説明

通信制御装置

【課題】在宅者のプライバシーを尊重するとともに、センター側の負担の減少にも繋がる通報システムを構築可能な通信制御装置を提供する。
【解決手段】通信制御装置10,20が有する信号処理手段(トランスポートコントローラ13)において、居住者等の生活リズムをパターン化した状態テーブルに基づいて、観測装置からリアルタイムで出力される観測信号の状態遷移を判定して、状態遷移が異常であるか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CATV,XDSL,FTTHといった信号を伝送可能な通信制御装置に関し、特に、カメラやセンサ等の各種観測装置を接続可能で、観測状況を監視制御するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅内で発生した人災等を通報する通報システムが各住居に設置されるようになっている。特に、在宅の高齢者の生活状況、病状等を監視して、在宅者に異常が発生した際に緊急通報を行う緊急時の緊急通報システムが確立されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の緊急通報システムは、在宅者の様子をモニタカメラで撮影するために、センター側でカメラの操作制御(方向制御、倍率制御)が可能となっている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−143787(段落[0005]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の通報システムは、カメラで撮影された映像が全てセンター側に送信されてセンター側で監視されているため、在宅者のプライバシーに欠けるものとなっている。特に、在宅者の住宅に備えられているカメラは、センター側で制御可能となっていることから、緊急時の状況を把握する際には便利であるが、それ以外の通常状態時は、プライバシー侵害の何ものでもない状況となっている。
【0006】
また、カメラのみならず各種の観測装置を備えて監視する場合にも、センター側が常に監視体制を整えなければならず、センター側の負担も過大であった。
【0007】
一方で、居住者の生活リズムはある程度パターン化することができるものであり、普段の生活リズムとは異なる状態が発生した場合に異常と判断して、センター側の監視体制を機能させたり、近隣住民に通報するようなシステムを構築すれば、在宅者のプライバシーは尊重され、センター側の負担の減少にも繋がるという知見を本発明者は見出した。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、在宅者のプライバシーを尊重するとともに、センター側の負担の減少にも繋がる通報システムを構築可能な通信制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のような課題を解決するために、本発明は、通信制御装置が有する信号処理手段において、居住者等の生活リズムをパターン化した状態テーブルに基づいて、観測装置からリアルタイムで出力される観測信号の状態遷移を判定して、状態遷移が異常であるか否かを判断することを特徴とする。
【0010】
より具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0011】
(1) CATVシステムからの放送信号を受信するCATV受信手段と、各種観測装置からの観測信号を受信するインタフェース受信手段と、前記観測信号を処理する信号処理手段と、前記観測装置から出力されるべき通常状態時の基準観測信号を状態テーブルとして記憶する通常状態テーブル記憶手段と、を有する通信制御装置において、前記信号処理手段は、前記通常状態テーブル記憶手段に記憶された状態テーブルに基づいて、前記観測装置からリアルタイムで出力される観測信号の状態遷移を判断することを特徴とする通信制御装置。
【0012】
本発明によれば、通信制御装置は、居住者の生活リズムをカメラやセンサ等の観測装置から出力されるべき通常状態時の状態テーブルとして記憶しておき、観測装置からリアルタイムで出力される観測信号と状態テーブルを照合して、その状態遷移を判断する処理を行うことから、センター側で異常を検知する他者検知型の通報端末とは異なる自己検知型の端末を提供することができる。
【0013】
ここで、「通常状態時の状態テーブル」は、観測装置から出力されるべき観測信号や、各種観測装置の相互論理関係をテンプレート化したものである。これらは、運用時のサンプリングデータを蓄積しながら、逐次定数や変数を変更していくような学習機能を備えることができる。
【0014】
(2) 前記通信制御手段は、さらに、1又は複数のTV受像機に対して、前記CATV受信手段で受信した放送信号及び/又は前記信号処理手段で判断された状態遷移の状況信号を送出する送出手段を有し、前記信号処理手段は、前記状態遷移を異常であると判断した場合には、前記1又は複数のTV受像機に対して、異常状態の発生を報知する報知信号を送出する処理を行うことを特徴とする通信制御装置。
【0015】
本発明によれば、自己検知型の通信制御装置によって、信号処理手段が、状態遷移を異常であると判断した場合には、TV受像機に対して、異常状態の発生を報知する報知信号を送出する処理を行うことから、TV受像機に映し出される画像によって、居住者は、異常状態の発生を知ることができるようになる。
【0016】
ここで、「1又は複数のTV受像機に対して」とは、例えば、住宅内に複数のTV受像機がある場合のいずれか1つのTV受像機や特定の複数のTV受像機や全てのTV受像機を包含する意である。また、マンションのように1個の通信制御装置に複数世帯のTV受像機がある場合は、異常状態が発生した世帯内のTV受像機は勿論のこと、必要であれば近隣世帯のTV受像機をも包含する意である。
【0017】
例えば、居住者の在宅中に別の場所で異常が起こった場合でも、居住者の居間等に設置してあるTV受像機にて、その異常を知ることができる。
【0018】
(3) 前記信号処理手段は、前記状態遷移を異常であると判断すると共に、異常状態が一定期間経過後も解除されなければ、前記複数のTV受像機の中の特定の受像機に対して、異常状態の発生を報知する報知信号を送出する処理を行うことを特徴とする通信制御装置。
【0019】
本発明によれば、信号処理手段が、状態遷移を異常であると判断すると共に、異常状態が一定期間経過後も解除されなければ、複数のTV受像機の中の特定の受像機に対して、異常状態の発生を報知する報知信号を送出する処理を行うことから、TV受像機に映し出される画像によって、居住者(本人、他人)は、異常状態の発生を知ることができるようになる。
【0020】
例えば、1台の通信制御装置を有する同一構内(マンション、ビル)を考えたときに、各居住者ごとのTV受像機に、近隣居住者の異常状態の発生を報知する報知信号が送出されて、各居住者は、近隣居住者の異常状態の発生を知ることができるようになる。また、別構内であっても、近隣居住者の異常状態の発生を報知して、知ることができるようになる。
【0021】
(4) 前記信号処理手段は、前記状態遷移を異常であると判断すると共に、異常状態が一定期間経過後も解除されなければ、前記CATV接続端子に接続された通信センターに異常状態の発生を自動通報する通報信号を送出する処理を行うことを特徴とする通信制御装置。
【0022】
本発明によれば、信号処理手段が、状態遷移を異常であると判断すると共に、異常状態が一定期間経過後も解除されなければ、通信センターに異常状態の発生を自動通報する通報信号を送出する処理を行うことから、居住者側で解消できない異常状態の発生時にはじめて通信センター側に通報されることとなり、在宅者のプライバシーを尊重するとともに、センター側の負担の減少にも繋がるようになる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明は、居住者の生活リズムを通常状態時の状態テーブルとして記憶しておき、一方で、観測装置からリアルタイムで出力される観測信号の状態遷移を判定することで異常状態の発生を検知する自己検知型の通信制御装置によって異常状態の発生が判断された場合には、居住者に報知するとともに、それによっても異常状態が一定期間経過後も解除されなければ、通信センターや近隣居住者に異常状態の発生を通報することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
[通信制御装置のハードウェア構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る通信制御装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0026】
本発明の第1の実施の形態に係る通信制御装置10は、外部のVOD(ビデオ・オン・デマンド)サーバ30(図3参照)からCATVテレビ放送の放送信号を受信するCATV受信手段11と、各種観測装置40からの観測信号を受信する観測信号受信手段12と、CATV受信信号と観測信号のデータ整理や通常状態時の状態テーブルを記憶するトランスポートコントローラ13と、TV出力変換手段14と、TV出力のためのアナログ変換手段15と、拡張端子17と、から構成されている。
【0027】
CATVテレビ放送の放送信号を受信するCATV受信手段11において、受信は、同軸ケーブルインタフェース(CoaxI/F)端末111及びモデム112を介して行う。また、受信確認は、トランスポートコントローラ13からの信号を、モデム114及びCoaxI/F端末113を介して外部出力し、VODサーバ30と通信することによって行う。
【0028】
モデム112では、入力信号を増幅し、BPF等により特定チャネルを選局し、16QAM等により復調を行う。モデム114では、出力のために変調等を行う。CoaxI/F端末113からは、トランスポートコントローラ13より送られてきた、VODサーバ30に対して信号受信を知らせるACKや、STBのID等が出力される。
【0029】
各種観測装置40(図3参照)からの観測信号を受信する観測信号受信手段12は、100BaseTI/F(通信速度100MbpsのFast Ethernet(Ethernetは富士ゼロックスの登録商標)規格の一つ。)端末121と、トランシーバ122と、からなる。
【0030】
トランスポートコントローラ13は、CATV受信信号と観測信号のデータ整理、例えばリード・ソロモン符号等による誤り訂正、又はVODサーバ30への確認信号(STB_IP)の送信等を行う。また、トランスポートコントローラ13内にある記憶部13aには、通常状態時の状態テーブルが記憶されており、トランスポートコントローラ13は、この状態テーブルに基づいて、観測装置からリアルタイムで出力される観測信号の状態遷移を判断する。なお、本実施形態では、記憶部13aはトランスポートコントローラ13内に設けられているが、本発明はこれに限られることなく、フラッシュメモリ等を用いて別構成とすることも可能である。
【0031】
ここで、「通常状態時の状態テーブル」とは、観測装置から出力されるべき観測信号や、各種観測装置の相互論理関係をテンプレート化したものである。そして、「観測信号の状態遷移」は、通常状態時の状態テーブルに基づき、例えば、観測信号の値が時間軸において通常状態時の状態テーブルにない値を示したこと、又は現れるはずの値が現れないこと等により、違いが生じたもの(異常である)と判別される。この状態遷移が異常状態であると判別された場合には、トランスポートコントローラ13は、異常状態の発生を報知する報知信号をTV出力変換手段14へと出力する。
【0032】
TV出力変換手段14は、トランスポートコントローラ13により処理された信号を受信し、当該信号の復号及びフレーム処理等を行う。より具体的には、音声及び動画は、MPEG2やMPEG4等によるAVデコーダ141によってデコードされる。動画は、さらに動画フレーム142によりフレーム化される。図形及び文字は、文字・図形デコーダ143及び文字・図形フレーム144によって、静止画は、静止画デコーダ145及び静止画フレーム146によって、それぞれデコード及びフレーム処理される。字幕は、字幕文字スーパ147で文字情報となり、字幕文字フレーム148でフレーム化される。
【0033】
アナログ変換手段15では、デコードされた音声は、オーディオD/Aコンバータ151においてアナログ変換され、また、フレーム処理された動画,図形,文字,静止画,字幕は、ビデオD/Aコンバータ152においてアナログ変換される。
【0034】
拡張端子17は、カードI/F端子171と、USBI/F端子172と、システム・コントローラ173と、からなる。カードI/F端子171は、フラッシュメモリによるメモリーカード入力端子であり、USBI/F端子172は、USB規格端子である。これらは、システム・コントローラ173によって処理され、外部入力の拡張や、トランスポートコントローラ13のプログラムの書き換え等を行う。なお、図1において、電気的要素と電気的要素を繋ぐ灰色部は、電気信号の伝達経路を示す。
【0035】
次に、トランスポートコントローラ13において、状態遷移が異常状態であると判別された場合に、過去の蓄積データを踏まえてその異常状態の緊急度を評価し、緊急を要する場合に、異常状態の発生を報知する報知信号がTV出力変換手段14へ出力されるような変形例について説明する。
【0036】
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る通信制御装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0037】
本発明の第2の実施の形態に係る通信制御装置20は、上述したCATV受信手段11と、観測信号受信手段12と、トランスポートコントローラ13と、TV出力変換手段14と、アナログ変換手段15と、緊急度評価手段26と、拡張端子17と、から構成されている。
【0038】
本実施形態において、トランスポートコントローラ13は、緊急度評価手段26との信号の送受信、XDSL・FTTH回線への緊急事態発生信号の外部出力などを行う。
【0039】
緊急度評価手段26は、MPEGエンコーダ261と、フレームバッファ/テンプレート262と、I/Oシーケンサ・ステータス263と、ステータス推論エンジン264と、フレーム画像処理265と、I/Oステータス・デコーダ266と、オーバレイ静止画フレーム267と、オーバレイ字幕文字フレーム268と、からなる。
【0040】
フレームバッファ/テンプレート262及びI/Oシーケンサ・ステータス263には、トランスポートコントローラ13において異常状態が判別された場合に、記憶部13aに記憶された通常状態時の状態テーブル、観測装置からリアルタイムで出力される観測信号、記憶部13aに記憶された過去の蓄積経験値などが入力される。
【0041】
そして、フレームバッファ/テンプレート262及びI/Oシーケンサ・ステータス263に入力された情報は、ステータス推論エンジン264に入力される。このステータス推論エンジン264では、過去の蓄積経験値を基に、異常状態の緊急度が評価される。ステータス推論エンジン264は、緊急を要すると評価した場合には、トランスポートコントローラ13に対し、フレーム画像処理265及びI/Oステータス・デコーダ266並びにMPEGエンコーダ261を介して緊急度信号を出力する。また、TV受像機50に対し、オーバレイ静止画フレーム267、オーバレイ字幕文字フレーム268及びアナログ変換手段15を介して直接緊急度信号を出力してもよい。なお、MEEGエンコーダ261を介してトランスポートコントローラ13に入力された緊急度信号に基づき、記憶部13aに記憶された通常状態時の状態テーブルの書き換えが行われてもよい。
【0042】
フレーム画像処理265では、ステータス推論エンジン264によって緊急を要すると判別されたときの画像信号の輪郭を抽出する等の処理を行う。I/Oステータス・デコーダ266では、ステータス推論エンジン264によって緊急を要すると判別されたときの各種センサの情報(例えば音情報)を、例えばセンサのある場所及び状態の情報信号としてオーバレイ静止画フレーム267へ送る。
【0043】
オーバレイ静止画フレーム267及びオーバレイ字幕文字フレーム268は、フレーム画像処理265及びI/Oステータス・デコーダ266からの信号を、オーバレイして出力するためのフレーム処理を行う。例えば、「玄関で異常状態発生」等、具体的に観測装置の信号が異常値になった場所を示すと共に、カメラで写した画像を示すように処理を行う。
【0044】
また、拡張端子17を設けることにより、新たなセンサを接続したり、通常状態時の状態テーブルの書き換え等を行うことができる。
【0045】
オーバレイ静止画フレーム267及びオーバレイ字幕文字フレーム268で処理された信号は、TV出力のためのアナログ変換装置15においてディジタル−アナログ変換され、1又は複数のTV受像機50(図4参照)によりフレーム及びビープ音等の音によって示される。このように、TV受像機に映し出される画像によって、居住者は、異常状態の発生を知ることができるようになる。
【0046】
例えば、住宅内に複数のTV受像機50がある場合には、いずれか1つのTV受像機50に映し出されたり、また、マンションのように1個の通信制御装置20対して複数世帯のTV受像機50がある場合には、異常状態が発生した世帯内のTV受像機50は勿論のこと、必要であれば近隣世帯のTV受像機50に映し出されることもある。
【0047】
なお、緊急事態発生時には、MPEGエンコーダ261において、オーバレイ静止画フレーム267の信号及びI/Oステータス・デコーダ266の信号が符号化され、トランスポートコントローラ13及び観測信号送受信手段12を介して、緊急度信号が外部のVODサーバ30(図3参照)に出力されることもある。
【0048】
[通報システム]
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る通信制御装置10を用いた通報システムのシステム構成のブロック図である。
【0049】
本発明の第1の実施の形態に係る通信制御装置10を用いた通報システムは、100BaseTI/F端末121に接続された観測装置40と、CoaxI/F111及びCoaxI/F113並びにモデム・ルータ60を介して100BaseTI/F端末121に接続されたVOCサーバ30と、TV受像機50と、からなる。
【0050】
ここで、観測装置40は、カメラ画像受信手段41と、センサ情報受信手段42と、から構成される。カメラ画像受信手段41は、カメラ411と、カメラ・ユニット412と、トランシーバ413と、100BaseTI/F端末414と、からなる。カメラ・ユニット412は、カメラI/F412aと、フレームバッファ/テンプレート412bと、フレーム画像処理412cと、コマンド+静止画412dと、からなる。CMOSカメラ、CCDカメラ等のカメラ411で取り込まれた画像は、電気信号変換され、カメラ・ユニット412内のカメラI/F412aに送信される。カメラ411は、工場、倉庫又は居住等の空間に設置する。例えば、居住空間の各部屋(玄関、バストイレ、台所、居間等)に設置する。このとき、予め監視場所の安全を確認・制御できるような場所に計画し配置するのが好ましい。
【0051】
カメラI/F412aで受信した画像信号は、フレームバッファ/テンプレート412bに一定時間毎に取り込まれ、値をフレーム画像処理412cに出力する。フレーム画像処理412cでは、画像変化の値を、例えばCCDカメラによって得た濃淡情報を幾何抽出すること等により、画像変化の要因の輪郭を抽出する等の処理が行われる。そして処理された信号は、コマンド+静止画412dにおいて、観測信号へと変換される。
【0052】
センサ情報受信手段42は、音センサ、振動センサ等の各種センサ421、センサ・ユニット422と、トランシーバ423と、100BaseTI/F端末424と、からなる。
【0053】
センサ・ユニット422は、センサ接点I/O422aと、I/Oシーケンサ・ステータス422bと、I/Oステータス・デコーダ422cと、コマンド+字幕文字422dと、からなる。
【0054】
各種センサ421において電気信号変換された情報は、センサ接点I/O422aに送信される。
【0055】
センサ接点I/O422aで受信した信号は、I/Oシーケンサ・ステータス422bにおいて、単位時間前に入力された信号との変化の値が算術され、I/Oステータス・デコーダ422cに転送される。I/Oステータス・デコーダ422cに転送された信号は、コマンド+字幕文字422dにおいて、TV受像機50において状況を映し出すための字幕コマンド及び字幕文字となる信号に変換され、センサ・ユニット422から観測信号として出力される。この観測信号は、トランシーバ423と100BaseTI/F端末424を介して通信制御装置10へ送信される。
【0056】
通信制御装置10において、この観測信号と、上述した通常状態時の状態テーブルと、を用いて状態遷移が異常状態であるか否かが判断される。異常状態であると判別されると、TV受像機50において、異常状態の発生を報知する画像が映し出される。
【0057】
このように、TV受像機50に映し出される画像によって、居住者(本人、他人)は、緊急事態の発生を知ることができる。例えば、1台の通信制御装置10を有する同一構内(マンション、ビル)を考えたときに、各居住者のTV受像機50に、近隣居住者の異常状態の発生を報知する報知信号が送出されて、各居住者は、近隣居住者の異常状態の発生を知ることができるようになる。また、別構内であっても、近隣居住者の異常状態の発生を報知して、知ることができるようになる。
【0058】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る通信制御装置20を用いた通報システムについて説明する。図4は、本発明の第2の実施の形態に係る通信制御装置20を用いた通報システムのシステム構成のブロック図である。
【0059】
図4において、第2の実施の形態に係る通信制御装置20を用いた通報システムでは、緊急事態発生時に、CATV受信手段11に接続されたCATVインターネット又は観測信号受信手段12に接続されたXDSL・FTTHインターネットにより、外部の通信センター(例えばVODサーバ30)に通報する手段を備えている。
【0060】
緊急度評価手段26において、カメラ画像受信手段41及びセンサ情報受信手段42から出力された観測信号を受信し、緊急を要すると判別されると、通信制御装置20から所定の信号がVODサーバ30に外部出力される。外部出力は、具体的にはCoaxI/F端末113からCATV回線を介してVODサーバ30に接続されるパターンと、100BaseTI/F端末121からモデム・ルータ60を介してインターネット回線を通じてVODサーバ30に接続されるパターンと、がある。
【0061】
TV受像機50は、1又は複数が通信制御装置20に接続される。上述した報知信号は、TV受像機50及びVODサーバ30に向けて通報される。
【0062】
ここで、複数のTV受像機50を接続するときの報知信号は、例えば、トランスポートコントローラ13において出力を制御することにより、複数のTV受像機50のうち特定のTV受像機50に対して通報する機能を有することができる。
【0063】
また、トランスポートコントローラ13は、異常状態を解除する機能を備える。例えばTV受像機50を視認することにより緊急事態の発生を知った住人が、通信制御装置20に設けられた解除スイッチを操作することで、操作信号を受信したトランスポートコントローラ13は、異常状態を解除する。
【0064】
また、緊急度信号が緊急事態でないときに発生したものであるとき、上記解除スイッチと区別した記憶スイッチを設け、解除することにより経験値として蓄積することもできる。
【0065】
報知信号の外部出力は、異常状態が発生してから一定時間(例えば2分間)経過しても解除されないときに、VODサーバ30を介して本システムの通信センターへ通報される。
【0066】
通信センターから、本システムを有する異常事態発生住宅等の近隣住宅等に向けて異常事態発生信号を通報する。通報は、例えば近隣住宅のTV受像機に音及び画像を出力することにより行う。また、信号が通報された住居の住人の携帯電話へ連絡等を行うことができる。
【0067】
そして、異常事態発生信号が解除されたときは、トランスポートコントローラ13から、異常事態解除信号が外部出力される。これにより、居住者側で解消できない異常状態の発生時にはじめて通信センター側に通報されることとなり、在宅者のプライバシーを尊重するとともに、センター側の負担の減少にも繋がるようになる。
【0068】
なお、図3及び図4に示すカメラ画像受信手段41では、例えば図5に示す画像処理が施されたり、図3及び図4に示すに示すセンサ情報受信手段42では、例えば図6に示す解析処理が施されたりする。
【0069】
[システムの動作]
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る通信制御装置10を用いた通報システムの動作を示すフローチャートである。
【0070】
まず、カメラ画像受信手段41及びセンサ情報受信手段42において、カメラ411及び各種センサ421の情報が取り込まれる(ステップS11)。そして、カメラ画像受信手段41及びセンサ情報受信手段42は、取り込んだ情報に所定の処理を施して、観測信号が生成される。
【0071】
次に、ステップS11において生成された観測信号は、通信制御装置10に対して送信され、トランスポートコントローラ13において、通常状態時の状態テーブルに基づいて観測信号の状態遷移を判断する処理が行われる(ステップS12)。その処理の結果、異常状態が発生したか否かが判断される(ステップS13)。
【0072】
異常状態が発生したか否かの判断は、例えば、時間軸において15分以上のずれであるか、現れるはずのない情報が入力されてきたか、又は現れるはずの情報が入力されてこないか等により判断され、異常状態が発生したと判別された場合には、異常常態の発生を報知する報知信号がTV出力変換手段14に対して送信される。その結果、トランスポートコントローラ13は、TV出力変換手段14,アナログ変換手段15を介してTV受像機50に対して報知信号を出力することで(ステップS14)、テレビ出力が実現されることになる(ステップS15)。
【0073】
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る通信制御装置20を用いた通報システムの動作を示すフローチャートである。
【0074】
まず、カメラ画像受信手段41及びセンサ情報受信手段42により取り込まれた情報信号は、観測信号に変換され、通信制御装置20に送信される。そして、トランスポートコントローラ13において、通常状態時の状態テーブルに基づいて、観測信号の状態遷移を判断する処理が行われる(ステップS21)。その処理の結果、異常状態が発生したか否かが判断される(ステップS22)
【0075】
次に、異常状態が発生したと判別されると、観測信号及び記憶部13aに記憶されている蓄積経験値等が、トランスポートコントローラ13によってフレームバッファ/テンプレート262及びI/Oシーケンサ・ステータスを介してステータス推論エンジン264へ送信される(ステップS23)。
【0076】
次に、ステータス推論エンジン264では、蓄積経験値と観測信号に基づき、緊急度が高いか否かといった緊急度の評価が行われる(ステップS24)。例えば、「記憶スイッチ」の動作により、緊急度は低いと過去に経験されているものであれば、通報すべき程度の異常常態ではないと判別する。
【0077】
次に、異常状態の緊急度が高いときには、フレーム画像処理265及びI/Oステータス・デコーダ266に緊急度信号(報知信号)が出力され、緊急事態が発生したときの画像及びセンサの状態を伝えるためのTV出力処理がなされる(ステップS25)。このとき、トランスポートコントローラ13の指示に従いTV出力処理が行われてもよい。これにより、TV受像機50において、例えば、時間、場所が文字として表されたり、その時の画像の変化のあった領域を拡大したものが表示されたりする(ステップS26)。
【0078】
次に、トランスポートコントローラ13において、一定時間経過後に異常事態が解除されたか否かが判断される(ステップS27)。異常状態が解除されていれば、本システム動作を終了する。
【0079】
一方で、異常状態が一定時間解除されていなければ、通信センター(例えばVODサーバ30)に向けて通報する(ステップS28)。例えば、住居に本システムがあり、居住者であれば20秒で解除可能であろうと判断されるときは予めその時間を設定することができ、20秒で解除されなければ、通信センターに通報する。
【0080】
このように、居住者の生活リズムを通常状態時の状態テーブルとして記憶しておき、一方で、観測装置からリアルタイムで出力される観測信号の状態遷移を判定することで、異常状態の発生を検知する自己検知型の通信制御装置によって異常状態の発生が判断された場合には、居住者に報知するとともに、それによっても異常状態が一定期間経過後も解除されなければ、通信センターや近隣居住者に異常状態の発生を通報することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係る通信制御装置は、在宅者のプライバシーを尊重するとともに、センター側の負担の減少にも繋がる通報システムを実現するものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る通信制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る通信制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る通信制御装置を用いた通報システム構成のブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る通信制御装置を用いた通報システム構成のブロック図である。
【図5】画像処理の一例を示す一覧図である。
【図6】信号処理の一例を示す一覧図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る通信制御装置を用いた通報システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る通信制御装置を用いた通報システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
10,20 通信制御装置
11 CATV受信手段
12 観測信号受信手段
13 トランスポートコントローラ
14 TV出力変換手段
15 アナログ変換手段
17 拡張端子
30 VODサーバ
40 観測装置
50 TV受像機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CATVシステムからの放送信号を受信するCATV受信手段と、
各種観測装置からの観測信号を受信するインタフェース受信手段と、
前記観測信号を処理する信号処理手段と、
前記観測装置から出力されるべき通常状態時の基準観測信号を状態テーブルとして記憶する通常状態テーブル記憶手段と、
を有する通信制御装置において、
前記信号処理手段は、前記状態テーブル記憶手段に記憶された状態テーブルに基づいて、前記観測装置からリアルタイムで出力される観測信号の状態遷移を判断することを特徴とする通信制御装置。
【請求項2】
前記通信制御手段は、さらに、1又は複数のTV受像機に対して、前記CATV受信手段で受信した放送信号及び/又は前記信号処理手段で判断された状態遷移の状況信号を送出する送出手段を有し、
前記信号処理手段は、前記状態遷移を異常であると判断した場合には、前記1又は複数のTV受像機に対して、異常状態の発生を報知する報知信号を送出する処理を行うことを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記信号処理手段は、前記状態遷移を異常であると判断すると共に、異常状態が一定期間経過後も解除されなければ、前記複数のTV受像機の中の特定の受像機に対して、異常状態の発生を報知する報知信号を送出する処理を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記信号処理手段は、前記状態遷移を異常であると判断すると共に、異常状態が一定期間経過後も解除されなければ、前記CATVシステムに接続された通信センターに異常状態の発生を自動通報する通報信号を送出する処理を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の通信制御装置。

【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−133837(P2007−133837A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328966(P2005−328966)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(502379572)
【Fターム(参考)】