説明

送電制御装置、送電装置、受電制御装置、受電装置及び電子機器

【課題】汎用性の高い送電制御装置、送電装置、受電制御装置、受電装置及び電子機器を提供すること。
【解決手段】無接点電力伝送システムの送電装置に設けられる送電制御装置20は、送電制御装置20の制御を行う制御部22を含む。制御部22は、送電装置10と受電装置40との間での通信方式及び通信パラメータの少なくとも一方である通信条件を、受電装置40との間での情報交換により設定する通信条件設定部34と、設定された通信条件を用いて、送電装置10と受電装置40との間での通信処理を行う通信処理部36を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電制御装置、送電装置、受電制御装置、受電装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁誘導を利用し、金属部分の接点がなくても電力伝送を可能にする無接点電力伝送(非接触電力伝送)が脚光を浴びている、この無接点電力伝送の適用例として、携帯電話機や家庭用機器(例えば電話機の子機)の充電などが提案されている。
【0003】
このような無接点電力伝送の従来技術として特許文献1がある。この特許文献1では、受電装置(2次側)と送電装置(1次側)との間で認証コードを送受信することでID認証を実現し、異物等の挿入を検出している。
【0004】
しかしながら、特許文献1の従来技術では、送電装置と受電装置とが1対1で対応している場合しか想定していなかった。即ち、送電装置は、受電装置から受信した装置IDが適正なIDであるか否かしか判断しておらず、様々なタイプの受電装置に対応する場合については想定していなかった。
【特許文献1】特開2006−60909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の幾つかの態様によれば、汎用性の高い送電制御装置、送電装置、受電制御装置、受電装置及び電子機器を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムの前記送電装置に設けられる送電制御装置であって、送電制御装置の制御を行う制御部を含み、前記制御部は、前記送電装置と前記受電装置との間での通信方式及び通信パラメータの少なくとも一方である通信条件を、前記受電装置との間での情報交換により設定する通信条件設定部と、設定された前記通信条件を用いて、前記送電装置と前記受電装置との間での通信処理を行う通信処理部とを含む送電制御装置に関係する。
【0007】
本発明によれば、通信方式及び通信パラメータの少なくとも一方である通信条件が、受電装置との間での情報交換により設定される。そしてこの通信条件を用いて、送電装置と受電装置との間での通信処理が行われる。このようにすれば、受電装置に応じて通信条件を異ならせることが可能になるため、送電制御装置の汎用性の向上等を図れる。
【0008】
また本発明では、前記通信処理部は、前記通信条件を用いて、前記送電装置と前記受電装置との間での通常送電開始後の通信処理を行ってもよい。
【0009】
このようにすれば、受電装置との間での情報交換により設定された通信条件を用いて、通常送電開始後の通信処理が行われる。従って、通常送電の期間に応じた最適な通信条件での通信が可能になる。
【0010】
また本発明では、前記通信処理部は、通常送電開始前は、初期通信条件を用いて、前記送電装置と前記受電装置との間での通信処理を行い、前記通信条件設定部は、前記初期通信条件を用いた通常送電開始前の通信処理により前記受電装置との間で情報交換を行うことで、通常送電開始後の通信処理に用いられる前記通信条件を設定してもよい。
【0011】
このようにすれば、通常送電開始前に、初期通信条件での通信により情報交換を行って、通常送電開始後の通信条件を設定し、この通信条件を用いて通常送電開始後の通信を実現できる。従って、通常送電開始前の期間と通常送電開始後の期間の各期間に応じた最適な通信条件での通信が可能になり、通信品質等を図れる。
【0012】
また本発明では、前記通信条件設定部は、前記送電装置から前記受電装置への通信が周波数変調により行われる場合に、前記通信条件の前記通信パラメータとして、前記周波数変調における周波数を設定してもよい。
【0013】
このようにすれば、受電装置との間での情報交換により、通信パラメータとして、周波数変調における周波数を設定し、設定された周波数を用いて、周波数変調による通信を実現できるようになる。
【0014】
また本発明では、前記通信条件設定部は、前記受電装置から前記送電装置への通信が負荷変調により行われる場合に、前記通信条件の前記通信パラメータとして、前記負荷変調におけるしきい値を設定してもよい。
【0015】
このようにすれば、受電装置との間での情報交換により、通信パラメータとして、負荷変調におけるしきい値を設定し、設定されたしきい値を用いて、負荷変調による通信が可能になる。
【0016】
また本発明では、前記通信条件設定部は、前記受電装置から前記送電装置に対して通常送電開始後に定期認証が行われる場合に、前記通信条件の前記通信パラメータとして、定期認証用のしきい値を設定してもよい。
【0017】
このようにすれば、受電装置との間での情報交換により、通信パラメータとして、定期認証におけるしきい値を設定し、設定されたしきい値を用いて、通常送電開始後の定期認証が可能になる。
【0018】
また本発明では、前記通信条件設定部は、前記受電装置から通信条件情報を受信することで、前記通信条件を設定してもよい。
【0019】
このようにすれば、受電装置からの通信条件情報に応じた通信が可能になり、様々なタイプの受電装置への対応等が容易になる。
【0020】
また本発明では、前記制御部は、無接点電力伝送のネゴシエーション処理を行うネゴシエーション処理部と、前記ネゴシエーション処理の結果に基づいて、無接点電力伝送のセットアップ処理を行うセットアップ処理部を含み、前記通信条件設定部は、前記セットアップ処理により前記受電装置から前記通信条件情報を受信してもよい。
【0021】
このようにすれば、セットアップ処理を有効活用して通信条件を設定できるようになる。
【0022】
また本発明では、前記ネゴシエーション処理部は、前記受電装置との間で、規格情報、コイル情報、負荷状態検出方式を示すシステム情報の照合処理を行ってもよい。
【0023】
このようにすれば、受電装置との間での情報通信が可能か否かや、通信した情報が妥当か否かを、セットアップ処理よりも前の早い段階で実行されるネゴシエーション処理において確認できるようになる。
【0024】
また本発明は、上記のいずれかに記載の送電制御装置と、交流電圧を生成して前記1次コイルに供給する送電部とを送電装置に関係する。
【0025】
また本発明は、上記に記載の送電装置を含む電子機器に関係する。
【0026】
また本発明は、1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムの前記受電装置に設けられる受電制御装置であって、受電制御装置の制御を行う制御部を含み、前記制御部は、前記送電装置と前記受電装置との間での通信方式及び通信パラメータの少なくとも一方である通信条件を、前記送電装置との間での情報交換により設定する通信条件設定部と、設定された前記通信条件を用いて、前記送電装置と前記受電装置との間での通信処理を行う通信処理部とを含む受電制御装置に関係する。
【0027】
本発明によれば、通信方式及び通信パラメータの少なくとも一方である通信条件が、送電装置との間での情報交換により設定される。そしてこの通信条件を用いて、送電装置と受電装置との間での通信処理が行われる。このようにすれば、受電制御装置の汎用性の向上等を図れる。
【0028】
また本発明では、前記通信処理部は、前記通信条件を用いて、前記送電装置と前記受電装置との間での通常送電開始後の通信処理を行ってもよい。
【0029】
このようにすれば、送電装置との間での情報交換により設定された通信条件を用いて、通常送電開始後の通信処理が行われる。従って、通常送電の期間に応じた最適な通信条件での通信が可能になる。
【0030】
また本発明では、前記通信処理部は、通常送電開始前は、初期通信条件を用いて、前記送電装置と前記受電装置との間での通信処理を行い、前記通信条件設定部は、通常送電開始前の通信処理により前記送電装置との間で情報交換を行うことで、通常送電開始後の通信処理に用いられる前記通信条件を設定してもよい。
【0031】
このようにすれば、通常送電開始前に、初期通信条件での通信により情報交換を行って、通常送電開始後の通信条件を設定し、この通信条件を用いて通常送電開始後の通信を実現できる。従って、通常送電開始前の期間と通常送電開始後の期間の各期間に応じた最適な通信条件での通信が可能になり、通信品質等を図れる。
【0032】
また本発明では、前記通信条件設定部は、前記送電装置に通信条件情報を送信することで、前記通信条件を設定してもよい。
【0033】
このようにすれば、送電装置に送信した通信条件情報に応じた通信が可能になる。
【0034】
また本発明では、前記制御部は、無接点電力伝送のネゴシエーション処理を行うネゴシエーション処理部と、前記ネゴシエーション処理の結果に基づいて、無接点電力伝送のセットアップ処理を行うセットアップ処理部を含み、前記通信条件設定部は、前記セットアップ処理により前記送電装置に前記通信条件情報を送信してもよい。
【0035】
このようにすれば、セットアップ処理を有効活用して通信条件を設定できるようになる。
【0036】
また本発明は、上記のいずれかに記載の受電制御装置と、前記2次コイルの誘起電圧を直流電圧に変換する受電部とを含む受電装置に関係する。
【0037】
また本発明は、上記に記載の受電装置と、前記受電装置により電力が供給される負荷とを含む電子機器に関係する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0039】
1.電子機器
図1(A)に本実施形態の無接点電力伝送手法が適用される電子機器の例を示す。電子機器の1つである充電器500(クレードル)は送電装置10を有する。また電子機器の1つである携帯電話機510は受電装置40を有する。また携帯電話機510は、LCDなどの表示部512、ボタン等で構成される操作部514、マイク516(音入力部)、スピーカ518(音出力部)、アンテナ520を有する。
【0040】
充電器500にはACアダプタ502を介して電力が供給され、この電力が、無接点電力伝送により送電装置10から受電装置40に送電される。これにより、携帯電話機510のバッテリを充電したり、携帯電話機510内のデバイスを動作させることができる。
【0041】
なお本実施形態が適用される電子機器は携帯電話機510に限定されない。例えば腕時計、コードレス電話器、シェーバー、電動歯ブラシ、リストコンピュータ、ハンディターミナル、携帯情報端末、電動自転車、或いはICカードなどの種々の電子機器に適用できる。
【0042】
図1(B)に模式的に示すように、送電装置10から受電装置40への電力伝送は、送電装置10側に設けられた1次コイルL1(送電コイル)と、受電装置40側に設けられた2次コイルL2(受電コイル)を電磁的に結合させて電力伝送トランスを形成することで実現される。これにより非接触での電力伝送が可能になる。
【0043】
なお、図1(B)では1次コイルL1、2次コイルL2は、平面上でスパイラル状にコイル線を巻くことで形成された例えば空芯の平面コイルになっている。しかしながら、本実施形態のコイルはこれに限定されず、1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて電力を伝送できるものであれば、その形状・構造等は問わない。
【0044】
例えば図1(C)では、磁性体コアに対してX軸回りでコイル線をスパイラル状に巻くことで1次コイルL1が形成されている。携帯電話機510に設けられた2次コイルL2も同様である。本実施形態では図1(C)のようなコイルにも適用可能である。なお図1(C)の場合に、1次コイルL1や2次コイルL2として、X軸回りにコイル線を巻いたコイルに加えて、Y軸周りにコイル線を巻いたコイルを組み合わせてもよい。
【0045】
2.送電装置、受電装置
図2に本実施形態の送電装置10、送電制御装置20、受電装置40、受電制御装置50の構成例を示す。図1(A)の充電器500などの送電側の電子機器は、図2の送電装置10を含む。また携帯電話機510などの受電側の電子機器は、受電装置40と負荷90(本負荷)を含むことができる。そして図2の構成により、例えば1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて送電装置10から受電装置40に対して電力を伝送し、負荷90に対して電力を供給する無接点電力伝送(非接触電力伝送)システムが実現される。
【0046】
送電装置10(送電モジュール、1次モジュール)は、1次コイルL1、送電部12、送電制御装置20を含むことができる。なお送電装置10や送電制御装置20は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば1次コイル)を省略したり、他の構成要素(例えば波形モニタ回路)を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
【0047】
送電部12は、交流電圧を生成して1次コイルL1に供給する。具体的には、電力伝送時には所定周波数の交流電圧を生成し、データ転送時にはデータに応じて周波数が異なる交流電圧を生成して、1次コイルL1に供給する。この送電部12は、例えば、1次コイルL1の一端を駆動する第1の送電ドライバと、1次コイルL1の他端を駆動する第2の送電ドライバと、1次コイルL1と共に共振回路を構成する少なくとも1つのコンデンサを含むことができる。そして送電部12が含む第1、第2の送電ドライバの各々は、例えばパワーMOSトランジスタにより構成されるインバータ回路(バッファ回路)であり、送電制御装置20により制御される。
【0048】
1次コイルL1(送電側コイル)は、2次コイルL2(受電側コイル)と電磁結合して電力伝送用トランスを形成する。例えば電力伝送が必要なときには、図1(A)、図1(B)に示すように、充電器500の上に携帯電話機510を置き、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通るような状態にする。一方、電力伝送が不要なときには、充電器500と携帯電話機510を物理的に離して、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通らないような状態にする。
【0049】
送電制御装置20は、送電装置10の各種制御を行う装置であり、集積回路装置(IC)などにより実現できる。この送電制御装置20は、制御部22、記憶部23、検出回路29を含むことができる。なお、これらの構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの変形実施も可能である。
【0050】
制御部22(送電側)は送電装置10や送電制御装置20の制御を行うものである。この制御部22は、例えばゲートアレイなどのASIC回路により実現したり、マイクロコンピュータ及びマイクロコンピュータ上で動作するプログラムなどにより実現できる。この制御部22は、送電部12を用いた送電の制御を行ったり、記憶部23の記憶制御を行ったり、検出回路29を制御する。具体的には、電力伝送、負荷状態検出(データ検出、異物検出、取り去り検出等)、周波数変調などに必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。
【0051】
記憶部23(レジスタ部)は各種の情報を記憶するものであり、例えば、RAMやDフリップフロップ、或いはフラッシュメモリやマスクROMなどの不揮発性メモリにより実現できる。
【0052】
検出回路29は、受電装置40が送信したデータを検出するための処理を行う。例えば受電装置40が負荷変調によりデータを送信する場合には、受電側(受電装置又は異物)の負荷状態を検出することで、送信されたデータを検出する。この負荷状態の検出は、1次コイルL1の誘起電圧信号(コイル端信号)の波形変化を検出することで実現できる。例えば受電側(2次側)の負荷状態(負荷電流)が変化すると、誘起電圧信号の波形が変化する。検出回路29は、このような波形の変化を検出して、検出結果(検出結果情報)を制御部22に出力する。そして制御部22は、検出回路29での負荷状態の検出情報に基づいて、受電側(2次側)の負荷状態(負荷変動、負荷の高低)を判定して、データ検出を実現する。或いは、負荷状態の変化を検出することで、異物検出や取り去り検出等を実現してもよい。
【0053】
なお、送電側でのデータ検出手法は、このような負荷状態を検出する手法に限定されず、様々な非接触方式の検出手法を適用できる。例えば送電側と受電側にRF−IDタグを設けて、これらのRF−IDタグを用いて、受電側からデータを受信してもよい。或いは、これらのRF−IDタグを用いて、受電側にデータを送信してもよい。
【0054】
受電装置40(受電モジュール、2次モジュール)は、2次コイルL2、受電部42、給電制御部48、受電制御装置50を含むことができる。なお受電装置40や受電制御装置50は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば2次コイル)を省略したり、他の構成要素(例えば負荷変調部)を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
【0055】
受電部42は、2次コイルL2の交流の誘起電圧を直流電圧に変換する。この変換は受電部42が有する整流回路などにより実現できる。
【0056】
給電制御部48は負荷90への電力の給電を制御する。即ち負荷90への電力の給電をオンにしたり、オフにする制御を行う。具体的には、受電部42(整流回路)からの直流電圧のレベルを調整して、電源電圧を生成して、負荷90に供給し、負荷90のバッテリ94を充電する。なお負荷90はバッテリ94を含まないものであってもよい。
【0057】
受電制御装置50は、受電装置40の各種制御を行う装置であり、集積回路装置(IC)などにより実現できる。この受電制御装置50は、2次コイルL2の誘起電圧から生成される電源電圧により動作することができる。また受電制御装置50は、制御部52、記憶部53、検出回路59を含むことができる。
【0058】
制御部52(受電側)は受電装置40や受電制御装置50の制御を行うものである。この制御部52は、例えばゲートアレイなどのASIC回路により実現したり、マイクロコンピュータ及びマイクロコンピュータ上で動作するプログラムなどにより実現できる。この制御部52は、給電制御部48の制御を行ったり、記憶部53の記憶制御を行う。具体的には、位置検出、周波数検出、負荷変調、或いは満充電検出などに必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。
【0059】
記憶部53(レジスタ部)は各種の情報を記憶するものであり、例えばRAMやDフリップフロップ、或いはフラッシュメモリやマスクROMなどの不揮発性メモリにより実現できる。
【0060】
検出回路59は、送電装置10が送信したデータを検出するための処理を行う。例えば送電装置10が周波数変調でデータを送信する場合には、その周波数の変化を検出することで、データを検出する。
【0061】
なお受電側のデータ検出手法は、このような周波数変化を検出する手法に限定されず、様々な非接触方式の検出手法を適用できる。例えば、前述のようにRF−IDタグを用いてデータを検出して受信してもよい。
【0062】
そして本実施形態では、送電側の制御部22は、通信条件設定部34、通信処理部36を含む。また受電側の制御部52も、通信条件設定部64、通信処理部66を含む。
【0063】
送電側の通信条件設定部34は、受電装置40との間での情報交換により通信条件を設定する。例えば受電装置40から通信条件情報を受信することで、通信条件を設定する。具体的には、後述するセットアップ処理により受電装置40から通信条件情報を受信して、通信条件を設定する。
【0064】
また受電側の通信条件設定部64は、送電装置10との間での情報交換により通信条件を設定する。例えば送電装置10に通信条件情報を送信することで、前記通信条件を設定する。具体的には、後述するセットアップ処理により送電装置10に通信条件情報を送信して、通信条件を設定する。
【0065】
このようにすれば、受電側の通信条件情報を用いて、送電装置10と受電装置40との間での通信条件を設定できる。従って、受電側の状況に合わせて通信条件を設定できるため、様々なタイプの受電装置に対応できるようになる。なお本実施形態は、受電装置40から送電装置10に通信条件情報(伝送条件情報)を送信する場合には限定されず、送電装置10から受電装置40に通信条件情報を送信する変形実施も可能である。
【0066】
ここで通信条件は、送電装置10と受電装置40との間での通信方式や、その通信パラメータである。ここで通信方式としては、周波数変調や負荷変調などの各種の変調方式や、変調方式以外の通信方式を想定できる。例えばRF−IDタグを用いた通信方式でもよい。また通信パラメータは、これらの通信方式で用いられるパラメータであり、例えば周波数変調の場合には、周波数変調に用いられる周波数であり、負荷変調の場合には、負荷変動を検出するためのしきい値などである。
【0067】
例えば通信条件設定部34は、送電装置10から受電装置40への通信が周波数変調により行われる場合には、通信条件の通信パラメータとして、周波数変調における周波数(f2)を設定する。また受電装置40から送電装置10への通信が負荷変調により行われる場合に、通信条件の通信パラメータとして、負荷変調におけるしきい値(SIGH、SIGH2)を設定する。また受電装置40から送電装置10に対して、通常送電開始後に、いわゆる乗っ取り検出のための定期認証が行われる場合には、通信条件の通信パラメータとして、定期認証用のしきい値(LEVL、LEVH)を設定する。なお、通常送電開始後に異物検出が行われる場合に、通常送電開始後の異物検出用のしきい値を設定してもよい。
【0068】
そして通信処理部36、66は、通信条件設定部34、64により設定された通信条件(通信方式、通信パラメータ)を用いて、送電装置10と受電装置40との間での通信処理を行う。例えば送電装置10から受電装置40にデータを送信する処理や、受電装置40から送電装置10にデータを送信する処理を行う。
【0069】
例えば、送電装置10から受電装置40へのデータ送信の通信方式として、周波数変調方式が設定されたとする。この場合には送電装置10は、通信パラメータとして設定された周波数(f1、f2)を用いた周波数変調により、受電装置40にデータを送信する。そして受電装置40は、通信パラメータとして設定された周波数(f1、f2)を用いて、送電装置10が送信したデータを復調することで、データを受信する。
【0070】
一方、受電装置40から送電装置10へのデータ送信の通信方式として、負荷変調方式が設定されたとする。この場合には受電装置40は、負荷変調用の通信パラメータを用いた負荷変調により、送電装置10にデータを送信する。そして送電装置10は、通信パラメータとして設定されたしきい値(SIGH、SIGH2)を用いて、受電装置40が送信したデータを検出することで、データを受信する。
【0071】
例えば、これまでの無接点電力伝送システムでは、送電装置と受電装置とが1対1で対応している場合しか想定していなかった。従って、電力仕様が異なる複数種類の受電装置に対応できるマルチ電力対応システムを実現することができなかった。
【0072】
これに対して本実施形態では、送電側と受電側の間での情報交換により通信条件を設定し、設定された通信条件を用いて送電側と受電側との間での情報通信が行われる。従って、電力仕様が異なる複数種類の受電装置にも対応できるようになり、マルチ電力対応システムを実現できる。
【0073】
例えば受電装置40が0.5ワットの無接点電力伝送に対応した装置である場合には、受電装置40(記憶部53)は0.5ワットの電力伝送に最適な通信条件情報を保持している。従って、送電側は、この通信条件情報を受電装置40から受信し、受信した通信条件情報に基づき通信条件を設定して通信処理を行えば、0.5ワットの無接点電力伝送に最適な通信条件での通信が可能になり、通信の品質や信頼性を向上できる。
【0074】
また例えば受電装置40が15ワットの無接点電力伝送に対応した装置である場合には、受電装置40は15ワットの電力伝送に最適な通信条件情報を保持している。従って、送電側は、この通信条件情報を受電装置40から受信し、受信した通信条件情報に基づき通信条件を設定して通信処理を行えば、15ワットの無接点電力伝送に最適な通信条件での通信が可能になる。従って、0.5ワットと15ワットの両方に対応できるため、汎用性を向上でき、マルチ電力対応システムの実現等が可能になる。
【0075】
また通信処理部36、66は、通信条件設定部34、64により設定された通信条件を用いて、送電装置10と受電装置40との間での通常送電開始後の通信処理(例えば充電期間での通信処理)を行う。具体的には、通信処理部36、66は、通常送電開始前は、初期通信条件(デフォルトの通信条件)を用いて、送電装置10と受電装置40との間での通信処理を行う。即ち、初期通信条件として設定された初期通信方式及び初期通信パラメータの少なくとも一方を用いて通信処理を行う。
【0076】
そして送電側の通信条件設定部34は、初期通信条件を用いた通常送電開始前の通信処理により受電装置40と情報交換を行うことで、通常送電開始後の通信処理に用いられる通信条件を設定する。例えば受電装置40から通信条件情報(例えば後述するセットアップフレーム)を受信することで、通常送電開始後の通信条件を設定する。
【0077】
また受電側の通信条件設定部64は、初期通信条件を用いた通常送電開始前の通信処理により送電装置10と情報交換を行うことで、通常送電開始後の通信処理に用いられる通信条件を設定する。例えば送電装置10に通信条件情報(例えば後述するセットアップフレーム)を送信することで、通常送電開始後の通信条件を設定する。
【0078】
このようにすれば、通常送電開始前に、初期通信条件での通信により情報交換を行って、通常送電開始後の通信条件を設定し、この通信条件を用いて通常送電開始後の通信を実現できる。従って、通常送電開始前の期間と通常送電開始後の期間の各期間に応じた最適な通信条件での通信が可能になり、通信品質を向上できる。例えば、通常送電開始前は、初期通信条件により、低電力の仮送電を行いながら情報(ネゴシエーション・セットアップ情報)の通信を行い、通常送電開始後は、電力仕様が異なる複数種類の受電装置に対応した電力で送電を行いながら情報の通信を行う場合がある。この場合に、通常送電開始前の仮送電期間と通常送電期間とで、通信条件を異ならせることで、通信エラーやEMIノイズを低減でき、通信品質を向上できる。
【0079】
なお、通信パラメータのみならず、通信方式を通常送電開始前と通常送電開始後で異ならせてもよい。即ち、通常送電開始前は第1の通信方式で通信を行い、通常送電開始後は第2の通信方式で通信を行う。例えば通常送電開始前は、RF−IDタグを用いた通信方式で情報の通信を行い、通常送電開始後は、負荷変調や周波数変調を用いた通信方式で通信を行う。或いは、通常送電開始前は、負荷変調の検出方式として振幅検出方式(ピーク検出方式)を用い、通常送電開始後は、負荷変調の検出方式としてパルス幅検出方式(位相検出方式)を用いる。このように通信方式自体についても、通常送電開始前と通常送電開始後とで異ならせることで、マルチ電力対応システムの場合にも、通常送電開始前と通常送電開始後の各期間に最適な通信方式での通信が可能になる。
【0080】
また本実施形態では、送電側の制御部22は、ネゴシエーション処理部37、セットアップ処理部38、コマンド処理部39を含む。また受電側の制御部52も、ネゴシエーション処理部67、セットアップ処理部68、コマンド処理部69を含む。なおコマンド処理部39、69を設けない構成としてもよい。
【0081】
ネゴシエーション処理部37、67は、無接点電力伝送のネゴシエーション処理を行う。即ち、送電側と受電側の間で、無接点電力伝送の基本的な設定(規格、コイル、システム、安全機能等)についての情報交換を行う。そしてセットアップ処理部38、68は、ネゴシエーション処理の結果に基づいて、無接点電力伝送のセットアップ処理を行う。即ちネゴシエーション処理により無接点電力伝送の基本的な設定が行われた後、送電側と受電側との間で、機器やアプリケーション毎に異なるセットアップ情報の情報交換を行う。そしてコマンド処理部39、69は、セットアップ処理の後に、無接点電力伝送のコマンド処理を行う。即ち、基本的なコマンドやセットアップ処理で対応可能になったコマンドの発行や実行などを行う。なお制御部22は、セットアップ処理の後に、コマンド処理を経ることなく、通常送電を開始してもよい。例えば明示的なコマンドの発行がなくても、セットアップ処理の後に通常送電を開始してもよい。
【0082】
具体的には送電側のネゴシエーション処理部37は、受電装置40との間で情報の通信が可能か否かの確認処理や、通信した情報が妥当か否かの確認処理や、受電側の負荷状態が適正か否かの確認処理を行う。即ち、受電側から適正に情報を受信できたか否かや、受電側から受信した情報が想定される適正な情報であるか否かや、受電側は異物ではなく適正な受電装置(負荷)であるか否かを、このネゴシエーション処理において確認する。なお受電側の負荷状態が適正か否かの確認処理をネゴシエーション処理において行わないようにしてもよい。
【0083】
更に具体的には、ネゴシエーション処理部37は、受電装置40との間で、規格情報やコイル情報や負荷状態検出方式を示すシステム情報の照合処理を行う。即ち受電側から受信した規格/コイル/システム情報を、送電側の規格/コイル/システム情報と照合し、規格/コイル/システムが適合(一致)しているか否かを確認する。
【0084】
セットアップ処理部38は、ネゴシエーション処理の結果に基づいて、無接点電力伝送の伝送条件や通信条件を設定する。
【0085】
具体的には、受電装置40が無接点電力伝送の伝送条件情報を送信した場合に、その伝送条件情報を受信して、無接点電力伝送の伝送条件を設定する。即ち、受電装置40が、コイルの駆動電圧や駆動周波数等の通常送電に必要な伝送条件情報を送信すると、その伝送条件情報に基づいて、駆動電圧や駆動周波数等の伝送条件を設定する。
【0086】
また受電装置40が通信条件情報を送信した場合に、その通信条件情報を受信して、通信条件を設定する。即ち、受電装置40が、通信方式(method)や通信パラメータ(f2、SIGH2)などを指定する通信条件情報を送信すると、その通信条件情報に基づいて、通信条件を設定する。なおセットアップ処理部38は、受電装置40との間で、機器やアプリケーション毎に異なるセットアップ情報の情報交換も行う。
【0087】
コマンド処理部39は、セットアップ処理の後に、例えば、通常送電開始コマンドや、バッテリ94の満充電検出コマンド(満充電通知コマンド)や、バッテリ94の再充電確認コマンドや、通信コマンドなどの各種コマンドの処理を行う。即ち、これらのコマンドの発行や実行を行う。なおコマンドとしては少なくとも通常送電開始コマンドが用意されていればよく、その他のコマンドはオプションのコマンドとして扱うことができる。
【0088】
受電側のネゴシエーション処理部67は、送電装置10との間で情報の通信が可能か否かの確認処理や、通信した情報が妥当か否かの確認処理を行う。具体的には、規格情報、コイル情報、負荷状態検出方式を示すシステム情報の照合処理を行う。即ち、規格/コイル/システム情報を送電側に送信し、送電側から規格/コイル/システム情報を受信すると、送電側の規格/コイル/システム情報と受電側の規格/コイル/システムとが適合(一致)しているか否かを確認する。
【0089】
セットアップ処理部68は、ネゴシエーション処理の結果に基づいて、無接点電力伝送の伝送条件情報や通信条件情報を送電装置10に送信する。即ち、コイルの駆動電圧や駆動周波数等の通常送電に必要な伝送条件情報を送信する。また、通信方式や通信パラメータ等の通信条件情報を送信する。また、送電装置10との間で、機器やアプリケーション毎に異なるセットアップ情報の情報交換を行う。
【0090】
コマンド処理部69は、セットアップ処理の後に、通常送電開始コマンドや、バッテリ94の満充電検出コマンドや、バッテリ94の再充電確認コマンドや、通信コマンドなどの各種コマンドの処理を行う。即ち、これらのコマンドの発行や実行を行う。なお制御部52は、セットアップ処理の後に、送電装置10から受電装置40への通常送電が開始した場合に、コマンド処理を経ることなく、負荷90に対する電力供給を開始してもよい。例えば明示的なコマンドの発行がなくても、セットアップ処理の後に負荷90への電力供給を開始してもよい。
【0091】
3.動作
次に本実施形態の動作について図3(A)〜図5(C)を用いて詳細に説明する。
【0092】
まず図3(A)に示すように送電装置10は、通常送電を開始する前に、仮送電(位置検出用送電)を開始する。この仮送電により、受電装置40に対して電源電圧が供給されて、受電装置40のパワーオンが行われる。この場合の仮送電は、例えば記憶部23に予め設定されている初期伝送条件の駆動電圧(VFの初期値であるVF0)、駆動周波数(f1の初期値であるf01)を用いて行われる。そして受電装置40は、例えば1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係が適正か否かを判定する。具体的には1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係が例えば図1(B)のような関係になっているか否かを判定する。
【0093】
図3(B)に示すように、L1とL2の位置関係が適正であると判定されると、受電装置40(ネゴシエーション処理部67)は、ネゴシエーションフレームを作成して、送電装置10に送信する。このネゴシエーションフレームは、例えば規格/コイル/システム情報やしきい値情報を含む。即ち受電側の記憶部53に記憶される規格/コイル/システム情報やしきい値情報に基づいてネゴシエーションフレームが作成されて、送電側に送信される。この場合のネゴシエーションフレームの通信は、デフォルト値として設定された初期通信条件の通信方式(例えば周波数変調、負荷変調)、通信パラメータ(f2の初期値であるf02、データ検出用しきい値の初期値であるSIGH)を用いて行われる。
【0094】
送電装置10(ネゴシエーション処理部37)は、受電装置40からネゴシエーションフレームを受信すると、受信したネゴシエーションフレームに含まれる受電側の規格/コイル/システム情報と、記憶部23に記憶される送電側の規格/コイル/システム情報を照合する。即ち通信が可能であるか否かの確認処理や、通信情報の妥当性の確認処理を行う。また、受電装置40から受信したしきい値情報を、受電側の負荷状態を検出するためのしきい値情報として設定する。そして送電装置10は、受電装置40から受信したしきい値情報に基づいて、1次コイルL1と2次コイルL2の間に異物が挿入されていないかを検出する。即ち受電側の負荷状態が適正か否かを確認する。
【0095】
そして規格/コイル/システム情報が適合(一致)し、異物も検出されなかったと判定された場合には、図3(C)に示すように、送電装置10は、送電側の規格/コイル/システム情報を含むネゴシエーションフレームを作成して、受電装置40に送信する。即ち送電側の記憶部23に記憶される規格/コイル/システム情報に基づいてネゴシエーションフレームが作成されて、受電側に送信される。この場合のネゴシエーションフレームの通信は、初期通信条件の通信方式、通信パラメータを用いて行われる。
【0096】
すると受電装置40は、受電側の規格/コイル/システム情報と、受信したネゴシエーションフレームの規格/コイル/システム情報とを照合する。そして図4(A)に示すように、受電装置40(セットアップ処理部68)は、セットアップフレームを作成して、送電装置10に送信する。このセットアップフレームは、例えば、通信方式(method)や通信パラメータ(f2、SIGH2)などの通信条件情報や、コイルの駆動電圧(VF)や駆動周波数(f1)などの伝送条件情報や、受電側が対応している機能(コマンド等)を示す対応機能情報などを含む。即ち受電側の記憶部53に記憶される通信条件情報や伝送条件情報に基づいてセットアップフレームが作成されて、送電側に送信される。この場合のセットアップフレームの通信は、初期通信条件の通信方式、通信パラメータを用いて行われる。
【0097】
送電装置10(セットアップ処理部38)は、セットアップフレームを受信すると、セットアップフレームに含まれる通信条件情報、伝送条件情報に基づいて、通常送電開始後の通信条件、伝送条件を設定する。また、受信した受電側対応機能情報と、送電側の記憶部23に記憶される送電側対応機能情報に基づいて、使用機能(通信機能、定期認証機能)を設定する。即ち受電側と送電側の双方が対応できる機能が、使用機能として設定される。
【0098】
そして図4(B)に示すように、送電装置10は、送電側の対応機能情報を含むセットアップフレームを作成して、受電装置40に送信する。この場合のセットアップフレームの通信は、初期通信条件の通信方式、通信パラメータを用いて行われる。そして、受電側は、受信した送電側の対応機能情報に基づいて使用機能を設定する。
【0099】
次に図4(C)に示すように、セットアップ処理の結果に基づいてコマンド処理が行われる。即ち送電装置10(コマンド処理部39)、受電装置40(コマンド処理部69)は、対応するコマンドの発行又は実行を行う。
【0100】
例えば通常送電(充電)を行う場合には、受電装置40がスタートフレームを送電装置10に送信する。すると、送電装置10は通常送電開始コマンド(充電開始コマンド)を発行して受電装置40に送信し、受電装置40は通常送電開始コマンドの応答コマンドを送電装置10に送信する。これにより、送電装置10、受電装置40による通常送電についてのコマンド処理が実行される。なお、この場合の通常送電は、図4(A)のセットアップ処理で設定された伝送条件の駆動電圧(VF)、駆動周波数を用いて行われる。これにより、マルチ電力伝送対応システムを実現できる。
【0101】
そしてこのように通常送電開始後は、通信条件が、初期通信条件から、図4(A)で設定された通信条件に切り替わる。そして図5(B)に示すように、通常送電開始後の通信は、セットアップ処理で設定された通信条件を用いて行われる。
【0102】
なお図5(C)に示すように、送電側のホスト2と通信を行うためのホストI/F(インターフェース)27を送電制御装置20に設け、受電側のホスト4と通信を行うためのホストI/F57を受電制御装置50に設けてもよい。ここで、ホスト2は、送電側機器(充電器等)に搭載されるCPU等であり、ホスト4は、受電側機器(携帯電話機、携帯型電子機器等)に搭載されるCPU、アプリケーションプロセッサ等である。また、ホスト2、4とホストI/F27、57との間の通信方式は、例えばI2C(Inter Integrated Circuit)により実現できる。但し通信方式はI2Cには限定されず、I2Cと同様の思想に基づく通信方式や、通常のシリアルインターフェースやパラレルインターフェースの通信方式であってもよい。
【0103】
図5(C)に示すように、送電側と受電側にホストI/F27、57を設けることで、送電側、受電側のホスト2、4の間での通信が可能になる。即ち、これまでの無接点電力伝送システムでは、送電側と受電側の間でID認証情報しか通信できなかった。これに対して、図5(C)の構成によれば、例えばアプリケーションデータを、無接点電力伝送を利用して、充電器などの送電側機器と携帯電話機などの受電側機器との間で通信することが可能になる。従って、充電期間等を有効活用して機器間でデータを通信することが可能になるため、ユーザの利便性を大幅に向上できる。
【0104】
そして図5(C)では、通常送電開始後に、ホスト2やホスト4が通信の割り込み要求を行った場合に、送電制御装置20や受電制御装置50は通信モードに移行する。具体的には、このような通信の割り込み要求が行われると、給電制御部48が負荷90への電力供給を停止して(電力供給用トランジスタをオフにする)、通信モードに移行する。そして通信モードに移行した後は、ホスト2とホスト4が任意の通信プロトコルで通信を行い、その後、例えばホスト2が通常送電開始コマンドを発行すると、通信モードから通常送電モード(充電モード)に戻る。
【0105】
このような通信モードにおいて、上位のアプリケーションデータをホスト2、4の間で通信する場合には、例えば通信条件を初期通信条件(通常送電開始前の仮送電期間における通信条件)に設定してもよい。また無接点電力伝送の伝送条件を初期伝送条件に設定してもよい。即ち、コマンド(通信割り込み要求、満充電検出、再充電確認等のコマンド)については、通常送電期間において通信されるため、セットアップ処理で設定された通信条件、伝送条件を使用して通信することが望ましい。一方、アプリケーションデータを通信する通信モードでは、負荷90への電力供給を停止できるため、セットアップ処理で設定された通信条件、伝送条件を必ずしも使用しなくてもよいため、より安全で確実な通信が可能なデフォルト設定の通信条件、伝送条件を使用する。即ち、通信モードでは、送電の伝送効率よりも通信の信頼性を優先した仮送電期間での通信条件や伝送条件に使用する。例えば駆動周波数を低くしたり、駆動電圧を低くする。このようにすることで、データ転送エラー等が低減され、通信の信頼性を向上することが可能になる。
【0106】
4.無接点電力伝送の処理シーケンス
さて、無接点電力伝送が普及すると、受電側の2次コイルとして様々なタイプのものが市場に出回ることが予想される。即ち、受電側である携帯電話機等の電気機器の外形・サイズは様々であるため、これに応じて、電子機器の受電装置に内蔵される2次コイルの外形・サイズも様々なものになる。また各電子機器が必要とする無接点電力伝送の電力量(ワット数)や出力電圧も様々であるため、これに応じて2次コイルのインダクタンス等も様々なものになる。
【0107】
一方、無接点電力伝送では1次コイルと2次コイルの形状・サイズ等が完全に適合していなくても、電力が伝送されてしまうという事態が起こる。この点、有線のケーブルを用いた充電では、ケーブルのコネクタの形状等を工夫することで、このような事態を防止できるが、無接点電力伝送ではこのような工夫を施すことが難しい。
【0108】
そして、現在、無接点電力伝送については、各メーカ毎に個別の方式で実現されているのが現状である。
【0109】
しかしながら、無接点電力伝送の普及を図り、それに伴う安全性を確保するためには、汎用性の高い無接点電力伝送の処理シーケンスを実現することが望ましい。
【0110】
図6に、本実施形態により実現される無接点電力伝送の処理シーケンスの概略を模式的に示す。
【0111】
この処理シーケンスでは、リセット状態の後に、待機フェーズに移行する。ここで、リセット状態では、送電側(1次)や受電側(2次)が保持していた各種フラグはクリアされる。ここでフラグは、送電装置や受電装置の状態(送電状態、満充電状態、再充電確認状態等)を表すものであり、これらの装置のレジスタ部に保持される。
【0112】
待機フェーズでは、送電側(1次)は、受電側(2次)の停止時(送電停止時)の最終状態を保持する。例えばバッテリの満充電が検出されると、送電側及び受電側は満充電検出後の待機フェーズに移行する。この場合、バッテリ電圧の低下を検出して、再充電を行う必要があるため、送電側は、送電停止の要因が満充電検出であることを記憶する。具体的には、再充電確認フラグをクリアせずにセット状態に維持し、再充電が必要か否かを定期的に確認する。
【0113】
なお待機フェーズでは、送電側から受電側への送電が停止するため、受電側は電源電圧が供給されずに停止状態になるが、送電側は、電源電圧が供給されて動作状態になっている。このように待機フェーズで受電側が動作を停止することで低消費電力化が図れ、この時に送電側が各種状態のフラグをクリアせずに保持することで、送電側は、待機フェーズの後、そのフラグを利用して各種処理を実行できる。
【0114】
送電側や受電側は、待機フェーズの後にネゴシエーションフェーズに移行する。このネゴシエーションフェーズでは、規格/コイル/システムの一致確認や、安全上の情報交換などが行われるネゴシエーション処理が実行される。具体的には、送電側と受電側は、規格/コイル/システム情報の情報交換を行い、規格/コイル/システムがお互いに適合するか否かを確認する。また例えば受電側が送電側に、異物検出等のための安全しきい値情報を送信し、安全上の情報交換を行う。このネゴシエーション処理では、送電側と受電側の間で情報の通信が可能か否かの確認や、通信した情報が妥当か否かの確認や、受電側の負荷状態の適否(異物の非検出)の確認等が行われることになる。
【0115】
ネゴシエーション処理において、規格/コイル/システムが不一致であると判定されたり、異物が検出されたり、機器の取り去りが検出されたり、タイムアウトエラーになると、リセット状態に移行し、各種フラグがクリアされる。一方、通信エラー等の場合には例えば待機フェーズに移行し、フラグのクリアは行われない。
【0116】
送電側や受電側は、ネゴシエーションフェーズの後、セットアップフェーズに移行する。このセットアップフェーズでは、対応機能の情報やアプリケーション別の設定情報などのセットアップ情報が転送されるセットアップ処理が実行される。例えばネゴシエーション処理の結果に基づいて、無接点電力伝送の伝送条件の設定が行われ。具体的には、受電側が、コイルの駆動電圧や駆動周波数等の伝送条件情報を送電側に送信すると、送電側は、受信した伝送条件情報に基づいてコイルの駆動電圧や駆動周波数等の通常送電のための伝送条件を設定する。また、対応機能についての情報交換や、上位のアプリケーション毎に異なる設定情報の交換も、このセットアップ処理で行われる。具体的には、通常送電開始後の受電側の負荷状態検出用のしきい値情報(例えばデータ通信用・異物検出用のしきい値情報)や、コマンドフェーズにおいて送電側、受電側が発行・実行可能なコマンドの種類や、通信機能、定期認証機能等の付加的な対応機能についての情報交換は、このセットアップ処理において実行される。これにより、電子機器の種類(携帯電話機、オーディオ機器等)や機種などのアプリケーションに応じて異なる設定情報の交換が可能になる。
【0117】
セットアップ処理において、機器の取り去りが検出されたり、タイムアウトエラーになると、リセット状態に移行する。一方、通信エラー等の場合には待機フェーズに移行する。
【0118】
送電側や受電側は、セットアップフェーズの後、コマンドフェーズに移行する。このコマンドフェーズでは、セットアップ処理で得た情報に基づいてコマンド処理が行われる。即ち、対応コマンド(対応可能であることがセットアップ処理で確認されたコマンド)の発行又は実行が行われる。コマンド処理で実行されるコマンドとしては、例えば、通常送電(充電)開始コマンド、満充電検出(通知)コマンド、再充電確認コマンド、通信コマンド、受電側割り込みコマンド、送電停止要求コマンドなどが考えられる。
【0119】
例えば、ネゴシエーション処理、セットアップ処理により通常送電の準備が整い、送電側が通常送電(充電)開始コマンドを受電側に送信(発行)し、それを受信した受電側が応答コマンドを送電側に送信すると、通常送電が開始する。そして通常送電の開始後、受電側において満充電が検出されると、受電側は満充電検出コマンドを送電側に送信する。
【0120】
この満充電検出のように伝送継続が必要ない場合には、満充電検出後の待機フェーズに移行する。そして、再度、ネゴシエーション処理、セットアップ処理を経て、送電側は再充電確認コマンドを受電側に送信する。これにより受電側は、バッテリ電圧をチェックして、再充電が必要か否かを判定する。そして再充電が必要な場合には、再充電確認フラグがリセットされ、送電側が通常送電開始コマンドを発行することで、通常送電が再開される。一方、再充電が必要ではない場合には、再充電確認フラグがセット状態に維持されて、満充電検出後の待機フェーズに戻る。
【0121】
なおコマンド処理において、何らかの異常が検出されたり、異物が検出されたり、取り去りが検出されるとリセット状態に移行する。
【0122】
図7を用いて本実施形態の処理シーケンスについて更に具体的に説明する。F1に示す取り去り検出後の待機フェーズでは、例えばk1秒に1回の着地検出が行われる。そしてF2に示すように電子機器の着地(設置)が検出されると、ネゴシエーション処理、セットアップ処理が実行される。そしてF3に示すようにネゴシエーション処理、セットアップ処理が正常に終了し、コマンド処理において通常送電開始コマンドが発行されると、通常送電が開始し、電子機器の充電が開始する。そしてF4に示すように満充電が検出されると、電子機器のLEDが消灯し、F5に示すように満充電検出後の待機フェーズに移行する。
【0123】
満充電検出後の待機フェーズでは、例えばk3秒に1回の取り去り検出が行われると共にk3×j秒に1回の再充電確認が行われる。そして満充電検出後の待機フェーズにおいて、F6に示すように電子機器の取り去りが検出されると、取り去り検出後の待機フェーズに移行する。一方、満充電検出後の待機フェーズにおいて、F7に示すように再充電確認により再充電が必要であると判定されると、ネゴシエーション処理、セットアップ処理が行われて、通常送電が再開され、バッテリの再充電が行われる。なお、F8に示すように通常送電中に電子機器の取り去りが検出されると、取り去り検出後の待機フェーズに移行する。
【0124】
なお、ネゴシエーションフェーズで転送されるシステム情報は、送電側や受電側での負荷状態の検出方式を示す情報である。ここで負荷状態の検出方式としては、パルス幅検出方式(位相検出方式)、電流検出方式、ピーク電圧検出方式、或いはこれらの方式を組み合わせた方式などがある。システム情報は、送電側や受電側が、これらの方式のいずれを採用しているのかを示す情報になる。
【0125】
異物しきい値は、安全上のしきい値情報である。この異物しきい値は、例えば受電側が記憶しており、通常送電開始前に受電側から送電側に送信される。そして送電側は、この異物しきい値に基づいて、通常送電開始前の異物検出である1次異物検出を行う。例えば受電側の負荷状態をパルス幅検出方式で検出する場合には、異物しきい値として、パルス幅のカウント値のしきい値が受電側から送電側に送信され、送電側はこのカウント値のしきい値に基づいて、パルス幅検出方式による1次異物検出を行う。このように本実施形態では、通常送電開始前の受電側の負荷状態を検出するためのしきい値情報は、ネゴシエーション処理において受電側が送電側に送信する。一方、通常送電開始後の受電側の負荷状態を検出するためのしきい値情報は、例えばセットアップ処理において受電側が送電側に送信する。
【0126】
図8に、セットアップ処理において転送されるセットアップフレームの例を示す。図8に示すように受電側が送信するセットアップフレームでは、セットアップであることを示すコマンドの後に、通信方式(method)、伝送条件(VF、f1)、通信パラメータ(f2、SIGH2、LEVL、LEVH)の情報が設定される。また過負荷検出や取り去り検出などの異物検知しきい値(METUP、LEVE)や、受電側の対応機能(Function、Function2)の情報が設定される。また送電側が送信するセットアップフレームでは、セットアップであることを示すコマンドの後に、送電側の対応機能(Function、Function2)の情報が設定される。
【0127】
以上の本実施形態の処理シーケンスによれば、例えば規格/コイル/システムの適合性の判断や、安全上の最低限の情報交換は、ネゴシエーション処理において行われる。そして、このネゴシエーション処理において、通信が可能な事や通信情報の妥当性が判断されると共に、受電側の負荷状態の適否が判断される。
【0128】
そしてセットアップ処理においては、通常送電のために必要な伝送条件の設定等が実行される。例えばコイルの駆動電圧や駆動周波数が設定される。また、通常送電開始後の負荷状態の検出用のしきい値情報の転送や、付加的な対応機能の情報交換や、より上位のアプリケーション毎に必要な設定情報の交換が、セットアップ処理において実行される。
【0129】
そして、このようなセットアップ処理、ネゴシエーション処理を経た後に、コマンドフェーズに移行して、コマンド処理が行われる。即ちネゴシエーション処理において対応可能になったことが確認されたコマンドの発行や実行がコマンド処理において行われる。
【0130】
このようにすれば、システムの適合性や安全性の確保に必要な最低限の情報交換はネゴシエーション処理において実行されると共に、アプリケーション毎に異なるセットアップ情報の交換はセットアップ処理において実行される。従って、送電側と受電側が適合していない場合には、ネゴシエーション処理において除外されるため、情報量が多いセットアップ情報については転送しなくても済むようになる。これにより、ネゴシエーション処理では最小限の情報だけを転送すれば済み、転送情報量を少なくできるため、短期間でネゴシエーションフェーズを終了でき、処理を効率化できる。
【0131】
また、送電側及び受電側の各機器は、ネゴシエーション処理により、最低限の無接点電力伝送が可能になり、機器毎の機能拡張は、セットアップ情報の交換で実現できる。従って、各機器は、ネゴシエーション処理で無接点電力伝送のシステムに必要な最小限の設定を行い、セットアップ処理でシステムの最適化が可能になるため、柔軟なシステム構築を実現できる。
【0132】
また送電側は、受電側からしきい値情報やシステム情報を受信し、受信したしきい値情報やシステム情報を設定するだけで、無接点電力伝送や異物検出を実現できるため、送電側の処理を簡素化できる。この場合に、受電側が、適正な組み合わせのコイル情報としきい値情報を送電側に送信することで、適正且つ安全な無接点電力伝送を実現できる。
【0133】
5.詳細な構成例
図9に本実施形態の詳細な構成例を示す。なお以下では図2で説明した構成要素については同符号を付し、適宜、その説明については省略する。
【0134】
波形モニタ回路14は、1次コイルL1のコイル端信号CSGに基づいて、波形モニタ用の誘起電圧信号PHINを生成する。例えば1次コイルL1の誘起電圧信号であるコイル端信号CSGは、送電制御装置20のICの最大定格電圧を超えてしまったり、負の電圧になったりする。波形モニタ回路14は、このようなコイル端信号CSGを受け、送電制御装置20の負荷状態検出回路30により波形検出が可能な信号である波形モニタ用の誘起電圧信号PHINを生成して、送電制御装置20の例えば波形モニタ用端子に出力する。表示部16は、無接点電力伝送システムの各種状態(電力伝送中、ID認証等)を、色や画像などを用いて表示する。
【0135】
発振回路24は1次側のクロックを生成する。駆動クロック生成回路25は、駆動周波数を規定する駆動クロックを生成する。ドライバ制御回路26は、駆動クロック生成回路25からの駆動クロックや制御部22からの周波数設定信号などに基づいて、所望の周波数の制御信号を生成し、送電部12の第1、第2の送電ドライバに出力して、第1、第2の送電ドライバを制御する。
【0136】
負荷状態検出回路30は、誘起電圧信号PHINを波形整形し、波形整形信号を生成する。例えば信号PHINが所与のしきい値電圧を超えた場合にアクティブ(例えばHレベル)になる方形波(矩形波)の波形整形信号(パルス信号)を生成する。そして負荷状態検出回路30は、波形整形信号と駆動クロックに基づいて、波形整形信号のパルス幅情報(パルス幅期間)を検出する。具体的には、波形整形信号と、駆動クロック生成回路25からの駆動クロックを受け、波形整形信号のパルス幅情報を検出することで、誘起電圧信号PHINのパルス幅情報を検出する。
【0137】
なお負荷状態検出回路30としては、パルス幅検出手法(位相検出手法)には限定されず、電流検出手法やピーク電圧検出手法などの種々の手法を採用できる。
【0138】
制御部22(送電制御装置)は、負荷状態検出回路30での検出結果に基づいて、受電側(2次側)の負荷状態(負荷変動、負荷の高低)を判断する。例えば制御部22は、負荷状態検出回路30(パルス幅検出回路)で検出されたパルス幅情報に基づいて、受電側の負荷状態を判断し、例えばデータ(負荷)検出、異物(金属)検出、取り去り(着脱)検出などを行う。即ち、誘起電圧信号のパルス幅情報であるパルス幅期間は、受電側の負荷状態の変化に応じて変化する。制御部22は、このパルス幅期間(パルス幅期間の計測により得られたカウント値)に基づいて受電側の負荷変動を検知できる。
【0139】
受電部42は、2次コイルL2の交流の誘起電圧を直流電圧に変換する。この変換は受電部42が有する整流回路43により行われる。
【0140】
負荷変調部46は負荷変調処理を行う。具体的には受電装置40から送電装置10に所望のデータを送信する場合に、送信データに応じて負荷変調部46(2次側)での負荷を可変に変化させて、1次コイルL1の誘起電圧の信号波形を変化させる。このために負荷変調部46は、ノードNB3、NB4の間に直列に設けられた抵抗RB3、トランジスタTB3(N型のCMOSトランジスタ)を含む。このトランジスタTB3は受電制御装置50の制御部52からの信号P3Qによりオン・オフ制御される。そしてトランジスタTB3をオン・オフ制御して負荷変調を行う際には、給電制御部48のトランジスタTB2はオフにされ、負荷90が受電装置40に電気的に接続されない状態になる。
【0141】
給電制御部48は負荷90への電力の給電を制御する。レギュレータ49は、整流回路43での変換で得られた直流電圧VDCの電圧レベルを調整して、電源電圧VD5(例えば5V)を生成する。受電制御装置50は、例えばこの電源電圧VD5が供給されて動作する。
【0142】
トランジスタTB2(P型のCMOSトランジスタ、給電トランジスタ)は、受電制御装置50の制御部52からの信号P1Qにより制御される。具体的にはトランジスタTB2は、ネゴシエーション処理やセットアップ処理の間はオフになり、通常送電開始後はオンになる。
【0143】
位置検出回路56は、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係が適正であるかを判断する。発振回路58は2次側のクロックを生成する。周波数検出回路60は、信号CCMPIの周波数(f1、f2)を検出する。満充電検出回路62は、負荷90のバッテリ94(2次電池)が、満充電状態(充電状態)になったか否かを検出する。
【0144】
負荷90は、バッテリ94の充電制御等を行う充電制御装置92を含むことができる。この充電制御装置92(充電制御IC)は集積回路装置などにより実現できる。なお、スマートバッテリのように、バッテリ94自体に充電制御装置92の機能を持たせてもよい。
【0145】
図9では、送電側から受電側へのデータ通信は周波数変調により実現し、受電側から送電側へのデータ通信は負荷変調により実現している。
【0146】
具体的には図10(A)に示すように、送電部12は、例えばデータ「1」を受電側に対して送信する場合には、周波数f1の交流電圧を生成し、データ「0」を送信する場合には、周波数f2の交流電圧を生成する。そして受電側の周波数検出回路60が、この周波数の変化を検出することで、データ「1」、「0」を判別する。これにより、送電側から受電側への周波数変調によるデータ通信が実現される。
【0147】
一方、受電側の負荷変調部46は、送信するデータに応じて受電側の負荷を可変に変化させて、図10(B)に示すように1次コイルL1の誘起電圧の信号波形を変化させる。例えばデータ「1」を送電側に対して送信する場合には、受電側を高負荷状態にし、データ「0」を送信する場合には、受電側を低負荷状態にする。そして送電側の負荷状態検出回路30が、この受電側の負荷状態の変化を検出することで、データ「1」、「0」を判別する。これにより、受電側から送電側への負荷変調によるデータ通信が実現される。
【0148】
なお図10(A)、図10(B)では送電側から受電側へのデータ通信を周波数変調により実現し、受電側から送電側へのデータ通信を負荷変調により実現しているが、これ以外の変調方式や他の方式を採用してもよい。
【0149】
6.詳細な動作例
次に、送電側と受電側の動作の詳細について図11、図12のフローチャートを用いて説明する。
【0150】
送電側は、電源投入されてパワーオンすると、例えばk1秒のウェイト後に(ステップS1)、通常送電開始前の仮送電を行う(ステップS2)。この仮送電は、着地検出、位置検出等のための一時的な電力伝送である。即ち、図7のF2のように電子機器が充電器に対して置かれたか否か、置かれた場合には適正な位置に置かれたか否かを検出するための電力伝送を行う。この仮送電における駆動周波数(駆動クロック生成回路からの駆動クロックの周波数)は例えばf1(f01)に設定される。
【0151】
送電側からの仮送電により、受電側がパワーオンして(ステップS22)、受電制御装置50のリセットが解除される。すると受電制御装置50は、図9の信号P1QをHレベルに設定し、これにより給電制御部48のトランジスタTB2がオフになり(ステップS23)、負荷90との間の電気的な接続が遮断される。
【0152】
次に受電側は、位置検出回路56を用いて、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係(位置レベル)が適正か否かを判断する(ステップS24)。そして位置関係が適正ではない場合には、例えばk2秒の期間の間、ウェイトする(ステップS21)。
【0153】
一方、位置関係が適正である場合には、受電側は、ネゴシエーションフレームを生成して送電側に送信する(ステップS25)。具体的には図10(B)で説明した負荷変調によりネゴシエーションフレームを送信する。このネゴシエーションフレームは、例えば受電側の記憶部53に記憶された規格情報、コイル情報などの一致コードやシステム情報(負荷状態検出方式)、しきい値情報(負荷状態検出用のしきい値)などのハード情報を含む。
【0154】
送電側は、ネゴシエーションフレームを受信すると(ステップS4)、ネゴシエーションフレームの検証を行う(ステップS5)。具体的には、送電側の記憶部23に記憶された規格/コイル/システム情報と、受電側から受信した規格/コイル/システム情報とが一致するか否かを判断する。そして、適正なネゴシエーションフレームであると判定されると、異物検出を行う(ステップS6)。
【0155】
具体的には、送電側は、駆動周波数を異物検出用周波数f3に設定する。そして受電側から受信したしきい値情報(安全しきい値情報)に基づいて、通常送電開始前の1次異物検出を行い、受電側の負荷状態が適正か否かを判断する。例えば異物検出イネーブル信号をアクティブにして、負荷状態検出回路30に対して異物検出の開始を指示する。この異物検出は、例えば負荷状態検出回路30からの負荷状態検出情報(パルス幅情報)と、受電側から受信した負荷状態検出用のしきい値(META)とを比較することで実現される。そして送電側は、異物検出期間が終了すると、駆動周波数を周波数f1(f01)に戻す。
【0156】
なお、送電側は、ステップS5でネゴシエーションフレームが適正ではないと判断されたり、ステップS6で異物が検出されたと判断されると、送電を停止して、ステップS1に戻る。
【0157】
次に、送電側はネゴシエーションフレームを作成して受電側に送信する(ステップS7)。このネゴシエーションフレームは、例えば送電側の記憶部23に記憶された規格情報、コイル情報、システム情報を含む。
【0158】
受電側は、ネゴシエーションフレームを受信すると(ステップS26)、ネゴシエーションフレームの検証を行う(ステップS27)。具体的には、受電側の記憶部53に記憶された規格/コイル/システム情報と、送電側から受信した規格/コイル/システム情報とが一致するか否かを判断する。そして、適正なネゴシエーションフレームであると判定されると、セットアップフレームを生成して、送電側に送信する(ステップS28)。このセットアップフレームは、通信条件情報や伝送条件情報や対応機能情報などを含む。ここで通信条件情報は通信方式や通信パラメータなどである。また伝送条件情報は1次コイルの駆動電圧や駆動周波数などである。また対応機能情報は、アプリケーション毎に付加された機能を表す情報である。なおセットアップフレームが適正でない場合にはステップS21に戻る。
【0159】
送電側は、セットアップフレームを受信すると(ステップS8)、セットアップフレームの検証を行う(ステップS9)。そして受電側からのセットアップフレームが適正である場合には、送電側のセットアップフレームを作成して、受電側に送信する(ステップS10)。一方、セットアップフレームが適正ではない場合には、送電を停止してステップS1に戻る。
【0160】
受電側は、セットアップフレームを受信すると(ステップS29)、セットアップフレームの検証を行う(ステップS30)。そしてセットアップフレームが適正である場合には、スタートフレームを作成して、送電側に送信する(ステップS31)。一方、セットアップフレームが適正ではない場合にはステップS21に戻る。
【0161】
スタートフレームが送信されると、送電側及び受電側はコマンド分岐に移行する(ステップS41、S61)。即ち、コマンド判定が行われて、各種フラグに応じたコマンドの処理に分岐する。
【0162】
具体的には、優先的な処理が必要なコマンド(例えば割り込みコマンド等)が存在しない場合には、送電側は、通常送電(充電)の開始コマンドを受電側に送信する(ステップS42)。受電側は、通常送電開始コマンドを受信すると(ステップS62)、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係が適正か否かを判断し(ステップS63)、適正である場合には応答コマンドを送電側に送信する(ステップS64)。
【0163】
送電側は、応答コマンドを受信すると(ステップS43)、伝送条件や通信条件を通常送電用の条件に切り替える(ステップS44)。具体的には、セットアップ処理で設定された伝送条件や通信条件に切り替える。そして、定期認証をオンにして(ステップS45)、通常送電を開始する(ステップS46)。
【0164】
受電側は、応答コマンドを送信すると(ステップS64)、給電制御部48のトランジスタTB2をオンにして(ステップS65)、負荷90への電力供給を開始する。また定期認証をオンにして、定期的な負荷変調を行う(ステップS66)。具体的には、負荷変調部46のトランジスタTB3を、定期認証期間において所定のパターンでオン・オフする。
【0165】
送電側は、通常送電が開始した後、定期的な負荷変調による定期認証期間において、大面積の金属異物等による乗っ取り状態の検出を行う(ステップS47)。また取り去り検出、異物検出を行う(ステップS48、S49)。定期認証において乗っ取りが検出されたり、取り去りや異物が検出されると、送電を停止してステップS1に戻る。
【0166】
受電側は、通常送電が開始した後、バッテリ94が満充電になったか否かを検出する(ステップS67)。そして満充電が検出されると、トランジスタTB2をオフにして(ステップS68)、負荷90への電力供給を停止する。また定期認証をオフにする(ステップS69)。そして、満充電の検出を通知する満充電検出コマンド(セーブフレーム)を送電側に送信し(ステップS70)、k4秒のウェイト期間の後(ステップS71)、ステップS70の処理を繰り返す。
【0167】
送電側は、満充電検出コマンド(セーブフレーム)を受信すると、定期認証をオフにして、送電を停止する(ステップS51、S52)。そして満充電検出後の待機フェーズに移行する(ステップS53)。
【0168】
この満充電検出後の待機フェーズでは、例えばk3秒に1回、取り去り検出を行う(ステップS54)。そして、取り去りが検出されると再充電確認フラグを0にリセットし(ステップS57)、送電を停止してステップS1に戻る。
【0169】
また満充電検出後の待機フェーズでは、例えばk3×j秒に1回、再充電の確認を行い、再充電確認フラグを1にセットし(ステップS55、S56)、送電を停止してステップS1に戻る。そしてこの場合には、ネゴシエーション処理、セットアップ処理が行われ、ステップS41のコマンド分岐において、再充電確認フラグが1であるため、再充電確認コマンドの処理に移行することになる。
【0170】
本実施形態では、図11のステップS8、S28に示すように、受電側から送電側に対してセットアップフレームにより通信条件情報や伝送条件情報が送信される。そして図12のステップS44に示すように、通常送電開始後は、このセットアップフレームの通信条件情報や伝送条件情報に基づき通信条件や伝送条件が設定されて、送電側と受電側と間での通信や、無接点電力伝送の電力制御が実現される。
【0171】
7.通信方式
本実施形態では、通信条件を切り替えることで、通常送電開始前と通常送電開始後とで通信方式を異ならせることができる。この場合の切り替え対象となる通信方式としては、様々な方式を想定できる。以下では、切り替え対象となる通信方式の例について説明する。
【0172】
図13(A)に負荷状態検出回路30の構成例を示す。この負荷状態検出回路30は第1、第2の負荷状態検出回路31、34を含む。
【0173】
第1の負荷状態検出回路31は、波形整形回路32とパルス幅検出回路33を含み、第1の通信方式(第1のパルス幅検出方式)により、パルス幅情報(PWQ1)を検出し、制御部22に出力する。例えば駆動クロック生成回路25が出力する駆動クロックDRCKのエッジタイミング(例えば立ち上がりタイミング)と、波形モニタ回路14が出力する誘起電圧信号PHIN1(コイル端信号CSG)が立ち上がって所与のしきい値電圧VTLを上回るタイミングとの間の期間であるパルス幅期間XTPW1を計測する。
【0174】
第2の負荷状態検出回路34は、波形整形回路35とパルス幅検出回路36を含み、第2の通信方式(第2のパルス幅検出方式)により、パルス幅情報(PWQ2)を検出し、制御部22に出力する。例えば駆動クロックDRCKのエッジタイミング(例えば立ち下がりタイミング)と、誘起電圧信号PHIN2(コイル端信号CSG)が立ち下がって所与のしきい値電圧VTHを下回るタイミングとの間の期間であるパルス幅期間XTPW2を計測する。
【0175】
例えば図13(B)に、受電側(2次側)の負荷が低い場合(負荷電流が小さい場合)のコイル端信号CSGの信号波形例を示し、図13(C)に、受電側の負荷が高い場合(負荷電流が大きい場合)のコイル端信号CSGの信号波形例を示す。図13(B)、図13(C)に示すように、受電側の負荷が高くなるにつれて、コイル端信号CSGの波形が歪む。
【0176】
そして、第1の通信方式では、図13(C)に示すように、コイル端信号CSGの立ち上がりの際のパルス幅期間XTPW1を検出して、このパルス幅期間XTPW1をパルス幅検出用の第1のしきい値と比較することで、負荷変動を検出する。また第2の通信方式では、コイル端信号CSGの立ち下がりの際のパルス幅期間XTPW2を検出して、このパルス幅期間XTPW1をパルス幅検出用の第2のしきい値と比較することで、負荷変動を検出する。第1の通信方式は、第2の通信方式に比べて、電源電圧変動等に対するパルス幅検出のバラツキは少ないという利点はあるが、負荷変動に対する感度が低いという問題点がある。一方、第1の通信方式による通信時に駆動周波数をコイル共振周波数に近づければ、負荷変動に対する波形の歪みが大きくなるため、第1の通信方式には、負荷変動に対する感度を高くできるという利点がある。
【0177】
従って、通常送電開始前の期間と通常送電開始後の期間の一方の期間では、第1の通信方式を使用し、他方の期間では第2の通信方式を採用すれば、各期間に最適な通信方式を採用して、通信品質を向上できる。
【0178】
なお、通信方式としては様々な方式を想定できる。例えば図14(A)に、電流検出により負荷状態を検出する第3の通信方式の例を示す。図14(A)では負荷状態検出回路30が電流/電圧変換回路610と増幅回路620を含む。抵抗RIVにより構成される電流/電圧変換回路610は、コイル端に流れる電流を検出して電圧に変換する。そして変換された電圧が増幅回路620により増幅され、増幅後の信号に基づいて受電側の負荷状態が検出される。具体的にはコイル端電流とコイル端電圧の位相差を比較することで、受電側の負荷状態を検出できる。
【0179】
また図14(B)に、振幅検出により負荷状態を検出する第4の通信方式の例を示す。図14(B)では、負荷状態検出回路30が、ピークホールド回路630(振幅検出回路)とA/D変換回路640を含む。ピークホールド回路630は、波形モニタ回路14からの誘起電圧信号PHINのピークホールドを行い、ピーク電圧(広義には振幅情報)を検出する。そしてA/D変換回路640は、検出されたピーク電圧をデジタルデータに変換する。制御部22は、このデジタルデータに基づいて、受電側の負荷状態を判断する。例えば、ピーク電圧(振幅)が小さい場合には受電側は低負荷であると判断し、ピーク電圧が大きい場合には受電側は高負荷であると判断する。
【0180】
本実施形態では、通常送電開始前の期間と通常送電開始後の期間の一方の期間では、図13(A)〜図14(B)で説明した第1〜第4の通信方式のうちのいずれかの通信方式を使用し、他方の期間では、第1〜第4の通信方式のうちの他の通信方式を使用できる。このようにすれば、各期間に最適な通信方式を採用でき、通信の品質や信頼性を向上できる。
【0181】
8.定期認証
次に定期認証について説明する。定期認証は、通常送電期間の各定期認証期間において、受電側の負荷を間欠的に変動させ、その間欠的な負荷変動を送電側において検出することで、いわゆる異物による乗っ取り状態を検出するものである。
【0182】
即ち、ネゴシエーション処理やセットアップ処理が完了して通常送電(本格送電)が開始した後、1次コイルL1と2次コイルL2の間に、例えば大面積の金属異物が挿入される場合がある。小中程度の面積の金属異物は、1次コイルL1の誘起電圧信号をモニタすることで検出できる。しかしながら、大面積の金属異物が挿入されると、その金属異物は、送電側にとって本負荷と同じ負荷のように見えてしまう。従って、ネゴシエーション処理等が完了していることからも、送電側は、その金属異物を負荷と見なして、送電を続行し、送電側からの送電エネルギーがその金属異物において消費され続けてしまう。これにより、金属異物が高温度になってしまうなどの問題が生じる。このように、大面積の金属の異物等が本来の受電側の機器に取って代わってしまい、その異物に電力が送電され続ける現象を、本実施形態では「乗っ取り状態」と呼ぶこととする。
【0183】
このような乗っ取り状態を検出するために、図15では、定期認証期間TAにおいて受電側の負荷を間欠的に変動させる。具体的には負荷変調信号P3Qを間欠的に変化させて、負荷変調部46のトランジスタTB3を間欠的にオン・オフさせる。そしてトランジスタTB3がオンになると受電側が相対的に高負荷(インピーダンス小)になり、トランジスタTB3がオフになると受電側が相対的に低負荷(高インピーダンス大)になる。送電側の負荷状態検出回路30は、この受電側の間欠的な負荷変動を検出する。例えば、コイル端信号のパルス幅期間の変化を検出することで、受電側の負荷変動を検出する。例えばしきい値LEVL、LEVHを用いて、低負荷状態と高負荷状態を判定する。
【0184】
そして定期認証に使用されるしきい値LEVL、LEVHの最適値は、受電装置の電力仕様に応じて異なった値になる可能性がある。従って、マルチ電力伝送システムを実現するためには、これらのしきい値LEVL、LEVHを受電装置に応じて可変に制御できることが望ましい。
【0185】
この点、本実施形態では、図8で説明したように、セットアップ処理時に、定期認証に使用されるしきい値LEVL、LEVHが受電側から送電側に送信される。そして送電側は、これらのしきい値LEVL、LEVHを用いて定期認証の判定処理を行う。従って、受電装置の電力仕様に応じた最適なしきい値LEVL、LEVHを用いて、定期認証の判定処理を行うことができ、マルチ電力伝送システムにおける定期認証の実現が可能になる。
【0186】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。また送電制御装置、送電装置、受電制御装置、受電装置の構成・動作や、通信条件の設定手法、ネゴシーエーション・セットアップ・コマンド処理の手法等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】図1(A)、図1(B)、図1(C)は無接点電力伝送の説明図。
【図2】本実施形態の送電装置、送電制御装置、受電装置、受電制御装置の構成例。
【図3】図3(A)〜図3(C)は本実施形態の動作の説明図。
【図4】図4(A)〜図4(C)は本実施形態の動作の説明図。
【図5】図5(A)〜図5(C)は本実施形態の動作の説明図。
【図6】本実施形態の無接点電力伝送の処理シーケンスの説明図。
【図7】本実施形態の無接点電力伝送の処理シーケンスの説明図。
【図8】セットアップフレームの例。
【図9】本実施形態の送電装置、送電制御装置、受電装置、受電制御装置の詳細な構成例。
【図10】図10(A)、図10(B)は周波数変調、負荷変調によるデータ転送の説明図。
【図11】本実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図12】本実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図13】図13(A)〜図13(C)は第1、第2の通信方式の説明図。
【図14】図14(A)、図14(B)は第3、第4の通信方式の説明図。
【図15】定期認証の説明図。
【符号の説明】
【0188】
L1 1次コイル、L2 2次コイル、
2 ホスト、4 ホスト、10 送電装置、12 送電部、14 波形モニタ回路、
16 表示部、20 送電制御装置、22 制御部(送電側)、23 記憶部、
24 発振回路、25 駆動クロック生成回路、26 ドライバ制御回路、
27 ホストI/F、29 検出回路、30 負荷状態検出回路、34 通信条件設定部、
36 通信処理部、37 ネゴシエーション処理部、38 セットアップ処理部、
39 コマンド処理部、40 受電装置、42 受電部、43 整流回路、
46 負荷変調部、48 給電制御部、50 受電制御装置、52 制御部(受電側)、
53 記憶部、56 位置検出回路、57 ホストI/F、58 発振回路、
60 周波数検出回路、62 満充電検出回路、64 通信条件設定部、
66 通信処理部、67 ネゴシエーション処理部、68 セットアップ処理部、
69 コマンド処理部、90 負荷、92 充電制御装置、94 バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムの前記送電装置に設けられる送電制御装置であって、
送電制御装置の制御を行う制御部を含み、
前記制御部は、
前記送電装置と前記受電装置との間での通信方式及び通信パラメータの少なくとも一方である通信条件を、前記受電装置との間での情報交換により設定する通信条件設定部と、
設定された前記通信条件を用いて、前記送電装置と前記受電装置との間での通信処理を行う通信処理部とを含むことを特徴とする送電制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記通信処理部は、
前記通信条件を用いて、前記送電装置と前記受電装置との間での通常送電開始後の通信処理を行うことを特徴とする送電制御装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記通信処理部は、
通常送電開始前は、初期通信条件を用いて、前記送電装置と前記受電装置との間での通信処理を行い、
前記通信条件設定部は、
前記初期通信条件を用いた通常送電開始前の通信処理により前記受電装置との間で情報交換を行うことで、通常送電開始後の通信処理に用いられる前記通信条件を設定することを特徴とする送電制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記通信条件設定部は、
前記送電装置から前記受電装置への通信が周波数変調により行われる場合に、前記通信条件の前記通信パラメータとして、前記周波数変調における周波数を設定することを特徴とする送電制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記通信条件設定部は、
前記受電装置から前記送電装置への通信が負荷変調により行われる場合に、前記通信条件の前記通信パラメータとして、前記負荷変調におけるしきい値を設定することを特徴とする送電制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記通信条件設定部は、
前記受電装置から前記送電装置に対して通常送電開始後に定期認証が行われる場合に、前記通信条件の前記通信パラメータとして、定期認証用のしきい値を設定することを特徴とする送電制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記通信条件設定部は、
前記受電装置から通信条件情報を受信することで、前記通信条件を設定することを特徴とする送電制御装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記制御部は、
無接点電力伝送のネゴシエーション処理を行うネゴシエーション処理部と、
前記ネゴシエーション処理の結果に基づいて、無接点電力伝送のセットアップ処理を行うセットアップ処理部を含み、
前記通信条件設定部は、
前記セットアップ処理により前記受電装置から前記通信条件情報を受信することを特徴とする送電制御装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記ネゴシエーション処理部は、
前記受電装置との間で、規格情報、コイル情報、負荷状態検出方式を示すシステム情報の照合処理を行うことを特徴とする送電制御装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の送電制御装置と、
交流電圧を生成して前記1次コイルに供給する送電部とを含むことを特徴とする送電装置。
【請求項11】
請求項10に記載の送電装置を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項12】
1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムの前記受電装置に設けられる受電制御装置であって、
受電制御装置の制御を行う制御部を含み、
前記制御部は、
前記送電装置と前記受電装置との間での通信方式及び通信パラメータの少なくとも一方である通信条件を、前記送電装置との間での情報交換により設定する通信条件設定部と、
設定された前記通信条件を用いて、前記送電装置と前記受電装置との間での通信処理を行う通信処理部とを含むことを特徴とする受電制御装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記通信処理部は、
前記通信条件を用いて、前記送電装置と前記受電装置との間での通常送電開始後の通信処理を行うことを特徴とする受電制御装置。
【請求項14】
請求項12又は13において、
前記通信処理部は、
通常送電開始前は、初期通信条件を用いて、前記送電装置と前記受電装置との間での通信処理を行い、
前記通信条件設定部は、
通常送電開始前の通信処理により前記送電装置との間で情報交換を行うことで、通常送電開始後の通信処理に用いられる前記通信条件を設定することを特徴とする受電制御装置。
【請求項15】
請求項12乃至14のいずれかにおいて、
前記通信条件設定部は、
前記送電装置に通信条件情報を送信することで、前記通信条件を設定することを特徴とする受電制御装置。
【請求項16】
請求項15において、
前記制御部は、
無接点電力伝送のネゴシエーション処理を行うネゴシエーション処理部と、
前記ネゴシエーション処理の結果に基づいて、無接点電力伝送のセットアップ処理を行うセットアップ処理部を含み、
前記通信条件設定部は、
前記セットアップ処理により前記送電装置に前記通信条件情報を送信することを特徴とする受電制御装置。
【請求項17】
請求項12乃至16のいずれかに記載の受電制御装置と、
前記2次コイルの誘起電圧を直流電圧に変換する受電部とを含むことを特徴とする受電装置。
【請求項18】
請求項17に記載の受電装置と、
前記受電装置により電力が供給される負荷とを含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−28935(P2010−28935A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185400(P2008−185400)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】