説明

送信機及び無線機

【課題】低温下においても、電源投入時の不要輻射の発生を抑え、かつ安定動作状態に移行するまでの待ち時間を短縮する。
【解決手段】装置起動後、安定動作状態になるまで、最終段増幅部5をA級動作で動作させることにより装置をすばやく安定動作できる状態に導き、その間は不要輻射をしないように送信信号遮断部4により送信信号を停波する。また、安定動作判定部6において安定動作ができる状態になったと判定されると、最終段増幅部5の動作を通常動作モード(例えばAB級動作モード)に切り替え、送信信号遮断部4の停波を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、低温下においても迅速に動作状態を安定化させるために電力増幅器の動作を制御する送信機及び無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、無線機に設けられる電力増幅器は、消費電力を低減するために、AB級など入力電力の増減に応じて消費電力が増減するような動作モードで運用されている。これに対して、電力増幅器をA級動作で運用すると入力される送信信号にかかわらず一定の消費電力で動作するため電力利用効率は悪くなる。また、低温下に設置された無線機は、電源投入直後は、装置が温まるまでに時間がかかるため、無線機の動作が安定せず不要輻射波を送信するおそれがある。
【0003】
なお、本願に関連する公知文献として次のようなものがある(例えば、特許文献1乃至4を参照。)。
【特許文献1】特開2007−74039公報
【特許文献2】特開2002−33625公報
【特許文献3】特開平9−93145公報
【特許文献4】特開平7−288445公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、無線機が安定に動作する状態になるまでは不要輻射が発生しないように送信信号を遮断すると、AB級などで動作する電力増幅器では、電力増幅器に送信信号が入力されないため、消費電力は小さく装置全体が温まるまでに時間がかかってしまう。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、低温下においても、電源投入時の不要輻射の発生を抑え、かつ安定動作状態に移行するまでの待ち時間を短縮する送信機及び無線機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためにこの発明の一態様は、送信信号を一定の消費電力で増幅する第1モードと、前記送信信号に応じて可変する電力で増幅する第2モードとを有する増幅部と、前記増幅部が安定に動作する安定動作状態であるか否かを判定する判定部と、前記増幅部が安定動作状態であると判定されるまで、前記増幅部へ供給される前記送信信号を遮断する遮断部と前記増幅部が安定動作状態であると判定されるまでは、前記増幅部を前記第1モードに切り替え、前記増幅部が安定動作状態であると判定された場合に、前記増幅部を前記第2モードに切り替える切替部とを具備する。
【0007】
上記構成では、装置起動後、安定動作状態になるまで、増幅部をA級動作で動作させることにより装置をすばやく安定動作できる状態に導き、その間は不要輻射をしないように遮断部により送信信号を停波する。また、判定部において安定動作ができる状態になったと判定されると、増幅部の動作を通常動作モード(例えばAB級動作モード)に切り替え、遮断部の停波を解除する。装置が安定動作状態に移行するまでの間だけ消費電力が一定となるA級動作に切り替えることで装置をすばやく温め、不要輻射波を出力することなく、低温時の装置立ち上げ時間を短縮することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
したがってこの発明によれば、低温下においても、電源投入時の不要輻射の発生を抑え、かつ安定動作状態に移行するまでの待ち時間を短縮できる送信機及び無線機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、この発明に係る送信機の一実施形態を示す機能ブロック図である。
図1において、送信機に入力された送信信号は送信信号遮断部4を介して最終段増幅部5で増幅された後にアンテナから送信される。最終段増幅部5は、A級動作モードと、通常運用時の動作モード(AB級動作モードなど)とを有する。A級動作モードは、常に一定の消費電力で動作するため消費電力が大きい。AB級動作モードは、入力電力の増減により消費電力が増減するもので、A級動作モードよりも電力利用効率が良い。
【0010】
安定動作判定部6は、装置が安定に動作する状態であるか否かを判定する。送信信号遮断部4は、安定動作判定部6による判定結果をもとに装置が安定動作状態になるまで最終段増幅部5に入力される送信信号を遮断し、安定動作状態になったときにこの遮断を解除して、最終段増幅部5へ送信信号を供給する。また、動作モード切替部11は、安定動作判定部6による判定結果に基づいて、安定動作状態になったと判定されまでは最終段増幅部5をA級動作モードに切り替え、安定動作状態になったと判定されたときに最終段増幅部5をAB級動作モードに切り替える。
【0011】
以下、安定動作判定部6における安定動作状態の判定処理の具体的な内容について各実施例にしたがって説明する。
【0012】
(実施例1)
実施例1は、装置温度が安定動作を保証する基準値範囲内にあることを安定動作の判定基準とするものである。
図2は、実施例1の構成を示す機能ブロック図である。なお、上記図1と同一の部分には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0013】
図2において、安定動作判定部6は、温度モニタ部62と、基準値判定部61とを備える。温度モニタ部62は、装置の温度を計測する。例えば、低温下では動作が不安定となりやすい最終段増幅部5や局部発振器(図示せず)などの温度を計測するものとする。基準値判定部61は、上記計測された温度が予め決められた基準値の範囲内にある場合に、装置が安定動作状態であると判定する。
【0014】
(実施例2)
実施例2は、最終段増幅部のバイアス電流が安定動作を保障する基準値範囲内にあることを安定動作の判定基準とするものである。
図3は、実施例2の構成を示す機能ブロック図である。なお、上記図1と同一の部分には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0015】
図3において、安定動作判定部6は、バイアス電流モニタ部63と、基準値判定部61とを備える。バイアス電流モニタ部63は、最終段増幅部5のバイアス電流を検出する。基準値判定部61は、上記検出されたバイアス電流の値が予め決められた基準値の範囲内にある場合に、装置が安定動作状態であると判定する。基準値判定部61は、安定動作状態であると判定すると、送信信号遮断部4により停波を解除し、動作モード切替部11により最終段増幅部5をAB級動作モードに切り替える。
【0016】
(実施例3)
実施例3は、ループバックベースバンド信号から直交変調度を検出し、変調部の直交変調度が安定動作を保障する基準値範囲内にあることを安定動作の判定基準とするものである。
図4は、実施例3の構成を示す機能ブロック図である。なお、上記図1と同一の部分には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0017】
図4において、送信信号として入力されたデジタル信号は、デジタル・アナログ変換部1で送信ベースバンド信号に変換され、第1フィルタ2を介した後、変調部3にて送信高周波信号に変換される。この送信高周波信号は、送信信号遮断部4に入力され、装置が安定動作状態になるまで遮断される。安定動作状態になると、最終段増幅部5は送信信号遮断部4から供給されるこの信号を所定の電力まで増大させてアンテナから送信する。また、上記デジタル信号と、送信信号遮断部4によって遮断された信号は、安定動作判定部6に入力される。
【0018】
安定動作判定部6は、復調部7と、第2フィルタ8と、アナログ・デジタル変換部9と、基準値判定部61とを備える。送信信号遮断部4によって遮断されたループバックベースバンド信号は、復調部7により復調され、第2フィルタ8で信号が選択され、アナログ・デジタル変換部9でデジタル信号に変換される。基準値判定部61は、送信信号として入力されたデジタル信号と上記変換されたデジタル信号とを比較して、変調部3の直交変調度が安定動作を保障する基準値範囲内にある場合に安定動作状態であると判定する。基準値判定部61は、安定動作状態であると判定すると、送信信号遮断部4により停波を解除し、動作モード切替部11により最終段増幅部5をAB級動作モードに切り替える。
【0019】
(実施例4)
実施例4は、ループバックベースバンド信号から遅延量を検出し、遅延量が安定動作を保障する基準値範囲内にあることを安定動作の判定基準とするものである。
実施例4は、上記図4の構成において基準値判定部61の動作が異なる。それ以外の部分については実施例3と同一であるため、図4を用いて説明を行い、詳しい説明は省略する。
【0020】
安定動作判定部6には、送信信号として入力されたデジタル信号と、送信信号遮断部4によって遮断された信号とが入力される。送信信号遮断部4によって遮断されたループバックベースバンド信号は、復調部7により復調され、第2フィルタ8で信号が選択され、アナログ・デジタル変換部9でデジタル信号に変換される。基準値判定部61は、送信信号として入力されたデジタル信号と上記変換されたデジタル信号とを比較して、ループバックベースバンド信号の遅延量を検出し、この遅延量が安定動作を保障する基準値範囲内にある場合に安定動作状態であると判定する。基準値判定部61は、安定動作状態であると判定すると、送信信号遮断部4により停波を解除し、動作モード切替部11により最終段増幅部5をAB級動作モードに切り替える。
【0021】
(実施例5)
実施例5は、ループバックベースバンド信号に歪成分を付与し、この歪成分が安定動作を保障する基準値範囲内にあることを安定動作の判定基準とするものである。
図5は、実施例5の構成を示す機能ブロック図である。なお、上記図4と同一の部分には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0022】
図5において、安定動作判定部6には、歪成分発生用増幅部12がさらに設けられる。歪成分発生用増幅部12は、送信信号遮断部4によって遮断されたループバックベースバンド信号が入力され、この信号に歪成分を付与する。歪成分が付与されたループバックベースバンド信号は、復調部7により復調され、第2フィルタ8で信号が選択され、アナログ・デジタル変換部9でデジタル信号に変換される。基準値判定部61は、上記変換されたデジタル信号をFFT処理し、その結果から歪成分が安定動作を保障する基準値範囲内にある場合に安定動作状態であると判定する。基準値判定部61は、安定動作状態であると判定すると、送信信号遮断部4により停波を解除し、動作モード切替部11により最終段増幅部5をAB級動作モードに切り替える。
【0023】
(実施例6)
実施例6は、安定動作判定時にループバックベースバンド信号に歪成分を付与し、この歪成分が安定動作を保障する基準値範囲内にあることを安定動作の判定基準とするものである。
図6は、実施例6の構成を示す機能ブロック図である。なお、上記図4と同一の部分には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0024】
図6において、この送信機は、図5における歪成分発生用増幅部12のかわりに、変調部3と送信信号遮断部4との間に、前段増幅部13と、レベル調整部14とを備えたものである。レベル調整部14は、前段増幅部13の入力レベルを可変に調整する機能を有する。基準値判定部61は、安定動作判定時はレベル調整部14により前段増幅部13への入力レベルを高くすることで歪成分を発生させる。歪成分が付与されたループバックベースバンド信号は、復調部7により復調され、第2フィルタ8で信号が選択され、アナログ・デジタル変換部9でデジタル信号に変換される。
【0025】
基準値判定部61は、上記変換されたデジタル信号をFFT処理し、その結果から歪成分が安定動作を保障する基準値範囲内にある場合に安定動作状態であると判定する。基準値判定部61は、安定動作状態であると判定すると、送信信号遮断部4により停波を解除し、動作モード切替部11により最終段増幅部5をAB級動作モードに切り替えると共に、レベル調整部14により前段増幅部13への入力レベルを所定の値まで下げる。
【0026】
(実施例7)
実施例7は、上記実施例4の送信機を備える無線機において、受信モード時に復調部、アナログ・デジタル変換部を受信回路と共用させるようにしたものである。
図7は、実施例7の構成を示す機能ブロック図である。なお、上記図4と同一の部分には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0027】
安定動作判定部6には、ローノイズアンプ16と、送受信切替部17とがさらに設けられる。アンテナにより受信された受信ベースバンド信号は、サーキュレータ15からローノイズアンプ16を介して送受信切替部17に入力される。送受信切替部17は、送信信号遮断部4により遮断されたループバックベースバンド信号とローノイズアンプ16を介して入力される受信ベースバンド信号とを切り替えて復調部7に供給する。送受信切替部17から受信ベースバンド信号が供給されると、受信ベースバンド信号は、復調部7により復調され、第2フィルタ8で信号が選択され、アナログ・デジタル変換部9でデジタル信号に変換され、受信デジタル信号として出力される。
【0028】
一方、送受信切替部17からループバックベースバンド信号が供給されると、ループバックベースバンド信号は、復調部7により復調され、第2フィルタ8で信号が選択され、アナログ・デジタル変換部9でデジタル信号に変換される。そして、基準値判定部61は、送信信号として入力されたデジタル信号と上記変換されたデジタル信号とを比較して、ループバックベースバンド信号の直交変調度を検出し、変調部3の直交変調度が安定動作を保障する基準値範囲内にある場合に安定動作状態であると判定する。基準値判定部61は、安定動作状態であると判定すると、送信信号遮断部4により停波を解除し、動作モード切替部11により最終段増幅部5をAB級動作モードに切り替える。
【0029】
なお、この実施例8は、上記実施例5、6、7実施例4の送信機を備えた無線機としても同様に適用できる。
【0030】
(実施例8)
実施例8は、ループバックベースバンド信号のうち送信周波数帯域の信号レベルを抑圧して不要輻射の電力量をモニタし、この不要輻射の電力量が安定動作を保障する基準値範囲内にあることを安定動作の判定基準とするものである。
図8は、実施例8の構成を示す機能ブロック図である。なお、上記図4と同一の部分には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0031】
図8において、安定動作判定部6は、上記図4における変調部3、第2フィルタ8、及びアナログ・デジタル変換部9にかえて、帯域阻止フィルタ18と、電力モニタ部19とを備える。帯域阻止フィルタ18は、送信信号遮断部4で遮断されたループバックベースバンド信号のうち送信周波数帯域の信号レベルを十分に抑圧する。これにより、電力モニタ部19には、帯域阻止フィルタ18から出力される送信周波数帯域以外の電力、つまり、不要輻射のみの電力だけが入力されることになる。基準値判定部61は、電力モニタ部19により検波された電力量が安定動作を保障する基準値範囲内にある場合に安定動作状態であると判定する。基準値判定部61は、安定動作状態であると判定すると、送信信号遮断部4により停波を解除し、動作モード切替部11により最終段増幅部5をAB級動作モードに切り替える。
【0032】
(実施例9)
実施例9は、通常運用モードに切り替える際に、最終段増幅部の出力信号をモニタし、不要輻射がないことを確認しながら出力レベルを調整するようにするものである。
図9は、実施例9の構成を示す機能ブロック図である。なお、上記図4と同一の部分には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0033】
この送信機は、上記図4の構成に加え、レベル調整部14と、送信信号分配部20と、入力信号切替部21とを設けたものである。レベル調整部14は、最終段増幅部5の前段に設けられ、最終段増幅部5への入力レベルを調整する。送信信号分配部20は、最終段増幅部5の出力を分配して入力信号切替部21に入力する。入力信号切替部21は、送信信号遮断部4で遮断されたループバックベースバンド信号と、送信信号分配部20により分配された信号とを切り替えて復調部7に入力する。
【0034】
基準値判定部61は、最終段増幅部5を通常運用モード(例えばAB級動作モード)にする際に、レベル調整部14により、不要輻射が起きても電波法に違反しないレベルまで出力レベル落とす。そして、送信信号分配部20により分配された信号内に不要輻射がないことを確認しながら一定間隔(たとえば1dB単位)でレベル調整部14を可変させていく。
【0035】
(実施例10)
実施例10は、実施例9において通常運用モードに切り替える際に、最終段増幅部の出力レベルが十分に低い間は大きな変化量で可変し、出力レベルが大きくなっていくにつれて可変量を小さくして、よりすばやく装置を立ち上げるようにするものである。
実施例10は、上記図9の構成において基準値判定部61の動作が異なる。それ以外の部分については実施例10と同一であるため、図9を用いて説明を行い、詳しい説明は省略する。
【0036】
基準値判定部61は、最終段増幅部5を通常運用モードにする際に、よりすばやく装置を立ち上げるために、レベル調整部14の可変量を出力レベルが十分に低い間は大きな変化量で可変し、出力レベルが大きくなって行くにつれて可変量を小さくして調整する。
【0037】
以上述べたように、上記実施形態では、装置起動後、安定動作状態になるまで、最終段増幅部5をA級動作で動作させることにより装置をすばやく安定動作できる状態に導き、その間は不要輻射をしないように送信信号遮断部4により送信信号を停波する。また、安定動作判定部6において安定動作ができる状態になったと判定されると、最終段増幅部5の動作を通常動作モード(例えばAB級動作モード)に切り替え、送信信号遮断部4の停波を解除する。
【0038】
したがって、上記実施形態によれば、低温下においても、電源投入時の不要輻射の発生を抑え、かつ安定動作状態に移行するまでの待ち時間を短縮することが可能となる。
【0039】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明に係る送信機の一実施形態を示す機能ブロック図。
【図2】実施例1の構成を示す機能ブロック図。
【図3】実施例2の構成を示す機能ブロック図。
【図4】実施例3及び実施例4の構成を示す機能ブロック図。
【図5】実施例5の構成を示す機能ブロック図。
【図6】実施例6の構成を示す機能ブロック図。
【図7】実施例7の構成を示す機能ブロック図。
【図8】実施例8の構成を示す機能ブロック図。
【図9】実施例9及び実施例10の構成を示す機能ブロック図。
【符号の説明】
【0041】
4…送信信号遮断部、5…最終段増幅部、6…安定動作判定部、11…動作モード切替部、61…基準値判定部、62…温度モニタ部、63…バイアス電流モニタ部、1…デジタル・アナログ変換部、2…第1フィルタ、3…変調部、7…復調部、8…第2フィルタ、9…アナログ・デジタル変換部、10…基準判定部、12…歪成分発生用増幅部、13…前段増幅部、14…レベル調整部、15…サーキュレータ、16…ローノイズアンプ、17…受信信号切替部、18…帯域阻止フィルタ、19…電力モニタ部、20…送信信号分配部、21…入力信号切替部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信信号を一定の消費電力で増幅する第1モードと、前記送信信号に応じて可変する電力で増幅する第2モードとを有する増幅部と、
当該装置が安定に動作する安定動作状態であるか否かを判定する判定部と、
前記安定動作状態であると判定されるまで前記増幅部へ供給される前記送信信号を遮断する遮断部と、
前記安定動作状態であると判定されるまで前記増幅部を前記第1モードに切り替え、前記安定動作状態であると判定されたときに前記増幅部を前記第2モードに切り替える切替部と
を具備することを特徴とする送信機。
【請求項2】
前記判定部は、当該装置の温度を検出し、前記検出された温度が基準値以上の場合に前記安定動作状態であると判定することを特徴とする請求項1記載の送信機。
【請求項3】
前記判定部は、前記増幅部のバイアス電流を検出し、前記検出された電流の値が基準範囲内にある場合に前記安定動作状態であると判定することを特徴とする請求項1記載の送信機。
【請求項4】
前記増幅部の前段で前記送信信号を変調する変調部と、
前記遮断部により遮断された信号を復調する復調部と、
前記復調された信号をもとに変調度を検出する検出部と
をさらに具備し、
前記判定部は、前記検出された変調度が基準範囲内にある場合に前記安定動作状態であると判定することを特徴とする請求項1記載の送信機。
【請求項5】
前記増幅部の前段で前記送信信号を変調する変調部と、
前記遮断部により遮断された信号を復調する復調部と、
前記復調された信号をもとに遅延量を検出する検出部と
をさらに具備し、
前記判定部は、前記検出された遅延量が基準範囲内にある場合に前記安定動作状態であると判定することを特徴とする請求項1記載の送信機。
【請求項6】
前記増幅部の前段で前記送信信号を変調する変調部と、
前記遮断部により遮断された信号に歪成分を付加する歪付加部と、
前記歪成分が付加された信号を復調する復調部と
をさらに具備し、
前記判定部は、前記復調された信号をFFT処理した結果をもとに前記歪成分が基準範囲内にある場合に前記安定動作状態であると判定することを特徴とする請求項1記載の送信機。
【請求項7】
前記安定動作状態の判定時に前記遮断部により遮断される信号の入力レベルを高くすることする特徴とする請求項6記載の送信機。
【請求項8】
前記増幅部の前段で前記送信信号を変調する変調部と、
前記遮断部により遮断された信号のうち送信周波数帯を抑圧するフィルタ部と、
前記送信周波数帯が抑圧された信号の電力量を検出する検出部と
をさらに具備し、
前記判定部は、前記検出された電力量が基準範囲内にある場合に前記安定動作状態にあると判定することを特徴とする請求項1記載の送信機。
【請求項9】
前記増幅部の前段で前記送信信号を変調する変調部と、
前記変調部から前記増幅部に供給される信号の出力レベルを可変に調整する調整部と、
前記増幅部から出力される信号を前記判定部に分配する分配部と、
前記分配部により分配された信号を復調する復調部と、
前記復調された信号をもとに不要輻射を検出する検出部と
をさらに具備し、
前記判定部は、前記第2モードに切り替える際に、前記復調された信号をもとに不要輻射を検出し、前記検出された不要輻射に応じて前記調整部により前記出力レベルを調整することをさらに特徴とする請求項1記載の送信機。
【請求項10】
請求項4乃至7のうちいずれかに記載の送信機を具備する無線機であって、
送信モードと受信モードとを切り替える送受信切替部を備え、
前記受信モード時に前記復調部に受信信号を復調させるようにしたことを特徴とする無線機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−154468(P2010−154468A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333068(P2008−333068)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】