説明

送信装置

【課題】画像フレームデータが継続的に送信される場合であっても、チャネルサーチの精度の悪化を抑制する技術を提供する。
【解決手段】検出部42は、周波数チャネルの調査タイミングを検出する。指示部44は、調査タイミングを検出した場合に、撮像装置に対して、第1のフレームレートよりも高速な第2のフレームレートの画像フレームデータの出力を指示する。生成部32は、入力した第2のフレームレートの画像フレームデータのうち、一部の画像フレームデータを削除して、残った画像フレームデータを格納するようにパケット信号を生成する。調査部48は、削除された一部の画像フレームデータに対応したタイミングにて、周波数チャネルを調査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信技術に関し、特に画像データを送信する送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)システムや携帯電話システムのような無線通信システムの通信速度が向上することによって、音声データやテキストデータだけではなく、動画像データを伝送することが可能になる。無線通信システムの通信速度に対して高品質の動画像データを伝送するために、動画像データの圧縮技術が使用される。圧縮技術の一例は、Motion JPEG(Joint Photographic Expert Group)やMPEG(Moving Picture Experts Group)である(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】藤原洋/安田浩、ポイント図解式 ブロードバンド+モバイル標準MPEG教科書、日本、アスキー、2003年2月11日、p.71−130
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線通信システムの送信装置と撮像装置とを接続すると、撮像装置において撮像した動画像は、送信装置によって送信される。また、送信装置から送信された動画像が、受信装置を介して表示装置に到達し、表示装置が動画像を再生すれば、ユーザは、撮像装置において撮像した動画像を視聴できる。これらの装置が車両に搭載されると、ユーザは、運転席のモニタにて、バックカメラからの動画像を視聴できる。さらに、バックカメラからモニタへの配線が不要になる。一方、車両の後退時に動画像の視聴がなされるとすれば、動画像のリアルタイム伝送が必要とされる。伝送遅延を低減するために、動画像を構成している画像フレームデータが、送信装置から継続的に送信されるべきである。
【0005】
無線通信システムにおいて、複数の周波数チャネルが規定されている場合、送信装置と受信装置は、一般的に、複数の周波数チャネルの中から、干渉電力の低い周波数チャネルを選択して使用する。干渉電力の低い周波数チャネルを選択するために、送信装置あるいは受信装置は、チャネルサーチを実行する。チャネルサーチの精度を向上させるために、チャネルサーチの期間が長い方が好ましい。しかしながら、動画像のリアルタイム伝送がなされると、画像フレームデータが継続的に送信されるので、チャネルサーチの期間が十分に確保されなくなる。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像フレームデータが継続的に送信される場合であっても、チャネルサーチの精度の悪化を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の送信装置は、撮像装置から、第1のフレームレートの画像フレームデータを入力する入力部と、入力部において入力した画像フレームデータを格納するようにパケット信号を順次生成する生成部と、生成部において生成したパケット信号を順次送信する送信部と、送信部がパケット信号を送信するために使用すべき周波数チャネルであって、かつ複数の周波数チャネルのうちのいずれかの周波数チャネルを設定する設定部とを備える。設定部は、周波数チャネルの調査タイミングを検出する検出部と、検出部において調査タイミングを検出した場合に、撮像装置に対して、第1のフレームレートよりも高速な第2のフレームレートの画像フレームデータの出力を指示する指示部と、指示部において指示した後、入力部において入力した第2のフレームレートの画像フレームデータのうち、一部の画像フレームデータを削除して、残った画像フレームデータを格納するように生成部がパケット信号を生成しており、生成部において削除された一部の画像フレームデータに対応したタイミングにて、周波数チャネルを調査する調査部と、調査部における調査結果をもとに周波数チャネルを設定する実行部とを備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像フレームデータが継続的に送信される場合であっても、チャネルサーチの精度の悪化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】図1の送信装置の構成を示す図である。
【図3】図3(a)−(e)は、図1の通信システムにおける信号のフォーマットを示す図である。
【図4】図2の指示部に記憶されたフレームレートのテーブルのデータ構造を示す図である。
【図5】図2の指示部に記憶された変調方式のテーブルのデータ構造を示す図である。
【図6】図2の記憶部に記憶された測定結果のデータ構造を示す図である。
【図7】図2の送信装置による動作モードの決定手順を示すフローチャートである。
【図8】図2の送信装置による送信手順を示すフローチャートである。
【図9】図9(a)−(b)は、本発明の変形例に係る信号のフォーマットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、撮像装置に接続された送信装置と、受信装置と、再生装置とを含んで構成される通信システムに関する。通信システムでは、撮像装置において撮像された動画像が、送信装置から受信装置へ無線信号によって送信され、さらに再生装置へ到達される。動画像は、再生装置において表示され、ユーザはこれを視聴する。動画像は、複数の画像フレームを含んで構成される。以下では、画像フレームそのもの、あるいは画像フレームのデジタルデータを区別せずに「画像フレームデータ」という。さらに本実施例の通信システムは、自動車等の車両に搭載される。例えば、撮像装置と送信装置は、車両の後部に搭載され、受信装置と再生装置は、運転席付近に搭載される。
【0012】
前述のごとく、車両が後退する際に、ユーザは、再生装置に表示された動画像を確認するので、通信システムにおける動画像の伝送遅延は、短い方が好ましい。そのため、画像フレームデータは、複数のパケット信号に格納され、複数のパケット信号は、連続的に送信される。ここで、「連続的に」とは、パケット信号の長さに比較して短い期間で連続することを意味する。一方、送信装置と受信装置とは、複数の周波数チャネルのうちのいずれかを使用するが、伝送品質を向上させるためには、干渉電力の少ない周波数チャネルの選択が望まれる。周波数チャネルを選択するために、チャネルサーチが実行されるが、チャネルサーチは、パケット信号が伝送されていない期間になされる。また、前述のごとく、チャネルサーチの精度を向上するためには、チャネルサーチの期間が長い方が好ましい。このような状況下において、チャネルサーチの精度を向上させるために、実施例に係る通信システムは、次の処理を実行する。
【0013】
送信装置は、パケット信号を送信しながら、チャネルサーチのタイミングを検出する。送信装置は、撮像装置へ画像フレームデータのフレームレートの向上を指示する。その結果、撮像装置は、フレームレートを向上させた画像フレームデータを出力する。例えば、撮像装置は、30fpsのフレームレートを60fpsのフレームレートに向上させる。送信装置は、画像フレームデータを受けつけると、ふたつの画像フレームデータのうちのひとつを離散的に削除する。例えば、偶数番目の画像フレームデータが削除される。送信装置は、残った画像フレームデータを複数のパケット信号に格納して、パケット信号を送信する。削除された画像フレームデータに対応した期間では、パケット信号が送信されないので、当該期間において、送信装置は、チャネルサーチを実行する。
【0014】
図1は、本発明の実施例に係る通信システム100の構成を示す。通信システム100は、撮像装置10、送信装置12、受信装置14、再生装置16を含む。また、送信装置12は送信装置用アンテナ20を含み、受信装置14は受信装置用アンテナ22を含む。
【0015】
撮像装置10は、所定の間隔で撮像を実行し、複数の画像フレームデータを生成する。複数の画像フレームデータによって動画像が形成される。撮像を実行している所定の間隔が前述のフレームレートに相当しており、撮像装置10は、複数種類のフレームレートに対応する。ここでは、説明を明瞭にするために、2種類のフレームレートが規定されており、第1フレームレートおよび第2フレームレートという。なお、第2フレームレートは、第1のフレームレートよりも高速であるとし、例えば、第2フレームレートが60fpsであり、第1フレームレートが30fpsである。撮像装置10は、画像フレーデータを送信装置12へ順次出力する。
【0016】
送信装置12は、撮像装置10からの画像フレームデータを入力する。送信装置12は、画像フレームデータを圧縮した後、これをパケット信号に格納する。一般的に、画像フレームデータのサイズは、パケット信号に格納可能なデータ量よりも大きいので、送信装置12は、ひとつの画像フレームデータを複数のパケット信号に格納する。また、送信装置12は、複数規定された周波数チャネルのうちのいずれかを選択し、選択した周波数チャネルにて、送信装置用アンテナ20を介して複数のパケット信号を連続的に送信する。各パケット信号の宛先は、受信装置14である。
【0017】
受信装置14は、受信装置用アンテナ22を介して、送信装置12からのパケット信号を受信する。送信装置12と受信装置14とは、例えば、無線LAN(Local Area Network)システムに対応する。なお、送信装置12と受信装置14とが、無線LANシステムではなく、携帯電話システムに対応してもよい。受信装置14は、送信装置12と逆の処理を実行することによって、複数のパケット信号から複数の画像フレームデータを生成する。受信装置14は、再生装置16へ複数の画像フレームデータを出力する。
【0018】
再生装置16は、車載モニタ等によって構成され、受信装置14からの複数の画像フレームデータを受けつける。再生装置16は、複数の画像フレームデータをもとに、動画像を再生する。また、再生装置16は、再生した動画像をモニタに表示する。このような処理によって、再生装置16は、撮像装置10によって撮像された動画像を表示する。以下では、送信装置12から再生装置16へパケット信号が送信されてるだけの状態を「通常モード」という。一方、送信装置12は、複数の周波数チャネルのうちのいずれかを選択しているが、選択のために各周波数チャネルでの干渉電力を測定する。この測定が前述のチャネルサーチに相当する。ここでは、送信装置12がパケット信号を送信しながら、チャネルサーチを実行する状態を「チャネルサーチモード」という。
【0019】
送信装置12は、通常モードの際に、撮像装置10に対して第1フレームレートの画像フレームデータを出力させ、チャネルサーチモードの際に、撮像装置10に対して第2フレームレートの画像フレームデータを出力させる。一方、受信装置14から出力される画像フレームデータは、通常モードであるかチャネルサーチモードであるかにかかわらず、第1フレームレートを維持する。これを実現するための送信装置12の処理は後述する。
【0020】
図2は、送信装置12の構成を示す。送信装置12は、入力部30、生成部32、送信部34、RF部36、送信装置用アンテナ20、設定部38、制御部52を含む。また、設定部38は、検出部42、指示部44、実行部46、調査部48、記憶部50を含む。
【0021】
入力部30は、通常モードの際に、図示しない撮像装置10から、第1フレームレートの画像フレームデータを順次入力する。第1フレームレートが30fpsである場合、入力部30は、1秒間に30回、画像フレームデータを入力する。入力部30は、入力部30へ画像フレームデータを出力する。
【0022】
生成部32は、入力部30からの画像フレームデータを入力する。生成部32は、画像フレームデータに圧縮処理を実行する。圧縮技術の一例は、前述のごとく、Motion JPEGやMPEGであるが、生成部32は、これら以外の圧縮技術を使用してもよい。Motion JPEGは、フレーム内符号化であり、対象となる画像フレームデータの情報だけを使用して符号化する。一方、MPEGは、フレーム間符号化であり、過去の画像フレームデータとの差分や動き情報を符号化する。生成部32は、圧縮した画像フレームデータ(以下、これもまた「画像フレームデータ」という)を格納するようにパケット信号を順次生成する。前述のごとく、ひとつの画像フレームデータのサイズは、ひとつのパケット信号に格納可能なデータ量よりも大きい。その際、生成部32は、ひとつの画像フレームデータを複数に分割する。以下では、この処理を具体的に説明する。
【0023】
図3(a)−(e)は、通信システム100における信号のフォーマットを示す。図3(a)は、生成部32に入力される画像フレームデータを示す。ここでは、「第1フレーム」から「第4フレーム」が連続的に入力される。図3(b)は、生成部32において生成されたパケット信号を示す。図示のごとく、第1フレームが、第11パケットから第15パケットに分割されて格納される。ここでは、ひとつの画像フレームデータが5つに分割された後、各分割結果がパケット信号に格納されることによって、5つのパケット信号が生成される。なお、図3(a)−(b)では、画像フレームデータとパケット信号との関係を明瞭にするために、両者のタイミングを合わせるように示されている。また、ひとつの画像フレームデータの分割数が「5」以外であってもよい。図3(c)−(e)については後述する。図2に戻る。生成部32は、パケット信号を送信部34へ出力する。
【0024】
送信部34は、生成部32からのパケット信号を入力する。送信部34は、パケット信号の宛先として、図示しない受信装置14を設定する。前述のごとく、送信装置12が無線LANシステムの端末装置に対応する場合、送信部34は、当該端末装置としての機能を有する。例えば、送信部34は、誤り訂正の符号化処理や変調処理を実行する。さらに、パケット信号を送信するために、送信部34は、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれるアクセス制御機能を実行する。なお、通信システム100が無線LANシステムではなく、携帯電話システムである場合、送信部34は、それに合わせた機能を有する。
【0025】
RF部36は、送信処理として、生成部32において生成したパケット信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケット信号を生成する。さらに、RF部36は、送信装置用アンテナ20から受信装置14へ、無線周波数のパケット信号を順次送信する。また、RF部36には、PA(Power Amplifier)、ミキサ、D/A変換部も含まれる。
【0026】
検出部42は、周波数チャネルの調査タイミング、つまりチャネルサーチの実行タイミングを検出する。これは、通常モードの際に、チャネルサーチモードへの切替タイミングを検出することに相当する。具体的には、後述するように、記憶部50には、チャネルサーチの結果が記憶されている。検出部42は、記憶部50に結果が記憶されてからの期間を計測し、結果が記憶されてから所定期間が経過した場合に、通常モードからチャネルサーチモードへの切替タイミングを検出する。検出部42は、検出した切替タイミングを指示部44へ出力する。
【0027】
指示部44は、検出部42からの切替タイミングを受けつけると、通常モードからチャネルサーチモードへの切替を決定する。指示部44は、通常モードやチャネルサーチモードの動作モードとフレームレートとの関係を予め規定する。図4は、指示部44に記憶されたフレームレートのテーブルのデータ構造を示す。図示のごとく、モード欄200、フレームレート欄202が含まれる。モード欄200には、通常モードとチャネルサーチモードが示され、フレームレート欄202には、各動作モードに対応したフレームレートが示されている。ここで、第1レートが第1フレームレートに相当し、第2レートが第2フレームレートに相当する。なお、前述のごとく、第2フレームレートは、60fpsのように第1フレームレートよりも高速である。図2に戻る。
【0028】
指示部44は、図4のテーブルを参照することによって、動作モードに対応したフレームレートを特定する。通常モードからチャネルサーチモードへ切りかえられた場合、指示部44は、第1フレームレートから第2フレームレートへの切替を決定する。指示部44は、図示しない撮像装置10に対して、第2フレームレートの画像フレームデータの出力を指示する。また、送信部34からパケット信号を送信するための通信レートとして、複数種類の送信レートが予め規定されている。例えば、通信レートは、変調方式と、誤り訂正の符号化率との組合せによって特定される。ここでは、説明を明瞭にするために、通信レートは、変調方式によってのみ特定されるものとする。指示部44は、動作モードと通信レートとの関係を予め規定する。
【0029】
図5は、指示部44に記憶された変調方式のテーブルのデータ構造を示す。図示のごとく、モード欄210、変調方式欄212が含まれる。モード欄210には、通常モードとチャネルサーチモードが示され、変調方式欄212には、各動作モードに対応した変調方式が示されている。64QAMは、16QAMよりも高い通信レートである。そのため、指示部44は、生成部32が通常モードにおいてパケット信号を生成している場合の通信レートよりも、生成部32がチャネルサーチモードにおいてパケット信号を生成している場合の通信レートの方を高くする。図2に戻る。指示部44は、図5のテーブルを参照することによって、動作モードに対応した変調方式を特定する。通常モードからチャネルサーチモードへ切りかえられる場合、指示部44は、16QAMから64QAMへの切替を決定する。指示部44は、送信部34に対して、64QAMの使用を指示する。なお、通常モードにおいて、指示部44は、送信部34に対して、16QAMの使用を指示している。さらに、指示部44は、生成部32、調査部48に対して、動作モードを通知する。
【0030】
チャネルサーチモードに変更された後、入力部30は、第2フレームレートの画像フレームデータを入力する。生成部32は、指示部44からチャネルサーチモードへの変更を指示されると、第2フレームレートの画像フレームデータのうち、一部の画像フレームデータを削除して、残った画像フレームデータを格納するようにパケット信号を生成する。具体的に説明すると、生成部32は、残った画像フレームデータのフレームレートが第1フレームレートに近づくように、一部の画像フレームデータを削除する。前述のごとく、第1フレームレートが30fpsであり、第2フレームレートが60fpsであるので、生成部32は、60fpsの画像フレームデータのうち、ふたつにひとつを削除する。その結果、残った画像フレームデータのフレームレートが30fpsになる。ここで、生成部32は、残った画像フレームデータに対して圧縮処理を実行する。
【0031】
図3(c)は、第2フレームレートの画像フレームデータを示す。図示のごとく、図3(a)の画像フレームデータの2倍の画像フレームデータが入力される。ここでは、「第1’フレーム」から「第8’フレーム」が連続的に入力される。図3(d)は、生成部32によって、一部の画像フレームデータが削除された残りの画像フレームデータを示す。図示のごとく、偶数番目の画像フレームデータが削除され、奇数番目の画像フレームデータのみが残る。また、残った画像フレームデータの数が、図3(a)に示された画像フレームデータの数に等しくなる。
【0032】
図3(e)は、生成部32において生成されたパケット信号を示す。図示のごとく、第1’フレームが、第11’パケットと第12’パケットに分割されて格納される。ここでは、ひとつの画像フレームデータがふたつに分割された後、各分割結果がパケット信号に格納されることによって、ふたつのパケット信号が生成される。なお、ひとつの画像フレームデータは、図3(b)のごとく5つに分割されてもよいし、それ以外の数に分割されてもよい。また、図3(d)において削除された画像フレームデータに対応したタイミングには、パケット信号が配置されない。以下では、このようなタイミングを「無送信期間」という。図2に戻る。
【0033】
送信部34は、生成部32からのパケット信号を入力する。送信部34は、前述のごとく、パケット信号に対して、誤り訂正の符号化処理や変調処理を実行する。ここで、通常モードの際には、変調方式として16QAMが使用されるが、チャネルサーチモードに変更されると、指示部44からの指示によって64QAMが使用される。RF部36は、送信部34からのパケット信号を送信装置用アンテナ20から送信することによって、図3(e)のごとく、生成部32において削除された画像フレームデータに対応した期間では、パケット信号が送信されない。
【0034】
調査部48は、指示部44からチャネルサーチモードへの変更を通知されると、チャネルサーチを実行する。以下では、チャネルサーチ処理を具体的に説明する。RF部36は、受信処理として、複数の周波数チャネルのうちのいずれかにおいて、送信装置用アンテナ20にて信号を受信する。RF部36は、送信装置用アンテナ20を介して受信した無線周波数の信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドの信号を生成する。さらに、RF部36は、ベースバンドの信号を調査部48へ出力する。一般的に、ベースバンドのパケット信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線が示されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。また、RF部36には、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサ、AGC、A/D変換部も含まれる。
【0035】
調査部48は、RF部36から受けつけた信号の電力を所定の期間にわたって測定する。測定結果が、ひとつの周波数チャネルにおける干渉電力に相当する。また、調査部48は、前述の無送信期間において、このような処理を実行する。なお、ひとつの周波数チャネルに対する干渉電力を測定するための期間が、無送信期間よりも長い場合、調査部48は、複数の無送信期間において、ひとつの周波数チャネルにおける干渉電力を測定する。調査部48は、測定結果を記憶部50へ出力する。その後、RF部36は、別の周波数チャネルを設定し、調査部48は同様の処理を繰り返し実行する。すべての周波数チャネルに対する干渉電力が記憶部50に記憶されると、調査部48は、調査終了を指示部44へ通知するとともに、調査終了時刻を検出部42へ通知する。その後、指示部44は、通常モードからチャネルサーチモードへ変更させる際の処理とは逆の処理を実行することによって、チャネルサーチモードを通常モードへ変更する。また、検出部42は、期間の計測を再び開始する。
【0036】
記憶部50は、調査部48において調査した結果、つまり複数の周波数チャネルのそれぞれに対する干渉電力を記憶する。図6は、記憶部50に記憶された測定結果のデータ構造を示す。図示のごとく、周波数チャネル欄220、干渉電力欄222が含まれる。周波数チャネル欄220には、通信システム100において規定されている周波数チャネルが示されている。また、干渉電力欄222には、各周波数チャネルに対応した干渉電力が示されている。なお、記憶部50には、測定した時刻や測定結果を記憶した時刻が記憶されてもよい。
【0037】
実行部46は、RF部36を介して既に送信したパケット信号に対するACK信号であって、かつ図示しない受信装置14から送信されたACK信号を受信する。ACK信号は、受信装置14がパケット信号を正確に受信できた場合に、受信装置14から送信される信号である。ACK信号として公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。所定の期間にわたってACK信号が受信されない場合、実行部46は、受信装置14が連続してパケット信号を受信できていないと推定する。その結果、実行部46は、送信装置12と受信装置14との間の無線伝搬環境が悪化していると推定し、周波数チャネルの変更を決定する。
【0038】
実行部46は、記憶部50において記憶した結果をもとに、複数の周波数チャネルのうちのいずれかの周波数チャネルを選択する。例えば、実行部46は、干渉電力の最も低い周波数チャネルを選択する。なお、記憶部50に記憶した結果が更新されていないときに、周波数チャネルを再度選択する場合、実行部46は、干渉電力が次に低い周波数チャネルを選択する。このように、実行部46は、送信部34がパケット信号を送信するために使用すべき周波数チャネルであって、かつ複数の周波数チャネルのうちのいずれかの周波数チャネルを設定する。通常モードであるか、あるいはチャネルサーチモードであるかにかかわらず、受信装置14、再生装置16の処理は同一である。また、送信装置12が周波数チャネルを切りかえる場合、受信装置14も周波数チャネルを切りかえる。これには公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
【0039】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0040】
以上の構成による送信装置12の動作を説明する。図7は、送信装置12による動作モードの決定手順を示すフローチャートである。検出部42が、測定結果を記憶後、所定期間が経過していることを検知すれば(S10のY)、指示部44は、チャネルサーチモードへの切替を決定する(S12)。一方、検出部42が、測定結果を記憶後、所定期間が経過していることを検知しなければ(S10のN)、指示部44は、通常モードの維持を決定する(S14)。
【0041】
図8は、送信装置12による送信手順を示すフローチャートである。通常モードであれば(S30のY)、指示部44は、第1フレームレートによる出力を撮像装置10に指示する(S32)。生成部32は、パケット信号を生成する(S34)。送信部34は、変調方式を16QAMに設定し(S36)、パケット信号を送信する(S38)。一方、通常モードではなく(S30のN)、チャネルサーチモードであれば、指示部44は、第2フレームレートによる出力を撮像装置10に指示する(S40)。生成部32は、画像フレームデータの一部を削除し(S42)、パケット信号を生成する(S44)。送信部34は、変調方式を64QAMに設定し(S46)、パケット信号を送信する(S48)。調査部48は、チャネルサーチを実行する(S50)。
【0042】
次に、本発明の変形例を説明する。変形例は、実施例と同様に、撮像装置に接続された送信装置と、受信装置と、再生装置とを含んで構成される通信システムに関する。実施例では、撮像装置において撮像された画像フレームデータが、送信装置にて圧縮される。一方、変形例では、撮像装置が、画像フレームデータを圧縮した後に出力する。圧縮処理としてフレーム内符号化使用されていれば、チャネルサーチモードの際にどの画像フレームデータが削除されても、復号の際に問題は生じない。しかしながら、圧縮処理としてフレーム間符号化が使用されていれば、チャネルサーチモードの際に削除される画像フレームデータによっては、復号が正確になされなくなる。
【0043】
フレーム間符号化では、他の画像フレームデータに参照される画像フレームデータと、他の画像フレームデータに参照されない画像フレームデータとが存在する。前者のような画像フレームデータを削除してしまうと、当該画像フレームデータを参照する画像フレームデータが復号されなくなる。そのため、前者のような画像フレームデータは削除すべきでない。そのため、変形例に係る送信装置は、チャネルサーチモードの際に、後者のような画像フレームデータを削除する。なお、変形例に係る通信システム100、送信装置12は、図1、2と同様のタイプである。そのため、ここでは、差異を中心に説明する。
【0044】
撮像装置10は、前述のごとく、撮像を実行することによって、複数の画像フレームデータを生成する。さらに、撮像装置10は、複数の画像フレームデータに対して圧縮処理を実行する(以下、圧縮処理を実行した画像フレームデータもまた「画像フレームデータ」という)。前述のごとく、圧縮処理として、フレーム内符号化とフレーム間符号化とが規定されているが、前者の場合、送信装置12では、生成部32において圧縮処理がなされないだけであり、残りは実施例と同一の処理に相当する。そのため、ここでは、後者の処理のみを説明する。
【0045】
送信装置12の入力部30において入力した画像フレームデータには、フレーム間符号化がなされている。生成部32は、チャネルサーチモードにおいて、複数の画像フレームデータのうち、フレーム間符号化において他の画像フレームデータに参照されていない画像フレームデータを特定する。また、生成部32は、特定した画像フレームデータを削除する。図9(a)−(b)は、本発明の変形例に係る信号のフォーマットを示す。図9(a)は、チャネルサーチモードにおいて、生成部32に入力される画像フレームデータを示す。ここで、「I1」および「I2」は、Iフレームに相当し、「P1」から「P6」は、Pフレームに相当する。また、矢印の元側に示された画像フレームデータは、矢印の先側に示された画像フレームデータに参照される。例えば、「I1」は、「P1」に参照され、「P1」は、「P2」に参照される。なお、ここでは、説明を明瞭するために、IフレームとPフレームとを示したが、他の種類の画像フレームデータ、例えば、Bフレームが含まれてもよい。
【0046】
前述の「フレーム間符号化において他の画像フレームデータに参照されていない画像フレームデータ」は、図9(a)において矢印の元側になっていない画像フレームデータに相当する。具体的には、「P3」と「P6」とがそのような画像フレームデータに相当する。図9(b)は、生成部32において、一部の画像フレームデータが削除された場合の残りの画像フレームデータを示す。図示のごとく、図9(a)と比較して、「P3」と「P6」とが削除されている。図2に戻る。生成部32は、前述のごとく、残った画像フレームデータを複数に分割し、各分割結果をパケット信号に格納する。
【0047】
本発明の実施例によれば、通常モード時の第1フレームレートよりも、チャネルサーチモード時の第2フレームレートの方を高くするので、チャネルサーチ時において画像フレームデータの一部を削除できる。また、チャネルサーチ時において画像フレームデータの一部が削除されるので、チャネルサーチのための期間を確保できる。また、一部の画像フレームデータを削除することによって、チャネルサーチのための期間を確保するので、画像フレームデータをリアルタイム伝送する場合であってもチャネルサーチを実行できる。また、チャネルサーチを予め実行しているので、周波数チャネルを切りかえる際の切替時間を短縮できる。また、切替時間が短縮されるので、画像フレームデータの通信品質の悪化を抑制できる。また、通常モード時の第1フレームレートよりも、チャネルサーチモード時の第2フレームレートの方を高くするので、チャネルサーチ時に画像フレームデータの一部を削除する場合であっても、再生される動画像の品質悪化を抑制できる。
【0048】
また、残った画像フレームデータが第1フレームレートに近づくように、一部の画像フレームデータを削除するので、通常モード時において再生される動画像とチャネルサーチ時において再生される動画像との品質を近くできる。また、通常モード時において再生される動画像とチャネルサーチ時において再生される動画像との品質が近くされるので、ユーザの運転への支援に与える影響を低減できる。また、通常モード時の通信レートよりもチャネルサーチ時の通信レートを高速にするので、パケット信号の送信期間を短くできる。また、パケット信号の送信期間を短くできるので、同一のデータ量を短期間に送信できる。また、同一のデータ量が短期間に送信されるので、チャネルサーチの期間を確保できる。また、通信を実行しているときの伝搬環境にかかわらず、一定の周期でチャネルサーチを実行するので、パケット信号の通信レートを向上できる。
【0049】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0050】
本発明の実施例において、通信システム100は、車両に搭載されているとしている。しかしながらこれに限らず例えば、通信システム100は、車両以外に設置されてもよい。本変形例によれば本発明をさまざまな態様で実施できる。
【符号の説明】
【0051】
10 撮像装置、 12 送信装置、 14 受信装置、 16 再生装置、 20 送信装置用アンテナ、 22 受信装置用アンテナ、 30 入力部、 32 生成部、 34 送信部、 36 RF部、 38 設定部、 42 検出部、 44 指示部、 46 実行部、 48 調査部、 50 記憶部、 52 制御部、 100 通信システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置から、第1のフレームレートの画像フレームデータを入力する入力部と、
前記入力部において入力した画像フレームデータを格納するようにパケット信号を順次生成する生成部と、
前記生成部において生成したパケット信号を順次送信する送信部と、
前記送信部がパケット信号を送信するために使用すべき周波数チャネルであって、かつ複数の周波数チャネルのうちのいずれかの周波数チャネルを設定する設定部とを備え、
前記設定部は、
周波数チャネルの調査タイミングを検出する検出部と、
前記検出部において調査タイミングを検出した場合に、前記撮像装置に対して、第1のフレームレートよりも高速な第2のフレームレートの画像フレームデータの出力を指示する指示部と、
前記指示部において指示した後、前記入力部において入力した第2のフレームレートの画像フレームデータのうち、一部の画像フレームデータを削除して、残った画像フレームデータを格納するように前記生成部がパケット信号を生成しており、前記生成部において削除された一部の画像フレームデータに対応したタイミングにて、周波数チャネルを調査する調査部と、
前記調査部における調査結果をもとに周波数チャネルを設定する実行部とを備えることを特徴とする送信装置。
【請求項2】
前記生成部は、残った画像フレームデータが第1のフレームレートに近づくように、一部の画像フレームデータを削除することを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記入力部において入力した画像フレームデータには、フレーム間符号化がなされており、
前記生成部は、フレーム間符号化において他の画像フレームデータから非参照の画像フレームデータを削除することを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
【請求項4】
前記送信部は、パケット信号を送信するための送信レートとして複数種類の送信レートを規定しており、前記生成部が第1フレームレートの画像フレームデータをもとにパケット信号を生成している場合の送信レートよりも、前記生成部が第2フレームレートの画像フレームデータをもとにパケット信号を生成している場合の送信レートの方を高くすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の送信装置。
【請求項5】
前記設定部は、
前記調査部において調査した結果を記憶する記憶部と、
前記記憶部において記憶した結果をもとに、複数の周波数チャネルのうちのいずれかの周波数チャネルを選択する選択部とをさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の送信装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記記憶部が結果を記憶してから、所定期間が経過した場合に、周波数チャネルの調査タイミングを検出することを特徴とする請求項5に記載の送信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−15079(P2011−15079A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156217(P2009−156217)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】