説明

通水管接続具

【課題】装着が容易であり、斜め掛けなどの装着不良の発生を未然に防止することのできる通水管接続具を提供する。
【解決手段】通水管接続具10は、開口端付近にフランジ3,4を有する2本の通水管1,2を、フランジ3,4同士を互いに対向接触させて接続した接続部分に装着することによって、接続部分が離れないように固定するためのものである。通水管接続具10は、対向接触したフランジ3,4に着脱可能に係合する金属製のクリップ11と、クリップ11の外周全体を覆う状態に取り付けられた合成樹脂製のカバー12とで構成されている。クリップ11は、2つの腕部11a,11bと、腕支持部11cと、ガイド部とを備えている。カバー12は、腕部11a,11bの外周を覆う腕カバー部12a,12bと、カバー支持部12cと、凹部12dとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般住宅などにおける給排水経路として床下などに配管される通水管の接続部分に使用する通水管接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
通水管同士を接続する場合、2本の通水管の開口端同士を係合させるとともに、それぞれの開口端付近に形成されたフランジ同士を対向接触させた後、これらのフランジ同士が離れないように挟持するため、クイックファスナなどと呼ばれるクリップがフランジ部分に装着されている。この場合、誤施工により、クリップ(クイックファスナ)が通水管のフランジ部分に斜めに掛かることがあると、その後、水圧によってクリップが外れ、接続部分から漏水する可能性がある。
【0003】
そこで、このような誤施工の対策として、通水管の接続部分にクリップが正しく装着されているか否かを確認するための保護カバーが、フランジに装着したクリップの外周を覆うように取り付けられることがある(例えば、特許文献1参照。)。また、クリップの開口端のみにカバーを取り付けて、装着状態の適否を確認する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−195486号公報
【特許文献2】特開平8−28770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に記載されたカバーはいずれも、フランジ部分にクリップを装着した後に、当該カバーを取り付けることによって、クリップが正しく装着されているか否かを確認するものである。従って、作業者がクリップを装着した後に、カバーの取り付けを行わなかったり、忘れたりした場合には、装着状態の確認をすることができない。このため、施工後、斜め掛けなどの装着不良が生じている通水管の接続部分から漏水が発生することがある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、装着が容易であり、斜め掛けなどの装着不良の発生を未然に防止することのできる通水管接続具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の通水管接続具は、開口端付近にフランジを有する2本の通水管を前記フランジ同士を対向接触させて接続した通水管の接続部分に装着される通水管接続具において、
対向接触状態にある前記フランジに着脱可能に係合するクリップと、前記クリップの外周を覆ったカバーとで構成され、
前記クリップは、前記フランジを着脱可能に挟持するため先端部同士を離して配置された2つの腕部と、2つの前記腕部を互いに弾性的に開閉可能に保つため前記腕部の基端部を連接する腕支持部とを備え、
前記カバーは、2つの前記腕部の外周を覆う腕カバー部と、前記クリップの腕部の開度を規制する開度規制手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
通水管の接続部分にあるフランジに通水管接続具を装着するとき、フランジに対してクリップが斜め掛け状態になると、正常装着状態のときに比べ、クリップは大きく開くこととなるが、本発明の通水管接続具の場合、クリップの外周を覆うカバーに設けられた開度規制手段によってクリップの腕部の開度は一定に規制されるため、それより大きく開くことがない。
【0009】
即ち、開度規制手段でクリップの腕部の開度が一定以内に制限されることにより、正常装着時における開度を超えてクリップの腕部が開くことができない。このため、正常装着時よりも大きくクリップを開く必要がある斜め掛けが発生することがなくなり、斜め掛けなどの装着不良の発生を未然に防止することができる。また、クリップおよびカバーの装着が1度の作業で完了するため、装着作業は極めて容易であり、カバーの取り付け忘れも発生しない。
【0010】
また、本発明の通水管接続具は、開口端付近にフランジを有する2本の通水管を、前記フランジ同士を対向接触させて接続した通水管の接続部分に装着される通水管接続具において、
対向接触状態にある前記フランジに着脱可能に係合するクリップと、前記クリップの外周を覆ったカバーとで構成され、
前記クリップは、前記フランジを着脱可能に挟持するため先端部同士を離して配置された2つの腕部と、2つの前記腕部を互いに弾性的に開閉可能に保つため前記腕部の基端部を連接する腕支持部とを備え、
前記カバーは2つの前記腕部の外周を覆う腕カバー部を備え、前記腕カバー部に、前記フランジに当接して当該フランジに対する前記クリップの腕部の取付方向を規制する取付方向規制手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
このような構成とすれば、通水管の接続部分にあるフランジに対して取り付ける際に、取付方向規制手段がフランジに当接している限り、クリップの腕部は常に正規の取付方向が保たれることとなるため、斜め掛けの発生を防止することができる。
【0012】
この場合、前記取付方向規制手段として、前記腕カバー部の先端部に前記フランジ外周の一部が嵌入可能な凹部を設ければ、当該凹部をフランジ外周に当接させるだけで、取付方向が正しく規制されるため、作業性が向上する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、開度規制手段でクリップの開度が一定以内に制限され、正常装着時における開度を超えてクリップが開くことができなくなるため、正常装着時よりも大きくクリップを開く必要がある斜め掛けが発生しなくなり、斜め掛けなどの装着不良の発生を未然に防止することができ、装着も容易となる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、通水管の接続部分にあるフランジに対して取り付ける際に、取付方向規制手段がフランジに当接している限り、クリップの腕部は常に正規の取付方向が保たれることとなるため、斜め掛けの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態である通水管接続具について説明する。図1は本発明の第1実施形態である通水管接続具および通水管の接続部分を示す斜視図、図2は図1に示す通水管接続具の斜視図、図3は図2のA−A線における断面図である。
【0016】
図1〜図3に示すように、本実施形態の通水管接続具10は、開口端付近にフランジ3,4を有する2本の通水管1,2を、フランジ3,4同士を互いに対向接触させて接続した接続部分に装着することによって、接続部分が離れないように固定するためのものである。通水管接続具10は、対向接触したフランジ3,4に着脱可能に係合する金属製のクリップ11と、クリップ11の外周全体を覆う状態に取り付けられた合成樹脂製のカバー12とで構成されている。
【0017】
クリップ11は、フランジ3,4を着脱可能に挟持するため先端部同士を離して配置された2つの腕部11a,11bと、これら2つの腕部11a,11bを互いに弾性的に開閉可能に保つため腕部11a,11bの基端部を連接する腕支持部11cと、フランジ3,4を腕部11a,11bの間に誘導するために腕部11a,11bの先端部に設けられた拡径形状のガイド部11d,11eとを備えている。クリップ11は弾性を有する金属材料によって一体的に形成されており、後述するように、フランジ3,4に取り付ける際に弾性的に拡開することによって腕部11a,11bが開き、取付後は、その弾性力で元の状態に戻って通水管3,4の外周に当接するとともにフランジ3,4を挟持する。
【0018】
カバー12は、2つの腕部11a,11bの外周を覆う腕カバー部12a,12bと、2つの腕カバー部12a,12bの基端部を固定するカバー支持部12cと、腕カバー部12a,12bの先端部に形成された凹部12d,12eとを備えている。図3に示すように、腕カバー部12a,12bの断面形状は、断面形状がコ字形をしたクリップ11の腕部11a,11bの外周を覆うようなコ字形となっており、その上下面にはそれぞれ略円弧形状のスリット12fが設けられている。
【0019】
本実施形態では、クリップ11の腕部11a,11bの開度を規制する開度規制手段として、2つの腕カバー部12a,12bの基端部を固定するカバー支持部12cを設けている。また、フランジ3,4に対するクリップ11の腕部11a,11bの取付方向を規制する取付方向規制手段として、腕カバー12a,12bの先端部に、フランジ3,4の外周部分が嵌入可能な凹部12d,12eが設けられている。
【0020】
ここで、前述した図1〜図3および図4〜図9を参照して、通水管1,2の接続部分に対する通水管接続具10の装着手順について説明する。図4は図1に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着している状態を示す斜視図、図5は図4のB−B線における斜視断面図、図6は図4のB−B線における断面図、図7は図1に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着した状態を示す斜視図、図8は図7のC−C線における斜視断面図、図9は図7のC−C線における断面図である。
【0021】
図1に示すように、装着前の通水管接続具10においては、クリップ11の腕部11a,11bが、カバー12の腕カバー部12a,12bの内側で開いた状態にある。腕カバー部12a,12bの先端側を、通水管1,2の接続部分で対向接触状態にあるフランジ3,4に向ける。このとき、クリップ11の腕部11a,11bは、腕カバー部12a,12bによって開度が一定範囲内に規制されるため、通水管接続具10はフランジ3,4に対して、図1に示すような状態で対峙する。
【0022】
この後、通水管接続具10をフランジ3,4に近づけ、腕カバー部12a,12bの先端部にある凹部12d,12eをフランジ3,4の外周部分に当接させ、そのまま通水管接続具10全体をフランジ3,4に向かって押し付ければ、フランジ3,4の外周が、凹部12d,12eに嵌入した後、クリップ11のガイド部11d,11eの間に挟まれ、押し付け力によって弾性的に拡径したガイド部11d,11eに沿って誘導されて腕部11a,11bの間へ嵌り込む。これによって、通水管接続具10は、フランジ3,4に対して、図4〜図6に示すような状態に係止される。
【0023】
この後、さらに、通水管接続具10をフランジ3,4の外周に沿って進行させると、クリップ11の腕部11a,11bの間にフランジ3,4が嵌り込み、クリップ11およびカバー12が同時にフランジ3,4の外周に装着され、図7〜図9に示す状態となり、通水管接続具10の装着が完了する。このように、通水管1,2の接続部分において対向接触した状態にあるフランジ3,4に対し、前述したような手順で通水管接続具10を装着することにより、当該接続部分が離れないように固定することができる。
【0024】
一方、通水管1,2の接続部分にあるフランジ3,4に通水管接続具10を装着するとき、フランジ3,4に対してクリップ11が斜め掛け状態になると、正常装着状態のときに比べ、クリップ11は大きく開くこととなる。ところが、本実施形態の通水管接続具10の場合、クリップ11の外周を覆うカバー12の2つの腕カバー部12a,12bの基端部はカバー支持部12c(開度規制手段)で固定されているため、これらの腕カバー部12a,12bによってクリップ11の腕部11a,11bの開度は一定に規制され、それより大きく開くことがない。
【0025】
即ち、図6に示すように、カバー支持部12cに固定された2つの腕カバー部12a,12bによって、クリップ11の腕部11a,11bの開度が一定以内に制限されているため、正常装着時における開度を超えてクリップ11の腕部11a,11bが開くことができない。このため、正常装着時よりも大きくクリップ11の腕部11a,11bを開く必要がある斜め掛けが発生することがなく、斜め掛けなどの装着不良の発生を未然に防止することができる。なお、本実施形態では、クリップ11の腕部11a,11bが拡開して、その先端部にあるガイド部11d,11eが、それぞれ腕カバー部12a,12bの内周面に当接することによって、その開度が規制される。そして、この状態が、クリップ11の腕部11a,11bの最大開度となっている。
【0026】
このような構成とすれば、腕カバー部12a,12bに当接しない範囲内におけるクリップ11の腕部11a,11bの開閉を確保しながら、クリップ11の腕部11a,11bの開度を一定以内に制限することができる。このため、装着作業性は極めて良好でありながら、斜め掛けなどの装着不良の発生を未然に防止することができる。
【0027】
また、前述したように、フランジ3,4に対するクリップ11の腕部11a,11bの取付方向を規制する取付方向規制手段として、腕カバー部12a,12bの先端部に、フランジ3,4の外周の一部が嵌入可能な凹部12d,12eを、互いに対向状態に設けている。このため、取付作業時に、これらの凹部12d,12eに、フランジ3,4の外周の一部が嵌入している限り、クリップ11の腕部11a,11bは常に正規の取付方向を保つことができ、優れた斜め掛け防止機能を発揮する。また、これらの凹部12d,12eにフランジ3,4の外周の一部を嵌入させるだけで、クリップ11の腕部11a,11bの取付方向が正しく規制されるため、作業性も良好である。
【0028】
次に、図10〜図20を参照して、本発明の第2実施形態である通水管接続具について説明する。図10は本発明の第2実施形態である通水管接続具および通水管の接続部分を示す斜視図、図11は図10に示す通水管接続具の斜視図、図12は図10のD−D線における断面図である。
【0029】
図10〜図12に示すように、本実施形態の通水管接続具20は、開口端付近にフランジ3,4を有する2本の通水管1,2を、フランジ3,4同士を互いに対向接触させて接続した接続部分に装着することによって、接続部分が離れないように固定するためのものである。通水管接続具20は、対向接触したフランジ3,4に着脱可能に係合する金属製のクリップ21と、クリップ21の外周を覆って取り付けられた合成樹脂製のカバー22とで構成されている。
【0030】
クリップ21は、フランジ3,4を着脱可能に挟持するため先端部同士を離して配置された2つの腕部21a,21bと、これら2つの腕部21a,21bを互いに弾性的に開閉可能に保つため腕部21a,21bの基端部を連接する腕支持部21cと、フランジ3,4を腕部21a,21bの間に誘導するために腕部21a,21bの先端部に設けられた拡径形状のガイド部21d,21eとを備えている。本実施形態においてクリップ21は弾性金属材によって一体的に形成され、クリップ11と同様の機能を有している。
【0031】
カバー22は、2つの腕部21a,21bのそれぞれの外周に位置する腕カバー部22a,22bと、2つの腕カバー部22a,22bを腕部21a,21bとともに開閉可能に保つため腕カバー部22a,22bの基端部を連接するカバー支持部22cと、クリップ21のガイド部21d,21eを腕部21a,21bが開く方向に貫通させるため腕カバー部22a,22bにそれぞれ開設された開口部22d,22eと、腕カバー部22a,22b同士を連結するため腕カバー部22a,22bの先端部に設けられた連結手段とを備えている。腕カバー部22a,22bの基端部はヒンジ部22nを介してカバー支持部22cに連接されている。
【0032】
本実施形態では、前述の連結手段として、腕カバー部22aの先端部に設けられた2つの嵌合孔22fと、腕カバー部22bの先端部に設けられた2つの嵌合突起22gとを設けている。腕カバー部22bの2つの嵌合突起22gを、腕カバー部22aの2つの嵌合孔22fにそれぞれ嵌入させることにより、2つの腕カバー部22a,22b同士を連結することができる。また、腕カバー部22a,22bの先端部には、フランジ3,4をクリップ21のガイド部21d,21e間に誘導するための凹部22s,22tが形成されている。
【0033】
また、2つの腕カバー部22a,22bの基端部付近には、カバー支持部22cより内周領域において互いに摺動可能に交差するクロスバー22h,22iが設けられ、クロスバー22hの先端にはストッパ22jが突設され、クロスバー22iの先端にはフック22kが設けられている。腕カバー部22a,22bを開閉すると、クロスバー22h,22iが互いに摺動し、ストッパ22jとフック22kとが互いに接近離隔するが、ストッパ22jとフック22kとが互いに係合することによって腕カバー部22a,22bの開度が規制され、これより大きく拡開できないようになっている。
【0034】
一方、クリップ21の腕支持部21cには貫通孔21fが開設され、この貫通孔21fに嵌入可能な係合突起22mが、カバー22のカバー支持部22cの内面に設けられている。カバー22の係合突起22mを、クリップ21の貫通孔21fに嵌入させることによって、クリップ21とカバー22とが一体的に固定されている。
【0035】
ここで、前述した図10〜図12および図13〜図18を参照して、通水管1,2の接続部分に対する通水管接続具20の装着手順について説明する。図10で示したように、装着前、嵌合孔22fが嵌合突起22gから離れ、腕カバー部22a,22bが開いた状態にある通水管接続具20の腕カバー部22a,22bの先端側を、通水管1,2の接続部分にて対向接触状態にあるフランジ3,4に向ける。このとき、腕カバー部22a,22bは、クロスバー22hのストッパ22jと、クロスバー22iのフック22kとの係合によって開度が規制されるため、通水管接続具20はフランジ3,4に対して、図12に示す状態で対峙することとなる。
【0036】
この後、通水管接続具20をフランジ3,4に近づけ、腕カバー部22a,22bの先端部にある凹部22s,22tをフランジ3,4の外周部分に当接させ、そのまま通水管接続具20全体をフランジ3,4に向かって押し付ければ、フランジ3,4の外周が、凹部22s,22tに嵌入した後、クリップ21のガイド部21d,21eの間に挟まれ、押し付け力によって弾性的に拡径したガイド部21d,21eに沿って誘導されて腕部21a,21bの間へ嵌り込む。これによって、通水管接続具20は、フランジ3,4に対して、図13〜図15に示すような状態に係止される。
【0037】
この後、さらに、通水管接続具20を、フランジ3,4に沿って進行させると、クリップ21の腕部21a,21bの間にフランジ3,4が嵌り込み、クリップ21およびカバー22がフランジ3,4の外周に装着される。この後、腕カバー部22bの先端部にある嵌合突起22gを、腕カバー部22aの先端部にある嵌合孔22fに嵌入させ、腕カバー部22a,22b同士を連結すれば、図16〜図18に示す状態となり、通水管接続具20の装着が完了する。この場合、腕カバー部22a,22bの連結手段として、腕カバー部22aの先端部にある嵌合孔22fと、腕カバー部22bの先端部にある嵌合突起22gとが互いに嵌合して腕カバー部22a,22b同士を連結できるか否かを目視または嵌合音で確認することにより、通水管1,2の接続部分に対するクリップ21の装着状態を正確に確認することができる。
【0038】
このように、通水管1,2の接続部分において対向接触した状態にあるフランジ3,4に対し、前述したような手順で通水管接続具20を装着することにより、接続部分が離れないように固定することができる。また、通水管接続具20を構成する腕カバー部22a,22bには、クリップ21の腕部21a,21bの先端部にあるガイド部21d,21eが拡径方向に貫通可能な開口部22d,22eが開設されているため、装着作業中、クリップ21のガイド部21d,21eが拡径しても、カバー22の腕カバー部22a,22bを大きく開く必要がない。
【0039】
また、腕カバー部22a,22bの開度は、フック22kと係合突起22mとの係合によって規制されているため、この開度を超えて大きく開くこともない。即ち、正常装着時における開度を超えてクリップ21の腕部21a,21bが開くことができないため、正常装着時よりも大きくクリップ21の腕部21a,21bを開く必要がある斜め掛けが発生することがなくなり、斜め掛けなどの装着不良の発生を未然に防止することができる。
【0040】
さらに、腕カバー部22a,22bの先端部に、フランジ3,4の外周の一部が嵌入可能な凹部22s,22tを互いに対向状態に設けているため、取付作業時に、これらの凹部22s,22tに、フランジ3,4の外周の一部が嵌入している限り、クリップ21の腕部21a,21bは常に正規の取付方向を保つことができ、斜め掛けを防止できる。また、これらの凹部22s,22tにフランジ3,4の外周の一部を嵌入させるだけで、クリップ21の腕部21a,21bの取付方向が正しく規制されるため、作業性も良好である。
【0041】
一方、図19,図20に示すように、複数の通水管2aが並列配管されたヘッダー23に対して複数の通水管1aを接続する部分に通水管接続具20を使用する場合、腕カバー部22a,22bの開度が規制されているため、隣り合う接続部分に装着された通水管接続具20や通水管1a,2aなどに邪魔されることなく、通水管接続具20を装着することができる。即ち、比較的狭い場所にある通水管1a,2aの接続部分に対しても通水管接続具20は容易に取付け可能である。
【0042】
また、通水管接続具20の場合、クリップ21の腕支持部21cと、カバー22のカバー支持部22cとが、貫通孔21fと係合突起22mとの係合により固定されている。従って、クリップ21とカバー22とが一体化した構造となる結果、通水管1,2の接続部分にクリップ21を取り付けると同時にカバー22も取り付けることが可能となるため、装着作業は容易であり、クリップ21を取り付けた後のカバー22の取り付けを忘れることもない。即ち、誤施工に起因する漏水の発生を防止することができる。
【0043】
また、クリップ21の腕部21a,21bにおいて、フランジ3,4に当接する部分の断面形状を、対向接触したフランジ3,4を通水管1,2の軸心方向(長手方向)に挟持可能なコ字形状としている。このため、通水管1,2の接続部分において対向接触状態にあるフランジ3,4に対する挟持機能が高く、当該接続部分の信頼性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の通水管接続具は、一般住宅などにおける給排水経路として床下などに配管される通水管の接続部あるいはその他の配管の接続部分などに対して広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態である通水管接続具および通水管の接続部分を示す斜視図である。
【図2】図1に示す通水管接続具の斜視図である。
【図3】図2のA−A線における断面図である。
【図4】図1に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着している状態を示す斜視図である。
【図5】図4のB−B線における斜視断面図である。
【図6】図4のB−B線における断面図である。
【図7】図1に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着した状態を示す斜視図である。
【図8】図7のC−C線における斜視断面図である。
【図9】図7のC−C線における断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態である通水管接続具および通水管の接続部分を示す斜視図である。
【図11】図10に示す通水管接続具の斜視図である。
【図12】図10のD−D線における断面図である。
【図13】図10に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着している状態を示す斜視図である。
【図14】図10に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着している状態を示す斜視図である。
【図15】図13のE−E線における斜視断面図である。
【図16】図10に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着した状態を示す斜視図である。
【図17】図10に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着した状態を示す斜視図である。
【図18】図16のF−F線における斜視断面図である。
【図19】図10に示す通水管接続具の使用状態を示す斜視図である。
【図20】図18のG−G線における断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1,1a,2,2a 通水管
3,4 フランジ
10,20 通水管接続具
11,21 クリップ
11a,11b,21a,21b 腕部
11c,21c 腕支持部
11d,11e,21d,21e ガイド部
21f 貫通孔
12,22 カバー
12a,12b,22a,22b 腕カバー部
12c,22c カバー支持部
12d,12e,22s,22t 凹部
12f スリット
22d,22e 開口部
22f 嵌合孔
22g 嵌合突起
22h,22i クロスバー
22j ストッパ
22k フック
22m 係合突起
22n ヒンジ部
23 ヘッダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口端付近にフランジを有する2本の通水管を、前記フランジ同士を対向接触させて接続した通水管の接続部分に装着される通水管接続具において、
対向接触状態にある前記フランジに着脱可能に係合するクリップと、前記クリップの外周を覆ったカバーとで構成され、
前記クリップは、前記フランジを着脱可能に挟持するため先端部同士を離して配置された2つの腕部と、2つの前記腕部を互いに弾性的に開閉可能に保つため前記腕部の基端部を連接する腕支持部とを備え、
前記カバーは、2つの前記腕部の外周を覆う腕カバー部と、前記クリップの腕部の開度を規制する開度規制手段とを備えたことを特徴とする通水管接続具。
【請求項2】
開口端付近にフランジを有する2本の通水管を、前記フランジ同士を対向接触させて接続した通水管の接続部分に装着される通水管接続具において、
対向接触状態にある前記フランジに着脱可能に係合するクリップと、前記クリップの外周を覆ったカバーとで構成され、
前記クリップは、前記フランジを着脱可能に挟持するため先端部同士を離して配置された2つの腕部と、2つの前記腕部を互いに弾性的に開閉可能に保つため前記腕部の基端部を連接する腕支持部とを備え、
前記カバーは2つの前記腕部の外周を覆う腕カバー部を備え、前記腕カバー部に、前記フランジに当接して当該フランジに対する前記クリップの腕部の取付方向を規制する取付方向規制手段を設けたことを特徴とする通水管接続具。
【請求項3】
前記取付方向規制手段として、前記腕カバー部の先端部に前記フランジの一部が嵌入可能な凹部を設けた請求項2記載の通水管接続具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−83901(P2006−83901A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−267188(P2004−267188)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】