説明

透明な多層成形物の検査装置および検査方法

【課題】多層に構成された部分を有する透明な成形物について、多層中の特定の層の有無や、層構成の異なる位置、または層のムラを安定的に精度よく検出可能な検査装置および検査方法を提供する。
【解決手段】少なくとも2層に構成された部分を有する、透明な検査対象物1を検査する検査装置20は、検査対象物1に照射する、第1の波長λ1の光と第1の波長λ1とは異なる第2の波長λ2の光を放射する面光源31と;第1の波長λ1と第2の波長λ2の光が照射された検査対象物1を撮影する撮像装置41と;第1の波長λ1と第2の波長λ2の光のそれぞれについて、撮像装置41により撮影された画像データから各画素の濃度値を抽出し、画素毎に第1の波長λ1の光と第2の波長λ2の光について画素濃度の比を求める演算装置51とを備える。さらに検査装置20では、演算装置51が前記画素濃度の比の変化量に基づいて、検査対象物1の良/不良を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明な多層成形物の検査装置および検査方法に関し、特に、多層を構成する特定の層の有無や、層構成の異なる位置、および層のムラを検出するための検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層に構成された成形物、例えばペットボトルは、ガスバリア性、耐熱性、機械的強度等を高めるために、ナイロン樹脂等の特定の材料からなるコア層と、その両面にポリエチレンテレフタレートの層を配置して構成される。一般的には、このコア層はペットボトルの口部や胴部の底面にはなく、その他の位置に配置される。すなわち、ペットボトルは、口部や底面を除く大部分が2層のポリエチレンテレフタレートの層と1層のコア層からなる3層で構成される。このようなコア層は、ペットボトルのプリフォームの段階で、所定の位置に所定の厚みで確実に配置されていることが要求される。そのためプリフォームは、検査装置によりこのコア層の有無や位置等が検査される。
【0003】
プリフォームのコア層の有無等を検査する従来の方法として、レーザ光源を用いてプリフォームの側方からレーザ光を照射し、プリフォームからの反射光をCCDセンサに入射させることによりコア層の位置を検出する方法がある(例えば、特許文献1参照)。すなわち、プリフォームの外周面、コア層および内周面からの反射光を利用して、コア層の位置や厚さを検出する。しかし、プリフォームに揺らぎ等が生じる場合には、レーザ光の照射位置を安定して維持できず、CCDセンサが反射光を安定的に受光することが困難になる場合があり、安定した検査が困難になるといった課題がある。
【0004】
また、従来の他の検査方法として、プリフォームの口部上方からリング状の照明を照射し、側方からカメラで撮影する方法がある(例えば、特許文献2参照)。この方法では、コア層の有無により屈折光が変化するため、コア層を検出することができる。しかし、側方に散乱する屈折光の強度は非常に弱いので、場合によっては検出が困難となることがある。
【0005】
また、プリフォームのコア層が薄く構成された場合、すなわち、プリフォームの全体量に対してコア層を構成する材料の量が少ない場合も、コア層の位置を正確に検出することが困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−49259号公報
【特許文献2】特開2007−256076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、このような多層に構成された部分を有する透明な成形物について、多層中の特定の層の有無や、層構成の異なる位置、または層のムラを安定的に精度よく検出可能な検査装置および検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る検査装置は、例えば図1、図3に示すように、少なくとも2層に構成された部分を有する、透明な検査対象物1を検査する検査装置20において、検査対象物1に照射する、第1の波長λ1の光と第1の波長λ1とは異なる第2の波長λ2の光を放射する面光源31と;第1の波長λ1と第2の波長λ2の光が照射された検査対象物1を撮影する撮像装置41と;第1の波長λ1と第2の波長λ2の光のそれぞれについて、撮像装置41により撮影された画像データから各画素の濃度値を抽出し、画素毎に第1の波長λ1の光と第2の波長λ2の光について画素濃度の比を求める演算装置51とを備え;演算装置51は、前記画素濃度の比の変化量に基づいて、検査対象物1の良/不良を判断する。
なお、「透明な検査対象物」とは、照射された光の一部を反射および吸収し残りを透過させるものをいう。したがって曇りガラス状のものや着色したものであっても、第1の波長λ1の光と第2の波長λ2の光について、吸収特性に違いが生じる程度の透明度があるものも含むものとする。「異なる波長」とは、フィルタ等で分離できる程度以上の波長差があるものをいう。さらに、「第1の波長λ1の光と第1の波長λ1とは異なる第2の波長λ2の光」とは、吸収特性に違いが生じる程度の波長差の光であればよく、2つの特定の波長帯の光であってもよく、または、2つの特定の波長の光であってもよい。「面光源」とは、一定の面積を照射する光束を発生する光源をいう。
【0009】
このように構成すると、吸収特性の異なる2つの波長(帯)の光について、撮影画像データから得られた各画素の濃度値の比を求め、この比の変化量に基づいて検査を行うため、画素の濃度値に含まれる周囲環境の影響を緩和して、検査を行うことができる検査装置となる。そのため、例えば、検査対象物の層構成の異なる位置、すなわち特定層が出現する位置(エッジ位置)をより明確に把握することができる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る検査装置は、上記本発明の第1の態様に係る検査装置20において、例えば、図2に示すように、検査対象物1を把持し、検査対象物1を自転させる把持装置21を備え;撮像装置41(図3)は、自転する検査対象物1を複数回撮影するように設定される。
【0011】
このように構成すると、検査対象物が自転しているため、検査対象物の全周検査が可能となる。その結果、検査対象物についてより確実な検査が可能な検査装置となる。
【0012】
本発明の第3の態様に係る検査装置は、上記本発明の第1の態様または第2の態様に係る検査装置において、第1の波長λ1の光は、検査対象物1の少なくとも2層に構成された部分のうちの特定の1の層に、他の層よりも強く吸収される波長の光であって、検査対象物1に第1の波長λ1と第2の波長λ2の光が照射されると、前記特定の1の層を含む前記少なくとも2層に構成された部分と、前記特定の1の層を含まない部分において、画素濃度の比がより大きく異なる。
【0013】
このように構成すると、少なくとも2層に構成された部分のうちの特定の1の層において、第1の波長λ1の光が強く吸収される。そのため、特定の1の層を含む少なくとも2層に構成された部分において、第1の波長λ1の光の画素濃度と第2の波長λ2の光の画素濃度に、より差が生じる。その結果、特定の1の層を含む少なくとも2層に構成された部分と、前記特定の1の層を含まない部分において、画素濃度の比がより大きく異なり、例えば、検査対象物中の層構成の異なる位置(すなわち特定の1の層のエッジ位置)をより正確に把握することができる検査装置となる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る検査装置は、上記本発明の第3の態様に係る検査装置において、検査対象物1の特定の1の層が、ポリグリコール酸を含む。
【0015】
本発明の第5の態様に係る検査方法は、例えば図3に示すように、面光源31から放射された、第1の波長λ1の光と第1の波長λ1とは異なる第2の波長λ2の光で透明な検査対象物1を照射するステップと;前記光が照射された検査対象物1を撮影するステップと;第1の波長λ1と第2の波長λ2の光のそれぞれについて、撮影された画像データから各画素の濃度値を抽出し、画素毎に第1の波長λ1の光と第2の波長λ2の光について画素濃度の比を求めるステップと;前記画素濃度の比の変化量に基づいて、検査対象物1の良/不良を判断するステップを備える。
【0016】
このように構成すると、吸収特性の異なる2つの波長(帯)の光について、撮影画像データから得られた各画素の濃度値の比を求め、この比の変化量に基づいて検査を行うため、画素の濃度値に含まれる周囲環境の影響を緩和して、検査を行うことができる検査方法となる。そのため、例えば、検査対象物の層構成の異なる位置、すなわち特定層が出現する位置(エッジ位置)をより明確に把握することができる。
【0017】
本発明の第6の態様に係る検査方法は、上記本発明の第5の態様に係る検査方法において、検査対象物1は、少なくとも2層に構成された部分を有し、前記少なくとも2層に構成された部分のうちの特定の1の層に、第1の波長λ1の光を強く吸収するようになる材料が添加されており、前記照射するステップにおいて、第1の波長λ1の光が、前記特定の1の層に前記材料の添加前と比べ強く吸収され、前記特定の1の層を含む前記少なくとも2層に構成された部分と、前記特定の1の層を含まない部分において、前記画素濃度の比がより大きく異なる。なお、第6の態様に係る検査方法は、前記検査対象物1が検査者により提供される工程を更に備えても良い。
【0018】
このように構成すると、少なくとも2層に構成された部分のうちの特定の1の層において、第1の波長λ1の光が強く吸収される。そのため、特定の1の層を含む少なくとも2層に構成された部分において、第1の波長λ1の光の画素濃度と第2の波長λ2の光の画素濃度に、より差が生じる。その結果、特定の1の層を含む少なくとも2層に構成された部分と、前記特定の1の層を含まない部分において、画素濃度の比がより大きく異なり、例えば、検査対象物中の層構成の異なる位置(すなわち特定の1の層のエッジ位置)をより正確に把握することができる検査方法となる。
【0019】
本発明の第7の態様に係る検査方法は、上記本発明の第6の態様に係る検査方法において、検査対象物1の特定の1の層が、ポリグリコール酸を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、多層に構成された部分を有する透明な成形物(検査対象物)について、多層中の特定の層の有無や、層構成の異なる位置、または層のムラを安定的に精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】プリフォーム1の一部断面図である。
【図2】検査装置20が備える真空吸着ヘッド21と照明部31の位置関係を示す側面図であり、真空吸着ヘッド21によりプリフォーム1が把持された状態を示す。
【図3】検査装置20が備える照明部31、カラーカメラ41、および画像処理装置51の位置関係を示す平面図であり、自転するプリフォーム1をカラーカメラ41で撮影している状態を示す。
【図4】プリフォーム1の検査領域Y(口部)を示す側面図である。
【図5】プリフォーム1の検査領域Z(胴部)を示す側面図である。
【図6】第1の波長λ1および第2の波長λ2について、画像データの画素濃度から比較係数γを算出する方法を示すフロー図である。
【図7】実施例1〜8、比較例1〜4について、コア層(PGA層)のエッジ(端)の検知結果を表形式で示す図である。
【図8】測定方法ごとの、プリフォームの胴部を撮影した画像である。
【図9】測定方法ごとの、プリフォームの口部を撮影した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一または相当する部分には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。また、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
【0023】
本発明の検査装置は、多層に構成された部分を有する透明な成形物(検査対象物)について、多層中の特定の層の有無や、層構成の異なる位置、または層のムラ等を検出するという目的を、吸収特性の異なる2種類の波長の光を利用することにより実現した。なお、2種類の波長の光とは、特定の波長帯の光であってもよく、または、特定の波長の光であってもよい。
【0024】
下記の本発明の実施の形態では、図1に示す検査対象物としてのプリフォーム1を検査する検査装置を、例として説明する。したがって、はじめにプリフォーム1の構成について説明する。図1は、プリフォーム1の一部断面図である。プリフォーム1は、片側に開口部を有する口部1aと、当該開口部とは反対側に口部1aに連続して形成される円筒状の胴部1eからなる。胴部1eは、その上部分が、上方(口部1a側)から下方(胴部1eの底部側)に向けて内径が徐々に小さくなる絞り構造を有する。なお、胴部1eを延伸ブロー成形することにより、ペットボトル容器となり内容物が収容される。口部1aはさらに、キャップ(不図示)を装着するためのネジ部1bおよびカブラ部1cを有する。口部1aと胴部1eとの境界位置にはドーナツ板状のサポートリング部1dを有する。なお、プリフォームの形状は上記に限定されるものではない。例えば、搾り構造を有さずサポートリング部1dから胴部の底面まで直線的に円筒構造を構成し、丸底を有するものであってもよい。
【0025】
プリフォーム1は、その全体がポリエチレンテレフタレート2(PET)から作られるが、プリフォーム1の断面図(図1右側)から明らかなように、所定の位置にポリエチレンテレフタレート2とは異なる材料から作られたコア層3を有する。コア層3は、主にペットボトルのガスバリア性、水バリア性等を高めるために配置される層である。したがって、コア層3は、(PET層内に封じ込めることによる)バリア性の保護、ブロー成形時の加工性、成形品の外観を考慮した上で、所定の位置(ペットボトルとなったときに内容物が収容される部分)に所定の厚みで配置されていることが要求される。プリフォームの検査では、コア層3が所定の位置(または範囲)に配置されているか否か、その厚みは十分か否か(またはムラがあるかどうか)等が検査され、不良と判断されたプリフォームが除かれる。
【0026】
このようにコア層3は、ペットボトルのバリア性を高めることができる材料から作られることが好ましい。特に、ガスバリア性、水バリア性に優れたポリグリコール酸(PGA)から作られることが好ましい。したがって、本実施の形態で用いるプリフォーム1は、PET/PGA/PETの3層で構成される部分と、PET層のみからなる部分(口部1aの上部および胴部1eの底部)を有する。
【0027】
ポリグリコール酸の量は、プリフォームの全体量に対して0.5〜10重量%であることが好ましく、特に1〜3重量%であることが望ましい。なお以後必要に応じて、プリフォーム1の3層で構成される部分のうち、コア層3より内側のポリエチレンテレフタレート2の層を内層2a、コア層3より外側のポリエチレンテレフタレート2の層を外層2bと称する。
【0028】
ポリグリコール酸は、バリアに優れている。特に、ガスバリア性、水バリア性に優れているため、少量のポリグリコール酸から作られたコア層であっても、十分なガスバリア性、水バリア性を有する(ポリグリコール酸については、特許第3978070号公報参照)。そのため、後述の実施例で用いるプリフォーム中に含まれるポリグリコール酸は、プリフォームの全体量に対して、わずか1〜3重量%にすぎない。この量での層の厚さは、わずか約10μm〜約300μm程度である。このことは、コア層の検出検査をより困難にする要因となる。しかし、本発明者等は、このような少量の材料からなる層を有する多層成形物の検査においても、十分に安定した検査を行うことを可能にした検査装置および検査方法を開発した。
【0029】
図2および図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置20について説明する。検査装置20は、把持装置としての真空吸着ヘッド21(図2)、面光源としての照明部31(図2、図3)、撮像装置としてのカメラ41(例えばカラーカメラ)(図3)、および演算装置としての画像処理装置51(図3)を備える。
【0030】
真空吸着ヘッド21は、円盤状の回転盤であるターンテーブル(不図示)の円周に沿って複数配置される。真空吸着ヘッド21には小さな穴があいており、真空源(不図示)に接続された真空吸着ヘッド21は、プリフォーム1を正立状態で吸い上げ、口部1aの開口部を吸着させて把持する。すなわち、プリフォーム1は、ターンテーブルの下側にターンテーブルに対して垂直方向に把持される。図2は、真空吸着ヘッド21によりプリフォーム1が把持された状態を示す。さらに、真空吸着ヘッド21に把持されたプリフォーム1は、真空吸着ヘッド21の自転に合わせて、プリフォーム1の縦中心軸周りに自転する。
【0031】
図2に示すように、真空吸着ヘッド21により上方から吊るされた状態で把持されたプリフォーム1の側面に対して、照明部31から垂直に光が照射される。なお垂直とは、厳密に90°を意図するものではなく、ほぼ垂直等の垂直と認識できる程度の傾斜した場合も含まれるものである。照明部31は、第1の波長(帯)λ1と、第1の波長(帯)λ1とは異なる第2の波長(帯)λ2の光を同時に放射する光源であって、一定の面積を有する光束をプリフォーム1に照射する面光源である。面光源を用いているため、検査領域を面(図4のY領域、図5のZ領域)とすることができ、ライン光源の場合と比べ、プリフォーム1の全周検査が容易になる。したがって、照明部31は、少なくとも検査対象物であるプリフォーム1よりも縦横ともに大きい光源、または検査領域YおよびZよりも縦横ともに大きい光源であることが好ましい。
なお面光源には、第1の波長(帯)λ1と第2の波長(帯)λ2の光を時間差で放射する光源を用いてもよい。
【0032】
図3は、プリフォーム1をカラーカメラ41で撮影する場合の、照明部31、およびカラーカメラ41の位置関係を示す平面図である。図3は、プリフォーム1を上部側、すなわち口部1a側から見た場合を示している。なお、図3では真空吸着ヘッド21は省略されている。本実施例では、このように照明部31とカラーカメラ41がプリフォーム1を中心として対向する位置関係で、プリフォーム1が撮影される。また、図3に示すように、プリフォーム1は真空吸着ヘッド21(図2)により矢印方向に自転しており、カラーカメラ41は自転するプリフォーム1を撮影する。
【0033】
本発明の第1の実施の形態に係る検査装置20は、更にプリフォーム1を搬送する搬送機構を備える。すなわち、停止することなく連続的に回転する搬送機構(上述のターンテーブル)や、当該ターンテーブルにプリフォーム1を搬入または搬出する、間欠的に回転する搬送機構を備える。検査装置20は、このような搬送機構の一部として、プリフォーム1を把持しプリフォーム1を自転させる把持装置を備え、カラーカメラ41は、プリフォーム1が1回転する間に複数回の撮影を行い、漏れなく全周検査を行い、完全検査を可能とする。
【0034】
撮影されたプリフォーム1の画像のうち、特定の検査領域について検査が行われる。図4は、口部1aの検査領域Yを示す。図5は、胴部1eの検査領域Zを示す。
【0035】
画像処理装置51は、第1の波長(帯)λ1および第2の波長(帯)λ2のそれぞれの光について、撮影されたプリフォーム1の画像データから各画素の濃度値を抽出する。この濃度値の比(=比較係数γ)を算出し、画素ごとに比較することにより、プリフォーム1中のコア層の有無や、層構成の異なる位置(すなわちコア層のエッジ位置)、または層のムラを検出する。このように、本実施例では異なる波長(帯)の光の吸収特性の違いを利用して検査を行う。すなわち、照明部31から放出された第1の波長(帯)λ1と第2の波長(帯)λ2の光について、それぞれ透過率を算出し、その透過率の比(比較係数γ)に基づいて検査を行う。
なお、画素ごとの比を比較する場合、例えば、濃度値の比の差を用いてもよく、または、比のさらに比を算出して用いてもよい。すなわち、濃度値の比を比較することができればよい。
【0036】
図6を参照して、より詳細に比較係数γの算出方法について説明する。
(1)カラーカメラ41によりプリフォーム1を撮影する。
(2)カラーカメラ41により照明部31を撮影する。
(3)プリフォーム1の画像データから、第1の波長(帯)λ1についての画素濃度c1と第2の波長(帯)λ2についての画素濃度c2を抽出する。
(4)照明部31の画像データから、第1の波長(帯)λ1についての画素濃度c3と第2の波長(帯)λ2についての画素濃度c4を抽出する。
(5)各画素について、第1の波長(帯)λ1の透過率(t1)を算出する。
(6)各画素について、第2の波長(帯)λ2の透過率(t2)を算出する。
(7)第1の波長(帯)λ1の透過率t1と、第2の波長(帯)λ2の透過率t2からその比(比の値)を算出し、比較係数γとする。なお、図6では、比較係数をγ=t1/t2として算出しているが、当然にγ=t2/t1であってもよい。
【0037】
プリフォーム1の検査領域(図4の検査領域Yまたは図5の検査領域Z)について、上記比較係数γの値から、PETからなる層と、PET/PGA/PETからなる層とを識別することができる。すなわち、PETのみからなる層とPET/PGA/PETからなる層では比較係数γの値が大きく異なるため、閾値を設定し、検査領域の各画素のγ値を判別することにより、PGA層の境界を検知することができる。また、PGA層が特定の厚みを有する場合のγ値を閾値として、検査領域の各画素を判別することにより、所定の厚み以上のPGA層が所定の位置に配置されているか否かの判断が可能となる。こうした閾値は、画像処理装置51により自動で設定するか、またはオペレータにより手動で設定してもよい。さらに、PET/PGA/PETからなる3層の領域(すなわち同一層からなる領域)において、γ値の分布から、ムラが発生した場合のその位置や程度を検知することができる。特に、PET層(内外層)においてムラの発生に問題のないことが保証できれば、PGA層(コア層)についてムラの発生の検知が可能となる。なお、プリフォーム1のPGA層は、製造上の理由により境界位置付近での厚みが徐々に薄くなるといった特徴を有するため、このようなムラの位置等を検知できることは有益である。また、特定の厚み以上を有することが要求される部分において、特定の厚みに達しない部分(ムラ)が発生した場合に当該部分を検知できることは有益である。
【0038】
このように上記の実施例は、異なる波長(帯)の光により生ずる吸収特性の違いを利用して、特定の2波長(帯)について透過率の比を求め、その値を用いることにより、撮影時の周囲環境の影響を緩和した安定した検査を可能にしたものである。
なお、異なる波長(帯)の光とは、吸収特性に違いが生じる波長(帯)の光であればよい。例えば、可視領域での異なる波長(帯)、赤外領域での異なる波長(帯)、または、紫外領域での異なる波長(帯)の光であってもよい。または、可視領域と赤外領域、可視領域と紫外領域、さらに赤外領域と紫外領域のそれぞれの組合せにより異なる波長(帯)の光を構成してもよい。
【0039】
さらに、異なる波長(帯)の光により生ずる吸収特性の違いを利用して、特定の2波長(帯)について、透過した光量でなく反射した光量を撮影し、その画像データから反射率の比を求めることにより、比較係数γ´を算出してもよい。
【0040】
このγ値(またはγ´値)に基づいて、所定の位置にPGA層が配置されていないプリフォーム、所定の位置にPGA層が配置されていてもその厚みが不十分なプリフォーム、およびPGA層に許容できないほどのムラが生じ部分的にその厚みが不十分となったプリフォーム等を不良品として排除することができる。
【0041】
本発明の第2の実施の形態に係る検査装置について説明する。第2の実施の形態に係る検査装置では、プリフォーム1のコア層が特定の波長(帯)の光を強く吸収するような物質をコア層に添加する。例えば、コア層を構成するポリグリコール酸に微量の色材を添加して、着色したプリフォーム1を検査対象物として用いる。その上で、検査装置で使用する特定の異なる2波長(帯)の光のうち第1の波長(帯)λ1の光として、色材を添加したコア層に強く吸収されるような波長(帯)の光を選択する。例えば、ブルーの色材を添加した場合、第1の波長(帯)λ1の光に可視光の赤色の波長(帯)の光を用いる。このようにすると、コア層が第1の波長(帯)λ1の光をより強く吸収し、異なる2波長(帯)の光の吸収特性にさらに差が生じ、コア層の存在する層としない層の判別等が更に容易になる。特に、コア層を構成するポリグリコール酸がプリフォームの全体量に対して極少量の場合であっても、コア層の検知が可能となる。また、コア層の存在する部分と存在しない部分とで、光の吸収特性に差があまり生じないような材料を用いてプリフォーム1を製造した場合においても、コア層への物質の添加によりコア層の存在する部分としない部分の判別等が容易になり、安定した検査が可能となる。
添加する物質の量は、量が多いほど第1の波長(帯)λ1の光を強く吸収するようになるため好ましい。しかし、添加する物質に色材を用いた場合であって検査対象物がプリフォームの場合には、プリフォームがペットボトルに成形された後に、肉眼において着色が認識できないことが要求されることがある。その場合は、添加する物質の量が極力制限される。しかし、本願発明者等は、後述の実施例からも明らかなように、物質(色材)の添加量が極少量であっても、本願の検査装置を用いて十分に安定した検査が可能であることを見出した。
なお、上記「着色したプリフォーム1」の「着色」とは、色材の添加により、特定の波長(帯)の光の吸収を増加させることをいい、必ずしも肉眼において着色されたことが確認できることを必要とするものではない。
【0042】
上記本発明の第1および第2の実施の形態に係る検査装置については、検査対象物としてPET/PGA/PETの3層構造を有するプリフォームを検査する場合として説明したが、多層を構成する熱可塑性樹脂は、ポリエチレンテレフタレートに限られるものではない。すなわち、熱可塑性樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリ乳酸等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリスチレン系樹脂、塩素含有樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、他の脂肪族ポリエステル系樹脂等であってもよい。
【0043】
さらに、本発明の検査装置における検査対象物は、ペットボトルのプリフォームに限定されるものではない。すなわち、多層に構成された透明な成形物であって、照射された光の一部を吸収し、他を反射および透過する(すなわち透明な)ものであればよい。
多層に構成された透明な成形物を構成する材料には、合成樹脂やガラス等も含まれる。また、成形物の形状は特に限られず、平板状や曲板状、円筒状、ボトル状、コップ状、コンテナ状、箱状等の容器状、さらに棒状等、いかなる形状であってもよい。
なお、「多層」とは、異なる材料からなる層を積層することをいい、少なくとも2層を有していればよく、または、3層、4層、さらにそれ以上であってもよい。また、多層とは、異なる材料どうしが層を構成していればよく、例えば、コーティングやラミネートにより層が構成されている場合も含む。なお、異なる材料とは、各層の材料が異なる場合に限られず、各層の少なくとも1層が混合物の場合に、各層の成分構成が異なる場合も含まれる。
【実施例】
【0044】
以下に、図7を参照して本願発明の実施例について説明する。なお、本実施例では、上記の実施の形態と同様に、検査対象物にペットボトルのプリフォームを用いた場合を例として説明する。以下のとおり、プリフォームのサンプルを作成した。
[サンプル1]
3層の多層インジェクション装置を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)をポリグリコール酸(PGA)とともに成形し、PET/PGA/PETの3層を有する透明なプリフォームを得た。コア層は、プリフォームの全体量25gに対して1重量%のポリグリコール酸からなる。すなわち3層は、PET/1%PGA/PETで構成されている。
[サンプル2]
コア層は、プリフォームの全体量25gに対して3重量%のポリグリコール酸からなる。その他は、サンプル1と同様である。すなわち3層は、PET/3%PGA/PETで構成されている。
[サンプル3]
3層の多層インジェクション装置を用いて、ポリエチレンテレフタレートをポリグリコール酸とともに成形し、PET/PGA/PETの3層を有するプリフォームを得た。コア層は、プリフォームの全体量25gに対して1重量%である。さらに、コア層にはポリグリコール酸(99重量%)とポリエチレンテレフタレート(1重量%)をブレンドしたものを用いた。すなわち3層は、PET/1%(PGA+PET)/PETで構成されている。サンプル3は、サンプル1、サンプル2に比べ、若干雲価(HAZE)が増加したコア層を有するプリフォームである。
[サンプル4]
コア層は、プリフォームの全体量25gに対して3重量%である。さらに、コア層にはポリグリコール酸(99重量%)とポリエチレンテレフタレート(1重量%)をブレンドしたものを用いた。その他は、サンプル3と同様である。すなわち3層は、PET/3%(PGA+PET)/PETで構成されている。サンプル4も、サンプル1、サンプル2に比べ、若干雲価(HAZE)が増加したコア層を有するプリフォームである。
[サンプル5]
コア層を着色したこと以外はサンプル1と同様である。
[サンプル6]
コア層を着色したこと以外はサンプル2と同様である。
[サンプル7]
コア層を着色したこと以外はサンプル3と同様である。
[サンプル8]
コア層を着色したこと以外はサンプル4と同様である。
なお、ポリエチレンテレフタレートには、IV値=0.8のもの(IV値:Inherent Viscosity、固有粘度)を用いた。ポリグリコール酸には、株式会社クレハ製クレダックスを用いた。着色は、コア層に青色材0.005重量%を添加することにより行った。青色材(青色ドライカラー)には、フタロシアニン系青色材を用いた。
【0045】
上記サンプル1〜8を用いて、以下の方法でそれぞれ測定し検査を行った。
陰影法:撮影画像について、特定の波長(帯)への成分分離を行わず、光の透過率に基づく画素毎の濃度を算出し検査を行った。
分光2波長比較法:第1の実施の形態に係る検査装置20を用いて検査を行った。すなわち、撮影画像の各画素について第1の波長帯λ1の光と第2の波長帯λ2の光の比較係数γを算出し検査を行った。なお、第1の波長帯λ1の光として赤色の波長帯域の光を、第2の波長帯λ2の光として青色の波長帯域の光を用いた。
[比較例1]サンプル1+陰影法
[比較例2]サンプル2+陰影法
[比較例3]サンプル3+陰影法
[比較例4]サンプル4+陰影法
[実施例1]サンプル1+分光2波長比較法
[実施例2]サンプル2+分光2波長比較法
[実施例3]サンプル3+分光2波長比較法
[実施例4]サンプル4+分光2波長比較法
[実施例5]サンプル5(着色)+分光2波長比較法
[実施例6]サンプル6(着色)+分光2波長比較法
[実施例7]サンプル7(着色)+分光2波長比較法
[実施例8]サンプル8(着色)+分光2波長比較法
【0046】
図7に比較例1〜4、実施例1〜8について、ポリグリコール酸を含むコア層(以下PGA層とする)のエッジ(端)の検知結果を示す。なお、図7の記号(○△×)は以下のとおりである。
×:検知不可能(サンプル中のPGA層のエッジの検出が困難であった。)
△:検知精度不安定(サンプル中のPGA層のエッジの検出はできるが、通常は不良品と判定されるべきサンプルが良品と判定されるなど、検査の精度にバラツキがあった。)
○:検知可能(サンプル中のPGA層のエッジの検出が可能であり、検査の精度も安定したものであった。)
【0047】
図7に示すとおり、比較例1〜4の陰影法を用いた検査では、検知結果が検知不可能(×)または検知精度不安定(△)であり、サンプル1〜サンプル4について安定した検査はできなかった。一方で、同一のサンプルを用いているにも関わらず、分光2波長比較法を用いた検査では、実施例2〜4が示すとおり、陰影法では検知の困難であったサンプルについてエッジの検知ができ安定した検査が可能となった。すなわち検査の精度が向上していることがわかる。さらに、サンプル1(ポリグリコール酸含有量わずか1重量%)は、分光2波長比較法を用いた場合でもエッジの検出が難しく、安定した検査が困難であった(実施例1)。しかし、PGA層にフタロシアニン系の青色材0.005重量%を添加したサンプル5(ポリグリコール酸含有量わずか1重量%)では、分光2波長比較法を用いてエッジの検知ができるようになり、安定した検査が可能となった(実施例5)。すなわち、青色材の添加により赤色の波長帯域の光の吸収量が増加し、その結果、赤色の波長帯域の光の透過率と青色の波長帯域の光の透過率の比(比較係数γ)に変化が生じ、少量のポリグリコール酸から構成された層の検出を可能にしたものである。
【0048】
図8は、測定方法ごとの、プリフォームの胴部を撮影した画像である。各画像について、検査領域Z(図5)すなわち胴部中央を比較して説明する。
(1)は陰影法を用いて測定したサンプル1の画像(比較例1)、(2)は分光2波長比較法による比較係数γに基づくサンプル1の画像(実施例1)、(3)は特定の閾値を境界として設け(2)の画像のγ値を区分した場合のサンプル1の画像である。(1)と(2)の画像を比較すると同一のサンプル(サンプル1)の画像であるにも関わらず、(2)の分光2波長比較法によるγ画像には、(1)の陰影法による画像では見られない画素値の変化が表れている。さらに、(2)と(3)の画像を比較すると、(2)の画像では肉眼で識別困難な層構成の異なる位置(PGA層のエッジ位置)を(3)の画像では鮮明に確認することができる。すなわち、(3)の画像ではPGA層の存在する部分(白)としない部分(黒)をはっきりと区別することができる。
(4)は陰影法を用いて測定したサンプル5(PGA層着色)の画像、(5)は分光2波長比較法による比較係数γに基づくサンプル5(PGA層着色)の画像(実施例5)、(6)は(5)の画像のγ値を区分した場合のサンプル5の画像である。なお、(6)の画像においてもPGA層の存在する部分は白、しない部分は黒で表されている。(3)と(6)の画像を比較すると、(3)の画像(サンプル1)の胴部中央は、一部分においてPGA層の検知が不鮮明であるのに対し、(6)の画像(サンプル5)では、PGA層が着色されたことにより、検知の精度が向上しPGA層のエッジ位置をより明確に確認することができる。
このように、一部に搾り構造を有する円筒形のプリフォームであっても、その形状に影響されることなく、検査領域でのPGA層の有無を精度よく検知することができる。
【0049】
図9は、測定方法ごとの、プリフォームの口部を撮影した画像である。図8と同様に、図9の左列は陰影法を用いて測定した場合の画像であり、中央列は分光2波長比較法による比較係数γに基づく画像であり、右列は特定の閾値を境界として設けγ値を区分した場合の画像である。各画像について、検査領域Y(図4)すなわち口部中央を比較して説明する。
図8と同様に、分光2波長比較法によるγ画像には、陰影法による画像では見られない画素値の変化が表れている。さらに、(13)と(16)の画像を比較すると、ポリグリコール酸の量が1重量%と極めて少ないにも関わらず、(16)の画像ではPGA層を色材で着色したことにより、カブラ部とサポートリング部の間の領域にあるPGA層のエッジを(13)の画像に比べて見やすくすることができた。
このように、プリフォームの口部は、ネジ部、カブラ部およびサポートリング部(図1)を有しているにも関わらず、PGA層の有無を精度よく検知することができる。さらに、(11)の画像の“B1”、(14)の画像の“T2−2”、(17)の画像の“02”のようにサンプルが刻印文字を有する場合、陰影法では画素濃度が刻印文字の影響を受ける(すなわち画像中に刻印文字が表れている)のに対し、分光2波長比較法では比較係数γが刻印文字の影響をほとんど受けることなく(すなわち画像中に刻印文字が表れていない)、測定することができる。
なお、図9の(17)(18)(19)の画像は、PGA層を有していない(すなわちPET層のみの)プリフォームの画像である。測定方法が異なるにも関わらず、どの画像においても画素値にほとんど変化がないことがわかる。
【0050】
本発明の検査装置は、設置環境の影響を受けずに容易に設置・調整が可能であり、さらに、自転する検査対象物の全周検査が非接触で可能である。また、本発明の検査装置は、ペットボトルのプリフォームのような円筒形の検査対象物について、プリフォームの円筒構造に基づくレンズ効果やネジ部による影の影響、さらには一部に搾り構造を有する場合であっても搾り構造による影響を受けることなく、安定した検査が可能となる。さらに、検査対象物中に含まれる、少量の材料からなる極めて薄く形成された層であっても安定的に検知することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 PETプリフォーム、検査対象物
1a 口部
1b ネジ部
1c カブラ部
1d サポートリング部
1e 胴部
2 ポリエチレンテレフタレート(PET)
2a 内層
2b 外層
3 ポリグリコール酸(PGA)、コア層
20 検査装置
21 真空吸着ヘッド、把持装置
31 照明部、面光源
41 カメラ、カラーカメラ、撮像装置
51 画像処理装置、演算装置
Y 検査領域
Z 検査領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2層に構成された部分を有する、透明な検査対象物を検査する検査装置において、
前記検査対象物に照射する、第1の波長λ1の光と前記第1の波長λ1とは異なる第2の波長λ2の光を放射する面光源と;
前記第1の波長λ1と前記第2の波長λ2の光が照射された検査対象物を撮影する撮像装置と;
前記第1の波長λ1と前記第2の波長λ2の光のそれぞれについて、前記撮像装置により撮影された画像データから各画素の濃度値を抽出し、画素毎に前記第1の波長λ1の光と前記第2の波長λ2の光について画素濃度の比を求める演算装置とを備え;
前記演算装置は、前記画素濃度の比の変化量に基づいて、前記検査対象物の良/不良を判断する、
検査装置。
【請求項2】
前記検査対象物を把持し、前記検査対象物を自転させる把持装置を備え;
前記撮像装置は、自転する前記検査対象物を複数回撮影するように設定された;
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記第1の波長λ1の光は、前記検査対象物の前記少なくとも2層に構成された部分のうちの特定の1の層に、他の層よりも強く吸収される波長の光であって、
前記検査対象物に前記第1の波長λ1と前記第2の波長λ2の光が照射されると、前記特定の1の層を含む前記少なくとも2層に構成された部分と、前記特定の1の層を含まない部分において、前記画素濃度の比がより大きく異なる、
請求項1または請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記検査対象物の前記特定の1の層は、ポリグリコール酸を含む、
請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
面光源から放射された、第1の波長λ1の光と前記第1の波長λ1とは異なる第2の波長λ2の光で透明な検査対象物を照射するステップと;
前記光が照射された前記検査対象物を撮影するステップと;
前記第1の波長λ1と前記第2の波長λ2の光のそれぞれについて、前記撮影された画像データから各画素の濃度値を抽出し、画素毎に前記第1の波長λ1の光と前記第2の波長λ2の光について画素濃度の比を求めるステップと;
前記画素濃度の比の変化量に基づいて、前記検査対象物の良/不良を判断するステップとを備える;
検査方法。
【請求項6】
前記検査対象物は、少なくとも2層に構成された部分を有し、
前記少なくとも2層に構成された部分のうちの特定の1の層に、前記第1の波長λ1の光を強く吸収するようになる材料が添加されており、
前記照射するステップにおいて、前記第1の波長λ1の光が、前記特定の1の層に前記材料の添加前と比べ強く吸収され、
前記特定の1の層を含む前記少なくとも2層に構成された部分と、前記特定の1の層を含まない部分において、前記画素濃度の比がより大きく異なる、
請求項5に記載の検査方法。
【請求項7】
前記検査対象物の前記特定の1の層は、ポリグリコール酸を含む、
請求項6に記載の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−169735(P2011−169735A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33593(P2010−33593)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【出願人】(510045184)株式会社アイ・ピー・システム (1)
【Fターム(参考)】