説明

農産物の体積測定装置

【課題】農産物の体積を高速且つ高精度に測定できるようにする。
【解決手段】塊状の測定対象農産物7の表面上に設定方向に延びる線状の輝線6を形成する光線を照射する光線投射手段2と、輝線6を撮像する撮像手段1と、輝線6を、測定対象農産物7上で、輝線6の方向と交差する方向に移動させる輝線移動手段BMとが備えられて農産物の体積測定装置が構成され、移動される輝線6の移動途中の各位置において、輝線6の位置情報によって得られる測定対象農産物7の外形形状と、測定対象農産物7上の輝線の両端位置の夫々から前記光線の入射側と反対側へ伸ばした線を測定対象農産物7の外形形状とみなしたみなし外形形状とに基づいて特定される面積の少なくとも一部に対して補正係数を乗算することによって補正し、前記移動途中の各位置での補正後の面積に基づいて測定対象農産物7の体積を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塊状の測定対象農産物の体積を光学的検出手段によって求める農産物の体積測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる農産物の体積測定装置は、農産物の選別作業等の自動化のために、農産物の体積を自動測定するための装置であり、例えば下記特許文献1に記載のように、撮像装置を用いた光学的検出手段によって農産物の体積を測定する技術が考えられている。
このような技術では、光学的検出手段によって農産物の体積を測定するものであるため、農産物に対する物理的な処理操作を格別には必要とせず、農産物にキズ等をつけることなく必要な情報が得られるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−293404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、農産物の選別作業等において、農産物の体積を高速且つ高精度に測定したいとの要請が一層強くなってきており、従来技術では、必ずしも、そのような要請に十分に応えることができなかった。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、農産物の体積を高速且つ高精度に測定できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の第1の発明は、塊状の測定対象農産物の体積を光学的検出手段によって求める農産物の体積測定装置において、前記光学的検出手段は、塊状の測定対象農産物の表面上に設定方向に延びる線状の輝線を形成する光線を、前記測定対象農産物に対して設定角度で照射する光線投射手段と、前記光線投射手段による前記光線の投射角度に対して設定角度傾斜した方向から前記輝線を撮像する撮像手段とが備えられて構成され、前記輝線を、前記測定対象農産物上で、前記輝線の方向と交差する方向に移動させる輝線移動手段と、前記撮像手段の撮像情報によって得られる前記輝線の位置情報に基づいて、前記測定対象農産物の体積を求める体積演算手段とが備えられ、前記体積演算手段は、前記輝線移動手段によって移動される前記輝線の移動途中の各位置において、前記測定対称農産物の表面上の前記輝線の位置情報によって得られる前記測定対象農産物の外形形状と、前記測定対象農産物上の前記輝線の両端位置の夫々から前記光線の入射側と反対側へ伸ばした線を前記測定対象農産物の外形形状とみなしたみなし外形形状とに基づいて特定される面積の少なくとも一部に対して補正係数を乗算することによって補正し、前記移動途中の各位置での補正後の面積に基づいて前記測定対象農産物の体積を求めるように構成されている。
【0006】
すなわち、いわゆる光切断法によって測定対象農産物の体積を求めるものであり、測定対象農産物に投射した光線によって測定対象農産物の表面上に形成される輝線の位置を、三角測量の原理で撮像装置の撮像情報から検出し、それによって得られる測定対象農産物の外形形状から断面の面積を求め、上記輝線移動手段によって移動される輝線の移動途中の各位置での断面の面積から測定対象農産物の体積を求める。
この際、塊状の農産物を測定対象とする場合は、測定対象農産物に対して設定角度で光線を照射すると、測定対象農産物の表面において上記の輝線が形成されない、陰になる領域が存在する。
このような陰の領域に関しては、測定対象農産物の外形形状の情報が得られないので、測定対象農産物上の輝線の両端位置の夫々から光線の入射側と反対側へ伸ばした線を測定対象農産物の外形形状とみなして、これらの外形形状から断面の面積を求める。
その断面の面積をそのまま体積の算出に利用すると、体積を過大に評価してしまうことになるので、補正処理を行う。
この補正処理としては、上記の断面の面積の少なくとも一部に対して補正係数を乗算して補正する。
【0007】
又、本出願の第2の発明は、上記第1の発明に構成に加えて、前記体積演算手段は、前記輝線の位置情報によって得られる外形形状と前記みなし外形形状とによって特定される面積のうち、前記みなし外形形状によって特定される部分の面積に対して前記補正係数を乗算して補正するように構成されている。
すなわち、輝線の位置情報によって得られる外形形状と上記みなし外形形状とによって特定される断面の面積に対して上記補正係数を適用するについては、その断面積全体に実験等によって求めた補正係数を適用することも可能であるが、直接的な誤差要因である上記みなし外形形状によって特定される部分の面積に対して補正係数を適用することで、精度の良い補正が可能となる。
【0008】
又、本出願の第3の発明は、上記第1又は第2の発明の構成に加えて、前記輝線移動手段は、前記輝線の方向と交差する方向で、前記光線投射手段及び前記撮像手段と、前記測定対象農産物とを相対移動させる搬送手段にて構成されている。
すなわち、測定対象農産物の表面上で上記輝線を移動させる構成としては、上記輝線を光学的手法により走査するような構成も考えられるが、光学的検出手段を構成する光線投射手段及び撮像手段と、測定対象農産物とを、搬送手段にて相対移動させる構成とすることで、検出光学系の複雑化等を回避でき、装置構成の簡素化を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
上記第1の発明によれば、測定対象農産物の表面上に輝線を投射形成して外形形状を把握すると共に、その輝線では把握できない部分については、輝線の端部の延長線を外形形状と仮定し、それらの外形形状によって特定される断面の面積の少なくとも一部に対して補正係数を乗算して補正し、輝線の移動途中の各位置での補正した面積から測定対象農産物の体積を求めるという手法をとることで、二次元画像をそのまま処理するような構成に比べて処理する情報の情報量を少なくできると共に、適切な補正処理を適用することで、農産物の体積を高速且つ高精度に測定できるものとなった。
【0010】
又、上記第2の発明によれば、直接的な誤差要因である上記みなし外形形状に囲まれる部分の面積に対して補正係数を適用することで、精度の良い補正が可能となって、体積の測定精度を一層向上させることができる。
又、上記第3の発明によれば、簡素な構成で測定対象農産物の表面上に形成する輝線を移動させることができるので、装置構成を一層簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態にかかる体積測定装置の斜視図
【図2】本発明の実施の形態にかかる体積測定装置の概略配置を示す側面図
【図3】本発明の実施の形態にかかる体積の測定手法を説明する図
【図4】本発明の実施の形態にかかる体積測定装置の概略ブロック構成図
【図5】本発明の実施の形態にかかる体積測定装置の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の農産物の体積測定装置を、農産物の仕分けシステムに組み込んだ場合の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施の形態では、塊状の農産物であるじゃがいもを測定対象農産物として例示して説明する。
〔体積測定装置VMの構成〕
体積測定装置VMは、図1の斜視図及び図4の概略ブロック図に示すように、撮像手段である撮像装置1と光線投射手段であるレーザ投光装置2とを有する光学的検出手段ODと、測定対象の農産物7を搬送するベルトコンベア式の搬送装置3と、撮像装置1の検出データ等に基づいて農産物7の体積を演算する演算装置4と、演算装置4が求めた体積値を表示する表示装置5とが備えられて構成されている。
この体積測定装置VMにて求めた農産物7の体積値は、演算装置4から仕分け制御装置11へ送られる。
【0013】
レーザ投光装置2は、光学的検出手段ODの配置を側面視で示す図2(a)において示すように、搬送装置3における農産物7の載置面の上方位置に固定設置され、その載置面に対して上方から垂直方向にレーザ光(光線)を投射する。
レーザ投光装置2が投射するレーザ光は、図1において1点鎖線Aにて示すように、扇状に平面として拡がる形状に成形されており、搬送装置3における農産物7の載置面上及びその載置面上に位置する農産物の表面上に、搬送横幅方向に延びる輝線6が形成される。レーザ光を上記のような形状に成形するには、シリンドリカルレンズ等を用いた光学系を使用する。尚、この輝線6は、撮像装置1において輝線として検出できるものであれば良く、レーザ光の波長が可視光領域の波長である必要は必ずしもない。又、図1及び図2では、図示の都合上、レーザ投光装置2及び撮像装置1と農産物7との距離を、実際の距離よりもかなり短くした状態で図示している。
【0014】
輝線6は、搬送装置3における載置面上に農産物7が存在しないときは、載置面が平面であるため直線となるが、載置面上のレーザ光が当たる位置に農産物7が存在するときは、その農産物7の外形形状を反映した曲線となる。
撮像装置1は、図2(a)に示すように、それの撮像中心軸の方向が、レーザ投光装置2によるレーザ光の投射角度に対して設定角度傾斜する姿勢で固定設置され、レーザ光の投射角度から設定角度傾斜した斜め上方から輝線6を撮像する。撮像装置1の撮像範囲の光軸中心は任意に設定すれば良いが、本実施の形態では、図2(a)において1点鎖線Bで示すように、搬送装置3における農産物7の載置面上のレーザ光の当たる位置を光軸中心とした場合を図示している。
このように、レーザ投光装置2のレーザ光の投射角度と撮像装置1の撮像角度とを設定角度で傾斜させておくことで、撮像装置1の撮像情報から、いわゆる3角測量の原理によって、輝線6上における各位置の、搬送装置3における農産物7の載置面からの高さを求めることができ、農産物7の表面上に形成された輝線6に沿った各位置の高さ情報を農産物7の外形形状として把握できる。
【0015】
上記のように、レーザ投光装置2によるレーザ光の投射角と、撮像装置1による撮像角度とを傾斜させている関係で、農産物7の表面にレーザ光による輝線6が形成されているにも拘わらず、その輝線6を撮像装置1にて撮像できないケースもある。
すなわち、測定対象の農産物7の形状が、図2(a)に示すような形状を有しているものとして、撮像装置1にて撮像する視野における農産物7の上端位置は、図2(a)において点線Cで指し示す位置であり、レーザ投光装置2による輝線6が図2(a)で示す位置に形成されている場合は、輝線6が撮像装置1の撮像範囲よりも奥側に位置して隠れてしまう位置関係となるのである。尚、図2(a)では、レーザ投光装置2及び撮像装置1と農産物7との距離を、実際の距離よりもかなり短くした状態で図示しており、両者の距離を十分に確保することで、農産物7の表面上に形成された輝線6を撮像装置1が撮像できない範囲を小さくすることができる。
【0016】
上記のような、農産物7の表面上に形成された輝線6を撮像装置1が撮像できない範囲については、図2(b)に示すように、レーザ投光装置2によるレーザ光の投射方向を、農産物7の載置面に直交する方向から、撮像装置1の存在側と反対側に傾斜させるように、レーザ投光装置2と撮像装置1との相対的な位置関係を維持しながら、一体に回転させた配置とすることで、小さくすることができる。
図2(b)に示すような配置とすることで、撮像装置1にて撮像する視野における農産物7の上端位置は、図2(b)において点線Dで指し示す位置となり、図2(a)に示す位置とほぼ同じ位置に形成された輝線6は、撮像装置1の視野内に入り、輝線6の位置を特定することができる。
本実施の形態では、図2(a)で示す配置とした場合について説明するが、図2(b)の配置とした場合でも、農産物7の断面をスライスする角度が変わるだけで、実質的な処理は同様である。
【0017】
ベルトコンベア式の搬送装置3は、レーザ投光装置2及び撮像装置1と、農産物7とを、輝線6の方向と交差する方向(より具体的には、直交する方向)に相対移動させる搬送手段であり、図1に示すように、図示を省略するモータにより回転駆動される駆動ローラ3aと従動ローラ3bとの間に搬送ベルト3cが掛け渡されると共に、遊転ローラ3dにて搬送ベルト3cを下方側から支承する構成としている。搬送ベルト3c上が農産物7の載置面となっている。駆動ローラ3aの回転駆動によって、搬送ベルト3c上の農産物7を、矢印Hの方向に搬送する。
搬送ベルト3c上に載置された農産物7が、レーザ投光装置2によるレーザ光の投射位置を通過すると、レーザ光により形成される輝線6が、農産物7上で、輝線6の方向と交差する方向(より具体的には、直交する方向)に移動することになり、搬送装置3は輝線移動手段BMとして機能する。
演算装置4は、本実施の形態ではパーソナルコンピュータにて構成しており、後述のように、撮像装置1の撮像情報によって得られる輝線6の位置情報に基づいて、農産物7の体積を求める体積演算手段VCとして機能する。
【0018】
〔体積の測定処理〕
次に、上記構成の体積測定装置VMによる測定処理について、演算装置4が実行する図5のフローチャートに基づいて説明する。
体積測定装置VMによる体積測定の基本的な考え方は、搬送方向で等間隔に、搬送方向と直交する面で農産物7を仮想的にスライスし、スライスした各断片の体積を積算することで農産物7の体積を求める。スライスした各断片の体積は、スライスした断面の面積とスライスする間隔との積によって求められる。
図5の処理は、1つの分の断片について、その断片の体積を求めて、体積積算値を記憶するメモリに積算する処理となっている。
図5に基づいて具体的に説明する。
図5の処理は、搬送装置3が、搬送ベルト3cを設定長さ送る毎に、すなわち、農産物7を設定距離搬送する毎に出力するパルス信号を受け取ると処理を開始する。換言すると、農産物7の表面上を移動する輝線6が、その移動途中において、上記設定距離移動する毎の各位置で処理を開始する。
このパルス信号の間隔は、上記の農産物7をスライスする幅に相当するので、十分小さい値に設定されて、体積の測定精度を向上させるものとしている。
【0019】
先ず、撮像装置1が撮像している撮像情報を二次元画像データとして取り込み、その画像データから、二値化等によって輝線6の画像上での位置データを抽出すると共に、輝線6の位置データから、三角測量の原理で輝線6上の各位置の高さデータを算出する(ステップ#1)。
この算出データに基づいて、輝線6が農産物7に形成されている状態か、あるいは、搬送ベルト3cの表面のみに輝線6が形成されている状態かを判断し(ステップ#2)、その判断に応じた処理に移行する。この判断は、具体的には、搬送ベルト3cの微小な凹凸に相当する程度の高さよりも若干高い高さに設定されている判別用高さと、輝線6上の各位置の高さデータとを比較することで行い、判別用高さよりも大きい高さデータが存在していれば、農産物7に輝線6が形成されている状態であると判断する。
【0020】
搬送ベルト3cの表面のみに輝線6が形成されている状態であると判断し(ステップ#2)、その時点において積算している体積積算値のデータが存在しなければ(ステップ#3)、農産物7がレーザ投光装置2によるレーザ光の投射位置に到達するのを待機している状態であるので、そのまま処理を終了する。
【0021】
ステップ#2において、輝線6が農産物7に形成されている状態であると判断したときは、体積の算出のための処理に移行し、先ず、レーザ投光装置2から投射されるレーザ光がなす平面での農産物7の断面積を求める(ステップ#5)。
ステップ#1において輝線6の位置情報から得られる輝線6上の各位置の高さデータは、二次元座標として図示すると、図3(a)乃至図3(c)において、実線Eで示すものとなり、農産物7の外形形状を示している。図3(a)乃至図3(c)は、異なる外形形状を有する3の農産物7のデータについて夫々図示している。
図3(a)乃至図3(c)では、輝線6が形成されない部分の農産物7の外形形状についても2点鎖線Fにて示している。
尚、厳密には、輝線6の両端部では、レーザ光の入射角度が、農産物7の載置面に直交する方向からわずかに傾いているが、上述のように、レーザ投光装置2及び撮像装置1と農産物7との距離を確保することで、農産物7の載置面に直交する方向に十分近づけることができるので、輝線6の両端部においても、レーザ光の入射角度が農産物7の載置面に直交しているものとみなして説明する。
【0022】
上述のように輝線6の位置情報から農産物7の外形形状が全て得られるわけではなく、図3(a)乃至図3(c)において2点鎖線Fにて示す部分の外形形状は、輝線6の位置情報から推定して、それを農産物7の外形形状とみなして処理をする。以下において、この農産物7の外形形状とみなした部分を「みなし外形形状」と称する。
このみなし外形形状は、図3(a)乃至図3(c)において実線Eで示す輝線6の位置情報に基づくデータにおいて、それの両端位置の夫々から、レーザ光の入射側と反対側(農産物7の載置面側)へ伸ばした線を、農産物7の外形形状とみなす。
本実施の形態では、図3(a)乃至図3(c)において点線Gにて示す、輝線6の高さデータの両端位置夫々から、農産物7の載置面(搬送ベルト3cの上面)に下ろした垂線を、上記みなし外形形状としている。
図3(a)乃至図3(c)では、輝線6の位置情報から得た外形形状にて特定される領域を、左上がりの斜線で埋めた領域Pとして示し、上記みなし外形形状にて特定される領域を、左下がりの斜線で埋めた領域Qとして示している。より厳密には、領域Pは、輝線6の位置情報から得られる外形形状(実線Eの部分)と、輝線6の両端位置を結ぶ直線とによって規定し、領域Qは、みなし外形形状である一対の点線Gの端部同士を直線で結んで、その結んだ直線と一対の点線Gとで規定している。
【0023】
図3(a)乃至図3(c)における領域Qの面積と領域Q内の2点鎖線Fにて示す本来の農産物7の外形形状との比較から明らかなように、上記みなし外形形状で囲まれる部分の面積をそのまま体積の計算に使用すると、体積を過大に評価することになるので、輝線6の位置情報から得た外形形状と上記みなし外形形状とによって特定される面積の少なくとも一部に補正係数を乗算することによって補正する。
輝線6の位置情報から得た外形形状と上記みなし外形形状とによって特定される全面積(領域Pの面積と領域Qの面積との合計)に対して補正係数を乗算することによって補正することも可能であるが、この場合、農産物7の形状によっては誤差が大きくなってしまう場合もあり得る。
図3(a)乃至図3(b)に示す3つの農産物7の外形形状を対比すると、仮に、図3(b)の外形形状を有する農産物7に対して最適化して、領域Pの面積と領域Qの面積との合計と、実際の農産物7の断面積の比率として上記補正係数を求めると、その補正係数では、全体面積に対して領域Pの割合が小さい図3(a)のような外形形状では、補正係数を乗算することによる補正効果が不十分となり、全体面積に対して領域Qの割合が小さい図3(c)のような外形形状では、補正係数を乗算することによる補正効果が過大となってしまう。
【0024】
従って、本実施の形態では、補正係数を、みなし外形形状によって特定される領域である領域Qの面積に対してのみ補正係数を乗算する。
実際の面積計算の処理としては、領域Pと領域Qとを合わせた全体面積「S」は、輝線6の位置情報から求めた実線Eについての積分処理に相当する演算を数値計算にて行うことによって求め、その全体面積「S」から、領域Qの面積に上記補正係数「a」を乗算したものを減算する。
領域Qの面積は、本実施の形態では台形形状であるので、実線Eの左端の高さを「h」、実線Eの右端の高さを「h」、農産物7の搬送横幅方向の長さを「W」として、(h+h)*W/2(「*」は乗算を意味する演算子。以下においても同様)で求まる。
従って、補正後の面積「S」は、
=S−a*(h+h)*W/2 で求まる。
もちろん、領域Pの面積を「S」として、
=S+(1−a)*(h+h)*W/2 として求めても同じことであり、この場合は、「1−a」を上記補正係数として把握できる。
ここで使用する補正係数「a」については、多数の農産物7のサンプルに対して、他の測定方法によって各サンプルの正確な体積を測定すると共に、上述のように測定した面積に対して、補正係数「a」の値を変化させて体積の演算を行い、その演算した体積が別途測定した体積の値と極力一致する補正係数「a」を統計的処理によって求めることができる。
【0025】
以上のようにして、補正後の面積「S」を求めると、その値を用いて、上述のようにスライスした断片の体積「ΔV」を求め、上述の体積積算値を記憶保持するメモリに既に記憶されている値に上記「ΔV」を加算して、その加算結果で上記メモリの記憶内容を更新する。尚、断片の体積「ΔV」は、図5の処理の繰り返し間隔での農産物7の搬送量を「Δy」として、ΔV=S*Δyで求まる。
【0026】
以上の処理を繰り返して、その繰り返し毎に、断片の体積「ΔV」を加算して体積積算値を更新して行き、農産物7がレーザ投光装置2によるレーザ光の投射位置を通過し終えると、ステップ#1で取得する輝線6の位置情報から、その通過を検知して(ステップ#2)、その時点でメモリに記憶保持されている体積積算値の値を、農産物7の体積の測定値として、表示装置5に表示させると共に、仕分け制御装置11に対して出力して、体積積算値を記憶保持するメモリの記憶内容をリセットする(ステップ#6)。
仕分け制御装置11では、体積測定装置VMの演算装置4から農産物7の体積の測定値を受け取ると、その農産物7の標準的な密度として予め記憶装置に記憶している値と、農産物7の体積の測定値とを乗算することによって、農産物7の重量値を求める。
このように農産物7の体積値と重量値とが得られると、仕分け制御装置11は、それらの値によって農産物7の仕分け区分を設定する。その仕分け区分の設定情報は、体積測定装置VMの搬送下流側に設置されている搬送経路切換機能付きの搬送装置等に送られる。
従って、仕分け制御装置11は、体積測定装置VMにて求められた測定対象農産物の体積に基づいて、測定対象農産物の重量を求める重量演算装置として機能する。
【0027】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)上記実施の形態では、測定対象の農産物7の表面上に輝線6を形成する光線として、シリンドリカルレンズ等を用いた光学系によって、扇状に平面として拡がる形状に成形したレーザ光を用いているが、レーザ光をこのような形状に成形する手法としては、例えば、スリットを通過したレーザ光を、結像光学系によって農産物7の表面上に結像させるような構成でも良い。
又、レーザビームを高速回転するポリゴンミラーにて走査して、農産物7の表面上に輝線6を形成しても良い。
更には、高密度に配列されたLEDアレイの出射光を、結像光学系にて農産物7の表面上に結像させて、輝線6を形成する構成としても良い。
【0028】
(2)上記実施の形態では、農産物7の表面上に形成する輝線6を、その輝線6の方向と交差する方向に移動させるために、農産物7を搬送装置3にて搬送移動させる構成としているが、上記実施の形態におけるレーザ光を、ガルバノミラーのような反射角を制御可能なミラーで、輝線6と交差する方向に走査する構成としても良い。
(3)上記実施の形態では、1台のレーザ投光装置2と1台の撮像装置1とを備えて光学的検出手段ODを構成する場合を例示しているが、レーザ投光装置2を中心に配置して、レーザ投光装置2の両側に、レーザ光の投射方向に対して設定角度傾斜した方向から輝線6を撮像する撮像装置を夫々配置して、レーザ光により農産物7上に形成される輝線6を一層確実に撮像できるように構成しても良い。
【0029】
(4)上記実施の形態では、農産物7を搬送する搬送手段として、ベルトコンベア式の搬送装置3を例示しているが、農産物7の形状に合わせて農産物を下方側から支持する支持部材を、農産物7の搬送方向に移動駆動する形式の搬送手段であっても良い。
(5)上記実施の形態では、輝線6の位置情報に基づくデータにおいて、輝線6の両端位置の夫々から、レーザ光の入射側と反対側(農産物7の載置面側)へ伸ばした線として「みなし外形形状」を生成する場合において、輝線6の高さデータの両端位置夫々から、農産物7の載置面(搬送ベルト3cの上面)に下ろした垂線を「みなし外形形状」としているが、この輝線6の両端位置から伸ばす線の形状は、適宜に設定変更可能であり、農産物7の平均的な外形形状に合わせて傾斜させても良く、又、農産物7の平均的な外形形状に合わせた曲線としても良い。
【符号の説明】
【0030】
1 撮像手段
2 光線投射手段
3 搬送手段
6 輝線
7 測定対象農産物
BM 輝線移動手段
OD 光学的検出手段
VC 体積演算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塊状の測定対象農産物の体積を光学的検出手段によって求める農産物の体積測定装置であって、
前記光学的検出手段は、
塊状の測定対象農産物の表面上に設定方向に延びる線状の輝線を形成する光線を、前記測定対象農産物に対して設定角度で照射する光線投射手段と、
前記光線投射手段による前記光線の投射角度に対して設定角度傾斜した方向から前記輝線を撮像する撮像手段とが備えられて構成され、
前記輝線を、前記測定対象農産物上で、前記輝線の方向と交差する方向に移動させる輝線移動手段と、
前記撮像手段の撮像情報によって得られる前記輝線の位置情報に基づいて、前記測定対象農産物の体積を求める体積演算手段とが備えられ、
前記体積演算手段は、前記輝線移動手段によって移動される前記輝線の移動途中の各位置において、前記測定対称農産物の表面上の前記輝線の位置情報によって得られる前記測定対象農産物の外形形状と、前記測定対象農産物上の前記輝線の両端位置の夫々から前記光線の入射側と反対側へ伸ばした線を前記測定対象農産物の外形形状とみなしたみなし外形形状とに基づいて特定される面積の少なくとも一部に対して補正係数を乗算することによって補正し、前記移動途中の各位置での補正後の面積に基づいて前記測定対象農産物の体積を求めるように構成されている農産物の体積測定装置。
【請求項2】
前記体積演算手段は、前記輝線の位置情報によって得られる外形形状と前記みなし外形形状とによって特定される面積のうち、前記みなし外形形状によって特定される部分の面積に対して前記補正係数を乗算して補正するように構成されている請求項1記載の農産物の体積測定装置。
【請求項3】
前記輝線移動手段は、前記輝線の方向と交差する方向で、前記光線投射手段及び前記撮像手段と、前記測定対象農産物とを相対移動させる搬送手段にて構成されている請求項1又は2記載の農産物の体積測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−15394(P2013−15394A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148048(P2011−148048)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】