各肥料ホッパ32内の肥料を送風機(施肥機ブロアー)33の送風力で、各フロート27、28、29の側条作溝器(図示せず)に肥料を排出させるように構成されている。
【0024】
図2中、符号34は主変速レバー、35は苗植装置15の昇降・植付クラッチの入切・マーカ操作を行う植付操作レバー、36は変速ペダル、37はアクセルレバー、38はユニットクラッチレバーである。
【0025】
次に、ボンネットカバー体9内におけるエンジン2のエンジン冷却用カバー体の構成について説明する。図3、図4及び図5に示すように、エンジン2後側のファンケース40内にエンジン冷却ファン41が配設され、ファンケース40後面略中央に空気(冷却風)取入口42が開成されている。該空気取入口42には防塵網43が張設され、空気取入口42の後方位置にエンジンオイル・ミッションオイル・変速機(HST)オイルなどのオイルクーラ44を縦型で横長手状に配設させている。このオイルクーラ44は取付台及び取付板を介し操向ハンドル14のハンドルコラム45に連結支持されている。これにより、車体カバー11の下面側からボンネットカバー体9の下端側に吸い込まれた空気は、オイルクーラ44に触れながら空気取入口42に取り込まれるので、別途にオイルクーラ44専用の冷却用ファンを設けることなくエンジン冷却ファン41を利用してオイルクーラ44を強制冷却させ、オイルクーラ44の冷却効果の向上と、オイルクーラ44の小型コンパクトな組込みを可能とさせるように構成している。
【0026】
エンジン2の後側上方を、上記フアンケース40に連設させた4角箱形状の通風カバー46で覆い、ファンケース40内のファン室48と通風カバー46内のクリーナ室49とを連通させ、このクリーナ室49内にエンジン2のためのエアクリーナ47を配設させる(図5参照)。
【0027】
さらに、エンジン2の前側上方を正面視門形の前方排風カバー50で覆って、クリーナ室49に連通する冷却排風路51を排風カバー50の内側に形成して、図5に示す如く、クリーナ室49を流通した後の冷却風を排風路51を介しボンネット9前面に開口する排風口52より外側に排出させる。これにより、クリーナ室49の温度上昇を抑え、キャブレータに冷たい空気を送り込むことによってエンジン2の出力上昇や燃料消費量の向上を図るように構成している。なお、排風口52は車体カバー11のステップ部11aより上方に配設されて、排風口52からの排風は畦の苗にも当たることなく苗の損傷も防止できる。
【0028】
また、図4及び図5に示す如く、フアンケース40の左右両側からエンジン2の左右両側を通って前方向に流通排出される熱風(エンジン冷却風)を合流させ下方に案内するための導風板53をエンジン2の前側に配設させるものである。導風板53は、左右からの風を合流させる合流部53aと、合流した風をエンジン2の左側に集めて下方に排出案内する下方排出部53bとを正面視L形状に有し、合流部53aの上側コーナ部(上・左右・前方向)の形状をそれぞれ鈍角からなる案内面53cで形成して、エンジン2流通後の熱風を合流部53aでスムーズに合流させると共に、排出部53b下側の排出口54より良好に下方に排出させて、熱風の排出効率を向上させるように構成している。
【0029】
さらに、前記通風カバー46及び排風カバー50の上方にエンジン2関係のリレーなど電装部品56を配設させるため、車体フレーム3の前部とハンドルコラム45などと連結するフレーム57に電装台58を介し取外し自在に電装部品56を取付ける。この構成により、エンジン2の上方近接位置に電装部品56を配設した構造においても、エンジン2の熱が直接的に電装部品56に伝わるなどの悪影響を低減させる。
【0030】
次に、ボンネットカバー体9の上面に配置する表示パネル装置60の構成並びにその冷却構造について説明する。
【0031】
図5、図7〜図10に示すように、ボンネットカバー体9の上面のうち、操向ハンドル14の下方に近い側の右側部位には、植深さ自動調節をON・OFFするための植深さ自動調節スイッチ63aと、警告ブザーを停止するためのブザー停止スイッチ63bとが設けられている(図7参照)。同じく左側部位には、コンビネーションスイッチ63cが配置され、また、左右中央部位には、苗植装置15の左右傾きを自動調節するための自動傾斜制御スイッチ63dが配置されている。
【0032】
ボンネットカバー体9の上面のうち、前記スイッチ類の配置部より前側の開口部9aには、表示パネル装置60における上面側を覆う透明樹脂からなる表面カバー体61と表示パネル装置60の下面側を覆う底カバー体62とを備えている。表面カバー体61及び底カバー体62は合成樹脂材の射出成形部品であり、両カバー体61、62の縁部を重合させた状態で、表示パネル装置60における本体ケースが構成され、この本体ケースをボンネットカバー体9の内面に突出するビス止めボス9bに対して複数箇所でビス64により締結固定している。
【0033】
さらに詳しく説明すると、表面カバー体61と底カバー体62とで囲まれた本体ケースの内部空間に、表示パネル装置60における中ケース60aが固定され、その上面側に液晶ディスプレイ部(パネル)60bが配置され、中ケース60aの下面側のケース60fにバックライトとなるLED60cや、液晶ディスプレイ部60bとLED60cとを駆動し、制御するための集積回路素子等の半導体素子を含む電子部品60dが搭載されたプリント配線基板(制御基板)60eが固定されている(図9及び図10参照)。そして、ケース60f及びプリント配線基板60eと底カバー体62との間には空間65が形成されている。
【0034】
上記底カバー体62の平面部位には、別の箇所に設けられた制御部や電源などとプリント配線基板60eにおけるコネクタとの配線接続のためのカプラーを通す大径穴66と、上記表面カバー体61と底カバー体62とで囲まれた本体ケースの内部空間内の熱気、特に、プリント配線基板60eにおける半導体素子などの電子部品60dから発生する熱を外に排出するための空気排出口67と、前記内部空間(特に空間65)に冷却空気を導入するための複数の空気吸入口68とが穿設形成されている(図8、図9及び図10参照)。
【0035】
なお、大径穴66は可撓性を有するカプラーカバー66a(図9及び図10の二点鎖線参照)にて配線ケーブルと共に塞いでおり、空気吸入口68は図10(b)で示すように、略半円弧状の穴68aを有しているので、大きいゴミや、虫などの異物が本体ケース内に入るのを防止できる。
【0036】
上記空気排出口67に一端を連結したゴムホースなどの可撓性を有する排気筒69はボンネットカバー体9の内部空間で下方に導かれ、この排気筒69の下端開口部(開放端)を上記エンジン冷却フアン41の近傍、実施形態では冷却風取入口42の近傍に臨ませる(図5、図6参照)。排気筒69の下端部をハンドルコラム45等に連結固定することにより、当該排気筒69の下端開口部を冷却風取入口42と対面するように、姿勢保持する。
【0037】
なお、図7に示すように、表示パネル装置60には、複数の文字を横並びで表示できる液晶ディスプレイ部60bと、その上部位の絵文字表示部、即ち、苗継ぎ警報表示部70a、植付けケース17毎の一対のロータリケース24毎のユニットクラッチの停止状態を表示するユニットクラッチ警報表示部70b、肥料補給警報表示部70c、肥料詰まり警報表示部70dと、その外周部位にて表示される燃料などのエンジンの状態表示部70e、植付けクラッチ警報表示部70f、植深さ自動制御表示部70gなどが配置されている。絵文字表示部では、バックライトのLED60cが点灯すると、その表面側のパネルに描かれた絵文字が明瞭に浮かび上がるものである。上記各表示部の点灯に応じて対応する田植機の作業状態や警報の内容、指示事項などが文字にて液晶ディスプレイ部60bに表示されるものである。
【0038】
上述のごとく、表示パネル装置60を点灯表示させると、表面カバー体61と底カバー体62とで囲まれた本体ケースの内部空間内(特に空間65)に、プリント配線基板60eにおける半導体素子などの電子部品60dから発生する熱が溜まるので、底カバー体62の空気排出口67に連結した排気筒69の開放端をエンジン冷却フアン41の吸込み側の近傍である冷却風取入れ口42に対面させておくことで、エンジン冷却フアン41の負圧を利用して本体ケースの内部空間内の熱を空気と共に走行車両1の外部に排出できる。実施形態の場合は、エンジン2から発生する熱をエンジン冷却フアン41の送風により、フアンケース40内、通風カバー46及び排風カバー50などのエンジン冷却用カバー体の内側を通って、ボンネットカバー体9の前方に排出し、さらに、フアンケース40の左右両側からエンジン2の左右両側を通って前方向の導風板53を介して熱風(エンジン冷却風)を車体フレーム3の下方に流通排出されるとき、前記表示パネル装置60内の熱も同時に排出できるのである。
【0039】
そして、実施形態では、エンジンの外周を上記フアンケース40、通風カバー46、排風カバー50及び導風板53などからなるエンジン冷却用カバー体で覆っているので、これらのケース、カバーや板が熱遮断材料となり、エンジン2から発生する熱(輻射熱)がボンネットカバー体9内上部の空気を上昇させることや表示パネル装置60に直接作用しないので、表示パネル装置60の本体ケース内の温度上昇を効果的に防止できる。
【0040】
他の実施形態として、運転部のカバー体であるボンネットカバー体9や、運転席13の作業者から見える箇所の車体カバー11の適宜位置に配置された表示パネル装置60の本体ケースにおける空気排出口67に接続したゴムホースなどの可撓性を有する排気筒を、図示しないが、ボンネットカバー体9内や車体カバー11の下面に沿わせて、走行車両1の適宜箇所に設置した送風フアンの吸引口の近傍まで延設することで、この送風フアンの負圧を利用して、本体ケース内部空間(特に空間65)の熱を効率良く外部に排出することができるのである。前記送風フアンは上述した施肥機ブロアー33であっても良いし、ボンネットカバー体9以外の箇所に設けられた制御手段のための冷却用の送風フアン若しくは作業用の送風フアンでも良い。
【0041】
これらの場合、空気排出口67は熱の発生源である半導体素子などの電子部品の近くに設けることにより、一層効率良く排熱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】田植機の全体側面図である。
【図2】田植機の全体平面図である。
【図3】車体フレームに搭載させた空冷式エンジン及びエンジン冷却用カバー体等を示す斜視図である。
【図4】同じく右側面図である。
【図5】ボンネットカバー体及びエンジン冷却用カバー体等の縦断面図である。
【図6】ボンネットカバー体の平断面及びエンジン冷却用カバー体の平面図である。
【図7】表示パネル装置の平面図である。
【図8】表示パネル装置の下面図である。
【図9】図7のIX−IX線矢視断面図である。
【図10】図7のX−X線矢視断面図である。
【符号の説明】
【0043】
2 エンジン
3 車体フレーム
9 ボンネットカバー体
11 車体カバー
33 送風機(施肥機ブロアー)
40 エンジン冷却用カバー体の一部としてのフアンケース
41 エンジン冷却フアン
42 冷却風取入れ口
46 通風カバー
50 排風カバー
60 表示パネル装置
61 表面カバー体
62 底カバー体
67 空気排出口
68 空気吸入口
69 排気筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転座席の前方位置に、作業状態や警報を運転者に表示するための表示パネル装置を備えた農作業機において、
前記表示パネル装置における本体ケースを運転部カバー体の上面に取付けし、
前記本体ケースには、表示部以外の箇所に空気吸入口と、空気排出口とが設けられ、
前記空気排出口に接続した排気筒の開放端を、冷却フアンにおける空気吸い込み側の近傍に配置したことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
前記運転部カバー体はエンジン部を覆うボンネットカバー体であり、
前記冷却フアンはエンジン冷却フアンであることを特徴とする請求項1に記載の農作業機。
【請求項3】
運転座席の前方位置に、作業状態や警報を運転者に表示するための表示パネル装置を備えた農作業機において、
前記表示パネル装置における本体ケースを適宜位置のカバー体の上面に取付けし、
前記本体ケースには、表示部以外の箇所に空気吸入口と、空気排出口とが設けられ、
前記空気排出口または前記空気排出口に接続した排気筒を送風フアンにおける空気吸い込み側の近傍に配置したことを特徴とする農作業機。
【請求項4】
前記空気排出口は、前記本体ケース内の電子部品の配置位置近傍に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−44566(P2008−44566A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224086(P2006−224086)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】