説明

通信回線監視システム、中継装置、及び通信回線監視方法

【課題】本発明は、通信回線監視装置に自律的に送信される通知メッセージを制限する通信回線監視システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の通信回線監視システムは、複数の中継装置(1)と、中継データの通信路の回線品質を監視する通信回線監視装置とを備え、上記各々の中継装置を、受信データのエラーを検出するエラー検出手段(10)と、上記受信データのエラー既検出情報を基に他の装置でエラー検出済みかどうかを判定するエラー既検出判定手段(11)と、エラーが検出され且つ他装置でエラー未検出であった場合にのみ、エラー発見情報を通信回線監視装置へ自律的に通知し且つ送出用データにエラー既検出情報を付与する初回エラー発見処理手段(12)と、を有するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明は、通信回線の回線品質を監視するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
低速な回線を階層的に積み上げて多重化することにより、回線の高速化を実現する光伝送技術の規格に、SDH/SONET(Synchronous Digital Hierarchy/Synchronous Optical NETwork)がある。
【0003】
このSDH/SONET方式のネットワーク(SDH/SONET網)では、ネットワーク内に構築されている伝送装置のパフォーマンスモニタという機能を有効にすることで、ネットワーク全体の回線品質を遠隔から通信回線監視装置で管理できる。
【0004】
SDH/SONET網を伝送する伝送データ(通信フレームとも呼ぶ)では、そのオーバーヘッド部に、送信順が一つ前の通信フレームのパリティ演算結果を格納する領域が割り当てられている。先ず、送信側の装置で、送出する通信フレームを対象にパリティ演算が実行され、その次に送出する通信フレームのパリティ演算結果格納領域に先に実行したパリティ演算の結果が書込まれる。これらの通信フレームを受信する中継装置は、最初に受信した通信フレームに対して上記と同様のパリティ演算を実行し、この実行結果の値を続いて受信した通信フレームに書込まれているパリティ演算結果の値と比較し、そしてその回線の障害の有無を判定する。中継装置は、この処理を各通信フレームに対して繰り返し実行し、受信側の中継装置のパフォーマンスモニタ機能が有効である間、受信側の中継装置では例えば15分単位や1日単位などの所定時間単位でエラー判定回数が集計され、15分おきや正午などの所定のタイミングで上記通信回線監視装置へ自律的に通知メッセージを送信する。
【0005】
なお、中継伝送路の途中の区間で異常状態が継続している場合に警報出力を継続させ、受信装置で誤って回線切り替えが行われないようにする形態のものも開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平03−007439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年では、中継装置の処理能力が増し、1本の光ファイバに伝送させる信号の容量が飛躍的に増えてきている。一方、パスの最小単位に関しては、既存回線の巻き取りという問題があるため、従来と同じにすることが市場から要求されており、そのネットワークを構築する装置も市場の要求を満たすようにパスの最小単位を従来どおりのものとするものが製造されている。
【0007】
このように伝送量が増加している一方でパスの最小単位は以前のままであるため、当然、1台の中継装置で収容するパスの数は増加することとなる。これは、通信回線監視装置で監視する1台の中継装置当たりのパスの数が増えることを意味し、結果として、そのネットワーク内の各中継装置を集中管理する通信回線監視装置での処理が飛躍的に増大するという悪影響を引き起こす。現状、通信回線監視装置で行われる処理には、上述したような各中継装置から自律的に伝送されてくる通知メッセージの処理やこれに基づく各パスの回線品質管理以外に、各中継装置への通信回線の一括設定や、各中継装置の時刻管理(通信回線監視装置の時刻に中継装置の時刻を同期させる処理)や、各中継装置のデータベースのバックアップなど、様々な処理を担っている。このため、通信回線監視装置ではその保守者による満足な処理が行えるように処理の優先制御を行っている。
【0008】
しかし、処理の優先制御を行っても、十分に処理が行えないケースがある。それは、大量の通知メッセージが中継装置から送出されるような通信回線障害が発生するようなケースである。1台の中継装置が通信回線の品質をチェックする単位は、パス単位やセクション単位などと複数種類であり、また、その1台で通信障害が検出されると、それに続く他の中継装置でも同様の通信障害が検出されるため、上述したような通信障害が発生した場合には、各中継装置から通信回線監視装置へ伝送される通信メッセージの総数が膨大な量となってしまう。このため、通知メッセージの伝達経路(制御回線)において輻輳が生じたり、通信回線監視装置での処理の負荷が飛躍的に大きくなったりする。これは、重要度のより高い処理の実行に遅れを発生させる原因に繋がるため、問題が指摘されている。
よって、重要度の高い処理を優先的に行えるように、通常、中継装置におけるパフォーマンスモニタを無効にし、中継装置から通信回線監視装置に対して回線品質の通知メッセージの送信を行わないようにしている。そして、回線品質のチェックは、回線を貸している顧客から回線品質について苦情があった場合にのみ、該当する中継装置のパフォーマンスモニタ機能を有効にし、その回線の回線品質チェックを実施している。しかしこのような臨時的な対応も、通信回線障害の復旧の遅れや、顧客に対して質の低いサービス提供に変わりは無いため、回線品質チェックを通信回線監視装置で常時行える仕組みの提供が早急に求められている。
【0009】
そこで本発明は、通信回線監視装置に自律的に送信される通知メッセージを制限する通信回線監視システム、中継装置、及び通信回線監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するために以下のように構成する。
本発明の通信回線監視システムの態様の一つは、複数の中継装置と、該複数の中継装置を跨って伝送するデータの通信路の回線品質を監視する通信回線監視装置とを備えることを前提に、上記各々の中継装置を、各自の中継装置で受信した上記データ(受信データ)のエラーを検出するエラー検出手段と、上記受信データにエラー既検出情報が付与されているか否かにより上記受信データが既に他の中継装置(他の中継装置とは、各自の中継装置以外の中継装置であり、特に、上記データが送信されてきた上流側の各中継装置を指す)でエラー検出されたものであるか否かを判定するエラー既検出判定手段と、上記受信データにエラーを検出し且つ上記受信データが他の中継装置でエラー未検出であった場合にのみ、上記回線に障害があったものとしてエラー発見情報を上記通信回線監視装置へ通知し且つ下流側の中継装置(下流側の中継装置とは、上記データを送出先の通信経路上にある各中継装置を指す)へ送出するデータにエラー既検出情報を付与する初回エラー発見処理手段と、を有するように構成する。
【0011】
この場合、例えば、上記エラー検出手段は、上記受信データに予め含まれているパリティ演算結果情報と上記受信データに行ったパリティ演算の演算結果情報とを比較することにより上記受信データのエラーを検出し、上記初回エラー発見処理手段は、下流側の中継装置へ送出するデータにエラー既検出情報を付与する場合に、該エラー既検出情報が上記エラーの検出結果に影響を与えない配置で付与する、ように構成して良い。
【0012】
なお、上記各中継装置で構成される内部ネットワーク以外のネットワーク(外部ネットワーク)とのデータの整合性を図る場合には、上記外部ネットワークから送り込まれたデータ中の、上記エラー既検出情報の付与対象位置(内部ネットワークにおいてエラー既検出情報が付与または抽出される対象となる、データ内の位置)にある値(この値は、外部ネットワークの設定情報である)を未検出情報に変更する内部初期化手段と、外部ネットワークに送り出すデータ中の、上記エラー既検出情報の付与対象位置にある値を外部ネットワーク設定情報に変更する外部初期化手段と、を更に構成する。
【0013】
本発明の通信回線監視システムの態様のその他の一つは、主データが伝送する主信号回線と副データ(例えば制御情報など)が伝送する副信号回線とが設定された複数の中継装置と、該複数の中継装置を跨って伝送する上記主データの通信路の回線品質を監視する通信回線監視装置とを備えることを前提に、各中継装置を、上記主信号回線から受信した主データのエラーを検出するエラー検出手段と、上記副信号回線から受信した副データにエラー既検出情報が付与されているか否かにより上記主データが既に他の中継装置でエラー検出されたものであるか否かを判定するエラー既検出判定手段と、上記主データにエラーを検出し且つ上記主データが他の中継装置でエラー未検出であった場合にのみ、上記主信号回線に障害があったものとしてエラー発見情報を上記通信回線監視装置へ通知し且つ下流側の中継装置へ送出する上記副データにエラー既検出情報を付与する初回エラー発見処理手段と、を有するように構成する。
【0014】
本発明の中継装置の態様の一つは、受信データを検査して、該受信データにエラーが有った場合に通信回線監視装置へ回線障害を通知することを前提とし、上記受信データのエラーを検出するエラー検出手段と、上記受信データにエラー既検出情報が付与されているか否かにより上記受信データが既に他の中継装置でエラー検出されたものであるか否かを判定するエラー既検出判定手段と、上記受信データにエラーを検出し且つ上記受信データが他の中継装置でエラー未検出であった場合にのみ、上記回線に障害があったものとしてエラー発見情報を上記通信回線監視装置へ通知し且つ下流側の中継装置へ送出するデータにエラー既検出情報を付与する初回エラー発見処理手段と、を有するように構成する。
【0015】
なお、上記エラー検出手段を、上記受信データに予め含まれているパリティ演算結果情報と本中継装置で受信した上記受信データに対して直接行ったパリティ演算の演算結果情報とを比較することにより上記受信データのエラーを検出するように構成する場合は、上記初回エラー発見処理手段を、下流側の中継装置へ送出するデータにエラー既検出情報を付与する場合に、該エラー既検出情報が上記エラーの検出結果に影響を与えない配置(つまり、該付与されるエラー既検出情報のみにより検出や未検出の判定が左右されない配置)で付与するように構成する。
【0016】
例えば、上記パリティ演算が上記受信データに対して所定ビット数おきに行われる場合、上記初回エラー発見処理手段を、パリティ演算対象ビットの内の所定の偶数個のビットを反転させることにより上記エラー既検出情報を付与するように構成する。
【0017】
また、上記エラー検出手段を、上記受信データのパリティ演算を上記エラー既検出情報の付与対象位置にある値を所定の期待値に置き換えて行い、上記パリティ演算の演算結果情報と上記受信データに予め含まれているパリティ演算結果情報とを比較することにより上記受信データのエラーを検出するように構成しても良い。
【0018】
なお、外部ネットワークとのデータの整合性を図る場合には、外部ネットワークから送り込まれたデータ中の、上記エラー既検出情報の付与対象位置にある値を未検出情報に変更する内部初期化手段と、外部ネットワークに送り出すデータ中の、上記エラー既検出情報の付与対象位置にある値を外部ネットワーク設定情報に変更する外部初期化手段と、を更に構成する。
【0019】
本発明の中継装置の態様のその他の一つは、主データが伝送する主信号回線と副データが伝送する副信号回線とを備え、上記主データを検査して、該主データにエラーがあった場合に通信回線監視装置へ主信号回線の障害を通知することを前提として、上記主信号回線から受信した主データのエラーを検出するエラー検出手段と、上記副信号回線から受信した副データにエラー既検出情報が付与されているか否かにより上記主データが既に他の中継装置でエラー検出されたものであるか否かを判定するエラー既検出判定手段と、上記主データにエラーを検出し且つ上記主データが他の中継装置でエラー未検出であった場合にのみ、上記主信号回線に障害があったものとしてエラー発見情報を上記通信回線監視装置へ自律的に通知し且つ下流側の中継装置へ送出する上記副データにエラー既検出情報を付与する初回エラー発見処理手段と、を有するように構成する。
【0020】
本発明の通信回線監視方法の態様の一つは、複数の中継装置と、該複数の中継装置を跨って伝送するデータの通信路の回線品質を監視する通信回線監視装置とを備える通信回線監視システムで行われることを前提に、上記中継装置で受信したデータのエラーの有無を検査し、上記受信データにエラーを発見した場合に、上記通信回線に障害があったものとしてエラー発見情報を上記通信回線監視装置へ通知し、上記データが上記中継装置の下流の中継装置で再び受信された場合は、該下流の中継装置から上記通信回線監視装置への上記エラー発見情報の通知を抑圧する。
【0021】
このように構成することにより、データを伝送する通信回線に何らかの障害が生じ、そこを伝送するデータに何らかのエラーが発生した場合は、そのエラーを最初にそのデータから検出した中継装置のみが、その回線に障害があったものとして通知(通知メッセージ)を上記通信回線監視装置へ自律的に行う。このため、各中継装置と通信回線監視装置間の回線(一般的に言えば、制御回線)を伝送する通知メッセージの数は少量に抑えることができる。
【発明の効果】
【0022】
各中継装置と通信回線監視装置間の回線(一般的に言えば、制御回線)を伝送する通知メッセージの数が少量に抑制される。
また、処理するメッセージ量が減ることにより、通知メッセージが伝送される回線の輻輳が低減され、更に、通信回線監視装置の処理も低減される。このため、通信回線監視装置は回線品質の監視をリアルタイムに行うことができる。
【0023】
また、本発明では、通信回線監視装置へ通知するメッセージ量を抑制したため、通信回線監視装置の処理の向上や、通知メッセージが伝達される回線の増強(DCC回線を太くする)を回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、通信回線監視装置で回線品質の集中管理が行われるデータ伝送ネットワークの一中継装置当たりの通信回線障害通知処理部の基本構成図である。
【0025】
当該データ伝送ネットワークには、所定領域に「通信回線障害の検出用に用いられる情報」が配置されたデータ信号が伝送している。上記「通信回線障害の検出用に用いられる情報」としては、例えば後述の、「当該データ信号のエラー検出用に用いられる情報(実エラー検出用情報)」と、「当該データ信号がエラー検出されたことを示す情報(エラー既検出情報)」との2種類がある。
【0026】
本データ伝送ネットワークの中継装置は、上記データ信号を基に、その通信路の回線障害の通知処理を通信回線障害通知処理部で行う。なお、本明細書において、中継装置は、広義の意味で使用されており、データ伝送ネットワークを伝送するデータ信号を入出力する形態の各種装置(例えばデータの多重・分離機能やクロスコネクト機能を有するノードや伝送装置など)を指す。
【0027】
同図に示されるように、上記通信回線障害通知処理部1は、エラー検出部10と、エラー既検出判定部11と、初回エラー発見処理部12とを備えている。
上記エラー検出部10は、受信データ信号のエラーを検出する。上述のフォーマット例のデータ信号(所定領域に「実エラー検出用情報」と、「エラー既検出情報」が配置されたデータ信号)を受信した場合には、この受信データ信号に含まれている上記実エラー検出用情報を比較基準にしてその受信データ信号が実際にエラーを起こしているか否かを検出する。
【0028】
上記エラー既検出判定部11は、上記受信データ信号が既に他の中継装置でエラー検出されたものであるか否かを判定する。上述のフォーマット例のデータ信号を受信した場合には、上記受信データ信号に上記エラー既検出情報が含まれているか否かを基準に判定する。
【0029】
上記初回エラー発見処理部12は、上記受信データ信号にエラーを検出し且つ上記受信データ信号に上記エラー既検出情報が含まれていない場合にのみ、その受信データの回線品質を示す情報の一つとしてエラー発見情報を上記通信回線監視装置(以降において、上位装置とも呼ぶ)へ自律的に通知する。そして更に、その受信データ信号をデータ伝送路へ送出する際にエラー既検出情報を付与する。なお、上記通信回線監視装置への通知方法は、通信回線監視装置から通知要求を受けて通知する場合と通知要求を受けないまま通知する場合の2種類があり、上記自律的に通知するとは、その内の後者のことを指す。
ここでは、上記受信データ信号にエラーを発見した場合にエラー発見情報の通知を通信回線監視装置に行うが、そのうちの自律的な通知は、そのエラーの発見が当該中継装置が初めてであった場合に限る。また、上記受信データ信号にエラーを発見すると、その受信データ信号にエラー既検出情報を付与するが、これは、上述のフォーマット例のデータ信号の場合、その受信データ信号内の「通信回線エラーの検出用に用いられる情報」の位置に「エラー既検出情報」を含めることで実施される。
【0030】
このように、本構成下では、データ伝送ネットワーク内の通信回線に何らかの障害が生じ、そこを伝送するデータ信号に何らかのエラーが発生した場合に、そのエラーを最初にそのデータ信号から検出した中継装置のみがその通信回線障害の通知を上記通信回線監視装置へ自律的に行う。このため、各中継装置と通信回線監視装置間の回線(一般的に言えば、制御回線)を伝送する通知メッセージの数は少量に抑えることができ、この回線での輻輳は生じ難くなる。
【0031】
以下に、通信回線監視装置で回線品質の集中管理が行われる光伝送ネットワーク(SDH網)を例に挙げ、上記通信回線障害の通知処理について詳しく説明する。
図2は、SDH網で取り扱われる通信フレームのデータフォーマット例である。
【0032】
本実施例では、STM−0インタフェースのセクションフレームと、VC3(Virtual Container3)パスフレームを採用している。なお、当該各フレームのフォーマットや通信装置での各フレームの取り扱いは、TTC標準JT-G707に準拠しているものとする。
【0033】
上記セクションフレームSは、セクションオーバーヘッド部SOHとペイロード部SDにより構成されている。このセクションオーバーヘッド部SOHは、A1〜E2までの27種類の領域が設けられており、それぞれの領域は8ビットで構成される(以下、A1、・・・、E2をA1バイト、・・・、E2バイトと呼ぶ)。ここにはセクション管理情報が含まれ、例えば、A1やA2バイトにはフレーム同期情報、C1バイトにはフレーム識別番号、B1やB2バイトにはセクションのエラー検出用の情報(本明細書では、セクションの実エラー検出用情報と呼んでいる)、H1〜H3バイトには後述のパスフレームPの位置を示すポインタが設定される。ペイロード部SDはデータ領域であり、ここに前述のポインタで位置が示されるパスフレームPがマッピングされる。
【0034】
セクションフレームSは、そのペイロード部SDに複数のパスフレームPがマッピングされたものであるから、以下では必要に応じて、セクションフレームSを高次のフレーム、パスフレームPを低次のフレームとも呼ぶことにする。
【0035】
図3は、上記VC3パスフレームの一フレームの具体的な構成例である。
上記パスフレームPは、同図に示されるように、パスオーバーヘッド部POHとペイロード部PDにより構成されている。
【0036】
このパスオーバーヘッド部POHは、J1〜N1までの9種類の領域が設けられており、それぞれの領域は8ビットで構成されている(以下、J1、・・・、N1を、J1バイト、・・・、N1バイトと呼ぶ)。ここには、パス管理情報が含まれる。この内、B3バイトにはパスフレームのエラー検出用の情報(本明細書では、パスの実エラー検出用情報と呼んでいる)が設定される。また、F2、F3バイトなどは、ユーザ用に未定義領域として設定されているため、値を自由に設定できる。
【0037】
図4は、リング状の光伝送ネットワークの構成図である。
同図のリング状の光伝送ネットワークでは、ノードAからノードFがその順番に光伝送路によってリング状に結合されている。これらのノード間は、特に図示されていないが、一つまたは複数の伝送装置が構成されている。本光伝送ネットワークは高速ネットワークであり、所定ノードと接続された不図示の外部ネットワークの通信フレームをマッピングした高次通信フレームを伝送する。
【0038】
同図の破線矢印は、通信フレームの一伝送経路を表している。この経路は次のようにして通信フレームが通過する。外部ネットワーク(低速ネットワーク)を流れる低次通信フレームをノードAで取り込み、それらの低次通信フレームの複数フレームをマッピングしてなる高次通信フレームを本リング状の光伝送ネットワーク内で伝送する。そして、ノードEで、その高次の通信フレームから分離した低次の通信フレームを低速ネットワーク側に分岐する。
【0039】
以下に、本光伝送ネットワークに配置される装置の具体的な構成を示す。
なお、以下の説明では、上記ノードでセクションの終端を実施し、ノード間の伝送装置ではセクションの終端を実施しないものとする。更に、説明の理解を容易にするため、セクションフレームにマッピングされているパスフレームは一つであるものとする。
【0040】
(実施例1)
実施例1では、セクションの終端を行うノードにおける回線品質情報のモニタを上位装置で実施するための構成について説明する。
【0041】
先ず初めに、パスオーバーヘッド部POHに設けられているB3バイトの実エラー検出用情報及びユーザ領域(F2バイトやF3バイトなど)を用いたエラー検出方法について説明する。
【0042】
本パスフレームの場合、B3バイトにBIP(Bit Interleaved Parity)-8が定義されている。このBIP-8は、パスフレームに対するパリティ演算を1ビット目から8ビット目ごとに演算して実行することを意味している。
【0043】
先ず、パスフレームを生成する装置において同図に斜線で示されるパスフレームPの全ビットを範囲にBIP−8の演算がなされ、その演算結果(いわゆるBIP−8符号)が、次の送信順のフレームのB3領域に格納される。これらのフレームを受信する装置(本実施例ではノード)では、受信したパスフレーム(受信フレーム)のBIP−8による再演算結果と、次に受信したパスフレームに格納されているBIP−8符合とを比較することにより、先に受信したパスフレームのエラーのチェックを行う。
【0044】
ここまでは、自己のノードで受信フレームにエラーがあるかどうかをチェックするだけのことであるため、仮に受信フレームがエラーを含んでいたとしても、その事実しかチェックできず、このエラーが他のノードで既に検出されているものかどうかの判別まではできない。そこで、それを判別できるように、本実施例ではF2バイト及びF3バイトのユーザ領域を使用する。
【0045】
具体的には、あるノードでパスフレームのエラーを最初に検出した場合に、そのノードにおいて、そのパスフレームのF2バイト中のパリティ演算対象ビットを反転させる。またF2バイトと同様にF3バイトのパリティ演算対象ビットを反転させる。例えば、F2バイト及びF3バイトの先頭ビットを「1」から「0」へ反転させる、または「0」から「1」へ反転させる。
【0046】
上述したように、F2、F3バイトは8ビット構成であり、B3バイトにはBIP-8が定義されている。このため、ノードでは、J1バイト、B3バイト、C2バイト、G1バイト、F2バイト、H4バイト、F3バイト、・・・の順で連続するビット列が受信され、上記各バイトの先頭ビット(このビットが、一フレームにおけるパリティ演算範囲の先頭ビットから8ビット目に相当)がパリティ演算対象となる。このため、エラー既検出を記す情報として例えばF2バイト中のパリティ演算対象ビットのみを変更してしまうと、途中で意図的に変更されたそのF2バイトの値によりそれよりも下流のノードでのパリティ演算結果が変化してしまうことになる。そこで、F3バイトに対しても同じ変更を行い、途中で意図的に変更した値によってパリティ演算結果が反転することを打ち消す。なお、エラー既検出を示す情報を書き込む領域の数は、上述した2つに限らず、データフォーマットに応じて4つや6つなどの偶数として良い。
【0047】
さらに言うと、エラー既検出を示す情報は、オーバヘッドでユーザに使用を任されているどの領域を使用してもよく、かつ、パリティ演算結果に影響を与えないように、エラーが既に検出されたものであるか、そうでないかを識別できれば良い。
【0048】
このように、本実施例では、「エラー既検出情報」や「エラー未検出情報」などの「エラー既検出判定用情報」の格納領域として偶数個(本実施例では2つ)のユーザ領域を使用する。偶数個の領域を使用することで、途中でそれぞれに値が変更されても、変更後のパリティ演算結果の値の反転は打ち消され、下流のノードでもこれらの領域の値に左右されずにパリティ演算結果を得ることができる。また、各ノードでは、このユーザ領域の値をチェックすることで、仮に受信フレームがエラーを有するものであってもこのエラーが他のノードで既に検出されているものかどうかの判別を行うことができる。
【0049】
図5は、上記ノードの機能ブロック図である。
同図に示されるように、本例のノード2には、受信フレーム処理部20、送信フレーム処理部21、信号クロスコネクト部22、Add/Drop信号処理部23、エラー集計/演算部24、及び上位通知インタフェース部25が構成されている。
【0050】
受信フレーム処理部20は、フレーム同期部200、Sフレーム(セクションフレーム)終端/パス抽出部201、B3パリティ演算部202、POH(パスオーバーヘッド)バイト抽出部203、演算結果遅延部204、パリティチェック部205、エラー既検出判定部206、及び後段転送用フレーム作成用メモリ部207を備え、後段転送用フレーム作成用メモリ部207はエラー既検出情報挿入部208を更に備える。
【0051】
なお、同図には省略されているが、フレーム同期部200の前段には高速側インタフェース部が構成されている。この高速側インタフェース部では、伝送路を通ってきた光信号を、例えば波長分割処理や3R処理(波形整形処理、増幅処理、及びデータ識別処理)や必要であれば光電変換処理を施すなどして、受信フレーム処理部20で取り扱う信号形態(電気信号や光信号)にする。以下では、取り扱い形態を電気信号として説明する。
【0052】
さて、フレーム同期部200は、高速側インタフェース部から得た信号に基づいてフレーム同期を行い、受信フレームの先頭位置を特定する。続くSフレーム終端/パス抽出部201は、フレーム同期部200で得られた受信フレームのセクション終端を実行し、セクションのアラーム等の検出をし、受信フレームにマッピングされた複数のパスフレーム(本例では1つのパスフレーム)を個々のパスフレームに分解する。Sフレーム終端/パス抽出部201から出力されるパスフレームは、B3パリティ演算部202及びPOHバイト抽出部203に共に出力され、更に、特に同図において信号線(実線矢印)は示されていないが、後段転送用フレーム作成用メモリ部207にも出力される。
【0053】
POHバイト抽出部203は、Sフレーム終端/パス抽出部201から出力されたパスフレームのPOH内のB3バイトの情報(B3情報)及び、F2バイトまたはF3バイトの情報(F2情報またはF3情報)を順次抽出する。また、B3パリティ演算部202は、Sフレーム終端/パス抽出部201から出力されたパスフレームを入力し、このパスフレームからBIP−8によるパリティ演算の結果を得る。
【0054】
POHバイト抽出部203で抽出された情報はパリティチェック部205及びエラー既検出判定部206に最新の比較情報として順次セットされ、B3パリティ演算部202で得られた演算結果は演算結果遅延部204を介してパリティチェック部205に入力される。
【0055】
この演算結果遅延部204は、B3パリティ演算部202から受け取った演算結果をパリティチェック部205へ送るタイミングを、パリティチェック部205に次のフレームのB3情報がセットされるタイミングまで遅延する。つまり、パリティチェック部205及びこの後段のエラー既検出判定部206には、連続する2つのフレームの内の先着フレームを対象とした処理を後着フレームに含まれるPOH内情報を用いて行わせる。なお、このタイミングについては、図を用いて後述することとする。
【0056】
パリティチェック部205は、上記パリティ演算結果とPOHバイト抽出部203からセットされた最新のB3情報(つまりBIP−8符合)とを比較し、その比較結果(一致又は不一致を示す情報)を後段に出力する。また、本例では、その比較結果が不一致であった場合、同図に白抜きの矢印で示されるように、エラー集計/演算部24へ不一致の結果を出力する。
【0057】
エラー既検出判定部206は、上記比較結果情報が入力されると、予めセットされている既検出(又は未検出)を示す情報とPOHバイト抽出部203からセットされた最新のF2情報(又はF3情報)とを比較し、この比較結果と上記パリティチェック部205での比較結果に基づいて判定処理を実行する。この処理では、上記F2情報(又はF3情報)が既検出であるか、それとも未検出であるか、上記パリティチェック部205での比較結果が一致であるか、それとも不一致であるかなどの各事象をそれぞれ組み合わせ、それらの組み合わせに応じて判定する。本例では、上記F2情報(又はF3情報)が未検出であり且つ上記パリティチェック部205での比較結果が不一致の場合のみ上位装置へ通知メッセージを通知する構成とするため、次の3通りの組み合わせが考えられ、それぞれに応じて次の2通りの何れかの判定を行う。
【0058】
第一に、上記F2情報(又はF3情報)が未検出であり且つ上記パリティチェック部205での比較結果が不一致である場合、エラー集計/演算部24への通知が必要であり且つパスフレームへの既検出情報の挿入が必要であると判定する(判定パターン1)。
【0059】
第二に、上記F2情報(又はF3情報)が未検出であり且つ上記パリティチェック部205での比較結果が一致である場合には、エラー集計/演算部24への通知が不要であり且つパスフレームへの既検出情報の挿入が不要であると判定する(判定パターン2)。
【0060】
第三に、上記F2情報(又はF3情報)が既検出であり且つ上記パリティチェック部205での比較結果が不一致である場合には、エラー集計/演算部24への通知が不要であり且つパスフレームへの既検出情報の挿入が不要であると判定する(判定パターン2)。
【0061】
エラー既検出判定部206では以上のような判定を行い、判定パターン1であれば、エラー既検出情報挿入部208へ信号を出力し且つ同図に白抜きの矢印で示されるようにエラー集計/演算部24へ信号を出力する。また、判定パターン2であれば、後段転送用フレーム作成用メモリ部207へ信号を出力する。
【0062】
後段転送用フレーム作成用メモリ部207は、エラー既検出判定部から出力された信号をトリガにして、Sフレーム終端/パス抽出部201から既に入力されている各パスフレームを後段の信号クロスコネクト部22へ出力する。
【0063】
エラー既検出情報挿入部208は、エラー既検出判定部206から出力された信号をトリガにして、Sフレーム終端/パス抽出部201から既に入力されている各パスフレームのPOHのF2バイト及びF3バイトを所定の情報(エラー既検出判定部206においてエラー既検出と判定される情報)で上書きして後段の信号クロスコネクト部22へ出力する。
【0064】
図6は、上記信号処理のタイミングチャート図である。
同図には、右方向に時間軸(左に行く程、時間は遡る)をとり、各部における処理のタイミング(同図の斜線部)を縦に並べて示している。同図の縦に振った番号は、図5の、対応する処理部の番号であるものとする。
【0065】
同図には、連続して受信した2つのフレーム(先着フレームと後着フレーム)を対象とした処理の処理タイミングが示されている。
以下、図の上段から説明する。
【0066】
B3パリティ演算部202では、先着フレーム及び後着フレームがこの順番にフレームの先頭ビット(T0、T0´)から連続的にパリティ演算処理が実行されている。各フレームのPOHに割り当てられているB3バイト、F2バイト及びF3バイトは、各フレームとも、それぞれの先頭ビットから同一位置に配置されているため、POHバイト抽出部203では、各フレームともに、それぞれの先頭ビット(T0、T0´)から同一の経過時間後(T1、T2、T3又はT1´、T2´、T3´)に抽出される。
【0067】
パリティチェック部205で行われるパリティ演算結果の一致度チェックは、フレームからパリティ演算の結果を算出して初めて行える処理であるから、同図に示されるように、先着フレームのパリティ演算終了後(一方の後着フレームはパリティ演算中)に行う。本例では、先着フレームを対象とする各種判定情報を後着フレームに格納する構成をとっているため、上記パリティ演算結果の一致度チェックは、同図に示されるように、後着フレームからB3領域の情報を抽出したタイミング(T1´)の後に実行する。この一致度チェックは、同図に矢印で示されているように、先着フレームのパリティ演算結果と後着フレームのB3情報を用いて実行する。
【0068】
エラー既検出判定部206で行われる判定処理は、更に、F2情報またはF3情報を必要とするから、後着フレームからF2バイトの情報を抽出した後で実行する。同図においては、そのタイミングを、F3バイトの情報の抽出後のタイミング(T3´)とし、F2バイト及びF3バイトの各情報を用いて上記判定処理を行っている。
【0069】
後段転送用フレーム作成用メモリ部207におけるフレーム作成処理は、上記判定結果が得られてから行われる。ただし、上記判定結果により左右される領域は、エラー既検出情報が挿入されるF2領域及びF3領域であるため、同図に示されるように上記判定処理の終了を待たずにフレーム作成を始め、判定処理が終了するタイミングまたはそれよりも少し後にF2領域の作成を行うことができる。
【0070】
ここで、図5の説明に戻り、その他の部分を説明する。
送信フレーム処理部21は、信号クロスコネクト部22から出力されたパスフレームをペイロード部SDにマッピングしてセクションフレームを生成する。同図のSフレーム組立部210にてそのペイロード部SDにセクションオーバーヘッド部SOHが付加されたセクションフレームSは、同図には省略されているが電気/光変換部や光多重化部を介するなどして、光信号として高速インタフェースから伝送路へ送出され、次の中継装置に伝送される。
【0071】
信号クロスコネクト部22は、パスフレームをクロスコネクトする。本例では、受信フレーム処理部20から出力された所定のパスフレームを送信フレーム処理部21へスルーしたり、一部のパスフレームをAdd/Drop信号処理部23へ経路転換したりする。また、Add/Drop信号処理部23から出力されたパスフレーム(Addパス)を上記スルーパスに合流させる。
【0072】
Add/Drop信号処理部23は、低速ネットワークと高速ネットワークとの間で所定のパスフレームの受け渡しを行う。Add/Drop信号処理部23は、低速ネットワーク側から高速ネットワーク側へ低次フレームを流し込むAdd信号処理部23−1と高速ネットワーク側から低速ネットワーク側へ低次フレームを分岐するDrop信号処理部23-2とを備えている。Add信号処理部23−1及びDrop信号処理部23-2は共に、既検出情報クリア部(230-1、230-2)を備え、パスフレームのPOH部のF2バイト、F3バイトをクリアする。クリアするとは、既検出情報クリア部230-1の場合、既検出情報の検出を行う装置を含むネットワーク側にパスフレームが注入されるため、 F2バイト及びF3バイトの値を、その検出装置で既検出であると判定されない値に初期設定する。また、既検出情報クリア部230-2の場合、既検出情報が含まれているパスフレームが、既検出情報の検出を行う装置を含むネットワーク側からこの検出の取り決めに依存しない外部ネットワークに分岐されるため、 パスフレームのF2バイト及びF3バイトに設定されている値を、外部ネットワークでは意味を持たない値(例えば「00000000」など)や外部ネットワークで固定的に付与される値に設定する。なお本例では、設定管理部231を構成し、各既検出情報クリア部(230-1、230-2)で設定する値を管理するようにしている。値に変更を要しない場合は特に必要ないが、この設定管理部231があることにより、各既検出情報クリア部(230-1、230-2)の設定値を必要に応じて変更することが可能となる。
【0073】
なお、Add/Drop信号処理部23は、図示は省略されているが、低速ネットワーク側に低速側インターフェース部を備え、低速側インタフェース部を介してパスフレームを送受する。Add信号処理部23-1では、信号クロスコネクト部22へ送出するパスフレームとして、低速ネットワーク側に接続された別の装置でパスフレームを組み立てたときに付加されたパスオーバーヘッドをそのまま使用しても良いし、その場でパリティ演算を実行してパスオーバーヘッド部を付け替えても良い。
【0074】
エラー集計/演算部24は、パリティチェック部205及びエラー既検出判定部206の出力信号を受信し、エラーを集計する。例えば、パリティチェック部205から信号を受信するたびにエラーカウント数を1ずつ増やし、エラー既検出判定部206から信号を受信するたびにエラー既検出カウント数を1ずつ増やす。そして、所定時間間隔でそれぞれの集計をとる。
【0075】
図7は、エラー集計/演算部24のパフォーマンステーブルで管理される上記集計結果の情報である。
本例では、15分単位で、パリティチェック部205で検出されたエラー総数(本装置で検出したエラーの総数)と、このエラー総数からエラー既検出判定部206で検出された数を差し引いた初検出数(本装置で初めて発見されたエラーの総数)とを集計した集計結果を表形式で示している。
【0076】
同図の右側の欄(Table1)には、初検出及び再検出といった種類に無関係に集計したエラーの総数が記録されており、同図の左側の欄(Table2)には、初検出のエラーの総数が記録されている。このテーブル構成の場合には、例えば、Table2を上位装置への自立通知用とし、Table1を上位装置側からエラー情報の要求があった場合の提供用とする、などの使い分けができる。
【0077】
この場合、エラー集計/演算部24は、所定時間間隔や所定時刻などの所定の通知タイミング(以下では一例として表に示された時間とする)で、上記Table2にエラーがカウントされていればそのカウント数を上位通知インタフェース部25へ自律的に送信する。また、Table2の情報については自律的な送信は行わず、一定期間記憶しておく。
【0078】
例えば、項番「1」のレコードでは、不図示の7:45から8:00の間のエラー集計結果が記録されており、その間のエラー総数は「10回」、初検出エラー数は「0回」となっている。この場合、初検出エラー数が「0回」であるため、8:00の段階では上位通知インタフェース部25へ自律的な通知は行われない。項番2および項番4も同様で、初検出エラー数はそれぞれ「0回」となっているため、8:15及び8:45の段階でも上位通知インタフェース部25へ自律的な通知は行われない。一方、項番3および項番5では、初検出エラー数がそれぞれ「15回」、「2回」であるため、その8:30及び9:00の段階で上位通知インタフェース部25へ自律的な通知が行われることになる。項番3は、エラー総数「15回」の全てが初検出のエラーに相当し、そのエラー数が上位通知インタフェース部25へ自律的に通知される。また、項番5は、エラー総数「5回」のうちの「3回」は再検出されたエラーで「2回」が初検出のエラーに相当する。この場合は、その「2回」のエラー数が上位通知インタフェース部25へ自律的に通知される。
【0079】
上位通知インタフェース部25は、エラー集計/演算部24から情報を受け取ると、例えばそのノードの識別番号を付加するなどして通知メッセージを作成し、不図示の上位装置へその通知メッセージを送信する。また、上位装置からパフォーマンス情報の取得要求を受けると、その要求に応じてエラー集計/演算部24から一部または全ての情報(特にはTable1の情報)を取得し、その情報から通知メッセージを作成して上位装置へ送信する。
【0080】
図8は、図4に示したリング状の光伝送ネットワークにおける通信回線障害の発生箇所と、通信回線監視装置に対して通信回線障害を自律的に通知するノードとの関係を示す図である。
【0081】
同図の例では、通信回線障害の発生例として、ノードB内のパス経路に故障が生じた場合を例に挙げている。
上述のノードが構成された光伝送ネットワークでは、ノードBのパス経路に故障が生じると、同図に白抜きの矢印が示されるノードのみ(ノードCのみであり、他の×印で示されたノードD及びEは含まない)が、その通信回線障害の通知メッセージを通信回線監視装置に自律的に送信する。つまり、本構成の下では、通信回線障害が発生した場所から通信フレームが伝送される直近のノードで、最初に通信回線障害が検出され、その最初に検出されたノードのみから、その通知メッセージが通信回線監視装置へ自律的に送信されることとなる。
【0082】
(実施例1の変形例)
実施例1では、「エラー既検出情報」や「エラー未検出情報」などの「エラー既検出判定用情報」の格納領域として2つ(偶数個)のユーザ領域を使用したが、本変形例では、「エラー既検出判定用情報」の格納領域として1つ(奇数個)のユーザ領域のみを使用する。
【0083】
この形態を実現するためには、各ノードで実施されるパリティ演算の演算範囲から上記1つのユーザ領域を除く構成が必要となる。
そこで、パリティ演算範囲は、変更せずに、上記一つのユーザ領域に対するパリティ演算に期待値を使用することにする。
【0084】
本形態では、先ず、パスフレームを生成する装置において同図に斜線で示されるパスフレームPの全ビットを範囲にBIP−8の演算がなされ、その演算結果(いわゆるBIP−8符号)が、次の送信順のフレームのB3領域に格納される。これらのフレームを受信する装置(本実施例ではノード)では、受信したパスフレーム(受信フレーム)の内のF2バイト(またはF3バイト)を所定の期待値(例えば、パスフレームの生成装置でパリティ演算を実行する際にF2バイト(またはF3バイト)に対して使用された値)に差し替えてパスフレーム全範囲に行ったBIP−8による再演算結果と、次に受信したパスフレームに格納されているBIP−8符合とを比較することにより、先に受信したパスフレームのエラーのチェックを行う。
【0085】
また、あるノードでパスフレームのエラーを最初に検出した場合は、そのノードで、パリティ演算の際に期待値に差し替えられる領域(F2バイトまたはF3バイト)中の対象ビットを反転させる。例えば、F2バイト(またはF3バイト)の先頭ビットを「1」から「0」へ反転させる、または「0」から「1」へ反転させる。或いはF2バイト(またはF3バイト)の他のビットを「1」から「0」へ反転させる、または「0」から「1」へ反転させる。
【0086】
図9は、エラー既検出判定用情報の格納領域の値をパリティ演算の際に期待値に差し替えるノードの機能ブロック図である。
本構成は基本的には図5のノードの構成と共通する。このため、図にはその共通部分に同じ番号を付し、以下の説明では、実施例1と異なる部分のみ説明する。
【0087】
本形態では、エラー既検出判定用情報の格納領域の値をパリティ演算の際に期待値に差し替える構成とするため、パリティ演算部302及びAdd/Drop信号処理部33の構成が異なる。
【0088】
同図のパリティ演算部302は、期待値メモリ302-1、セレクト(SEL)回路302-2、及びB3演算回路302-3により構成されている。
期待値メモリ302-1は、本例では、F2バイト用の差し替え情報(期待値)やF2バイトのタイミング情報が格納されており、それらの情報は、セレクト回路302-2へ出力される。
【0089】
セレクト回路302-2は、フレーム同期部200から出力されるタイミングデータと、Sフレーム終端/パス抽出部201から出力されるパスフレームとを受信し、F2バイトの値を期待値に置き換えたパスフレームデータをB3演算回路302-3へ出力する。このセレクト回路302-2は、通常はタイミングデータと同期して入力されたパスフレームのデータをそのままB3演算回路302-3へ出力するが、入力されたタイミングデータからタイミング情報で示されるタイミングを検出すると、そのタイミングから所定期間、メモリ中の期待値をB3演算回路302-3へ出力する。
【0090】
B3演算回路302-3は、セレクト回路302-2から出力されたパスフレーム(期待値をF2バイトに含むパスフレーム)に基づいて、B3パリティ演算回路202と同様なパリティ演算を行う。
【0091】
Add/Drop信号処理部33は、実施例1のAdd/Drop信号処理部23と基本的には同様の機能を有する。ただし、本例では、Add信号処理部33−1とDrop信号処理部33-2がそれぞれ備える、既検出情報クリア部(330-1、330-2)における機能が異なる。本例では、既検出情報の判定用情報として1領域(本例ではF2バイト)しか使用しないため、既検出情報クリア部(330-1、330-2)は、パスフレームの、パスフレームのPOH部のF2バイトをクリアする。なお、この領域の設定やその領域への値の設定は、設定管理部231で管理できる。
【0092】
図10は、上記信号処理のタイミングチャート図である。
同図は、図6と同様の形式で示したものである。本形態では、既検出判定情報の格納領域がF2バイトのみであるため、図6のF3格納タイミングを示す斜線部がない。
【0093】
つまり、本形態では、後着フレームのF3バイトの情報の抽出が必要ないため、F3格納タイミング前にT3´´エラー既検出判定を行うことが可能となり、後段転送用フレームの作成を早い段階で作成できる。
【0094】
このように、本形態では、「エラー既検出情報」や「エラー未検出情報」などの「エラー既検出判定用情報」の格納領域として1つのユーザ領域を使用する。本形態ではエラー既検出判定用情報を所定の期待値に置き換えてパリティチェックを行うため、「エラー既検出判定用情報」の格納領域の値が途中で変更されても、変更された領域の値は使用されずに所定の期待値が各ノードで使用されるため、全てのノードではこの領域の値に左右されずにパリティ演算結果を得ることができる。また、各ノードでは、この領域の値をチェックすることで、仮に受信フレームがエラーを有するものであってもこのエラーが他のノードで既に検出されているものかどうかの判別を行うことができる。
【0095】
なお、本例では、既検出判定用情報の格納領域としてF2バイトを使用したが、言うまでも無く、F3バイトや、その他のバイトを適宜使用してもよい。
(実施例2)
本例では、セクションの終端を行わない装置における回線品質情報のモニタを上位装置で実施するための構成について説明する。
【0096】
そこで、実施例2では、上述のネットワーク内の各ノード間の伝送装置の構成を例に挙げる。
先ず前提として、本例では、セクションフレームのオーバーヘッド部SOHに設けられているB1バイト及びB2バイトの情報を回線品質のチェック対象とすることにする。つまり、B1バイトやB2バイトに格納された情報と受信装置でのパリティ演算結果とを比較することにより、回線品質をチェックする。
【0097】
また更に、B1バイト(またはB2バイト)用の既検出済み情報の格納領域として、セクションオーバーヘッド部SOHの未使用バイト(本例ではD4バイト)を使用する。本例では特に、B1バイトとそのパリティ演算結果が異なる場合における既検出済み情報の格納領域として、D4バイトの最下位ビットを使用し、B2バイトとそのパリティ演算結果が異なる場合における既検出済み情報の格納領域として、同じくD4バイトの下位の2ビット目を使用することにする。つまり、本例では、実施例1の変形例と同様に既検出済み情報の格納領域を1領域として構成している。
【0098】
図11は、セクションの終端を行わない上記伝送装置の機能ブロック図である。
同図の伝送装置4には、受信フレーム処理部40、送信フレーム処理部41、エラー集計/演算部44、及び上位通知インタフェース部45が構成されている。
【0099】
受信フレーム処理部40は、フレーム同期部400、B1/B2パリティ演算部402、SOH(セクションオーバーヘッド)バイト抽出部403、演算結果遅延部404、パリティチェック部405、エラー既検出判定部406、及び後段転送用フレーム作成用メモリ部407を備え、後段転送用フレーム作成用メモリ部407はエラー既検出情報挿入部408を更に備える。
【0100】
なお、同図には省略されているが、フレーム同期部400の前段には高速側インタフェース部が構成されている。この高速側インタフェース部では、伝送路を通ってきた光信号を、例えば波長分割処理や3R処理(波形整形処理、増幅処理、及びデータ識別処理)や必要であれば光電変換処理を施すなどして、受信フレーム処理部40で取り扱う信号形態(電気信号や光信号)にする。以下では、実施例1と同様に、取り扱い形態を電気信号として説明する。
【0101】
さて、フレーム同期部400は、高速側インタフェース部から得た信号に基づいてフレーム同期を行い、受信フレームの先頭位置を特定する。フレーム同期部400から出力されるセクションフレームは、B1/B2パリティ演算部402及びSOHバイト抽出部403に共に出力され、更に、特に同図において信号線(実線矢印)は示されていないが、後段転送用フレーム作成用メモリ部407にも出力される。
【0102】
SOHバイト抽出部403は、フレーム同期部400から出力されたセクションフレームのSOH内のB1バイトの情報(B1情報)、B2バイトの情報(B2情報)、及びD4バイトの情報(D4情報)を順次抽出する。また、B1/B2パリティ演算部402は、フレーム同期部400から出力されたセクションフレームを入力し、このセクションフレームから所定の方法でB1及びB2のパリティ演算を例えば並列的に実行し、それぞれの演算結果を得る。このパリティ演算では、実施例1の変形例でその構成を示したように、内部のメモリに予め格納した所定の期待値(セクションフレームの作成装置でパリティ演算に使用したD4バイトの値)を上記セクションフレームのD4バイトの値の替わりに使用する。
【0103】
SOHバイト抽出部403で抽出された情報(B1情報とB2情報、及びD4情報)はパリティチェック部405及びエラー既検出判定部406に最新の比較情報として順次セットされ、B1/B2パリティ演算部402で得られた演算結果(B1演算結果及びB2演算結果)は演算結果遅延部404を介してパリティチェック部405に入力される。
【0104】
この演算結果遅延部404は、B1/B2パリティ演算部402から受け取った演算結果(B1演算結果及びB2演算結果)をパリティチェック部405へ送るタイミングを、パリティチェック部405に次のフレームのB1/B2情報がセットされるタイミングまで遅延する。つまり、パリティチェック部205及びこの後段のエラー既検出判定部406には、連続する2つのフレームの内の先着フレームを対象とした処理を後着フレームに含まれるSOH内情報を用いて行わせる。なお、このタイミングについては、図を用いて後述することとする。
【0105】
パリティチェック部405は、上記B1演算結果及びSOHバイト抽出部403からセットされた最新のB1情報、上記B2演算結果及びSOHバイト抽出部403からセットされた最新のB2情報を別々に比較し、それぞれの比較結果(一致又は不一致を示す情報)を後段に出力する。また、本例では、その比較結果の一方が不一致であった場合、同図に白抜きの矢印で示されるように、エラー集計/演算部44へ不一致の結果を出力する。
【0106】
エラー既検出判定部406は、上記各比較結果情報が入力されると、予めセットされている既検出(又は未検出)を示すビット情報とSOHバイト抽出部403からセットされた最新のD4情報の対応ビットとを比較し、この比較結果と上記パリティチェック部405での2つの比較結果に基づいて判定処理を実行する。この判定処理では、上記D4情報の最下位ビットや下位2ビット目が既検出情報を示しているか、それとも未検出情報を示しているか、上記パリティチェック部405でのそれぞれの比較結果は一致であるか、それとも不一致であるかなどの各事象をそれぞれ組み合わせ、それらの組み合わせに応じて判定する。
【0107】
例えば、上記D4情報の最下位ビットが未検出を示しており且つ上記パリティチェック部405でのB1の比較結果が不一致である場合、エラー集計/演算部24への通知が必要であり且つD4の最下位ビットへの既検出情報の挿入が必要であると判定する(判定パターン1-1)。
【0108】
また、上記D4情報の下位2ビット目が未検出を示しており且つ上記パリティチェック部405でのB2の比較結果が不一致である場合、エラー集計/演算部24への通知が必要であり且つD4の下位2ビット目への既検出情報の挿入が必要であると判定する(判定パターン1-2)。
【0109】
そして、それ以外の組み合わせは、エラー集計/演算部24への通知が不要であり且つD4の最下位ビットまたは下位2ビット目への既検出情報の挿入が不要であると判定する(判定パターン2)。
【0110】
エラー既検出判定部406では以上のような判定を行い、判定パターン1であれば、エラー既検出情報挿入部408へ信号を出力し且つ同図に白抜きの矢印で示されるようにエラー集計/演算部44へ信号を出力する。また、判定パターン2であれば、後段転送用フレーム作成用メモリ部407へ信号を出力する。
【0111】
後段転送用フレーム作成用メモリ部407は、エラー既検出判定部から出力された信号をトリガにして、フレーム同期部400から既に入力されている各セクションフレームを後段の送信フレーム処理部41へ出力する。
【0112】
エラー既検出情報挿入部408は、エラー既検出判定部406から出力された信号をトリガにして、フレーム同期部400から既に入力されている各セクションフレームのSOHのD4バイトをエラー既検出判定部206においてエラー既検出と判定される情報で上書きして後段の送信フレーム処理部41へ出力する。この上書きは、例えば、セクションフレームを後段の送信フレーム処理部41へ出力する際に、判定パターン1-1の場合はその最下位ビットだけを反転し、判定パターン1-2の場合は下位2ビット目だけを反転し、判定パターン1-1及び判定パターン1-2の場合はその最下位ビット及び下位2ビット目を反転する。
【0113】
送信フレーム処理部41は、後段転送用フレーム作成用メモリ部407から出力されたセクションフレームSを次の伝送装置へ送信する。このセクションフレームSは、同図には省略されているが電気/光変換部や光多重化部を介するなどして、光信号として高速インタフェースから伝送路へ送出され、次の伝送装置に伝送される。
【0114】
エラー集計/演算部44及び上位通知インタフェース部45は、それぞれ、実施例1で示したエラー集計/演算部24及び上位通知インタフェース部25と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0115】
図12は、上記信号処理のタイミングチャート図である。
同図には、右方向に時間軸(左に行く程、時間は遡る)をとり、各部における処理のタイミング(同図の斜線部)を縦に並べて示している。同図の縦に振った番号は、図11の、対応する処理部の番号である。
【0116】
同図には、連続して受信した2つのフレーム(先着フレームと後着フレーム)を対象とした処理の処理タイミングが示されている。
以下、図の上段から説明する。
【0117】
B1/B2パリティ演算部402では、先着フレーム及び後着フレームがこの順番にフレームの先頭ビット(T10、T10´)から連続的にパリティ演算処理が実行されている。本例ではB1バイト及びB2バイトの2種類のパリティ演算結果が必要であるため、それぞれを並列処理で算出する。なお、各フレームのSOHに割り当てられているB1バイト、B2バイト、及びD4バイトは、各フレームとも、それぞれの先頭ビットから同一位置に配置されているため、SOHバイト抽出部403では、各フレームともに、それぞれの先頭ビット(T10、T10´)から同一の経過時間後(T11、T12、T13又はT11´、T12´、T13´)に抽出される。
【0118】
パリティチェック部405で行われる2つのパリティ演算結果の一致度チェックは、フレームからパリティ演算の結果を算出して初めて行える処理であるから、同図に示されるように、先着フレームのパリティ演算終了後(一方の後着フレームはパリティ演算中)に行う。本例では、先着フレームを対象とする各種判定情報を後着フレームに格納する構成をとっているため、上記2つのパリティ演算結果の一致度チェックは、同図に示されるように、後着フレームからB1バイト及びB2バイトの情報を抽出したそれぞれのタイミング(T11´、T12´)の後にそれぞれ実行する。この2つの一致度チェックは、同図に矢印で示されているように、先着フレームにおけるそれぞれのパリティ演算結果と後着フレームのB1情報及びB2情報をそれぞれ突き合わせて実行される。
【0119】
エラー既検出判定部406で行われる判定処理は、更に、D4情報を必要とするから、後着フレームからD4バイトの情報を抽出した後(T13´)で実行される。
後段転送用フレーム作成用メモリ部407におけるフレーム作成処理は、上記判定結果が得られてから行われる。ただし、上記判定結果により左右される領域は、エラー既検出情報が挿入されるD4バイトであるため、同図に示されるように上記判定処理の終了を待たずにフレーム作成を始めることができる。
【0120】
図13は、ポイント・トゥ・ポイントで上記伝送装置が数珠繋ぎに接続された通信路上(例えば上述のネットワーク内の各ノード間)での通信回線障害の発生箇所と、通信回線監視装置に対して通信回線障害を自律的に通知する伝送装置との関係を示す図である。
【0121】
同図には、伝送装置Aから伝送装置Fがアルファベット順に数珠繋ぎに接続され且つそれぞれの端部にセクション終端装置を接続した単位セクション区間の構成が、一例として示されている。この2つのセクション終端装置は、図4に示した隣り合う2つのノードに相当する。なお、セクションフレームは同図の伝送路を左から右へ伝送しているものとしている。
【0122】
同図に示されるように、本構成下で伝送装置C及び伝送装置D間の伝送路で回線品質障害が発生すると、同図に白抜きの矢印が示される伝送装置のみ(伝送装置Dのみであり、他の×印で示された伝送装置E及びFは含まない)が、その通信回線障害の通知メッセージを通信回線監視装置に自律的に送信する。
【0123】
つまり、本構成下では、通信回線障害が発生した場所から通信フレームが伝送される直近の伝送装置で、最初に通信回線障害が検出され、その最初に検出されたノードのみから、その通知メッセージが通信回線監視装置へ自律的に送信される。
【0124】
(実施例3)
実施例1〜2では、パリティ演算の既検出済み情報をデータ転送と同一回線を用いて転送する構成を示したが、本実施例では、パリティ演算の既検出済み情報を別回線を用いて転送する構成を示す。
【0125】
一例として、セクションの終端を実施しないWDM (Wavelength Division Multiplexing)装置を取り挙げる。
本装置では、複数の波長のチャネルが多重化されてなる信号を波長分割し、その内のデータ転送を行うチャネル(主信号回線)と、それとは異なる波長のスーパバイザチャネル(副信号回線)を用いる。この副信号回線は、WDM装置の制御信号を転送するために使用される。なお、この副信号回線は通知メッセージを送信する専用回線ではないが、後述する例では、通知メッセージをその副信号回線にのせて隣接装置に伝送するようにしてもよい。その場合、その通知メッセージの上位装置への伝送は、例えば、ゲートウエイ装置などで行うようにする。
【0126】
本実施例では、この副信号回線を伝送するフレーム(以下、副信号フレームと呼ぶこととする)にエラー既検出判定用情報を格納する領域を設けて、主信号回線を伝送するフレーム(以下、主信号フレームと呼ぶこととする)と対応するように副信号回線を伝送させる。
【0127】
図14は、上記副信号フレームのフォーマット例である。
同図の副信号フレームSFは、FTOP1400、主信号フレーム情報1402、及びFCS(Frame Check Sequence)1404の3領域に分けて構成されている。
【0128】
FTOP1400は、後述の副信号受信フレーム処理部においてフレームの先頭位置を特定するためのフレーム同期情報や、フレーム番号などの識別情報などを格納するための領域である。
【0129】
主信号フレーム情報1402は、エラー既検出判定用情報の格納領域であり、主信号フレームのエラー既検出判定用情報(本例ではセクションフレームのB1バイト及びB2バイトに対するエラー既検出判定用情報)が格納されている。同図には、パス#1からパス#n(nは整数)の領域が設けられている。本例の場合、そのパス#1をB1バイトに対するエラー既検出判定用情報の格納領域に割り当て、パス#2をB2バイトに対するエラー既検出判定用情報の格納領域に割り当てる事ができる。
【0130】
FCS1404は、受信装置側で当該副信号フレームの誤りチェックをするための情報を格納するための領域である。なお、この誤りチェックは、各装置で一般的に行われる処理であるため、以下の説明では特に触れないことにする。
【0131】
図15は、上記WDM装置の機能ブロック図である。
同図に示されるように、WDM装置5には、主信号及びスーパーバイザ信号(副信号)がそれぞれ入力されている。各信号は伝送路区間ではWDM信号多重されて伝送されているため、本WDM装置5の前段に構成される不図示のインタフェース部で波長分割処理が行われ、主信号及び副信号としてWDM装置5に入力される。各信号は、更に、同図に省略されている主信号インタフェース部や副信号インタフェース部で3R処理(波形整形処理、増幅処理、及びデータ識別処理)や例えば光電変換処理などが施されて装置5内に入力される。
【0132】
同図のWDM装置5は、受信フレーム処理部50、送信フレーム処理部51、副信号受信フレーム処理部52、副信号送信フレーム処理部53、エラー集計/演算部54、及び上位通知インタフェース部55により構成されている。
【0133】
この内の受信フレーム処理部50は、フレーム同期部500、B1/B2パリティ演算部502、SOH(セクションオーバーヘッド)バイト抽出部503、演算結果遅延部504、パリティチェック部505、位相調整部506-1、及びエラー既検出判定部506-2を備える。
【0134】
フレーム同期部500は、主信号インタフェース部から得た信号に基づいてフレーム同期を行い、受信フレームの先頭位置を特定する。フレーム同期部500から出力されるセクションフレームは、B1/B2パリティ演算部502及びSOHバイト抽出部503に共に出力され、更に、特に同図において信号線(実線矢印)は示されていないが、主信号送信フレーム処理部51にも出力される。
【0135】
SOHバイト抽出部503は、フレーム同期部500から出力されたセクションフレームのSOH内のB1バイトの情報(B1情報)及びB2バイトの情報(B2情報)を順次抽出する。また、B1/B2パリティ演算部502は、フレーム同期部500から出力されたセクションフレームを入力し、このセクションフレームからB1及びB2の各々の演算方法でそれぞれのパリティ演算の結果を得る。本例では、各演算を並列的に処理するものとする。
【0136】
SOHバイト抽出部503で抽出された情報(B1情報とB2情報)はパリティチェック部505に最新の比較情報として順次セットされ、B1/B2パリティ演算部502で得られた演算結果(B1演算結果及びB2演算結果)は演算結果遅延部504を介してパリティチェック部505に入力される。
【0137】
この演算結果遅延部504は、B1/B2パリティ演算部502から受け取った演算結果(B1演算結果及びB2演算結果)をパリティチェック部505へ送るタイミングを、パリティチェック部505に次のフレームのB1/B2情報がセットされるタイミングまで遅延する。つまり、パリティチェック部505には、連続する2つのフレームの内の先着フレームを対象とした処理を後着フレームに含まれるSOH内情報を用いて行わせる。なお、このタイミングについては、図を用いて後述することとする。
【0138】
パリティチェック部505は、上記B1演算結果及びSOHバイト抽出部503からセットされた最新のB1情報、上記B2演算結果及びSOHバイト抽出部503からセットされた最新のB2情報をそれぞれ比較し、それぞれの比較結果(一致又は不一致を示す情報)を後段に出力する。また、本例では、その比較結果の一方が不一致であった場合、同図に白抜きの矢印で示されるように、エラー集計/演算部44へ不一致の結果を出力する。
【0139】
位相調整部506-1は、後述の副受信フレーム部52から送信されるB1エラー既検出判定用情報及び上記パリティチェック部505から出力されたB1用比較結果情報、後述の副受信フレーム部52から送信されるB2エラー既検出判定用情報及び上記パリティチェック部505から出力されたB2用比較結果情報の、位相をそれぞれ合わせて、エラー既検出判定部506-2へ出力する。
【0140】
エラー既検出判定部506-2は、上記位相合わせされた各種情報が入力されると、予めセットされている既検出(又は未検出)を示す情報とB1及びB2エラー既検出判定用情報とを比較し、この比較結果と上記2つの比較結果情報(B1用比較結果情報とB2用比較結果情報)に基づいて判定処理を実行する。この判定処理では、上記B1エラー既検出判定用情報やB2エラー既検出判定用情報が既検出情報を示しているか、それとも未検出情報を示しているか、上記B1用比較結果情報やB2用比較結果情報は一致を示すか、それとも不一致を示すかなどの各事象をそれぞれ組み合わせ、それらの組み合わせに応じて判定する。
【0141】
例えば、上記B1エラー既検出判定用情報が未検出を示しており且つ上記B1用比較結果情報が不一致を示している場合、エラー集計/演算部54への通知が必要であり且つB1エラー既検出判定用情報を既検出情報にする必要があると判定する(判定パターン1-1)。
【0142】
また、上記B2エラー既検出判定用情報が未検出を示しており且つ上記B2用比較結果情報が不一致を示している場合、エラー集計/演算部54への通知が必要であり且つB2エラー既検出判定用情報を既検出情報にする必要があると判定する(判定パターン1-2)。
【0143】
また、上記B1エラー既検出判定用情報が既検出を示しており且つ上記B1用比較結果情報が不一致を示している場合、エラー集計/演算部54への通知は不要であり且つB1エラー既検出判定用情報を既検出情報にする必要があると判定する(判定パターン2-1)。
【0144】
また、上記B2エラー既検出判定用情報が既検出を示しており且つ上記B2用比較結果情報が不一致を示している場合、エラー集計/演算部54への通知は不要であり且つB2エラー既検出判定用情報を既検出情報にする必要があると判定する(判定パターン2-2)。
【0145】
そして、それ以外の組み合わせは、エラー集計/演算部54への通知が不要であり且つB1エラー既検出判定用情報を未検出情報にする必要がある(または、B2エラー既検出判定用情報を未検出情報にする必要があると判定する)と判定する(判定パターン3)。
【0146】
エラー既検出判定部506-2では以上のような判定を終えると、主信号送信フレームの作成用トリガを後段の主信号送信フレーム処理部51へ出力し、上記判定結果を示す信号を後段の副信号送信フレーム処理部53へ出力する。
【0147】
主信号送信フレーム処理部51は、エラー既検出判定部506-2からトリガ信号を受信するとそのセクションフレームを主信号インタフェース部へ送信する。
副信号受信フレーム処理部52は、フレーム同期部520、各種情報抽出部521、及びエラー既検出情報抽出部522を備える。
【0148】
フレーム同期部520は、副信号インタフェース部から得た信号に基づいてフレーム同期を行い、受信フレームの先頭位置を特定する。フレーム同期部520から出力される副信号フレームは、各種情報抽出部で必要な情報(例えば、装置内の各種制御情報やエラー既検出判定用情報など)の抽出が行われ、装置内の各部に伝えられる。この内のエラー既検出判定用情報は後段のエラー既検出情報抽出部522の出力され、エラー既検出情報抽出部522でそれぞれの情報(B1エラー既検出判定用情報とB2エラー既検出判定用情報)が抽出され、位相調整部506-1に出力される。
【0149】
副信号送信フレーム処理部53は、エラー既検出情報挿入部530と副信号フレーム組立部531を備える。
エラー既検出情報挿入部530は、エラー既検出判定部506-2から出力された判定結果を示す信号に基づき、エラー既検出判定用情報に既検出情報または未検出情報を挿入する。
【0150】
副信号フレーム組立部531は、エラー既検出判定部506-2の挿入情報に基づいて副信号フレームを組み立て、副信号インタフェース部へ送信する。
エラー集計/演算部54及び上位通知インタフェース部55は、それぞれ、実施例1で示したエラー集計/演算部24及び上位通知インタフェース部25と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0151】
図16は、上記信号処理のタイミングチャート図である。
同図には、右方向に時間軸(左に行く程、時間は遡る)をとり、各部における処理のタイミング(同図の斜線部)を縦に並べて示している。同図の縦に振った番号は、図15の、対応する処理部の番号であるものとする。
【0152】
同図には、連続して受信した2つのフレーム(先着フレームと後着フレーム)を対象とした処理の処理タイミングが示されている。
以下、図の上段から説明する。
【0153】
B1/B2パリティ演算部502では、先着フレーム及び後着フレームがこの順番にフレームの先頭ビット(T20、T20´)から連続的にパリティ演算処理が実行されている。本例ではB1バイト及びB2バイトの2種類のパリティ演算結果が必要であるため、それぞれを並列処理で算出する。なお、各フレームのSOHに割り当てられているB1バイト及びB2バイトは、各フレームとも、それぞれの先頭ビットから同一位置に配置されているため、SOHバイト抽出部503では、各フレームともに、それぞれの先頭ビット(T20、T20´)から同一の経過時間後(T21、T22又はT21´、T22´)に抽出される。
【0154】
パリティチェック部505で行われる2つのパリティ演算結果の一致度チェックは、フレームからパリティ演算の結果を算出して初めて行える処理であるから、同図に示されるように、先着フレームのパリティ演算終了後(一方の後着フレームはパリティ演算中)に行う。本例では、先着フレームを対象とする各種判定情報を後着フレームに格納する構成をとっているため、上記2つのパリティ演算結果の一致度チェックは、同図に示されるように、後着フレームからB1バイト及びB2バイトの情報を抽出したそれぞれのタイミング(T21´、T22´)の後にそれぞれ実行する。この2つの一致度チェックは、同図に矢印で示されているように、先着フレームにおけるそれぞれのパリティ演算結果と後着フレームのB1情報及びB2情報をそれぞれ突合して実行される。
【0155】
エラー既検出判定部506-2で行われる判定処理は、更に、エラー既検出判定用情報を必要とするから、副信号回線を伝送する副信号フレームからエラー既検出判定用情報が抽出された後(T23´)で実行される。
【0156】
主信号送信フレーム処理部における主信号フレームの作成処理、及び、副信号送信フレーム処理部における副信号フレームの作成処理は、上記判定結果が得られてから行われる。ただし、上記判定結果により左右される領域は、エラー既検出情報が挿入されるD4バイトであるため、同図に示されるように上記判定処理の終了を待たずにフレーム作成を始めることも可能である。
【0157】
以上の実施例1から3では、SDH網を例に挙げて説明したが、当然、SONET網においても同様に実施できる。
また、実施例1から3では、リング状の光伝送ネットワークを例に説明しているが、以上に示した構成は、当然のことながら、リング状の光伝送ネットワークに限らず、メッシュ状またはポイント・トゥ・ポイント接続の光伝送ネットワークにも適用可能である。
【0158】
以上、実施例1から3で示したように、データを伝送する通信回線に何らかの障害が生じ、そこを伝送するデータに何らかのエラーが発生した場合は、そのエラーを最初にそのデータから検出した中継装置のみが、その回線に障害があったものとして通知(通知メッセージ)を上記通信回線監視装置へ自律的に行う。このため、各中継装置と通信回線監視装置間の回線を伝送する通知メッセージの数は少量に抑えることができる。
【0159】
このため、通信回線監視装置の処理の向上や、通知メッセージが伝達される回線の増強(DCC回線を太くする)を行わなくとも、通知メッセージが伝送される回線の輻輳を低減し、更に、通信回線監視装置の処理を低減することができる。そして、通信回線監視装置は回線品質の監視をリアルタイムに行うことができる。
【0160】
(付記1)
複数の中継装置と、該複数の中継装置を跨って伝送するデータの通信路の回線品質を監視する通信回線監視装置とを備える通信回線監視システムであって、上記各々の中継装置は、受信データのエラーを検出するエラー検出手段と、上記受信データにエラー既検出情報が付与されているか否かにより上記受信データが既に他の中継装置でエラー検出されたものであるか否かを判定するエラー既検出判定手段と、上記受信データにエラーを検出し且つ上記受信データが他の中継装置でエラー未検出であった場合にのみ、上記回線に異常があったものとしてエラー発見情報を上記通信回線監視装置に通知し且つ下流側の中継装置へ送出するデータにエラー既検出情報を付与する初回エラー発見処理手段と、を有することを特徴とする通信回線監視システム。
(付記2)
上記エラー検出手段は、上記受信データに予め含まれているパリティ演算結果情報と上記受信データに行ったパリティ演算の演算結果情報とを比較することにより上記受信データのエラーを検出し、上記初回エラー発見処理手段は、下流側の中継装置へ送出するデータにエラー既検出情報を付与する場合に、該エラー既検出情報が上記エラーの検出結果に影響を与えない配置で付与する、ことを特徴とする付記1に記載の通信回線監視システム。
(付記3)
上記初回エラー発見処理手段は、上記パリティ演算が上記受信データに対して所定ビット数おきに行われる場合、パリティ演算対象ビットの内の所定の偶数個のビットを反転させることにより上記エラー既検出情報を付与する、ことを特徴とする付記2に記載の通信回線監視システム。
(付記4)
上記エラー検出手段は、上記受信データのパリティ演算を上記エラー既検出情報の付与対象位置にある値を所定の期待値に置き換えて行い、上記パリティ演算の演算結果情報と上記受信データに予め含まれているパリティ演算結果情報とを比較することにより上記受信データのエラーを検出する、ことを特徴とする付記1に記載の通信回線監視システム。
(付記5)
外部ネットワークから送り込まれたデータ中の、上記エラー既検出情報の付与対象位置にある値を未検出情報に変更する内部初期化手段と、外部ネットワークに送り出すデータ中の、上記エラー既検出情報の付与対象位置にある値を外部ネットワーク設定情報に変更する外部初期化手段と、を有する、ことを特徴とする付記1に記載の通信回線監視システム。
(付記6)
上記未検出情報及び上記外部ネットワーク設定情報の設定値を管理する設定管理部を更に有する、ことを特徴とする付記5に記載の通信回線監視システム。
(付記7)
主データが伝送する主信号回線と副データが伝送する副信号回線とが設定された複数の中継装置と、該複数の中継装置を跨って伝送する上記主データの通信路の回線品質を監視する通信回線監視装置とを備える通信回線監視システムであって、各中継装置は、上記主信号回線から受信した主データのエラーを検出するエラー検出手段と、上記副信号回線から受信した副データにエラー既検出情報が付与されているか否かにより上記主データが既に他の中継装置でエラー検出されたものであるか否かを判定するエラー既検出判定手段と、上記主データにエラーを検出し且つ上記主データが他の中継装置でエラー未検出であった場合にのみ、上記主信号回線に障害があったものとしてエラー発見情報を上記通信回線監視装置に通知し且つ下流側の中継装置へ送出する上記副データにエラー既検出情報を付与する初回エラー発見処理手段と、を有することを特徴とする通信回線監視システム。
(付記8)
受信データを検査して、該受信データにエラーが有った場合に通信回線監視装置へ回線障害を通知する中継装置であって、上記受信データのエラーを検出するエラー検出手段と、上記受信データにエラー既検出情報が付与されているか否かにより上記受信データが既に他の中継装置でエラー検出されたものであるか否かを判定するエラー既検出判定手段と、上記受信データにエラーを検出し且つ上記受信データが他の中継装置でエラー未検出であった場合にのみ、上記回線に障害があったものとしてエラー発見情報を上記通信回線監視装置に通知し且つ下流側の中継装置へ送出するデータにエラー既検出情報を付与する初回エラー発見処理手段と、を有することを特徴とする中継装置。
(付記9)
上記エラー検出手段は、上記受信データに予め含まれているパリティ演算結果情報と上記受信データに行ったパリティ演算の演算結果情報とを比較することにより上記受信データのエラーを検出し、上記初回エラー発見処理手段は、下流側の中継装置へ送出するデータにエラー既検出情報を付与する場合に、該エラー既検出情報が上記エラーの検出結果に影響を与えない配置で付与する、ことを特徴とする付記8に記載の中継装置。
(付記10)
上記初回エラー発見処理手段は、上記パリティ演算が上記受信データに対して所定ビット数おきに行われる場合、パリティ演算対象ビットの内の所定の偶数個のビットを反転させることにより上記エラー既検出情報を付与する、ことを特徴とする付記9に記載の中継装置。
(付記11)
上記エラー検出手段は、上記受信データのパリティ演算を上記エラー既検出情報の付与対象位置にある値を所定の期待値に置き換えて行い、該パリティ演算の演算結果情報と上記受信データに予め含まれているパリティ演算結果情報とを比較することにより上記受信データのエラーを検出する、ことを特徴とする付記8に記載の中継装置。
(付記12)
外部ネットワークから送り込まれたデータ中の、上記エラー既検出情報の付与対象位置にある値を未検出情報に変更する内部初期化手段と、外部ネットワークに送り出すデータ中の、上記エラー既検出情報の付与対象位置にある値を外部ネットワーク設定情報に変更する外部初期化手段と、を有する、ことを特徴とする付記8に記載の中継装置。
(付記13)
上記未検出情報及び上記外部ネットワーク設定情報の設定値を管理する設定管理部を更に有する、ことを特徴とする付記12に記載の中継装置。
(付記14)
主データが伝送する主信号回線と副データが伝送する副信号回線とを備え、上記主データを検査して、該主データにエラーがあった場合に通信回線監視装置へ主信号回線の障害を通知する中継装置であって、上記主信号回線から受信した主データのエラーを検出するエラー検出手段と、上記副信号回線から受信した副データにエラー既検出情報が付与されているか否かにより上記主データが既に他の中継装置でエラー検出されたものであるか否かを判定するエラー既検出判定手段と、上記主データにエラーを検出し且つ上記主データが他の中継装置でエラー未検出であった場合にのみ、上記主信号回線に障害があったものとしてエラー発見情報を上記通信回線監視装置へ自律的に通知し且つ下流側の中継装置へ送出する上記副データにエラー既検出情報を付与する初回エラー発見処理手段と、を有することを特徴とする中継装置。
(付記15)
複数の中継装置と、該複数の中継装置を跨って伝送するデータの通信路の回線品質を監視する通信回線監視装置とを備える通信回線監視システムにおける通信回線監視方法であって、上記中継装置で受信したデータのエラーの有無を検査し、上記受信データにエラーを発見した場合に、上記通信回線に異常があったものとしてエラー発見情報を上記通信回線監視装置に通知し、上記エラーが上記中継装置の下流の中継装置で再び発見された場合は、該下流の中継装置から上記通信回線監視装置への上記エラー発見情報の通知を抑圧する、ことを特徴とする通信回線監視方法。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】一中継装置当たりの通信回線障害通知処理部の基本構成図である。
【図2】SDH網で取り扱われる通信フレームのデータフォーマット例である。
【図3】VC3パスフレームの一フレームの具体的な構成例である。
【図4】リング状の光伝送ネットワークの構成図である。
【図5】実施例1のノードの機能ブロック図である。
【図6】実施例1のノードの信号処理のタイミングチャート図である。
【図7】パフォーマンステーブルで管理される集計結果情報である。
【図8】リング状の光伝送ネットワークにおける通信回線障害の発生箇所と通信回線障害を自律的に通知するノードとの関係図である。
【図9】変形例のノードの機能ブロック図である。
【図10】変形例のノードの信号処理のタイミングチャート図である。
【図11】実施例2の伝送装置の機能ブロック図である。
【図12】実施例2の伝送装置の信号処理のタイミングチャート図である。
【図13】ポイント・トゥ・ポイント接続の通信路の通信回線障害の発生箇所と通信回線障害を自律的に通知する伝送装置との関係図である。
【図14】副信号フレームのフォーマット例である。
【図15】WDM装置の機能ブロック図である。
【図16】実施例3のWDM装置の信号処理のタイミングチャート図である。
【符号の説明】
【0162】
1 通信回線障害通知処理部
10 エラー検出部
11 エラー既検出判定部
12 初回エラー発見処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中継装置と、該複数の中継装置を跨って伝送するデータの通信路の回線品質を監視する通信回線監視装置とを備える通信回線監視システムであって、
前記各々の中継装置は、
受信データのエラーを検出するエラー検出手段と、
前記受信データにエラー既検出情報が付与されているか否かにより前記受信データが既に他の中継装置でエラー検出されたものであるか否かを判定するエラー既検出判定手段と、
前記受信データにエラーを検出し且つ前記受信データが他の中継装置でエラー未検出であった場合にのみ、前記回線に異常があったものとしてエラー発見情報を前記通信回線監視装置に通知し且つ下流側の中継装置へ送出するデータにエラー既検出情報を付与する初回エラー発見処理手段と、
を有することを特徴とする通信回線監視システム。
【請求項2】
前記エラー検出手段は、
前記受信データに予め含まれているパリティ演算結果情報と前記受信データに行ったパリティ演算の演算結果情報とを比較することにより前記受信データのエラーを検出し、
前記初回エラー発見処理手段は、
下流側の中継装置へ送出するデータにエラー既検出情報を付与する場合に、該エラー既検出情報が前記エラーの検出結果に影響を与えない配置で付与する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信回線監視システム。
【請求項3】
主データが伝送する主信号回線と副データが伝送する副信号回線とが設定された複数の中継装置と、該複数の中継装置を跨って伝送する前記主データの通信路の回線品質を監視する通信回線監視装置とを備える通信回線監視システムであって、
各中継装置は、
前記主信号回線から受信した主データのエラーを検出するエラー検出手段と、
前記副信号回線から受信した副データにエラー既検出情報が付与されているか否かにより前記主データが既に他の中継装置でエラー検出されたものであるか否かを判定するエラー既検出判定手段と、
前記主データにエラーを検出し且つ前記主データが他の中継装置でエラー未検出であった場合にのみ、前記主信号回線に障害があったものとしてエラー発見情報を前記通信回線監視装置に通知し且つ下流側の中継装置へ送出する前記副データにエラー既検出情報を付与する初回エラー発見処理手段と、
を有することを特徴とする通信回線監視システム。
【請求項4】
受信データを検査して、該受信データにエラーが有った場合に通信回線監視装置へ回線障害を通知する中継装置であって、
前記受信データのエラーを検出するエラー検出手段と、
前記受信データにエラー既検出情報が付与されているか否かにより前記受信データが既に他の中継装置でエラー検出されたものであるか否かを判定するエラー既検出判定手段と、
前記受信データにエラーを検出し且つ前記受信データが他の中継装置でエラー未検出であった場合にのみ、前記回線に障害があったものとしてエラー発見情報を前記通信回線監視装置に通知し且つ下流側の中継装置へ送出するデータにエラー既検出情報を付与する初回エラー発見処理手段と、
を有することを特徴とする中継装置。
【請求項5】
複数の中継装置と、該複数の中継装置を跨って伝送するデータの通信路の回線品質を監視する通信回線監視装置とを備える通信回線監視システムにおける通信回線監視方法であって、
前記中継装置で受信したデータのエラーの有無を検査し、
前記受信データにエラーを発見した場合に、前記通信回線に異常があったものとしてエラー発見情報を前記通信回線監視装置に通知し、
前記エラーが前記中継装置の下流の中継装置で再び発見された場合は、該下流の中継装置から前記通信回線監視装置への前記エラー発見情報の通知を抑圧する、
ことを特徴とする通信回線監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図3】
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【図6】
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【図10】
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【図12】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−243524(P2007−243524A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−62262(P2006−62262)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】