説明

通信信号の種類判定処理方法と装置。

【課題】ファクシミリ又はデータ通信を行う場合に、従来は、1つの素子である変復調部でトーナル信号、デジタル変調信号、音声信号の3種類の信号を処理して送受信を行っていた。変復調部は3種類の信号のそれぞれに最適の処理が求められていた。各信号の検出能力および誤検出排除能力は、1つの素子である変復調部の性能に依存していた。そのために、信号の内容によっては、これを別の種類の信号と誤検出し、通信に不具合が発生することがあった。本発明は、この誤検出の発生を防止し、ファクシミリおよびデータ通信の信頼性を高めることにある。
【解決手段】通信中の各手順において、使用されている信号の種類に適した音声専用デジタル信号処理部19に切替部15により切り替えて検出するようにした。これにより、音声応答装置やオペレータが発する音声により変復調部12が誤動作しなくなった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声も混入することのあるファクシミリまたはデータ通信の複合装置における通信信号の種類判定処理方法と装置に関する。具体的には、ファクシミリ装置またはデータ通信装置において使用される各種の信号を的確に検出し最適に処理することにより、誤動作を防ぎ通信の信頼度を高めた、新規な通信信号の種類判定処理方法と装置を提供せんとするものである。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ装置、データ通信装置および電話機は、それぞれ別個の単機能の装置として設置され使用される場合もあるが、複合機として使用される場合が多い。ファクシミリ装置ではトーナル信号が、データ通信装置ではデジタル変調信号が、電話機では音声信号が使用される。したがって、現在の相手装置からの信号が、この3種類の信号(トーナル信号、デジタル変調信号、音声信号)のうちのどれであるかを的確に判断する必要がある。電話機で音声信号を使用している最中にも、相手側装置の音声による案内などもある。例えば、「Aをご希望の場合は、ダイヤルの1を、Bをご希望の場合は、ダイヤルの2を押して下さい。」との案内に対して、それに応答してダイヤルの1を押した場合には、この通信において、音声とダイヤル音が混在する。
【0003】
図7は、従来装置の1例を示した回路構成図である。電話(通信)回線1は回線制御部11に接続されている。回線制御部11は、信号3および5によって変復調部12に接続されている。変復調部12にはデジタル信号9が接続されている。信号3は電話回線1側から回線制御部11を介して送られてくるデジタル変調信号、信号5は回線制御部11を介して電話回線1側に送るデジタル変調信号である。デジタル信号9は、たとえば、ファクシミリ画データであったり、あるいは音声信号であったりする。変復調部12は、信号3により受けたデジタル変調信号を復調してデジタル信号9を出力し、デジタル信号9をデジタル変調して信号5として送出する。
【0004】
図8、9および10には、図7に示した従来装置を2台用いて交信する場合の動作の流れの1例を示している。従来装置PとQは動作を開始しており、電話回線1を介して接続され、従来装置Pから従来装置Qに対してファクシミリ(FAX)の送信を始めようとしている(S51、図8)。従来装置Pからダイヤル発信すると(S52)、電話回線1を介して従来装置Qに接続され、従来装置Qは回線制御部11において着信を確認する(S53Y)。そこで従来装置Qは従来装置Pに対して、たとえば、「ただいま呼出中ですので、しばらくお待ち下さい。」という応答音声を送出し(S54)、従来装置Pはこれを受信する(S55)。つづいて、従来装置Qは呼出音(着信音)を鳴動させると同時に従来装置Pに対しても呼出中であることを知らせる呼出音を送出する(S56)。従来装置Pは、この呼出音を受信することで、従来装置Q側は、呼出中であることがわかる(S57)。
【0005】
従来装置Qにおいて、ハンドセットを取った(オフフックした)場合は(S58Y、図9)、電話通話が開始される(S59)。ハンドセットが取られない(オンフックのままの)場合には(S58N)、従来装置PからのCNG信号の受信を待つ(S60)。CNG信号は、ファクシミリ送信者(この場合は、従来装置P)側から、ファクシミリ受信者(この場合は、従来装置Q)側に対して、「ファクシミリ送信ができる状態にある」と通知する信号である。したがって、従来装置Qが従来装置PからCNG信号を受信したときは、従来装置Pが(音声信号ではなくて)ファクシミリを送信しようとしていることが判る。従来装置Qは、所定の期間、CNG信号を受信しない場合は、ステップS56にもどる(S60N)。
【0006】
CNG信号を従来装置Pから受信した場合は(S60Y)、従来装置Qはトーナル信号であるCEDまたはデジタル変調信号であるDIS信号を従来装置Pに対して送出する(S61)。従来装置Pは、このCEDまたはDIS信号を受信しないままに(S62N)、所定の期間T1が経過する迄は(S63N)、CED(またはDIS)信号の検出を待ち(S64N)、CNG信号を従来装置Qに対して送出してステップS62に戻る(S65)。ステップS63において所定の期間T1が経過してしまったときは(S63Y)、電話(通信)回線を切断する(S66)。ステップS64においてCEDを検出した場合にもステップS62に戻る(S64Y)。
【0007】
ここで、CNG信号およびCED信号について説明する。CNG信号は、発呼トーンであり、発呼端末が非音声端末であることを示している。1100Hz,0.5秒継続、3秒間隔の音声信号(トーナル信号)である。CED信号は、トーナル信号の1種で被呼局識別信号(2100Hz、2.6秒の音声信号)であり、非被呼局は着信に応答後、CED信号を送信してから送信すべき信号の送信に入る。CNG信号を受信した側(この場合は、従来装置Q)から、CNG信号を送信した側(この場合は、従来装置P)に送られる。CNG信号およびCED信号の送出者は、音声端末ではなく、モデムを有する端末であることを示している。CNG信号およびCED信号のトーン信号を検出して、音声端末とファクシミリ(FAX)などのモデム端末の切替に使用されることもある。
【0008】
ステップS62YにおいてCEDまたはDIS信号を従来装置Pが受信した場合には(S62Y)、従来装置Qから受信した信号がDIS信号またはDTC信号ではなかった場合は(S67N、図10)、電話(通信)回線を切断する(S68)。従来装置Qから受信した信号がDIS信号またはDTC信号であることを確認した場合は(S67Y)、従来装置Qがファクシミリの受信可能な状態であるから、従来装置Pはファクシミリ(FAX)の送信をして動作を終了する(S69)。従来装置Qは、ファクシミリ(FAX)の受信を完了すると動作を終了する(S70)。
【0009】
ここでDTC信号について説明する。DTC信号は、DIS信号によって識別された標準機能に対するデジタル命令応答であり、受信機になることを希望する発呼端末から、送信機能を有する被呼端末に対して送信されるデジタル送信命令である。ファクシミリ(FAX)の送受信においては、受信側の能力(通信速度、原稿サイズ、解像度など)に合わせて、送信側が送信しなければならないので、受信側は着呼後にDIS信号を送信側に送信して自己の能力を知らせている。逆に、着呼側を送信側に切り替えて(いわゆるポーリンク機能を)使用する場合には、受信する側がDIS信号の代わりをするDTC信号を送信することによって、送受信の方向を切り替えるとともに、ファクシミリ(FAX)受信能力を、送信側に通知する。
【0010】
前述の従来装置Pの動作におけるステップS55からS67までの動作、および、従来装置Qの動作における、ステップS58からS61までの動作は、トーナル信号、デジタル変調信号あるいは音声信号を処理しているから、この3種の信号の種類を正確に判定し、目的とする信号以外の信号は排除しなければ、所望の動作は進行しなくなる。その一例をつぎに示す。
【0011】
たとえば、従来装置PがステップS57(図8)において、従来装置Qからの呼出音をCED信号と誤認した場合には、従来装置PはステップS62Y(図9)においてCED信号を受信したと判断し、ステップS65のCNG信号は送出されず、従来装置QからのDIS信号を待つ状態となってしまう(S67、図10)。しかし、従来装置Qは従来装置PからCNG信号を受信することはないから、タイムアウトで(S63、図9)回線切断(S66、図9)となり、ファクシミリ通信は成立しない。
【0012】
この通信信号の種類の判定は、1つの素子である変復調部12に依存していた。1つの素子である変復調部12は、デジタル変復調信号に重点をおいて設計されているために、トーナル信号や音声信号の検出条件が単純化されている。たとえば、トーナル信号に含まれたCED信号の検出条件は、周波数2100Hz±35Hz、検出時間は10msである。音声信号の中に、10msの短時間の間、周波数2100Hz±35Hzの信号が存在したときには、その音声信号をファクシミリ通信において使われるCED信号と誤判定してしまい、誤動作してファクシミリ通信をすることができないことになる。
【0013】
このように、音声信号中にこの検出条件を満たすものがあれば、その音声信号をCED信号と誤認してしまうことになる。そのために、受信中の音声信号の一部にでもトーナル信号検出の条件を満足する部分があれば、音声信号をトーナル信号として誤検出してしまうから、誤動作することになる。一方、音声専用として設計されたデジタル信号処理用の素子(DSP)は市販されているが、トーナル信号や音声信号の検出能力においては優れているものの、デジタル変復調機能を有しておらず、変復調部12として使用することはできなかった。このDSP素子はトーナル信号の検出時間は、360msと長く、その期間の電力の変化を監視して、音声信号とトーナル信号とを判別しているから、両信号の判別および誤検出排除能力に優れている。
【0014】
特許文献1には、ファクシミリ装置の符号化および復号化方法が開示されている。そこでは、解像度変換において各種データの相互変換を中間コードとしての積算ランレングスを用いて行い、専用の符号・復号化ハードウェアを用いない符号化および復号化方法を提供している。
【0015】
特許文献2には、画像受信の際、常に確実にEOL信号を検出して通信を終了することができるファクシミリ装置が開示されている。そこでは、伝送速度、画質モード、伝送画像サイズに応じてパラメータPを求め、2ライン分の伝送時間にパラメータPを掛け、EOL信号の非検出により画像信号の受信から通信断へ移行する所定時間を求め、この所定時間の間EOL信号を検出できなかった場合は通信を切断して終了している。
【0016】
特許文献3には、原稿を読み取りながら送信するダイレクト送信するファクシミリ装置において、符号量の少ない原稿の場合、通信部への画像データのブロック転送でアンダーフローが発生して通信エラーになるのを防止する手段が開示されている。そこでは、読み取りデータ1ラインの符号量が基準値以上になるようにダミーデータを挿入している。
【特許文献1】特開平5-037794号公報
【特許文献2】特開平10-233908号公報
【特許文献3】特開2000-261673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
トーナル信号、デジタル変調信号あるいは音声信号の3種類の信号を正確に判定し、目的とする信号以外の信号を排除しなければ、所望の動作は進行しなくなる。この判定は1つの素子である変復調部12に依存しており、正確な通信信号の種類の判定は困難であるという解決されねばならない課題があった。この1つの素子である変復調部12は、デジタル変調信号に重点をおいて設計されているために、トーナル信号や音声信号の検出条件が単純化されている。音声専用として設計されたデジタル信号処理用の素子(DSP)に比較して、トーナル信号や音声信号の検出能力において劣っていた。しかしながら、DSPはトーナル信号や音声信号の検出能力は優れているものの、デジタル変復調機能を有しておらず、変復調部として使用することはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0018】
トーナル信号や音声信号が混在する可能性のある期間における通信信号の種類判定は、音声専用デジタル信号処理部に任せ、通信信号の種類が確定した後の信号処理は変復調部が実行するようにした。この機能を実現するために、電話(通信)回線に接続された回線制御部と、変調されるべき信号と復調されるべき信号であるデジタル信号を変復調する変復調部との間に、切替部と音声専用デジタル信号処理部を設けた。通信信号にトーナル信号や音声信号が混在する可能性のある期間においては、切替部において回線制御部と音声専用デジタル信号処理部とを接続し、音声専用デジタル信号処理部に通信信号の種類判定を実行せしめる。トーナル信号や音声信号が混在する可能性のある期間を経過した後は、切替部において回線制御部と変復調部との間を接続して従来と同様の変復調動作をする。
【発明の効果】
【0019】
通信信号にトーナル信号や音声信号が混在する可能性のある期間においては、音声専用デジタル信号処理部が信号処理を担当し、トーナル信号や音声信号が混在する可能性のある期間を経過した後は、従来と同様に変復調部が信号処理を担当するように切替処理するようにしたから、音声応答装置やオペレータが発する音声により変復調部が誤動作することはなくなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
トーナル信号や音声信号が混在する可能性のある期間における通信信号の種類判定は、音声専用デジタル信号処理部に任せ、通信信号の種類が確定した後の信号処理は変復調部が実行するようにした。そこで、電話回線に接続された回線制御部と、変調されるべき信号と復調されるべき信号を変復調する変復調部との間に、切替部と音声専用デジタル信号処理部を設けた。デジタル信号にトーナル信号や音声信号が混在する可能性のある期間においては、切替部により回線制御部と音声専用デジタル信号処理部とを接続し、音声専用デジタル信号処理部が音声の識別をして通信信号の種類判定を実行する。トーナル信号や音声信号が混在する可能性のある期間を経過した後は、切替部において回線制御部と変復調部との間を接続して従来と同様の変復調動作をする。
【実施例1】
【0021】
図1は、本願発明の実施例1の構成を示している。ここで、図7に示した従来例に対応する要素については対応する記号を付した。電話(通信)回線1は回線制御部11に接続されている。回線制御部11は、通信信号である信号3aおよび3bによって切替部15のスイッチSW1およびSW2に接続されている。信号3aは電話回線1側から回線制御部11を介して送られてくるデジタル変調信号、信号3bは回線制御部11を介して電話回線1側に送るデジタル変調信号である。このスイッチSW1およびSW2は、切替制御器16が出力するスイッチ切替信号17aおよび17bによって接点aまたはbを選択するように切り替えられる。
【0022】
スイッチSW1の接点aに得た信号5aは、変復調部12に印加され復調されてデジタル信号9として出力される。デジタル信号9が変復調部12に印加された場合は、デジタル変調されて信号5bとして変復調部12から出力されスイッチSW2の接点aに接続される。変復調部12は、従来から市販されているものであり、図7に示したものに同じである。デジタル信号9は、たとえば、ファクシミリ画データであったり、あるいは音声信号であったりする。スイッチSW1およびSW2の接点aが選択されている場合は、信号5bは信号3bとして回線制御部11に印加され、電話(通信)回線1に送られる。
【0023】
スイッチSW1およびSW2の接点bが選択されている場合は、通信信号の種類判定用の信号7a,7bにより、音声専用デジタル信号処理部19が回線制御部11に接続される。信号3a,3bにトーナル信号や音声信号が混在する可能性のある期間においては、切替部15においてスイッチSW1およびSW2の接点bが選択されて、回線制御部11と音声専用デジタル信号処理部19とを接続し、音声専用デジタル信号処理部19に通信信号の種類判定を実行せしめる。トーナル信号や音声信号が混在する可能性のある期間を経過した後は、切替部15においてスイッチSW1およびSW2の接点aが選択されて、回線制御部11と変復調部12との間を接続して従来と同様の変復調動作をする。
【0024】
音声専用デジタル信号処理部19は、音声専用として設計されたデジタル信号処理用の素子(DSP)であり市販されているものである。トーナル信号や音声信号の検出能力においては優れているものの、デジタル変復調機能を有しておらず、変復調部12として使用することはできない。このDSP素子はトーナル信号の検出時間は、360msと長く、その期間の電力の変化を監視して、音声信号とトーナル信号とを判別しているから、両信号の判別および誤検出排除能力に優れている。
【0025】
図2、3および4には、図1に示した装置を2台用いて交信する場合の動作の流れの1例を示している。装置AとBは動作を開始しており、電話回線1を介して接続され、装置Aから装置Bに対してファクシミリ(FAX)の送信を始めようとしている(S1、図2)。装置Aからダイヤル発信すると(S2)、電話回線1を介して装置Bに接続される。これ以後の装置Bからの電話回線1の信号には、トーナル信号や音声信号が混在する可能性があるので、切替部15の切替制御器16が動作してスイッチSW1およびSW2の接点bに切り替える(S3)。
【0026】
そこで、装置Bは着信を確認する(S4Y)。装置Bは装置Aに対して、たとえば、「ただいま呼出中ですので、しばらくお待ち下さい。」という応答音声を送出し(S5)、装置Aはこれを音声専用デジタル信号処理部19により受信する(S6)。つづいて、装置Bは呼出音(着信音)を鳴動させると同時に装置Aに対しても呼出中であることを知らせる呼出音を送出する(S7)。装置Aは、この呼出音を音声専用デジタル信号処理部19により受信することで、装置B側は呼出中であることがわかる(S8)。装置Bは、これ以後の装置Aからの電話回線1の信号には、トーナル信号や音声信号が混在する可能性があるので、切替部15の切替制御器16が動作してスイッチSW1およびSW2の接点bに切り替える(S9)。
【0027】
装置Bにおいて、ハンドセットを取った(オフフックした)場合は(S10Y、図3)、電話通話が開始される(S11)。ハンドセットが取られない(オンフックのままの)場合には(S10N)、装置AからのCNG信号の受信を待つ(S12)。ここに、CNG信号とは、トーナル信号に含まれるもので、ファクシミリ送信者(この場合は、装置A)側から、ファクシミリ受信者(この場合は、装置B)側に対して、「ファクシミリ送信ができる状態にある」と通知する信号である。したがって、装置Bが装置AからCNG信号を受信したときは、装置Aが(音声信号ではなくて)ファクシミリを送信しようとしていることが判る。装置Bは、所定の期間、CNG信号を受信しない場合は、ステップS7にもどる(S12N)。
【0028】
CNG信号を装置Aから受信した場合は(S12Y)、装置BはCEDまたはDIS信号を装置Aに対して送出する(S13)。ここでCED(DIS)信号とは、トーナル信号に含まれるもので、「ファクシミリ受信可能(モデム信号を受信可能)」を通知するものであり、CNG信号を受信した側(この場合は、装置B)から、CNG信号を送信した側(この場合は、装置A)に送られる。装置Aは、このCEDまたはDIS信号を受信しないままに(S14N)、所定の期間T1が経過する迄は(S15N)、CED(またはDIS)信号の検出を待ち(S16N)、CNG信号を装置Bに対して送出してステップS14に戻る(S17)。ステップS15において所定の期間T1が経過してしまったときは(S15Y)、電話(通信)回線1を切断する(S18)。ステップS16においてCEDを検出した場合にもステップS14に戻る(S16Y)。
【0029】
装置Bでは、トーナル信号や音声信号が混在する可能性がなくなるので、切替部15の切替制御器16が動作してスイッチSW1およびSW2の接点aに切り替えて、変復調部12が動作する(S19)。ステップS14においてCEDまたはDIS信号を装置Aが受信した場合には(S14Y)、装置Bから受信した信号がDIS信号またはDTC信号ではない場合は(S20N、図4)、電話(通信)回線を切断する(S21)。
【0030】
装置Bから受信した信号がDIS信号またはDTC信号である場合は(S20Y)、装置Bが、たとえば、ファクシミリの受信可能な状態であるから、装置Aはトーナル信号や音声信号が混在する可能性がなくなるので、切替部15の切替制御器16が動作してスイッチSW1およびSW2の接点aに切り替えて(S22)、変復調部12が動作し、ファクシミリ(FAX)の送信をして動作を終了する(S23)。装置Bは、ファクシミリ(FAX)の受信を完了すると動作を終了する(S24)。以上の説明から明らかなように、トーナル信号や音声信号が混在する可能性がある期間は、音声専用デジタル信号処理部19が信号処理を担当し、混在する可能性のない期間は、変復調部12が動作するから、通信信号の種類の判定が正確に行われる。
【0031】
図5は、図1に示した重要な構成要素の切替部15の詳細な回路構成図である。切替部15は、接点aとbを切り替えるスイッチSW1およびSW2と、このスイッチSW1およびSW2を切り替えるスイッチ切替信号 17aおよび17bを得るための切替制御器16とを含んでいる。切替制御器16には、信号5a,5bと信号7a,7bが接続されているから、各信号の状況を常に監視することができ、スイッチ切替信号 17aおよび17bを適切に出力することができる。
【0032】
動作指示信号5cは、スイッチSW1およびSW2を接点bからaに切り替えたときに変復調部12に印加され、変復調動作の開始を指示する信号である。したがって、この動作指示信号5cを印加されなくても、スイッチSW1およびSW2が接点bからaに切り替えられたことを、たとえば、信号5aにより変復調部12が検出して動作を開始することができる場合には、この動作指示信号5cは不要である。同様に、動作指示信号7cは、トーナル信号や音声信号が混在する可能性がある期間の初めにおいて音声専用デジタル信号処理部19に対して出力され、その動作を開始させるものであるから、動作指示信号7cを印加されなくても、スイッチSW1およびSW2が接点aからbに切り替えられたことを、たとえば、信号7aにより音声専用デジタル信号処理部19が検出して動作を開始することができる場合には、この動作指示信号7cは不要である。
【0033】
図6は、図1に示した重要な構成要素の切替部15の他の詳細な回路構成図である。切替制御器16は、スイッチ切替信号 17の状況により、スイッチSW1およびSW2が接点aまたはbにあることを常時認識しているから、信号3a,3bを監視するならば、切替時期を的確に判断することができる。たとえば、接点aにあるときには、信号3a,3bは信号5a,5bに同じであり、接点bにあるときには、信号3a,3bは信号7a,7bに同じである。
【0034】
図6の場合も図5の場合と同様に、動作指示信号5cは、スイッチSW1およびSW2を接点bからaに切り替えたときに変復調部12に印加され、動作を指示する信号である。したがって、この動作指示信号5cを印加されなくても、スイッチSW1およびSW2が接点bからaに切り替えられたことを、たとえば、信号5aにより変復調部12が検出して動作を開始することができる場合には、この動作指示信号5cは不要である。同じく、動作指示信号7cを印加されなくても、スイッチSW1およびSW2が接点aからbに切り替えられたことを、たとえば、信号7aにより音声専用デジタル信号処理部19が検出して動作を開始することができる場合には、この動作指示信号7cは不要である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本願発明の実施例を示した回路構成図である。(実施例1)
【図2】図1に示した装置の動作の流れを示したフローチャートである。
【図3】図2とともに、図1に示した装置の動作の流れを示したフローチャートである。
【図4】図2および図3とともに、図1に示した装置の動作の流れを示したフローチャートである。
【図5】図1に示した重要な構成要素の切替部の詳細な回路構成図である。
【図6】図1に示した重要な構成要素の切替部の他の詳細な回路構成図である。
【図7】従来例を示した回路構成図である。
【図8】図7に示した従来装置の動作の流れを示したフローチャートである。
【図9】図8とともに、図7に示した従来装置の動作の流れを示したフローチャートである。
【図10】図8および図9とともに、図7に示した従来装置の動作の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
1 電話回線
3,3a,3b,5,5a,5b,7a,7b 信号
5c,7c 動作指示信号
9 デジタル信号
11 回線制御部
12 変復調部
15,15B 切替部
16,16B 切替制御器
17a,17b スイッチ切替信号
19 音声専用デジタル信号処理部
SW1,SW2 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線(1)に送受する通信信号(3a,3b)を回線制御するための回線制御処理(11)をし、
前記通信信号(3a,3b)にトーナル信号と音声信号のうちの少なくとも一方が混在する可能性のある混在期間においては、前記通信信号(3a,3b)の種類を判定するための種類判定用信号(7a,7b)に切り替え、前記混在期間の経過後は通信すべき変調信号(5a,5b)に切り替えるための切替処理(15,15B)をし、
前記種類判定用信号(7a,7b)において、音声信号を識別することにより、トーナル信号と音声信号の種類を判定するための音声専用デジタル信号処理(19)をし、
前記通信すべき変調信号(5a,5b)のうちの受信した信号(5a)を復調し、前記通信すべき変調信号(5a,5b)のうちの送信すべき信号(5b)を変調により得るための変復調処理(12)をする
通信信号の種類判定処理方法。
【請求項2】
前記切替処理(15)において、
前記混在期間を判定するために、前記通信すべき変調信号(5a,5b)および前記種類判定用信号(7a,7b)を監視し前記混在期間を判定して切替制御するための切替制御処理(16)をする
請求項1の通信信号の種類判定処理方法。
【請求項3】
前記切替処理(15B)において、
前記混在期間を判定するために、前記通信信号(3a,3b)を監視し前記混在期間を判定して切替制御するための切替制御処理(16B)をする
請求項1の通信信号の種類判定処理方法。
【請求項4】
前記切替処理(15、15B)において、
前記混在期間の経過後直ちに前記変復調処理(12)を開始することを指示するための変復調処理動作指示信号(5c)を出力する
請求項1の通信信号の種類判定処理方法。
【請求項5】
前記切替処理(15、15B)において、
前記混在期間の開始時に前記音声専用デジタル信号処理(19)を開始することを指示するための音声判定動作指示信号(7c)を出力する
請求項1の通信信号の種類判定処理方法。
【請求項6】
通信回線(1)に送受する通信信号(3a,3b)を回線制御するための回線制御手段(11)と、
前記通信信号(3a,3b)にトーナル信号と音声信号のうちの少なくとも一方が混在する可能性のある混在期間においては、前記通信信号(3a,3b)の種類を判定するための種類判定用信号(7a,7b)に切り替え、前記混在期間の経過後は通信すべき変調信号(5a,5b)に切り替えるための切替手段(15,15B)と、
前記種類判定用信号(7a,7b)において、音声信号を識別することにより、トーナル信号と音声信号の種類を判定するための音声専用デジタル信号手段(19)と、
前記通信すべき変調信号(5a,5b)のうちの受信した信号(5a)を復調し、前記通信すべき変調信号(5a,5b)のうちの送信すべき信号(5b)を変調により得るための変復調手段(12)とを含む
通信信号の種類判定処理装置。
【請求項7】
前記切替手段(15)が、
前記混在期間を判定するために、前記通信すべき変調信号(5a,5b)および前記種類判定用信号(7a,7b)を監視し前記混在期間を判定して切替制御するための切替制御手段(16)を含んでいる
請求項6の通信信号の種類判定処理装置。
【請求項8】
前記切替手段(15B)が、
前記混在期間を判定するために、前記通信信号(3a,3b)を監視し前記混在期間を判定して切替制御するための切替制御手段(16B)を含んでいる
請求項6の通信信号の種類判定処理装置。
【請求項9】
前記切替手段(15、15B)が、
前記混在期間の経過後直ちに前記変復調処理手段(12)が動作を開始することを指示するための変復調処理動作指示信号(5c)を出力する
請求項6の通信信号の種類判定処理装置。
【請求項10】
前記切替手段(15、15B)が、
前記混在期間の開始時に前記音声専用デジタル信号処理手段(19)が動作を開始することを指示するための音声判定動作指示信号(7c)を出力する
請求項6の通信信号の種類判定処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−101247(P2006−101247A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−285598(P2004−285598)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)
【Fターム(参考)】