説明

通信装置及びクロック制御方法

【課題】データ送信部に送信データが保留されている間の消費電力を低減することができる通信装置及びクロック制御方法を提供すること
【解決手段】本発明にかかる通信装置は、供給されたクロックにより駆動し、対向装置に対してデータの送信を行う送信処理部34と、送信処理部34に対してクロックを供給する送信クロック制御部20と、対向装置に対するデータ送信の停止を指示するポーズフレームを受信する受信処理部31と、を備え、受信処理部31がポーズフレームを受信した場合、送信処理部34は、対向装置に対するデータ送信を停止し、送信クロック制御部20は、ポーズフレームにおいて指定される送信停止期間中の送信処理部34に対するクロック供給を停止するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信装置及びクロック制御方法に関し、特にポーズフレームを用いたフロー制御を実施する通信装置及びその通信装置におけるクロック制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全二重のイーサネット(登録商標)においては、FIFO(First In First Out)制御により動作するキューが溢れそうになると、通信相手にポーズフレームを送信し、データ送信を停止させるフロー制御を実行する。ポーズフレームを受信した通信装置は、ポーズフレームに記載されたポーズ時間中、送信を停止する。このポーズ時間は、1Gbps時に最大33.6ms、10Mbps時に最大3.36sとなる。
【0003】
図9を用いて、全二重イーサネットのフロー制御について説明する。はじめに、本装置は、通信相手に対して、通常フレームを連続して送信する。次に、通信相手は、受信処理が間に合わなくなりそうになるとポーズフレームを本装置に対して送信する。通信相手は、ポーズフレームを送信することにより、本装置に対して送信を一時停止(ポーズ)するように求める。次に、ポーズフレームを受信した本装置は、ポーズフレームに記載されたポーズ時間だけ送信を一時停止する。本装置は、ポーズ時間が過ぎた後に、通常フレームの送信を再開する。
【0004】
ここで、ポーズフレームを受信した通信装置は、送信停止期間中、送信動作はしないものの送信回路自体は電力を消費し続けるため、その電力が無駄となる。
【0005】
特許文献1は、リンクダウン中や、リンクアップ時において送受信データが流れていない時に、MAC(Media Access Controller)における通信クロックを止めることが記載されている。具体的には、PHY受信部とMAC受信部との間、さらにPHY送信部とMAC送信部との間に、送受信クロックをゲーティングするクロック制御回路を挿入する。クロック制御回路は、PHY受信部とMAC受信部との間、さらにPHY送信部とMAC送信部との間にデータが流れていない場合に、MACにおける通信クロックを止めてMAC受信部及びMAC送信部の消費電力を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−328671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載された処理においては、MAC受信部がPHY受信部から受信データを受信し、又は、MAC送信部が上位機能部から送信データを受信した場合に、クロック制御回路は、MAC受信部及びMAC送信部に対して通信クロックを供給する。この場合、クロック制御回路は、MAC受信部及びMAC送信部内の送受信データがなくなるまで、通信クロックを供給しつづける。つまり、MAC受信部及びMAC送信部は、送受信データがなくなるまで供給された通信クロックに応じて動作を継続する。そのため、全二重通信の送信時に、フロー制御が実行されMAC送信部内に長期間送信データが保留されている期間、通信クロックは停止しないため、消費電力低減が図れないという問題がある。ここで、送信データが保留される期間は、1Gbps時に最大33.6ms、10Mbps時に最大3.36sである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様にかかる通信装置は、供給されたクロックにより駆動し、対向装置に対してデータの送信を行うデータ送信部と、前記データ送信部に対してクロックを供給するクロック制御部と、前記対向装置に対するデータ送信の停止を指示するポーズフレームを受信するポーズフレーム受信部と、を備え、前記ポーズフレーム受信部が前記ポーズフレームを受信した場合、前記データ送信部は、前記対向装置に対するデータ送信を停止し、前記クロック制御部は、前記ポーズフレームにおいて指定される送信停止期間中の前記データ送信部に対するクロック供給を停止するものである。
【0009】
このような通信装置を用いることにより、ポーズフレームを受信し、対向装置に対するデータ送信を停止している期間における、データ送信部に対するクロックの供給を制御することができる。
【0010】
本発明の第2の態様にかかるクロック制御方法は、対向装置に対するデータ送信の停止を指示するポーズフレームを受信し、前記ポーズフレームを受信した場合、前記対向装置に対するデータ送信を停止し、前記ポーズフレームにおいて指定される前記対向装置に対するデータ送信停止期間中は、前記対向装置に対してデータ送信を行うデータ送信部へのクロック供給を停止するものである。
【0011】
このようなクロック制御方法を用いることにより、ポーズフレームを受信し、対向装置に対するデータ送信を停止している期間における、データ送信部に対するクロックの供給を制御することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、データ送信部に送信データが保留されている間の消費電力を低減することができる通信装置及びクロック制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1にかかる通信装置の構成図である。
【図2】実施の形態1にかかるポーズフレームの構成図である。
【図3】実施の形態1にかかる信号のタイミングチャートである。
【図4】実施の形態1にかかる受信処理のフローチャートである。
【図5】実施の形態1にかかる送信処理のフローチャートである。
【図6】実施の形態1にかかるマルチポートイーサネット装置の構成図である。
【図7】実施の形態2にかかる通信装置の構成図である。
【図8】実施の形態2にかかる信号のタイミングチャートである。
【図9】実施の形態2にかかる送信処理のフローチャートである。
【図10】実施の形態3にかかる通信装置の構成図である。
【図11】全二重イーサネットを用いた場合のフロー制御を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1を用いて本発明の実施の形態1にかかる通信装置の構成例について説明する。通信装置は、PHY送受信部10と、送信クロック制御部20と、MAC送受信部30と、上位機能部40とを備えている。また、MAC送受信部30は、受信処理部31と、ポーズフレーム検出部32と、ポーズカウンタ33と、送信処理部34とを備えている。
【0015】
PHY送受信部10は、ケーブル等の通信媒体を介して対向装置から送信された電気信号を受信する。ケーブル等の通信媒体には、同軸ケーブルや、光ファイバケーブル等が存在する。対向装置とは、通信媒体を介して接続されているサーバ装置、パーソナルコンピュータ又はデータ中継装置等である。データ中継装置とは、ルータ装置や、スイッチ装置等である。PHY送受信部10は、対向装置から受信したデータをRDATA信号としてMAC送受信部30へ出力する。さらに、PHY送受信部10は、タイミング信号であるRCLK信号をMAC送受信部30へ出力する。
【0016】
受信処理部31は、PHY送受信部10からRDATA信号及びRCLK信号を受け取る。受信処理部31は、RCLK信号に基づいて動作し、RDATA信号のフレーム処理を実行する。フレーム処理とは、受け取ったRDATA信号に含まれるフレームが、自装置宛てのデータであるか否かの確認、又は、受け取ったRDATA信号に含まれるフレームのエラーチェック等である。受信処理部31は、PHY送受信部10から受け取ったRDATA信号をフレーム処理した後に、上位機能部40へ出力する。
【0017】
ポーズフレーム検出部32は、受け取ったRDATA信号からポーズフレームを検出する。ここで、図2を用いてポーズフレームの構成例について説明する。図2に示されるように、ポーズフレームは、プリアンブルと、DA(Destination Address)と、SA(Source Address)と、TYPEと、OPCODEと、PARAMと、パディングと、チェックサムとから構成されている。たとえば、ポーズフレームは、DAが0180C2000001H、TYPEが8808H、OPCODEが0001Hと設定されることにより、他のフレームと区別されてもよい。つまり、ポーズフレーム検出部32は、DA、TYPE、OPCODEの各フィールドの設定値を確認することにより、ポーズフレームを検出することができる。また、PARAMは、ポーズ時間を示すフィールドである。PARAMフィールドには、0〜FFFFHの値が設定される。最大値FFFFHが設定されると、イーサネットのスループットが1000Mbpsの場合に約33.6msとなり、100Mbpsの場合に約336msとなり、10Mbpsの場合に約3.36sとなる。
【0018】
図1に戻り、ポーズフレーム検出部32は、ポーズフレームを受信すると、PDETECT信号を1に設定して、ポーズカウンタ33へ出力する。
【0019】
ポーズカウンタ33は、1に設定されたPDETECT信号を受け取ると、ポーズカウンタを起動する。また、ポーズカウンタ33は、ポーズフレームのPARAMフィールドに設定されているポーズ時間までカウントを行う。ポーズカウンタ33は、カウントを行っている最中(ポーズ中)、TPAUSE信号を1に設定して、送信クロック制御部20及び送信処理部34へ出力する。
【0020】
送信処理部34は、上位機能部40から受け取った送信データをフレーム処理してTDATA信号として、PHY送受信部10へ出力する。送信データのフレーム処理として、例えばプリアンブルやチェックサムの付加等を実施する。また、送信処理部34は、ポーズカウンタ33から1に設定されたTPAUSE信号を受け取った場合、TDATA信号の出力を停止する。つまり、TDATA信号を用いたフレームの出力を停止する。送信処理部34は、TDATA信号を出力処理中に1に設定されたTPAUSE信号を受け取った場合、現在出力しているTDATA信号の出力が終わり次第、次に送信されるTDATA信号の出力を停止する。送信処理部34は、TDATA信号の出力処理を行っている間、TBUSY信号を1に設定して送信クロック制御部20へ出力する。
【0021】
送信クロック制御部20は、PHY送受信部10から受け取ったTCLK信号(送信クロック信号)をTCLKG信号(ゲーティング送信クロック信号)として、送信処理部34を構成する回路の一部もしくは全部に供給する。送信処理部34は、受け取ったゲーティング送信クロックのタイミングに基づいて動作する。また、送信クロック制御部20は、TCLK信号を、TPAUSE信号とTBUSY信号とを用いて制御し、TCLKG信号を出力する。具体的には、TCLKG信号は、TPAUSE信号が1に設定されかつTBUSY信号が0に設定されると送信処理部34に対して出力されない。TPAUSE信号が1に設定されている最中は、ポーズ中を示している。TBUSY信号が0に設定されている最中は、TDATA信号が送信されていないことを示している。その後、TPAUSE信号が0に設定されると、TCLKG信号を送信処理部34へ出力する。TPAUSE信号が0に設定されている最中は、ポーズ状態が解除されたことを示している。
【0022】
続いて、図3を用いて本発明の実施の形態1にかかる各信号のタイミングチャートを説明する。RCLK信号及びTCLK信号は、それぞれPHY送受信部10からMAC送受信部30に対して出力される信号であり、送受信データの有無にかかわらず出力される。RDATA信号には、通常フレームとポーズフレームとが設定されていることが示されている。受信処理部31は、はじめに通常フレームを受け取った後に、ポーズフレームを受け取っている。
【0023】
ポーズフレーム検出部32は、ポーズフレームの検出処理が完了すると、PDETECT信号を1に設定してポーズカウンタ33へ出力する。また、ポーズフレームにおけるPARAMフィールドの設定値が100とすると、ポーズカウンタ33は、0から99までカウントする。ポーズカウンタ33は、99までカウントした後はカウンタを0に設定する。
【0024】
ポーズカウンタ33は、ポーズカウンタがカウントアップされている間TPAUSE信号を1に設定して送信クロック制御部20と送信処理部34とに出力する。
【0025】
TBUSY信号は、TDATA信号を用いて送信フレームが送信処理部34からPHY送受信部10へ出力されている間、1が設定される。TBUSY信号は、送信フレームが出力されていない間、0が設定される。
【0026】
ここで、TCLKG信号は、TPAUSE信号が1に設定され、かつ、TBUSY信号が0に設定された場合に、送信クロック制御部20から送信処理部34に対する出力が停止される。また、TCLKG信号は、TPAUSE信号が0に設定されると、送信クロック制御部20から送信処理部34に対する出力が再開される。
【0027】
続いて、図4を用いて本発明の実施の形態1にかかる受信処理の流れについて説明する。はじめに、ポーズカウンタ33から出力されているTPAUSE信号は、0に設定されている(S10)。ここでは、まだポーズフレームが検出されていないからである。次に、受信処理部31は、RDATA信号の受信処理を行う(S11)。次に、ポーズフレーム検出部32は、RDATA信号において受信したフレームがポーズフレームか否かを判定する(S12)。ポーズフレーム検出部32において、受信したフレームがポーズフレームではないと判定された場合、ステップS10の処理に戻る。ポーズフレーム検出部32において、受信したフレームがポーズフレームであると判定された場合、ポーズカウンタ33は、ポーズカウンタを初期化し、さらにTPAUSE信号を1に設定して出力する(S13)。
【0028】
次に、ポーズカウンタ33は、ポーズフレームのPARAMフィールドに設定されている値に基づいて、ポーズカウンタを更新する(S14)。次に、ポーズカウンタ33は、PARAMフィールドに設定されているポーズカウンタの値が経過したか否かを判定する(S15)。ポーズカウンタ33は、PARAMに設定されているポーズカウンタの値が経過していないと判定した場合、ステップS14の処理に戻り、ポーズカウンタを更新する。ポーズカウンタ33は、PARAMに設定されているポーズカウンタの値が経過していると判定した場合、ステップS10の処理に戻り、TPAUSE信号を0に設定する。
【0029】
続いて、図5を用いて本発明の実施の形態1にかかる送信処理の流れについて説明する。初めに、送信クロック制御部20は、送信処理部34に対してTCLKG信号を出力する(S20)。次に、送信処理部34は、TCLKG信号のタイミングに基づいて動作し、上位機能部40から出力された送信データをTDATA信号として、PHY送受信部10へ出力する(S21)。つまり、送信処理部34は、送信フレームを含むTDATA信号をPHY送受信部10へ出力する。
【0030】
次に、送信クロック制御部20は、TPAUSE信号の値とTBUSY信号の値とを判定する(S22)。送信クロック制御部20は、TPAUSE信号の値が1に設定され、かつ、TBUSY信号の値が0に設定されている場合、送信処理部34に対するTCLKG信号の出力を停止する(S23)。また、送信クロック制御部20は、TPAUSE信号の値が1に設定され、かつ、TBUSY信号の値が0に設定されている状態以外の場合、ステップS20の処理に戻り、TCLKG信号を出力し続ける。
【0031】
次に、送信クロック制御部20は、TPAUSE信号の値を判定する(S24)。送信クロック制御部20は、受け取ったTPAUSE信号の値が0であると判定した場合、ステップS20の処理に戻り、TCLKG信号を送信処理部34に対して出力する。送信クロック制御部20は、受け取ったTPAUSE信号の値が1であると判定した場合、ステップS23の処理に戻り、引き続きTCLKG信号の出力を停止する。
【0032】
以上説明したように、本発明の実施の形態1にかかる通信装置を用いることにより、ポーズフレームを受信した後のデータ送信停止期間中に、送信処理部34に対するTCLKG信号の出力を停止することができる。そのため、送信処理部34の動作を停止させることができるため、消費電力低減を図ることができる。
【0033】
また、本発明の実施の形態1にかかる通信装置は、図6に示されるように、マルチポートイーサネットスイッチ装置に用いることができる。図6におけるマルチポートイーサネットスイッチ装置200は、本発明の実施の形態1にかかる通信装置である通信装置100を複数備えている。また、それぞれの通信装置100は、マルチポートイーサネットスイッチ装置200に搭載されているポート毎にマルチポートイーサネットスイッチ装置200に備えられている。ここで、図6においては、ポートと通信装置100とが1対1に対応している構成について説明しているが、例えば、ひとつの通信装置100に複数のポートが対応して構成されてもよい。複数の通信装置100は、スイッチ110を介して、他の通信装置100に対してフレームを出力する。また、通信装置100は、スイッチ110を介して他の通信装置100からフレームを受け取る。
【0034】
(実施の形態2)
続いて、図7を用いて本発明の実施の形態2にかかる通信装置の構成例について説明する。なお、図1と同一の要素については同一の番号を付加し、詳細な説明を省略する。
【0035】
図7の通信装置は、図1の通信装置と同様に、PHY送受信部10と、送信クロック制御部20と、MAC送受信部30と、上位機能部40とを備えている。ここで、送信クロック制御部20は、電源制御部21を有する点において図1の通信装置と異なる。さらに、MAC送受信部30に含まれる送信処理部34が、電源SW35と電源分離領域36とを有する点においても、図1の通信装置と異なる。
【0036】
電源分離領域36は、電源を遮断して動作を停止させることができる回路を含む領域である。電源分離領域36には、電源SW35がON状態となっている場合電源が供給され、電源SW35がOFF状態となっている場合電源は供給されない。電源分離領域36に配置可能な回路は、送信フレームの生成に関わる回路等である。送信フレームの生成に関わる回路とは、例えばプリアンブル生成回路やチェックサム付加回路等がある。これらの回路は、実際にフレームを送信するときにだけ動作すればよいため、フレームを送信しない場合には電源の供給を停止することができる。また、各種カウンタや送信FIFOバッファ等の情報や状態を保持又は記憶しておく必要がある回路は、電源の供給が停止されると、保持している情報が消滅するため、電源分離領域36に配置することはできない。
【0037】
電源SW35は、電源制御部21から受け取るTPWON信号によりON状態又はOFF状態が制御される。
【0038】
続いて、図8を用いて本発明の実施の形態2にかかる各信号のタイミングチャートを説明する。図8における各信号のタイミングチャートは、図3における各信号のタイミングチャートに、電源制御部21から電源SW35に対して出力されるTPWON信号の設定値が切り替わるタイミングを追加している。その他の信号の変化タイミングは図3と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0039】
送信クロック制御部20から送信処理部34に対するTCLKG信号の出力が停止された直後に、電源制御部21は、電源SW35に対して出力するTPWON信号を0に設定する。電源SW35は、0に設定されたTPWON信号を受け取ると、OFF状態に遷移する。この場合、電源分離領域36への電源供給が停止される。また、送信クロック制御部20から送信処理部34に対するTCLKG信号の出力が再開される直前に電源制御部21は、電源SW35に対して出力するTPWON信号を1に設定する。電源SW35は、1に設定されたTPWON信号を受け取ると、ON状態に遷移する。この場合、電源分離領域36への電源供給が開始される。
【0040】
ここで、電源制御部21がTPWON信号の出力値を変更するタイミングは、次のように制御されてもよい。例えば、電源制御部21は、TCLKG信号の出力が停止されたことを検出して、TPWON信号を0に設定して出力してもよく、又は、TPAUSE信号が1に設定され、かつ、TBUSY信号が0に設定されたことを検出して、TPWON信号を0に設定して出力してもよい。また、電源制御部21は、TCLKG信号の出力が再開される直前の状態を検出するために、TPAUSE信号が0に設定されたことを検出した後に、TPWON信号を1に設定して出力してもよい。
【0041】
続いて、図9を用いて本発明の実施の形態2にかかる送信処理の流れについて説明する。はじめに、電源制御部21は、TPWON信号を1に設定して電源SW35へ出力する(S30)。次に、ステップS31及びステップS32の処理は、図5におけるステップS20及びステップS21の処理と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0042】
次に、送信クロック制御部20は、TPAUSE信号の値とTBUSY信号の値とを判定する(S33)。送信クロック制御部20は、TPAUSE信号の値が1に設定され、かつ、TBUSY信号の値が0に設定されている場合、送信処理部34に対するTCLKG信号の出力を停止する(S34)。また、送信クロック制御部20は、TPAUSE信号の値が1に設定され、かつ、TBUSY信号の値が0に設定されている状態以外の場合、ステップS30の処理に戻る。
【0043】
次に、電源制御部21は、TCLKG信号の出力が停止されたことを検出すると、TPWON信号に0を設定して出力する。次に、送信クロック制御部20は、TPAUSE信号が0に設定されているか否かを判定する。TPAUSE信号が1に設定されていると判定された場合、ステップS34の処理に戻る。また、TPAUSE信号が0に設定されていると判定された場合、ステップS30の処理に戻る。
【0044】
以上説明したように、本発明の実施の形態2にかかる通信装置を用いることにより、TLKG信号の送信停止期間中に、さらにTPWON信号の設定値を制御することにより、電源分離領域36内の電源を遮断することができる。これにより、更なる消費電力の低減を図ることができる。
【0045】
(実施の形態3)
続いて、図10を用いて本発明の実施の形態3にかかる通信装置の構成例について説明する。尚、図10において、図1と同一の要素には同一の符号が付されており、図1と同一の要素について詳細な説明を省略する。
【0046】
図10においては、送信クロック制御部20が、上位機能部40に対してTCLKG信号を出力する点において、図1における通信装置の構成と異なる。上位機能部40は、送信クロック制御部20から出力されるTCLKG信号のタイミングに基づいて動作する。もしくは、上位機能部40における送信系回路部(図示せず)が、TCLKG信号のタイミングに基づいて動作してもよい。また、送信クロック制御部20は、実施の形態1における通信装置と同様に、1が設定されたTPAUSE信号と、0が設定されたTBUSY信号とを受け取った場合に、上位機能部40に対してもTCLKG信号を出力する。
【0047】
以上説明したように、本発明の実施の形態3にかかる通信装置を用いることにより、送信クロック制御部20は、上位機能部40に対するクロックの供給を停止することができる。これにより、上位機能部40における消費電力の低減を図ることができる。
【0048】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 PHY送受信部
20 送信クロック制御部
21 電源制御部
30 MAC送受信部
31 受信処理部
32 ポーズフレーム検出部
33 ポーズカウンタ
34 送信処理部
35 電源SW
36 電源分離領域
40 上位機能部
100 通信装置
110 スイッチ
200 マルチポートイーサネットスイッチ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給されたクロックにより駆動し、対向装置に対してデータの送信を行うデータ送信部と、
前記データ送信部に対してクロックを供給するクロック制御部と、
前記対向装置に対するデータ送信の停止を指示するポーズフレームを受信するポーズフレーム受信部と、を備え、
前記ポーズフレーム受信部が前記ポーズフレームを受信した場合、
前記データ送信部は、前記対向装置に対するデータ送信を停止し、
前記クロック制御部は、前記ポーズフレームにおいて指定される送信停止期間中の前記データ送信部に対するクロック供給を停止する通信装置。
【請求項2】
前記ポーズフレーム受信部がポーズフレームを受信したタイミングにおいて、前記データ送信部が送信処理中のデータを有している場合、
前記クロック制御部は、
前記データ送信部が、送信処理中のデータを送信した後に前記データ送信部に対するクロック供給を停止する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記ポーズフレーム受信部は、
前記ポーズフレームを受信すると当該ポーズフレームにおいて指定される送信停止期間であることを示すポーズ信号を前記クロック制御部へ出力し、
前記データ送信部は、
データを送信中であるか否かを示すビジー信号を前記クロック制御部へ出力し、
前記クロック制御部は、
前記送信停止期間であることを示すポーズ信号と、前記データを送信中ではないことを示すビジー信号とを受け取った場合に、前記データ送信部に対して前記クロック供給を停止する、請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記データ送信部は、
前記ポーズフレーム受信部から前記送信停止期間であることを示すポーズ信号を受け取った場合に、前記ビジー信号を前記クロック制御部へ出力する、請求項3記載の通信装置。
【請求項5】
前記クロック制御部は、
前記送信停止期間が解除されたことを示す信号を受信すると前記データ送信部に対するクロック供給を再開する、請求項3又は4記載の通信装置。
【請求項6】
前記データ送信部は、
電源の供給を停止し動作を停止させることができる回路を含む電源分離領域と、常時電源の供給を必要とする回路を含む非電源分離領域とを有し、
前記クロック制御部からのクロック供給が停止された場合、前記電源分離領域に対する電源の供給を停止する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
対向装置に対するデータ送信の停止を指示するポーズフレームを受信し、
前記ポーズフレームを受信した場合、前記対向装置に対するデータ送信を停止し、
前記ポーズフレームにおいて指定される前記対向装置に対するデータ送信停止期間中は、前記対向装置に対してデータ送信を行うデータ送信部へのクロック供給を停止する、クロック制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−99006(P2012−99006A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247588(P2010−247588)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】