説明

通信装置及びレポート出力方法

【課題】レポート出力項目を出力先ごとに設定できる通信装置及びレポート出力方法を提供する。
【解決手段】レポートの出力先として選択可能なスキャン/プリントエンジン8、記憶媒体10及び通信制御部13を備えた通信装置であって、レポートとして出力する項目を、スキャン/プリントエンジン8、記憶媒体10及び通信制御部13に個別に出力項目設定として設定可能であり、レポートの出力先として選択された出力手段において、それぞれの出力項目設定に基づいて前記レポートを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用状況などのレポートを所望の出力形態で出力可能な通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ファクシミリ装置を始めとする通信装置では、通信ごとに通信履歴情報を作成し、それを通信管理レポート(以下、単にレポートともいう)として記録出力することができる。
【0003】
ユーザは、このレポートの内容を参照することで、種々の通信管理を行うことができる。
【0004】
このようなレポートの出力機能を備えた通信装置に関する従来技術としては、特許文献1に開示される「画像形成装置及び制御プログラム」がある。
特許文献1に開示される発明は、レポートの出力先と出力項目とを独立して設定可能な画像形成装置である。これによりユーザは、任意の出力先において任意の項目を含んだレポートを出力させることができる。
【特許文献1】特開2007−106064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、レポートの出力先や出力項目は、常に同一の条件が求められるわけではない。例えば、通信を受信した時間帯によって出力先や出力項目を変更することが望まれる場合もある。
特許文献1に開示される発明は、1回のレポートに対して一つの出力パターン(出力先と出力項目との組み合わせ)しか設定できなかった。
【0006】
本発明係る問題に鑑みてなされたものであり、レポート出力項目を出力先ごとに設定できる通信装置及びレポート出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、第1の態様として、レポートの出力先として選択可能な出力手段を複数備えた通信装置であって、レポートとして出力する項目を、複数の出力手段に個別に出力項目設定として設定可能であり、レポートの出力先として選択された各出力手段において、それぞれの出力項目設定に基づいてレポートを出力することを特徴とする通信装置を提供するものである。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第2の態様として、レポートの出力先として選択可能な出力手段を複数備えた通信装置におけるレポート出力方法であって、レポートとして出力する項目を、複数の出力手段に個別に出力項目設定として設定し、レポートの出力先として選択された各出力手段において、それぞれの出力項目設定に基づいてレポートを出力することを特徴とするレポート出力方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レポート出力項目を出力先ごとに設定できる通信装置及びレポート出力方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る通信装置のハードウェア構成を示す。通信装置は、CPU1、RAM2、ROM3、NVRAM4、パネル制御部5、操作パネル6、エンジン制御部7、スキャン/プリントエンジン8、ディスクドライバ9、記憶媒体10、外部インタフェース(I/F)11、モデム12、通信制御部13、及びデータバス14を有する。
【0011】
CPU1は装置全体の制御を司り、他の各部とはデータバス14を介して接続されている。RAM2は、一時的な記憶場所として利用される。ROM3は、プログラム、フォント、及びその他の静的なデータが格納されている。NVRAM4は、不揮発のデータを格納する。パネル制御部5及び操作パネル6は、ユーザインタフェースを実現する。エンジン制御部7及びスキャン/プリントエンジン8は、イメージデータの入出力ユニットとして、紙原稿の読み取りと転写紙への印刷とを行う。ディスクドライバ9及び記録媒体10は、大量のイメージデータの蓄積場所、及びデータベースの記憶場所として用いられる。外部I/F11は、セントロニクスなどのインタフェースを介して本体機器外部との通信を可能とする。モデム12は、固定電話回線を介しての外部機器との通信を可能とする。通信制御部13は、イーサネット(登録商標)や無線LANなどのネットワークに接続され外部機器との通信を可能とする。
【0012】
図2に操作パネル6の構成を示す。操作パネル6は、メイン表示領域61、出力先ごとの出力項目ボタン62、代替出力先ごとの出力項目ボタン63を有する。メイン表示領域61には、「出力先ごとの出力項目設定画面」や「代替出力先ごとの出力項目設定画面」が表示される。出力先ごとの出力項目ボタン62は、メイン表示領域61に「出力先ごとの出力項目設定画面」を表示させるためのボタンである。代替出力先ごとの出力項目ボタン63は、メイン表記領域61に「代替出力先ごとの出力項目設定画面」を表示させるためのボタンである。
【0013】
図3に、出力先ごとの出力項目設定画面の一例を示す。ここでは出力先として、「印刷」、「メール」、「蓄積」の3種類が選択可能である。
それぞれの出力先に関して、独自設定・同様設定選択ボタンR1、時間帯設定ボタンR2、時間帯独自設定・同様設定選択ボタンR3、及び項目設定ボタンR4が設けられている。
独自設定・同様設定選択ボタンR1は、ある出力先に関して、レポート出力の設定を独自の設定とするか他の出力先と同様の設定とするかを選択するためのボタンである。時間帯設定ボタンR2は、時間帯ごとに設定を変更するか否かを選択するためのボタンである。時間帯独自設定・同様設定選択ボタンR3は、時間帯ごとに設定を変更することが選択されている場合に、各時間帯について独自の設定とするか他の出力先と同様の設定とするかを選択するためのボタンである。項目設定ボタンR4は、各項目(ここではTSI(Transmitting Subscriber Information)、受信日時、受信枚数)について出力するか否かを設定するためのボタンである。
なお、ここでは、白地のボタンは表示されている内容で設定が有効となっている状態を、黒地のボタンは表示されている内容で設定が有効とはなっていない状態を示すものとする。
【0014】
図4に、代替出力先ごとの出力項目設定画面の一例を示す。図3と同様に、出力先として、「印刷」、「メール」、「蓄積」の3種類が選択可能である。それぞれの出力先に関して、独自設定・同様設定選択ボタンA1、時間帯設定ボタンA2、時間帯独自設定・同様設定選択ボタンA3、及び項目設定ボタンA4が設けられている。各ボタンの機能は、図3に示した出力先ごとの出力項目設定画面の同名のボタンと同様である。
【0015】
出力先ごとの出力項目設定画面又は代替出力先ごとの出力項目設定画面においてなされた操作の内容は、操作パネル6→パネル制御部6→データバス14→NVRAM4の経路でNVRAM4に格納される。
【0016】
図5に、NVRAM4に格納される設定情報のデータ構造の一例を示す。
機器の設定として、1又は複数のレポートの出力先が設定される。図示する例では出力先として「印刷」、「メール」、「蓄積」の三つが設定されている。それぞれの出力先は、リンク可能となっており、独自設定・同様設定選択ボタンR1を用いて同様設定がなされた場合にはリンクが形成される。例えば、図3においては「蓄積」に関して「メールと同様」という設定がなされているため、「メール時設定」と「蓄積時設定」とにリンクが形成される。このようなリンクを形成することにより、レポートを「蓄積」する際にメール出力用の設定を参照することが可能となる。
各設定に関して、時間帯設定の有無が登録されており、時間帯設定がある場合には、時間帯ごとの設定が登録される。なお、時間帯ごとの設定はリンク可能となっており、時間帯独自設定・同様設定選択ボタンR3を用いて同様設定がなされた場合にはリンクが形成される。例えば、図3においては、印刷の(1)の時間帯では「メールの(1)と同様」との設定がなされているため、印刷の1番目の時間帯の設定と、メールの1番目の時間帯の設定とにリンクが形成される。このようなリンクを形成することにより、印刷の1番目の時間帯において、メールの1番目の時間帯の設定を参照することが可能となる。
各出力先には、他の設定を参照しない各時間帯についてレポートの出力項目が登録される。また、レポートの出力に失敗した場合の代替出力先が登録される。
【0017】
図6に、出力先及び出力項目の設定時の通信装置の動作の流れを示す。
まず、独自設定・同様設定選択ボタンR1を操作して、独自設定とするか同様設定とするかを選択する(ステップS101)。同様設定とすることを選択した場合(ステップS102/Yes)、参照先の設定が既に完了しているか否かを確認する(ステップS103)。参照先の設定が既に完了している場合は(ステップS103/Yes)、その設定内容を確認する(ステップS104)。参照先の設定が未完了の場合(ステップS103/No)、又は、参照先の設定内容が現在設定中の設定内容を参照する(換言すると、互いに参照し合う)ものである場合(ステップS104/Yes)、CPUはその同様設定を受け付けず、ステップS101へ戻って再設定を要求する。なお、二つの設定が直接参照し合う場合だけでなく、3以上の設定が間接的に参照し合う場合(印刷…メールと同様、メール…蓄積と同様、蓄積…印刷と同様)も、CPU1はそのような同様設定を拒否する。
参照先の設定が既に完了しており(ステップS103/Yes)、かつその設定内容が互いに参照し合う内容ではない場合は(ステップS104/No)、その内容で同様設定を有効として処理を終了する(ステップS105)。
【0018】
一方、独自設定とすることを選択した場合(ステップS102/No)、CPU1は時間帯設定ボタンR2による時間帯設定の有無を受け付ける。
【0019】
時間帯設定が無い場合は(ステップS106/No)、CPU1は項目設定ボタンR4による出力項目の設定を受け付ける(ステップS107)。
【0020】
時間帯設定がある場合(ステップS106/Yes)、CPU1は時間帯独自設定・同様設定選択ボタンR3による設定の入力を待機する(ステップS108)。
同様設定とすることを選択した場合(ステップS109/Yes)、参照先の設定が既に完了しているか否かを確認する(ステップS110)。参照先の設定が既に完了している場合は(ステップS110/Yes)、その設定内容を確認する(ステップS111)。参照先の設定が未完了の場合(ステップS110/No)、又は、参照先の設定内容が現在設定中の設定内容を参照するものである場合(ステップS111/Yes)、CPUはその同様設定を受け付けず、再設定を要求する(互いに参照し合う設定は拒否する)。
参照先の設定が既に完了しており(ステップS110/Yes)、かつその設定内容が互いに参照し合う内容ではない場合は(ステップS111/No)、その時間帯に関して同様設定を有効とする(ステップS112)。
【0021】
一方、独自設定とすることを選択した場合(ステップS109/No)、時間帯設定ボタンR2による時間帯設定の有無を受け付ける(ステップS113)。
【0022】
未設定の時間帯がある場合には(ステップS114/No)、その時間帯に関して上記の処理を繰り返す。全ての時間帯について設定が完了したら(ステップS114/Yes)レポートの出力先及び出力項目の設定を終了する。
【0023】
代替出力先の選択及び出力項目の設定の流れについては、標準のレポート出力先及び出力項目の設定の場合と同様であるため、説明は割愛する。
【0024】
図7に、レポート出力時の通信装置の動作の流れを示す。
まずCPU1は、機器の設定に従って、出力先を選出する(ステップS201)。すなわち、図4に示すように出力先として「印刷」、「メール」、「蓄積」が設定されている場合には、これらをレポートの出力先として選出する。
次に、CPU1は、選出した出力先の一つを選択する(ステップS202)。CPU1は、選択した設定が独自設定であるか同様設定であるかを確認する(ステップS203)。同様設定であれば(ステップS203/No)、参照する設定を読み込みレポートを出力する(ステップS204)。
独自設定であるならば(ステップS203/Yes)、CPU1は時間帯設定がなされているか否かを確認する(ステップS205)。時間帯設定がなされているならば(ステップS205/Yes)、受信時刻における設定が独自設定であるか同様設定であるかを確認する(ステップS206)。同様設定であれば(ステップS206/No)、参照する設定を読み込みレポートを出力する(ステップS204)。独自設定であるならば(ステップS206/Yes)、それに設定されている出力項目に従ってレポートを出力する(ステップS207)。
【0025】
レポート出力後、CPU1はレポートの出力が正常に行われたかを確認する(ステップS208)。出力に失敗した場合(ステップS208/No)、CPU1は代替出力中であるか否かを確認する(ステップS209)。代替出力中でなければ(ステップS209/No)、CPU1は代替出力先を選択する(ステップS210)。そして、ステップS203以降の処理を再び行ってレポートの代替出力を試みる。
なお、代替出力先として選択しようとする出力先が標準のレポート出力時に失敗しているものである場合には、CPU1はその代替出力先を選択せず、次の候補の処理に移っても良い。例えば、代替出力先として「メール」が設定されているとしても、標準出力時に「メール」の出力に失敗しているならば、代替出力を行わないようにして次の候補の選択に移るようにすることも可能である。
【0026】
代替出力中である場合は(ステップS209/Yes)、代替出力の代替出力は行わず、次の出力先を選択する(ステップS202)。
【0027】
上記の処理を機器に設定されている各出力先について行い、全ての出力先についてレポートの出力を試みたら(ステップS211/Yes)処理を終了する。
【0028】
このように、本実施形態に係る通信装置は、レポート出力項目を出力先ごとに設定できるため、複数の出力先へレポートを出力する場合でも、設定をその都度変える必要がない。
【0029】
また、独自のレポート出力項目を設定するか、他の出力先の設定を用いるかを出力先ごとに設定し、受信時には出力先ごとにこの設定に従ってレポートを出力できる。このため、複数の出力先に出力するレポートについて、同様の内容を出力先ごとに繰り返して設定する必要がない。
【0030】
また、時間帯設定を行った場合には、受信時刻に応じてレポート出力項目の設定を変えることが可能である。そして、時間帯設定を行う場合には、独自のレポート出力項目を設定するか、他の出力先の設定を用いるかを時間帯ごとに設定し、受信時には時間帯に応じた設定に従ってレポートを出力できる。
【0031】
また、ある出力先でのレポートの出力に失敗した場合でも、予め設定しておいた代替出力先への出力を試みるため、レポートが確実に出力され、利便性が向上する。代替出力時の出力項目に関しては、標準のレポート出力時と同様とすることも独自に設定することも可能である。代替出力時の出力項目を標準のレポート出力と同様と設定できることにより、同様の内容を繰り返して設定する必要が無くなる。また、代替出力時の出力項目を独自に設定することにより、セキュリティを向上させることができる。代替出力に関しても時間帯ごとに異なる設定を可能とすることで、受信時刻に応じてレポート出力項目を変えてセキュリティを向上させることが可能である。
【0032】
なお、上記実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれに限定されることなく様々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の好適な実施の形態に係る通信装置のハードウェア構成を示す図である。
【図2】操作パネルの一例を示す図である。
【図3】出力先ごとの出力項目設定画面の一例を示す図である。
【図4】代替出力先ごとの出力項目設定画面の一例を示す図である。
【図5】NVRAMに格納される設定情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図6】出力先及び出力項目の設定時の通信装置の動作の流れを示す図である。
【図7】レポート出力時の通信装置の動作の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 CPU
2 RAM
3 ROM
4 NVRAM
5 パネル制御部
6 操作パネル
7 エンジン制御部
8 スキャン/プリントエンジン
9 ディスクドライバ
10 記憶媒体
11 外部I/F
12 モデム
13 通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レポートの出力先として選択可能な出力手段を複数備えた通信装置であって、
前記レポートとして出力する項目を、前記複数の出力手段に個別に出力項目設定として設定可能であり、
前記レポートの出力先として選択された各出力手段において、それぞれの出力項目設定に基づいて前記レポートを出力することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
任意の出力手段における出力項目設定を、他の出力手段における出力項目設定と同様に設定可能であることを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記出力項目設定を、2以上の時間帯に個別に設定可能であり、通信の受信時刻に応じた前記出力項目設定に基づいて前記レポートを出力することを特徴とする請求項1又は2記載の通信装置。
【請求項4】
任意の時間帯における任意の出力手段における出力項目設定を、他の出力手段における出力項目設定と同様に設定可能であることを特徴とする請求項3記載の通信装置。
【請求項5】
前記レポートを出力できなかった場合の代替出力先を、前記出力手段のそれぞれについて設定可能であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載の通信装置。
【請求項6】
前記代替出力先において前記レポートとして出力する項目を、他の出力手段における出力項目設定と同様に設定可能であることを特徴とする請求項5記載の通信装置。
【請求項7】
前記代替出力先において前記レポートとして出力する項目を、前記複数の出力手段に個別に設定可能であることを特徴とする請求項6記載の通信装置。
【請求項8】
前記代替出力先において前記レポートとして出力する項目を、2以上の時間帯に個別に設定可能であり、通信の受信時刻に応じた項目で前記レポートを出力することを特徴とする請求項5から7のいずれか1項記載の通信装置。
【請求項9】
任意の時間帯、任意の代替出力先において前記レポートとして出力する項目を、他の出力手段と同様に設定可能であることを特徴とする請求項8記載の通信装置。
【請求項10】
レポートの出力先として選択可能な出力手段を複数備えた通信装置におけるレポート出力方法であって、
前記レポートとして出力する項目を、前記複数の出力手段に個別に出力項目設定として設定し、
前記レポートの出力先として選択された各出力手段において、それぞれの出力項目設定に基づいて前記レポートを出力することを特徴とするレポート出力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−50889(P2010−50889A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215336(P2008−215336)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】