説明

送信信号リーケージの影響を低減するためのノッチ・フィルタを有する無線受信機

【課題】全二重、無線通信装置のTX信号リーケージの悪影響を低減する。
【解決手段】無線通信装置10のRXパスで処理される信号中のTX信号リーケージを排除するためにノッチ・フィルタ24を利用する。ノッチ・フィルタ24は、希望信号のTX信号リーケージ成分を低減するノッチ周波数を生成するために受動レジスタ及びコンデンサー素子を使用する複合ノッチ・フィルタとして構成される。ノッチ・フィルタ24は、受動ミキサー22によって生成されたダウンコンバートされたベースバンド信号に適用される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、TxからRxのオフセット振動数でノッチを利用する高線形受信機と題される、2007年3月13日出願の米国仮特許出願第60/894,546号の利益を主張する。この仮出願は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般的に、無線通信装置に関し、特に、無線全二重通信システムの送信信号リーケージの悪影響の低減のための技術に関する。
【背景技術】
【0003】
全二重通信システムの無線装置は、2方向の通信をサポートするために信号を同時に送受信することができる。送信パスにおいて、電力アンプは、送信に関する無線周波数(RF)信号を増幅する。送信(TX)信号は、デュプレクサを経由して伝送され、アンテナを経由して送信される。受信パスにおいて、希望受信(RX)信号は、アンテナを経由して受信され、デュプレクサを経由して低雑音増幅器(LNA)に連結される。LNAによる増幅に続いて、RX信号は、ミキサーによってベースバンドにフィルタ処理され、ダウン−コンバード(down-converted)される。ダウン−コンバードされたRX信号は、受信データを回復させるためにモデムのような他のベースバンド構成要素によって処理される。
【0004】
全二重システムにおいて、TXパスは、RXパスと干渉しうる。TX信号の一部は、デュプレクサでRXパスと結合し、TX信号リーケージに帰着する。TX信号リーケージは、RXパスによって処理された希望RX信号と干渉を引き起こしうる。干渉は、二次の歪み、及び/又は混変調歪みを含む。希望RX信号は、アンテナを経由して受信した信号であり、一方、TX信号は、デュプレクサを通したリーケージを介して受信された信号である。送信機と受信機の周波数が異なるため、TX信号リーケージは、フィルタ処理によって排除されうる。しかしながら、フィルタリングを伴ってでさえ、TXリーケージの残りが残存し、希望RX信号の低下を引き起こしてしまう。
【発明の概要】
【0005】
一般的に、この開示は、全二重、無線通信装置の中でTX信号リーケージの悪影響の低減に関する技術を記述する。この技術は、無線通信装置のRXパス内で処理された信号のTX信号リーケージを排除するためにノッチ・フィルタを使用する。ノッチ・フィルタは、選択されたノッチ周波数近傍の希望信号の中のTX信号リーケージ成分を低減するために受動レジスタ及びコンデンサー素子を使用する複合ノッチ・フィルタとして構築される。ノッチ・フィルタは、受動ミキサーによって生成されたダウン−コンバートされた、ベースバンド信号に適用されてもよい。
【0006】
本開示は、幾つかの態様において、希望信号及び送信リーケージ信号を含む受信RFインプット信号を増幅することと、前記増幅された信号の周波数をダウン−コンバートすることと、前記ダウン−コンバートされた送信リーケージ信号を実質的に低減するためのノッチ・フィルタで前記ダウン−コンバートされた信号をフィルタ処理することとを含む方法を具備する。
【0007】
他の態様において、本開示は、アンテナと、送信(TX)信号を生成する無線周波数(RF)送信機と、前記アンテナに前記TX信号を連結(couple)するデュプレクサと、前記デュプレクサを経由して前記アンテナから前記RFインプット信号を受信するRF受信機とを含む無線通信装置とを具備する。前記RF受信機は、前記デュプレクサから連結した希望信号及び送信リーケージ信号を含む前記受信したRFインプット信号を増幅するアンプと、前記増幅した信号をダウン−コンバートするミキサーと、前記ダウン−コンバートされた送信リーケージ信号を実質的に低減するために前記ダウンコンバートされた信号をフィルタ処理するノッチ・フィルタを含む。
【0008】
更なる態様において、本開示は、無線周波数(RF)受信機に関するノッチ・フィルタを具備し、前記ノッチ・フィルタは、正の同相(I)インプットと正のIアウトプットとの間に連結された第1のレジスタと、負のIインプットと負のIアウトプットとの間に連結された第2のレジスタと、正の直交位相(Q)インプットと正のQアウトプットとの間に連結された第3のレジスタと、負のQインプットと、負のQアウトプットとの間に連結された第4のレジスタと、正のIインプットと正のQアウトプットとの間に連結された第1のコンデンサーと、負のIインプットと負のQアウトプットとの間に連結された第2のコンデンサーと、正のQインプットと負のIアウトプットとの間に連結された第3のコンデンサーと、負のQインプットと正のIアウトプットとの間に連結された第4のコンデンサーとを含む、前記レジスタとコンデンサーの値は、インプットで供給されたインプット信号のダウン−コンバートされた送信リーケージ信号を実質的に低減するために選択される。
【0009】
他の態様において、本開示は、希望信号と送信リーケージ信号を含む受信した無線周波数(RF)インプット信号を増幅する増幅器と、前記増幅された信号の周波数をダウン−コンバートするミキサーと、前記ダウン−コンバートされた送信リーケージ信号を実質的に低減するために前記ダウン−コンバートした信号をフィルタ処理するノッチ・フィルタとを含むRF受信機を具備する。
【0010】
1つ以上の例の詳細は、添付した図面と以下の説明で明らかされる。他の特徴、目的及び利点は、詳細な説明及び図面、及び請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ノッチ・フィルタを含む無線通信装置(WCD)のRF部を示したブロック図。
【図2】図1のRF部の受信機形成部の一例を示したブロック図。
【図3】図1の受信機にインプットされる信号のダウン−コンバートに関するミキサーの一例を示したブロック図。
【図4】図1の受信機で使用されるノッチ・フィルタの一例を示したブロック図。
【図5】図1の受信機で使用されるベースバンド・フィルタの一例を示したブロック図。
【図6】より詳細にベースバンド・フィルタの一例を示したブロック図。
【図7A】図1の装置にノッチ・フィルタを組み込む場合にTX信号リーケージ及びジャマー信号の振幅を示したブロック図。
【図7B】図1の装置にノッチ・フィルタを組み込まない場合にTX信号リーケージ及びジャマー信号の振幅を示したブロック図。
【図8】ノッチ・フィルタを含んだ受信機に関する電流及び電圧アウトプットの周波数応答を示したブロック図。
【発明の詳細な説明】
【0012】
この開示は、全二重、無線通信装置の中でTX信号リーケージの悪影響の低減に関する技術を記述する。この技術は、無線通信装置のRXパス内で処理された信号のTX信号リーケージを排除するためにノッチ・フィルタを使用する。ノッチ・フィルタは、選択されたノッチ周波数近傍の希望信号の中のTX信号リーケージ成分を低減するために配置された受動レジスタ及びコンデンサー素子を使用する複合ノッチ・フィルタとして構築される。
【0013】
ノッチ・フィルタは、受動ミキサーによって生成されたダウン−コンバートされたベースバンド信号に適用される。受信された信号は、ミキサーによってダウン−コンバートされる前に低雑音増幅器によって増幅される。ノッチ・フィルタは、ベースバンド(例えば、dc)で希望RX信号に関連するTXリーケージ信号成分のオフセット周波数に近いノッチ周波数を提供するために構成される。おおよそTXからRXオフセット周波数でノッチを有したノッチ・フィルタを利用することは、高い線形受信機をサポートすることができる。
【0014】
ミキサーは、希望信号に対応する増幅された信号成分を、約0Hz、すなわちdcにダウン−コンバートし、送信リーケージ信号に対応する増幅された信号成分をオフセット周波数にダウン−コンバートする。ノッチ・フィルタは、その後のベースバンド処理の前に、オフセット周波数近傍の受信信号のTXリーケージ信号成分を実質的に低減する。このように、ノッチ・フィルタは、TXリーケージ信号によって引き起こされた歪みを低減することができる。もしそうでなければTXリーケージ信号は、信頼性のある受信をむしばむ。TX信号リーケージによって引き起こされた歪みの例は二次の歪み及び混変調歪み(XMD)を含む。この開示において説明されるノッチ・フィルタの組み込みは、TX信号リーケージの少なくとも一部分を排除し、それによってその歪みを低減するのに効果的である。
【0015】
本開示の幾つかの態様において、低雑音増幅器は、差動増幅アウトプットを有する。ミキサーは、アンプの差動アウトプットと連結した差動ミキサーインプット及びノッチ・フィルタの差動インプットと連結した差動ミキサーアウトプットを有する。特に、ミキサーは、正負の同相(I)成分及び正負の直交位相(Q)成分を生成する。それらは、ノッチ・フィルタのそれぞれのインプットで受信される。Q成分は、それぞれのI成分と位相が90度ずれる。
【0016】
本開示の幾つか例示する態様において、ノッチ・フィルタは、ノッチ・フィルタの様々なインプットとアウトプットとの間で連結したレジスタを含む。例えば、ノッチ・フィルタは、正のIインプットと正のIアウトプットとの間に連結された第1のレジスタと、負のIインプットと負のIアウトプットとの間に連結された第2のレジスタと、正のQインプットと正のQアウトプットとの間に連結された第3のレジスタと、負のQインプットと負のQアウトプットとの間に連結された第4のレジスタとを含む。
【0017】
更に、ノッチ・フィルタは、ノッチ・フィルタの様々なインプットとアウトプットとの間で連結したコンデンサーを含む。例えば、ノッチ・フィルタは、正のIインプットと正のQアウトプットとの間に連結された第1のコンデンサーと、負のIインプットと負のQアウトプットとの間に連結された第2のコンデンサーと、正のQインプットと負のIアウトプットとの間に連結された第3のコンデンサーと、負のQインプットと正のIアウトプットとの間に連結された第4のコンデンサーとを含む。
【0018】
ノッチ・フィルタの中のレジスタ及びコンデンサーは、複合フィルタがダウン−コンバートされた送信リーケージ信号のオフセット周波数を近似するノッチ周波数近傍でダウン−コンバートされた信号を実質的に減衰させるように選択された値を有する。コンデンサーは、別のコンデンサーと同じ静電容量を有していても良いし、レジスタは、別のレジスタと同じ抵抗値を有しても良い。更に、希望ノッチ周波数で、コンデンサーとレジスタのインピーダンスの値は、実質的に同じでも良い。
【0019】
ノッチ・フィルタは、ミキサー差動アウトプットから4つの信号、つまり、正のI信号、正のQ信号、負のI信号及び負のQ信号を受信する。正のQ信号は、正のI信号と位相が90度ずれている。負のQ信号は、負のI信号と位相が90度ずれている。ノッチ・フィルタは、希望信号が実質的に保存される一方、TXリーケージ信号が実質的に減衰されるように構成される。例えば、ノッチ・フィルタの中のレジスタ及びコンデンサーは、TXリーケージ信号のQ成分と位相がおよそ180度ずれるようにTXリーケージ信号のI成分を位相シフトさせることによってTXリーケージ信号を減衰させるために配置される。この位相シフトの後、2つの信号がともに合算される。TXリーケージ信号のI及びQ成分は、180度の位相差を除いて、実質的に同一である。その結果、I及びQ成分が合算されたとき、I及びQ成分は、実質的に互いに相殺し、それによって、ノッチ周波数付近の受信インプット信号からのTXリーケージ信号を低減する、又は除去できる。
【0020】
いくつかの場合において、ノッチ・フィルタは、本開示で説明されるように、低雑音増幅器(LNA)とRF受信機のミキサーとの間でしばしば提供される表面弾性波(SAW)フィルタの除去を許容する。特に、ノッチ・フィルタを備える場合、SAWフィルタは、必要ない。SAWフィルタは、送信リーケージ信号の排除に有効である。しかしながら、SAWフィルタを除去することによって、完全にオン−チップのRF受信機を構築することが可能になる。従って、パッケージング、サイズ、コスト及びピンの相互接続要求を低減できる。
【0021】
ノッチ・フィルタは、本開示で説明されるように、様々な無線、全二重通信システム及び様々な周波数帯にわたって利用するために構成される。幾つかの例では、824から894MHzのセルラー帯域、1850から1990MHzのパーソナル・コミュニケーション・システム(PCS)帯域、1710から1880MHzのディジタル・セルラー・システム(DCS)帯域、1920から2170MHzのインターナショナル・モバイル・テレコミュニケーション−2000(IMT−2000)帯域などを含む。そのようなノッチ・フィルタを組み込んだ受信機は、音声、データ、ビデオ、オーディオ、又は他の情報の無線通信に有益である。
【0022】
図1は、ノッチ・フィルタ24を含む無線通信装置10の典型的なRF部を示すブロック図である。無線通信装置10は、セルラー無線電話、衛星電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、モバイル又はデスクトップ・コンピュータ、ディジタル・ビデオ又はオーディオ装置、ゲーミング・コンソール、テレビ・コンソール、セット・トップ・ボックス、又は無線通信に対して要求された他の如何なる装置などの無線機能を持つ様々な移動又は固定装置のいずれでもよい。
【0023】
図1に示されるように、デバイス10は無線RF信号を送受信するためのアンテナ12を含む。デュプレクサ14は、受信機16にアンテナ12によって受信したRXインプット信号(RX SIGNAL)を連結し、アンテナ12に送信機18によって生成されたTXアウトプット信号(TX SIGNAL)を連結する。図1の例において、受信機16は、低雑音増幅器(LNA)20、ミキサー22、ノッチ・フィルタ24、局部発振器(LO)26及びベースバンド(BB)フィルタ30を含む。送信機18は、デュプレクサ14及びアンテナ12を経由して伝送に関するTX・RF信号を生成するためにRFアウトプット信号を増幅するパワー・アンプ28を含む。更に、送信機18は、アウトプット信号を変調し、フィルタ処理し、ベースバンドから送信帯域に信号をアップ−コンバートするためのモデム、ディジタル・アナログ変換器、ミキサー及びフィルタ回路(図示せず)も含む。
【0024】
受信機16において、LNA20は、RX信号を増幅する。LNA20は、差動アウトプット信号を生成する差動増幅器である。ミキサー22は、ベースバンドに対する希望RX信号をダウンコンバートするためのRX・LO周波数とLNA20から増幅された、差動信号を掛けるための広帯域ミキサーであり、そのため、RXベースバンド信号を生成できる。ノッチ・フィルタ24は、TXリーケージ信号を低減することによって有害な歪みを低減するためにRXベースバンド信号をフィルタ処理する。特に、ノッチ・フィルタ24は、RX信号が強く減衰されるノッチ周波数を提供する。ノッチ・フィルタ24は、ノッチ周波数がベースバンドの中心周波数(例えば、0Hz)と比較してダウン−コンバートされたTXリーケージ信号のオフセット周波数に一般的に対応するように構成される。ベースバンド・フィルタ30(TIA)は、希望ベースバンドから外れた周波数を実質的に排除し、電圧信号にノッチ・フィルタの電流アウトプットを変換するためのトランスインピーダンス・アンプを含む。更に、受信機16は、希望RX信号を復調し、復号するためにアナログ・ディジタル変換器及びモデム(図示せず)を更に含んでもよい。
【0025】
図1に示されるように、アンテナ12は、希望信号及びジャマー信号の両方を受信する。従って、LNA20は、希望信号を含み、デュプレクサを経由して送信パスから連結したTXリーケージ信号と同様に、もしかするとジャマー信号も含むRX信号を受信する。LNA20は、増幅されたRF信号を生成するためにこの結合したRX信号を増幅する。TXリーケージ信号は、二次の歪み及び混変調歪み(XMD)を生成する。ジャマー信号は、無線基地装置のような近くのソースから生成された信号に対応する有害な信号である。いくつかの場合において、ジャマー信号は、希望信号の振幅より非常に大きな振幅を有し、希望信号に近い周波数に位置される。TXリーケージ信号も希望信号と比較して大きな振幅を有するため、パワー・アンプによって生成された送信信号がしばしば希望信号より非常に大きな振幅になってしまう。
【0026】
TXリーケージ信号は、RX帯域を外れている。しかしながら、TXリーケージ信号は、まだ有害なひずみを引き起こす。例えば、LNA20の非線形性は、狭帯域のジャマーに変換されるためにTXリーケージ信号の変調を引き起こせるため、ジャマー周辺で広範囲のスペクトルとなる。このスペクトルの広さは、混変調歪み(XMD)として参照される。このXMDは、無線通信装置の性能を下げる付加的なノイズとして機能する。このノイズは、感度を下げる。そのため、受信機16によって確実に検知できる最も小さな希望信号がより大きな振幅を有する必要がある。また、XMDは、ミキサー22でも生成される。
【0027】
更に、ミキサー22の非線形性は、TX信号リーケージの二次の歪みを生成する。特に、希望信号及びTXリーケージ信号を結合した信号がミキサー22によってベースバンドにダウン−コンバートされた場合、ミキサーは、固有の非線形性のため二次の歪みを生成する。二次の歪みは、希望RX信号によって占有されるように同じ周波数帯に落ちる。従って、受信機の感度を低減する。特に、TXリーケージ信号の二次の歪みは、ベースバンドのダウン−コンバートされた希望RX信号をマスクできる。更なる懸念として、TIA30に関連したベースバンド・フィルタのTXリーケージ信号電流の伝播は、付加的な歪みを生成する。
【0028】
多くの受信機において、二次の歪み及びXMDを緩和するために、SAWフィルタは、LNA20のアウトプットで提供される。SAWフィルタは、RX帯域を外れた受信成分の大きな減衰及びシャープ転移帯端(sharp transition band edges)によって特徴付けられる。この理由から、SAWフィルタは、ミキサー22のインプットでTXリーケージ信号を排除するためにしばしば使用される。それと同時に、ミキサーによって生成された歪みの量を低減する。あいにく、TXリーケージ信号のフィルタ処理に関するRF・SAWフィルタの使用は、いくつかの不利益を有する。例えば、SAWフィルタは、LNA20及びミキサー22に関連して、整合回路、追加のパッケージ・ピン及びコストを要求し、少なくとも部分的にオフ−チップで実行されなければならない。更に、SAWフィルタ及び付随した個別の素子は、一般的に追加の基板のスペース及びコストを必要とする。また、SAWフィルタは、受信機16の利得及びノイズ指数を低減する挿入損失も結果として生じる。本開示の様々な態様に従って、ノッチ・フィルタ24は、TXリーケージ信号を排除するSAWフィルタの代わりとして使用される。
【0029】
単にSAWフィルタを取り除くことは、二次の歪み及び混変調を容認し、他の本質的な損失を生み出してしまう。高い線形性を達成するために、ミキサー22は、そのインプット及びアウトプットで低電圧振動を要求する。ベースバンド・フィルタ30のトランスインピーダンス・アンプ(TIA)は、電圧信号にミキサー22の電流アウトプットを変換するために提供される。理想的には、TIAは、全ての周波数で仮想接地(ゼロ・インピーダンス)を提供するため、受動ミキサー22のアウトプットで低電圧振動が達成される。しかしながら、制限された電力及びデバイスの帯域幅制限のため、TIAは、制限された閉ループ帯域幅を有する。
【0030】
ミキサー22が希望RX信号及びTXリーケージ信号をダウンコンバートした後、RX信号は、ベースバンドに近づき、TXリーケージ信号は、あるオフセット周波数である。閉ループ帯域幅のため、ベースバンド・フィルタ30に関連したTIAは、仮想接地でインプット・インピーダンスを提供しない代わりに、オフセット周波数で大きなインプット・インピーダンスをもたらす。インプット・インピーダンスは、周波数オフセットで増加する。大きなTXリーケージ信号を有し、SAWフィルタの備えていない場合、そのようなインピーダンスは、ミキサー22を実行不能にし、有害な歪みを生み出す非常に大きな電圧振動を生成する。
【0031】
例えば、CELL、又はPCS帯域の場合において、TXリーケージ信号は、dcで希望RX周波数に関して45MHz(CELL)、又は80MHz(PCS)でオフセットされる。ゼロ中間周波数(ZIF)ダウン−コンバージョン(down-conversion)後、TXリーケージ信号は、CELL、又はPCS帯域でそれぞれを45MHz、又は80MHzに位置付ける一方で、RX信号はDC近傍にダウン−コンバートされる。45MHz、又は80MHzでの一般的なTIAは、制限された閉ループ帯域幅のために大きなインピーダンスを示す。大きなTX電流を有し、中間SAWフィルタを備えていない場合、そのようなインピーダンスは、上記で説明されるように、ミキサー22の処理をむしばむ非常に大きな電圧振動を生成する。
【0032】
図1に示されるように、ノッチ・フィルタ24は、本開示の様々な態様に従って、SAWフィルタの不利益を回避するため及びTIAが小さいインピーダンスを示すようにTXリーケージ信号をフィルタ処理するために提供される。本開示で説明されるノッチ・フィルタ24は、ミキサー22のアウトプットで大きな送信機リーケージによって引き起こされた実質的に小さい電圧振動を保証できる。このように、ノッチ・フィルタ24は、大きい送信リーケージのためにミキサー22によって生成された二次の歪みを低減し、大きい送信リーケージを有した至近距離からのジャマーの混合のためにミキサー22によって生成された混変調歪みを低減し、例えば、ベースバンド・フィルタ30のTIAを有するダウン−コンバータに従うベースバンド・フィルタの伝送リーケージ電流を低減する。従って、ノッチ・フィルタ24は、ベースバンド・フィルタのより低いノイズ指数の低下及び低減された歪みをサポートする。更に、ある実施例において、ノッチ・フィルタ24は、パッケージ、サイズ、コスト、ピンの相互接続必要条件を低減するオンチップに完全に構築されるRF受信機を許容する。例えば、受信機16は、無線に関するより小さな形成要素及びより高いレベルでの集積化を持って一つのチップ上に構築される。この場合、中間SAW、外部で適合する成分及び外部ピンをもはや必要としない。
【0033】
図2は、図1の無線通信装置10の典型的な受信機16を更に示したブロック図である。図2の例において、受信機16は、差動構造を有する。例えば、LNA20は、ミキサー22の対応する正負の異なるインプットと連結した正負の異なるアウトプットを有する。ミキサー22は、ベースバンドにRX信号をダウン−コンバートするためにRX・LO26によって生成されたLO周波数でLNA20からの差動アウトプット信号を掛け算することによって差動RXベースバンド信号を生成する。差動RXベースバンド信号は、I及びQ成分を含む。
【0034】
ノッチ・フィルタ24は、ミキサー22によって生成された差動ベースバンド信号を受信し、ベースバンド・フィルタ30の差動インプットに適用される差動アウトプット信号を生成するために信号をフィルタ処理する。ノッチ・フィルタ24は、ベースバンド・フィルタ30においてベースバンド・フィルタ処理をする前に、ダウン−コンバートされたリーケージ信号のオフセット周波数近傍でベースバンド信号を減衰するために、差動ベースバンド信号をフィルタ処理する。オフセット周波数は、TXリーケージ信号が希望RX信号(例えば、0Hz)の周波数と比較してダウン−コンバートされる(例えば、CELLに対して45MHZ、又はPCSに対して80MHz)ための周波数である。ノッチ・フィルタは、ダウン−コンバートされた信号のI及びQ成分の両方を扱うため、複合ノッチ・フィルタである。
【0035】
図3は、LNA20の差動アウトプットを受信する例示的なミキサー22を示したブロック図である。図1の例において、ミキサーは、同相(I)成分のミキサー22A及び直交位相(Q)成分のミキサー22Bを含む差動アーキテクチャーを備えた受動ミキサーである。このI及びQ成分のミキサー22A、22Bの両方ともRX・LO26からLO信号を受信する。LNA20のアウトプットは、I成分ミキサー22A及びQ成分ミキサー22Bの両方に、つまり、正負の差動アウトプットとして供給される。例えば、I成分のミキサー24A及びQ成分のミキサー24Bは、LNA20の正負のアウトプット、LNA_プラス及びLNA_マイナスを受信する。幾つかの場合において、acカップリング・コンデンサ(図示されていない)は、LNA20と受動ミキサー22の差動インプットと間で供給されてもよい。
【0036】
I成分のミキサー24Aは、LNA20からの正負のI成分とLO周波数とを混合し、ノッチ・フィルタ24に対する正負のIインプット、Iイン_プラス及びIイン_マイナスを生成する。同様に、Q成分のミキサー24Bは、正負のQ成分とLO周波数とを混合し、ノッチ・フィルタ24に対する正負のQインプット、Qイン_プラス及びQイン_マイナスを生成する。ミキサー22によるダウンコンバージョンの後、希望RX信号は、ベースバンドにあり、TXリーケージ信号は、あるオフセット周波数にある。例えば、CELL帯域の場合において、TXリーケージ信号は、45MHzに位置付けられ、希望RX信号は、0Hz(つまりDC)の近傍にある。
【0037】
ミキサー22Bのアウトプットは、ミキサー22Aのアウトプットと位相が90度異なっている。特に、信号Iイン_プラスは、Qイン_プラスと位相が90度異なっており、信号Iイン_マイナスは、Qイン_マイナスと位相が90度異なっている。ノッチ・フィルタ36は、ミキサー22のアウトプットを受信する。ノッチ・フィルタ24は、TXリーケージ信号を低減するために差動I成分、Iイン_プラス及びIイン_マイナス及び差動Q成分、Qイン_プラス及びQイン_マイナスをフィルタ処理する差動アーキテクチャーを有する。
【0038】
図4は、ノッチ・フィルタ24の一つの実施形態を示す回路図である。図4に示されるように、ノッチ・フィルタ24は、レジスタ及びコンデンサーの結合を含む複合ノッチ・フィルタとして構成される。図4の例において、ノッチ・フィルタ24は、4つのレジスタ、R1、R2、R3及びR4と4つのコンデンサー、C1、C2、C3及びC4とを含む。レジスタ及びコンデンサーは、レジスタ及び金属−絶縁体−金属(MIM)又はポリ−ポリ・コンデンサーを有するオンチップに形成される。全レジスタの値が同じであり、全てのコンデンサーの値が同じであってもよい。更に、各コンデンサーの値は、ダウンコンバージョンの後の送信リーケージ信号のオフセット周波数で、各コンデンサーのインピーダンスが各レジスタのインピーダンスとして実質的に同じであるようにする。
【0039】
図4で示される様に、複合ノッチ・フィルタは、受動ミキサー22によってアウトプットされるI(Iイン_プラス及びIイン_マイナス)及びQ(Qイン_プラス及びQイン_マイナス)チャネルからの差動アウトプットを相互接続する受動レジスタ(R)及び受動コンデンサー(C)成分R1−R4及びC1−C4を使用して実現される。各Qチャネルは、Iチャネルそれぞれと90度位相が異なる。更に、QチャネルはIチャネルに比較して90度遅れる。それゆえ、Iチャネルと比較して直交位相となる。更に、レジスタR1−R4及びコンデンサーC1−C4は、ベースバンド・フィルタ30の差動インプットに供給される、差動アウトプット、Iアウト_プラス、Iアウト_マイナス、Iアウト_プラス、Qアウト_マイナスとも相互接続する。
【0040】
ノッチ・フィルタ24において、信号、Iイン_プラスは、同相の正のインプット信号であり、電流、Iイン_マイナスは、同相の負のインプット信号であり、Qイン_プラスは、直交位相の正のインプット信号であり、Qイン_マイナスは、直交位相の負のインプット信号である。Iアウト_プラスは、同相の正のアウトプット信号であり、Iアウト_マイナスは、同相の負のアウトプット信号であり、Qアウト_プラスは、直交位相の正のアウトプットであり、Qアウト_マイナスは、直交位相の負のアウトプットである。
【0041】
一般的に、ノッチ・フィルタ24の回路トポロジーは、RとCの値が下記の式:fnotch=1/(2πRC)に従うダウン−コンバートされたTX信号リーケージのオフセット信号周波数で、又はその近傍でノッチ振動数(fnotch)を生成するために適切に選択されるよう実行される。ここで、Rは、各レジスタR1、R2、R3、R4の値を表し、Cは各コンデンサーC1、C2、C3、C4の値を表す。レジスタ及びコンデンサーの値は、ノッチ周波数がベースバンド(例えば、dc)で希望信号と比較してダウン−コンバートされたTXリーケージ信号のオフセット周波数を近似するように選択される。
【0042】
例えば、ノッチ・フィルタは、おおよそDCでダウン−コンバートされたRX信号周波数と関連したPCS帯域に関して約80MHz、又はセルラー方式の帯域に関して約45MHzでダウン−コンバートされたTXリーケージ信号を排除するために選択されたノッチ周波数fnotchを有するよう設計される。いいかえれば、ノッチ周波数は、ミキサー22によってダウン−コンバージョン上でTXリーケージ信号のオフセット周波数を近似するために選択され、無線通信システム、例えば、セル、PCS、DCSなどの特定のタイプに従って変化する。
【0043】
ダウンコンバージョン後のCELL帯域に関して、例えば、送信リーケージ信号に関するオフセット周波数は、約45MHzである。この例において、レジスタR1、R2、R3、又はR4の抵抗値Rが10オームである場合、コンデンサーC1、C2、C3、C4の静電容量Cは、コンデンサーが45MHzのオフセット周波数で10オームと等しいインピーダンスを生成するように約353.7ピコファラッド(pF)となるよう選択される。従って、この例において、ノッチ周波数(fnotch)=45MHzを達成するために、R及びCの値は、それぞれ10Ωと353.7pFとなるよう選択される。その結果、45MHzにおいて、静電容量Cは、対応するレジスタと比較して位相が−90度のずれを有し、等しい10Ωのインピーダンスを示すだろう。しかしながら、RとCの値の他の組み合わせは、希望した45MHzのノッチ周波数、又は他の希望したノッチ周波数を達成するために使用されてもよい。
【0044】
図4の例において、ノッチ・フィルタ24は、ミキサー22からインプット信号、Iイン_プラス、Iイン_マイナス、Qイン_プラス及びQイン_マイナスを受信する。インプット信号、Iイン_プラス、Iイン_マイナス、Qイン_プラス及びQイン_マイナスは、ベースバンド(例えば、DC)で希望信号からの電流及びオフセット周波数、例えば、CELL帯域に対して45MHz又はPCS帯域に対して80MHzでTXリーケージ信号からの電流を含む。Qイン_プラスの電流は、Iイン_プラスの電流と位相が90度ずれており、Qイン_マイナスの電流は、Iイン_マイナスの電流と位相が90度ずれている。Iイン_プラスでTXリーケージ信号からの電流は、Itxとして参照される。Qイン_プラスで送信リーケージ信号電流は、jItxとして参照される。なお、jは、同相信号Iイン_プラスと比較して直交位相信号Qイン_プラスの+90度位相がシフトしたものを表す。同様に、Iイン_プラス及びQイン_プラスを通過する電流に比して負であるが、Iイン_マイナスでの送信リーケージ信号電流の大きさは、Itxとして参照され、Qイン_マイナスでの送信リーケージ電流は、Iイン_マイナスから90度位相がずれていることを表すためにjItxとして参照される。
【0045】
図4の複合ノッチ・フィルタ24において、第1、第2、第3及び第4のレジスタ、R1−R4は、Iイン_プラスとIアウト_プラスとの間、Qイン_プラスとQアウト_プラス、Iイン_マイナスとIアウト_マイナス、及びQイン_マイナスとQアウト_マイナスとの間にそれぞれ直列に連結される。第1、第2、第3及び第4のコンデンサーC1−C4は、Iイン_プラスとQアウト_プラス、Qイン_プラスとIアウト_マイナス、Iイン_マイナスとQアウト_マイナス及びQイン_マイナスとIアウト_プラスとの間にそれぞれ連結される。
【0046】
特に、図4に示されているように、ノッチ・フィルタ24は、正の同相(I)インプット(Iイン_プラス)と正のIアウトプット(Iアウト_プラス)との間に連結される第1のレジスタR1、正の直交位相(Q)インプット(Qイン_プラス)と正のQアウトプット(Qアウト_プラス)との間に連結される第2のレジスタ、負のIインプット(Iイン_マイナス)と負のIアウトプット(Iアウト_マイナス)との間に連結される第3のレジスタR3及び負のQインプット(Qイン_マイナス)と負のQアウトプット(Qアウト_マイナス)との間に連結される第4のレジスタを含む複合ノッチ・フィルタを形成する。
【0047】
更に、複合ノッチ・フィルタ24は、正のインプット(Iイン_プラス)と正のQアウトプット(Qアウト_プラス)との間に連結される第1のコンデンサーC1、正のQインプット(Qイン_プラス)と負のIアウトプット(Iアウト_マイナス)との間に連結される第2のコンデンサーC2、負のIインプット(Iイン_マイナス)及び(Qイン_マイナス)との間に連結される第3のコンデンサーC3及び負のQインプット(Qイン_マイナス)と正のIアウトプット(Iアウト_プラス)との間に連結される第4のコンデンサーを含む。以上で説明されるように、レジスタとコンデンサーの値は、ノッチ・フィルタ24がノッチ・フィルタ24のインプットに適用されるインプット信号中のダウン−コンバートされた送信リーケージ信号を実質的に低減するノッチ周波数fnotchを生成するために選択される。
【0048】
送信リーケージ信号成分を低減するノッチ・フィルタ24の効果は、以下に記述される。Qアウト_プラスでの電流は、最初に解析され、Iアウト_マイナス、Qアウト_マイナスそして最後にIアウト_プラスでの電流が続いて解析される。Qアウト_プラスでの電流は、Qイン_プラスからレジスタR2を通る電流及びIイン_プラスからC1を通る電流を含む。Iイン_プラスに関して、Iイン_プラスとQアウト_プラスとの間に連結されたコンデンサーC1は、オフセット周波数でIイン_プラスとIアウト_プラスとの間に連結されたレジスタR1と実質的に同じインピーダンスを示すように選択される。従って、Iイン_プラスからの電流は、レジスタR1を越えてIイン_プラスからIアウト_プラスまで流れるItx及びコンデンサーC1を越えてIイン_プラスからQアウト_プラスまで流れる−jItxの間で等しく分割される。−jは、コンデンサーC1を通過した後、Iイン_プラスからの電流Itxの位相が−90度ずれることを示す。Qイン_プラスに関して、Qチャネルは、IインでIチャネルから位相が90度シフトしたため、レジスタR2通過する電流は、jItxである。ここで、jは、対応するIチャネルと比較してQチャネルの位相が+90度ずれることを示す。
【0049】
ベースバンド(dc)での希望信号は、容量結合のためにコンデンサーC1を通過できない。しかしながら、送信リーケージ電流Itxは、コンデンサーC1を通過する。その上、コンデンサーC1は、−90度だけコンデンサーを通過する電流Itxの位相をずらし、−jItxの電流が生成される。Qイン_プラスでの電流jItxは、Iイン_プラスでの電流より+90度進んでいる。コンデンサーC1がIイン_プラスで電流の位相をずらし、Qイン_プラスの信号の更に90度遅れた−jItx信号が生成される。Qイン_プラスでの電流Itxが90度進み、コンデンサーC1を通過する電流−jItxが90度遅れているため、2つの電流の間の位相差は、180度となる。2つの電流は、等しい絶対値Itxを有する。180度の位相差は、jItxと−jItxとの間で相殺する結果となる。そのため、ノッチ周波数fnotch=1/2πRC付近でQイン_プラスからQアウト_プラスまで流れるTXリーケージ電流を打ち消す。その結果として、Qアウト_プラスのアウトプットは、TXリーケージ信号を実質的に低減させる又は除去する電流を生成する。
【0050】
他のアウトプット、Iアウト_プラス、Iアウト_マイナス及びQアウト_マイナスに関連したレジスタおよびコンデンサーは、これらのアウトプットから流れる信号のノッチ周波数近傍のTXリーケージ信号を低減又は除去する同様の方法で選択され、整えられる。例えば、Iアウト_マイナスでの電流は、レジスタR3を流れるIイン_マイナスからの電流とコンデンサーC2からの電流とを合計したものである。以上で記述されるように、C2を通過した電流は、−90度だけ位相がずれる。その結果、レジスタR3とコンデンサーC2を通過した等価電流Itxとの間の位相差が180になる。従って、TXリーケージ電流は、相殺され、希望信号電流だけが、Iアウト_マイナスで残存する。
【0051】
同様に、Qアウト_マイナスでの電流は、レジスタR4を流れるQイン_マイナスの電流とC3を流れる電流とを合計したものである。180度の位相差を有するQアウト_マイナスの電流において、TXリーケージ電流は相殺され、希望信号電流だけが残存する。Iアウト_プラスでの電流は、レジスタR1を流れるIイン_プラスからの電流とコンデンサーC4を流れる電流とを合計したものである。180度の位相差を有するIアウト_プラスに流れる電流のTXリーケージ電流は相殺され、希望信号電流だけが残存する。
【0052】
図5は、図1の受信機で使用されるベースバンド・フィルタ30の一例を示したブロック図である。図5の例において、ベースバンド・フィルタは、ノッチ・フィルタ24からIアウト_プラス、Iアウト_マイナス、Qアウト_プラスおよびQアウト_マイナスのアウトプットを受信し、希望ベースバンド外の周波数を排除するためにベースバンド・フィルタを利用する。例えば、ベースバンド・フィルタ30は、希望ベースバンド内の周波数を残し、希望ベースバンド外の周波数を排除することに従うバンドパス・フィルタを利用する。更に、ベースバンド・フィルタ30は、例えば、アナログ・ディジタル変換回路及び復調回路に適用するために、ノッチ・フィルタ24から得られた電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンス・アンプ(TIA)回路を含む。
【0053】
図5で示されるように、ベースバンド・フィルタ30は、I−成分のベースバンド・フィルタ・モジュール30A及びQ−成分のベースバンド・フィルタ・モジュール30Bを含む。I−成分のベースバンド・フィルタ・モジュール30Aは、フィルタ処理されたIアウトプットを生成するために差動I成分電流信号、Iアウト_プラス及びIアウト_マイナスにベースバンドのフィルタ処理を適用する。同様に、Q−成分のベースバンド・フィルタ・モジュール30Bは、フィルタ処理されたQアウトプット生成するために差動Q成分の電流信号、Qアウト_プラス及びQアウト_マイナスにベースバンドのフィルタ処理を適用する。ノッチ・フィルタ24は、ベースバンド・フィルタ・モジュール30A、30Bに受信信号を適用する前にノッチ周波数近傍のTXリーケージ信号を除去する、又は実質的に低減する。
【0054】
図6は、ノッチ・フィルタのアウトプットを受信するために連結されたベースバンド・フィルタ30の一例を示すブロック図である。特に、図6は、より詳細にベースバンド・フィルタ・モジュール30Aを示しており、レジスタRTIA及びコンデンサーCTIAによって形成されたフィードバック・パスを備えたトランスインピーダンス・アンプ(TIA)32を含む。説明図を容易にするため、Q成分のベースバンド・フィルタ・モジュール30Bの追加の詳細は、図6から省略されている。しかしながら、インプリメンテーションに関して、図6に示されるように、Q成分のベースバンド・フィルタ・モジュール30Bは、I成分のベースバンド・フィルタ・モジュール30Aと並行して供給され、ベースバンド・フィルタ・モジュール30Aと同様の方法で構築される。
【0055】
各ベースバンド・フィルタ・モジュール30A、30Bは、正負の差動アウトプットから対応する正負の差分インプットに延びるフィードバック・ループを備えた差動TIA32を含む。各フィードバック・ループは、ベースバンド・フィルタ・モジュール30A、及び受信信号の追加のフィルタ処理を供給するためのベースバンド・フィルタ・モジュール30Bの利得及び周波数応答をセットするために、キャパシタンスCTIAと並行にレジスタンスRTIAを含む。
【0056】
ベースバンド・フィルタ・モジュール30Aは、Iチャネル電圧アウトプットを生成するためにノッチ・フィルタ24のIチャネル差動アウトプットを処理する。図6の例において、ベースバンド・フィルタ・モジュール30Aの差動TIA32は、ノッチ・フィルタ24からIアウト_プラス信号を受信する第1の差動インプット及びノッチ・フィルタ24からIアウト_マイナス信号を受信する第2の差動インプットを有する。レジスタRTIA及びコンデンサーCTIAは、TIA32の第1のインプットとTIAの第1のアウトプットとの間のフィードバック・パスにおいて並列に連結される。別のレジスタRTIA及びコンデンサーCTIAは、TIA32の第2のインプットとTIAの第2のアウトプットとの間のフィードバック・パスと並列に連結される。ベースバンド・フィルタ・モジュール30Bは、ノッチ・フィルタ24のQチャネル差動アウトプットにベースバンド・フィルタ処理を適用し、Qチャネル電圧アウトプットを生成するために同様に構成される。
【0057】
図7A及び図7Bは、図1の装置10にノッチ・フィルタ24を組み込む又は組み込まない場合にTX信号リーケージ及びジャマー信号の振幅を示した図である。特に、図7A及び図7Bは、ノッチ・フィルタ24が使用される又は使用されない場合に対する受信機16を通過した信号パス・レベルを示す。図7Aは、ノッチ・フィルタ24が使用されていない例を示す。図7Bは、ノッチ・フィルタ24が使用されている例を示す。図7Bの例でミキサー22とベースバンド・フィルタ30との間にノッチ・フィルタ24を組み込み、信号パスは、LNA20からミキサー22流れ、ミキサー22からベースバンド・フィルタ30に流れる
図7A及び7Bで示されるように、(電流モードでの)TXリーケージ信号は、ノッチ・フィルタが使用されない受信機と比較してノッチ・フィルタ24によってはっきりと(少なくとも20dB)排除される。特に、ノッチ周波数は、高い線形性の受信機をサポートするRXベースバンドのTXオフセット周波数近くに配置される。TXリーケージ信号の排除がミキサー22のアウトプットで強いTXリーケージによって引き起こされる低い電圧振動に実質的に帰着する。ノッチ・フィルタ24を経由したTX信号抑制に対するこのアプローチは、いくつかの長所を有する。例えば、ノッチ・フィルタ24は、強いTXリーケージのためにダウン−コンバータ・ミキサー22によって生成される2次のひずみを低減する。さらに、ノッチ・フィルタ24は、強いTXリーケージを備えた至近距離のジャマーの混合によりダウン−コンバータ・ミキサー22によって生成されたクロス変調ひずみ(XMD)を低減する。ノッチ・フィルタ24は、ベースバンド・フィルタ30及びダウン−コンバータ・ミキサー22に続くTIA32のTXリーケージ電流も低減する。TIA32のTXリーケージ電流を低減することは、小さいひずみ及びベースバンド・フィルタ30のより低い雑音指数の低下に帰着する。
【0058】
図7A及び図7Bの例において、LNAは、それぞれ830MHz及び875MHzの周波数で位置するTX信号及びジャマー(JAM)信号を受信する。図7Bの信号レベルは、受信機16内にノッチ・フィルタ24がある場合の信号レベルを示す。図7Aの信号レベルは、受信機16内にノッチ・フィルタ24がない場合の信号レベルを示す。この例において、LNA20のインプットで、TXリーケージ及びJAM電圧信号は、約15.8ミリボルト(mV)のピーク振幅を有する。LNAのアウトプットで、TX及びJAM信号は、約500マイクロアンプ(μA)のピーク振幅を備えた電流信号に変換される。ノッチ・フィルタ24を備えていないダウン・コンバータ・ミキサー22のアウトプットで、TX及びJAM信号は、約427μAのピーク電流振幅を有する。しかしながら、ノッチ・フィルタ24を備えていると、TX及びJAM信号は、それぞれ約42.7μA及び427μAの電流振幅を有する。従って、ノッチ・フィルタ24は、図7Bの例で約20dBだけTXリーケージ信号を実質的に低減することができる。
【0059】
図8は、ノッチ・フィルタを含んだ受信機に対する電流及び電圧アウトプット周波数の応答の例を示したグラフ40、42、44、46から成る。各グラフ40、42、44、46のX軸は、受信信号のベースバンド周波数を示す。Y軸は、dBの信号振幅レベルを示す。特に、左側のグラフ40及び44は、ノッチ・フィルタ24の適用後、ベースバンド・フィルタ30のTIA32の前で受信した電流信号周波数の応答を示している。右側のグラフ42及び46は、ノッチ・フィルタを適用し、ベースバンド・フィルタのTIA32の適用後の受信した電圧信号周波数の応答を示している。
【0060】
ノッチ・フィルタ24のアウトプットは、電流信号である。TIA32は、TIAフィードバックレジスタの後にTIAアウトプットでノッチ・フィルタ24からの電流を電圧信号に変換する。従って、左側のグラフ40及び44がベースバンド・フィルタ32のTIA32によって生成されたアウトプット電圧を示す一方で、右側のグラフ42及び46は、ノッチ・フィルタ24のアウトプット電流を示す。特に、各々の場合において、ノッチ・フィルタ24は、TX−RXオフセット周波数の領域、つまり、TXリーケージ信号がRX信号に関連してダウン−コンバートされた周波数の領域で信号の著しい減衰を提供する。なお、RX信号は、およそDCにダウンコンバートされる。例えば、PCS通信に対して、ノッチ・フィルタは、およそ80MHz領域での信号を減衰するために構成される。グラフ40及び42は、PCSの例に対して約−80MHzでノッチ・レスポンスを示す。グラフ44及び46は、約+80MHzでノッチ・レスポンスを示す。各々の場合において、ノッチは、0Hz(dc)のベースバンド中心周波数と比較してダウン−コンバートされたTXリーケージ信号成分のオフセット周波数にほぼ対応するように選択される。
【0061】
ノッチ・フィルタが複合ノッチ・フィルタ、つまり、IとQ成分の両方を処理するため、TX帯域の1つ側だけが排除されるであろう。特に、複合フィルタの周波数応答は、実際のフィルタと比べて、対称的でない。したがって、ノッチ・フィルタ24は、左上のグラフ40及び右上のグラフ42(つまり、−80MHzのでノッチする)に示されたより低い側の周波数応答、又は左下のグラフ及び右下のグラフで示された高い側の周波数応答を生成するが、両方では生成しない。図8に示されるように、受動ミキサー22に適用された局部発振器(LO)の極性は、TXリーケージ信号の高い側又は低い側の排除を実現するために変更することができる。言い換えれば、高い側又は低い側のTXリーケージ信号の排除はLO極性の変更によって選択されてもよい。特に、LO極性は、左上と右上のグラフ40、42か左下と右下のグラフ44、46のどちらかで示されるために似た周波数応答を生成するために変化することができる。
【0062】
本開示において記述された技術は、様々な全二重、無線通信システムのどれに使用されてもよい。全二重、無線通信システムのいくつかの例は、セル方式(CELL)、パーソナルコミュニケーションシステム(PCS)、無線ディジタル通信網(DCS)及び国際移動体通信−2000(IMT−2000)システムである。1つの特別の例として、この技術は、符号分割多元接続(CDMA)通信を備えた無線通信装置に適用されてもよい。
【0063】
本開示で説明された受信機素子は、無線通信装置内に組み込まれてもよい。なお、無線通信装置は、アナログ・ディジタル変換器回路、ディジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、モデム及び送受信、符号データ、復号データ、音声信号或いは他の信号に役立つその他の適切な素子を含む。モデムは、DSPによって少なくとも一部分が形成されてもよい。無線通信装置は、モバイル無線電話、衛星電話、モバイル・ゲーミング・コンソール(mobile gaming console)、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、テレビ・コンソール、ディジタル・ビデオ又はオーディオ装置、ラップトップ又はデスクトップ・コンピュータ、セット・トップ・ボックス或いは無線通信を備えた他のデバイスでもよい。
【0064】
本開示の様々な態様が記述されている。これら及び他の態様は、以下の請求項の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希望信号及び送信リーケージ信号を含む受信RFインプット信号を増幅するアンプと、前記増幅された周波数をダウン−コンバートするミキサーと、
前記ダウン−コンバートされた送信リーケージ信号を実質的に低減するために前記ダウン−コンバートされた信号をフィルタ処理するノッチ・フィルタを具備する、無線周波数(RF)受信機。
【請求項2】
前記ミキサーは、受動ミキサーを含み、前記ノッチ・フィルタは、複数のレジスタ及びコンデンサーの配置を含む複合ノッチ・フィルタを含む、請求項1に記載の受信機。
【請求項3】
前記アンプ及びミキサーは、差動アウトプットを含み、前記ミキサーは、正負の同相(I)成分及び正負の直交位相(Q)成分を生成する、請求項2に記載の受信機。
【請求項4】
前記複合ノッチ・フィルタは、正負のIインプット、正負のIアウトプット、正負のQインプット及び正負のQアウトプットを含む、請求項3に記載の受信機。
【請求項5】
前記複数のレジスタの中の第1のレジスタは、正のIインプットと正のIアウトプットとの間に連結され、前記複数のレジスタの中の第2のレジスタは、負のIインプットと負のIアウトプットとの間に連結され、前記複数のレジスタの中の第3のレジスタは、正のQインプットと正のQアウトプットとの間に連結され、前記複数のレジスタの中の第4のレジスタは、負のQインプットと負のQアウトプットとの間に連結される、請求項4に記載の受信機。
【請求項6】
前記複数のコンデンサーの中の第1のコンデンサーは、正のIインプットと正のQアウトプットとの間に連結され、前記複数のコンデンサーの中の第2のコンデンサーは、負のIインプットと負のQアウトプットとの間に連結され、前記複数のコンデンサーの中の第3のコンデンサーは、正のQインプットと負のIアウトプットとの間に連結され、前記複数のコンデンサーの中の第4のコンデンサーは、負のQインプットと正のIアウトプットとの間に連結される、請求項5に記載の受信機。
【請求項7】
前記複数のレジスタ及びコンデンサーは、前記複合フィルタがダウン−コンバートされた送信リーケージ信号とほぼ同じ周波数で前記ダウン−コンバートされた信号を実質的に減衰させるように選択された値を有する、請求項6に記載の受信機。
【請求項8】
前記ミキサーは、約0Hzで希望信号に対応する前記増幅された信号の成分をダウン−コンバートし、オフセット周波数で前記送信リーケージ信号に対応する前記増幅信号の成分をダウン−コンバートする、請求項7に記載の受信機。
【請求項9】
前期オフセット周波数は、約80MHz、又は約45MHzの1つである、請求項8に記載の受信機。
【請求項10】
前記希望信号を受信するアンテナと、
前記アンテナにアンプを連結するデュプレクサと、
前記ノッチ・フィルタのアウトプットをフィルタ処理するベースバンド・フィルタと、 前記ベースバンド・フィルタのアウトプットを復調するモデムとを更に具備する請求項1に記載の受信機。
【請求項11】
前記ノッチ・フィルタは、前記複合フィルタが送信リーケージ信号とほぼ同じ周波数で前記ダウン−コンバートされた信号を実質的に減衰させるように配置したレジスタ及びコンデンサーを含む複合ノッチ・フィルタを含む、請求項1に記載の受信機。
【請求項12】
無線周波数(RF)受信機に関するノッチ・フィルタを具備し、前記ノッチ・フィルタは、
正の同相(I)インプットと正のIアウトプットとの間に連結された第1のレジスタと、
負のIインプットと負のIアウトプットとの間に連結された第2のレジスタと、
正の直交位相(Q)インプットと正のQアウトプットとの間に連結された第3のレジスタと、
負のQインプットと負のQアウトプットとの間に連結された第4のレジスタと、
正のIインプットと正のQアウトプットとの間に連結された第1のコンデンサーと、 負のIインプットと負のQアウトプットとの間に連結された第2のコンデンサーと、 正のQインプットと負のIアウトプットとの間に連結された第3のコンデンサーと、 負のQインプットと正のIアウトプットとの間に連結された第4のコンデンサーとを含む、
前記レジスタ及びコンデンサーの値は、インプットで適用されたインプット信号のダウン−コンバートされたリーケージ信号を実質的に低減するために選択される、無線周波数(RF)受信機。
【請求項13】
前記ノッチ・フィルタは、受動ミキサーからダウン−コンバートされた信号を受信するために連結される、請求項12に記載のノッチ・フィルタ。
【請求項14】
前記ミキサーは、約0Hzで希望信号に対応する増幅された信号成分をダウン−コンバートし、オフセット周波数で前記送信リーケージ信号に対応する前記増幅された信号成分をダウン−コンバートし、前記レジスタ及びコンデンサーの値は、前記オフセット周波数とほぼ同じ周波数で前記ダウン−コンバートされた信号を実質的に減衰させるために選択される、請求項12に記載の受信機。
【請求項15】
前期オフセット周波数は、約80MHz、又は約45MHzのうちの一つである、請求項14の受信機。
【請求項16】
アンテナと、
送信(TX)信号を生成する無線周波数(RF)発信機と、
前記アンテナにTX信号を連結するデュプレクサと、
前記ディプレクサを経由して前記アンテナからRF信号を受信するRF受信機とを具備し、なお、RF受信機は、
希望信号及びデュプレクサから連結した送信リーケージ信号を含む前記受信したRFインプット信号を増幅するアンプと、
前記増幅された信号をダウン−コンバートするミキサーと、
前記ダウン−コンバート送信リーケージ信号を実質的に低減するために前記ダウン−コンバート信号をフィルタ処理するノッチ・フィルタとを含む、無線通信装置。
【請求項17】
前記ミキサーは、受動ミキサーを含み、前記ノッチ・フィルタは、レジスタ及びコンデンサーの配置を含む複合ノッチ・フィルタを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記アンプ及びミキサーは、差動アウトプットを含み、正負の同相(I)成分及び正負の直交位相(Q)成分を生成する前記ミキサーである、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記複合ノッチ・フィルタは、正負のIインプット、正負のIアウトプット、正負のQインプット及び正負のQアウトプットを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記複数のレジスタの中の第1のレジスタは、正のIインプットと正のIアウトプットとの間に連結され、前記複数のレジスタの中の第2のレジスタは、負のIインプットと負のIアウトプットとの間に連結され、前記複数のレジスタの中の第3のレジスタは、正のQインプットと正のQアウトプットとの間に連結され、前記複数のレジスタの中の第4のレジスタは、負のQインプットと負のQアウトプットとの間に連結される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記複数のコンデンサーの中の第1のコンデンサーは、正のIインプットと正のQアウトプットとの間に連結され、前記複数のコンデンサーの中の第2のコンデンサーは、負のIインプットと負のQアウトプットとの間に連結され、前記複数のコンデンサーの中の第3のコンデンサーは、正のQインプットと負のIアウトプットとの間に連結され、前記複数のコンデンサーの中の第4のコンデンサーは、負のQインプットと正のIアウトプットとの間に連結される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記レジスタ及びコンデンサーは、前記複合フィルタが送信リーケージ信号とほぼ同じ周波数で前記ダウンコンバートされた信号を実質的に減衰させるように選択された値を有する、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記ミキサーは、約0Hzで希望信号と対応する前記増幅された信号成分をダウン−コンバートし、オフセット周波数で前記送信リーケージ信号と対応する前記増幅した信号の成分をダウン−コンバートする、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記オフセット周波数は、約80MHz、又は約45MHzの一つである、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記ノッチ・フィルタは、前記複合フィルタが前記送信リーケージ信号とほぼ同じ周波数でダウン−コンバートされた信号を実質的に減衰させるように配置されたレジスタ及びコンデンサーを備えた複合ノッチ・ノッチフィルタを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項26】
希望信号及び送信リーケージ信号を含む受信したRFインプット信号を増幅することと、
前記増幅された信号の周波数をダウン−コンバートすることと、
前記ダウンコンバートされた送信リーケージ信号を実質的に低減するためにノッチ・フィルタで前記ダウン−コンバートされた信号をフィルタ処理することとを含む、方法。
【請求項27】
受動ミキサーで前記増幅された信号の周波数をダウン−コンバートすることを更に含み、前記ノッチ・フィルタは、レジスタ及びコンデンサーの配置を含む複合ノッチ・フィルタを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記受動ミキサーは、正負の同相(I)成分及び正負の直交位相(Q)成分を生成する、請求項27の方法。
【請求項29】
前記複合ノッチ・フィルタは、正負のIインプット及び正負のIアウトプット、正負のQインプット及び正負のQアウトプットを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記複数のレジスタの中の第1のレジスタは、正のIインプットと正のIアウトプットとの間に連結され、前記複数のレジスタの中の第2のレジスタは、負のIインプットと負のIアウトプットとの間に連結され、前記複数のレジスタの中の第3のレジスタは、正のQインプットと正のQアウトプットとの間に連結され、前記複数のレジスタの中の第4のレジスタは、負のQインプットと負のQアウトプットとの間に連結される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記複数のコンデンサーの中の第1のコンデンサーは、正のIインプットと正のQアウトプットとの間に連結され、前記複数のコンデンサーの中の第2のコンデンサーは、負のIインプットと負のQアウトプットとの間に連結され、前記複数のコンデンサーの中の第3のコンデンサーは、正のQインプットと負のIアウトプットとの間に連結され、前記複数のコンデンサーの中の第4のコンデンサーは、負のQインプットと正のIアウトプットとの間に連結される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記レジスタ及びコンデンサーは、前記複合フィルタが前記送信リーケージ信号とほぼ同じ周波数で前記ダウン−コンバートされた信号を実質的に減衰させるように選択された値である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ダウン−コンバートすることは、約0Hzで希望信号と対応する前記増幅された信号成分をダウン−コンバートすること及びオフセット周波数に対する前記送信リーケージ信号と対応する前記増幅された信号成分をダウンコンバートすることを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記オフセット周波数は、約80MHz、又は約45MHzの内の一つである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
アンテナを経由して前記希望信号を受信することと、
前記アンテナ及び送信機と連結したデュプレクサを経由して前記送信リーケージ信号を受信することとを更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
前記ノッチ・フィルタは、複合フィルタが前記送信リーケージ信号によって引き起こされる歪みの周波数とほぼ同じ周波数で前記ダウン−コンバートされた信号を実質的に減衰させるように配置されたレジスタ及びコンデンサーを備えた複合ノッチ・フィルタを含む、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−66189(P2013−66189A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−237178(P2012−237178)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【分割の表示】特願2009−553750(P2009−553750)の分割
【原出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】