説明

通信端末、及び、経路判定プログラム

【課題】ユーザが定常的に利用する特定経路を自動的に判定することが可能な通信端末、及び、経路判定プログラムを提供する。
【解決手段】シチュエーション推定部16により推定されたユーザのシチュエーションが通勤中の時に、経路判定部17は、位置情報取得部12により取得され、位置情報記録機能151により記録された位置情報の履歴に基づいて、エリア記録機能171により通勤エリアの集合を記録し、通勤エリアの集合をユーザの通勤経路として判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの通勤経路を判定する通信端末、及び、経路判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの通勤経路を判定する技術としては、インターネット上の乗換案内サイトにおける乗換検索、経路検索等が存在する。また、従業員の通勤経路の始点となる自宅の住所、及び通勤経路の終点となる勤務先の所在地の夫々についての位置情報から、交通費が最低額となる通勤経路及び最寄駅を特定する技術も存在する(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このような技術を用いる場合、ユーザは駅名や自宅の住所等をコンピュータに入力する必要があり、手間がかかる。
【0003】
ユーザの入力の手間を省くためには、コンピュータでユーザの通勤経路を自動的に収集する必要がある。例えば、特許文献2、3には、ユーザの移動経路や、自動車の走行履歴を収集することが記載されている。
【特許文献1】特開2006−99674号公報
【特許文献2】特開2007−148675号公報
【特許文献3】特開2005−49114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2、3に記載の技術を用いたとしても、ユーザの移動経路や自動車の走行経路を収集することはできるが、それが通勤経路かどうかを判断することができない。
本発明は上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、ユーザが定常的に利用する特定経路を自動的に判定することが可能な通信端末、及び、経路判定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の通信端末は、ユーザの1日のライフサイクルを表すライフサイクル情報と前記ユーザが目的に応じて滞在する場所を表すエリアとに依存する前記ユーザの状況を示すシチュエーションの遷移順を定義したライフスタイルモデルに基づいて前記ユーザのシチュエーションを推定するシチュエーション推定手段と、前記ユーザの位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記シチュエーション推定手段により推定された前記ユーザのシチュエーションが特定のシチュエーションに該当する時に前記位置情報取得手段により取得された位置情報を記録する位置情報記録手段と、前記位置情報記録手段により記録された位置情報の履歴に基づいて、前記ユーザが定常的に利用する特定経路を判定する経路判定手段とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、通信端末は、ユーザのシチュエーションが特定のシチュエーションに該当する時に記録された位置情報の履歴に基づいてユーザが定常的に利用する特定経路を判定するため、ユーザが特定経路を判定させるための情報を入力しなくても、ユーザが定常的に利用する特定経路を自動的に判定することが可能となる。
【0006】
請求項2に記載の通信端末は、請求項1において、前記位置情報記録手段により記録された複数の位置情報について、各々隣接する位置情報を結んだ直線を直径とする円内の領域である特定エリアの集合を記録するエリア記録手段をさらに備え、前記経路判定手段は、前記エリア記録手段により記録された特定エリアの集合を前記ユーザの前記特定経路と判定することを特徴とする。
本発明によれば、ユーザのシチュエーションが特定のシチュエーションに該当すると判定された時の位置情報を記録し、各々隣接する位置情報を結んだ直線を直径とする円内の領域である特定エリアの集合を記録することで、特定エリアの集合をユーザの特定経路として自動的に判定することができる。
【0007】
請求項3に記載の通信端末は、請求項2において、前記エリア記録手段は、前記特定エリアの半径の平均値が予め定められた閾値以下になるまで、前記記録を繰り返すことを特徴とする。
本発明によれば、特定エリアの半径の平均値が予め定められた閾値以下になるまで、特定エリアの記録を繰り返すことで、正確な特定経路を判定することができる。
請求項4に記載の通信端末は、請求項2又は3において、前記特定のシチュエーションは通勤中であり、前記特定経路は通勤経路であり、前記特定エリアは通勤エリアであることを特徴とする。
本発明によれば、ユーザの通勤経路を自動的に判定することができる。
【0008】
請求項5に記載の通信端末は、請求項4において、ユーザが通勤時に利用する駅のうち自宅から最も近い最寄駅のエリアを判定する最寄駅判定手段をさらに備え、前記最寄駅判定手段は、前記エリア記録手段により記録された通勤エリアの中で、隣接する通勤エリアに対する面積の変化率が予め定められた率を超えている通勤エリアのうち、前記ユーザの居住場所を示すホームエリアに最も近い通勤エリアを最寄駅のエリアと判定することを特徴とする。
本発明によれば、ユーザの通勤経路に加えて最寄駅も自動的に判定することが可能となる。
【0009】
請求項6に記載の通信端末は、請求項5において、アラートを出力するアラート出力手段をさらに備え、前記アラート出力手段は、前記ユーザの位置情報が、前記最寄駅判定手段により判定された最寄駅のエリアに対して予め定められた距離以内に接近したと判定した場合と、通勤エリア外に移動したと判定した場合との少なくとも一方の場合に、アラートを出力することを特徴とする。
本発明によれば、アラート出力手段は、ユーザが、最寄駅のエリアに対して予め定められた距離以内に接近したと判定した場合と、通勤エリア外に移動したと判定した場合との少なくとも一方の場合に、アラートを出力するため、ユーザは帰宅時に降りるべき最寄駅を乗り過ごすことを防ぐことができる。
【0010】
請求項7に記載の通信端末は、請求項4から6の何れか1項において、前記シチュエーション推定手段は、前記ユーザが通勤中の時のシチュエーションを出勤中と帰宅中とに分けて判定し、前記経路判定手段は、前記ユーザのシチュエーションが出勤中の時の位置情報の履歴に基づいて出勤経路を、前記ユーザのシチュエーションが帰宅中の時の位置情報の履歴に基づいて帰宅経路を、それぞれ判定することを特徴とする。
本発明によれば、出勤経路と帰宅経路とが異なるユーザに対応することができる。
【0011】
請求項8に記載の経路判定プログラムは、コンピュータを、ユーザの1日のライフサイクルを表すライフサイクル情報と前記ユーザが目的に応じて滞在する場所を表すエリアとに依存する前記ユーザの状況を示すシチュエーションの遷移順を定義したライフスタイルモデルに基づいて前記ユーザのシチュエーションを推定するシチュエーション推定手段と、前記ユーザの位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記シチュエーション推定手段により推定された前記ユーザのシチュエーションが特定のシチュエーションに該当する時に前記位置情報取得手段により取得された位置情報を記録する位置情報記録手段と、前記位置情報記録手段により記録された位置情報の履歴に基づいて、前記ユーザが定常的に利用する特定経路を判定する経路判定手段として機能させる。
本発明によれば、経路判定プログラムをコンピュータに記憶させて実行することで、ユーザの通勤経路を自動的に判定することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、通信端末は、ユーザのシチュエーションが特定のシチュエーションに該当する時に記録された位置情報の履歴に基づいてユーザが定常的に利用する特定経路を判定するため、ユーザが特定経路を判定させるための情報を入力しなくても、ユーザが定常的に利用する特定経路を自動的に判定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、他の図と同等部分は同一符号によって示されている。
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る通信システムの全体構成を示す図である。同図に示すように、通信システムは、ユーザが携帯する、折りたたみ式の移動通信端末100と、移動通信端末100にダウンロードするためのアプリケーションプログラムを管理するサーバ200と、GPS(Global Positioning System)による衛星ID及び時刻を含むGPS信号を送信する測位装置300と、を含んで構成される。
【0014】
(移動通信端末のハードウェア構成)
図2は、移動通信端末100のハードウェア構成を示すブロック図である。同図に示すように、移動通信端末100は、全体を制御するCPU101と、プログラムやデータ等のソフトウェアを記憶する記憶装置102と、無線通信を行うための通信インターフェース103と、各種画面を表示する表示装置104と、キーの押下、端末の開閉等の操作に応じた入力信号を出力する入力装置105と、音声や効果音等の音を出力する音出力装置106と、ユーザの声を入力するマイクロホン等の声入力装置107と、日時を計時する内部時計108と、測位装置300からGPS信号を受信するためのGPS受信機109と、を備えている。
記憶装置102は、ROM121と、RAM122と、不揮発性メモリ123とを備えている。ROM121には、オペレーティングシステム、Java(登録商標)仕様に準拠したアプリケーションプログラムを実行するためのソフトウェア等が記憶されている。また、RAM122には、各種プログラムやデータが一時的に記憶される。
【0015】
不揮発性メモリ123には、アプリ保存領域123aとスクラッチパッド123bとが設けられている。アプリ保存領域123aには、サーバ200からダウンロードされたアプリケーションプログラムが記憶される。なお、ダウンロードに限らず、当該アプリケーションプログラムを移動通信端末100の製造時からアプリ保存領域123aに記憶させておくことも可能である。スクラッチパッド123bには、サーバ200からダウンロードされたデータや、アプリケーションプログラムを起動することにより、又は、アプリケーションプログラムを実行することによって作成されたデータが記憶される。本実施形態では、スクラッチパッド123bには、曜日を判定するためのカレンダーデータ、音出力装置106からアラートを出力するための音データ、表示装置104に表示するための画像データ、ユーザの履歴ログ、測位した位置情報等が記憶される。なお、移動通信端末100は、データを記憶するためのメモリとして、スクラッチパッド123b以外の外部記憶装置を備えていてもよい。
【0016】
(移動通信端末の機能構成)
次に、図3を参照して、移動通信端末100の機能構成について説明する。なお、同図に示す機能構成は、移動通信端末100のCPU101がROM121やアプリ保存領域123a等に記憶されたプログラムに従って処理を実行することにより、或いは、RAM122やスクラッチパッド123b等の記録媒体により、実現される。
【0017】
(エリア定義部)
エリア定義部11は、ユーザが目的に応じて滞在するエリアを定義する。本実施形態で定義されるエリアには、ホームエリア(以下「HA」という)、仮ホームエリア(以下、「仮HA」という)、ワークエリア(以下「WA」という)、仮ワークエリア(以下、「仮WA」という)、「お気に入りエリア」、及び「特定エリア」が存在する。ここで、「HA」とは、自宅、実家等のユーザの主たる居住場所である。「仮HA」とは、友人宅、ホテル等の、ユーザが旅行、出張等で稀に就寝する場所である。「WA」とは、ユーザの主な勤務場所である。「仮WA」とは、客先、イベント会場等の、ユーザが営業、打合せ等で稀に勤務する場所である。「お気に入りエリア」とは、ユーザのお気に入りの場所として設定されるエリアである。「特定エリア」とは、コンテンツプロバイダが当該エリアでユーザにサービスを提供するために設定されるエリアである。
エリア定義部11は、入力装置105からのユーザによる入力に基づいてエリア名を定義する。エリア定義部11は、入力されたエリア名を、移動通信端末100の位置情報と対応付けて、スクラッチパッド123bに記憶する。
【0018】
(位置情報取得部)
位置情報取得部12は、ユーザが携帯する移動通信端末100の位置情報をユーザの位置情報として取得する。本実施形態では、位置情報取得部12は、移動通信端末100に搭載されているGPS受信機109により所定の周期毎に測位装置300から受信されるGPS信号に基づいて、移動通信端末100の位置情報を算出する。GPS信号を受信する所定の周期は、ユーザが滞在しているエリアに応じて変化する。例えば、ユーザがHAに滞在している場合には30分周期であり、ユーザがWAに滞在している場合には15分周期となる。なお、位置情報の取得方法はGPS測位に限らず、例えば、移動通信端末100が在圏する基地局の位置情報をユーザの位置情報とみなしてもよいし、ジャイロにより計測してもよい。移動通信端末100が在圏する基地局の位置情報をユーザの位置情報とみなす場合には、測位装置300は端末位置測位の補助となる位置情報を提供する。
【0019】
(時刻情報取得部)
時刻情報取得部13は、移動通信端末100が備える内部時計108から現在時刻を表す時刻情報を取得する。なお、時刻情報の取得方法はこれに限定されることはなく、例えば、外部のサーバ装置から時刻情報を取得することも可能である。
(モデル定義部)
モデル定義部14は、ユーザのライフスタイルモデルを定義し、当該定義したライフスタイルモデルをスクラッチパッド123bに記憶する。ここで、「ライフスタイルモデル」とは、ユーザの1日のライフサイクルを表すライフサイクル情報と、ユーザが滞在するエリアとに依存するユーザのシチュエーションの遷移順を定義したモデルである。
【0020】
また、「ライフサイクル情報」とは、ユーザの起床時刻、就寝時刻、始業時刻、終業時刻、起床時間帯、就寝時間帯等の、ユーザ毎に異なる1日のライフサイクルを表す情報をいう。モデル定義部14は、ユーザにより入力された、起床時刻、就寝時刻、始業時刻、終業時刻等の時刻を表すユーザ設定時刻情報と、「起床時間帯」、「就寝時間帯」、「起床時刻」、「就寝時刻」、「始業時刻」、「就業時刻」等のライフサイクルの分類項目と、を対応付けることにより、ライフサイクル情報を定義する。
【0021】
また、「シチュエーション」とは、ユーザのおかれている状況や状態を表す。本実施形態では、シチュエーションは、主にポイントシチュエーション(PS)と、ラインシチュエーション(LS)と、スペシャルシチュエーション(SS)と、に分類できる。
「ポイントシチュエーション(PS)」とは、ユーザのライフサイクル情報とユーザが居るエリアとに基づいて推定される、行動の起点となるシチュエーションである。ポイントシチュエーションには、起床、出勤開始、仕事開始、仕事終了、帰宅、就寝、外出等が存在する。ポイントシチュエーションは、関連するラインシチュエーションに自動的に遷移する。
【0022】
「ラインシチュエーション(LS)」とは、2つのポイントシチュエーション同士を結ぶシチュエーションであり、身支度中、出勤中、仕事中、残業中、帰宅中、在宅中、就寝中、外出中等が存在する。
「スペシャルシチュエーション(SS)」とは、ポイントシチュエーション及びラインシチュエーションの何れでもないシチュエーションであり、本実施形態では「迷子中」と呼ばれるシチュエーションが存在する。初回起動時や初めての位置情報取得前等の、現在のユーザのシチュエーションが不明な時のシチュエーションである。
【0023】
図4には、ライフスタイルモデルの一例を示す。同図では、「就寝中」、「外出中」、「起床」、「身支度中」等のシチュエーションが、「就寝時刻前」、「就業時刻前」等のライフサイクル情報、及び、「HA」、「WA」、「EX」等のエリアに応じて遷移する様子が概念的に示されている。なお、図中の「EX」とは、定義されているエリア以外の未定義のエリア(except area)のことである。
図5には、図4に示すライフスタイルモデルをテーブル形式で表現した場合の一例を示す。同図に示すテーブルでは、ユーザの遷移前のシチュエーションと、エリア(HA、仮HA、WA、仮WA、EX)と、ライフサイクル情報(起床時間帯、始業時刻、就業時刻等)と、現在のシチュエーションと、が対応付けられている。
【0024】
図6には、平日における一般的なシチュエーションの遷移パターンの例を示す。同図に示すように、平日におけるユーザのシチュエーションは、HAにおいて「起床」、「身支度中」と遷移し、ユーザがHAからEXに移動するとシチュエーションはさらに「出勤開始」、「出勤中」へと遷移し、ユーザがEXからWAに移動するとシチュエーションはさらに「仕事開始」、「仕事中」、「残業開始」、「残業中」へと遷移し、ユーザがWAからEXに移動するとシチュエーションはさらに「仕事終了」、「帰宅中」へと遷移し、ユーザがEXからHAに移動するとシチュエーションはさらに「帰宅」、「在宅中」、「就寝」、「就寝中」へと遷移する。
【0025】
図7には、休日における一般的なシチュエーションの遷移パターンの例を示す。同図に示すように、休日におけるユーザのシチュエーションは、HAにおいて「起床」、「在宅中」と遷移し、ユーザがHAからEXに移動するとシチュエーションはさらに「外出」、「外出中」へと遷移し、ユーザがEXからHAに移動するとシチュエーションはさらに「帰宅」、「在宅中」、「就寝」、「就寝中」へと遷移する。このように、一般的に平日と休日とでシチュエーションの遷移パターンが異なるため、モデル定義部14は、平日用と休日用との2種類のライフスタイルモデルを定義し、平休日区分と対応付けて記憶しておく。
【0026】
(ユーザ履歴ログ記憶部)
ユーザ履歴ログ記憶部15は、ユーザの行動の履歴を表すユーザ履歴ログをスクラッチパッド123bに記憶する。図8には、ユーザ履歴ログのデータ構成の一例を示す。同図に示すように、ユーザ履歴ログには、日時、平日・休日区分、位置情報、エリアの種類、シチュエーション、推定起床時刻・推定就寝時刻、表示したセリフID、質問に対する回答、及び、端末開閉時刻・キー操作時刻等の端末操作ログが含まれる。これらのユーザ履歴ログは、例えば、セリフを表示する画像が表示装置104に表示された時、ユーザが質問に答えた時、GPSによる位置測位が行われた時、ユーザが移動通信端末100の操作を行った時等に記憶される。
【0027】
このユーザ履歴ログ記憶部15は、位置情報記録機能151を含む。位置情報記録機能151は、位置情報取得部12により取得された位置情報と、当該位置情報が取得された時に推定されたユーザのシチュエーションとを対応付けて記録する。シチュエーション「出勤中」又は「帰宅中」に対応付けて記録された位置情報は、ユーザの出勤経路又は帰宅経路を推定するために用いられる。
【0028】
(シチュエーション推定部)
シチュエーション推定部16は、モデル定義部14により定義されたライフスタイルモデルと、位置情報取得部12により取得された位置情報と、時刻情報取得部13により取得された時刻情報と、ユーザの遷移前のシチュエーションとに基づいて、ユーザの現在のシチュエーションを推定する。
具体的には、シチュエーション推定部16は、ライフサイクル情報に基づいて、時刻情報取得部13により取得された時刻情報で表される現在時刻がユーザのライフサイクルのどの分類項目(起床時間帯、始業時刻、就業時刻等)に該当するかを判定する。また、シチュエーション推定部16は、位置情報取得部12により取得された位置情報に対応するエリアを判定する。さらに、シチュエーション推定部16は、ユーザ履歴ログから、直近のシチュエーション、つまり遷移前のシチュエーションを取得する。そして、シチュエーション推定部16は、判定したライフサイクルの分類項目と、判定したエリアと、取得した遷移前のシチュエーションと、に対応する現在のシチュエーションをライフスタイルモデルから取得し、当該取得した現在のシチュエーションをユーザの現在のシチュエーションと推定する。当該推定されたシチュエーションはユーザ履歴ログに記憶され、次のシチュエーション推定のために使用される。
【0029】
(経路判定部)
経路判定部17は、ユーザのシチュエーションが通勤中(「出勤中」又は「帰宅中」)の時に、位置情報取得部12により定期的に取得され、位置情報記録機能151により記録された位置情報の履歴に基づいて、ユーザの通勤経路を判定する。なお、本実施形態では、シチュエーションは「出勤中」と「帰宅中」とに分けて定義されているため、経路判定部17は、通勤経路を、出勤経路と帰宅経路とに分けて判定することが可能である。
【0030】
具体的には、経路判定部17はエリア記録機能171を備えており、エリア記録機能171により記録された通勤エリアの集合を通勤経路と判定する。このエリア記録機能171は、位置情報記録機能151により「出勤中」(又は「帰宅中」)のシチュエーションに対応付けられて記録された複数の位置情報について、各々隣接する位置情報を結んだ直線を直径とする円内の領域である通勤エリアの集合を記録する。好ましくは、エリア記録機能171は、この記録の作業を、通勤エリアの半径の平均値(或いは、最大値、最小値)が予め定められた閾値以下になるまで繰り返す。
【0031】
例えば、図9には、ある日、ユーザのシチュエーションが「出勤中」の時に位置情報記録機能151により記録された位置情報がP11、P12、P13、P14である場合の例を示す。この場合、エリア記録機能171は、位置的(或いは時間的に)隣接する位置情報P11と位置情報P12とを結んだ直線R11を直径とする円内の領域を1日目の通勤エリア1として記録し、同様に位置情報P12と位置情報P13とを結んだ直線R12を直径とする円内の領域を1日目の通勤エリア2として記録し、位置情報P13と位置情報P14とを結んだ直線R13を直径とする円内の領域を1日目の通勤エリア3として記録する。
【0032】
図10には、2日目に、ユーザのシチュエーションが「出勤中」の時に、1日目の通勤エリア1、2、3内で位置情報取得部12により取得されて、位置情報記録機能151により記録された位置情報が、P21、P22である場合の例を示す。この場合、エリア記録機能171は、位置情報P11と位置情報P21とを結んだ直線R21を直径とする円内の領域を2日目の通勤エリア1として記録し、位置情報P21と位置情報P12とを結んだ直線R22を直径とする円内の領域を2日目の通勤エリア2として記録し、位置情報P12と位置情報P22とを結んだ直線R23を直径とする円内の領域を2日目の通勤エリア3として記録し、位置情報P22と位置情報P13とを結んだ直線R24を直径とする円内の領域を2日目の通勤エリア4として記録し、位置情報P13と位置情報P14とを結んだ直線R25を直径とする円内の領域を2日目の通勤エリア5として記録する。
【0033】
エリア記録機能171は、この通勤エリアの記録の作業を、複数の通勤エリアの半径の平均値が予め定められた閾値以下になるまで日々繰り返す。なお、通勤エリアの直径の平均値が予め定められた閾値以下になった後であっても、この記録の作業を繰り返せば、通勤エリアの面積がより小さくなるため、より正確な通勤経路を判定することが可能となる。
【0034】
図11には、エリア記録機能171により記録及び管理されるエリア管理テーブルの具体的なデータ例を示す。同図に示すように、このエリア管理テーブルは、「通勤中」又は「帰宅中」を示す「シチュエーション」と、ユーザのシチュエーションが「通勤中」又は「帰宅中」の時の通勤経路を構成する通勤エリアを識別するための「エリア番号」と、通勤エリアの中心座標を示す「中心座標(緯度、経度)」と、通勤エリアの半径を示す「エリア半径」と、通勤エリアの直径の端点となる「位置情報(緯度、経度)」と、位置情報を取得した「取得日時」と、当該通勤エリアからユーザの自宅の最寄駅までの所要時間を示す「最寄駅エリアまでの所要時間」とで構成される。
【0035】
各通勤エリアの直径の端点となる2つの「位置情報(緯度、経度)」は、シチュエーション推定部16により推定されたユーザのシチュエーションが「通勤中」又は「帰宅中」の時に測定された位置情報のうち、隣接する位置情報である。「中心座標」は、前記隣接する位置情報を結んだ直線の中心座標である。「エリア半径」は、前記隣接する位置情報を結んだ直線の半分の長さである。
【0036】
(最寄駅判定部)
最寄駅判定部18は、ユーザが通勤時に利用する駅のうち、ユーザの自宅から最も近い最寄駅エリアを判定する。具体的には、最寄駅判定部18は、エリア記録機能171により記録された通勤エリアの中で、隣接する通勤エリアに対する面積の変化率が予め定められた率を超えている通勤エリアのうち、ユーザのHAに最も近い通勤エリアを最寄駅エリアと判定する。例えば、図12に示すような通勤エリア1,2,3,4が記録されている場合、通勤エリア2に対して通勤エリア3の面積の変化率が比較的大きいため、最寄駅判定部18は、通勤エリア3を最寄駅エリアと判定する。
なお、ユーザのHAに最も近い通勤エリアを選択する代わりに、ユーザのWAに最も近い通勤エリアを選択することで、ユーザの勤務地の最寄駅を判定することも可能である。
【0037】
(アラート出力部)
アラート出力部19は、ユーザが勤務地から帰宅する際の電車の乗り過ごしを防止するために、音出力装置106からアラートを出力する。
具体的には、アラート出力部19は、位置情報取得部12により取得されたユーザの位置情報が通勤エリア外に移動したと判定した場合、ユーザが最寄駅で電車を降りずに乗り過ごしたと考えられるため、アラートを出力する。
また、アラート出力部19は、ユーザが、最寄駅エリアに対して予め定められた距離(例えば、50m)内に接近したと判定した場合に、アラートを出力する。ここで、ユーザが予め定められた距離内に接近したと判定する方法としては、位置情報取得部12で取得される位置情報と最寄駅エリアの中心点との距離を逐次算出する方法が考えられる。或いは、位置情報の取得周期が長すぎて正確な距離を算出できない場合には、図11に示す各通勤エリアに対応する「最寄駅エリアまでの所要時間」に、各通勤エリアから最寄駅エリアまでの電車による所要時間を算出・記録しておき、当該所要時間の残り時間を計測することにより判定することができる。
【0038】
(経路判定プログラム)
上述したように、ROM121に記憶されているプログラム及びアプリ保存領域123aに記憶されているアプリケーションプログラムには、経路判定プログラムが含まれ、当該経路判定プログラムは、移動通信端末(「コンピュータ」に対応)100を、ユーザの1日のライフサイクルを表すライフサイクル情報とユーザが目的に応じて滞在する場所を表すエリアとに依存するユーザのシチュエーションの遷移順を定義したライフスタイルモデルに基づいてユーザのシチュエーションを推定するシチュエーション推定部16と、シチュエーション推定部16によりユーザのシチュエーションが通勤中と判定された時の位置情報を逐次取得する位置情報取得部12と、位置情報取得部12により取得された位置情報を記録する位置情報記録機能151と、位置情報記録機能151により記録された位置情報の履歴に基づいて、ユーザの通勤経路を判定する経路判定部17として機能させるためのプログラムである。
【0039】
(通勤経路判定処理)
次に、図13に示すフローチャートを参照して、移動通信端末100が実行する通勤経路判定処理の手順について説明する。ここでは、通勤経路のうち、出勤経路の判定処理の手順について説明する。
まず、移動通信端末100のシチュエーション推定部16は、ユーザのシチュエーションを推定する(ステップS1)。具体的には、シチュエーション推定部16は、ユーザ履歴ログ記憶部15に記憶されている直近のユーザ履歴ログからユーザの遷移前のシチュエーションを取得する。そして、シチュエーション推定部16は、シチュエーション遷移モデルと、位置情報取得部12により取得された位置情報と、時刻情報取得部13により取得された時刻情報と、ユーザの遷移前のシチュエーションとに基づいて、ユーザの現在のシチュエーションを推定する。
【0040】
シチュエーション推定部16によりユーザのシチュエーションが「出勤中」と推定された場合に(ステップS2:Yes)、位置情報記録機能151は、位置情報取得部12により取得された位置情報を定期的に記録する(ステップS3)。
経路判定部17のエリア記録機能171は、位置情報記録機能151により記録された、ユーザの出勤中の時の複数の位置情報について、各々隣接する位置情報を結んだ直線を直径とする通勤エリアの集合を生成し記録する(ステップS4)。
【0041】
次に、経路判定部17は、エリア記録機能171により記録された通勤エリアの半径の平均値が閾値以下であるか否かを判定する(ステップS5)。
閾値以下でない場合は(ステップS5:No)、ユーザのシチュエーションが出勤中の時の位置情報の記録と通勤エリアの記録とを継続する(ステップS1〜S4)。
一方、閾値以下となった場合は(ステップS5:Yes)、経路判定部17は、エリア記録機能171により記録された通勤エリアの集合を出勤経路と決定する(ステップS6)。
なお、帰宅経路についても、ユーザのシチュエーションが「帰宅中」の時の位置情報及び通勤エリアを記録することで、上記で説明した出勤経路と同様に判定可能である。
【0042】
以上説明したように、移動通信端末100は、ユーザのシチュエーションが通勤中と推定された時に記録された位置情報の履歴に基づいて、通勤エリアを日々記録し、通勤エリアの集合をユーザの通勤経路と判定するため、ユーザが駅名や自宅の住所等を入力しなくても、ユーザの通勤経路を自動的に判定することが可能となる。また、通勤エリアの半径の平均値が予め定められた閾値以下になるまで、日々通勤エリアの記録を繰り返すことで、正確に通勤エリアを判定することができる。
【0043】
また、アラート出力部19は、ユーザが最寄駅エリアに対して予め定められた距離内に接近したと判定した場合や通勤エリア外に移動したと判定した場合に、アラートを出力するため、ユーザが帰宅時に降りるべき最寄駅を乗り過ごすことを防ぐことができる。
また、出勤経路と帰宅経路とを別々に判別することができるため、出勤経路と帰宅経路とが異なるユーザに対応することができる。
なお、上述した実施形態では、移動通信端末100が図3に示す各機能を備えているとして説明したが、これに限定されることはなく、サーバ200等の固定端末が図3に示す各機能を備えていてもよいし、複数の装置が図3に示す各機能を備えていてもよい。
また、上述した実施形態では、ユーザの通勤経路を判定するとして説明したが、通勤経路に限らず、本発明は、通学経路、配達経路、営業経路のような、ユーザが定常的に利用する特定経路の判定にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、ユーザの手間をかけずに、自動的にユーザが定常的に利用する特定経路を判定することができ、ユーザの特定経路を用いたサービスの提供に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの全体構成を示す図であるである。
【図2】同実施形態に係る移動通信端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態に係る移動通信端末の機能構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態に係るライフスタイルモデルの一例を示す図である。
【図5】図4に示すライフスタイルモデルをテーブル形式で表現した場合の一例を示す図である。
【図6】同実施形態に係る平日のシチュエーションの遷移パターンの一例を示す図である。
【図7】同実施形態に係る休日のシチュエーションの遷移パターンの一例を示す図である。
【図8】同実施形態に係るユーザ履歴ログのデータ構成の一例を示す図である。
【図9】同実施形態に係るエリア記録機能が1日目に通勤エリアを記録する例を示す図である。
【図10】同実施形態に係るエリア記録機能が2日目に通勤エリアを記録する例を示す図である。
【図11】同実施形態に係るエリア記録機能により記録及び管理されるエリア管理テーブルの具体的なデータ例を示す図である。
【図12】同実施形態に係る最寄駅判定部により判定される最寄駅エリアの一例を示す図である。
【図13】同実施形態に係る通勤経路判定処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
100 移動通信端末
11 エリア定義部
12 位置情報取得部
13 時刻情報取得部
14 モデル定義部
15 ユーザ履歴ログ記憶部
151 位置情報記録機能
16 シチュエーション推定部
17 経路判定部
171 エリア記録機能
18 最寄駅判定部
19 アラート出力部
101 CPU
102 記憶装置
103 通信インターフェース
104 表示装置
105 入力装置
106 音出力装置
107 声入力装置
108 部時計
109 受信機
123a アプリ保存領域
123b スクラッチパッド
123 不揮発性メモリ
200 サーバ
300 測位装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの1日のライフサイクルを表すライフサイクル情報と前記ユーザが目的に応じて滞在する場所を表すエリアとに依存する前記ユーザの状況を示すシチュエーションの遷移順を定義したライフスタイルモデルに基づいて前記ユーザのシチュエーションを推定するシチュエーション推定手段と、
前記ユーザの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記シチュエーション推定手段により推定された前記ユーザのシチュエーションが特定のシチュエーションに該当する時に前記位置情報取得手段により取得された位置情報を記録する位置情報記録手段と、
前記位置情報記録手段により記録された位置情報の履歴に基づいて、前記ユーザが定常的に利用する特定経路を判定する経路判定手段と
を備えたことを特徴とする通信端末。
【請求項2】
前記位置情報記録手段により記録された複数の位置情報について、各々隣接する位置情報を結んだ直線を直径とする円内の領域である特定エリアの集合を記録するエリア記録手段をさらに備え、
前記経路判定手段は、
前記エリア記録手段により記録された特定エリアの集合を前記ユーザの前記特定経路と判定することを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記エリア記録手段は、前記特定エリアの半径の平均値が予め定められた閾値以下になるまで、前記記録を繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の通信端末。
【請求項4】
前記特定のシチュエーションは通勤中であり、前記特定経路は通勤経路であり、前記特定エリアは通勤エリアであることを特徴とする請求項2又は3に記載の通信端末。
【請求項5】
ユーザが通勤時に利用する駅のうち自宅から最も近い最寄駅のエリアを判定する最寄駅判定手段をさらに備え、
前記最寄駅判定手段は、
前記エリア記録手段により記録された通勤エリアの中で、隣接する通勤エリアに対する面積の変化率が予め定められた率を超えている通勤エリアのうち、前記ユーザの居住場所を示すホームエリアに最も近い通勤エリアを最寄駅のエリアと判定することを特徴とする請求項4に記載の通信端末。
【請求項6】
アラートを出力するアラート出力手段をさらに備え、
前記アラート出力手段は、
前記ユーザが、前記最寄駅判定手段により判定された最寄駅のエリアに対して予め定められた距離内に接近したと判定した場合と、前記通勤エリア外に移動したと判定した場合との少なくとも一方の場合に、アラートを出力することを特徴とする請求項5に記載の通信端末。
【請求項7】
前記シチュエーション推定手段は、
前記ユーザが通勤中の時のシチュエーションを出勤中と帰宅中とに分けて判定し、
前記経路判定手段は、
前記ユーザのシチュエーションが出勤中の時の位置情報の履歴に基づいて出勤経路を、前記ユーザのシチュエーションが帰宅中の時の位置情報の履歴に基づいて帰宅経路を、それぞれ判定することを特徴とする請求項4から6の何れか1項に記載の通信端末。
【請求項8】
コンピュータを、
ユーザの1日のライフサイクルを表すライフサイクル情報と前記ユーザが目的に応じて滞在する場所を表すエリアとに依存する前記ユーザの状況を示すシチュエーションの遷移順を定義したライフスタイルモデルに基づいて前記ユーザのシチュエーションを推定するシチュエーション推定手段と、
前記ユーザの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記シチュエーション推定手段により推定された前記ユーザのシチュエーションが特定のシチュエーションに該当する時に前記位置情報取得手段により取得された位置情報を記録する位置情報記録手段と、
前記位置情報記録手段により記録された位置情報の履歴に基づいて、前記ユーザが定常的に利用する特定経路を判定する経路判定手段として機能させるための経路判定プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2010−108162(P2010−108162A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278505(P2008−278505)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】