説明

通信システム、中継装置及び車載電話機

【課題】 携帯電話機と車載電話機に対して乗車状態と非乗車状態で異なる電話番号に基づいて通信サービスを提供する場合であっても、その通信サービスを受けるユーザが同一か否かをサーバに通知できるようにする。
【解決手段】 ゲートウェイ装置が、携帯電話機及び車載電話機に共通のUIDをその携帯電話機の電話番号及び車載電話機の電話番号に対応付けて記憶しておき、携帯電話機又は車載電話機からCPサーバ装置に対するデータ通信が要求されると、その要求元の電話機の電話番号に対応付けて記憶されたUIDをCPサーバ装置に通知する。よって、携帯電話機のユーザが利用電話機を切り替えて車載電話機を利用している場合であっても、そのユーザのUIDをサーバに通知することができ、CPサーバ装置はユーザが同一性を判断することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが携帯電話機と車載電話機を切り替えて利用するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが車両を運転しながら携帯電話機を使用する行為は、交通事故を誘発することがあるため、非常に危険な行為として問題視されている。そこで、このような行為を未然に防止するために、特許文献1には、車載電話機と携帯電話機との各々に共通の電話番号を割り当てておき、必要に応じて、これら車載電話機及び携帯電話機のうち一方だけを使用可能にする仕組みが提案されている。具体的には、携帯電話機が車両の外に位置するときには、車載電話機の電話機能を停止するとともに、携帯電話機を上記電話番号にて使用可能にする。一方、携帯電話機が車両の内部に持ち込まれた場合には、携帯電話機の電話機能を停止するとともに、車載電話機を上記電話番号にて使用可能にする。これにより、ユーザが車両に乗車しているときに上記電話番号に対する呼び出しがなされた場合には、携帯電話機ではなく車載電話機に着信することになる。よって、ユーザは車載電話機のハンズフリー通話機能を用いることで、運転中であっても安全に通話を行うことができるようになる。また、特許文献2には、上記の仕組みを改善したものとして、複数のユーザが同一の車両を利用する場合に、いずれのユーザが車両に乗車したとしても、乗車したユーザの携帯電話機に代えて車載電話機を使用可能にするための仕組みが提案されている。
【特許文献1】特開2001−197560号公報
【特許文献2】特開2004−193641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したような従来技術と異なる手法としては、携帯電話機と車載電話機にそれぞれ別々の電話番号を割り当てておき、乗車中/非乗車中で携帯電話機と車載電話機を切り替えて使用するというものが考えられる。具体的には、図5aに示すように、携帯電話機には電話番号aを割り当て、車載電話機には電話番号bを割り当てておく。そして、非乗車状態では、電話番号aを用いて音声通信サービス及びデータ通信サービスを携帯電話機に提供する一方、乗車状態では、携帯電話機に対しては一切の通信サービスを提供せずに、電話番号bを用いて車載電話機に通信サービスを提供する。なお、音声通信サービスには、映像や楽曲の配信サービスやいわゆるテレビ電話サービスなどのAV(Audio Visual)サービスが含まれている。
【0004】
しかし、このように異なる電話番号が割り当てられた携帯電話機及び車載電話機を乗車状態/非乗車状態で切り替えて使用する方法では、次のような問題が生じてくる。
例えば携帯電話機がインターネット上のCP(Contents Provider)サーバにアクセスする場合、CPサーバ装置側がアクセス元の携帯電話機を識別できるように、アクセス元の携帯電話機の電話番号と1対1で対応するユーザ識別情報(以下、UIDという)を移動通信網からCPサーバ装置に通知するようになっている。このような仕組みにより、ユーザがわざわざユーザIDなどの識別情報を携帯電話機に入力しなくても、CPサーバ装置はアクセス元の携帯電話機を識別できるから、その携帯電話機のユーザ固有のメニュー画面やメッセージなどを携帯電話機に提供することが可能となる。
【0005】
ところが、上記のように異なる電話番号を切り替えて使用する仕組みにおいては、乗車状態と非乗車状態とで使用する電話番号が異なるから、移動通信網からCPサーバ装置に通知されるUIDも異なることになる。よって、乗車状態と非乗車状態とでユーザが同じであったとしても、CPサーバ装置はアクセス元のユーザが同一であると認識することができない。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザが携帯し得る携帯電話機と車両に搭載された車載電話機に対し、乗車状態と非乗車状態で異なる電話番号に基づいて通信サービスを提供する場合であっても、その通信サービスを受けるユーザが同一か否かをサーバに通知することが可能な仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は、サーバ装置とデータ通信を行う携帯電話機と、前記携帯電話機の電話番号とは異なる電話番号が割り当てられ、前記サーバ装置とデータ通信を行う車載電話機と、前記携帯電話機及び前記車載電話機と前記サーバ装置との間のデータ通信を中継する中継装置とを備え、前記中継装置は、前記携帯電話機及び前記車載電話機に共通のユーザ識別情報を前記携帯電話機の電話番号及び前記車載電話機の電話番号に対応付けて記憶した識別情報記憶手段と、前記携帯電話機又は前記車載電話機から前記サーバ装置に対するデータ通信が要求されると、その要求元の電話機の電話番号に対応付けて前記識別情報記憶手段に記憶された前記ユーザ識別情報を前記サーバ装置に通知する通知手段とを有する通信システムを提供する。
【0008】
サーバ装置からコンテンツを車載電話機にダウンロードした場合、そのダウンロードしたユーザにのみコンテンツ利用の権限があるという考え方に立つ場合、次のようにすることが望ましい。
つまり、前記車載電話機に対して利用電話機として切り替えられた携帯電話機の電話番号を記憶した記憶装置を備え、前記車載電話機は、前記サーバ装置とのデータ通信によってコンテンツを取得した場合、取得したコンテンツと、その取得時に利用電話機として切り替えられていた携帯電話機の電話番号とを対応付けて記憶したコンテンツ記憶手段と、前記コンテンツ記憶手段によって記憶されたコンテンツを利用する場合、利用電話機として切り替えられている携帯電話機の電話番号を前記記憶装置に問い合わせる問い合わせ手段と、前記問い合わせに応じて取得した携帯電話機の電話番号と、利用対象のコンテンツと対応付けて前記コンテンツ記憶手段に記憶された携帯電話機の電話番号とが一致する場合には前記コンテンツの利用を許可する一方、一致しない場合には前記コンテンツの利用を許可しない判断手段とを有する。
また、複数の前記携帯電話機から1台の前記車載電話機に対して、ユーザが利用する利用電話機としての切替が可能であり、前記車載電話機は、利用電話機として切り替えられた携帯電話機の電話番号を記憶する切替電話機記憶手段と、前記サーバ装置とのデータ通信によってコンテンツを取得した場合、取得したコンテンツと、その取得時に利用電話機として切り替えられていた携帯電話機の電話番号とを対応付けて記憶したコンテンツ記憶手段と、前記コンテンツ記憶手段によって記憶されたコンテンツを利用する場合、前記切替電話機記憶手段の記憶内容を参照し、利用電話機として切り替えられている携帯電話機の電話番号を特定する特定手段と、特定された携帯電話機の電話番号と、利用対象のコンテンツと対応付けて前記コンテンツ記憶手段に記憶された携帯電話機の電話番号とが一致する場合には前記コンテンツの利用を許可する一方、一致しない場合には前記コンテンツの利用を許可しない判断手段とを有する。
このようにすれば、コンテンツ利用の権限の無いユーザによってそのコンテンツが利用されるような事態を防止することができる。
【0009】
また、本発明は、それぞれ異なる電話番号が割り当てられた携帯電話機及び車載電話機とサーバ装置との間のデータ通信を中継する中継装置であって、前記携帯電話機及び前記車載電話機に共通のユーザ識別情報を前記携帯電話機の電話番号及び前記車載電話機の電話番号に対応付けて記憶した識別情報記憶手段と、前記携帯電話機又は前記車載電話機から前記サーバ装置に対するデータ通信が要求されると、その要求元の電話機の電話番号に対応付けて前記識別情報記憶手段に記憶された前記ユーザ識別情報を前記サーバ装置に通知する通知手段とを備える中継装置を提供する。
【0010】
複数の携帯電話機から1台の車載電話機に対して、ユーザが利用する利用電話機としての切替が可能であり、これら複数の携帯電話機と1台の車載電話機のユーザを全て同一とみなしてもよい場合には、複数の前記携帯電話機から1台の前記車載電話機に対して、ユーザが利用する利用電話機としての切替が可能であり、前記識別情報記憶手段は、複数の前記携帯電話機と1台の前記車載電話機に共通のユーザ識別情報を前記複数の携帯電話機の電話番号及び前記1台の車載電話機の電話番号に対応付けて記憶する。これにより、通信サービスを受ける携帯電話機又は車載電話機のユーザが同一か否かをサーバに通知することが可能となる。
一方、複数の携帯電話機から1台の車載電話機に対して、ユーザが利用する利用電話機としての切替が可能であるが、これら複数の携帯電話機のそれぞれのユーザを同一とみなしてはいけない場合は、複数の前記携帯電話機から1台の前記車載電話機に対して、ユーザが利用する利用電話機としての切替が可能であり、前記識別情報記憶手段は、1台の前記携帯電話機と1台の前記車載電話機に共通のユーザ識別情報を前記1台の携帯電話機の電話番号及び前記1台の車載電話機の電話番号に対応付けて記憶しており、前記通知手段は、車載電話機から前記サーバ装置に対するデータ通信が要求されると、その要求元の車載電話機との間で利用電話機として切り替えられている携帯電話機の電話番号を外部の記憶装置から取得し、取得した携帯電話機の電話番号と前記車載電話機の電話番号に対応付けられて記憶されている前記ユーザ識別情報を前記サーバ装置に通知する。このようにすれば、これら複数の携帯電話機のユーザを全て別々のユーザとしてサーバ装置に知らせることができる。
【0011】
また、本発明は、携帯電話機との間で利用電話機として切り替えられて利用される車載電話機であって、サーバ装置とデータ通信を行う通信手段と、前記サーバ装置とのデータ通信によってコンテンツを取得した場合、取得したコンテンツと、その取得時に利用電話機として切り替えられていた携帯電話機の電話番号とを対応付けて記憶したコンテンツ記憶手段と、前記コンテンツ記憶手段によって記憶されたコンテンツを利用する場合、利用電話機として切り替えられている携帯電話機の電話番号を外部の記憶装置に問い合わせる問い合わせ手段と、前記問い合わせに応じて取得した携帯電話機の電話番号と、利用対象のコンテンツと対応付けて前記コンテンツ記憶手段に記憶された携帯電話機の電話番号とが一致する場合には前記コンテンツの利用を許可する一方、一致しない場合には前記コンテンツの利用を許可しない判断手段とを備える車載電話機を提供する。
【0012】
また、本発明は、携帯電話機との間で利用電話機として切り替えられて利用される車載電話機であって、サーバ装置とデータ通信を行う通信手段と、利用電話機として切り替えられた携帯電話機の電話番号を記憶する切替電話機記憶手段と、前記サーバ装置とのデータ通信によってコンテンツを取得した場合、取得したコンテンツと、その取得時に利用電話機として切り替えられていた携帯電話機の電話番号とを対応付けて記憶したコンテンツ記憶手段と、前記コンテンツ記憶手段によって記憶されたコンテンツを利用する場合、前記切替電話機記憶手段の記憶内容を参照し、利用電話機として切り替えられている携帯電話機の電話番号を特定する特定手段と、特定された携帯電話機の電話番号と、利用対象のコンテンツと対応付けて前記コンテンツ記憶手段に記憶された携帯電話機の電話番号とが一致する場合には前記コンテンツの利用を許可する一方、一致しない場合には前記コンテンツの利用を許可しない判断手段とを備える車載電話機を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、実施形態の詳細について説明する。なお、本実施形態では、ユーザが車両に乗車していない状態(非乗車状態)から乗車している状態(乗車状態)になり、ユーザが利用する電話機を携帯電話機から車載電話機に切り替えることを「利用電話機の切替」と呼ぶ。一方、乗車状態から非乗車状態となり、ユーザが利用する電話機を車載電話機から携帯電話機に戻すことを「利用電話機の切替解除」と呼ぶことにする。
【0014】
(1)構成
まず、実施形態の構成について説明する。
(1−1)システム全体の構成
図1に示す通信システムにおいて、車両1にはカーナビゲーション装置2が搭載されている。このカーナビゲーション装置2には車載モジュール3が接続されている。車両1に乗車している複数のユーザは、それぞれ携帯電話機4a,4bを携帯している。これらの携帯電話機4a,4bは、例えばIMT−2000(International Mobile Telecommunucation-2000)方式の携帯電話機であり、移動通信網5によって提供される通信サービスを受けることが可能である。また、車載モジュール3とカーナビゲーション装置2とは互いに連携することによって、上記携帯電話機4a,4bとほぼ同様の電話機として機能し、移動通信網5から提供される通信サービスを受けることができる。以下では、これら車載モジュール3とカーナビゲーション装置2とを合わせて、「車載電話機10」と呼ぶことにする。
【0015】
移動通信網5は、携帯電話機4a,4bや車載電話機10と無線通信を行う基地局51と、網内の回線交換処理を行う交換局52とを備えている。そして、この移動通信網5には、ホームロケーションレジスタ6と、音声メッセージ提供装置7と、ゲートウェイ装置8とが接続されている。ホームロケーションレジスタ6は、位置登録情報などの周知の情報が記憶されているほか、乗車状態/非乗車状態の別に応じて携帯電話機4a,4bや車載電話機10に対して通信サービスを提供するために必要な情報を記憶する記憶装置である。音声メッセージ提供装置7は、携帯電話機4a,4b及び車載電話機10に音声メッセージを提供する。この音声メッセージ提供装置7には、いわゆる「特番」と呼ばれる、短縮された電話番号が割り当てられている。ゲートウェイ装置8は、移動通信網5とインターネット9との間でデータ通信を中継する中継装置である。インターネット9には複数のCPサーバ装置10a,10bが接続されている。
【0016】
移動通信網5によって提供される通信サービスには大別して、音声通信サービスとデータ通信サービスとがある。音声通信サービスには、双方向もしくは片方向の音声信号を1対1で遣り取りするサービス(音声通話)や、双方向もしくは片方向のオーディオ/ビデオ信号を1対1で遣り取りするサービス(いわゆるテレビ電話や映像配信)などが含まれる。また、データ通信サービスは、IP(インターネットプロトコル)に準拠したパケット単位のデータ通信サービスや、電子メール或いはショートメッセージ(SMS:Short Message Service)の配信サービスなどが含まれる。
【0017】
(1−2)携帯電話機の構成
ここで、図2のブロック図を参照しながら、携帯電話機4aの構成について説明する。
図2において、音声処理部41aは、マイクロホン42aから出力されてくる音声信号を音声デジタル信号にA/D変換するほか、データ変換部43aから出力されてくる音声デジタル信号を音声信号にD/A変換し、スピーカ44aに出力する。データ変換部43aは、音声処理部41aから出力されてくる音声デジタル信号に対して変調処理を施すほか、無線部45aから出力されてくる信号を復調する。無線部45aは、データ変換部43aによって変調された音声デジタル信号を所定の周波数帯域の搬送波信号によって直交変調し、これを図示せぬアンテナから無線信号として送信する。また、無線部45aは、アンテナによって受信した無線信号を直交復調してデータ変換部43aに出力する。操作部46aは、オンフックやオフフック等の各種機能や、文字・数字などが割り付けられたキーを有しており、各キーに対するユーザの押圧操作に応じて操作信号を制御部47aに出力する。表示部48aは、制御部47aからの指示に基づいて各種の画像を表示する。記憶部49aは、ROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の不揮発性記憶手段である。この記憶部49aには、携帯電話機4aに割り当てられた電話番号(MSISDN:Mobile Station International ISDN Number)と、IMUI(International Mobile User Identity)などの携帯電話機4aそのものを一意に識別するための機器識別子と、各種の制御プログラムとが記憶されている。この制御プログラムには、WWW(World Wide Web)ブラウザなどが含まれている。制御部47aは、マイクロプロセッサにより構成されており、記憶部49aに記憶されている制御プログラムを実行することで携帯電話機4aの各部を制御する。
以上が携帯電話機4aの構成である。なお、携帯電話機4bの構成も携帯電話機4aと同様であるため、その説明は省略する。
【0018】
(1−3)車載電話機の構成
次に、図3は、車載モジュール3及びカーナビゲーション装置2(つまり車載電話機10)の構成を示すブロック図である。車載モジュール3は、前述した携帯電話機4aと同様の構成である無線部31、データ変換部32及び音声処理部33を備えるほか、マイクロプロセッサからなる制御部34と、ROMやEEPROM等の記憶部35とを備えている。この記憶部35には、車載モジュール3(車載電話機10)に割り当てられた電話番号や、車載モジュール3を車載電話機10として一意に識別するための機器識別子(例えばIMUI)や、各種の制御プログラムが記憶されている。制御部34は、記憶部35に記憶されている制御プログラムを実行することで車載モジュール3の各部を制御する。また、車載モジュール3は、通信インタフェース37を備えており、この通信インタフェース37を介してカーナビゲーション装置2に接続されている。この車載モジュール3及びカーナビゲーション装置2の間の通信接続の形態は、有線接続であっても無線接続であってもよい。有線接続の場合、通信インタフェース37は、通信ケーブルを接続するためのコネクタや通信回路を備えるものであり、無線接続の場合、通信インタフェース37は、ブルートゥース(登録商標)やIrDA等の通信規格に従って通信を行う無線送受信回路を備えるものである。なお、図3に示した構成以外に、車載モジュール3をカーナビゲーション装置2に内蔵するようにしてもよいし、これら車載モジュール3とカーナビゲーション装置2とを、互いのコネクタとコネクタとを直接連結することで通信接続するようにしてもよい。
【0019】
前述したように、車載モジュール3とカーナビゲーション装置2とは車載電話機として機能するが、車載モジュール3は、通話に必要なマイクロホンやスピーカを備えていない。そこで、車載モジュール3は、カーナビゲーション装置2に備えられたマイクロホン21及びスピーカ22を利用するようになっている。具体的には、車載モジュール3の音声処理部33は、マイクロホン21から出力される音声信号を通信インタフェース23及び通信インタフェース37を介して受け取り、これを音声デジタル信号にA/D変換してデータ変換部32に供給する。また、音声処理部33は、データ変換部32から出力されてくる音声デジタル信号を音声信号にD/A変換し、これを通信インタフェース37及び通信インタフェース23を介してスピーカ22に出力する。これによって、ユーザはいわゆるハンズフリー通話を行うことができる。また、車載モジュール3は、携帯電話機4a,4bのような操作部や表示部を備えていないが、これらについても、上記と同様にカーナビゲーション装置2に備えられた操作部24や表示部25を利用するようになっている。
【0020】
カーナビゲーション装置2の記憶部27は、ハードディスクやDVD(Digital Versatile Disk)等の不揮発性記憶手段である。この記憶部27には、WWWブラウザや、カーナビゲーション用の制御プログラムや、車載モジュール3と通信を行いつつ車載電話機10として機能するための制御プログラムなどが記憶されている。制御部26は、マイクロプロセッサにより構成されており、記憶部27に記憶されている制御プログラムを実行することで、カーナビゲーション装置2の各部を制御する。測位部28は、図示せぬGPS衛星から受信した航法メッセージに基づいて自身の位置を算出するものである。
【0021】
(1−4)ホームロケーションレジスタに記憶されている内容
次に、図4は、ホームロケーションレジスタ6に記憶されている情報の一例を示す図である。ホームロケーションレジスタ6には、契約毎に割り当てられた「契約コード」と、携帯電話機か車載電話機かの別を示す「機器名」と、携帯電話機または車載電話機に割り当てられた「電話番号」と、利用電話機の切替がなされているか否かを表す「切替フラグ」と、利用電話機の切替の対象である携帯電話機を示す「切替対象フラグ」と、車載電話機(車載モジュール)に記憶されている「車載用PINコード」と、携帯電話機または車載電話機(車載モジュール)に割り当てられた「機器識別子」とがそれぞれ対応づけられて記憶されている。これらの情報のうち、「契約コード」、「機器名」、「電話番号」、「車載用PINコード」及び「機器識別子」は、ユーザからの届け出又は通信事業者の取り決めによって、予めホームロケーションレジスタ6に記憶されるものである。そして、「切替フラグ」と「切替対象フラグ」とが、携帯電話機又は車載電話機からの指示に応じて適宜書き換えられて記憶されるものである。
【0022】
図4に示す例では、例えば電話番号「090-1111-1111」の携帯電話機(図1の携帯電話機4aとする)と、「090-1111-1112」の携帯電話機(携帯電話機4bとする)と、電話番号「090-9999-9991」の車載電話機(車載電話機10とする)とが1つの契約単位にまとめられている。つまり、これらの携帯電話機及び車載電話機の間で、利用電話機の切替(及び切替解除)がなされるという契約になっていることを意味している。これは、例えば携帯電話機4aを利用するユーザと携帯電話機4bを利用するユーザとが家族であり、これらのユーザのいずれかが車載電話機10を搭載する車両1を運転する、というようなケースである。
【0023】
そして、これらの携帯電話機及び車載電話機に対応づけて切替フラグ「1」が設定されている場合は、車載電話機に対して利用電話機としての切替がなされていることを意味している。つまり、携帯電話機のユーザは車両に乗車中である。一方、切替フラグ「0」が設定されている場合は、車載電話機に対して利用電話機としての切替がなされていないこと(利用電話機の切替解除)を意味している。つまり、携帯電話機のユーザは車両に乗車していない状態である。そして、切替対象フラグは、車載電話機に対して利用電話機として切り替えられた(つまり利用電話機の切替対象の)携帯電話機に対して「1」が設定される。図4の例では、電話番号「090-1111-1111」の携帯電話機4aと、「090-1111-1112」の携帯電話機4bと、電話番号「090-9999-9991」の車載電話機10とからなる組については、利用切替フラグ「1」が設定されているから、利用電話機の切替がなされている。さらに、電話番号「090-1111-1111」の携帯電話機4aについて切替対象フラグ「1」が設定されているから、携帯電話機4aが車載電話機10に対する利用電話機としても切替対象であることが示されている。
これに対し、電話番号「090-1111-1114」、「090-1111-1115」、「090-1111-1116」の携帯電話機と、電話番号「090-9999-9993」の車載電話機とからなる組については、利用切替フラグ「0」が設定されているから、利用電話機の切替がなされていない場合、つまりいずれの携帯電話機のユーザも車両に乗車していない場合を示している。
【0024】
(1−5)通信サービスの提供形態
次に、図5aは、乗車状態と非乗車状態において、携帯電話機と車載電話機に対して、どの通信サービスがどの電話番号に基づいて提供されるかということを示す概念図である。図中「a」と記された通信サービスは、電話番号aに基づいて提供されることを意味しており、「b」と記された通信サービスは、電話番号bに基づいて提供されることを意味しており、「−」と記された通信サービスは、提供することが許されていないことを意味している。図に示すように、非乗車状態(利用電話機の切替解除の状態)においては、携帯電話機は、自身の電話番号aを用いて音声通信サービス及びデータ通信サービスを受けることができるが、車載電話機10は、これらのサービスをうけることができない。一方、乗車状態(利用電話機の切替を行った状態)においては、利用電話機の切替対象である携帯電話機は通信サービスを受けることができず、車載電話機10は、自身の電話番号bを用いて、音声通信サービス及びデータ通信サービスを受けることができるようになっている。
【0025】
また、図5bは、2台の携帯電話機と車載電話機に対して、どの通信サービスがどの電話番号に基づいて提供されるかということを示す図である。この図5bに示すように、非乗車状態(利用電話機の切替解除の状態)においては、一方の携帯電話機は、自身の電話番号aを用いて音声通信サービス及びデータ通信サービスを受けることができるし、他方の携帯電話機は、自身の電話番号cを用いて音声通信サービス及びデータ通信サービスを受けることができる。一方、乗車状態(利用電話機の切替を行った状態)においては、利用電話機の切替対象でない携帯電話機(電話番号aの携帯電話機)は非乗車状態と同じようにサービスを受けることができるが、利用電話機の切替対象である携帯電話機(電話番号cの携帯電話機)は通信サービスを一切受けることができない。これに対し、車載電話機10は、自身の電話番号bを用いて、音声通信サービス及びデータ通信サービスを受けることができるようになっている。
【0026】
(1−6)ゲートウェイ装置の構成
次に、図6は、ゲートウェイ装置8の構成を示すブロック図である。図6に示すように、ゲートウェイ装置8は、制御部81と、通信部82と、記憶部83とを備えている。制御部81は、CPUなどの演算装置と、ROMやRAMなどの各種メモリとを備えている。通信部82は、移動通信網5やインターネット9に接続するためのインタフェースや通信制御回路を備えている。記憶部83は、例えばハードディスク等の大容量の不揮発性記憶手段である。この記憶部83には、制御部81が後述する処理を実行するための手順が記述された制御プログラム(図示略)のほか、携帯電話機及び車載電話機に割り当てられた電話番号と、各ユーザに割り当てられたユーザ識別情報(UID)とが対応付けられて記憶されている。
【0027】
図6に示す例では、例えば携帯電話機4aの電話番号「090-1111-1111」及び車載電話機10の電話番号「090-9999-9991」に共通のUID「uid1111」が対応付けられている。従って、利用電話機の切替がなされていない場合には、携帯電話機4aからCPサーバ装置10a,10bに対するデータ通信が要求されてくるはずであるから、制御部81は、その携帯電話機4aの電話番号に対応付けて記憶部83に記憶されているUID「uid1111」をCPサーバ装置10a,10bに通知する。一方、利用電話機の切替がなされている場合には、車載電話機10からCPサーバ装置10a,10bに対するデータ通信が要求されてくるはずであるから、制御部81は、その車載電話機10の電話番号に対応付けて記憶部83に記憶されているUID「uid1111」をCPサーバ装置10a,10bに通知する。これにより、CPサーバ装置10a,10bは、通知されたUIDに基づいてアクセス元のユーザを識別することができる。
以上が本実施形態の構成である。
【0028】
(2)動作
次に、本実施形態の動作について、次の順番で説明する。
(2−1)非乗車状態において通信サービスを提供する動作
(2−2)利用電話機の切替動作
(2−3)乗車状態において通信サービスを提供する動作
(2−4)利用電話機の切替の動作
(2−5)車載電話機にダウンロードしたコンテンツを利用する動作
なお、携帯電話機4a,4b及び車載電話機10の電話番号は、それぞれ図4に示した「090-1111-1111」、「090-1111-1112」及び「090-9999-9991」とする。また、これらの電話機のUIDは、図6に示したとおり、「uid1111」、「uid1112」及び「uid1111」とする。
【0029】
(2−1)非乗車状態において通信サービスを提供する動作
移動通信網5は、携帯電話機4aに対しては、その携帯電話機の電話番号「090-1111-1111」を用いて、音声通信サービス及びデータ通信サービスを提供する。例えば携帯電話機4aがCPサーバ装置10aにアクセスするような場合には、図7に示すような動作になる。
【0030】
図7において、ユーザが携帯電話機4aを操作してCPサーバ装置10aにアクセスすることを指示すると、携帯電話機4aはこの操作を受け付けて(ステップS1)、CPサーバ装置10a宛のHTTPリクエストを送信する(ステップS2)。ゲートウェイ装置8は、このHTTPリクエストを中継する際に移動通信網5の交換局52から通知される電話番号「090-1111-1111」に基づいて、この電話番号に対応するUIDを記憶部83内でサーチする(ステップS3)。次に、ゲートウェイ装置8は、このサーチの結果得られたUID「uid1111」(図6参照)を上記HTTPリクエストに付加してCPサーバ装置10aに送信する(ステップS4)。CPサーバ装置10aは、HTTPリクエストに付加されているUIDに基づいてアクセスしているユーザを識別し、そのユーザに固有のメニュー画面を携帯電話機4aに表示させるための画面データを生成して(ステップS5)、携帯電話機4aに送信する(ステップS6)。ユーザは、携帯電話機4aに表示されたメニュー画面を参照しながら各種操作を行うことができる。これ以降、上記と同様の処理の流れに従って、携帯電話機4aとCPサーバ装置10aとの間でデータ通信がなされる(ステップS7)。
【0031】
(2−2)利用電話機の切替動作
次に、利用電話機の切替の動作について説明する。
図8において、ユーザが携帯電話機4aの操作部46aを操作して、音声メッセージ提供装置7の特番へ発呼することを指示する。携帯電話機4aの制御部47aは、この発呼操作を受け付けると(ステップS11)、入力された特番を含む発呼信号を無線部45aから送信する(ステップS12)。これによって、音声メッセージ提供装置7と携帯電話機4aとの間の電話回線が確立される。電話回線が確立されると、音声メッセージ提供装置7は、利用電話機の切替か切替解除かのいずれかを指定するように促す音声メッセージを携帯電話機4aに送信する(ステップS13)。
【0032】
ユーザが携帯電話機4aの操作部46aを用いて、利用電話機の切替を指示する操作を行うと、携帯電話機4aの制御部47aは、この操作を受け付けて(ステップS14)、切替指示を送信する(ステップS15)。これに応じて、音声メッセージ提供装置7は、切替対象となる携帯電話機の電話番号を入力するように促す音声メッセージを携帯電話機4aに送信する(ステップS16)。ユーザが携帯電話機4aに電話番号「090-1111-1111」を入力すると、携帯電話機4aの制御部47aは、この操作を受け付けて(ステップS17)、入力された電話番号を送信する(ステップS18)。
【0033】
音声メッセージ提供装置7は、受信した電話番号をホームロケーションレジスタ6に転送する(ステップS19)。ホームロケーションレジスタ6は、自身が記憶している内容を参照して、受信した電話番号「090-1111-1111」に対応するレコードをサーチし(ステップS20)、そのサーチ結果(ここでは対応するレコードが有った旨)を音声メッセージ提供装置7に送信する(ステップS21)。次いで、音声メッセージ提供装置7は、車載用PINコードの入力を促す音声メッセージを携帯電話機4aに送信する(ステップS22)。ユーザが携帯電話機4aに車載用PINコード「85236」を入力すると、携帯電話機4aの制御部47aは、この操作を受け付けて(ステップS23)、入力された車載用PINコードを送信する(ステップS24)。音声メッセージ提供装置7は、受信した車載用PINコードをホームロケーションレジスタ6に転送する(ステップS25)。
【0034】
そして、ホームロケーションレジスタ6は、ステップS20におけるサーチにより特定されたレコードに、ステップS25で受信した車載用PINコード「85236」が登録されているか否かを判断する。ここでは図4に示すごとく、電話番号「090-1111-1111」に車載用PINコード「85236」が対応づけられて登録されている。このように、携帯電話機から受信した電話番号と車載用PINコードとが予め登録されているものと一致することで、携帯電話機4aを操作するユーザの正当性を確認することができる。よって、ホームロケーションレジスタ6は、このレコードの切替フラグ「1」を設定するとともに、電話番号「090-1111-1111」に対応する利用切替対象フラグ「1」を設定する(ステップS26)。これによって、利用電話機の切替が完了する。なお、上述したようにユーザが電話番号と車載用PINコードの正しい組さえ入力すれば、そのユーザは正当と判断されるようになっている。よって、ユーザは、切替対象ではない携帯電話機(例えば携帯電話機4b)を用いて、携帯電話機4aを対象とした利用電話機の切替を指示することも可能である。
【0035】
(2−3)乗車状態において通信サービスを提供する動作
移動通信網5は、車載電話機10に対しては、その車載電話機の電話番号「090-9999-9991」を用いて、音声通信サービス及びデータ通信サービスを提供する。例えば図9に示すような動作となる。
ユーザが車載電話機10の操作部24を操作してCPサーバ装置10aにアクセスすることを指示すると、車載電話機10の制御部34はこの操作を受け付けて(ステップS31)、CPサーバ装置10a宛のHTTPリクエストを無線部31から送信する(ステップS32)。ゲートウェイ装置8は、このHTTPリクエストを中継する際に移動通信網5から通知される電話番号「090-9999-9991」に基づいて、この電話番号に対応するUIDを記憶部83内でサーチする(ステップS33)。次に、ゲートウェイ装置8は、サーチの結果得られたUID「uid1111」(図6参照)を上記HTTPリクエストに付加してCPサーバ装置10aに送信する(ステップS34)。CPサーバ装置10aは、上記HTTPリクエストに付加されていたUIDに基づいてアクセスしているユーザを識別し、そのユーザに固有のメニュー画面を車載電話機10に表示させるための画面データを生成して(ステップS35)、車載電話機10に送信する(ステップS36)。ユーザは、表示されたメニュー画面を参照しながら車載電話機10において各種操作を行う。
【0036】
ここで、例えばユーザがメニュー画面上に案内された或るコンテンツを保存する操作を行ったとする。すると、車載電話機10はこの操作を受け付けて(ステップS37)、CPサーバ装置10a宛のHTTPリクエストを送信する(ステップS38)。CPサーバ装置10aは、このHTTPリクエストに応じてコンテンツを記憶装置から読み出し、車載電話機10に送信する(ステップS39)。一方、車載電話機10は、このコンテンツのダウンロードが完了すると、ホームロケーションレジスタ6に対して、自身の電話番号「090-9999-9991」を通知して、利用電話機の切替対象となっている携帯電話機の電話番号を問い合わせる(ステップS40)。ホームロケーションレジスタ6は、この問い合わせに応じて自身の記憶内容をサーチし、車載電話機の電話番号「090-9999-9991」に対応して切替対象フラグ「1」が設定されている携帯電話機の電話番号「090-1111-1111」を取得し(図4参照)、これを車載電話機10に送信する(ステップS41)。車載電話機10は、取得した携帯電話機の電話番号「090-1111-111」と、ダウンロードしたコンテンツとを対応付けて記憶部35に記憶する(ステップS42)。
【0037】
(2−4)利用電話機の切替解除の動作
次に、利用電話機の切替解除の動作について説明する。
この場合、図10に示すように、携帯電話機4aの制御部47aは特番への発呼操作を受け付けると(ステップS11)、入力された特番を含む発呼信号を送信する(ステップS12)。音声メッセージ提供装置7と携帯電話機4aとの間の電話回線が確立されると、音声メッセージ提供装置7は、利用電話機の切替か切替解除のいずれかを指定するように促す音声メッセージを携帯電話機4aに送信する(ステップS13)。ここまでは図6と同じである。
【0038】
ここで、ユーザが携帯電話機4aの操作部46aを用いて切替解除を指示する操作を行うと、携帯電話機4aの制御部47aは、この操作を受け付けて(ステップS51)、切替解除指示を送信する(ステップS52)。この際、移動通信網5の発信者番号通知機能により、携帯電話機4aの電話番号「090-1111-1111」が移動通信網5の交換局52から音声メッセージ提供装置7に通知される。これに応じて、音声メッセージ提供装置7は、移動通信網5から通知された携帯電話機の電話番号「090-1111-1111」をホームロケーションレジスタ6に転送するとともに(ステップS53)、切替解除の指示を受け付けた旨の音声メッセージを携帯電話機4aに送信する(ステップS54)。ホームロケーションレジスタ6は、自身が記憶している内容を参照して、転送されてきた電話番号「090-1111-1111」に対応するレコードをサーチし、この結果特定されたレコードの切替フラグ「0」を設定するとともに、電話番号「090-1111-1111」に対応する利用切替対象フラグ「0」を設定する(ステップS55)。これによって、利用電話機の切替解除が完了する。
【0039】
なお、上記(2−2)及び(2−4)で述べた利用電話機の切替または切替解除は、携帯電話機からの要求に応じて開始するのではなく、車載電話機からの要求に応じて開始するようにしてもよい。具体的には、ユーザが車載電話機(カーナビゲーション装置2)の操作部24を操作して特番を入力して発呼を指示すると、これに応じて、車載電話機(車載モジュール3)の無線部31から特番を含む発呼信号が音声メッセージ提供装置宛てに発信される、といった具合である。
【0040】
(2−5)車載電話機にダウンロードしたコンテンツを利用する動作
次に、車載電話機10にダウンロードしたコンテンツを利用する動作について説明する。図11において、ユーザが車載電話機10の操作部24を操作してコンテンツを利用すること(ここでは音楽コンテンツを再生する場合を想定する)を指示すると、車載電話機10の制御部34は、この操作を受け付けて(ステップS61)、まず、ホームロケーションレジスタ6に対して、現時点で利用電話機の切替対象となっている携帯電話機の電話番号を問い合わせる(ステップS62)。その理由は、CPサーバ装置からコンテンツをダウンロードしたユーザにのみそのダウンロード後のコンテンツ利用の権限がある、という考え方に立てば(例えば有償のコンテンツの場合)、まず、コンテンツを利用しようとしているユーザが誰であるかを判別しなければならないからである。
【0041】
ホームロケーションレジスタ6は、この問い合わせに応じて自身の記憶内容をサーチし(ステップS63)、車載電話機の電話番号「090-9999-9991」に対応付けて切替対象フラグ「1」が設定されている携帯電話機の電話番号「090-1111-1111」を取得し(図4参照)、これを車載電話機10に送信する(ステップS64)。車載電話機10の制御部34は、取得した携帯電話機の電話番号「090-1111-1111」と、再生対象のコンテンツと共に記憶部35に記憶されている電話番号とを比較し、これらが一致しているかどうかを判断する(ステップS65)。ここでが、共に「090-1111-1111」で一致するはずであるから、車載電話機10の制御部34は、コンテンツの利用を許可して音楽コンテンツを再生を開始する(ステップS66)。一方、もしも両者が一致しない場合には、車載電話機10の制御部34はは、コンテンツの利用を許可せず、例えばエラーメッセージなどを表示部25に表示する(ステップS67)。
【0042】
上述したように、本実施形態では、ゲートウェイ装置8が、携帯電話機4a及び車載電話機10に共通のUIDを、その携帯電話機の電話番号及び車載電話機の電話番号に対応付けて記憶しておく。そして、携帯電話機4a又は車載電話機10からCPサーバ装置10aに対するデータ通信が要求されると、その要求元の電話機の電話番号に対応付けて記憶されたUIDをCPサーバ装置10aに通知する。よって、携帯電話機4aのユーザが利用電話機として車載電話機10に切り替えて利用している場合であっても、そのユーザに固有のUIDをCPサーバ装置10aに通知することができ、CPサーバ装置10aはユーザの同一性を判断することが可能となる。
【0043】
また、車載電話機10は、CPサーバ装置10aからダウンロードしたコンテンツを利用する場合、ホームロケーションレジスタ6に対して、利用電話機として切り替えられている携帯電話機の電話番号を問い合わせる。そして、車載電話機10は、その問い合わせの結果得られた携帯電話機の電話番号と、利用対象のコンテンツと対応付けて記憶された携帯電話機の電話番号とを比較する。この結果、両者が一致する場合には車載電話機はコンテンツの利用を許可する一方、一致しない場合にはコンテンツの利用を許可しない。CPサーバ装置からコンテンツをダウンロードしたユーザにのみそのダウンロード後のコンテンツ利用の権限がある場合には、上記の仕組みにより、コンテンツ利用の権限の無いユーザによってそのコンテンツが利用されるような事態を防止することができる。
【0044】
(3)本発明は、上述した実施形態に限定されず、例えば次のような変更が可能である。
(3−1)変形例1
図9や図11では、車載電話機10が、切替対象の携帯電話機の電話番号をホームロケーションレジスタ6にその都度問い合わせるようにしていた。しかし、これに限らず、車載電話機10自身が切替対象の携帯電話機の電話番号を常に記憶して管理するするようにしてもよい。
例えば、車載電話機10と携帯電話機4a、4bに、ブルートゥースや赤外線などの近距離無線による通信機能を実装しておく。そして、車載電話機10の制御部34は、この通信機能を用いて近くに存在する携帯電話機に対して定期的に電話番号を問い合わせ、これを記憶部35に記憶しておく。つまり、ここで記憶している電話番号が、利用電話機の切替対象となる携帯電話機の電話番号である。そして、車載電話機10の制御部34は、CPサーバ装置10aとのデータ通信によりコンテンツを取得した場合、その取得時に上記通信機能により得て記憶しておいた携帯電話機の電話番号と、取得したコンテンツとを対応付けて記憶部35に記憶する。記憶部35に記憶されたコンテンツを利用する場合、制御部34は、まず記憶部35の記憶内容を参照し、利用電話機の切替対象となっている携帯電話機の電話番号を特定する。そして、制御部34は、特定した携帯電話機の電話番号と、利用対象のコンテンツに対応付けて記憶されている携帯電話機の電話番号とが一致するか否かを判断する。一致する場合にはコンテンツの利用を許可し、一致しない場合にはコンテンツの利用を許可しないことになる。
【0045】
(3−2)変形例2
上記の実施形態では、図4及び図6を参照すると理解できるように、複数の携帯電話機と1台の車載電話機に共通のUIDが、これら複数の携帯電話機の電話番号及び車載電話機の電話番号に対応付けられて記憶されている。よって、例えば電話番号「090-1111-1111」の携帯電話機4aから車載電話機10に対して利用電話機の切替がなされた場合であっても、電話番号「090-1111-1112」の携帯電話機4bから車載電話機10に対して利用電話機の切替がなされた場合であっても、車載電話機10を利用する場合は、同一のUID「uid1111」がCPサーバ装置に通知されることになる。これは、車載電話機10を利用する場合においては、これら携帯電話機4a,4bのユーザを全て同一とみなす、という立場に立っているからである。このような考え方は、これら複数の携帯電話機のユーザが例えば家族のような組織に属する場合にはそれほど問題はない。
しかしながら、これら複数の携帯電話機のそれぞれのユーザを同一とみなすべきではない場合も当然ある。このような場合には、切替対象の携帯電話機が異なるのであれば、異なるUIDをCPサーバ装置に通知するようにすべきである。上記の携帯電話機4a,4bと車載電話機10の例でいうと、電話番号「090-1111-1111」の携帯電話機4aから車載電話機10に利用電話機の切替がなされた場合にCPサーバ装置に通知するUIDと、電話番号「090-1111-1112」の携帯電話機4bから車載電話機10に利用電話機の切替がなされた場合にCPサーバ装置に通知するUIDとを異ならせればよい。そのためには、ゲートウェイ装置8は、1台の前記携帯電話機と1台の前記車載電話機にのみ共通のUIDをそれらの電話番号に対応付けて記憶しておく。具体的には、電話番号「090-1111-1111」の携帯電話機4aが利用電話機の切替対象となる場合にCPサーバ装置に通知するUIDを「uid1111」とし、電話番号「090-1111-1112」の携帯電話機4bが利用電話機の切替対象となる場合にCPサーバ装置に通知するUIDを「uid5555」とする。そして、ゲートウェイ装置8の制御部81は、図9のステップS32において、車載電話機10からHTTPリクエストを受け取ると、まずホームロケーションレジスタ6に対して、現時点で利用電話機の切替対象になっている携帯電話機の電話番号を問い合わせる。この結果得られた携帯電話機の電話番号が例えば「090-1111-1112」であるとすると、制御部81は、この電話番号「090-1111-1112」と車載電話機10の電話番号「090-9999-9991」に対応付けられているUID「uid5555」をCPサーバ装置に通知する。このようにすれば、複数の携帯電話機のユーザがそれぞれ車載電話機を利用する場合、これらのユーザを別々のユーザとしてCPサーバ装置に知らせることができる。
【0046】
(3−3)変形例3
利用電話機の切替または切替解除を行う際には、携帯電話機が特番発信し、これに応じてその携帯電話機に音声メッセージを送信してユーザに操作を促すようにしていた。しかし、このような方法に限らず、携帯電話機に予め用意されたメニュー画面を表示させ、ユーザがこのメニュー画面を階層的に辿っていくことで、利用電話機の切替または切替解除のための操作を行うようにしてもよい。
【0047】
(3−4)変形例4
実施形態では、車載モジュール3とカーナビゲーション装置2とが連携して車載電話機として機能していたが、車載電話機を構成する装置はこれらに限定されるものではない。また、携帯電話機は、IMT−2000方式に限定されるものではなく、PDC(Personal Digital Cellular)方式、GSM(Global System for Mobile Communications )方式の携帯電話機であってもよいし、PHS(Personal Handyphone System:登録商標)方式の簡易携帯電話機であってもよい。
【0048】
(3−5)変形例5
上述した携帯電話機や車載電話機において実行されるプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、光記録媒体、光磁気記録媒体、CD(Compact Disk)−ROM、DVD、RAMなどの記録媒体に記録した状態で提供し得る。また、ネットワークを介して携帯電話機や車載電話機にダウンロードされるような形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に係るシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】同システムにおける携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図3】同システムにおける車載モジュールとカーナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図4】同システムにおけるホームロケーションレジスタが記憶している情報の一例を示す図である。
【図5a】同システムにおける通信サービスの提供形態を説明するための図である。
【図5b】同システムにおける通信サービスの提供形態を説明するための図である。
【図6】ゲートウェイ装置の構成を示すブロック図である。
【図7】同システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【図8】同システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【図9】同システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【図10】同システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【図11】同システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0050】
1・・・車両、2・・・カーナビゲーション装置、3・・・車載モジュール、4a,4b・・・携帯電話機、5・・・移動通信網、6・・・ホームロケーションレジスタ、7・・・音声メッセージ提供装置、8・・・ゲートウェイ装置、9・・・インターネット、10・・・車載電話機、10a,10b・・・CPサーバ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ装置とデータ通信を行う携帯電話機と、
前記携帯電話機の電話番号とは異なる電話番号が割り当てられ、前記サーバ装置とデータ通信を行う車載電話機と、
前記携帯電話機及び前記車載電話機と前記サーバ装置との間のデータ通信を中継する中継装置とを備え、
前記中継装置は、
前記携帯電話機及び前記車載電話機に共通のユーザ識別情報を、前記携帯電話機の電話番号及び前記車載電話機の電話番号に対応付けて記憶した識別情報記憶手段と、
前記携帯電話機又は前記車載電話機から前記サーバ装置に対するデータ通信が要求されると、その要求元の電話機の電話番号に対応付けて前記識別情報記憶手段に記憶された前記ユーザ識別情報を前記サーバ装置に通知する通知手段とを有する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
複数の前記携帯電話機から1台の前記車載電話機に対して、ユーザが利用する利用電話機としての切替が可能であり、
前記車載電話機に対して利用電話機として切り替えられた携帯電話機の電話番号を記憶した記憶装置を備え、
前記車載電話機は、
前記サーバ装置とのデータ通信によってコンテンツを取得した場合、取得したコンテンツと、その取得時に前記車載電話機に対して利用電話機として切り替えられていた携帯電話機の電話番号とを対応付けて記憶したコンテンツ記憶手段と、
前記コンテンツ記憶手段によって記憶されたコンテンツを利用する場合、前記車載電話機に対して利用電話機として切り替えられている携帯電話機の電話番号を前記記憶装置に問い合わせる問い合わせ手段と、
前記問い合わせに応じて取得した携帯電話機の電話番号と、利用対象のコンテンツと対応付けて前記コンテンツ記憶手段に記憶された携帯電話機の電話番号とが一致する場合には前記コンテンツの利用を許可する一方、両者の電話番号が一致しない場合には前記コンテンツの利用を許可しない判断手段とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
複数の前記携帯電話機から1台の前記車載電話機に対して、ユーザが利用する利用電話機としての切替が可能であり、
前記車載電話機は、
前記車載電話機に対して利用電話機として切り替えられた携帯電話機の電話番号を記憶する切替電話機記憶手段と、
前記サーバ装置とのデータ通信によってコンテンツを取得した場合、取得したコンテンツと、その取得時に前記車載電話機に対して利用電話機として切り替えられていた携帯電話機の電話番号とを対応付けて記憶したコンテンツ記憶手段と、
前記コンテンツ記憶手段によって記憶されたコンテンツを利用する場合、前記切替電話機記憶手段の記憶内容を参照し、前記車載電話機に対して利用電話機として切り替えられている携帯電話機の電話番号を特定する特定手段と、
特定された携帯電話機の電話番号と、利用対象のコンテンツと対応付けて前記コンテンツ記憶手段に記憶された携帯電話機の電話番号とが一致する場合には前記コンテンツの利用を許可する一方、両者の電話番号が一致しない場合には前記コンテンツの利用を許可しない判断手段とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項4】
それぞれ異なる電話番号が割り当てられた携帯電話機及び車載電話機とサーバ装置との間のデータ通信を中継する中継装置であって、
前記携帯電話機及び前記車載電話機に共通のユーザ識別情報を前記携帯電話機の電話番号及び前記車載電話機の電話番号に対応付けて記憶した識別情報記憶手段と、
前記携帯電話機又は前記車載電話機から前記サーバ装置に対するデータ通信が要求されると、その要求元の電話機の電話番号に対応付けて前記識別情報記憶手段に記憶された前記ユーザ識別情報を前記サーバ装置に通知する通知手段と
を備えることを特徴とする中継装置。
【請求項5】
複数の前記携帯電話機から1台の前記車載電話機に対して、ユーザが利用する利用電話機としての切替が可能であり、
前記識別情報記憶手段は、複数の前記携帯電話機と1台の前記車載電話機に共通のユーザ識別情報を前記複数の携帯電話機の電話番号及び前記1台の車載電話機の電話番号に対応付けて記憶していることを特徴とする請求項4記載の中継装置。
【請求項6】
複数の前記携帯電話機から1台の前記車載電話機に対して、ユーザが利用する利用電話機としての切替が可能であり、
前記識別情報記憶手段は、1台の前記携帯電話機と1台の前記車載電話機に共通のユーザ識別情報を前記1台の携帯電話機の電話番号及び前記1台の車載電話機の電話番号に対応付けて記憶しており、
前記通知手段は、車載電話機から前記サーバ装置に対するデータ通信が要求されると、その要求元の車載電話機に対して利用電話機として切り替えられている携帯電話機の電話番号を外部の記憶装置から取得し、取得した携帯電話機の電話番号及び前記車載電話機の電話番号に対応付けられて記憶されている前記ユーザ識別情報を前記サーバ装置に通知することを特徴とする請求項4記載の中継装置。
【請求項7】
携帯電話機との間で利用電話機として切り替えられて利用される車載電話機であって、
サーバ装置とデータ通信を行う通信手段と、
前記サーバ装置とのデータ通信によってコンテンツを取得した場合、取得したコンテンツと、その取得時に自機に対して利用電話機として切り替えられていた携帯電話機の電話番号とを対応付けて記憶したコンテンツ記憶手段と、
前記コンテンツ記憶手段によって記憶されたコンテンツを利用する場合、自機に対して利用電話機として切り替えられている携帯電話機の電話番号を外部の記憶装置に問い合わせる問い合わせ手段と、
前記問い合わせに応じて取得した携帯電話機の電話番号と、利用対象のコンテンツと対応付けて前記コンテンツ記憶手段に記憶された携帯電話機の電話番号とが一致する場合には前記コンテンツの利用を許可する一方、両者の電話番号が一致しない場合には前記コンテンツの利用を許可しない判断手段と
を備えることを特徴とする車載電話機。
【請求項8】
携帯電話機との間で利用電話機として切り替えられて利用される車載電話機であって、
サーバ装置とデータ通信を行う通信手段と、
自機に対して利用電話機として切り替えられた携帯電話機の電話番号を記憶する切替電話機記憶手段と、
前記サーバ装置とのデータ通信によってコンテンツを取得した場合、取得したコンテンツと、その取得時に自機に対して利用電話機として切り替えられていた携帯電話機の電話番号とを対応付けて記憶したコンテンツ記憶手段と、
前記コンテンツ記憶手段によって記憶されたコンテンツを利用する場合、前記切替電話機記憶手段の記憶内容を参照し、自機に対して利用電話機として切り替えられている携帯電話機の電話番号を特定する特定手段と、
特定された携帯電話機の電話番号と、利用対象のコンテンツと対応付けて前記コンテンツ記憶手段に記憶された携帯電話機の電話番号とが一致する場合には前記コンテンツの利用を許可する一方、両者の電話番号が一致しない場合には前記コンテンツの利用を許可しない判断手段と
を備えることを特徴とする車載電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−53559(P2007−53559A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236896(P2005−236896)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】