説明

通信機器端末の待機電力削減方法

【課題】 FAXに代表される通信機器端末装置では、使用している時間に比べ、着信待機している時間がはるかに長い。一方、この通信機器端末装置は、着信待機中においても、着信信号により装置をただちに駆動させることを可能にするため、電源回路において待機電力を消費している。着信信号が到達して初めて電源回路を駆動させることにより、待機電力を節減でき、地球環境を保全することに繋がることとなる。
【解決手段】 着信時に通信ネットワーク側から到達する呼出信号の電力エネルギーを利用して、呼出信号検出機能を起動させる。その動作により、閉回路を形成すると共に、呼出信号が無くなっても、閉回路の保持を持続するため、閉回路自己保持機能を動作させる。そしてその閉回路形成及びその持続により、通信端末装置の電源回路を駆動し、通信端末装置を動作させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通信端末機器の製造において、省エネルギーの要請が強い電源回路の設計に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電源回路は、その設計を工夫して、省エネルギーを目指すものはあったが、通信着信に備えて、その検出回路に微弱電流を常時通電しておき、何時でもその装置を駆動できるようにしていた。しかし、通信端末装置の待機電力を皆無にまでして、かつ常時着信をも可能にするものは無かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】最近の電気・電子機器は、起動要求に応じて直ちに動作させるため、何等かの待機電力がある。その待機電力を消費する回路は、個々には省電力化が工夫されているものの、国全体、世界全体としてはその数が多いことから電力エネルギーの無駄使いとなっている。一方、FAXに代表される通信機器端末では、使用している時間に比べ、着信待機している時間がはるかに長い。このエネルギーの無駄使いを駆逐するため、通信端末装置の待機電力の削減を行うことが本発明の解決しようとする課題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】この通信端末装置の待機電力を削減するために、待機時は装置に電力を通電せず、電話着信信号が到達したときに、その着信信号の電力エネルギーを利用して電源起動回路を起動し、続いて通信端末装置の電源回路を初めて駆動して、通信端末装置に対し電力を供給する方法を用いる。
【0005】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態を実施例にもとづき図面を参照して説明する。図1において、電話回線より着信端末呼出信号が到達すると、その着信表示ベル等駆動電力(日本の規格では75V、16Hzの交流、端末インピーダンス2kΩ以上が標準)を利用して呼出信号検出機能を動作させ、閉回路形成機能を駆動させる。
【0006】この呼出信号検出機能と閉回路形成機能は自己駆動電力を無電力としているため、通信端末装置が駆動してネットワーク側へ応答信号を返すと、呼出信号が無くなり電源供給のための閉回路を維持できなくなる。そこで、その閉回路を維持するための機能として、一旦閉回路を形成すれば閉回路自己保持を行う閉回路自己保持機能を設け、呼出信号が無くなっても引き続き通信端末装置へ電源を供給できる機能を付加する。これにより、待機電力を皆無にし、着信があって初めて電力を消費する方法の実現が可能になる。
【0007】図2は呼出信号検出機能と閉回路形成機能を電磁リレーA、閉回路自己保持機能を電磁リレーBを用いて実現した例である。着信端末呼出信号が到達すると、それを整流器により電流の流れを一定方向とし、電磁リレーAを駆動する。電流の流れが一定であるため、電磁リレーAの電磁力は一定方向に働く。その電磁リレーAの電磁力により、閉回路形成機能の役割としての電磁接点が閉じる。
【0008】その電磁接点が閉じることにより、閉回路自己保持機能を司る電磁リレーBに電源が供給される。その電磁リレーBは自らの電磁接点の動作により、自らの閉回路を自己保持する。これにより、呼出信号が無くなり電磁リレーAが復旧しても、電磁リレーBは動作を保持する。
【0009】電磁リレーBの動作及び保持により、通信端末装置へ電源が供給され、通信端末装置が受信可能となる。この後は通信端末装置の通常の動作手順に従う。
【0010】閉回路自己保持機能の復旧は、その駆動電源閉回路を解放すればよく、これは通常用いられる技術なので省略する。
【発明の効果】個々の機器の待機消費電力の節減は微々たるものであるが、それが長期間にわたり累計された節減電力消費量はかなりのものとなり、省エネルギー政策に貢献する。更に、本発明が世界の数多くの通信端末に適用されるとすれば、地球規模の省エネルギー効果は莫大なものとなり、地球環境保全への貢献の一つとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】待機電力削減機能のブロック構成図である。
【図2】待機電力削減機能を実現するために電磁リレーを使用した例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 通信端末の着信待機時においては、通信端末装置の待機電力消費を皆無とし、着信時に電話着信信号の電力により検出回路を動作させ、その検出回路の動作により、電源回路を駆動させて通信端末装置へ電力を供給し、常時待機電力を通電させることなく、通信端末装置の動作時のみに電力消費を行い、無駄な使用電力を削減する方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2000−49983(P2000−49983A)
【公開日】平成12年2月18日(2000.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−249053
【出願日】平成10年7月30日(1998.7.30)
【出願人】(598120285)
【Fターム(参考)】