説明

透明導電性シートとその製造方法、加飾成形品

【課題】 透明性、導電性及び安定した電磁波遮蔽性を有する透明導電性シートとその製造方法、加飾成形品を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の透明導電性シート100は、表面に微細な凸部4と微細な凹部5とを備え、微細な凹部の平面形状がメッシュ状である基体シートの微細な凹部の上に、金属薄膜層2が少なくとも形成されるように構成されているので、透明性と導電性を同時に兼ね備えるものである。またこの発明の透明導電性シートの金属薄膜層は、メッシュ状に形成されているので、本発明の透明導電性シートは安定した電磁波遮蔽性を有するものでもある。。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性を有するとともに、電磁波遮蔽性及び導電性を兼ね備えた透明導電性シートとその製造方法とその透明導電性シートを用いて製造する加飾成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの通信機器、電子情報機器、液晶ディスプレイ、太陽電池などにおいては、透明性および導電性にすぐれた透明導電シートが必要とされている。
【0003】
そのような透明導電シートとしては、たとえば、特許文献1のような基体シートの上に形成する金属薄膜層を格子状にパターン形成したものがある。
【0004】
この方法は、表1に示されているような全光線透過率が70〜80%になるように、透明シート(1)上に、銅を主成分とする線幅15μm、開口率70〜90%よりなる正方形又は長方形の格子状銅パターン(P)と透明導電薄膜層(2)とが設けられていることを特徴とし、網の目状銅パターン(P)上に、更に酸化銅又は硫化銅よりなる着色層(3)が設けられていることを特徴とする。
【0005】
上記方法は、例えば無電解メッキのためのメッキ核を形成するためのアンカー層(親水性樹脂)(例えばポリヒドロキシエチルアクリレート)を設け、無電解メッキ層を設け、場合によっては更に電解による銅メッキを行って、1〜10μmの銅層を全面に設け、さらにマスキングフィルムを使ってフォトエッチングによって格子状銅パターンを形成している。
【0006】
【特許文献1】特開平11-330772
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、実際の製品に要求される性能は例えば全光線透過率は85%以上のものがほとんどで、それを実現するためには線幅を数μmあるいは1μ以下にする必要があり、上記のマスキングフィルムを使ってフォトエッチングによって露光する方法では、非常に高価な設備が必要になり、生産性が大幅に低下する問題があった。
【0008】
したがって、本発明は、上記のような問題点を解消し、透明性を有するとともに、導電性及び安定した電磁波遮蔽性を有する透明導電シートとその製造方法、透明導電加飾成形品を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の透明導電性シートとその製造方法、加飾成形品は上記の目的を達成するために、次のように構成した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の透明導電性シートは、表面の一部または全部に多数かつ微細な凹微細な凸部を備え、微細な凹部の平面形状がメッシュ状である基体シートが形成され、該基体シートの微細な凹部の上に、金属薄膜層が少なくとも形成されるように構成した。
【0011】
また、本発明の第2態様の透明導電性シートは、基体シートの上に形成された塗膜層が、表面の一部または全部に多数かつ微細な凹微細な凸部を備え、微細な凹部の平面形状がメッシュ状であり、その塗膜層の微細な凹部の上に金属薄膜層が少なくとも形成されるように構成した。
【0012】
また、本発明の第3態様として、第1〜2態様の透明導電性シートは、微細な凹部のメッシュ状パターンの線幅が0.01μm〜2μmの間隔で存在し、かつ微細な凸部のアスペクト比が0.01〜5であるように構成することもできる。
【0013】
また、本発明の第4態様として、第1〜3態様の透明導電性シートは、微細な凹部の隣り合うメッシュ状パターンの線間距離がメッシュ状パターンの線幅の5倍以上1000倍未満であるように構成することもできる。
【0014】
また、本発明の第5態様として、第1〜4態様の透明導電性シートは、金属薄膜層がアルミニウム、銅、クロム、ニッケル、銀、金のいずれかからなるように構成することもできる。
【0015】
本発明の第6態様として、第1〜5態様の透明導電性シートは、金属薄膜層の厚さが0.01μm〜1μmであるように構成することもできる。
【0016】
本発明の第7態様の透明導電性シートの製造方法は、基体シートの表面にナノインプリント法を用いてその一部または全部に多数の微細な凹部と微細な凸部を形成する第1工程と、前記微細な凸部の上にアルコール性脱離層を形成する第2工程と、前記微細な凹部および前記微細な凸部の上に金属薄膜層を形成する第3工程と、前記微細な凸部の上に形成された前記アルコール性脱離層と前記金属薄膜層をアルコール処理で脱離除去する第4工程と、を備えることにより金属薄膜層が微細なメッシュ形状を形成するように構成した。
【0017】
本発明の第8態様の透明導電性シートの製造方法は、基体シートの上に形成された塗膜層の表面にナノインプリント法を用いてその一部または全部に多数の微細な凹部と微細な凸部を形成する第1工程と、前記微細な凸部の上にアルコール性脱離層を形成する第2工程と、前記微細な凹部および前記微細な凸部の上に金属薄膜層を形成する第3工程と、前記微細な凸部の上に形成された前記アルコール性脱離層と前記金属薄膜層をアルコール処理で剥離除去する第4工程と、を備えることにより金属薄膜層が微細なメッシュ形状を形成するように構成した。
【0018】
本発明の第9態様の透明導電性シートの製造方法は、基体シートの表面にナノインプリント法を用いてその一部または全部に多数の微細な凹部と微細な凸部を形成する第1工程と、前記微細な凹部および前記微細な凸部の上に金属薄膜層を形成する第2工程と、前記微細な凹部の上に形成された前期金属薄膜層の上にレジスト層を形成する第3工程と、前記微細な凸部の上に形成された前記金属薄膜層をウエットエッチング法で除去する第4工程と、を備えることにより金属薄膜層が微細なメッシュ形状を形成するように構成した。
【0019】
本発明の第10態様の透明導電性シートの製造方法は、基体シートの上に形成された塗膜層の表面にナノインプリント法を用いてその一部または全部に多数の微細な凹部と微細な凸部を形成する第1工程と、前記微細な凹部および前記微細な凸部の上に金属薄膜層を形成する第2工程と、前記微細な凹部の上に形成された前記金属薄膜層の上にレジスト層を形成する第3工程と、前記微細な凸部の上に形成された前記金属薄膜層をウエットエッチング法で除去する第4工程と、を備えることにより金属薄膜層が微細なメッシュ形状を形成するように構成した。
【0020】
本発明の第11態様の透明導電性シートの製造方法は、基体シートの表面にナノインプリント法を用いてその一部または全部に多数の微細な凹部と微細な凸部を形成する第1工程と、前記微細な凹部と前記微細な凸部の上に全面的にメッキ触媒層を形成する第2工程と、前記微細な凸部に形成した前記メッキ触媒層を除去する第3工程と、前記メッキ触媒層の上に金属薄膜層を形成する第4工程と、を備えることにより金属薄膜層が微細なメッシュ形状を形成するように構成した。
【0021】
本発明の第12態様の透明導電性シートの製造方法は、基体シートの上に形成された塗膜層の表面にナノインプリント法を用いてその一部または全部に多数の微細な凹部と微細な凸部を形成する第1工程と、前記微細な凹部と前記微細な凸部の上に全面的にメッキ触媒層を形成する第2工程と、前記微細な凸部に形成した前記メッキ触媒層を除去する第3工程と、前記メッキ触媒層の上に金属薄膜層を形成する第4工程と、を備えることにより金属薄膜層を微細なメッシュ形状を形成するように構成した。
【0022】
また、本発明の第12態様として、第7〜11態様の透明導電性シートの製造方法は、微細な凹部のメッシュ状パターンの線幅が0.01μm〜2μmの間隔で存在し、かつ微細な凸部のアスペクト比が0.01〜5であるように構成することもできる。
【0023】
また、本発明の第13態様として、第7〜12態様の透明導電性シートの製造方法は、微細な凹部の隣り合うメッシュ状パターンの線間距離がメッシュ状パターンの線幅の5倍以上1000倍未満であるように構成することもできる。
【0024】
また、本発明の第14態様として、第7〜13態様の透明導電性シートの製造方法は、金属薄膜層の厚さが0.01μm〜1μmであるように構成することもできる。
【0025】
また、本発明の第15態様として、第7〜14態様の透明導電性シートの製造方法は、金属薄膜層がメッキ法により形成されるように構成することもできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の透明導電性シートは、表面に多数の微細な凹部と微細な凸部を有し、前記微細な凹部の平面がメッシュ状である基体シートと、前記基体シートの微細な凹部の上に金属薄膜層が少なくとも形成されるように構成したので、透明性と導電性を同時に兼ね備えるものである。またこの発明の透明導電性シートの金属薄膜層は、メッシュ状に形成されているので、本発明の透明導電性シートは安定した電磁波遮蔽性を有するものでもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいてさらに詳細に説明する。なお、本発明の実施例に記載した部材や部分の寸法、材質、形状、その相対位置などは、とくに特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎない。
【0028】
まず、この発明の第1の実施態様における透明導電性シートについて説明する。
【0029】
図1は、この発明の透明導電性シート100の斜視図であり、図2(a)は、図1のII-II線における断面図である。図2(b)は、この発明の透明導電性シートの変形例の断面図である。
【0030】
図1を参照して、この発明の第1の実施の形態による透明導電性シート100は、一方面に微細な凸部4と、連続した微細な凹部5とが形成された基体シート1と、前記微細な凹部5に基体シート1の一方の端から他方の端まで導通するようにして形成される金属薄膜層2とを少なくとも備えている。また、この発明の第1の実施形態による透明導電性シート100は、必要に応じて金属薄膜層2の微細なメッシュ状に一致するような形状で金属薄膜層2の上に形成されるレジスト層3と、離型層と、剥離層と、図柄層と、アンカー層と、接着層とを備えている。
【0031】
基体シート1は、金属薄膜層2などを固定するための基材である。この基体シート1は、離型性を有してもよいし、密着性を有してもよい。基体シート1の材質としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂シートなどの樹脂シート、アルミニウム箔、銅箔などの金属箔、グラシン紙、コート紙、セロハンなどのセルロース系シート、あるいは以上の各シートの複合体などを使用することができる。
【0032】
図2(a)を参照して、金属薄膜層2は、導電性および電磁波遮蔽性を得るためのものであり、主としてメッシュ状パターンに形成された基体シート1の微細な凹部5の上に形成されている。金属薄膜層2が、基体シート1の微細な凹部5の上に形成される態様としては、(1)微細な凹部5の周縁部に形成されたもの、(2)微細な凹部5の底部のみに形成されているものなどが挙げられる。
【0033】
なお、金属薄膜層2は基体シート1のメッシュ状の微細な凹部5の上だけでなく、僅かであれば微細な凸部4に形成されていても構わない。ただし、透明性等をより確実にするためには微細な凸部4に形成された金属薄膜層2をできるかぎり減らすことが好ましい。
【0034】
図2(b)を参照して、必要に応じて、レジスト層3が金属薄膜層2の上に形成されていてもよい。レジスト層3は、金属薄膜層2を外界から保護する層である。アミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適宜体質顔料などの添加剤や顔料または染料などの着色剤を含有するインキを用いるとよい。レジスト層3の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法など通常の印刷法やワイピング、ディッピングなどの方法で形成するとよい。
【0035】
必要に応じて、図柄層が金属薄膜層2、または金属薄膜層2とレジスト層3の上に形成されていてもよい。図柄層は種々のパターンや文字などの装飾を行うための層である。図柄層の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。印刷層の形成方法としては、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。特に、多色刷りや階調表現を行うには、オフセット印刷法やグラビア印刷法が適している。また、単色の場合には、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法を採用することもできる。図柄層11は、表現したい図柄に応じて任意のパターンに設けるとよい。
【0036】
必要に応じて、離型層が基体シート1と金属薄膜層2との間に形成されていてもよい。離型層は、転写後に基体シート1を剥離した際に、基体シート1とともに金属薄膜層2から離型する。離型層の材質としては、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース誘導体系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤およびこれらの複合型離型剤などを用いることができる。離型層の形成方法としては、ロールコート法、スプレーコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0037】
必要に応じて、離型層と金属薄膜層2との間に剥離層を形成されていてもよい。剥離層は、転写後または成形同時転写後に基体シート1を剥離した際に、基体シート1または離型層から剥離して被転写物の最外面となる層である。剥離層の材質としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ゴム系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などのほか、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂などのコポリマーを用いるとよい。剥離層に硬度が必要な場合には、紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などの放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などを選定して用いるとよい。剥離層は、着色したものでも、未着色のものでもよい。剥離層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0038】
必要に応じて、アンカー層が図柄層と剥離層との間や、金属薄膜層2と接着層との間に形成されていてもよい。アンカー層は、これら層間の密着性を向上させる層である。アンカー層の材質としては、二液性硬化ウレタン樹脂、熱硬化ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、塩素含有ゴム系樹脂、塩素含有ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系共重合体樹脂などを使用するとよい。アンカー層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0039】
必要に応じて、接着層が基体シート1の金属薄膜層2が形成された側の最上面に形成されていてもよい。接着層は、被加飾面に上記の各層を接着するものである。また接着層は、接着させたい部分に形成する。すなわち、接着させたい部分が全面的なら、接着層を全面的に形成する。接着させたい部分が部分的なら、接着層を部分的に形成する。接着層としては、被加飾の素材に適した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用する。たとえば、被加飾の材質がアクリル系樹脂の場合はアクリル系樹脂を用いるとよい。また、被加飾の材質がポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。さらに、被加飾の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂が使用可能である。接着層10の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0040】
次に、微細な凸部4とメッシュ状の微細な凹部5について説明する。
【0041】
再び図2(a)を参照して、この発明の透明導電性シートの微細な凸部4は、基本的に基体シート1の頂上部分から構成され、メッシュ状の微細な凹部5は、基体シート1の頂上部分より下の部分(側部と底部)と金属薄膜層2から形成されている。
【0042】
メッシュ状の微細な凹部5の線幅Wは、0.01μm〜2μmであることが好ましい。メッシュ状パターンの線幅Wを0.01μm未満のサイズにすることは技術的に困難であり、メッシュ状パターンの線幅Wを2μm以上にすると、場合によってはメッシュ状パターンが見えて、透明導電性シート100の透明性が低下する可能性があるからである。微細な凹部5と微細な凸部4との関係において、微細な凸部4の幅Lは、微細な凹部5の線幅Wの5倍以上1000倍未満であるように構成されていることが好ましい。これは微細な凸部4の幅Lが、メッシュ状の微細な凹部5の線幅Wの5倍未満であると、メッシュ状パターンに形成された金属薄膜層2の色味が強くなり、透明導電性シート100の透明性が低下して黒ずんで見えるようになるためである。その一方で微細な凸部4の幅Lが、微細な凹部の線幅Wの1000倍以上であると、単位面積あたりの面抵抗値が小さいために、導電性が高くなり、金属薄膜層2の電磁波遮蔽性が低下するからである。
【0043】
基体シート1に形成される微細な凸部4のアスペクト比Y(アスペクト比Y=基体シート1の微細な凹部5の深さH/微細な凹部5の線幅W)は、0.01〜5の範囲にあるのが好ましい。微細な凸部4のアスペクト比が0.01未満であれば、基体シート1の微細な凹部5の上に選択的に金属薄膜層2を設けることが困難となり、逆に、微細な凸部4のアスペクト比が5を超えると、後述の透明導電性シートの製造工程において、スタンパーと基体シート1との剥離性が悪くなり、生産性が低下するといった問題が生じるからである。
【0044】
図3(a)と図3(b)は、それぞれ微細な凹部5の断面形状についての変形例である。図4(a)と図4(b)は、微細な凸部4の平面形状についての変形例である。
【0045】
図3(a)と図3(b)を参照して、微細な凹部5の断面形状は、U字型、V字型、コの字型等から構成されている。図4(a)と図4(b)を参照して、微細な凹部5の平面形状は、メッシュ状やハニカム形状等から構成され、微細な凸部4の平面形状は、四角形の他、多角形や円形等の幾何学形状等から構成されていてもよい。
【0046】
図5は、この発明の第2の実施の形態による透明導電性シート100の断面図で、図2(a)に対応するものである。この実施の形態による透明導電性シートの基本的な構成は、第1の実施の形態によるものと同様であるので、ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0047】
図4を参照して、この発明の第2の実施の形態による透明導電性シート100は、透明な基体シートと、基体シートの上に形成され、その一方面に微細な凸部4と、連続した微細な凹部5とが形成された塗膜層6と、前記微細な凹部5に基体シート1の一方の端から他方の端まで導通するようにして形成される金属薄膜層2とを少なくとも備えている。
【0048】
塗膜層6は、基体シート1の上に形成され、その表面は微細な凸部4と、塗膜層6の全面に渡って連続的に形成される微細な凹部5から構成されている。塗膜層6の材質としては、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、ビニル系樹脂、アミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、メラミン系樹脂、セルロース系樹脂、アルキド系樹脂や、シアノアクリレート系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂等の光硬化性樹脂、東レ・ダウコーニング株式会社製FOL(登録商標)−12 FLOWABLE OLIDE、FOL(登録商標)−14 FLOWABLE OLIDE、FOL(登録商標)−15 FLOWABLE OLIDE、FOL(登録商標)−16 FLOWABLE OLIDE及びこれら混合物等のゾルゲル系材料などの樹脂が挙げられる。さらに、必要に応じて各種添加剤や適切な色の顔料または染料からなる着色剤を含有させたものを用いるとよい。
【0049】
図6は、この発明の透明導電性シート100の製造方法の概略工程を示した図である。図6(a)は、この発明に係る製造方法の第1工程で使用される基体シート100とスタンパーSが一体化したときの断面図である。図6(b)は、この発明に係る製造方法の第2工程で、基体シート1の微細な凸部4の上にアルコール性脱離層7を形成したときの断面図である。図6(c)は、この発明に係る製造方法の第3工程で、前記アルコール性脱離層7と、基体シート1の微細な凹部5とに金属薄膜層2を形成したとき断面図である。図6(d)は、この発明に係る製造方法の第4工程で、アルコール性脱離層7とその上に形成さえた金属薄膜層2を除去されたときの金属薄膜シート100の断面図である。
【0050】
図6(a)を参照して、この発明の第1工程では、ナノインプリント法を用い、基体シート1の一部分または全面に、微細な凸部4とメッシュ状の微細な凹部5が形成される。そして、金属薄膜シート100のレジスト層3に微細な凸部4とメッシュ状の微細な凹部5が形成された後、この発明に係る製造方法の第2工程に移行する。
【0051】
ナノインプリント法は、メッシュ状の微細な凹部を設けたスタンパーSを基体シート1に押し付け、基体シート1に微細な凸部4とメッシュ状の微細な凹部5とを形成する加工方法である。ナノインプリント法の代表的な方式としては、熱ナノインプリント法、光ナノインプリント法、室温ナノインプリント法がある。以下では、熱ナノインプリント法を用いて基体シート1に微細な凸部4と、メッシュ状の微細な凹部5とを形成する方法について説明する。
【0052】
熱ナノインプリント法を用い、基体シート1に微細な凸部4とメッシュ状の微細な凹部5を形成するには、まず電子線などで描いた母型の金型からニッケル電鋳からなるスタンパーSを作製する。次に、スタンパーSを基体シート1の上に配置し、高温高圧下で押し付けた後、冷却しスタンパーSを基体シート1から外すことにより基体シート1に微細な凸部4とメッシュ状の微細な凹部5を形成する。押し付ける際のスタンパーSの温度は基体シート1の軟化点以上であって、熱分解温度未満であればよい。押し付ける際の基体シート1にかかる圧力は、通常数MPa〜数十MPaの範囲で設定するとよい。上記のような条件の下、数秒から数分間の間、スタンパーSを基体シート1に押圧し、急速冷却または自然冷却して、基体シート1の表面が軟化点以下になるまで放置することで、基体シート1に微細な凸部4と、メッシュ状の微細な凹部5を形成することができる。
【0053】
なお、透明導電性シート100の生産性の観点から、メッシュ状の微細な凹部5パターンの線幅Wは、0.01μm〜2μmにすることが好ましい。メッシュ状パターンの線幅Wを0.01μm未満のサイズにすることは技術的に困難であるので、透明導電性シート100の生産性が低下するといった問題があり、メッシュ状パターンの線幅Wを2μm以上にすると、メッシュ状パターンが見えて、透明性が低下することがあるといった問題があるからである。
【0054】
基体シート1に形成される微細な凹部5のアスペクト比Y (アスペクト比Y=基体シート1の微細な凹部5の深さH/微細な凹部5の線幅W)は、0.01〜5の範囲にあることが好ましい。微細な凸部4のアスペクト比が0.01未満であれば、基体シート1の微細な凹部5の上に選択的に金属薄膜層2を設けることが困難となり、逆に、微細な凸部4のアスペクト比が5を超えると、後述の透明導電性シートの製造工程において、生産性が低下するからである。
【0055】
さらに、この工程で使用される基体シート1の厚みは0.02〜5mmの範囲にするのが好ましい。厚みが0.02mm未満であるとしわが入り加工しづらくなり、5mmを超えると剛性がありすぎて、後加工しにくいからである。
【0056】
図6(b)を参照して、この発明の第2工程では、基体シート1に形成された微細な凸部4の上にアルコール性脱離層7が形成されたのち、この発明に係る製造方法の第3工程に移行する。
【0057】
アルコール性脱離層7は、この発明に係る製造方法の第4工程のアルコール処理によって、アルコール性脱離層7の上に形成された金属薄膜層2とともに基体シート1から脱離する層である。この層によって、金属薄膜層2を形成した後、アルコール処理を行うことでアルコール性脱離層7が形成されなかった領域のみに金属薄膜層2を形成できるようになる。
【0058】
アルコール性脱離層7の材質としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。アルコール性脱離層78としては、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、デンプン、アルギド、エポキシ、ポリウレタンなどに代表される水溶性樹脂をバインダーとするインキ用い、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法により形成するとよい。
【0059】
図6(c)を参照して、この発明の第3工程では、基体シート1の微細な凸部4の上に形成されたアルコール性脱離層7と、基体シート1のメッシュ状の微細な凹部5の上に金属薄膜層2が形成されたのち、この発明に係る製造方法の第4工程に移行する。
【0060】
金属薄膜層2の形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などが挙げられるが、より好ましくはメッキ法を用いるとよい。メッキ法とは、溶液中で金属薄膜を被覆する表面処理の方法のことであり、この発明では、溶液に含まれる還元剤の酸化によって放出される電子によって金属皮膜を析出させる。いわゆる無電解メッキ法による方法で行うのが好ましい。析出させる金属としては、銅の他、ニッケル、金、錫などが挙げられる。メッキ法を用いた場合、基体シート1が、メッキ溶液に接触している限り、ほぼ均一に金属薄膜層2が形成されるため、上記のように微細で金属薄膜層2が形成されにくいような箇所(すなわち微細な凹部5)であっても容易に形成できるからである。
【0061】
また、導電性および電磁波遮蔽性、耐薬品性等に応じて、アルミニウム、スズ、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金または化合物を使用するとよい。これらの金属は通常金属光沢色で、透明性を呈することはないが、本発明の基体シート1の微細な凹部5の底部に微細なサイズのメッシュ状パターンでもって形成されることにより、透明性を呈するようになる。なお、金属薄膜層2の厚みは0.01〜1μmの範囲で形成することが好ましい。厚さが0.01μm未満であると金属薄膜層2の導電性、電磁波遮蔽性が低下し、反対に1μmを超えると前記微細な凸部4のアスペクト比Yが小さい場合に、金属薄膜層2が微細な凸部4まで埋めてしまい金属薄膜層2がメッシュ状パターンでなくなってしまう可能性があるからである。基体シート1の微細な凹部5の上に形成される金属薄膜層2が上記の条件を満たす範囲において、金属薄膜層2を導電性の高い材質で形成することにより、透明導電性シート100は優れた導電性または電磁波遮蔽性を呈するようになる。
【0062】
図6(d)を参照して、この発明の第4工程では、基体シート1の微細な凸部4の上に形成されたアルコール性脱離層7と、このアルコール性脱離層7の上に形成される金属薄膜層2が基体シート1から脱離される。そして、この発明に係る透明導電性シートの製造方法が完了する。
【0063】
アルコール処理は、脱離層形成されたシートをアルコールで満たされた槽中に浸漬させて、脱離層上に形成された金属薄膜層2とともにアルコール性脱離層7を完全に除去する方法である。この工程か完了することにより、基体シート1の表面に形成されたメッシュ状の微細な凹部5のみに金属薄膜層2を形成することができる。
【0064】
図7は、透明導電性シート100の製造方法における第2の実施態様の概略工程を示した図である。図7(a)は、この発明に係る製造方法の第1工程で使用される基体シート100の上に塗膜層6を形成したときの断面図である。図7(b)は、この発明に係る製造方法の第2工程で、塗膜層6とスタンパーSとが一体化したときの断面図である。図7(c)は、この発明に係る製造方法の第3工程で、基体シート1の微細な凸部4の上にアルコール性脱離層7を形成したときの断面図である。図7(d)は、この発明に係る製造方法の第3工程で、前記アルコール性脱離層7と、基体シート1のメッシュ状の微細な凹部5とに金属薄膜層2を形成したとき断面図である。図7(e)は、この発明に係る製造方法の第4工程で、アルコール性脱離層7とその上に形成された金属薄膜層2を除去させたときの金属薄膜シート100の断面図である。
【0065】
この実施の形態による透明導電性シートの製造方法の基本的な構成は、先の第1の実施の形態によるものと同様であるので、ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0066】
図7(a)を参照して、この発明の第1工程では、基体シート1の上に塗膜層6が形成されたのち、この発明に係る製造方法の第2工程に移行する。
【0067】
塗膜層6の材質は、この発明に係る製造方法の第2工程において、塗膜層6に微細な凸部4と、メッシュ状の微細な凹部5を設けるときに用いる方法に依存するため、後述で記載する。塗膜層6の厚みは、0.2〜100μmの範囲で少なくとも微細な凹部5の深さ以下になるようにするのが好ましい。厚みが0.2mm未満であると、塗膜層6の材質の凝集によって、基体シート1表面の一部に塗れない部分ができるため、ピンホールが発生しやすくなる一方、厚みが100mmを越えると、塗膜層6を形成するのに時間がかかり生産性が低下するからである
【0068】
図7(b)を参照して、この発明の第2工程では、基体シート1の上に形成された塗膜層6にナノインプリント法を用いて、微細な凸部とメッシュ状の微細な凹部5が形成されたのち、この発明に係る製造方法の第3工程に移行する。
【0069】
この発明の第2工程において、塗膜層6に微細な凸部4とメッシュ状の微細な凹部5を形成するには、ナノインプリント法は、熱ナノインプリント法、光ナノインプリント法、室温ナノインプリント法のいずれかを用いることができる。
【0070】
塗膜層6に微細な凸部4とメッシュ状の微細な凹部5を形成するために、熱ナノインプリント法を用いる場合、塗膜層6の材質としてはポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、ビニル系樹脂、アミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、メラミン系樹脂、セルロース系樹脂、アルキド系樹脂などの樹脂が挙げられ、必要に応じて各種添加剤や適切な色の顔料または染料からなる着色剤を含有させたものを用いるとよい。
【0071】
光ナノインプリント法を用いる場合、塗膜層6の材質としては、シアノアクリレート系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂等の光硬化性樹脂を用いるとよい。
【0072】
室温ナノプリント法を用いる場合、塗膜層6の材質としては、東レ・ダウコーニング株式会社製FOL(登録商標)−12 FLOWABLE OLIDE、FOL(登録商標)−14 FLOWABLE OLIDE、FOL(登録商標)−15 FLOWABLE OLIDE、FOL(登録商標)−16 FLOWABLE OLIDE及びこれら混合物等のゾルゲル系材料を用いるとよい
【0073】
塗膜層6の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法のほか、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、リップコート法などのコート法を採用することもできる。
【0074】
塗膜層6に形成されるメッシュ状の微細な凹部5パターンの線幅Wは、0.01μm〜2μmにすることが好ましい。メッシュ状パターンの線幅Wを0.01μm未満のサイズにすることは技術的に困難であり、メッシュ状パターンの線幅Wを2μm以上にすると、場合によってはメッシュ状パターンが見えて、透明性が低下する可能性があるからである。微細な凹部5と微細な凸部4との関係において、微細な凸部4の幅Lは、微細な凹部5の幅Wの5倍以上1000倍未満であるように構成されていることが好ましい。これは微細な凸部4の幅Lが、メッシュ状パターンの線幅Wの5倍未満であると、メッシュ状パターンに形成された金属薄膜層2の色味が強くなり、透明導電性シート100の透明性が低下して黒ずんで見えるようになるためである。 その一方で、メッシュ状の微細な凸部の幅Lがメッシュ状の微細な凹部の線幅Wの1000倍以上であると、単位面積あたりの面抵抗値が小さいために、導電性が高くなり、金属薄膜層2の電磁波遮蔽性も低下するからである。
【0075】
図7(c)を参照して、この発明の第3工程では、基体シート1に形成された微細な凸部4の上にアルコール性脱離層7が形成されたのち、この発明に係る製造方法の第4工程に移行する。
【0076】
図7(d)を参照して、この発明の第4工程では、基体シート1の微細な凸部4の上に形成されたアルコール性脱離層7と、基体シート1のメッシュ状の微細な凹部5の上に金属薄膜層2が形成されたのち、この発明に係る製造方法の第5工程に移行する。
【0077】
金属薄膜層2の材質、形成方法は、この発明に係る製造方法の第1実施態様の場合と同様である。
【0078】
図7(e)を参照して、この発明の第5工程では、基体シート1の微細な凸部4の上に形成されたアルコール性脱離層7と、このアルコール性脱離層7の上に形成される金属薄膜層2を基体シート1上から脱離させたのち、この発明に係る透明導電性シート100の製造方法が完了する。
【0079】
図8は、透明導電性シート100の製造方法における第3の実施態様の概略工程を示した図である。図8(a)は、この発明に係る製造方法の第1工程で使用される基体シート100とスタンパーSが一体化したときの断面図である。図8(b)は、この発明に係る製造方法の第2工程で、基体シート1の上に金属薄膜層2が形成されたときの断面図である。図8(c)は、この発明に係る製造方法の第3工程で、基体シート1の上に形成された金属薄膜層2のうち、基体シート1におけるメッシュ状の微細な凹部5の上に形成された金属薄膜層2の上にのみレジスト層3を形成したときの断面図である。図8(d)は、この発明に係る製造方法の第4工程で、ウエットエッチング処理をした後の断面図である。
【0080】
この実施の形態による透明導電性シートの製造方法の基本的な構成は、先の第1の実施の形態によるものと同様であるので、ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0081】
図8(a)を参照して、この発明の第1工程では、基体シート1の上に微細な凸部4とメッシュ状の微細な凹部5が形成された後、この発明に係る製造方法の第2工程に移行する。
【0082】
この第1工程において、基体シート1の上に微細な凸部4とメッシュ状の微細な凹部5を形成する代わりに、基体シートの上に塗膜層を形成し、形成した塗膜層の表面に微細な凸部とメッシュ状の微細な凹部を形成してもよい。
【0083】
図8(b)を参照して、この発明の第2工程では、基体シート1の上に金属薄膜層2が形成された後、この発明に係る製造方法の第3工程に移行する。
【0084】
図8(c)を参照して、この発明に係る製造方法の第3工程では、基体シート1のメッシュ状の微細な凹部5上に形成された金属薄膜層2の上にのみレジスト層3が形成され、この発明に係る製造方法の第4工程に移行する。
【0085】
基体シート1のメッシュ状の微細な凹部5の上に形成された金属薄膜層2の上にのみレジスト層3を形成する方法としては、金属薄膜層2の上に全面に渡ってレジスト層3を形成し、次に微細な凸部4上に形成されたレジスト層3のみをスキージAでかきとる方法が挙げられる。
【0086】
レジスト層3の材質としては、アミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適宜体質顔料などの添加剤や顔料または染料などの着色剤を含有するインキを用いるとよい。レジスト層3の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法など通常の印刷法やワイピング、ディッピングなどの方法で形成するとよい。
【0087】
さらに、レジスト層3の膜厚は、0.1〜10μmであることが好ましい。すなわち、レジスト層3の厚さが0.1μm未満になると耐薬品性が不足するので、この発明の第3工程において、金属薄膜シート100微細な凸部4以外の部分に形成された金属薄膜層2もエッチングされやすくなるといった問題が生じるのに対し、レジスト層3の厚さが10μmを超えると、透明導電性シート100を作成する際の生産性が低下するといった問題が生じるためである。
【0088】
図8(d)を参照して、この発明に係る製造方法の第4工程では、ウエットエッチング法によって、基体シート1の微細な凸部4の上に形成された金属薄膜層2が取り除かれ、この発明に係る透明導電性シート100の製造方法が完了する。
【0089】
ウエットエッチング法とは、金属との反応性が高い溶液によって、金属をエッチングする方法である。ウエットエッチング法には、金属エッチング液を満たした容器内に金属薄膜シート100を浸漬させ、露出した金属薄膜層2を侵食するディップ式、金属エッチング液を霧状にしてふき出させて金属薄膜シート100に散布するスプレー式及び金属薄膜シート100をスピナーとよばれる回転台に取り付け金属エッチング液を滴下するスピン式があるが、いずれの方法を用いて、レジスト層3で保護されていない金属薄膜層2部位を除去してもよい。これらの方式のうちディップ式が最も簡便に行えるのでより好ましい。金属エッチング液としては、弱酸性または弱アルカリ性の水溶液を用い、金属薄膜層2の材質や厚みによって、金属エッチング液の濃度、浸漬温度、浸漬時間を適宜選択するとよい。
【0090】
図9は、透明導電性シート100の製造方法における第4の実施態様の概略工程を示した図である。図9(a)は、この発明に係る製造方法の第1工程で使用される基体シート100とスタンパーSが一体化したときの断面図である。図9(b)は、この発明に係る製造方法の第2工程で、基体シート1の上にメッキ触媒層8が形成されたときの断面図である。図9(c)は、この発明に係る製造方法の第3工程で、基体シート1の上に形成されたメッキ触媒層8のうち、基体シート1の微細な凸部4の上に形成されたメッキ触媒層8のみを取除くときの断面図である。図9(d)は、この発明に係る製造方法の第4工程で、金属メッキ処理をした後の断面図である。
【0091】
この実施の形態による透明導電性シートの製造方法の基本的な構成は、先の第1の実施の形態によるものと同様であるので、ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0092】
図9(a)を参照して、この発明の第1工程では、基体シート1の上に微細な凸部4とメッシュ状の微細な凹部5が形成された後、この発明に係る製造方法の第2工程に移行する。
【0093】
この第1工程において、基体シート1の上に微細な凸部4とメッシュ状の微細な凹部5を形成する代わりに、基体シートの上に塗膜層を形成し、形成した塗膜の表面に微細な凸部とメッシュ状の微細な凹部を形成してもよい。
【0094】
図9(b)を参照して、この発明の第2工程では、基体シート1の上にメッキ触媒層8が形成された後、この発明に係る製造方法の第3工程に移行する。
【0095】
メッキ触媒層8とは、被メッキ物とメッキ金属膜とをつなぐ接着材のような役割を果たす層である。このメッキ触媒層8をメッキ溶液中に浸漬すると、メッキ触媒層8の表面でメッキ溶液中の金属イオンが還元されてメッキ触媒層8の形成されていた箇所に金属皮膜析出させることができるのである。
【0096】
メッキ触媒層の材質としては、パラジウムなどの金属の塩からなる水溶液が乾燥した層などが挙げられる。
【0097】
メッキ触媒層の形成方法は、被メッキ物をパラジウムなどの金属塩からなる無電解メッキ触媒が付与された水溶液に、メッキ触媒層8が形成された基体シート1浸漬し、次に基体シート1水溶液から引き上げることにより行われる。
【0098】
図9(c)を参照して、この発明に係る製造方法の第3工程では、基体シート1の上に形成されたメッキ触媒層8のうち、基体シート1の微細な凸部4の上に形成されたメッキ触媒層8のみをスキージAでかきとり、乾燥させた後、この発明に係る製造方法の第4工程に移行する。
【0099】
図9(d)を参照して、この発明に係る製造方法の第4工程では、この発明の第3工程で得られた基体シート1を、金属イオンのメッキ液に浸漬させることにより、この発明の透明導電性シート100の製造方法が完了する。
【0100】
使用する金属イオンのメッキ液は、メッキの原料となる金属塩と還元剤で構成され、安定剤や緩衝剤が適宜加えられる。例えば、銅イオンの場合には、塩として硫酸銅が用いられる。
【0101】
本発明の金属薄膜シートの製造方法は上記のように構成したので、金属薄膜層2を構成する金属の種類は自由に選択できる。そのため金属薄膜層2を有色で透明性のない金属や、金属光沢色を呈する金属で構成しても透明導電性シート100を形成することができる。また金属薄膜層2をメッキ法で形成すると、ほぼ均一に金属薄膜層2が形成でき、かつ金属薄膜層2を所望の形状、大きさのメッシュ状パターンで形成できるので、安定した導電性能・電磁波遮蔽性能を得ることもできる。
【0102】
最後に、この発明の透明導電性シート100を用いて樹脂12に装飾を行い、加飾成形品を得るための製造方法について説明する。
【0103】
図10は、この発明の製造方法における概略工程を示した断面図である。図10(a)は、透明導電性シート100を成形金型11内に設置するときの断面図である。図10(b)は、透明導電性シート100を設置した成形金型11内に、樹脂12を射出するときの断面図である。図10(c)は、樹脂12と透明導電性シート100とが一体化された加飾成形品を金型内から取出すときの断面図である。
【0104】
図10(a)を参照して、この発明における第1工程では、可動型9と固定型10とからなる成形用金型11内に透明導電性シート100を送り込む。その際、枚葉の透明導電性シート100を1枚づつ送り込んでもよいし、長尺の透明導電性シート100の必要部分を間欠的に送り込んでもよい。長尺の透明導電性シート100を使用する場合、位置決め機構を有する送り装置を使用して、透明導電性シート100のパターンと成形用金型11との見当が一致するようにするとよい。また、透明導電性シート100を間欠的に送り込む際に、透明導電性シート100の位置をセンサーで検出した後に透明導電性シート100を可動型9と固定型10とで固定するようにすれば、常に同じ位置で透明導電性シート100を固定することができ、パターンの位置ずれが生じないので便利である。
【0105】
図10(b)を参照して、この発明における第2工程では、成形用金型11を閉じた後、ゲートから樹脂12を金型内に射出充満させ、被加飾を形成するのと同時にその面に金属薄膜シート100を接着させたのち、次の工程に移行する。
【0106】
図10(c)を参照して、この発明における第3工程では、被加飾物である加飾成形品を冷却した後、成形用金型11を開いて加飾成形品を取り出し、加飾成形品の製造方法に係る全工程が完了する。
【0107】
なお、離型性を有する基体シート1から構成される透明導電性シート100を用いて加飾成形品を作成する場合、上記第3工程において、加飾成形品を金型内から取出すと共に、加飾成形品から基体シート1を剥離するか、若しくは加飾成形品を金型内から取出したのちに、基体シート1を加飾成形品から剥離することにより、転写成形品を得ることができる。
【0108】
また、金属薄膜シート100を用い、上記以外の方法を用いて被転写物面に装飾を行う方法について説明する。
【0109】
まず、被転写物面に、透明導電性シート100の接着層13を密着させる。次に、シリコンラバーなどの耐熱ゴム状弾性体を備えたロール転写機、アップダウン転写機などの転写機を用い、温度80〜260℃程度、圧力490〜1960Pa程度の条件に設定した耐熱ゴム状弾性体を介して透明導電性シート100の基体シート1側から熱と圧力とを加える。こうすることにより、接着層139が被転写物表面に接着する。最後に、冷却後に基体シート1を剥がすと、基体シート1と剥離層5との境界面で剥離が起こり、転写が完了する。
【0110】
被転写物としては、樹脂成形品など各種材質からなるものを用いることができる。被転写物は、透明、半透明、不透明のいずれでもよい。また、被転写物は、着色されていても、着色されていなくてもよい。樹脂の材質としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AN樹脂などの汎用樹脂を挙げることができる。また、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂などの汎用エンジニアリング樹脂やポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリル系耐熱樹脂などのスーパーエンジニアリング樹脂を使用することもできる。さらに、ガラス繊維や無機フィラーなどの補強材を添加した複合樹脂も使用できる。
【実施例】
【0111】
以下の実施例および比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0112】
(実施例1)
基体シートとして厚さ38μmのポリエステル樹脂フィルムを用い、基体シート上に、メラミン樹脂系の離型層、アクリル樹脂系の剥離層、厚さ2μmのウレタン樹脂系の装飾層をグラビア印刷により順次形成した後、幅が100nm、ピッチが1μmの正方形の格子パターンの溝が深さ200nmで形成されたニッケル電鋳からなるナノインプリント金型を載せ、装飾層表面に対して100℃の加温下で5MPaの圧力で押圧し、水冷して5分間放置し、上記金型を離型したところ装飾層表面に正方形の島状パターンからなる微細な凸部が形成され、微細な凹部はメッシュ状に形成されていた。
【0113】
次に、得られた微小な凹凸のある基体シートを無電解メッキ触媒が付与された水溶液に浸漬し、即座に微細な凸部に形成された無電解メッキ触媒をスキージAでもってかきとることによって取り除き、乾燥した後、上記シートを銅イオンの無電解メッキ液に浸漬したところ、微細な凹部には厚さ500nmの銅メッキからなる金属薄膜層が形成されたが、微細な凸部には銅メッキからなる金属薄膜層が殆ど形成されなかった。得られた金属薄膜層は巾が100nmのサイズからなる微小なメッシュ状パターンに形成されていた。この金属薄膜層上にアクリル樹脂系の接着層を塗装により塗布し金属薄膜シートを得た後、これを用いて成形同時転写法によりアクリル樹脂成形品の表面に転写して、加飾成形品を得た。
【0114】
得られた加飾成形品は銅メッキからなる金属薄膜層がメッシュ状パターンに形成されているため導電性および電磁波遮蔽性を有するものであった。しかし、金属薄膜層は巾が100nmのサイズからなる微小なメッシュ状パターンであるため外見上は視認されることがなく、従来の透明導電膜の絵付がされた成形品と変わりがない意匠を有するものであった。その結果、得られた加飾成形品を透明アンテナに適用することができた。
【0115】
(実施例2)
基体シートとして厚さ100μmのポリカーボネート樹脂フィルムを用い、基体シート上に幅が0.05μmで一辺が0.4μmの正六角形のハニカムパターンの溝が深さ0.08μmで形成されたニッケル電鋳からなるナノインプリント金型を載せ、120℃の加温下で10MPaの圧力で押圧し、水冷して10分間放置し、上記金型を離型したところ、基体シート表面に上記ハニカムパターンの微細な凸部が形成され微細な凹部はメッシュ状に形成されていた。
【0116】
次に、得られた微小な凹凸のある基体シートの微細な凸部に厚さ0.5μmのアクリル系樹脂からなる剥離レジスト層をグラビア印刷により形成した後、無電解メッキ触媒が付与された水溶液に浸漬し、乾燥した後、有機溶剤で剥離レジスト層をその上に付着された無電解メッキ触媒ごと除去し、銀イオンの無電解メッキ液に浸漬したところ、微細な凹部には厚さ600nmの銀メッキからなる金属薄膜層が形成されたが、微細な凸部には銀メッキからなる金属薄膜層が殆ど形成されなかった。得られた金属薄膜層は巾0.05μmのサイズからなる微小なメッシュ状パターンに形成されていた。この金属薄膜層上にアクリル樹脂系の接着層を塗装により塗布し金属薄膜シートを得た後、これを用いて成形同時インサート法によりアクリル樹脂成形品の表面に付着して、加飾成形品を得た。
【0117】
得られた加飾成形品は導電性および電磁波遮蔽性を有するものであった。また、金属薄膜層が銀メッキ膜で形成されているにもかかわらず、その線幅が微小なサイズであるため外見上は透明導電膜の絵付がされた成形品と変わりがない充分な透明性を備えていた。その結果、この加飾成形品の導電部分は、透明の静電容量スイッチとして機能させることができた。また、ディスプレイ窓部など照光機能が必須とされる意匠にも適用できた。
【0118】
(実施例3、実施例4)
実施例1の微細な凹部を精密NC工作機械を使って切削加工により、深さ0.5μm、幅2μm、ピッチが12μmの正方形の格子パターンに形成する以外は、実施例1と同様にした。また、微細な凹部を電子線ビームの照射により形成する以外は、実施例2と同様にした。上記実施例3、実施例4も、それぞれ実施例1、実施例2と同様の結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、携帯電話などの通信機器、自動車内部の情報機器、家電製品など、各種成形品において好適に用いることができ、産業上有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明に係る透明導電性シートの一実施例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る透明導電性シートの一実施例を示す断面図である。
【図3】本発明に係る透明導電性シートの一実施例を示す断面図である。
【図4】本発明に係る透明導電性シートの一実施例を示す平面図である。
【図5】本発明に係る透明導電性シートの一実施例を示す断面図である。
【図6】本発明に係る透明導電性シートの製造方法の一実施例を示す断面図である。
【図7】本発明に係る透明導電性シートの製造方法の一実施例を示す断面図である。
【図8】本発明に係る透明導電性シートの製造方法の一実施例を示す断面図である。
【図9】本発明に係る透明導電性シートの製造方法の一実施例を示す断面図である。
【図10】本発明に係る透明導電性シートを用いた加飾成形品の製造方法の一実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0121】
1 基体シート
2 金属薄膜層
3 レジスト層
4 微細な凸部
5 微細な凹部
6 塗膜層
7 アルコール性脱離層
8 メッキ触媒層
9 可動型
10 固定型
11 成形用金型
12 樹脂
100 透明導電性シートスタンパー
101 加飾成形品
A スキージ
H 微細な凹部の深さ
S スタンパー
L 微細な凸部の幅
Y アスペクト比
W 微細な凹部の線幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に多数の微細な凹部と微細な凸部を有し、前記微細な凹部の平面がメッシュ状である基体シートと、前記基体シートの微細な凹部の上に金属薄膜層とが少なくとも形成されることを特徴とする透明導電性シート。
【請求項2】
表面に多数の微細な凹部と微細な凸部を有し、前記微細な凹部の平面がメッシュ状である基体シートと、前記基体シートの微細な凹部と微細な凸部の上に形成される塗膜層とが少なくとも形成されることを特徴とする透明導電性シート。
【請求項3】
前記微細な凹部のメッシュ状パターンの線幅が0.01μm〜2μmの間隔で存在し、かつ微細な凸部のアスペクト比が0.01〜5である請求項1〜2のいずれかに記載の透明導電性シート。
【請求項4】
微細な凹部の隣り合うメッシュ状パターンの線間距離がメッシュ状パターンの線幅の5倍以上1000倍未満である請求項1〜3にいずれかに記載の透明導電性シート。
【請求項5】
金属薄膜層がアルミニウム、銅、クロム、ニッケル、銀、金のいずれかからなる請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性シート。
【請求項6】
金属薄膜層の厚さが0.01μm〜1μmである請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電性シート。
【請求項7】
基体シートの表面にナノインプリント法を用いてその一部または全部に多数の微細な凹部と微細な凸部を形成する第1工程と、前記微細な凸部の上にアルコール性脱離層を形成する第2工程と、前記微細な凹部および前記微細な凸部の上に金属薄膜層を形成する第3工程と、前記微細な凸部の上に形成された前記アルコール性脱離層と前記金属薄膜層をアルコール処理で脱離除去する第4工程と、を備えることにより金属薄膜層が微細なメッシュ形状を形成することを特徴とする透明導電性シートの製造方法。
【請求項8】
基体シートの上に形成された塗膜層の表面にナノインプリント法を用いてその一部または全部に多数の微細な凹部と微細な凸部を形成する第1工程と、前記微細な凸部の上にアルコール性脱離層を形成する第2工程と、前記微細な凹部および前記微細な凸部の上に金属薄膜層を形成する第3工程と、前記微細な凸部の上に形成された前記アルコール性脱離層と前記金属薄膜層をアルコール処理で剥離除去する第4工程と、を備えることにより金属薄膜層が微細なメッシュ形状を形成することを特徴とする透明導電性シートの製造方法。
【請求項9】
基体シートの表面にナノインプリント法を用いてその一部または全部に多数の微細な凹部と微細な凸部を形成する第1工程と、前記微細な凹部および前記微細な凸部の上に金属薄膜層を形成する第2工程と、前記微細な凹部の上に形成された前期金属薄膜層の上にレジスト層を形成する第3工程と、前記微細な凸部の上に形成された前記金属薄膜層をウエットエッチング法で除去する第4工程と、を備えることにより金属薄膜層が微細なメッシュ形状を形成することを特徴とする透明導電性シートの製造方法。
【請求項10】
基体シートの上に形成された塗膜層の表面にナノインプリント法を用いてその一部または全部に多数の微細な凹部と微細な凸部を形成する第1工程と、前記微細な凹部および前記微細な凸部の上に金属薄膜層を形成する第2工程と、前記微細な凹部の上に形成された前記金属薄膜層の上にレジスト層を形成する第3工程と、前記微細な凸部の上に形成された前記金属薄膜層をウエットエッチング法で除去する第4工程と、を備えることにより金属薄膜層が微細なメッシュ形状を形成することを特徴とする透明導電性シートの製造方法。
【請求項11】
基体シートの表面にナノインプリント法を用いてその一部または全部に多数の微細な凹部と微細な凸部を形成する第1工程と、前記微細な凹部と前記微細な凸部の上に全面的にメッキ触媒層を形成する第2工程と、前記微細な凸部に形成した前記メッキ触媒層を除去する第3工程と、前記メッキ触媒層の上に金属薄膜層を形成する第4工程と、を備えることにより金属薄膜層が微細なメッシュ形状を形成することを特徴とする透明導電性シートの製造方法。
【請求項12】
基体シートの上に形成された塗膜層の表面にナノインプリント法を用いてその一部または全部に多数の微細な凹部と微細な凸部を形成する第1工程と、前記微細な凹部と前記微細な凸部の上に全面的にメッキ触媒層を形成する第2工程と、前記微細な凸部に形成した前記メッキ触媒層を除去する第3工程と、前記メッキ触媒層の上に金属薄膜層を形成する第4工程と、を備えることにより金属薄膜層を微細なメッシュ形状を形成することを特徴とする透明導電性シートの製造方法。
【請求項13】
メッシュ状パターンの線幅が0.01μm〜2μmの間隔で存在し、かつ微細な凸部のアスペクト比が0.01〜5である請求項7〜12のいずれかに記載の透明導電性シートの製造方法。
【請求項14】
メッシュ状パターンの線間距離がメッシュ状パターンの線幅の5倍以上1000倍未満である請求項7〜13にいずれかに記載の透明導電性シートの製造方法。
【請求項15】
金属薄膜層がメッキ法により形成される請求項7〜14のいずれかに記載の透明導電性シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−157427(P2010−157427A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334973(P2008−334973)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】