送信方法および端末装置
【課題】通信量が増加した場合であってもパケット信号の衝突確率を低減したい。
【解決手段】処理部56は、搬送波感知多重アクセス方式にてパケット信号を報知するまでの時間間隔を設定する。変復調部54、RF部52は、設定した時間間隔にてパケット信号を報知する。RF部52、変復調部54は、アクセス制御装置から所定の頻度で報知される制御信号を受信する。処理部56は、制御信号を受信可能な場合の時間間隔を、残りの場合の時間間隔よりも短くする。
【解決手段】処理部56は、搬送波感知多重アクセス方式にてパケット信号を報知するまでの時間間隔を設定する。変復調部54、RF部52は、設定した時間間隔にてパケット信号を報知する。RF部52、変復調部54は、アクセス制御装置から所定の頻度で報知される制御信号を受信する。処理部56は、制御信号を受信可能な場合の時間間隔を、残りの場合の時間間隔よりも短くする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、報知技術に関し、特に所定の情報が含まれた信号を報知する報知方法および無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点の出会い頭の衝突事故を防止するために、路車間通信の検討がなされている。路車間通信では、路側機と車載器との間において交差点の状況に関する情報が通信される。路車間通信では、路側機の設置が必要になり、手間と費用が大きくなる。これに対して、車車間通信、つまり車載器間で情報を通信する形態であれば、路側機の設置が不要になる。その場合、例えば、GPS(Global Positioning System)等によって現在の位置情報をリアルタイムに検出し、その位置情報を車載器同士で交換しあうことによって、自車両および他車両がそれぞれ交差点へ進入するどの道路に位置するかを判断する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−202913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IEEE802.11等の規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)では、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれるアクセス制御機能が使用されている。そのため、当該無線LANでは、複数の端末装置によって同一の無線チャネルが共有される。このようなCSMA/CAでは、端末装置間の距離や電波を減衰させる障害物の影響などによって、互いの無線信号が到達しない状況、つまりキャリア・センスが機能しない状況が発生する。キャリア・センスが機能しない場合、複数の端末装置から送信されたパケット信号が衝突する。また、通信速度を高速化するために、無線LANでは、OFDM変調方式が使用される。
【0005】
一方、無線LANを車車間通信に適用する場合、不特定多数の端末装置へ情報を送信する必要があるために、信号はブロードキャストにて送信されることが望ましい。しかしながら、交差点などでは、車両数の増加、つまり端末装置数の増加によって、パケット信号の衝突の増加が想定される。その結果、パケット信号に含まれたデータが他の端末装置へ伝送されなくなる。このような状態が、車車間通信おいて発生すれば、交差点の出会い頭の衝突事故を防止するという目的が達成されなくなる。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、通信量が増加した場合であってもパケット信号の衝突確率を低減させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の無線装置は、搬送波感知多重アクセス方式にてパケット信号を報知するまでの時間間隔を設定する制御部と、制御部において設定した時間間隔にてパケット信号を報知する通信部とを備える。通信部は、無線装置間の通信を制御するアクセス制御装置から所定の頻度で報知される制御信号を受信し、制御部は、通信部において制御信号を受信可能な場合の時間間隔を、残りの場合の時間間隔よりも短くする。
【0008】
本発明の別の態様もまた、無線装置である。この装置は、複数のスロットにて形成された第1期間と、所定の長さを有した第2期間とを含んだフレームが繰り返されるように規定され、第1期間と第2期間とのうちの第1期間における複数のスロットの中から、複数の他の無線装置間の通信に使用可能なスロットを検出する検出部と、検出部において検出したスロットに関する情報を報知する報知部とを備える。検出部における第2期間では、複数の他の無線装置によって搬送波感知多重アクセス方式がなされており、報知部は、搬送波感知多重アクセス方式において送信までの時間間隔を導出させるためのパラメータも報知しており、報知しているパラメータによって導出される時間間隔が、他の無線装置が予め記憶しているパラメータによって導出される時間間隔よりも短くする。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、報知方法である。この方法は、搬送波感知多重アクセス方式にてパケット信号を報知するまでの時間間隔を設定するステップと、設定した時間間隔にてパケット信号を報知するステップとを備える。設定するステップは、無線装置間の通信を制御するアクセス制御装置から所定の頻度で報知される制御信号を受信可能の時間間隔を、残りの場合の時間間隔よりも短くする。
【0010】
本発明のさらに別の態様もまた、報知方法である。この方法は、複数のスロットにて形成された第1期間と、所定の長さを有した第2期間とを含んだフレームが繰り返されるように規定され、第1期間と第2期間とのうちの第1期間における複数のスロットの中から、複数の他の無線装置間の通信に使用可能なスロットを検出するステップと、検出したスロットに関する情報を報知するステップとを備える。検出するステップにおける第2期間では、複数の他の無線装置によって搬送波感知多重アクセス方式がなされており、報知するステップは、搬送波感知多重アクセス方式において送信までの時間間隔を導出させるためのパラメータも報知しており、報知しているパラメータによって導出される時間間隔が、他の無線装置が予め記憶しているパラメータによって導出される時間間隔よりも短くする。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、通信量が増加した場合であってもパケット信号の衝突確率を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】図1のアクセス制御装置の構成を示す図である。
【図3】図3(a)−(d)は、図2のフレーム規定部において規定されるフレームのフォーマットを示す図である。
【図4】図4(a)−(b)は、図1の通信システムにおいて使用されるOFDMシンボルのフォーマットを示す図である。
【図5】図1の車両に搭載された端末装置の構成を示す図である。
【図6】図1の通信システムの動作概要を示す図である。
【図7】図1の通信システムの別の動作概要を示す図である。
【図8】図2のアクセス制御装置における空きスロットの通知手順を示すフローチャートである。
【図9】図2のアクセス制御装置における衝突スロットの通知手順を示すフローチャートである。
【図10】図5の端末装置における第1期間あるいは第2期間の決定手順を示すフローチャートである。
【図11】図5の端末装置におけるデータの送信手順を示すフローチャートである。
【図12】図5の端末装置におけるデータの別の送信手順を示すフローチャートである。
【図13】図5の端末装置におけるデータのさらに別の送信手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、車両に搭載された端末装置間においてデータ通信を実行する通信システムに関する。端末装置は、車両の速度や位置等の情報(以下、これらを「データ」という)を格納したパケット信号をブロードキャスト送信する。また、他の端末装置は、パケット信号を受信するとともに、データをもとに車両の接近等を認識する。ここで、端末装置は、通信速度の高速化を目的としてOFDM変調方式を採用する。このような状況のもと、交差点等において、端末装置の数が増加すると、パケット信号の発生確率が増加する。これに対応するために、本実施例に係る通信システムは、次の処理を実行する。
【0015】
本実施例に係る通信システムは、複数の端末装置の他にアクセス制御装置を含み、アクセス制御装置は、例えば、交差点に設置される。アクセス制御装置は、第1期間と第2期間とによって形成されたフレームを繰り返し規定する。ここで、第1期間には、複数のスロットが含まれる。アクセス制御装置は、第1期間において各スロットでの受信電力を測定することによって、複数の端末装置間の通信に使用されてないスロット(以下、「空きスロット」という)を特定する。また、アクセス制御装置は、フレームの構成情報や特定したスロットに関する情報を制御情報に含め、制御情報を格納したパケット信号(以下、これを「制御情報」ということもある)をひとつのスロットにてブロードキャスト送信する。ここで、ひとつのスロットは、予め定められているものとする。端末装置は、制御情報をもとに、空きスロットのいずれかを選択し、選択したスロットにおいて、データを格納したパケット信号(以下、これを「データ」ということもある)をブロードキャスト送信する。なお、端末装置は、複数のフレームにわたってデータを送信する場合、各フレームでの相対的なタイミングが同一のスロットを使用する。
【0016】
アクセス制御装置は、各スロットにおいて、複数の端末装置から送信されたパケット信号が衝突しているかも測定することによって、衝突が発生しているスロット(以下、「衝突スロット」という)を特定する。また、アクセス制御装置は、特定したスロットに関する情報も制御情報に含める。端末装置は、制御情報をもとに、既に使用したスロットにおいて衝突が発生しているかを確認する。衝突が発生している場合、端末装置は、制御情報をもとに、別の空きスロットのいずれかを選択する。ここで、アクセス制御装置は、端末装置間のデータ通信に直接関与せず、データ通信に使用すべきスロットを直接指定しない。あくまでも、アクセス制御装置は、端末装置間のデータ通信の状況を監視し、空きスロットや衝突スロットの情報を報知している。アクセス制御装置は、このような処理によって、端末装置間の通信を制御する。
【0017】
なお、制御情報もひとつのスロットにて送信されているので、制御情報を受信できない端末装置から送信されたデータと、制御情報とが衝突する可能性がある。その結果、他の端末装置が制御情報を受信できないと、上記の処理の実行が困難になる。これに対応するために、データを送信するために使用されるOFDM信号では、一部のサブキャリアにデータが格納されず、ヌルキャリアとされている(以下、このようなサブキャリアを「識別キャリア」という)。一方、制御情報を送信するために使用されるOFDM信号では、識別キャリアにも信号が配置されている。そのため、仮に、データと制御情報とが衝突した場合であっても、端末装置は、識別キャリアの信号成分を観測することによって、制御情報の存在を検知することができる。
【0018】
さらに、第1期間に含まれるスロット数と比較して端末装置数が多くなると、空きスロット数が少なくなって、衝突が発生しやすくなるおそれがある。一方、交通事故の防止という観点から考えると、交差点に近い端末装置から送信されるデータの方が、交差点に遠い端末装置から送信されるデータよりも重要であるといえる。以上の点を考慮して、アクセス制御装置は、交差点に近い端末装置に対して、第1期間でのスロットを使用させ、交差点から遠い端末装置に対して、第2期間にてCSMA/CAを実行させる。その結果、第1期間での衝突確率は、第2期間での衝突確率よりも低くなり、重要なデータに対する衝突確率の増加が抑制される。
【0019】
前述のごとく、交差点から遠い端末装置(以下、「CSMA端末装置」という)は、第2期間にてCSMA/CAを実行する。また、アクセス制御装置からの制御情報を受信できないような端末装置、つまり交差点からさらに遠い端末装置(以下、「エリア外端末装置」という)は、第2期間に関係なくCSMA/CAを実行する。そのため、CSMA端末装置とエリア外端末装置は、ともにCSMA/CAを実行しているのにもかかわらず、CSMA端末装置の送信機会は、エリア外端末装置の送信機会よりも少なくなる。その結果、CSMA端末装置のスループットが、エリア外端末装置でのスループットと比較して、極端に低くなるおそれがある。また、エリア外端末装置は、フレームの構成に関係なくパケット信号を送信するので、CSMA端末装置だけではなく、第1期間にてデータを送信する端末装置の通信も妨げるおそれがある。このようなエリア外端末装置が存在する場合であっても、通信システムのスループットの悪化を低減するために、本実施例に係る通信システムは、さらに次の処理を実行する。
【0020】
CSMA端末装置およびエリア外端末装置において実行されるCSMA/CAでは、DIFS(Distributed Inter Frame Space)、CW(Contention Window)の値が規定される。なお、DIFSの代わりに、SIFS、PIFSなどのIFSが使用されてもよいが、ここでは、説明を簡易にするために、DIFSを説明の対象とする。ここで、第1期間におけるエリア外端末装置からのパケット信号を検出したCSMA端末装置は、DIFS、CWの値として、「第1DIFS」、「第1CW」を設定する。ここで、エリア外端末装置は、DIFS、CWの値として、「第2DIFS」、「第2CW」を設定しており、「第1DIFS」、「第1CW」は、「第2DIFS」、「第2CW」と互いに異なるように規定されている。特に、第1DIFS、第1CWは、第2DIFS、第2CWよりも小さい値として規定される。
【0021】
そのため、CSMA端末装置での送信までの待ち期間は、エリア外端末装置での送信までの待ち期間よりも短くなる傾向にある。その結果、前者は、第2期間において、後者よりも優先的にデータを送信しやすくなり、CSMA端末装置のスループットの低下が抑制される。ここで、CSMA端末装置は、エリア外端末装置に対して第2期間を通知することにより、エリア外端末装置に第2期間での送信を実行させる。その結果、第1期間にてデータを送信する端末装置の通信へのエリア外端末装置による影響が低減される。
【0022】
図1は、本発明の実施例に係る通信システム100の構成を示す。これは、ひとつの交差点を上方から見た場合に相当する。通信システム100は、アクセス制御装置10、車両12と総称される第1車両12a、第2車両12b、第3車両12c、第4車両12d、第5車両12e、第6車両12f、第7車両12g、第8車両12h、第9車両12iを含む。なお、各車両12には、図示しない端末装置が搭載されている。また、アクセス制御装置10によって第1エリア200、第2エリア202が形成されている。なお、第2エリア202は、交差点を中心として、第1エリア200の外側に形成されている。
【0023】
図示のごとく、図面の水平方向、つまり左右の方向に向かう道路と、図面の垂直方向、つまり上下の方向に向かう道路とが中心部分で交差している。ここで、図面の上側が方角の「北」に相当し、左側が方角の「西」に相当し、下側が方角の「南」に相当し、右側が方角の「東」に相当する。また、ふたつの道路の交差部分が「交差点」である。第1車両12a、第2車両12bが、左から右へ向かって進んでおり、第3車両12c、第4車両12dが、右から左へ向かって進んでいる。また、第5車両12e、第6車両12fが、上から下へ向かって進んでおり、第7車両12g、第8車両12h、第9車両12iが、下から上へ向かって進んでいる。
【0024】
各車両12に搭載された端末装置は、データを取得し、データが格納されたパケット信号をブロードキャスト送信する。ここで、本発明の実施例を説明する前に、端末装置が公知の無線LANに対応する場合、つまりCSMA/CAに対応する場合の動作を説明する。各端末装置は、キャリアセンスを実行して送信可能であると判定した場合に、データをブロードキャスト送信する。そのため、複数の端末装置からのデータが衝突する場合がある。また、端末装置の数が増加するにつれて、衝突の発生確率が増加する。特に、交差点のような場所では、車両12の衝突が発生しやすいにもかかわらず、データの衝突も発生しやすくなり、データを必要とするような場所においてデータの利用がなされなくなる。
【0025】
そこで、通信システム100は、交差点にアクセス制御装置10を配置する。アクセス制御装置10は、図示しないGPS衛星から受信した信号をもとに、フレームが繰り返されるように生成する。ここで、フレームは、第1期間と第2期間によって形成されており、第1期間には、複数のスロットが含まれる。また、アクセス制御装置10は、複数のスロットの中から、空きスロットと衝突スロットとを特定する。なお、空きスロットと衝突スロットとの特定方法は、後述する。アクセス制御装置10は、特定した空きスロットと衝突スロットに関する情報を制御情報に含める。さらに、アクセス制御装置10は、予め定められたスロットにて制御情報を報知する。例えば、各第1期間の先頭スロットにおいて、アクセス制御装置10は、制御情報を報知する。
【0026】
アクセス制御装置10によって形成された第1エリア200に存在する複数の端末装置は、アクセス制御装置10によって報知された制御情報を受信し、空きスロットのいずれかを選択する。また、端末装置は、選択したスロットにてデータを報知する。ここで、端末装置は、複数のフレームにわたって、選択したスロットに対応したスロットにてデータを報知する。例えば、第1期間の先頭から10番目のスロットを選択した場合、次のフレームにおいても、第1期間の先頭から10番目のスロットを使用する。なお、制御情報において、使用していたスロットが衝突スロットであると示されていれば、端末装置は、別の空きスロットをさらに選択する。端末装置は、第1エリア200に存在する期間にわたって、上記の処理を繰り返し実行する。
【0027】
一方、アクセス制御装置10によって形成された第2エリア202に存在する複数の端末装置は、第2期間において、CSMA/CAによる通信を実行する。このような端末装置が、前述のCSMA端末装置に相当する。ここで、端末装置は、アクセス制御装置10からの制御情報の受信電力に応じて、第1期間にて通信を実行すべきか、あるいは第2期間において通信を実行すべきかを決定する。端末装置は、アクセス制御装置10によって報知された制御情報を受信できている期間にわたって、上記の処理を繰り返し実行する。つまり、端末装置は、制御情報を監視しており、制御情報を受信できたときに、第2エリア202に進入したことを検出する。また、当該端末装置は、制御情報の受信電力が大きくなった場合に、第1エリア200に進入したことを検出する。他の端末装置からのデータを受信した端末装置は、データをもとに、他の端末装置が搭載された車両12の存在を認識する。
【0028】
また、第9車両12iのごとく、第2エリア202の外部に存在する端末装置は、アクセス制御装置10からの制御情報を受信できない。このような端末装置が、前述のエリア外端末装置に相当する。そのため、エリア外端末装置は、第1期間、第2期間のタイミングを認識できない。その際、エリア外端末装置は、すべての期間において、CSMA/CAによる通信を実行する。CSMA/CAにおいて、DIFSやCWによって、送信までの待ち期間が制御される。
【0029】
ここで、アクセス制御装置10から報知される制御情報と、端末装置から報知されるデータとは、ともにOFDM信号を使用する。しかしながら、両者の配置されているサブキャリアは、同一ではない。データは、前述の識別キャリアに配置されていない。一方、識別情報は、データが配置されたサブキャリアに加えて、識別キャリアにも配置される。その結果、仮に、データと識別情報とが衝突した場合であっても、端末装置は、識別キャリアの信号成分を観測することによって、制御情報の存在を検知できる。なお、前述の端末装置による第2エリア202への進入検出は、識別キャリアに対してなされてもよい。
【0030】
図2は、アクセス制御装置10の構成を示す。アクセス制御装置10は、アンテナ20、RF部22、変復調部24、処理部26、GPS測位部28、制御部30を含む。また、処理部26は、検出部32、フレーム規定部34、生成部36を含み、検出部32は、電力測定部38、品質測定部40、空きスロット特定部42、衝突スロット特定部44を含む。
【0031】
GPS測位部28は、図示しないGPS衛星からの信号を受信し、受信した信号をもとに時刻の情報を取得する。なお、時刻の情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。GPS測位部28は、時刻の情報をフレーム規定部34へ出力する。フレーム規定部34は、GPS測位部28から時刻の情報を取得する。フレーム規定部34は、時刻の情報をもとに、複数のフレームを生成する。例えば、フレーム規定部34は、「0msec」となるタイミングを基準にして、「1sec」の期間を10分割することによって、「100msec」のフレームを10個生成する。このような処理を繰り返すことによって、フレームが繰り返されるように規定される。
【0032】
また、フレーム規定部34は、第1期間と第2期間とに各フレームを分割する。ここで、第1期間と第2期間との長さについては後述する。フレーム規定部34は、第1期間を複数に分割することによって、複数のスロットを生成する。例えば、第1期間が「50msec」であり、スロットが「500μsec」である場合、100個のスロットが生成される。そのような場合、第2期間は、「50msec」のように、所定の長さを有した期間として規定される。前述のごとく、通信システム100は、OFDM変調方式を採用しているので、各スロットは、複数のOFDMシンボルから構成されるように規定される。また、OFDMシンボルは、ガードインターバル(GI)と有効シンボルとによって構成される。なお、各スロットの前方の部分や後方の部分にガードタイムが設けられてもよい。ここで、スロットに含まれた複数のOFDMシンボルのまとまりや、第2期間にて送信される信号が、前述のパケット信号に相当する。なお、第2期間では、図示しない複数の端末装置によってCSMA/CAが実行されている。
【0033】
図3(a)−(d)は、フレーム規定部34において規定されるフレームのフォーマットを示す。図3(a)は、フレームの構成を示す。図示のごとく、第iフレームから第i+2フレームのように、複数のフレームが繰り返されるように規定されている。また、各フレームの期間は、例えば、「100msec」である。図3(b)は、ひとつのフレームの構成を示す。図示のごとく、ひとつのフレームは、第1期間と第2期間によって構成されており、さらに第1期間は、M個のスロットによって構成されている。例えば、各スロットの期間は「500μsec」である。図3(c)は、ひとつのスロットの構成を示す。図示のごとく、スロットの前方の部分と後方の部分とにガードタイムが設けられている。また、スロットの残りの期間は、N個のOFDMシンボルによって構成されている。図3(d)は、ひとつのOFDMシンボルの構成を示す。図示のごとく、ひとつのOFDMシンボルは、GIと有効シンボルによって構成されている。図2に戻る。
【0034】
RF部22は、受信処理として、第1期間の各スロットあるいは第2期間において、図示しない他の端末装置間の通信において送信されるパケット信号をアンテナ20から受信する。RF部22は、アンテナ20を介して受信した無線周波数のパケット信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドのパケット信号を生成する。さらに、RF部22は、ベースバンドのパケット信号を変復調部24に出力する。一般的に、ベースバンドのパケット信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線が示されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。
【0035】
また、RF部22には、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサ、AGC、A/D変換部も含まれる。RF部22は、送信処理として、第1期間の各スロットあるいは第2期間において、変復調部24から入力したベースバンドのパケット信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケット信号を生成する。さらに、RF部22は、無線周波数のパケット信号をアンテナ20から送信する。また、RF部22には、PA(Power Amplifier)、ミキサ、D/A変換部も含まれる。
【0036】
変復調部24は、受信処理として、RF部22からのベースバンドのパケット信号に対して、復調を実行する。さらに、変復調部24は、復調した結果を処理部26に出力する。また、変復調部24は、送信処理として、処理部26からのデータに対して、変調を実行する。さらに、変復調部24は、変調した結果をベースバンドのパケット信号としてRF部22に出力する。ここで、通信システム100は、OFDM変調方式に対応するので、変復調部24は、受信処理としてFFT(Fast Fourier Transform)も実行し、送信処理としてIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)も実行する。
【0037】
電力測定部38は、RF部22あるいは変復調部24から、受信信号を受けつけ、受信電力を測定する。ここで、受信電力はスロット単位に測定される。そのため、電力測定部38では、複数のスロットのそれぞれに対する受信電力が測定される。電力測定部38は、スロット単位の受信電力を空きスロット特定部42、衝突スロット特定部44へ出力する。品質測定部40は、変復調部24からの復調結果を受けつけ、複数のスロットのそれぞれに対する信号品質を測定する。ここでは、信号品質として誤り率が測定される。なお、誤り率の測定には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。また、信号品質として、誤り率の代わりに、EVM(Error Vector Magnitude)等が測定されてもよい。品質測定部40は、誤り率を衝突スロット特定部44へ出力する。
【0038】
空きスロット特定部42は、電力測定部38から、スロット単位の受信電力を受けつける。空きスロット特定部42は、各受信電力としきい値(以下、「空きスロット用しきい値」という)を比較し、受信電力が空きスロット用しきい値よりも小さくなっているスロットを特定する。つまり、空きスロット特定部42は、第1期間と第2期間とのうちの第1期間における複数のスロットの中から、複数の端末装置間の通信に使用可能なスロットを空きスロットとして検出する。ここで、空きスロットが複数存在する場合、空きスロット特定部42は、それらを特定する。空きスロット特定部42は、特定した空きスロットに関する情報を生成部36へ出力する。
【0039】
衝突スロット特定部44は、電力測定部38から、スロット単位の受信電力を受けつけ、品質測定部40から、スロット単位の誤り率を受けつける。また、衝突スロット特定部44は、スロット単位に、受信電力と誤り率とを関連づける。衝突スロット特定部44は、スロット単位に、受信電力と第1しきい値とを比較するとともに、誤り率と第2しきい値とを比較する。衝突スロット特定部44は、受信電力が第1しきい値よりも大きく、かつ誤り率が第2しきい値より悪化しているスロットを衝突スロットとして特定する。つまり、衝突スロット特定部44は、受信電力が大きいものの通信品質が悪化しているスロットを衝突スロットとして認定する。このように、衝突スロット特定部44は、第1期間と第2期間とのうちの第1期間における複数のスロットの中から、複数の端末装置が信号を重複して送信したことによって衝突が発生したスロットを衝突スロットとして検出する。衝突スロット特定部44は、特定した衝突スロットに関する情報を生成部36へ出力する。
【0040】
生成部36は、空きスロット特定部42から、空きスロットに関する情報を受けつけるとともに、衝突スロット特定部44から、衝突スロットに関する情報を受けつける。生成部36は、空きスロットに関する情報、アクセス制御装置10の識別番号を含めながら、制御情報を生成する。また、生成部36は、第2期間におけるCSMA/CAでの送信までの期間を導出するためのパラメータも記憶する。例えば、パラメータには、DIFS、CWが含まれる。DIFSとは、IFSのうちのひとつであり、チャネルがアイドル状態かどうかを判定するために規定される期間である。
【0041】
また、CWは、バックオフ期間を導出するために使用される値であり、バックオフ期間は、乱数値に一定期間を乗算することによって導出される。ここで、乱数値は0〜CWの範囲から生成されるランダムな整数である。また、DIFSとバックオフ期間との和が、CSMA/CAでの送信までの期間に相当する。ここでは、生成部36に記憶されたDIFSが第1DIFSに相当し、生成部36に記憶されたCWが第1CWに相当する。なお、図示しない端末装置は、第2DIFSと第2CWとを予め記憶するが、第1DIFSと第2CWは、第2DIFSと第2CWよりも小さな値である。
【0042】
ここで、第1期間に含まれた複数のスロットのそれぞれには、前から順番に「1」、「2」となるような番号(以下、「スロット番号」という)が付与されている。生成部36は、空きスロットに関する情報として、以前のフレームに含まれた空きスロットのスロット番号を制御情報に含める。また、生成部36は、衝突スロットに関する情報として、以前のフレームに含まれた衝突スロットのスロット番号を制御情報に含める。これらに加えて、フレーム規定部34は、第1DIFSと第1CW(以下、「パラメータ」と総称する)を制御情報に含める。さらに、生成部36は、フレーム規定部34からフレーム、スロットに関する情報を受けつけ、各第1期間に含まれたひとつのスロットへ定期的に制御情報を割り当てる。ここでは、各第1期間のスロット番号「1」のスロット、つまり先頭のスロットに制御情報を割り当てることが予め定められており、生成部36は、当該スロットへ制御情報を割り当てる。生成部36は、割り当てたスロットにて、変復調部24へ制御情報を出力する。
【0043】
前述のごとく、通信システム100は、OFDM変調方式に対応しているので、生成部36は、制御情報をOFDM信号として生成する。なお、図示しない複数の端末装置間のデータ通信にもOFDM信号が使用されている。ここでは、制御情報を配置させるOFDM信号(以下、これも「制御情報」ということがある)と、データを配置させるOFDM信号(以下、これも「データ」ということがある)とを比較しながら説明する。図4(a)−(b)は、通信システム100において使用されるOFDMシンボルのフォーマットを示す。図4(a)は、制御情報に相当し、図4(b)は、データに相当する。
【0044】
ここで、両方において、縦の方向が周波数を示し、横の方向が時間を示す。縦の方向において、上から順に「31」、「30」、・・・「−32」の番号が示されているが、これらはサブキャリアを識別するために付与された番号(以下、「サブキャリア番号」という)である。また、OFDM信号の中において、サブキャリア番号「31」のサブキャリアの周波数が最も高く、サブキャリア番号「−32」のサブキャリアの周波数が最も低い。また、図中の「D」は、データシンボルに相当し、「P」は、パイロットシンボルに相当し、「N」は、ヌルに相当する。
【0045】
制御情報とデータとに共通して、サブキャリア番号「31」から「27」、「2」、「0」、「−2」、「−26」から「−32」のサブキャリアは、ヌルである。また、制御情報のうち、サブキャリア番号「26」から「3」、「−3」から「−25」のサブキャリアは、データでも使用されており、また、両者においてシンボルの用途も同一である。一方、制御情報のうち、サブキャリア番号「1」、「−1」は、データにて使用されていない。これらは、前述の識別キャリアに相当する。つまり、識別キャリアは、OFDM信号のうちの中央の周波数付近のサブキャリアに配置されている。さらに、制御情報のうち、データでも使用されるサブキャリアと、識別キャリアとの間、つまりサブキャリア番号「2」、「−2」には、ガードバンドが設けられてる。なお、サブキャリア番号「−2」から「2」のサブキャリアをまとめて「識別キャリア」と呼んでもよい。
【0046】
ここで、生成部36は、制御情報のうちの識別キャリア以外のサブキャリアに、空きスロットに関する情報および衝突スロットに関する情報を配置する。また、生成部36は、フレームに関する情報を識別キャリアに配置する。また、生成部36は、これらの情報に限られず、重要度の高い情報を識別キャリアに優先的に配置してもよい。制御情報に含められる情報の一例は、アクセス制御装置10の緯度・経度、アクセス制御装置10の識別番号である。また、パケット信号の前方のOFDMシンボルには、既知信号が配置される。このような既知信号は、端末装置におけるAGCや、伝送路特性の推定に使用される。生成部36は、所定のスロットのうちの一部の期間にわたって、識別キャリアに既知信号を配置してもよい。このような既知信号は、例えば、UW(Unique Word)のように使用される。図2に戻る。
【0047】
変復調部24、RF部22は、生成部36において生成した制御情報をアンテナ20から報知する。なお、制御情報に含まれた空きスロットに関する情報および衝突スロットに関する情報に応じたスロットを使用している端末装置は、複数のフレームにわたって、当該スロットに対応したスロットを使用する。例えば、スロット番号「10」のスロットが継続的に使用される。制御部30は、アクセス制御装置10全体の処理を制御する。
【0048】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0049】
図5は、車両12に搭載された端末装置14の構成を示す。端末装置14は、アンテナ50、RF部52、変復調部54、処理部56、制御部58を含む。また、処理部56は、タイミング特定部60、取得部62、生成部64、通知部70を含み、タイミング特定部60は、制御情報抽出部66、決定部80、比較部86、測定部88を含む。さらに、決定部80は、パラメータ受付部94、期間導出部96を含む。アンテナ50、RF部52、変復調部54は、図2のアンテナ20、RF部22、変復調部24と同様の処理を実行する。そのため、ここでは、これらの説明を省略する。
【0050】
取得部62は、図示しないGPS受信機、ジャイロスコープ、車速センサ等を含んでおり、それらから供給されるデータによって、図示しない車両12、つまり端末装置14が搭載された車両12の存在位置、進行方向、移動速度等を取得する。なお、存在位置は、緯度・経度によって示される。これらの取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。取得部62は、取得した情報を生成部64へ出力する。
【0051】
制御情報抽出部66は、変復調部54からの復調結果を受けつける。また、制御情報抽出部66は、復調結果のうち、識別キャリアに対応したサブキャリアの部分を監視する。識別キャリアに対応したサブキャリアの部分に有効なデータが含まれている場合、制御情報抽出部66は、制御情報が含まれたスロットを受信していることを認識する。また、制御情報抽出部66は、制御情報が含まれたスロットを受信しているタイミングを基準として、フレームおよびスロットの同期を確立する。その結果、制御情報抽出部66は、図示しないアクセス制御装置10から所定の頻度で報知される制御情報を受信する。
【0052】
さらに、制御情報抽出部66は、制御情報から、空きスロットに関する情報および衝突スロットに関する情報を取得する。また、制御情報抽出部66は、制御情報から、パラメータ、図示しないアクセス制御装置10の識別番号も取得する。制御情報抽出部66は、空きスロットに関する情報、衝突スロットに関する情報、決定部80へ出力し、パラメータをパラメータ受付部94へ出力し、識別番号を決定部80経由で生成部64へ出力する。
【0053】
測定部88は、RF部52あるいは変復調部54から、制御情報の受信信号を受けつけ、受信電力を測定する。測定部88は、受信電力を比較部86へ出力する。比較部86は、測定部88から受信電力を受けつけるとともに、エリア決定用しきい値を予め保持する。比較部86は、受信電力とエリア決定用しきい値とを比較し、受信電力がエリア決定用しきい値よりも大きければ、第1期間の使用を決定する。一方、比較部86は、受信電力がエリア決定用しきい値よりも大きくなければ、第2期間の使用を決定する。比較部86は、決定した内容を決定部80へ出力する。
【0054】
決定部80は、比較部86から、比較部86において決定された内容を受けつける。また、決定部80は、制御情報抽出部66から、空きスロットに関する情報および衝突スロットに関する情報を受けつける。まず、決定部80は、比較部86からの情報をもとに、第1期間を使用すべきか、第2期間を使用すべきかを把握する。なお、決定部80は、比較部86からの情報を受けつけていない場合、つまり制御情報を受信していない場合に、第1期間および第2期間に関係なく、CSMA/CAの実行(以下、「エリア外動作」という)を決定する。ここでは、(1)第1期間を使用する場合、(2)第2期間を使用する場合、(3)エリア外動作を実行する場合の順に説明する。
【0055】
(1)第1期間を使用する場合
決定部80は、空きスロットに関する情報をもとに、ひとつの空きスロットを選択する。なお、空きスロットの選択は、任意になされればよい。決定部80は、選択した空きスロットに関する情報を生成部64へ出力する。生成部64は、取得部62からの情報を受けつける。生成部64は、情報をもとにデータを生成する。ここで、データは、図4(b)のように形成される。また、生成部64は、決定部80から、空きスロットに関する指示を受けつけ、指示に応じた空きスロットにてデータを変復調部54へ出力する。なお、データを出力する前に、処理部56は、キャリアセンスを実行してもよい。また、生成部64は、次のフレームの第1期間においても、同一のスロット番号のスロットにおいてデータを出力する。その際、生成部64は、受信した制御情報に含まれた識別番号をデータに含めてもよい。
【0056】
このような処理の継続中も、制御情報抽出部66は、フレームごとに制御情報から、空きスロットに関する情報および衝突スロットに関する情報を取得し続ける。決定部80は、衝突スロットに関する情報をもとに、現在使用しているスロットに対応したスロット番号が衝突スロットとされていないかを確認する。衝突スロットとされていなければ、決定部80は、これまでと同一のスロット番号を生成部64へ出力し続ける。一方、衝突スロットとされていれば、決定部80は、空きスロットに関する情報をもとに、ひとつの空きスロットを再び選択する。つまり、これまで選択していたスロットとは別のスロットが選択される。決定部80は、選択した空きスロットに関する情報を生成部64へ出力する。以下、生成部64では、同様の処理が実行される。
【0057】
(2)第2期間を使用する場合
次に、第2期間を使用する場合を説明する。パラメータ受付部94は、制御情報抽出部66からパラメータを受けつける。パラメータ受付部94は、パラメータを期間導出部96へ導出する。期間導出部96は、第2DIFSと第2CWとを予め記憶し、第2DIFSと第2CWとをもとに、パケット信号を送信するまでの待ち期間を導出する。なお、待ち期間の導出には、公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。また、期間導出部96は、パラメータ受付部94からパラメータを受けつけた場合、パラメータに対応した第1DIFSと第1CWとをもとに、パケット信号を送信するまでの待ち期間を導出する。パケット信号を送信するまでの待ち期間は、DIFSとバックオフ期間によって特定されるが、ここでは説明を省略する。
【0058】
ここで、期間導出部96は、制御情報を受信可能な場合において、第1DIFSと第1CWとを優先的に使用し、残りの場合において、第2DIFSと第2CWとを使用する。そのため、第2期間を使用する場合では、第1DIFSと第1CWとが使用される。また、第1DIFSと第1CWとは、第2DIFSと第2CWよりもそれぞれ小さな値にされる。これは、制御情報を受信可能な場合の待ち期間を、残りの場合の待ち期間よりも短くすることに相当する。期間導出部96は、導出した期間を生成部64へ出力する。つまり、期間導出部96は、CSMAにてパケット信号を送信するまでの待ち期間を生成部64に設定する。
【0059】
処理部56は、第2期間においてキャリアセンスを実行する。キャリアセンスの結果、データを送信できる場合、生成部64は、期間導出部96において設定された期間にて、データを変復調部54へ出力する。ここでも、生成部64は、受信した制御情報に含まれた識別番号をデータに含めてもよい。その結果、変復調部54、RF部52、アンテナ50は、CSMA/CAを実行すべき第2期間にわたって、期間導出部96において設定した期間によりパケット信号を報知する。通知部70は、図示しない他の端末装置14からのデータを取得し、データの内容に応じて、図示しない他の車両12の接近等を運転者へ通知する。通知部70での処理は、これに限定されない。
【0060】
第2期間において、前述の説明とは別の処理がなされてもよい。例えば、第2期間を使用する場合であっても、期間導出部96は、制御情報を受信していない場合と同様に、第2DIFSと第2CWとを使用して、パケット信号を送信するまでの待ち期間を導出する。また、処理部56は、第1期間において、制御情報に含まれた情報にしたがわずに報知された他の端末装置14からのパケット信号の受信を検出する。当該パケット信号は、前述のエリア外端末装置からのパケット信号に相当する。このようなエリア外端末装置の動作については後述するが、エリア外端末装置は、一般的にフレームの構成を把握していない。
【0061】
そのため、エリア外端末装置は、第1期間であるかに関係なく、第2DIFSおよび第2CWを使用しながら、キャリアセンスを実行して、パケット信号を送信している。処理部56は、パケット信号の受信タイミングがスロットのタイミングからずれている場合や、受信したパケット信号中にアクセス制御装置10の識別番号が含まれていない場合に、当該パケット信号の送信元が得エリア外端末装置であると認定する。処理部56は、エリア外端末装置からのパケット信号を受信した場合に、その旨を期間導出部96へ通知する。
【0062】
期間導出部96は、処理部56からの通知を受けつけた場合に、前述の説明と同様に、第1DIFSと第1CWとをもとに、パケット信号を送信するまでの待ち期間を導出する。また、生成部64、変復調部54、RF部52、アンテナ50は、第2期間にわたって、期間導出部96において設定した期間によりパケット信号を報知する。その際、生成部64は、フレームの構成に関する情報をパケット信号に含める。フレームの構成に関する情報は、例えば、現在の時刻に対する第1期間の相対的な開始時刻および終了時刻や、第2期間の相対的な開始時刻および終了時刻を含む。つまり、生成部64が、エリア外端末装置からのパケット信号を検出した場合に、生成部64等は、第2DIFSおよび第2CWを第1DIFSおよび第1CWへそれぞれ切りかえて、当該エリア外端末装置へ第2期間を少なくとも知らしめるためのパケット信号を送信する。また、期間導出部96は、パケット信号を送信した後、第2DIFSおよび第2CWを再び設定する。
【0063】
以下では、具体的な値を例示しながら、このような動作を説明する。第2DIFSが64μsecであり、第2CWが0〜16であり、スロット期間が8μsecである場合、DIFSの期間とランダムバックオフの期間との範囲は、64〜192μsecになる。一方、第1DIFSが16μsecであり、第1CWが0〜5であるように規定されると、DIFSの期間とランダムバックオフの期間との範囲は、56μsec以下になる。そのため、後者の方が前者よりも先にパケット信号を送信でき、フレーム構成を通知できる。
【0064】
(3)エリア外動作を実行する場合
さらに、エリア外動作を実行する場合を説明する。制御情報抽出部66が、所定の期間にわたって制御情報を受信できない場合に、決定部80は、エリア外動作の実行を決定する。期間導出部96は、前述のごとく、第2DIFSと第2CWとを使用して、パケット信号を送信するまでの待ち期間を導出する。処理部56は、パケットを送信するまでの待ち期間においてキャリアセンスを実行し、生成部64、変復調部54、RF部52、アンテナ50は、パケット信号を送信する。また、決定部80は、アンテナ50、RF部52、変復調部54を介して受信したパケット信号の中に、フレーム構成に関する情報が含まれていれば、当該情報を抽出する。決定部80は、当該情報をもとに、第2期間を特定し、パケット信号の送信タイミングを第2期間に限定するように、生成部64等を制御する。制御部58は、端末装置14全体の動作を制御する。
【0065】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図6は、通信システム100の動作概要を示す。図中において、第1端末装置14aから第4端末装置14dが示されているが、これらと、図1の第1車両12aから第4車両12dの位置とは関係がないものとする。また、第2端末装置14bは、図1の第2エリア202に存在する。図の横方向が時間に相当しており、最上段に記載しているように、第iフレームから第i+2フレームまでの3つのフレームが示されている。また、説明を明瞭にするために、ひとつのフレームには、12個のスロットと第2期間が含まれているとする。アクセス制御装置10は、図示のごとく、各フレームの先頭のスロットにて、制御情報を報知する。図中の「制」は、制御情報に相当する。また、その下段には、制御情報に含まれている空きスロットに関する情報と衝突スロットに関する情報が、スロットに対応づけられながら示されている。図中の「空」は、空きスロットに相当し、「衝」は、衝突スロットに相当する。
【0066】
さらに下段には、第1端末装置14aから第4端末装置14dがデータを報知するタイミングが示されている。図中の「デ」は、データに相当する。第1端末装置14a、第3端末装置14c、第4端末装置14dは、制御情報を参照し、空きスロットをそれぞれ選択する。第iフレームにおいて、第1端末装置14a、第3端末装置14c、第4端末装置14dは、選択した空きスロットにてデータを報知する。その際、第3端末装置14cと第4端末装置14dにおいて選択された空きスロットが同一であるので、両者から報知されたデータが衝突している。アクセス制御装置10は、当該スロットでの衝突の発生を検出する。第i+1フレームにおいて、アクセス制御装置10から報知される制御情報には、衝突スロットに関する情報として、衝突が発生したスロットが示されている。一方、第2端末装置14bは、第2期間において、CSMA/CAをもとにデータを報知する。
【0067】
第1端末装置14aは、既に使用したスロットにおいて衝突が発生していないので、同一のスロット番号のスロットを再び使用する。一方、第3端末装置14cおよび第4端末装置14dは、既に使用したスロットにおいて衝突が発生しているので、別の空きスロットを再び選択する。第3端末装置14cおよび第4端末装置14dは、選択した空きスロットにてデータを報知する。すべてのデータが衝突していないので、第i+2フレームにおいて、アクセス制御装置10から報知される制御情報には、衝突スロットが示されていない。そのため、第i+2フレームにおいて、第1端末装置14a、第3端末装置14c、第4端末装置14dは、既に使用したスロットと同一のスロット番号のスロットを再び使用する。
【0068】
図7は、通信システム100の別の動作概要を示す。図7は、図6と同様に示されている。最上段には、複数のスロットにて構成された第1期間と、第2期間とが含まれたフレームが示されている。ここでは、制御情報が省略されている。また、その下段は、第1端末装置14aがデータを報知するタイミングを示す。ここで、第1端末装置14aは、第1期間にて動作すべき端末装置14である。また、その下段は、第2端末装置14bがデータを報知するタイミングを示す。ここで、第2端末装置14bは、前述のCSMA端末装置に相当する。さらに、最下段は、第3端末装置14cがデータを報知するタイミングを示す。ここで、第3端末装置14cは、前述のエリア外端末装置である。
【0069】
第1端末装置14aは、所定のスロットにてデータを送信する。一方、第3端末装置14cは、フレームの構成を把握していないので、スロットのタイミングに関係なく、複数のスロットをまたぐようなタイミングにてデータを送信する。第2アクセス制御装置10bは、第3端末装置14cからのデータを受信する。第1期間の最後のスロットにおいて、図示しない端末装置14がデータを送信した場合、第1端末装置14aおよび第3端末装置14cでは、第2期間の開始タイミングを起点として、第2DIFS302が設定される。
【0070】
一方、第2端末装置14bは、第3端末装置14cからのデータを受信したので、第1DIFS300およびバックオフ304が設定される。その後、第2端末装置14bは、データを送信する。当該データには、フレームの構成に関する情報および現在の時刻が含まれているので、第3端末装置14cは、第2期間が配置されたタイミングを認識する。その後、第1端末装置14aから第3端末装置14cにおいて第2DIFS302が経過した後、第3端末装置14cは、バックオフ306を待ってからデータを送信する。当該データは、第2期間において送信されている。
【0071】
図8は、アクセス制御装置10における空きスロットの通知手順を示すフローチャートである。ここでは、説明の対象を第1期間とする。検出部32は、スロット番号mを2に設定する(S10)。電力測定部38は、受信電力を測定する(S12)。空きスロット特定部42は、受信電力が空きスロット用しきい値よりも小さければ(S14のY)、スロット番号mのスロットを空きスロットと特定する(S16)。空きスロット特定部42は、受信電力が空きスロット用しきい値よりも小さくなければ(S14のN)、ステップ16の処理をスキップする。スロット番号mが最大数Mでなければ(S18のN)、検出部32は、スロット番号mに1を加算して(S20)、ステップ12に戻る。一方、スロット番号mが最大数Mであれば(S18のY)、生成部36は、空きスロットのスロット番号を制御情報に含める(S22)。変復調部24、RF部22は、制御情報を報知する(S24)。
【0072】
図9は、アクセス制御装置10における衝突スロットの通知手順を示すフローチャートである。ここでも、説明の対象を第1期間とする。検出部32は、スロット番号mを2に設定する(S40)。電力測定部38は、受信電力を測定し、品質測定部40は、誤り率を測定する(S42)。衝突スロット特定部44は、受信電力が第1しきい値より大きく、かつ誤り率が第2しきい値よりも大きければ(S44のY)、スロット番号mのスロットを衝突スロットと特定する(S46)。衝突スロット特定部44は、受信電力が第1しきい値より大きくなく、あるいは誤り率が第2しきい値よりも大きくなければ(S44のN)、ステップ46の処理をスキップする。スロット番号mが最大数Mでなければ(S48のN)、検出部32は、スロット番号mに1を加算して(S50)、ステップ42に戻る。一方、スロット番号mが最大数Mであれば(S48のY)、生成部36は、衝突スロットのスロット番号を制御情報に含める(S52)。変復調部24、RF部22は、制御情報を報知する(S54)。
【0073】
図10は、端末装置14における第1期間あるいは第2期間の決定手順を示すフローチャートである。制御情報抽出部66は、制御情報を取得する(S160)。測定部88は、受信電力を測定する(S164)。比較部86は、受信電力がエリア決定用しきい値よりも大きければ(S166のY)、第1期間の使用を決定する(S168)。決定部80は、スロットによる通信を実行する(S172)。比較部86は、受信電力がエリア決定用しきい値よりも大きくなければ(S166のN)、第2期間の使用を決定する(S174)。決定部80は、CSMA/CAによる通信を実行する(S178)。なお、ステップ160において、制御情報が取得されない場合、決定部80は、エリア外動作の実行を決定する。
【0074】
図11は、端末装置14におけるデータの送信手順を示すフローチャートである。制御情報抽出部66は、制御情報を取得する(S70)。使用すべきスロットが既に特定されていれば(S72のY)、決定部80は、当該スロットに衝突が発生していないかを確認する。衝突が発生していれば(S74のY)、決定部80は、スロットを変更する(S76)。衝突が発生していなければ(S74のN)、ステップ76はスキップされる。一方、使用すべきスロットが既に特定されていなければ(S72のN)、決定部80は、空きスロットを特定する(S78)。生成部64は、特定したスロットにてデータを送信する(S80)。
【0075】
図12は、端末装置14におけるデータの別の送信手順を示すフローチャートである。ここでは、第2期間での動作の実行あるいはエリア外動作の実行を選択する場合を説明する。制御情報抽出部66が制御情報を受信可能でなければ(S200のN)、決定部80は、第2DIFSを設定する(S202)。決定部80は、第2CWより第2バックオフ期間を設定する(S204)。処理部56が、キャリアセンスにて信号を検出しなければ(S206のN)、生成部64等は、パケット信号を報知する(S208)。処理部56が、キャリアセンスにて信号を検出すれば(S206のY)、ステップ208はスキップされる。
【0076】
一方、制御情報抽出部66が制御情報を受信可能であれば(S200のY)、パラメータ受付部94は、制御情報から第1DIFS、第1CWを抽出する(S210)。決定部80は、第1DIFSを設定する(S212)。決定部80は、第1CWより第1バックオフ期間を設定する(S214)。処理部56が、キャリアセンスにて信号を検出しなければ(S216のN)、生成部64等は、パケット信号を報知する(S218)。処理部56が、キャリアセンスにて信号を検出すれば(S216のY)、ステップ218はスキップされる。
【0077】
図13は、端末装置14におけるデータのさらに別の送信手順を示すフローチャートである。決定部80は、第2DIFS、第2CWを設定する(S230)。第1期間であり(S232のY)、エリア外からのデータを受信すれば(S234のY)、決定部80は、第1DIFS、第1CWを設定し(S236)、ステップ232へ戻る。エリア外からのデータを受信しなければ(S234のN)、ステップ232へ戻る。第1期間でなく(S232のN)、送信すべきデータがなければ(S238のN)、ステップ232へ戻る。一方、送信すべきデータがあり(S238のY)、処理部56がIPS期間内にデータの受信電力を検知しなければ(S240のN)、ステップS234へ戻る。
【0078】
処理部56がIPS期間内にデータの受信電力を検知すれば(S240のY)、期間導出部96は、ランダムバックオフ期間を生成する(S242)。処理部56が、ランダムバックオフ期間にデータの受信電力を検知しなければ(S244のN)、ステップ234へ戻る。処理部56が、ランダムバックオフ期間にデータの受信電力を検知すれば(S244のY)、生成部64等は、データを送信する(S246)。フレーム構成の通知を完了すれば(S248のY)、決定部80は、第2DIFS、第2CWを設定する(S250)。フレーム構成の通知を完了しなければ(S248のN)、ステップ250はスキップされる。
【0079】
本発明の実施例によれば、制御信号を受信できない場合におけるパケット信号を報知するまでの期間よりも、制御信号を受信可能な場合におけるパケット信号を報知するまでの期間を小さな値にするので、制御信号を受信可能な場合においてパケットを迅速に送信できる。また、アクセス制御装置からの制御情報に、第1DIFSと第1CWとが含まれるので、第1DIFSと第1CWとを自由に設定できる。また、制御信号を受信可能な場合においてパケットが迅速に送信されるので、送信期間が制限されていても、送信の機会を増加できる。エリア外端末装置からのパケット信号を検出すると、パケット信号を報知するまでの期間を短縮するので、パケット信号の送信の機会を増加できる。また、パケット信号の送信の機会が増加されるので、エリア外端末装置へフレーム構成を通知できる。
【0080】
また、第1期間に含まれた複数のスロットの中から、複数の端末装置間の通信に使用可能なスロットを報知するので、複数の端末装置間の通信における衝突の発生確率を低減できる。また、複数の端末装置間の通信における衝突の発生確率が低減されるので、通信量が増加した場合であってもパケット信号の衝突確率を低減できる。また、複数のスロットのそれぞれに対する受信電力をもとに、空きスロットを特定するので、特定を簡易に実行できる。また、以前のフレームに含まれた空きスロットの番号を報知するので、端末装置への指示を確実に実行できる。また、空きスロットを使用している端末装置は、複数のフレームにわたって、当該スロットに対応したスロットを使用するので、処理を簡易にできる。また、アクセス制御装置は、端末装置間のデータ通信に参加せず、空きスロットに関する指標を通知するだけなので、CSMA/CAを前提とした通信システムにも容易に適用できる。
【0081】
また、第1期間に含まれた複数のスロットの中から、複数の端末装置が信号を重複して送信したことによって衝突が発生したスロットを報知するので、複数の端末装置間の通信における衝突の発生確率を低減できる。また、複数のスロットのそれぞれに対する受信電力と、複数のスロットのそれぞれに対する信号品質とをもとに、衝突スロットを特定するので、特定を簡易に実行できる。また、以前のフレームに含まれた衝突スロットの番号を報知するので、端末装置への指示を確実に実行できる。また、アクセス制御装置は、端末装置間のデータ通信に参加せず、衝突スロットに関する指標を通知するだけなので、CSMA/CAを前提とした通信システムにも容易に適用できる。
【0082】
また、フレーム中に第2期間も含めることによって、重要度の高い通信と重要度の低い通信とを分離できる。また、重要度の高い通信と重要度の低い通信とが分離されるので、重要度の高い通信における衝突確率の増加を抑制できる。また、端末装置の数に応じて、第1期間の長さを調節するので、第1期間および第2期間を有効に利用できる。また、端末装置の数を受信電力によって推定するので、端末装置と直接通信していない場合であっても、端末装置の数を容易に推定できる。
【0083】
また、第1期間と第2期間とのうちの第1期間における複数のスロットを使用すべき端末装置に関する情報を報知するので、複数の端末装置を第1期間あるいは第2期間へ分配できる。また、複数の端末装置が第1期間あるいは第2期間へ分配されるので、第1期間でのパケット信号の衝突確率を低減できる。また、第1期間と第2期間とのうちの第1期間における複数のスロットを使用すべき端末装置に関する情報として、エリア決定用しきい値を使用するので、値の調節を容易に実行できる。また、エリア決定用しきい値が使用されるので、端末装置に位置の測位機能が備えられていなくても、第1期間あるいは第2期間の使用を指定できる。
【0084】
また、制御情報のうち、識別キャリアは、データに使用させず、残りのサブキャリアは、データにも使用されるので、制御情報とデータ信号とが衝突しても制御情報の信号成分を観測させることによって、制御情報の存在を検知させることができる。また、識別キャリアとそれ以外のサブキャリアとの間にガードバンドが設けられるので、両者の間の干渉を低減でき、識別キャリアで伝送している情報の到達確率を向上できる。また、識別キャリアに、重要な情報を配置するので、重要な情報の到達確率を向上できる。また、識別キャリアにUWを配置するので、識別キャリアの検出精度を向上できる。
【0085】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0086】
本発明の実施例において、アクセス制御装置10から報知される制御情報や、ひとつの端末装置14から報知されるデータは、ひとつのスロットに割り当てられている。しかしながらこれに限らず例えば、制御情報やデータが、ふたつ以上のスロットに割り当てられていてもよい。本変形例によれば、制御情報やデータの通信速度を向上できる。
【0087】
本発明の実施例において、識別キャリアは、ふたつのサブキャリアに相当する。また、識別キャリアは、OFDMシンボルの中央周波数付近のサブキャリアに配置されている。しかしながらこれに限らず例えば、識別キャリアは、ふたつ以上のサブキャリアに相当してもよく、識別キャリアは、OFDMシンボルの中央周波数付近以外のサブキャリアに配置されていてもよい。本変形例によれば、通信システム100の設計の自由度を向上できる。
【符号の説明】
【0088】
10 アクセス制御装置、 12 車両、 14 端末装置、 20 アンテナ、 22 RF部、 24 変復調部、 26 処理部、 28 GPS測位部、 30 制御部、 32 検出部、 34 フレーム規定部、 36 生成部、 38 電力測定部、 40 品質測定部、 42 空きスロット特定部、 44 衝突スロット特定部、 50 アンテナ、 52 RF部、 54 変復調部、 56 処理部、 58 制御部、 60 タイミング特定部、 62 取得部、 64 生成部、 66 制御情報抽出部、 70 通知部、 80 決定部、 86 比較部、 88 測定部、 94 パラメータ受付部、 96 期間導出部、 100 通信システム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、報知技術に関し、特に所定の情報が含まれた信号を報知する報知方法および無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点の出会い頭の衝突事故を防止するために、路車間通信の検討がなされている。路車間通信では、路側機と車載器との間において交差点の状況に関する情報が通信される。路車間通信では、路側機の設置が必要になり、手間と費用が大きくなる。これに対して、車車間通信、つまり車載器間で情報を通信する形態であれば、路側機の設置が不要になる。その場合、例えば、GPS(Global Positioning System)等によって現在の位置情報をリアルタイムに検出し、その位置情報を車載器同士で交換しあうことによって、自車両および他車両がそれぞれ交差点へ進入するどの道路に位置するかを判断する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−202913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IEEE802.11等の規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)では、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれるアクセス制御機能が使用されている。そのため、当該無線LANでは、複数の端末装置によって同一の無線チャネルが共有される。このようなCSMA/CAでは、端末装置間の距離や電波を減衰させる障害物の影響などによって、互いの無線信号が到達しない状況、つまりキャリア・センスが機能しない状況が発生する。キャリア・センスが機能しない場合、複数の端末装置から送信されたパケット信号が衝突する。また、通信速度を高速化するために、無線LANでは、OFDM変調方式が使用される。
【0005】
一方、無線LANを車車間通信に適用する場合、不特定多数の端末装置へ情報を送信する必要があるために、信号はブロードキャストにて送信されることが望ましい。しかしながら、交差点などでは、車両数の増加、つまり端末装置数の増加によって、パケット信号の衝突の増加が想定される。その結果、パケット信号に含まれたデータが他の端末装置へ伝送されなくなる。このような状態が、車車間通信おいて発生すれば、交差点の出会い頭の衝突事故を防止するという目的が達成されなくなる。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、通信量が増加した場合であってもパケット信号の衝突確率を低減させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の無線装置は、搬送波感知多重アクセス方式にてパケット信号を報知するまでの時間間隔を設定する制御部と、制御部において設定した時間間隔にてパケット信号を報知する通信部とを備える。通信部は、無線装置間の通信を制御するアクセス制御装置から所定の頻度で報知される制御信号を受信し、制御部は、通信部において制御信号を受信可能な場合の時間間隔を、残りの場合の時間間隔よりも短くする。
【0008】
本発明の別の態様もまた、無線装置である。この装置は、複数のスロットにて形成された第1期間と、所定の長さを有した第2期間とを含んだフレームが繰り返されるように規定され、第1期間と第2期間とのうちの第1期間における複数のスロットの中から、複数の他の無線装置間の通信に使用可能なスロットを検出する検出部と、検出部において検出したスロットに関する情報を報知する報知部とを備える。検出部における第2期間では、複数の他の無線装置によって搬送波感知多重アクセス方式がなされており、報知部は、搬送波感知多重アクセス方式において送信までの時間間隔を導出させるためのパラメータも報知しており、報知しているパラメータによって導出される時間間隔が、他の無線装置が予め記憶しているパラメータによって導出される時間間隔よりも短くする。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、報知方法である。この方法は、搬送波感知多重アクセス方式にてパケット信号を報知するまでの時間間隔を設定するステップと、設定した時間間隔にてパケット信号を報知するステップとを備える。設定するステップは、無線装置間の通信を制御するアクセス制御装置から所定の頻度で報知される制御信号を受信可能の時間間隔を、残りの場合の時間間隔よりも短くする。
【0010】
本発明のさらに別の態様もまた、報知方法である。この方法は、複数のスロットにて形成された第1期間と、所定の長さを有した第2期間とを含んだフレームが繰り返されるように規定され、第1期間と第2期間とのうちの第1期間における複数のスロットの中から、複数の他の無線装置間の通信に使用可能なスロットを検出するステップと、検出したスロットに関する情報を報知するステップとを備える。検出するステップにおける第2期間では、複数の他の無線装置によって搬送波感知多重アクセス方式がなされており、報知するステップは、搬送波感知多重アクセス方式において送信までの時間間隔を導出させるためのパラメータも報知しており、報知しているパラメータによって導出される時間間隔が、他の無線装置が予め記憶しているパラメータによって導出される時間間隔よりも短くする。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、通信量が増加した場合であってもパケット信号の衝突確率を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】図1のアクセス制御装置の構成を示す図である。
【図3】図3(a)−(d)は、図2のフレーム規定部において規定されるフレームのフォーマットを示す図である。
【図4】図4(a)−(b)は、図1の通信システムにおいて使用されるOFDMシンボルのフォーマットを示す図である。
【図5】図1の車両に搭載された端末装置の構成を示す図である。
【図6】図1の通信システムの動作概要を示す図である。
【図7】図1の通信システムの別の動作概要を示す図である。
【図8】図2のアクセス制御装置における空きスロットの通知手順を示すフローチャートである。
【図9】図2のアクセス制御装置における衝突スロットの通知手順を示すフローチャートである。
【図10】図5の端末装置における第1期間あるいは第2期間の決定手順を示すフローチャートである。
【図11】図5の端末装置におけるデータの送信手順を示すフローチャートである。
【図12】図5の端末装置におけるデータの別の送信手順を示すフローチャートである。
【図13】図5の端末装置におけるデータのさらに別の送信手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、車両に搭載された端末装置間においてデータ通信を実行する通信システムに関する。端末装置は、車両の速度や位置等の情報(以下、これらを「データ」という)を格納したパケット信号をブロードキャスト送信する。また、他の端末装置は、パケット信号を受信するとともに、データをもとに車両の接近等を認識する。ここで、端末装置は、通信速度の高速化を目的としてOFDM変調方式を採用する。このような状況のもと、交差点等において、端末装置の数が増加すると、パケット信号の発生確率が増加する。これに対応するために、本実施例に係る通信システムは、次の処理を実行する。
【0015】
本実施例に係る通信システムは、複数の端末装置の他にアクセス制御装置を含み、アクセス制御装置は、例えば、交差点に設置される。アクセス制御装置は、第1期間と第2期間とによって形成されたフレームを繰り返し規定する。ここで、第1期間には、複数のスロットが含まれる。アクセス制御装置は、第1期間において各スロットでの受信電力を測定することによって、複数の端末装置間の通信に使用されてないスロット(以下、「空きスロット」という)を特定する。また、アクセス制御装置は、フレームの構成情報や特定したスロットに関する情報を制御情報に含め、制御情報を格納したパケット信号(以下、これを「制御情報」ということもある)をひとつのスロットにてブロードキャスト送信する。ここで、ひとつのスロットは、予め定められているものとする。端末装置は、制御情報をもとに、空きスロットのいずれかを選択し、選択したスロットにおいて、データを格納したパケット信号(以下、これを「データ」ということもある)をブロードキャスト送信する。なお、端末装置は、複数のフレームにわたってデータを送信する場合、各フレームでの相対的なタイミングが同一のスロットを使用する。
【0016】
アクセス制御装置は、各スロットにおいて、複数の端末装置から送信されたパケット信号が衝突しているかも測定することによって、衝突が発生しているスロット(以下、「衝突スロット」という)を特定する。また、アクセス制御装置は、特定したスロットに関する情報も制御情報に含める。端末装置は、制御情報をもとに、既に使用したスロットにおいて衝突が発生しているかを確認する。衝突が発生している場合、端末装置は、制御情報をもとに、別の空きスロットのいずれかを選択する。ここで、アクセス制御装置は、端末装置間のデータ通信に直接関与せず、データ通信に使用すべきスロットを直接指定しない。あくまでも、アクセス制御装置は、端末装置間のデータ通信の状況を監視し、空きスロットや衝突スロットの情報を報知している。アクセス制御装置は、このような処理によって、端末装置間の通信を制御する。
【0017】
なお、制御情報もひとつのスロットにて送信されているので、制御情報を受信できない端末装置から送信されたデータと、制御情報とが衝突する可能性がある。その結果、他の端末装置が制御情報を受信できないと、上記の処理の実行が困難になる。これに対応するために、データを送信するために使用されるOFDM信号では、一部のサブキャリアにデータが格納されず、ヌルキャリアとされている(以下、このようなサブキャリアを「識別キャリア」という)。一方、制御情報を送信するために使用されるOFDM信号では、識別キャリアにも信号が配置されている。そのため、仮に、データと制御情報とが衝突した場合であっても、端末装置は、識別キャリアの信号成分を観測することによって、制御情報の存在を検知することができる。
【0018】
さらに、第1期間に含まれるスロット数と比較して端末装置数が多くなると、空きスロット数が少なくなって、衝突が発生しやすくなるおそれがある。一方、交通事故の防止という観点から考えると、交差点に近い端末装置から送信されるデータの方が、交差点に遠い端末装置から送信されるデータよりも重要であるといえる。以上の点を考慮して、アクセス制御装置は、交差点に近い端末装置に対して、第1期間でのスロットを使用させ、交差点から遠い端末装置に対して、第2期間にてCSMA/CAを実行させる。その結果、第1期間での衝突確率は、第2期間での衝突確率よりも低くなり、重要なデータに対する衝突確率の増加が抑制される。
【0019】
前述のごとく、交差点から遠い端末装置(以下、「CSMA端末装置」という)は、第2期間にてCSMA/CAを実行する。また、アクセス制御装置からの制御情報を受信できないような端末装置、つまり交差点からさらに遠い端末装置(以下、「エリア外端末装置」という)は、第2期間に関係なくCSMA/CAを実行する。そのため、CSMA端末装置とエリア外端末装置は、ともにCSMA/CAを実行しているのにもかかわらず、CSMA端末装置の送信機会は、エリア外端末装置の送信機会よりも少なくなる。その結果、CSMA端末装置のスループットが、エリア外端末装置でのスループットと比較して、極端に低くなるおそれがある。また、エリア外端末装置は、フレームの構成に関係なくパケット信号を送信するので、CSMA端末装置だけではなく、第1期間にてデータを送信する端末装置の通信も妨げるおそれがある。このようなエリア外端末装置が存在する場合であっても、通信システムのスループットの悪化を低減するために、本実施例に係る通信システムは、さらに次の処理を実行する。
【0020】
CSMA端末装置およびエリア外端末装置において実行されるCSMA/CAでは、DIFS(Distributed Inter Frame Space)、CW(Contention Window)の値が規定される。なお、DIFSの代わりに、SIFS、PIFSなどのIFSが使用されてもよいが、ここでは、説明を簡易にするために、DIFSを説明の対象とする。ここで、第1期間におけるエリア外端末装置からのパケット信号を検出したCSMA端末装置は、DIFS、CWの値として、「第1DIFS」、「第1CW」を設定する。ここで、エリア外端末装置は、DIFS、CWの値として、「第2DIFS」、「第2CW」を設定しており、「第1DIFS」、「第1CW」は、「第2DIFS」、「第2CW」と互いに異なるように規定されている。特に、第1DIFS、第1CWは、第2DIFS、第2CWよりも小さい値として規定される。
【0021】
そのため、CSMA端末装置での送信までの待ち期間は、エリア外端末装置での送信までの待ち期間よりも短くなる傾向にある。その結果、前者は、第2期間において、後者よりも優先的にデータを送信しやすくなり、CSMA端末装置のスループットの低下が抑制される。ここで、CSMA端末装置は、エリア外端末装置に対して第2期間を通知することにより、エリア外端末装置に第2期間での送信を実行させる。その結果、第1期間にてデータを送信する端末装置の通信へのエリア外端末装置による影響が低減される。
【0022】
図1は、本発明の実施例に係る通信システム100の構成を示す。これは、ひとつの交差点を上方から見た場合に相当する。通信システム100は、アクセス制御装置10、車両12と総称される第1車両12a、第2車両12b、第3車両12c、第4車両12d、第5車両12e、第6車両12f、第7車両12g、第8車両12h、第9車両12iを含む。なお、各車両12には、図示しない端末装置が搭載されている。また、アクセス制御装置10によって第1エリア200、第2エリア202が形成されている。なお、第2エリア202は、交差点を中心として、第1エリア200の外側に形成されている。
【0023】
図示のごとく、図面の水平方向、つまり左右の方向に向かう道路と、図面の垂直方向、つまり上下の方向に向かう道路とが中心部分で交差している。ここで、図面の上側が方角の「北」に相当し、左側が方角の「西」に相当し、下側が方角の「南」に相当し、右側が方角の「東」に相当する。また、ふたつの道路の交差部分が「交差点」である。第1車両12a、第2車両12bが、左から右へ向かって進んでおり、第3車両12c、第4車両12dが、右から左へ向かって進んでいる。また、第5車両12e、第6車両12fが、上から下へ向かって進んでおり、第7車両12g、第8車両12h、第9車両12iが、下から上へ向かって進んでいる。
【0024】
各車両12に搭載された端末装置は、データを取得し、データが格納されたパケット信号をブロードキャスト送信する。ここで、本発明の実施例を説明する前に、端末装置が公知の無線LANに対応する場合、つまりCSMA/CAに対応する場合の動作を説明する。各端末装置は、キャリアセンスを実行して送信可能であると判定した場合に、データをブロードキャスト送信する。そのため、複数の端末装置からのデータが衝突する場合がある。また、端末装置の数が増加するにつれて、衝突の発生確率が増加する。特に、交差点のような場所では、車両12の衝突が発生しやすいにもかかわらず、データの衝突も発生しやすくなり、データを必要とするような場所においてデータの利用がなされなくなる。
【0025】
そこで、通信システム100は、交差点にアクセス制御装置10を配置する。アクセス制御装置10は、図示しないGPS衛星から受信した信号をもとに、フレームが繰り返されるように生成する。ここで、フレームは、第1期間と第2期間によって形成されており、第1期間には、複数のスロットが含まれる。また、アクセス制御装置10は、複数のスロットの中から、空きスロットと衝突スロットとを特定する。なお、空きスロットと衝突スロットとの特定方法は、後述する。アクセス制御装置10は、特定した空きスロットと衝突スロットに関する情報を制御情報に含める。さらに、アクセス制御装置10は、予め定められたスロットにて制御情報を報知する。例えば、各第1期間の先頭スロットにおいて、アクセス制御装置10は、制御情報を報知する。
【0026】
アクセス制御装置10によって形成された第1エリア200に存在する複数の端末装置は、アクセス制御装置10によって報知された制御情報を受信し、空きスロットのいずれかを選択する。また、端末装置は、選択したスロットにてデータを報知する。ここで、端末装置は、複数のフレームにわたって、選択したスロットに対応したスロットにてデータを報知する。例えば、第1期間の先頭から10番目のスロットを選択した場合、次のフレームにおいても、第1期間の先頭から10番目のスロットを使用する。なお、制御情報において、使用していたスロットが衝突スロットであると示されていれば、端末装置は、別の空きスロットをさらに選択する。端末装置は、第1エリア200に存在する期間にわたって、上記の処理を繰り返し実行する。
【0027】
一方、アクセス制御装置10によって形成された第2エリア202に存在する複数の端末装置は、第2期間において、CSMA/CAによる通信を実行する。このような端末装置が、前述のCSMA端末装置に相当する。ここで、端末装置は、アクセス制御装置10からの制御情報の受信電力に応じて、第1期間にて通信を実行すべきか、あるいは第2期間において通信を実行すべきかを決定する。端末装置は、アクセス制御装置10によって報知された制御情報を受信できている期間にわたって、上記の処理を繰り返し実行する。つまり、端末装置は、制御情報を監視しており、制御情報を受信できたときに、第2エリア202に進入したことを検出する。また、当該端末装置は、制御情報の受信電力が大きくなった場合に、第1エリア200に進入したことを検出する。他の端末装置からのデータを受信した端末装置は、データをもとに、他の端末装置が搭載された車両12の存在を認識する。
【0028】
また、第9車両12iのごとく、第2エリア202の外部に存在する端末装置は、アクセス制御装置10からの制御情報を受信できない。このような端末装置が、前述のエリア外端末装置に相当する。そのため、エリア外端末装置は、第1期間、第2期間のタイミングを認識できない。その際、エリア外端末装置は、すべての期間において、CSMA/CAによる通信を実行する。CSMA/CAにおいて、DIFSやCWによって、送信までの待ち期間が制御される。
【0029】
ここで、アクセス制御装置10から報知される制御情報と、端末装置から報知されるデータとは、ともにOFDM信号を使用する。しかしながら、両者の配置されているサブキャリアは、同一ではない。データは、前述の識別キャリアに配置されていない。一方、識別情報は、データが配置されたサブキャリアに加えて、識別キャリアにも配置される。その結果、仮に、データと識別情報とが衝突した場合であっても、端末装置は、識別キャリアの信号成分を観測することによって、制御情報の存在を検知できる。なお、前述の端末装置による第2エリア202への進入検出は、識別キャリアに対してなされてもよい。
【0030】
図2は、アクセス制御装置10の構成を示す。アクセス制御装置10は、アンテナ20、RF部22、変復調部24、処理部26、GPS測位部28、制御部30を含む。また、処理部26は、検出部32、フレーム規定部34、生成部36を含み、検出部32は、電力測定部38、品質測定部40、空きスロット特定部42、衝突スロット特定部44を含む。
【0031】
GPS測位部28は、図示しないGPS衛星からの信号を受信し、受信した信号をもとに時刻の情報を取得する。なお、時刻の情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。GPS測位部28は、時刻の情報をフレーム規定部34へ出力する。フレーム規定部34は、GPS測位部28から時刻の情報を取得する。フレーム規定部34は、時刻の情報をもとに、複数のフレームを生成する。例えば、フレーム規定部34は、「0msec」となるタイミングを基準にして、「1sec」の期間を10分割することによって、「100msec」のフレームを10個生成する。このような処理を繰り返すことによって、フレームが繰り返されるように規定される。
【0032】
また、フレーム規定部34は、第1期間と第2期間とに各フレームを分割する。ここで、第1期間と第2期間との長さについては後述する。フレーム規定部34は、第1期間を複数に分割することによって、複数のスロットを生成する。例えば、第1期間が「50msec」であり、スロットが「500μsec」である場合、100個のスロットが生成される。そのような場合、第2期間は、「50msec」のように、所定の長さを有した期間として規定される。前述のごとく、通信システム100は、OFDM変調方式を採用しているので、各スロットは、複数のOFDMシンボルから構成されるように規定される。また、OFDMシンボルは、ガードインターバル(GI)と有効シンボルとによって構成される。なお、各スロットの前方の部分や後方の部分にガードタイムが設けられてもよい。ここで、スロットに含まれた複数のOFDMシンボルのまとまりや、第2期間にて送信される信号が、前述のパケット信号に相当する。なお、第2期間では、図示しない複数の端末装置によってCSMA/CAが実行されている。
【0033】
図3(a)−(d)は、フレーム規定部34において規定されるフレームのフォーマットを示す。図3(a)は、フレームの構成を示す。図示のごとく、第iフレームから第i+2フレームのように、複数のフレームが繰り返されるように規定されている。また、各フレームの期間は、例えば、「100msec」である。図3(b)は、ひとつのフレームの構成を示す。図示のごとく、ひとつのフレームは、第1期間と第2期間によって構成されており、さらに第1期間は、M個のスロットによって構成されている。例えば、各スロットの期間は「500μsec」である。図3(c)は、ひとつのスロットの構成を示す。図示のごとく、スロットの前方の部分と後方の部分とにガードタイムが設けられている。また、スロットの残りの期間は、N個のOFDMシンボルによって構成されている。図3(d)は、ひとつのOFDMシンボルの構成を示す。図示のごとく、ひとつのOFDMシンボルは、GIと有効シンボルによって構成されている。図2に戻る。
【0034】
RF部22は、受信処理として、第1期間の各スロットあるいは第2期間において、図示しない他の端末装置間の通信において送信されるパケット信号をアンテナ20から受信する。RF部22は、アンテナ20を介して受信した無線周波数のパケット信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドのパケット信号を生成する。さらに、RF部22は、ベースバンドのパケット信号を変復調部24に出力する。一般的に、ベースバンドのパケット信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線が示されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。
【0035】
また、RF部22には、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサ、AGC、A/D変換部も含まれる。RF部22は、送信処理として、第1期間の各スロットあるいは第2期間において、変復調部24から入力したベースバンドのパケット信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケット信号を生成する。さらに、RF部22は、無線周波数のパケット信号をアンテナ20から送信する。また、RF部22には、PA(Power Amplifier)、ミキサ、D/A変換部も含まれる。
【0036】
変復調部24は、受信処理として、RF部22からのベースバンドのパケット信号に対して、復調を実行する。さらに、変復調部24は、復調した結果を処理部26に出力する。また、変復調部24は、送信処理として、処理部26からのデータに対して、変調を実行する。さらに、変復調部24は、変調した結果をベースバンドのパケット信号としてRF部22に出力する。ここで、通信システム100は、OFDM変調方式に対応するので、変復調部24は、受信処理としてFFT(Fast Fourier Transform)も実行し、送信処理としてIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)も実行する。
【0037】
電力測定部38は、RF部22あるいは変復調部24から、受信信号を受けつけ、受信電力を測定する。ここで、受信電力はスロット単位に測定される。そのため、電力測定部38では、複数のスロットのそれぞれに対する受信電力が測定される。電力測定部38は、スロット単位の受信電力を空きスロット特定部42、衝突スロット特定部44へ出力する。品質測定部40は、変復調部24からの復調結果を受けつけ、複数のスロットのそれぞれに対する信号品質を測定する。ここでは、信号品質として誤り率が測定される。なお、誤り率の測定には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。また、信号品質として、誤り率の代わりに、EVM(Error Vector Magnitude)等が測定されてもよい。品質測定部40は、誤り率を衝突スロット特定部44へ出力する。
【0038】
空きスロット特定部42は、電力測定部38から、スロット単位の受信電力を受けつける。空きスロット特定部42は、各受信電力としきい値(以下、「空きスロット用しきい値」という)を比較し、受信電力が空きスロット用しきい値よりも小さくなっているスロットを特定する。つまり、空きスロット特定部42は、第1期間と第2期間とのうちの第1期間における複数のスロットの中から、複数の端末装置間の通信に使用可能なスロットを空きスロットとして検出する。ここで、空きスロットが複数存在する場合、空きスロット特定部42は、それらを特定する。空きスロット特定部42は、特定した空きスロットに関する情報を生成部36へ出力する。
【0039】
衝突スロット特定部44は、電力測定部38から、スロット単位の受信電力を受けつけ、品質測定部40から、スロット単位の誤り率を受けつける。また、衝突スロット特定部44は、スロット単位に、受信電力と誤り率とを関連づける。衝突スロット特定部44は、スロット単位に、受信電力と第1しきい値とを比較するとともに、誤り率と第2しきい値とを比較する。衝突スロット特定部44は、受信電力が第1しきい値よりも大きく、かつ誤り率が第2しきい値より悪化しているスロットを衝突スロットとして特定する。つまり、衝突スロット特定部44は、受信電力が大きいものの通信品質が悪化しているスロットを衝突スロットとして認定する。このように、衝突スロット特定部44は、第1期間と第2期間とのうちの第1期間における複数のスロットの中から、複数の端末装置が信号を重複して送信したことによって衝突が発生したスロットを衝突スロットとして検出する。衝突スロット特定部44は、特定した衝突スロットに関する情報を生成部36へ出力する。
【0040】
生成部36は、空きスロット特定部42から、空きスロットに関する情報を受けつけるとともに、衝突スロット特定部44から、衝突スロットに関する情報を受けつける。生成部36は、空きスロットに関する情報、アクセス制御装置10の識別番号を含めながら、制御情報を生成する。また、生成部36は、第2期間におけるCSMA/CAでの送信までの期間を導出するためのパラメータも記憶する。例えば、パラメータには、DIFS、CWが含まれる。DIFSとは、IFSのうちのひとつであり、チャネルがアイドル状態かどうかを判定するために規定される期間である。
【0041】
また、CWは、バックオフ期間を導出するために使用される値であり、バックオフ期間は、乱数値に一定期間を乗算することによって導出される。ここで、乱数値は0〜CWの範囲から生成されるランダムな整数である。また、DIFSとバックオフ期間との和が、CSMA/CAでの送信までの期間に相当する。ここでは、生成部36に記憶されたDIFSが第1DIFSに相当し、生成部36に記憶されたCWが第1CWに相当する。なお、図示しない端末装置は、第2DIFSと第2CWとを予め記憶するが、第1DIFSと第2CWは、第2DIFSと第2CWよりも小さな値である。
【0042】
ここで、第1期間に含まれた複数のスロットのそれぞれには、前から順番に「1」、「2」となるような番号(以下、「スロット番号」という)が付与されている。生成部36は、空きスロットに関する情報として、以前のフレームに含まれた空きスロットのスロット番号を制御情報に含める。また、生成部36は、衝突スロットに関する情報として、以前のフレームに含まれた衝突スロットのスロット番号を制御情報に含める。これらに加えて、フレーム規定部34は、第1DIFSと第1CW(以下、「パラメータ」と総称する)を制御情報に含める。さらに、生成部36は、フレーム規定部34からフレーム、スロットに関する情報を受けつけ、各第1期間に含まれたひとつのスロットへ定期的に制御情報を割り当てる。ここでは、各第1期間のスロット番号「1」のスロット、つまり先頭のスロットに制御情報を割り当てることが予め定められており、生成部36は、当該スロットへ制御情報を割り当てる。生成部36は、割り当てたスロットにて、変復調部24へ制御情報を出力する。
【0043】
前述のごとく、通信システム100は、OFDM変調方式に対応しているので、生成部36は、制御情報をOFDM信号として生成する。なお、図示しない複数の端末装置間のデータ通信にもOFDM信号が使用されている。ここでは、制御情報を配置させるOFDM信号(以下、これも「制御情報」ということがある)と、データを配置させるOFDM信号(以下、これも「データ」ということがある)とを比較しながら説明する。図4(a)−(b)は、通信システム100において使用されるOFDMシンボルのフォーマットを示す。図4(a)は、制御情報に相当し、図4(b)は、データに相当する。
【0044】
ここで、両方において、縦の方向が周波数を示し、横の方向が時間を示す。縦の方向において、上から順に「31」、「30」、・・・「−32」の番号が示されているが、これらはサブキャリアを識別するために付与された番号(以下、「サブキャリア番号」という)である。また、OFDM信号の中において、サブキャリア番号「31」のサブキャリアの周波数が最も高く、サブキャリア番号「−32」のサブキャリアの周波数が最も低い。また、図中の「D」は、データシンボルに相当し、「P」は、パイロットシンボルに相当し、「N」は、ヌルに相当する。
【0045】
制御情報とデータとに共通して、サブキャリア番号「31」から「27」、「2」、「0」、「−2」、「−26」から「−32」のサブキャリアは、ヌルである。また、制御情報のうち、サブキャリア番号「26」から「3」、「−3」から「−25」のサブキャリアは、データでも使用されており、また、両者においてシンボルの用途も同一である。一方、制御情報のうち、サブキャリア番号「1」、「−1」は、データにて使用されていない。これらは、前述の識別キャリアに相当する。つまり、識別キャリアは、OFDM信号のうちの中央の周波数付近のサブキャリアに配置されている。さらに、制御情報のうち、データでも使用されるサブキャリアと、識別キャリアとの間、つまりサブキャリア番号「2」、「−2」には、ガードバンドが設けられてる。なお、サブキャリア番号「−2」から「2」のサブキャリアをまとめて「識別キャリア」と呼んでもよい。
【0046】
ここで、生成部36は、制御情報のうちの識別キャリア以外のサブキャリアに、空きスロットに関する情報および衝突スロットに関する情報を配置する。また、生成部36は、フレームに関する情報を識別キャリアに配置する。また、生成部36は、これらの情報に限られず、重要度の高い情報を識別キャリアに優先的に配置してもよい。制御情報に含められる情報の一例は、アクセス制御装置10の緯度・経度、アクセス制御装置10の識別番号である。また、パケット信号の前方のOFDMシンボルには、既知信号が配置される。このような既知信号は、端末装置におけるAGCや、伝送路特性の推定に使用される。生成部36は、所定のスロットのうちの一部の期間にわたって、識別キャリアに既知信号を配置してもよい。このような既知信号は、例えば、UW(Unique Word)のように使用される。図2に戻る。
【0047】
変復調部24、RF部22は、生成部36において生成した制御情報をアンテナ20から報知する。なお、制御情報に含まれた空きスロットに関する情報および衝突スロットに関する情報に応じたスロットを使用している端末装置は、複数のフレームにわたって、当該スロットに対応したスロットを使用する。例えば、スロット番号「10」のスロットが継続的に使用される。制御部30は、アクセス制御装置10全体の処理を制御する。
【0048】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0049】
図5は、車両12に搭載された端末装置14の構成を示す。端末装置14は、アンテナ50、RF部52、変復調部54、処理部56、制御部58を含む。また、処理部56は、タイミング特定部60、取得部62、生成部64、通知部70を含み、タイミング特定部60は、制御情報抽出部66、決定部80、比較部86、測定部88を含む。さらに、決定部80は、パラメータ受付部94、期間導出部96を含む。アンテナ50、RF部52、変復調部54は、図2のアンテナ20、RF部22、変復調部24と同様の処理を実行する。そのため、ここでは、これらの説明を省略する。
【0050】
取得部62は、図示しないGPS受信機、ジャイロスコープ、車速センサ等を含んでおり、それらから供給されるデータによって、図示しない車両12、つまり端末装置14が搭載された車両12の存在位置、進行方向、移動速度等を取得する。なお、存在位置は、緯度・経度によって示される。これらの取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。取得部62は、取得した情報を生成部64へ出力する。
【0051】
制御情報抽出部66は、変復調部54からの復調結果を受けつける。また、制御情報抽出部66は、復調結果のうち、識別キャリアに対応したサブキャリアの部分を監視する。識別キャリアに対応したサブキャリアの部分に有効なデータが含まれている場合、制御情報抽出部66は、制御情報が含まれたスロットを受信していることを認識する。また、制御情報抽出部66は、制御情報が含まれたスロットを受信しているタイミングを基準として、フレームおよびスロットの同期を確立する。その結果、制御情報抽出部66は、図示しないアクセス制御装置10から所定の頻度で報知される制御情報を受信する。
【0052】
さらに、制御情報抽出部66は、制御情報から、空きスロットに関する情報および衝突スロットに関する情報を取得する。また、制御情報抽出部66は、制御情報から、パラメータ、図示しないアクセス制御装置10の識別番号も取得する。制御情報抽出部66は、空きスロットに関する情報、衝突スロットに関する情報、決定部80へ出力し、パラメータをパラメータ受付部94へ出力し、識別番号を決定部80経由で生成部64へ出力する。
【0053】
測定部88は、RF部52あるいは変復調部54から、制御情報の受信信号を受けつけ、受信電力を測定する。測定部88は、受信電力を比較部86へ出力する。比較部86は、測定部88から受信電力を受けつけるとともに、エリア決定用しきい値を予め保持する。比較部86は、受信電力とエリア決定用しきい値とを比較し、受信電力がエリア決定用しきい値よりも大きければ、第1期間の使用を決定する。一方、比較部86は、受信電力がエリア決定用しきい値よりも大きくなければ、第2期間の使用を決定する。比較部86は、決定した内容を決定部80へ出力する。
【0054】
決定部80は、比較部86から、比較部86において決定された内容を受けつける。また、決定部80は、制御情報抽出部66から、空きスロットに関する情報および衝突スロットに関する情報を受けつける。まず、決定部80は、比較部86からの情報をもとに、第1期間を使用すべきか、第2期間を使用すべきかを把握する。なお、決定部80は、比較部86からの情報を受けつけていない場合、つまり制御情報を受信していない場合に、第1期間および第2期間に関係なく、CSMA/CAの実行(以下、「エリア外動作」という)を決定する。ここでは、(1)第1期間を使用する場合、(2)第2期間を使用する場合、(3)エリア外動作を実行する場合の順に説明する。
【0055】
(1)第1期間を使用する場合
決定部80は、空きスロットに関する情報をもとに、ひとつの空きスロットを選択する。なお、空きスロットの選択は、任意になされればよい。決定部80は、選択した空きスロットに関する情報を生成部64へ出力する。生成部64は、取得部62からの情報を受けつける。生成部64は、情報をもとにデータを生成する。ここで、データは、図4(b)のように形成される。また、生成部64は、決定部80から、空きスロットに関する指示を受けつけ、指示に応じた空きスロットにてデータを変復調部54へ出力する。なお、データを出力する前に、処理部56は、キャリアセンスを実行してもよい。また、生成部64は、次のフレームの第1期間においても、同一のスロット番号のスロットにおいてデータを出力する。その際、生成部64は、受信した制御情報に含まれた識別番号をデータに含めてもよい。
【0056】
このような処理の継続中も、制御情報抽出部66は、フレームごとに制御情報から、空きスロットに関する情報および衝突スロットに関する情報を取得し続ける。決定部80は、衝突スロットに関する情報をもとに、現在使用しているスロットに対応したスロット番号が衝突スロットとされていないかを確認する。衝突スロットとされていなければ、決定部80は、これまでと同一のスロット番号を生成部64へ出力し続ける。一方、衝突スロットとされていれば、決定部80は、空きスロットに関する情報をもとに、ひとつの空きスロットを再び選択する。つまり、これまで選択していたスロットとは別のスロットが選択される。決定部80は、選択した空きスロットに関する情報を生成部64へ出力する。以下、生成部64では、同様の処理が実行される。
【0057】
(2)第2期間を使用する場合
次に、第2期間を使用する場合を説明する。パラメータ受付部94は、制御情報抽出部66からパラメータを受けつける。パラメータ受付部94は、パラメータを期間導出部96へ導出する。期間導出部96は、第2DIFSと第2CWとを予め記憶し、第2DIFSと第2CWとをもとに、パケット信号を送信するまでの待ち期間を導出する。なお、待ち期間の導出には、公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。また、期間導出部96は、パラメータ受付部94からパラメータを受けつけた場合、パラメータに対応した第1DIFSと第1CWとをもとに、パケット信号を送信するまでの待ち期間を導出する。パケット信号を送信するまでの待ち期間は、DIFSとバックオフ期間によって特定されるが、ここでは説明を省略する。
【0058】
ここで、期間導出部96は、制御情報を受信可能な場合において、第1DIFSと第1CWとを優先的に使用し、残りの場合において、第2DIFSと第2CWとを使用する。そのため、第2期間を使用する場合では、第1DIFSと第1CWとが使用される。また、第1DIFSと第1CWとは、第2DIFSと第2CWよりもそれぞれ小さな値にされる。これは、制御情報を受信可能な場合の待ち期間を、残りの場合の待ち期間よりも短くすることに相当する。期間導出部96は、導出した期間を生成部64へ出力する。つまり、期間導出部96は、CSMAにてパケット信号を送信するまでの待ち期間を生成部64に設定する。
【0059】
処理部56は、第2期間においてキャリアセンスを実行する。キャリアセンスの結果、データを送信できる場合、生成部64は、期間導出部96において設定された期間にて、データを変復調部54へ出力する。ここでも、生成部64は、受信した制御情報に含まれた識別番号をデータに含めてもよい。その結果、変復調部54、RF部52、アンテナ50は、CSMA/CAを実行すべき第2期間にわたって、期間導出部96において設定した期間によりパケット信号を報知する。通知部70は、図示しない他の端末装置14からのデータを取得し、データの内容に応じて、図示しない他の車両12の接近等を運転者へ通知する。通知部70での処理は、これに限定されない。
【0060】
第2期間において、前述の説明とは別の処理がなされてもよい。例えば、第2期間を使用する場合であっても、期間導出部96は、制御情報を受信していない場合と同様に、第2DIFSと第2CWとを使用して、パケット信号を送信するまでの待ち期間を導出する。また、処理部56は、第1期間において、制御情報に含まれた情報にしたがわずに報知された他の端末装置14からのパケット信号の受信を検出する。当該パケット信号は、前述のエリア外端末装置からのパケット信号に相当する。このようなエリア外端末装置の動作については後述するが、エリア外端末装置は、一般的にフレームの構成を把握していない。
【0061】
そのため、エリア外端末装置は、第1期間であるかに関係なく、第2DIFSおよび第2CWを使用しながら、キャリアセンスを実行して、パケット信号を送信している。処理部56は、パケット信号の受信タイミングがスロットのタイミングからずれている場合や、受信したパケット信号中にアクセス制御装置10の識別番号が含まれていない場合に、当該パケット信号の送信元が得エリア外端末装置であると認定する。処理部56は、エリア外端末装置からのパケット信号を受信した場合に、その旨を期間導出部96へ通知する。
【0062】
期間導出部96は、処理部56からの通知を受けつけた場合に、前述の説明と同様に、第1DIFSと第1CWとをもとに、パケット信号を送信するまでの待ち期間を導出する。また、生成部64、変復調部54、RF部52、アンテナ50は、第2期間にわたって、期間導出部96において設定した期間によりパケット信号を報知する。その際、生成部64は、フレームの構成に関する情報をパケット信号に含める。フレームの構成に関する情報は、例えば、現在の時刻に対する第1期間の相対的な開始時刻および終了時刻や、第2期間の相対的な開始時刻および終了時刻を含む。つまり、生成部64が、エリア外端末装置からのパケット信号を検出した場合に、生成部64等は、第2DIFSおよび第2CWを第1DIFSおよび第1CWへそれぞれ切りかえて、当該エリア外端末装置へ第2期間を少なくとも知らしめるためのパケット信号を送信する。また、期間導出部96は、パケット信号を送信した後、第2DIFSおよび第2CWを再び設定する。
【0063】
以下では、具体的な値を例示しながら、このような動作を説明する。第2DIFSが64μsecであり、第2CWが0〜16であり、スロット期間が8μsecである場合、DIFSの期間とランダムバックオフの期間との範囲は、64〜192μsecになる。一方、第1DIFSが16μsecであり、第1CWが0〜5であるように規定されると、DIFSの期間とランダムバックオフの期間との範囲は、56μsec以下になる。そのため、後者の方が前者よりも先にパケット信号を送信でき、フレーム構成を通知できる。
【0064】
(3)エリア外動作を実行する場合
さらに、エリア外動作を実行する場合を説明する。制御情報抽出部66が、所定の期間にわたって制御情報を受信できない場合に、決定部80は、エリア外動作の実行を決定する。期間導出部96は、前述のごとく、第2DIFSと第2CWとを使用して、パケット信号を送信するまでの待ち期間を導出する。処理部56は、パケットを送信するまでの待ち期間においてキャリアセンスを実行し、生成部64、変復調部54、RF部52、アンテナ50は、パケット信号を送信する。また、決定部80は、アンテナ50、RF部52、変復調部54を介して受信したパケット信号の中に、フレーム構成に関する情報が含まれていれば、当該情報を抽出する。決定部80は、当該情報をもとに、第2期間を特定し、パケット信号の送信タイミングを第2期間に限定するように、生成部64等を制御する。制御部58は、端末装置14全体の動作を制御する。
【0065】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図6は、通信システム100の動作概要を示す。図中において、第1端末装置14aから第4端末装置14dが示されているが、これらと、図1の第1車両12aから第4車両12dの位置とは関係がないものとする。また、第2端末装置14bは、図1の第2エリア202に存在する。図の横方向が時間に相当しており、最上段に記載しているように、第iフレームから第i+2フレームまでの3つのフレームが示されている。また、説明を明瞭にするために、ひとつのフレームには、12個のスロットと第2期間が含まれているとする。アクセス制御装置10は、図示のごとく、各フレームの先頭のスロットにて、制御情報を報知する。図中の「制」は、制御情報に相当する。また、その下段には、制御情報に含まれている空きスロットに関する情報と衝突スロットに関する情報が、スロットに対応づけられながら示されている。図中の「空」は、空きスロットに相当し、「衝」は、衝突スロットに相当する。
【0066】
さらに下段には、第1端末装置14aから第4端末装置14dがデータを報知するタイミングが示されている。図中の「デ」は、データに相当する。第1端末装置14a、第3端末装置14c、第4端末装置14dは、制御情報を参照し、空きスロットをそれぞれ選択する。第iフレームにおいて、第1端末装置14a、第3端末装置14c、第4端末装置14dは、選択した空きスロットにてデータを報知する。その際、第3端末装置14cと第4端末装置14dにおいて選択された空きスロットが同一であるので、両者から報知されたデータが衝突している。アクセス制御装置10は、当該スロットでの衝突の発生を検出する。第i+1フレームにおいて、アクセス制御装置10から報知される制御情報には、衝突スロットに関する情報として、衝突が発生したスロットが示されている。一方、第2端末装置14bは、第2期間において、CSMA/CAをもとにデータを報知する。
【0067】
第1端末装置14aは、既に使用したスロットにおいて衝突が発生していないので、同一のスロット番号のスロットを再び使用する。一方、第3端末装置14cおよび第4端末装置14dは、既に使用したスロットにおいて衝突が発生しているので、別の空きスロットを再び選択する。第3端末装置14cおよび第4端末装置14dは、選択した空きスロットにてデータを報知する。すべてのデータが衝突していないので、第i+2フレームにおいて、アクセス制御装置10から報知される制御情報には、衝突スロットが示されていない。そのため、第i+2フレームにおいて、第1端末装置14a、第3端末装置14c、第4端末装置14dは、既に使用したスロットと同一のスロット番号のスロットを再び使用する。
【0068】
図7は、通信システム100の別の動作概要を示す。図7は、図6と同様に示されている。最上段には、複数のスロットにて構成された第1期間と、第2期間とが含まれたフレームが示されている。ここでは、制御情報が省略されている。また、その下段は、第1端末装置14aがデータを報知するタイミングを示す。ここで、第1端末装置14aは、第1期間にて動作すべき端末装置14である。また、その下段は、第2端末装置14bがデータを報知するタイミングを示す。ここで、第2端末装置14bは、前述のCSMA端末装置に相当する。さらに、最下段は、第3端末装置14cがデータを報知するタイミングを示す。ここで、第3端末装置14cは、前述のエリア外端末装置である。
【0069】
第1端末装置14aは、所定のスロットにてデータを送信する。一方、第3端末装置14cは、フレームの構成を把握していないので、スロットのタイミングに関係なく、複数のスロットをまたぐようなタイミングにてデータを送信する。第2アクセス制御装置10bは、第3端末装置14cからのデータを受信する。第1期間の最後のスロットにおいて、図示しない端末装置14がデータを送信した場合、第1端末装置14aおよび第3端末装置14cでは、第2期間の開始タイミングを起点として、第2DIFS302が設定される。
【0070】
一方、第2端末装置14bは、第3端末装置14cからのデータを受信したので、第1DIFS300およびバックオフ304が設定される。その後、第2端末装置14bは、データを送信する。当該データには、フレームの構成に関する情報および現在の時刻が含まれているので、第3端末装置14cは、第2期間が配置されたタイミングを認識する。その後、第1端末装置14aから第3端末装置14cにおいて第2DIFS302が経過した後、第3端末装置14cは、バックオフ306を待ってからデータを送信する。当該データは、第2期間において送信されている。
【0071】
図8は、アクセス制御装置10における空きスロットの通知手順を示すフローチャートである。ここでは、説明の対象を第1期間とする。検出部32は、スロット番号mを2に設定する(S10)。電力測定部38は、受信電力を測定する(S12)。空きスロット特定部42は、受信電力が空きスロット用しきい値よりも小さければ(S14のY)、スロット番号mのスロットを空きスロットと特定する(S16)。空きスロット特定部42は、受信電力が空きスロット用しきい値よりも小さくなければ(S14のN)、ステップ16の処理をスキップする。スロット番号mが最大数Mでなければ(S18のN)、検出部32は、スロット番号mに1を加算して(S20)、ステップ12に戻る。一方、スロット番号mが最大数Mであれば(S18のY)、生成部36は、空きスロットのスロット番号を制御情報に含める(S22)。変復調部24、RF部22は、制御情報を報知する(S24)。
【0072】
図9は、アクセス制御装置10における衝突スロットの通知手順を示すフローチャートである。ここでも、説明の対象を第1期間とする。検出部32は、スロット番号mを2に設定する(S40)。電力測定部38は、受信電力を測定し、品質測定部40は、誤り率を測定する(S42)。衝突スロット特定部44は、受信電力が第1しきい値より大きく、かつ誤り率が第2しきい値よりも大きければ(S44のY)、スロット番号mのスロットを衝突スロットと特定する(S46)。衝突スロット特定部44は、受信電力が第1しきい値より大きくなく、あるいは誤り率が第2しきい値よりも大きくなければ(S44のN)、ステップ46の処理をスキップする。スロット番号mが最大数Mでなければ(S48のN)、検出部32は、スロット番号mに1を加算して(S50)、ステップ42に戻る。一方、スロット番号mが最大数Mであれば(S48のY)、生成部36は、衝突スロットのスロット番号を制御情報に含める(S52)。変復調部24、RF部22は、制御情報を報知する(S54)。
【0073】
図10は、端末装置14における第1期間あるいは第2期間の決定手順を示すフローチャートである。制御情報抽出部66は、制御情報を取得する(S160)。測定部88は、受信電力を測定する(S164)。比較部86は、受信電力がエリア決定用しきい値よりも大きければ(S166のY)、第1期間の使用を決定する(S168)。決定部80は、スロットによる通信を実行する(S172)。比較部86は、受信電力がエリア決定用しきい値よりも大きくなければ(S166のN)、第2期間の使用を決定する(S174)。決定部80は、CSMA/CAによる通信を実行する(S178)。なお、ステップ160において、制御情報が取得されない場合、決定部80は、エリア外動作の実行を決定する。
【0074】
図11は、端末装置14におけるデータの送信手順を示すフローチャートである。制御情報抽出部66は、制御情報を取得する(S70)。使用すべきスロットが既に特定されていれば(S72のY)、決定部80は、当該スロットに衝突が発生していないかを確認する。衝突が発生していれば(S74のY)、決定部80は、スロットを変更する(S76)。衝突が発生していなければ(S74のN)、ステップ76はスキップされる。一方、使用すべきスロットが既に特定されていなければ(S72のN)、決定部80は、空きスロットを特定する(S78)。生成部64は、特定したスロットにてデータを送信する(S80)。
【0075】
図12は、端末装置14におけるデータの別の送信手順を示すフローチャートである。ここでは、第2期間での動作の実行あるいはエリア外動作の実行を選択する場合を説明する。制御情報抽出部66が制御情報を受信可能でなければ(S200のN)、決定部80は、第2DIFSを設定する(S202)。決定部80は、第2CWより第2バックオフ期間を設定する(S204)。処理部56が、キャリアセンスにて信号を検出しなければ(S206のN)、生成部64等は、パケット信号を報知する(S208)。処理部56が、キャリアセンスにて信号を検出すれば(S206のY)、ステップ208はスキップされる。
【0076】
一方、制御情報抽出部66が制御情報を受信可能であれば(S200のY)、パラメータ受付部94は、制御情報から第1DIFS、第1CWを抽出する(S210)。決定部80は、第1DIFSを設定する(S212)。決定部80は、第1CWより第1バックオフ期間を設定する(S214)。処理部56が、キャリアセンスにて信号を検出しなければ(S216のN)、生成部64等は、パケット信号を報知する(S218)。処理部56が、キャリアセンスにて信号を検出すれば(S216のY)、ステップ218はスキップされる。
【0077】
図13は、端末装置14におけるデータのさらに別の送信手順を示すフローチャートである。決定部80は、第2DIFS、第2CWを設定する(S230)。第1期間であり(S232のY)、エリア外からのデータを受信すれば(S234のY)、決定部80は、第1DIFS、第1CWを設定し(S236)、ステップ232へ戻る。エリア外からのデータを受信しなければ(S234のN)、ステップ232へ戻る。第1期間でなく(S232のN)、送信すべきデータがなければ(S238のN)、ステップ232へ戻る。一方、送信すべきデータがあり(S238のY)、処理部56がIPS期間内にデータの受信電力を検知しなければ(S240のN)、ステップS234へ戻る。
【0078】
処理部56がIPS期間内にデータの受信電力を検知すれば(S240のY)、期間導出部96は、ランダムバックオフ期間を生成する(S242)。処理部56が、ランダムバックオフ期間にデータの受信電力を検知しなければ(S244のN)、ステップ234へ戻る。処理部56が、ランダムバックオフ期間にデータの受信電力を検知すれば(S244のY)、生成部64等は、データを送信する(S246)。フレーム構成の通知を完了すれば(S248のY)、決定部80は、第2DIFS、第2CWを設定する(S250)。フレーム構成の通知を完了しなければ(S248のN)、ステップ250はスキップされる。
【0079】
本発明の実施例によれば、制御信号を受信できない場合におけるパケット信号を報知するまでの期間よりも、制御信号を受信可能な場合におけるパケット信号を報知するまでの期間を小さな値にするので、制御信号を受信可能な場合においてパケットを迅速に送信できる。また、アクセス制御装置からの制御情報に、第1DIFSと第1CWとが含まれるので、第1DIFSと第1CWとを自由に設定できる。また、制御信号を受信可能な場合においてパケットが迅速に送信されるので、送信期間が制限されていても、送信の機会を増加できる。エリア外端末装置からのパケット信号を検出すると、パケット信号を報知するまでの期間を短縮するので、パケット信号の送信の機会を増加できる。また、パケット信号の送信の機会が増加されるので、エリア外端末装置へフレーム構成を通知できる。
【0080】
また、第1期間に含まれた複数のスロットの中から、複数の端末装置間の通信に使用可能なスロットを報知するので、複数の端末装置間の通信における衝突の発生確率を低減できる。また、複数の端末装置間の通信における衝突の発生確率が低減されるので、通信量が増加した場合であってもパケット信号の衝突確率を低減できる。また、複数のスロットのそれぞれに対する受信電力をもとに、空きスロットを特定するので、特定を簡易に実行できる。また、以前のフレームに含まれた空きスロットの番号を報知するので、端末装置への指示を確実に実行できる。また、空きスロットを使用している端末装置は、複数のフレームにわたって、当該スロットに対応したスロットを使用するので、処理を簡易にできる。また、アクセス制御装置は、端末装置間のデータ通信に参加せず、空きスロットに関する指標を通知するだけなので、CSMA/CAを前提とした通信システムにも容易に適用できる。
【0081】
また、第1期間に含まれた複数のスロットの中から、複数の端末装置が信号を重複して送信したことによって衝突が発生したスロットを報知するので、複数の端末装置間の通信における衝突の発生確率を低減できる。また、複数のスロットのそれぞれに対する受信電力と、複数のスロットのそれぞれに対する信号品質とをもとに、衝突スロットを特定するので、特定を簡易に実行できる。また、以前のフレームに含まれた衝突スロットの番号を報知するので、端末装置への指示を確実に実行できる。また、アクセス制御装置は、端末装置間のデータ通信に参加せず、衝突スロットに関する指標を通知するだけなので、CSMA/CAを前提とした通信システムにも容易に適用できる。
【0082】
また、フレーム中に第2期間も含めることによって、重要度の高い通信と重要度の低い通信とを分離できる。また、重要度の高い通信と重要度の低い通信とが分離されるので、重要度の高い通信における衝突確率の増加を抑制できる。また、端末装置の数に応じて、第1期間の長さを調節するので、第1期間および第2期間を有効に利用できる。また、端末装置の数を受信電力によって推定するので、端末装置と直接通信していない場合であっても、端末装置の数を容易に推定できる。
【0083】
また、第1期間と第2期間とのうちの第1期間における複数のスロットを使用すべき端末装置に関する情報を報知するので、複数の端末装置を第1期間あるいは第2期間へ分配できる。また、複数の端末装置が第1期間あるいは第2期間へ分配されるので、第1期間でのパケット信号の衝突確率を低減できる。また、第1期間と第2期間とのうちの第1期間における複数のスロットを使用すべき端末装置に関する情報として、エリア決定用しきい値を使用するので、値の調節を容易に実行できる。また、エリア決定用しきい値が使用されるので、端末装置に位置の測位機能が備えられていなくても、第1期間あるいは第2期間の使用を指定できる。
【0084】
また、制御情報のうち、識別キャリアは、データに使用させず、残りのサブキャリアは、データにも使用されるので、制御情報とデータ信号とが衝突しても制御情報の信号成分を観測させることによって、制御情報の存在を検知させることができる。また、識別キャリアとそれ以外のサブキャリアとの間にガードバンドが設けられるので、両者の間の干渉を低減でき、識別キャリアで伝送している情報の到達確率を向上できる。また、識別キャリアに、重要な情報を配置するので、重要な情報の到達確率を向上できる。また、識別キャリアにUWを配置するので、識別キャリアの検出精度を向上できる。
【0085】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0086】
本発明の実施例において、アクセス制御装置10から報知される制御情報や、ひとつの端末装置14から報知されるデータは、ひとつのスロットに割り当てられている。しかしながらこれに限らず例えば、制御情報やデータが、ふたつ以上のスロットに割り当てられていてもよい。本変形例によれば、制御情報やデータの通信速度を向上できる。
【0087】
本発明の実施例において、識別キャリアは、ふたつのサブキャリアに相当する。また、識別キャリアは、OFDMシンボルの中央周波数付近のサブキャリアに配置されている。しかしながらこれに限らず例えば、識別キャリアは、ふたつ以上のサブキャリアに相当してもよく、識別キャリアは、OFDMシンボルの中央周波数付近以外のサブキャリアに配置されていてもよい。本変形例によれば、通信システム100の設計の自由度を向上できる。
【符号の説明】
【0088】
10 アクセス制御装置、 12 車両、 14 端末装置、 20 アンテナ、 22 RF部、 24 変復調部、 26 処理部、 28 GPS測位部、 30 制御部、 32 検出部、 34 フレーム規定部、 36 生成部、 38 電力測定部、 40 品質測定部、 42 空きスロット特定部、 44 衝突スロット特定部、 50 アンテナ、 52 RF部、 54 変復調部、 56 処理部、 58 制御部、 60 タイミング特定部、 62 取得部、 64 生成部、 66 制御情報抽出部、 70 通知部、 80 決定部、 86 比較部、 88 測定部、 94 パラメータ受付部、 96 期間導出部、 100 通信システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送波感知多重アクセス方式にてパケット信号を報知するまでの時間間隔を設定する制御部と、
前記制御部において設定した時間間隔にてパケット信号を報知する通信部とを備え、
前記通信部は、無線装置間の通信を制御するアクセス制御装置から所定の頻度で報知される制御信号を受信し、
前記制御部は、前記通信部において制御信号を受信可能な場合の時間間隔を、残りの場合の時間間隔よりも短くすることを特徴とする無線装置。
【請求項1】
搬送波感知多重アクセス方式にてパケット信号を報知するまでの時間間隔を設定する制御部と、
前記制御部において設定した時間間隔にてパケット信号を報知する通信部とを備え、
前記通信部は、無線装置間の通信を制御するアクセス制御装置から所定の頻度で報知される制御信号を受信し、
前記制御部は、前記通信部において制御信号を受信可能な場合の時間間隔を、残りの場合の時間間隔よりも短くすることを特徴とする無線装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−81228(P2013−81228A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−268437(P2012−268437)
【出願日】平成24年12月7日(2012.12.7)
【分割の表示】特願2008−297150(P2008−297150)の分割
【原出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月7日(2012.12.7)
【分割の表示】特願2008−297150(P2008−297150)の分割
【原出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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