説明

通気部材

【課題】単位時間あたりの通気量が大きい通気部材を提供する。
【解決手段】本発明の通気部材300は、筒状部品102と、通気フィルタ19と、カバー部品110とを備える。筒状部品102の内部に形成された通気路BR1,BR2は、対象物の内部空間に直接つながるべき第1の通気路BR1と、その第1の通気路BR1から分離された第2の通気路BR2とを含む。通気フィルタ19は、少なくとも第1の通気路BR1に基づく開口103を塞ぐように筒状部品102に取り付けられている。カバー部品110と通気フィルタ19との間の空隙TH及び通気フィルタ19を介して、第1の通気路BR1と第2の通気路BR2との間をガスが流通可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気性及び防水性を有する通気フィルタを応用した通気部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1,2に記載されているように、自動車の機器(ランプ類、モータ、センサ、スイッチ、ECUなど)に使用されている通気部材は、通気性、防塵性及び防水性を兼ね備えた通気フィルタ(通気膜)を応用したものである。昨今では、移動体通信機器、カメラ、電気剃刀、電動歯ブラシといった電気機器にもこうした通気部材の採用が検討され始めている。
【0003】
上記のような通気部材は、機器内部への塵や水の侵入を防止しつつ、機器内部と外部との圧力差の解消、音声の伝搬、又は機器内部で発生するガスの放出といった役割を担う。例えば自動車のヘッドライトは、気温の変化によって曇りが生じたりすることがあるが、こうした曇りの発生を防止又は解消する目的で通気部材が採用されている。
【特許文献1】特開平10−085536号公報
【特許文献2】特開2001−143524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、防塵防水性能が同一ならば、機器内部と外部との圧力差の解消に要する時間、又は機器内部で発生するガスの放出に要する時間が短い通気部材ほど高性能といえる。これらの時間を短縮するには、通気部材の単位時間あたりの通気量を大きくすればよい。
【0005】
しかしながら、通気部材の通気量を大きくすることは容易ではない。通気量のボトルネックになっているのは、通気抵抗の大きい通気フィルタであるが、通気フィルタは既に手を加えることができないほど改良しつくされている。
【0006】
無論、通気部材自体のサイズを大きくすれば通気量も比例して大きくなるが、通気部材のサイズ変更は、相手側(機器側)の設計変更が必要になったりするので簡単には採用できない。
【0007】
さらに、近年は、水滴や塵芥等の異物に対する耐久性により優れる通気部材が求められている。例えば、自動車のランプやECUの筐体に用いる通気部材として、洗車、特に高圧洗車にも耐えることができ、筐体内部への水の侵入を完全に防ぐことができる通気部材が求められている。
【0008】
上記のような事情に鑑み、本発明は、単位時間あたりの通気量がより大きい通気部材を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、水滴や塵芥等の異物に対する耐久性により優れる通気部材を提供することを他の1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は、換気を要する対象物のための通気路が内部に形成された筒状部品と、筒状部品の一方の開口部に配置される通気フィルタと、内側に筒状部品が嵌め込まれるカバー部品とを備え、筒状部品は、対象物を接続する側の開口部である接続側開口部と、通気フィルタで塞がれた開口部であるフィルタ側開口部と、接続側開口部とフィルタ側開口部との間に位置する胴部とを含み、カバー部品は、筒状部品を通気フィルタの側から内側に嵌め込んだ装着状態となったときに通気フィルタに向かい合う底部と、フィルタ側開口部及び胴部を外側から取り囲むように底部から延びている側壁部とを含み、装着状態でカバー部品の底部と通気フィルタとの間、及びカバー部品の側壁部と筒状部品の胴部との間に、外部に通ずる通気路として機能する空隙が形成され、通気フィルタの厚さ方向に垂直な面内方向に関するフィルタ側開口部の開口面積が、面内方向に関する接続側開口部の開口面積よりも大となっている通気部材を提供する。
【0011】
先に説明したように、本発明の通気部材が適用される対象物(例えば自動車のヘッドライトやECU)は、通気部材のためだけに設計変更する余裕がない場合がほとんどである。したがって、通気部材の接続側開口部については、寸法等の変更が許されないのが通常である。しかしながら、通気フィルタを取り付ける側には改善の余地がある。すなわち、上記本発明の通気部材は、筒状部品の両端の開口部のうち、通気フィルタを取り付ける側の開口部であるフィルタ側開口部の開口面積を意図的に大きくしたものである。このようにすれば、接続側開口部の寸法変更を伴うことなく、換気に寄与する通気フィルタの面積を拡大することが可能である。通気フィルタの面積が拡大すれば、その拡大量に比例して単位時間あたりの通気量が大きくなる。
【0012】
また、本発明の通気部材は、筒状部品の胴部の内壁を段付き形状又はテーパ形状とし、この段付き形状又はテーパ形状に基づいて、接続側開口部とフィルタ側開口部とに開口面積差を付与することができる。このようにすれば、カバー部品の寸法拡大を伴うことなく、大きい面積の通気フィルタを採用することが可能である。
【0013】
また、カバー部品は、筒状部品をカバー部品の内側に嵌め込んだ装着状態となったときにフィルタ側開口部に沿って筒状部品を支持する複数のスペーサを含むものとすることができる。複数のスペーサによって、カバー部品の底部と通気フィルタ全体との密着が阻止されて、カバー部品の底部と通気フィルタとの間の空隙が確保することができる。このようにすれば、カバー部品によって塵、水滴および物理的ショックから通気フィルタを確実に保護できるとともに、カバー部品と通気フィルタとの間に通気路としての空隙を形成することができる。また、筒状部品を支持するスペーサを分散形態で設けることにより、隣り合うスペーサ間を通気路として利用することができる。
【0014】
より好適な態様において、筒状部品の胴部は、内側胴部と、その内側胴部を取り囲む外側胴部とを含むものとすることができる。そして、通気フィルタの厚さ方向を軸線方向とし、軸線方向におけるフィルタ側開口部の位置する側を前方側、接続側開口部の位置する側を後方側と定義したとき、内側胴部の前方側端部を外側胴部の前方側端部よりも後方側に引き下がって位置させることにより、外側胴部の前方側端部を通気フィルタの取り付けられた薄肉のフィルタ側開口部として構成することができる。さらに、内側胴部と外側胴部との間には、両者と一体形成された連結部を周方向の複数箇所に設けることができる。すると、隣り合う連結部間には、軸線方向の前方側に開放して当該筒状部品の筒内空間に通ずる空隙が形成される。このようにすれば、開口面積の変化を生じさせつつ、内側胴部と外側胴部との間に空隙を形成することができる。このことは、筒状部品の成形時間(具体的には冷却時間)の短縮化につながるので、生産効率の向上に基づくコストの低減を期待できる。
【0015】
また、軸線方向の後方側においては、内側胴部と外側胴部とが全周に渡って直接つながった構造とすることができる。このようにすれば、接続側開口部の肉厚を十分に稼ぐことが可能であり、換気を行うべき機器等への取り付けを確実なものとすることができる。
【0016】
また、カバー部品と筒状部品との少なくとも一方は、装着状態で筒状部品とカバー部品の側壁部との間の周方向複数箇所に位置する固定片を含むものとすることができる。そして、隣り合う固定片間に、外部と通ずる通気路として機能する空隙を形成するとともに、筒状部品と固定片との少なくとも一方の弾性変形によって、カバー部品と筒状部品との相対位置決めを行うことができる。上記のような固定片によれば、カバー部品と筒状部品との相互固定を容易に行うことができるとともに、カバー部品と筒状部品との間の通気路が自然に形成される。
【0017】
具体的には、カバー部品及び筒状部品のうち、一方の素材をエラストマーとし、他方の素材をゴム弾性を有さない樹脂又は金属とすることができる。より好ましくは、筒状部品をエラストマーによって形成し、カバー部品を硬質な樹脂によって形成することである。さらに、筒状部品をカバー部品に嵌め込んだ装着状態で、筒状部品に接触する固定片をカバー部品の側壁部の周方向複数箇所に配置する。このようにすれば、上記装着状態で、筒状部品は固定片から外力を受けて弾性変形する。筒状部品の弾性復帰力により、筒状部品とカバー部品とを相互に固定することができる。
【0018】
他の側面において、本発明は、換気を要する対象物のための通気路が内部に形成された筒状部品と、筒状部品に取り付けられた通気フィルタと、筒状部品を通気フィルタの側から内側に嵌め込んだ装着状態となったときに通気フィルタとの間に空隙を形成するカバー部品とを備え、筒状部品の内部に形成された通気路は、対象物の内部空間に直接つながるべき第1の通気路と、その第1の通気路から分離された第2の通気路とを含み、通気フィルタは、少なくとも第1の通気路に基づく開口を塞ぐように筒状部品に取り付けられ、空隙及び通気フィルタを介して、第1の通気路と第2の通気路との間をガスが流通可能となっている通気部材を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の通気部材の断面斜視図。
【図2】図1の通気部材の斜視図。
【図3】換気を行うべき機器の筐体に図1及び図2の通気部材を取り付けた状態を示す断面図。
【図4】筒状部品の変形例を示す断面図。
【図5】フィルタ側開口部から見た筒状部品の斜視図。
【図6】図1の断面図とは異なる切り口の筒状部品の断面斜視図。
【図7】筒状部品を嵌め込む側から見たカバー部品の斜視図。
【図8】図7とは反対側から見たカバー部品の斜視図。
【図9】第二実施形態の通気部材の断面斜視図。
【図10】図9の通気部材の斜視図。
【図11】フィルタ側開口部から見た筒状部品の斜視図。
【図12】接続側開口部から見た筒状部品の斜視図。
【図13】筒状部品を嵌め込む側から見たカバー部品の斜視図。
【図14】図13とは反対側から見たカバー部品の斜視図。
【図15】第三実施形態の通気部材の分解斜視図。
【図16】図15に示す通気部材の縦断面図。
【図17】図15及び図16の通気部材の変形例を示す縦断面図。
【図18】他の好適な筒状部品の斜視図。
【図19】同じく他の好適な筒状部品の斜視図。
【図20】同じく他の好適な筒状部品の斜視図。
【図21】同じく他の好適な筒状部品の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第一実施形態)
図1は、本発明の通気部材の断面斜視図である。図2は、図1の通気部材の斜視図である。図3は、換気を行うべき機器の筐体に図1及び図2の通気部材を取り付けた状態を表す断面図である。図3に示すごとく、通気部材100を機器の筐体51に設けられたノズル状のフィルタ被取付部53に取り付けることにより、水滴等の異物の侵入を阻止しつつ筐体51内の換気を行うことができる。また、筐体51内の圧力を外部の圧力に等しく保つことができる。
【0021】
図1、図2及び図3に示すごとく、通気部材100は、筒状部品11、通気フィルタ19及びカバー部品31を備えている。ただし図1では通気フィルタ19を省略している。筒状部品11は略円筒形状をなし、機器の筐体51に直接つながる通気路AR1を、筒内の空間によって作りだす。通気フィルタ19は、筒状部品11の一方の開口部15に取り付けられている。カバー部品31は、通気フィルタ19を取り付けた筒状部品11が通気フィルタ19の側から嵌め込まれる部品である。図1及び図3に示すごとく、筒状部品11の両端の開口部のうち、通気フィルタ19によって塞がれた開口部であるフィルタ側開口部15の開口面積S2は、筐体51のフィルタ被取付部53を接続する開口部である接続側開口部13の開口面積S1よりも大きい。このようにすることで、通気フィルタ19の有効面積を最大限に拡大し、単位時間あたりの通気量を高めることが可能となる。
【0022】
通気フィルタの有効面積とは、通気フィルタ19のうち、筒状部品11の内外の通気に実際に寄与する部分の面積を意味する。また、通気フィルタ19の厚さ方向に垂直な方向を面内方向WLと定義したとき、筒状部品11の開口面積は、その面内方向WLに関する開口面積で表すものとする。図1等から分かるように、通気フィルタ19の厚さ方向は、筒状部品11の中心軸線Oに平行な方向と一致する。中心軸線Oに平行な方向を軸線方向ともいう。また、中心軸線Oに平行な方向に関し、フィルタ側開口部15の位置する側を前方側(図3では下方)、接続側開口部13の位置する側を後方側(図3では上方)とする。
【0023】
以下、個別の部品の詳細な説明を行いつつ、各部品を組み付けた状態での通気部材100の構造に言及する。
【0024】
図1及び図3に示すごとく、筒状部品11は、換気を行う機器を接続する開口部である接続側開口部13と、通気フィルタ19を取り付ける開口部であるフィルタ側開口部15と、接続側開口部13とフィルタ側開口部15とをつなぐ胴部17とで構成されている。胴部17の内部は、接続側開口部13とフィルタ側開口部15とを貫く貫通孔になっており、その貫通孔が通気路AR1を構成している。接続側開口部13の内周部分には、ノズル状のフィルタ被取付部53を差し込みやすいようにテーパTPを付けている。フィルタ側開口部15は、中心軸線Oを中心とした開口径が接続側開口部13よりも大きく、半径方向の肉厚が接続側開口部13よりも薄い。
【0025】
なお、接続側開口部13の開口径は、テーパTPの内周縁の開口径を表すものとする。これは、テーパTPがノズル状のフィルタ被取付部53の取付容易性を考慮して設けられたものであり、接続側開口部13の開口径は、フィルタ被取付部53との接続に実質的に寄与している位置で論ずるべきだからである。
【0026】
図5及び図6に示すごとく、筒状部品11の胴部17は、内側胴部171と、その内側胴部171を取り囲む外側胴部173とで構成されている。内側胴部171と外側胴部173とは中心軸線Oを共有した同心状の配置となっている。ただし外側胴部173は内側胴部171よりも前方側にやや延び出た形状を有している。すなわち、外側胴部173の前方側端部がフィルタ側開口部15を構成している。このような配置関係を満足する結果、筒状部品11の胴部17の内壁は段付き形状を示す。段付き形状を有した胴部17は、中心軸線Oに平行な方向に関する所定位置で、面内方向WLの開口面積に段階的変化を生ずる。すなわち、胴部17の段付き形状に基づき、接続側開口部13とフィルタ側開口部15との開口面積差ΔS(=S2−S1)を作り出すことができる。
【0027】
また、筒状部品11は、内側胴部171と外側胴部173とをつなぐ複数の連結部43を含む。連結部43は、内側胴部171と外側胴部173との間に位置するとともに、両者と一体形成された部分である。本実施形態では、周方向の複数箇所に等角度間隔で連結部43を設けるようにしている。したがって、隣り合う連結部43,43間には、空隙SHが形成される。空隙SHは、前方側に開放して筒状部品11の内部の通気路AR1に通じている。一方、内側胴部171と外側胴部173とは、後方側において周方向の全体でつながっている。接続側開口部13の開口径は、内側胴部171の内径に対応したものとなっている。
【0028】
上記のような筒状部品11は、公知の射出成形法で樹脂を成形することによって作製することができる。図5及び図6に示すごとく、内側胴部171と外側胴部173との間に空隙SHを設けることにより、射出成形時の冷却時間を大幅に短縮することが可能となる。本発明者らの知見によれば、空隙SHを設けない形態と本実施形態とで、冷却時間に2倍程度の差が生じる。すなわち、本実施形態のようにすれば、生産性の向上に基づくコスト低減効果を期待できる。
【0029】
また、本実施形態では、筒状部品11の素材として熱可塑性エラストマーを採用している。筒状部品11の素材として使用できる熱可塑性エラストマーの種類としては、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系又はフッ素系の熱可塑性エラストマーを例示することができる。これらの熱可塑性エラストマーは、いずれも耐熱性、耐候性及び耐薬品性に優れるので好適である。
【0030】
また、筒状部品11を構成する熱可塑性エラストマーは、70℃22時間(JIS K6301)における圧縮永久歪みが70%以下(好ましくは50%以下)、かつA形スプリング式硬さ試験機における硬度が100以下(好ましくは80以下)であることが望ましい。圧縮永久歪みが大きすぎると、振動や温度変化によって機器のフィルタ被取付部53(図3参照)と筒状部品11との間に隙間が生じやすくなる。また、硬度が大きすぎると、フィルタ被取付部53に筒状部品11を取り付けにくくなる。さらに本実施形態では、接続側開口部13の肉厚を、内側胴部171の肉厚と外側胴部173の肉厚とを合計した肉厚以上に調整しているので、図3のごとくノズル状のフィルタ被取付部53を差し込んだ場合に、フィルタ被取付部53に十分な緊縮力が働く。したがって、フィルタ被取付部53から通気部材100が簡単には脱落しない。
【0031】
次に、筒状部品11のフィルタ側開口部15に固定する通気フィルタ19は、防塵性、防水性及び通気性を兼ね備えた素材によって構成することができる。水滴の侵入を防ぐ程度であれば、繊維素材からなる織布、不織布、ネット、孔径10μm以上の粉末焼結多孔質体又は発泡体を通気フィルタ19として使用することができる。また、これらの素材を複数種類組み合わせて使用してもよいし、多層化したものを使用してもよい。表面が親水性である場合には、フッ素系やシリコン系などの撥水撥油剤でコーティングするようにしてもよい。
【0032】
高い防水性が必要な場合には、公知の延伸法、抽出法によって製造することができる樹脂多孔質膜を用いることができる。こうした多孔質膜の孔径は10μm以下とすることができる。必要に応じて、前述の撥水撥油剤をコーティングするようにしてもよい。十分な防水性を期待するという観点から、多孔質膜の平均孔径は、0.01μm以上10μm以下であることが望ましい。本実施形態では、ポリテトラフルオロエチレンからなる多孔質膜を通気フィルタ19として使用している。また、本実施形態では通気フィルタ19を筒状部品11のフィルタ側開口部15に熱溶着しているが、接着剤を用いるなどの他の手段で固定してもよい。さらに、通気フィルタ19を筒状部品11に固定せず、カバー部品31に装着しておくようにしてもよい。
【0033】
図7は、筒状部品を嵌め込む側から見たカバー部品の斜視図である。図8は、図7とは反対側から見たカバー部品の斜視図である。図7及び図8に示すごとく、カバー部品31は、略円形状の底部35及び筒状の側壁部39によって構成され、全体としては水滴等が通気フィルタ19に直接付着することを防ぐのに適したキャップ状の形態を有している。カバー部品31の底部35には、通気フィルタ19と向かい合う側に突起状のスペーサ33が配置されている。スペーサ33は、円形状の底部35の周方向の複数箇所(3箇所以上)に一定の角度間隔で配置されている。図1及び図3に示すごとく、筒状部品11をカバー部品31に嵌め込んだ装着状態において、スペーサ33はフィルタ側開口部15に沿って筒状部品11を支持し、通気フィルタ19がカバー部品31の底部35に密着することを阻止する。この結果として、通気路AR2として機能する隙間が形成される。
【0034】
また、カバー部品31の側壁部39には、筒状部品11を固定するための複数(3以上)の固定片37が、底部35のスペーサ33に対応する位置に設けられている。固定片37は、側壁部39の内周面に沿って後方側、すなわちカバー部品31が開口している方向にまっすぐ延びている。固定片37には、筒状部品11がカバー部品31に滑り込みやすくするためのテーパTSが付けられている。固定片37の内縁がスペーサ33の内縁よりも半径方向外側に位置するので、筒状部品11をカバー部品31に押し込んだとき、スペーサ33に接触するまで筒状部品11を前進させることができる。図3に示すごとく、筒状部品11をカバー部品31に嵌め込んだ装着状態では、カバー部品31の側壁部39が筒状部品11を周方向に取り囲む。中心軸線Oと平行な方向において、カバー部品31の固定片37は、フィルタ側開口部15と胴部17とにわたる広い範囲で筒状部品11を締め付ける。筒状部品11の弾性変形による緊縮力の発揮には、内側胴部171及び外側胴部173の双方が寄与するので、カバー部品31と筒状部品11との組み付けは強固なものとなる。
【0035】
上記のようなカバー部品31は、筒状部品11と同様に、公知の射出成形法で樹脂を成形することによって製造することができる。カバー部品31の素材は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ABSといったゴム弾性を有さない硬質な熱可塑性樹脂とすることができる。筒状部品11をエラストマー、カバー部品31を硬質な熱可塑性樹脂で形成することにより、筒状部品11を弾性変形させてカバー部品31の内側にしっかりと固定することができる。また、本実施形態では、弾性変形する筒状部品11に固定片を設けるのではなく、カバー部品31に固定片37を設けるようにしている。筒状部品11をカバー部品31に嵌め込んだ装着状態では、硬質な固定片37は中心軸線Oに向かう方向の強い力を筒状部品11に及ぼすため、カバー部品31から筒状部品11を引き抜くのに大きな力が必要となる。したがって、ネジ止め等の他の固定手段はもとより、脱落防止用のストッパさえ不要となる。また、本発明の通気部材100で採用する筒状部品11のように、フィルタ側開口部15の開口面積をなるべく確保するには、フィルタ側開口部15の肉厚が薄くなりがちである。フィルタ側開口部15の肉厚が不足すると、筒状部品11とカバー部品31とを固定するのに必要な弾性復帰力が弱くなると考えられるが、本実施形態のような固定片37によれば、そうした問題も生じにくい。さらに、図3に示すようにノズル状のフィルタ被取付部53を筒状部品11に差し込むと、筒状部品11の内側からも力が加わることになるから、カバー部品31だけ脱落するといった不具合が極めて起こりにくい。
【0036】
もちろん、カバー部品31をエラストマーで形成し、筒状部品11を硬質な樹脂で形成することも可能である。固定片を筒状部品11側に形成することも可能である。しかしながら、図3に示すごとく、換気対象である筐体51に設けられたノズル状のフィルタ被取付部53は、硬質な樹脂製か金属製である。したがって、筒状部品11をエラストマーで形成しておけば、こうしたフィルタ被取付部53に簡単に取り付けることが可能な通気部材100を提供できることになる。
【0037】
次に、機器の筐体51のフィルタ被取付部53に通気部材100を取り付けたときに、通気部材100がもたらす作用を説明する。今、筐体51の内圧が外圧よりも高い場合を考える。筐体51内のガス(空気)は、接続側開口部13より筒状部品11の通気路AR1に侵入する。ガスは、内側胴部171の前端面171aと通気フィルタ19との間の隙間にも広がる。通気フィルタ19を通過(透過)したガスは、通気フィルタ19とカバー部品31の底部35との間の通気路AR2に到達する。通気路AR2に達したガスは、隣り合う固定片37,37間に形成された通気路AR3を経由して、通気部材100の外部に拡散する。
【0038】
なお、図4に示すような筒状部品12を採用した通気部材101も好適である。通気部材101は、図1等で説明したのと同一のカバー部品31を備える。異なるのは、筒状部品12の内部構造である。
【0039】
図4に示す筒状部品12は、接続側開口部14の開口面積よりもフィルタ側開口部16の開口面積を大きくしたという点において、先に説明した筒状部品11と共通する。具体的に、筒状部品12は、中心軸線Oを含む断面(図4の断面)において、接続側開口部14とフィルタ側開口部16との間の胴部18の内周面18pが、中心軸線Oに対して一定角度傾いたテーパ面となっている。これにより、胴部18はフィルタ側開口部16の側に向かうほど拡径する形状になっている。このように内周面18pをテーパさせることによって両端の開口径(開口面積)を異ならせることができる。このような筒状部品12は、射出成形時の冷却時間という点では先の筒状部品11に及ばないものの、形状が比較的単純なので金型費用が安価に済むという利点がある。
【0040】
(第二実施形態)
図9は、本発明の通気部材の第二実施形態の断面斜視図である。図10は、図9の通気部材の斜視図である。ただし図9では通気フィルタ19を省略している。第二実施形態の通気部材200の適用対象及び機能は、第一実施形態で説明した通気部材100と同様である。フィルタ側開口部65の開口面積を接続側開口部63の開口面積よりも大きくし、これにより通気フィルタ19の有効面積の拡大を図り、単位時間あたりの通気量を高めるという点も共通する。先の実施形態との主要な相違点は、筒状部品61とカバー部品81との相対位置決めに重要な役割を果たす固定片97を、筒状部品61と一体形成した点である。
【0041】
図9及び図10に示すごとく、通気部材200は、筒状部品61、通気フィルタ19及びカバー部品81を備えている。筒状部品61は、換気を行う機器を接続する開口部である接続側開口部63と、通気フィルタ19を取り付ける開口部であるフィルタ側開口部65と、接続側開口部63とフィルタ側開口部65との間の胴部67とで構成されている。胴部67の内部は、接続側開口部63とフィルタ側開口部65とを貫く貫通孔になっており、その貫通孔が通気路AR4を構成している。図11及び図12に示すごとく、筒状部品61の胴部67は、貫通孔(通気路AR4)内に露出する段付面61pを有した段付き形状をなしている。段付面61pを境にして胴部67が拡径し、開口面積が大のフィルタ側開口部65と、開口面積が小の接続側開口部63とを作り出している。
【0042】
図13及び図14に示すごとく、カバー部品81は、第一実施形態のカバー部品31から固定片37を省略したものである。すなわち、カバー部品81の底部95には、スペーサ93が配置されている。スペーサ93に筒状部品61が着座することにより、通気フィルタ19が底部95に密着することが防止され、通気路AR5が形成される。
【0043】
図9及び図10に示すごとく、筒状部品61とカバー部品81とを固定する役割を担う固定片97は、段付面61pよりも後方側において、筒状部品61の胴部67の周方向複数箇所に一定角度間隔で設けられている。固定片97は、中心軸線O’を中心とした半径方向外向きに突出する形態を有している。外側方向への固定片97の突出量は、フィルタ側開口部65の外径よりも大きく調整されている。したがって、カバー部品81に筒状部品61を嵌め込んだ装着状態では、固定片97がカバー部品81の側壁部99の内周面に接触し、固定片97及び胴部67が弾性変形する。この結果として、筒状部品61に緊縮力が働き、筒状部品61はカバー部品81の内側に固定される。
【0044】
図9に示すごとく、筒状部品61をカバー部品81に嵌め込んだ装着状態では、通気フィルタ19(図示省略)とカバー部品81の底部95との間に通気路AR5が形成される。同様に、筒状部品61の外周面とカバー部品81の内周面との間に通気路AR6が形成される。通気フィルタ19を介して、通気路AR4と通気路AR5,AR6との間でガスが流通可能である。
【0045】
なお、通気フィルタ19、筒状部品61及びカバー部品81の素材に関する説明は、先の実施形態の説明を援用する。
【0046】
筒状部品とカバー部品とを固定するための固定片に関して言えば、第一実施形態のようにカバー部品側に設ける場合と、第二実施形態のように筒状部品側に設ける場合とがある。さらに、第一実施形態と第二実施形態との組み合わせの例として、筒状部品とカバー部品との各々に固定片を設けるようにしてもよい。
【0047】
(第三実施形態)
図15は、本発明の通気部材の第三実施形態の分解斜視図である。図16は、図15の通気部材の縦断面図である。
【0048】
図15及び図16に示すごとく、通気部材300は、筒状部品102、通気フィルタ19及びカバー部品110を備えている。筒状部品102は略円筒形状であり、その内部には、機器の筐体の内部空間に直接つながる第1の通気路BR1と、その第1の通気路BR1から分離された第2の通気路BR2とが形成されている。第1の通気路BR1は、機器の筐体の内部空間に直接つながる通気路である。第2の通気路BR2は、機器の筐体及び通気部材300の外部の空間に直接つながる通気路である。カバー部品110は、内側に筒状部品102が嵌め込まれる部品であって、通気フィルタ19との間に空隙THを形成する底部112と、筒状部品102を外側から取り囲むように底部112から延びている側壁部114と、筒状部品102が底部112に密着することを阻止して空隙THの形成を助けるスペーサ116とから構成されている。カバー部品110は、先に説明した実施形態と概ね共通の構造を有する。
【0049】
通気フィルタ19は、第1の通気路BR1に基づく開口103及び第2の通気路BR2に基づく開口104を塞ぐように、筒状部品102の一端に取り付けられている。そして、通気フィルタ19とカバー部品110との間の空隙TH及び通気フィルタ19を介して、第1の通気路BR1と第2の通気路BR2との間をガスが流通可能となっている。このようにすれば、第1の通気路BR1から第2の通気路BR2の方向又はその逆方向に向かうガスは、筒状部品102の内部及び通気フィルタ19を、それぞれ2回通ることになり、異物に対する耐久性により優れた通気部材を実現することが可能となる。
【0050】
また、図16の断面図に示すごとく、カバー部品110の側壁部114と筒状部品102は、周方向の全域にわたって隙間無く密着している。すなわち、本実施形態の通気部材300によれば、第2の通気路BR2を流通するガスのみが、機器の筐体の内外を往来できるようになっている。このようにすれば、カバー部品110と筒状部品102との隙間から異物が入り込むことがなくなるので、異物に対する耐久性がいっそう高まる。
【0051】
具体的に、筒状部品102は、第1の通気路BR1が形成された内側部分106と、その内側部分106との間に第2の通気路BR2を形成する外側部分108とを含む。内側部分106は、機器の筐体が直接接続される部分であり、外側部分108は、カバー部品110の側壁部114に直接密着する部分である。これら内側部分106及び外側部分108は、互いに同心状の配置をとっており、通気フィルタ19を取り付ける側において、内側部分106の端面と外側部分108の端面とが面一である。そして、第1の通気路BR1に基づく開口103と第2の通気路BR2に基づく開口104とが共通の通気フィルタ19で塞がれている。つまり、通気フィルタ19とカバー部品110との間の空隙THと第1の通気路BR1とが、通気フィルタ19によって隔てられるとともに、該空隙THと第2の通気路BR2とが、同じく通気フィルタ19によって隔てられている。このようにすれば、万が一、通気フィルタ19の一部に損傷が生じたとしても、第1の通気路BR1を塞いでいる領域部分と、第2の通気路BR2を塞いでいる領域部分とのいずれか一方が健在である限り、当該通気部材300の機能は失われず、問題なく使用を継続できる。
【0052】
また、内側部分106と外側部分108との間には、両者と一体形成された連結部109が周方向の複数箇所に設けられている。そして、隣り合う連結部109,109同士の間に複数の第2の通気路BR2が形成されている。このような連結部109によれば、内側部分106と外側部分108との間に、第2の通気路BR2を容易に確保することができる。連結部109は、内側部分106及び外側部分108と同様のエラストマーにて構成することができる。筒状部品102をカバー部品110の内側に嵌め込んだ際、連結部109が弾性変形することにより、カバー部品110の側壁部114と筒状部品102とが、周方向の全域にわたって隙間無く密着する。そのため、筒状部品102をカバー部品110の内側にしっかりと固定することが可能であるとともに、筐体51のフィルタ被取付部53(図3参照)への通気部材300の取り付けも確実に行えるようになる。さらに、カバー部品110のスペーサ116の位置を連結部109の位置に対応させる、つまり、スペーサ116の配置間隔と連結部109の配置間隔とを一致させるとよい。このようにすれば、第2の通気路BR2がスペーサ116によって塞がれてしまうことを防止できる。
【0053】
また、本実施形態では、筒状部品102の軸線Oを含むように第1の通気路BR1を中央に1つのみ形成し、その第1の通気路BR2を取り囲むように第2の通気路BR2を等角度間隔で複数箇所(5箇所)に形成している。第2の通気路BR2の形成数は、筒状部品102とカバー部品110との組み付け強度を考慮して調整することができ、例えば、2〜15箇所(好ましくは3〜8箇所)に形成することができる。また、筒状部品102とカバー部品110との組み付け強度を十分確保することと、省スペース化とを両立させるために、半径方向に関する内側部分106の肉厚及び外側部分108の肉厚は、それぞれ、例えば0.5mm以上1.0mm以下とすることができる。
【0054】
また、通気フィルタ19の厚さ方向を軸線方向とし、軸線方向における通気フィルタ19の位置する側を前方側、機器の筐体が位置するべき側を後方側と定義した場合、内側部分106の後方側端部106tが外側部分108の後方側端部108tよりも後方側に突出している。このようにすれば、通気部材300を機器の筐体に取り付けた際、該筐体と筒状部品102の外側部分108との距離を適度に確保することができる。この結果、筐体の表面に付着した水滴や油滴が表面張力の働きで筒状部品102の外側部分108に差し掛かり、第2の通気路BR2が水滴や油滴で塞がれたり入り込んだりすることを防止できる。なお、内側部分106の後方側端部106tの突出量hを、例えば0.5mm以上2mm以下に調整することにより、通気部材300全体の寸法をほとんど変更することなく、上記効果を十分に得ることができる。
【0055】
また、第1の通気路BR1に基づく開口103の面積と第2の通気路BR2に基づく開口104の面積との大小等は特に限定されず、下記(1)〜(3)のいずれのパターンも採用可能である。
(1)第1の通気路BR1に基づく開口103の面積を第2の通気路BR2に基づく開口104の面積(合計面積)よりも大きくする
(2)第1の通気路BR1に基づく開口103の面積を第2の通気路BR2に基づく開口104の面積(合計面積)よりも小さくする
(3)両面積を等しくする
【0056】
具体的には、第1の通気路BR1に基づく開口103の面積を20mm2以上130mm2以下(好ましくは30mm2以上60mm2以下)とし、第2の通気路BR2に基づく開口104の面積を5mm2以上140mm2以下(5mm2以上60mm2以下)とすることができる。ただし、本実施形態では、両方の通気路BR1,BR2を通気フィルタ19で塞いでいるため、一方の通気路に基づく開口の面積を他方の通気路に基づく開口の面積に比べて大きくしすぎると、通気抵抗の増大が懸念される。したがって、第1の通気路BR1に基づく開口103の面積S3と第2の通気路BR2に基づく開口104の面積S4との比(S3/S4)を、0.3以上(好ましくは0.8以上)とし、かつ両者の面積差の絶対値|S3−S4|を120mm2以下(好ましくは30mm2以下、より好ましくはゼロ)とすることが好ましい。
【0057】
また、図16の断面図には表していないが、筒状部品102の中心を貫く軸線Oを含む断面を観察したとき、筒状部品102の外周面及びカバー部品110の側壁部114の内周面が、軸線Oに対して若干傾斜したテーパ面となっていることが好ましい。このようにすれば、筒状部品102とカバー部品110との組み付け強度を高めることができるとともに、筐体51のフィルタ被取付部53(図3参照)と通気部材300との組み付け強度も高まる。好ましくは、上記断面に現れる筒状部品102の外周面(又はカバー部品110の側壁部114の内周面)と軸線Oのなす角度が2°以上15°以下(より好ましくは3°以上10°以下)とすることである。
【0058】
また、図17に示す通気部材300’のように、第1の通気路BR1に基づく開口103のみを通気フィルタ19で塞ぎ、第2の通気路BR2に基づく開口104を通気フィルタ19で塞がないようにしてもよい。このようにすれば、第2の通気路BR2は、通気フィルタ19を介することなく、通気フィルタ19とカバー部品110の底部112との間の空隙THに直接つながる。つまり、筐体の内部から外部又はその逆に向かうガスは、通気フィルタ19を1回のみ通過することになり、通気抵抗を低減することができるため、通気性能の向上を図ることができる。また、複数の第2の通気路BR2のうち、少なくとも1つを通気フィルタ19で塞ぐようにし、残りを図17の例のごとく塞がないようにしてもよい。
【0059】
また、図15〜図17で説明した筒状部品102に代えて、以下に説明する筒状部品を採用することができる。
【0060】
図18に示す筒状部品120は、第2の通気路BR2の形状を工夫したものである。すなわち、この筒状部品120では、第1の通気路BR1に基づく開口125の形状と、第2の通気路BR2に基づく開口126の形状とを、共通の円形としている。内側部分121に第1の通気路BR1が形成され、該内側部分121と外側部分122との間に第2の通気路BR2が形成されているという点は、既に説明した筒状部品と共通である。
【0061】
次に、図19に示す筒状部品130は、外側部分132が内側部分131よりも前方側に突出している。また、内側部分131と外側部分132とに介在する連結部138は、外側部分132と軸線方向における高さが概ね面一となっている。通気フィルタ19は、第1の通気路BR1に基づく開口135のみを塞ぐように、内側部分131に取り付けることができる。第2の通気路BR2に基づく開口136は、通気フィルタ19で塞がず、軸線方向の前方側に露出する。つまり、この連結部138は、カバー部品110と通気フィルタ19との間に空隙を形成するスペーサに兼用されている。このような構成によれば、カバー部品110のスペーサ116が不要である。
【0062】
また、筒状部品130は、半径方向外向きに突出するリング状のリブ137を外側部分132の外周面上に有する。このようなリブ137がカバー部品110の側壁部114との間に位置するようにすれば、筒状部品130とカバー部品110との組み付け強度を高めることができる。もちろん、このようなリブ137を、図15に示す筒状部品102や図18に示す筒状部品120に設けてもよい。また、このようなリブをカバー部品110の側壁部の内周面上に設けるようにしてもよい。リブ137は、1列のみ設けてもよいが、筒状部品130とカバー部品110との間に異物が入り込むことを防止するという観点から、図19の筒状部品130のごとく、軸線方向の上下に複数列設けることが好ましい。
【0063】
次に、図20に示す筒状部品140は、内側部分141が外側部分142よりも前方側に突出している。通気フィルタ19は、第1の通気路BR1に基づく開口145のみを塞ぐように、内側部分141に取り付けることができる。第2の通気路BR2に基づく開口146は、通気フィルタ19で塞がないようにすれば、高い通気性能を得ることができる。また、リブ147は、筒状部品140とカバー部品110との組み付け強度を高める。
【0064】
次に、図21に示す筒状部品150は、第1の通気路BR1及び第2の通気路BR2が、それぞれ、1箇所ずつ形成されたものである。第1の通気路BR1に基づく開口155の大きさは、これまで説明してきた筒状部品と同じであるが、第2の通気路BR2に基づく開口156の面積は若干小さくなっている。しかしながら、第1の通気路BR1に基づく開口155のみを塞ぐように、通気フィルタ19の寸法調整を行っており、第2の通気路BR2に基づく開口156は、通気フィルタ19で塞がれていない。したがって、この筒状部品150によっても優れた耐久性と良好な通気性能との両立を図ることが可能である。なお、この筒状部品150も、軸線方向の後方側に突出する内側部分151と、その内側部分151との間に第2の通気路BR2を形成する外側部分152とを有する。もちろん、リブ157を設けることができる。
【符号の説明】
【0065】
11,12,61,102,120,130,140,150 筒状部品
13,14,63 接続側開口部
15,16,65 フィルタ側開口部
17,18,67 胴部
171 内側胴部
173 外側胴部
19 通気フィルタ
31,81,110 カバー部品
33,93,116 スペーサ
35,95,112 底部
37,97 固定片
39,99,114 側壁部
43,109,138 連結部
51 筐体
53 フィルタ被取付部
106,121,131,141,151 内側部分
108,122,132,142,152 外側部分
100,101,200,300,300’ 通気部材
AR1,AR2,AR3,AR4,AR5,AR6,BR1,BR2 通気路
SH,TH 空隙
O,O’ 軸線
WL 面内方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気を要する対象物のための通気路が内部に形成された筒状部品と、
前記筒状部品に取り付けられた通気フィルタと、
前記筒状部品を前記通気フィルタの側から内側に嵌め込んだ装着状態となったときに前記通気フィルタとの間に空隙を形成するカバー部品とを備え、
前記筒状部品の内部に形成された前記通気路は、前記対象物の内部空間に直接つながるべき第1の通気路と、その第1の通気路から分離された第2の通気路とを含み、
前記通気フィルタは、少なくとも前記第1の通気路に基づく開口を塞ぐように前記筒状部品に取り付けられ、
前記空隙及び前記通気フィルタを介して、前記第1の通気路と前記第2の通気路との間をガスが流通可能となっている通気部材。
【請求項2】
前記筒状部品には、前記第1の通気路を取り囲む位置に複数の前記第2の通気路が形成されている請求項1に記載の通気部材。
【請求項3】
前記カバー部品は、前記装着状態で、前記通気フィルタと向かい合う底部と、前記筒状部品を外側から取り囲むように前記底部から延びている側壁部をさらに含み、前記カバー部品の側壁部と前記筒状部品とが、周方向の全域にわたって密着する請求項1又は2に記載の通気部材。
【請求項4】
前記筒状部品は、前記第1の通気路が形成された内側部分と、前記内側部分との間に前記第2の通気路を形成する外側部分とを含み、
前記通気フィルタを取り付ける側において、前記内側部分の端面と前記外側部分の端面とが面一であり、前記第1の通気路に基づく開口と前記第2の通気路に基づく開口とが共通の前記通気フィルタで塞がれている請求項1〜3のいずれか1項に記載の通気部材。
【請求項5】
前記内側部分と前記外側部分との間には、両者と一体形成された連結部が周方向の複数箇所に配置され、隣り合う前記連結部同士の間に複数の前記第2の通気路が形成されている請求項4に記載の通気部材。
【請求項6】
前記通気フィルタの厚さ方向を軸線方向とし、前記軸線方向における前記通気フィルタの位置する側を前方側、前記対象物が位置するべき側を後方側としたとき、
前記内側部分が前記外側部分よりも後方側に突出している請求項4又は5に記載の通気部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−255374(P2011−255374A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149689(P2011−149689)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【分割の表示】特願2006−166686(P2006−166686)の分割
【原出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】