説明

通知情報送信装置、通知情報送信プログラム及び通知情報送信方法

【課題】複数の端末に対して通知情報を適切な順序で送信する。
【解決手段】災害通知サーバ10は、通知情報の送信先である複数の端末を登録したデータを格納する宛先テーブル54と、登録された複数の端末に対して通知情報を送信する通知送信部18と、通知情報を受信した端末から送信される受信応答を受信する確認応答受信部32と、複数の端末のいずれかに対して通知送信部が通知情報を送信してから、確認応答受信部が受信応答を受信するまでの時間取得し、宛先テーブル54のデータのうち、通知情報を送信した端末に対して、取得した時間の平均を関連付ける関連付け部(応答時間算出部34,応答時間・平均値更新部38)と、を備えており、通知送信部は、各端末に関連付けられている時間の平均に基づいて、複数の端末に対する通知情報の送信順序を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、通知情報送信装置、通知情報送信プログラム及び通知情報送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、地震の発生時や気象警報が発表された場合などにおいて、その内容をあらかじめ登録された利用者(端末)に対して通知するための緊急通報システムが開発・運用されてきている。
【0003】
このような緊急通報システムでは、利用者が増えて登録数が多くなると、すべての利用者への通知が完了するまでに多大な時間を要することになる。従来においては、登録された順に利用者への通知を行ったり、あるいは、登録時に付加された情報(例えば役職、肩書きなど)に基づいて送信順序を決めていた。
【0004】
また、特許文献1には、利用者の端末(受信装置)に操作ログを収集する操作ログ収集部と、情報配信装置からの要求に対して操作ログを送信する操作ログ送信部を設け、当該操作ログ送信部から送信される操作ログに基づいて、複数の受信装置に優先順位をつける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−26025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、登録されている端末の中には、種々の端末が含まれる。例えば、実際には既に利用されていない端末や、固定端末であって休日や夜間には電源が落ちるためその間は不通になる端末、通知を然程必要としないが継続して登録されている端末等である。このため、本当に通知を必要としている利用者の端末に対して、緊急通報が遅れて届くおそれがある。
【0007】
なお、特許文献1では、端末に優先順位を付けることから、通知を必要とする端末に対して緊急通報が遅れて届くことが少なくなる。しかるに、特許文献1では、操作ログ収集部や操作ログ受信部を端末に設ける必要があるため、一般的な電話機や任意のパーソナルコンピュータなどを端末として利用(又は登録)することができない可能性が高い。
【0008】
そこで本件は上記の課題に鑑みてなされたものであり、複数の端末に対して通知情報を適切な順序で送信することが可能な通知情報送信装置、通知情報送信プログラム及び通知情報送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に記載の通知情報送信装置は、通知情報の送信先である複数の端末を登録したデータを格納する格納部と、前記登録された複数の端末に対して通知情報を送信する送信部と、前記通知情報を受信した端末から送信される受信応答を受信する受信部と、前記複数の端末のいずれかに対して前記送信部が前記通知情報を送信してから、前記受信部が前記受信応答を受信するまでの時間を取得し、前記データのうち、前記送信部が前記通知情報を送信した端末に対して、前記取得した時間に基づく時間情報を関連付ける関連付け部と、を備えており、前記送信部が、各端末に関連付けられている前記時間情報に基づいて、前記複数の端末に対する前記通知情報の送信順序を決定する通知情報送信装置である。
【0010】
本明細書に記載の通知情報送信プログラムは、登録された複数の端末に対して通知情報を送信し、前記通知情報を受信した端末から送信される受信応答を受信し、前記複数の端末のいずれかに対して前記通知情報を送信してから、前記受信応答を受信するまでの時間を取得し、前記複数の端末が登録されているデータのうち、前記通知情報を送信した端末に対して、前記取得した時間に基づく時間情報を関連付ける処理、をコンピュータに実行させ、前記送信する処理では、各端末に関連付けられている前記時間情報に基づいて、前記複数の端末に対する前記通知情報の送信順序を決定する通知情報送信プログラムである。
【0011】
本明細書に記載の通知情報送信方法は、登録された複数の端末に対して通知情報を送信する送信工程と、前記通知情報を受信した端末から送信される受信応答を受信する受信工程と、前記複数の端末のいずれかに対して前記通知情報を送信してから、前記受信応答を受信するまでの時間を取得し、前記複数の端末が登録されているデータのうち、前記通知情報を送信した端末に対して、前記取得した時間に基づく時間情報を関連付ける関連付け工程と、をコンピュータが実行し、前記送信工程では、各端末に関連付けられている前記時間情報に基づいて、前記複数の端末に対する前記通知情報の送信順序を決定する通知情報送信方法である。
【発明の効果】
【0012】
本明細書に記載の通知情報送信装置、通知情報送信プログラム及び通知情報送信方法は、複数の端末に対して通知情報を適切な順序で送信することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態に係る緊急通報システムの構成を概略的に示す図である。
【図2】災害通知サーバのハードウェア構成を示す図である。
【図3】災害通知サーバの機能ブロック図である。
【図4】時間帯テーブルのデータ構造を示す図である。
【図5】宛先テーブルのデータ構造を示す図である。
【図6】送信処理部が実行する処理を示すフローチャートである。
【図7】受信処理部が実行する処理を示すフローチャートである。
【図8】未処理レコード処理部が実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、一実施形態について、図1〜図8に基づいて詳細に説明する。図1には、一実施形態にかかる緊急通報システム100が模式的に示されている。図1に示すように、緊急通報システム100は、事象検知装置70と、災害通知サーバ10と、複数の端末80と、を備える。
【0015】
事象検知装置70は、地震計や雨量計、その他災害に関する事象を検知するセンサ等を含んでいる。事象検知装置70では、事象を検知するセンサ等の検知結果が、所定の値(例えば、災害が発生する可能性が高い値)を超えていた場合に、その検知結果を災害通知サーバ10に対して送信する。また、図示は略すが、事象検知装置70は、気象庁が発表した気象警報,市町村が発表した避難勧告等の情報を受信して、災害通知サーバ10に対して送信する場合もある。
【0016】
端末80には、種々の端末、例えば、携帯電話、デスクトップ型PC(Personal Computer)、ノート型PC、タブレット型端末、PDA(Personal Digital Assistant)、PHS(Personal Handy-phone System)、固定電話などが含まれる。端末80は、ネットワーク等を介して、災害通知サーバ10と接続されており、災害通知サーバ10から送信される通知情報(災害が発生した、又は災害が発生する可能性があることを通知する情報)を受信することができる。端末80では、通知情報を受信した場合に、何らかの確認応答(通知情報を受信又は確認したことを証明する応答)を返信する機能を有しているものとする。
【0017】
例えば、端末80が携帯電話であった場合には、利用者は、通知情報をメールなどで受信することができる。この場合、携帯電話では、メールを受信し、利用者が当該メールを見て確認ボタンを押したときに、確認応答として、災害通知サーバ10にメールを返信することができる。また、端末80が固定電話であった場合には、利用者は、通知情報を音声にて受けることができる。この場合、固定電話では、利用者が通知情報を全て聞いた後所定のプッシュボタンを押したときに、当該ボタンの情報(トーン)が、確認応答として災害通知サーバ10に送られることになる。更には、端末80がPC等である場合には、通知情報をブラウザ上で確認できるようにすることができる。この場合、PCの利用者が、ブラウザ上で所定の確認ボタンを押したときに、そのボタンの情報が確認応答として災害通知サーバ10に返信される。
【0018】
図2には、災害通知サーバ10のハードウェア構成が示されている。図2に示すように、災害通知サーバ10は、CPU90、ROM92、RAM94、記憶部(ここではHDD(Hard Disk Drive))96、入出力部97等を備えている。災害通知サーバ10の構成各部は、バス98に接続されている。また、入出力部97には、可搬型記憶媒体用ドライブ99が接続されており、当該ドライブ99において可搬型記憶媒体91から読み出されたプログラム(通知情報送信プログラム)、又はROM92あるいはHDD96に格納されているプログラム(通知情報送信プログラム)をCPU90が実行することにより、図3の各部の機能が実現される。
【0019】
図3には、災害通知サーバ10の機能ブロック図が示されている。図3に示すように、災害通知サーバ10は、送信処理部50、受信処理部60、及び未処理レコード処理部40として機能する。なお、図3には、HDD96に格納されているテーブル(時間帯テーブル52及び格納部としての宛先テーブル54)も図示されている。
【0020】
ここで、時間帯テーブル52と、宛先テーブル54について、図4、図5に基づいて説明する。図4には、時間帯テーブル52のデータ構造が示されている。図4に示すように、時間帯テーブル52には、時間帯の名称(時間帯1、時間帯2、…)と、時間帯の開始タイミング(曜日及び時刻)と、時間帯の終了タイミング(曜日及び時刻)が格納されている。
【0021】
図5には、宛先テーブル54のデータ構造が示されている。宛先テーブル54は、宛先ごとの、時間帯別の過去2回分の応答時間及びそれらの平均値を格納している。より具体的には、図5に示すように、宛先テーブル54には、宛先、属性、送信日時、送信中フラグ、応答時間(秒)の項目が設けられている。宛先には、災害通知サーバ10のサービスを受けたい利用者が登録した電話番号やメールアドレス、IPアドレスなどが格納される。属性には、役職などが格納される。送信日時には、宛先に対して通知情報を送信した日時が格納される。送信中フラグには、1,0のいずれかが格納される。フラグが1の場合は、通知情報を宛先の端末に送信したものの受信応答が未だ返ってきていない場合を意味する。一方、フラグが0の場合は、通知情報を宛先に送信したことがない、又は通知情報を送信した後に受信応答が既に返ってきている状態を意味する。応答時間(秒)には、各時間帯における前回及び前々回の応答時間と、これらの平均(平均応答時間)の項目が含まれている。なお、以下においては、宛先テーブル54の宛先毎のデータを、「レコード」と呼ぶものとする。
【0022】
図3に戻り、送信処理部50は、事象受信部12と、時間帯判定部14と、宛先取得部16と、通知送信部18と、送信日時更新部20と、を有する。なお、宛先取得部16と通知送信部18とを含んで送信部が実現されている。
【0023】
事象受信部12は、事象検知装置70から、事象(地震や大雨などの情報)を受信する。時間帯判定部14は、事象を受信したとき(現在)の時刻と、時間帯テーブル52(図4)と、に基づいて、時間帯(時間帯1,2…のうちのいずれか)を判定する。
【0024】
宛先取得部16は、宛先テーブル54(図5参照)から、登録されている宛先の全てを取得する。この場合、宛先取得部16は、時間帯判定部14で判定された時間帯と、当該時間帯における応答時間(平均)とに基づいて、宛先をソートして(順番を入れ替えて)、全宛先を取得する。
【0025】
通知送信部18は、宛先テーブル54に登録されている端末80に対して、通知情報を送信する。この場合、通知送信部18は、宛先取得部16で取得された宛先順に、通知情報を送信する。すなわち、宛先取得部16と通知送信部18では、宛先テーブル54において各端末に関連付けられている(紐付けられている)応答時間の平均から通知情報の送信順序を決定し、当該順序に従って、通知情報を送信している、といえる。
【0026】
送信日時更新部20は、宛先テーブル54の送信日時を通知送信部18が通知情報を送信した時刻(現在の時刻)で更新するとともに、送信中フラグをセット(フラグ=1)する。
【0027】
受信処理部60は、受信部としての確認応答受信部32と、応答時間算出部34と、時間帯取得部としての時間帯判定部36と、応答時間・平均値更新部38と、を有する。なお応答時間算出部34と、応答時間・平均値更新部38とを含んで、関連付け部が実現されている。
【0028】
確認応答受信部32は、通知情報を受信した端末80から送信されてくる確認応答を受信する。応答時間算出部34は、通知送信部18が通知情報を送信してから、確認応答受信部32が確認応答を受信するまでに要した時間(応答時間)を算出する。時間帯判定部36は、時間帯テーブル52に基づいて、通知送信部18が通知情報を送信した時刻の時間帯を判定する。
【0029】
応答時間・平均値更新部38は、時間帯判定部36で判定された時間帯の応答時間のデータを、応答時間算出部34で算出された応答時間で更新する。また、応答時間・平均値更新部38は、今回の応答時間(図5では「前回」の時間)と、その前の応答時間(図5では「前々回」の時間)との平均を算出し、宛先テーブル54を更新する。
【0030】
次に、災害通知サーバ10で実行される処理の詳細について、図6〜図8のフローチャートに沿って説明する。なお、図6〜図8の各処理は、同時並行的に行われる。
【0031】
(送信処理部50の処理)
まず、送信処理部50の処理について、図6に基づいて説明する。図6は、送信処理部50が実行する処理を示すフローチャートである。この図6の処理では、ステップS10において、事象受信部12が、通知対象の事象を受信するまで待機する。ここでは、事象受信部12が、事象検知装置70から送信されてくる通知対象の事象(地震や大雨などの情報)を受信した段階で、ステップS12に移行する。
【0032】
ステップS12では、時間帯判定部14が、現在日時を含む時間帯を判定する。すなわち、時間帯判定部14は、現在日時を含む時間帯を時間帯テーブル52から取得して対象時間帯とする。例えば、現在日時が月曜日の11時であった場合には、時間帯判定部14は、図4の時間帯テーブル52を参照して、時間帯1を対象時間帯とする。
【0033】
次いで、ステップS14では、宛先取得部16が、対象時間帯における平均応答時間が短い順というソート条件を指定して、宛先テーブル54からすべての宛先を一括して取得する。すなわち、例えば対象時間帯が時間帯1である場合には、宛先取得部16は、図5の宛先テーブル54を、時間帯1の「平均」の行の値が小さい順になるように並べ替えて、全ての宛先を取得する。
【0034】
次いで、ステップS16では、通知送信部18が、取得した宛先全てに対して通知情報(通知対象の事象に関する情報)を送信したか否かを判断する。ここでは、全ての宛先への通知情報の送信が完了し、ステップS16の判断が肯定された場合には、図6の全処理を終了する。一方、全ての宛先に通知情報を送信していない場合には、ステップS16の判断が否定されて、ステップS18に移行する。
【0035】
ステップS18に移行した場合、通知送信部18は、取得した宛先のうち、未送信で取得順が最も前の宛先に通知情報を送信する。すなわち、未送信の宛先のうち、平均応答時間が最も短い宛先に対して通知情報を送信する。
【0036】
次いで、ステップS20では、送信日時更新部20が、宛先テーブル54のうち、今回送信した宛先(宛先レコード)の送信日時を、現在日時で更新するとともに、送信中フラグをセットする(フラグ=1)。ステップS20の処理が終了した後は、ステップS16に戻る。そして、ステップS16の判断が肯定された段階で、図6の全処理が終了する。なお、図6の処理は、その後も繰り返し実行される。
【0037】
(受信処理部60の処理)
次に、図7に基づいて、受信処理部60の処理について説明する。図7は、受信処理部60が実行する処理を示すフローチャートである。
【0038】
図7の処理では、まず、ステップS30において、確認応答受信部32が、端末80から送信されてくる確認応答を受信するまで待機する。確認応答受信部32は、確認応答を受信すると、ステップS32に移行する。
【0039】
ステップS32では、応答時間算出部34が、現在日時を確認日時とする。次いで、ステップS34では、応答時間算出部34が、確認応答を受信した宛先の送信日時を宛先テーブルから取得する。
【0040】
次いで、ステップS36では、時間帯判定部36が、送信日時を含む時間帯を時間帯テーブル52に基づいて判定する。すなわち、時間帯判定部36は、時間帯テーブル52を参照して、送信日時を含む時間帯を取得する。そして、時間帯判定部36は、取得した時間帯を、対象時間帯とする。次いで、ステップS38では、応答時間算出部34が、送信日時と確認日時との差を求めて応答時間とする。応答時間算出部34は、算出した応答時間を、応答時間・平均値更新部38に送信する。
【0041】
次いで、ステップS40では、応答時間・平均値更新部38が、宛先テーブルの、確認応答を受信した宛先の対象時間帯における前回応答時間として、ステップS38で算出した応答時間をセットする。なお、ステップS40を行う以前において、宛先テーブル54の前回応答時間にセットされていた時間は、ステップS40の際に前々回応答時間として新たにセットされるものとする。
【0042】
次いで、ステップS42では、応答時間・平均値更新部38が、確認応答を受信した宛先の対象時間帯における前回応答時間と前々回応答時間の平均値を算出し、宛先テーブル54の対象時間帯における「平均」の項目を更新する。
【0043】
次いで、ステップS44では、応答時間・平均値更新部38が、宛先テーブル54の、今回受信した宛先の送信中フラグをリセットする(フラグ=0)。ステップS44までの処理が終了すると、図7の全処理が終了することになる。なお、図7の処理は、その後も繰り返し実行される。
【0044】
(未処理レコード処理部40の処理)
次に、未処理レコード処理部40の処理について、図8に基づいて説明する。図8は、未処理レコード処理部40が実行する処理を示すフローチャートである。
【0045】
図8の処理では、ステップS50において、未処理レコード処理部40が、所定時間経過したか否かを判断する。このステップS50は、ステップS52以降の処理を所定時間ごとに行うために必要なステップである。
【0046】
所定時間が経過し、ステップS52に移行すると、未処理レコード処理部40は、送信中フラグがセットされているレコード(フラグが1であるレコード)を宛先テーブル54から取得する。次いで、ステップS54では、未処理レコード処理部40が、取得したレコードの処理が全て終了したか否かを判断する。このステップS54の判断が肯定された場合には、図8の全処理を終了する。一方、ステップS54の判断が否定された場合には、ステップS56に移行する。
【0047】
ステップS56に移行すると、未処理レコード処理部40は、取得したレコードのうちの1つ(例えば最上段のレコード)に着目する。次いで、ステップS58では、未処理レコード処理部40が、着目したレコードの送信日時から一定時間以上経過しているか否かを判断する。ここでの判断が肯定されると、ステップS60に移行する。
【0048】
ステップS60では、未処理レコード処理部40が、着目したレコードの送信日時が属する時間帯を時間帯テーブル52から取得して、対象時間帯とする。次いで、ステップS62では、未処理レコード処理部40が、着目したレコードの対象時間帯の前回応答時間として所定のみなし応答時間(例えば半日程度)を、宛先テーブル54にセットする。次いで、ステップS64では、未処理レコード処理部40が、着目したレコードの対象時間帯における前回応答時間と前々回応答時間の平均値を算出して、宛先テーブル54を更新する。そして、ステップS66では、未処理レコード処理部40が、宛先テーブル54の、着目したレコードの送信フラグをリセットする(フラグ=0)。なお、災害通知サーバ10から情報が送信されてから、端末80から確認応答が出されるまでに長時間を要する場合に、上記のようにみなし応答時間をセットするのは、応答時間が長時間更新されないと、その後の処理に影響が生じる可能性があるからである。
【0049】
その後は、ステップS54に戻り、未処理レコード処理部40は、ステップS34で取得したレコードの処理が全て終了したか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS56に移行し、取得したレコードのうち、これまでに着目していないレコードに着目する。その後は、ステップS58に移行する。
【0050】
なお、ステップS58の判断が否定された場合には、着目しているレコードに対する処理を何も行わずに、ステップS54に戻る。
【0051】
そして、ステップS54の判断が肯定された段階で、図8の全処理を終了する。なお、図8の処理は、その後も繰り返し実行される。
【0052】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、通知送信部18が、宛先テーブル54に登録されている複数の端末80に対して通知情報を送信し、確認応答受信部32が、通知情報を受信した端末80から送信される受信応答を受信する。また、応答時間算出部34が、通知送信部18が通知情報を送信してから確認応答受信部32が受信応答を受信するまでの応答時間を算出し、応答時間・平均値更新部38が、当該応答時間及びそれ以前の応答時間の平均値で、宛先テーブル54を更新する。そして、通知送信部18は、宛先テーブル54の応答時間の平均値に基づいて通知情報を送信する端末の送信順位を決定する、すなわち過去における応答時間が早い端末に対して、他の端末よりも優先して通知情報を送信する。ここで、過去に通知情報が送信されたときの端末の応答時間が短いほど、当該端末の利用者は、通知情報を必要としている人である可能性が高い。したがって、本実施形態では、過去に通知情報が送信されたときの端末の応答時間を考慮することで、通知情報を必要とする利用者の端末に対して、優先的に通知情報を送信することが可能となる。これにより、例えば、自治体の災害対策業務の担当者は、通知情報に対する応答時間が、他の人に比べて早いと考えられるが、このような担当者に対して早めに通知情報を送信することができるようになる。このため、災害対策の初動時間を短縮することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態によると、時間帯判定部36が、通知送信部18が通知情報を送信した時刻が含まれる時間帯を取得し、応答時間・平均値更新部38は、取得された時間帯ごとに、応答時間を、宛先テーブル54に登録する。そして、宛先取得部16は、通知情報を送信する時刻が含まれる時間帯における応答時間に基づいて、端末80に対する通知情報の送信順序を決定する。これにより、曜日や時間帯ごとに通知情報の必要性が変化する場合であっても、適切な送信順序で端末に対して通知情報を送信することができる。
【0054】
なお、上記実施形態では、時間帯テーブル52の時間帯を、図4のように、曜日と時刻とで定義する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、平日の昼間と、その他の時間帯というように定義してもよい。あるいは、時刻のみで定義することとしてもよい。なお、上記実施形態では、時間帯を考慮して、通知情報の送信順序を決定する場合について説明したが、これに限らず、時間帯を考慮しなくてもよい。この場合、上記実施形態の時間帯に関する部分(時間帯判定部14、36、時間帯テーブル52、宛先テーブル54の時間帯ごとの応答時間管理など)を省略することができる。
【0055】
なお、上記実施形態では、宛先テーブル54において、応答時間の平均を、前回応答時間と前々回応答時間の平均とすることとしたが、これに限られるものではない。例えば、災害通知サーバ10の稼動後の全応答時間の平均を用いてもよい。また、平均値として重み付け平均値を用いることとしても良い。この場合、例えば、現在に近い応答時間ほど、重みを大きくするなどすることができる。更には、平均を求めずに、前回応答時間のみを宛先テーブル54に登録しておき、当該前回応答時間に基づいて、通知情報を送信する端末の順序を決定することとしてもよい。
【0056】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0057】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0058】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0059】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【0060】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) 通知情報の送信先である複数の端末を登録したデータを格納する格納部と、前記登録された複数の端末に対して通知情報を送信する送信部と、前記通知情報を受信した端末から送信される受信応答を受信する受信部と、前記複数の端末のいずれかに対して前記送信部が前記通知情報を送信してから、前記受信部が前記受信応答を受信するまでの時間を取得し、前記データのうち、前記送信部が前記通知情報を送信した端末に対して、前記取得した時間に基づく時間情報を関連付ける関連付け部と、を備え、前記送信部は、各端末に関連付けられている前記時間情報に基づいて、前記複数の端末に対する前記通知情報の送信順序を決定することを特徴とする通知情報送信装置。
(付記2) 前記送信部が前記通知情報を送信した時刻が含まれる時間帯を取得する時間帯取得部を更に備え、前記関連付け部は、前記時間帯取得部により取得された時間帯ごとに、前記時間情報を、前記送信部が前記通知情報を送信した端末に関連付け、前記送信部は、前記通知情報を送信する時刻が含まれる時間帯における、前記時間情報に基づいて、前記複数の端末に対する前記通知情報の送信順序を決定することを特徴とする付記1に記載の通知情報送信装置。
(付記3) 前記時間情報は、前記送信部が前記通知情報を送信してから、前記受信部が前記受信応答を受信するまでの時間の平均値であり、前記送信部は、前記平均値が小さい端末ほど、前記情報を送信する順序を早くすることを特徴とする付記1又は2に記載の通知情報送信装置。
(付記4) 登録された複数の端末に対して通知情報を送信し、前記通知情報を受信した端末から送信される受信応答を受信し、前記複数の端末のいずれかに対して前記通知情報を送信してから、前記受信応答を受信するまでの時間を取得し、前記複数の端末が登録されているデータのうち、前記通知情報を送信した端末に対して、前記取得した時間に基づく時間情報を関連付ける処理、をコンピュータに実行させ、
前記送信する処理では、各端末に関連付けられている前記時間情報に基づいて、前記複数の端末に対する前記通知情報の送信順序を決定することを特徴とする通知情報送信プログラム。
(付記5) 前記コンピュータに、前記通知情報を送信した時刻が含まれる時間帯を取得する処理を更に実行させ、前記関連付ける処理では、前記時間帯ごとに、前記時間情報を、前記通知情報を送信した端末に関連付け、前記送信する処理では、前記通知情報を送信する時刻が含まれる時間帯における、前記時間情報に基づいて、前記複数の端末に対する前記通知情報の送信順序を決定することを特徴とする付記4に記載の通知情報送信プログラム。
(付記6) 前記時間情報は、前記通知情報を送信してから、前記受信応答を受信するまでの時間の平均値であり、前記送信する処理では、前記平均値が小さい端末ほど、前記情報を送信する順序を早くすることを特徴とする付記4又は5に記載の通知情報送信プログラム。
(付記7) 登録された複数の端末に対して通知情報を送信する送信工程と、前記通知情報を受信した端末から送信される受信応答を受信する受信工程と、前記複数の端末のいずれかに対して前記通知情報を送信してから、前記受信応答を受信するまでの時間を取得し、前記複数の端末が登録されているデータのうち、前記通知情報を送信した端末に対して、前記取得した時間に基づく時間情報を関連付ける関連付け工程と、をコンピュータが実行し、前記送信工程では、各端末に関連付けられている前記時間情報に基づいて、前記複数の端末に対する前記通知情報の送信順序を決定することを特徴とする通知情報送信方法。
(付記8) 前記コンピュータが、前記通知情報を送信した時刻が含まれる時間帯を取得する時間帯取得工程を更に実行し、前記関連付け工程では、前記時間帯ごとに、前記時間情報を、前記通知情報を送信した端末に関連付け、前記送信する処理では、前記通知情報を送信する時刻が含まれる時間帯における、前記時間情報に基づいて、前記複数の端末に対する前記通知情報の送信順序を決定することを特徴とする付記7に記載の通知情報送信方法。
(付記9) 前記時間情報は、前記通知情報を送信してから、前記受信応答を受信するまでの時間の平均値であり、前記送信工程では、前記平均値が小さい端末ほど、前記情報を送信する順序を早くすることを特徴とする付記7又は8に記載の通知情報送信方法。
【符号の説明】
【0061】
18 通知送信部(送信部)
32 確認応答受信部(受信部)
34 応答時間算出部(関連付け部の一部)
36 時間帯判定部(時間帯取得部)
38 応答時間・平均値更新部(関連付け部の一部)
54 宛先テーブル(格納部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通知情報の送信先である複数の端末を登録したデータを格納する格納部と、
前記登録された複数の端末に対して通知情報を送信する送信部と、
前記通知情報を受信した端末から送信される受信応答を受信する受信部と、
前記複数の端末のいずれかに対して前記送信部が前記通知情報を送信してから、前記受信部が前記受信応答を受信するまでの時間を取得し、前記データのうち、前記送信部が前記通知情報を送信した端末に対して、前記取得した時間に基づく時間情報を関連付ける関連付け部と、を備え、
前記送信部は、各端末に関連付けられている前記時間情報に基づいて、前記複数の端末に対する前記通知情報の送信順序を決定することを特徴とする通知情報送信装置。
【請求項2】
前記送信部が前記通知情報を送信した時刻が含まれる時間帯を取得する時間帯取得部を更に備え、
前記関連付け部は、前記時間帯取得部により取得された時間帯ごとに、前記時間情報を、前記送信部が前記通知情報を送信した端末に関連付け、
前記送信部は、前記通知情報を送信する時刻が含まれる時間帯における前記時間情報に基づいて、前記複数の端末に対する前記通知情報の送信順序を決定することを特徴とする請求項1に記載の通知情報送信装置。
【請求項3】
前記時間情報は、前記送信部が前記通知情報を送信してから、前記受信部が前記受信応答を受信するまでの時間の平均値であり、
前記送信部は、前記平均値が小さい端末ほど、前記情報を送信する順序を早くすることを特徴とする請求項1又は2に記載の通知情報送信装置。
【請求項4】
登録された複数の端末に対して通知情報を送信し、
前記通知情報を受信した端末から送信される受信応答を受信し、
前記複数の端末のいずれかに対して前記通知情報を送信してから、前記受信応答を受信するまでの時間を取得し、前記複数の端末が登録されているデータのうち、前記通知情報を送信した端末に対して、前記取得した時間に基づく時間情報を関連付ける処理、をコンピュータに実行させ、
前記送信する処理では、各端末に関連付けられている前記時間情報に基づいて、前記複数の端末に対する前記通知情報の送信順序を決定することを特徴とする通知情報送信プログラム。
【請求項5】
登録された複数の端末に対して通知情報を送信する送信工程と、
前記通知情報を受信した端末から送信される受信応答を受信する受信工程と、
前記複数の端末のいずれかに対して前記通知情報を送信してから、前記受信応答を受信するまでの時間を取得し、前記複数の端末が登録されているデータのうち、前記通知情報を送信した端末に対して、前記取得した時間に基づく時間情報を関連付ける関連付け工程と、をコンピュータが実行し、
前記送信工程では、各端末に関連付けられている前記時間情報に基づいて、前記複数の端末に対する前記通知情報の送信順序を決定することを特徴とする通知情報送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−118707(P2012−118707A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267155(P2010−267155)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】