説明

通信システム、無線通信方法及び通信装置

【課題】路車間又は車車間通信用の無線リソース不足を解消し、安全運転支援、交通の円滑化に要する情報の安定した無線通信を行うことができる通信システムを提供することを目的とする。
【解決手段】道路に沿って設置された路側通信装置と、道路を走行する複数の車両夫々に搭載された車載通信装置とを備え、前記路側通信装置は、各車載通信装置間、並びに前記路側通信装置及び車載通信装置間夫々で多重無線通信を行うための複数の無線リソースを割り当てるようにしてある通信システムにおいて、前記路側通信装置に、交通量に応じて異なる送信優先度を示す複数のテーブルを含む優先度テーブルと、車両の交通量を示す情報を取得する取得手段と、該取得手段にて取得された情報が示す交通量及び前記優先度テーブルに基づいて、交通量に応じたテーブルを選択し、選択されたテーブルに基づいて各無線リソースに含ませる情報を選択する選択手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高度道路交通システム(ITS : Intelligent Transport System)を実現する通信システム、無線通信方法及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高度道路交通システムは、安全運転支援、輸送効率の向上等を目的として構築されたシステムであり、道路に沿って離隔設置された複数の路側通信装置、路上センサ等のインフラ設備、及び道路を走行する複数の車両夫々に搭載された車載通信装置から構成されている(例えば、特許文献1,2)。
【0003】
路側通信装置は、車両に搭載された車載通信装置との間(以下、路車間という)で多重無線通信、例えば時分割多元接続方式による無線通信を行うことにより、安全運転支援情報、及び円滑な交通を実現するための情報、例えば信号灯器の制御結果に関する情報をリアルタイムで車両に提供する。安全運転支援情報は、例えば運転者の認知ミスを防止するための情報、死角補助のための情報、路上センサで検出した道路上の障害物、車載通信装置から収集した周辺車両の走行位置、速度等の情報である。該情報を受信した車載通信装置は、車両位置、車間距離、走行速度等から危険ありと判断した場合、運転者に警告を与えることによって、安全運転を支援する。また、各車載通信装置間(以下、車車間という)においても、車両の速度、走行位置、走行方向等の情報を送受信しており、送受信した該情報を用いて安全運転を支援する。
路側通信装置は、各路側通信装置間(以下、路路間という)及び路車間で、主に円滑な交通を実現するための情報を送受信しており、該情報を用いて信号灯器の灯色切替制御等を行っている。
【0004】
時分割多元接続方式は、同一周波数帯域における一定の通信時間(フレーム)を複数のタイムスロットに時分割し、路側通信装置及び車載通信装置が路路間、路車間、車車間で各タイムスロットを交互に使用する方式であり、帯域を有効利用した同時的な通信を可能にする(図5参照)。
【特許文献1】特許第3463102号公報
【特許文献2】特開2000−124852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、多重無線通信、例えば同一周波数帯域を共用する時分割多元接続方式を採用した従来の通信システムにおいては、車両の交通量が増加した場合、路車間又は車車間通信用のタイムスロットが不足し、充実した安全運転支援、交通の円滑化を行えない虞がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、路車間又は車車間通信用の無線リソース不足を解消し、安全運転支援、交通の円滑化に要する情報の安定した無線通信を行うことができる通信システム、無線通信方法及び通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る通信システムは、道路に沿って設置された路側通信装置と、該道路を走行する複数の車両夫々に搭載された車載通信装置とを備え、前記路側通信装置は、各車載通信装置間、並びに前記路側通信装置及び前記車載通信装置間夫々で多重無線通信を行うための複数の無線リソースを割り当てるようにしてある通信システムであって、前記路側通信装置は、車載通信装置に送信すべき複数種類の情報夫々の送信優先度を示す優先度データを記憶した記憶手段と、車両の交通量及び前記車載通信装置の通信トラフィックの少なくとも一方を示す情報を取得する取得手段と、該取得手段にて取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方、並びに前記優先度データに基づいて、各無線リソースに含ませる情報を選択する選択手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る通信システムは、前記優先度データは、前記交通量又は通信トラフィックに応じて異なる送信優先度を示す複数の優先度データ要素を含み、前記選択手段は、前記取得手段にて取得された交通量又は通信トラフィックに応じた優先度データ要素を選択し、選択された優先度データ要素に基づいて、各無線リソースに含ませる情報を選択するようにしてあることを特徴とする。
【0009】
第3発明に係る通信システムは、道路に沿って設置された路側通信装置と、該道路を走行する複数の車両夫々に搭載された車載通信装置とを備え、前記路側通信装置は、各車載通信装置間、並びに前記路側通信装置及び前記車載通信装置間夫々で多重無線通信を行うための複数の無線リソースを割り当てるようにしてある通信システムであって、前記路側通信装置は、車載通信装置に送信すべき複数種類の情報夫々の送信優先度を示す優先度データを記憶した記憶手段と、非常事態に関する非常事態情報を取得する非常事態情報取得手段と、該非常事態情報取得手段にて取得された非常事態情報、及び前記優先度データに基づいて、各無線リソースに含ませる情報を選択する選択手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
第4発明に係る通信システムは、前記優先度データは、非常事態情報に応じて異なる送信優先度を示す複数の優先度データ要素を含み、前記選択手段は、取得された非常事態情報に応じた優先度データ要素を選択し、選択された優先度データ要素に基づいて、各無線リソースに含ませる情報を選択するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
第5発明に係る通信システムは、前記選択手段は、各無線リソースに、送信優先度が高い情報を送信優先度が低い情報に比べてより多く含ませるようにしてあることを特徴とする。
【0012】
第6発明に係る通信システムは、前記路側通信装置は、前記車載通信装置の通信状態の良否を示す通信状態情報を取得する手段を備え、前記選択手段は、取得された通信状態情報が示す通信状態が不良/良好な場合、各無線リソースに含ませるべき送信優先度が高い情報の量を増加/減少させ、送信優先度が低い情報の量を減少/増加させるようにしてあることを特徴とする。
【0013】
第7発明に係る無線通信方法は、道路に沿って設置された路側通信装置と、該道路を走行する複数の車両夫々に搭載された車載通信装置とを備え、前記路側通信装置は、各車載通信装置間、並びに前記路側通信装置及び前記車載通信装置間夫々で多重無線通信を行うための複数の無線リソースを割り当てる無線通信方法であって、車載通信装置に送信すべき複数種類の情報夫々の送信優先度を示す優先度データを用意し、車両の交通量及び前記車載通信装置の通信トラフィックの少なくとも一方を示す情報を取得し、取得した情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方、並びに前記優先度データに基づいて、各無線リソースに含ませる情報を選択することを特徴とする。
【0014】
第8発明に係る無線通信方法は、道路に沿って設置された路側通信装置と、該道路を走行する複数の車両夫々に搭載された車載通信装置とを備え、前記路側通信装置は、各車載通信装置間、並びに前記路側通信装置及び前記車載通信装置間夫々で多重無線通信を行うための複数の無線リソースを割り当てる無線通信方法であって、車載通信装置に送信すべき複数種類の情報夫々の送信優先度を示す優先度データを用意し、非常事態に関する非常事態情報を取得し、取得した非常事態情報、及び前記優先度データに基づいて、各無線リソースに含ませる情報を選択することを特徴とする。
【0015】
第9発明に係る通信装置は、複数の移動通信装置間、及び前記移動通信装置との間夫々で多重無線通信を行うための複数の無線リソースを前記移動通信装置に割り当てる通信装置であって、移動通信装置に送信すべき複数種類の情報夫々の送信優先度を示す優先度データを記憶した記憶手段と、前記移動通信装置の交通量及び前記車載通信装置の通信トラフィックの少なくとも一方を示す情報を取得する取得手段と、該取得手段にて取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方、並びに前記優先度データに基づいて、各無線リソースに含ませる情報を選択する選択手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
第10発明に係る通信装置は、複数の移動通信装置間、及び前記移動通信装置との間夫々で多重無線通信を行うための複数の無線リソースを前記移動通信装置に割り当てる通信装置であって、移動通信装置に送信すべき複数種類の情報夫々の送信優先度を示す優先度データを記憶した記憶手段と、非常事態に関する非常事態情報を取得する非常事態情報取得手段と、該非常事態情報取得手段にて取得された非常事態情報、及び前記優先度データに基づいて、各無線リソースに含ませる情報を選択する選択手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
第1、第7及び第9発明にあっては、路側通信装置は、他の路側通信装置及び車載通信装置に送信すべき複数種類の情報夫々の送信優先度を示す優先度データを記憶した記憶手段を備えている。優先度データを参照することによって、無線リソースが不足した場合、どの種類の情報を優先的に送信すべきかを判断することが可能になる。
路側通信装置の取得手段は、車両の交通量又は車載通信装置の通信トラフィックを示す情報を取得する。交通量及び通信トラフィックは、無線リソースの不足量に対応しているため、前記情報を取得することによって、無線リソース不足を判定することができる。路側通信装置の選択手段は、取得手段にて取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方と、優先度データとに基づいて、各無線リソースに含ませるべき情報を選択する。つまり、路側通信装置は、すべての情報を送信するのではなく、交通量又は通信トラフィックに応じて送信すべき送信優先度が高い情報を選択して送信することにより、交通量増加による路車間又は車車間通信用の無線リソース不足を間接的に解消する。
なお、第9発明における移動通信装置は車載通信装置の上位概念、固定式通信装置及び通信装置は路側通信装置の上位概念である。特に、第7発明に係る通信装置は、道路に設置することによって、路側通信装置として機能する。また、交通量又は通信トラフィックに応じて送信すべき情報を選択する構成のみならず、交通量及び通信トラフィックの双方に応じて送信すべき情報を選択する構成も本発明に含まれる。更に、多重無線通信には、TDM(Time Division Multiplexing)のみならず、FDM(Frequency Division Multiplexing)、OFDMA(Orthogonal Frequency Division multiplexing Access)、CDM(Code Division Multiplexing)、その他の多重無線通信方式、各方式の組み合わせも含まれる。無線リソースは、TDMにおけるタイムスロット、FDM、OFDMA等におけるサブキャリア、CDMにおけるコードを意味している。更にまた、前記車載通信装置は携帯電話等の携帯端末であっても良い。
【0018】
第2発明にあっては、優先度データは、交通量又は通信トラフィックに応じて異なる送信優先度を示す複数の優先度データ要素を含んでいる。一般的に送信すべき情報の送信優先度は、交通状態によって変動するものであり、優先度データに含まれる複数の優先度データ要素はこのような送信優先度の変動に対応するためのものである。例えば、交通量又は通信トラフィックが少ない場合、車両が閑散乃至近飽和状態にあり、車両が高速で移動していることから、安全に関する情報の送信優先度を高く設定し、交通量又は通信トラフィックが多い場合、車両が近飽和状態乃至過飽和状態にあることから、交通の円滑に関する情報の送信優先度を高く設定すべきである。そして、選択手段は、交通量又は通信トラフィックに応じた優先度データ要素を選択して、各無線リソースに含ませる情報を選択する。従って、路側通信装置は、交通状態に応じた情報の重要度の変動に対応することができ、各状態で必要となる情報を選択的に送信することが可能になる。
【0019】
第3、第8又は第10発明にあっては、路側通信装置は、他の路側通信装置及び車載通信装置に送信すべき複数種類の情報夫々の送信優先度を示す優先度データを記憶した記憶手段を備えている。優先度データを参照することによって、非常時に、どの種類の情報を優先的に送信すべきかを判断することが可能になる。
路側通信装置の非常事態情報取得手段は、非常事態に関する非常事態情報を取得する。取得した非常事態情報を参照することによって、非常事態の有無を判断することが可能になる。非常事態においては、特定の情報を確実に送信することが求められ、該情報を確実に送信するために無線リソースが不足する場合がある。そこで、路側通信装置の選択手段は、非常事態情報取得手段にて取得された非常事態情報と、優先度データとに基づいて、各無線リソースに含ませるべき情報を選択する。つまり、路側通信装置は、すべての情報を送信するのではなく、非常事態情報の内容に応じて送信すべき送信優先度が高い情報を選択して送信することにより、交通量増加による路車間又は車車間通信用の無線リソース不足を間接的に解消する。
【0020】
第4発明にあっては、優先度データは、非常事態情報に応じて異なる送信優先度を示す複数の優先度データ要素を含んでいる。一般的に送信すべき情報の送信優先度は、地震、火災等の災害、テロ等の非常時であるか否かによって変動するものであり、優先度データに含まれた複数の優先度データ要素はこのような送信優先度の変動に対応するためのものである。
例えば、非常事態情報は正常状態又は非常事態のいずれかを示す。この場合、一の優先度データ要素は、正常時の各情報の優先度を示し、他の優先度データ要素は、非常時の優先度を示している。より具体的には、図4に示すように、一の優先度データ要素に対応するテーブル14aは、非常事態情報が正常状態を示している場合における優先度1番のセンサ検知結果、優先度2番の路側機器状態情報、優先度3番の規制情報等の情報を含む。他の優先度データ要素に対応するテーブル14cは、非常事態情報が非常事態を示している場合における優先度1番の非常事態状況情報、優先度2番の規制情報、優先度3番の病院等の情報を含む。なお、非常事態情報が非常事態を示している場合、非常事態に関する情報の送信優先度が高くなるように設定する。
また、非常事態情報は、複数の種類の非常事態、例えば地震、火災、テロ等の種別と、正常状態とを示す。この場合、各非常事態及び正常状態に応じて異なる送信優先度を設定する。例えば第1の優先度データ要素は、正常状態における各情報の優先度を示す。また、第2の優先度データ要素は、地震が発生したときの各情報の優先度を示し、第3の優先度データ要素は、火災が発生したときの各情報の優先度を示し、第4の優先度データ要素は、テロが発生したときの各情報の優先度を示す。
路側通信装置は、非常事態に関する非常事態情報を取得し、選択手段は、取得した非常事態情報に応じた優先度データ要素を選択して、各無線リソースに含ませる情報を選択する。従って、路側通信装置は、非常事態による情報の重要度の変動に対応することができ、各状態で必要となる情報を選択的に送信することが可能になる。
【0021】
第5発明にあっては、選択手段は、無線リソースに送信優先度が高い情報を、送信優先度が低い情報に比べてより多く含ませる。例えば、多重無線通信用の複数の無線リソースが用意された場合、送信優先度が高い情報、例えば送信優先度が上位1〜5番目の情報を全ての無線リソースに割り当て、送信優先度が上位6番目以下の情報を各無線リソースの空き部分に順に割り当てることによって、送信優先度が高い情報を無線リソースにより多く含ませることができる。
従って、送信優先度が高い情報をより確実に車載通信装置に送信することが可能になる。
【0022】
第6発明にあっては、路側通信装置は、車載通信装置の通信状態の良否を示す通信状態情報を取得する。そして、路側通信装置は、通信状態が不良である場合、各無線リソースに含ませるべき送信優先度が高い情報の量を増加させ、送信優先度が低い情報の量を減少させる。例えば、図11に示す通信状態が良好な状態から、図12に示す通信状態が不良な状態に変化した場合、送信優先度が上位6番目以降の情報を無線リソースに割り当てないようにすることによって、送信優先度が低い情報の量を減少させる。そして、送信優先度が上位5番の情報のみを2個の無線リソースに亘って3回ずつ割り当てることによって、送信優先度が高い情報の量を増加させる。要するに、送信優先度が高い情報の量を相対的に増加、つまり延べ連送回数を増加させて送信する。連送回数が増加した場合、車載通信装置によって送信優先度が高い情報を受信する機会は増加し、受信失敗の確率を全体的に低減させることができる。従って、送信優先度が高い情報をより確実に車載通信装置に送信することが可能になる。
また、通信状態が良好である場合、路側通信装置は、各無線リソースに含ませるべき送信優先度が高い情報の量を減少させ、送信優先度が低い情報の量を増加させる。従って、通信状態が良好である場合、送信優先度が低い情報も間引かずに送信することができるようになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、交通状況に応じた送信優先度に従って各無線リソースに含ませるべき情報を選択することで、交通状況に応じて変動する情報の重要度を把握し、交通状況に応じた重要な情報を優先的に送信することができる。従って、通信システムにおける路車間又は車車間通信用の無線リソース不足を間接的に解消することができ、安全運転支援、交通の円滑化に要する情報の安定した無線通信を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明の実施の形態に係る通信システムを概念的に示す説明図である。本実施の形態に係る無線通信方法を実施する通信システムは、道路Rの路側、例えば交差点B1,B2に設置された2基の路側通信装置1,1(以下、路側通信装置1)と、道路Rを走行する複数の車両C,C,…(以下、車両C)夫々に搭載された車載通信装置3,3,…(以下車載通信装置3)とを備えており、各路側通信装置1及び車載通信装置3は、時分割多元接続方式の無線通信によって安全運転支援、交通円滑化、非常事態に関する各種情報を路路間、路車間、車車間で送受信し、安全運転を支援する。
【0025】
時分割多元接続方式は、同一周波数帯における一定の通信時間(フレーム)を複数のタイムスロット(無線リソース)に時分割し、複数の路側通信装置1及び車載通信装置3が各タイムスロットを交互に使用することによって、同時的な通信を可能にするものである。時分割多元接続方式によれば、路路間、路車間、車車間で同一周波数帯域、例えばUHF帯域を共用することができ、帯域を有効利用することができる。なお、無線通信を行う周波数帯域はUHFに限定されず、他の帯域を利用しても良い。
【0026】
図2は、路側通信装置1及び車載通信装置3がタイムスロットにて送受信する情報のデータ形式の一例を概念的に示す説明図である。路側通信装置1及び車載通信装置3が送受信する情報は、ヘッダ部、データ部及びフッタ部から構成されている。ヘッダ部には、例えば路側通信装置1から送信されたデータであることを示す識別情報、交差点番号等が格納されている。データ部には、車載通信装置3又は路側通信装置1に送信される安全運転支援、交通円滑化に関する情報、非常事態に関する情報等が格納されている。
【0027】
図3は、通信システムの構成を示すブロック図である。路側通信装置1は、アンテナ10を用いて周辺の路側通信装置1及び車載通信装置3との間で時分割多元接続方式の無線通信を行う通信部11と、車載通信装置3又は路側通信装置1に送信すべき情報の選択、路路間、路車間及び車車間の無線通信に関するタイムスロットの割り当て管理、安全運転支援情報の提供等の各種通信制御を行う制御部12と、各種通信制御処理に必要な情報が格納された記憶部(記憶手段)13とを備えている。
【0028】
図1中左側の交差点B1に設置された路側通信装置1は、実線で示した十字状の無線通信領域A1において、路車間及び車車間の無線通信を集中管理している。無線通信領域A1では、予め用意された異なるタイムスロットを各車載通信装置3に競合しないように割り当てることによって、路側通信装置1及び車載通信装置3は、路車間及び車車間で非競合方式の無線通信を行う。同様に、図1中右側の交差点B2に設置された路側通信装置1は、無線通信領域A2において、路車間及び車車間の無線通信を集中管理している。
【0029】
なお、路車間の通信方法には個別通信方式と、同報通信方式とがあり、本実施の形態では電波帯域を有効利用することができる同報通信方式を採用している。個別通信方式は、車載通信装置3毎に独立して通信コネクションを確立する方式であり、路車間で対話的に無線通信を行うため、秘匿性、通信安定性に優れている。一方、同報通信方式は、路側通信装置1が全車両Cに対して同一の情報を送信し、車載通信装置3側で取捨選択をする通信方式であり、同一内容の情報を各車両C夫々に送信する必要が無いため、電波帯域を有効利用することができる。
【0030】
制御部12は、例えばCPU、インタフェースを備えたマイクロコンピュータであり、制御部12には時分割多元接続方式による無線通信を行うための図示しない時計が接続されている。また、制御部12は、インタフェースを介して図1に示す光ビーコン4、画像センサ5、信号灯器6、交通管制センター2のコンピュータ等に接続されており、安全運転支援、信号制御に関する各種情報を送受信している。なお、作図の便宜上、路側通信装置1と、光ビーコン4、画像センサ5、信号灯器6、交通管制センター2とを接続する通信線は図示されていない。
【0031】
記憶部13は、光ビーコン4、画像センサ5、及び交通管制センター2等から送信された各種情報を記憶する。また、記憶部13は、車載通信装置3又は路側通信装置1による重要な情報の受信確率を向上させるための優先度テーブル(優先度データ)14を記憶している。
【0032】
光ビーコン4は、無線通信領域A1,A2の外縁付近の道路Rに設置された支持枠の水平部分に取り付けられたビーコンヘッドと、支持枠の垂直部分に取り付けられたビーコン制御装置とを備えている。ビーコンヘッドは、車載通信装置3の間で近赤外線を用いた光通信を行うための投受光器を内蔵している。なお、図1に示した光ビーコン4の設置位置は一例であり、他の地点に光ビーコン4を設置しても良い。
【0033】
光ビーコン4は、車両Cが走行する道路Rに向けて近赤外線の光信号を投射しており、その投受光領域を通過する車両Cとの間で双方向に光通信を行う。例えば、投受光領域内に進入した車載通信装置3が、非競合方式による無線通信を行うべく、タイムスロットの割り当て要求を光ビーコン4に送信した場合、光ビーコン4は、送信されたタイムスロットの割り当て要求を受信し、受信した割り当て要求を路側通信装置1に送信する。路側通信装置1は、光ビーコン4から送信された割り当て要求を受信し、交通状況、車載通信装置3の通信状態に応じたタイムスロットを車載通信装置3に割り当てる。
【0034】
画像センサ5は、道路Rを走行する車両Cを撮像することができる姿勢で交差点B1,B2に設置されている。画像センサ5は、レンズ、撮像素子、画像処理回路、送信部等から構成されている。画像処理回路は、撮像素子で撮像して得た画像に基づいて道路Rを走行する車両Cの交通量を算出し、送信部は算出して得た交通量を示す交通量情報を路側通信装置1に送信する。
【0035】
なお、交通量情報は交通管制センター2から路側通信装置1に送信するように構成しても良い。つまり、交通管制センター2のコンピュータが画像センサ5から画像データを収集し、収集した画像データに基づいて交通量を算出し、算出された交通量を示す交通量情報を路側通信装置1に送信するように構成しても良い。
また、撮像して得た画像に基づいて交通量を計測する例を説明したが、超音波、遠赤外線等を用いて車両Cを感知する車両感知器、光ビーコン等によって道路Rを走行する車両Cの交通量を計測するように構成しても良い。
【0036】
交通管制センター2は、道路Rの路側に設置された図示しない車両感知器、路面状態感知器等から送信される感知器情報、地震、火災、テロ等の非常事態に関する非常事態状況情報、その他各種情報を収集し、蓄積している。交通管制センター2は、蓄積された感知器情報に基づいて車両感知器が設置された道路R及びその周辺の交通状況を把握しており、安全運転支援、交通円滑化を図るための各種情報を路側通信装置1に送信する。例えば、交通管制センター2は、信号灯器6の灯色タイミング、交差点B1,B2の交通情報等を路側通信装置1に提供する。また、交通管制センター2は、収集した非常事態状況情報に基づいて、非常事態であるか否かを示す非常状態情報を路側通信装置1に送信する。
【0037】
各種情報を収集した路側通信装置1から車載通信装置3に送信される情報には、車両Cの安全運転を支援するための情報として、信号灯器6の表示灯色、該表示灯色の継続時間の予定に関する信号情報、道路Rの交通規制に関する規制情報、車線数、勾配などの道路Rの形状等に関する道路形状情報、道路Rの路面状態に関する路面状態情報、行政庁による交通安全キャンペーン等の行政告知情報等が含まれている(図4参照)。
また、路側通信装置1は、周辺の路側通信装置1との間で、信号灯器6の制御結果に関する信号制御結果情報、上流の交差点B1,B2から下流の交差点B1,B2へ流入する車両Cの予測交通量に関する交通情報、5分間の間に道路Rを走行する車両Cの交通量に関する5分間交通量情報等を送受信することによって、路側通信装置1周辺の交通情報を共有している。
【0038】
図4は、優先度テーブル14を概念的に示す説明図である。優先度テーブル14は、交通量の多寡、非常事態であるか否かに応じて異なる複数のテーブル(優先度データ要素)14a,14b,14cを備えている。
交通量が少ない場合に使用するテーブル14aは、路側通信装置1から車載通信装置3又は他の路側通信装置1に送信する信号情報、規制情報、道路形状情報、路面状態情報、行政告知情報等の情報の種類と、交通量が少ない場合における各情報項目の送信優先度、つまり重要度とが対応づけられたものである。交通量が少ない場合、車両Cは比較的高速で移動していることから、安全に関する情報項目の送信優先度を高く、他の情報項目の送信優先度を低く設定してある。なお、送信優先度の欄に示す数値が小さい程、送信優先度が高いことを示している。
【0039】
交通量が多い場合に使用するテーブル14bは、信号情報、規制情報等と、交通量が多い場合における各情報項目の送信優先度とが対応づけられたものである。交通量が多い場合、渋滞を緩和し、環境性・経済性を向上させるために、交通の円滑に関する情報項目の送信優先度を高く、他の情報項目の送信優先度を低く設定してある。
【0040】
非常事態の際に使用するテーブル14cは、信号情報、規制情報等と、非常事態における各情報項目の送信優先度とが対応づけられたものである。非常事態の際、救助や避難の促進、治安の維持のために、非常時に関する情報項目の送信優先度を高く、他の情報項目の送信優先度を低く設定してある。
【0041】
後述するように優先度テーブル14を用いることによって、交通量、非常事態に応じた各種情報の送信優先度の変化に対応した情報送信が可能になる。つまり、送信優先度が高い情報の連送回数が最適となるように送信情報の内容を決定することによって、車載通信装置3による重要な情報の受信確率を向上させることができる。
なお、送信優先度は、交通状況又は他の通信手段、例えば光ビーコン4、携帯電話から得られる情報送信要求に基づいて重み付けし、決定しても良い。例えば、車載通信装置3が飲食店情報の送信を要求する情報送信要求を投受光器34から送信している場合、路側通信装置1の制御部12は、光ビーコン4を介して前記情報送信要求を受信し、受信した情報送信要求に応じて飲食店情報の送信優先度を上昇させるようにしても良い。
また、各情報は、夫々独立の情報であっても良いが、一部又は全部が重複していても良い。
更に、複数の情報を送信する場合、一部重複する情報部分がある場合、重複する一の情報部分のみを送信し、他の情報部分を省略するように構成しても良い。
【0042】
次に、車載通信装置3の構成を説明する。車載通信装置3は、図3に示すようにアンテナ30に接続された通信部31と、通信に関する制御を行う制御部32と、通信処理、安全運転支援処理等の各種処理に必要な情報が格納された記憶部33と、光ビーコン4との間で光通信を行う投受光器34とを備えている。
車載通信装置3の制御部32は、路車間の通信状態、特に受信状態を自己診断する機能を備えており、路側通信装置1からの情報を受信できたか否か、又は該情報の一部のみを受信したことを示す通信状態情報を送信するように構成されている。通信状態情報は、例えば車車間で通信する各種情報のヘッダ部に含ませることができ、路側通信装置1は、車車間で通信される情報をモニタリングすることによって、通信状態情報を取得することができる。
なお、通信状態情報の内容は一例である。路側通信装置1からの情報を前回受信した時刻と、セキュリティーコードとを含む通信状態情報を送信するように構成しても良い。路側通信装置1は、情報の送信時刻を把握しているため、車載通信装置3が送信する通信状態情報を参照することによって、車載通信装置3の受信状態を把握することができる。
【0043】
また、車載通信装置3は、無線通信領域A1,A2に進入する際、投受光器34、光ビーコン4を介してタイムスロットの割り当てを要求し、路側通信装置1から送信されたタイムスロットの割り当て結果を受信し、受信した結果に基づいて非競合方式の無線通信を行うように構成されている。無線通信領域A1,A2外においては、他の車載通信装置3との間で競合方式の無線通信を行う。
【0044】
次に、路側通信装置1による送信情報の選択、タイムスロットの管理方法を説明する。
【0045】
図5は、路側通信装置1の無線通信に係る制御部12の処理手順を示すフローチャートである。
まず、制御部12は、計時部が所定の情報収集周期、例えば100msecを計時したか否かを判定する(ステップS11)。所定周期を計時したと判定した場合(ステップS11:YES)、制御部12は、交通量情報、非常事態情報、通信状態情報、その他各種情報を取得する(ステップS12)。
【0046】
ステップS12の処理を終えた場合、又はステップS11において所定の情報収集周期を計時していないと判定した場合(ステップS11:NO)、制御部12は、車載通信装置3からタイムスロットの割り当て要求があるか否かを判定する(ステップS13)。
【0047】
タイムスロットの割り当て要求があると判定した場合(ステップS13:YES)、制御部12は、タイムスロットの割り当て変更に係るサブルーチンを呼び出し、タイムスロットの割り当てを変更する(ステップS14)。
【0048】
図6は、割り当てられたタイムスロットの一例を概念的に示す説明図、図7は、タイムスロットの割り当て変更に係るサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
図6中、矢印は時間軸を示しており、上下方向に並ぶ矩形状の升目はタイムスロットを示している。路側通信装置1は、路車間、路路間及び車車間で時分割多元接続方式の無線通信を行うべく、路車間通信用のタイムスロット、路路間通信用のタイムスロット、車車間通信用のタイムスロットを各路側通信装置1及び車載通信装置3に割り当てている。そして、路側通信装置1は、安定した無線通信を行うために、車両Cの交通量及び車載通信装置3の通信状態を常時把握しており、交通量及び通信状態に応じて、タイムスロットの割り当て変更を行う。
具体的には、制御部12は、タイムスロットが不足しているか否か、例えば、交通量が所定交通量以上で、且つ交通量が増加したか否かを判定する(ステップS31)。タイムスロットが不足していると判定した場合(ステップS31:YES)、制御部12は、路路間通信用のタイムスロット数を減少させる(ステップS32)。
【0049】
ステップS32の処理を終えた場合、又はタイムスロットが不足していないと判定した場合(ステップS31:NO)、制御部12は、タイムスロットが余っているか否か、例えば、交通量が所定交通量未満であるか否かを判定する(ステップS33)。交通量が所定交通量未満であると判定した場合(ステップS33:YES)、制御部12は、路路間通信用のタイムスロット数を増加、例えば標準のタイムスロット数に変更する(ステップS34)。なお、所定交通量、標準のタイムスロット数は、路側通信装置1の記憶部13が記憶している。
【0050】
ステップS34の処理を終えた場合、又は交通量が所定交通量以上であると判定した場合(ステップS33:NO)、制御部12は、車車間通信をモニタリングして取得した通信状態情報に基づいて、車載通信装置3による通信状態の良否を判定する(ステップS35)。通信状態が不良と判定した場合(ステップS35:YES)、制御部12は、路車間通信用のタイムスロット数を増加させる(ステップS36)。
【0051】
好ましくは、ステップS36において、車載通信装置3が路側通信装置1から送信された情報を受信し易い最適なタイムスロット間隔となるように、タイムスロット数を増加させる。
【0052】
ステップS36の処理を終えた場合、又は通信状態が不良で無いと判定した場合(ステップS35:NO)、制御部12は、車載通信装置3の通信状態が正常化した良好な状態にあるか否かを判定する(ステップS37)。通信状態が良好であると判定した場合(ステップS37:YES)、路車間通信用のタイムスロット数を減少、例えば標準のタイムスロット数に変更する(ステップS38)。
【0053】
ステップS38の処理を終えた場合、又は無線通信状態が良好でないと判定した場合(ステップS37:NO)、制御部12は、タイムスロットの割り当てを決定し、決定されたタイムスロットの割り当て結果を各車載通信装置3及び路側通信装置1に通知し(ステップS39)、タイムスロットの割り当て変更に係るサブルーチンの処理を終える。
【0054】
図5に示すように、ステップS14の処理を終えた場合、又はステップS13においてタイムスロット要求が無いと判定した場合(ステップS13:NO)、制御部12は、交通量情報及び非常事態情報に応じたテーブルを選択に係るサブルーチンを呼び出し、交通量、非常事態の有無に応じたテーブル14a,14b,14cを選択する(ステップS15)。
【0055】
図8は、テーブル選択に係るサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。制御部12は、ステップS12で取得した非常事態情報に基づいて、非常事態にあるか否かを判定する(ステップS51)。非常事態であると判定した場合(ステップS51:YES)、制御部12は、非常事態に係るテーブル14cを選択し(ステップS52)、テーブル選択に係る処理を終える。
【0056】
非常事態に無いと判定した場合(ステップS51:NO)、制御部12は、交通量情報に基づいて、交通量が所定の交通量よりも多いか否かを判定する(ステップS53)。交通量が多いと判定した場合(ステップS53:YES)、制御部12は、円滑に係るテーブル14bを選択し(ステップS54)、テーブル選択に係る処理を終える。
【0057】
交通量が少ないと判定した場合(ステップS53:NO)、制御部12は、安全に係るテーブル14aを選択し(ステップS55)、テーブル選択に係る処理を終える。
【0058】
図5に示すようにステップS15の処理を終えた場合、サブルーチンを呼び出し、各タイムスロットに含ませる情報の選択を行う(ステップS16)。
【0059】
図9は、情報選択に係るサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。制御部12は、ステップS15で選択されたテーブル14a,14b,14cに基づいて、所定送信優先度以上の情報、例えば送信優先度上位5番以内の情報を全タイムスロット夫々に割り当てる(ステップS71)。次いで、制御部12は、送信すべき情報の量と、割り当てられているタイムスロットの数を比較することで、タイムスロットが不足しているか否かを判定する(ステップS72)。
【0060】
タイムスロットが不足していないと判定した場合(ステップS72:NO)、制御部12は、通信状態が良好であるか否かを判定する(ステップS73)。通信状態が良好であると判定した場合(ステップS73:YES)、制御部12は、所定送信優先度未満の情報、例えば送信優先度上位6番以降の情報を各タイムスロットに分配して割り当て(ステップS74)、情報選択に係る処理を終える。
【0061】
タイムスロットが不足していると判定した場合(ステップS72:YES)、又は通信状態が不良であると判定した場合(ステップS73の:NO)、制御部12は、所定送信優先度未満の情報の内、一部の情報のみを各タイムスロットに分配して割り当て(ステップS75)、情報選択に係る処理を終える。
【0062】
以上の処理によって、送信優先度が高い情報の連送回数を多く、送信優先度が低い情報の連送回数が少なくなるように送信情報を作成することができる。つまり、送信優先度が高い情報は、多数のタイムスロットで送信し、送信優先度が低い情報は少数のタイムスロットで送信するようにする。
また、送信優先度が高い情報については、タイムスロットが不足、又は通信状態が不良である場合であっても、多数のタイムスロットで送信(タイムスロット数を維持)し、送信優先度が低い情報に割り当てるタイムスロット数を減少させることによって、重要な情報を優先的に送信することが可能になる。
【0063】
図10は、交通量が少ない場合に送信される情報の内容を概念的に示す説明図である。交通量が少ない場合、例えば1周期において路車間通信用に割り当てられたタイムスロットが6個であり、図10(a)〜(f)は、路車間通信に割り当てられた6個のタイムスロットを示している。交通量が少ない場合、制御部12は、安全に関するテーブル14aを選択する。そして、制御部12は、テーブル14aに基づいて、送信優先度が上位5番以内の情報を6個全てのタイムスロットに割り当てる。送信優先度5番以内の情報をすべてのタイムスロットに割り当てるのは、送信優先度が高い情報については車載通信装置3に確実に送信するためである。また、制御部12は、タイムスロットに不足が無く、通信状態も良好である場合、図10に示すように、送信優先度が上位6番目以降の情報を各タイムスロットに分配して割り当てる。送信優先度上位6番以降すべての情報を各タイムスロットに分配して割り当てるのは、交通量が少ないことから路車用に割り当てられるタイムスロット数が多いため、送信優先度が低い情報についても順番に送信すれば全ての情報を問題無く送信することができるためである。なお、送信優先度9〜11の情報は、路車間の送信対象になっていないため、該情報はタイムスロットに割り当てられていない。タイムスロット数に余裕がある場合、全ての情報を送信することができ、送信優先度が比較的高い情報については、1周期でも複数回連送することができる。送信すべき情報を図10に示すように選択及び分配することで、交通量が少ない場合に重要な安全に関する情報を優先的に送信することが可能になる。
【0064】
図11は、交通量が多い場合に送信される情報の内容を概念的に示す説明図である。交通量が多い場合、例えば1周期において路車間通信用に割り当てられたタイムスロットが2個であり、図11(a)、(b)は、路車間通信に割り当てられた2個のタイムスロットを示している。路車間通信用に割り当てられたタイムスロットが6個(図10の場合)から2個に減少しているのは、交通量が多くなり、車車間通信用に割り当てられるタイムスロットが増え、路車間通信用に割り当てられるタイムスロットが減少したためである。交通量が多い場合、制御部12は、交通の円滑に関するテーブル14bを選択する。そして、制御部12は、テーブル14bに基づいて、送信優先度が上位5番目以内の情報を2個全てのタイムスロットに割り当てる。送信優先度5番以内の情報をすべてのタイムスロットに割り当てるのは、送信優先度が高い情報については車載通信装置3に確実に送信するためである。なお、送信優先度5番の情報は、送信対象となっていないことから該情報はタイムスロットに割り当てられず、送信優先度上位5番以内の情報は、送信優先度1〜4、6番の情報となる。また、制御部12は、タイムスロットが不足している場合、図11に示すように、送信優先度が6番目以降の情報の内、一部の情報、例えば送信優先度上位6〜9番の情報(送信優先度が7〜14の情報)のみを各タイムスロットに分配して割り当てる。路車間通信用に割り当てられるタイムスロット数が少ないため、送信優先度が低い情報(送信優先度15番以降の情報)については送信対象から除外し、送信優先度が中程度の情報を1周期で1回は送信するためである。送信すべき情報を図11に示すように選択及び分配することで、交通量が多い場合に重要な円滑に関する情報を優先的に送信することが可能になる。また、送信優先度が低い情報を割愛することにより、送信優先度が高い情報を確実に送信することが可能になる。
【0065】
図12は、交通量が多く、受信状態も不良である場合に送信される情報の内容を概念的に示す説明図である。交通量が多い場合、例えば1周期において路車間通信用に割り当てられたタイムスロットが2個であり、図12(a)、(b)は、路車間通信に割り当てられた2個のタイムスロットを示している。路車間通信用に割り当てられたタイムスロットが6個(図10の場合)から2個に減少しているのは、交通量が多くなり、車車間通信用に割り当てられるタイムスロットが増え、路車間通信用に割り当てられるタイムスロットが減少したためである。交通量が多いためにタイムスロットが不足し、受信状態も不良である場合、制御部12は、図12に示すように、送信すべき情報を更に厳しく選別し、各タイムスロットに割り当てると良い。具体的には、送信優先度が上位5番目以内の情報を2個全てのタイムスロットに割り当て、送信優先度上位6番目以降の情報を間引いてタイムスロットに割り当てないようにする。送信優先度5番以内の情報をすべてのタイムスロットに割り当てるのは、送信優先度が高い情報については車載通信装置3に確実に送信するためである。なお、送信優先度5番の情報は、送信対象となっていないことから該情報はタイムスロットに割り当てられず、送信優先度上位5番以内の情報は、送信優先度1〜4、6番の情報となる。また、路車間通信用に割り当てられるタイムスロット数が少ないため、送信優先度が低い情報(送信優先度6番以降の情報)については送信対象から除外し、送信優先度が高い情報を車載通信装置3に確実に送信するためである。
【0066】
図13は、非常事態の際に送信される情報の内容を概念的に示す説明図である。交通量が少ない場合、例えば1周期において路車間通信用に割り当てられたタイムスロットが6個であり、図13(a)〜(f)は、路車間通信に割り当てられた6個のタイムスロットを示している。非常事態においては、制御部12は、非常事態に関するテーブル14cを選択する。そして、制御部12は、テーブル14cに基づいて、送信優先度が上位5番以内の情報を6個全てのタイムスロットに割り当てる。送信優先度5番以内の情報をすべてのタイムスロットに割り当てるのは、送信優先度が高い情報については車載通信装置3に確実に送信するためである。また、制御部12は、タイムスロットに不足が無く、通信状態も良好である場合、図13に示すように、送信優先度が上位6番目以降(送信優先度6〜18)の情報を各タイムスロットに分配して割り当てる。送信優先度上位6番以降すべての情報を各タイムスロットに分配して割り当てるのは、交通量が少ないことから路車用に割り当てられるタイムスロット数が多いため、送信優先度が低い情報についても順番に送信すれば全ての情報を問題無く送信することができるためである。なお、送信優先度9,10,13,14の情報は、路車間の送信対象になっていないため、該情報はタイムスロットに割り当てられていない。送信すべき情報を図13に示すように選択及び分配することで、非常事態において重要な情報を優先的に送信することが可能になる。
なお、非常時においては、車車間へのタイムスロットの割り当てを許可せず、タイムスロットを全て路路間及び路車に割り当てるように構成しても良い。
【0067】
なお、路側通信装置1から車載通信装置3に送信する情報の選択について説明したが、路路間で送信する情報についてもテーブル14a,14b,14cを用いることで同様にして選択することができる。
【0068】
次いで、制御部12は、計時部の計時結果に基づいて、所定の送信タイミングであるか否かを判定する(ステップS17)。送信タイミングで無いと判定した場合(ステップS17:NO)、制御部12は処理をステップS11に戻す。送信タイミングであると判定した場合(ステップS17:YES)、制御部12は、ステップS16にて選択された情報を車載通信装置3又は路側通信装置1に送信し(ステップS18)、処理をステップS11に戻す。
【0069】
このように構成された通信システムにあっては、交通量及び非常事態の有無に応じたテーブル14a,14b,14cを選択することで、各状態において必要な情報を優先的に送信することができ、交通量の増加による車車間又は路車間通信用のタイムスロット不足を間接的に解消することができる。従って、帯域を有効利用した無線通信を行うことができ、交通量が増加した場合であっても安全運転、交通の円滑化を支援することができる。また、非常事態に対応するための情報を確実に送信することができる。
【0070】
更に、車載通信装置3の通信状態が悪化した場合、送信優先度が低い情報の送信を控え、送信優先度が高い情報を優先的に送信するように構成されているため、各状態において必要な情報を確実に送信し、タイムスロット不足を間接的に解消することができ、安定した安全支援、交通の円滑化を行うことができる。
【0071】
なお、実施の形態にあっては、送信優先度が高い情報を全タイムスロットに割り当てるように構成してあるが、より好ましくは、送信優先度の高い項目から、後述の最適な連送回数を特定し、特定された連送回数となるようにタイムスロットに情報を割り当てると良い。
図14は、交通密度と、最適なタイムスロット間隔との関係を示すグラフである。横軸は交通密度(台/km)、縦軸は、車載通信装置3による情報の受信確率が略最大になるタイムスロット間隔(msec)である。路側通信装置1は、車載通信装置3から送信される通信状態情報に基づいて、車載通信装置3の受信確率が略最大になるタイムスロット間隔を計測し、受信確率が略最大になるタイムスロット間隔と、交通密度との関係を記憶部に記憶させる。図14によれば、例えば交通密度が90[台/km]の場合、最適なタイムスロット間隔は30msecになる。なお、交通密度は、交通量に基づいて算出又は推定することができる。
【0072】
また、実施の形態にあっては、車両の交通量を示す交通量情報に基づいて、テーブル選択、タイムスロット不足を判定するように構成されているが、車載通信装置の通信トラフィックを示す情報を取得して、テーブル及び送信情報の選択を行うように構成しても良い。各車載通信装置は、送信する情報の情報量を送信、具体的には送信されるべき情報の情報量をヘッダ部に格納して送信しており、路側通信装置は、各車載通信装置が送受信する情報をモニタリングすることによって、道路を走行している複数の車載通信装置の通信トラフィックを示す情報を得ることができる。また、車載通信装置に割り当てたタイムスロット数を交通量情報として記憶した記憶部から、該交通量情報を取得するように構成しても良い。
図15は、交通量と通信トラフィックとの関係を示すグラフである。横軸は車両の交通量(台/5分)を示し、縦軸は通信トラフィック(アーラン)を示している。道路を走行する車両の10%が車載通信装置を搭載している場合、交通量と通信トラフィックは図15に示すような相関を有しているため、実施の形態で示した各種通信処理に使用する交通量を通信トラフィックで代替することができる。
具体的には、路側通信装置の記憶部は、図4に示す優先度テーブルと同様、路側通信装置から車載通信装置に送信する各種情報の項目と、通信トラフィックが少ない場合における各項目の送信の送信優先度と、通信トラフィックが多い場合における各項目の送信優先度とを対応付けた優先度テーブルを記憶している。送信優先度の順位は図4と同様である。
そして、路側通信装置の制御部は、図5のステップS12で通信トラフィックを示す情報を取得し、取得した情報が示す通信トラフィックに応じてタイムスロットの割り当てを変更し、テーブルを選択し、送信情報を選択するように構成する。
なお、タイムスロットの割り当てを交通量又は通信トラフィックに応じて変更する構成を説明したが、タイムスロットの割り当てを交通量及び通信トラフィック夫々に応じて変更するように構成しても良い。
【0073】
更に、車両の交通量を示す交通量情報としては、路車間通信、車車間通信に対応した車載通信装置を搭載した車両の交通量だけでなく、感知器によって計測される従来の交通量を用いても良い。また、定数としての車載通信装置搭載率を記憶しておき、路車間通信、車車間通信に対応した車載通信装置を搭載した車両の交通量に前記車載通信装置搭載率を乗じて得た積算値を交通量情報として用いても良い。
【0074】
更にまた、道路を走行する車両の交通量のみならず、車種を判別し、車種毎の交通量を取得するように構成しても良い。高車車両は、低車の普通車両に比して無線通信を阻害する可能性が高いためである。高車車両の台数によって重み付けを行い、テーブルを選択するように構成すると良い。この場合、その交通状況に応じたより最適なテーブルを選択することができ、重要な情報を優先的に送信することが可能になる。
【0075】
更にまた、路側通信装置から車載通信装置への送信は、電波帯域を有効利用することができる同報通信を採用しているが、必ずしもこれに限定されない。
【0076】
更にまた、路車間の通信方式として同報通信方式を採用した通信システムを説明したが、電波帯域に余裕がある場合、個別通信方式を採用しても良い。
【0077】
更にまた、実施の形態においては、時分割多重接続方式にて多重無線通信を行う例を説明したが、多重無線通信方式はこれに限定されない。例えば、FDM、OFDMA、CDM、その他の多重無線通信方式、又は各方式の組み合わせに係る多重無線方式に本発明を適用しても良い。
【0078】
更にまた、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムを概念的に示す説明図である。
【図2】路側通信装置及び車載通信装置がタイムスロットにて送受信する情報のデータ形式の一例を概念的に示す説明図である。
【図3】通信システムの構成を示すブロック図である。
【図4】優先度テーブルを概念的に示す説明図である。
【図5】路側通信装置の無線通信に係る制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】割り当てられたタイムスロットの一例を概念的に示す説明図である。
【図7】タイムスロットの割り当て変更に係るサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】テーブル選択に係るサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】情報選択に係るサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】交通量が少ない場合に送信される情報の内容を概念的に示す説明図である。
【図11】交通量が多い場合に送信される情報の内容を概念的に示す説明図である。
【図12】交通量が多く、受信状態も不良である場合に送信される情報の内容を概念的に示す説明図である。
【図13】非常事態の際に送信される情報の内容を概念的に示す説明図である。
【図14】交通密度と、最適なタイムスロット間隔との関係を示すグラフである。
【図15】交通量と通信トラフィックとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0080】
1 路側通信装置
2 交通管制センター
3 車載通信装置
4 光ビーコン
5 画像センサ
6 信号灯器
10,30 アンテナ
11,31 通信部
12,32 制御部
13,33 記憶部
14 優先度テーブル(優先度データ)
14a,14b,14c テーブル(優先度データ要素)
B1,B2 交差点
C 車両
R 道路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に沿って設置された路側通信装置と、該道路を走行する複数の車両夫々に搭載された車載通信装置とを備え、前記路側通信装置は、各車載通信装置間、並びに前記路側通信装置及び前記車載通信装置間夫々で多重無線通信を行うための複数の無線リソースを割り当てるようにしてある通信システムであって、
前記路側通信装置は、
車載通信装置に送信すべき複数種類の情報夫々の送信優先度を示す優先度データを記憶した記憶手段と、
車両の交通量及び前記車載通信装置の通信トラフィックの少なくとも一方を示す情報を取得する取得手段と、
該取得手段にて取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方、並びに前記優先度データに基づいて、各無線リソースに含ませる情報を選択する選択手段と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記優先度データは、
前記交通量又は通信トラフィックに応じて異なる送信優先度を示す複数の優先度データ要素を含み、
前記選択手段は、
前記取得手段にて取得された交通量又は通信トラフィックに応じた優先度データ要素を選択し、選択された優先度データ要素に基づいて、各無線リソースに含ませる情報を選択するようにしてある
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
道路に沿って設置された路側通信装置と、該道路を走行する複数の車両夫々に搭載された車載通信装置とを備え、前記路側通信装置は、各車載通信装置間、並びに前記路側通信装置及び前記車載通信装置間夫々で多重無線通信を行うための複数の無線リソースを割り当てるようにしてある通信システムであって、
前記路側通信装置は、
車載通信装置に送信すべき複数種類の情報夫々の送信優先度を示す優先度データを記憶した記憶手段と、
非常事態に関する非常事態情報を取得する非常事態情報取得手段と、
該非常事態情報取得手段にて取得された非常事態情報、及び前記優先度データに基づいて、各無線リソースに含ませる情報を選択する選択手段と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項4】
前記優先度データは、
非常事態情報に応じて異なる送信優先度を示す複数の優先度データ要素を含み、
前記選択手段は、
取得された非常事態情報に応じた優先度データ要素を選択し、選択された優先度データ要素に基づいて、各無線リソースに含ませる情報を選択するようにしてある
ことを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記選択手段は、
各無線リソースに、送信優先度が高い情報を送信優先度が低い情報に比べてより多く含ませるようにしてある
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の通信システム。
【請求項6】
前記路側通信装置は、
前記車載通信装置の通信状態の良否を示す通信状態情報を取得する手段を備え、
前記選択手段は、
取得された通信状態情報が示す通信状態が不良/良好な場合、各無線リソースに含ませるべき送信優先度が高い情報の量を増加/減少させ、送信優先度が低い情報の量を減少/増加させるようにしてある
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の通信システム。
【請求項7】
道路に沿って設置された路側通信装置と、該道路を走行する複数の車両夫々に搭載された車載通信装置とを備え、前記路側通信装置は、各車載通信装置間、並びに前記路側通信装置及び前記車載通信装置間夫々で多重無線通信を行うための複数の無線リソースを割り当てる無線通信方法であって、
車載通信装置に送信すべき複数種類の情報夫々の送信優先度を示す優先度データを用意し、
車両の交通量及び前記車載通信装置の通信トラフィックの少なくとも一方を示す情報を取得し、
取得した情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方、並びに前記優先度データに基づいて、各無線リソースに含ませる情報を選択する
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項8】
道路に沿って設置された路側通信装置と、該道路を走行する複数の車両夫々に搭載された車載通信装置とを備え、前記路側通信装置は、各車載通信装置間、並びに前記路側通信装置及び前記車載通信装置間夫々で多重無線通信を行うための複数の無線リソースを割り当てる無線通信方法であって、
車載通信装置に送信すべき複数種類の情報夫々の送信優先度を示す優先度データを用意し、
非常事態に関する非常事態情報を取得し、
取得した非常事態情報、及び前記優先度データに基づいて、各無線リソースに含ませる情報を選択する
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項9】
複数の移動通信装置間、及び前記移動通信装置との間夫々で多重無線通信を行うための複数の無線リソースを前記移動通信装置に割り当てる通信装置であって、
移動通信装置に送信すべき複数種類の情報夫々の送信優先度を示す優先度データを記憶した記憶手段と、
前記移動通信装置の交通量及び前記移動通信装置の通信トラフィックの少なくとも一方を示す情報を取得する取得手段と、
該取得手段にて取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方、並びに前記優先度データに基づいて、各無線リソースに含ませる情報を選択する選択手段と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項10】
複数の移動通信装置間、及び前記移動通信装置との間夫々で多重無線通信を行うための複数の無線リソースを前記移動通信装置に割り当てる通信装置であって、
移動通信装置に送信すべき複数種類の情報夫々の送信優先度を示す優先度データを記憶した記憶手段と、
非常事態に関する非常事態情報を取得する非常事態情報取得手段と、
該非常事態情報取得手段にて取得された非常事態情報、及び前記優先度データに基づいて、各無線リソースに含ませる情報を選択する選択手段と
を備えることを特徴とする通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−267963(P2009−267963A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117542(P2008−117542)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】