送信装置及び基地局並びに送信方法
【課題】電力増幅器におけるクリップによる歪電力の受信品質への影響を低減すること。
【解決手段】送信装置は、送信データに対して、直並列変換処理、符号化処理及び変調処理を行い、送信データ信号を生成する手段と、システム帯域に含まれるサブキャリアの内で、送信に使用するサブキャリアを選択し、該選択した各サブキャリアに、送信データ信号を割り当てる手段と、選択した各サブキャリアに割り当てられた送信データ信号を逆高速フーリエ変換する手段と、逆フーリエ変換した送信データ信号を、指定された送信電力で送信する送信・増幅手段と、送信・増幅手段の性能を示すRF回路性能情報と指定された送信電力とに基づいて、使用するサブキャリア数を決定する使用サブキャリア制御手段とを有する。送信装置は、決定されるサブキャリア数に基づいて、送信データに対して、直並列変換処理を行い、送信に使用するサブキャリアを選択する。
【解決手段】送信装置は、送信データに対して、直並列変換処理、符号化処理及び変調処理を行い、送信データ信号を生成する手段と、システム帯域に含まれるサブキャリアの内で、送信に使用するサブキャリアを選択し、該選択した各サブキャリアに、送信データ信号を割り当てる手段と、選択した各サブキャリアに割り当てられた送信データ信号を逆高速フーリエ変換する手段と、逆フーリエ変換した送信データ信号を、指定された送信電力で送信する送信・増幅手段と、送信・増幅手段の性能を示すRF回路性能情報と指定された送信電力とに基づいて、使用するサブキャリア数を決定する使用サブキャリア制御手段とを有する。送信装置は、決定されるサブキャリア数に基づいて、送信データに対して、直並列変換処理を行い、送信に使用するサブキャリアを選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,無線通信システムに関し、特にOFDM伝送技術を用いたOFDMA方式に利用できる送信装置及び基地局並びに送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式が適用される送信機の一例について説明する。
【0003】
図1は、全システム帯域の一部の帯域又は全帯域を使用する1ユーザ分の送信機を示す。該送信機1は、直並列変換部(S/P)2において、使用するサブキャリア数に応じて、入力信号をシリアルパラレル変換によりマルチキャリア用のパラレル信号に変換する。該送信装置1は、符号化部4において、指定された符号化の種類と符号化率により符号化を行う。該送信装置1は、シンボルマッピング部6において、指定された変調方式により決定される信号点へのシンボルマッピングを行う。符号化方式と変調方式は、符号化方式と変調方式との組み合わせの中から、必要となる受信品質の情報である所要受信品質情報と、実際に受信機で得られる受信品質の情報である受信品質情報とを比較することによりスループットが最大となるように決定される。該送信装置1は、チャネル割当部8において、符号化・シンボルマッピングされた信号の送信に用いるサブキャリアの割当を行う。チャネル割当部8は、割り当てられたサブキャリア位置に相当するIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)入力に、符号化・シンボルマッピングされた信号を入力する。該送信装置1は、逆高速フーリエ変換(IFFT)部10において、入力信号をIFFTする。該送信装置1は、並直列変換部(P/S)12において、IFFTされた信号に対してパラレルシリアル変換によりOFDMA方式用の送信信号を生成する。該送信装置1は、ガードインターバル付加部(GI)14において、IFFT処理後のOFDMA信号に、伝搬路におけるマルチパスフェージングの対策としてガードインターバルを付加する。ガードインターバルに付加する信号は、各OFDMAシンボル後方の一部の信号をコピーし、それをシンボルの先頭に挿入することにより生成できる。
【0004】
以上より、全帯域の少なくとも一部の帯域を使用するようなOFDMA信号を生成できる。
【特許文献1】特開2006-229438号公報
【非特許文献1】S. Tomisato and M. Hata, "Peak Power Reduction Method Using Adaptive Peak Reduction Signal Level Control for OFDM Transmission Systems," IEICE Trans. Fundamentals., vol.E88-A, No.7, pp.1897-1902, July 2005.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
OFDMA方式が適用された送信信号は、OFDM信号と同様に各サブキャリアの信号が加算された信号である。このため、各サブキャリアの信号の位相に応じて平均電力と比較して非常に大きなピーク電力が発生する。例えば、全てのキャリアの信号が同相で加算された場合には、平均電力のNc倍(Ncはサブキャリア数)のピーク電力が発生する。このため、生成されたOFDMA方式が適用された送信信号は平均電力と比較して非常に大きなピーク電力を持つことになる。
【0006】
一方、OFDMA方式の送信機で用いられる電力増幅器では、電力効率を高める点からは、飽和電力値に近い平均送信電力値が得られる領域で使用することが望ましい。しかしながら、OFDMA方式が適用された送信信号のように平均電力に対してピーク電力が大きい場合には、飽和電力値に近い平均送信電力値が得られる領域で使用すると飽和電力と平均電力の差であるバックオフが入力信号のピーク電力より小さくなる。この結果、図2に示すように入力信号をクリップしたような信号が出力される。
【0007】
このようなクリップが発生すると信号が歪む。その結果、図3に示すように、歪電力が各サブキャリア信号に付加され、受信品質が劣化する。この歪電力はクリップ雑音と呼ばれてもよい。このため、信号に付加される歪電力について所要受信品質を満たすレベルに抑えるためには、平均送信電力を低下させバックオフ値を大きくする必要がある。しかしながら、このようにバックオフを大きくした場合には、電力効率が著しく低下する。このため、移動通信の端末のように電池で動作させている場合には、消費電力の点から深刻な問題となる。
【0008】
一方、OFDMA方式では、受信レベルが低下し受信品質が劣化する場合には、該受信品質の劣化を防ぐため、1ユーザが使用するサブキャリア数を減少させる制御が行われる。例えば、受信レベルが低下し受信品質が劣化する場合には、ユーザがセル端に位置し、基地局からの距離が遠くなる場合が含まれる。例えば、図4に示すように、基地局の近傍に位置する移動局に対しては使用するサブキャリアを多くし、基地局からの距離が遠い移動局に対しては使用するサブキャリア数を少なくする。1ユーザが使用するサブキャリア数を減少させることにより、図5に示すように、送信電力を一定とした場合でも、1サブキャリア当たりの電力を大きくでき、いわゆるサブチャネル利得が得られる。このため、受信機においては、雑音電力と干渉電力の和に対する信号電力の比である受信SINRが改善し受信品質が向上する。しかしながら、使用サブキャリア数を単純に減らした場合、伝送可能な総情報量が少なくなる。このため、必然的にスループットが低下するという欠点がある。
【0009】
さらに、電力増幅器における歪電力の発生を低減するため、OFDMA送信信号のピーク電力を電力増幅器への入力前に低減する手法が各種提案されている。しかしながら、十分な低減量を得るためには、送信機における演算処理量が増大する。このため、小型の端末を用いるシステムにおいては適用が難しい。
【0010】
そこで、本発明は上述した問題点の少なくとも1つを解決するためになされたものであり、その目的は、電力増幅器におけるクリップによる歪電力の受信品質への影響を低減することができる送信装置及び基地局並びに送信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本送信装置は、
送信データに対して、直並列変換処理、符号化処理及び変調処理を行い、送信データ信号を生成する送信データ信号生成手段と、
システム帯域に含まれるサブキャリアの内で、送信に使用するサブキャリアを選択し、該選択した各サブキャリアに、前記送信データ信号を割り当てるチャネル割当手段と、
前記選択した各サブキャリアに割り当てられた送信データ信号を逆高速フーリエ変換する逆高速フーリエ変換手段と、
前記逆フーリエ変換した送信データ信号を、指定された送信電力で送信する送信・増幅手段と、
前記送信・増幅手段の性能を示すRF回路性能情報と前記指定された送信電力とに基づいて、使用するサブキャリア数を決定する使用サブキャリア制御手段と
を有し、
前記送信データ信号生成手段は、前記使用サブキャリア制御手段により決定されるサブキャリア数に基づいて、送信データに対して、直並列変換処理を行い、
前記チャネル割当手段は、前記使用サブキャリア制御手段により決定されるサブキャリア数に基づいて、送信に使用するサブキャリアを選択する。
【0012】
本基地局は、
端末装置の有する送信・増幅手段の性能を示すRF回路性能情報と、該端末装置に対する送信電力制御により指定する送信電力とに基づいて、該端末装置が使用するサブキャリア数を決定する使用サブキャリア制御手段と、
該決定した使用するサブキャリア数を端末装置に通知する通知手段と
を有し、
前記端末装置は、
前記通知されたサブキャリア数に基づいて、送信データに対して直並列変換処理を行い、送信に使用するサブキャリアを選択し、該選択した各サブキャリアに、送信データ信号を割り当て、選択した各サブキャリアに割り当てられた送信データ信号を逆高速フーリエ変換し、該逆フーリエ変換した送信データ信号を、指定された送信電力で送信する。
【0013】
本送信方法は、
送信データに対して、直並列変換処理、符号化処理及び変調処理を行い、送信データ信号を生成するステップと、
当該送信装置の送信・増幅手段の性能を示すRF回路性能情報と送信電力とに基づいて、使用するサブキャリア数を決定するステップと、
システム帯域に含まれるサブキャリアの内で、送信に使用するサブキャリアを選択し、該選択した各サブキャリアに、前記送信データ信号を割り当てるステップと、
前記選択した各サブキャリアに割り当てられた送信データ信号を逆高速フーリエ変換するステップと、
前記逆フーリエ変換した送信データ信号を、指定された送信電力で送信するステップと
を有し、
前記送信データ信号を生成するステップでは、前記使用するサブキャリア数を決定するステップにおいて決定されるサブキャリア数に基づいて、送信データに対して直並列変換処理を行い、
前記送信データ信号を割り当てるステップでは、前記使用するサブキャリア数を決定するステップにおいて決定されたサブキャリア数に基づいて、送信に使用するサブキャリアを選択する。
【発明の効果】
【0014】
開示の送信装置及び基地局並びに送信方法によれば、電力増幅器におけるクリップによる歪電力の受信品質への影響を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
(第1の実施例)
本実施例に係る送信装置100について、図6を参照して説明する。送信装置100は、基地局に含まれるようにしてもよいし、端末に含まれるようにしてもよい。
【0016】
本実施例に係る送信装置100は、直並列変換部(S/P)102と、符号化部104と、シンボルマッピング部106と、チャネル割当部108と、逆高速フーリエ変換(IFFT)部110と、並直列変換部(P/S)112と、ガードインターバル(GI: Guard Interval)付与部114と、送信増幅部116と、送信パラメータ設定部118と、使用サブキャリア制御部120とを有する。本実施例に係る送信装置100は、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式が適用される。本実施例に係る送信装置100は、使用サブキャリア数を最適化する。その結果、送信増幅部116で非線形歪が発生するような送信機においても、該非線形歪により影響を低減できる。例えば、該送信装置100は、送信電力とRF回路性能情報を用いて使用サブキャリア数を制御する。
【0017】
直並列変換部102には、後述する使用サブキャリア制御部120により、使用サブキャリア数が入力される。並直列変換部102は、該使用サブキャリア数に応じて、入力されたデータ信号をマルチキャリア用のパラレル信号に変換する。
【0018】
符号化部104には、送信パラメータ設定部118により、符号化方式が入力される。符号化部104は、該符号化方式により指定される符号化の種類及び符号化率で符号化を行う。
【0019】
シンボルマッピング部106には、後述する送信パラメータ設定部118により、変調方式が入力される。シンボルマッピング部106は、該変調方式により決定される信号点へシンボルマッピングを行う。
【0020】
送信パラメータ設定部118は、所要受信品質情報と受信品質情報とを比較することにより、符号化方式と変調方式とを決定する。ここで、所要受信品質情報は、符号化方式と変調方式の組み合わせにより必要となる受信品質の情報である。また、受信品質情報は、実際に受信機で得られる受信品質の情報である。受信品質情報は受信機で測定できる受信レベルを用いることが可能である。例えば、この受信レベル情報を受信機から送信機へフィードバックすることにより送信側で受信SINRを見積もることができる。
【0021】
チャネル割当部108には、送信パラメータ設定部118により、使用するサブキャリアの配置(位置)が入力される。また、チャネル割当部108には、使用サブキャリア制御部120により、使用するサブキャリア数が入力される。チャネル割当部108は、シンボルマッピング部104及び符号化部106において符号化・シンボルマッピングされた信号を送信するサブキャリアの割り当てを行う。
【0022】
使用サブキャリア制御部120には、送信電力と、RF(Radio Frequency)回路の性能を示すRF回路性能情報が入力される。使用サブキャリア制御部120は、入力された送信電力とRF回路性能情報に基づいて、使用するサブキャリア数を制御する。
【0023】
本実施例に係る送信装置100を端末側に適用する場合、送信パラメータ制御は、通常、基地局側で行われることが多い。この場合、送信パラメータ設定部118及び使用サブキャリア制御部120は基地局側に備えられることになる。このときの構成例を図7に示す。
本実施例における送信パラメータ設定部118が使用する受信品質情報は、端末側から基地局側に送信される制御信号中に含めてフィードバックされる。基地局の送信パラメータ設定部118では、各符号化方式と変調方式の所要受信品質情報と、このフィードバックされた受信品質情報とを比較することにより、符号化方式、変調方式、使用サブキャリア配置、及び端末送信電力を決定する。送信パラメータ設定部118が決定した符号化方式、変調方式、使用サブキャリア配置、及び端末送信電力は、基地局側から端末側に送信される制御信号中に含めて端末側に送信される。
【0024】
端末では、基地局から送られてきた制御信号に基づいて、符号化方式、変調方式、使用サブキャリア配置、及び送信電力を制御する。
【0025】
また、本実施例における使用サブキャリア制御部120が使用する端末RF回路性能情報は、端末側から基地局側に送信される制御信号中に含めてフィードバックされる。ただし、端末RF回路性能情報の中で事前に知ることが可能で時間的に変化しない情報は、基地局にデータベースを構築し、該情報を蓄積することにより、フィードバックする情報量を減らすことが可能となる。また、端末送信電力は基地局側で把握している情報を用いればよい。
【0026】
使用サブキャリア制御部120は、端末送信電力とこのフィードバックされた端末RF回路性能情報とを用いて端末が使用するサブキャリア数を決定する。使用サブキャリア制御部120が決定した使用サブキャリア数は、基地局側から端末側に送信される制御信号中に含めて端末側に送信される。端末では、基地局から送られてきたこの制御信号に基づいて、使用サブキャリア数を制御する。
【0027】
例えば、RF回路性能情報には、後述する送信増幅部116の非線形歪量を表す情報が含まれてもよい。例えば、RF回路性能情報は、RF回路の非線形性により発生する歪電力量を送信電力に応じて算出したものとしてもよい。ここで、RF回路には、変調器、電力増幅器、ミキサ等が含まれてもよい。実際には、電力増幅器の入出力特性を把握することにより、送信電力と電力増幅器の入出力特性からクリップにより発生する歪電力量を見積もることが可能となる。電力増幅器で発生する歪電力が支配的となるためである。
【0028】
使用サブキャリア制御部120は、入力されるRF回路性能情報と送信電力とに基づいて、送信増幅部116において発生する歪電力を見積もる。また、使用サブキャリア制御部120は、見積もられた歪電力に応じて、使用するサブキャリア数を設定する。同じ送信電力でもサブキャリア数を減らすことにより、1サブキャリア当たりの送信電力を増加させることができる。使用サブキャリア制御部120は、指定された変調・符号化方式に必要とされる受信SINRを達成できるようにサブキャリア数を制御する。使用サブキャリア制御部120は、使用するサブキャリア数を減少させるようにしてもよいし、一旦減少させたサブキャリア数を増加させるようにしてもよい。このようにすることにより、歪電力量の調整を行うことができる。図8には、使用サブキャリア制御部120において行われるサブキャリア数の制御の一例が示される。図8において、横軸は周波数であり、縦軸は送信電力である。図8によれば、使用するサブキャリア数を減少させることにより、1サブキャリア当たりの送信電力を増加させることができる。その結果、非電力量、例えば歪電力量の影響を低減できる。
【0029】
チャネル割当部108には、送信パラメータ設定部118により使用するサブキャリアの配置(位置)を示す情報が入力される。また、チャネル割当部108には、使用サブキャリア制御部120により使用するサブキャリア数を示す情報が入力される。チャネル割当部108は、使用するサブキャリアの位置に相当するIFFT入力に、符号化・シンボルマッピングされた信号を入力する。
【0030】
IFFT部110は、入力された信号に対して逆高速フーリエ変換を行う。その結果、OFDMA方式が適用された送信信号が生成する。
【0031】
並直列変換部112は、OFDMA方式が適用された送信信号をシリアル化する。
【0032】
ガードインターバル付与部114は、シリアル化されたOFDM方式が適用された送信信号に対してガードインターバルが付与される。例えば、ガードインターバルとして付加する信号は、各送信シンボル後方の一部の信号をコピーし、該コピーをシンボルの先頭に挿入することにより生成できる。ガードインターバルを付与することにより、伝搬路におけるマルチパスフェージングの影響を低減できる。
【0033】
送信増幅部116は、ガードインターバルが付加された送信シンボルに対して、変調及び電力増幅を行う。そして、送信増幅部116は、変調及び電力増幅が行われた送信シンボルをRF帯のOFDMA信号として送信する。
【0034】
本実施例に係る送信装置100の動作について、図9を参照して説明する。
【0035】
送信装置100は、送信データ信号を生成する(ステップS902)。例えば、S/P102は、使用サブキャリア制御部120において指定された使用サブキャリア数に従って、送信データに対して直並列変換を行う。そして、符号化部104は、送信パラメータ設定部118において設定された符号化方式に従って、該直並列変換が行われた送信データに対して符号化処理を行う。シンボルマッピング部106は、送信パラメータ設定部118において設定された変調方式に従って、該符号化処理が行われた送信データに対して変調処理を行う。
【0036】
送信装置100は、選択された各サブキャリアに送信データ信号を割り当てる(ステップS904)。例えば、チャネル割当部108は、シンボルマッピング106において変調処理が行われた送信データ信号に対して、送信パラメータ設定部118において設定された使用するサブキャリアの配置及び使用サブキャリア制御部120において指定された使用するサブキャリアの数に従って、選択された各サブキャリアに送信データ信号を割り当てる。
【0037】
送信装置100は、選択された各サブキャリアに割り当てられた送信データ信号を逆高速フーリエ変換する(ステップS906)。例えば、IFFT部110は、チャネル割当部108により入力された信号を逆高速フーリエ変換する。
【0038】
送信装置100は、指定された送信電力で送信を行う(ステップS908)。IFFT部110の出力信号は、P/S112において並直列変換が行われ、GI114でGIが付加される。GIが付加されたデータ信号は、送信増幅部116において、指定された送信電力で送信される。
【0039】
本実施例によれば、OFDMA方式を適用した伝送において、電力増幅器の非線形歪による歪電力が発生する場合でも、最適な送信パラメータを設定することができる。このため、常に良好な高速伝送を行うことが可能となる。
【0040】
例えば、本実施例によれば、電力増幅器で非線形歪が発生するような送信機においても使用サブキャリア数を最適化できる。このため、ピーク電力低減手法を用いることなく、電力増幅器におけるクリップによる歪電力の受信品質への影響を軽減できる。
(第2の実施例)
本実施例に係る送信装置100について、図10を参照して説明する。
【0041】
本実施例に係る送信装置100は、図6を参照して説明した送信装置において、使用サブキャリア制御部120は、使用サブキャリア数に加えて、使用するサブキャリアの位置(配置)についても制御を行う。
【0042】
図7を参照して説明した送信装置の場合と同様に、送信装置100を端末側に適用する場合、送信パラメータ制御は、通常、基地局側で行われることが多い。この場合、送信パラメータ設定部118及び使用サブキャリア制御部120は基地局側に備えられることになる。このときの構成例を図11に示す。
【0043】
送信パラメータ設定部118及び使用サブキャリア制御部120を基地局側に備える場合には、本実施例における送信パラメータ設定部118が使用する受信品質情報、及び使用サブキャリア制御部120が使用するRF回路性能情報は、端末側から基地局側に送信される制御信号中に含めてフィードバックされる。また、使用サブキャリア制御部120が使用する端末送信電力は基地局側で把握している情報を用いればよい。
【0044】
送信パラメータ設定部118及び使用サブキャリア制御部120が決定した端末の符号化方式、変調方式、送信電力、及び使用するサブキャリア数と使用するサブキャリア位置を制御するための制御信号は、基地局側から端末側に送信される制御信号中に含めて端末側に送られる。
【0045】
端末では、基地局から送られてきた制御信号に基づいて、符号化方式、変調方式、送信電力、及び使用サブキャリア数と使用するサブキャリア配置を制御する。
【0046】
使用サブキャリア数が同じでも、使用するサブキャリアの位置により1サブキャリア当たりに付加される歪電力量に違いが生じる。
【0047】
使用サブキャリア制御部120は、図12に示すように、各ユーザへのチャネルの割り当てを、ブロック化したサブキャリアを割り当てることにより行う(ブロック型割り当て手法と呼ぶ)。言い換えれば、使用サブキャリア制御部120は、連続する所定数のサブキャリアをブロック化し、該ブロックを単位として、各ユーザに割り当てる。また、使用サブキャリア制御部120は、図13に示すように、各ユーザへ、システム帯域内に分散したサブキャリアを割り当てるようにしてもよい(分散型割り当て手法と呼ぶ)。言い換えれば、使用サブキャリア制御部120は、離散したサブキャリアを、各ユーザに割り当てる。
【0048】
ブロック型割り当て手法が適用された場合及び分散型割り当て手法が適用された場合における歪電力の発生について、それぞれ図14及び図15を参照して説明する。
【0049】
どちらの手法が適用された場合においても、歪電力の総発生量は同じと想定される。しかし、分散型割り当て手法が適用された場合の方が1サブキャリア当たりの歪電力レベルは低くなる。これは、ブロック型割当手法では、使用されるサブキャリアの位置がシステム帯域内の1つの場所に集中しているため、各サブキャリアで発生した歪電力が互いに重なり合う。その結果、歪電力のレベルが高くなる。分散型割当手法では、歪電力がシステム帯域内に広く拡散する。この拡散効果により1サブキャリア当たりの歪電力レベルが低くなる。
【0050】
ただし、使用されるサブキャリア数が多くなるに従って、このような歪電力の拡散効果が小さくなる。全てのサブキャリアを使用する場合には、両方の割当手法で歪電力の発生状況は同じとなる。
【0051】
また、チャネル割当制御の観点からはブロック割当手法のように1ユーザの使用するサブキャリアが1つの場所に集中している方が制御しやすい。一般的には、周波数利用効率を上げやすい。このため、歪電力の拡散効果が小さい場合には、ブロック型割当手法が望ましい。
【0052】
そこで、図16に示すように、送信機の電力増幅器における歪電力発生量が受信機の受信信号に付加される雑音と他ユーザからの干渉電力との和より十分大きい場合には、使用サブキャリア配置を分散させる分散型割当手法を用いるようにしてもよい。このようにすることにより、1サブキャリア当たりの歪電力を低減し、各サブキャリアの受信SINRを改善することができる。
【0053】
一方、図17に示すように、電力増幅器における歪電力発生量が受信信号に付加される雑音と他ユーザからの干渉電力との和より十分小さい場合には、歪電力を低減しても各サブキャリアの受信SINRの改善は期待できない。このため、このような場合には、より制御が単純なブロック割当手法を適用するようにしてもよい。
【0054】
本実施例に係る送信装置100の動作は、図9を参照して説明した動作と、ステップS904において、送信装置100が選択された各サブキャリアに送信データ信号を割り当てる処理が異なる。本実施例に係る送信装置100では、例えば、チャネル割当部108は、シンボルマッピング部106において変調処理が行われたデータ信号に対して、使用サブキャリア制御部120において指定された使用サブキャリア数及び使用サブキャリア配置に従って、選択された各サブキャリアに送信データ信号を割り当てる。
【0055】
本実施例によれば、RF回路性能情報及び使用するサブキャリアの配置に基づいて、送信・増幅部116において発生する歪電力を求め、該歪電力に応じて使用するサブキャリアの配置を設定する。このようにすることにより、送信・増幅部116において発生する歪電力を低減することができる。例えば、送信機の電力増幅器における歪電力発生量に基づいて、使用するサブキャリアの配置を変更することができる。
(第3の実施例)
本実施例に係る送信装置100について、図18を参照して説明する。
【0056】
本実施例に係る送信装置100は、図6及び図10を参照して説明した送信装置において、システム全体のサブキャリアにおける使用率を示すサブキャリア使用率を用いて、使用サブキャリア数及び/又は使用サブキャリア配置、言い換えれば使用するサブキャリアの位置を決める点が異なる。
【0057】
図13を参照して説明したように、分散型割当手法を用いるためには、サブキャリアを分散するための広い帯域が必要となる。ただし、システムのトラフィック量が多くサブキャリアの使用率が高い場合には、十分に拡散した帯域を設定できないため、分散型割当手法を適用できない場合がある。
【0058】
そこで、本実施例に係る送信装置100においては、使用サブキャリア制御部120は、サブキャリアの使用率が低く、使用するサブキャリアを分散することによる歪電力低減効果が得られる場合に分散型割当手法を適用するような制御を行う。例えば、使用サブキャリア制御部120は、送信電力、RF回路性能情報及びサブキャリア使用率に基づいて、使用するサブキャリア数及び/又は使用するサブキャリアの配置を求める。
【0059】
図7を参照して説明した送信装置の場合と同様に、送信装置100を端末側に適用する場合、送信パラメータ制御は、通常、基地局側で行われることが多い。この場合、送信パラメータ設定部118及び使用サブキャリア制御部120は基地局側に備えられることになる。このときの構成例を図19に示す。
【0060】
送信パラメータ設定部118及び使用サブキャリア制御部120を基地局側に備える場合には,本実施例における送信パラメータ設定部118が使用する受信品質情報、及び使用サブキャリア制御部120が使用するRF回路性能情報は、端末側から基地局側に送信される制御信号中に含めてフィードバックされる。使用サブキャリア制御部120が使用する端末送信電力、及びサブキャリア使用率は基地局側で把握している情報を用いればよい。
【0061】
送信パラメータ設定部118及び使用サブキャリア制御部120が決定した端末の符号化方式,変調方式、送信電力、及び使用するサブキャリア数と使用するサブキャリア位置を制御するための制御信号は、基地局側から端末側に送信される制御信号中に含めて端末側に送られる。
【0062】
端末では、基地局から送られてきた制御信号に基づいて,符号化方式,変調方式,送信電力,及び使用サブキャリア数と使用するサブキャリア配置を制御する。
【0063】
また、システム全体のサブキャリアの使用率は時間により変動する。このため、図20に示すように、1フレーム内でもサブキャリア使用率が変化する場合には、サブキャリア割当手法を適応的に変更する。このようにすることにより、常に最適な割当を可能とできる。
【0064】
本実施例に係る送信装置100の動作は、図9を参照して説明した動作と、ステップS904において、送信装置100が選択された各サブキャリアに送信データ信号を割り当てる処理が異なる。本実施例に係る送信装置100では、例えば、チャネル割当部108は、シンボルマッピング部106において変調処理が行われたデータ信号に対して、使用サブキャリア制御部120において指定された使用するサブキャリアの数及び使用するサブキャリアの配置に従って、選択された各サブキャリアに送信データ信号を割り当てる。
【0065】
本実施例によれば、システムが使用する全サブキャリアの使用率に基づいて、当該ユーザが使用するサブキャリア数及び/又は使用するサブキャリアの位置を決定する。このようにすることにより、システム全体としてサブキャリア使用効率を向上させることができる。
(第4の実施例)
本実施例に係る送信装置100について、図21を参照して説明する。
【0066】
本実施例に係る送信装置100は、図6、図10及び図18を参照して説明した送信装置において、スループットが最大となるように、送信電力、変調方式及び符号化方式を、使用サブキャリア数及び使用サブキャリア配置と総合的に制御する点が異なる。
【0067】
送信パラメータ制御部118は、RF回路性能情報と送信電力に基づいて、送信増幅部116において発生する歪電力を見積もることが可能である。また、送信パラメータ制御部118は、受信品質情報から受信機における受信SINRを見積もることが可能である。
【0068】
送信パラメータ制御部118は、各送信パラメータの組み合わせで実現できるスループットを計算し、該計算したスループットを最大にできる送信電力、変調方式、及び符号化方式の組み合わせを探索する。そして、送信パラメータ制御部118は、該探索結果に応じて送信電力、変調方式、符号化方式、使用サブキャリア数及び使用サブキャリア配置を設定する。
【0069】
図7を参照して説明した送信装置の場合と同様に、送信装置100を端末側に適用する場合、送信パラメータ制御は、通常、基地局側で行われることが多い。この場合、送信パラメータ設定部118は基地局側に備えられることになる。このときの構成例を図22に示す。
【0070】
送信パラメータ制御部118を基地局側に備える場合には,本実施例における送信パラメータ制御部118が使用する受信品質情報及びRF回路性能情報は、端末側から基地局側に送信される制御信号中に含めてフィードバックされる。端末送信電力、及びサブキャリア使用率は基地局側で把握している情報を用いればよい。
【0071】
送信パラメータ制御部118が決定した符号化方式、変調方式、送信電力、及び使用サブキャリア数と使用サブキャリア配置を制御するための制御信号は、基地局側から端末側に送信される制御信号中に含めて端末側に送られる。端末では、基地局から送られてきた制御信号に基づいて、符号化方式、変調方式、送信電力、及び使用サブキャリア数と使用サブキャリア配置を制御する。
【0072】
一方、システム内で多数のユーザが利用する場合には最適な送信パラメータの組み合わせが膨大となり、最適な組み合わせを探索するのが困難となる。このような場合には、受信電力によりセル内でユーザを内側領域と外側領域に分離し、使用可能なサブキャリア数を設定し、その上で他の送信パラメータを設定するようにしてもよい。
【0073】
本実施例に係る送信装置100の動作は、図9を参照して説明した動作と、ステップS902において、送信装置100が送信データ信号を生成する処理が異なる。本実施例に係る送信装置100では、例えば、S/P102は、送信パラメータ制御部118において指定された使用サブキャリア数に従って、送信データに対して直並列変換を行う。そして、符号化部104は、送信パラメータ設定部118において設定された符号化方式に従って、該直並列変換が行われた送信データに対して符号化処理を行う。シンボルマッピング部106は、送信パラメータ設定部118において設定された変調方式に従って、該符号化処理が行われた送信データに対して変調を行う。
【0074】
また、本実施例に係る送信装置100の動作は、図9を参照して説明した動作と、ステップS904において、送信装置100が選択された各サブキャリアに送信データ信号を割り当てる処理が異なる。本実施例に係る送信装置100では、例えば、チャネル割当部108は、シンボルマッピング部106において変調処理が行われた送信データ信号に対して、送信パラメータ制御部118において指定された使用サブキャリア数及び使用サブキャリア配置に従って、選択された各サブキャリアに送信データ信号を割り当てる。
【0075】
本実施例によれば、スループットが最大となるように、送信電力、変調方式及び符号化方式と使用サブキャリア数及び使用サブキャリア配置とを制御することができる。
(第5の実施例)
本実施例に係る送信装置100について説明する。
【0076】
本実施例に係る送信装置100は、図21を参照して説明した送信装置において、ユーザが使用しない帯域である制限帯域を設定するようにしたものである。例えば、該制限帯域は、システム帯域の両端に設定するようにしてもよい。
【0077】
送信電力を上げた場合、通常は歪電力が増大するため帯域外輻射量が増大する。このため、隣接する帯域のサブキャリアを利用する他システムへの干渉量が増加する。そこで、送信パラメータ制御部118は、システム帯域の両端にユーザが使用しない帯域である制限帯域を設定する。このようにすることにより、送信電力を上げても帯域外輻射の規定を満たし、隣接する他システムへの干渉を増加させないようにできる。
【0078】
また、図23に示すように、送信電力の大きさに応じて、システム帯域の両端における使用しない帯域幅を変更するようにしてもよい。例えば、送信電力が大きくなるに従って、制限帯域を広くするようにしてもよい。
【0079】
本実施例に係る送信装置100の動作は、第4の実施例と同様である。
【0080】
本実施例によれば、送信電力の増大により歪電力が増加して多量の帯域外輻射が発生してもシステム帯域外に漏洩する帯域外輻射を低減でき、他のシステム与える影響を低減しつつ送信電力を上げることができる。
【0081】
また、送信装置100を端末側に適用する場合、送信パラメータ制御は、通常、基地局側で行われることが多い。この場合、送信パラメータ設定部118は基地局側に備えられることになる。システム内で多数のユーザがシステム帯域を分割して共有する場合、基地局における送信パラメータ制御部118は多数の端末を同時に制御すればよい。この場合、送信パラメータ制御部118は複数の端末の制御情報を同時に用いて、各端末へ制御信号を送信する。このように同時に送信パラメータを制御することにより、システム外への漏洩電力を低減するため、例えば歪電力の発生が多い端末については,システム帯域の内側に位置するサブキャリアを割り当て、歪電力の発生が比較的小さい端末については、システム帯域の外側に位置するサブキャリアを割り当てることが可能となる。
(第6の実施例)
本実施例に係る送信装置100について説明する。
【0082】
本実施例に係る送信装置100は、図21を参照して説明した送信装置において、複数ユーザ数で周波数帯を分割して使用する場合における送信電力の制御方法が異なる。
【0083】
ユーザ数が少ない場合には、送信機で歪電力が発生し帯域外輻射が発生しても他ユーザに与える影響は小さいと想定される。そこで、本実施例に係る送信装置100は、送信パラメータ制御部118において、図24に示すように、ユーザ数が少ない場合には、該ユーザに対して大きな送信電力を割り当てる。
【0084】
一方、複数のユーザで周波数帯を分割して使用する場合には、帯域外輻射による他ユーザへの影響を低減する必要がある。そこで、本実施例に係る送信装置100は、送信パラメータ制御部118において、図25に示すように、複数のユーザで周波数帯を分割して使用する場合には、帯域外輻射による他ユーザへの影響を低減させるため、1ユーザ当たりの送信電力を小さくする。
【0085】
また、送信装置100を端末側に適用する場合、送信パラメータ制御は、通常、基地局側で行われることが多い。この場合、送信パラメータ設定部118は基地局側に備えられることになる。基地局における送信パラメータ制御部118は、システム帯域を共有している各端末の送信電力について、各端末のサブキャリア割り当て方法とRF回路性能情報により制御することが可能である。各端末が発生する歪電力は、これまで述べたようにサブキャリア割り当て方法とRF回路の性能により異なってくる。このため、これらの各端末の制御情報を用いて、発生歪電力量が小さくなるように送信電力を制御することにより、スループット向上が可能となる。
【0086】
本実施例によれば、OFDMA方式を適用した伝送において、電力増幅器の非線形歪による歪電力が発生する場合でも、最適な送信パラメータを設定することができる。このため、常に良好な高速伝送を行うことが可能となる。
【0087】
また、本実施例によれば、電力増幅器で非線形歪が発生するような送信機においても使用サブキャリア数を最適化できる。このため、ピーク電力低減手法を用いることなく、電力増幅器におけるクリップによる歪電力の受信品質への影響を軽減できる。
【0088】
本実施例によれば、電力増幅器で発生する歪電力量により制御を行うが、電力増幅前にピーク電力低減手段を用いることにより、電力増幅器で発生する歪電力量を制御することが可能となる。例えば、非特許文献1に示される繰り返しピーク電力低減手段を用いると、ピーク電力低減時に発生する歪電力のみ取り出すことが可能となるため、繰り返し処理により周波数ごとに歪電力レベルを制御することができる。このため、信号帯域外の歪電力の許容値に余裕がある場合には、信号帯域内の歪電力レベルをある一定レベル以下に抑えながらピーク電力低減が可能となる。このときピーク電力が低減されているので、電力増幅器の線形性が十分でない場合でも、電力増幅器で発生する歪電力を大幅に低減することが可能となる。この手法を本実施例に係る送信装置に適用することにより、同じ送信電力でも、信号帯域内に発生する歪電力が小さくなる。このため、使用するサブキャリア数を増加させても良好な伝送品質を得ることが可能となる。この結果、使用サブキャリア数増大による高速伝送が可能となる。また、信号帯域内に発生する歪電力が小さいことから送信電力を大きくし伝送品質の改善を図ることも可能となる。このとき、システム帯域の使用率が低く、信号帯域外の歪電力の許容値に余裕がある場合には、特に有効となる。
【0089】
説明の便宜上、発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明されるが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてよい。
【0090】
以上、本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、各実施例は単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウエアで、ソフトウエアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が包含される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】送信装置を示す部分ブロック図である。
【図2】電力増幅器によるクリップを示す説明図である。
【図3】クリップによる歪電力を示す説明図である。
【図4】使用するサブキャリアを可変とする場合の例を示す説明図である。
【図5】サブチャネル利得を示す説明図である。
【図6】一実施例に係る送信装置を示す部分ブロック図である。
【図7】一実施例に係る送信装置の適用例を示す部分ブロック図である。
【図8】一実施例に係るサブキャリア数を制御する方法を示す説明図である。
【図9】一実施例に係る送信装置の動作を示すフロー図である。
【図10】一実施例に係る送信装置を示す部分ブロック図である。
【図11】一実施例に係る送信装置の適用例を示す部分ブロック図である。
【図12】一実施例に係るサブキャリア割り当て方法を示す説明図である。
【図13】一実施例に係るサブキャリア割り当て方法を示す説明図である。
【図14】一実施例に係るサブキャリア割り当て方法を示す説明図である。
【図15】一実施例に係るサブキャリア割り当て方法を示す説明図である。
【図16】一実施例に係るサブキャリア割り当て方法を示す説明図である。
【図17】一実施例に係るサブキャリア割り当て方法を示す説明図である。
【図18】一実施例に係る送信装置を示す部分ブロック図である。
【図19】一実施例に係る送信装置の適用例を示す部分ブロック図である。
【図20】一実施例に係る送信装置におけるフレームの一例を示す説明図である。
【図21】一実施例に係る送信装置を示す部分ブロック図である。
【図22】一実施例に係る送信装置の適用例を示す部分ブロック図である。
【図23】一実施例に係る送信装置における制限帯域の一例を示す説明図である。
【図24】一実施例に係る送信装置における送信電力の設定の一例を示す説明図である。
【図25】一実施例に係る送信装置における送信電力の設定の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0092】
1 送信装置
2 直並列変換部(S/P: serial/parallel)
4 符号化部
6 シンボルマッピング部
8 チャネル割当部
10 逆高速フーリエ変換部(IFFT: Inverse Fast Fourier Transform)
12 並直列変換部(P/S: parallel/serial)
14 ガードインターバル(GI: Guard interval)付与部
16 送信増幅部
18 送信パラメータ設定部
100 送信装置
102 直並列変換部(S/P: serial/parallel)
104 符号化部
106 シンボルマッピング部
108 チャネル割当部
110 逆高速フーリエ変換部(IFFT: Inverse Fast Fourier Transform)
112 並直列変換部(P/S: parallel/serial)
114 ガードインターバル(GI: Guard interval)付与部
116 送信増幅部
118 送信パラメータ設定部
120 使用サブキャリア制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は,無線通信システムに関し、特にOFDM伝送技術を用いたOFDMA方式に利用できる送信装置及び基地局並びに送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式が適用される送信機の一例について説明する。
【0003】
図1は、全システム帯域の一部の帯域又は全帯域を使用する1ユーザ分の送信機を示す。該送信機1は、直並列変換部(S/P)2において、使用するサブキャリア数に応じて、入力信号をシリアルパラレル変換によりマルチキャリア用のパラレル信号に変換する。該送信装置1は、符号化部4において、指定された符号化の種類と符号化率により符号化を行う。該送信装置1は、シンボルマッピング部6において、指定された変調方式により決定される信号点へのシンボルマッピングを行う。符号化方式と変調方式は、符号化方式と変調方式との組み合わせの中から、必要となる受信品質の情報である所要受信品質情報と、実際に受信機で得られる受信品質の情報である受信品質情報とを比較することによりスループットが最大となるように決定される。該送信装置1は、チャネル割当部8において、符号化・シンボルマッピングされた信号の送信に用いるサブキャリアの割当を行う。チャネル割当部8は、割り当てられたサブキャリア位置に相当するIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)入力に、符号化・シンボルマッピングされた信号を入力する。該送信装置1は、逆高速フーリエ変換(IFFT)部10において、入力信号をIFFTする。該送信装置1は、並直列変換部(P/S)12において、IFFTされた信号に対してパラレルシリアル変換によりOFDMA方式用の送信信号を生成する。該送信装置1は、ガードインターバル付加部(GI)14において、IFFT処理後のOFDMA信号に、伝搬路におけるマルチパスフェージングの対策としてガードインターバルを付加する。ガードインターバルに付加する信号は、各OFDMAシンボル後方の一部の信号をコピーし、それをシンボルの先頭に挿入することにより生成できる。
【0004】
以上より、全帯域の少なくとも一部の帯域を使用するようなOFDMA信号を生成できる。
【特許文献1】特開2006-229438号公報
【非特許文献1】S. Tomisato and M. Hata, "Peak Power Reduction Method Using Adaptive Peak Reduction Signal Level Control for OFDM Transmission Systems," IEICE Trans. Fundamentals., vol.E88-A, No.7, pp.1897-1902, July 2005.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
OFDMA方式が適用された送信信号は、OFDM信号と同様に各サブキャリアの信号が加算された信号である。このため、各サブキャリアの信号の位相に応じて平均電力と比較して非常に大きなピーク電力が発生する。例えば、全てのキャリアの信号が同相で加算された場合には、平均電力のNc倍(Ncはサブキャリア数)のピーク電力が発生する。このため、生成されたOFDMA方式が適用された送信信号は平均電力と比較して非常に大きなピーク電力を持つことになる。
【0006】
一方、OFDMA方式の送信機で用いられる電力増幅器では、電力効率を高める点からは、飽和電力値に近い平均送信電力値が得られる領域で使用することが望ましい。しかしながら、OFDMA方式が適用された送信信号のように平均電力に対してピーク電力が大きい場合には、飽和電力値に近い平均送信電力値が得られる領域で使用すると飽和電力と平均電力の差であるバックオフが入力信号のピーク電力より小さくなる。この結果、図2に示すように入力信号をクリップしたような信号が出力される。
【0007】
このようなクリップが発生すると信号が歪む。その結果、図3に示すように、歪電力が各サブキャリア信号に付加され、受信品質が劣化する。この歪電力はクリップ雑音と呼ばれてもよい。このため、信号に付加される歪電力について所要受信品質を満たすレベルに抑えるためには、平均送信電力を低下させバックオフ値を大きくする必要がある。しかしながら、このようにバックオフを大きくした場合には、電力効率が著しく低下する。このため、移動通信の端末のように電池で動作させている場合には、消費電力の点から深刻な問題となる。
【0008】
一方、OFDMA方式では、受信レベルが低下し受信品質が劣化する場合には、該受信品質の劣化を防ぐため、1ユーザが使用するサブキャリア数を減少させる制御が行われる。例えば、受信レベルが低下し受信品質が劣化する場合には、ユーザがセル端に位置し、基地局からの距離が遠くなる場合が含まれる。例えば、図4に示すように、基地局の近傍に位置する移動局に対しては使用するサブキャリアを多くし、基地局からの距離が遠い移動局に対しては使用するサブキャリア数を少なくする。1ユーザが使用するサブキャリア数を減少させることにより、図5に示すように、送信電力を一定とした場合でも、1サブキャリア当たりの電力を大きくでき、いわゆるサブチャネル利得が得られる。このため、受信機においては、雑音電力と干渉電力の和に対する信号電力の比である受信SINRが改善し受信品質が向上する。しかしながら、使用サブキャリア数を単純に減らした場合、伝送可能な総情報量が少なくなる。このため、必然的にスループットが低下するという欠点がある。
【0009】
さらに、電力増幅器における歪電力の発生を低減するため、OFDMA送信信号のピーク電力を電力増幅器への入力前に低減する手法が各種提案されている。しかしながら、十分な低減量を得るためには、送信機における演算処理量が増大する。このため、小型の端末を用いるシステムにおいては適用が難しい。
【0010】
そこで、本発明は上述した問題点の少なくとも1つを解決するためになされたものであり、その目的は、電力増幅器におけるクリップによる歪電力の受信品質への影響を低減することができる送信装置及び基地局並びに送信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本送信装置は、
送信データに対して、直並列変換処理、符号化処理及び変調処理を行い、送信データ信号を生成する送信データ信号生成手段と、
システム帯域に含まれるサブキャリアの内で、送信に使用するサブキャリアを選択し、該選択した各サブキャリアに、前記送信データ信号を割り当てるチャネル割当手段と、
前記選択した各サブキャリアに割り当てられた送信データ信号を逆高速フーリエ変換する逆高速フーリエ変換手段と、
前記逆フーリエ変換した送信データ信号を、指定された送信電力で送信する送信・増幅手段と、
前記送信・増幅手段の性能を示すRF回路性能情報と前記指定された送信電力とに基づいて、使用するサブキャリア数を決定する使用サブキャリア制御手段と
を有し、
前記送信データ信号生成手段は、前記使用サブキャリア制御手段により決定されるサブキャリア数に基づいて、送信データに対して、直並列変換処理を行い、
前記チャネル割当手段は、前記使用サブキャリア制御手段により決定されるサブキャリア数に基づいて、送信に使用するサブキャリアを選択する。
【0012】
本基地局は、
端末装置の有する送信・増幅手段の性能を示すRF回路性能情報と、該端末装置に対する送信電力制御により指定する送信電力とに基づいて、該端末装置が使用するサブキャリア数を決定する使用サブキャリア制御手段と、
該決定した使用するサブキャリア数を端末装置に通知する通知手段と
を有し、
前記端末装置は、
前記通知されたサブキャリア数に基づいて、送信データに対して直並列変換処理を行い、送信に使用するサブキャリアを選択し、該選択した各サブキャリアに、送信データ信号を割り当て、選択した各サブキャリアに割り当てられた送信データ信号を逆高速フーリエ変換し、該逆フーリエ変換した送信データ信号を、指定された送信電力で送信する。
【0013】
本送信方法は、
送信データに対して、直並列変換処理、符号化処理及び変調処理を行い、送信データ信号を生成するステップと、
当該送信装置の送信・増幅手段の性能を示すRF回路性能情報と送信電力とに基づいて、使用するサブキャリア数を決定するステップと、
システム帯域に含まれるサブキャリアの内で、送信に使用するサブキャリアを選択し、該選択した各サブキャリアに、前記送信データ信号を割り当てるステップと、
前記選択した各サブキャリアに割り当てられた送信データ信号を逆高速フーリエ変換するステップと、
前記逆フーリエ変換した送信データ信号を、指定された送信電力で送信するステップと
を有し、
前記送信データ信号を生成するステップでは、前記使用するサブキャリア数を決定するステップにおいて決定されるサブキャリア数に基づいて、送信データに対して直並列変換処理を行い、
前記送信データ信号を割り当てるステップでは、前記使用するサブキャリア数を決定するステップにおいて決定されたサブキャリア数に基づいて、送信に使用するサブキャリアを選択する。
【発明の効果】
【0014】
開示の送信装置及び基地局並びに送信方法によれば、電力増幅器におけるクリップによる歪電力の受信品質への影響を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
(第1の実施例)
本実施例に係る送信装置100について、図6を参照して説明する。送信装置100は、基地局に含まれるようにしてもよいし、端末に含まれるようにしてもよい。
【0016】
本実施例に係る送信装置100は、直並列変換部(S/P)102と、符号化部104と、シンボルマッピング部106と、チャネル割当部108と、逆高速フーリエ変換(IFFT)部110と、並直列変換部(P/S)112と、ガードインターバル(GI: Guard Interval)付与部114と、送信増幅部116と、送信パラメータ設定部118と、使用サブキャリア制御部120とを有する。本実施例に係る送信装置100は、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式が適用される。本実施例に係る送信装置100は、使用サブキャリア数を最適化する。その結果、送信増幅部116で非線形歪が発生するような送信機においても、該非線形歪により影響を低減できる。例えば、該送信装置100は、送信電力とRF回路性能情報を用いて使用サブキャリア数を制御する。
【0017】
直並列変換部102には、後述する使用サブキャリア制御部120により、使用サブキャリア数が入力される。並直列変換部102は、該使用サブキャリア数に応じて、入力されたデータ信号をマルチキャリア用のパラレル信号に変換する。
【0018】
符号化部104には、送信パラメータ設定部118により、符号化方式が入力される。符号化部104は、該符号化方式により指定される符号化の種類及び符号化率で符号化を行う。
【0019】
シンボルマッピング部106には、後述する送信パラメータ設定部118により、変調方式が入力される。シンボルマッピング部106は、該変調方式により決定される信号点へシンボルマッピングを行う。
【0020】
送信パラメータ設定部118は、所要受信品質情報と受信品質情報とを比較することにより、符号化方式と変調方式とを決定する。ここで、所要受信品質情報は、符号化方式と変調方式の組み合わせにより必要となる受信品質の情報である。また、受信品質情報は、実際に受信機で得られる受信品質の情報である。受信品質情報は受信機で測定できる受信レベルを用いることが可能である。例えば、この受信レベル情報を受信機から送信機へフィードバックすることにより送信側で受信SINRを見積もることができる。
【0021】
チャネル割当部108には、送信パラメータ設定部118により、使用するサブキャリアの配置(位置)が入力される。また、チャネル割当部108には、使用サブキャリア制御部120により、使用するサブキャリア数が入力される。チャネル割当部108は、シンボルマッピング部104及び符号化部106において符号化・シンボルマッピングされた信号を送信するサブキャリアの割り当てを行う。
【0022】
使用サブキャリア制御部120には、送信電力と、RF(Radio Frequency)回路の性能を示すRF回路性能情報が入力される。使用サブキャリア制御部120は、入力された送信電力とRF回路性能情報に基づいて、使用するサブキャリア数を制御する。
【0023】
本実施例に係る送信装置100を端末側に適用する場合、送信パラメータ制御は、通常、基地局側で行われることが多い。この場合、送信パラメータ設定部118及び使用サブキャリア制御部120は基地局側に備えられることになる。このときの構成例を図7に示す。
本実施例における送信パラメータ設定部118が使用する受信品質情報は、端末側から基地局側に送信される制御信号中に含めてフィードバックされる。基地局の送信パラメータ設定部118では、各符号化方式と変調方式の所要受信品質情報と、このフィードバックされた受信品質情報とを比較することにより、符号化方式、変調方式、使用サブキャリア配置、及び端末送信電力を決定する。送信パラメータ設定部118が決定した符号化方式、変調方式、使用サブキャリア配置、及び端末送信電力は、基地局側から端末側に送信される制御信号中に含めて端末側に送信される。
【0024】
端末では、基地局から送られてきた制御信号に基づいて、符号化方式、変調方式、使用サブキャリア配置、及び送信電力を制御する。
【0025】
また、本実施例における使用サブキャリア制御部120が使用する端末RF回路性能情報は、端末側から基地局側に送信される制御信号中に含めてフィードバックされる。ただし、端末RF回路性能情報の中で事前に知ることが可能で時間的に変化しない情報は、基地局にデータベースを構築し、該情報を蓄積することにより、フィードバックする情報量を減らすことが可能となる。また、端末送信電力は基地局側で把握している情報を用いればよい。
【0026】
使用サブキャリア制御部120は、端末送信電力とこのフィードバックされた端末RF回路性能情報とを用いて端末が使用するサブキャリア数を決定する。使用サブキャリア制御部120が決定した使用サブキャリア数は、基地局側から端末側に送信される制御信号中に含めて端末側に送信される。端末では、基地局から送られてきたこの制御信号に基づいて、使用サブキャリア数を制御する。
【0027】
例えば、RF回路性能情報には、後述する送信増幅部116の非線形歪量を表す情報が含まれてもよい。例えば、RF回路性能情報は、RF回路の非線形性により発生する歪電力量を送信電力に応じて算出したものとしてもよい。ここで、RF回路には、変調器、電力増幅器、ミキサ等が含まれてもよい。実際には、電力増幅器の入出力特性を把握することにより、送信電力と電力増幅器の入出力特性からクリップにより発生する歪電力量を見積もることが可能となる。電力増幅器で発生する歪電力が支配的となるためである。
【0028】
使用サブキャリア制御部120は、入力されるRF回路性能情報と送信電力とに基づいて、送信増幅部116において発生する歪電力を見積もる。また、使用サブキャリア制御部120は、見積もられた歪電力に応じて、使用するサブキャリア数を設定する。同じ送信電力でもサブキャリア数を減らすことにより、1サブキャリア当たりの送信電力を増加させることができる。使用サブキャリア制御部120は、指定された変調・符号化方式に必要とされる受信SINRを達成できるようにサブキャリア数を制御する。使用サブキャリア制御部120は、使用するサブキャリア数を減少させるようにしてもよいし、一旦減少させたサブキャリア数を増加させるようにしてもよい。このようにすることにより、歪電力量の調整を行うことができる。図8には、使用サブキャリア制御部120において行われるサブキャリア数の制御の一例が示される。図8において、横軸は周波数であり、縦軸は送信電力である。図8によれば、使用するサブキャリア数を減少させることにより、1サブキャリア当たりの送信電力を増加させることができる。その結果、非電力量、例えば歪電力量の影響を低減できる。
【0029】
チャネル割当部108には、送信パラメータ設定部118により使用するサブキャリアの配置(位置)を示す情報が入力される。また、チャネル割当部108には、使用サブキャリア制御部120により使用するサブキャリア数を示す情報が入力される。チャネル割当部108は、使用するサブキャリアの位置に相当するIFFT入力に、符号化・シンボルマッピングされた信号を入力する。
【0030】
IFFT部110は、入力された信号に対して逆高速フーリエ変換を行う。その結果、OFDMA方式が適用された送信信号が生成する。
【0031】
並直列変換部112は、OFDMA方式が適用された送信信号をシリアル化する。
【0032】
ガードインターバル付与部114は、シリアル化されたOFDM方式が適用された送信信号に対してガードインターバルが付与される。例えば、ガードインターバルとして付加する信号は、各送信シンボル後方の一部の信号をコピーし、該コピーをシンボルの先頭に挿入することにより生成できる。ガードインターバルを付与することにより、伝搬路におけるマルチパスフェージングの影響を低減できる。
【0033】
送信増幅部116は、ガードインターバルが付加された送信シンボルに対して、変調及び電力増幅を行う。そして、送信増幅部116は、変調及び電力増幅が行われた送信シンボルをRF帯のOFDMA信号として送信する。
【0034】
本実施例に係る送信装置100の動作について、図9を参照して説明する。
【0035】
送信装置100は、送信データ信号を生成する(ステップS902)。例えば、S/P102は、使用サブキャリア制御部120において指定された使用サブキャリア数に従って、送信データに対して直並列変換を行う。そして、符号化部104は、送信パラメータ設定部118において設定された符号化方式に従って、該直並列変換が行われた送信データに対して符号化処理を行う。シンボルマッピング部106は、送信パラメータ設定部118において設定された変調方式に従って、該符号化処理が行われた送信データに対して変調処理を行う。
【0036】
送信装置100は、選択された各サブキャリアに送信データ信号を割り当てる(ステップS904)。例えば、チャネル割当部108は、シンボルマッピング106において変調処理が行われた送信データ信号に対して、送信パラメータ設定部118において設定された使用するサブキャリアの配置及び使用サブキャリア制御部120において指定された使用するサブキャリアの数に従って、選択された各サブキャリアに送信データ信号を割り当てる。
【0037】
送信装置100は、選択された各サブキャリアに割り当てられた送信データ信号を逆高速フーリエ変換する(ステップS906)。例えば、IFFT部110は、チャネル割当部108により入力された信号を逆高速フーリエ変換する。
【0038】
送信装置100は、指定された送信電力で送信を行う(ステップS908)。IFFT部110の出力信号は、P/S112において並直列変換が行われ、GI114でGIが付加される。GIが付加されたデータ信号は、送信増幅部116において、指定された送信電力で送信される。
【0039】
本実施例によれば、OFDMA方式を適用した伝送において、電力増幅器の非線形歪による歪電力が発生する場合でも、最適な送信パラメータを設定することができる。このため、常に良好な高速伝送を行うことが可能となる。
【0040】
例えば、本実施例によれば、電力増幅器で非線形歪が発生するような送信機においても使用サブキャリア数を最適化できる。このため、ピーク電力低減手法を用いることなく、電力増幅器におけるクリップによる歪電力の受信品質への影響を軽減できる。
(第2の実施例)
本実施例に係る送信装置100について、図10を参照して説明する。
【0041】
本実施例に係る送信装置100は、図6を参照して説明した送信装置において、使用サブキャリア制御部120は、使用サブキャリア数に加えて、使用するサブキャリアの位置(配置)についても制御を行う。
【0042】
図7を参照して説明した送信装置の場合と同様に、送信装置100を端末側に適用する場合、送信パラメータ制御は、通常、基地局側で行われることが多い。この場合、送信パラメータ設定部118及び使用サブキャリア制御部120は基地局側に備えられることになる。このときの構成例を図11に示す。
【0043】
送信パラメータ設定部118及び使用サブキャリア制御部120を基地局側に備える場合には、本実施例における送信パラメータ設定部118が使用する受信品質情報、及び使用サブキャリア制御部120が使用するRF回路性能情報は、端末側から基地局側に送信される制御信号中に含めてフィードバックされる。また、使用サブキャリア制御部120が使用する端末送信電力は基地局側で把握している情報を用いればよい。
【0044】
送信パラメータ設定部118及び使用サブキャリア制御部120が決定した端末の符号化方式、変調方式、送信電力、及び使用するサブキャリア数と使用するサブキャリア位置を制御するための制御信号は、基地局側から端末側に送信される制御信号中に含めて端末側に送られる。
【0045】
端末では、基地局から送られてきた制御信号に基づいて、符号化方式、変調方式、送信電力、及び使用サブキャリア数と使用するサブキャリア配置を制御する。
【0046】
使用サブキャリア数が同じでも、使用するサブキャリアの位置により1サブキャリア当たりに付加される歪電力量に違いが生じる。
【0047】
使用サブキャリア制御部120は、図12に示すように、各ユーザへのチャネルの割り当てを、ブロック化したサブキャリアを割り当てることにより行う(ブロック型割り当て手法と呼ぶ)。言い換えれば、使用サブキャリア制御部120は、連続する所定数のサブキャリアをブロック化し、該ブロックを単位として、各ユーザに割り当てる。また、使用サブキャリア制御部120は、図13に示すように、各ユーザへ、システム帯域内に分散したサブキャリアを割り当てるようにしてもよい(分散型割り当て手法と呼ぶ)。言い換えれば、使用サブキャリア制御部120は、離散したサブキャリアを、各ユーザに割り当てる。
【0048】
ブロック型割り当て手法が適用された場合及び分散型割り当て手法が適用された場合における歪電力の発生について、それぞれ図14及び図15を参照して説明する。
【0049】
どちらの手法が適用された場合においても、歪電力の総発生量は同じと想定される。しかし、分散型割り当て手法が適用された場合の方が1サブキャリア当たりの歪電力レベルは低くなる。これは、ブロック型割当手法では、使用されるサブキャリアの位置がシステム帯域内の1つの場所に集中しているため、各サブキャリアで発生した歪電力が互いに重なり合う。その結果、歪電力のレベルが高くなる。分散型割当手法では、歪電力がシステム帯域内に広く拡散する。この拡散効果により1サブキャリア当たりの歪電力レベルが低くなる。
【0050】
ただし、使用されるサブキャリア数が多くなるに従って、このような歪電力の拡散効果が小さくなる。全てのサブキャリアを使用する場合には、両方の割当手法で歪電力の発生状況は同じとなる。
【0051】
また、チャネル割当制御の観点からはブロック割当手法のように1ユーザの使用するサブキャリアが1つの場所に集中している方が制御しやすい。一般的には、周波数利用効率を上げやすい。このため、歪電力の拡散効果が小さい場合には、ブロック型割当手法が望ましい。
【0052】
そこで、図16に示すように、送信機の電力増幅器における歪電力発生量が受信機の受信信号に付加される雑音と他ユーザからの干渉電力との和より十分大きい場合には、使用サブキャリア配置を分散させる分散型割当手法を用いるようにしてもよい。このようにすることにより、1サブキャリア当たりの歪電力を低減し、各サブキャリアの受信SINRを改善することができる。
【0053】
一方、図17に示すように、電力増幅器における歪電力発生量が受信信号に付加される雑音と他ユーザからの干渉電力との和より十分小さい場合には、歪電力を低減しても各サブキャリアの受信SINRの改善は期待できない。このため、このような場合には、より制御が単純なブロック割当手法を適用するようにしてもよい。
【0054】
本実施例に係る送信装置100の動作は、図9を参照して説明した動作と、ステップS904において、送信装置100が選択された各サブキャリアに送信データ信号を割り当てる処理が異なる。本実施例に係る送信装置100では、例えば、チャネル割当部108は、シンボルマッピング部106において変調処理が行われたデータ信号に対して、使用サブキャリア制御部120において指定された使用サブキャリア数及び使用サブキャリア配置に従って、選択された各サブキャリアに送信データ信号を割り当てる。
【0055】
本実施例によれば、RF回路性能情報及び使用するサブキャリアの配置に基づいて、送信・増幅部116において発生する歪電力を求め、該歪電力に応じて使用するサブキャリアの配置を設定する。このようにすることにより、送信・増幅部116において発生する歪電力を低減することができる。例えば、送信機の電力増幅器における歪電力発生量に基づいて、使用するサブキャリアの配置を変更することができる。
(第3の実施例)
本実施例に係る送信装置100について、図18を参照して説明する。
【0056】
本実施例に係る送信装置100は、図6及び図10を参照して説明した送信装置において、システム全体のサブキャリアにおける使用率を示すサブキャリア使用率を用いて、使用サブキャリア数及び/又は使用サブキャリア配置、言い換えれば使用するサブキャリアの位置を決める点が異なる。
【0057】
図13を参照して説明したように、分散型割当手法を用いるためには、サブキャリアを分散するための広い帯域が必要となる。ただし、システムのトラフィック量が多くサブキャリアの使用率が高い場合には、十分に拡散した帯域を設定できないため、分散型割当手法を適用できない場合がある。
【0058】
そこで、本実施例に係る送信装置100においては、使用サブキャリア制御部120は、サブキャリアの使用率が低く、使用するサブキャリアを分散することによる歪電力低減効果が得られる場合に分散型割当手法を適用するような制御を行う。例えば、使用サブキャリア制御部120は、送信電力、RF回路性能情報及びサブキャリア使用率に基づいて、使用するサブキャリア数及び/又は使用するサブキャリアの配置を求める。
【0059】
図7を参照して説明した送信装置の場合と同様に、送信装置100を端末側に適用する場合、送信パラメータ制御は、通常、基地局側で行われることが多い。この場合、送信パラメータ設定部118及び使用サブキャリア制御部120は基地局側に備えられることになる。このときの構成例を図19に示す。
【0060】
送信パラメータ設定部118及び使用サブキャリア制御部120を基地局側に備える場合には,本実施例における送信パラメータ設定部118が使用する受信品質情報、及び使用サブキャリア制御部120が使用するRF回路性能情報は、端末側から基地局側に送信される制御信号中に含めてフィードバックされる。使用サブキャリア制御部120が使用する端末送信電力、及びサブキャリア使用率は基地局側で把握している情報を用いればよい。
【0061】
送信パラメータ設定部118及び使用サブキャリア制御部120が決定した端末の符号化方式,変調方式、送信電力、及び使用するサブキャリア数と使用するサブキャリア位置を制御するための制御信号は、基地局側から端末側に送信される制御信号中に含めて端末側に送られる。
【0062】
端末では、基地局から送られてきた制御信号に基づいて,符号化方式,変調方式,送信電力,及び使用サブキャリア数と使用するサブキャリア配置を制御する。
【0063】
また、システム全体のサブキャリアの使用率は時間により変動する。このため、図20に示すように、1フレーム内でもサブキャリア使用率が変化する場合には、サブキャリア割当手法を適応的に変更する。このようにすることにより、常に最適な割当を可能とできる。
【0064】
本実施例に係る送信装置100の動作は、図9を参照して説明した動作と、ステップS904において、送信装置100が選択された各サブキャリアに送信データ信号を割り当てる処理が異なる。本実施例に係る送信装置100では、例えば、チャネル割当部108は、シンボルマッピング部106において変調処理が行われたデータ信号に対して、使用サブキャリア制御部120において指定された使用するサブキャリアの数及び使用するサブキャリアの配置に従って、選択された各サブキャリアに送信データ信号を割り当てる。
【0065】
本実施例によれば、システムが使用する全サブキャリアの使用率に基づいて、当該ユーザが使用するサブキャリア数及び/又は使用するサブキャリアの位置を決定する。このようにすることにより、システム全体としてサブキャリア使用効率を向上させることができる。
(第4の実施例)
本実施例に係る送信装置100について、図21を参照して説明する。
【0066】
本実施例に係る送信装置100は、図6、図10及び図18を参照して説明した送信装置において、スループットが最大となるように、送信電力、変調方式及び符号化方式を、使用サブキャリア数及び使用サブキャリア配置と総合的に制御する点が異なる。
【0067】
送信パラメータ制御部118は、RF回路性能情報と送信電力に基づいて、送信増幅部116において発生する歪電力を見積もることが可能である。また、送信パラメータ制御部118は、受信品質情報から受信機における受信SINRを見積もることが可能である。
【0068】
送信パラメータ制御部118は、各送信パラメータの組み合わせで実現できるスループットを計算し、該計算したスループットを最大にできる送信電力、変調方式、及び符号化方式の組み合わせを探索する。そして、送信パラメータ制御部118は、該探索結果に応じて送信電力、変調方式、符号化方式、使用サブキャリア数及び使用サブキャリア配置を設定する。
【0069】
図7を参照して説明した送信装置の場合と同様に、送信装置100を端末側に適用する場合、送信パラメータ制御は、通常、基地局側で行われることが多い。この場合、送信パラメータ設定部118は基地局側に備えられることになる。このときの構成例を図22に示す。
【0070】
送信パラメータ制御部118を基地局側に備える場合には,本実施例における送信パラメータ制御部118が使用する受信品質情報及びRF回路性能情報は、端末側から基地局側に送信される制御信号中に含めてフィードバックされる。端末送信電力、及びサブキャリア使用率は基地局側で把握している情報を用いればよい。
【0071】
送信パラメータ制御部118が決定した符号化方式、変調方式、送信電力、及び使用サブキャリア数と使用サブキャリア配置を制御するための制御信号は、基地局側から端末側に送信される制御信号中に含めて端末側に送られる。端末では、基地局から送られてきた制御信号に基づいて、符号化方式、変調方式、送信電力、及び使用サブキャリア数と使用サブキャリア配置を制御する。
【0072】
一方、システム内で多数のユーザが利用する場合には最適な送信パラメータの組み合わせが膨大となり、最適な組み合わせを探索するのが困難となる。このような場合には、受信電力によりセル内でユーザを内側領域と外側領域に分離し、使用可能なサブキャリア数を設定し、その上で他の送信パラメータを設定するようにしてもよい。
【0073】
本実施例に係る送信装置100の動作は、図9を参照して説明した動作と、ステップS902において、送信装置100が送信データ信号を生成する処理が異なる。本実施例に係る送信装置100では、例えば、S/P102は、送信パラメータ制御部118において指定された使用サブキャリア数に従って、送信データに対して直並列変換を行う。そして、符号化部104は、送信パラメータ設定部118において設定された符号化方式に従って、該直並列変換が行われた送信データに対して符号化処理を行う。シンボルマッピング部106は、送信パラメータ設定部118において設定された変調方式に従って、該符号化処理が行われた送信データに対して変調を行う。
【0074】
また、本実施例に係る送信装置100の動作は、図9を参照して説明した動作と、ステップS904において、送信装置100が選択された各サブキャリアに送信データ信号を割り当てる処理が異なる。本実施例に係る送信装置100では、例えば、チャネル割当部108は、シンボルマッピング部106において変調処理が行われた送信データ信号に対して、送信パラメータ制御部118において指定された使用サブキャリア数及び使用サブキャリア配置に従って、選択された各サブキャリアに送信データ信号を割り当てる。
【0075】
本実施例によれば、スループットが最大となるように、送信電力、変調方式及び符号化方式と使用サブキャリア数及び使用サブキャリア配置とを制御することができる。
(第5の実施例)
本実施例に係る送信装置100について説明する。
【0076】
本実施例に係る送信装置100は、図21を参照して説明した送信装置において、ユーザが使用しない帯域である制限帯域を設定するようにしたものである。例えば、該制限帯域は、システム帯域の両端に設定するようにしてもよい。
【0077】
送信電力を上げた場合、通常は歪電力が増大するため帯域外輻射量が増大する。このため、隣接する帯域のサブキャリアを利用する他システムへの干渉量が増加する。そこで、送信パラメータ制御部118は、システム帯域の両端にユーザが使用しない帯域である制限帯域を設定する。このようにすることにより、送信電力を上げても帯域外輻射の規定を満たし、隣接する他システムへの干渉を増加させないようにできる。
【0078】
また、図23に示すように、送信電力の大きさに応じて、システム帯域の両端における使用しない帯域幅を変更するようにしてもよい。例えば、送信電力が大きくなるに従って、制限帯域を広くするようにしてもよい。
【0079】
本実施例に係る送信装置100の動作は、第4の実施例と同様である。
【0080】
本実施例によれば、送信電力の増大により歪電力が増加して多量の帯域外輻射が発生してもシステム帯域外に漏洩する帯域外輻射を低減でき、他のシステム与える影響を低減しつつ送信電力を上げることができる。
【0081】
また、送信装置100を端末側に適用する場合、送信パラメータ制御は、通常、基地局側で行われることが多い。この場合、送信パラメータ設定部118は基地局側に備えられることになる。システム内で多数のユーザがシステム帯域を分割して共有する場合、基地局における送信パラメータ制御部118は多数の端末を同時に制御すればよい。この場合、送信パラメータ制御部118は複数の端末の制御情報を同時に用いて、各端末へ制御信号を送信する。このように同時に送信パラメータを制御することにより、システム外への漏洩電力を低減するため、例えば歪電力の発生が多い端末については,システム帯域の内側に位置するサブキャリアを割り当て、歪電力の発生が比較的小さい端末については、システム帯域の外側に位置するサブキャリアを割り当てることが可能となる。
(第6の実施例)
本実施例に係る送信装置100について説明する。
【0082】
本実施例に係る送信装置100は、図21を参照して説明した送信装置において、複数ユーザ数で周波数帯を分割して使用する場合における送信電力の制御方法が異なる。
【0083】
ユーザ数が少ない場合には、送信機で歪電力が発生し帯域外輻射が発生しても他ユーザに与える影響は小さいと想定される。そこで、本実施例に係る送信装置100は、送信パラメータ制御部118において、図24に示すように、ユーザ数が少ない場合には、該ユーザに対して大きな送信電力を割り当てる。
【0084】
一方、複数のユーザで周波数帯を分割して使用する場合には、帯域外輻射による他ユーザへの影響を低減する必要がある。そこで、本実施例に係る送信装置100は、送信パラメータ制御部118において、図25に示すように、複数のユーザで周波数帯を分割して使用する場合には、帯域外輻射による他ユーザへの影響を低減させるため、1ユーザ当たりの送信電力を小さくする。
【0085】
また、送信装置100を端末側に適用する場合、送信パラメータ制御は、通常、基地局側で行われることが多い。この場合、送信パラメータ設定部118は基地局側に備えられることになる。基地局における送信パラメータ制御部118は、システム帯域を共有している各端末の送信電力について、各端末のサブキャリア割り当て方法とRF回路性能情報により制御することが可能である。各端末が発生する歪電力は、これまで述べたようにサブキャリア割り当て方法とRF回路の性能により異なってくる。このため、これらの各端末の制御情報を用いて、発生歪電力量が小さくなるように送信電力を制御することにより、スループット向上が可能となる。
【0086】
本実施例によれば、OFDMA方式を適用した伝送において、電力増幅器の非線形歪による歪電力が発生する場合でも、最適な送信パラメータを設定することができる。このため、常に良好な高速伝送を行うことが可能となる。
【0087】
また、本実施例によれば、電力増幅器で非線形歪が発生するような送信機においても使用サブキャリア数を最適化できる。このため、ピーク電力低減手法を用いることなく、電力増幅器におけるクリップによる歪電力の受信品質への影響を軽減できる。
【0088】
本実施例によれば、電力増幅器で発生する歪電力量により制御を行うが、電力増幅前にピーク電力低減手段を用いることにより、電力増幅器で発生する歪電力量を制御することが可能となる。例えば、非特許文献1に示される繰り返しピーク電力低減手段を用いると、ピーク電力低減時に発生する歪電力のみ取り出すことが可能となるため、繰り返し処理により周波数ごとに歪電力レベルを制御することができる。このため、信号帯域外の歪電力の許容値に余裕がある場合には、信号帯域内の歪電力レベルをある一定レベル以下に抑えながらピーク電力低減が可能となる。このときピーク電力が低減されているので、電力増幅器の線形性が十分でない場合でも、電力増幅器で発生する歪電力を大幅に低減することが可能となる。この手法を本実施例に係る送信装置に適用することにより、同じ送信電力でも、信号帯域内に発生する歪電力が小さくなる。このため、使用するサブキャリア数を増加させても良好な伝送品質を得ることが可能となる。この結果、使用サブキャリア数増大による高速伝送が可能となる。また、信号帯域内に発生する歪電力が小さいことから送信電力を大きくし伝送品質の改善を図ることも可能となる。このとき、システム帯域の使用率が低く、信号帯域外の歪電力の許容値に余裕がある場合には、特に有効となる。
【0089】
説明の便宜上、発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明されるが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてよい。
【0090】
以上、本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、各実施例は単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウエアで、ソフトウエアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が包含される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】送信装置を示す部分ブロック図である。
【図2】電力増幅器によるクリップを示す説明図である。
【図3】クリップによる歪電力を示す説明図である。
【図4】使用するサブキャリアを可変とする場合の例を示す説明図である。
【図5】サブチャネル利得を示す説明図である。
【図6】一実施例に係る送信装置を示す部分ブロック図である。
【図7】一実施例に係る送信装置の適用例を示す部分ブロック図である。
【図8】一実施例に係るサブキャリア数を制御する方法を示す説明図である。
【図9】一実施例に係る送信装置の動作を示すフロー図である。
【図10】一実施例に係る送信装置を示す部分ブロック図である。
【図11】一実施例に係る送信装置の適用例を示す部分ブロック図である。
【図12】一実施例に係るサブキャリア割り当て方法を示す説明図である。
【図13】一実施例に係るサブキャリア割り当て方法を示す説明図である。
【図14】一実施例に係るサブキャリア割り当て方法を示す説明図である。
【図15】一実施例に係るサブキャリア割り当て方法を示す説明図である。
【図16】一実施例に係るサブキャリア割り当て方法を示す説明図である。
【図17】一実施例に係るサブキャリア割り当て方法を示す説明図である。
【図18】一実施例に係る送信装置を示す部分ブロック図である。
【図19】一実施例に係る送信装置の適用例を示す部分ブロック図である。
【図20】一実施例に係る送信装置におけるフレームの一例を示す説明図である。
【図21】一実施例に係る送信装置を示す部分ブロック図である。
【図22】一実施例に係る送信装置の適用例を示す部分ブロック図である。
【図23】一実施例に係る送信装置における制限帯域の一例を示す説明図である。
【図24】一実施例に係る送信装置における送信電力の設定の一例を示す説明図である。
【図25】一実施例に係る送信装置における送信電力の設定の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0092】
1 送信装置
2 直並列変換部(S/P: serial/parallel)
4 符号化部
6 シンボルマッピング部
8 チャネル割当部
10 逆高速フーリエ変換部(IFFT: Inverse Fast Fourier Transform)
12 並直列変換部(P/S: parallel/serial)
14 ガードインターバル(GI: Guard interval)付与部
16 送信増幅部
18 送信パラメータ設定部
100 送信装置
102 直並列変換部(S/P: serial/parallel)
104 符号化部
106 シンボルマッピング部
108 チャネル割当部
110 逆高速フーリエ変換部(IFFT: Inverse Fast Fourier Transform)
112 並直列変換部(P/S: parallel/serial)
114 ガードインターバル(GI: Guard interval)付与部
116 送信増幅部
118 送信パラメータ設定部
120 使用サブキャリア制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信データに対して、直並列変換処理、符号化処理及び変調処理を行い、送信データ信号を生成する送信データ信号生成手段と、
システム帯域に含まれるサブキャリアの内で、送信に使用するサブキャリアを選択し、該選択した各サブキャリアに、前記送信データ信号を割り当てるチャネル割当手段と、
前記選択した各サブキャリアに割り当てられた送信データ信号を逆高速フーリエ変換する逆高速フーリエ変換手段と、
前記逆フーリエ変換した送信データ信号を、指定された送信電力で送信する送信・増幅手段と、
前記送信・増幅手段の性能を示すRF回路性能情報と前記指定された送信電力とに基づいて、使用するサブキャリア数を決定する使用サブキャリア制御手段と
を有し、
前記送信データ信号生成手段は、前記使用サブキャリア制御手段により決定されるサブキャリア数に基づいて、送信データに対して、直並列変換処理を行い、
前記チャネル割当手段は、前記使用サブキャリア制御手段により決定されるサブキャリア数に基づいて、送信に使用するサブキャリアを選択することを特徴とする送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送信装置において、
前記使用サブキャリア制御手段は、使用するサブキャリアの位置を決定することを特徴とする送信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の送信装置において、
前記使用サブキャリア制御手段は、前記RF回路性能情報に基づいて、前記送信・増幅手段において発生する歪電力を求め、該歪電力に応じて、使用するサブキャリア数及び/又は使用するサブキャリアの位置を決定することを特徴とする送信装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の送信装置において、
前記使用サブキャリア制御手段は、連続するサブキャリアをブロック化し、該ブロックを単位として、使用するサブキャリア数及び/又は使用するサブキャリアの位置を決定することを特徴とする送信装置。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の送信装置において、
前記使用サブキャリア制御手段は、システム帯域内に分散したサブキャリアを、使用するサブキャリアの位置として決定することを特徴とする送信装置。
【請求項6】
請求項1に記載の送信装置において、
前記使用サブキャリア制御手段は、システム帯域内のサブキャリア使用率に基づいて、使用するサブキャリア数を決定することを特徴とする送信装置。
【請求項7】
請求項1に記載の送信装置において、
前記使用サブキャリア制御手段は、使用を制限する周波数帯域を設定し、
前記チャネル割当手段は、前記使用を制限する周波数帯域以外のサブキャリアから、送信に使用するサブキャリアを選択することを特徴とする送信装置。
【請求項8】
請求項7に記載の送信装置において、
前記使用サブキャリア制御手段は、前記指定された送信電力に応じて、使用を制限する周波数帯域を設定することを特徴とする送信装置。
【請求項9】
請求項1に記載の送信装置において、
スループットが最大となるように符号化方式、変調方式及び送信電力を設定する送信パラメータ設定手段
を有することを特徴とする送信装置。
【請求項10】
請求項9に記載の送信装置において、
前記送信パラメータ設定手段は、ユーザ数に応じて、1ユーザ当たりの送信電力を設定することを特徴とする送信装置。
【請求項11】
端末装置の有する送信・増幅手段の性能を示すRF回路性能情報と、該端末装置に対する送信電力制御により指定する送信電力とに基づいて、該端末装置が使用するサブキャリア数を決定する使用サブキャリア制御手段と、
該決定した使用するサブキャリア数を端末装置に通知する通知手段と
を有し、
前記端末装置は、
前記通知されたサブキャリア数に基づいて、送信データに対して直並列変換処理を行い、送信に使用するサブキャリアを選択し、該選択した各サブキャリアに、送信データ信号を割り当て、選択した各サブキャリアに割り当てられた送信データ信号を逆高速フーリエ変換し、該逆フーリエ変換した送信データ信号を、指定された送信電力で送信することを特徴とする基地局。
【請求項12】
請求項11に記載の基地局において、
前記使用サブキャリア制御手段は、使用するサブキャリアの位置を決定し、
前記通知手段は、該決定した使用するサブキャリアの位置を端末装置に通知し、
前記端末装置は、
前記通知されたサブキャリアの位置に基づいて、送信に使用するサブキャリアを選択することを特徴とする基地局。
【請求項13】
送信データに対して、直並列変換処理、符号化処理及び変調処理を行い、送信データ信号を生成するステップと、
当該送信装置の送信・増幅手段の性能を示すRF回路性能情報と指定された送信電力とに基づいて、使用するサブキャリア数を決定するステップと、
システム帯域に含まれるサブキャリアの内で、送信に使用するサブキャリアを選択し、該選択した各サブキャリアに、前記送信データ信号を割り当てるステップと、
前記選択した各サブキャリアに割り当てられた送信データ信号を逆高速フーリエ変換するステップと、
前記逆フーリエ変換した送信データ信号を、前記指定された送信電力で送信するステップと
を有し、
前記送信データ信号を生成するステップでは、前記使用するサブキャリア数を決定するステップにおいて決定されるサブキャリア数に基づいて、送信データに対して直並列変換処理を行い、
前記送信データ信号を割り当てるステップでは、前記使用するサブキャリア数を決定するステップにおいて決定されたサブキャリア数に基づいて、送信に使用するサブキャリアを選択することを特徴とする送信方法。
【請求項1】
送信データに対して、直並列変換処理、符号化処理及び変調処理を行い、送信データ信号を生成する送信データ信号生成手段と、
システム帯域に含まれるサブキャリアの内で、送信に使用するサブキャリアを選択し、該選択した各サブキャリアに、前記送信データ信号を割り当てるチャネル割当手段と、
前記選択した各サブキャリアに割り当てられた送信データ信号を逆高速フーリエ変換する逆高速フーリエ変換手段と、
前記逆フーリエ変換した送信データ信号を、指定された送信電力で送信する送信・増幅手段と、
前記送信・増幅手段の性能を示すRF回路性能情報と前記指定された送信電力とに基づいて、使用するサブキャリア数を決定する使用サブキャリア制御手段と
を有し、
前記送信データ信号生成手段は、前記使用サブキャリア制御手段により決定されるサブキャリア数に基づいて、送信データに対して、直並列変換処理を行い、
前記チャネル割当手段は、前記使用サブキャリア制御手段により決定されるサブキャリア数に基づいて、送信に使用するサブキャリアを選択することを特徴とする送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送信装置において、
前記使用サブキャリア制御手段は、使用するサブキャリアの位置を決定することを特徴とする送信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の送信装置において、
前記使用サブキャリア制御手段は、前記RF回路性能情報に基づいて、前記送信・増幅手段において発生する歪電力を求め、該歪電力に応じて、使用するサブキャリア数及び/又は使用するサブキャリアの位置を決定することを特徴とする送信装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の送信装置において、
前記使用サブキャリア制御手段は、連続するサブキャリアをブロック化し、該ブロックを単位として、使用するサブキャリア数及び/又は使用するサブキャリアの位置を決定することを特徴とする送信装置。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の送信装置において、
前記使用サブキャリア制御手段は、システム帯域内に分散したサブキャリアを、使用するサブキャリアの位置として決定することを特徴とする送信装置。
【請求項6】
請求項1に記載の送信装置において、
前記使用サブキャリア制御手段は、システム帯域内のサブキャリア使用率に基づいて、使用するサブキャリア数を決定することを特徴とする送信装置。
【請求項7】
請求項1に記載の送信装置において、
前記使用サブキャリア制御手段は、使用を制限する周波数帯域を設定し、
前記チャネル割当手段は、前記使用を制限する周波数帯域以外のサブキャリアから、送信に使用するサブキャリアを選択することを特徴とする送信装置。
【請求項8】
請求項7に記載の送信装置において、
前記使用サブキャリア制御手段は、前記指定された送信電力に応じて、使用を制限する周波数帯域を設定することを特徴とする送信装置。
【請求項9】
請求項1に記載の送信装置において、
スループットが最大となるように符号化方式、変調方式及び送信電力を設定する送信パラメータ設定手段
を有することを特徴とする送信装置。
【請求項10】
請求項9に記載の送信装置において、
前記送信パラメータ設定手段は、ユーザ数に応じて、1ユーザ当たりの送信電力を設定することを特徴とする送信装置。
【請求項11】
端末装置の有する送信・増幅手段の性能を示すRF回路性能情報と、該端末装置に対する送信電力制御により指定する送信電力とに基づいて、該端末装置が使用するサブキャリア数を決定する使用サブキャリア制御手段と、
該決定した使用するサブキャリア数を端末装置に通知する通知手段と
を有し、
前記端末装置は、
前記通知されたサブキャリア数に基づいて、送信データに対して直並列変換処理を行い、送信に使用するサブキャリアを選択し、該選択した各サブキャリアに、送信データ信号を割り当て、選択した各サブキャリアに割り当てられた送信データ信号を逆高速フーリエ変換し、該逆フーリエ変換した送信データ信号を、指定された送信電力で送信することを特徴とする基地局。
【請求項12】
請求項11に記載の基地局において、
前記使用サブキャリア制御手段は、使用するサブキャリアの位置を決定し、
前記通知手段は、該決定した使用するサブキャリアの位置を端末装置に通知し、
前記端末装置は、
前記通知されたサブキャリアの位置に基づいて、送信に使用するサブキャリアを選択することを特徴とする基地局。
【請求項13】
送信データに対して、直並列変換処理、符号化処理及び変調処理を行い、送信データ信号を生成するステップと、
当該送信装置の送信・増幅手段の性能を示すRF回路性能情報と指定された送信電力とに基づいて、使用するサブキャリア数を決定するステップと、
システム帯域に含まれるサブキャリアの内で、送信に使用するサブキャリアを選択し、該選択した各サブキャリアに、前記送信データ信号を割り当てるステップと、
前記選択した各サブキャリアに割り当てられた送信データ信号を逆高速フーリエ変換するステップと、
前記逆フーリエ変換した送信データ信号を、前記指定された送信電力で送信するステップと
を有し、
前記送信データ信号を生成するステップでは、前記使用するサブキャリア数を決定するステップにおいて決定されるサブキャリア数に基づいて、送信データに対して直並列変換処理を行い、
前記送信データ信号を割り当てるステップでは、前記使用するサブキャリア数を決定するステップにおいて決定されたサブキャリア数に基づいて、送信に使用するサブキャリアを選択することを特徴とする送信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2010−141801(P2010−141801A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318405(P2008−318405)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【出願人】(504147243)国立大学法人 岡山大学 (444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【出願人】(504147243)国立大学法人 岡山大学 (444)
【Fターム(参考)】
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