説明

近距離無線通信装置

【課題】音データを転送可能な複数の通信インタフェースを携帯電話機との間で同時接続可能な構成で、携帯電話機から音データを複数の通信インタフェースのうち何れかにより適切に転送させる。
【解決手段】車載装置2は、携帯電話機3からUSB通信回線により音データを送信させる場合には、携帯電話機3が音データをUSB通信回線により送信可能となるようにUSB通信回線、A2DP及びAVRCPの接続及び切断を制御し、又、携帯電話機3からA2DP及びAVRCPにより音データを送信させる場合には、携帯電話機3が音データをA2DP及びAVRCPにより送信可能となるようにUSB通信回線、A2DP及びAVRCPの接続及び切断を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信相手装置との間で複数の通信インタフェースを同時接続可能であり、通信相手装置から音データを通信インタフェースにより転送させる複数の接続手段を備えた近距離無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近距離無線通信機能を有する近距離無線通信装置においては、近距離無線通信回線を例えば携帯電話機等の通信相手装置との間で接続し、音データの転送を規定する音データ転送プロトコルを通信相手装置との間で接続することで、通信相手装置から音データを音データ転送プロトコルにより転送させてスピーカから出力させるようになっている。例えば特許文献1には、Bluetooth(登録商標)の通信規格により、音データの転送を規定する音データ転送プロトコルしてA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)が規定されており、音データの制御に係る制御データの転送を規定する制御データ転送プロトコルしてAVRCP(Audio/Video Remote Control Profile)が規定されていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−273370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近距離無線通信装置と通信相手装置との間で複数の通信インタフェースを有する構成が考えられ、音データを転送可能な複数の通信インタフェース(データ通信プロトコル、通信回線という伝送媒体)を近距離無線通信装置と通信相手装置との間で同時接続することが考えられる。このように複数の通信インタフェースを近距離無線通信装置と通信相手装置との間で同時接続する構成では、例えば通信インタフェース毎に機能が相違するような場合であれば、ユーザが複数の通信インタフェースのうちから所望の何れかを選択し、その選択した通信インタフェースにより音データを通信相手装置から転送させたいと考えることが想定される。しかしながら、通信相手装置の仕様によっては、複数の通信インタフェースを近距離無線通信装置との間で同時接続している場合に、複数の通信インタフェースを同時接続していることに起因して音データを適切に転送しない場合も想定される。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、音データを転送可能な複数の通信インタフェースを通信相手装置との間で同時接続可能な構成において、通信相手装置から音データを複数の通信インタフェースのうち何れかにより適切に転送させることができる近距離無線通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明によれば、複数の接続手段は、通信相手装置との間で複数の通信インタフェースを同時接続可能であり、通信相手装置から音データを通信インタフェースにより転送させる。制御手段は、通信相手装置から複数の通信インタフェースのうち何れかにより複数の接続手段のうち何れかへ転送された音データを選択的に音データ出力手段から出力させる。ここで、制御手段は、複数の通信インタフェースが通信可能に接続されている状態において、複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースによる音データの出力開始要求が発生したと判定すると、一の通信インタフェースの接続を維持しつつ、複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させ、通信相手装置から一の通信インタフェースにより転送された音データを音データ出力手段から出力させる。
【0007】
これにより、通信相手装置が複数の通信インタフェースを近距離無線通信装置との間で同時接続していることに起因して音データを適切に転送しない仕様であったとしても、音データの出力開始要求が発生した通信インタフェースの接続を維持しつつ、複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させることで、通信相手装置から音データを適切に転送させることができる。
【0008】
請求項2に記載した発明によれば、制御手段は、複数の通信インタフェースが通信可能に接続されている状態において、複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースによる音データの出力開始要求が発生したと判定すると、一の通信インタフェースの接続を維持しつつ、複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースを除く全ての他の通信インタフェースを切断させ、通信相手装置から一の通信インタフェースにより転送された音データを音データ出力手段から出力させる。
【0009】
これにより、通信相手装置が複数の通信インタフェースを近距離無線通信装置との間で同時接続していることに起因して音データを適切に転送しない仕様であったとしても、音データの出力開始要求が発生した通信インタフェースの接続を維持しつつ、複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースを除く全ての他の通信インタフェース(複数の他の通信インタフェース)を切断させることで、通信相手装置から音データを適切に転送させることができる。
【0010】
請求項3に記載した発明によれば、制御手段は、複数の通信インタフェースが通信可能に接続されている状態において、複数の通信インタフェースのうち最後に接続された一の通信インタフェースによる音データの出力開始要求が発生したと判定すると、一の通信インタフェースの接続を維持しつつ、複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させ、通信相手装置から一の通信インタフェースにより転送された音データを音データ出力手段から出力させる。
【0011】
これにより、通信相手装置が音データを最後に接続された通信インタフェースだけにより転送可能な仕様(所謂後優先の機種)である場合に、複数の通信インタフェースのうち最後に接続された通信インタフェースだけの接続を維持しつつ、複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させることで、その最後に接続された通信インタフェースだけを通信相手装置が音データを転送可能な通信インタフェースとすることができる。即ち、通信相手装置が後優先の機種であっても、その後優先の機種である通信相手装置から音データを最後に接続された通信インタフェースにより転送させることができる。
【0012】
請求項4に記載した発明によれば、制御手段は、複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させた後に、その切断させた他の通信インタフェースを再接続させる。
【0013】
これにより、複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させた後に、その切断させた他の通信インタフェースを再接続させることで、他の通信インタフェースを最後に接続された通信インタフェースとすることができ、音データの出力開始要求が一の通信インタフェースから他の通信インタフェースへ切換わった場合に、その時点で他の通信インタフェースを既に接続させておくことで、音データを途切れることなく他の通信インタフェースにより転送させることができる。
【0014】
請求項5に記載した発明によれば、制御手段は、複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させた後に、他の通信インタフェースによる音データの出力開始要求が発生したと判定すると、他の通信インタフェースが接続中である場合には、他の通信インタフェースを切断させて再接続させる。
【0015】
これにより、音データの出力開始要求が一の通信インタフェースから他の通信インタフェースへ切換わった場合に、他の通信インタフェースが接続中であったとしても、他の通信インタフェースを切断させて再接続させることで、他の通信インタフェースを最後に接続された通信インタフェースとすることができ、音データを他の通信インタフェースにより転送させることができる。
【0016】
請求項6に記載した発明によれば、制御手段は、複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させた後に、他の通信インタフェースによる音データの出力開始要求が発生したと判定すると、他の通信インタフェースが接続中でない場合には、他の通信インタフェースを再接続させる。
【0017】
これにより、音データの出力開始要求が一の通信インタフェースから他の通信インタフェースへ切換わった場合に、他の通信インタフェースが接続中でなかったとしても、他の通信インタフェースを再接続させることで、他の通信インタフェースを最後に接続された通信インタフェースとすることができ、音データを他の通信インタフェースにより転送させることができる。
【0018】
請求項7に記載した発明によれば、制御手段は、複数の通信インタフェースが通信可能に接続されている状態において、複数の通信インタフェースのうち最初に接続された一の通信インタフェースによる音データの出力開始要求が発生したと判定すると、一の通信インタフェースの接続を維持しつつ、複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させ、通信相手装置から一の通信インタフェースにより転送された音データを音データ出力手段から出力させる。
【0019】
これにより、通信相手装置が音データを最初に接続された通信インタフェースだけにより転送可能な仕様(所謂先優先の機種)である場合に、複数の通信インタフェースのうち最初に接続された通信インタフェースだけの接続を維持しつつ、複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させることで、その最初に接続された通信インタフェースだけを通信相手装置が音データを転送可能な通信インタフェースとすることができる。即ち、通信相手装置が先優先の機種であっても、その先優先の機種である通信相手装置から音データを最後に接続された通信インタフェースにより転送させることができる。
【0020】
請求項8に記載した発明によれば、制御手段は、複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させた後に、他の通信インタフェースによる音データの出力開始要求が発生したと判定すると、一の通信インタフェースを含む全ての通信インタフェースを切断させた後に、他の通信インタフェースを再接続させる。
【0021】
これにより、音データの出力開始要求が一の通信インタフェースから他の通信インタフェースへ切換わった場合に、一の通信インタフェースを含む全ての通信インタフェースを切断させた後に、他の通信インタフェースを再接続させることで、他の通信インタフェースを最初に接続された通信インタフェースとすることができ、音データを他の通信インタフェースにより転送させることができる。
【0022】
請求項9に記載した発明によれば、複数の接続手段は、通信相手装置との間で複数の通信インタフェースを同時接続可能であり、通信相手装置から音データを通信インタフェースにより転送させる。制御手段は、通信相手装置から複数の通信インタフェースのうち何れかにより複数の接続手段のうち何れかへ転送された音データを選択的に音データ出力手段から出力させる。ここで、制御手段は、複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースが通信可能に接続されている状態において、一の通信インタフェースによる音データの出力開始要求が発生したと判定した場合に、他の通信インタフェースを切断させた後に、一の通信インタフェースを接続させ、通信相手装置から一の通信インタフェースにより転送された音データを音データ出力手段から出力させる。
【0023】
これにより、通信相手装置が複数の通信インタフェースを近距離無線通信装置との間で同時接続していることに起因して音データを適切に転送しない仕様であったとしても、複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させた後に、一の通信インタフェースを接続させることで、通信相手装置から音データを適切に転送させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図
【図2】車載装置が実行する処理を示すフローチャート
【図3】図2相当図
【図4】図2相当図
【図5】図2相当図
【図6】図2相当図
【図7】図2相当図
【図8】図2相当図
【図9】図2相当図
【図10】通信インタフェースの接続態様の遷移を示す図
【図11】図10相当図
【図12】図10相当図
【図13】図10相当図
【図14】図10相当図
【図15】図10相当図
【図16】通信インタフェースの接続態様を纏めて示す図
【図17】図16相当図
【図18】図2相当図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明をBluetooth(登録商標)(以下、BTと称する)通信機能を有するBT対応の車載装置(以下、単に車載装置と称する)に適用した一実施形態について、図面を参照して説明する。尚、ここでは、車載装置が搭載されている車両の車室内に、BT通信機能を有するBT対応の携帯電話機(以下、単に携帯電話機と称する)が車室内に持込まれ、車載装置と携帯電話機とがBT通信可能な状態にある場合を説明する。
【0026】
BT通信システム1は、車両に搭載されている車載装置2(本発明でいう近距離無線通信装置に相当)と、車室内に持込まれた携帯電話機3(本発明でいう通信相手装置に相当)とから構成される。車載装置2は、制御部4(本発明でいう制御手段に相当)と、BTモジュール5(本発明でいう接続手段に相当)と、USB(Universal Serial Bus)モジュール6(本発明でいう接続手段に相当)と、記憶部7と、音声処理部8と、表示制御部9と、操作入力部10と、信号入力部11等を備えて構成されている。制御部4と、USBモジュール6と、記憶部7と、音声処理部8と、表示制御部9と、操作入力部10と、信号入力部11とは、制御基板12に物理的に実装されており、BTモジュール5は、制御基板12とは別部材であるBTモジュール基板13に物理的に実装されている。制御部4とBTモジュール5とはUSB接続されている。
【0027】
制御部4は、周知のマイクロコンピュータからなるCPU、RAM、ROM、及びI/Oバス等を有し、車載装置2の通信動作やデータ管理動作等の動作全般を制御する。BTモジュール5は、後述する携帯電話機3のBTモジュールとの間でBT通信回線を接続し、BT通信回線を通じてBT通信を実行する機能を有する。BTモジュール5は、BTの通信規格で規定されている複数のプロファイルとして、ハンズフリー通話を規定するHFP(Hands Free Profile)、音データの転送を規定するA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)、音データの制御に係る制御データの転送を規定するAVRCP(Audio/Video Remote Control Profile)、仮想シリアルポート化したデータ通信を規定するSPP(Serial Port Profile)、インターネットへのダイヤルアップ接続を規定するDUN(Dial-up Networking Profile)、電子メールデータの転送を規定するMAP(Message Access Profile)、電話帳データの転送を規定するPBAP(Phone Book Access Profile)、同じく電話帳データの転送を規定するOPP(Object Push Profile)等を同時接続(所謂マルチ接続)可能に構成されている。これらHFP、A2DP、AVRCP、SPP、DUN、MAP、PBAP、OPP等は機能毎に定義されたデータ通信プロトコルを意味している。又、BTモジュール5と後述する携帯電話機3のBTモジュールとは両者の間でA2DP及びAVRCPを接続することにより、音データをA2DP及びAVRCPにより転送可能であり、A2DP及びAVRCPが本発明でいう通信インタフェースに対応する。
【0028】
USBモジュール6は、USB接続ケーブル14の接続端子14aを着脱可能な接続端子6aを有し、USB接続ケーブル14の一方の接続端子14aが接続端子6aに接続され、且つUSB接続ケーブル14の他方の接続端子14bが後述する携帯電話機3のUSBモジュールの接続端子に接続されている状態で、USB通信回線を携帯電話機3のUSBモジュールとの間で接続し、USB通信回線を通じてUSB通信を実行する機能を有する。USBモジュール6と後述する携帯電話機3のUSBモジュールとは両者の間でUSB通信回線(USBのアプリケーション)を接続することにより、音データをUSB通信回線により転送可能であり、USB通信回線も上記したA2DP及びAVRCPと同様に本発明でいう通信インタフェースに対応する。
【0029】
記憶部7は、各種データを記憶する記憶領域を有して構成されている。この場合、BTモジュール5が携帯電話機3のBTモジュールとの間でMAPを接続すれば、携帯電話機3からBTモジュール5へ転送された電子メールデータ(電子メールの発信先を特定可能な差出人情報、電子メールが携帯電話機3へ受信された日時を特定可能な受信日時情報、電子メールの種別を特定可能な種別情報、例えば差出人が入力した電子メールの件名を特定可能な件名情報等)が記憶部7に記憶される。又、BTモジュール5が携帯電話機3のBTモジュールとの間でPBAPを接続すれば、携帯電話機3からBTモジュール5へ転送された電話帳データ、車載装置2からの発信動作又は当該車載装置2との間でHFPを接続している携帯電話機3からの発信動作に係る発信時刻と発信電話番号との対応を表す発信履歴データ、車載装置2との間でHFPを接続している携帯電話機3の着信動作に係る着信時刻と着信電話番号との対応を表す着信履歴データ等が記憶部7に記憶される。
【0030】
音声処理部8には車室内にあって例えばハンドルの近傍等のユーザが発した音声を集音し易い部位に配置されているマイクロホン15が接続されていると共に、車載装置2の外部に配置されているオーディオアンプ16が接続されており、オーディオアンプ16にはスピーカ17a、17b(本発明でいう音データ出力手段に相当)が接続されている。
【0031】
音声処理部8は、BTモジュール5と後述する携帯電話機3のBTモジュールとが両者の間でHFPを接続している状態では、ユーザが発した音声をマイクロホン15から送話音声データとして入力すると、その入力した送話音声データを音声処理してBTモジュール5へ出力し、BTモジュール5から受話音声データを入力すると、その入力した受話音声データをオーディオアンプ16へ出力する。
【0032】
又、音声処理部8は、BTモジュール5と後述する携帯電話機3のBTモジュールとが両者の間でA2DP及びAVRCPを接続している状態では、携帯電話機3のBTモジュールからA2DP及びAVRCPによりBTモジュール5へ転送された音データをオーディオアンプ16へ出力する。又、音声処理部8は、USBモジュール6と後述する携帯電話機3のUSBモジュールとが両者の間でUSB通信を実行可能な状態では、携帯電話機3のUSBモジュールからUSB通信回線によりUSBモジュール6へ転送された音データをオーディオアンプ16へ出力する。
【0033】
オーディオアンプ16は、音声処理部8から受話音声データや音データを入力すると、その入力した受話音声データや音データを増幅してスピーカ17a、17bから出力させる。又、オーディオアンプ16にはチューナーデッキ18も接続されており、オーディオアンプ16は、チューナーデッキ18が例えば音楽用記録媒体から再生した楽曲データを当該チューナーデッキ18から入力すると、その入力した楽曲データをも増幅してスピーカ17a、17bから出力させる。
【0034】
ディスプレイ装置19は、各種表示画面を表示する表示装置20と、表示画面上にタッチスイッチを形成する操作装置21とを備えて構成されている。表示制御部9は、制御部4から表示指令信号を入力すると、その入力した表示指令信号に基づいてディスプレイ装置19における表示装置20の表示動作を制御する。操作入力部10は、ユーザが表示画面上に形成されているタッチスイッチを操作したことに応じて操作装置21から操作検出信号を入力すると、その入力した操作検出信号を制御部4へ出力し、制御部4は、操作入力部10から入力した操作検出信号を解析してユーザの操作を特定する。
【0035】
信号入力部11は、車両に搭載されているACC(アクセサリ)スイッチに接続されており、ACCスイッチから出力されたACC信号を入力すると、その入力したACC信号を制御部4へ出力し、制御部4は、信号入力部11から入力したACC信号のオンオフに基づいて装置電源をオンオフする。即ち、制御部4は、ACC信号がオフからオンに遷移したタイミングで装置電源をオンし(車載装置2を起動し)、ACC信号がオンからオフに遷移したタイミングで装置電源をオフする(車載装置2を停止する)。
【0036】
携帯電話機3は、制御部22と、電話通信部23と、BTモジュール24と、USBモジュール25と、キー入力部26と、記憶部27と、表示部28と、マイクロホン29と、スピーカ30と、電力供給部31等を備えて構成されている。
【0037】
制御部22は、周知のマイクロコンピュータからなるCPU、RAM、ROM、及びI/Oバス等を有し、携帯電話機3の通信動作やデータ管理動作等の動作全般を制御する。電話通信部23は、通信網33との間で電話通信を実行する。尚、通信網33は携帯電話基地局や基地局制御装置等の周知の携帯電話通信サービスを提供する設備を含むものである。BTモジュール24は、前述した車載装置2のBTモジュール5との間でBT通信回線を接続し、BT通信回線を通じてBT通信を実行する機能を有し、BTの通信規格で規定されている複数のプロファイルとして、HFP、A2DP、AVRCP、SPP、DUN、MAP、PBAP、OPP等を同時接続可能に構成されている。
【0038】
USBモジュール25は、USB接続ケーブル14の接続端子14bを着脱可能な接続端子25aを有し、USB接続ケーブル14の一方の接続端子14aが車載装置2のUSBモジュール6の接続端子6aに接続され、且つUSB接続ケーブル14の他方の接続端子14bが接続端子25aに接続されている状態で、USB通信回線を車載装置2のUSBモジュール6との間で接続し、USB通信回線を通じてUSB通信を実行する機能を有する。
【0039】
キー入力部26は、ユーザが操作可能な各種キーを備え、ユーザがキーを操作したことに応じて操作検出信号を制御部22へ出力し、制御部22は、キー入力部26から入力した操作検出信号を解析してユーザの操作を特定する。記憶部27は、各種データを記憶する記憶領域を有して構成されている。表示部28は、制御部22から表示指令信号を入力すると、その入力した表示指令信号に基づいて各種表示画面を表示する。又、制御部22は、ユーザが発した音声をマイクロホン29から送話音声データとして入力すると、その入力した送話音声データを音声処理し、電話通信部23から受話音声データを入力すると、その入力した受話音声データをスピーカ30から音声として出力させる。電力供給部31は、本体に対して着脱可能なバッテリ32から放電される電力を動作電力として各機能ブロックへ供給する。
【0040】
上記した構成では、制御部4は、BT通信回線をBTモジュール5とBTモジュール24との間で接続させると、最初にHFPをBTモジュール5とBTモジュール24との間で自動的に(ユーザが操作を行うことなく)接続させ、HFPの接続を終了すると、次にA2DPをBTモジュール5とBTモジュール24との間で自動的に接続させ、A2DPの接続を終了すると、次にAVRCPをBTモジュール5とBTモジュール24との間で自動的に接続させ、AVRCPの接続を終了すると、次にPABPをBTモジュール5とBTモジュール24との間で自動的に接続させ、HFP、A2DP及びAVRCPを接続させた状態でPABPによるデータ通信(電話帳データの転送)を開始する。そして、制御部4は、PABPによるデータ通信を終了したと判定すると、BTモジュール5とBTモジュール24との間で接続させているPABPを切断させ、HFP、A2DP及びAVRCPの接続を継続する(維持する)。
【0041】
車載装置2のデータ通信相手である携帯電話機3は、上記したようにUSB通信回線がUSBモジュール6とUSBモジュール25との間で接続され、且つA2DP及びAVRCPがBTモジュール5とBTモジュール24との間で接続されている状態では音データを車載装置2へ送信する(転送する)通信インタフェースとしてはUSB通信回線とA2DP及びAVRCPとの2つの通信インタフェースを有することになる。尚、携帯電話機3から車載装置2へ送信される音データとは、例えば携帯電話機3が有する音楽再生機能により再生された楽曲データ等である。
【0042】
携帯電話機3は、音データの出力開始要求を示す音データ出力開始要求コマンドを車載装置2から受信することで、音データを車載装置2へ送信するが、このように音データを車載装置2へ送信する通信インタフェースとしてUSB通信回線とA2DP及びAVRCPとの2つの通信インタフェースを有する場合には、音データを何れの通信インタフェースにより送信する挙動について機器の仕様により以下の3種類に大別することができる。
【0043】
(a)USB通信回線、A2DP及びAVRCPが接続されている状態で、USB通信回線とA2DP及びAVRCPとの何れの通信インタフェースにより音データを送信可能な機種(普通機種)
(b)USB通信回線、A2DP及びAVRCPが接続されている状態で、USB通信回線とA2DP及びAVRCPとのうち後から(最後に)接続された通信インタフェースだけにより音データを送信可能な機種(後優先の特定機種)
(c)USB通信回線、A2DP及びAVRCPが接続されている状態で、USB通信回線とA2DP及びAVRCPとのうち先に(最初に)接続された通信インタフェースだけにより音データを送信可能な機種(先優先の特定機種)
即ち、普通機種は音データを送信可能な通信インタフェースが接続順序に制限されない機種であり、後優先の特定機種及び先優先の特定機種は音データを送信可能な通信インタフェースが接続順序に制限される機種である。
【0044】
次に、上記した構成の作用について、図2乃至図18を参照して説明する。図2乃至図9は車載装置2の制御部4が実行する処理をフローチャートにより示している。
車載装置2において、制御部4は、車載装置2の装置電源がオン(ACCスイッチがオン)している状態ではメイン処理を実行し、メイン処理におけるサブ処理として通信インタフェース接続処理、前回電源オフ時通信インタフェース判定処理、USB通信回線接続判定処理、A2DP及びAVRCPによる音データ出力開始要求判定処理、USB通信回線による音データ出力開始要求判定処理、A2DP及びAVRCPによる音データ出力終了要求判定処理、及びUSB通信回線による音データ出力終了要求判定処理を実行する。以下、これら各処理について順次説明する。
【0045】
(1)メイン処理(図2参照)
制御部4は、車載装置2の装置電源がオンしたと判定すると、メイン処理を開始し、通信インタフェース接続処理、及び前回電源オフ時通信インタフェース判定処理を装置電源がオンした直後に1回だけ実行し、USB通信回線接続判定処理、A2DP及びAVRCPによる音データ出力開始要求判定処理、USB通信回線による音データ出力開始要求判定処理、A2DP及びAVRCPによる音データ出力終了要求判定処理、及びUSB通信回線による音データ出力終了要求判定処理を装置電源がオフしたと判定するまで所定周期で定期的に実行する(ステップS1乃至S8)。
【0046】
(2)通信インタフェース接続処理(図3参照)
制御部4は、メイン処理から通信インタフェース接続処理へ移行し、通信インタフェース接続処理を開始すると、USB接続ケーブル14が車載装置2と携帯電話機3との間で物理的に接続されているか否かを判定する(ステップS11)。制御部4は、これよりも先にユーザがUSB接続ケーブル14の一方の接続端子14aを車載装置2のUSBモジュール6の接続端子6aに接続し且つ他方の接続端子14bを携帯電話機3のUSBモジュール24の接続端子24aに接続したことで、USB接続ケーブル14が車載装置2と携帯電話機3との間で物理的に接続されていると判定すると(ステップS11にて「YES」)、USB通信回線をUSBモジュール6とUSBモジュール25との間で接続させる(USB通信を可能とする)(ステップS12)。この場合、USB通信回線をUSBモジュール6とUSBモジュール25との間で接続させることの意味は、USB通信回線を物理的に接続させることではなく、USB通信回線を論理的に(ソフトウェア上で)接続させてUSB通信を可能とすることである。
【0047】
制御部4は、USB通信回線をUSBモジュール6とUSBモジュール25との間で接続させると、BT通信回線をBTモジュール5とBTモジュール24との間で接続させる(ステップS13)。制御部4は、BT通信回線をBTモジュール5とBTモジュール24との間で接続させると、上記したようにHFPをBTモジュール5とBTモジュール24との間で接続させ(ステップS14)、A2DP及びAVRCPをBTモジュール5とBTモジュール24との間で接続させ(ステップS15)、PBAPをBTモジュール5とBTモジュール24との間で接続させ(ステップS16)、通信インタフェース接続処理を終了してメイン処理へリターンする。
【0048】
尚、制御部4は、USB接続ケーブル14が車載装置2と携帯電話機3との間で物理的に接続されていないと判定すると(ステップS11にて「NO」)、USB通信回線をUSBモジュール6とUSBモジュール25との間で接続させることなく、BT通信回線をBTモジュール5とBTモジュール24との間で接続させ(ステップS13)、HFPをBTモジュール5とBTモジュール24との間で接続させ(ステップS14)、A2DP及びAVRCPをBTモジュール5とBTモジュール24との間で接続させ(ステップS15)、PBAPをBTモジュール5とBTモジュール24との間で接続させ(ステップS16)、通信インタフェース接続処理を終了してメイン処理へリターンする。
【0049】
(3)前回電源オフ時通信インタフェース判定処理(図4参照)
制御部4は、メイン処理から前回電源オフ時通信インタフェース判定処理へ移行し、前回電源オフ時通信インタフェース判定処理通信インタフェース接続処理を開始すると、前回の装置電源がオフ(ACCスイッチがオフ)した直前でUSBモジュール25からUSB通信回線によりUSBモジュール6へ送信された音データを出力させていたか否かを判定する(ステップS21)。
【0050】
制御部4は、前回の装置電源がオフした直前でUSB通信回線により送信された音データを出力させていたと判定すると(ステップS21にて「YES」)、USB通信回線が接続されているか否か、即ち、USB通信回線とA2DP及びAVRCPとを同時接続しており、先にUSB通信回線を接続して後からA2DP及びAVRCPを接続したか否かを判定する(ステップS22)。
【0051】
制御部4は、USB通信回線が接続されている、即ち、USB通信回線とA2DP及びAVRCPとを同時接続しており、先にUSB通信回線を接続して後からA2DP及びAVRCPを接続したと判定すると(ステップS22にて「YES」)、例えばUSB通信回線を接続させた際にUSBモジュール25から通知された識別情報(例えば携帯電話機3を特定可能な機器識別情報等)とBT通信回線を接続させた際にBTモジュール24から通知された識別情報と(例えば携帯電話機3を特定可能な機器識別情報等)を照合することで、USBモジュール6のUSB通信回線の接続相手とBTモジュール5のA2DP及びAVRCPの接続相手とが同一の通信相手装置であるか否かを判定する(ステップS23)。
【0052】
この場合、USBモジュール6のUSB通信回線の接続相手とBTモジュール5のA2DP及びAVRCPの接続相手とが同一の通信相手装置に実装されていれば、USBモジュール25から通知された識別情報とBTモジュール24から通知された識別情報とは一致し、一方、USBモジュール6のUSB通信回線の接続相手とBTモジュール5のA2DP及びAVRCPの接続相手とが別々の通信相手装置に実装されていれば、USBモジュール25から通知された識別情報とBTモジュール24から通知された識別情報とは一致しない。
【0053】
制御部4は、USBモジュール25から通知された識別情報とBTモジュール24から通知された識別情報とが一致したと判定し、USBモジュール6のUSB通信回線の接続相手とBTモジュール5のA2DP及びAVRCPの接続相手とが同一の通信相手装置であると判定すると(ステップS23にて「YES」)、例えばUSB通信回線を接続させた際にUSBモジュール25から通知された識別情報や、BT通信回線を接続させた際にBTモジュール24から通知された識別情報を判定することで、その通信相手装置が後優先の特定機種、即ち、音データを送信可能な複数の通信インタフェースを接続している場合に音データを最後に接続した通信インタフェースだけにより送信可能な仕様の特定機種であるか否かを判定する(ステップS24)。制御部4は、その通信相手装置が後優先の特定機種であると判定すると(ステップS24にて「YES」)、BTモジュール5とBTモジュール24との間で接続させているA2DP及びAVRCPを切断させる(ステップS25)。
【0054】
このようにしてBTモジュール5とBTモジュール24との間で接続されているA2DP及びAVRCPが切断されると、携帯電話機3から車載装置2へ音データを送信可能な通信インタフェースはUSB通信回線だけになる。制御部4は、音データ出力開始要求コマンドをUSBモジュール6からUSBモジュール25へ送信させ、USBモジュール25からUSBモジュール6へのUSB通信回線による音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始し(ステップS26)、前回電源オフ時通信インタフェース判定処理を終了してメイン処理へリターンする。
【0055】
尚、制御部4は、USBモジュール6のUSB通信回線の接続相手とBTモジュール5のA2DP及びAVRCPの接続相手とが同一の通信相手装置でないと判定すると(ステップS23にて「NO」)、又は通信相手装置が後優先の特定機種でないと判定すると(ステップS24にて「NO」)、BTモジュール5とBTモジュール24との間で接続させているA2DP及びAVRCPを切断させることなく、音データ出力開始要求コマンドをUSBモジュール6からUSBモジュール25へ送信させ、USBモジュール25からUSBモジュール6へのUSB通信回線による音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始し(ステップS26)、前回電源オフ時通信インタフェース判定処理を終了してメイン処理へリターンする。
【0056】
一方、制御部4は、前回の装置電源がオフした直前でUSB通信回線により送信された音データを出力させていなかったと判定すると(ステップS21にて「NO」)、前回の装置電源がオフした直前でBTモジュール24からA2DP及びAVRCPによりBTモジュール5へ送信された音データを出力させていたか否かを判定する(ステップS27)。
【0057】
制御部4は、前回の装置電源がオフした直前でA2DP及びAVRCPにより送信された音データを出力させていたと判定すると(ステップS27にて「YES」)、この場合も、USB通信回線が接続されているか否か、即ち、USB通信回線とA2DP及びAVRCPとを同時接続しており、先にUSB通信回線を接続して後からA2DP及びAVRCPを接続したか否かを判定する(ステップS28)。
【0058】
制御部4は、USB通信回線が接続されている、即ち、USB通信回線とA2DP及びAVRCPとを同時接続しており、先にUSB通信回線を接続して後からA2DP及びAVRCPを接続したと判定すると(ステップS28にて「YES」)、USBモジュール6のUSB通信回線の接続相手とBTモジュール5のA2DP及びAVRCPの接続相手とが同一の通信相手装置であるか否かを判定する(ステップS29)。
【0059】
制御部4は、USBモジュール6のUSB通信回線の接続相手とBTモジュール5のA2DP及びAVRCPの接続相手とが同一の通信相手装置であると判定すると(ステップS29にて「YES」)、例えばUSB通信回線を接続させた際にUSBモジュール25から通知された識別情報や、BT通信回線を接続させた際にBTモジュール24から通知された識別情報を判定することで、その通信相手装置が先優先の特定機種、即ち、音データを送信可能な複数の通信インタフェースを接続している場合に音データを最初に接続した通信インタフェースだけにより送信可能な仕様の特定機種であるか否かを判定する(ステップS30)。制御部4は、その通信相手装置が先優先の特定機種であると判定すると(ステップS30にて「YES」)、USBモジュール6とUSBモジュール25との間で接続させているUSB通信回線を切断させる(USB通信を不可能とする)(ステップS31)。この場合、USB通信回線を切断させることの意味は、USB通信回線を物理的に切断させることではなく、USB通信回線を論理的に(ソフトウェア上で)切断させてUSB通信を不可能とすることである。
【0060】
このようにしてUSBモジュール6とUSBモジュール25との間で接続させているUSB通信回線が切断されると、携帯電話機3から車載装置2へ音データを転送可能通信インタフェースはA2DP及びAVRCPだけになる。制御部4は、音データ出力開始要求コマンドをBTモジュール5からBTモジュール24へ送信させ、BTモジュール24からBTモジュール5への音データのA2DP及びAVRCPによる送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始し(ステップS32)、前回電源オフ時通信インタフェース判定処理を終了してメイン処理へリターンする。
【0061】
尚、制御部4は、USB通信回線が接続されていないと判定すると(ステップS28にて「NO」)、USBモジュール6のUSB通信回線の接続相手とBTモジュール5のA2DP及びAVRCPの接続相手とが同一の通信相手装置でないと判定すると(ステップS29にて「NO」)、又は通信相手装置が先優先の特定機種でないと判定すると(ステップS30にて「NO」)、USBモジュール6とUSBモジュール25との間で接続させているUSB通信回線を切断させることなく、音データ出力開始要求コマンドをBTモジュール5からBTモジュール24へ送信させ、BTモジュール24からBTモジュール5への音データのA2DP及びAVRCPによる送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始し(ステップS32)、前回電源オフ時通信インタフェース判定処理を終了してメイン処理へリターンする。
【0062】
又、制御部4は、前回の装置電源がオフした直前でA2DP及びAVRCPにより送信された音データを出力させていなかったと判定すると(ステップS27にて「NO」)、他の通信インタフェースにより音データを出力させていたか否かを判定する(ステップS33)。制御部4は、他の通信インタフェースにより音データを出力させていたと判定すると(ステップS33にて「YES」)、BTモジュール5とBTモジュール24との間で接続させているA2DP及びAVRCPを切断させ(ステップS34)、USBモジュール6とUSBモジュール25との間で接続させているUSB通信回線を切断させ(ステップS35)、他の通信インタフェースによる音データのスピーカ17a、17bからの出力を開始し(ステップS36)。前回電源オフ時通信インタフェース判定処理を終了してメイン処理へリターンする。
【0063】
(4)USB通信回線接続判定処理(図5参照)
制御部4は、メイン処理からUSB通信回線接続判定処理へ移行し、USB通信回線接続判定処理を開始すると、USB接続ケーブル14が車載装置2と携帯電話機3との間で物理的に接続されているか否かを判定する(ステップS41)。制御部4は、ユーザがUSB接続ケーブル14の一方の接続端子14aを車載装置2のUSBモジュール6の接続端子6aに接続し、且つ他方の接続端子14bを携帯電話機3のUSBモジュール24の接続端子24aに接続したことで、USB接続ケーブル14が車載装置2と携帯電話機3との間で物理的に接続されていると判定すると(ステップS41にて「YES」)、USB通信回線をUSBモジュール6とUSBモジュール25との間で接続させ(USB通信を可能とし)(ステップS42)、USB通信回線接続判定処理を終了してメイン処理へリターンする。この場合も、USB通信回線をUSBモジュール6とUSBモジュール25との間で接続させることの意味は、USB通信回線を物理的に接続させることではなく、USB通信回線を論理的に(ソフトウェア上で)接続させてUSB通信を可能とすることである。
【0064】
(5)A2DP及びAVRCPによる音データ出力開始要求判定処理(図6参照)
制御部4は、メイン処理からA2DP及びAVRCPによる音データ出力開始要求判定処理へ移行し、A2DP及びAVRCPによる音データ出力開始要求判定処理を開始すると、A2DP及びAVRCPによる音データのスピーカ17a、17bからの出力開始要求が発生したか否かを判定する(ステップS51)。
【0065】
制御部4は、例えば車載装置2からUSB通信回線により送信された音データをスピーカ17a、17bから出力させている状態でユーザがUSB通信回線からA2DP及びAVRCPへの出力切換操作を操作装置21にて行ったと判定し、又は何れの音データをスピーカ17a、17bから出力させていない状態でユーザがA2DP及びAVRCPによる出力開始操作を操作装置21にて行ったと判定し、A2DP及びAVRCPによる音データのスピーカ17a、17bからの出力開始要求が発生したと判定すると(ステップS51にて「YES」)、USB通信回線による音データを出力中であるか否かを判定する(ステップS52)。
【0066】
制御部4は、USB通信回線による音データを出力中でないと判定すると(ステップS52にて「NO」)、A2DP及びAVRCPをBTモジュール5とBTモジュール24との間で接続中であるか否かを判定し(ステップS55)、A2DP及びAVRCPをBTモジュール5とBTモジュール24との間で接続中であると判定すると(ステップS55にて「YES」)、音データ出力開始要求コマンドをBTモジュール5からBTモジュール24へ送信させ、BTモジュール24からBTモジュール5へのA2DP及びAVRCPによる音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始し(ステップS57)、A2DP及びAVRCPによる音データ出力開始要求判定処理を終了してメイン処理へリターンする。
【0067】
一方、制御部4は、A2DP及びAVRCPをBTモジュール5とBTモジュール24との間で接続中でないと判定すると(ステップS55にて「NO」)、A2DP及びAVRCPをBTモジュール5とBTモジュール24との間で接続させた後に(ステップS56)、音データ出力開始要求コマンドをBTモジュール5からBTモジュール24へ送信させ、BTモジュール24からBTモジュール5へのA2DP及びAVRCPによる音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始し(ステップS57)、A2DP及びAVRCPによる音データ出力開始要求判定処理を終了してメイン処理へリターンする。
【0068】
又、制御部4は、USB通信回線による音データを出力中であると判定すると(ステップS52にて「YES」)、USB通信回線による音データの出力を終了し(ステップS53)、USBモジュール6とUSBモジュール25との間で接続させているUSB通信回線を切断させた後に(ステップS54)、上記したステップS55乃至S57を実行し、A2DP及びAVRCPによる音データ出力開始要求判定処理を終了してメイン処理へリターンする。
【0069】
(6)USB通信回線による音データ出力開始要求判定処理(図7参照)
制御部4は、メイン処理からUSB通信回線による音データ出力開始要求判定処理へ移行し、USB通信回線による音データ出力開始要求判定処理を開始すると、USB通信回線による音データの出力開始要求が発生したか否かを判定する(ステップS61)。
【0070】
制御部4は、例えば携帯電話機3からA2DP及びAVRCPにより送信された音データをスピーカ17a、17bから出力させている状態でユーザがA2DP及びAVRCPからUSB通信回線への出力切換操作を操作装置21にて行ったと判定し、又は何れの音データをスピーカ17a、17bから出力させていない状態でユーザがUSB通信回線による出力開始操作を操作装置21にて行ったと判定し、USB通信回線による音データの出力開始要求が発生したと判定すると(ステップS61にて「YES」)、A2DP及びAVRCPによる音データを出力中であるか否かを判定する(ステップS62)。
【0071】
制御部4は、A2DP及びAVRCPによる音データを出力中でないと判定すると(ステップS62にて「NO」)、USB通信回線をUSBモジュール6とUSBモジュール25との間で接続中であるか否かを判定し(ステップS65)、USB通信回線をUSBモジュール6とUSBモジュール25との間で接続中であると判定すると(ステップS65にて「YES」)、音データ出力開始要求コマンドをUSBモジュール6からUSBモジュール25へ送信させ、USBモジュール25からUSBモジュール6へのUSB通信回線による音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始し(ステップS67)、USB通信回線による音データ出力開始要求判定処理を終了してメイン処理へリターンする。
【0072】
一方、制御部4は、USB通信回線をUSBモジュール6とUSBモジュール25との間で接続中でないと判定すると(ステップS65にて「NO」)、USB通信回線をUSBモジュール6とUSBモジュール25との間で接続させた後に(ステップS66)、音データ出力開始要求コマンドをUSBモジュール6からUSBモジュール25へ送信させ、USBモジュール25からUSBモジュール6へのUSB通信回線による音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始し(ステップS67)、USB通信回線による音データ出力開始要求判定処理を終了してメイン処理へリターンする。
【0073】
又、制御部4は、A2DP及びAVRCPによる音データを出力中であると判定すると(ステップS62にて「YES」)、A2DP及びAVRCPによる音データのスピーカ17a、17bからの出力を終了し(ステップS63)、BTモジュール5とBTモジュール24との間で接続させているA2DP及びAVRCPを切断させた後に(ステップS64)、上記したステップS65乃至S67を実行し、USB通信回線による音データ出力開始要求判定処理を終了してメイン処理へリターンする。
【0074】
(7)A2DP及びAVRCPによる音データ出力終了要求判定処理(図8参照)
制御部4は、メイン処理からA2DP及びAVRCPによる音データ出力終了要求判定処理へ移行し、A2DP及びAVRCPによる音データ出力終了要求判定処理を開始すると、A2DP及びAVRCPによる音データのスピーカ17a、17bからの出力終了要求が発生したか否かを判定する(ステップS71)。制御部4は、例えばBTモジュール24からA2DP及びAVRCPによりBTモジュール5へ送信された音データをスピーカ17a、17bから出力させている状態でユーザが出力終了操作を操作装置21にて行ったと判定し、A2DP及びAVRCPによる音データのスピーカ17a、17bからの出力終了要求が発生したと判定すると(ステップS71にて「YES」)、音データ出力終了要求コマンドをBTモジュール5からBTモジュール24へ送信させ、BTモジュール24からBTモジュール5への音データのA2DP及びAVRCPによる送信を終了させてスピーカ17a、17bからの出力を終了する(ステップS72)。
【0075】
制御部4は、BTモジュール5とBTモジュール24との間で接続させているA2DP及びAVRCPを切断させ(ステップS73)、A2DP及びAVRCPによる音データ出力終了要求判定処理を終了してメイン処理へリターンする。
【0076】
(8)USB通信回線による音データ出力終了要求判定処理(図9参照)
制御部4は、メイン処理からUSB通信回線による音データ出力終了要求判定処理へ移行し、USB通信回線による音データ出力終了要求判定処理を開始すると、USB通信回線による音データのスピーカ17a、17bからの出力終了要求が発生したか否かを判定する(ステップS81)。制御部4は、例えばUSBモジュール25からUSB通信回線によりUSBモジュール6へ送信された音データをスピーカ17a、17bから出力させている状態でユーザが出力終了操作を操作装置21にて行ったと判定し、USB通信回線による音データのスピーカ17a、17bからの出力終了要求が発生したと判定すると(ステップS81にて「YES」)、音データ出力終了要求コマンドをUSBモジュール6からUSBモジュール25へ送信させ、USBモジュール25からUSBモジュール6への音データのUSB通信回線による送信を終了させてスピーカ17a、17bからの出力を終了する(ステップS82)。
【0077】
制御部4は、USBモジュール6とUSBモジュール25との間で接続させているUSB通信回線を切断させ(ステップS83)、USB通信回線による音データ出力終了要求判定処理を終了してメイン処理へリターンする。
【0078】
上記した一連の処理を具体的に説明する。ここでは、先にUSB通信回線が接続されて後からA2DP及びAVRCPが接続された場合に、前回の装置電源がオフした直前でUSB通信回線により送信された音データをスピーカ17a、17bから出力させていた場合と、前回の装置電源がオフした直前でA2DP及びAVRCPにより送信された音データをスピーカ17a、17bから出力させていた場合とについて説明する。
【0079】
制御部4は、車載装置2のデータ通信相手である携帯電話機3が普通機種であると判定すると、音データを送信可能な通信インタフェースが接続順序に制限されないことにより、図10及び図11に示すように、装置電源がオンすると、前回の装置電源がオフした直前でUSB通信回線により送信された音データを出力させていたかA2DP及びAVRCPにより送信された音データを出力させていたかに関係なく、その接続されているUSB通信回線とA2DP及びAVRCPとのうち何れも切断させることなく(接続を継続したまま)、前回の装置電源がオフした直前で音データを送信させた通信インタフェースと同じ通信インタフェースにより音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始する。
【0080】
その後、制御部4は、USB通信回線からA2DP及びAVRCPへの出力切換操作やA2DP及びAVRCPからUSB通信回線への出力切換操作が行われたと判定すると、その接続されているUSB通信回線とA2DP及びAVRCPとのうち何れも切断させることなく、音データを送信させる通信インタフェースを切換え、その切換えた通信インタフェースにより音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始する。
【0081】
又、制御部4は、車載装置2のデータ通信相手である携帯電話機3が後優先の特定機種であると判定すると、音データを送信可能な通信インタフェースが最後に接続された通信インタフェースだけに制限されることにより、前回の装置電源がオフした直前でUSB通信回線により送信された音データを出力させていた場合、即ち、先に接続させた通信インタフェースにより音データを出力させていた場合には、図12に示すように、その接続されているUSB通信回線とA2DP及びAVRCPとのうち後から接続させた通信インタフェースであるA2DP及びAVRCPを切断させ、前回の装置電源がオフした直前で音データを送信させていたUSB通信回線により音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始する。
【0082】
その後、制御部4は、USB通信回線からA2DP及びAVRCPへの出力切換操作が行われたと判定すると、その切断させたA2DP及びAVRCPを再接続させ、音データを送信させる通信インタフェースをUSB通信回線からA2DP及びAVRCPへ切換え、その切換えたA2DP及びAVRCPにより音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始する。尚、制御部4は、USB通信回線からA2DP及びAVRCPへの出力切換操作が行われる前に、先に切断させたA2DP及びAVRCPを再接続させても良く、このように構成すれば、USB通信回線による音データの出力中であっても、A2DP及びAVRCPを後から接続された通信インタフェースとすることができる。又、USB通信回線からA2DP及びAVRCPへの出力切換操作が行われた時点でA2DP及びAVRCPを接続中であれば、そのA2DP及びAVRCPを切断させて再接続させても良い。
【0083】
一方、制御部4は、前回の装置電源がオフした直前でA2DP及びAVRCPにより送信された音データを出力させていた場合、即ち、後から接続させた通信インタフェースにより音データを出力させていた場合には、図13に示すように、その接続されているUSB通信回線とA2DP及びAVRCPとのうち何れも切断させることなく、前回の装置電源がオフした直前で音データを送信させていたA2DP及びAVRCPにより音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始する。
【0084】
その後、制御部4は、A2DP及びAVRCPからUSB通信回線への出力切換操作が行われたと判定すると、後から接続させた通信インタフェースであるA2DP及びAVRCPを切断させ、音データを送信させる通信インタフェースをA2DP及びAVRCPからUSB通信回線へ切換え、その切換えたUSB通信回線Pにより音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始する。
【0085】
又、制御部4は、車載装置2のデータ通信相手である携帯電話機3が先優先の特定機種であると判定すると、音データを送信可能な通信インタフェースが最初に接続された通信インタフェースだけに制限されることにより、前回の装置電源がオフした直前でUSB通信回線により送信された音データを出力させていた場合、即ち、先に接続させた通信インタフェースにより音データを出力させていた場合には、図14に示すように、その接続されているUSB通信回線とA2DP及びAVRCPとのうち何れも切断させることなく、前回の装置電源がオフした直前で音データを送信させていたUSB通信回線により音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始する。
【0086】
その後、制御部4は、USB通信回線からA2DP及びAVRCPへの出力切換操作が行われたと判定すると、先に接続させた通信インタフェースであるUSB通信回線を切断させ、音データを送信させる通信インタフェースをUSB通信回線からA2DP及びAVRCPへ切換え、その切換えたA2DP及びAVRCPにより音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始する。
【0087】
一方、制御部4は、前回の装置電源がオフした直前でA2DP及びAVRCPにより送信された音データを出力させていた場合、即ち、後から接続させた通信インタフェースにより音データを出力させていた場合には、図15に示すように、その接続されているUSB通信回線とA2DP及びAVRCPとのうち先に接続させた通信インタフェースであるUSB通信回線を切断させ、前回の装置電源がオフした直前で音データを送信させていたA2DP及びAVRCPにより音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始する。
【0088】
その後、制御部4は、A2DP及びAVRCPからUSB通信回線への出力切換操作が行われたと判定すると、接続させているA2DP及びAVRCPを切断させ、先に切断させたUSB通信回線を再接続させ、音データを受信させる通信インタフェースをA2DP及びAVRCPからUSB通信回線へ切換え、その切換えたUSB通信回線により音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始する。
【0089】
図16は、上記した図10乃至図15で説明した処理、即ち、先にUSB通信回線が接続されて後からA2DP及びAVRCPが接続された場合に、前回の装置電源がオフした直前でUSB通信回線により送信された音データをスピーカ17a、17bから出力させていた場合と、A2DP及びAVRCPにより送信された音データをスピーカ17a、17bから出力させていた場合との処理を纏めて示す。USB通信回線とA2DP及びAVRCPとの接続順序が逆の場合も同様の原理であり、図17は、先にA2DP及びAVRCPが接続されて後からUSB通信回線が接続された場合に、前回の装置電源がオフした直前でUSB通信回線により送信された音データをスピーカ17a、17bから出力させていた場合と、A2DP及びAVRCPにより送信された音データをスピーカ17a、17bから出力させていた場合との処理を纏めて示す。
【0090】
ところで、以上は、車載装置2の装置電源がオンした直後に音データを送信可能な通信インタフェースであるUSB通信回線とA2DP及びAVRCPとを自動的に接続させる構成であることにより、前回の装置電源がオフした直前で音データを送信させていた通信インタフェースに基づいてUSB通信回線の接続及び切断やA2DP及びAVRCPの接続及び切断を制御するように前回電源オフ時通信インタフェース判定処理を実行するものであるが、車載装置2の装置電源がオンした直後に音データを送信可能な通信インタフェースであるUSB通信回線とA2DP及びAVRCPとを自動的に接続させない構成であれば、前回電源オフ時通信インタフェース判定処理を次のように実行しても良い(図18参照)。
【0091】
即ち、制御部4は、メイン処理から前回電源オフ時通信インタフェース判定処理へ移行し、前回電源オフ時通信インタフェース判定処理通信インタフェース接続処理を開始すると、前回の装置電源がオフ(ACCスイッチがオフ)した直前でUSBモジュール25からUSB通信回線によりUSBモジュール6へ送信された音データを出力させていたか否かを判定する(ステップS91)。
【0092】
制御部4は、前回の装置電源がオフした直前でUSB通信回線により送信された音データを出力させていたと判定すると(ステップS91にて「YES」)、USB接続ケーブル14が車載装置2と携帯電話機3との間で物理的に接続されているか否かを判定する(ステップS92)。制御部4は、USB接続ケーブル14が車載装置2と携帯電話機3との間で物理的に接続されていると判定すると(ステップS92にて「YES」)、USB通信回線をUSBモジュール6とUSBモジュール25との間で接続させ(USB通信を可能とし)(ステップS93)、音データ出力開始要求コマンドをUSBモジュール6からUSBモジュール25へ送信させ、USBモジュール25からUSBモジュール6へのUSB通信回線による音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始し(ステップS94)、前回電源オフ時通信インタフェース判定処理を終了してメイン処理へリターンする。
【0093】
又、制御部4は、前回の装置電源がオフした直前でUSB通信回線により送信された音データを出力させていなかったと判定すると(ステップS91にて「NO」)、BTモジュール24からA2DP及びAVRCPによりBTモジュール5へ送信された音データを出力させていたか否かを判定する(ステップS95)。
【0094】
制御部4は、前回の装置電源がオフした直前でA2DP及びAVRCPにより送信された音データを出力させていたと判定すると(ステップS95にて「YES」)、A2DP及びAVRCPをBTモジュール5とBTモジュール24との間で接続させ(ステップS96)、音データ出力開始要求コマンドをBTモジュール5からBTモジュール24へ送信させ、BTモジュール24からBTモジュール5へのA2DP及びAVRCPによる音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始し(ステップS97)、前回電源オフ時通信インタフェース判定処理を終了してメイン処理へリターンする。
【0095】
又、制御部4は、前回の装置電源がオフした直前でA2DP及びAVRCPにより送信された音データを出力させていなかったと判定すると(ステップS95にて「NO」)、他の通信インタフェースにより音データを出力させていたか否かを判定する(ステップS98)。制御部4は、他の通信インタフェースにより音データを出力させていたと判定すると(ステップS98にて「YES」)、他の通信インタフェースによる音データのスピーカ17a、17bからの出力を開始し(ステップS99)、前回電源オフ時通信インタフェース判定処理を終了してメイン処理へリターンする。
【0096】
上記した一連の処理では、前回の装置電源がオフした直前で音データを送信させていた通信インタフェースが何れであるかを判定した後に、前回の装置電源がオフした直前で音データを送信させていた通信インタフェースと同じ通信インタフェースを接続させることにより、車載装置2のデータ通信相手である携帯電話機3が何れの機種に該当するかを判定する必要がなく、しかも、車載装置2のデータ通信相手である携帯電話機3が何れの機種であっても、携帯電話機3から音データを適切に送信させることができる。
【0097】
以上に説明したように本実施形態によれば、車載装置2において、携帯電話機3からUSB通信回線により音データを送信させる場合には、携帯電話機3が音データをUSB通信回線により送信可能となるようにUSB通信回線、A2DP及びAVRCPの接続及び切断を制御し、又、携帯電話機3からA2DP及びAVRCPにより音データを送信させる場合には、携帯電話機3が音データをA2DP及びAVRCPにより送信可能となるようにUSB通信回線、A2DP及びAVRCPの接続及び切断を制御するようにしたので、携帯電話機3がUSB通信回線とA2DP及びAVRCPとを同時接続していることに起因して音データを適切に送信しない仕様であったとしても、携帯電話機3から音データを適切に送信させることができる。
【0098】
即ち、先にUSB通信回線が接続されて後からA2DP及びAVRCPが接続され、車載装置2のデータ通信相手である携帯電話機3が後優先の特定機種であり、前回の装置電源がオフした直前でUSB通信回線により送信された音データを出力させていた場合であれば、先に接続させた通信インタフェースであるUSB通信回線の接続を継続し、後から接続させた通信インタフェースであるA2DP及びAVRCPを切断させるようにしたので、前回の装置電源がオフした直前で音データを送信させていた通信インタフェースと同じ通信インタフェースであるUSB通信回線により音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始することができる。
【0099】
又、先にUSB通信回線が接続されて後からA2DP及びAVRCPが接続され、車載装置2のデータ通信相手である携帯電話機3が先優先の特定機種であり、前回の装置電源がオフした直前でA2DP及びAVRCPにより送信された音データを出力させていた場合であれば、後から接続させた通信インタフェースであるA2DP及びAVRCPの接続を継続し、先に接続させた通信インタフェースであるUSB通信回線を切断させるようにしたので、前回の装置電源がオフした直前で音データを送信させていた通信インタフェースと同じ通信インタフェースであるA2DP及びAVRCPにより音データの送信を開始させてスピーカ17a、17bからの出力を開始することができる。
【0100】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
近距離無線通信装置は、車載装置2に限らず、BTモジュール5と同等の機能を有するBTモジュールを備える構成であれば、周知のナビゲーション機能を有するナビゲーション装置等であっても良く、又、車両に搭載されない装置であっても良い。又、近距離無線通信装置のデータ通信相手である通信相手装置は、携帯電話機3に限らず、BTモジュール24と同等の機能を有するBTモジュールを備える構成であれば、携帯情報端末等であっても良く、又、ユーザが携帯不可能な固定端末であっても良い。
【0101】
2つの通信インタフェースを同時接続する場合に限らず、3つ以上の通信インタフェースを同時接続する場合も同様に、車載装置2のデータ通信相手である携帯電話機3の機種の種別に応じて通信インタフェースの接続及び切断を制御するようにしても良い。即ち、上記した実施形態では、通信インタフェースがUSB通信回線と、A2DP及びAVRCPとの2つの場合を説明したが、通信インタフェースが例えばUSB通信回線と、A2DP及びAVRCPと、WiFiとの3つの場合であれば、以下のように制御すれば良い。例えば車載装置2のデータ通信相手である携帯電話機3の機種が後優先の特定機種であり、USB通信回線、A2DP及びAVRCP、WiFiの順序で接続された状況では、USB通信回線による音データの出力開始要求が発生した場合であれば、A2DP及びAVRCP、WiFiを切断させ、A2DP及びAVRCPによる音データの出力開始要求が発生した場合であれば、USB通信回線、WiFiを切断させ、WiFiによる音データの出力開始要求が発生した場合であれば、そのままの接続を継続すれば良い。
【0102】
車載装置2において、通信相手装置の機種の種別を記憶可能とし、BT通信回線やUSB通信回線を通信相手装置との間で接続した際に当該通信相手装置から通知された識別情報を記憶し、次回のBT通信回線やUSB通信回線を接続した以降に、その記憶している識別情報に基づいて通信相手装置の機種の種別を特定するようにしても良い。
【符号の説明】
【0103】
図面中、2は車載装置(近距離無線通信装置)、3は携帯電話機(通信相手装置)、4は制御部(制御手段)、5はBTモジュール(接続手段)、6はUSBモジュール(接続手段)、17a、17bはスピーカ(音データ出力手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信相手装置との間で複数の通信インタフェースを同時接続可能であり、前記通信相手装置から音データを前記通信インタフェースにより転送させる複数の接続手段と、
通信相手装置から前記複数の通信インタフェースのうち何れかにより前記複数の接続手段のうち何れかへ転送された音データを選択的に音データ出力手段から出力させる制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記複数の通信インタフェースが通信可能に接続されている状態において、前記複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースによる音データの出力開始要求が発生したと判定した場合に、前記一の通信インタフェースの接続を維持しつつ、前記複数の通信インタフェースのうち前記一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させ、前記通信相手装置から前記一の通信インタフェースにより転送された音データを前記音データ出力手段から出力させることを特徴とする近距離無線通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載した近距離無線通信装置において、
前記制御手段は、前記複数の通信インタフェースが通信可能に接続されている状態において、前記複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースによる音データの出力開始要求が発生したと判定した場合に、前記一の通信インタフェースの接続を維持しつつ、前記複数の通信インタフェースのうち前記一の通信インタフェースを除く全ての他の通信インタフェースを切断させ、前記通信相手装置から前記一の通信インタフェースにより転送された音データを前記音データ出力手段から出力させることを特徴とする近距離無線通信装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した近距離無線通信装置において、
前記制御手段は、前記複数の通信インタフェースが通信可能に接続されている状態において、前記複数の通信インタフェースのうち最後に接続された一の通信インタフェースによる音データの出力開始要求が発生したと判定した場合に、前記一の通信インタフェースの接続を維持しつつ、前記複数の通信インタフェースのうち前記一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させ、前記通信相手装置から前記一の通信インタフェースにより転送された音データを前記音データ出力手段から出力させることを特徴とする近距離無線通信装置。
【請求項4】
請求項3に記載した近距離無線通信装置において、
前記制御手段は、前記複数の通信インタフェースのうち前記一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させた後に、その切断させた前記他の通信インタフェースを再接続させることを特徴とする近距離無線通信装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載した近距離無線通信装置において、
前記制御手段は、前記複数の通信インタフェースのうち前記一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させた後に、前記他の通信インタフェースによる音データの出力開始要求が発生したと判定した場合に、前記他の通信インタフェースが接続中である場合には、前記他の通信インタフェースを切断させて再接続させることを特徴とする近距離無線通信装置。
【請求項6】
請求項3又は4に記載した近距離無線通信装置において、
前記制御手段は、前記複数の通信インタフェースのうち前記一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させた後に、前記他の通信インタフェースによる音データの出力開始要求が発生したと判定した場合に、前記他の通信インタフェースが接続中でない場合には、前記他の通信インタフェースを再接続させることを特徴とする近距離無線通信装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載した近距離無線通信装置において、
前記制御手段は、前記複数の通信インタフェースが通信可能に接続されている状態において、前記複数の通信インタフェースのうち最初に接続された一の通信インタフェースによる音データの出力開始要求が発生したと判定した場合に、前記一の通信インタフェースの接続を維持しつつ、前記複数の通信インタフェースのうち前記一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させ、前記通信相手装置から前記一の通信インタフェースにより転送された音データを前記音データ出力手段から出力させることを特徴とする近距離無線通信装置。
【請求項8】
請求項7に記載した近距離無線通信装置において、
前記制御手段は、前記複数の通信インタフェースのうち前記一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースを切断させた後に、前記他の通信インタフェースによる音データの出力開始要求が発生したと判定した場合に、前記一の通信インタフェースを含む全ての通信インタフェースを切断させた後に、前記他の通信インタフェースを再接続させることを特徴とする近距離無線通信装置。
【請求項9】
通信相手装置との間で複数の通信インタフェースを同時接続可能であり、前記通信相手装置から音データを前記通信インタフェースにより転送させる複数の接続手段と、
通信相手装置から前記複数の通信インタフェースのうち何れかにより前記複数の接続手段のうち何れかへ転送された音データを選択的に音データ出力手段から出力させる制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記複数の通信インタフェースのうち一の通信インタフェースを除く他の通信インタフェースが通信可能に接続されている状態において、前記一の通信インタフェースによる音データの出力開始要求が発生したと判定した場合に、前記他の通信インタフェースを切断させた後に、前記一の通信インタフェースを接続させ、前記通信相手装置から前記一の通信インタフェースにより転送された音データを前記音データ出力手段から出力させることを特徴とする近距離無線通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2013−13011(P2013−13011A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145782(P2011−145782)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】