説明

迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物及び接合方法

【課題】秒単位のレーザ接着接合を可能とならしめる改良された接着剤組成物を提供すること。
【解決手段】エポキシ系接着剤成分と、レーザ光の吸収によりエポキシ系接着剤を加熱硬化させることが可能な光吸収性成分とを含んでなる迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物において、エポキシ系接着剤成分を、(A)シアネートエステル樹脂、(B)エポキシ樹脂、及び(C)ポリアミン化合物とエポキシ化合物を反応させて得た、分子内に活性水素を有するアミノ基を1個以上有する変性ポリアミン(a)及びフェノール系樹脂(b)を含有する潜在性硬化剤を含む一液型シアネート−エポキシ複合樹脂組成物から構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ系接着剤組成物とそれを使用した接合方法に関し、さらに詳しく述べると、同一もしくは異なる材料からなる2つの部材を接合するためのものであって、レーザ光の照射により惹起される硬化反応によりそれらの部材どうしを接合可能な迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物と、それを使用した接合方法に関する。また、本発明は、かかる接着剤組成物及び接合方法を使用して作成される接着構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、レーザ溶着技術が樹脂材料の接合において従来用いられている。例えば、特許文献1には、(A)熱可塑性樹脂及び(B)レーザ光を透過するフィラーの合計100重量%に対して(A)熱可塑性樹脂1〜30重量%及び(B)レーザ光を透過するフィラー99〜70重量%を含有してなるレーザ溶着用樹脂材料が記載されている。また、特許文献2には、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂(B)と、2種類以上の有機系含量(C)とからなるレーザ溶着用着色樹脂組成物が記載されている。しかしながら、従来のレーザ溶着技術は、樹脂材料の光透過・吸収特性に依存するため、溶着する樹脂材料の一方は光透過性を有し、もう一方は光透過性を有していないことが必須である。また、従来のレーザ溶着技術は、異種材料溶着時の相溶性等に依存するため、生じる溶着部の機械的強度不足や樹脂部品の寸法公差や、そり変形で生じる継手部の隙間により溶着ができない場合が生じる。このように、レーザ溶着技術を適用する場合には、接着可能な樹脂材料の組み合わせ等に多くの制約があるという問題がある。
【0003】
上記のような問題を解消するため、本発明者らは、特許文献3において、少なくとも一方が光透過性を有する樹脂材料よりなる2つの樹脂部材を重ね合わせた状態で、光透過性を有する上記樹脂部材の表面からレーザ光を照射して重ね合わせ部分を溶着させる際に、上記樹脂部材の重ね合わせ部分に介在させる光吸収性介在物であって、該光吸収性介在物は、近赤外線レーザ光を吸収して発熱する光吸収性物質と、該光吸収性物質が発熱した際に帯電及び凝集することを防止する帯電・凝集防止物質とを含有しており、上記光吸収性物質の含有量は質量比にて20%以上であることを特徴とする光吸収性介在物を提案した。この光吸収性介在物を接着層内で使用すると、2つの樹脂部材(被着体)間に光吸収性介在物を含む接着層を介在させた後、レーザ光の照射によりその接着層を反応させる際に、被着体どうしを早期に接合することができ、さらには、被着体が同種でなくても、すなわち、異種の被着体どうしであっても、両者を良好に接合することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−250621号公報
【特許文献2】特開2005−187798号公報
【特許文献3】特開2007−2310880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らの発明した光吸収性介在物は、上記したように、レーザ溶着技術において有利に使用することができる。しかしながら、1つの問題点として、接着層において光吸収性介在物と組み合わせて使用される接着剤においてレーザ光の照射によって引き起こされる加熱硬化反応の進行が遅いため、硬化反応の完結、しいては接合の完結までに早くとも数分間、通常10分間もしくはそれ以上の光照射が必要であるという問題点が残されている。
【0006】
本発明の目的は、したがって、レーザ光照射時の反応速度を大幅に速めて、瞬時に、すなわち、数秒以内のレーザ光照射によるだけで硬化反応を完結させ、完全硬化を達成することができ、よって秒単位のレーザ接着接合を可能とならしめる改良された接着剤組成物及び接合方法を提供することにある。
【0007】
また、本発明の目的は、熱源として、従来一般的に使用されてきた硬化炉等に代えてレーザ光源を使用することで、数時間単位で硬化させていた接着接合を秒単位で接着接合することを可能とすることに加えて、熱エネルギーの節約、排出されるCOガスの削減とそれによる環境保全、生産性の向上等を図ることを可能とする改良された接着剤組成物及び接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記した目的を解決すべく鋭意研究の結果、レーザ溶着技術において光吸収性成分と組み合わせて使用される接着剤成分を、特定のエポキシ系接着剤成分(一液型シアネート−エポキシ複合樹脂組成物)、すなわち、
(A)シアネートエステル樹脂、
(B)エポキシ樹脂、及び
(C)ポリアミン化合物とエポキシ化合物を反応させて得た、分子内に活性水素を有するアミノ基を1個以上有する変性ポリアミン(a)及びフェノール系樹脂(b)を含有する潜在性硬化剤
を含む一液型シアネート−エポキシ複合樹脂組成物から構成するのが有効であるという知見を得、本発明を完成した。
【0009】
本発明は、その1つの面において、同一もしくは異なる材料からなる2つの部材を接合するためのものであって、レーザ光の照射により惹起される硬化反応により2つの部材どうしを接合可能であり、かつエポキシ系接着剤成分と、レーザ光の吸収によりエポキシ系接着剤成分を加熱硬化させることが可能な光吸収性成分とを含んでなる迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物において、エポキシ系接着剤成分が、上記の一液型シアネート−エポキシ複合樹脂組成物であることを特徴とする迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物にある。
【0010】
ここで、本発明によりレーザ溶着技術により接合されるべき2つの部材は、特に限定されるものではない。2つの部材は、上記したように、同種の材料からなっていてもよく、異種の材料からなっていてもよい。適当な材料として、以下に列挙するものに限定されるわけではないが、例えば、樹脂材料、例えば熱可塑性樹脂材料など、金属材料、例えば鉄鋼、ステンレス鋼、アルミニウム鋼などであることができる。典型的な組合せの一例を示すと、同種の熱可塑性材料の組合せ、異種の熱可塑性材料の組合せ、金属と熱可塑性材料の組み合わせ、などがある。なお、レーザ光の照射を部材を介して行う場合には、使用する熱可塑性材料がそのレーザ光を透過させる性質を有していること、すなわち、光透過性の熱可塑性材料を使用することが必要である。また、2つの部材がどちらも熱可塑性材料からなるときには、それらの材料の一方だけが光透過性であってもよく、両方の材料が光透過性であってもよい。
【0011】
また、上記のエポキシ系接着剤成分と組み合わせて用いられる光吸収性成分は、特に限定されないというものに、好ましくは、カーボンブラック、黒色含金塗料、アジン系塗料及びニグロシン系化合物からなる群から選ばれる1種以上の光吸収性化合物である。これらの光吸収性化合物は、通常、エポキシ系接着剤組成物の全量を基準にして20質量%未満の量で使用することができる。すなわち、本発明のエポキシ系接着剤組成物では、特開2007−2310880号公報に記載されて接着剤よりも光吸収性化合物を少量で使用しても、注目すべき作用効果を達成することができる。
【0012】
また、本発明は、そのもう1つの面において、同一もしくは異なる材料からなる2つの部材を接合するためのものであって、レーザ光の照射により惹起される硬化反応により2つの部材どうしを接合する方法であって、
本発明による迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物を2つの部材の間に介在させることと、
その接着剤組成物に対して、照射光を直接的に照射するか、さもなければ2つの部材のうちの少なくとも一方を光透過性材料から形成して、その光透過性材料を介して照射光を照射して接着剤組成物を硬化させることと
を含むことを特徴とする接合方法にある。この接合方法において、光照射に用いられるレーザ光は、特に限定されないというものの、好ましくは近赤外線レーザ光(波長=約780nm〜3μm)である。このレーザ光は、通常、約0.3〜0.8J/mmのエネルギーで照射することができる。
【0013】
また、レーザ光の照射は、使用する接合方法の種類、使用する部材の光透過性の有無などに応じていろいろな手法で行うことができる。例えば、レーザ光は、接着剤組成物に対して直接的に照射してもよく、さもなければ、2つの部材のうちの少なくとも一方を光透過性材料から形成して、その光透過性材料を介してレーザ光を照射してもよい。
【0014】
さらに、本発明は、そのもう1つの面において、本発明による迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物及び接合方法を使用して作製された接着構造体にある。本発明の接着構造体は、同一もしくは異なる材料からなる2つの部材と、それらの部材の中間に介在せしめられたものであって、レーザ光の照射によって硬化せしめられた本発明のエポキシ系接着剤組成物の硬化物とを含んでなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の詳細な説明から理解されるように、多くの顕著な効果を達成することができる。例えば、本発明によれば、接着剤組成物が迅速光硬化性を有することの結果、瞬時の、すなわち秒単位のレーザ接着接合を可能とすることができる。レーザ接着接合は、通常、約0.1〜2秒間で達成することができる。また、硬化炉等の熱源を使用する必要性がなくなり、熱エネルギーの節約、排出されるCOガスの削減とそれによる環境保全、生産性の向上等を図ることができる。
【0016】
また、接着剤の反応性を利用する接合形態を採用しているため、従来のレーザ溶着技術では接合しえなかった異種材料の組合せであっても、2つの部材を良好に接合することができる。異種材料の組合せの一例として、PBT(ポリブチレンテレフタレート樹脂)/PPS(ポリフェニレンスルフィド樹脂)、POM(ポリアセタール樹脂)/PBT、Al(アルミニウム)/PBTなどを挙げることができる。
【0017】
さらに、接着剤を部材に塗布する手法を採用しているため、被着体の隙間にばらつきがある場合でも、そのばらつきを接着剤の層厚の変更により吸収可能であり、また、したがって、ワーク形状が大きくなることによって隙間のばらつきが大きくなる大物部品に対しても、本発明を適用し、対応することが可能である。また、接着方法は、接着剤に直接に、さもなければ光透過性を有する部材の表面から近赤外線レーザ光を照射する方法を採用しているので、省エネルギーや、コストの観点から優れている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるエポキシ系接着剤組成物を使用して2つの部材を接合する1方法を原理的に示した断面図である。
【図2】本発明によるエポキシ系接着剤組成物を使用して樹脂製ケーシングを透明な樹脂リッドで封止する1方法を示した断面図である。
【図3】本発明によるエポキシ系接着剤を使用して金属製部材にサイトグラスを接合する1方法を示した断面図である。
【図4】本発明によるエポキシ系接着剤組成物を使用して回路基板に電子部品を接合する1方法を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明によるエポキシ系接着剤組成物及びそれを使用した接合方法は、それぞれ、いろいろな形態で有利に実施することができる。以下、本発明の好ましい1形態を図1を参照して説明するが、この形態に限定されないことは言うまでもない。
【0020】
図1は、本発明のエポキシ系接着剤組成物を使用して2つの部材を接合する1方法を原理的に示した断面図である。図は、透明な樹脂部材10と不透明な樹脂部材20の間に本発明のエポキシ系接着剤組成物1を介在させて、これに、レーザヘッド30からのレーザ光31を照射する状態が模式的に示されている。レーザ光31の照射によりエポキシ系接着剤組成物1において硬化反応を惹起し、樹脂部材10と樹脂部材20を強固に接合可能である。エポキシ系接着剤組成物1は、以下に詳述するように、エポキシ系接着剤成分と、レーザ光の吸収によりエポキシ系接着剤組成物1を加熱硬化させることが可能な光吸収性成分とを含んでいる。エポキシ系接着剤組成物1は、必要に応じて、各種の添加剤を含んでいてもよい。
【0021】
具体的に説明すると、図1に示した接着構造体は、次のようにして製造することができる。基本的には、レーザ光31に関して光透過性を有する透明な樹脂部材10と不透明な樹脂部材20の間に本発明のエポキシ系接着剤組成物1を介在させて重ね合わせた状態で、光透過性を有する樹脂部材10の表面からレーザ光(ここでは、近赤外線レーザ光)31を照射し、接着剤組成物1を加熱硬化させる。なお、レーザ光31としては、エポキシ系接着剤組成物1の組成に応じて任意のレーザ光を使用することができ、典型的な例として、近赤外線レーザ光(940nm)などを挙げることができる。なお、本発明の実施においては特に近赤外線レーザ光を有利に使用することができるが、これには、変換効率が高く、設備費が低価格であるといった理由がある。
【0022】
このような光吸収性成分を含有している接着剤組成物1を調製するに当っては、例えば、接着剤組成物に予め光吸収性成分を分散または溶解させた後、硬化剤及びその他の成分を混合して接着剤組成物とする。撹拌、溶解、混合、分散の方法は、撹拌翼、ディスバー、ホモミキサー、ロールミル、ビーズミルなど適便な手段を用いて行う。
【0023】
次に、調製した接着剤組成物を樹脂部材10と樹脂部材20の間に介在させる。例えば、樹脂部材10として、光透過率27%のPPS樹脂(ポリプラスチックス社製、商品名「1160A」)製の矩形部材(幅10mm、長さ100mm及び厚さ1mm)を使用できる。また、樹脂部材20として、光透過率に依存することなく、矩形部材(幅10mm、長さ100mm及び厚さ1mm)を使用できる。なお、樹脂部材20として、樹脂部材10と同じ光透過性の樹脂部材を使用してもよい。
【0024】
次に、樹脂部材10及び樹脂部材20の接合すべき接合面に、上記した接着剤組成物1を刷毛又はディスペンサにより幅5mm、厚さ10〜40μmで塗布する。接着剤組成物1の適用は、もちろん、スポッティング等のその他の手法で実施してもよい。その後、樹脂部材10と樹脂部材20とを、接着剤組成物1が塗布された接合面が対面するように重ね合わせる。なお、図1においては、2つの樹脂部材間の隙間を強調して示している(以下、図2〜図4においても同様である)。
【0025】
上記のように2つの部材を重ね合わせた状態において、樹脂部材10の表面側からこれを透過するように、レーザヘッド30から近赤外線レーザ光31を照射する。近赤外線レーザ光31は、例えば、波長920nm、レーザ出力70mW、ビーム速度10mm/sで照射することができる。近赤外線レーザ光31の照射により、光吸収性成分を含む接着剤組成物1が発熱し、その熱によって硬化反応が進行し、樹脂部材10と樹脂部材20とが強固に接合する。約0.1〜2秒間のレーザ光照射により、所期の接合を完了することができる。また、得られた接着構造体において、2つの部材どうしの接合強度は、オートグラフによって測定した場合、約0.1〜20MPaである。なお、得られた接着構造体において、接着剤組成物1に帯電・凝集防止物質が含有されているとき、光吸収性成分が凝集して偏った状態になることを防ぎ、健全な接合部を形成することが可能である。
【0026】
さらに詳細に説明すると、本発明の実施において、エポキシ系接着剤組成物を介して接合されるべき2つの部材は特に限定されるものではなく、同一もしくは異なる材料からなることができ、かつ任意の形状及びサイズを有することができる。これらの材料は、任意の有機及び無機材料、例えば、樹脂材料、金属材料、セラミック材料、ガラス、木材などであることができる。また、これらの部材は、シート、フィルム、厚板等、任意の形状を有することができ、必要ならば、所定の形状に成形された物品であってもよい。さらに、これらの部材は、必要ならば、所定の形状ですでに作製されている製品もしくは半製品、例えば電子部品、回路基板等であってもよい。なお、かかる部材は、接着剤組成物に対してレーザ光を直接的に照射して硬化を惹起する場合には透明、半透明及び不透明のいずれであってもよいけれども、レーザ光がその部材を透過して接着剤組成物の硬化を惹起する手法を採用する場合には、2つの部材のうちの少なくとも一方を、レーザ光が透過可能な任意の光透過性材料から形成しなければならない。
【0027】
最初に、本発明で使用し得る部材について説明すると、樹脂材料は、この技術分野で一般的に使用されている樹脂材料であってよい。具体的な樹脂材料として、例えば、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリカーボネート、ポリアミドなどを挙げることができる。
【0028】
樹脂材料と同様に、金属材料も、この技術分野で一般的に使用されている金属材料であってよい。具体的な金属材料として、例えば、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、鉄、銅、アルミニウム、チタン等の金属やその合金、複合材などを挙げることができる。金属材料として、スレンレス鋼などを使用してもよい。
【0029】
本発明の迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物において、エポキシ系接着剤成分(一液型シアネート−エポキシ複合樹脂組成物)は、
(A)シアネートエステル樹脂、
(B)エポキシ樹脂、及び
(C)ポリアミン化合物とエポキシ化合物を反応させて得た、分子内に活性水素を有するアミノ基を1個以上有する変性ポリアミン(a)及びフェノール系樹脂(b)を含有する潜在性硬化剤
を含む一液型シアネート−エポキシ複合樹脂組成物である。
【0030】
潜在性硬化剤(C)には、変性ポリアミン(a)及びフェノール系樹脂(b)が含まれる。ここで、変性ポリアミン(a)をエポキシ化合物との反応により形成し得るポリアミン化合物は、(1)分子内にそれぞれ反応性を異にする2個の第1級又は第2級アミノ基を有するジアミン、及び/又は(2)分子内に2個以上の第1級又は第2級アミノ基を有し、その1個がエポキシ基と反応した場合にその立体障害により残りの第1級又は第2級アミノ基のエポキシ基との反応性が低下する芳香族ポリアミン及び/又は脂環式ポリアミン及び/又は脂肪族ポリアミンである。ポリアミン化合物は、好ましくは、2−アミノプロピルイミダゾール化合物である。また、変性ポリアミン(a)をポリアミン化合物との反応により形成し得るエポキシ化合物は、分子内にエポキシ基を2個以上有するポリグリシジルエーテル化合物である。
【0031】
ポリアミン化合物とエポキシ化合物を反応させて変性ポリアミン(a)を調製するとき、ポリアミン化合物とエポキシ化合物とはいろいろな割合で使用することができるけれども、好ましくは、変性ポリアミン(a)は、ポリアミン化合物が1モルとなる量に対し、エポキシ化合物が0.5〜2当量となる量で両者を反応させて得られたものである。
【0032】
また、潜在性硬化剤(C)に含まれるフェノール系樹脂(b)は、任意に変更可能であるけれども、好ましくは、750〜1200の数平均分子量を有しているフェノール系樹脂である。フェノール系樹脂(b)の分子量が750を下回ると、接着剤の保存安定性の低下といった不具合が発生し、反対に1200を上回ると、十分な硬化性が得られないといった不具合が発生するであろう。
【0033】
さらに、潜在性硬化剤(C)において、100質量部の変性ポリアミン(a)に対し、フェノール系樹脂(b)が10〜100質量部で含まれることが好ましい。フェノール系樹脂(b)の含有量が10質量部を下回ると、接着剤の保存安定性の低下といった不具合が発生し、反対に100質量部を上回ると、十分な硬化性が得られないといった不具合が発生するであろう。
【0034】
さらに加えて、本発明のエポキシ系接着剤組成物では、100質量部のシアネートエステル樹脂(A)に対し、エポキシ樹脂(B)が1〜10000質量部で含まれることが好ましい。エポキシ樹脂(B)の含有量が1質量部を下回ると、十分な硬化性が得られないといった不具合が発生し、反対に10000質量部を上回ると、硬化物の物性の低下といった不具合が発生するであろう。
【0035】
引き続いて、エポキシ系接着剤成分、すなわち、一液型シアネート−エポキシ複合樹脂組成物を構成するシアネートエステル樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)及びポリアミン化合物とエポキシ化合物を反応させて得た、分子内に活性水素を有するアミノ基を1個以上有する変性ポリアミン(a)及びフェノール系樹脂(b)を含有する潜在性硬化剤(C)のそれぞれについてさらに詳細に説明する。
【0036】
シアネートエステル樹脂(A)は、特に限定されるものではないが、好ましくは、次式(1)で示されるポリマー:
【0037】
【化1】

【0038】
(式中、R1は、非置換又はフッ素置換の2価の炭化水素基、−O−、−S−又は単結合であり、R2及びR3は、それぞれ独立して、非置換もしくは非置換又はフッ素置換の炭素数1〜4のアルキル基などで置換されているフェニレン基である)、次式(2)で示されるポリマー:
【0039】
【化2】

【0040】
(式中、nは、1以上の整数であり、R4は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基などである)及びこれらのポリマーのプレポリマーからなる群より選ばれる1種以上である。
【0041】
また、上記の式(1)及び式(2)で示されるポリマーにおいて、そのシアネート基の一部がトリアジン環を形成したプレポリマーもまた、シアネートエステル樹脂(A)として使用することできる。かかるプレポリマーとしては、例えば、上記の式(1)のポリマーの全部もしくは一部が3量化したものを挙げることができる。
【0042】
シアネートエステル樹脂(A)は、より好ましくは、次式(3)で示されるポリマー:
【0043】
【化3】

【0044】
(式中、R5は、次式の基:
【0045】
【化4】

【0046】
であり、ここで、R 10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子または非置換もしくはフッ素置換のメチル基であるか、もしくは次式の基:
【0047】
【化5】

【0048】
であり、ここで、nは4〜12の整数であり、R6、R7、R8及びR9は、それぞれ独立して、水素原子または非置換もしくはフッ素置換のメチル基である)及びこれらのポリマーのプレポリマーであり、これらのポリマーもしくは単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0049】
シアネートエステル樹脂(A)は、特に、4,4’−エチリデンビスフェニレンシアネート、2,2−ビス(4―シアナトフェニル)プロパン及びビス(4−シアナト−3,5−ジメチルフェニル)メタンであることが好ましい。
【0050】
上記したようなシアネートエステル樹脂(A)は、単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0051】
エポキシ樹脂(B)は特に限定されるものではないが、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノールなどの単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物、ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノールなどの多核多価フェノール化合物のポリグリジルエーテル化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物などの多価アルコール類のポリグリシジルエーテル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族または脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類およびグリシジルメタクリレートの単独重合体または共重合体、N,N−ジグリシジルアニリン、ビス(4−(N−メチル−N−グリシジルアミノ)フェニル)メタン、ジグリシジルオルトトルイジン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタンジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物を包含する。また、これらのエポキシ樹脂は、末端イソシアネートのプレポリマーによって内部架橋されたものあるいは多価の活性水素化合物(多価フェノール、ポリアミン、カルボニル基含有化合物、ポリリン酸エステル等)で高分子量化したものでもよい。
【0052】
また、エポキシ樹脂(B)としてポリエポキシ化合物を使用するとき、そのポリエポキシ化合物は、通常、エポキシ当量が70〜3000であるものが好ましく、90〜2000であるものがさらに好ましい。エポキシ当量が70未満では、安定性が低下するおそれがあり、3000よりも大きい場合には、十分な硬化性が得られないおそれがある。
【0053】
潜在性硬化剤に含まれる変性ポリアミン(a)の形成に用いられるポリアミン化合物は、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン等の脂肪族ポリアミン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン等の脂環式ポリアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、トリレン−2,4−ジアミン、トリレン−2,6−ジアミン、メシチレン−2,4−ジアミン、メシチレン−2,6−ジアミン、3,5−ジエチルトリレン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトリレン−2,6−ジアミン等の単核ポリアミン、ビフェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、2,5−ナフチレンジアミン、2,6−ナフチレンジアミン等の芳香族ポリアミン、2−アミノプロピルイミダゾール等のイミダゾールなどを包含する。
【0054】
上記のようなポリアミン化合物の中でも、特に、ポリアミン化合物が、(1)分子内にそれぞれ反応性を異にする2個の第1級又は第2級アミノ基を有するジアミン、及び/又は(2)分子内に2個以上の第1級又は第2級アミノ基を有し、その1個がエポキシ基と反応した場合その立体障害により残りの第1級又は第2級アミノ基のエポキシ基との反応性が低下する芳香族ポリアミン及び/又は脂環式ポリアミン及び/又は脂肪族ポリアミンであることが好ましくい。かかるポリアミン化合物を使用することによって、接着性、硬化物性等が向上するからである。
【0055】
上記ジアミン(1)としては、例えば、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパンなどが挙げられ、上記ジアミン(2)としては、例えば、m−キシリレンジアミン、1,3−ビスアミノシクロヘキサンなどがあげられるが、これらのジアミンに特に限定されるものではない。
【0056】
また、ポリアミン化合物として、2−アミノプロピルイミダゾール等の第1級アミノ基を含有するイミダゾール化合物を有利に使用することができる。これらのポリアミン化合物を使用すると、低温硬化性が向上するからである。
【0057】
本発明においてポリアミン化合物との反応により変性ポリアミン(a)の形成に用いられるエポキシ化合物は、例えば、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、第二ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル等のモノグリシジルエーテル化合物、バーサティック酸グリシジルエステル等のモノグリシジルエステル化合物、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノールなどの単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物、ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノールなどの多核多価フェノール化合物のポリグリジルエーテル化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物などの多価アルコール類のポリグリシジルエーテル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族または脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類およびグリシジルメタクリレートの単独重合体または共重合体、N,N−ジグリシジルアニリン、ビス(4−(N−メチル−N−グリシジルアミノ)フェニル)メタン、ジグリシジルオルトトルイジン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタンジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物を包含する。
【0058】
エポキシ化合物として、特に、分子内にエポキシ基を2個以上有するポリグリシジルエーテル化合物が好ましい。とりわけ、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)等のビスフェノール化合物のポリグリシジルエーテルが好ましい。
【0059】
ここで、ポリアミン化合物として1級及び2級アミノ基を併せて2個以上有するポリアミンを用いた場合には、変性ポリアミン(a)が、ポリアミン化合物が1モルとなる量に対し、エポキシ化合物をそのエポキシ当量が0.5〜2当量、特に0.8〜1.5当量となる量で反応させて得られる変性ポリアミンであることが好ましい。
【0060】
さらに、ポリアミン化合物として、上記ポリアミン(1)を用いて得られる変性アミンとイミダゾール化合物を用いて得られる変性アミンを組み合わせて使用する等、異なる変性アミン化合物及び/又はイミダゾール化合物を組み合わせて使用することができる。
【0061】
本発明において変性ポリアミン(a)と組み合わせて使用されるフェノール樹脂(b)は、フェノール類とアルデヒド類より合成されるフェノール樹脂である。フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、第三ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、シクロヘキシルフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−チオジフェノール、ジヒドロキシジフェニルメタン、ナフトール、テルペンフェノール、フェノール化ジシクロペンタジエンなどを挙げることができる。また、アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒドを挙げることができる。
【0062】
また、フェノール樹脂(b)を使用するとき、そのフェノール樹脂の数平均分子量が750〜1200であるものを使用することによって、とりわけ、貯蔵安定性と硬化性とのバランスの優れたものを提供することが可能となる。
【0063】
さらに、フェノール樹脂(b)の使用量は、変性ポリアミン(a)100質量部に対し、10〜100質量部、好ましくは20〜60質量部であることが好ましい。フェノール樹脂(b)の使用量が10質量部未満では、十分な硬化性が得られず、反対に100質量部を超えた場合には、硬化物の物性の低下を招くおそれがある。
【0064】
本発明のシアネート−エポキシ樹脂組成物において、シアネートエステル樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)の使用量は、広い範囲で変更することができるというものの、通常、シアネートエステル樹脂(A)100質量部に対し、エポキシ樹脂(B)1〜10000質量部、好ましくは10〜1000質量部、さらに好ましくは20〜500質量部である。
【0065】
本発明のシアネート−エポキシ樹脂組成物において、潜在性硬化剤(C)の使用量は、広い範囲で変更することができるというものの、通常、シアネートエステル樹脂(A)及びエポキシ樹脂(B)の合計量100質量部に対して1〜100質量部、好ましくは5〜60質量部である。
【0066】
また、シアネートエステル樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)及び潜在性硬化剤(C)の合計量が、本発明のシアネート−エポキシ樹脂組成物中、50質量%以上であることが好ましい。
【0067】
本発明のシアネート−エポキシ樹脂組成物は、取り扱いを容易にするため、種々の溶剤、好ましくは有機溶剤に溶解して使用することができる。適当な有機溶剤として、例えば、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等のエーテル類、イソ−またはn−ブタノール、イソ−またはn−プロパノール、アミルアルコール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、トリエチルアミン、ピリジン、ジオキサン、アセトニトリルなどを挙げることができる。
【0068】
上記した有機溶剤の使用量は、シアネートエステル樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)及び潜在性硬化剤(C)の合計量100重量部に対し、0〜40重量部であり、好ましくは0〜20重量部である。溶剤の使用量が200重量部を越えた場合には、揮発して危険性、有害性などを発生するため、好ましくない。
【0069】
本発明のエポキシ系接着剤組成物において、エポキシ系接着剤成分と組み合わせて使用される光吸収性成分としては、いろいろな光吸収性物質、例えばカーボンブラック、黒色含金塗料、アジン系塗料、ニグロシン系化合物などを挙げることができる。カーボンブラックを有利に使用することができる。ニグロシン系化合物としては、例えば、ニグロシンの硫酸塩、リン酸塩等の水不溶性ニグロシン系化合物などを挙げることができる。これらの光吸収性化合物は、単独で使用してもよく、2種類以上の光吸収性化合物を混合して使用してもよい。
【0070】
光吸収性成分は、好ましくは、接着剤組成物の全量を基準にして20質量%未満の量で含まれる。光吸収性成分の含有量が20質量%を上回ると、十分な硬化が発現できないといった不具合が発生するので、好ましくない。光吸収性成分の含有量は、さらに好ましくは、5〜10質量%の量で含まれる。
【0071】
光吸収性成分は、上記のような光吸収性化合物に追加して、この光吸収性化合物が発熱した際に帯電及び凝集することを防止する帯電・凝集防止物質を含有していてもよい。ここで、光吸収性成分中において上記光吸収性化合物の占める割合は、通常、質量比にて20%以上である。光吸収性化合物の含有量を20質量%以上とすることにより、近赤外線レーザ光の吸収による発熱を効率よく得ることができる。
【0072】
例えば、光吸収性成分は、光吸収性化合物として、カーボンブラックを含有するとともに、帯電・凝集防止物質として、アルキルエステル系化合物の1種であるポリエチレングリコールアルキルエーテルなどや、一般的な界面活性剤、例えばスチレン−アクリル系樹脂などを含有していてもよい。これらの物質の含有量は、光吸収性化合物と、帯電・凝集防止物質との合計量を100%(質量%)として、例えば、光吸収性化合物が50%、残部の50%が帯電・凝集防止物質等である。なお、光吸収性化合物の配合比は、20%〜60%の範囲で変更することが可能である。光吸収性化合物の配合比が20質量%を下回ると、発熱反応が小さく、硬化不良といった不具合が発生し、反対に60質量%を上回ると、光吸収剤が凝集し、樹脂内に分散しないといった不具合が発生する。また、光吸収性成分中に含ませる帯電・凝集防止物質としては、上記光吸収性化合物の含有量を確保できる範囲であれば特に問題はない。
【0073】
本発明の迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物、換言すると、シアネート−エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、追加の成分あるいは添加剤を任意に含有することができる。ここで使用する添加剤は、この技術分野において常用のものであってよい。適当な添加剤として、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、セルロース、ケイ砂、セメント、カオリン、クレー、水酸化アルミニウム、ベントナイト、タルク、シリカ、微粉末シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化鉄、瀝青物質などの充填剤もしくは顔料、増粘剤、チキソトロピック剤、難燃剤、消泡剤、防錆剤、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等の常用の添加物、その他を挙げることができる。さらに、この接着剤組成物にキシレン樹脂、石油樹脂等の粘着性の樹脂類を併用することもできる。
【0074】
本発明は、もう1つの面において、同一もしくは異なる材料からなる2つの部材を接合するためのものであって、レーザ光の照射により惹起される硬化反応により部材どうしを接合する方法であって、
本発明による迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物を2つの部材の間に介在させることと、
上記の接着剤組成物に対して、照射光を直接的に照射するか、さもなければ2つの部材のうちの少なくとも一方を光透過性材料から形成して、その光透過性材料を介して前記照射光を照射して前記接着剤組成物を硬化させることと
を含むことを特徴とする接合方法にある。ここで、接合されるべき部材や、エポキシ系接着剤組成物は、上記した通りである。
【0075】
2つの部材の間に接着剤組成物を介在させる方法は、特に限定されるものではなく、任意の手法を採用することができる。例えば、一方の部材の接合面もしくは両方の部材のそれぞれの接合面に接着剤組成物を適用し、2つの部材を対向させた状態でレーザ光を照射することができる。接着剤組成物を適用する方法としては、刷毛塗り、ディスペンサによる滴下などを挙げることができるが、これらの方法に限定されるものではない。また、封止目的で接着剤組成物を使用する場合には、2つの部材を予め対向させた状態や仮止めした状態で、接着剤組成物の必要量を2つの部材の接合部及びその周囲に適用してもよい。この場合も、刷毛塗り、ディスペンサによる滴下などによって接着剤組成物を適用することができる。
【0076】
2つの部材の中間に接着剤組成物を適用した後に行うレーザ光の照射も、使用した接着剤組成物の特性、例えばその組成物が光硬化性を示しうるレーザ光の波長、直接的な光硬化又は間接的な光硬化の別、その組成物の量などに応じて任意に変更することができる。例えば、レーザ光は、接着剤組成物に応じて近赤外レーザ光やその他のレーザ光を使用し得るけれども、好ましくは近赤外線レーザ光である。また、かかるレーザ光の照射量も任意に変更することができるが、一般的は約0.3〜0.8J/mmのエネルギーで照射されるが好ましい。なお、レーザ光の照射には、市販のレーザヘッドを使用することができる。
【0077】
本発明によるエポキシ系接着剤組成物は、上記したように、いろいろな部材どうしを簡便な手法で強固に接合することができ、また、したがって、各種の強固な接着構造体を提供することができる。一例を示すと、本発明のエポキシ系接着剤組成物は、ケーシングをリッドで封止するとき、回路基板に回路保護用のラミネートフィルムを貼付するとき、回路基板に搭載した電子部品を封止するとき、計量メータ、配管等の金属製部材にサイトグラスを嵌め込むときなど、多方面にわたって接着構造体の構築に有利に使用することができる。もちろん、単純な構成の部材どうしを接合するときにも本発明の接着剤組成物を有利に使用することができる。
【実施例】
【0078】
引き続いて、本発明をその実施例を参照して説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。
【0079】
製造例1
変性ポリアミンの合成及び潜在性硬化剤の調製
フラスコに、1,2−ジアミンプロパン201gを仕込んで60℃に加温し、これにアデカレジンEP−4100E((株)ADEKAの商品名:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量190)580gを、系内温度が100〜110℃に保たれるように少しずつ加えた[1,2−ジアミンプロパン1モルに対するアデカレジンEP−4100Eのエポキシ当量:1.12]。アデカレジンEP−4100Eの添加後140℃に昇温し、1.5時間反応させて変性ポリアミンを得た。得られた変性ポリアミン100gに対してフェノール樹脂30gを仕込み、180〜190℃、30〜40トールで1時間かけて脱溶媒を行い、潜在性硬化剤を得た。
製造例2
接着剤組成物の製造
シアネートエステル樹脂(ロンザ社製;シアネートLeCy)40.0g、エポキシ樹脂((株)ADEKA社製;EP−4100E、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量190)40.0g及びカーボンブラック(三菱化学製;750B)3.0gを配合し、撹拌、溶解、混合、分散を行った。次にこの混合物に上記製造例1によって得られた潜在性硬化剤40.0g加えて、撹拌、溶解、混合、分散を行うことによって、エポキシ系接着剤組成物を得た。
【0080】
実施例1
本例では、本発明のエポキシ系接着剤組成物を使用して、樹脂製ケーシングを透明な樹脂リッドで封止した例を示す。
【0081】
図2に示すように、PPS(ポリフェニレンサルファイト)樹脂製のケーシング21を用意し、その上部開口に同じくPPS樹脂製のリッド11を接合した。本例で使用したPPS樹脂は、ポリプラスチックス社製(商品名「1160A」)であり、光透過率は27%であった。また、樹脂製ケーシング21と光透過性樹脂製リッド11の接合に当って、前記製造例2で調製した本発明のエポキシ系接着剤組成物1を使用した。
【0082】
最初に、樹脂製ケーシング21の光透過樹脂製リッド11と接合すべき部分に、ディスペンサを用いて接着剤組成物1を塗布し、その上に光透過樹脂製リッド11を載置した。この状態において、光透過樹脂製リッド11の表面側から、これを透過するように、レーザヘッド30(JDSU社製、商品名「IDL50」)から近赤外線レーザ光31を照射した。本例で使用した近赤外線レーザ光31は、波長920nm、レーザ出力70mW、ビーム速度10mm/sであった。また、本例での近赤外線レーザ光のエネルギーは0.6J/mm2であった。
【0083】
近赤外線レーザ光31の照射により、接着剤組成物1中の光吸収性成分が発熱し、その熱によって接着剤組成物1が加熱硬化して接着層を形成した。その結果、ケーシング21にリッド11が接合せしめられた。得られた接着構造体において、接着剤組成物1を介在させていた位置に健全な接着層が形成され、約1秒間で強固な接合状態が得られた。得られた接着構造体の接合強度をオートグラフにより測定したところ、0.1〜20MPaの接着強度であった。
【0084】
本例で得られる接着構造体は、例えば半導体部品などを収容する密封構造の樹脂容器として用いることができる。熱硬化型接着剤を用いて樹脂封止を行う場合には、接着剤の加熱硬化時に、内圧上昇によって接着層の穴あき等、封止不良を引き起こす場合がある。そのため、従来はリッドに通気穴を設けることにより内圧上昇を回避し、接着剤の加熱硬化後に、局所加熱熱を行って通気穴を閉じる必要があった。これに反して、本例では、レーザ光の使用により、通気穴を設けることなく内圧上昇を回避できるため、工程の簡略化が可能となった。
【0085】
実施例2
本例では、本発明のエポキシ系接着剤を使用して金属製部材にサイトグラスを接合した。
【0086】
図3に示すように、流量表示メータ(図示せず)に装着される金属製の円筒状部品22を用意し、その環状開口にサイトグラス12を接合した。本例で使用した円筒状部品22はニッケル合金(42アロイ)であり、サイトグラス12は、硼珪酸ガラス(商品名「パイレックス(登録商標)」ガラス)であった。また、円筒状部品22にサイトグラス12を接合するに当って、前記製造例2で調製した本発明のエポキシ系接着剤組成物1を使用した。
【0087】
最初に、円筒状部品22のサイトグラス12と接合すべき接合面に、ディスペンサを用いて接着剤組成物1を塗布し、サイトグラス12を載置した。この状態において、光透過性を有するサイトグラス12の表面側から、これを透過するように、レーザヘッド30から近赤外線レーザ光31を照射した。本例で使用した近赤外線レーザ光31は、前記実施例1で使用したものと同じであった。また、本例での近赤外線レーザ光のエネルギーは0.6J/mm2であった。
【0088】
近赤外線レーザ光31の照射により、接着剤組成物1中の光吸収性成分が発熱し、その熱によって接着剤組成物1が加熱硬化して接着層を形成した。その結果、円筒状部品22にサイトグラス12が約1秒間で接合せしめられた。得られた接着構造体において、接着剤組成物1を介在させていた位置に健全な接着層が形成され、強固な接合状態が得られた。得られた接着構造体の接合強度をオートグラフにより測定したところ、0.1〜20MPaの接着強度であった。また、接着剤組成物1中に含有される光吸収性成分には、帯電・凝集防止物質が含有されているので、光吸収性物質が偏った状態になることを防ぎ、健全な接着層が形成されていた。
【0089】
実施例3
本例では、本発明のエポキシ系接着剤組成物を使用し、かつその接着剤組成物に近赤外線レーザ光を直接的に照射して回路基板に電子部品を固定した。
【0090】
図4に示すように、車載用電子部品の回路基板23を用意した。本例で使用した回路基板23は、ガラスエポキシ製であった。この回路基板23に、電解コンデンサ等のディスクリート電子部品40を搭載した。電子部品40の外周部にはエポキシモールド樹脂が被覆されていた。また、回路基板23に電子部品40を固定するに当って、前記製造例2で調製した本発明のエポキシ系接着剤組成物1を使用した。
【0091】
最初に、回路基板23の貫通孔に電子部品40のリード線41を挿入し、はんだ付けによりはんだ付け部42を形成した。このようにして回路基板23上に電子部品40を固定した状態で、電子部品40と回路基板23の隙間を埋めるように接着剤組成物1を介在させた。接着剤組成物1は、ディスペンサを用いて適用した。この状態において、接着剤組成物1に直接に、レーザヘッド30から近赤外線レーザ光31を照射した。本例で使用した近赤外線レーザ光31は、前記実施例1で使用したものと同じであった。また、本例での近赤外線レーザ光のエネルギーは0.5J/mm2であった。
【0092】
近赤外線レーザ光31の照射により、接着剤組成物1中の光吸収性成分が発熱し、その熱によって接着剤組成物1が加熱硬化して接着部を形成した。その結果、回路基板23に搭載した電子部品40が回路基板23上に約2秒間で強固に固定された。得られた接着構造体の接合強度をオートグラフにより測定したところ、0.1〜20MPaの接着強度であった。本例は、重ね合わせ接合でなく、微小部位の固着固定を行う例であるが、本発明によれば、かかる固定動作を高精度に行うことが可能であり、高品質の部品を得ることができる。
【符号の説明】
【0093】
1 エポキシ系接着剤組成物
10 透明な樹脂部材
20 樹脂部材
30 レーザヘッド
31 レーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一もしくは異なる材料からなる2つの部材を接合するためのものであって、レーザ光の照射により惹起される硬化反応により前記部材どうしを接合可能であり、かつエポキシ系接着剤成分と、レーザ光の吸収により前記エポキシ系接着剤を加熱硬化させることが可能な光吸収性成分とを含んでなる迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物において、
前記エポキシ系接着剤成分が、
(A)シアネートエステル樹脂、
(B)エポキシ樹脂、及び
(C)ポリアミン化合物とエポキシ化合物を反応させて得た、分子内に活性水素を有するアミノ基を1個以上有する変性ポリアミン(a)及びフェノール系樹脂(b)を含有する潜在性硬化剤
を含む一液型シアネート−エポキシ複合樹脂組成物であることを特徴とする迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物。
【請求項2】
前記ポリアミン化合物が、(1)分子内にそれぞれ反応性を異にする2個の第1級又は第2級アミノ基を有するジアミン、及び/又は(2)分子内に2個以上の第1級又は第2級アミノ基を有し、その1個がエポキシ基と反応した場合にその立体障害により残りの第1級又は第2級アミノ基のエポキシ基との反応性が低下する芳香族ポリアミン及び/又は脂環式ポリアミン及び/又は脂肪族ポリアミンであることを特徴とする請求項1に記載の迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物。
【請求項3】
前記ポリアミン化合物が2−アミノプロピルイミダゾール化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物。
【請求項4】
前記エポキシ化合物が、分子内にエポキシ基を2個以上有するポリグリシジルエーテル化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物。
【請求項5】
前記変性ポリアミン(a)が、前記ポリアミン化合物が1モルとなる量に対し、前記エポキシ化合物が0.5〜2当量となる量で両者を反応させて得られたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物。
【請求項6】
前記フェノール系樹脂(b)の数平均分子量が、750〜1200であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物。
【請求項7】
前記潜在性硬化剤(C)において、100質量部の前記変性ポリアミン(a)に対し、前記フェノール系樹脂(b)が10〜100質量部で含まれることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物。
【請求項8】
100質量部の前記シアネートエステル樹脂(A)に対し、前記エポキシ樹脂(B)が1〜10000質量部で含まれることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物。
【請求項9】
前記シアネートエステル樹脂(A)が、次式(1)で示されるポリマー:
【化1】

(式中、R1は、非置換又はフッ素置換の2価の炭化水素基、−O−、−S−又は単結合であり、R2及びR3は、それぞれ独立して、非置換又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されているフェニレン基である)、次式(2)で示されるポリマー:
【化2】

(式中、nは、1以上の整数であり、R4は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である)及びこれらのポリマーのプレポリマーからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物。
【請求項10】
前記シアネートエステル樹脂(A)が、次式(3)で示されるポリマー:
【化3】

(式中、R5は、次式の基:
【化4】

であり、ここで、R 10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子または非置換もしくはフッ素置換のメチル基であるか、もしくは次式の基:
【化5】

であり、ここで、nは4〜12の整数であり、R6、R7、R8及びR9は、それぞれ独立して、水素原子または非置換もしくはフッ素置換のメチル基である)及びこれらのポリマーのプレポリマーからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物。
【請求項11】
前記光吸収性成分が、カーボンブラック、黒色含金塗料、アジン系塗料及びニグロシン系化合物からなる群から選ばれる1種以上の光吸収性化合物であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物。
【請求項12】
前記光吸収性成分が、該接着剤組成物の全量を基準にして20質量%未満の量で含まれることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物。
【請求項13】
前記照射光が近赤外線レーザ光であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物。
【請求項14】
該接着剤組成物に対して、前記照射光を直接的に照射するか、さもなければ前記2つの部材のうちの少なくとも一方を光透過性材料から形成して、その光透過性材料を介して前記照射光を照射することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物。
【請求項15】
同一もしくは異なる材料からなる2つの部材を接合するためのものであって、レーザ光の照射により惹起される硬化反応により前記部材どうしを接合する方法であって、
請求項1〜13のいずれか1項に記載の迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物を前記2つの部材の間に介在させることと、
前記接着剤組成物に対して、前記照射光を直接的に照射するか、さもなければ前記2つの部材のうちの少なくとも一方を光透過性材料から形成して、その光透過性材料を介して前記照射光を照射して前記接着剤組成物を硬化させることと
を含むことを特徴とする接合方法。
【請求項16】
前記照射光が近赤外線レーザ光であることを特徴とする請求項15に記載の接合方法。
【請求項17】
前記照射光が0.3〜0.8J/mmのエネルギーで照射されることを特徴とする請求項15又は16に記載の接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−180352(P2010−180352A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26201(P2009−26201)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【出願人】(502333068)株式会社マステック (10)
【Fターム(参考)】