説明

通信システム、携帯端末装置、メッセージ通信方法

【課題】定形文を用いたメッセージ通信において、メッセージデータが大きくなってしまうことを極力防止しつつ、送信側での意図を正確に受信側で表示を行う。
【解決手段】送信側携帯端末装置は、定形文をIDと対応付けて記憶する第1記憶部と、一の送信側定形文をメッセージとして送信する際に、当該定形文に対応するIDを当該メッセージに付す第1制御部とを有し、前記受信側携帯端末装置は、定形文をIDと対応付けて記憶する第2記憶部と、メッセージの受信動作においてメッセージに付されたIDを抽出し、第2記憶部に前記抽出IDに対応する定形文が記憶されていなければ送信側携帯端末装置に前記一の送信側定形文の送信を要求する第2制御部とを有し、第1制御部は、送信が要求されると前記一の送信側定形文を受信側携帯端末装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信網に接続されてメッセージの送受信を行う通信システムおよび通信方法、ならびにこれらメッセージの送受信を行う携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機に代表される携帯端末装置において、テンキーなどを用いて文字列を入力してメッセージを作成し、通信網に接続される交換サーバを介して、指定した相手にメッセージを送信し、送信者から受信者に対して文字列にて意思を伝達する電子メールサービスやSMS(ショートメッセージサービス)と呼ばれるサービスが行われている。しかしながら、ユーザにとってはキー数の少ないテンキーなどを用いての文字列の入力には多大な労力を必要とされ、使用を敬遠するユーザも多数存在していた。
【0003】
そのため、使用する頻度の高い文字列をあらかじめ携帯端末装置に登録しておき、送信者は文字列の入力の代わりに、この登録された文字列を呼び出し、これをメッセージとして送信する技術も現在は実施され、ユーザのメッセージの利用に対するハードルを下げるのに役立っている。この登録された文字列のことを定形文という。その他、定形文ではなく、ユーザ自身がテンキーなどを用いて自由に作成した文字列も送信することもでき、このような文字列を一般に、定形文に対して自由文という。
【0004】
さて、定形文の送信についてだが、送信側と受信側との互いの携帯端末で、同じ文字列を持っていないは、送信者にて指定された定形文について、自動で文字コードに変換して自由文としてメッセージデータを生成し、送信するような構成になっているものも存在するが、さらに改良したものとして、図7に示すように、携帯電話A・Bとも定形文にIDを対応付けて記憶しておき、携帯電話Aから携帯電話Bに定形文のIDを送信して携帯電話B上に記憶していた定形文をIDから検索して表示させることにより、送信するメッセージデータのサイズを小さくすることも行われている。
【0005】
また、このようなメッセージの作成についてユーザの労力を低減する技術として特許文献1に示されるような、特定の番号のキーを操作することにより、相手先を指定し、あらかじめ定めた定形文をこの相手先に送信する技術が開示される。
【特許文献1】特開2002−373138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、定形文が全ての携帯端末装置において固定であり、IDと定形文とが出荷段階から固定されて共通仕様になっていると、様々なユーザの細かいニーズには応えきれているとは言い難かった。そこで、この定形文をユーザの好みに登録変更することのできるものも存在している。
【0007】
この登録変更できる携帯端末装置の場合は、図7の例のように互いにIDだけで定形文を特定してメッセージデータを送受信しても、送信側で意図した定形文が、果たして受信側でも同じ定形文であるという保証が無く、時には送信側ユーザの意思とは大きく異なった定形文が受信側で表示されてしまう可能性もあった。
【0008】
さらに、そもそも受信側にてこのIDに対応付けた定形文を登録する行為すらしていなかった場合には、受信側では受信したメッセージとして、IDが表示されてしまう可能性もある。
【0009】
本発明は、極力メッセージデータが大きくなってしまうことを防止しつつ、送信側での意図を受信側で正確に表示できる携帯端末装置、およびそのメッセージ通信方法、通信システムを提供し、上記問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、無線通信網を介して接続され、送信側携帯端末装置から所望の文字列を含むメッセージを受信側携帯端末装置に送信する無線通信システムにおいて、送信側携帯端末装置は、複数の文字により構成される送信側定形文を、IDと対応付けて記憶する第1記憶部と、一の送信側定形文をメッセージとして送信する際に、当該送信側定形文に対応するIDを当該メッセージに付す第1制御部と、を有し、受信側携帯端末装置は、複数の文字により構成される受信側定形文を、IDと対応付けて記憶する第2記憶部と、メッセージの受信動作においてメッセージに付されたIDを抽出し、、抽出したIDに対応する受信側定形文が前記第2記憶部に記憶されているかどうか検索し、記憶されていなければ送信側携帯端末装置に一の送信側定形文の送信を要求するよう制御する第2制御部と、を有し、第1制御部は、受信側端末装置より一の送信側定形文の送信が要求されると、一の送信側定形文を文字データの形式にて受信側携帯端末装置に送付するよう制御する、ことを特徴とする。
【0011】
また、第1制御部は、一の送信側定形文をメッセージとして送信する際に、一の送信側定形文から誤り検出コードを生成し、当該誤り検出コードをメッセージに付し、第2制御部は、メッセージを受信して前記第2記憶部を検索した結果、受信したメッセージから抽出したIDに対応する受信側定形文が抽出されたとき、当該抽出された定形文が誤り検出コードと整合性が有るかどうか判定し、整合性がある場合は当該抽出された定形文を表示し、整合性の無い場合は送信側携帯端末装置に一の送信側定形文の再送を要求することが好ましい。
【0012】
また、誤り検出コードは、送信側定形文を構成する複数の文字の文字データの合計よりも少ないデータ量であることが好ましい。
【0013】
また、誤り検出コードは、送信側定形文を構成する文字の一部の文字から生成されることが好ましい。
【0014】
さらに、第2制御部は、前記送信の要求に応じて前記送信側携帯端末装置から送信された一の送信側定形文を受信すると、抽出したIDに対応付けて当該一の送信側定形文を第2記憶部に記憶することが好ましい。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明は、無線通信網を介して接続され、所望の文字列を含むメッセージを指定した宛先に送信する携帯端末装置において、複数の文字により構成される送信側定形文を、IDと対応付けて記憶する記憶部と、一の送信側定形文をメッセージとして送信する際に、当該送信側定形文に対応するIDを当該メッセージに付す制御部と、を有し、制御部は、前記無線通信網を介して前記メッセージの送信先から、一の送信側定形文の送信が要求されると、一の送信側定形文を文字データの形式にて無線通信網に送信するよう制御することを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明は、無線通信網を介して接続され、所望の文字列を含むメッセージを指定した宛先に送信する携帯端末装置において、複数の文字により構成される受信側定形文を、IDと対応付けて記憶する記憶部と、メッセージの受信動作においてメッセージに付されたIDを抽出し、抽出されたIDに対応する受信側定形文が前記記憶部に記憶されているかどうか検索し、記憶されていなければ送信側携帯端末装置に受診したメッセージに付されたIDに対応する定形文の送信を要求するよう制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の文字により構成される送信側定形文をIDと対応付けて記憶する第1記憶部を備える送信側携帯端末装置と、複数の文字により構成される受信側定形文をIDと対応付けて記憶する第2記憶部を備える受信側携帯端末装置とが、無線通信網を介して互いに接続され、送信側携帯端末装置からメッセージを受信側携帯端末装置に送信するメッセージ通信方法であって、一の送信側定形文をメッセージとして送信する際に、当該送信側定形文に対応するIDを当該メッセージに付して送信するステップと、メッセージの受信動作においてメッセージに付されたIDを抽出するステップと、抽出したIDに対応する受信側定形文が第2記憶部に記憶されているかどうか検索するステップと、抽出したIDに対応する受信側定形文が記憶されていなければ送信側携帯端末装置に一の送信側定形文の送信を要求するステップと、一の送信側定形文の送信が要求されると、一の送信側定形文を文字データの形式にて受信側携帯端末装置に送信するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれは、メッセージデータのサイズを極力大きくすることなく、送信側での意図を受信側で正確に表示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
まず、図1を用いて、本発明にかかる通信システムと携帯端末装置の構成を説明する。MS1はメッセージを作成して送信を希望する送信側端末であり、MS2はメッセージを受信して内容を表示する受信側端末である。MS1は、メッセージを作成して送信先を指定して送信を希望すると、基地局BS1に無線により接続し、基地局BS1の接続される通信網NT上に構築されるメッセージ交換サーバSMSCとの間で通信を行う。メッセージ交換サーバSMSCでは、受信したメッセージについて、通信網NTに接続される基地局BS2をもちいて指定した宛先である受信側端末MS2を呼び出し、MS1から送信されたメッセージを送信し、表示を行う。
【0021】
次に、図2と図3を用いて、本発明にかかる送信携帯端末である送信側端末MS1の構成を説明する。なお、本発明にかかる受信側端末に関しては、特に送信側端末と異なる構成を持つ必要が無いため同一の構成としており、それぞれの構成に対し、送信側端末としての符号の他に、カッコ書きにて受信側端末としての符号を付している。
【0022】
101(201)は無線部であり、アンテナを用いて基地局との間で無線通信を行う。そして102(202)は記憶部であり、複数の定形文について定形文IDを一つずつ対応付けて格納されるほか、通信を行うための各種プログラムや、メッセージの作成や表示のための雛形や設定など行う各種メニューが記憶される。さらに103(203)は音声処理部であって、着信時における着信の報知や、無線部101(201)で受信した信号から受話音を生成してスピーカ1031(2031)を駆動したり、マイク1032(2032)からの入力音声を無線部101(201)にて取り扱える信号に変換したりする処理を行う。制御部106(206)は、無線部101(201)や記憶部102(202)や音声処理部103(203)などを制御し、キー操作部104(204)の操作結果や、無線部101(201)からメッセージ受信したことやメッセージ送信が完了したことなどの通信網からの通知を、音声処理部103(203)や表示部105(205)にて報知を行ったりする。
【0023】
次に、図4から6を用いて、本発明の動作を説明する。
【0024】
<送信側端末におけるメッセージの作成>
送信側端末(MS1)は、あらかじめメッセージに挿入可能な定形の文字列を定形文のIDと対応付けて記憶部102に格納している。この文字列はユーザにより作成可能であり、ユーザはキー操作部104により作成した使用頻度の高い文字列を定形文番号(ID)に対応付けて(例えばID=「7」として「こんにちは」という文字列を対応付け)記憶部102に格納させることになる。
【0025】
さて、図4を用いて送信側と受信側の定形文がIDで一致しない場合の例について説明する。ステップST1において、ユーザがメッセージの作成をキー操作部104で指定すると、制御部106は、記憶部102からメッセージ作成の雛形を読み出して表示部105に表示させる。ユーザはこの雛形の「宛先」を指定して、アドレス(この例では受信側端末MS2のアドレス)を入力する。
【0026】
ここで、本文の文章に使用頻度の高い文字列を入力することをユーザが希望するとき、ユーザは「本文」を指定した状態において、キー操作部104の操作により、メッセージ作成に関するメニューを呼び出すと、制御部106は定形文のリストを記憶部102の定形文とIDとの対応関係テーブルに基づき、表示部105に表示させる。この中からユーザはメッセージとして送付したい定形文を一つ選択することにより、定形文IDが特定され、メッセージデータが制御部により作成されることとなる。ところで、メッセージのデータは、「宛先アドレス」「本文」「定形文ID」「送信者アドレス」「総データ量記載領域」と構成されており、先の雛形に基づいて入力された情報や定形文IDがそれぞれ対応する領域に格納され、最終的なデータ容量が「総データ量記載領域」に記述されることとなる。
【0027】
その後、送信を希望する操作がなされると、制御部106は定形文の挿入があったかどうかを判定し、この場合は「定形文ID」に記載が有るため挿入ありと判定し、定形文IDを確認する。送信側の定形文ID=「7」に対応する送信側定形文は記憶部102を参照すると「こんにちは」であるため、「こんにちは」という文字列から誤り検出コードの付加コードを生成(生成手順は後述)する。ちなみに、定形文の挿入が無い場合は特に付加コードの生成は行わない。
【0028】
生成された付加コードは「本文」の領域に記述された上で、「宛先アドレス」のアドレスに宛てて送信される。
【0029】
メッセージの送信処理としては、無線部101にて基地局BS1を介してメッセージ交換サーバSMSCにアクセスし、上記のように作成されたメッセージデータを送信する(ステップST2)。
【0030】
メッセージ交換サーバSMSCは、「宛先アドレス」から受信側端末MS2のアドレスを抽出すると、受信側端末MS2を基地局BS2を介して呼び出し、このメッセージデータに送信側端末MS1のアドレスを記入した上で転送する(ステップST3)。
【0031】
<受信側端末におけるメッセージの受信>
受信側端末MS2は、メッセージ交換サーバSMSCから呼び出され、応答し、送信されるメッセージを送受信部により基地局BS2を介して受信する。メッセージを受信すると、制御部206は、受信したメッセージに「定形文ID」が含まれているかを判定する。上述の送信側端末にて作成されたメッセージの場合は、定形文IDとして「7」が含まれるので、「7」に対応する定形の文字列が受信側端末MS2の記憶部202に格納されているか検索する。
【0032】
図4の例の場合、受信側端末MS2の記憶部202にはあらかじめ受信側のID「7」として受信側の定形文「おはよう」が既に登録されているため、受信側端末MS2の制御部202は、ID「7」として「おはよう」をピックアップする。ここで、制御部202は、受信したメッセージの「本文」領域に付加コードが記載されるかを検索し、記載されるならば、定形文「おはよう」が、メッセージから抽出した付加コードとの間で整合が取れるか否かを判定(整合確認については後述)する。また、制御部202は、本来ならば整合が取れた定形文をメッセージとして表示部205に表示するが、この例の場合は整合が取れないため、送信側端末MS1のID「7」が、受信側端末MS2のID「7」と異なる文字列であると判断し、メッセージデータ全体を記憶部202にて保持しておき、メッセージの表示をまだ行わない(ステップST4)。制御部202は、メッセージ交換サーバSMSCに対し、送信側端末MS1からのメッセージの、定形文IDに対して異なる文字列が検出された旨のエラーを送信する(ステップST5)。メッセージ交換サーバSMSCは、送信側端末MS1に対してこのエラーを転送する(ステップST6)。
【0033】
<エラー受信時の送信側端末の動作>
送信側端末MS1の制御部106は、受信側端末MS2より上記エラーを受信すると、先程送信したメッセージに含まれる定形文IDが、受信側では既に別の文字列が登録されていると判断し、記憶部102に格納されている「こんにちは」について自動的に文字コードに変換し(ステップST7)、今度は自由文としてメッセージ交換サーバSMSCに送信する(ステップST9)。ステップST7において、制御部106は、表示部105にて「受信側がユーザ定形文別登録文章登録でした。自由文として再送します。」との表示を行えば、送信側ユーザは、送信の処理に時間がかかっていることに対する不安を与えずに済み、好ましい(ステップST8)。
【0034】
メッセージ交換サーバSMSCでは受信側端末MS2に、この自由文「こんにちは」を転送する(ステップST10)。
【0035】
<自由文を受信した受信側端末の動作>
受信側端末MS2がメッセージ交換サーバSMSCから自由文「こんにちは」を受信すると、制御部206は、自由文「こんにちは」が、先に受信したメッセージにおけるID「7」に対応するものであると認識し、記憶部202にて保持していたメッセージデータに基づき「こんにちは」を表示部205に表示させる(ステップST11)。さらに、無事に成功したことをメッセージ交換サーバSMSCに通知し(ステップST12)、メッセージ交換サーバSMSCから送信側端末MS1に成功が通知される(ステップST13)。
以上により、通常の定形文送付時と変わらぬ操作で、定形文に何が登録されているかわからない受信側端末MS2に対して、送信側端末MS1から意図したとおりのメッセージを送付することができる。
【0036】
<定形文自動登録について>
次に、先の図4のステップST1から3と同様の操作にて作成されたメッセージデータを受信したときにおける、指定された定形文IDについて受信側端末MS2の記憶部に定形文が登録されていないときの流れについて、図5を用いて説明する。
【0037】
なお、図5の場合の説明において、ステップST101からST103までの流れに関しては図4における説明のときと同様であるため説明を省略する。また、受信側端末において定形文が未登録の場合であるため、付加コードによる整合についても図5においては説明不要であるため省略している。
【0038】
<受信側端末におけるメッセージの受信2>
受信側端末MS2の制御部206はメッセージを受信すると、受信したメッセージに「定形文ID」が含まれているかを判定する。上述の送信側端末にて作成されたメッセージの場合は、定形文IDとして「7」が含まれるので、「7」に対応する定形の文字列が受信側端末MS2の記憶部202に格納されているか検索するが、図5の例の場合、受信側端末MS2の記憶部202にはID「7」に対応する定形文が登録されていない。
【0039】
ここで、制御部202は、本来ならば受信したIDに対する定形文をメッセージとして表示部205に表示するが、この例の場合はIDに対する定形文がないため、受信したメッセージデータ全体を記憶部202にて保持しておき、メッセージの表示をまだ行わない(ステップST104)。
【0040】
制御部202は、メッセージ交換サーバSMSCに対し、送信側端末MS1からのメッセージの、定形文IDに対して文字列の登録が検出されなかった旨のエラーを送信する(ステップST105)。メッセージ交換サーバSMSCは、送信側端末MS1に対してこのエラーを転送する(ステップST106)。
【0041】
<エラー受信時の送信側端末の動作2>
送信側端末MS1の制御部106は、受信側端末MS2より上記エラーを受信すると、先程送信したメッセージに含まれる定形文IDが、受信側では文字列が登録されていないと判断し、記憶部102に格納されている「こんにちは」について自動的に文字コードに変換し(ステップST107)、今度は自由文としてメッセージ交換サーバSMSCに送信する(ステップST109)。ステップST7において、制御部106は、表示部105にて「受信側がユーザ定形文未登録でした。自由文として再送します。」との表示を行えば、送信側ユーザは、送信の処理に時間がかかっていることに対する不安を与えずに済み、好ましい(ステップST108)。
【0042】
メッセージ交換サーバSMSCでは受信側端末MS2に、この自由文「こんにちは」を転送する(ステップST110)。
【0043】
<自由文を受信した受信側端末の動作2>
受信側端末MS2がメッセージ交換サーバSMSCから自由文「こんにちは」を受信すると、制御部206は、自由文「こんにちは」が、先に受信したメッセージにおけるID「7」に対応するものであると認識し、記憶部202にて保持していたメッセージデータに基づき「こんにちは」を表示部205に表示させる(ステップST111)。さらに、制御部206は、定形文ID=「7」として、「こんにちは」を登録するか否か表示部205にて確認する表示を行わせ、受信側端末MS2のユーザがこれにキー操作部204にて承諾すると、記録部202に定形文ID=「7」に「こんにちは」を対応付けて定形文の管理テーブルを更新する(ステップST112)。
【0044】
そして、無事にメッセージの受信に成功したことをメッセージ交換サーバSMSCに通知し(ステップST113)、メッセージ交換サーバSMSCから送信側端末MS1に成功が通知される(ステップST114)。
以上により、通常の定形文送付時と変わらぬ操作で、たとえ受信側端末MS2に定形文が登録されていなくとも、送信側端末MS1から意図したとおりのメッセージを送付することができる。さらに、受信側端末MS2においては、一度は送信された定形文を簡単な操作で追加登録することができる。
【0045】
また、説明を簡単化するために、図4と図5の実施形態をそれぞれ独立して説明したが、これらの処理ルーチンを共に備えて携帯端末装置が構成されていても良いことは言うまでも無い。すなわち、受信側端末MS2にて受信したメッセージの定形文IDが、受信側端末MS2ではすでに別の定形文にて使用済みである場合、図4の動作に基づくと送信側端末MS1では定形文を文字コードにして再送し、これを受信すると受信側端末MS2にて表示を行えるようになるわけだが、ここで、図5のルーチンと同様、自動登録の処理が発生しても良い。これにより、送信側端末MS1と受信側端末MS2とで互いの定形文の一致が図れることになり、次回以降はメッセージ送受信時、定形文IDのみでも互いに定形文をメッセージに使用することが出来る様になる。
【0046】
<ハミング符号化による付加ビットの生成>
次に、図4および図5の例にて省略していた付加ビットの生成について、図6を用いて説明する。
【0047】
図4および図5の例では、定形文は複数の文字「こ」「ん」「に」「ち」「は」で構成される。ここではその先頭文字(「こんにちは」の場合は「こ」)についてのみでハミング符号化を行う例を示す。
【0048】
制御部106は、定形文として「こんにちは」がステップST1にて選択されると、その先頭文字である「こ」を抽出する。ちなみに、定形文「こんにちは」のそれぞれの文字コードは、16進数表記では「こ」=(82、B1)、「ん」=(82、F1)、「に」=(82、C9)、「ち」=(82、BF)、「は」=(82、CD)、となる。文字「こ」は、ビット換算するために2進数にて表記にて表記すると、「こ」=(1000、0010、1011、0001)である(ステップST201)。
【0049】
ここから制御部106が誤り検出符号を生成する。一例としては1情報ブロック(4ビット)ごとにハミング符号化を行い、付加ビットとして3ビットを生成する。これを情報ビット4つについて行う。その結果、「こ」は、初めの情報ブロック(1000)についてのパリティは(011)が、次に(0010)については(110)、同様に(1011)については(010)、(0001)については(111)と求まる(ステップST202)。このパリティの集合(011110010111)を「こ」の付加ビットとし、これがメッセージデータの「本文」領域に記載されることとなる(ステップST203)。
【0050】
<付加ビットによる定形文の整合判断>
さらにステップST4において、省略していた付加ビットによる定形文の整合判断について、図6を用いて説明する。
【0051】
図4の例では、制御部206は、受信したメッセージに「定形文ID」として「7」が含まれる場合であり、受信側端末MS2の記憶部202にID=「7」として「おはよう」が既に格納されている場合である。受信側端末MS2の制御部202は、受信したメッセージデータからIDの記載が検出されると、メッセージデータの「本文」領域に記載される付加コード(011110010111)を抽出する(ステップST204)。
【0052】
また、ID「7」として「おはよう」をピックアップし、やはり先頭の一文字について抽出する。ここでは「お」であり、その文字コードの2進数でのコードは(1000、0010、1010、1000)である。この「お」の文字コードと、送信側端末MS1から送付されたメッセージデータの「本文」領域に記載される付加コード(011110010111)とを、記憶部102に確保したワークエリア上で制御部206は整合判断を行う(ステップST205)。
【0053】
一例としては、「お」のコード(1000、0010、1010、1000)の各情報ブロックに、(011110010111)のパリティ3ビットずつを付加して合成する。これにより(1000011、0010110、1010010、1000111)を得る。この値が、「お」のコードからハミング符号の生成方法に則り得たものと一致するか制御部206は判定し、一致すれば送信側端末MS1の定形文ID「7」に対応付けた定形文が互いに同一、一致しなければ定形文は互いに異なる、と判断することができる(ステップST206)。
【0054】
なお、ここでは付加コードを生成する例としてハミング符号を用いたが、これに限定されるものではなく、他のブロック符号においても、元のコードよりも短い付加コードを生成できる技術であれば同様に利用することが可能であることは言うまでも無い。さらに誤り検出符合を用いたが、誤り検出さえできれば本発明は充分に実現可能である。
【0055】
以上の説明では、定形文の文字列中、先頭の1文字についてのみの判断にて整合作業を行うよう構成したが、1文字でなくとも定形文の全文字数よりも極力少ない文字数であれば良い。この構成により、送付する付加コードの量を最低限に抑えることができる。また、送信側端末MS1、受信側端末MS2とも、たいていの場合において向上出荷時にデフォルト値として定形文は登録されている。ユーザが特に定形文登録の変更作業を行わない限りは、互いの端末において定形文IDと定形文文字列とが一致する可能性が高いが、一方だけでも登録変更作業を行っている場合においては、デフォルト値とは全く異なる文字列に変更されてしまっている可能性が非常に低い。つまり、定形文の文字列の全てを確認せずとも、初めの何文字かを確認するのみで、デフォルト値から変更がなされたか否かという基準で判断することもできる。すなわち、例えば本実施例のように非常に少ない文字数にのみ基づく付加コード生成・整合判断するよう構成すると、送信データ量は少ないにもかかわらず、信頼性の高いメッセージ送信を行うことができる。
【0056】
また、本実施の形態は定形文を選択すると定形文のみが受信側端末にて表示されるタイプのショートメッセージサービスにて説明を行ったが、これに限定されるものではなく、本文に定形文を挿入し、自由文がその前後に存在するようなメッセージにおいても、次のように構成することにより、本発明は適用可能である。
【0057】
例えば、送信側端末MS1で本文の文章に自由文を入力しているとき、定形文を入力することをユーザが希望するならば、ユーザは文字入力位置を特定するカーソルを定形文の挿入したい位置(何文字目に定形文を挿入するのか)にあわせ、メニューを呼び出し、定形文挿入を選択する。制御部106は、入力された自由文の文字コードが「本文」領域に記入されるとともに、定形文の挿入位置として指定された位置には、定形文を示すタグである特定のタグ(例えば文字コードでFFFと記述するなど)で囲んだ上で、定形文IDである「7」を挿入する。その後もユーザによる自由分での文字入力が続く。文字入力が完了し、キー操作部104により送信が指示されると制御部106は、メッセージデータに定形文IDについての入力が有れば、メッセージデータの「本文」領域の末尾に前述の方法と同様に生成した定形文に基づく付加コードを記入する。
【0058】
受信側端末MS2では、メッセージを受信すると、制御部206は、受信したメッセージ「本文」領域にタグおよび定形文IDが含まれているかを判定する。含まれる定形文IDに対応する定形文がMS2の記憶部202に記憶されているか検索するとともに、「本文」領域から付加コードを抽出し、同様な整合判断を行う。
【0059】
整合が取れた場合はタグの示す挿入位置に記憶部202に記憶されている定形文を代わりに挿入して表示し、整合の取れない場合は図4に示す例と同様、送信側端末MS1に対して、IDに対する定形文の自由文での再送を要求するよう制御する。その後、図5に示した例と同様、自動登録できるようにしてもよい。
【0060】
さらに、これらの送受の流れに関しては、メッセージの送信から定形文から自由文を作成した上で送信しなおして成功通知が送信されるまでを一つのメッセージの送信時の1回のルーチンにて処理を行っても良いし、メッセージの送信、失敗・再送要求の通知、定形文の再送、成功の通知とでそれぞれ独立したメッセージで構成されるルーチンになっていても良い。
【0061】
以上により、頻繁に使用する文字列にも関わらず、相手側の登録状況が不明なために使用可能かどうかが解らず、定形文の使用を敬遠せずとも済み、本来の便利な定形文の使用を促進することができる。
【0062】
さらに、定形文全体を送付せずとも受信側との定形文登録の確認が行えるので、文字列全体を送付するよりもデータ量が少なくて済み、トラフィック上の負担も少なくて済む。また、実際に定形文の文字を送付するよりも、そこから生成される付加コードを送付するため、文字コードに比してさらにデータ量が少なくて済むにも関わらず、定形文が利用できるか受信側端末との確認を行うことができる。
【0063】
また、受信側にて不明であった送信側から送付された定形文を自動的に入手して記憶するだけでなく、そのとき使用されたIDを対応付けて登録できるため、ユーザの手間もかからず、以降の定形文送受信時に有効である。
【0064】
なお、本発明における携帯端末装置として、携帯電話機を例に行ったがこれに限定されるものではなく、携帯端末装置としては、定形文をメッセージの送受信に使用することのできる端末装置であれば、例えばPHSや通信機能付きゲーム機、PDAなどでも良いことは言うまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る通信システムを示す概略図である。
【図2】本発明に係る携帯端末装置の一例の外観である。
【図3】本発明の係る携帯端末装置の一例のブロック図である。
【図4】本発明に係るメッセージ送受信動作の一例である。
【図5】本発明に係るメッセージ送受信動作の一例である。
【図6】本発明に係る文字コードからの付加コード生成および整合動作を示す図である。
【図7】携帯電話同士のメッセージ送受信を示した概略図である。
【符号の説明】
【0066】
101 無線部
102 記憶部
103 音声処理部
104 キー操作部
105 表示部
106 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信網を介して接続され、送信側携帯端末装置から所望の文字列を含むメッセージを受信側携帯端末装置に送信する無線通信システムにおいて、
前記送信側携帯端末装置は、
複数の文字により構成される送信側定形文を、IDと対応付けて記憶する第1記憶部と、
一の送信側定形文をメッセージとして送信する際に、当該送信側定形文に対応するIDを当該メッセージに付す第1制御部と、を有し、
前記受信側携帯端末装置は、
複数の文字により構成される受信側定形文を、IDと対応付けて記憶する第2記憶部と、
前記メッセージの受信動作においてメッセージに付されたIDを抽出し、抽出したIDに対応する受信側定形文が前記第2記憶部に記憶されているかどうか検索し、記憶されていなければ前記送信側携帯端末装置に前記一の送信側定形文の送信を要求するよう制御する第2制御部と、を有し、
前記第1制御部は、前記受信側端末装置より前記一の送信側定形文の送信が要求されると、前記一の送信側定形文を文字データの形式にて前記受信側携帯端末装置に送信するよう制御する、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記一の送信側定形文をメッセージとして送信する際に、前記一の送信側定形文から誤り検出コードを生成し、当該誤り検出コードを前記メッセージに付し、
第2制御部は、前記メッセージを受信して前記第2記憶部を検索した結果、受信したメッセージから抽出したIDに対応する受信側定形文が抽出されたとき、当該抽出された定形文が前記誤り検出コードと整合性が有るかどうか判定し、整合性がある場合は当該抽出された定形文を表示し、整合性の無い場合は前記送信側携帯端末装置に前記一の送信側定形文の送信を要求することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記誤り検出コードは、前記送信側定形文を構成する複数の文字の文字データの合計よりも少ないデータ量であることを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記誤り検出コードは、前記送信側定形文を構成する文字の一部の文字から生成されることを特徴とする請求項2または3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第2制御部は、前記送信の要求に応じて前記送信側携帯端末装置から送信された前記一の送信側定形文を受信すると、前記抽出したIDに対応付けて当該一の送信側定形文を前記第2記憶部に記憶することを特徴とする請求項1から4のいずれか一に記載の無線通信システム。
【請求項6】
無線通信網を介して接続され、所望の文字列を含むメッセージを指定した宛先に送信する携帯端末装置において、
複数の文字により構成される送信側定形文を、IDと対応付けて記憶する記憶部と、
一の送信側定形文をメッセージとして送信する際に、当該送信側定形文に対応するIDを当該メッセージに付す制御部と、を有し、
前記制御部は、前記無線通信網を介して前記メッセージの送信先から、前記一の送信側定形文の送信が要求されると、前記一の送信側定形文を文字データの形式にて前記無線通信網に送信するよう制御する、ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項7】
無線通信網を介して接続され、所望の文字列を含むメッセージを指定した宛先に送信する携帯端末装置において、
複数の文字により構成される受信側定形文を、IDと対応付けて記憶する記憶部と、
メッセージの受信動作においてメッセージに付されたIDを抽出し、抽出されたIDに対応する受信側定形文が前記記憶部に記憶されているかどうか検索し、記憶されていれていなければ前記送信側携帯端末装置に前記受診したメッセージに付されたIDに対応する定形文の送信を要求するよう制御する制御部と、を有することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項8】
複数の文字により構成される送信側定形文をIDと対応付けて記憶する第1記憶部を備える送信側携帯端末装置と、複数の文字により構成される受信側定形文をIDと対応付けて記憶する第2記憶部を備える受信側携帯端末装置とが、無線通信網を介して互いに接続され、前記送信側携帯端末装置からメッセージを前記受信側携帯端末装置に送信するメッセージ通信方法であって、
一の送信側定形文をメッセージとして送信する際に、当該送信側定形文に対応するIDを当該メッセージに付して送信するステップと、
前記メッセージの受信動作においてメッセージに付されたIDを抽出するステップと、
抽出したIDに対応する受信側定形文が前記第2記憶部に記憶されているかどうか検索するステップと、
抽出したIDに対応する受信側定形文が記憶されていなければ前記送信側携帯端末装置に前記一の送信側定形文の送信を要求するステップと、
前記一の送信側定形文の送信が要求されると、前記一の送信側定形文を文字データの形式にて前記受信側携帯端末装置に送信するステップと、
を有することを特徴とするメッセージ通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−211081(P2006−211081A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−17860(P2005−17860)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】