説明

逆止弁及び密封袋、及び逆止弁と密封袋の製造方法

【課題】逆止効果の確実性が高く、製造コストが極力上昇しない逆止弁及び密封袋の提供。
【解決手段】逆止弁Vが、柔軟な樹脂製の外装シート31,32と、複数の弁体シート4とを備えており、弁体シート4は、上流側弁体シート4aと下流側弁体シート4bの少なくとも2枚が1組とされ、共に一方側外装シート31に対して接着されており、上記上流側弁体シート4aは、上記一方側外装シート31に対する接着が上流端4a1の側でなされ、下流端4a2の側は上記外装シート31,32に対して移動可能とされており、上記下流側弁体シート4bは、上記の接着が下流端4b2の側でなされ、上流端4b1の側は上記外装シート31,32に対して移動可能とされており、上記各弁体シート4a,4bのうち、上記外装シート31,32に対して移動可能とされた側の各端部4a2,4b1が、他方側外装シート32に対して密着可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、密封袋に取り付けられて用いられる逆止弁、及びその逆止弁を備えた密封袋、及びその逆止弁と密封袋の製造方法に関するものである。
【0002】
従来から、衣類や食品などの物品を収納する空間を備えた物品収納部を気密状態に密封できる密封袋が存在する。この密封袋には、物品収納部に存在する空気などの各種の気体を袋外部に排出し、その状態を保持するために、物品収納部と袋外部とを通気可能に連結する逆止弁が用いられる。
【0003】
この逆止弁は、上記気体の排出に当たって、気体の通過する空間である気流通過空間が開放及び閉鎖されることにより、一方向の気流の通過を許容し、他方向の気流を遮断することができるものである。
【0004】
この逆止弁の従来例として、特許文献1に記載された逆止弁がある。この逆止弁100は、図6に示すように、長方形状のプラスチックフィルム101に、それより短く同幅の濾過用フィルム102を各々の下側辺縁を重ね合わせ、プラスチックフィルム103,104下側辺縁を濾過用フィルム102の上側辺縁に重ね、更にプラスチックフィルム101の片面に重ね合わせ扁平な積層体を形成し、その両側辺縁及び下側辺縁を加熱接着したものである。そして、濾過用フィルム102の上側辺縁とプラスチックフィルム103,104の下側辺縁重ね合わせ部100aを加熱接着し、上端に開口部106を備え、下方部片面に濾過用フィルム102からなる濾過面107を備えて、プラスチックフィルム103との間に気体放出用流路108を形成している。そして、プラスチックフィルム103で逆止片103aを形成し、その作動用ポケット部109を設け、プラスチックフィルム101上方内側面又は逆止弁103の内側面に低粘度不活性液体を塗布し、フィルム面の密接性を保持するものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−112721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来例の逆止弁100では、逆止片103aが1枚しか設けられておらず、プラスチックフィルム101と逆止片103aの密着により、逆方向の気流を遮断するものとなっている。つまり、上記密着が1箇所でしかなされないものであって、逆止効果の確実性に欠けるものであった。そのため、特許文献1に係る発明では、逆止効果を高めるために低粘度不活性液体の塗布が必須であった。
【0007】
また、上記のことを改良するに当たっては、当然のことではあるが、逆止弁の製造コストが極力上昇しないような構造としなければならない。
【0008】
また、逆止弁の望ましい機能として、排気が開始される瞬間の密封袋内の気圧である「初期圧」をできるだけ小さくすることが挙げられる。「初期圧」が高いと、排気がなかなか開始されず、密封袋に大きな外力を加える必要があったり、気体がなかなか排出されずに袋内に残ることで、密封袋が不細工に膨れ上がってしまうようなことがあるからである。
【0009】
本願発明は上記のことに鑑み、逆止効果の確実性を高めたものであり、かつ、製造コストが極力上昇しないものであって、かつ、「初期圧」の小さな逆止弁、及びその逆止弁を備えた密封袋、及びその逆止弁と密封袋の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明は、物品収納部2を備えた密封袋1に取り付けられて用いられ、上記物品収納部2に存在する気体を袋外部に排出するために、物品収納部2と袋外部とを通気可能とするものであり、上記気体の排出に当たって、上記気体の通過する空間である気流通過空間3aが開放及び閉鎖されることにより、排出方向の気流通過を許容し、吸入方向の気流を遮断することができる逆止弁であって、柔軟な樹脂製の外装シート31,32と、複数の弁体シート4とを備えており、上記外装シート31,32は表裏方向に対向して設けられており、上記複数の弁体シート4のうち、排出時の気流方向を基準として上流側に配置された上流側弁体シート4aと、同下流側に配置された下流側弁体シート4bの少なくとも2枚が1組とされており、上記1組を構成する各弁体シート4a,4bは、共に、少なくとも一方側外装シート31に対して接着されており、上記接着は、上記各弁体シート4a,4bが上記排出時の気流方向に対して直列となり、かつ、双方が表裏方向に重なり合わないようにされており、上記上流側弁体シート4aは、上記一方側外装シート31に対する接着が上流端4a1の側でなされ、下流端4a2の側は上記外装シート31,32に対して移動可能とされており、上記下流側弁体シート4bは、上記の接着が下流端4b2の側でなされ、上流端4b1の側は上記外装シート31,32に対して移動可能とされており、上記各弁体シート4a,4bのうち、上記外装シート31,32に対して移動可能とされた側の各端部4a2,4b1が、他方側外装シート32に対して密着可能とされた、あるいは、上記他方側外装シート32に接着された、上記1組を構成するものとは別の弁体シート4に対して密着可能とされたことを特徴とする逆止弁を提供する。
【0011】
また、本願の請求項2に記載の発明は、上記1組を構成する各弁体シート4a,4bが接着された一方側外装シート31が、全面において通気性を有するものであり、この通気性を有する一方側外装シート31のうち一部が、上記排出時の気流が表裏方向に通過する気流通過部31aとされており、この気流通過部31aは、上記一方側外装シート31のうち、上記上流側弁体シート4aの上流端4a1と表裏方向において一致する位置よりも上流側の部分であることを特徴とする、請求項1に記載の逆止弁を提供する。
【0012】
また、本願の請求項3に記載の発明は、上記通気性を有する一方側外装シート31が不織布であることを特徴とする、請求項2に記載の逆止弁を提供する。
【0013】
また、本願の請求項4に記載の発明は、上記1組を構成する各弁体シート4a,4bが、上記一方側外装シート31に対してのみ接着されており、上記下流側弁体シート4bが非接触部4b3を有しており、この非接触部4b3は、上記下流側弁体シート4bのうち、上記他方側外装シート32の下流端32aと表裏方向において一致する位置よりも下流側の部分であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の逆止弁を提供する。
【0014】
また、本願の請求項5に記載の発明は、請求項2または3に記載の逆止弁Vが取り付けられた密封袋1であり、この密封袋1が、柔軟な樹脂製の袋シート11,12を備え、上記の袋シート11,12が接着されたことにより、物品収納口1aと上記逆止弁Vの取り付けられた部分以外は、袋外と気密に隔てられており、上記逆止弁Vは、上記袋シート11,12に挟まれ、排出時の気流方向を基準とした上流端が上記物品収納部2内に位置し、同下流端が上記物品収納部2外に位置しており、上記逆止弁Vの他方側外装シート32における上流端側の一部は、上記袋シート11,12のうちで上記他方側外装シート32に向かい合う側の内面に接着され、
上記逆止弁Vの一方側外装シート31における気流通過部31aが上記物品収納部2における、物品を収納可能な空間に対して露出しており、上記袋シート11,12の接着により、横方向シール13が形成されており、この横方向シール13は、上記逆止弁Vを幅方向に横断するように形成されたものであり、上記に加え、上記袋シート11,12の接着により、縦方向シール14が形成されており、この縦方向シール14は、上記横方向シール13と交わる方向であり、かつ、この横方向シール14よりも、上記逆止弁V内の排出時の気流方向を基準として上流側に延ばされており、上記縦方向シール14は、上記逆止弁Vを挟むようにして、この逆止弁Vの幅寸法よりも広幅な間隔を空けて2本が1組となるように形成されており、この縦方向シール14の上流端141が、上記一方側外装シート31における気流通過部31aにおいて上記横方向シール13によって規定された、実質的に空気が通過する部分の下端31a1よりも、上記逆止弁V内の排出時の気流方向を基準として上流側に位置することを特徴とする密封袋を提供する。
【0015】
また、本願の請求項6に記載の発明は、逆止弁Vの下流端が、上記密封袋1の端縁よりも上記物品収納部2寄りに位置することを特徴とする、請求項5に記載の密封袋を提供する。
【0016】
また、本願の請求項7に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の逆止弁の製造方法であって、上記の外装シート31,32及び弁体シート4として、長手方向に連続して供給される長尺シートが用いられるものであり、上記1組を構成している各弁体シート4a,4bが、一枚の長尺シートで供給され、その後、幅方向に二枚に切断された上で、上記一方側外装シート31に重ね合わされることを特徴とする、逆止弁の製造方法を提供する。
【0017】
また、本願の請求項8に記載の発明は、逆止弁Vが取り付けられた密封袋1の製造方法において、上記逆止弁Vが、柔軟な樹脂製の外装シート31,32と、複数の弁体シート4とを備えており、上記外装シート31,32のうち一方側外装シート31が、全面において通気性を有するものであり、上記外装シート31,32は表裏方向に対向して設けられており、上記複数の弁体シート4のうち、排出時の気流方向を基準として上流側に配置された上流側弁体シート4aと、同下流側に配置された下流側弁体シート4bの少なくとも2枚が1組とされており、上記1組を構成する各弁体シート4a,4bは、共に、少なくとも上記の一方側外装シート31に対して接着されており、上記接着は、上記各弁体シート4a,4bが上記排出時の気流方向に対して直列となり、かつ、双方が表裏方向に重なり合わないようにされており、上記上流側弁体シート4aは、上記一方側外装シート31に対する接着が上流端4a1の側でなされ、下流端4a2の側は上記外装シート31,32に対して移動可能とされており、上記下流側弁体シート4bは、上記の接着が下流端4b2の側でなされ、上流端4b1の側は上記外装シート31,32に対して移動可能とされており、上記各弁体シート4a,4bのうち、上記外装シート31,32に対して移動可能とされた側の各端部4a2,4b1が、他方側外装シート32に対して密着可能とされた、あるいは、上記他方側外装シート32に接着された、上記1組を構成するものとは別の弁体シート4に対して密着可能とされた逆止弁であって、袋シート11,12として、柔軟な樹脂製であり、長手方向に連続して供給される長尺シートが用いられるものであり、上記各袋シート11,12間に上記逆止弁Vを挟む工程と、上記袋シート11,12の接着により、上記逆止弁Vを幅方向に横断するように横方向シール13を形成する工程と、上記袋シート11,12の接着により、縦方向シール14を形成する工程とを有し、上記工程で形成される縦方向シール14は、上記横方向シール13と交わる方向であり、かつ、この横方向シール14よりも、上記逆止弁V内の排出時の気流方向を基準として上流側に延ばされており、そして上記縦方向シール14は、上記逆止弁Vを挟むようにして、この逆止弁Vの幅寸法よりも広幅な間隔を空けて2本が1組となるように形成されるものであり、この縦方向シール14の上流端141が、上記一方側外装シート31における気流通過部31aにおいて上記横方向シール13によって規定された、実質的に空気が通過する部分の下端31a1よりも、上記逆止弁V内の排出時の気流方向を基準として上流側に位置するものであることを特徴とする密封袋の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本願発明は、逆止効果の確実性を高めたものであり、かつ、製造コストが極力上昇しないものであって、かつ、「初期圧」の小さな逆止弁、及びその逆止弁を備えた密封袋、及びその逆止弁と密封袋の製造方法を提供することができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本願発明の実施の形態の一例に係る逆止弁を示し、(A)は平面図であり、(B)は(A)におけるX−X矢視の端面図であり、(C)は底面図である。
【図2】同例の逆止弁における他方側外装シートと各弁体シートの関係を示す、要部を誇張して描いた概略図であり、気流通過空間の閉鎖時を示す。
【図3】(A)は同例の密封袋の平面図であり、(B)は同例の密封袋において縦方向シールの形状を変更した例を示す要部の平面図である。
【図4】同例の密封袋で、排気時の袋小路状部の横断面の概略図である。
【図5】いわゆる「縦ピロー」型の密封袋に上記例の逆止弁を取り付けた状態の概略図であり、(A)は袋の背面側における斜視、(B)は袋の背面側で逆止弁の位置における縦断面視、(C)は袋の背面側で(B)のY−Y矢視の位置における横断面視を示す。
【図6】従来例に係る逆止弁の長手方向に沿う縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態の一例をとりあげて説明する。
【0021】
なお、本願発明に係る請求の範囲や明細書に記載した、「表、裏」「上、下、左、右」「縦、横」「一方、他方」などの位置や方向を示す表現は、説明や特定の都合上用いたものであって、出願人は、本願発明を説明通りの位置関係の態様に限定する意図を有するものではない。
【0022】
また、「上流、下流」との表現は、逆止弁Vの長手方向に沿う、排出時の気流方向を基準としたものである。
【0023】
本願発明の密封袋1は、物品収納部2に存在する気体を排出して容積を減らすことのできる脱気袋として用いることができるものである。この脱気袋の具体的な用途としては、物品収納部2に存在する空気を排出するために用いる、食品保存用のフードパック(袋内の空気を少なくして保存することにより鮮度保持の効果を発揮する)や、衣類用の圧縮袋(袋内の空気を少なくすることにより減容できる)が挙げられる。また、物品収納部2に、例えばコーヒー豆や粉末洗剤などの気体が発生するような物品を収納し、この物品から発生した気体を袋外部に排出して、袋の膨張を抑えることができる袋としても使用できる。
【0024】
上記のように、物品収納部2に存在する気体を袋外部に排出するために、物品収納部2と袋外部とを通気可能とする、逆止弁Vが密封袋1に取り付けられている。本例では密封袋1の一枚につき逆止弁Vが一つ設けられているが、これに限らず、密封袋1の一枚につき逆止弁Vが複数設けられたものであっても良い。
【0025】
本例の密封袋1は、図3(A)に示すように、柔軟な樹脂製であって、表裏方向に重ね合わされて配位された表側袋シート11と裏側袋シート12とを備え、これら各袋シート11,12同士が接着(ヒートシール)されたことにより、物品収納口1aと逆止弁Vの取り付けられた部分以外は、袋外と気密に隔てられている。逆止弁Vは、上記各袋シート11,12に表裏方向に挟まれて取り付けられる。なお、袋シート11,12のうち一方を折り返すことなどによって、各袋シート11,12のうち一方の袋シートにのみ逆止弁Vが挟まれたものであっても良い。また、本例では、袋シート11,12として、平面視長方形である同形の樹脂製シートが2枚、表裏方向に重ね合わされたものであるが、側面に襠を設けた袋としても良いし、長方形以外の他の形状であっても良い。また、物品収納口1aには、気密に開閉可能なように周知な構成のチャックが設けられている。ただし、コーヒー豆を収納する袋や、ヒートシーラーによって最終的に物品収納口1aを接着して閉鎖してしまうタイプの密封袋にあっては、このような開閉可能なチャックは不要である。
【0026】
逆止弁Vは、密封袋1の物品収納部2からの気体の排出に当たって、この気体の通過する空間である気流通過空間3aが開放及び閉鎖されることにより、排出方向の気流通過を許容し、吸入方向の気流を遮断することができるものである。
【0027】
本例の逆止弁Vは、図1(A)(C)に示すように平面視(底面視)の形状が、幅寸法よりも長手方向寸法の方が長い長方形とされており、長手方向に上記の気流が通る。
【0028】
この逆止弁Vは、柔軟な樹脂製の一方側外装シート31及び他方側外装シート32と、複数の弁体シート4とを備えている。
【0029】
上記外装シート31,32としては幅寸法が同一である樹脂製シートが用いられており、表裏方向に対向して設けられる。長手方向寸法については、一方側外装シート31の方が他方側外装シート32よりも長い(その作用・効果については後述する)。そして、これら各外装シート31,32は上流側(図1の左端側)が揃えられて、表裏方向に重ねられる。
【0030】
弁体シート4はこれら各外装シート31,32に挟まれて重ねられる。そして、各外装シート31,32の幅方向における両端辺、及び、長手方向における上流側端辺が接着(ヒートシール)され、気密に閉鎖される。上記幅方向の両端辺における接着は、外装シート31,32及び弁体シート4のいずれについてもなされる。後述のように、本例では一方側外装シート31として不織布が用いられているため、この逆止弁Vにおける気流入口は一方側外装シート31における気流通過部31a(後述)となり、気流出口は逆止弁Vの長手方向における下流側端部(厳密に言うと、他方側外装シート32の端辺と一方側外装シート31との間)となる。
【0031】
なお本例では、図1(C)に示すように、逆止弁Vの幅方向中央にポイントシール5が形成されており、外装シート31,32及び弁体シート4が接着されている。本例ではこのポイントシール5が、逆止弁Vの長手方向に延びる短いヒートシールとして形成されている。このポイントシール5は、排出時の気流を整流するために設けられているが、本願発明では必須ではなく、形成しなくても良い。
【0032】
上記複数の弁体シート4のうち、上流側に配置された上流側弁体シート4aと、下流側に配置された下流側弁体シート4bの少なくとも2枚が1組とされている。
【0033】
本例では、上記の他方側外装シート32と弁体シート4として、素材及び厚みが同じシート(プラスチックフィルム)が用いられている。これらのシート32,4としては、「自己密着型」のシート(フィルム)が用いられており、対向して配置された相手方のシートに密着しやすいものとされている。なお、一方側外装シート31としては後述のように不織布が用いられている。ただし、各シートの構成は本例のものに限定されるものではなく、例えば、外装シート31,32が密封袋1の外部に露出する場合については、外装シート32の方を弁体シート4よりも厚いシートとしても良い。
【0034】
上記1組を構成する各弁体シート4a,4bは、共に、一方側外装シート31に対してのみ接着されている。なお、3枚以上の弁体シート4を備えた場合にあっては、他方側外装シート32にも弁体シート4を接着したものであっても良い。ただし、この場合であっても、1組を構成する各弁体シート4a,4bは、共に、少なくとも一方側外装シート31に対して接着されていることが、本願発明の必須条件である。
【0035】
上記1組を構成する各弁体シート4a,4bの一方側外装シート31に対する接着は、各弁体シート4a,4bが排出時の弁内における気流方向に対して直列となり、かつ、双方が表裏方向に重なり合わないようにされている。
【0036】
そして、上流側弁体シート4aは、一方側外装シート31に対する接着が上流端4a1の側でなされ、下流端4a2の側は上記外装シート31,32に対して移動可能とされている。また、下流側弁体シート4bは、上記の接着が下流端4b2の側でなされ、上流端4b1の側は外装シート31,32に対して移動可能とされている。本例では、下流側弁体シート4bの下流端4b2は、一方側外装シート31の下流端31bと一致している。
【0037】
つまり、上記のように各弁体シート4a,4bの接着がなされたことにより、各弁体シート4a,4bは自由端が向かい合うようにして一方側外装シート31上に配置される。
【0038】
なお、上記各弁体シート4a,4bの間隔は、後述のように1枚のシートが切断刃により切断されてスリットが形成されたことによる、極めて小さな間隔とすることが望ましい。このように極めて小さな間隔とすることで、排気時にノズル等を脱気弁Vに挿入することがあっても、各弁体シート4a,4b間に段差が存在しないため、ノズル等が引っ掛かるようなこともない。
【0039】
そして、上記の自由端、つまり、各弁体シート4a,4bのうち、外装シート31,32に対して移動可能とされた側の各端部4a2,4b1が、他方側外装シート32に対して密着可能とされる。この密着がされない場合には、図1(B)に示すように、各弁体シート4a,4bと他方側外装シート32の間に隙間ができ、気流通過空間3aが開放される。
【0040】
なお、他方側外装シート32は柔軟なものであることから、上記のようにこの気流通過空間3aの開放の際には、排出圧力によって、他方側外装シート32が図1(B)における下側へと移動する。そのため、気流通過空間3aが途中で詰まることがなく、スムーズな排気がなされる。
【0041】
この際、万が一(例えば結露などの原因により)、下流側弁体シート4bと他方側外装シート32とが離れにくい状態になっていたとしても、各弁体シート4a,4bの各端部4a2,4b1間から、一方側外装シート31のうちの露出部31c(逆止弁Vを密封袋1に取り付けた際に物品収納部2の外部に位置する部分)を通って排出時の気流が通過できるため、排気が困難になることはない。
【0042】
一方、物品収納部2が袋外部に比べて低圧になると、逆止弁Vの内部に負圧が発生する。この負圧により、各弁体シート4a,4bが一方側外装シート31から浮き上がる。上記のように、他方側外装シート32と各弁体シート4a,4bとしては「自己密着型」のシートが用いられているため、上記浮き上りによって、図2に示すように、向かい合う両者は確実に密着する。密着がされた場合には、各弁体シート4a,4bと他方側外装シート32の間に隙間がなくなり、気流通過空間3aが閉鎖される。
【0043】
この際において、一方側外装シート31のうちの露出部31cから、逆止弁Vを逆流しようとする気流が、図2に矢印で示したように流入する場合がある。そうなると、この逆流しようとする気流によって各弁体シート4a,4bが他方側外装シート32に押さえつけられることになり、両者はより確実に密着する。そのため、気流通過空間3aがますます確実に閉鎖されることとなる。
【0044】
本例では、図2に示すように、各弁体シート4a,4bが各々他方側外装シート32に対して密着する。つまり、2箇所で密着がなされるため、特許文献1に示された逆止弁の構成に比べて逆止効果の確実性がより高められている。よって、特許文献1に係る発明のように、低粘度不活性液体の塗布は必須でない。そのため、逆止弁の製造コスト上有利である。ただし、更に逆止効果の確実性を高めることを目的として、低粘度不活性液体(例えばシリコンオイルなど)を塗布しても構わない。
【0045】
なお、他方側外装シート32にも弁体シート4が接着されている場合にあっては、各弁体シート4a,4bが各々他方側外装シート32に接着された方の弁体シート4に対して密着する。
【0046】
本例では、上記1組を構成する各弁体シート4a,4bが接着された一方側外装シート31が、全面において通気性を有するものである。より具体的には、本例ではこの通気性を有する一方側外装シート31が不織布とされている。
【0047】
上記の一方側外装シート31のうち一部が、上記排出時の気流が表裏方向に通過する気流通過部31aとされている。この気流通過部31aとは、一方側外装シート31のうち、接着された上流側弁体シート4aの上流端4a1と表裏方向において一致する位置よりも上流側の部分である。
【0048】
そして、一方側外装シート31全面において通気性を有するものではあるが、各弁体シート4a,4bと表裏方向に重なる部分である弁支持部31bは、逆止弁Vが密封袋1に取り付けられた状態においては、気流通過部31aのようには気流が通過する部分とはならない(ただし、各弁体シート4a,4bの各端部4a2,4b1間を通る気流は上記のように通過可能)。
【0049】
本例では、一方側外装シート31が不織布であるため、上記弁支持部31bにおいても、各弁体シート4a,4bに向かい合う面が粗面となっている。そのため、上記のように各弁体シート4a,4bが「自己密着型」であったとしても、一方側外装シート31からは離れやすくできる。
【0050】
従来、このように弁体シートを離れやすくするためには、外装シートの弁体シートに対向する面に塗料を塗布していたが、本例のような一方側外装シート31の構成により、塗料を塗布する必要がなくなる。この点でも、逆止弁の製造コスト上有利である。
【0051】
ただし、上記一方側外装シート31は、本例のように全面において通気性を有することは必須ではない。一部のみが通気性を有するシートを用いたり、通気性を有するシートと有しないシートとを貼り合せることにより、気流通過部31aだけを通気可能としても良い。なおそのようにした場合であっても、弁支持部31bにコロナ放電処理などにより粗面を形成しておくことが、一方側外装シート31から各弁体シート4a,4bを離れやすくするためには望ましい。
【0052】
上記のように、本例における下流側弁体シート4bの下流端4b2は、一方側外装シート31の下流端31bと一致している。本例では、一方側外装シート31の方が他方側外装シート32よりも長手方向寸法が長く、各外装シート31,32は上流側が揃えられている。そのため、下流側弁体シート4bのうち、他方側外装シート32の下流端32aと表裏方向において一致する位置よりも下流側の部分が、他方側外装シート32と表裏方向において重ならない非接触部4b3とされている。
【0053】
このように非接触部4b3を設けずに、逆止弁Vの下流側端辺が表裏方向において一致していると、シートに発生したひずみ(波打ち)の影響をうけやすく、毛細管現象により逆流が起こりやすい。上記のひずみは端辺に近い程顕著である傾向があるため、本例では、一方側のシートに対する他方側シートの密着する位置を端辺を避けてずらせてやり、図2に示すように他方側外装シート32と下流側弁体シート4bとが密着するようにしたことによって、上記ひずみの影響を小さくしている。このように、非接触部4b3を設けることによっても逆流を効果的に防止できる。
【0054】
上記のように構成された逆止弁Vは、上流端が密封袋1の物品収納部2内に位置し、下流端が上記物品収納部2外に位置している。密封袋1に対する逆止弁Vの位置関係であるが、逆止弁Vの下流端が密封袋1の端縁から飛び出ていても良いが、本例においては図3(A)(B)に示すように、逆止弁Vの下流端が、密封袋1の端縁よりも物品収納部2寄りに位置するように逆止弁Vが取り付けられている。つまり本例における逆止弁Vは、弁全体が袋シート11,12に挟まれている。これにより、逆止弁Vが袋シート11,12によって保護されるため、外装シート31,32として比較的薄いシート(プラスチックフィルム)を使用することができる。また、逆止弁Vが密封袋1の端縁から突出しないようにできるため、密封袋1の見栄えも良く、密封袋1の保管時などに飛び出た逆止弁Vが邪魔になることもない。なお、図3(A)(B)に示すポイントシール15は、逆止弁Vよりも下流側において袋シート11,12をまとめるために各袋シート11,12が接着されたものであって、省略しても良い。
【0055】
本例では、袋シート11,12を接着するためのヒートシールの形状が、図3(A)(B)に示すように段差を有するものとされている。これにより、物品収納部2が一部切り欠かれたようにして形成される。その切り欠かれた部分に逆止弁Vが配置される。なお、本例では平面視が長方形である密封袋1の隅部にこの「切り欠き」が形成されており、物品収納部2を極力広く使えるようにされているが、本願発明はこれに限定されず、例えばデザイン上の要請により、密封袋1の端部中央に「切り欠き」が形成されたものであっても良い。
【0056】
逆止弁Vの他方側外装シート32における上流端側の一部は、袋シート11,12のうちで上記他方側外装シート32に向かい合う側の袋シート11,12のいずれかの内面に接着される。本例では弁固定用シール6の形成によって、図4に示すように裏側袋シート12に接着されており、これによって、逆止弁Vの一方側外装シート31の気流通過部31aが物品収納部2における、物品を収納可能な空間に対して露出する。この弁固定用シール6は、本例では図1(C)に示すように、逆止弁Vの幅方向両端に線状に設けられたものであるが、図4に示すように、裏側袋シート12の変形に逆止弁Vが追従できれば良く、位置関係、形状、数量は種々に変更して良い。ただし、後述するアーチ状となった袋小路状部21の内面に逆止弁Vを効果的に沿わせるために、この弁固定用シール6は、縦方向シール14の上流端141よりも気流方向において下流側に設けておくことが望ましい。上記のように気流通過部31aが露出したことにより、物品収納部2に存在する空気を逆止弁Vに導きやすく、排気をスムーズにできる。
【0057】
また、各袋シート11,12同士の接着(ヒートシール)により、密封袋1には横方向シール13が形成されている。この横方向シール13は、逆止弁Vを幅方向に横断するように形成されたものであり、より具体的には、上流側弁体シート4aの上流端4a1よりも下流側に形成される。横方向シール13は、本例では、図3(A)(B)に示すように平面視において直線状に形成されているが、波打った形状とすることもできる。このように波打った形状とした場合、空気の排出時に排気圧力が逆止弁Vに対して幅方向に不均一にかかり、気流通過空間3aを開放させやすいため有利である。
【0058】
また本例では、横方向シール13が形成される部分における他方側外装シート32の内面に剥離用塗料7が塗布されており、ヒートシールである横方向シール13を形成する際の熱で他方側外装シート32と上流側弁体シート4aとが軽く接着されてしまい、スムーズに排気できなくなることを避けることができる。なお、この剥離用塗料7の代替として、不織布を他方側外装シート32の内面に貼り付けても良い。
【0059】
上記横方向シール13に加え、密封袋1には各袋シート11,12同士の接着(ヒートシール)により、縦方向シール14が形成されている。この縦方向シール14は、上記横方向シール13と交わる方向(本例では直交する方向)であり、かつ、この横方向シール14よりも、上記逆止弁V内の排出時の気流方向を基準として上流側に延ばされている。そして、上記縦方向シール14は、上記逆止弁Vを挟むようにして、この逆止弁Vの幅寸法よりも広幅な間隔を空けて、内側縦方向シール14aと外側縦方向シール14bの2本が1組となるように形成されている。なお本例では、図3(A)(B)における逆止弁Vの右側に形成された外側縦方向シール14bは、密封袋の端辺に形成されるサイドシールを兼ねている。また本例では、上記の内側縦方向シール14aと横方向シール13とは一つのシールバー(熱板)によって同時に形成される。
【0060】
縦方向シール14の上流端141は、一方側外装シート31における気流通過部31aにおいて上記横方向シール13によって規定された、実質的に空気が通過する部分の下端31a1よりも、逆止弁V内の排出時の気流方向を基準として上流側に位置する。逆止弁Vの上流端と縦方向シール14の上流端141との位置関係については、この上流端141が気流方向において逆止弁Vの上流端以上の位置に設けられたものであることが望ましい。本例では、図3(A)に示すように、内側縦方向シール14aにおける上流端141が逆止弁Vの上流端と気流方向においてほぼ同位置となっている。また、この上流端141が逆止弁Vの上流端よりも下流側に設けられた場合にあっても、後述のアーチ状となる袋小路状部21に気流通過部31aのうち多くの部分をオーバーラップさせるために、この上流端141と逆止弁Vの上流端との気流方向における距離はできるだけ小さくすることが望ましい。
【0061】
また、本例ではこの内側縦方向シール14aが図示上下方向に連続して形成されているが、例えば図3(A)に破線で示した通気隙間14cを設けても良いし、図3(B)に示すように内側縦方向シール14aを断続した形態としても良い。このようにした場合、後述のようにアーチ状に変形可能な袋小路状部21が形成され、かつ、物品収納部2における、内側縦方向シール14aの図示左方部分に存在する空気を通気隙間14cを通して逆止弁Vに導くこともでき、排気をスムーズにできる。
【0062】
上記横方向シール13と縦方向シール14とによって袋小路状部21が形成される。この袋小路状部21は、手で物品収納部2を圧迫した場合や、収納された物品から気体が発生したことによって内圧が上がった場合、図4に示すように、横断面がアーチ状となるように膨らむ。上記のように逆止弁Vは裏側袋シート12に接着されているため、逆止弁Vは、上記のようにアーチ状となった袋小路状部21の内面に沿うこととなる。
【0063】
排気に当たって、物品収納部2の空気はまず袋小路状部21に導かれ、その後順次、気流通過部31aを通って袋外に排出されていく。一方、このような袋小路状部21を形成しない場合は、排気時にあっても各袋シート11,12の間が十分に広がらないことがあるため、排気不良となる場合があった。袋小路状部21を形成するとこのようなことがなく、排気をよりスムーズにでき、これによって上記の「初期圧」も小さくできる。
【0064】
ここで従来の密封袋では、逆止弁が開放されにくく、上記の「初期圧」を小さくするために、密封袋の端部に逆止弁を設けて、あえて逆止弁の外装シート及び弁体シートに歪みを与えることがあった。そうすると「初期圧」を小さくすることができるが、その反面、逆流も起きやすくなってしまうという問題があった。これに対して、本願発明の逆止弁Vは、単体でスムーズな排気ができるものであり、密封袋1への取り付け位置が限定されることもなく、密封袋1の設計自由度を高めることができる。
【0065】
なお、図3(A)に示したような袋に限らず、図5(A)に示すような、コーヒー豆の包装などによく用いられる、いわゆる「縦ピロー」型の密封袋1’にこの逆止弁Vを取り付けることもできる。なお、図5の各図は、物品収納時の状態を示している。
【0066】
このような「縦ピロー」型の密封袋1’を製造する際は、袋の背面側において一枚の袋シート11’の端辺同士を一致させて(合掌状態として)、対向した前記端辺の間に逆止弁Vを挟んで接着を行うが、これにより形成されたシールを上記の横方向シール13として利用する。そして図5(B)(C)に示すように、上記横方向シール13よりも密封袋1’の内部側に入り込むように、袋シート11’同士を接着してシールを形成する。このシールが上記の縦方向シール14として機能する。図5(B)に示した例では、縦方向シール14の上流端に、逆止弁Vとは反対方向であって、横方向シール13と平行に延びる補助シール16が設けられており、これにより、袋内の気体を袋小路部21に効果的に導くことができるようになっている。
【0067】
この「縦ピロー」型の密封袋1’にあっても、図3(A)に示した袋と同様に、横方向シール13と縦方向シール14によって袋小路状部21が形成され、袋の内圧が上がった場合、この袋小路状部21の横断面がアーチ状となるように膨らむ(図4参照)。よって上記と同様、この密封袋1’にあっても、排気をよりスムーズにでき、上記の「初期圧」も小さくできる。そのため、収納物がコーヒー豆など、常時、気体(二酸化炭素など)が発生するような物の場合、その発生した気体がなかなか袋外に排出されずに袋内に残ることにより、密封袋1’が不細工に膨れ上がってしまうようなこともない。
【0068】
次に、上記逆止弁Vの製造方法について述べる。上記の外装シート31,32及び弁体シート4としては、長手方向に連続して供給される長尺シートが用いられる。そして、上記1組を構成している各弁体シート4a,4bが、一枚の長尺シートで供給され、その後切断刃が当てられて、幅方向に二枚に切断された上で、一方側外装シート31に重ね合わされ、接着される。この切断により、上記弁体シート4の材料である一枚の長尺シートにスリットが形成される。そしてスリットが形成されてすぐに上記の重ね合わせがなされるため、各弁体シート4a,4bの間隔は極めて小さな間隔のまま保たれて接着される。よって、各弁体シート4a,4bの材料として別々のシートを供給するよりも、簡単にしかも高精度で逆止弁Vを製造でき、製造コストが上昇することもない。
【0069】
なお、製造装置の設計上の都合等により、上記とは逆に、一枚の長尺シートで供給された弁体シート4が、まず一方側外装シート31に重ね合わされ、その後この重ね合わされた状態の弁体シート4に切断刃が当てられ、幅方向に二枚に切断されて各弁体シート4a,4bが形成されるものとしても良い。
【0070】
逆止弁Vは、幅方向に連なって製造され、密封袋1に取り付ける際に個々にカットされる。ただし、幅方向に複数連続したままの連続弁として密封袋1に取り付けても良い。
【0071】
次に、上記逆止弁Vが取り付けられた密封袋1の製造方法について簡単に述べる。袋シート11,12としては、柔軟な樹脂製であり、長手方向に連続して供給される長尺シートが用いられる。そして、この密封袋1の製造方法は、各袋シート11,12間に上記逆止弁Vを挟む工程と、袋シート11,12の接着により、上記の横方向シール13を形成する工程と、同じく袋シート11,12の接着により、上記の縦方向シール14を形成する工程とを有するものである。この製造方法により、連続的に逆止弁付の密封袋を製造できる。
【0072】
上記で説明したような逆止弁Vを提供することにより、逆止弁Vの製造コストが極力上昇しないものでありながら、逆止効果の確実性を高めることができ、これを取り付けた種々の密封袋1を従来よりも優れたものとできる。
【0073】
そして特に、密封袋1の収納物が食品等の劣化しやすい物の場合にあっては、物品収納部2の排気をスムーズにできるため、収納物の鮮度保持に貢献することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 密封袋
11 表側袋シート
12 裏側袋シート
13 横方向シール
14 縦方向シール
141 縦方向シールの上流端
2 物品収納部
3a 気流通過空間
31 一方側外装シート
31a 気流通過部
32 他方側外装シート
4 弁体シート
4a 上流側弁体シート
4a1 上流側弁体シートの上流端
4a2 上流側弁体シートの下流端
4b 下流側弁体シート
4b1 下流側弁体シートの上流端
4b2 下流側弁体シートの下流端
4b3 下流側弁体シートの非接触部
V 逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品収納部(2)を備えた密封袋(1)に取り付けられて用いられ、
上記物品収納部(2)に存在する気体を袋外部に排出するために、物品収納部(2)と袋外部とを通気可能とするものであり、
上記気体の排出に当たって、上記気体の通過する空間である気流通過空間(3a)が開放及び閉鎖されることにより、排出方向の気流通過を許容し、吸入方向の気流を遮断することができる逆止弁であって、
柔軟な樹脂製の外装シート(31,32)と、複数の弁体シート(4)とを備えており、
上記外装シート(31,32)は表裏方向に対向して設けられており、
上記複数の弁体シート(4)のうち、排出時の気流方向を基準として上流側に配置された上流側弁体シート(4a)と、同下流側に配置された下流側弁体シート(4b)の少なくとも2枚が1組とされており、
上記1組を構成する各弁体シート(4a,4b)は、共に、少なくとも一方側外装シート(31)に対して接着されており、
上記接着は、上記各弁体シート(4a,4b)が上記排出時の気流方向に対して直列となり、かつ、双方が表裏方向に重なり合わないようにされており、
上記上流側弁体シート(4a)は、上記一方側外装シート(31)に対する接着が上流端(4a1)の側でなされ、下流端(4a2)の側は上記外装シート(31,32)に対して移動可能とされており、
上記下流側弁体シート(4b)は、上記の接着が下流端(4b2)の側でなされ、上流端(4b1)の側は上記外装シート(31,32)に対して移動可能とされており、
上記各弁体シート(4a,4b)のうち、上記外装シート(31,32)に対して移動可能とされた側の各端部(4a2,4b1)が、他方側外装シート(32)に対して密着可能とされた、
あるいは、上記他方側外装シート(32)に接着された、上記1組を構成するものとは別の弁体シート(4)に対して密着可能とされたことを特徴とする逆止弁。
【請求項2】
上記1組を構成する各弁体シート(4a,4b)が接着された一方側外装シート(31)が、全面において通気性を有するものであり、
この通気性を有する一方側外装シート(31)のうち一部が、上記排出時の気流が表裏方向に通過する気流通過部(31a)とされており、
この気流通過部(31a)は、上記一方側外装シート(31)のうち、上記上流側弁体シート(4a)の上流端(4a1)と表裏方向において一致する位置よりも上流側の部分であることを特徴とする、請求項1に記載の逆止弁。
【請求項3】
上記通気性を有する一方側外装シート(31)が不織布であることを特徴とする、請求項2に記載の逆止弁。
【請求項4】
上記1組を構成する各弁体シート(4a,4b)が、上記一方側外装シート(31)に対してのみ接着されており、
上記下流側弁体シート(4b)が非接触部(4b3)を有しており、
この非接触部(4b3)は、上記下流側弁体シート(4b)のうち、上記他方側外装シート(32)の下流端(32a)と表裏方向において一致する位置よりも下流側の部分であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の逆止弁。
【請求項5】
請求項2または3に記載の逆止弁(V)が取り付けられた密封袋(1)であり、
この密封袋(1)が、柔軟な樹脂製の袋シート(11,12)を備え、
上記の袋シート(11,12)が接着されたことにより、物品収納口(1a)と上記逆止弁(V)の取り付けられた部分以外は、袋外と気密に隔てられており、
上記逆止弁(V)は、上記袋シート(11,12)に挟まれ、排出時の気流方向を基準とした上流端が上記物品収納部(2)内に位置し、同下流端が上記物品収納部(2)外に位置しており、
上記逆止弁(V)の他方側外装シート(32)における上流端側の一部は、上記袋シート(11,12)のうちで上記他方側外装シート(32)に向かい合う側の内面に接着され、
上記逆止弁(V)の一方側外装シート(31)における気流通過部(31a)が上記物品収納部(2)における、物品を収納可能な空間に対して露出しており、
上記袋シート(11,12)の接着により、横方向シール(13)が形成されており、
この横方向シール(13)は、上記逆止弁(V)を幅方向に横断するように形成されたものであり、
上記に加え、上記袋シート(11,12)の接着により、縦方向シール(14)が形成されており、
この縦方向シール(14)は、上記横方向シール(13)と交わる方向であり、かつ、この横方向シール(14)よりも、上記逆止弁(V)内の排出時の気流方向を基準として上流側に延ばされており、
上記縦方向シール(14)は、上記逆止弁(V)を挟むようにして、この逆止弁(V)の幅寸法よりも広幅な間隔を空けて2本が1組となるように形成されており、
この縦方向シール(14)の上流端(141)が、上記一方側外装シート(31)における気流通過部(31a)において上記横方向シール(13)によって規定された、実質的に空気が通過する部分の下端(31a1)よりも、上記逆止弁(V)内の排出時の気流方向を基準として上流側に位置することを特徴とする密封袋。
【請求項6】
逆止弁(V)の下流端が、上記密封袋(1)の端縁よりも上記物品収納部(2)寄りに位置することを特徴とする、請求項5に記載の密封袋。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の逆止弁の製造方法であって、
上記の外装シート(31,32)及び弁体シート(4)として、長手方向に連続して供給される長尺シートが用いられるものであり、
上記1組を構成している各弁体シート(4a,4b)が、一枚の長尺シートで供給され、その後、幅方向に二枚に切断された上で、上記一方側外装シート(31)に重ね合わされることを特徴とする、逆止弁の製造方法。
【請求項8】
逆止弁(V)が取り付けられた密封袋(1)の製造方法において、
上記逆止弁(V)が、柔軟な樹脂製の外装シート(31,32)と、複数の弁体シート(4)とを備えており、
上記外装シート(31,32)のうち一方側外装シート(31)が、全面において通気性を有するものであり、
上記外装シート(31,32)は表裏方向に対向して設けられており、
上記複数の弁体シート(4)のうち、排出時の気流方向を基準として上流側に配置された上流側弁体シート(4a)と、同下流側に配置された下流側弁体シート(4b)の少なくとも2枚が1組とされており、
上記1組を構成する各弁体シート(4a,4b)は、共に、少なくとも上記の一方側外装シート(31)に対して接着されており、
上記接着は、上記各弁体シート(4a,4b)が上記排出時の気流方向に対して直列となり、かつ、双方が表裏方向に重なり合わないようにされており、
上記上流側弁体シート(4a)は、上記一方側外装シート(31)に対する接着が上流端(4a1)の側でなされ、下流端(4a2)の側は上記外装シート(31,32)に対して移動可能とされており、
上記下流側弁体シート(4b)は、上記の接着が下流端(4b2)の側でなされ、上流端(4b1)の側は上記外装シート(31,32)に対して移動可能とされており、
上記各弁体シート(4a,4b)のうち、上記外装シート(31,32)に対して移動可能とされた側の各端部(4a2,4b1)が、他方側外装シート(32)に対して密着可能とされた、
あるいは、上記他方側外装シート(32)に接着された、上記1組を構成するものとは別の弁体シート(4)に対して密着可能とされた逆止弁であって、
袋シート(11,12)として、柔軟な樹脂製であり、長手方向に連続して供給される長尺シートが用いられるものであり、
上記各袋シート(11,12)間に上記逆止弁(V)を挟む工程と、
上記袋シート(11,12)の接着により、上記逆止弁(V)を幅方向に横断するように横方向シール(13)を形成する工程と、
上記袋シート(11,12)の接着により、縦方向シール(14)を形成する工程とを有し、
上記工程で形成される縦方向シール(14)は、上記横方向シール(13)と交わる方向であり、かつ、この横方向シール(14)よりも、上記逆止弁(V)内の排出時の気流方向を基準として上流側に延ばされており、
そして上記縦方向シール(14)は、上記逆止弁(V)を挟むようにして、この逆止弁(V)の幅寸法よりも広幅な間隔を空けて2本が1組となるように形成されるものであり、
この縦方向シール(14)の上流端(141)が、上記一方側外装シート(31)における気流通過部(31a)において上記横方向シール(13)によって規定された、実質的に空気が通過する部分の下端(31a1)よりも、上記逆止弁(V)内の排出時の気流方向を基準として上流側に位置するものであることを特徴とする密封袋の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−148779(P2012−148779A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249844(P2009−249844)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【特許番号】特許第4436925号(P4436925)
【特許公報発行日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(509303051)株式会社アシスト (1)
【Fターム(参考)】