通水機構及びその製造方法並びにブッシュ装置
【課題】金型の冷却孔に対し冷却装置の密着性を簡易な構成で向上し得る冷却ブッシュ装置などを提供する。
【解決手段】カラー12は冷却孔82及び冷却ブッシュ14に介在する。カラーの内面はテーパで、その外径は冷却孔の孔径と同一である。冷却ブッシュの外面をカラーのテーパに対応するテーパとする。冷却ブッシュ及びカラー(冷却ブッシュ装置10)の取付時、冷却ブッシュがカラーを押広げるというテーパの楔効果により、カラーが冷却孔に密着する。即ち、冷却ブッシュ及びカラーのテーパ同士を嵌合させる組合せ構造で、冷却ブッシュ装置及び冷却孔を密着させるので、熱伝達効率を低下させず、金型の温度調整をし得る。また密着性を冷却ブッシュ及びカラーのテーパ同士を嵌合させる簡易な機械構造であるので、従来例の冷却孔及び金型用溶湯冷却ピンの隙間に溶解金属を介在させる構成に比べ、交換時などの労力が軽減でき使い勝手が良くなる。
【解決手段】カラー12は冷却孔82及び冷却ブッシュ14に介在する。カラーの内面はテーパで、その外径は冷却孔の孔径と同一である。冷却ブッシュの外面をカラーのテーパに対応するテーパとする。冷却ブッシュ及びカラー(冷却ブッシュ装置10)の取付時、冷却ブッシュがカラーを押広げるというテーパの楔効果により、カラーが冷却孔に密着する。即ち、冷却ブッシュ及びカラーのテーパ同士を嵌合させる組合せ構造で、冷却ブッシュ装置及び冷却孔を密着させるので、熱伝達効率を低下させず、金型の温度調整をし得る。また密着性を冷却ブッシュ及びカラーのテーパ同士を嵌合させる簡易な機械構造であるので、従来例の冷却孔及び金型用溶湯冷却ピンの隙間に溶解金属を介在させる構成に比べ、交換時などの労力が軽減でき使い勝手が良くなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体たとえば金型に形成される通水孔(冷却孔)に通水媒体(冷却媒体)を流動させて金型を例えば冷却する通水機構及びその製造方法並びにブッシュ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷却孔内に挿入したケーシング及び冷却孔内面の隙間に、低融点金属よりなる溶融金属材が充填固化された伝熱層を形成する金型冷却構造およびその製造方法が開示されている(「特許請求の範囲」参照)。具体的には、ケーシングの外周面と冷却孔の内周面との間に、低融点合金たとえば溶融させた半田材料が流し込まれて両者間に空気層が介在しないようにしてあると共に、同じ低融点合金が冷えて固化することで冷却孔内にケーシングを固定するようにしている(段落番号「0012」参照)。
【0003】
特許文献2には、金型の溶湯冷却部位に挿通配置された先止まり状の外筒体及び内筒体により二重化構造に形成されてなる金型用溶湯冷却ピンが、開示されている(「特許請求の範囲」参照)。具体的には、外筒体は例えば合成工具鋼により製作され、内筒体は例えばステンレス鋼や銅合金により製作され、この場合外筒体に内筒体を相互に内面及び外周面からなる圧入面にて、冷やしばめ又は焼きばめ等の圧入手段により圧入した構造としている(段落番号「0007」参照)。
【0004】
また、特許文献2では、外筒体と内筒体との隙間に溶融金属材が注入固化されている密着伝熱材を形成する金型用溶湯冷却ピンが開示されている(特許請求の範囲「請求項5」参照)。なお、特許文献1及び2に係る発明の前提として、金型のキャビティ(製品面)などは、流入される溶湯金属(例えば、熱源となる溶融アルミ等)で急激な温度上昇による熱衝撃を受け、その一方で金型離型時に塗布する離型剤による気化熱の影響により急激な温度低下となる。そのため、金型は、そのキャビティなどに無数の割れ(以下、「型割れ」ともいう)が生じることがある。
【0005】
更に、金型に形成された冷却孔は、その孔面に冷却媒体(例えば、冷却水など)が付着することで、錆が発生し金型を浸食する原因になる。そして、この錆による浸食および上述した熱衝撃などは、相俟って型割れをさらに進行させる。そのため、冷却孔とキャビティとが連通するような型割れを生じる場合には、溶湯金属により製造される製造品質が所定水準以下に低下する等のおそれがある。そこで、これらの問題を解決しようと、特許文献1及び2に係る発明のような所謂内膜(ケーシング及び内筒体)を設けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−289382号公報
【特許文献2】特開平9−29416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1のように低融点金属をケーシングと冷却孔との隙間に流入し、固化させることで冷却孔およびケーシングの密着性を向上させる技術が開示されている。しかし、特許文献1では、例えばケーシングを交換などする時に、金型をその低融点合金の融点以上(600度前後)の温度に上げ、低融点合金を取出す作業が必要となる(段落番号「0019」参照)。即ち、特許文献1では、空気層が介在しないよう低融点合金を適量に固化させ又は溶融させるのに労力等を要するので、使い勝手が悪い。
【0008】
また、特許文献1において、金型の歪取りなどのメンテナンスを行う場合には、金型を加熱する際に低融点合金が溶けるので、ケーシング及び低融点合金の密着状態を阻害する可能性がある。そして、ケーシングが金型(冷却孔の壁)へ固着する場合、型割れと同時にケーシングも破損する可能性があるので、上述した内膜としての機能を損なうことになる。なお、特許文献2に係る密着伝熱材を形成する金型用溶湯冷却ピンも、特許文献1に挙げた課題を有する。
【0009】
特許文献2では、例えばステンレス鋼や銅合金で成型される円筒状の内筒体と外筒体とを圧入するという簡易な構造が開示されている。しかし、特許文献2では、弾性変形する内筒体が外筒体に圧入される際のスプリングバックの影響で、完全に内筒体が外筒体に密着しないことに基づき、熱伝導効率が低くなってしまう場合がある。この場合、冷却時における金型の温度調整を良好に出来ない事態となる。一方、圧入した内筒体は外筒体から取外しするのが難しいので、結果として内筒体の着脱は困難である。
【0010】
本発明の目的は、装置本体の通水孔に対する密着性を簡易な構成で向上し得るブッシュ装置及びこれを用いる通水機構並びにその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るブッシュ装置は、装置本体に形成された通水孔に配置され、通水媒体が供給されるブッシュと、上記ブッシュ及び上記通水孔の間に配置され、上記ブッシュが上記通水孔へ装着完了した後に、外径が上記通水孔と同一直径になるブッシュカラーと、を備え、上記ブッシュの外面をテーパにすると共に、上記ブッシュカラーの内面を上記ブッシュの外面に対応するようテーパにすることを特徴とする。ここで、装置本体の概念は、金型またはエンジンなどを含む。金型の概念は、例えば溶湯に直接接触する溶湯冷却ピン(従来例においては外筒体)などを含む。この溶湯冷却ピンは、金型の鋳造時における型の一部を構成するものとなり、且つ冷却孔を有するからである。即ち、本発明では、そのブッシュ装置を溶湯冷却ピンの冷却孔内に挿入するようにしても良い。また、金型は、例えば固定側の金型に配置される湯口装置または可動側の金型に配置される分流子などを含む概念である。即ち、本発明では、ブッシュ装置を金型本体または分流子などに形成される冷却孔へ装着するようにしても良い。
【0012】
上述したブッシュ装置は、上記ブッシュカラーを鋼鉄に比べて熱伝導率が高く且つ展性が大きい材質であることを特徴とする。ここで、上述した材質は、例えば銅またはアルミニウムなどが良好である。また、上述した各ブッシュ装置は、上記ブッシュカラーを軸方向に沿って複数に分割することを特徴とする。ここで、分割する箇所は、最大径の部分(直径部分と同義)を軸方向に沿って切削し、分割したブッシュカラーを通水孔に挿入し易くしても良い。更に、複数とは、二分割以上を意味し、3〜4などに分割しても良い。一方、分割したブッシュカラーは、その先端同士を溶接などで接合させても良い。
【0013】
上述した各ブッシュ装置は、上記ブッシュカラーに基端縁から先端近傍まで切欠を設けると共に、上記ブッシュカラーの先端近傍を薄肉形状または切込形状とすることを特徴とする。また、上述した各ブッシュ装置は、上記ブッシュは筒体およびこの筒体の開放口に装着されるツバ部を備え、上記ツバ部と上記筒体とを溶接・ロウ付けなどの溶融手段で固着させても良い。更に、上述した各ブッシュ装置は、上記ブッシュは筒体およびこの筒体の開放口に装着されるツバ部を備え、上記ツバ部を上記筒体にシール材・Oリング・ネジなどの密閉手段を介して着脱可能に連結させても良い。また、上述したブッシュ装置は、上記筒体の開放口にネジなどの引掛手段を設けても良い。更に、上述した各ブッシュ装置は、上記ブッシュ及び上記ブッシュカラーの間に変形可能な金属繊維・亜鉛などの金属ペースト等の充填材(充填剤)を充填させても良い。ここで、変形は、例えば金属繊維が塑性変形または金属ペーストが流動する概念などをも含む。
【0014】
本発明に係る通水機構は、装置本体に形成された通水孔に配置され、通水媒体が供給される外面がテーパのブッシュと、上記ブッシュ及び上記通水孔の間に配置され、内面が上記ブッシュの外面に対応するテーパで且つ上記ブッシュが上記通水孔へ装着完了した後に、外径が上記通水孔と同一直径になるブッシュカラーと、上記ブッシュに装着され、通水媒体を上記ブッシュ内へ連続的に供給する通水手段と、を備える。上述した通水機構は、上記通水孔及び上記ブッシュの間に充填する第1の変形可能な充填材または上記ブッシュ及び上記ブッシュカラーの間に充填する第2の変形可能な充填材を、適宜隙間に充填させるようにしても良い。本発明に係る通水機構の製造方法は、装置本体に形成された通水孔に通水媒体を供給する通水機構の製造方法であって、外径が上記通水孔と同一直径となり且つ内面がテーパのブッシュカラーを上記通水孔へ挿入するカラー挿入工程と、外面が上記ブッシュカラーの内面に対応するテーパのブッシュを上記ブッシュカラーへ挿入するブッシュ挿入工程と、上記ブッシュを上記通水孔へ所定量押込み、上記ブッシュカラーが上記通水孔の壁面へ押広げられ密着する密着工程と、からなることを特徴とする。
【0015】
また、上述した通水機構の製造方法は、上記密着工程の後に、通水媒体を上記ブッシュ内へ連続的に供給する通水手段を配置すると共に、上記通水手段を介して通水経路を配設する通水工程を更に設けても良い。ここで、通水工程とは、通水手段を介して水源(例えば水道の蛇口など)に接続したり、更に熱変換された排水を排水源に送らせ、通水経路(冷却回路と同義)になるよう構成する。更に、上述した各通水機構の製造方法において、上記カラー挿入工程前に第1の変形可能な充填材を充填させる第1の充填工程または上記ブッシュ挿入工程前に第2の変形可能な充填材を充填させる第2の充填工程のうち少なくとも一方の充填工程を更に設けても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る通水機構及びその製造方法並びにブッシュ装置では、外面がブッシュカラーの内面に対応するテーパのブッシュを、外径が通水孔と同一直径のブッシュカラーへ挿入して所定量押込むと、テーパに沿ってブッシュカラーが通水孔の内壁へ押広げられるよう密着する。即ち、本発明では、ブッシュがブッシュカラーを押広げるというテーパの楔効果により、ブッシュカラーが通水孔に密着する状態でブッシュ及び通水孔を仕切るので、介在物であるブッシュカラーがブッシュ及び通水孔を確実に分断する。従って、本発明によれば、ブッシュ及びブッシュカラーのテーパ同士を嵌合させるという組合せ構造で、ブッシュ装置及び通水孔を密着させるので、熱伝達効率を低下させることなく、装置本体たとえば金型の温度調整をし得る。
【0017】
また、本発明によれば、ブッシュ装置及び通水孔の密着性を、ブッシュ及びブッシュカラーのテーパ同士を嵌合させるという簡易な機械構造となっているので、例えば従来例のように通水孔及び金型用溶湯冷却ピンの隙間に溶解金属を介在させる構成に比べ、交換(メンテナンスを含む)時などの労力が軽減でき使い勝手が良くなる。更に、本発明によれば、ブッシュの挿入に伴いブッシュカラーを通水孔の壁面へ圧接させるという簡易な機械構造となっているので、例えば従来例のような焼きばめ等の圧入構成に比べてスプリングバックの影響がなく、密着性が向上する。なお、本発明によれば、テーパの楔効果によってブッシュカラーが通水孔に密着する状態でブッシュカラーがブッシュ及び通水孔を確実に分断するので、ブッシュが通水孔に接触することがなく、たとえ金型が型割れしても通水媒体が通水孔へと流出することを防止し得る。
【0018】
なお、ツバ部および筒体を着脱可能に連結する場合、芯出しが出来ない筒体でも通水孔に挿入し得、筒体に対する組付けが容易となる。また、筒体の芯出し作業または変形防止用の溶接治具による作業を不要にできるので、ブッシュの量産性が向上し得る。ここで、密閉手段を介在させて連結する場合、筒体及びツバ部同士が密閉し、水漏れが確実に防止される。更に、筒体の開放口に引掛手段を設ける場合、取外し器具を筒体の引掛手段に引掛けることにより、筒体を通水孔から容易に取外しできる。ブッシュ及びブッシュカラーの隙間などに変形可能な充填材(充填剤)を充填する場合、通水孔またはブッシュ装置の精度に幅が出来るので、製品管理が容易になる。同様に、上記各隙間に亜鉛などの金属ペースト等を充填する場合、熱伝導性を向上し得ると共に、錆の発生を防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る一実施例の通水機構の概要図である。
【図2】図1に示す通水機構の通水孔の断面図である。
【図3】図2に示す通水孔へブッシュカラーを挿入した状態の断面図である。
【図4】図3に示すカラー挿入状態でブッシュを挿入する状態の断面図である。
【図5】図4に示すブッシュ装置をロックナットで締結する状態の断面図である。
【図6】図5に示すロックナットを所定量さらに締結した装着完了状態の断面図である。
【図7】図1に示す配管継手の側面図である。
【図8】図8A〜図8Cは図4に示すブッシュカラーの変形例A〜Cの部分断面図である。
【図9】図9A及び図9Bは図5に示すブッシュの変形例D及びEの分解断面図である。
【図10】図10A及び図10Bは図9に示すブッシュの変形例F及びGの分解断面図である。
【図11】図11は変形例Hを示し、図11Aは図10に示すブッシュの変形例Hの分解断面図、図11Bはその組付け断面図である。
【図12】図4に示すブッシュの変形例Iの断面図である。
【図13】図13は変形例Kを示し、図13Aは冷却孔内に充填材を充填する状態の断面図、図13Bはブッシュカラー及びブッシュの間に充填材を充填する状態の断面図である。
【図14】図14は変形例Mを示し、図14Aは変形したツバ部の平面図、図14Bはそのツバ部の側面図である。
【図15】図14に示すツバ部をロックナットで締結した状態の断面図である。
【図16】図6に示すブッシュ装置をエンジンに装着された状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、具体化した一実施例をブッシュ装置及びこれを用いる通水機構並びにその製造方法について説明する。
【実施例1】
【0021】
以下、図1乃至図7に基づいて、本発明の一実施例である冷却ブッシュ装置及びこれを用いる金型冷却機構(通水機構)並びにその製造方法について説明する。ここで、本実施例に係る金型冷却機構を適用する金型80(装置本体に含まれる冷却対象物)は、鋳物を形作るキャビティ面81Aと、このキャビティ面81Aの反対面(以下、型面ともいう)81B側に金型80を冷却する冷却孔(通水孔)82を備える。この冷却孔82には、図2に示すように、その上部にネジ部83が形成されていると共に、このネジ部83に連続して同一径の孔部82Aが形成されている。なお、冷却孔82の底部は、半球状の半球部82Bとなっている。
【0022】
(金型冷却機構の概略構成)
図1に示すように、金型冷却機構Sは、上述した冷却孔82内に挿通する冷却ブッシュ装置10と、この冷却ブッシュ装置10を冷却孔82の所定位置で確実に位置決めするロックナット22と、冷却ブッシュ装置10に接続される配管継手24を備える。この配管継手24及び冷却ブッシュ装置10は、通水媒体である冷却媒体を連続的に供給し及び排出する通水経路(冷却回路と同義)の一部を構成する。
【0023】
(冷却ブッシュ装置主に冷却ブッシュカラーの構成)
図4に示すように、冷却ブッシュ装置10は、冷却ブッシュカラー(以下、単に「カラー」ともいう)12及び冷却ブッシュ14の組合せで、両者共にその外形が冷却孔82と略同一形状である。ここで、カラー12は、図2の2点鎖線に示すように、軸方向に沿って二分割されており、左右対称の形状となっている。また、カラー12は、図3に示すように、その分割箇所が最大径の部分(直径部分と同義)で、一対のカラー片12A及び12Bの組合せとなる。
【0024】
これらのカラー片12A及び12Bは、冷却孔82内に挿入された状態で所定の隙間T1になるように、上述した直径部分が隙間T1の1/2づつ切削されるよう形成されている(図3の実線参照)。また、カラー12は、鋼鉄などに比べ熱伝導率が高く且つ展性が大きい材質、例えば銅またはアルミニウムなどの材料を用いてプレス成型するのが好適である。なお、同一形状のカラー片12A及び12Bをプレス加工して成型するので、カラー12は安価に製造し得る。
【0025】
図1に示すように、カラー12及び冷却ブッシュ14が冷却孔82へ装着完了した後において、カラー12は冷却孔82の軸心P(図2の一点鎖線参照)と同一の有底筒状となる。即ち、カラー12には、その開放されている挿入口13(図2の二点鎖線参照)が形成されている。一方、カラー12の先端は、上述したように、冷却孔82の半球部82Bに対応する形状となっている。即ち、図4に示すように、カラー12には、その先端に半球部12Cが形成されている。なお、カラー12の長さL1(図3参照)は、孔部82A及び半球部82Bの長さよりも若干短くなっている。
【0026】
カラー12は、冷却ブッシュ14が冷却孔82へ装着完了した後(図6参照)において、その外径が孔部82Aの直径D1(図2参照)と同一になるよう設定されている。即ち、図2の二点鎖線に示すように、カラー12の外面形状は軸線Pに沿って直線状となっており、カラー12の外周面が冷却孔82の内周面へ密着するように設定されている。
【0027】
一方、図4に示すように、カラー12は、その内周面が軸線Pに対して斜状のテーパ面12Dとなっており、挿入口13から半球部12Cへ向かう程に肉厚が厚くなるよう設定されている。即ち、テーパ面12Dは挿入口13から半球部12Cへ向かって軸心P寄りに斜状となっており、そのためカラー12の内面形状は先細り状である(図5参照)。なお、テーパ面12Dは、そのテーパ率が例えば1/200などで内径加工されている。
【0028】
(冷却ブッシュの構成)
図4に示すように、冷却ブッシュ14は、内膜として機能する有底筒状の筒体16と,筒体16の開放口17(図4の二点鎖線参照)に溶接(ロウ付けも含む概念)などの溶融手段で装着(固着と同義)されるツバ部18を備える。このツバ部18は、図5に示すように、開放口17へ挿入する挿入部19と,挿入部19よりも径大なネジ部20(図4参照)を備える。このネジ部20は、冷却孔82のネジ部83に噛合するよう形成されている。なお、図5に示すように、挿入部19は、ツバ部18が筒体16に装着できるように、開放口17の直径よりも若干径小となるよう形成されている。
【0029】
また、ツバ部18には、そのネジ部20に対応する中央に、六角レンチ孔(以下、「レンチ孔」という)18Aが形成されている。このレンチ孔18Aには、図示しない六角レンチが挿入される。また、ツバ部18には、レンチ孔18Aに連通する雌ネジのネジ部18Bが形成されている。このネジ部18Bは、図1に示すように、配管継手24のネジ部34Aが噛合するよう形成されている。即ち、ネジ部18Bは、ネジ部34Aに対応するように形成されている。なお、ツバ部18及び筒体16の溶接箇所は、ネジ部20の下方で挿入部19に対応する筒体16の外周面周辺である。
【0030】
図5に示すように、筒体16は、ツバ部18を装着するストレート部16Aと,カラー12(即ち、カラー片12A及び12B)を冷却孔82の内周面へ押し広げるテーパ部16Bと,カラー12の半球部12Cに対応する半球部16Cを備える。この筒体16は、例えば軟鉄で成形された高張力鋼板などで、一体成型たとえばプレス成型している。即ち、筒体16は、プレス成型の他に、例えばスエージング加工または中ぐり加工など成形させても良い。ストレート部16Aは、筒体16の開放口17から所定長さ(具体的には、図5の一点鎖線までの長さ)L2までの範囲で、同一径になるよう形成されている。
【0031】
テーパ部16Bは、図4に示すように、その外形(外面と同義)がカラー12のテーパ面12Dに対応するよう先細りのテーパ形状(ストレート部16Aの延長線Y参照)で、対応するテーパ面12Dの内面よりも若干径大となっている。即ち、テーパ部16Bは、冷却ブッシュ14がカラー12に挿入されるに伴い、カラー12の外周面を冷却孔82の壁面(内周面と同義)へ押しつけるためである。
【0032】
(ロックナットの構成)
図6に示すように、ロックナット22は、ネジ部20の緩み防止用ナットで、冷却孔82のネジ部83に噛合するよう形成されている。図5に示すように、ロックナット22には、その中央に六角レンチ孔(以下、「レンチ孔」という)22Aが形成されている。このレンチ孔22Aは、ツバ部18のレンチ孔18Aと同一形状になっている。そのため、冷却ブッシュ14及びロックナット22を締結などする場合、図示しない六角レンチをレンチ孔18A及び22Aに挿入し、同時に締結などできる。
【0033】
(配管継手の構成)
図7に示すように、通水手段である配管継手24は、冷却媒体たとえば水を冷却ブッシュ14(図1参照)内へ連続的に給水する給水コネクタ28と,この給水コネクタ28に連通する給水パイプ30と,熱変換された排水を排水源に送る排水コネクタ32と,この排水コネクタ32に連通する排水パイプ34を備える。給水コネクタ28には、図示しない水源(例えば水道の蛇口など)から導出される通水配管(図示省略)が接続される。なお、給水パイプ30は、図1に示す装着後の配管継手24において、筒体16の半球部16D付近まで延設されている。
【0034】
図1に示すように、配管継手24には、レンチ孔18A及び22A(図5参照)に挿入し支持する円柱状の支持パイプ26が配置されている。上述した排水パイプ34は、支持パイプ26の下部で支持パイプ26よりも径少となっている。そして、排水パイプ34には、その外周面にネジ部34Aが形成されている。即ち、配管継手24は、その支持パイプ26がレンチ孔18A及び22A(図5参照)に挿入できるような円柱となっている。
【0035】
(本実施例の作用)
図1に示す金型冷却機構Sの製造方法(具体的には組立手順)を説明する。この製造は、カラー12を冷却孔82に挿入するカラー挿入工程,冷却ブッシュ14を更に挿入するブッシュ挿入工程,冷却ブッシュ14を冷却孔82に締込み密着させる密着工程(ここまでが冷却ブッシュ装置10の組付け)を経て、この組付け後の冷却ブッシュ装置10に配管継手24等を装着させる通水工程で終了する。
【0036】
カラー挿入工程は、図3に示すように、例えばカラー片12A及び12Bを合わせた状態(図3の二点鎖線参照)で、冷却孔82へ挿入しカラー片12A及び12Bをそれぞれ冷却孔82の壁面に当接させる。本実施例では、冷却孔82に対するカラー12の挿脱時に、カラー12を二分割し且つカラー片12A及び12Bの直径部分を若干切削している(即ち、冷却孔82の孔径よりも小さくなる)ので、冷却孔82に対するカラー12の挿脱が容易になる。即ち、本実施例は、カラー12の挿脱時に、冷却孔82(の周壁と同義)の損傷を防止する。
【0037】
ブッシュ挿入工程は、図4に示すように、冷却ブッシュ14をカラー12の挿入口13へ差込み、図示しない六角レンチなどでネジ部20をネジ部83に締込む。図5に示すように、ロックナット22の締付表面が金型80の型面81Bと面一になるまで、ロックナット22及び冷却ブッシュ14を更に締込む。この面一までの締込みでは、冷却ブッシュ14における半球部16Cの頂点からカラー12における半球部12Cの内面頂点までの距離L3が、隙間となる。
【0038】
密着工程は、冷却ブッシュ14を冷却孔82へ更に隙間分である所定量(具体的には距離L3)まで締結すると、図6に示すように、ロックナット22が金型の型面81Bよりも距離L3まで入り込み、カラー12が冷却孔82の内壁へ押広げられ密着する。即ち、図4に示すように、冷却ブッシュ14は、そのテーパ部16Bがカラー12のテーパ面12Dにガイドされながらカラー12を、冷却孔82の周壁へ押付ける。なお、冷却ブッシュ14を図6に示す所定位置で位置決めするため、ロックナット22のみを更に締付ける。
【0039】
ここで、カラー12は冷却孔82の周壁へ押広げられるが、図3に示すような半割り形状のカラー12は鋼鉄などに比べ熱伝導率が高く且つ展性が大きい材質たとえば銅材で成型されているので、展性などの変形吸収作用によってカラー片12A及び12B同士の隙間はなくなり密着する。また、溶湯入湯時に金型80が高温となるので、カラー12が金型80及び冷却ブッシュ14よりも熱膨張し、カラー片12A及び12B同士は密着する。
【0040】
本実施例においては、冷却ブッシュ14がカラー12を押広げるというテーパの楔効果により、カラー12が冷却孔82に密着する構成となっているので、金型80の冷却孔82及び冷却ブッシュ装置10の密着性を簡易な構成で向上する。また、本実施例においては、このカラー密着状態で冷却ブッシュ14及び冷却孔82を仕切るので、介在物であるカラー12が冷却ブッシュ14及び冷却孔82を確実に分断する。即ち、本実施例おいては、冷却孔82へ接触しないように構成しているので、膜としての冷却ブッシュにより水漏れが確実に防止される。
【0041】
従って、本実施例によれば、冷却ブッシュ14及びカラー12のテーパ同士を嵌合させるという組合せ構造で、冷却ブッシュ装置10(冷却ブッシュ14とカラー12との組合せ)及び冷却孔82を密着させるので、熱伝達効率を低下させることなく、金型80の温度調整をし得る。また、本実施例によれば、冷却ブッシュ装置10及び冷却孔82の密着性を、冷却ブッシュ14及びカラー12のテーパ同士を嵌合させるという簡易な機械構造となっているので、例えば従来例のように冷却孔及び金型用溶湯冷却ピンの隙間に溶解金属を介在させる構成に比べ、交換時などの労力が軽減でき使い勝手が良くなる。
【0042】
また、本実施例によれば、冷却ブッシュ14の挿入に伴いカラー12を冷却孔82の周壁へ圧接させるという簡易な機械構造となっているので、例えば従来例のような焼きばめ等の圧入構成に比べてスプリングバックの影響がなく、密着性が向上する。なお、本実施例によれば、テーパの楔効果によってカラー12が冷却孔82に密着する状態でカラー12が冷却ブッシュ14及び冷却孔82を確実に分断するので、冷却ブッシュ14が冷却孔82に接触することがなく、たとえ金型80が型割れしても冷却媒体が冷却孔82へと流出することを防止し得る。
【0043】
通水工程は、上述した密着工程の後(図6参照)に、図7に示す配管継手24を冷却ブッシュ14に装着する。即ち、配管継手24の装着は、図1に示すように、給水パイプ30を冷却ブッシュ14内へ挿入すると共に、支持パイプ26をロックナット22及びツバ部18のレンチ孔18A及び22A(図5参照)に挿入する。その後、配管継手24のネジ部34Aを冷却ブッシュ14のネジ部18Bへ噛合させる。なお、ネジ部34Aは、ネジ部18Bに締結されるため、支持パイプ26からの水漏れが防止される。
【0044】
また、給水コネクタ28は図示しない通水配管を介して例えば水道の蛇口などに接続すると共に、排水コネクタ32は図示しない通水配管を介して例えば排水場に導出させる。即ち、通水経路は、配管継手24を冷却ブッシュ装置10に装着すると共に、給水コネクタ28及び排出コネクタ32をそれぞれの通水配管に接続させることによって完成する。
【0045】
ここで、水道からの水は、図1に示すように、給水コネクタ28及び給水パイプ30を介して冷却ブッシュ14の筒体16に連続して送出され、排出パイプ34及び排出コネクタ32を介して排出する(図1の矢印参照)。即ち、冷却ブッシュ14内へ送られる水は、溶湯入湯時などの金型80を冷却する。また、熱変換された(即ち、熱せられた)水は、冷却ブッシュ14内から排出パイプ34を経て排出される。
【0046】
(その他の変形例)
図8に示すように、カラー12は分割することなく、一体的に構成させても良い(変形例A〜C)。即ち、変形例Aに係るカラー12には、図8Aに示すように、その基端縁(図4に示す挿入口13参照)から先端近傍(半球部12Cの頂点部分)まで軸方向に沿う切欠38が形成されている。また、カラー12は、その先端近傍を連結部として薄肉形状にしても良い。この薄肉40は、例えば半球部12Cの頂点部分における肉厚よりも略1/3薄い肉厚となっている。
【0047】
この変形例Aは、連結部が薄肉40となっているので、冷却孔82(図2参照)へのカラー12挿入時などに、例えばカラー12の基端部分が撓る。そのため、変形例Aでも、カラー12を冷却孔82に挿脱する際、その挿脱が容易となる。また、変形例Aでは、単体のカラー12を成し(図8参照)、図3に示すような組合せ片としていないので、片方だけのカラー片の紛失などが防止される。
【0048】
図8Bに示すように、変形例Bに係るカラー12は、その連結部を断面V字状の切込み形状としても良い。この切込42は、例えば半球部12Cの頂点部分における肉厚の略1/3までの深さに亘って形成している。その他の構成及び作用効果は、変形例Aと同様であるので、詳細説明は省略する。
【0049】
図8Cに示すように、変形例Cは、二分割したカラー片12A及び12B(図3参照)の先端を溶接などで接合させた例である。即ち、変形例Cに係るカラー12は、その連結部を接合させている。この接合44は、例えば半球部12Cの頂点部分における肉厚の略1/3の厚みとなっている。その他の構成及び作用効果は、変形例Aと同様であるので、詳細説明は省略する。
【0050】
図9A及び図9Bは図5に示す冷却ブッシュ14の変形例D及び変形例Eで、変形例Dに係る冷却ブッシュ14は筒体16に延長パイプ46を接続する例である。即ち、図9Aに示すように、変形例Dは、冷却孔の孔部が図1に示す例よりも長い場合に対応させる例である。なお、延長パイプ46の接続方法は、溶接などで筒体16及びツバ部18をそれぞれ接合させる。その他の構成は、図4に示す例と同様であるので、詳細説明は省略する。
【0051】
図9Bに示すように、変形例Eに係る冷却ブッシュ14は、そのツバ部18上面に十字状に切欠した十字溝48を形成した例である。この十字溝48は、冷却ブッシュ14を冷却孔82(図4参照)へ締付けるためのもので、図5に示すレンチ孔18Aに代わる例である。従って、ネジ部18Bに連通する(即ち、図9Bに示す十文溝48に対応する)孔は、丸孔としても良い。その他の構成は、図4に示す例と同様であるので、詳細説明は省略する。
【0052】
図10A及び図10Bは、図5に示す冷却ブッシュ14の変形例F及び変形例Gを示し、そのツバ部18を筒体16に着脱しうるよう連結する例である。これらの変形例F及び変形例Gは、ツバ部18を筒体16に溶融手段(ロウ付けなどの概念を含む溶接)で溶着する場合(実施例1)において、芯出しが出来ない筒部16(冷却ブッシュ14)でも冷却孔18に挿入し得る例である。
【0053】
図10Aに示すように、変形例Fに係る冷却ブッシュ14の筒部16は、例えば絞り加工で成形される際に、外方へ略直角方向に向かうフランジ16Dが一体成型される例である。なお、このフランジ16Dは、図5に示す冷却孔82のネジ部83に干渉しないようになっている。また、変形例Fに係るツバ部18の挿入部19は、その外径が筒部16のストレート部16A内径よりも、若干径大になるよう設定している。
【0054】
更に、変形例Fは、合成樹脂製でリング状のシール材(密閉手段)50を、挿入部19に嵌め込んでいる。このシール材50は、挿入部19の軸方向の長さ(高さ)よりも、若干長くなるように設定されている(図10A参照)。また、シール材50は、その内径が挿入部19の外径よりも若干径小となっている。そのため、シール材50は、筒体16とツバ部18とに密着した状態で、図5に示すようなツバ部18で固定される。
【0055】
即ち、変形例Fでは、シール材50が筒体16のフランジ16Dに圧着すると共に、挿入部19の先端もフランジ16Dに当接する。従って、変形例Fにおいて、シール材50をツバ部18の挿入部19に装着し筒体16のフランジ16Dに圧着させるので、筒体16のフランジ16D及びツバ部18を密閉し、水漏れが確実に防止される。変形例Fによれば、筒体16及びツバ部18を着脱可能に連結するので、芯出しが出来ない筒体16(冷却ブッシュ14)でも冷却孔82に挿入し得、筒体16に対する組付けが容易となる。
【0056】
同様に、変形例Fによれば、筒体16の芯出し作業又は変形防止用の溶接治具による作業を不要にできるので、冷却ブッシュ14の量産性(製造時における作業能率を含む)が向上し得る。その他の構成及び作用効果は、図5に示す例と同様であるので、詳細説明は省略する。なお、変形例Fでは、シール材50を挿入部19の軸方向の長さよりも短くなるように設定し、且つ挿入部19を筒体16内に挿入するようにしても良い。
【0057】
図10Bに示すように、変形例Gに係る冷却ブッシュ14は、ツバ部18の挿入部19にOリング52を嵌め込んでいる。ここで、挿入部19の外周には、Oリング52を嵌め込む溝が周方向に形成されている。そして、変形例Gは、挿入部19及びOリング52を、筒体16内に挿入し嵌合(連結と同義)する。なお、変形例Gは、その筒体16にフランジ16D(図10A参照)が形成されていても、形成されていなくても(図10B参照)同様に適用しうる。その他の構成及び作用効果は、変形例Fと同様であるので、詳細説明は省略する。
【0058】
図11は、図5に示す冷却ブッシュ14の変形例Hを示し、そのツバ部18を筒体16に密閉手段であるネジを介して着脱可能に装着する例である。この変形例Hは、図10A及び図10Bに示す変形例と同様、ツバ部18を筒体16に溶融手段で溶着する場合において、芯出しが出来ない筒体16でも冷却孔82に挿入し得る例である。
【0059】
変形例Hは、図11Aに示すように、リング状のネジカラー54を筒体16のストレート部16A(開放口17)に溶着している。補強用のネジカラー54には、その内周面に引掛手段であるネジ54Aが形成されている。一方、ツバ部18の挿入部19には、その外周面にネジ18Cが形成されている。そして、図11Bに示すように、これらの密閉手段であるネジ54A及び18Cが締結されることにより、ツバ部18はネジカラー54を介して筒体16に装着される。
【0060】
ここで、ネジカラー54は、その外径がストレート部16Aの内径よりも若干だけ径大となっている。そして、変形例Hでは、図11Aの想像線に示すように、ネジカラー54を筒体16のストレート部16A端縁まで全周に亘って圧入すると共に、開放口17におけるネジカラー54及び筒体16の接合部分を全周に亘って溶接などで溶着する。
【0061】
ここで、変形例Hにおいては、ネジカラー54を筒体16内に圧入して溶着する構成とするので、たとえ溶接などの固定手段(溶融手段)を用いたとしても筒体16の変形などを最小限に抑え得る。その後、筒体16を冷却孔82(図4参照)に挿入し、図11Bに示すように、ツバ部18をネジカラー54に締結し固定する。この締結に際しては、気密性を保持する耐熱シール剤を、ネジ18C又は54Aに塗布しても良い。
【0062】
変形例Hでは、ツバ部18をネジカラー54を介して筒体16に締結する構成としたので、筒体16の芯出し作業などを不要にできる。即ち、変形例Hによれば、芯出し作業などを不要できるので、作業能率(量産性)が向上し得る。なお、ネジ54A及び18Cの締結は、図示しない六角レンチ及び図11Bに示すレンチ孔18Aを用いる。その他の構成及び作用効果は、変形例F又はGと同様であるので、詳細説明は省略する。
【0063】
なお、変形例Hは、ツバ部18及び筒体16を仮付け溶接しても良い。この仮付け溶接は、図11Bに示すように、ネジ部20の下方で挿入部19に対応する筒体16の外周面周辺で、例えば90度の角範囲の4箇所にする。ツバ部18及び筒体16を仮付け溶接しても、ツバ部18を筒体16に固定するのに充分であり、溶接による変形が少ない。また、図11に示す筒体16は、図10Aに示すようなフランジ16Dが、一体形成されるものでも適用できる。
【0064】
図12は、図5に示す冷却ブッシュ14の変形例Iを示し、変形例Hと同様ツバ部18(図11A参照)を筒体16にネジを介して着脱可能に装着する例である。この変形例Iは、図12に示すように、密閉手段の一部を構成するネジ16Eを、直接に筒体16のストレート部16A端縁内周面に形成するものである。一方、図11Aに示すようなツバ部18の挿入部19は、その外径が筒体16のストレート部16A(ネジ16E)に対応し、且つ引掛手段または密閉手段の一部を構成するネジ18C(図11A参照)が形成される。
【0065】
そして、変形例Iでは、図11Aに示すようなツバ部18のネジ18Cを、図12に示す筒体16のネジ16Eに締結し固定する。この締結に際しては、気密性を保持する耐熱シール剤を、ネジ18C(図11A参照)又は16Eに塗布しても良い。または、変形例Iでは、図10Aに示すようなシール材50を、ツバ部18の挿入部19の基端に装着するようにしても良い。
【0066】
図12に示すように、冷却孔82に挿入された筒体16を取出すには、先ず図示しない六角レンチ(図11Aに示すレンチ孔18A)でツバ部18を、筒体16から取外す。次に、筒体16の取出しには、取外し器具(いわゆるノック抜き器具)90を用いる。このノック抜き器具90は、その先端にネジ90A(ネジ16Eに対応する外ネジ)を備える。なお、ノック抜き器具90は、図示しないスライド可能な錘も備え、この錘をスライドさせる際の衝撃によって被取外し部品(例えば筒体16など)を取外す。
【0067】
変形例Iによれば、ノック抜き器具90のネジ90Aを筒体16のネジ16Eに締結し、上記錘をスライドさせることによって筒体16を冷却孔82から容易に取外しできる。なお、図5に示すツバ部18が筒体16に溶接などの溶融手段で固着されている場合の取外しは、ツバ部18のネジ部18Bに、図12に示すノック抜き器具90のネジ90A(ネジ部18Bに対応する外ネジ)を締結して行う。また、引掛手段は、ネジの他に、筒体16を取外し器具で引掛けることができるものであれば良い。その他の構成及び作用効果は、変形例Hと同様であるので、詳細説明は省略する。
【0068】
変形例Kは、図13A及び図13Bに示すように、冷却孔82とカラー12との隙間またはカラー12と冷却ブッシュ14との隙間に、充填材を埋め尽くすように充填(いわゆるエアー抜きと同義)し、熱伝導性を向上させる例である。即ち、変形例Kは、充填材たとえば市販されている金属繊維60または充填剤となる金属ペースト62などを、冷却孔82とカラー12内またはカラー12と冷却ブッシュ14との間に充填する例である。
【0069】
この金属繊維60は、チタン・銅・黄銅などを組合わせた金属材料で、繊維径が50μm程度の繊維である。金属ペースト62は、防錆効果のある亜鉛粉および不燃性エポキシなどを含むペースト(亜鉛粉の含有量が96%程度のペースト)である。ここで、一般的に亜鉛は、鉄よりも早くイオン化して酸化するので、その酸化被膜により錆の発生を防止する。また、亜鉛は、熱伝導が鉄よりも良く(銅と同等の熱伝導性があり)、且つアルミよりも溶けにくいので、上記隙間に装填するのに最適である。ここで、充填材(「充填剤」と同義)は、例えば銅などの金属粉をも含む。
【0070】
先ず、変形例Kでは、図13Aに示すように、金属繊維60または金属ペースト62を、冷却孔82内(具体的には冷却孔82とカラー12との隙間)に装填する。次に、変形例Kでは、図13Bに示すように、金属繊維60または金属ペースト62を、カラー12と冷却ブッシュ14との隙間に装填する。そして、これらの充填した充填材60または62は、隙間形状にそれぞれ対応する形状に変形(「金属繊維が塑性変形」または「金属ペーストが流動」する概念などをも含む)し、上記隙間を埋め尽くす(例えば金属ペーストが焼結して成型する)。なお、金属繊維60又は金属ペースト62の充填量は、それぞれの隙間で変動させる。また、変形例Kでは、金属繊維60のみ・金属ペースト62のみ・金属繊維60及び金属ペースト62の両者を適宜に混合させるようにしても良い。
【0071】
更に、変形例Kでは、上述した充填材を冷却孔82及びカラー12の間隔のみ・カラー12及び冷却ブッシュ14の間隔のみ・上記両者の間隔それぞれに充填させるようにしても良い。変形例Kによれば、上記各隙間を変形可能な充填材60または62で充填する(即ち、充填材60または62が隙間形状に各々対応して変形し隙間を埋める)ので、冷却孔82または冷却ブッシュ装置10の精度誤差に余裕(幅)ができ、製品管理が容易になる。また、変形例Kによれば、上記各隙間を金属繊維60又は亜鉛の金属ペースト62などの充填材で充填するので、熱伝導性を向上し得ると共に、錆の発生を防止し得る。その他の構成及び作用効果は、実施例1と同様であるので、詳細説明は省略する。
【0072】
変形例Mは、図5に示すツバ部18及びそのロックナット22を変形させ、ツバ部18の緩みを更に防止する例である。図14及び図15に示すように、ツバ部18は、そのネジ部20の上面に、引掛頭部21を突設している。この引掛頭部21は、ネジ部20よりも若干径少となっており、ストレート部21A及びテーパ部21Bを備える。これらのストレート部21A及びテーパ部21Bは、図14Aに示すように、それらの外縁がそれぞれ連続形成している。
【0073】
図14及び図15に示すように、ストレート部21Aは、締結工具たとえばスパナ等(図示省略)を引掛けるように、それぞれが対向して直線状に一対切欠形成されている。一方、テーパ部21Bは、引掛頭部21の表面からネジ部20側へ向かってテーパ状で(図15参照)、且つその平面形状が円弧状となっている(図14A参照)。また、テーパ部21Bは、上述したように、ストレート部70A間の外縁に連続するよう一対形成されている。
【0074】
更に、ツバ部18には、図14に示すように、円形の孔21Cがネジ部18Bに連続するよう形成されている。この孔21Cは、ネジ部18Bよりも径大となっている。そして、孔21Cには、図1に示す配管継手24の支持パイプ26先端が挿入される。図15に示すように、ロックナット70は、ツバ部18のネジ部20と同一径となっている。また、ロックナット70は、六角レンチ用で且つ支持パイプ26挿通用のレンチ孔70Aが、貫通して形成している。
【0075】
ロックナット70には、図15に示すように、そのロック面(ツバ部18に対向する面)70C側に、テーパ面70Bが全周に亘って凹状に形成されている。このテーパ面70Bは、ツバ部18のテーパ面21Bに対応するようテーパ状となっている。なお、ロックナット70は、その外周にネジ70Dが形成されている。そして、このネジ70Dは、ツバ部18のネジ部20と同様、冷却孔82のネジ部83と締結する。
【0076】
そして、ロックナット70のロック面70C及びツバ部18のネジ部20並びにテーパ面70B及び21B同士などは、その締結状態(図15に示す状態)において、圧着している。変形例Mでは、図15に示すように、先ず冷却ブッシュ14を冷却孔82内に挿入する。次に、変形例Mでは、引掛頭部21のストレート部21A(図14参照)間に図示しないスパナなどを引掛け、ツバ部70(冷却ブッシュ14)を回転させる。即ち、冷却ブッシュ14は、冷却孔82に対して位置決めされる。
【0077】
最後に、変形例Mでは、ロックナット70を六角レンチで、ツバ部18に対して圧着するよう冷却孔82のネジ部83に締結する。変形例Mによれば、図15に示すように、ロックナット70のWナット効果およびツバ部18のテーパ部21B及びロックナット70のテーパ部70B同士のくさび効果により、ツバ部18(冷却ブッシュ14)の緩みを更に防止し得る。その他の構成及び作用効果は、実施例1と同様であるので、詳細説明は省略する。
【0078】
ここで、装置本体の概念は、実施例1に示す金型またはエンジンなどを含む。例えば、図16に示すように、3気筒タイプのエンジン86では、シリンダ87A〜87Cのうち中央のシリンダ87Bに対する冷却が構成上困難である。そこで、本発明では、複数本の冷却ブッシュ装置を、シリンダ87Bの回りに集中して配置させても良い。この場合、シリンダ87A〜87Cの両側に配置されるウオータジャケット88のみならず、複数本の冷却ブッシュ装置でシリンダ87Bを集中的に冷却できる。なお、冷却水の圧送は、2系統あるいは1系統のみでも良い。
【0079】
また、装置本体には、図示しないスーパーコンピュータ(例えば建物のワンフロア内に収容する大きさの装置)のCPUなども含む。即ち、本発明は、このCPUなどを冷却する装置本体にも、適用できる。一方、本発明では、冷却の場合のみならず、装置本体を予熱する温暖用にも適用できる。金型交換後あるいは金型の始運転時などに、例えば100度程度の湯を、本発明のブッシュ装置に通水させても良い。
【0080】
金型の概念は、例えば溶湯に直接接触する溶湯冷却ピン(従来例においては外筒体)などを含む。この溶湯冷却ピンは、金型の鋳造時における型の一部を構成するものとなり、且つ冷却孔を有するからである。即ち、本発明では、その冷却ブッシュ装置を溶湯冷却ピンの冷却孔内に挿入するようにしても良い。また、金型は、例えば固定側の金型に配置される湯口装置または可動側の金型に配置される分流子などを含む概念である。即ち、本発明では、ブッシュ装置を金型本体または分流子などに形成される冷却孔へ装着するようにしても良い。
【0081】
本発明において、カラー12のテーパ面(内面と同義)12Dは、そのテーパ率を例えば1/150など任意に設定(変更)できる。本発明では、カラー12を軸方向に沿って二分割以上の複数たとえば3〜4などに分割しても良い。また、本実施例では冷却ブッシュ14を任意の締付け完了位置(装着完了位置と同義)としても良く、且つその緩み止めは簡易な仮付け溶接などとしても良い。更に、本実施例の冷却回路は、冷却ブッシュ装置10で熱変換された水を再び冷却し再使用する循環型としても良い。
【0082】
なお、本実施例に係るカラー12は、粉末状の銅(粉末銅)を型に入れ焼結して成型させても良い。また、本実施例は、カラー12のテーパ面12D及び冷却ブッシュ14のテーパ部16Bを、それぞれストレートに成形しても良い。この際にも、金属繊維60又は金属ペースト62などを、適宜充填するようにしても良い。更に、本実施例では、実施例1または変形例A〜Kなどの組合せにおいて、例えば上記各例の構成の内、2つの例または2つ以上の例を組合せるパターンとしても良い。
【符号の説明】
【0083】
10…冷却ブッシュ装置、12…冷却ブッシュカラー、12D…カラーのテーパ面、14…冷却ブッシュ、16…冷却ブッシュの筒体、16B…筒体のテーパ部、16E…筒体のネジ(密閉手段または引掛手段)、18…冷却ブッシュのツバ部、18C…ツバ部のネジ(密閉手段)、24…配管継手(通水手段)、50…シール材(密閉手段)、52…Oリング(密閉手段)、54…ネジカラー(密閉手段または引掛手段)、60…金属繊維(充填材)、62…金属ペースト(充填材)、80…金型(装置本体)、82…冷却孔、S…金型冷却機構、86…エンジン(装置本体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体たとえば金型に形成される通水孔(冷却孔)に通水媒体(冷却媒体)を流動させて金型を例えば冷却する通水機構及びその製造方法並びにブッシュ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷却孔内に挿入したケーシング及び冷却孔内面の隙間に、低融点金属よりなる溶融金属材が充填固化された伝熱層を形成する金型冷却構造およびその製造方法が開示されている(「特許請求の範囲」参照)。具体的には、ケーシングの外周面と冷却孔の内周面との間に、低融点合金たとえば溶融させた半田材料が流し込まれて両者間に空気層が介在しないようにしてあると共に、同じ低融点合金が冷えて固化することで冷却孔内にケーシングを固定するようにしている(段落番号「0012」参照)。
【0003】
特許文献2には、金型の溶湯冷却部位に挿通配置された先止まり状の外筒体及び内筒体により二重化構造に形成されてなる金型用溶湯冷却ピンが、開示されている(「特許請求の範囲」参照)。具体的には、外筒体は例えば合成工具鋼により製作され、内筒体は例えばステンレス鋼や銅合金により製作され、この場合外筒体に内筒体を相互に内面及び外周面からなる圧入面にて、冷やしばめ又は焼きばめ等の圧入手段により圧入した構造としている(段落番号「0007」参照)。
【0004】
また、特許文献2では、外筒体と内筒体との隙間に溶融金属材が注入固化されている密着伝熱材を形成する金型用溶湯冷却ピンが開示されている(特許請求の範囲「請求項5」参照)。なお、特許文献1及び2に係る発明の前提として、金型のキャビティ(製品面)などは、流入される溶湯金属(例えば、熱源となる溶融アルミ等)で急激な温度上昇による熱衝撃を受け、その一方で金型離型時に塗布する離型剤による気化熱の影響により急激な温度低下となる。そのため、金型は、そのキャビティなどに無数の割れ(以下、「型割れ」ともいう)が生じることがある。
【0005】
更に、金型に形成された冷却孔は、その孔面に冷却媒体(例えば、冷却水など)が付着することで、錆が発生し金型を浸食する原因になる。そして、この錆による浸食および上述した熱衝撃などは、相俟って型割れをさらに進行させる。そのため、冷却孔とキャビティとが連通するような型割れを生じる場合には、溶湯金属により製造される製造品質が所定水準以下に低下する等のおそれがある。そこで、これらの問題を解決しようと、特許文献1及び2に係る発明のような所謂内膜(ケーシング及び内筒体)を設けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−289382号公報
【特許文献2】特開平9−29416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1のように低融点金属をケーシングと冷却孔との隙間に流入し、固化させることで冷却孔およびケーシングの密着性を向上させる技術が開示されている。しかし、特許文献1では、例えばケーシングを交換などする時に、金型をその低融点合金の融点以上(600度前後)の温度に上げ、低融点合金を取出す作業が必要となる(段落番号「0019」参照)。即ち、特許文献1では、空気層が介在しないよう低融点合金を適量に固化させ又は溶融させるのに労力等を要するので、使い勝手が悪い。
【0008】
また、特許文献1において、金型の歪取りなどのメンテナンスを行う場合には、金型を加熱する際に低融点合金が溶けるので、ケーシング及び低融点合金の密着状態を阻害する可能性がある。そして、ケーシングが金型(冷却孔の壁)へ固着する場合、型割れと同時にケーシングも破損する可能性があるので、上述した内膜としての機能を損なうことになる。なお、特許文献2に係る密着伝熱材を形成する金型用溶湯冷却ピンも、特許文献1に挙げた課題を有する。
【0009】
特許文献2では、例えばステンレス鋼や銅合金で成型される円筒状の内筒体と外筒体とを圧入するという簡易な構造が開示されている。しかし、特許文献2では、弾性変形する内筒体が外筒体に圧入される際のスプリングバックの影響で、完全に内筒体が外筒体に密着しないことに基づき、熱伝導効率が低くなってしまう場合がある。この場合、冷却時における金型の温度調整を良好に出来ない事態となる。一方、圧入した内筒体は外筒体から取外しするのが難しいので、結果として内筒体の着脱は困難である。
【0010】
本発明の目的は、装置本体の通水孔に対する密着性を簡易な構成で向上し得るブッシュ装置及びこれを用いる通水機構並びにその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るブッシュ装置は、装置本体に形成された通水孔に配置され、通水媒体が供給されるブッシュと、上記ブッシュ及び上記通水孔の間に配置され、上記ブッシュが上記通水孔へ装着完了した後に、外径が上記通水孔と同一直径になるブッシュカラーと、を備え、上記ブッシュの外面をテーパにすると共に、上記ブッシュカラーの内面を上記ブッシュの外面に対応するようテーパにすることを特徴とする。ここで、装置本体の概念は、金型またはエンジンなどを含む。金型の概念は、例えば溶湯に直接接触する溶湯冷却ピン(従来例においては外筒体)などを含む。この溶湯冷却ピンは、金型の鋳造時における型の一部を構成するものとなり、且つ冷却孔を有するからである。即ち、本発明では、そのブッシュ装置を溶湯冷却ピンの冷却孔内に挿入するようにしても良い。また、金型は、例えば固定側の金型に配置される湯口装置または可動側の金型に配置される分流子などを含む概念である。即ち、本発明では、ブッシュ装置を金型本体または分流子などに形成される冷却孔へ装着するようにしても良い。
【0012】
上述したブッシュ装置は、上記ブッシュカラーを鋼鉄に比べて熱伝導率が高く且つ展性が大きい材質であることを特徴とする。ここで、上述した材質は、例えば銅またはアルミニウムなどが良好である。また、上述した各ブッシュ装置は、上記ブッシュカラーを軸方向に沿って複数に分割することを特徴とする。ここで、分割する箇所は、最大径の部分(直径部分と同義)を軸方向に沿って切削し、分割したブッシュカラーを通水孔に挿入し易くしても良い。更に、複数とは、二分割以上を意味し、3〜4などに分割しても良い。一方、分割したブッシュカラーは、その先端同士を溶接などで接合させても良い。
【0013】
上述した各ブッシュ装置は、上記ブッシュカラーに基端縁から先端近傍まで切欠を設けると共に、上記ブッシュカラーの先端近傍を薄肉形状または切込形状とすることを特徴とする。また、上述した各ブッシュ装置は、上記ブッシュは筒体およびこの筒体の開放口に装着されるツバ部を備え、上記ツバ部と上記筒体とを溶接・ロウ付けなどの溶融手段で固着させても良い。更に、上述した各ブッシュ装置は、上記ブッシュは筒体およびこの筒体の開放口に装着されるツバ部を備え、上記ツバ部を上記筒体にシール材・Oリング・ネジなどの密閉手段を介して着脱可能に連結させても良い。また、上述したブッシュ装置は、上記筒体の開放口にネジなどの引掛手段を設けても良い。更に、上述した各ブッシュ装置は、上記ブッシュ及び上記ブッシュカラーの間に変形可能な金属繊維・亜鉛などの金属ペースト等の充填材(充填剤)を充填させても良い。ここで、変形は、例えば金属繊維が塑性変形または金属ペーストが流動する概念などをも含む。
【0014】
本発明に係る通水機構は、装置本体に形成された通水孔に配置され、通水媒体が供給される外面がテーパのブッシュと、上記ブッシュ及び上記通水孔の間に配置され、内面が上記ブッシュの外面に対応するテーパで且つ上記ブッシュが上記通水孔へ装着完了した後に、外径が上記通水孔と同一直径になるブッシュカラーと、上記ブッシュに装着され、通水媒体を上記ブッシュ内へ連続的に供給する通水手段と、を備える。上述した通水機構は、上記通水孔及び上記ブッシュの間に充填する第1の変形可能な充填材または上記ブッシュ及び上記ブッシュカラーの間に充填する第2の変形可能な充填材を、適宜隙間に充填させるようにしても良い。本発明に係る通水機構の製造方法は、装置本体に形成された通水孔に通水媒体を供給する通水機構の製造方法であって、外径が上記通水孔と同一直径となり且つ内面がテーパのブッシュカラーを上記通水孔へ挿入するカラー挿入工程と、外面が上記ブッシュカラーの内面に対応するテーパのブッシュを上記ブッシュカラーへ挿入するブッシュ挿入工程と、上記ブッシュを上記通水孔へ所定量押込み、上記ブッシュカラーが上記通水孔の壁面へ押広げられ密着する密着工程と、からなることを特徴とする。
【0015】
また、上述した通水機構の製造方法は、上記密着工程の後に、通水媒体を上記ブッシュ内へ連続的に供給する通水手段を配置すると共に、上記通水手段を介して通水経路を配設する通水工程を更に設けても良い。ここで、通水工程とは、通水手段を介して水源(例えば水道の蛇口など)に接続したり、更に熱変換された排水を排水源に送らせ、通水経路(冷却回路と同義)になるよう構成する。更に、上述した各通水機構の製造方法において、上記カラー挿入工程前に第1の変形可能な充填材を充填させる第1の充填工程または上記ブッシュ挿入工程前に第2の変形可能な充填材を充填させる第2の充填工程のうち少なくとも一方の充填工程を更に設けても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る通水機構及びその製造方法並びにブッシュ装置では、外面がブッシュカラーの内面に対応するテーパのブッシュを、外径が通水孔と同一直径のブッシュカラーへ挿入して所定量押込むと、テーパに沿ってブッシュカラーが通水孔の内壁へ押広げられるよう密着する。即ち、本発明では、ブッシュがブッシュカラーを押広げるというテーパの楔効果により、ブッシュカラーが通水孔に密着する状態でブッシュ及び通水孔を仕切るので、介在物であるブッシュカラーがブッシュ及び通水孔を確実に分断する。従って、本発明によれば、ブッシュ及びブッシュカラーのテーパ同士を嵌合させるという組合せ構造で、ブッシュ装置及び通水孔を密着させるので、熱伝達効率を低下させることなく、装置本体たとえば金型の温度調整をし得る。
【0017】
また、本発明によれば、ブッシュ装置及び通水孔の密着性を、ブッシュ及びブッシュカラーのテーパ同士を嵌合させるという簡易な機械構造となっているので、例えば従来例のように通水孔及び金型用溶湯冷却ピンの隙間に溶解金属を介在させる構成に比べ、交換(メンテナンスを含む)時などの労力が軽減でき使い勝手が良くなる。更に、本発明によれば、ブッシュの挿入に伴いブッシュカラーを通水孔の壁面へ圧接させるという簡易な機械構造となっているので、例えば従来例のような焼きばめ等の圧入構成に比べてスプリングバックの影響がなく、密着性が向上する。なお、本発明によれば、テーパの楔効果によってブッシュカラーが通水孔に密着する状態でブッシュカラーがブッシュ及び通水孔を確実に分断するので、ブッシュが通水孔に接触することがなく、たとえ金型が型割れしても通水媒体が通水孔へと流出することを防止し得る。
【0018】
なお、ツバ部および筒体を着脱可能に連結する場合、芯出しが出来ない筒体でも通水孔に挿入し得、筒体に対する組付けが容易となる。また、筒体の芯出し作業または変形防止用の溶接治具による作業を不要にできるので、ブッシュの量産性が向上し得る。ここで、密閉手段を介在させて連結する場合、筒体及びツバ部同士が密閉し、水漏れが確実に防止される。更に、筒体の開放口に引掛手段を設ける場合、取外し器具を筒体の引掛手段に引掛けることにより、筒体を通水孔から容易に取外しできる。ブッシュ及びブッシュカラーの隙間などに変形可能な充填材(充填剤)を充填する場合、通水孔またはブッシュ装置の精度に幅が出来るので、製品管理が容易になる。同様に、上記各隙間に亜鉛などの金属ペースト等を充填する場合、熱伝導性を向上し得ると共に、錆の発生を防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る一実施例の通水機構の概要図である。
【図2】図1に示す通水機構の通水孔の断面図である。
【図3】図2に示す通水孔へブッシュカラーを挿入した状態の断面図である。
【図4】図3に示すカラー挿入状態でブッシュを挿入する状態の断面図である。
【図5】図4に示すブッシュ装置をロックナットで締結する状態の断面図である。
【図6】図5に示すロックナットを所定量さらに締結した装着完了状態の断面図である。
【図7】図1に示す配管継手の側面図である。
【図8】図8A〜図8Cは図4に示すブッシュカラーの変形例A〜Cの部分断面図である。
【図9】図9A及び図9Bは図5に示すブッシュの変形例D及びEの分解断面図である。
【図10】図10A及び図10Bは図9に示すブッシュの変形例F及びGの分解断面図である。
【図11】図11は変形例Hを示し、図11Aは図10に示すブッシュの変形例Hの分解断面図、図11Bはその組付け断面図である。
【図12】図4に示すブッシュの変形例Iの断面図である。
【図13】図13は変形例Kを示し、図13Aは冷却孔内に充填材を充填する状態の断面図、図13Bはブッシュカラー及びブッシュの間に充填材を充填する状態の断面図である。
【図14】図14は変形例Mを示し、図14Aは変形したツバ部の平面図、図14Bはそのツバ部の側面図である。
【図15】図14に示すツバ部をロックナットで締結した状態の断面図である。
【図16】図6に示すブッシュ装置をエンジンに装着された状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、具体化した一実施例をブッシュ装置及びこれを用いる通水機構並びにその製造方法について説明する。
【実施例1】
【0021】
以下、図1乃至図7に基づいて、本発明の一実施例である冷却ブッシュ装置及びこれを用いる金型冷却機構(通水機構)並びにその製造方法について説明する。ここで、本実施例に係る金型冷却機構を適用する金型80(装置本体に含まれる冷却対象物)は、鋳物を形作るキャビティ面81Aと、このキャビティ面81Aの反対面(以下、型面ともいう)81B側に金型80を冷却する冷却孔(通水孔)82を備える。この冷却孔82には、図2に示すように、その上部にネジ部83が形成されていると共に、このネジ部83に連続して同一径の孔部82Aが形成されている。なお、冷却孔82の底部は、半球状の半球部82Bとなっている。
【0022】
(金型冷却機構の概略構成)
図1に示すように、金型冷却機構Sは、上述した冷却孔82内に挿通する冷却ブッシュ装置10と、この冷却ブッシュ装置10を冷却孔82の所定位置で確実に位置決めするロックナット22と、冷却ブッシュ装置10に接続される配管継手24を備える。この配管継手24及び冷却ブッシュ装置10は、通水媒体である冷却媒体を連続的に供給し及び排出する通水経路(冷却回路と同義)の一部を構成する。
【0023】
(冷却ブッシュ装置主に冷却ブッシュカラーの構成)
図4に示すように、冷却ブッシュ装置10は、冷却ブッシュカラー(以下、単に「カラー」ともいう)12及び冷却ブッシュ14の組合せで、両者共にその外形が冷却孔82と略同一形状である。ここで、カラー12は、図2の2点鎖線に示すように、軸方向に沿って二分割されており、左右対称の形状となっている。また、カラー12は、図3に示すように、その分割箇所が最大径の部分(直径部分と同義)で、一対のカラー片12A及び12Bの組合せとなる。
【0024】
これらのカラー片12A及び12Bは、冷却孔82内に挿入された状態で所定の隙間T1になるように、上述した直径部分が隙間T1の1/2づつ切削されるよう形成されている(図3の実線参照)。また、カラー12は、鋼鉄などに比べ熱伝導率が高く且つ展性が大きい材質、例えば銅またはアルミニウムなどの材料を用いてプレス成型するのが好適である。なお、同一形状のカラー片12A及び12Bをプレス加工して成型するので、カラー12は安価に製造し得る。
【0025】
図1に示すように、カラー12及び冷却ブッシュ14が冷却孔82へ装着完了した後において、カラー12は冷却孔82の軸心P(図2の一点鎖線参照)と同一の有底筒状となる。即ち、カラー12には、その開放されている挿入口13(図2の二点鎖線参照)が形成されている。一方、カラー12の先端は、上述したように、冷却孔82の半球部82Bに対応する形状となっている。即ち、図4に示すように、カラー12には、その先端に半球部12Cが形成されている。なお、カラー12の長さL1(図3参照)は、孔部82A及び半球部82Bの長さよりも若干短くなっている。
【0026】
カラー12は、冷却ブッシュ14が冷却孔82へ装着完了した後(図6参照)において、その外径が孔部82Aの直径D1(図2参照)と同一になるよう設定されている。即ち、図2の二点鎖線に示すように、カラー12の外面形状は軸線Pに沿って直線状となっており、カラー12の外周面が冷却孔82の内周面へ密着するように設定されている。
【0027】
一方、図4に示すように、カラー12は、その内周面が軸線Pに対して斜状のテーパ面12Dとなっており、挿入口13から半球部12Cへ向かう程に肉厚が厚くなるよう設定されている。即ち、テーパ面12Dは挿入口13から半球部12Cへ向かって軸心P寄りに斜状となっており、そのためカラー12の内面形状は先細り状である(図5参照)。なお、テーパ面12Dは、そのテーパ率が例えば1/200などで内径加工されている。
【0028】
(冷却ブッシュの構成)
図4に示すように、冷却ブッシュ14は、内膜として機能する有底筒状の筒体16と,筒体16の開放口17(図4の二点鎖線参照)に溶接(ロウ付けも含む概念)などの溶融手段で装着(固着と同義)されるツバ部18を備える。このツバ部18は、図5に示すように、開放口17へ挿入する挿入部19と,挿入部19よりも径大なネジ部20(図4参照)を備える。このネジ部20は、冷却孔82のネジ部83に噛合するよう形成されている。なお、図5に示すように、挿入部19は、ツバ部18が筒体16に装着できるように、開放口17の直径よりも若干径小となるよう形成されている。
【0029】
また、ツバ部18には、そのネジ部20に対応する中央に、六角レンチ孔(以下、「レンチ孔」という)18Aが形成されている。このレンチ孔18Aには、図示しない六角レンチが挿入される。また、ツバ部18には、レンチ孔18Aに連通する雌ネジのネジ部18Bが形成されている。このネジ部18Bは、図1に示すように、配管継手24のネジ部34Aが噛合するよう形成されている。即ち、ネジ部18Bは、ネジ部34Aに対応するように形成されている。なお、ツバ部18及び筒体16の溶接箇所は、ネジ部20の下方で挿入部19に対応する筒体16の外周面周辺である。
【0030】
図5に示すように、筒体16は、ツバ部18を装着するストレート部16Aと,カラー12(即ち、カラー片12A及び12B)を冷却孔82の内周面へ押し広げるテーパ部16Bと,カラー12の半球部12Cに対応する半球部16Cを備える。この筒体16は、例えば軟鉄で成形された高張力鋼板などで、一体成型たとえばプレス成型している。即ち、筒体16は、プレス成型の他に、例えばスエージング加工または中ぐり加工など成形させても良い。ストレート部16Aは、筒体16の開放口17から所定長さ(具体的には、図5の一点鎖線までの長さ)L2までの範囲で、同一径になるよう形成されている。
【0031】
テーパ部16Bは、図4に示すように、その外形(外面と同義)がカラー12のテーパ面12Dに対応するよう先細りのテーパ形状(ストレート部16Aの延長線Y参照)で、対応するテーパ面12Dの内面よりも若干径大となっている。即ち、テーパ部16Bは、冷却ブッシュ14がカラー12に挿入されるに伴い、カラー12の外周面を冷却孔82の壁面(内周面と同義)へ押しつけるためである。
【0032】
(ロックナットの構成)
図6に示すように、ロックナット22は、ネジ部20の緩み防止用ナットで、冷却孔82のネジ部83に噛合するよう形成されている。図5に示すように、ロックナット22には、その中央に六角レンチ孔(以下、「レンチ孔」という)22Aが形成されている。このレンチ孔22Aは、ツバ部18のレンチ孔18Aと同一形状になっている。そのため、冷却ブッシュ14及びロックナット22を締結などする場合、図示しない六角レンチをレンチ孔18A及び22Aに挿入し、同時に締結などできる。
【0033】
(配管継手の構成)
図7に示すように、通水手段である配管継手24は、冷却媒体たとえば水を冷却ブッシュ14(図1参照)内へ連続的に給水する給水コネクタ28と,この給水コネクタ28に連通する給水パイプ30と,熱変換された排水を排水源に送る排水コネクタ32と,この排水コネクタ32に連通する排水パイプ34を備える。給水コネクタ28には、図示しない水源(例えば水道の蛇口など)から導出される通水配管(図示省略)が接続される。なお、給水パイプ30は、図1に示す装着後の配管継手24において、筒体16の半球部16D付近まで延設されている。
【0034】
図1に示すように、配管継手24には、レンチ孔18A及び22A(図5参照)に挿入し支持する円柱状の支持パイプ26が配置されている。上述した排水パイプ34は、支持パイプ26の下部で支持パイプ26よりも径少となっている。そして、排水パイプ34には、その外周面にネジ部34Aが形成されている。即ち、配管継手24は、その支持パイプ26がレンチ孔18A及び22A(図5参照)に挿入できるような円柱となっている。
【0035】
(本実施例の作用)
図1に示す金型冷却機構Sの製造方法(具体的には組立手順)を説明する。この製造は、カラー12を冷却孔82に挿入するカラー挿入工程,冷却ブッシュ14を更に挿入するブッシュ挿入工程,冷却ブッシュ14を冷却孔82に締込み密着させる密着工程(ここまでが冷却ブッシュ装置10の組付け)を経て、この組付け後の冷却ブッシュ装置10に配管継手24等を装着させる通水工程で終了する。
【0036】
カラー挿入工程は、図3に示すように、例えばカラー片12A及び12Bを合わせた状態(図3の二点鎖線参照)で、冷却孔82へ挿入しカラー片12A及び12Bをそれぞれ冷却孔82の壁面に当接させる。本実施例では、冷却孔82に対するカラー12の挿脱時に、カラー12を二分割し且つカラー片12A及び12Bの直径部分を若干切削している(即ち、冷却孔82の孔径よりも小さくなる)ので、冷却孔82に対するカラー12の挿脱が容易になる。即ち、本実施例は、カラー12の挿脱時に、冷却孔82(の周壁と同義)の損傷を防止する。
【0037】
ブッシュ挿入工程は、図4に示すように、冷却ブッシュ14をカラー12の挿入口13へ差込み、図示しない六角レンチなどでネジ部20をネジ部83に締込む。図5に示すように、ロックナット22の締付表面が金型80の型面81Bと面一になるまで、ロックナット22及び冷却ブッシュ14を更に締込む。この面一までの締込みでは、冷却ブッシュ14における半球部16Cの頂点からカラー12における半球部12Cの内面頂点までの距離L3が、隙間となる。
【0038】
密着工程は、冷却ブッシュ14を冷却孔82へ更に隙間分である所定量(具体的には距離L3)まで締結すると、図6に示すように、ロックナット22が金型の型面81Bよりも距離L3まで入り込み、カラー12が冷却孔82の内壁へ押広げられ密着する。即ち、図4に示すように、冷却ブッシュ14は、そのテーパ部16Bがカラー12のテーパ面12Dにガイドされながらカラー12を、冷却孔82の周壁へ押付ける。なお、冷却ブッシュ14を図6に示す所定位置で位置決めするため、ロックナット22のみを更に締付ける。
【0039】
ここで、カラー12は冷却孔82の周壁へ押広げられるが、図3に示すような半割り形状のカラー12は鋼鉄などに比べ熱伝導率が高く且つ展性が大きい材質たとえば銅材で成型されているので、展性などの変形吸収作用によってカラー片12A及び12B同士の隙間はなくなり密着する。また、溶湯入湯時に金型80が高温となるので、カラー12が金型80及び冷却ブッシュ14よりも熱膨張し、カラー片12A及び12B同士は密着する。
【0040】
本実施例においては、冷却ブッシュ14がカラー12を押広げるというテーパの楔効果により、カラー12が冷却孔82に密着する構成となっているので、金型80の冷却孔82及び冷却ブッシュ装置10の密着性を簡易な構成で向上する。また、本実施例においては、このカラー密着状態で冷却ブッシュ14及び冷却孔82を仕切るので、介在物であるカラー12が冷却ブッシュ14及び冷却孔82を確実に分断する。即ち、本実施例おいては、冷却孔82へ接触しないように構成しているので、膜としての冷却ブッシュにより水漏れが確実に防止される。
【0041】
従って、本実施例によれば、冷却ブッシュ14及びカラー12のテーパ同士を嵌合させるという組合せ構造で、冷却ブッシュ装置10(冷却ブッシュ14とカラー12との組合せ)及び冷却孔82を密着させるので、熱伝達効率を低下させることなく、金型80の温度調整をし得る。また、本実施例によれば、冷却ブッシュ装置10及び冷却孔82の密着性を、冷却ブッシュ14及びカラー12のテーパ同士を嵌合させるという簡易な機械構造となっているので、例えば従来例のように冷却孔及び金型用溶湯冷却ピンの隙間に溶解金属を介在させる構成に比べ、交換時などの労力が軽減でき使い勝手が良くなる。
【0042】
また、本実施例によれば、冷却ブッシュ14の挿入に伴いカラー12を冷却孔82の周壁へ圧接させるという簡易な機械構造となっているので、例えば従来例のような焼きばめ等の圧入構成に比べてスプリングバックの影響がなく、密着性が向上する。なお、本実施例によれば、テーパの楔効果によってカラー12が冷却孔82に密着する状態でカラー12が冷却ブッシュ14及び冷却孔82を確実に分断するので、冷却ブッシュ14が冷却孔82に接触することがなく、たとえ金型80が型割れしても冷却媒体が冷却孔82へと流出することを防止し得る。
【0043】
通水工程は、上述した密着工程の後(図6参照)に、図7に示す配管継手24を冷却ブッシュ14に装着する。即ち、配管継手24の装着は、図1に示すように、給水パイプ30を冷却ブッシュ14内へ挿入すると共に、支持パイプ26をロックナット22及びツバ部18のレンチ孔18A及び22A(図5参照)に挿入する。その後、配管継手24のネジ部34Aを冷却ブッシュ14のネジ部18Bへ噛合させる。なお、ネジ部34Aは、ネジ部18Bに締結されるため、支持パイプ26からの水漏れが防止される。
【0044】
また、給水コネクタ28は図示しない通水配管を介して例えば水道の蛇口などに接続すると共に、排水コネクタ32は図示しない通水配管を介して例えば排水場に導出させる。即ち、通水経路は、配管継手24を冷却ブッシュ装置10に装着すると共に、給水コネクタ28及び排出コネクタ32をそれぞれの通水配管に接続させることによって完成する。
【0045】
ここで、水道からの水は、図1に示すように、給水コネクタ28及び給水パイプ30を介して冷却ブッシュ14の筒体16に連続して送出され、排出パイプ34及び排出コネクタ32を介して排出する(図1の矢印参照)。即ち、冷却ブッシュ14内へ送られる水は、溶湯入湯時などの金型80を冷却する。また、熱変換された(即ち、熱せられた)水は、冷却ブッシュ14内から排出パイプ34を経て排出される。
【0046】
(その他の変形例)
図8に示すように、カラー12は分割することなく、一体的に構成させても良い(変形例A〜C)。即ち、変形例Aに係るカラー12には、図8Aに示すように、その基端縁(図4に示す挿入口13参照)から先端近傍(半球部12Cの頂点部分)まで軸方向に沿う切欠38が形成されている。また、カラー12は、その先端近傍を連結部として薄肉形状にしても良い。この薄肉40は、例えば半球部12Cの頂点部分における肉厚よりも略1/3薄い肉厚となっている。
【0047】
この変形例Aは、連結部が薄肉40となっているので、冷却孔82(図2参照)へのカラー12挿入時などに、例えばカラー12の基端部分が撓る。そのため、変形例Aでも、カラー12を冷却孔82に挿脱する際、その挿脱が容易となる。また、変形例Aでは、単体のカラー12を成し(図8参照)、図3に示すような組合せ片としていないので、片方だけのカラー片の紛失などが防止される。
【0048】
図8Bに示すように、変形例Bに係るカラー12は、その連結部を断面V字状の切込み形状としても良い。この切込42は、例えば半球部12Cの頂点部分における肉厚の略1/3までの深さに亘って形成している。その他の構成及び作用効果は、変形例Aと同様であるので、詳細説明は省略する。
【0049】
図8Cに示すように、変形例Cは、二分割したカラー片12A及び12B(図3参照)の先端を溶接などで接合させた例である。即ち、変形例Cに係るカラー12は、その連結部を接合させている。この接合44は、例えば半球部12Cの頂点部分における肉厚の略1/3の厚みとなっている。その他の構成及び作用効果は、変形例Aと同様であるので、詳細説明は省略する。
【0050】
図9A及び図9Bは図5に示す冷却ブッシュ14の変形例D及び変形例Eで、変形例Dに係る冷却ブッシュ14は筒体16に延長パイプ46を接続する例である。即ち、図9Aに示すように、変形例Dは、冷却孔の孔部が図1に示す例よりも長い場合に対応させる例である。なお、延長パイプ46の接続方法は、溶接などで筒体16及びツバ部18をそれぞれ接合させる。その他の構成は、図4に示す例と同様であるので、詳細説明は省略する。
【0051】
図9Bに示すように、変形例Eに係る冷却ブッシュ14は、そのツバ部18上面に十字状に切欠した十字溝48を形成した例である。この十字溝48は、冷却ブッシュ14を冷却孔82(図4参照)へ締付けるためのもので、図5に示すレンチ孔18Aに代わる例である。従って、ネジ部18Bに連通する(即ち、図9Bに示す十文溝48に対応する)孔は、丸孔としても良い。その他の構成は、図4に示す例と同様であるので、詳細説明は省略する。
【0052】
図10A及び図10Bは、図5に示す冷却ブッシュ14の変形例F及び変形例Gを示し、そのツバ部18を筒体16に着脱しうるよう連結する例である。これらの変形例F及び変形例Gは、ツバ部18を筒体16に溶融手段(ロウ付けなどの概念を含む溶接)で溶着する場合(実施例1)において、芯出しが出来ない筒部16(冷却ブッシュ14)でも冷却孔18に挿入し得る例である。
【0053】
図10Aに示すように、変形例Fに係る冷却ブッシュ14の筒部16は、例えば絞り加工で成形される際に、外方へ略直角方向に向かうフランジ16Dが一体成型される例である。なお、このフランジ16Dは、図5に示す冷却孔82のネジ部83に干渉しないようになっている。また、変形例Fに係るツバ部18の挿入部19は、その外径が筒部16のストレート部16A内径よりも、若干径大になるよう設定している。
【0054】
更に、変形例Fは、合成樹脂製でリング状のシール材(密閉手段)50を、挿入部19に嵌め込んでいる。このシール材50は、挿入部19の軸方向の長さ(高さ)よりも、若干長くなるように設定されている(図10A参照)。また、シール材50は、その内径が挿入部19の外径よりも若干径小となっている。そのため、シール材50は、筒体16とツバ部18とに密着した状態で、図5に示すようなツバ部18で固定される。
【0055】
即ち、変形例Fでは、シール材50が筒体16のフランジ16Dに圧着すると共に、挿入部19の先端もフランジ16Dに当接する。従って、変形例Fにおいて、シール材50をツバ部18の挿入部19に装着し筒体16のフランジ16Dに圧着させるので、筒体16のフランジ16D及びツバ部18を密閉し、水漏れが確実に防止される。変形例Fによれば、筒体16及びツバ部18を着脱可能に連結するので、芯出しが出来ない筒体16(冷却ブッシュ14)でも冷却孔82に挿入し得、筒体16に対する組付けが容易となる。
【0056】
同様に、変形例Fによれば、筒体16の芯出し作業又は変形防止用の溶接治具による作業を不要にできるので、冷却ブッシュ14の量産性(製造時における作業能率を含む)が向上し得る。その他の構成及び作用効果は、図5に示す例と同様であるので、詳細説明は省略する。なお、変形例Fでは、シール材50を挿入部19の軸方向の長さよりも短くなるように設定し、且つ挿入部19を筒体16内に挿入するようにしても良い。
【0057】
図10Bに示すように、変形例Gに係る冷却ブッシュ14は、ツバ部18の挿入部19にOリング52を嵌め込んでいる。ここで、挿入部19の外周には、Oリング52を嵌め込む溝が周方向に形成されている。そして、変形例Gは、挿入部19及びOリング52を、筒体16内に挿入し嵌合(連結と同義)する。なお、変形例Gは、その筒体16にフランジ16D(図10A参照)が形成されていても、形成されていなくても(図10B参照)同様に適用しうる。その他の構成及び作用効果は、変形例Fと同様であるので、詳細説明は省略する。
【0058】
図11は、図5に示す冷却ブッシュ14の変形例Hを示し、そのツバ部18を筒体16に密閉手段であるネジを介して着脱可能に装着する例である。この変形例Hは、図10A及び図10Bに示す変形例と同様、ツバ部18を筒体16に溶融手段で溶着する場合において、芯出しが出来ない筒体16でも冷却孔82に挿入し得る例である。
【0059】
変形例Hは、図11Aに示すように、リング状のネジカラー54を筒体16のストレート部16A(開放口17)に溶着している。補強用のネジカラー54には、その内周面に引掛手段であるネジ54Aが形成されている。一方、ツバ部18の挿入部19には、その外周面にネジ18Cが形成されている。そして、図11Bに示すように、これらの密閉手段であるネジ54A及び18Cが締結されることにより、ツバ部18はネジカラー54を介して筒体16に装着される。
【0060】
ここで、ネジカラー54は、その外径がストレート部16Aの内径よりも若干だけ径大となっている。そして、変形例Hでは、図11Aの想像線に示すように、ネジカラー54を筒体16のストレート部16A端縁まで全周に亘って圧入すると共に、開放口17におけるネジカラー54及び筒体16の接合部分を全周に亘って溶接などで溶着する。
【0061】
ここで、変形例Hにおいては、ネジカラー54を筒体16内に圧入して溶着する構成とするので、たとえ溶接などの固定手段(溶融手段)を用いたとしても筒体16の変形などを最小限に抑え得る。その後、筒体16を冷却孔82(図4参照)に挿入し、図11Bに示すように、ツバ部18をネジカラー54に締結し固定する。この締結に際しては、気密性を保持する耐熱シール剤を、ネジ18C又は54Aに塗布しても良い。
【0062】
変形例Hでは、ツバ部18をネジカラー54を介して筒体16に締結する構成としたので、筒体16の芯出し作業などを不要にできる。即ち、変形例Hによれば、芯出し作業などを不要できるので、作業能率(量産性)が向上し得る。なお、ネジ54A及び18Cの締結は、図示しない六角レンチ及び図11Bに示すレンチ孔18Aを用いる。その他の構成及び作用効果は、変形例F又はGと同様であるので、詳細説明は省略する。
【0063】
なお、変形例Hは、ツバ部18及び筒体16を仮付け溶接しても良い。この仮付け溶接は、図11Bに示すように、ネジ部20の下方で挿入部19に対応する筒体16の外周面周辺で、例えば90度の角範囲の4箇所にする。ツバ部18及び筒体16を仮付け溶接しても、ツバ部18を筒体16に固定するのに充分であり、溶接による変形が少ない。また、図11に示す筒体16は、図10Aに示すようなフランジ16Dが、一体形成されるものでも適用できる。
【0064】
図12は、図5に示す冷却ブッシュ14の変形例Iを示し、変形例Hと同様ツバ部18(図11A参照)を筒体16にネジを介して着脱可能に装着する例である。この変形例Iは、図12に示すように、密閉手段の一部を構成するネジ16Eを、直接に筒体16のストレート部16A端縁内周面に形成するものである。一方、図11Aに示すようなツバ部18の挿入部19は、その外径が筒体16のストレート部16A(ネジ16E)に対応し、且つ引掛手段または密閉手段の一部を構成するネジ18C(図11A参照)が形成される。
【0065】
そして、変形例Iでは、図11Aに示すようなツバ部18のネジ18Cを、図12に示す筒体16のネジ16Eに締結し固定する。この締結に際しては、気密性を保持する耐熱シール剤を、ネジ18C(図11A参照)又は16Eに塗布しても良い。または、変形例Iでは、図10Aに示すようなシール材50を、ツバ部18の挿入部19の基端に装着するようにしても良い。
【0066】
図12に示すように、冷却孔82に挿入された筒体16を取出すには、先ず図示しない六角レンチ(図11Aに示すレンチ孔18A)でツバ部18を、筒体16から取外す。次に、筒体16の取出しには、取外し器具(いわゆるノック抜き器具)90を用いる。このノック抜き器具90は、その先端にネジ90A(ネジ16Eに対応する外ネジ)を備える。なお、ノック抜き器具90は、図示しないスライド可能な錘も備え、この錘をスライドさせる際の衝撃によって被取外し部品(例えば筒体16など)を取外す。
【0067】
変形例Iによれば、ノック抜き器具90のネジ90Aを筒体16のネジ16Eに締結し、上記錘をスライドさせることによって筒体16を冷却孔82から容易に取外しできる。なお、図5に示すツバ部18が筒体16に溶接などの溶融手段で固着されている場合の取外しは、ツバ部18のネジ部18Bに、図12に示すノック抜き器具90のネジ90A(ネジ部18Bに対応する外ネジ)を締結して行う。また、引掛手段は、ネジの他に、筒体16を取外し器具で引掛けることができるものであれば良い。その他の構成及び作用効果は、変形例Hと同様であるので、詳細説明は省略する。
【0068】
変形例Kは、図13A及び図13Bに示すように、冷却孔82とカラー12との隙間またはカラー12と冷却ブッシュ14との隙間に、充填材を埋め尽くすように充填(いわゆるエアー抜きと同義)し、熱伝導性を向上させる例である。即ち、変形例Kは、充填材たとえば市販されている金属繊維60または充填剤となる金属ペースト62などを、冷却孔82とカラー12内またはカラー12と冷却ブッシュ14との間に充填する例である。
【0069】
この金属繊維60は、チタン・銅・黄銅などを組合わせた金属材料で、繊維径が50μm程度の繊維である。金属ペースト62は、防錆効果のある亜鉛粉および不燃性エポキシなどを含むペースト(亜鉛粉の含有量が96%程度のペースト)である。ここで、一般的に亜鉛は、鉄よりも早くイオン化して酸化するので、その酸化被膜により錆の発生を防止する。また、亜鉛は、熱伝導が鉄よりも良く(銅と同等の熱伝導性があり)、且つアルミよりも溶けにくいので、上記隙間に装填するのに最適である。ここで、充填材(「充填剤」と同義)は、例えば銅などの金属粉をも含む。
【0070】
先ず、変形例Kでは、図13Aに示すように、金属繊維60または金属ペースト62を、冷却孔82内(具体的には冷却孔82とカラー12との隙間)に装填する。次に、変形例Kでは、図13Bに示すように、金属繊維60または金属ペースト62を、カラー12と冷却ブッシュ14との隙間に装填する。そして、これらの充填した充填材60または62は、隙間形状にそれぞれ対応する形状に変形(「金属繊維が塑性変形」または「金属ペーストが流動」する概念などをも含む)し、上記隙間を埋め尽くす(例えば金属ペーストが焼結して成型する)。なお、金属繊維60又は金属ペースト62の充填量は、それぞれの隙間で変動させる。また、変形例Kでは、金属繊維60のみ・金属ペースト62のみ・金属繊維60及び金属ペースト62の両者を適宜に混合させるようにしても良い。
【0071】
更に、変形例Kでは、上述した充填材を冷却孔82及びカラー12の間隔のみ・カラー12及び冷却ブッシュ14の間隔のみ・上記両者の間隔それぞれに充填させるようにしても良い。変形例Kによれば、上記各隙間を変形可能な充填材60または62で充填する(即ち、充填材60または62が隙間形状に各々対応して変形し隙間を埋める)ので、冷却孔82または冷却ブッシュ装置10の精度誤差に余裕(幅)ができ、製品管理が容易になる。また、変形例Kによれば、上記各隙間を金属繊維60又は亜鉛の金属ペースト62などの充填材で充填するので、熱伝導性を向上し得ると共に、錆の発生を防止し得る。その他の構成及び作用効果は、実施例1と同様であるので、詳細説明は省略する。
【0072】
変形例Mは、図5に示すツバ部18及びそのロックナット22を変形させ、ツバ部18の緩みを更に防止する例である。図14及び図15に示すように、ツバ部18は、そのネジ部20の上面に、引掛頭部21を突設している。この引掛頭部21は、ネジ部20よりも若干径少となっており、ストレート部21A及びテーパ部21Bを備える。これらのストレート部21A及びテーパ部21Bは、図14Aに示すように、それらの外縁がそれぞれ連続形成している。
【0073】
図14及び図15に示すように、ストレート部21Aは、締結工具たとえばスパナ等(図示省略)を引掛けるように、それぞれが対向して直線状に一対切欠形成されている。一方、テーパ部21Bは、引掛頭部21の表面からネジ部20側へ向かってテーパ状で(図15参照)、且つその平面形状が円弧状となっている(図14A参照)。また、テーパ部21Bは、上述したように、ストレート部70A間の外縁に連続するよう一対形成されている。
【0074】
更に、ツバ部18には、図14に示すように、円形の孔21Cがネジ部18Bに連続するよう形成されている。この孔21Cは、ネジ部18Bよりも径大となっている。そして、孔21Cには、図1に示す配管継手24の支持パイプ26先端が挿入される。図15に示すように、ロックナット70は、ツバ部18のネジ部20と同一径となっている。また、ロックナット70は、六角レンチ用で且つ支持パイプ26挿通用のレンチ孔70Aが、貫通して形成している。
【0075】
ロックナット70には、図15に示すように、そのロック面(ツバ部18に対向する面)70C側に、テーパ面70Bが全周に亘って凹状に形成されている。このテーパ面70Bは、ツバ部18のテーパ面21Bに対応するようテーパ状となっている。なお、ロックナット70は、その外周にネジ70Dが形成されている。そして、このネジ70Dは、ツバ部18のネジ部20と同様、冷却孔82のネジ部83と締結する。
【0076】
そして、ロックナット70のロック面70C及びツバ部18のネジ部20並びにテーパ面70B及び21B同士などは、その締結状態(図15に示す状態)において、圧着している。変形例Mでは、図15に示すように、先ず冷却ブッシュ14を冷却孔82内に挿入する。次に、変形例Mでは、引掛頭部21のストレート部21A(図14参照)間に図示しないスパナなどを引掛け、ツバ部70(冷却ブッシュ14)を回転させる。即ち、冷却ブッシュ14は、冷却孔82に対して位置決めされる。
【0077】
最後に、変形例Mでは、ロックナット70を六角レンチで、ツバ部18に対して圧着するよう冷却孔82のネジ部83に締結する。変形例Mによれば、図15に示すように、ロックナット70のWナット効果およびツバ部18のテーパ部21B及びロックナット70のテーパ部70B同士のくさび効果により、ツバ部18(冷却ブッシュ14)の緩みを更に防止し得る。その他の構成及び作用効果は、実施例1と同様であるので、詳細説明は省略する。
【0078】
ここで、装置本体の概念は、実施例1に示す金型またはエンジンなどを含む。例えば、図16に示すように、3気筒タイプのエンジン86では、シリンダ87A〜87Cのうち中央のシリンダ87Bに対する冷却が構成上困難である。そこで、本発明では、複数本の冷却ブッシュ装置を、シリンダ87Bの回りに集中して配置させても良い。この場合、シリンダ87A〜87Cの両側に配置されるウオータジャケット88のみならず、複数本の冷却ブッシュ装置でシリンダ87Bを集中的に冷却できる。なお、冷却水の圧送は、2系統あるいは1系統のみでも良い。
【0079】
また、装置本体には、図示しないスーパーコンピュータ(例えば建物のワンフロア内に収容する大きさの装置)のCPUなども含む。即ち、本発明は、このCPUなどを冷却する装置本体にも、適用できる。一方、本発明では、冷却の場合のみならず、装置本体を予熱する温暖用にも適用できる。金型交換後あるいは金型の始運転時などに、例えば100度程度の湯を、本発明のブッシュ装置に通水させても良い。
【0080】
金型の概念は、例えば溶湯に直接接触する溶湯冷却ピン(従来例においては外筒体)などを含む。この溶湯冷却ピンは、金型の鋳造時における型の一部を構成するものとなり、且つ冷却孔を有するからである。即ち、本発明では、その冷却ブッシュ装置を溶湯冷却ピンの冷却孔内に挿入するようにしても良い。また、金型は、例えば固定側の金型に配置される湯口装置または可動側の金型に配置される分流子などを含む概念である。即ち、本発明では、ブッシュ装置を金型本体または分流子などに形成される冷却孔へ装着するようにしても良い。
【0081】
本発明において、カラー12のテーパ面(内面と同義)12Dは、そのテーパ率を例えば1/150など任意に設定(変更)できる。本発明では、カラー12を軸方向に沿って二分割以上の複数たとえば3〜4などに分割しても良い。また、本実施例では冷却ブッシュ14を任意の締付け完了位置(装着完了位置と同義)としても良く、且つその緩み止めは簡易な仮付け溶接などとしても良い。更に、本実施例の冷却回路は、冷却ブッシュ装置10で熱変換された水を再び冷却し再使用する循環型としても良い。
【0082】
なお、本実施例に係るカラー12は、粉末状の銅(粉末銅)を型に入れ焼結して成型させても良い。また、本実施例は、カラー12のテーパ面12D及び冷却ブッシュ14のテーパ部16Bを、それぞれストレートに成形しても良い。この際にも、金属繊維60又は金属ペースト62などを、適宜充填するようにしても良い。更に、本実施例では、実施例1または変形例A〜Kなどの組合せにおいて、例えば上記各例の構成の内、2つの例または2つ以上の例を組合せるパターンとしても良い。
【符号の説明】
【0083】
10…冷却ブッシュ装置、12…冷却ブッシュカラー、12D…カラーのテーパ面、14…冷却ブッシュ、16…冷却ブッシュの筒体、16B…筒体のテーパ部、16E…筒体のネジ(密閉手段または引掛手段)、18…冷却ブッシュのツバ部、18C…ツバ部のネジ(密閉手段)、24…配管継手(通水手段)、50…シール材(密閉手段)、52…Oリング(密閉手段)、54…ネジカラー(密閉手段または引掛手段)、60…金属繊維(充填材)、62…金属ペースト(充填材)、80…金型(装置本体)、82…冷却孔、S…金型冷却機構、86…エンジン(装置本体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に形成された通水孔に配置され、通水媒体が供給されるブッシュと、
上記ブッシュ及び上記通水孔の間に配置され、上記ブッシュが上記通水孔へ装着完了した後に、外径が上記通水孔と同一直径になるブッシュカラーと、を備え、
上記ブッシュの外面をテーパにすると共に、上記ブッシュカラーの内面を上記ブッシュの外面に対応するようテーパにすることを特徴とするブッシュ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のブッシュ装置において、上記ブッシュカラーを鋼鉄に比べて熱伝導率が高く且つ展性が大きい材質であることを特徴とするブッシュ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のブッシュ装置において、上記ブッシュカラーを軸方向に沿って複数に分割することを特徴とするブッシュ装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の各請求項に記載のブッシュ装置において、上記ブッシュカラーに基端縁から先端近傍まで切欠を設けると共に、上記ブッシュカラーの先端近傍を薄肉形状または切込形状とすることを特徴とするブッシュ装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の各請求項に記載のブッシュ装置において、上記ブッシュは筒体およびこの筒体の開放口に装着されるツバ部を備え、上記ツバ部と上記筒体とを溶融手段で固着させることを特徴とするブッシュ装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4の各請求項に記載のブッシュ装置において、上記ブッシュは筒体およびこの筒体の開放口に装着されるツバ部を備え、上記ツバ部および上記筒体を着脱可能に連結させることを特徴とするブッシュ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のブッシュ装置において、上記筒体の開放口に引掛手段を設けることを特徴とするブッシュ装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の各請求項に記載のブッシュ装置において、上記ブッシュ及び上記ブッシュカラーの間に変形可能な充填材を備えることを特徴とするブッシュ装置。
【請求項9】
装置本体に形成された通水孔に配置され、通水媒体が供給される外面がテーパのブッシュと、
上記ブッシュ及び上記通水孔の間に配置され、内面が上記ブッシュの外面に対応するテーパで且つ上記ブッシュが上記通水孔へ装着完了した後に、外径が上記通水孔と同一直径になるブッシュカラーと、
上記ブッシュに装着され、通水媒体を上記ブッシュ内へ連続的に供給する通水手段と、を備えることを特徴とする通水機構。
【請求項10】
請求項9に記載の通水機構において、上記通水孔及び上記ブッシュの間に充填する第1の変形可能な充填材または上記ブッシュ及び上記ブッシュカラーの間に充填する第2の変形可能な充填材のうち少なくとも一方を備えること特徴とする通水機構。
【請求項11】
装置本体に形成された通水孔に通水媒体を供給する通水機構の製造方法であって、
外径が上記通水孔と同一直径となり且つ内面がテーパのブッシュカラーを上記通水孔へ挿入するカラー挿入工程と、
外面が上記ブッシュカラーの内面に対応するテーパのブッシュを上記ブッシュカラーへ挿入するブッシュ挿入工程と、
上記ブッシュを上記通水孔へ所定量押込み、上記ブッシュカラーが上記通水孔の壁面へ押広げられ密着する密着工程と、からなることを特徴とする通水機構の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の通水機構の製造方法において、上記密着工程の後に、通水媒体を上記ブッシュ内へ連続的に供給する通水手段を配置すると共に、上記通水手段を介して通水経路を配設する通水工程を更に設けることを特徴とする通水機構の製造方法。
【請求項13】
請求項11又は請求項12に記載の通水機構の製造方法において、上記カラー挿入工程前に第1の変形可能な充填材を充填させる第1の充填工程または上記ブッシュ挿入工程前に第2の変形可能な充填材を充填させる第2の充填工程のうち少なくとも一方の充填工程を更に設けることを特徴とする通水機構の製造方法。
【請求項1】
装置本体に形成された通水孔に配置され、通水媒体が供給されるブッシュと、
上記ブッシュ及び上記通水孔の間に配置され、上記ブッシュが上記通水孔へ装着完了した後に、外径が上記通水孔と同一直径になるブッシュカラーと、を備え、
上記ブッシュの外面をテーパにすると共に、上記ブッシュカラーの内面を上記ブッシュの外面に対応するようテーパにすることを特徴とするブッシュ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のブッシュ装置において、上記ブッシュカラーを鋼鉄に比べて熱伝導率が高く且つ展性が大きい材質であることを特徴とするブッシュ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のブッシュ装置において、上記ブッシュカラーを軸方向に沿って複数に分割することを特徴とするブッシュ装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の各請求項に記載のブッシュ装置において、上記ブッシュカラーに基端縁から先端近傍まで切欠を設けると共に、上記ブッシュカラーの先端近傍を薄肉形状または切込形状とすることを特徴とするブッシュ装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の各請求項に記載のブッシュ装置において、上記ブッシュは筒体およびこの筒体の開放口に装着されるツバ部を備え、上記ツバ部と上記筒体とを溶融手段で固着させることを特徴とするブッシュ装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4の各請求項に記載のブッシュ装置において、上記ブッシュは筒体およびこの筒体の開放口に装着されるツバ部を備え、上記ツバ部および上記筒体を着脱可能に連結させることを特徴とするブッシュ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のブッシュ装置において、上記筒体の開放口に引掛手段を設けることを特徴とするブッシュ装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の各請求項に記載のブッシュ装置において、上記ブッシュ及び上記ブッシュカラーの間に変形可能な充填材を備えることを特徴とするブッシュ装置。
【請求項9】
装置本体に形成された通水孔に配置され、通水媒体が供給される外面がテーパのブッシュと、
上記ブッシュ及び上記通水孔の間に配置され、内面が上記ブッシュの外面に対応するテーパで且つ上記ブッシュが上記通水孔へ装着完了した後に、外径が上記通水孔と同一直径になるブッシュカラーと、
上記ブッシュに装着され、通水媒体を上記ブッシュ内へ連続的に供給する通水手段と、を備えることを特徴とする通水機構。
【請求項10】
請求項9に記載の通水機構において、上記通水孔及び上記ブッシュの間に充填する第1の変形可能な充填材または上記ブッシュ及び上記ブッシュカラーの間に充填する第2の変形可能な充填材のうち少なくとも一方を備えること特徴とする通水機構。
【請求項11】
装置本体に形成された通水孔に通水媒体を供給する通水機構の製造方法であって、
外径が上記通水孔と同一直径となり且つ内面がテーパのブッシュカラーを上記通水孔へ挿入するカラー挿入工程と、
外面が上記ブッシュカラーの内面に対応するテーパのブッシュを上記ブッシュカラーへ挿入するブッシュ挿入工程と、
上記ブッシュを上記通水孔へ所定量押込み、上記ブッシュカラーが上記通水孔の壁面へ押広げられ密着する密着工程と、からなることを特徴とする通水機構の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の通水機構の製造方法において、上記密着工程の後に、通水媒体を上記ブッシュ内へ連続的に供給する通水手段を配置すると共に、上記通水手段を介して通水経路を配設する通水工程を更に設けることを特徴とする通水機構の製造方法。
【請求項13】
請求項11又は請求項12に記載の通水機構の製造方法において、上記カラー挿入工程前に第1の変形可能な充填材を充填させる第1の充填工程または上記ブッシュ挿入工程前に第2の変形可能な充填材を充填させる第2の充填工程のうち少なくとも一方の充填工程を更に設けることを特徴とする通水機構の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−18052(P2013−18052A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115141(P2012−115141)
【出願日】平成24年5月19日(2012.5.19)
【出願人】(511145742)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月19日(2012.5.19)
【出願人】(511145742)
【Fターム(参考)】
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