説明

通信端末装置、アクセス制御方法、ICカード

【課題】加入者認証モジュールが保有する電話帳情報に対して効率よくアクセスする。
【解決手段】加入者認証モジュール2に代表電話帳DSを定義する。電話帳の登録案件Xの登録情報を読み出すときには、携帯電話機1から代表電話帳DSのレコード1に対して登録案件Xの検索要求を行い、次に、代表電話帳DSのレコード1に対して読み出し要求を行う。加入者認証モジュール2側では、検索要求をうけて、電話帳から登録案件Xが格納されているレコードを検索し、これと代表電話帳DSのレコード1とを関連付け、これらレコードのレコードデータを一致させる。読み出し要求が通知されたときには、代表電話帳DSのレコード1からそのレコードデータを読み出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末及び、この通信端末と通信を行う外部記憶媒体を備えた通信端末装置、この通信端末装置におけるアクセス制御方法、及びICカードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話サービスのサービス提供者が発行する、USIM(Universal Subscriber Identify Module)或いは、SIM(Subscriber Identify Module)といった、着脱自在な加入者認証モジュールを、加入者側の携帯電話機に装着することにより、サービス提供者が提供する所定の携帯電話サービスを受けられるようにしたシステムが提案されている。
【0003】
加入者認証モジュールには、携帯電話サービスに関わる加入者識別番号の他、加入者自身の個人情報や、電話帳等のその他の情報が記憶されている。このため、同一の加入者認証モジュールを異なる携帯電話機に装着することにより単一のユーザが複数の携帯電話機を使用可能となる。逆に、複数のユーザが各人の加入者認証モジュールを単一の携帯電話機に装着することにより単一の携帯電話機を複数のユーザで使用することができる。
【0004】
しかしながら、加入者認証モジュールに記憶可能なメモリ領域は、携帯電話機に記憶可能なメモリ領域に比較して一般に少ない。
このため、複数の加入者認証モジュールの識別番号に対応して個別に管理することのできるメモリ領域を携帯電話機内部に設け、複数のユーザに対してより多くのメモリ領域を提供するようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、携帯電話機内部ではなくネットワーク上にメモリ領域を設けることにより、複数の携帯電話機で情報を共有するようにした技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−336719号公報
【特許文献2】特開2007−60231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように、携帯電話機内部に加入者認証モジュール毎にメモリ領域を設ける方法にあっては、以下のような問題がある。すなわち、加入者認証モジュールを構成する高いセキュリティ性能(耐タンパー性能)を有するIC(Integrated Circuit)チップと比較して、携帯電話機等に汎用で用いられるメモリ用ICチップは、セキュリティ性能が低い。このため、この携帯電話機内部のメモリ用ICチップが解析されその記憶情報が第三者に読み出される可能性がある。
【0006】
また、ネットワークを介することにより複数の携帯電話機間で情報を供給する方法にあっては、情報を共有するためには通信を行うことが必要不可欠である。このため、携帯電話機が圏外となる場所にある場合など、通信を行うことができない環境下にある場合には、この機能を活用することができない。また、通信を行うことができたとしても、通信速度によって使い勝手が異なるため、場合によっては、情報取得までに時間がかかりユーザに違和感を与える可能性がある。
【0007】
一方、近年、加入者認証モジュールを構成する、高いセキュリティ性能を有するICチップのメモリ単価は安価になってきている。このため、加入者認証モジュールに格納可能な情報量は増加してきている。
現在、規格化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project)においてまとめられた規格である、TS(Technical Specification) 11.11仕様、または31.102仕様に従えば、SIMであれば254件、USIMであれば254件を超える件数の電話帳を構成することができる。
【0008】
このような登録件数の多い電話帳の場合、電話帳へのアクセス時間がかかる。このため、携帯電話機の電源投入時に、この時点で加入者認証モジュール内に記憶している電話帳の全件のデータを携帯電話機のメモリ領域に転送して携帯電話機内で電話帳のデータを保持し、電話帳へのアクセス要求が行われたときには加入者認証モジュールに記憶されている電話帳ではなく、携帯電話機内の電話帳に対してアクセスすることにより、アクセス時間の短縮を図る方法が提案されている。
【0009】
しかしながら、このように携帯電話機の電源投入時に携帯電話機内に電話帳データを転送するようにしたとしても、電話帳への登録件数が多くなるほどそれだけ転送時間も長くなる。さらに携帯電話機と加入者認証モジュールとの間の通信速度が低いほど処理時間も長くなる可能性がある。
そこで、この発明は上記問題点に着目してなされたものであり、加入者認証モジュールが保有する電話帳情報に対して効率よくアクセスすることの可能な通信端末装置、この通信端末装置におけるアクセス制御方法、ICカードを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、所定データを有するレコードが格納されてなるデータファイル(例えば図2の電話帳D1〜DN)を備えた外部記憶媒体(例えば図1の加入者認証モジュール2)と、前記データファイルを参照する通信端末(例えば図1の携帯電話機1)と、を備えた通信端末装置であって、前記外部記憶媒体は、前記データファイルのレコードと関連付けられたレコードが格納されてなる代表ファイル(例えば図2の代表電話帳DS)と、前記通信端末からの処理要求に応じて前記データファイル又は前記代表ファイルにアクセスするアクセス手段(例えば図1の加入者認証モジュール2の制御部21)と、を備え、前記通信端末は、前記代表ファイルを指定して前記データファイルに対する処理要求を行う処理要求手段(例えば図1の携帯電話機1の制御部14及び加入者認証モジュールインタフェース部16)を備えることを特徴としている。
【0011】
この発明によれば、データファイルのデータに対する処理を、通信端末からの処理要求に応じて外部記憶媒体のアクセス手段で行い、その結果が通信端末に転送される。このため、外部記憶媒体のデータファイルのデータ全てを通信端末側に転送する必要はなく、不要なデータの転送を回避し、効率よくデータファイルへのアクセスを行うことができる。
また、前記処理要求手段は、前記データファイルのうちの読み出し対象のデータに対応する前記データファイルのレコードに関連付けられた前記代表ファイルのレコードに対してレコードデータの読み出し要求を行い、前記アクセス手段は、前記読み出し要求が行われた前記代表ファイルのレコードからそのレコードデータを読み出すことを特徴としている。
【0012】
この発明によれば、データファイルからデータを読み出すときには、読み出し対象のデータに対応するデータファイルのレコードに関連付けられた代表ファイルのレコードからそのレコードデータを読み出すため、データファイルから読み出し対象のレコードを検索する必要はなく、効率よくアクセスすることができる。
また、前記処理要求手段は、前記データファイルから読み出されたデータに該当する前記代表ファイルのレコードに対してレコードデータの消去要求を行い、前記アクセス手段は、前記消去要求が行われた前記代表ファイルのレコードと関連付けられた前記データファイルのレコードにアクセスしてこのレコードデータを消去した後、前記消去要求が行われた前記代表ファイルのレコードのレコードデータを消去することを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、読み出されたデータをデータファイルから消去するときには、消去要求が行われた代表ファイルのレコードと関連付けられたデータファイルのレコードにアクセスしてそのレコードデータを消去し、その後、消去要求が行われた代表ファイルのレコードデータを消去するから、消去対象のレコードをデータファイルから検索する必要はなく、効率よくアクセスすることができる。
【0014】
また、前記処理要求手段は、前記代表ファイルのレコードに対して前記データファイルへのデータの登録要求を行い、前記アクセス手段は、登録要求が行われたとき前記データファイルの空きレコードに、前記登録要求されたデータを格納することを特徴としている。
この発明によれば、データファイルに新規登録を行うときには、データファイルの空きレコードに登録要求されたデータを格納するため、登録要求されたデータを確実にデータファイルに格納することができる。
【0015】
さらに、本発明は、所定データを有するレコードが格納されてなるデータファイル及び前記データファイルのレコードと関連付けられたレコードが格納されてなる代表ファイルを有する外部記憶媒体と、前記データファイルを参照する通信端末と、を備えた通信端末装置におけるアクセス制御方法であって、前記通信端末において前記代表ファイルを指定して前記データファイルに対する処理要求を行う処理要求ステップ(例えば図4のステップS2、図5のステップS12、ステップS18、図6のステップS32、図7のステップS42)と、前記外部記憶媒体において前記通信端末からの処理要求に応じて前記データファイル又は前記代表ファイルにアクセスするアクセスステップ(例えば図4のステップS3a、図5のステップS13a、ステップS19a、図6のステップS33a、図7のステップS43a)と、を備えることを特徴としている。
【0016】
この発明によれば、データファイルのデータに対する処理を、通信端末からの処理要求に応じて外部記憶媒体側で行い、その結果が通信端末に転送される。このため、外部記憶媒体のデータファイルのデータ全てを通信端末側に転送する必要はなく、不要なデータの転送を回避し、効率よくデータファイルへのアクセスを行うことができる。
【0017】
さらにまた、本発明は、所定データを有するレコードが格納されてなるデータファイル(例えば図2の電話帳D1〜DN)と、前記データファイルのレコードと関連付けられたレコードが格納されてなる代表ファイル(例えば図2の代表電話帳DS)と、前記代表ファイルのレコードを指定して入力される前記データファイルに対する処理要求に応じて、前記データファイル又は前記代表ファイルにアクセスするアクセス手段(例えば図1の加入者認証モジュール2の制御部21)と、をICカードに備えたことを特徴としている。
この発明によれば、ICカードでは、入力される処理要求に応じて、データファイルに対する処理を行うから、処理要求元の装置に対して、データファイルの全データを転送する必要はなく、不要なデータの転送を回避し、効率よくデータファイルへのアクセスを行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、データファイルのデータに対する処理を、通信端末からの処理要求に応じて外部記憶媒体(ICカード)側で行うから、通信端末への、不要なデータ転送を回避し、効率よくデータファイルへのアクセスを行うことができる。また、通信端末及び外部記憶媒体(ICカード)間で転送するデータ量を削減することができるため、データ転送に伴う処理時間を短縮し、使い勝手を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(通信端末装置の構成)
図1は、本発明を適用した通信端末装置の一例を示す構成図である。この通信端末装置は、通信端末としての携帯電話機1と、この携帯電話機1に装着される着脱可能なICカード等の加入者認証モジュール2とから構成され、これら間で通信を行う。この加入者認証モジュール2は、SIMカードまたはUSIMカードといった、ISO7816準拠のICカードである。
【0020】
携帯電話機1は、図1に示すように、電波を送受信するアンテナ11と、無線部12と、表示操作部13と、制御部14と、記憶部15と、加入者認証モジュールインタフェース部16と、を備える。
無線部12は、アンテナ11を介して図示しない基地局との間で無線通信によりデータの送受信処理を行う。
表示操作部13は、ユーザのキー入力操作内容の表示や、キー操作に伴う処理結果の表示などを行う。
制御部14は、記憶部15に記憶された処理プログラムにしたがって、無線部12、表示操作部13、制御部14、加入者認証モジュールインタフェース部16の各部を制御し、表示操作部13でのユーザの入力操作に応じて、無線部12により、図示しない基地局との間で無線通信を行う。
【0021】
また、制御部14は、加入者認証モジュールインタフェース部16を介して加入者認証モジュール2との間で通信を行い、加入者認証モジュール2の後述の記憶部22に記憶された加入者識別番号を読み出し、加入者識別番号が有効なとき携帯電話サービスを提供する。また、制御部14は、表示操作部13でのユーザの表示キー入力操作に応じて、加入者認証モジュール記憶部22に記憶された加入者の個人情報や電話帳情報の読み出し、新規登録、更新、消去等を行う。
【0022】
記憶部15には、制御部14で実行する処理プログラムや、処理プログラムを実行する際に必要な情報等が記憶される。
加入者認証モジュールインタフェース部16は、加入者認証モジュール2の後述の携帯電話機インタフェース部23との間で、コマンドインタフェースにより通信を行う。
すなわち、加入者認証モジュールインタフェース部16は、制御部14から入力される処理要求に応じた処理要求コマンドを発行しこれを加入者認証モジュール2に出力する。また、加入者認証モジュールインタフェース部16には、処理要求コマンドに対する応答コマンドが加入者認証モジュール2から入力され、加入者認証モジュールインタフェース部16は入力された応答コマンドに基づき応答内容を制御部14に通知する。
【0023】
一方、加入者認証モジュール2は、制御部21と、記憶部22と、携帯電話機インタフェース部23とを備える。
制御部21は、携帯電話機インタフェース部23から入力される処理要求内容に応じて記憶部22にアクセスを行い、処理要求内容に応じた処理を実行すると共に、その処理結果を携帯電話機インタフェース部23に通知する。
記憶部22には、制御部21で実行する処理プログラムが記憶されると共に、記憶情報として電話帳情報が記憶される。また、携帯電話サービスに関わる加入者識別番号の他、加入者自身の個人情報が記憶される。
【0024】
携帯電話機インタフェース部23は、携帯電話機1の加入者認証モジュールインタフェース部16との間でコマンドインタフェースにより通信を行い、加入者認証モジュールインタフェース部16から入力される処理要求コマンドに応じた処理要求内容を制御部21に通知する。
また、携帯電話機インタフェース部23は、制御部21から入力される、この制御部21において実行された、処理要求内容で指定された処理の処理結果に基づき、加入者認証モジュールインタフェース部16からの処理要求コマンドに対する応答コマンドを発行し、これを加入者認証モジュールインタフェース部16に出力する。
【0025】
(電話帳情報のデータベースの構成例)
図2は、加入者認証モジュール2の記憶部22に格納された、電話帳情報からなるデータベースの構成例を示す図である。
この電話帳情報からなるデータベースは、複数の電話帳D1〜DNと、代表電話帳DSと、これら電話帳D1〜DN及び代表電話帳DSを管理する管理ファイルEF−PBRとから構成される。
なお、加入者認証モジュール2としてSIMを適用した場合には、単一の電話帳しか定義することはできないが、USIMを適用した場合には、複数の電話帳を定義することができる。ここでは、加入者認証モジュール2としてUSIMを適用した場合について説明するが、基本的な思想はSIMに対しても同様に適用することができる。
【0026】
電話帳D1は、EF−ADNファイル、EF−SNEファイル、EF−EMAILファイルを備える。電話帳D2〜DNも同様に構成される。
ここで、電話帳を構成する情報、例えば、氏名(見出し文字)、ふりがな、電話番号、電子メールアドレス等といった情報要素は、幾つかのファイルに分割して収録される。
規格化団体3GPPの規格3GPP TS 31.102においては、氏名及び電話番号はEF−ADNファイル、ふりがなはEF−SNEファイル、電子メールアドレスはEF−EMAILファイル、にそれぞれ格納される。
なお、ここでは、電話帳を構成する構成要素として氏名、電話番号、ふりがな、電子メールアドレスを定義し、電話帳情報のデータベースを、EF−ADNファイル、EF−SNEファイル、EF−EMAILファイルを有する構成としているがこれに限るものではない。
【0027】
前記規格3GPP TS 31.102においては、電話帳の各エントリが、会社、友達、取引先等といったグループのうち、どのグループに属しているかといった、エントリが属するグループを定義するEF−GRPファイル等、その他のファイルも定義することができる。本実施形態における電話帳情報は、そのデータベースが、上記EF−ADNファイル、EF−SNEファイル、EF−EMAILファイルを備えて構成される場合に限らず、さらに他のファイルを備えて構成される場合であっても適用することができ、また、これらファイルのうちの何れか1つ或いは2以上のファイルから構成される場合であっても適用することができる。
【0028】
代表電話帳DSは、電話帳D1〜DNと同一のファイル構成を有する。すなわち、氏名及び電話番号を格納するEF−ADNファイル、ふりがなを格納するEF−SNEファイル、電子メールアドレスを格納するEF−EMAILファイルを有する。
管理ファイルEF−PBRは、電話帳を構成する情報要素がどのようなものであるか、またこれら情報要素が格納される各ファイルにどのファイルアドレスが付与されているのか等といった電話帳の構成を規定する電話帳管理テーブル情報を有する。この管理ファイルEF−PBRでは、1つのレコードで一つの電話帳(254件まで)を定義することができる。
【0029】
図3は、代表電話帳のデータベースを構成する、電話番号に関する情報を格納するEF−ADNファイルの構成を示した図である。なお、EF−SNEファイル,EF−EMAILファイルも同様の構成を有する。
図3に示すように、EF−ADNファイルは複数のレコードから構成され、一つのレコードには1件分の電話帳情報(以後、エントリともいう。)が格納される。そして、EF−ADNファイルのレコード1を、エントリの読み出し、更新(消去)のための専用レコードと規定する。また、レコード2を、エントリの追加すなわち新規登録のための専用のレコードと規定する。
【0030】
(通信手順の例)
次に、携帯電話機1と加入者認証モジュール2との間での通信手順を、図4から図7のシーケンス図を用いて説明する。
(新規登録)
まず、携帯電話機1から加入者認証モジュール2の電話帳に対し、新規登録を行う場合の通信手順を、図4のシーケンス図を用いて説明する。
ユーザが携帯電話機1において新規登録操作を行うと、操作内容が表示操作部13を介して制御部14に通知される。制御部14では、これを受けて加入者認証モジュールインタフェース部16に対して電話帳登録要求を行う(ステップS1)。
【0031】
加入者認証モジュールインタフェース部16では、新規登録を指示するコマンドとしてUPDATEコマンドを発行し、これを加入者認証モジュール2に出力する(ステップS2)。このとき、新規登録先として代表電話帳DSのエントリ追加専用レコードであるレコード2を指定し、新規登録情報と共にUPDATEコマンドを出力する。
加入者認証モジュール2の携帯電話機インタフェース部23では、UPDATEコマンドが入力されると、登録先としてエントリ追加専用レコードである代表電話帳DSのレコード2が指定されていることから、新規登録要求がなされたと判断し、登録要求を制御部21に通知する(ステップS3)。
【0032】
制御部21では、登録要求がなされたことから登録処理を行う(ステップS3a)。すなわち、まず、新規登録先として、代表電話帳DSのレコード2が指定されているため、ここに入力した新規登録情報を一旦格納する。
続いて、制御部21では、電話帳D1〜DNを検索し、新規登録情報を格納するための空きレコードを、各ファイルについて検索する。例えば、まず電話帳D1の各ファイルについて空きレコードを検索する。空きレコードがなければ、続いて電話帳D2について検索を行い、ファイル毎に空きレコードを検索する。
【0033】
そして、検索した各ファイルの空きレコードに、代表電話帳DSのレコード2に格納された新規登録情報を記憶する。すなわち、新規登録情報として指定された、氏名(見出し文字)、電話番号は、EF−ADNファイルの空きレコードに格納し、ふりがなは、EF−SNEファイルの空きレコードに格納し、電子メールアドレスはEF−EMAILファイルの空きレコードに格納する。
これにより、空きレコードが検索された何れかの電話帳に、登録要求された新規登録情報が格納されたことになる。
【0034】
続いて、制御部21では、登録が完了したことを携帯電話機インタフェース部23に通知し(ステップS4)、続いて代表電話帳DSのレコード2を初期化する(ステップS5)。これにより、レコード2に一時記憶された新規登録情報が消去される。
そして、携帯電話機インタフェース部23では、正常終了の応答コマンドを発行しこれを携帯電話機1に出力する(ステップS6)。
携帯電話機1の加入者認証モジュールインタフェース部16では、正常終了の応答コマンドを受けたことから、登録完了を制御部14に通知する(ステップS7)。これによって、制御部14では、新規登録が正常に行われたことを認識する。
【0035】
なお、代表電話帳DSのレコード2の初期化処理は、例えば、レコードを初期化するためのデータ列、例えば、“FFh…FFh”をレコード2に更新記憶することによって初期化すればよい。また、レコードが未使用か否かを表す、未使用フラグが設けられている場合にはこの未使用を表す値に変更することで初期化してもよく、さらに、この未使用フラグの設定と、初期化するためのデータ列の更新記憶との両方を行うことによりレコード2の初期化を行うようにしてもよい。
【0036】
また、ここでは、新規登録情報を、代表電話帳DSに一時保存した後、電話帳に格納する場合について説明したが、これに限るものではない。
例えば、新規登録情報を、代表電話帳DSに格納せずに、携帯電話機インタフェース部23に設けられている、入力される新規登録の要求コマンドが一時的に格納される図示しないバッファ領域等に、新規登録情報を一時記憶したまま電話帳の空きレコードを検索し、検索した空きレコードに、バッファ領域の新規登録情報を直接書き込むようにしてもよい。この場合には、代表電話帳2に新規登録情報が記憶されていないから、ステップS5で、代表電話帳DSのレコード2を初期化する処理を行う必要はない。
【0037】
(登録情報の読み出し)
次に、電話帳から所望の登録案件の登録情報を読み出す場合の通信手順を、図5のシーケンス図を用いて説明する。
ユーザが携帯電話機1において登録案件Xの読み出し操作を行うと、操作内容が表示操作部13を介して制御部14に通知される。制御部14では、これを受けて加入者認証モジュールインタフェース部16に対し、まず読み出し対象として指定された登録案件Xの検索要求を行う(ステップS11)。
これを受けて加入者認証モジュールインタフェース部16では、検索を指示するコマンドとしてSEARCHコマンドを発行しこれを加入者認証モジュール2に出力する(ステップS12)。このとき、SEARCHコマンドと共に、検索対象の登録案件Xを指定する情報、例えば、氏名や、見出し語などを指定する検索情報も出力する。
【0038】
加入者認証モジュール2の携帯電話機インタフェース部23では、入力されたSEARCHコマンドに基づき、登録案件Xの検索要求がなされたことを制御部21に通知し(ステップS13)、制御部21では登録案件Xの検索処理を行う(ステップS13a)。すなわち、例えば電話帳D1から順に、各ファイルについて、指定された検索情報(登録案件X)に該当するレコードを検索する。
【0039】
そして、該当するレコードを検索したならば、これを代表電話帳DSのエントリ読み出し・更新(消去)専用のレコード1と関連付けると共に、これらレコードのレコードデータを一致させる(ステップS13b)。例えば、登録案件Xに該当する各ファイルのレコードのレコードデータを、代表電話帳DSの各ファイルのレコード1のレコードデータとして複写することにより、これら関連付けると共に、これらレコードのレコードデータを一致させる。
【0040】
なお、代表電話帳DSのレコード1と検索したレコードとを関連付ける方法はこれに限るものではない。例えば、代表電話帳DSのレコード1に、このレコード1が登録案件Xに該当する各ファイルのレコードと関連付けられていることを表す関連付け情報を格納し、代表電話帳DSのレコード1に関連付け情報が格納されているときには関連付け情報で特定される電話帳のレコードに対してアクセスすることによって、代表電話帳DSのレコード1と検索したレコードとを関連付けると共に、これらレコード間でレコードデータを一致させるようにしてもよい。
【0041】
続いて、制御部21は検索が終了し、検索結果を代表電話帳DSのレコード1に格納したことを携帯電話機インタフェース部23に通知する(ステップS14)。携帯電話機インタフェース部23では、検索が正常に終了したことを通知するための応答コマンドを発行し、この応答コマンドと共に、検索結果の格納先として代表電話帳DSのレコード1であることを携帯電話機1に出力する(ステップS15)。
【0042】
携帯電話機1の加入者認証モジュールインタフェース部16は、入力される応答コマンドに基づき、検索が正常終了したことを制御部14に通知する(ステップS16)。
制御部14では、検索処理が正常に行われたことを認識すると加入者認証モジュールインタフェース部16に対して読み出し要求を行う(ステップS17)。
加入者認証モジュールインタフェース部16は、読み出しを指示するためのREADコマンドを発行しこれを加入者認証モジュール2に出力する。このとき、読み出し先として、先の検索要求に対する応答コマンドで通知された代表電話帳DSのレコード1を、読み出し先として指定してREADコマンドを出力する(ステップS18)。
【0043】
加入者認証モジュール2の携帯電話機インタフェース部23は、入力されたREADコマンドに基づき、代表電話帳DSのレコード1の読み出しを要求が行われたことを制御部21に通知し(ステップS19)、制御部21は、読み出し処理を行う(ステップS19a)。すなわち、制御部21は指定された代表電話帳DSの各ファイルのレコード1からレコードデータを読み出し、これを読み出し結果として携帯電話機インタフェース部23に通知する(ステップS20)。
【0044】
携帯電話機インタフェース部23は、READコマンドに対する応答コマンドとして、代表電話帳DSのレコード1のレコードデータを携帯電話機1に出力する(ステップS21)。
携帯電話機1の加入者認証モジュールインタフェース部16は、入力される応答コマンドに基づき、読み出し結果として、代表電話帳DSのレコード1のレコードデータを制御部14に通知し(ステップS22)、制御部14では、代表電話帳DSの各ファイルのレコード1のレコードデータを獲得する。
【0045】
ここで、代表電話帳DSの各ファイルのレコード1には、ステップS13の処理で検索した、読み出し対象として指定した登録案件Xのレコードデータが格納されている。したがって、制御部14は、読み出し対象として指定した登録案件Xのレコードデータを獲得したことになる。
そして、読み出した登録案件Xの登録情報を、表示操作部13により表示部に表示することによりユーザは読み出し要求した登録案件Xの登録情報を得ることができる。
【0046】
(登録情報の更新)
次に、このようにして、読み出された登録案件Xの登録情報を更新する場合の通信手順を、図6のシーケンス図を伴って説明する。
ここで、この時点では、代表電話帳DSの各ファイルのレコード1には、登録案件Xのレコードデータが格納されている。
携帯電話機1の制御部14は、読み出された登録案件Xに対してユーザにより更新操作が行われると、加入者認証モジュールインタフェース部16に対して、読み出した登録案件Xの電話帳情報の更新要求を行う(ステップS31)。
【0047】
加入者認証モジュールインタフェース部16では、登録情報の更新を指示するためのUPDATEコマンドを発行しこれを加入者認証モジュール2に出力する。このとき、加入者認証モジュールインタフェース部16では、更新対象として、エントリ読み出し・更新(消去)専用レコードである代表電話帳DSのレコード1を指定しUPDATEコマンドを出力する(ステップS32)。
【0048】
加入者認証モジュール2の携帯電話機インタフェース部23では、UPDATEコマンドが入力されると登録情報の更新要求が行われたことを制御部21に通知し(ステップS33)、制御部21では更新処理を行う(ステップS33a)。
すなわち、制御部21では、更新対象として指定された代表電話帳DSのレコード1のレコードデータを、UPDATEコマンドで指定されたデータに更新する。また、代表電話帳DSのレコード1の更新後のレコードデータを、この代表電話帳DSのレコード1と対応付けられたレコード、すなわち登録案件Xが格納されている電話帳のレコードに複写し、電話帳の登録案件Xのレコードデータと、代表電話帳DSのレコード1のレコードデータとを一致させる。これによって、登録案件Xの電話帳情報が更新されたことになる。
【0049】
制御部21では、更新処理が正常に行われると、登録完了を携帯電話機インタフェース部23に通知し(ステップS34)、携帯電話機インタフェース部23では、UPDATEコマンドに対する応答として、正常終了を通知するための応答コマンドを発行しこれを携帯電話機1に出力する(ステップS35)。
携帯電話機1の加入者認証モジュールインタフェース部16では、入力された応答コマンドに基づき、更新処理が正常に終了したことを認識しこれを制御部14に通知する(ステップS36)。これによって、制御部14では、登録案件Xの登録情報の更新が正常に終了したことを認識する。
【0050】
(登録情報の消去)
一方、上述のようにして読み出された登録案件Xを電話帳から消去する場合には、図7のシーケンス図に示す通信手順で通信を行う。
携帯電話機1の制御部14は、読み出された登録案件Xの登録情報に対してユーザにより登録案件Xの消去操作が行われると、加入者認証モジュールインタフェース部16に対して、読み出した登録案件Xの登録情報の電話帳からの消去要求を行う(ステップS41)。
【0051】
加入者認証モジュールインタフェース部16では、登録情報の消去を指示するためのUPDATEコマンドを発行しこれを加入者認証モジュール2に出力する。このとき、加入者認証モジュールインタフェース部16では、消去対象として、エントリ読み出し・更新(消去)専用レコードである代表電話帳DSのレコード1を指定してUPDATEコマンドを発行しこれを加入者認証モジュール2に出力する。また、更新データとして、レコード1を初期化するためのデータ列(例えば、“FFh…FFh”の連続データ)を指定する(ステップS42)。
【0052】
なお、この場合も、レコード1が未使用であるか否かを表す未使用フラグが設けられている場合にはこの未使用フラグを未使用状態に変更することにより初期化するようにしてもよい。
加入者認証モジュール2の携帯電話機インタフェース部23では、UPDATEコマンドが入力されると、登録情報の更新(消去)要求が行われたことを制御部21に通知し(ステップS43)、制御部21では更新(消去)処理を行う(ステップS43a)。
【0053】
すなわち、制御部21では、UPDATEコマンドの更新データとして初期化データが設定されていることから、代表電話帳DSのレコード1からこれに関連付けられている登録案件Xの格納先のレコードを特定し、この特定したレコードのレコードデータを初期化用データに更新設定する。これにより、登録案件Xのレコードは初期化され、すなわち、登録案件Xが電話帳から消去されたことになる。
【0054】
そして、制御部21では、電話帳からの登録案件Xの消去が完了したことを、携帯電話機インタフェース部23に通知する(ステップS44)と共に、代表電話帳DSのレコード1を初期化する。すなわち、情報初期化用のデータ列(例えば、“FFh…FFh”)を記憶する。
これによって、代表電話帳DSのレコード1が初期化される。すなわち、代表電話帳DSのレコード1のレコードデータが消去され、これと共にこの代表電話帳DSのレコード1と関連付けられている電話帳のレコードとの関連付けが解除される(ステップS45)。
【0055】
携帯電話機インタフェース部23は、登録案件Xの消去完了が通知されたことから、消去要求コマンドに対する応答として消去が正常終了したことを通知する応答コマンド発行し、これを携帯電話機1に出力する(ステップS46)。
携帯電話機1の加入者認証モジュールインタフェース部16は、入力される応答コマンドに基づき、消去が完了したことを制御部14に通知する(ステップS47)。これによって制御部14は、登録案件Xの消去が正常に終了したことを認識する。
【0056】
(まとめ)
以上のように、本実施形態では、加入者認証モジュール2の電話帳情報を、電源投入時に携帯電話機1側に転送することなく、電話帳に対してアクセスすることができ、効率よくアクセスすることができる。このため、加入者認証モジュール2に対して、比較的セキュリティ性能が低い携帯電話機1を用いる場合であっても、電話帳情報が第三者に読み取られる可能性を低減することができ、セキュリティ性能を向上させることができる。
【0057】
また、携帯電話機1と加入者認証モジュール2との間で授受される情報は、処理要求が行われた案件の登録情報や、コマンドデータであって、電話帳に登録されている全件の登録情報を読み出す場合に比較してその情報量は少ない。このため、携帯電話機1と加入者認証モジュール2との間の通信速度が遅い場合であっても、使い勝手が悪くなることを抑制することができる。
【0058】
また、従来、携帯電話機1と加入者認証モジュール2との間の通信方法として、ISO7816標準規格のコマンドインタフェースが用いられているが、上述のように、本実施形態でも、携帯電話機1と加入者認証モジュール2との間の通信は、コマンドインタフェースにより通信するようにしている。このため、ISO7816標準規格のコマンドインタフェースにより加入者認証モジュール2と通信を行う従来の携帯電話機1において、同じコマンドインタフェース通信で実現することができ、大幅な変更を伴うことなく実現することができる。
【0059】
また、加入者認証モジュール2側では、代表電話帳DSを設け、この代表電話帳DSの各レコードと、処理要求が行われた登録案件に該当するレコードとを関連付けるようにしている。
このため、同一の登録案件に対してその読み出し或いはデータ更新、消去などの処理が継続して行われる場合には、代表電話帳DSにアクセスすることにより、その都度該当するレコードを電話帳から検索する必要がない。したがって、その分、処理対象に該当するレコードを検索する手間を省くことができ、電話帳にアクセスする際のアクセス時間をより短縮することができる。
【0060】
また、代表電話帳DSにおいて、レコード1はエントリ読み出し・更新(消去)専用レコードとし、レコード2は、エントリ追加専用レコードと規定している。したがって、携帯電話機1側では、要求される処理内容が、エントリの読み出し、更新または消去であるか、或いは、新規登録であるかを判別することにより、代表電話帳DSのアクセス先を容易に設定することができる。
【0061】
(アクセス制御方法)
上述した通信端末装置においては、以下のようなアクセス制御方法が採用されている。
すなわち、所定データを有するレコードが格納されてなるデータファイル及び前記データファイルのレコードと関連付けられるレコードが格納されてなる代表ファイルを有する外部記憶媒体と、前記データファイルを参照する通信端末と、を備えた通信端末装置におけるアクセス制御方法であって、前記通信端末において前記データファイルに対する処理要求を行い、且つ、処理要求対象のレコードが前記代表ファイルに関連付けられているときには前記代表ファイルを指定して前記データファイルに対する処理要求を行う処理要求ステップ(例えば図4のステップS2、図5のステップS12、ステップS18、図6のステップS32、図7のステップS42)と、前記外部記憶媒体において前記通信端末からの処理要求に応じて前記データファイル又は前記代表ファイルにアクセスするアクセスステップ(例えば図4のステップS3a、図5のステップS13a、ステップS19a、図6のステップS33a、図7のステップS43a)と、を備えたアクセス制御方法が採用されている。
【0062】
この方法によれば、データファイルのデータに対する処理を、通信端末からの処理要求に応じて外部記憶媒体側で行い、その結果が通信端末に転送される。このため、外部記憶媒体のデータファイルのデータ全てを通信端末側に転送する必要はなく、不要なデータの転送を回避し、効率よくデータファイルへのアクセスを行うことができる。
【0063】
(応用例1)
上記実施の形態においては、管理ファイルEF−PBRに、代表電話帳DSの電話帳管理テーブル情報のみを格納する場合について説明したが、代表電話帳DSだけでなく、電話帳のデータベースに形成されている全ての電話帳についての電話帳管理テーブル情報を管理ファイルEF−PBRに登録してもよい。
このように全ての電話帳管理テーブル情報についても管理ファイルEF−PBRに登録することによって、従来の携帯電話機1と加入者認証モジュール2との間でのISO7816標準規格のコマンドインタフェースにおける通信手順で、加入者認証モジュール2の各電話帳に対してアクセスすることができる。すなわち、加入者認証モジュール2の電話帳情報を全て携帯電話機1側に読み出し、携帯電話機1側において登録情報の更新等を行うことができる。
【0064】
したがって、従来のISO7816標準規格のコマンドインタフェースにおける通信手順での電話帳へのアクセス方法と、上述の代表電話帳DSを用いた電話帳へのアクセス方法との両方を実現することができる。よって、加入者認証モジュール2に代表電話帳DSが設けられていない場合であっても、従来の通信手順を用いて電話帳へのアクセスを行うことができ、その分、使い勝手を向上させることができる。
【0065】
(応用例2)
また、上記実施の形態においては、エントリの読み出し・更新(消去)専用レコードと一つのレコードを設定し、同様に、新規登録用のレコードとして一つのレコードを設定し、一度に一つの案件を処理する場合について説明したが、これに限るものではない。
例えば、見出し語が「あ」である登録案件を読み出す場合など、複数の登録案件に対して処理を行う場合であっても適用することができる。この場合には、エントリの読み出し・更新(消去)専用レコードとして、複数のレコード、例えば、レコード1から10を規定し、同様に、新規登録用のレコードとして複数のレコード、例えばレコード11から20を規定すればよい。
【0066】
このように、エントリの読み出し・更新(消去)専用レコード、及び新規登録用のレコードとして複数のレコードを規定することによって、見出し語が「あ」で始まる登録案件を全件読み出す場合等、複数の登録案件に対して同時に処理を行う場合であっても適用することができる。
この場合、例えば、複数読み出した登録案件のうちの何れかに対して登録情報の更新等を行う場合には、更新対象の登録案件に該当する情報は、代表電話帳DSの複数のエントリの読み出し、更新消去専用レコードのうちの何れかに格納されている。
【0067】
よって、例えば、更新対象の登録案件に対応する電話帳のレコードと、これら電話帳のレコードと関連付けられた代表電話帳のレコードとの関連付け情報を携帯電話機1側で保持し、この関連付け情報から、更新対象の登録案件Xに該当する代表電話帳のレコードを特定し、この代表電話帳のレコードを指定して更新対象の登録案件に対する更新要求コマンドを出力すればよい。
或いは、加入者認証モジュール2側で、代表電話帳の、複数の、エントリの読み出し、更新消去専用レコードのうち、更新対象として特定された登録案件に対応するレコードが何れのレコードに該当するかを検索し、該当するレコードに対して処理を行うようにすればよい。
【0068】
(応用例3)
また、上記実施の形態においては、携帯電話機1と加入者認証モジュール2との間で、ISO7816標準規格のコマンドインタフェースにより通信を行う通信端末装置に適用した場合について説明したが、これに限るものではない。
例えば、携帯電話機1にUSB技術等を用いた高速インタフェースが搭載され、携帯電話機1と加入者認証モジュール2との間で、高速インタフェースにより通信可能な携帯電話機1であっても適用することができる。
【0069】
この場合、携帯電話機1に装着される加入者認証モジュール2が代表電話帳DSを備えていれば、この代表電話帳DSを介してコマンドインタフェースにより通信を行うことにより電話帳へのアクセスを速やかに行うことができ、一方、加入者認証モジュール2が高速インタフェースに対応していれば高速インタフェースにより通信を行うことにより電話帳へのアクセスを速やかに行うことができる。
【0070】
また、代表電話帳DSを備えていない加入者認証モジュール2であっても従来と同様の手順で各電話帳に対してアクセスすることができるため、装着される加入者認証モジュール2が、高速インタフェース対応であるか、代表電話帳DSを介しての通信を行うことができるか、或いはこれらの何れでもないか等に応じて、各加入者認証モジュール2に適した通信手順で効率よく通信を行うことができる。
【0071】
(応用例4)
また、上記実施の形態においては、代表電話帳DSにおいて、レコード1をエントリ読み出し、更新(消去)専用レコード、レコード2をエントリ追加専用レコードと規定した場合について説明したが必ずしも、これに限るものではない。
例えば、処理要求が行われたときに代表電話帳DSの空き領域を検索し、この空き領域と、処理要求対象のレコードとを関連付けるようにしてもよい。
この場合、例えば読み出し要求が行われ、代表電話帳DSの何れかのレコードと読み出し要求対象のレコードとが関連付けられその応答コマンドが加入者認証モジュールインタフェース部16側に通知されたときに、加入者認証モジュールインタフェース部16において、代表電話帳DSのレコードと読み出し要求対象のレコードとの関連付け情報を加入者認証モジュールインタフェース部16で保持する。
【0072】
そして、続いて制御部14から処理要求対象のレコードに対して読み出し要求が行われたときには、加入者認証モジュールインタフェース部16では、保持している関連付け情報に基づき、読み出し対象のレコードに対応する代表電話帳DSのレコードを特定し、この特定した、代表電話帳DSのレコードを指定して、READコマンドを発行すればよい。
【0073】
(応用例5)
また、上記実施の形態においては、代表電話帳DSにおいて、レコード1をエントリ読み出し、更新(消去)専用レコード、レコード2をエントリ追加専用レコードと規定した場合について説明したがこれに限るものではない。
例えば、図8に示すように、レコード3以下の所定数のレコードを履歴レコードとして規定し、ここに、レコード1或いはレコード2に一旦登録されたエントリのうち、最新のものから所定数分の情報を一時的に保存するようにしてもよい。
【0074】
この場合、読み出し、登録或いは削除等の処理に伴う代表電話帳DSのレコード1へのアクセスが終了し、レコード1を初期化するとき、或いは、新規登録に伴う代表電話帳DSのレコード2へのアクセスが終了し、レコード2を初期化するときに、これら初期化をする前に、レコード1またはレコード2に関連付けられているレコードを、最新の履歴を格納するレコード例えばレコード3と関連付ける。そして、これらの関連を表す関連付け情報をレコード3に登録し、レコード1と関連付けられていたレコードの関連付け先を、レコード1またはレコード2から、レコード3に切り替える。そして、その後に、これらレコードを初期化する。
【0075】
そして、次に、レコード1またはレコード2に新たに対応付けが行われたときには、レコード3に関連付けられていた情報をレコード4に移動し、空き領域となったレコード3に新たにレコード1またはレコード2に対応付けられた情報を格納する。以後、レコード1またはレコード2に新たに対応付けが行われる毎にこの処理を同様に行い、レコード3を最新の履歴として、レコード3以下に所定数分の履歴を格納する。
【0076】
そして、このように代表電話帳DSに履歴レコードが登録されている状態で、登録案件の読み出し、更新或いは消去要求が行われたときには、携帯電話機インタフェース部23では、まず、代表電話帳DSの履歴レコードを検索する。そして、この履歴レコードに処理要求コマンドで指定された処理対象の登録案件が登録されていれば、この履歴レコードのレコードデータ及び関連付け情報をレコード1に複写し、処理対象の登録案件に対応するレコードに関連付け先を、履歴レコードからレコード1に切り替える。或いは、該当する履歴レコードをさらにレコード1に関連付けてもよい。
このようにすることによって、加入者認証モジュール2側では、比較的件数の多い電話帳情報の中から所望の登録案件に該当する登録情報を検索せずとも、比較的件数の少ない履歴レコードから所望の登録案件に該当する登録情報を得ることができる。したがって、その分処理時間の短縮を図ることができる。
【0077】
(応用例6)
また、上記実施形態においては、通信端末として携帯電話機1を適用した場合について説明したが、これに限るものではなく、音声通話以外の通信のみを行うようにした通信端末であっても適用することができる。
また、上記実施形態においては、データファイルとして電話帳に適用した場合について説明したが、これに限るものではない。加入者認証モジュール2側に格納されるデータベースであって、携帯電話機1側からデータベースのうちの何れかのデータに対してアクセスするようなデータベースであれば適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明を適用した通信端末装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】加入者認証モジュール2の電話帳情報のデータベースの構成例を示す図である。
【図3】代表電話帳を構成するEF−ADNファイルの構成を示す図である。
【図4】電話帳への新規登録時の通信手順を示すシーケンス図である。
【図5】電話帳からの読み出し時の通信手順を示すシーケンス図である。
【図6】電話帳の登録情報の更新時の通信手順を示すシーケンス図である。
【図7】電話帳の登録情報の消去時の通信手順を示すシーケンス図である。
【図8】代表電話帳を構成するEF−ADNファイルのその他の例である。
【符号の説明】
【0079】
1 携帯電話機、2 加入者認証モジュール、16 加入者認証モジュールインタフェース部、23 携帯電話機インタフェース部、D1〜DN 電話帳、DS 代表電話帳

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定データを有するレコードが格納されてなるデータファイルを備えた外部記憶媒体と、前記データファイルを参照する通信端末と、を備えた通信端末装置であって、
前記外部記憶媒体は、前記データファイルのレコードと関連付けられたレコードが格納されてなる代表ファイルと、
前記通信端末からの処理要求に応じて前記データファイル又は前記代表ファイルにアクセスするアクセス手段と、を備え、
前記通信端末は、前記代表ファイルを指定して前記データファイルに対する処理要求を行う処理要求手段を備えることを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
前記処理要求手段は、前記データファイルのうちの読み出し対象のデータに対応する前記データファイルのレコードに関連付けられた前記代表ファイルのレコードに対してレコードデータの読み出し要求を行い、
前記アクセス手段は、前記読み出し要求が行われた前記代表ファイルのレコードからそのレコードデータを読み出すことを特徴とする請求項1記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記処理要求手段は、前記データファイルから読み出されたデータに該当する前記代表ファイルのレコードに対してレコードデータの消去要求を行い、
前記アクセス手段は、前記消去要求が行われた前記代表ファイルのレコードと関連付けられた前記データファイルのレコードにアクセスしてこのレコードデータを消去した後、前記消去要求が行われた前記代表ファイルのレコードのレコードデータを消去することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記処理要求手段は、前記代表ファイルのレコードに対して前記データファイルへのデータの登録要求を行い、
前記アクセス手段は、登録要求が行われたとき前記データファイルの空きレコードに、前記登録要求されたデータを格納することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の通信端末装置。
【請求項5】
所定データを有するレコードが格納されてなるデータファイル及び前記データファイルのレコードと関連付けられたレコードが格納されてなる代表ファイルを有する外部記憶媒体と、前記データファイルを参照する通信端末と、を備えた通信端末装置におけるアクセス制御方法であって、
前記通信端末において前記代表ファイルを指定して前記データファイルに対する処理要求を行う処理要求ステップと、
前記外部記憶媒体において前記通信端末からの処理要求に応じて前記データファイル又は前記代表ファイルにアクセスするアクセスステップと、を備えることを特徴とするアクセス制御方法。
【請求項6】
所定データを有するレコードが格納されてなるデータファイルと、
前記データファイルのレコードと関連付けられたレコードが格納されてなる代表ファイルと、
前記代表ファイルのレコードを指定して入力される前記データファイルに対する処理要求に応じて、前記データファイル又は前記代表ファイルにアクセスするアクセス手段と、を備えたことを特徴とするICカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−129143(P2009−129143A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302556(P2007−302556)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】