説明

送信回路および通信システム

【課題】複数送信レーン間の同期を行うために分配する制御信号のタイミング制約を緩和でき、設計工数を削減することが可能な送信回路および通信システムを提供する。
【解決手段】並列に配置され、供給されるパラレルデータをシリアルデータに変換して出力する複数のレーン部330−0〜330−3と、基準クロックに位相同期した駆動クロックを、イネーブル信号CLKENに応じた駆動クロックの複数サイクル分経過してから複数のレーン部に出力するクロックイネーブラ部320とを有し、複数のレーン部330−0〜330−3の各々は、クロックイネーブラによる駆動クロックを分周して分周クロックおよびロード信号を生成する分周器331−0〜33−3と、分周器による分周クロックおよびロード信号、並びに駆動クロックに同期してパラレルデータをシリアルデータに変換するパラレルシリアル変換器332−0〜332−3と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレーン(lane)を持つデータインタフェースにおける送信回路および通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のレーン(チャネル)を持つ送信回路は、主として共通分周器方式と個別分周器方式の2つの回路構成が採用されている。
【0003】
図1は、共通分周器方式を採用した送信回路を有する通信装置の構成例を示す図である。
【0004】
図1の通信装置1は、論理層部2および送信回路3を有する。
論理層部2は、複数(本例では4)のレーン(チャネル)の10ビットデータPdata[9:0]を送信回路3に供給する。
【0005】
送信回路3は、4つのレーン部31−0〜31−3、PLL回路32、および4つのレーン部31−0〜31−3に共通に接続される1つの分周器(DIV)33を有する。
各レーン部31−0〜31−3は、同様の構成を有する。
PLL回路32において基準クロックREFCLKに位相同期した駆動クロックPLLCLKが生成されて、分周器33および各レーン部31−0〜31−3に供給される。
分周器33では、駆動クロックPLLCLKが分周されてロード信号LOADおよび分周クロックCLK10が生成され、各レーン部31−0〜31−3に供給される。
なお、分周器33はリセット信号RSTXによりリセットされる。
分周器33の分周クロックCLK10は、論理層部2のシステムクロックとしても使用される。
【0006】
各レーン部31−0〜31−3は、10:1パラレルシリアル変換器(Parallel to Serial Converter)P/S0〜P/S3、および差動出力部DF0〜DF3を含んで構成されている。
【0007】
図2は、パラレルシリアル変換器の構成例を示す図である。
図3は、図2のパラレルシリアル変換器のタイミングチャートである。
【0008】
図2のパラレルシリアル変換器P/S(0〜3)は、フリップフロップFF0〜FF9、FF10、およびセレクタSL0〜SL9を含んで構成されている。
パラレルシリアル変換器P/Sは、データ入力段にフリップフロップFF10が配置されている。フリップフロップFF10はデータ入力Dに論理層部2によるパラレルデータPdataが供給され、分周器33による分周クロックCLK10に同期してデータPdataをラッチして、出力する。
フリップフロップFF10のデータ出力QはセレクタSL9〜SL0の第1入力端子に接続されている。セレクタSL9〜SL0は、分周器33によるロード信号LOADがハイレベルのとき第1入力端子、すなわち、フリップフロップFF10の出力データを選択し、ローレベルのとき第2入力端子の入力データを選択する。
【0009】
フリップフロップFF9〜FF0は縦続接続され、クロック入力にPLL回路32による駆動クロックPLLCLKが供給される。
フリップフロップFF9のデータ入力DがセレクタSL9の出力端子に接続され、セレクタSL9の第2入力端子はローレベルに固定されている。
フリップフロップFF8のデータ入力DがセレクタSL8の出力端子に接続され、セレクタSL8の第2入力端子がフリップフロップFF9のデータ出力Qに接続されている。
フリップフロップFF7のデータ入力DがセレクタSL7の出力端子に接続され、セレクタSL7の第2入力端子がフリップフロップFF8のデータ出力Qに接続されている。
フリップフロップFF6のデータ入力DがセレクタSL6の出力端子に接続され、セレクタSL6の第2入力端子がフリップフロップFF7のデータ出力Qに接続されている。
フリップフロップFF5のデータ入力DがセレクタSL5の出力端子に接続され、セレクタSL5の第2入力端子がフリップフロップFF6のデータ出力Qに接続されている。
フリップフロップFF4のデータ入力DがセレクタSL4の出力端子に接続され、セレクタSL4の第2入力端子がフリップフロップFF5のデータ出力Qに接続されている。
フリップフロップFF3のデータ入力DがセレクタSL3の出力端子に接続され、セレクタSL3の第2入力端子がフリップフロップFF4のデータ出力Qに接続されている。
フリップフロップFF2のデータ入力DがセレクタSL2の出力端子に接続され、セレクタSL2の第2入力端子がフリップフロップFF3のデータ出力Qに接続されている。
フリップフロップFF1のデータ入力DがセレクタSL1の出力端子に接続され、セレクタSL1の第2入力端子がフリップフロップFF2のデータ出力Qに接続されている。
フリップフロップFF0のデータ入力DがセレクタSL0の出力端子に接続され、セレクタSL0の第2入力端子がフリップフロップFF1のデータ出力Qに接続されている。
そして、フリップフロップFF0のデータ出力Qが差動出力部DFの入力端子に接続されている。
【0010】
パラレルシリアル変換器P/Sにおいては、分周器33による分周クロックCLK10に同期して、対応するレーンのデータPdataがラッチされ、そのデータPDATALTがセレクタSL9〜SL0の第1入力端子に出力される。
そして、ロード信号LOADがハイレベルの期間に、駆動クロックPLLCLKに同期してフリップフロップFF9〜FF0にラッチされる。
ロード信号LOADがローレベルに切り替わってから駆動クロックPLLCLKに同期してフリップフロップFF9〜FF0のラッチデータがシフトされ、差動出力部DFから差動シリアルデータTXとして出力される。
【0011】
図4は、個別分周器方式を採用した送信回路を有する通信装置の構成例を示す図である。
【0012】
図4の通信装置1Aでは、送信回路3Aの各レーン部31A−0〜31A−3に分周器33−0〜33−3が配置されている。
また、論理層部2のデータ出力部と送信回路3Aのレーン部31A−1〜31A−3の入力部との間に、FIFO4−1〜4−3が配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、上述した共通分周器方式を採用した通信装置では、次のような不利益がある。
すなわち、共通分周器方式では、分周器が共通なのでシンプルであるが複数の分周器出力信号(PLLCLK,LOAD,CLK10)を複数のレーン部31−0〜31−4のパラレルシリアル変換機P/Sに相互にタイミング制約を満たしながら長距離分配する必要がある。
このため、低いデータレートであれば問題ないが、最近のGbps超データレートではクロック周波数が高くなってくるため設計検証が困難になってきている。
図2に示す10:1パラレルシリアル変換器P/Sのオーソドックスな例であるが、図3に示すように各クロックPLLCLK,LOAD,CLK10は相互にタイミング制約がある。
また、共通分周器方式では、レーン(レーン数等)が変わるとその困難なクロック配線の再設計が必要となる。
【0014】
また、上述した個別分周器方式では、分周器をレーン個別に持つことから、複数レーンに分配する信号は分周器駆動クロックPLLCKのみであることから、設計検証は共通分周器方式に比較して多少容易となる。
一方、個別分周方式では、各分周器33−0〜33−3は駆動クロックPLLCLKは共通であるが個別に分周動作する。
このため、個別分周方式では、リセット解除タイミングを揃えないと、図5に示すように、レーン間でデータ開始位置がずれてしまう、いわゆるレーン間スキュー(Lane間Skew)が発生する可能性がある。
【0015】
また、ソースシンクロナス伝送モードでは、レーンの1つをクロックレーンとしてデータの取り込み信号かつデータシンボル区切り判別信号としても使用する場合が多い。
したがって、クロックの立上がりはデータシンボル先頭(D0)と同一タイミングである必要があるが、データレーンクロックにおいてレーン間スキュー(Lane間Skew)があると、図6に示すように、シンボル先頭を誤ってしまうおそれがある。
なお、図6はオクタルデータレート(Octal Data Rate)ソースシンクロナスの例を示している。
【0016】
もちろん、送信側で多少のレーン間スキューが存在しても、特定の制御コード(シンク(Sync)パタン)を送信データ中に挿入して受信側でスキューを除去する技術(Deskew、Phase Align等)は存在する。
しかし、送信側スキューが小さい方が受信側デスキュー(deskew)機能を簡略化できるので、設計工数、回路規模や消費電力に有利であるし、特にソースシンクロナスモードでは挿入する制御コードの冗長性のための伝送効率の劣化を避けることができる。
【0017】
一方、上位層の論理層側から見ると、各レーン部の分周器の分周クロックCLKは論理層システムクロックとしても使用される。
ただし、通常これは1つなのでレーン数分(図4では4本)ある分周クロックCLK100,CLK101,CLK102,CLK103のうち1つがシステムクロックとされる。ここでは、レーン部31A−0の分周器33−0の分周クロックCLK100をソースとしたシステムクロックCLKMとする。
【0018】
ここで、論理層からのデータ伝送を考えると、レーン部31A−0では受信レジスタPDATA0はレーン部31A−0の分周クロックCLK100をソースとするデータのため同期は容易である。
一方、レーン部31A−1では、レーン部31A−0の分周クロックCLK100をソースとするデータPDATA1をレーン部31A−1の分周クロックCLK101で同期させる必要がある。このため、分周クロックCLK100と分周クロックCLK101に不確定なスキューがあるとその同期は一般的には困難である。
図7では、レーン部31A−0でデータPDATA00が受信レジスタPDATAL0でラッチされるのに対して、レーン部31A−1では送信クロックCLKMと受信する分周クロックCLK101間にスキューがある。
このため、レジスタホールド違反となり、本来データPDATA10がラッチされる必要があるが次のサイクルのデータPDATA11が受信レジスタPDATAL1にラッチされている。
さらに最悪の場合、メタステ等でデータ自体が破壊される危険性もある。
【0019】
そこで、スキューのあるクロック間の安全な乗り換えのために、レーン部31A−0以外では図4のようにFIFO4−1〜4−3が必要になる。
しかしながら、FIFOは回路規模が大きくなり、またレーン間でシンボル単位(8〜10CLK)でデータズレが起こる可能性があるのでパラレルデータからシリアルデータへの変換後の伝送路出力ではデータスキューはさらに大きくなる。
したがって、受信側だけでなく論理層側から見てもクロックスキューは小さい方が望ましい。
【0020】
しかし、図8に示すように、スキューを小さくするには各レーン部のリセット信号RST0、RST1を駆動クロックPLLCLKに対してリカバリ/リムーバルタイミング(Recovery/Removal Timing)制約を満たす必要がある。
これもデータレートが高くなると設計検証が困難になってくる。
【0021】
本発明は、複数送信レーン間の同期を行うために分配する制御信号のタイミング制約を緩和することが可能で、設計工数を削減することが可能な送信回路および通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の第1の観点の送信回路は、並列に配置され、対応するレーンにより供給されるパラレルデータをシリアルデータに変換して出力する複数のレーン部と、基準クロックに位相同期した駆動クロックを、イネーブル信号に応じた当該駆動クロックの複数サイクル分経過してから上記複数のレーン部に出力するクロックイネーブラを少なくとも一つ含むクロックイネーブラ部と、を有し、上記複数のレーン部の各々は、上記クロックイネーブラ部による駆動クロックを分周して分周クロックおよびロード信号を生成する分周器と、上記分周器による分周クロックおよびロード信号、並びに上記クロックイネーブラ部による駆動クロックに同期して上記対応するレーンにより供給されるパラレルデータをシリアルデータに変換するパラレルシリアル変換器と、を含む。
【0023】
本発明の第2の観点の通信システムは、パラレルデータをシリアルデータに変換して送信する送信回路と、上記送信回路から送信されたシリアルデータを受信する受信回路と、を有し、上記送信回路は、並列に配置され、対応するレーンにより供給されるパラレルデータをシリアルデータに変換して出力する複数のレーン部と、基準クロックに位相同期した駆動クロックを、イネーブル信号に応じた当該駆動クロックの複数サイクル分経過してから上記複数のレーン部に出力するクロックイネーブラを少なくとも一つ含むクロックイネーブラ部と、を有し、上記複数のレーン部の各々は、上記クロックイネーブラ部による駆動クロックを分周して分周クロックおよびロード信号を生成する分周器と、上記分周器による分周クロックおよびロード信号、並びに上記クロックイネーブラ部による駆動クロックに同期して上記対応するレーンにより供給されるパラレルデータをシリアルデータに変換するパラレルシリアル変換器と、を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、複数送信レーン間の同期を行うために分配する制御信号のタイミング制約を緩和することができ、設計工数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】共通分周器方式を採用した送信回路を有する通信装置の構成例を示す図である。
【図2】パラレルシリアル変換器の構成例を示す図である。
【図3】個別分周器方式を採用した送信回路を有する通信装置の構成例を示す図である。
【図4】個別分周器方式を採用した送信回路を有する通信装置の構成例を示す図である。
【図5】個別分周器方式を採用した場合にはレーン間スキューが発生するおそれがあることを説明するための図である。
【図6】オクタルデータレート(Octal Data Rate)ソースシンクロナスの例においてシンボル先頭を誤ってしまうおそれがあることを説明するための図である。
【図7】送信クロックと受信する分周クロック間にスキューがあり、レジスタホールド違反により異なるデータがラッチされることを説明するための図である。
【図8】スキューを小さくするためには各レーン部のリセット信号を駆動クロックに対してリカバリ/リムーバルタイミング(Recovery/Removal Timing)制約を満たす必要があることを説明するための図である。
【図9】本発明の実施形態に係る送信回路を有する通信装置の構成例を示す図である。
【図10】本実施形態に係るクロックイネーブラの構成例を示す図である。
【図11】図10のクロックイネーブラの具体的な構成例を示す回路図である。
【図12】図10および図11のクロックイネーブラのタイミングチャートである。
【図13】本実施形態に係るパラレルシリアル変換器の構成例を示す図である。
【図14】図13のパラレルシリアル変換器のタイミングチャートである。
【図15】本実施形態に係る送信回路の動作概要を示すタイミングチャートである。
【図16】本発明の実施形態に係るクロックイネーブラをツリー状に配置した送信回路の一例を示す図である。
【図17】図16の送信回路における同期させるレーン部数に応じた各クロックイネーブラへのイネーブル信号の制御方法の一例を示す制御マトリクスを示す図である。
【図18】本実施形態に係る送信回路において、分周器のレーン部個別分周設定により異なる伝送モードと伝送データレートの混在も可能であることを説明するための図である。
【図19】本発明の実施形態に係る通信システムの基本的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.通信装置の全体構成例
2.クロックイネーブラの構成例
3.クロックイネーブラをツリー状に配置する例
4.送信回路および受信回路を含む通信システム
【0027】
<1.通信装置の全体構成例>
図9は、本発明の実施形態に係る送信回路を有する通信装置の構成例を示す図である。
【0028】
本通信装置100は、図9に示すように、論理層部200および送信回路300を有する。
論理層部200は、複数n(本例ではn=4)のレーン(チャネル)の10ビットデータPdata[9:0]を送信回路300に供給する。
【0029】
送信回路300、PLL回路310、クロックイネーブラ部320、およびそれぞれが分周器を個別に含む4つのレーン部330−0〜330−3を有する。
【0030】
PLL回路310は、基準クロックREFCLKに位相同期した駆動クロックPLLCLKを生成し、クロックイネーブラ部320に供給する。
【0031】
クロックイネーブラ部320は、少なくとも一つのクロックイネーブルを含む、イネーブル信号CLKENに応じて、PLL回路310による駆動クロックPLLCLKの出力を、ハザードを出さずにON/OFFさせる機能を有する。
クロックイネーブラ部320は、イネーブル信号CLKENがハイレベルになると数サイクル(Cycle)後にクロックGCLKを出力する。
クロックイネーブラ部320は、クロックGCLKを各レーン部330−0〜330−3の駆動クロックとして分配する。
【0032】
図10は、本実施形態に係るクロックイネーブラの構成例を示す図である。
【0033】
このクロックイネーブラ320aは、図10に示すように、スルーラッチ回路LTC321、2入力ナンドゲートNAND321、およびインバータINV321により構成されている。
【0034】
スルーラッチ回路LTC321の入力端子Dがイネーブル信号CLKENの入力ラインに接続され、反転クロック入力端子Gが駆動クロックPLLCLKの入力ラインに接続されている。
ナンドゲートNAND321の一方の入力端子がスルーラッチ回路LTC321の出力端子Qに接続され、他方の入力端子が駆動クロックPLLCLKの入力端子に接続され、出力端子がインバータINV321の入力端子に接続されている。
【0035】
このクロックイネーブラ320aでは、スルーラッチ回路LTC321において駆動クロックPLLCLKの立ち上がり時点でイネーブル信号CLKENをサンプリングする。
そして、そのサンプリング値によってサンプリング直後のクロックパルスを、ナンドゲートNAND321およびインバータINV321からなる論理ゲートLGTにより通過もしくは阻止する。
【0036】
具体的には、スルーラッチ回路LTC321は、駆動クロックPLLCLKがローレベルのときはイネーブル信号CLKENをそのまま出力する。
スルーラッチ回路LTC321は、駆動クロックPLLCLKがハイレベルのときは、駆動クロックPLLCLKがローレベルからハイレベルに変化する直前の時点でのイネーブル信号値を出力する。
【0037】
また、ナンドゲートNAN321およびインバータINV321からなる論理ゲートLGTは、スルーラッチ回路LTC321の出力信号がハイレベルでかつ駆動クロックPLLCLKがハイレベルのときのみハイレベルのクロックGCLKを出力する。
論理ゲートLGTは、以下に示すときクロックGCLKをローレベルで出力する。
論理ゲートLGTは、スルーラッチ回路LTC321の出力信号がハイレベルでかつ駆動クロックPLLCLKがローレベルのときローレベルのクロックGCLKを出力する。
または、論理ゲートLGTは、スルーラッチ回路LTC321の出力信号がローレベルでかつ駆動クロックPLLCLKもローレベルのときローレベルのクロックGCLKを出力する。
【0038】
図11は、図10のクロックイネーブラの具体的な構成例を示す回路図である。
図11のクロックイネーブラ320aの回路は、PMOSトランジスタP321、NMOSトランジスタN321〜N323、およびインバータINV321,INV322により構成されている。
【0039】
電源電圧VDDの供給ラインと接地ラインGNDとの間にPMOSトランジスタP321、NMOSトランジスタN321およびN322が直列に接続されている。
PMOSトランジスタP321、NMOSトランジスタN321のゲート電極およびインバータINV12の入力端子が駆動クロックPLLCLKの入力端子に接続されている。
NMOSトランジスタN322のゲートがNMOSトランジスタN323を介してイネーブル信号CLKENの入力ラインに接続されている。
そして、NMOSトランジスタN323のゲート電極がインバータINV322の出力端子に接続され、PMOSトランジスタP321とNMOSトランジスタN321のドレイン電極同士の接続点がインバータINV321の入力端子に接続されている。
本回路においては、インバータINV322およびNMOSトランジスタN323によりダイナミック型のスルーラッチ回路が構成され、PMOSトランジスタP321およびNMOSトランジスタN321,N322によりナンドゲートが構成されている。
より具体的には、駆動クロックPLLCLKがローレベルの期間でノードXGCLKをプリチャージし、駆動クロックPLLCLKがハイレベルの期間でナンドとして動作する回路が構成されている。
【0040】
次に、上記構成によるクロックイネーブラ10の動作を、図12のタイミングチャートに関連付けて説明する。
まず、駆動クロックPLLCLKがローレベルのとき、スルーラッチ回路LTC321において、NMOSトランジスタN323が導通状態に保持され、イネーブル信号CLKENの値がノードLENに伝搬される。
駆動クロックPLLCLKがハイレベルになるとNMOSトランジスタN323が非導通状態となり、ノードLENには駆動クロックPLLCLKがハイレベルになる直前のイネーブル信号CLKENの値が、駆動クロックPLLCLKがハイレベルの間保持される。
【0041】
一方、駆動クロックPLLCLKがローレベルの間、PMOSトランジスタP321が導通状態に保持されることから、PMOSトランジスタP321とNMOSトランジスタN321のドレイン電極同士の接続点XGCLKは、ハイレベルに保持される。
そして、駆動クロックPLLCLKがハイレベルになるとPMOSトランジスタP321が非導通状態となり、NMOSトランジスタN321が導通状態となる。
ここで、もし駆動クロックPLLCLKがハイレベルのときノードLENのレベルがハイレベルならばNMOSトランジスタN322が導通状態となる。その結果、ノードXGCLKはディスチャージされローレベルとなる。したがって、インバータINV321から出力されるクロックGCLKはハイレベルとなる。
すなわち、駆動クロックPLLCLKの正のパルスが回路の出力ノードに伝搬され、クロックGCLKとして出力される。
【0042】
もし駆動クロックPLLCLKがハイレベルのときノードLENのレベルがローレベルならばNMOSトランジスタN322は非導通状態に保持される。その結果、ノードXGCLKはディスチャージされずハイレベルのままに保持される。したがって、インバータINV321から出力されるクロックGCLKはローレベルのままに保持される。
すなわち、駆動クロックPLLCLKの正のパルスの出力ノードへの伝搬が阻止される。
【0043】
回路全体として見ると、駆動クロックPLLCLKの立ち上がり時点でイネーブル信号CLKENがサンプリングされ、その結果により駆動クロックPLLCLKの立ち上がり直後の正のパルスが出力ノードへ伝搬または阻止される。
【0044】
このように、図10のクロックイネーブラ部320は、煩雑な制御を行うことなく、イネーブル信号CLKENに応じて、PLL回路310による駆動クロックPLLCLKの出力を、ハザードを出さずにON/OFFさせることができる。
すなわち、クロックイネーブラ320aは、イネーブル信号CLKENがハイレベルになると数サイクル(Cycle)後にクロックGCLKを出力することができる。
【0045】
各レーン部330−0〜330−3は、分周器331−0〜331−3、10:1パラレルシリアル変換器(Parallel to Serial Converter;P/S)332−0〜332−3、および差動出力部(DF)333−0〜333−3を含んで構成されている。
【0046】
レーン部330−0の分周器331−0は、クロックイネーブラ部320から供給される駆動クロックGCLKを分周してロード信号LOAD30および分周クロックCLK30を生成し、自レーン部のパラレルシリアル変換器332−0に供給する。
なお、分周器331−0はリセット信号RSTX30によりリセットされる。
分周器331−0の分周クロックCLK30は、論理層部200のシステムクロックとしても使用される。
【0047】
レーン部330−0のパラレルシリアル変換器332−0は、分周器331−0による分周クロックCLK30に同期して、対応するレーンのたとえば10ビットデータPDATA10を第1のラッチにデータPDATALT30としてラッチする。
パラレルシリアル変換器332−0は、分周器331−0によるロード信号LOAD30がハイレベルの期間に、駆動クロックGCLKに同期してラッチデータPDATALT30を第2のラッチにラッチする。
パラレルシリアル変換器332−0は、ロード信号LOAD30がローレベルに切り替わってから駆動クロックGCLKに同期して第2のラッチのラッチデータをシフトさせて、差動出力部333−0から差動シリアルデータTX30として出力する。
【0048】
レーン部330−1の分周器331−1は、クロックイネーブラ部320から供給される駆動クロックGCLKを分周してロード信号LOAD31および分周クロックCLK31を生成し、自レーン部のパラレルシリアル変換器332−1に供給する。
なお、分周器331−1はリセット信号RSTX31によりリセットされる。
【0049】
レーン部330−1のパラレルシリアル変換器332−1は、分周器331−1による分周クロックCLK31に同期して、対応するレーンのたとえば10ビットデータPDATA11を第1のラッチにデータPDATALT31としてラッチする。
パラレルシリアル変換器332−1は、分周器331−1によるロード信号LOAD31がハイレベルの期間に、駆動クロックGCLKに同期してラッチデータPDATALT31を第2のラッチにラッチする。
パラレルシリアル変換器332−1は、ロード信号LOAD31がローレベルに切り替わってから駆動クロックGCLKに同期して第2のラッチのラッチデータをシフトさせて、差動出力部333−1から差動シリアルデータTX31として出力する。
【0050】
レーン部330−2の分周器331−2は、クロックイネーブラ部320から供給される駆動クロックGCLKを分周してロード信号LOAD32および分周クロックCLK32を生成し、自レーン部のパラレルシリアル変換器332−2に供給する。
なお、分周器331−2はリセット信号RSTX32によりリセットされる。
【0051】
レーン部330−2のパラレルシリアル変換器332−2は、分周器331−2による分周クロックCLK32に同期して、対応するレーンのたとえば10ビットデータPDATA12を第1のラッチにデータPDATALT32としてラッチする。
パラレルシリアル変換器332−2は、分周器331−2によるロード信号LOAD32がハイレベルの期間に、駆動クロックGCLKに同期してラッチデータPDATALT32を第2のラッチにラッチする。
パラレルシリアル変換器332−2は、ロード信号LOAD32がローレベルに切り替わってから駆動クロックGCLKに同期して第2のラッチのラッチデータをシフトさせて、差動出力部333−2から差動シリアルデータTX32として出力する。
【0052】
レーン部330−3の分周器331−3は、クロックイネーブラ部320から供給される駆動クロックGCLKを分周してロード信号LOAD33および分周クロックCLK33を生成し、自レーン部のパラレルシリアル変換器332−3に供給する。
なお、分周器331−3はリセット信号RSTX33によりリセットされる。
【0053】
レーン部330−3のパラレルシリアル変換器332−3は、分周器331−3による分周クロックCLK33に同期して、対応するレーンのたとえば10ビットデータPDATA13を第1のラッチにデータPDATALT33としてラッチする。
パラレルシリアル変換器332−3は、分周器331−3によるロード信号LOAD33がハイレベルの期間に、駆動クロックGCLKに同期してラッチデータPDATALT33を第2のラッチにラッチする。
パラレルシリアル変換器332−3は、ロード信号LOAD33がローレベルに切り替わってから駆動クロックGCLKに同期して第2のラッチのラッチデータをシフトさせて、差動出力部333−3から差動シリアルデータTX33として出力する。
【0054】
図13は、本実施形態に係るパラレルシリアル変換器の構成例を示す図である。
図14は、図13のパラレルシリアル変換器のタイミングチャートである。
なお、ここでは、レーン部330−0におけるパラレルシリアル変換器332−0として説明するが、他のレーン部330−1〜330−3におけるパラレルシリアル変換器332−1〜332−3も同様の構成を有する。
【0055】
図13のパラレルシリアル変換器(P/S)332−0(〜−3)は、第2のラッチとしてのフリップフロップFF30〜FF39、第2のラッチとしてのフリップフロップFF40、およびセレクタSL30〜SL39を含んで構成されている。
パラレルシリアル変換器332−0(〜−3)は、データ入力段にフリップフロップFF40が配置されている。
フリップフロップFF40はデータ入力Dに論理層部200によるパラレルデータPDATAが供給され、分周器331−0(〜−3)による分周クロックCLK30(〜DLK33)に同期してデータPDATA10(〜13)をラッチして、出力する。
フリップフロップFF40のデータ出力QはセレクタSL39〜SL30の第1入力端子に接続されている。
セレクタSL39〜SL30は、分周器331−0(〜−3)によるロード信号LOAD30(〜33)がハイレベルのとき第1入力端子、すなわち、フリップフロップFF40の出力データを選択し、ローレベルのとき第2入力端子の入力データを選択する。
【0056】
フリップフロップFF39〜FF30は縦続接続され、クロック入力にクロックイネーブラ320による駆動クロックGCLKが供給される。
フリップフロップFF39のデータ入力DがセレクタSL39の出力端子に接続され、セレクタSL39の第2入力端子はローレベルに固定されている。
フリップフロップFF38のデータ入力DがセレクタSL38の出力端子に接続され、セレクタSL38の第2入力端子がフリップフロップFF39のデータ出力Qに接続されている。
フリップフロップFF37のデータ入力DがセレクタSL37の出力端子に接続され、セレクタSL37の第2入力端子がフリップフロップFF38のデータ出力Qに接続されている。
フリップフロップFF36のデータ入力DがセレクタSL36の出力端子に接続され、セレクタSL36の第2入力端子がフリップフロップFF37のデータ出力Qに接続されている。
フリップフロップFF35のデータ入力DがセレクタSL35の出力端子に接続され、セレクタSL35の第2入力端子がフリップフロップFF36のデータ出力Qに接続されている。
フリップフロップFF34のデータ入力DがセレクタSL34の出力端子に接続され、セレクタSL34の第2入力端子がフリップフロップFF35のデータ出力Qに接続されている。
フリップフロップFF33のデータ入力DがセレクタSL33の出力端子に接続され、セレクタSL33の第2入力端子がフリップフロップFF34のデータ出力Qに接続されている。
フリップフロップFF32のデータ入力DがセレクタSL32の出力端子に接続され、セレクタSL32の第2入力端子がフリップフロップFF33のデータ出力Qに接続されている。
フリップフロップFF31のデータ入力DがセレクタSL31の出力端子に接続され、セレクタSL31の第2入力端子がフリップフロップFF32のデータ出力Qに接続されている。
フリップフロップFF30のデータ入力DがセレクタSL30の出力端子に接続され、セレクタSL30の第2入力端子がフリップフロップFF31のデータ出力Qに接続されている。
そして、フリップフロップFF30のデータ出力Qが差動出力部333−0(〜−3)の入力端子に接続されている。
【0057】
パラレルシリアル変換器332−0(〜−3)においては、分周器331−0による分周クロックCLK30に同期して、対応するレーンのデータPDATAがラッチされ、そのデータPDATALTがセレクタSL39〜SL30の第1入力端子に出力される。
そして、ロード信号LOAD30(〜33)がハイレベルの期間に、駆動クロックGCLKに同期してフリップフロップFF39〜FF30にラッチされる。
ロード信号LOAD30(〜33)がローレベルに切り替わってから駆動クロックGCLKに同期してフリップフロップFF39〜FF30のラッチデータがシフトされ、差動出力部333−0(〜−3)から差動シリアルデータTX30として出力される。
【0058】
図15は、本実施形態に係る送信回路の動作概要を示すタイミングチャートである。
【0059】
本実施形態においては、いわゆる個別分周器およびクロックゲーティング方式が採用されている。
本実施形態では、各クロックの中で最高の周波数を持つPLL回路310の出力である駆動クロックPLLCLKの出力部の後にクロックイネーブラ部(Clock Gate)320が配置される。
クロックイネーブラ部320は、イネーブル信号CLKENに応じてクロックをハザードを出さずにON/OFFさせる回路として構成される。
図15に示すように、イネーブル信号CLKENがハイレベルになると数サイクル後にクロックGCLKは出力される。そして、駆動クロックGCLKは各レーン部330−0〜330−3の駆動クロックとして各分周器331−0〜330−3に分配される。もちろん、分配スキューは小さい方が望ましい。
一方、分周器331−0〜331−3のリセット信号としては分周器個別にRSTX30、RSTX31、RSTX32、RSTX33が入力されるがそのタイミングは駆動クロックGCLKがONになるタイミングTon以前なら構わずその制約は緩い。
たとえば、レーン部330−0のリセット信号RSTX30は、レーン部330−1のリセット信号RSTX31よりかなり前に解除されている。
しかし、駆動クロックGCLKがOFFのため、レーン部330−0の分周動作は開始されず、レーン部330−1のリセットが信号RSTX31により解除された後、GCLKがONになった時点Tonで初めて両者の分周動作が同時に開始される。
このため、パラレルシリアル変換器332−0,332−1の出力データも同期させることができる。
その上、論理層部200側のクロックもレーン間スキューがないため適当なレーン部の分周クロック(図9ではCLK30)1信号だけをシステムクロックにできる。
【0060】
<3.クロックイネーブラをツリー状に配置する例>
図16は、本発明の実施形態に係るクロックイネーブラをツリー状に配置した送信回路の一例を示す図である。
なお、図16では、レーン数nを図9の4レーンより多い8レーンとした場合の一例を示している。
【0061】
この送信回路300Aは、8つのレーン部330−0〜330−7が並列に配置されている。
この8つのレーン部330−0〜300−7は、複数、本例では2つの第1レーングループGRP1および第2レーングループGRP2に区分けされている。
第1レーングループGRP1は、連続して隣接する4つのレーン部330−0〜330−3を含む。
そして、第1レーングループGRP1は、さらに2つの第1サブレーングループSGRP1および第2サブレーングループSGRP2に区分けされている。
第1サブレーングループSGRP1は、隣接する2つのレーン部330−0および330−1を含む。
第2サブレーングループSGRP2は、隣接する2つのレーン部330−2および330−3を含む。
【0062】
第2レーングループGRP2は、連続して隣接する4つのレーン部330−4〜330−7を含む。
そして、第2レーングループGRP2は、さらに2つの第3サブグループSGRP3および第4サブグループSGRP4に区分けされている。
第3サブグループSGRP3は、隣接する2つのレーン部330−4および330−5を含む。
第4サブグループSGRP4は、隣接する2つのレーン部330−6および330−7を含む。
【0063】
そして、図16の送信回路300Aのクロックイネーブラ部320Aにおいては、複数、本例では15個のクロックイネーブラ321、322A,322B、323A〜323D、324−0〜324−7が多段の4段にツリー状となるように配置されている。
【0064】
本実施形態においては、基本的にクロックイネーブラ部320Aは、複数のクロックイネーブラが少なくとも2段のツリー状に配置される。
そして、クロックイネーブラ部320Aは、前段側に配置されるクロックイネーブラの出力駆動クロックの出力経路が複数の分岐路に分岐され、前段側から分岐された複数の分岐路の少なくとも一つに次段側となるクロックイネーブラが配置される。
上記のように、複数のレーン部330−0〜330−7が複数のレーングループにグループ分けされている場合には、基本的に次のような配置が行われる。
クロックイネーブラ部320Aは、基準となる駆動クロックが供給される前段側となるクロックイネーブラ321の出力駆動クロックの出力経路がレーングループのグループ数に相当する数(本例では2)の分岐路BL1,BL2に分岐される。
クロックイネーブラ部320Aにおいて、前段側から分岐された複数の分岐路に次段側となるクロックイネーブラがそれぞれ配置され、次段側となるクロックイネーブラの出力駆動クロックが対応するレーングループのレーン部に供給される。
【0065】
上記のように、複数のレーングループがさらにサブグループに区分けされている場合、基本的に次のような配置が行われる。
クロックイネーブラ部320Aは、次段側となるクロックイネーブラが前段側のクロックイネーブラとして、このクロックイネーブラの出力駆動クロックの出力経路がレーングループのサブグループ数に相当する数の分岐路に分岐される。
そして、クロックイネーブラ部320Aは、前段側から分岐された複数の分岐路に次段側となるクロックイネーブラがそれぞれ配置され、この次段側となるクロックイネーブラの出力駆動クロックが対応するサブレーングループのレーン部に供給される。
【0066】
本実施形態において、クロックイネーブラ部320Aは、全てのレーン部、レーングループ単位、またはサブグループ単位でレーン部を同期させる場合、複数のクロックイネーブラに対して次のような制御を行う。
クロックイネーブラ部320Aは、出力駆動クロックの分岐の要となる位置に配置されるクロックイネーブラをイネーブル信号に応じて駆動クロックの出力を制御し、他のクロックイネーブラはクロック出力状態(ハイ固定)に制御する。
【0067】
クロックイネーブラ部320Aは、全てのレーン部330−0〜330−7を同期させる場合、基準となる駆動クロックが供給されるクロックイネーブラ321をイネーブル信号に応じて駆動クロックの出力を制御する。そして、クロックイネーブラ部320Aは、他のクロックイネーブラはクロック出力状態に制御する。
クロックイネーブラ部320Aは、レーングループGRP1,GRP2単位で同期させる場合、次のように制御する。
クロックイネーブラ部320Aは、レーングループのグループ数に相当する数に分岐される分岐路に配置されるクロックイネーブラのうち、同期対象のレーングループに対応するクロックイネーブラをイネーブル信号に応じて駆動クロックの出力を制御する。そして、クロックイネーブラ部330Aは、他のクロックイネーブラはクロック出力状態に制御する。
クロックイネーブラ部320Aは、サブレーングループ単位で同期させる場合、次のように制御する。
クロックイネーブラ部320Aは、サブレーングループのグループ数に相当する数に分岐される分岐路に配置されるクロックイネーブラのうち、同期対象のサブレーングループに対応するクロックイネーブラをイネーブル信号に応じて駆動クロックの出力を制御する。そして、クロックイネーブラ部330Aは、他のクロックイネーブラはクロック出力状態に制御する。
【0068】
図16のクロックイネーブラ部320Aは、前述したように、15個のクロックイネーブラ321、322A,322B、323A〜323D、324−0〜324−7が多段の4段にツリー状となるように配置されている。
【0069】
第1段STG1には、クロックイネーブラ321が配置されている。このクロックイネーブラ321は、PLL回路310により駆動クロックPLLCLKが供給される。
クロックイネーブラ321は、イネーブル信号EN8が供給され、レーン部330−0〜330−7の全体を同期させる制御を行う場合の要のクロックイネーブラとして扱われる。
【0070】
クロックイネーブラ321の出力駆動クロックGCLKの出力経路がレーングループのグループ数2に相当する2つの分岐路BL1,BL2に分岐される。
そして、分岐路BL1には第2段STG2として第1レーングループGRP1に対応するクロックイネーブラ322Aが配置される。
クロックイネーブラ322Aは、イネーブル信号En4Aが供給され、第1レーングループGRP1を同期させる制御を行う場合の要のクロックイネーブラとして扱われる。
同様に、分岐路BL2には第2段STG2として第2レーングループGRP2に対応するクロックイネーブラ322Bが配置される。
クロックイネーブラ322Bは、イネーブル信号En4Bが供給され、第2レーングループGRP2を同期させる制御を行う場合の要のクロックイネーブラとして扱われる。
【0071】
クロックイネーブラ322Aの出力駆動クロックGCLK4Aの出力経路がサブレーングループのグループ数2に相当する2つの分岐路BL11,BL12に分岐される。
クロックイネーブラ322Bの出力駆動クロックGCLK4Bの出力経路がサブレーングループのグループ数2に相当する2つの分岐路BL21,BL22に分岐される。
【0072】
分岐路BL11には第3段STG3として第1サブレーングループSGRP1に対応するクロックイネーブラ323Aが配置される。
クロックイネーブラ323Aは、イネーブル信号En2Aが供給され、第1サブレーングループSGRP1を同期させる制御を行う場合の要のクロックイネーブラとして扱われる。
同様に、分岐路BL12には第3段STG3として第2サブレーングループSGRP2に対応するクロックイネーブラ323Bが配置される。
クロックイネーブラ323Bは、イネーブル信号En2Bが供給され、第2サブレーングループSGRP2を同期させる制御を行う場合の要のクロックイネーブラとして扱われる。
【0073】
また、分岐路BL21には第3段STG3として第3サブレーングループSGRP3に対応するクロックイネーブラ323Cが配置される。
クロックイネーブラ323Cは、イネーブル信号En2Cが供給され、第3サブレーングループSGRP3を同期させる制御を行う場合の要のクロックイネーブラとして扱われる。
同様に、分岐路BL22には第3段STG3として第4サブレーングループSGRP4に対応するクロックイネーブラ323Dが配置される。
クロックイネーブラ323Dは、イネーブル信号En2Dが供給され、第4サブレーングループSGRP4を同期させる制御を行う場合の要のクロックイネーブラとして扱われる。
【0074】
クロックイネーブラ323Aの出力駆動クロックGCLK2Aの出力経路が第1サブレーングループSGRP1のグループ内のレーン部数2に相当する2つの分岐路BL111,BL112に分岐される。
クロックイネーブラ323Bの出力駆動クロックGCLK2Bの出力経路が第2サブレーングループSGRP2のグループ数2に相当する2つの分岐路BL121,BL122に分岐される。
クロックイネーブラ323Cの出力駆動クロックGCLK2Cの出力経路が第3サブレーングループSGRP3のグループ数2に相当する2つの分岐路BL211,BL212に分岐される。
クロックイネーブラ323Dの出力駆動クロックGCLK2Dの出力経路が第4サブレーングループSGRP4のグループ数2に相当する2つの分岐路BL221,BL222に分岐される。
【0075】
分岐路BL111には第4段STG4としてレーン部330−0に対応するクロックイネーブラ324−0が配置される。クロックイネーブラ324−0は、イネーブル信号En0が供給される。
分岐路BL112には第4段STG4としてレーン部330−1に対応するクロックイネーブラ324−1が配置される。クロックイネーブラ324−1は、イネーブル信号En1が供給される。
分岐路BL121には第4段STG4としてレーン部330−2に対応するクロックイネーブラ324−2が配置される。クロックイネーブラ324−2は、イネーブル信号En2が供給される。
分岐路BL122には第4段STG4としてレーン部330−3に対応するクロックイネーブラ324−3が配置される。クロックイネーブラ324−3は、イネーブル信号En3が供給される。
【0076】
分岐路BL211には第4段STG4としてレーン部330−4に対応するクロックイネーブラ324−4が配置される。クロックイネーブラ324−4は、イネーブル信号En4が供給される。
分岐路BL212には第4段STG4としてレーン部330−5に対応するクロックイネーブラ324−5が配置される。クロックイネーブラ324−5は、イネーブル信号En5が供給される。
分岐路BL221には第4段STG4としてレーン部330−6に対応するクロックイネーブラ324−6が配置される。クロックイネーブラ324−6は、イネーブル信号En6が供給される。
分岐路BL222には第4段STG4としてレーン部330−7に対応するクロックイネーブラ324−7が配置される。クロックイネーブラ324−7は、イネーブル信号En7が供給される。
【0077】
このように、クロックイネーブラ部320Aは、最終段の第4段STG4において、クロックイネーブラ324−0〜324−7が複数のレーン部330−0〜330−7に1対1に対応するように配置されている。
【0078】
図17は、図16の送信回路における同期させるレーン部数に応じた各クロックイネーブラへのイネーブル信号の制御方法の一例を示す制御マトリクスを示す図である。
図17において、「Control」はイネーブル信号に応じてクロックイネーブラのクロック出力を制御することを示し、「High」固定は、クロックイネーブラが常時重ロック出力状態となるようにイネーブル信号を固定することを意味する。
【0079】
[全ての8レーン部330−0〜330−7を同期させる場合(x8ch)]
全ての8レーン部330−0〜330−7を同期させる場合、要となるクロックイネーブラ321へのイネーブル信号EN8を制御して、他のクロックイネーブラへのイネーブル信号をHigh固定とする。
【0080】
[レーングループ単位で同期させる場合(x4ch 4A/4B)]
レーングループ単位、換言すれば4レーン部ずつ同期させる場合、クロックイネーブラ322Aまたは322Bへのイネーブル信号En4AまたはEn4B、あるいは両方を制御し、他のクロックイネーブラへのイネーブル信号をHigh固定とする。
【0081】
[サブレーングループ単位で同期させる場合(x2ch 2A/2B/2C/2D)]
サブレーングループ単位、換言すれば2レーン部ずつ同期させる場合、クロックイネーブラ323A〜323Dへのイネーブル信号En2〜En2Dのいずれかまたは複数(全てを含む)を制御し、他のクロックイネーブラへのイネーブル信号をHigh固定とする。
【0082】
以上の他にも多くの動作モードが可能であるが、要は同期させたいレーングループの要にあるクロックイネーブラを制御する。
【0083】
図18は、本実施形態に係る送信回路において、分周器のレーン部個別分周設定により異なる伝送モードと伝送データレートの混在も可能であることを説明するための図である。
【0084】
さらに、図18に示すように、各レーン部330−0〜330−7における分周器の個別分周設定により異なる伝送モードと伝送データレート(Data Rate)の混在も可能である。
例として、以下の制御を行うことが可能である。
【0085】
レーン部330−0〜330−3(第1レーングループGRP1)を1.25Gbpsで4chソースシンクロナス(Double Data Rate)伝送(x4ch(4A))として実現する。
この場合、クロックイネーブラ322Aへのイネーブル信号En4Aを制御する。
【0086】
レーン部330−4,330−4(第3サブレーングループSGRP3)を2.5Gbpsで2chソースシンクロナス(Octal Data Rate)伝送(x2ch(2C))として実現する。
この場合、クロックイネーブラ323Cへのイネーブル信号En2Cを制御する。
【0087】
レーン部330−6を2.5Gbpsで1chクロックエンベディッド伝送として実現する。
この場合、クロックイネーブラ324−6へのイネーブル信号En6を制御する。
【0088】
レーン部330−7を5Gbpsで1chクロックエンベディッド伝送として実現する。
この場合、クロックイネーブラ324−7へのイネーブル信号En7を制御する。
【0089】
ここで常時イネーブルとして制御されないクロックイネーブラ321へのイネーブル信号EN8、クロックイネーブラ322Bへのイネーブル信号En4BはHigh固定である。
同様に、クロックイネーブラ323Aへのイネーブル信号En2A、クロックイネーブラ323Bへのイネーブル信号En2B、クロックイネーブラ323Dへのイネーブル信号En2DもHigh固定である。
さらに、クロックイネーブラ324−0〜324−5へのイネーブル信号En0〜En5もHigh固定である。
【0090】
このように、複数レーン(ch)を持つデータインタフェースの送信回路において、レーン毎に異なる伝送モードやデータ速度を混在可能となる柔軟な構成をとることが可能となる。
【0091】
もちろん、高速クロック配線に設置されるイネーブラは多段になるとジッタを招き伝送品質を低下させるので、構成によっては必ずしもツリー状に複数配置する必要はなく伝送品質を優先する場合はある程度のイネーブラを省略する場合もある。
しかし、最低限同期が必要なレーンの要には必須である。
【0092】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
複数送信レーン間の同期を行うために分配する制御信号のタイミング制約が緩和されるため、設計工数が削減できる。また、受信側デスキュー(Deskew)回路も簡略化できるため消費電力や回路規模に有利である。
また、クロックイネーブラをツリー状に配して適当に制御することで、同一の回路構成で柔軟性のある伝送コンフィグレーション(伝送モードや伝送速度)の構築がレーンに独立して対応可能となる。このため、仕様変更の度に再設計の必要がなくなりこれも設計工数の削減となる。
【0093】
図19は、本発明の実施形態に係る通信システムの基本的な構成を示す図である。
【0094】
本通信システム400は、図9や図16等の送信回路が適用される送信回路300Bと受信回路500により構成される。送信回路300Bと受信回路500は通信ケーブル600により接続されている。
送信回路300Bは、たとえば複数の位相同期したシリアルデータ信号を受信回路500に送信する送信する。
受信回路500は、通信ケーブル600を伝送されたシリアルデータ信号を受信し、再生クロックに同期した処理を行う。
【0095】
この通信システム400においては、図9や図16等の送信回路が適用されることから、上記した効果と同様の効果を得ることができる。
すなわち、複数送信レーン間の同期を行うために分配する制御信号のタイミング制約が緩和されるため、設計工数が削減できる。また、受信側デスキュー(Deskew)回路も簡略化できるため消費電力や回路規模に有利である。
また、クロックイネーブラをツリー状に配して適当に制御することで、同一の回路構成で柔軟性のある伝送コンフィグレーション(伝送モードや伝送速度)の構築がレーンに独立して対応可能となる。このため、仕様変更の度に再設計の必要がなくなりこれも設計工数の削減となる。
【符号の説明】
【0096】
100・・・通信装置、200・・・論理層部、300,300A,300B・・・送信回路、310・・・PLL回路、320・・・クロックイネーブラ部、330−0〜330−3・・・レーン部、331−0〜331−3・・・分周器、332−0〜332−3・・・パラレルシリアル変換器、333−0〜333−3・・・差動出力部、400・・・通信システム、500・・・受信回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に配置され、対応するレーンにより供給されるパラレルデータをシリアルデータに変換して出力する複数のレーン部と、
基準クロックに位相同期した駆動クロックを、イネーブル信号に応じた当該駆動クロックの複数サイクル分経過してから上記複数のレーン部に出力するクロックイネーブラを少なくとも一つ含むクロックイネーブラ部と、を有し、
上記複数のレーン部の各々は、
上記クロックイネーブラ部による駆動クロックを分周して分周クロックおよびロード信号を生成する分周器と、
上記分周器による分周クロックおよびロード信号、並びに上記クロックイネーブラ部による駆動クロックに同期して上記対応するレーンにより供給されるパラレルデータをシリアルデータに変換するパラレルシリアル変換器と、を含む
送信回路。
【請求項2】
上記クロックイネーブラ部は、
複数の上記クロックイネーブラが少なくとも2段のツリー状に配置され、
前段側に配置されるクロックイネーブラの出力駆動クロックの出力経路が複数の分岐路に分岐され、
上記前段側から分岐された複数の分岐路の少なくとも一つに次段側となるクロックイネーブラが配置されている
請求項1記載の送信回路。
【請求項3】
上記複数のレーン部は、
複数のレーングループにグループ分けされ、
上記クロックイネーブラ部は、
複数のクロックイネーブラが少なくとも2段のツリー状に配置され、
上記基準となる駆動クロックが供給される前段側となるクロックイネーブラの出力駆動クロックの出力経路が上記レーングループのグループ数に相当する数の分岐路に分岐され、
上記前段側から分岐された複数の分岐路に次段側となるクロックイネーブラがそれぞれ配置され、当該次段側となるクロックイネーブラの出力駆動クロックが対応するレーングループのレーン部に供給される
請求項1または2記載の送信回路。
【請求項4】
上記複数のレーングループの少なくとも一つは、
さらにサブグループに区分けされ、
上記クロックイネーブラ部は、
上記次段側となるクロックイネーブラが前段側のクロックイネーブラとして、当該クロックイネーブラの出力駆動クロックの出力経路が上記レーングループの上記サブグループ数に相当する数の分岐路に分岐され、
上記前段側から分岐された複数の分岐路に次段側となるクロックイネーブラがそれぞれ配置され、当該次段側となるクロックイネーブラの出力駆動クロックが対応するサブレーングループのレーン部に供給される
請求項3記載の送信回路。
【請求項5】
上記クロックイネーブラ部は、
上記基準となる駆動クロックが供給される前段側となるクロックイネーブラの配置段を初段として複数の上記クロックイネーブラが多段にツリー状に配置され、
最終段において、上記クロックイネーブラが上記複数のレーン部に1対1に対応するように配置されている
請求項3または4記載の送信回路。
【請求項6】
上記クロックイネーブラ部は、
全てのレーン部、レーングループ単位、またはサブグループ単位の上記レーン部を同期させる場合、出力駆動クロックの分岐の要となる位置に配置されるクロックイネーブラを上記イネーブル信号に応じて駆動クロックの出力を制御し、
他のクロックイネーブラはクロック出力状態に制御する
請求項3から5のいずれか一に記載に送信回路。
【請求項7】
上記クロックイネーブラ部は、
全てのレーン部を同期させる場合、
上記基準となる駆動クロックが供給されるクロックイネーブラを上記イネーブル信号に応じて駆動クロックの出力を制御し、
他のクロックイネーブラはクロック出力状態に制御し、
上記レーングループ単位で同期させる場合、
上記レーングループのグループ数に相当する数に分岐される分岐路に配置されるクロックイネーブラのうち、同期対象のレーングループに対応するクロックイネーブラを上記イネーブル信号に応じて駆動クロックの出力を制御し、
他のクロックイネーブラはクロック出力状態に制御し、
上記サブレーングループ単位で同期させる場合、
上記サブレーングループのグループ数に相当する数に分岐される分岐路に配置されるクロックイネーブラのうち、同期対象のサブレーングループに対応するクロックイネーブラを上記イネーブル信号に応じて駆動クロックの出力を制御し、
他のクロックイネーブラはクロック出力状態に制御する
請求項6記載の送信回路。
【請求項8】
上記クロックイネーブラ部は、
レーン部単位で同期させる場合、対応する出力駆動クロックを供給するクロックイネーブラを上記イネーブル信号に応じて駆動クロックの出力を制御し、
他のクロックイネーブラはクロック出力状態に制御する
請求項3から7のいずれか一に記載に送信回路。
【請求項9】
上記複数のレーン部の上記分周器の分周値が個別に設定可能である
請求項1から8のいずれか一に記載の送信回路。
【請求項10】
パラレルデータをシリアルデータに変換して送信する送信回路と、
上記送信回路から送信されたシリアルデータを受信する受信回路と、を有し、
上記送信回路は、
並列に配置され、対応するレーンにより供給されるパラレルデータをシリアルデータに変換して出力する複数のレーン部と、
基準クロックに位相同期した駆動クロックを、イネーブル信号に応じた当該駆動クロックの複数サイクル分経過してから上記複数のレーン部に出力するクロックイネーブラを少なくとも一つ含むクロックイネーブラ部と、を有し、
上記複数のレーン部の各々は、
上記クロックイネーブラ部による駆動クロックを分周して分周クロックおよびロード信号を生成する分周器と、
上記分周器による分周クロックおよびロード信号、並びに上記クロックイネーブラ部による駆動クロックに同期して上記対応するレーンにより供給されるパラレルデータをシリアルデータに変換するパラレルシリアル変換器と、を含む
通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−39448(P2012−39448A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178721(P2010−178721)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】