説明

通信端末装置の異常検出方法及びそのシステム

【課題】電話回線網を用い、発呼側通信端末機能を備える監視センター装置が、通報発信元となる接続先の通報端末装置をダイヤリングにより呼び出しその通信端末装置の電源供給断又は故障のような異常を検知することを可能とする。
【解決手段】発信者番号通知サービスを契約している電話回線で着呼の通信端末装置と所定の手順ののち呼出しを行う電話回線網に加入して通報発信元となる通報端末装置2を接続する電話回線に対し通信事業者と発信者番号通知サービスを契約し、監視センター装置1が発呼しダイヤリング発信してから呼出音の返信を受付けするまでの時間計測値TXを予め設定された時間値TSと比較して呼出しした通報端末装置2に対する正常/異常を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汎用の電話加入者回線を用いて構築される通報システムにおいて、通報発信元となる通信端末装置の動作異常を迅速かつ容易に確認できる通信端末装置の異常検出方法及びそのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の通信端末装置の異常検出方式としては、例えば特開2001−197152号公報(特許文献1)がサーバ装置、通信システム及びその制御方法として開示されている。
【0003】
この特許文献1によれば、通信端末とそれを管理するサーバ装置がネットワークを介して接続されてなる通信システムにおいて、サーバ装置が、通信端末の異常検出、及びその対応を自動的に行う。更に、そのシステムは、ユーザ又は管理者に異常の発生とその対応を通知する機能を有する。すなわち、このサーバ装置は、通信端末から通信管理データ等を受け取り、そのデータを解析して通信端末に異常がないか否かを判定する。異常が検出された場合には、その程度に応じて異常が検出された通信端末に対するジョブを他の通信端末に代行させるか、又はその通信端末で利用できる機能を制限する等の処理を自動的に行なう。異常を検出した結果、対処の内容を必要に応じてユーザ又は管理者に通知することも可能である。
【0004】
この特許文献では、このサーバ装置が通信端末から通信管理データなどを受けて解析しその処理内容を通知することは説明されている。しかし、例えば通信端末それ自身又はその端末への接続回線が障害のためこれらの管理データなどが受け取れない場合における自動処理についての説明はない。
【0005】
ここに、例えば特開平6−164753号公報(特許文献2)に開示されるファクシミリ装置がある。この技術では、電話回線網でこの接続先が通信端末の場合、その接続先の通信端末を呼び出す呼出音(RBT)が着呼先自動交換機から所定時間内に返送されないことを検出する。これにより、その接続先通信端末及びその通信端末までの間に異常が存在するであることを判定できる。
【0006】
このファクシミリ装置は、呼出しを開始してから時間を計測、又は呼出音の受信を計数している。その計測時間又は計数値が所定値を超える場合には受信側の通信状態を異常と判断してその呼出しは中止される。
【0007】
この技術により、発呼側通信端末を監視センターとして、着呼側に通報発信元の通信端末を備える監視システムが構築できる。この監視センターは、接続先の通信網及び通信端末までの異常を、呼出音受信の計時又は計数を用いて検出することができる。
【0008】
しかし、電話回線網においては、着呼先自動交換機で、接続先の通信端末をダイヤル番号で確認してその端末に呼出信号(IR)を送出すると共に発呼元の監視センターへ呼出音を返送する。この場合、着呼先自動交換機では、接続先通信端末における供給電源断又はそれ自身の故障のような異常までは検知できない。すなわち、接続先通信端末それ自身の動作異常までは検知できない。
【0009】
【特許文献1】特開2001−197152号公報
【特許文献2】特開平6−164753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする課題は、電話回線網を用い、着呼先から呼出音を所定時間内に受けて接続先を正常と判断する発呼側通信端末機能を監視センターに備えても、通報発信元となる接続先通信端末装置、すなわち通報端末装置それ自身における電源供給断又は故障などのような異常を検知できないことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、電話回線網を用い、監視センターが通報発信元となる通信端末装置をダイヤリング発信により呼び出しその通信端末装置の電源供給断又は故障のような異常を検知することである。その監視センターは、着呼先から呼出音を所定時間内に受けて接続先を正常と判断する発呼側通信端末機能を備える。
【0012】
そのため、発信者番号通知サービスを契約している電話回線で着呼の通信端末装置と所定の手順ののち呼出しを行う電話回線網に加入して、通信端末装置を接続する電話の加入者回線には、通信事業者と発信者番号通知サービスが契約される。監視センター装置は、発呼しダイヤル発信してから呼出音の返送を受付けするまでの時間を計測する。その時間計測値は予め設定された時間値と比較され、その結果で、呼出しした前記通信端末装置に対する正常/異常を判定することを主要な特徴としている。
【0013】
このように、通信端末装置を接続する電話回線に通信事業者と発信者番号通知サービスを契約しているので、電話交換機は着呼する通信端末装置を接続する際に発信者番号通知を含む所定情報の授受動作を正常に行ったのちに被呼者が呼び出される。この発信者番号通知処理の成功により、電話交換機は着呼する通信端末装置そのものの受付け動作が正常であると判断している。従って、発信者側の監視センター装置は、その時間計測値が所定の設定時間値を越える場合、接続先通信端末装置の動作を異常と判定できる。ちなみに、着呼側自動交換機までの電話回線網の異常は、発呼側自動交換機から受ける話中音(BT)で判定できる。更に、通信端末装置に対する正常/異常の確認は、監視センター装置から実施できるので、その確認時期はユーザにより自由に選択可能である。
【0014】
監視センター装置は発呼しダイヤリング発信してから呼出音が正常に返送された計測時間を期日、曜日及び時刻と共に記録することができる。これにより、期日、曜日及び時刻によって変動する時間計測値から複数の時間帯それぞれに対応した複数の設定時間値を選択することが好ましい。例えば、呼量の多い最繁時、例えば週日、月曜日の業務開始時刻には電話回線網で迂回接続が頻繁となる。このように、発呼側から着呼側までの通話路完成に時間を要する場合、接続先通信端末装置が短時間での正常処理動作であっても上記時間計測値は大きくなる。これに木目の細かい対策を講じるため、発生する呼量の多少により、その時間帯の設定時間値を変動させることが望ましい。このため、上述したような構成により、週日と休日、最繁時と閑散時などを加味した時間帯それぞれの呼量の変動に対応した時間値の設定が可能になる。
【0015】
具体的態様で、監視センター装置は、発呼して前記通信端末装置をダイヤリング発信で呼出しする手段と、呼出しの結果、前記電話回線網から受付けする呼出音を検出する手段と、ダイヤリング発信から呼出音検出までの時間を計測して時間計測値を求める手段と、前記通信端末装置が正常の際のダイヤリング発信から呼出音検出までの時間値を予め設定し記憶する手段と、時間計測値と設定時間値とを比較して前記通信端末装置に係る正常/異常を判定する手段と、その判定結果を表示する手段とを備えている。通信端末装置は、前記回線網と接続する電話回線に通信事業者と発信者番号通知サービスを契約し、前記電話回線網から呼出しを受付けした際に所定の発信者番号受信手順を実行する手段を備えている。かつ電話回線網で前記通信端末装置を接続する交換機は、前記通信端末装置を呼出しする際に、所定の発信者番号通知サービス手順を実行して発呼元へ呼出音を返送する手段を備えている。
【0016】
前記監視センター装置は、更に、正常時における複数の時間計測値を記憶する手段と、前記の予め設定する時間値を前記複数の時間計測値から演算して求める手段とを備えることが好ましい。前記監視センター装置は更に、前記複数の時間計測値それぞれを期日、曜日及び時刻と共に記録する手段と、期日、曜日及び時刻によって変動する時間計測値から複数の時間帯それぞれに対応した複数の設定時間値を求める手段とを備えることが好ましい。
【0017】
監視センター装置は、通信端末装置へ正常/異常を判定するために発呼した場合、その判定を終了した際に発呼した回線を切断し終話処理することが望ましい。この結果、前記通信端末装置が情報を発信するのみの場合、通信端末装置の無効保留を回避できるのみならず、被呼者応答がないので通信料の課金をも回避できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の通信端末装置の異常検出方法及びそのシステムは、通報発信元となる通信端末装置を接続する電話回線に通信事業者と発信者番号通知サービスを契約する。このため、監視センター装置が発呼しダイヤリング発信してから呼出音の返送を受付けするまでの間に、着呼側交換機が接続先通信端末装置の発信者番号通知処理手順を実行する。従って、時間計測値が予め設定された時間値より大きい場合に前記通信端末装置を異常と判定することができる。この結果、本発明には、監視センター装置が、電話回線網を用い着呼先から呼出音を所定時間内に受けて接続先を正常と判断する発呼側通信端末機能を備えることにより、電話回線網を介した遠方の通報発信元となる接続先通信端末装置の電源供給断又は故障により制御手段が正常動作できないような異常を検知できるという利点がある。
【0019】
従って、通報発信元となる通信端末装置では、自身の動作障害を検出して監視センター装置へ通報するという特別な通報システムは不要である。接続先通信端末装置が応答する場合でも、監視センター装置が呼出音を検出して正常/異常を確認した際、接続先通信端末装置が応答する前に、回線切断の終話処理を実施する。これにより、通信費用の発生がないという利点がある。更に、監視センター装置から複数の接続先通信端末装置に対して順次加入者番号をダイヤリング発信してその異常を検索することができる。従って、広域にわたる監視システムを構築することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の目的を、通信端末装置を接続する電話回線に対し通信事業者と発信者番号通知サービスを契約し、監視センター装置が発呼しダイヤリング発信してから呼出音の返送を受付けするまでの時間計測値を予め設定された時間値と比較して呼出しした通信端末装置に対する正常/異常を判定することにより、実現した。
【0021】
以下に、異常検出対象となる通信端末装置は、例えばカメラ、センサなどの監視器具を有し、監視データを監視センターへ送信する通信端末機能を有する通報端末装置に限定して説明する。しかし、これは説明の便のためであり、以下の説明が、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0022】
本発明の実施例1について図1から図4までを参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明による通信端末装置の異常検出システムにおける実施の一形態を機能ブロックで示す説明図である。図示されるように、本システムは、一つの監視センター装置1、複数の通報端末装置2、及びそれらを相互接続する一つの電話回線網3により構成される。
【0024】
本発明では、本システムに備えられる各通報端末装置2が電話回線網3と接続する加入者回線に、電話回線網3の通信事業者と発信者番号通知サービスが契約される。
【0025】
監視センター装置1は、通信端末機能を含んでおり、複数の通報端末装置2と電話回線網3を介して接続され、各通報端末装置2から所定のデータ情報の通報を、例えば定期的に受付けすることにより所定の監視を実行している。監視センター装置1は、本発明の機能として、接続先の通報端末装置2をダイヤリングにより呼び出しその通報端末装置2の電源供給断又は故障のような異常を検知するものである。監視センター装置1は、制御部10、操作入力部11、タイマ回路12、メモリ13、情報表示部14、ダイヤル番号送出部15、及び呼出音検出回路16を備える。
【0026】
通報端末装置2は、通報発信元となる通信端末装置であって、電話回線網3を介して所定の通報を監視センター装置1へ、例えば定期的に送信する。通報端末装置2は、着呼を受けた際には電話回線網3と発信者番号の通知を受ける所定の手順を実行する。更に、通報端末装置2は、動作機能試験を受けるため、監視センター装置1から電話回線網3を介して呼出しを受けるが、応答はしないものとする。しかし、応答する場合には、所定の時間が経過したのちに応答することができる。この所定の時間は、本発明による異常検出が可能な値に設定される。
【0027】
電話回線網3は、監視センター装置1を収容するセンター側交換機31、及び通報端末装置2を収容する端末側交換機32を含む。センター側交換機31及び端末側交換機32が同一の交換機である場合もある。また、センター側交換機31から端末側交換機32までに形成される通信路は電話回線網3に限定されず複数の中継交換機を経由する場合もある。電話回線網3の端末側交換機32では、通報端末装置2に接続する加入者回線に、電話回線網3の通信事業者との発信者番号通知サービスが契約されている。従って、端末側交換機32は着呼のあった通報端末装置2に発信者番号を通知する所定の処理手順を実行する。
【0028】
制御部10は、監視センター装置1の各構成要素と接続して監視センター装置1の機能を発揮するべく制御する。その主とする機能は、タイマ回路12から得られる時間計測値TXをメモリ13に格納される設定時間値TSと比較して正常/異常を判定することである。操作入力部11は、例えばキーボード及び画面によるボタンを含み、ユーザの操作により情報及びデータを入力できる。タイマ回路12は、時間を計測して時間計測値TXを出力するものであり、本発明で利用されるものは、発呼してダイヤリング発信してから呼出音を受けるまでの時間を計測する。
【0029】
メモリ13は、制御部10の制御を受け、本発明で、通報端末装置2の正常/異常を判定する時間値TSを予め設定して記憶する。情報表示部14は、操作入力部11からの入力情報、制御部10による制御状態情報、などを、制御部10の制御を受け、画面、ランプ、発光ダイオードなどで可視表示及び音声、鳴動などで可聴表示する。ダイヤル番号送出部15は、制御部10の制御を受け、発呼の際の接続先加入者番号をセンター側交換機31へダイヤリング送信する。呼出音検出回路16は、制御部10の制御を受け、ダイヤリング送信ののち、センター側交換機31から受ける呼出音(RBT)を検出して制御部10に通知する。
【0030】
次に、図2に図1を併せ参照して、着呼側における発信者番号の表示手順が正常に終了する場合について説明する。
【0031】
監視センター装置1は、通報端末装置2の異常検索のため、電話回線網3への加入者回線をオフフック状態にすることにより発呼する。次いで、監視センター装置1は、通報端末装置2の加入者番号をダイヤル番号送出回路15から電話回線網3に発信し、タイマ回路12の時間計測を開始(手順S1)する。電話回線網3では、発呼側交換機が発信者番号を検出し、電話回線網3内で呼設定制御が実行(手順S2)される。着呼側交換機は通報端末装置2に発信者番号通知着信を行う。すなわち、電話回線網3の着呼側交換機は、通報端末装置2に対し、電話回線L1、L2の極性を反転させ、通信端末への起動信号(CAR)を送信(手順S3)する。
【0032】
通報端末装置2は、電話回線の極性反転を検出し、起動信号(CAR)を受信することにより着呼を受付け(手順S4)する。通報端末装置2は、この着呼受付けにより、電話回線をオフフック状態のループ形成することにより電話回線網3の着呼側交換機に一次応答信号を送信(手順S5)する。電話回線網3では、着呼側交換機が、電話回線のループを検出して発信者番号を含む所定の情報を通報端末装置2に送出(手順S6)する。この所定情報は、電話回線がこのようなアナログ回線の場合には変復調(MODEM)信号である。次いで、通報端末装置2は、情報の受信完了を検出(手順S7)の際、電話回線のループを切断してオンフック状態にすることにより受信完了信号を電話回線網3の着呼側交換機に送信(手順S8)する。これまでの手順で通報端末装置2における発信者番号受信処理は終了する。
【0033】
電話回線網3の着呼側交換機では、通報端末装置2へ例えばベルを鳴動させるための呼出信号(IR)を送出しかつ発呼側へは呼出音(RBT)を送出(手順S9)する。
【0034】
従って、監視センター装置1では、その呼出音を呼出音検出回路16が検出する。この呼出音検出により、制御部10がタイマ回路12から計測時間値T1を読み出してメモリ13の設定時間値TSと比較する。制御部10は、計測時間値T1が設定時間値TS未満であることにより「正常」を検出して情報表示部14に例えば可視表示により出力(手順S10)する。同時に制御部10は、センター側交換機31へ発呼の電話回線ループを切断して回線解放し、オンフック状態にする終話処理(手順S11)を制御する。
【0035】
通報端末装置2では、通常、上記手順S4の着呼受付けから手順S8の受信完了信号送信までの所要時間T0は4秒以内である。従って、設定時間値TSには例えば6秒を設定することができる。
【0036】
次に、図3に図1を併せ参照して、着呼側における発信者番号の表示手順が異常動作により電話回線網3の着呼側交換機によりタイムアウトとなった場合について説明する。
【0037】
監視センター装置1は、通報端末装置2の異常検索のため、電話回線網3への加入者回線をオフフック状態にすることにより発呼する。次いで、監視センター装置1は、通報端末装置2の加入者番号をダイヤル番号送出回路15から電話回線網3に発信すると共にタイマ回路12の時間計測を開始(手順S21)する。電話回線網3では、発呼側交換機が発信者番号を検出し、電話回線網3内で呼設定制御(手順S22)が実行される。着呼側交換機は通報端末装置2に発信者番号通知着信を行う。すなわち、電話回線網3の着呼側交換機は、通報端末装置2に対し、電話回線L1、L2の極性を反転させ、通信端末への起動信号(CAR)を送信する。同時に、着呼側交換機は、タイマ時限T2の計測を開始(手順S23)する。タイマ時限T2には、上記時間値T0の4秒より長い例えば6秒が設定される。
【0038】
通常、通報端末装置2の異常の場合は4秒以内に受信完了信号が受信できず、タイマ時限T2の6秒に到達する。この際には、電話回線網3の着呼側交換機は、とりあえずユーザ間で通信させるように、通報端末装置2へ呼出信号(IR)を送出し、かつ発呼側へは呼出音(RBT)を送出(手順S24)する。
【0039】
従って、監視センター装置1では、その呼出音を呼出音検出回路16が検出して制御部10がタイマ回路12から計測時間値T3を読み出し、計測時間値T3はメモリ13の設定時間値TSと比較される。制御部10は、計測時間値T3が設定時間値TS以上であることから「異常」を検出する。異常の検出により、情報表示部14に例えば可視表示に加えて可聴表示が出力(手順S25)されユーザに警報される。同時に制御部10は、センター側交換機31へ発呼の電話回線ループを切断して回線解放し、オンフック状態にする終話処理(手順S26)を制御する。
【0040】
設定時間値TSは、着呼側交換機のタイマ時限T2と同等の6秒であることが、上記手順S22から手順S23までの最低所要時間を考慮した場合のために望ましい。図2を参照した説明でも、6秒が設定されている。
【0041】
次に、図4に図1を併せ参照して、監視センター装置1の主要動作手順について説明する。
【0042】
制御部10は、通報端末装置2の異常検索のため、ユーザによるオフフック操作を操作入力部11から受付けした際、加入者回線をオフフック状態にすることにより発呼する。この際、制御部10は、ユーザの操作により操作入力部11から指定されている通報端末装置2の加入者番号をダイヤル番号送出回路15から電話回線網3に発信(手順S31)する。同時に、制御部10は、タイマ回路12及び図示されていない全体時限計測タイマを初期化して時間計測を開始(手順S32)する。呼出音検出回路16は、電話回線網3から受信する呼出音の検出(手順S33のYES)を待つ。
【0043】
上記手順S33が「YES」で呼出音検出回路16がその呼出音を検出した際には、制御部10は、タイマ回路12の計測を停止しその計測時間値TXを読取り(手順S34)し、その計測時間値TXをメモリ13の設定時間値TSと比較する。その結果、計測時間値TXが設定時間値TSの範囲以内(手順S35のYES)の場合には「ダイヤル先通報端末装置2は正常」であることが確認される。従って、その「正常」が情報表示部14に例えば可視表示(手順S36)される。同時に制御部10は、センター側交換機31へ発呼の電話回線ループを切断して回線解放し、オンフック状態にする終話処理(手順S37)を行う。
【0044】
上記手順S35が「NO」で計測時間値TXが設定時間値TSの範囲外の場合、制御部10は、「ダイヤル先通報端末装置2が異常」を確認する。この「異常」は、情報表示部14に例えば可視表示に加え、可聴表示により警報出力(手順S38)し、手順は上記手順S37に進む。
【0045】
上記手順S33が「NO」で呼出音の検出がない場合、全体時限計測タイマは全体監視時限値に到達(手順S40のYES)する。この場合には、制御部10は、「電話回線網3の輻輳を含む接続先障害」を確認して情報表示部14に例えば可視表示に加え、可聴表示により警報出力(手順S31)して、上記手順S37に進む。
【0046】
このような構成を採用したので、電話交換機は着呼する通報端末装置を接続する際に発信者番号通知を含む所定情報の授受動作を正常に行ったのちに被呼者を呼び出している。従って、この処理が異常の場合には、着呼側交換機に設定された長時間時限T2により異常が検出され、その後、被呼者が呼び出されている。このため、発信者側の監視センター装置は、その時間計測値が所定の設定時間値を越える場合、接続先通報端末装置を異常と容易に判定できる。更に、通報端末装置に対する正常/異常の確認は、監視センター装置から実施できるので、その確認時期はユーザにより自由に選択可能である。
【0047】
上記説明では一つの通報端末装置に対してのみの動作であったが、周知の技術を活用して複数の通報端末装置に対して順次自動発信し接続先端末装置へダイヤリング発信することができる。この結果、システム全体に対してまとめて通報端末装置の異常検出を処理させることができる。これによって、異常検出の通報端末装置それぞれのダイヤル番号を表示して監視センターで一括した効率よい対応ができるので、保守運用コストを低減する効果がある。
【実施例2】
【0048】
しかし、上記手順S2から手順S3まで、又は上記手順S22から手順S23までの所要時間は、監視センター装置1と通報端末装置2とが同一交換機に収容される場合が最低所要時間となる。最繁時には、迂回中継もあり複数の交換機を経由するのでより多くの所要時間を必要とする。このような状態では、上記実施例のような一つの設定時間値TSでの比較は判定精度の低下を招くことがある。本実施例はこれを改善するものである。
【0049】
本発明の実施例2について図5及び図6に図1を併せ参照して説明する。図面では、図1の監視センター装置1の代わりに図5に示される監視センター装置1Aを適用する。
【0050】
図5は、本発明による図1とは相違する監視センター装置の実施の一形態を機能ブロックで示す説明図である。図示される監視センター装置1Aは、上述した実施例と同一の主要機能を有し、同一構成要素には同一の番号符号を付与してその説明は省略する。
【0051】
図示されるように、監視センター装置1Aは、本発明の機能として、制御部10A、操作入力部11、タイマ回路12、計測時間メモリ13A、計測判定時間値メモリ13B、情報表示部14、ダイヤル番号送出回路15、呼出音検出回路16、及びカレンダ時計回路17を備える。上記実施例と相違するものは、制御部10A、計測時間メモリ13A、計測判定時間値メモリ13B、及びカレンダ時計回路17である。
【0052】
制御部10Aの詳細については、フローチャートを参照してのちに説明する。計測時間メモリ13Aは、図2における計測値T1又は図4における計測値TXと計測時にカレンダ時計回路17から得られる時計データとを順次記憶し所定数を保存する。計測判定時間値メモリ13Bは、例えば、呼の最繁時及び閑散時それぞれの時間帯に対応する判定条件として設定される時間値TB及びTEを予め記録する。計測判定時間値メモリ13Bには、時間値TB,TEに限定されず、呼量に応じた複数の時間帯が設定される。カレンダ時計回路17から出力される時計データには、暦日の年月日及び例えば毎秒単位の正確な時刻が含まれる。
【0053】
制御部10Aによる本実施例の特徴は下記のとおりである。制御部10Aは、まず、通報端末装置2をダイヤル接続した際の計測値T1又はTXとカレンダ時計回路17から得られる時計データとを計測時間メモリ13Aに順次記憶し所定数を保存する。次いで、制御部10Aは、計測値T1又はTXにおける時計データとの関連を整理演算し、例えば呼の最繁時及び閑散時それぞれにおける適切な判定条件を設定時間値TB及びTEとして決定する。決定された設定時間値は、計測判定時間値メモリ13Bに保存されている時間値を適宜更新する。従って、制御部10Aは、計測値を時間値で判定する際、計測した時間帯に基づく設定時間値を選択する。
【0054】
次に、図6に図5を併せ参照して監視センター装置1Aの主要動作手順について説明する。手順S31から手順S33まで及び手順S35以降の手順は、図4に示される監視センター装置1の主要動作手順と同一である。従って、同一番号符号を付与してその説明は省略する。すなわち、図6が図4と相違する点は手順S34である。
【0055】
上記手順S33が「YES」で呼出音検出回路16がその呼出音を検出した際には、制御部10Aは、タイマ回路12の計測を停止してその計測時間値TXとカレンダ時計回路17の時計データとを読み取る。その両者は計測時間メモリ13Aに順次格納(手順S51)される。計測時間メモリ13Aでの所定記憶領域が満杯の場合、最も古いデータが削除されて最新データに更新される。
【0056】
一方、制御部10Aは、計測の際の時計データから計測時間帯を選択(手順S52)し、その選択された計測時間帯により計測判定時間値メモリ13Bから判定時間値TS、例えば最繁時では時間値TBを抽出(手順S53)する。次いで、制御部10Aは、上記手順S35に進み、その計測時間値TXをメモリ13の設定時間値TSと比較して「ダイヤル先通報端末装置の正常/異常」を判定する。
【0057】
更に、制御部10Aは、例えば定期的に計測時間メモリ13Aでの情報データを検索して時間データと計測時間値との関連を自動的に演算する。その演算結果により、計測判定時間値メモリ13Bの判定時間値TB、TEは更新される。また、時間帯及び判定時間値の設定は、ユーザにより更新することもできる。
【0058】
本実施例により、上記手順S2から手順S3まで、又は上記手順S22から手順S23までの所要時間が時間帯により大きく変動するため、判定時間値TSを6秒という一つの最低値に固定できないという問題点を解決することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、電話回線網に接続する通報端末装置の電話回線に通信事業者と発信者番号通知サービスを契約し、電話回線網で着呼側交換機が契約された加入者回線に接続される通報端末装置に対して発信者番号通知の正常動作を確認したのちに呼出音を送出する機能を用いている。その構成によれば、発信側装置から容易に対象の通報端末装置の動作確認ができる。従って、本発明は、遠隔操作により通信端末装置の動作確認が必要な用途、例えば、電話回線網に接続される複数の通信端末を管理しその通信端末を監視するシステムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】通報端末装置の異常検出システムにおける実施の一形態をブロックで示した説明図である。(実施例1)
【図2】図1において、通報端末装置の「正常」を検出する主要手順の実施の一形態をシーケンスチャートで示した説明図である。(実施例1)
【図3】図1において、通報端末装置の「異常」を検出する主要手順の実施の一形態をシーケンスチャートで示した説明図である。(実施例1)
【図4】図1における監視センター装置の主要手順の実施の一形態をフローチャートで示した説明図である。(実施例1)
【図5】監視センター装置における図1とは相違する実施の一形態をブロックで示した説明図である。(実施例2)
【図6】図5における監視センター装置の主要手順の実施の一形態をフローチャートで示した説明図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0061】
1 監視センター装置
2 通報端末装置
3 電話回線網
10、10A 制御部
11 操作入力部
12 タイマ回路
13 メモリ
13A 計測時間メモリ
13B 計測判定時間値メモリ
14 情報表示部
15 ダイヤル番号送出回路
16 呼出音検出回路
17 カレンダ時計回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末機能を有する監視センター装置から電話回線網を介して通報発信元通信端末装置を呼び出してその通信端末装置の異常を検知する通信端末装置の異常検出方法において、発信者番号通知サービスを契約している電話回線で着呼の通信端末装置と所定の手順ののち呼出しを行う電話回線網に加入して前記通信端末装置を接続する電話回線に通信事業者と発信者番号通知サービスを契約し、前記監視センター装置が発呼しダイヤリング発信してから呼出音の返送を受付けするまでの時間を計測し、その時間計測値を予め設定された時間値と比較して、呼出しした前記通信端末装置における正常/異常を判定することを特徴とする通信端末装置の異常検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の通信端末装置の異常検出方法において、前記時間計測値が前記設定時間値以内の場合、呼出しした前記通信端末装置を正常と判定することを特徴とする通信端末装置の異常検出方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の通信端末装置の異常検出方法において、監視センター装置が発呼しダイヤリング発信してから呼出音が正常に返送された時間計測値を期日、曜日及び時刻と共に記録し、期日、曜日及び時刻によって変動する時間計測値から複数の時間帯それぞれに対応した複数の時間値を上記判定のため設定することを特徴とする通信端末装置の異常検出方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのうちの一つに記載の通信端末装置の異常検出方法において、前記通信端末装置は情報を発信するのみの通報端末装置であり、監視センター装置は前記通報端末装置へ正常/異常を判定するために発呼した際にはその判定終了で発呼した回線を切断し終話処理することを特徴とする通信端末装置の異常検出方法。
【請求項5】
通信端末機能を有する監視センター装置から電話回線網を介して通報発信元の通信端末装置を呼び出しその通信端末装置の異常を検知する通信端末装置の異常検出システムにおいて、
前記監視センター装置は、発呼して前記通信端末装置をダイヤリング発信により呼出しする手段と、呼出しの結果、前記電話回線網から受付けする呼出音を検出する手段と、ダイヤリング発信から呼出音検出までの時間を計測しその時間計測値を求める手段と、前記通信端末装置が正常の際のダイヤリング発信から呼出音検出までの時間値を予め設定し記憶する手段と、前記時間計測値と設定時間値とを比較して前記通信端末装置に係る正常/異常を判定する手段と、その判定結果を表示する手段とを備え、
前記通信端末装置は、前記電話回線網と接続する電話回線に通信事業者と発信者番号通知サービスが契約されており、前記回線網から呼出しを受付けした際に所定の発信者番号受信手順を実行する手段を備え、かつ、
前記回線網で前記通信端末装置を接続する交換機は、前記通信端末装置を呼出しする際に、所定の発信者番号通知サービス手順を実行して発呼元へ呼出音を返送する手段を備える
ことを特徴とする通信端末装置の異常検出システム。
【請求項6】
請求項5に記載の通信端末装置の異常検出システムにおいて、前記監視センター装置は更に、正常時に求めた複数の前記時間計測値を記憶する手段と、前記の予め設定する時間値を前記複数の時間計測値から算出して求める手段とを備えることを特徴とする通信端末装置の異常検出システム。
【請求項7】
請求項6に記載の通信端末装置の異常検出システムにおいて、前記監視センター装置は更に、前記複数の時間計測値それぞれを期日、曜日及び時刻と共に記録する手段と、期日、曜日及び時刻によって変動する時間計測値から複数の時間帯それぞれに対応した複数の設定時間値を求める手段とを備えることを特徴とする通信端末装置の異常検出システム。
【請求項8】
請求項5から請求項7までのうちの一つに記載の通信端末装置の異常検出システムにおいて、前記通信端末装置は所定の情報を発信するのみの通報端末装置であり、また、監視センター装置は前記通報端末装置へ正常/異常を判定するために発呼した場合にはその判定終了の際に発呼した回線を切断し終話処理する手段を備えることを特徴とする通信端末装置の異常検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−228037(P2007−228037A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43925(P2006−43925)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】