説明

通話端末、通話システム、及び通話端末用プログラム

【課題】呼制御において用いられる通信プロトコルに関連するデータについては特定のファイアウォールを通過させる方法によると、この特定のファイアウォールのない一般的なネットワークの環境では通話端末と通話管理システムとの間の通信を開始することができないという課題が生じる。
【解決手段】通話端末は、呼制御システムが解釈することができる複数の通信プロトコルの中から選択される第1の通信プロトコルに従い作成されたメッセージによって呼制御システムと通信できない場合に、これらの複数の通信プロトコルの中から第2の通信プロトコルを選択する。これにより、通話端末と呼制御システムとの間に特定の通信装置を設けなくても、通信プロトコルを変えて呼制御システムとの間の通信を開始することができるようになるという効果を奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話端末間の呼を確立するための制御を行う呼制御システムと、呼の確立に関する情報を示す呼情報を含むメッセージを通信し、呼が確立されると他の通話端末と音声データ及び画像データの少なくとも一方を含む通話データを通信する通話端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、出張経費及び出張時間を削減する要請に伴い、インターネット等の通信ネットワークを介してテレビ会議などを行う通話システムが普及している。このような通話システムでは、複数の通話端末の間で通話を開始すると、画像データ及び音声データの送受信が行われ、テレビ会議を実現することができる。
【0003】
また、近年のブロードバンド環境の充実化により、複数の通話端末間で高画質の画像データや高音質の音声データの送受信が可能となった。これにより、テレビ会議の相手の状況を把握し易くなり、会話による意思疎通の充実度を向上することができるようになった。
【0004】
このような通話システムにおいて、通話端末間の接続を確立する際に、先ず通話端末とこれらの通話端末を管理する通話管理システムとの間のセッションを確立し、このセッションを用いることによって通話端末間の接続を制御すること(呼制御)が行われている。この呼制御において通話端末間の通信で用いられる通信プロトコルとしては、XMPP(Extensible Messaging and Presence Protocol)、SIP(Session Initiation Protocol)、IMS(IP Multimedia Subsystem)、BOSH(Bidirectional−streams Over Synchronous HTTP)等が知られている。
【0005】
これらのうち、XMPP、SIP、及びIMSは、リアルタイム性や処理速度の点で優れており呼制御において好適に用いられている。ところが、これらの通信プロトコルを用いてプロキシ、ファイアウォール、又はNAT(Network Address Translation)等を介して通信する場合、通話端末においてプロキシ等を用いるための設定を行う必要がある。このため、通話端末を移動させて普段とは異なるネットワーク環境から通話管理システムと通信する場合には、通常とは異なるネットワーク環境で用いられているプロキシ等を用いるための設定を通話端末において行う必要があった。この場合、設定を変更する手間を要し、変更できなければ呼制御を行うことができず通話を開始できないという問題があった。一方、プロキシ等を用いるための設定を必要としないBOSHを用いた場合には、リアルタイム性や、処理速度の点で上記の通信プロトコルよりも劣るという問題があった。
【0006】
そのため、近年、ファイアウォールを跨ぐ2地点間のテレビ会議を行う場合に、特定の通信プロトコルに関連するデータについては一般的なファイアウォールとは別に設けられた特定のファイアウォールを通過させることが知られている(特許文献1参照)。これを通話システムの呼制御に適用した場合、呼制御において用いられる通信プロトコルに関連するデータについては特定のファイアウォールを通過させることで、通話端末において一般的なファイアウォールを通過させるための設定を行う必要がなくなるとも考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この方法によると、一般的なファイアウォールとは別に特定のファイアウォールを設ける必要があり、この特定のファイアウォールのない一般的なネットワークの環境では通話端末と通話管理システムとの間の通信を開始することができないという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、通話端末間の呼を確立するための制御を行う呼制御システムと、前記呼の確立に関する情報を示す呼情報を含むメッセージを通信し、前記呼が確立されると、他の通話端末と音声データ及び画像データの少なくとも一方を含む通話データを通信する通信部を有する通話端末であって、前記呼制御システムが解釈することができる複数の通信プロトコルの中から所定の通信プロトコルを選択する選択部と、前記選択部によって選択された所定の通信プロトコルに従い前記呼制御システムに送信されるメッセージを作成するメッセージ作成部と、を有し、前記通信部が第1の通信プロトコルに従い作成されたメッセージによって前記呼制御システムと通信できない場合に、前記選択部が、前記複数の通信プロトコルの中から第2の通信プロトコルを選択することを特徴とする通話端末である。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記第1の通信プロトコルに従い作成されたメッセージを前記呼制御システムに送信できたときであって、前記通信部が前記メッセージを送信してから所定の時間、前記メッセージに対する応答を受信しなかった場合、前記選択部が、前記第2の通信プロトコルを選択することを特徴とする請求項1に記載の通話端末である。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記第1の通信プロトコルが、当該通話端末と前記呼制御システムとの通信経路の間の所定の通信機器を使用するために、当該通話端末における所定の設定を必要とする通信プロトコルであり、前記第2の通信プロトコルが、前記所定の通信機器を使用するために、前記所定の設定を必要としない通信プロトコルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の通話端末である。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の通話端末を複数有し、通話を開始する通話端末と呼情報を含むメッセージを通信し、前記通話を開始する通話端末間の呼を確立するための制御を行う呼制御システムを有することを特徴とする通話システムである。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記呼制御システムが、通話端末を識別するための通話端末識別情報と、前記通話端末との通信で用いられる通信プロトコルを示す通信プロトコル情報とを対応付けて管理する通信プロトコル管理部と、発呼側及び着呼側のいずれか一方の通話端末から送信されたメッセージを他方の通話端末に送信する場合に、送信先の通話端末に対応した通信プロトコル情報を抽出する通信プロトコル抽出部と、抽出された前記通信プトコル情報によって示される通信プロトコルに従い前記メッセージを変換する変換部と、を有することを特徴とする請求項4に記載の通話システムである。
【0013】
請求項6に係る発明は、通話端末間の呼を確立するための制御を行う呼制御システムと、前記呼の確立に関する情報を示す呼情報を含むメッセージを通信し、前記呼が確立されると他の通話端末と音声データ及び画像データの少なくとも一方を含む通話データを通信する通信部を有する通話端末に用いられる通話端末用プログラムであって、前記呼制御システムが解釈することができる複数の通信プロトコルの中から所定の通信プロトコルを選択する選択ステップと、前記選択ステップで選択された通信プロトコルに従い前記呼制御システムに送信されるメッセージを作成するメッセージ作成ステップと、を通話端末に実行させ、前記通信部が第1の通信プロトコルに従い作成されたメッセージによって前記呼制御システムと通信できない場合に、前記選択ステップで、前記複数の通信プロトコルの中から第2の通信プロトコルを選択することを特徴とする通話端末用プログラム
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、通話端末は、呼制御システムが解釈することができる複数の通信プロトコルの中から選択される第1の通信プロトコルに従い作成されたメッセージによって呼制御システムと通信できない場合に、これらの複数の通信プロトコルの中から第2の通信プロトコルを選択する。これにより、通話端末と呼制御システムとの間に特定の通信装置を設けなくても、通信プロトコルを変えて呼制御システムとの間の通信を開始することができるようになるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る通話システムの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る通話端末のハードウェア構成図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る通話管理システム、中継装置、又はプログラム提供システムのハードウェア構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る通話システムを構成する各端末、装置及びシステムの機能ブロック図である。
【図5】通信プロトコル優先度管理テーブルを示す概念図である。
【図6】図4の中継装置割当部56が詳細に示された機能ブロック図である。
【図7】変更品質管理テーブルを示す概念図である。
【図8】画像データの画質を説明する概念図である。
【図9】中継装置管理テーブルを示す概念図である。
【図10】端末認証管理テーブルを示す概念図である。
【図11】端末管理テーブルを示す概念図である。
【図12】宛先リスト管理テーブルを示す概念図である。
【図13】セッション管理テーブルを示す概念図である。
【図14】品質管理テーブルを示す概念図である。
【図15】中継装置割当管理テーブルを示す概念図である。
【図16】通信プロトコル管理テーブルを示す概念図である。
【図17】各中継装置の稼動状態を示す状態情報を管理する処理を示したシーケンス図である。
【図18】通話システムにおける画像データ、音声データ、及び各種管理情報の送受信の状態を示した概念図である。
【図19】通話端末間で通話を開始する準備段階の処理を示したシーケンス図である。
【図20】ログイン要求情報を送信する処理を示したフロー図である。
【図21】通話端末間で通話を開始する準備段階の処理を示したシーケンス図である。
【図22】中継装置を絞り込む処理を示したシーケンス図である。
【図23】開始要求情報を送信する処理を示したフロー図である。
【図24】通話端末間で画像データ及び音声データを送受信する処理を示したシーケンス図である。
【図25】本実施形態の宛先リストを示す概念図である。
【図26】他の実施形態の宛先リストを示す概念図である。
【図27】スタンザの一例を示す概念図である。
【図28】メッセージの一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<<実施形態の全体構成>>
以下、図1乃至図28を用いて、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る通話システム1の概略図であり、まずは図1を用いて、本実施形態の概略を説明する。
【0017】
図1に示す通話システム1は、複数の通話端末(10aa,10ab,…)、各通話端末(10aa,10ab,…)用のディスプレイ(120aa,120ab,…)、複数の中継装置(30a,30b,30c,30d,30e)、及び通話管理システム50によって構築されている。
【0018】
なお、本実施形態では、通話端末(10aa,10ab,…)のうち任意の通話端末を示す場合には「通話端末10」を用い、ディスプレイ(120aa,120ab,…)のうち任意のディスプレイを示す場合には「ディスプレイ120」を用い、中継装置(30a,30b,30c,30d,30e)のうち任意の中継装置を示す場合には「中継装置30」を用いる。
【0019】
通話端末10は、他の通話端末10との間で通話を行うために、画像データ、音声データ等の送受信を行う。即ち、本実施形態における通話には、音声データの送受信だけでなく、画像データの送受信も含まれる。即ち、本実施形態における通話端末10は、画像データ及び音声データの送受信を行う。但し、通話端末10は画像データの送受信を行わず、音声データの送受信を行うようにしてもよい。
【0020】
本実施形態では、画像データの画像が動画の場合について説明するが、動画だけでなく静止画であってもよい。また、画像データの画像には、動画と静止画の両方が含まれてもよい。中継装置30は、複数の通話端末10の間で、画像データ及び音声データの中継を行う。通話管理システム50は、通話端末10及び中継装置30を一元的に管理する。
【0021】
また、図1に示されている複数のルータ(70a,70b,70c,70d,70cd)は、画像データ及び音声データの最適な経路の選択を行う。また、本実施形態ではルータ(70a,70b,70cd)は、少なくともHTTPプロキシ機能を有している。なお、本実施形態では、ルータ(70a,70b,70c,70d,70cd)のうち任意のルータを示す場合には「ルータ70」を用いる。プログラム提供システム90は、通話端末10に各種機能又は各種手段を実現させるための通話端末用プログラムが記憶された、後述の図3に示されているのHD(Hard Disk)を備えており、通話端末10に、通話端末用プログラムを送信することができる。また、プログラム提供システム90のHDには、中継装置30に各種機能又は各種手段を実現させるための中継装置用プログラムも記憶されており、中継装置30に、中継装置用プログラムを送信することができる。更に、プログラム提供システム90のHDには、通話管理システム50に各種機能又は各種手段を実現させるための通話管理用プログラムも記憶されており、通話管理システム50に、通話管理用プログラムを送信することができる。
【0022】
また、通話端末(10aa,10ab,10ac,10a…)、中継装置30a、及びルータ70aは、LAN2aによって通信可能に接続されており、所定の地域A内で構築されている。通話端末(10ba,10bb,10bc,10b…)、中継装置30b、及びルータ70bは、LAN2bによって通信可能に接続されており、所定の地域B内で構築されている。例えば、地域Aは東京であり、LAN2aは東京の事業所内で構築されており、地域Bは大阪であり、LAN2bは大阪の事業所内で構築されている。
【0023】
一方、通話端末(10ca,10cb,10cc,10c…)、中継装置30c、及びルータ70cは、LAN2cによって通信可能に接続されている。通話端末(10da,10db,10dc,10d…)、中継装置30d、及びルータ70dは、LAN2dによって通信可能に接続されている。また、LAN2c及びLAN2dは、ルータ70cdが含まれた専用線2cdによって通信可能に接続されており、所定の地域C内で構築されている。例えば、地域Cはアメリカであり、LAN2cはニューヨークの事業所内で構築されており、LAN2dはワシントンD.C.の事業所内で構築されている。地域A、地域B、及び地域Cは、それぞれルータ(70a,70b,70cd)からインターネット2iを介して通信可能に接続されている。
【0024】
通話端末10は、インターネット2iを介して通話管理システム50と通信する場合、通信プロトコルによっては、その地域に設置されたルータ(70a,70b,又は70cd)を使用するための所定の設定がされている必要がある。本実施形態では、通話端末10は、普段設置される地域のルータ70を使用するための所定の設定が予めされているものとする。通話端末10が普段設置される地域とは異なる地域のルータ70を使用してXMPP、SIP、IMS等の通信プロトコルを用いて通話管理システム50と通信する場合、通話端末10においてルータ70を使用するための所定の新たな設定を行う必要がある。尚、この異なる地域にXMPP、SIP、IMS等の通信プロトコルに対応したプロキシ(ルータ等)が設置されていない場合には、これらの通信プロトコルを用いて通話管理システム50と通信することができない。一方、通話端末10を普段設置される地域とは異なる地域のルータ70を使用してBOSH等の通信プロトコルを用いて通話管理システム50と通信する場合、一般的に、通話端末10においてルータ70を使用するために所定の新たな設定を行う必要はない。これは、BOSHがHTTP上で通信するための通信プロトコルであって、通話端末10が普段とは異なる地域に設置される場合でも、HTTPによりインターネット2iに接続できる環境が整備されていることが一般的なためである。
【0025】
また、通話端末10は可動性があり、普段設置されている地域とは異なる別の地域にこの通話端末を移動させて、別の地域に設置されたルータ70からインターネット2iに接続し、通話管理システム50と通信することができる。例えば、地域Aに普段設置されている通話端末10aaは、地域Bに移動させることができ、Lan2bによってルータ70bと接続させることにより、通話管理システム50と通信することができる。この場合、通話端末10aaにおいて、ルータ70bを使用するための所定の設定がされていない場合には、XMPP等の通信プロトコルを用いて通話管理システム50と通信することはできない。一方、通話端末10aaがBOSH等の通信プロトコルを用いて通話管理システム50と通信する場合、通話端末10aaにおいてルータ70bを使用するために所定の設定がされていなくても良い。
【0026】
本実施形態の通話システム1において、通話管理システム50、及びプログラム提供システム90は、インターネット2iを介して、通話端末10、及び中継装置30と通信可能に接続されている。通話管理システム50、及びプログラム提供システム90は、地域A、地域B、又は地域Cに設置されていてもよいし、これら以外の地域に設置されていてもよい。
【0027】
本実施形態の通話システム1において、中継装置30eは、通信ネットワーク2を介して通話端末10及び通話管理システム50と通信可能に接続されている。この中継装置30eは、常時稼動しており、地域A、地域B又は地域Cのローカルエリア内の通信量の影響を受けにくくするために、これら以外の地域に設置されている。中継装置30eは、通話端末10が他のローカルエリアに設置された通話端末と通話する場合に、通話データを中継するために用いられる。また、中継装置30eは、同一のローカルエリアの通話端末間で通話を行う場合であって、このローカルエリアに設置された中継装置が稼動していない場合に、通話データを中継するために用いられる。
【0028】
なお、本実施形態では、LAN2a、LAN2b、インターネット2i、専用線2cd、LAN2c、及びLAN2dによって、本実施形態の通信ネットワーク2が構築されている。この通信ネットワーク2には、有線だけでなく無線による通信が行われる箇所があってもよい。
【0029】
また、図1において、各通話端末10、各中継装置30、通話管理システム50、各ルータ70、及びプログラム提供システム90の下に示されている4組の数字は、一般的なIPv4におけるIPアドレスを簡易的に示している。例えば、通話端末10aaのIPアドレスは「1.2.1.3」である。また、IPv4ではなく、IPv6を用いてもよいが。説明を簡略化するため、IPv4を用いて説明する。
【0030】
<<実施形態のハードウェア構成>>
次に、本実施形態のハードウェア構成を説明する。本実施形態では、中継先(宛先)としての通話端末10で画像データの受信に遅延が生じた場合に、中継装置30によって画像データの画像の解像度を変更してから、中継先としての通話端末10へ画像データを送信する場合について説明する。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態に係る通話端末10のハードウェア構成図である。図2に示されているように、本実施形態の通話端末10は、通話端末10全体の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)101、通話端末用プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)102、CPU101のワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)103、画像データや音声データ等の各種データを記憶するフラッシュメモリ104、CPU101の制御にしたがってフラッシュメモリ104に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御するSSD(Solid State Drive)105、フラッシュメモリ等の記録メディア106に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御するメディアドライブ107、通話端末10の宛先を選択する場合などに操作される操作ボタン108、通話端末10の電源のON/OFFを切り換えるための電源スイッチ109、後述の通信ネットワーク2を利用してデータ伝送をするためのネットワークI/F(Interface)111を備えている。
【0032】
また、通話端末10は、外付けのカメラ130の駆動を制御したり、画像データの送受信を行う撮像素子1/F113を備えている。このカメラ130は、CPU101の制御に従って、被写体を撮像し画像データを得るCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)が内蔵されている。尚、被写体を撮像するものであればCMOSに限らず、CCD(Charge Coupled Device)等を用いてもよい。カメラ130は、USB(Universal Serial Bus)ケーブル130cによって撮像素子1/F113に接続される。
【0033】
更に、通話端末10は、CPU101の制御に従って、外付けのマイク140および外付けのスピーカ150との間で音声信号の入出力を処理する音声入出力I/F116を備えている。マイク140はUSBケーブル140cによって、スピーカ150はUSBケーブル150cによって、それぞれ音声入出力I/F116に接続される。また、通話端末10は、CPU101の制御に従って、外付けのディスプレイ120に画像データを送信するディスプレイI/F117を備えている。ディスプレイ120は、ケーブル120cによってディスプレイ1/F117に接続される。このケーブル120cは、アナログRGB(VGA)信号用のケーブルであってもよいし、コンポーネントビデオ用のケーブルであってもよいし、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)やDVI(Digital Video Interactive)信号用のケーブルであってもよい。更に、通話端末10は、上記各構成要素を図2に示されているように電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン110を備えている。
【0034】
なお、記録メディア106は、通話端末10に対して着脱自在な構成となっている。また、CPU101の制御にしたがってデータの読み出し又は書き込みを行う不揮発性メモリであれば、フラッシュメモリ104に限らず、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等を用いてもよい。また、ディスプレイ120は、被写体の画像や操作用アイコン等を表示する液晶や有機ELによって構成された表示部である。
【0035】
更に、上記通話端末用プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、上記記録メディア106等の、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。
【0036】
図3は、本発明の一実施形態に係る通話管理システムのハードウェア構成図である。通話管理システム50は、通話管理システム50全体の動作を制御するCPU201、通話管理用プログラムを記憶したROM202、CPU201のワークエリアとして使用されるRAM203、各種データを記憶するHD(Hard Disk)204、CPU201の制御にしたがってHD204に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御するHDD(Hard Disk Drive)205、フラッシュメモリ等の記録メディア206に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御するメディアドライブ207、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示するディスプレイ208、後述の通信ネットワーク2を利用してデータ伝送をするためのネットワークI/F209、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたキーボード211、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行うマウス212、着脱可能な記録媒体の一例としてのCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)213に対するデータの読み出し又は書き込みを制御するCD−ROMドライブ214、及び、上記各構成要素を図3に示されているように電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン210を備えている。
【0037】
なお、上記通話管理用プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、上記記録メディア206やCD−ROM213等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。
【0038】
また、中継装置30は、上記通話管理システム50と同様のハードウェア構成を有しているため、その説明を省略する。但し、ROM202には、中継装置30を制御するための中継装置用プログラムが記録されている。この場合も、中継装置用プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、上記記録メディア206やCD−ROM213等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。
【0039】
更に、プログラム提供システム90は、上記通話管理システム50と同様のハードウェア構成を有しているため、その説明を省略する。但し、ROM202には、プログラム提供システム90を制御するためのプログラム提供用プログラムが記録されている。この場合も、プログラム提供用プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、上記記録メディア206やCD−ROM213等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。
【0040】
なお、上記着脱可能な記録媒体の他の例として、CD−R(Compact Disc Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスク等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0041】
<<実施形態の機能構成>>
次に、本実施形態の機能構成について説明する。図4は、本実施形態の通話システム1を構成する各端末、装置及びシステムの機能ブロック図である。図4では、通話端末10、中継装置30、及び通話管理システム50が、通信ネットワーク2を介してデータ通信することができるように接続されている。また、図1に示されているプログラム提供システム90は、テレビ会議の通信において直接関係ないため、図4では省略されている。なお、以下では、テレビ会議の開始を要求する要求元(発呼側)としての通話端末10を「要求元端末10A」とし、要求先である宛先(着呼側)としての通話端末10を「宛先端末10B」として説明する。
【0042】
<通話端末の機能構成>
通話端末10は、通信部11、操作入力受付部12、ログイン要求部13、撮像部14、音声入力部15a、音声出力部15b、表示制御部16、遅延検出部18、記憶・読出処理部19、宛先リスト作成部20、選択部21、及びメッセージ作成部22を有している。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、ROM102に記憶されているプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。また、通話端末10は、及び図2に示されているフラッシュメモリ104によって構築される不揮発性記憶部1000、図2に示されているRAM103によって構築される揮発性記憶部1002を有している。
【0043】
(通信プロトコル優先度管理テーブル)
不揮発性記憶部1000には、図5に示されているような通信プロトコル優先度管理テーブルによって構成されている通信プロトコル優先度管理DB(Data Base)1001が構築されている。この通信プロトコル優先度管理テーブルでは、通話管理システム50との通信で用いられる通信プロトコルを選択する際に用いられる優先度を示す優先度情報と、通信プロトコルを示す通信プロトコル情報とが、対応付けられて管理される。通信プロトコル優先度管理テーブルにおいて、最も高い優先度の通信プロトコル(第1の通信プロトコル)としては、通話端末10と通話管理システム50との通信経路の間のルータ70等の通信機器を使用するために通話端末10において所定の設定を必要とするが、双方向でリアルタイムに通信できるものが挙げられる。このような通信プトロトコルとしては、XMPP、SIP、IMS等が例示されるが、システムが簡素であってコスト的に優れる点やウェブサービスと連携し易い点等からXMPPが好ましい。また、優先度が「2」以下の通信プロトコル(第2の通信プロトコル)としては、通話端末10と通話管理システム50との通信経路の間に設置されたルータ70等の通信機器を使用するために、通話端末10において所定の設定を必要としないものが挙げられる。このような通信プロトコルとしてはBOSHが例示される。尚、通信プロトコル優先度管理テーブルで管理される通信プロトコルは、いずれも通話管理システム50で解釈可能なものである。
【0044】
(通話端末の各機能部)
次に、通話端末の各部を詳細に説明する。通話端末10の通信部11は、図2に示されているネットワークI/F111によって実現され、通信ネットワーク2を介して他の端末、装置又はシステムと各種データ(情報)の送受信を行う。この通信部11は、所望の宛先端末10Bと通話を開始する前から、通話管理システム50より、宛先候補としての各通話端末の状態を示す各状態情報の受信を開始する。なお、この状態情報は、各通話端末10の稼動状態(ONラインかOFFラインかの状態)だけでなく、ONラインであっても更に通話中であるか等の詳細な状態を示す。また、この状態情報は、各通話端末10の稼動状態だけでなく、通話端末10でケーブル(120c,130c,140c,150c)が通話端末10から外れていたり、音声を出力するが画像は出力させなかったり、音声を出力さないようにする(MUTE)等、様々な状態を示す。以下では、一例として、状態情報が稼動状態を示す場合について説明する。
【0045】
操作入力受付部12は、図2に示されている操作ボタン108、及び電源スイッチ109によって実現され、利用者による各種入力を受け付ける。例えば、利用者が、図2に示されている電源スイッチ109をONにすると、図4に示されている操作入力受付部12が電源ONを受け付けて、電源をONにする。ログイン要求部13は、図2に示されているCPU101からの命令によって実現され、上記電源ONの受け付けを契機として、通信部11から通信ネットワーク2を介して通話管理システム50に、ログインを要求する旨を示すログイン要求情報、及び要求元としての通話端末10の現時点のIPアドレスを自動的に送信する。また、利用者が電源スイッチ109をONの状態からOFFにすると、通信部11は、通話管理システム50へ、電源をOFFする旨の状態情報を送信してから、操作入力受付部12が電源を完全にOFFにする。これにより、通話管理システム50側では、通話端末10が電源ONから電源OFFになったことを把握することができる。
【0046】
撮像部14は、図2に示されている撮像素子I/F113によって実現され、カメラ130によって被写体を撮像して、この撮像して得た画像データを出力する。音声入力部15aは、図2に示されている音声入出力I/F116によって実現され、マイク140によって利用者の音声が音声信号に変換された後、この音声信号に係る音声データを入力する。音声出力部15bは、図2に示されている音声入出力I/F116によって実現され、音声データに係る音声信号をスピーカに出力し、スピーカ150から音声を出力させる。
【0047】
表示制御部16は、図2に示されているディスプレイI/F117によって実現され、外付けのディスプレイ120に対して画像データを送信するための制御を行う。更に、表示制御部16は、要求元端末10Aが所望の宛先端末10Bとテレビ会議の通話を開始する前に、通信部11によって受信された状態情報に基づき各宛先名が含まれた宛先リストをディスプレイ120に表示させる。例えば、ディスプレイ120上には、表示制御部16によって、図25に示されているような宛先リスト枠11−1が表示される。この宛先リスト枠11−1には、宛先名「日本 東京事業所 AB端末」11−2等の各宛先名が表示されており、宛先名毎に状態情報に係る状態を示したアイコン(11−3a,11−3b,11−3c)が表示される。このうち、アイコン11−3aは、宛先候補の一つの通話端末がONライン状態で待受け中であるため、この通話端末と通話可能であることを示す。アイコン11−3bは、宛先候補の一つの通話端末がOFFライン状態で、この通話端末と通話不可能であることを示す。アイコン11−3cは、宛先候補の一つの通話端末が他の通話端末と通話中の状態で、この通話端末と通話不可能であることを示す。また、宛先リスト枠11−1には、右側にスクロールバー11−4が表示され、三角形の上向き又は下向きアイコンが選択されることで、図25には表示されていない宛先候補の宛先名および状態を示したアイコンが表示されることになる。
【0048】
遅延検出部18は、図2に示されているCPU101からの命令によって実現され、他の通話端末10から中継装置30を介して送られて来る画像データ又は音声データの遅延時間(ms)を検出する。
【0049】
また、記憶・読出処理部19は、一例として図2に示すSSD105によって実行され、不揮発性記憶部1000に各種データを記憶したり、不揮発性記憶部1000に記憶された各種データを読み出す処理を行う。この不揮発性記憶部1000には、通話端末10を識別するための端末ID(Identification)、及びパスワード等が記憶される。更に、記憶・読出処理部19は、揮発性記憶部1002に各種データを記憶したり、揮発性記憶部1002に記憶された各種データを読み出す処理も行う。この揮発性記憶部1002には、宛先端末10Bとの通話を行う際に受信される画像データ及び音声データが、受信される度に上書き記憶される。このうち、上書きされる前の画像データによってディスプレイ120に画像が表示され、上書きされる前の音声データによってスピーカ150から音声が出力される。
【0050】
宛先リスト作成部20は、通話管理システム50から受信した、後述の宛先リスト情報及び各宛先候補としての通話端末10の状態情報に基づいて、図25に示されているような宛先候補の状態がアイコンで示された宛先リストの作成及び更新を行う。選択部21は、通信プロトコル優先度管理DBの通信プロトコル管理テーブル(図5参照)で管理される、通話管理システム50が解釈することができる複数の通信プロトコルの中から所定の通信プロトコルを選択する。メッセージ作成部22は、選択部21によって選択された通信プロトコル情報によって示される通信プロトコルに従い、通話管理システム50に送信されるメッセージを作成する。
【0051】
なお、本実施形態の端末ID、及び後述の中継装置IDは、それぞれ通話端末10、及び中継装置30を一意に識別するために使われる言語、文字、記号、又は各種のしるし等の識別情報を示す。また、端末ID、及び中継装置IDは、上記言語、文字、記号、及び各種のしるしのうち、少なくとも2つが組み合わされた識別情報であってもよい。
【0052】
(中継装置の機能構成)
次に、中継装置30の機能又は手段について説明する。中継装置30は、通信部31、状態検知部32、データ品質確認部33、変更品質管理部34、データ品質変更部35、及び記憶・読出処理部39を有している。これら各部は、図3に示されている各構成要素のいずれかが、ROM202に記憶されているプログラムに従ったCPU201からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。また、中継装置30は、図3に示されているHD204により構築され、中継装置30の電源をOFFにしても各種データや情報の記憶が維持される不揮発性記憶部3000を有している。
【0053】
(変更品質管理テーブル)
不揮発性記憶部3000には、図7に示されているような変更品質管理テーブルによって構成されている変更品質管理DB3001が構築される。変更品質管理テーブルでは、画像データの中継先としての通話端末30のIPアドレス、及びこの中継先に中継装置30が中継する画像データの画質が関連付けられて管理される。
【0054】
ここで、本実施形態で扱われる画像データの画像の解像度について説明する。図8(a)に示されているように、横が160画素、縦が120画素から成り、ベース画像となる低解像度の画像と、図8(b)に示されているように、横が320画素、縦が240画素から成る中解像度の画像と、図8(c)に示されているように、横が640画素、縦が480画素から成る高解像度の画像とがある。このうち、狭帯域経路を経由する場合には、ベース画像となる低解像度の画像データのみから成る低画質の画像データが中継される。帯域が比較的広い場合には、ベース画像となる低解像度の画像データ、及び中解像度の画像データから成る中画質の画像データが中継される。また、帯域が非常に広い場合には、ベース画質となる低解像度の画像データ、中画解像度の画像データ、及び高解像度の画像データから成る高画質の画像データが中継される。例えば、図7に示されている変更品質管理テーブルにおいて、中継装置30が、IPアドレス「1.3.2.4」の宛先端末10dbに対して画像データを中継する場合には、この中継される画像データの画質(画像の品質)は「高品質」である。
【0055】
<中継装置の各機能部>
次に、中継装置30の各機能構成について詳細に説明する。なお、以下では、中継装置30の各部を説明するにあたって、図2に示されている各構成要素のうち、中継装置30の各部を実現させるための主な構成要素との関係も説明する。
【0056】
図4に示されている中継装置30の通信部31は、図3に示されているネットワークI/F209によって実現され、通信ネットワーク2を介して他の端末、装置、又はシステムと各種データ(情報)の送受信を行う。状態検知部32は、図3に示されているCPU201からの命令によって実現され、この状態検知部32を有する中継装置30の稼動状態を検知する。稼動状態としては、「ONライン」、「OFFライン」、「故障中」の状態がある。
【0057】
データ品質確認部33は、図3に示されているCPU201からの命令によって実現され、宛先端末10BのIPアドレスを検索キーとして、変更品質管理DB3001の変更品質管理テーブル(図7参照)を検索し、対応した中継される画像データの画質を抽出することで、中継される画像データの画質を確認する。変更品質管理部34は、図3に示されているCPU201からの命令によって実現され、通話管理システム50から送られて来る、後述の品質情報に基づいて、変更品質管理DB3001の変更品質管理テーブルの内容を変更する。例えば、端末IDが「01aa」である要求元端末10aaと、端末IDが「01db」である宛先端末10dbとの間で高画質の画像データを送受信することによってテレビ会議を行っている最中に、他のテレビ会議を行う要求元端末10bbと宛先端末10caが通信ネットワーク2を介してテレビ会議を開始すること等によって、宛先端末10dbで画像データの受信の遅延が生じた場合には、中継装置30は今まで中継していた画像データの画質を、高画質から中画質に下げる必要がある。このような場合に、中画質を示す品質情報に基づいて、中継装置30が中継する画像データの画質を高画質から中画質に下げるように、変更品質管理DB3001の内容が変更される。
【0058】
データ品質変更部35は、図3に示されているCPU201からの命令によって実現され、送信元端末10から送られて来た画像データの画質を、上記変更された変更品質管理DB3001の変更品質管理テーブルの内容に基づいて変更する。記憶・読出処理部39は、図3に示されているHDD205によって実現され、不揮発性記憶部3000に各種データを記憶したり、不揮発性記憶部3000に記憶された各種データを読み出す処理を行う。
【0059】
<通話管理システムの機能構成>
次に、通話管理システム50の機能又は手段について説明する。通話管理システム50は、通信部51、端末認証部52、状態管理部53、端末抽出部54、端末状態取得部55、中継装置割当部56、セッション管理部57、品質決定部58、記憶・読出処理部59、遅延時間管理部60、通信プトロコル抽出部61、及び変換部62を有している。これら各部は、図3に示されている各構成要素のいずれかが、ROM202に記憶されているプログラムに従ったCPU201からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。また、通話管理システム50は、図3に示されているHD204により構築され、通話管理システム50の電源をOFFにしても各種データや情報の記憶が維持される不揮発性記憶部5000を有している。この不揮発性記憶部5000には、図25に示されている宛先リスト枠11−1が記憶されている。
【0060】
(中継装置管理テーブル)
不揮発性記憶部5000には、図9に示されているような中継装置管理テーブルによって構成されている中継装置管理DB5001が構築されている。この中継装置管理テーブルでは、各中継装置30の中継装置ID毎に、各中継装置30の稼動状態、稼動状態が示される状態情報が通話管理システム50で受信された受信日時、中継装置30のIPアドレス、及び中継装置30における最大データ伝送速度(Mbps)が関連付けられて管理される。例えば、図9に示されている中継装置管理テーブルにおいて、中継装置IDが「111a」の中継装置30aは、稼動状態が「ONライン」で、通話管理システム50で状態情報が受信された日時が「2009年11月10日の13時00分」で、この中継装置30aのIPアドレスが「1.2.1.2」で、この中継装置30aにおける最大データ伝送速度が100Mbpsであることが示されている。
【0061】
(端末認証管理テーブル)
更に、不揮発性記憶部5000には、図10に示されているような端末認証管理テーブルによって構成されている端末認証管理DB5002が構築されている。この端末認証管理テーブルでは、通話管理システム50によって管理される全ての通話端末10の各端末IDに対して、各パスワードが関連付けられて管理される。例えば、図10に示されている端末認証管理テーブルにおいて、通話端末10aaの端末IDは「01aa」で、パスワードは「aaaa」であることが示されている。
【0062】
(端末管理テーブル)
また、不揮発性記憶部5000には、図11に示されているような端末管理テーブルによって構成されている端末管理DB5003が構築されている。この端末管理テーブルでは、各通話端末10の端末ID毎に、各通話端末10を宛先とした場合の宛先名、各通話端末10の稼動状態、後述のログイン要求情報が通話管理システム50で受信された受信日時、及び通話端末10のIPアドレスが関連付けられて管理される。例えば、図11に示されている端末管理テーブルにおいて、端末IDが「01aa」の通話端末10aaは、端末名が「日本 東京事業所 AA端末」で、稼動状態が「ONライン」で、通話管理システム50でログイン要求情報が受信された日時が「2009年11月10日の13時40分」で、この通話端末10aaのIPアドレスが「1.2.1.3」であることが示されている。
【0063】
(宛先リスト管理テーブル)
更に、不揮発性記憶部5000には、図12に示されているような宛先リスト管理テーブルによって構成されている宛先リスト管理DB5004が構築されている。この宛先リスト管理テーブルでは、テレビ会議における通話の開始を要求する要求元端末10Aの端末IDに対して、宛先端末10Bの候補として登録されている宛先端末10Bの端末IDが全て関連付けられて管理される。例えば、図12に示されている宛先リスト管理テーブルにおいて、端末IDが「01aa」である要求元端末10aaからテレビ会議における通話の開始を要求することができる宛先端末10Bの候補は、端末IDが「01ab」の通話端末10ab、端末IDが「01ba」の通話端末10ba、及び端末IDが「01bb」の通話端末10bb等であることが示されている。この宛先端末10Bの候補は、要求元端末10Aから通話管理システム50に対する追加又は削除の要請により、追加又は削除されることで更新される。
【0064】
(セッション管理テーブル)
また、この不揮発性記憶部5000には、図13に示されているようなセッション管理テーブルによって構成されているセッション管理DB5005が構築されている。このセッション管理テーブルでは、通話端末間で通話データが通信されるセッションを識別するためのセッションID毎に、画像データ及び音声データの中継に使用される中継装置30の中継装置ID、要求元端末10Aの端末ID、宛先端末10Bの端末ID、宛先端末10Bにおいて画像データが受信される際の受信の遅延時間(ms)、及びこの遅延時間が示されている遅延情報を宛先端末10Bから送られて来て通話管理システム50で受信された受信日時が関連付けられて管理される。例えば、図13に示されているセッション管理テーブルにおいて、セッションID「se1」を用いて実行されたセッションで選択された中継装置30a(中継装置ID「111a」)は、端末IDが「01aa」の要求元端末10aaと、端末IDが「01db」の宛先端末10dbとの間で、画像データ及び音声データを中継しており、宛先端末10dbにおいて「2009年11月10日の14時00分」時点における画像データの遅延時間が200(ms)であることが示されている。なお、2つの通話端末10の間でテレビ会議を行う場合には、上記宛先端末10Bではなく要求元端末10Aから送信されてきた遅延情報に基づいて、遅延情報の受信日時を管理してもよい。但し、3つ以上の通話端末10の間でテレビ会議を行う場合には、画像データ及び音声データの受信側の通話端末10から送信されてきた遅延情報に基づいて、遅延情報の受信日時を管理する。
【0065】
(品質管理テーブル)
更に、不揮発性記憶部5000には、図14に示されているような品質管理テーブルによって構成されている品質管理DB5007が構築されている。この品質管理テーブルでは、要求元端末10A又は宛先端末10Bにおける画像データの遅延時間(ms)に応じて、中継装置30で中継させる画像データの画質(画像の品質)が関連付けられて管理される。
【0066】
(中継装置割当管理テーブル)
更に、不揮発性記憶部5000には、図15に示されているような中継装置割当管理テーブルによって構成されている中継装置割当管理DB5008が構築されている。この中継装置割当管理テーブルでは、通話管理システム50によって管理される全ての通話端末10の各端末IDに対して、画像データ及び音声データの中継用に割り当てられる中継装置30の中継装置IDが関連付けられて管理される。
【0067】
(通信プロトコル管理テーブル)
更に、不揮発性記憶部5000には、図16に示されているよう通信プロトコル管理テーブルによって構成されている通信プロトコル管理DB5009が構築されている。この通信プロトコル管理テーブルでは、各通話端末10の端末ID毎に、この通話端末との通信で用いられる通信プロトコルを示す通信プロトコル情報が対応付けられて管理される。例えば、図16に示されている通信プロトコル管理テーブルにおいて、通話管理システム50と通話端末10aaとの間の通信ではXMPPが用いられ、通話管理システム50と通話端末10baとの間の通信ではBOSHが用いられることが示されている。
【0068】
(通話管理システムの各機能部)
次に、通話管理システム50の各機能部について詳細に説明する。なお、以下では、通話管理システム50の各部を説明するにあたって、図3に示されている各構成要素のうち、通話管理システム50の各部を実現させるための主な構成要素との関係も説明する。
【0069】
通信部51は、図3に示されているネットワークI/F209によって実行され、通信ネットワーク2を介して他の端末、装置又はシステムと各種データ(情報)の送受信を行う。端末認証部52は、通信部51を介して受信されたログイン要求情報に含まれている端末ID及びパスワードを検索キーとし、不揮発性記憶部5000の端末認証管理DB5002を検索し、端末認証管理DB5002に同一の端末ID及びパスワードが管理されているかを判断することによって端末認証を行う。
【0070】
状態管理部53は、ログイン要求してきた要求元端末10Aの稼動状態を管理すべく、端末管理DB5003の端末管理テーブル(図11参照)に、この要求元端末10Aの端末ID、要求元端末10Aの稼動状態、通話管理システム50でログイン要求情報が受信された受信日時、及び要求元端末10のIPアドレスを関連付けて記憶して管理する。また、状態管理部53は、利用者が通話端末10の電源スイッチ109をONの状態からOFFにすることで、通話端末10から送られてきた、電源をOFFする旨の状態情報に基づいて、端末管理DB5003(図11参照)のONラインを示す稼動状態をOFFラインに変更する。
【0071】
端末抽出部54は、ログイン要求した要求元端末10Aの端末IDをキーとして、宛先リスト管理DB5004の宛先リスト管理テーブル(図12参照)を検索し、要求元端末10Aと通話することができる宛先端末10Bの候補の端末IDを読み出すことで、端末IDを抽出する。また、端末抽出部54は、ログイン要求してきた要求元端末10Aの端末IDをキーとして、宛先リスト管理DB5004の宛先リスト管理テーブル(図12参照)を検索し、上記要求元端末10Aの端末IDを宛先端末10Bの候補として登録している他の要求元端末10Aの端末IDも抽出する。
【0072】
端末状態取得部55は、上記端末抽出部54によって抽出された宛先端末10Bの候補の端末IDを検索キーとして、端末管理DB5003の端末管理テーブル(図11参照)を検索し、上記端末抽出部54によって抽出された端末ID毎に稼動状態を読み出す。これにより、端末状態取得部55は、ログイン要求してきた要求元端末10Aと通話することができる宛先端末10Bの候補の稼動状態を取得することができる。また、端末状態取得部55は、上記端末抽出部54によって抽出された端末IDを検索キーとして、端末管理DB5003の端末管理テーブルを検索し、ログイン要求してきた要求元端末10Aの稼動状態も取得する。
【0073】
中継装置割当部56は、通話端末間で通話データが通信されるセッション毎に画像データ及び音声データの中継に用いられる中継装置30を割り当てる。そのため、中継装置割当部56は、図3に示されているCPU201からの命令によって、図6に示されているセッションID生成部56a、中継装置抽出部56b、及び割当部56cを実現する。
【0074】
このうち、セッションID生成部56aは、通話端末間で通話データが通信されるセッションを識別するためのセッションIDを生成する。中継装置抽出部56bは、要求元端末10Aから送られてきた開始要求情報に含まれている要求元端末10Aの端末ID及び宛先端末10Bの端末IDに基づいて、中継装置割当管理DB5008の中継装置割当管理テーブル(図15参照)を検索することにより、対応するそれぞれの中継装置IDを抽出する。割当部56cは、中継装置抽出部56bによって抽出された中継装置IDに基づいて、中継装置管理DB5001の中継装置管理テーブル(図9参照)を検索し、稼動状態が「ONライン」となっている中継装置30を画像データ等の中継に用いられる中継装置30を割り当てる。
【0075】
セッション管理部57は、不揮発性記憶部5000のセッション管理DB5005のセッション管理テーブル(図13参照)に、セッションID生成部56aで生成されたセッションID、要求元端末の端末ID、及び宛先端末の端末IDを関連付けて記憶して管理する。また、セッション管理部57は、セッション管理DB5005(図13参照)に対して、セッションID毎に、通話端末10の割当部56cによって割り当てられた中継装置30の中継装置IDを記憶して管理する。
【0076】
品質決定部58は、上記遅延時間を検索キーとして、品質管理DB5007の品質管理テーブル(図14参照)を検索し、対応する画像データの画質を抽出することで、中継装置30に中継させる画像データの画質を決定する。記憶・読出処理部59は、図3に示されているHDD205によって実行され、不揮発性記憶部5000に各種データを記憶したり、不揮発性記憶部5000に記憶された各種データを読み出す処理を行う。遅延時間管理部60は、上記宛先端末10BのIPアドレスを検索キーとして、端末管理DB5003(図11参照)を検索することで、対応する端末IDを抽出し、更に、セッション管理DB5005(図13参照)のセッション管理テーブルにおいて、上記抽出した端末IDが含まれるレコードにおける遅延時間のフィールド部分に、上記遅延情報で示されている遅延時間を記憶して管理する。
【0077】
通信プロトコル抽出部61は、通話端末の端末IDを検索キーとして、通信プロトコル管理DBの通信プロトコル管理テーブル(図16参照)を検索し、対応した通信プロトコル情報を抽出する。変換部62は、通話管理システム50と通話端末10との間で通信されるメッセージを所定の通信プロトコルに従い変換する。
【0078】
<<実施形態の処理・動作>>
以上が、本実施形態に係る通話システム1の構成及び機能(又は手段)の説明であり、続いて、図17乃至図28を用いて、本実施形態に係る通話システム1における処理方法を説明する。なお、図17は、各中継装置30から通話管理システム1に送信された各中継装置30の状態を示す状態情報を管理する処理を示したシーケンス図である。図18は、通話システムにおける画像データ、音声データ、及び各種管理情報の送受信の状態を示した概念図である。図19は、複数の通話端末10の間で通話を開始する準備段階の処理を示したシーケンス図である。図20は、ログイン要求情報を送信する処理を示したフロー図である。図21は、複数の通話端末10の間で通話を開始する準備段階の処理を示したシーケンス図である。図22は、中継装置を絞り込む処理を示したシーケンス図である。図23は、開始要求情報を送信する処理を示したフロー図である。図24は、通話端末間で画像データ及び音声データを送受信する処理を示したシーケンス図である。図25は、本実施形態の宛先リストを示す概念図である。図26は、他の実施形態の宛先リストを示す概念図である。図27は、スタンザの一例を示す概念図である。図28は、メッセージの一例を示す概念図である。
【0079】
まず、図17を用いて、各中継装置30から通話管理システム50に送信された各中継装置30の状態を示す状態情報を管理する処理を説明する。まず、各中継装置30では、図4に示されている状態検知部32が、自装置である中継装置30の稼動状態を定期的に検知している(ステップS1−1〜S1−4)。そして、通話管理システム50側で各中継装置30の稼動状態をリアルタイムで管理させるべく、各中継装置30の通信部31は、定期的に通信ネットワーク2を介して通話管理システム50へ各状態情報を送信する(ステップS2−1〜S2−4)。これら各状態情報には、中継装置30毎の中継装置IDと、これら各中継装置IDに係る中継装置30の状態検知部32で検知された稼動状態とが含まれている。なお、本実施形態では、中継装置(30a,30b,30d)は、正常に稼動して「ONライン」となっている一方で、中継装置30cは稼働中ではあるが、中継装置30cの中継動作を実行するためのプログラムに何らかの不具合が生じて、「OFFライン」となっている場合が示されている。
【0080】
次に、通話管理システム50では、各中継装置30から送られて来た各状態情報を通信部51が受信し、記憶・読出処理部59を介して不揮発性記憶部5000の中継装置管理DB5001(図9参照)に、中継装置ID毎に状態情報を記憶して管理する(ステップS3−1〜S3−4)。これにより、図9に示されるような中継装置管理テーブルに対して、中継装置ID毎に「ONライン」、「OFFライン」、又は「故障中」のいずれかの稼動状態が記憶されて管理される。またこの際に、中継装置ID毎に、通話管理システム50で状態情報が受信された受信日時も記憶されて管理される。なお、中継装置30から状態情報が送られない場合には、図9に示されている中継装置管理テーブルの各レコードにおける稼動状態のフィールド部分及び受信日時のフィールド部分が空白になるか、又は、前回の受信時の稼動状態及び受信日時をそれぞれ示す。
【0081】
次に、図18を用いて、通話システム1における画像データ、音声データ、及び各種管理情報の送受信の状態を示した概念を説明する。図18に示されているように、通話システム1では、要求元端末10Aと宛先端末10Bとの間では、通話管理システム50を介して、通話端末間の接続(呼)の確立に関する情報を示す呼情報を含む各種の管理情報(メッセージ)を送受信するための管理情報用セッションseiが確立される。この管理情報用セッションseiを用いることによって通話管理システム50が通話端末間の接続を制御(呼制御)する。これにより、要求元端末10Aと宛先端末10Bとの間では、中継装置30を介して、高解像度の画像データ、中解像度の画像データ、低解像度の画像データ、及び音声データの4つの各データを送受信するための4つのセッションが確立される。ここでは、これら4つのセッションをまとめて、画像・音声データ用セッションsedとして示している。
【0082】
次に、図19及び図21を用いて、通話端末10aaと通話端末10dbとの間で、通話を開始する前の準備段階における各管理情報の送受信処理について説明する。なお、図19及び図21では、全て管理情報用セッションseiによって、各種管理情報が送受信される処理が示されている。
【0083】
まず、通話端末10aaの利用者が、図2に示されている電源スイッチ109をONにすると、図4に示されている操作入力受付部12が電源ONを受け付けて、電源をONにする(ステップS21)。そして、ログイン要求部13は、上記電源ONの受信を契機とし、通信部11から通信ネットワーク2を介して通話管理システム50に、ログイン要求を示すログイン要求情報を自動的に送信する(ステップS22)。このログイン要求情報には、要求元としての自端末である通話端末10aaを識別するための端末ID、及びパスワードが含まれている。これら端末ID、及びパスワードは、記憶・読出処理部19を介して不揮発性記憶部1000から読み出されて、通信部11に送られたデータである。なお、通話端末10aaから通話管理システム50へログイン要求情報が送信される際は、受信側である通話管理システム50は、送信側である通話端末10abのIPアドレスを把握することができる。
【0084】
このログイン要求情報を送信する処理について、図20を用いてより詳細に説明する。図20は、ログイン要求情報を送信する処理を示したフロー図である。先ず、ステップS21で電源ONにされると、選択部21は、通信プロトコル優先度管理DBの通信プロトコル優先度管理テーブルから最も高い優先度を示す優先情報「1」に対応する通信プロトコル情報「XMPP」を選択する(ステップS22−1)。メッセージ作成部22は、選択部21によって選択された通信プロトコル情報によって示されるXMPPに従い、上記のログイン要求情報を含むメッセージを作成する(ステップS22−2)。このXMPPは、TCP(Transmission Control Protocol)上での通信に用いられる。この通信プロトコルを用いた場合には、通話端末10は、XMPPプロキシ(ルータ等)を介して通話管理システム50と通信することができる。尚、このXMPPプロキシが設置されていない環境では、通話端末10はこの通信プロトコルを用いて通話管理システム50と通信することができない。このXMPPにおける通信データのフォーマットはXML(Extensible Markup Language)であり、1塊のメッセージ(通信データ)は、スタンザ(stanza)と呼ばれる。即ち、メッセージ作成部22は、XMLのフォーマットにより図27で示されるようなスタンザを作成する。
【0085】
続いて、通信部11は通話管理システム50に作成されたメッセージをXMPPに従い送信する(ステップS22−3)。通話端末50のCPU101は、このメッセージが送信されてから時間の計測を開始する。ここで、「メッセージが送信されてから」とは、実際に通信部11がメッセージを送信した時点からという意味で用いられるだけではなく、メッセージを送信する前後のある時点からという意味でも用いられる。即ち、設計上の理由等により、メッセージ作成部22がメッセージを作成した時点や、メッセージが送信された後に記憶・読出処理部19が所定のログを不揮発性記憶部1000に記録する時点から所定の時間の計測を開始しても良い。
【0086】
通信部11が、メッセージが送信されてから所定の時間を経過する前にこのメッセージに対する応答を通話管理システム50から受信した場合には(ステップS22−4のYES)、処理を完了する。通信部11が、メッセージを送信してから所定の時間を経過するまでにこのメッセージに対する応答を通話管理システム50から受信しなかった場合には(ステップS22−4のNO)、選択部21は、次に高い優先度の通信プロトコルを選択する。この場合、選択部21は、通信プロトコル優先度管理DBの通信プロトコル優先度管理テーブルから次に高い優先度を示す優先度情報「2」に対応する通信プロトコル情報「BOSH」を選択する(ステップS22−5)。メッセージ作成部22は、選択部21によって選択された通信プロトコル情報によって示されるBOSHに従い、上記のログイン要求情報を含むメッセージを作成する(ステップS22−2)。
【0087】
ここで、メッセージ作成部22が、BOSHに従いメッセージを作成する方法の一例について説明する。BOSHは、XMPP over HTTPとも呼ばれ、XMPPをHTTP上で通信するための通信プロトコルである。この通信プロトコルで通信される通信データは、HTTPのフォーマットで作成されたメッセージの一部(所定のタグ中)にXMPPのスタンザが挿入された形式となっている。本実施形態では、メッセージ作成部22によってXMPPに従い先に作成されたログイン要求情報を含むスタンザを、HTTPのフォーマットで作成されたメッセージの一部に挿入することによって図28に示されるようなBOSHに従うメッセージが作成される。このようにしてメッセージが作成されると、通信部11は通話管理システム50に作成されたメッセージをBOSHに従い送信し(ステップS22−3)、通話管理システム50からの応答を待つ(ステップ22−4)。通信部11が、メッセージが送信されてから所定の時間を経過する前にこのメッセージに対する応答を通話管理システム50から受信した場合には、ログイン要求情報を送信する処理を完了する。この場合、通話管理システム50とのその後の通信(例えば、ステップS42参照)では、ログイン要求情報の送信で最終的に用いられた通信プロトコルが用いられる。通信部11が、メッセージを送信してから所定の時間を経過するまでにこのメッセージに対する応答を通話管理システム50から受信しなかった場合には(ステップS22−4のNO)、ステップS22−5以降の処理を繰り返す。
【0088】
続いて、図19に戻って、所定の通信プロトコルに従い送信されたログイン要求情報を通話端末50が受信した後の処理について説明する。先ず、通話管理システム50の端末認証部52は、通信部51を介して受信したログイン要求情報に含まれている端末ID及びパスワードを検索キーとして、不揮発性記憶部5000の端末認証管理DB5002(図10参照)を検索し、端末認証管理DB5002に同一の端末ID及びパスワードが管理されているかを判断することによって端末認証を行う(ステップS23)。この場合、ログイン要求情報を含むメッセージは、通話端末10aaのメッセージ作成部22によって、通話管理システム50が解釈できる通信プロトコルに従い作成されているため、上記の認証の処理を行うことができる。
【0089】
この端末認証部52によって、同一の端末ID及びパスワードが管理されているため、正当な利用権限を有する通話端末10からのログイン要求であると判断された場合には、状態管理部53は、端末管理DB5003の端末管理テーブル(図11参照)に、通話端末10aaの端末ID及び宛先名で示されるレコード毎に、稼動状態、上記ログイン要求情報が受信された受信日時、及び通話端末10aaのIPアドレスを関連付けて記憶する(ステップS24)。これにより、図11に示されている端末管理テーブルには、通話端末ID「01aa」に、稼動状態「ONライン」、受信日時「2009.11.10.13:40」及び端末IPアドレス「1.2.1.3」が関連付けて管理されることになる。
【0090】
更に、記憶・読出処理部59は、通信プロトコル管理DB5009の通信プロトコル管理テーブル(図16参照)における通話端末10aaの端末IDで示されるレコードに、通話端末10aaとの通信で用いられる通信プロトコル(ログイン要求情報の通信で用いられた通信プロトコル)を示す通信プロトコル情報を関連付けて記憶する(ステップS25)。以後、通話端末10aaとの通信におけるメッセージは、この通信プロトコル管理テーブルによって管理されている通信プロトコルに従い作成されて、通信部51によって送信される。
【0091】
そして、通話管理システム50の通信部51は、上記端末認証部52によって得られた認証結果が示された認証結果情報を、通信ネットワーク2を介して、上記ログイン要求してきた要求元端末10aaに送信する(ステップS25)。
【0092】
続いて、図21を用いて、端末認証部52によって認証が成功した場合について、その後の処理を説明する。通話端末10aaでは、正当な利用権限を有する端末であると判断された結果が示された認証結果情報を受信すると、通信部11が通信ネットワーク2を介して通話管理システム50へ、宛先リストを要求する旨が示された宛先リスト要求情報を送信する(ステップS26)。これにより、通話管理システム50の通信部51は、宛先リスト要求情報を受信する。
【0093】
次に、端末抽出部54は、ログイン要求した要求元端末10aaの端末ID「01aa」を検索キーとして、宛先リスト管理DB5004の宛先リスト管理テーブル(図12参照)を検索し、要求元端末10aaと通話することができる宛先端末10Bの候補の端末IDを読み出すことによって抽出する(ステップS27)。また、端末抽出部54は、抽出された端末IDを検索キーとして、端末管理DBの端末管理テーブル(図11参照)を検索し、この端末IDに対応する宛先名を読み出すことによって抽出する。ここでは、要求元端末10aaの端末ID「01aa」に対応する宛先端末(10ab,10ba,10bb,…)のそれぞれの端末ID(「01ab」、「01ba」、「01bb」、…)と、これらに対応する端末名(「日本 東京事業所 AB端末」、「日本 大阪事業所 BA端末」、…)が抽出される。
【0094】
次に、通話管理システム50の通信部51は、記憶・読出処理部59を介して記憶部6000から宛先リスト枠のデータ(図25で示されている宛先リスト枠11−1部分のデータ)を読み出す(ステップS28)と共に、この宛先リスト枠並びに上記端末抽出部54によって抽出された端末ID及び宛先名を含めた「宛先リスト情報(宛先リスト枠、端末ID、宛先名)」を、要求元端末10aaに送信する(ステップS29)。これにより、要求元端末10aaでは、通信部11が宛先リスト情報を受信し、記憶・読出処理部19が揮発性記憶部1002へ宛先リスト情報を記憶する(ステップS30)。
【0095】
このように、本実施形態では、各通話端末10で宛先リスト情報を管理するのではなく、通話管理システム50が全ての通話端末の宛先リスト情報を一元管理している。よって、通話システム1に新たな通話端末10が含まれるようになったり、既に含まれている通話端末10に替えて新機種の通話端末10を含めるようになったり、宛先リスト枠の見栄え等を変更することになった場合でも、通話管理システム50側で一括して対応するため、各通話端末10側で宛先リスト情報の変更を行う手間を省くことができる。
【0096】
また、通話管理システム50の端末状態取得部55は、上記端末抽出部54によって抽出された宛先端末10Bの候補の端末ID(「01ab」、「01ba」、「01bb」、…)を検索キーとして、端末管理DB5003(図11参照)を検索し、上記端末抽出部54によって抽出された端末ID毎に、対応する稼動状態を読み出すことにより、宛先候補としての通話端末(10ab,10ba,10bb,…)の各稼動状態を取得する(ステップ31)。
【0097】
次に、通信部51は、上記ステップ27で使用された検索キーとしての端末ID「01ab」と、対応する宛先端末10abの稼動状態「ONライン(通話可能)」とが含まれた「端末の状態情報」を、通信ネットワーク2を介して要求元端末10aaに送信する(ステップS32)。また、同じくステップS32の一環として、通信部51は、端末ID「01ba」と、対応する宛先端末10baの稼動状態「ONライン(一時中断)」とが含まれた「端末の状態情報」等、残りの「端末の状態情報」も個別に要求元端末10aaへ送信する。
【0098】
次に、要求元端末10aaの記憶・読出処理部19は、順次、通話管理システム50から受信した端末の状態情報を揮発性記憶部1002に記憶する(ステップS33)。よって、要求元端末10aaは、上記各端末の状態情報を受信することで、要求元端末10aaと通話することができる宛先端末10Bの候補である通話端末10ab等の現時点のそれぞれの稼動状態を取得することができる。
【0099】
次に、要求元端末10aaの宛先リスト作成部20は、揮発性記憶部1002に記憶されている宛先リスト情報、及び端末の状態情報に基づいて、宛先候補としての通話端末10の状態を反映させた宛先リストを作成すると共に、表示制御部16が、図2に示されているディスプレイ120に対して、宛先リストを表示するタイミングを制御する(ステップS34)。
【0100】
以上より、図25に示されているように、宛先リスト枠11−1に各宛先名11−2等及び各状態情報を反映させたアイコン11−3a等が表示された状態の宛先リストをディスプレイ120aaに表示させることになる。
【0101】
一方、図21に戻って、通話管理システム50の端末抽出部54は、ログイン要求してきた要求元端末10aaの端末ID「01aa」を検索キーとして、宛先リスト管理DB5004の宛先リスト管理テーブル(図12参照)を検索し、上記要求元端末10aaの端末ID「01aa」を宛先端末10Bの候補として登録している他の要求元端末10Aの端末IDを抽出する(ステップS35)。図12に示されている宛先リスト管理テーブルでは、抽出される他の要求元端末10Aの端末IDは、「01ab」、「01ba」、及び「01db」である。
【0102】
次に、通話管理システム50の端末状態取得部55は、上記ログイン要求して来た要求元端末10aaの端末ID「01aa」を検索キーとして、端末管理DB5003の端末管理テーブル(図11参照)を検索し、ログイン要求してきた要求元端末10aaの稼動状態を取得する(ステップS36)。
【0103】
そして、通信部51は、上記ステップS35で抽出された端末ID(「01ab」、「01ba」、及び「01db」)に係る通話端末(10ab,10ba,10db)のうち、端末管理DB5003の端末管理テーブル(図11参照)で稼動状態が「ONライン」となっている通話端末(10ba,10db)に、上記ステップS36で取得された要求元端末10aaの端末ID「01aa」と稼動状態「ONライン」が含まれる「端末の状態情報」を送信する(ステップS37−1,S37−2)。なお、通信部51が通話端末(10ba,10db)に端末の状態情報を送信する際に、各端末ID(「01ba」、「01db」)に基づいて、図11に示されている端末管理テーブルで管理されている端末のIPアドレスを参照する。これにより、ログイン要求した要求元端末10aaを宛先として通話することができる他の宛先端末(10db,10ba)のぞれぞれに、上記ログイン要求した要求元端末10aaの端末ID「01aa」、及び稼動状態「ONライン」を伝えることができる。
【0104】
一方、他の通話端末10でも、上記ステップS21と同様に、利用者が図3に示されている電源スイッチ109をONにすると、図4に示されている操作入力受付部12が電源ONを受け付け、上記ステップS22〜S38−1,2の処理と同様の処理を行うため、その説明を省略する。
【0105】
続いて、図22を用いて、通話端末が他の通話端末との通信の開始を要求する場合の処理を説明する。なお、図22では、全て管理情報用セッションseiによって、各種管理情報が送受信される処理が示されている。また、本実施形態においては、要求元端末10aaは、宛先の候補としての通話端末10のうち、上記ステップS32によって受信した端末の状態情報により、稼動状態がONラインである通話端末(10ba,10db)の少なくとも一方と通話を行うことができる。そこで、以下では、要求元端末10aaの利用者が、宛先端末10dbと通話を開始することを選択した場合について説明する。
【0106】
まず、要求元端末10aaの利用者が図2に示されている操作ボタン108を押下して宛先端末10dbを選択すると、図4に示されている操作入力受付部12は、通話端末10dbとの通話を開始する要求を受け付ける(ステップS41)。そして、通話端末10aaの通信部11は、要求元端末10aaの端末ID「01aa」、及び宛先端末10dbの端末ID「01db」が含まれ、通話を開始したい旨を示す開始要求情報を、通話管理システム50へ送信する(ステップS42)。これにより、通話管理システム50の通信部51は、上記開始要求情報を受信すると共に、送信元である要求元端末10aaのIPアドレス「1.2.1.3」を把握することになる。
【0107】
そして、状態管理部53は、開始要求情報に含まれる要求元端末10aaの端末ID「01aa」及び宛先端末10dbの端末ID「01db」に基づき、端末管理DB5003(図11参照)の端末管理テーブルにおいて、上記端末ID「01aa」及び端末ID「01db」がそれぞれ含まれるレコードの稼動状態のフィールド部分を、ともに「通話中」に変更する(ステップS43)。なお、この状態では、要求元端末10aaと宛先端末10dbは、通話(通話)を開始していないが、通話中状態となり、他の通話端末10が要求元端末10aa又は宛先端末10dbと通話しようとすると、いわゆる通話中状態を示す旨の音声又は表示が出力される。
【0108】
次に、通話管理システム50は、中継装置30を選択するための処理を実行する。この場合、先ず、セッションID生成部56aは、要求元端末10aaによって要求された各宛先端末との間の通信を実行するためのセッション(通話データ用セッションsed)を識別するためのセッションID「se1」を生成する(ステップS44)。そして、セッション管理部57は、不揮発性記憶部5000のセッション管理DB5005のセッション管理テーブル(図13参照)に、上記ステップS44で生成されたセッションID「se1」、要求元端末10aaの端末ID「01aa」、及び宛先端末10dbの端末ID「01db」を関連付けて記憶して管理する(ステップS45)。
【0109】
続いて、通話管理システム50の中継装置割当部56は、中継装置管理DB5001、中継装置割当管理DBに基づいて、要求元端末10aaと、宛先端末10dbとの通話を中継するための中継装置30の割り当てを行う(ステップS46)。この場合、まず、中継装置抽出部56bは、要求元端末10aaから送られてきた開始通信情報に含まれている要求元端末10aaの端末ID「01aa」、宛先端末10dbの端末ID「01db」に基づいて、中継装置割当管理DB5008の中継装置割当管理テーブル(図15参照)を検索することにより、通話端末(10aa,10db)に対応する中継装置ID(「111a」,「111d」)を抽出する。
【0110】
抽出された各中継装置IDが同一であれば、割当部56cは、中継装置管理DB5001の中継装置管理テーブル(図9参照)で管理されている中継装置30の稼動状態のうち、抽出された中継装置IDの稼動状態を参照する。ここで中継装置IDの稼動状態が「ONライン」である場合には、割当部56cは、抽出された中継装置を、通話を中継するための中継装置に割り当てる。抽出された各中継装置IDが同一でない場合、又は、上記の参照の結果、各中継装置IDの稼動状態が「OFFライン」である場合には、中継装置30eを、通話を中継するための中継装置に割り当てる。本実施形態では、割当部56cによって中継装置30eが割り当てられた場合につき、以下続けて説明する。
【0111】
中継装置30の割り当て処理が完了すると、セッション管理部57は、不揮発性記憶部5000のセッション管理DB5005のセッション管理テーブル(図13参照)において、セッションID「se1」が含まれるレコードの中継装置IDのフィールド部分に、割り当てられた中継装置の中継装置ID「111e」を記憶して管理する(ステップS47)。
【0112】
次に、図4に示されている送受信部51は、通信ネットワーク2を介して、要求元端末10aaへ、セッションID生成部56aで生成されたセッションIDと、割当部56cで割り当てられた中継装置30eに接続するために用いられる中継装置接続情報を送信する(ステップS48)。この中継装置接続情報には、中継装置30eのIPアドレス「1.1.1.3」、認証情報、ポート番号等を含めることができる。これにより、通話端末10aaは、セッションID「se1」におけるセッションの実行において、通話データの中継に用いられる中継装置30eに接続するために用いられる中継装置接続情報を把握することができる。
【0113】
次に、送受信部51は、要求元端末10aaの端末ID「01aa」、セッションID「se1」が含まれる開始要求情報、中継装置30eに接続するために用いられる上記の中継装置接続情報、及び通話管理システム50のIPアドレスを宛先端末(10db)へ送信する(ステップS49)。これにより、宛先端末10dbの送受信部51は、上記開始要求情報を受信すると共に、通話データの中継に用いられる中継装置30eに接続するために用いられる中継装置接続情報、及び送信元である通話管理システム50のIPアドレス「1.1.1.2」を把握することになる。
【0114】
ここで、開始要求情報を通話端末10dbに送信する処理について、図23を用いてより詳細に説明する。図23は、開始要求情報を送信する処理を示したフロー図である。先ず、変換部62は、要求元端末10aaから送信された開始要求情報(ステップS42参照)を解析し、これが第1の通信プロトコル(XMPP)に従い作成されたものであるかを判断する(ステップS49−1)。開始要求情報が第1の通信プロトコルで作成されたものでない場合には(ステップS49−1のNO)、変換部62はこの開始要求情報を第1の通信プロトコルに従い変換する(ステップS49−2)。具体的には、開始要求情報が第2の通信プロトコル(BOSH)で作成されていた場合、この開始要求情報を解析し、この中からBOSHのメッセージ2500からXMPPのスタンザ2000を抽出することにより行われる。XMPPではサーバとクライアント間のセッションを常時接続することが前提となる。このため、本実施形態では、通話管理システム50にインストールされた通話管理用プログラム(サーバ)とゲートウェイとしての変換部62がXMPPによるセッションを常時接続する。一方で、通話管理システム50と、通話端末10との間でBOSHにより通信する場合には、変換部62とクライアント(通話端末10)との間のセッションを断続的に接続する。そして、変換部62は、クライアントから受信した情報をXMPPに従い変換することで、サーバとのセッション及びクライアントとのセッションを関連付ける。これにより、サーバとクライアントとの間は、見かけ上、常時接続した状態を維持することができる。
【0115】
続いて、通信プロトコル抽出部61は、宛先端末10dbの端末ID「01db」を検索キーとして、通信プロトコル管理DB5009の通信プロトコル管理テーブル(図16)を検索し、対応した通信プロトコル情報を抽出する(ステップS49−3)。変換部62は、抽出された通信プロトコル情報が第1の通信プロトコル(XMPP)を示すものであるかを判断する(ステップS49−4)。この通信プロトコル情報が第1の通信プロトコル(XMPP)を示すものである場合には(ステップS49−4のYES)、通信部51は第1の通信プロトコルに従い作成された開始要求情報を宛先端末10dbに送信する(ステップS49−6)。この場合、中継装置接続情報、要求元端末ID、通話管理システムのIPアドレス等を含むメッセージを上記の開始要求情報とともに送信しても良いし、開始要求情報とは別に第1の通信プロトコルに従い送信しても良い。
【0116】
一方、通信プロトコル情報が第1の通信プロトコルを示すものでない場合には(ステップS49−4のNO)、変換部62は抽出された通信プロトコル情報によって示される通信プロトコルに従い開始要求情報を変換する(ステップS49−5)。具体的には、XMPPに従い作成された開始要求情報を含むスタンザ2000を、BOSHのメッセージ2500に挿入することにより変換する。更に、通信部51は変換された開始要求情報を宛先端末10dbに送信する(ステップS49−6)。この場合、中継装置接続情報、要求元端末ID、通話管理システムのIPアドレス等を含むメッセージを上記の開始要求情報とともに送信しても良いし、開始要求情報とは別にこの通信プロトコルに従い送信しても良い。
【0117】
以後、要求元端末10aa及び宛先端末10dbの一方から送信されたメッセージを他方の通話端末に送信する場合、送信先の通話端末との通信で用いられる通信プロトコルが第1の通信プロトコルでない場合には、変換部62によって上記のように変換されたメッセージが送信される。
【0118】
続いて、通話管理システム50の通信部51は、通信ネットワーク2を介して中継装置30eへ、中継を開始する旨の要求が示された中継開始要求情報を送信する(ステップS50)。この中継開始要求情報には、中継される要求元端末10aa及び宛先端末10dbの各IPアドレス(「1.2.1.3」,「1.3.2.4」)が含まれている。これにより、中継装置30aは、通話端末(10aa,10db)の間で、低解像度、中解像度、及び高解像度の3つ画像データ、並びに、音声データを通話するためのセッション(画像・音声データ用セッションsed)を確立する(ステップS51)。これにより、通話端末(10aa,10db)は、テレビ会議を開始することができる。
【0119】
続いて、図4及び図24を用いて、要求元端末10aaと宛先端末10dbとの間で、テレビ会議の通話を行うために、画像データ及び音声データを送受信する処理を説明する。まず、要求元端末10aaは、画像・音声データ用セッションsedによって、撮像部14aで撮像された被写体の画像データ、及び音声入力部15aで入力された音声の音声データを、通信部11から通信ネットワーク2を介して中継装置30aへ送信する(ステップS81)。なお、本実施形態では、図8に示されている低解像度、中解像度、及び高解像度の3つから成る高画質の画像データ、並びに、音声データを送信している。これにより、中継装置30aでは、通信部31で上記3つの解像度の画像データ及び音声データを受信する。そして、データ品質確認部33が、宛先端末10dbのIPアドレス「1.3.2.4」を検索キーとして、変更品質管理DB3001(図7参照)を検索し、対応した中継する画像データの画質を抽出することで、中継する画像データの画像の品質を確認する(ステップS82)。本実施形態では、確認された画像データの画像の画質が「高画質」であり、通信部31で受信した画像データの画質と同じであるため、中継装置30aは、画像・音声データ用セッションsedによって、そのままの画質の画像データ、及びそのままの音質の音声データで、宛先端末10dbに送信する(ステップS83)。これにより、宛先端末10dbは、通信部11で画像データ及び音声データを受信し、画像表示制御部14bがディスプレイ120に上記画像データに基づく画像を表示させると共に、音声出力部15bが音声データに基づく音声を出力させることができる。
【0120】
次に、通話端末10dbの遅延検出部18は、通信部11で受信された画像データの受信の遅延時間を一定時間毎(例えば、1秒毎)に検出する(ステップS84)。なお、本実施形態では、遅延時間が200(ms)である場合について、以下説明を続ける。
【0121】
宛先端末10dbの通信部11は、管理情報用セッションseiによって、通信ネットワーク2を介して通話管理システム50へ、遅延時間「200(ms)」を示す遅延情報を送信する(ステップS85)。これにより、通話管理システム50は、遅延時間を把握すると共に、遅延情報の送信元である通話端末10dbのIPアドレス「1.3.2.4」を把握することができる。
【0122】
次に、通話管理システム50の遅延時間管理部60は、上記宛先端末10dbのIPアドレス「1.3.2.4」を検索キーとして、端末管理DB5003(図11参照)を検索することで、対応する端末ID「01db」を抽出し、更に、セッション管理DB5005(図13参照)のセッション管理テーブルにおいて、上記端末ID「01db」のレコードにおける遅延時間のフィールド部分に、上記遅延情報で示されている遅延時間「200(ms)」を記憶して管理する(ステップS86)。
【0123】
次に、品質決定部58は、上記遅延時間「200(ms)」を検索キーとして、品質管理DB5007(図14参照)を検索し、対応する画像データの画質「中画質」を抽出することで、画質を「中画質」に決定する(ステップS87)。
【0124】
次に、通信部51は、セッション管理DB(図13参照)のセッション管理テーブルにおいて、上記端末ID「01db」に関連付けられている中継装置ID「111a」を検索キーとして、中継装置管理DB5001(図9参照)を検索し、対応する中継装置30eのIPアドレス「1.1.1.3」を抽出する(ステップS88)。そして、通信部51は、管理情報用セッションseiによって、通信ネットワーク2を介して中継装置30aへ、上記ステップ87によって決定された画像データの画質「中画質」を示す品質情報を送信する(ステップS89)。この品質情報には、上記ステップS86において検索キーとして用いた宛先端末10dbのIPアドレス「1.3.2.4」が含まれている。これにより、中継装置30aでは、変更品質管理部34が、変更品質管理DB3001(図7参照)に、送信先の通話端末10(ここでは、宛先端末10db)のIPアドレス「1.3.2.4」、及び中継される画像データの画質「中画質」を関連付けて記憶して管理する(ステップS90)。
【0125】
次に、通話端末10aaは、引き続き上記ステップS81と同様に、画像・音声データ用セッションsedによって、中継装置30aへ、低画質、中画質、及び高画質の3つから成る高画質の画像データ、並びに、音声データを送信する(ステップS91)。これにより、中継装置30aでは、上記ステップS82と同様に、データ品質確認部33が、宛先端末10dbのIPアドレス「1.3.2.4」を検索キーとして、変更品質管理DB3001(図7参照)を検索し、対応した中継する画像データの画質「中画質」を抽出することで、中継される画像データの画像の品質を確認する(ステップS92)。本実施形態では、確認された画像データの画質が「中画質」であり、通信部31で受信された画像データの画質「高画質」よりも低くなるため、データ品質変更部35は、画像データの画質を「高画質」から「中画質」に抑制することで、画像データの画像の品質を変更する(ステップS93)。そして、通信部31は、画像・音声データ用セッションsedによって、通信ネットワーク2を介して通話端末10dbへ、上記画像データの画質が「中画質」に変更された画像データ、及び音声の音質が変更されていない音声データを送信する(ステップS94)。このように、画像データを受信する宛先端末10dbで、受信の遅延が生じた場合には、中継装置30aは画像の品質を変更し、テレビ会議に参加している人に違和感を与えないようにすることができる。
【0126】
<<実施形態の主な効果>>
【0127】
以上説明したように本実施形態によれば、通話端末10は、通話管理システム50が解釈することができる複数の通信プロトコルの中から選択される第1の通信プロトコルに従い作成されたメッセージによって通話管理システム50と通信できない場合に、これらの複数の通信プロトコルの中から第2の通信プロトコルを選択する。これにより、通話端末と呼制御システムとの間に特定の通信装置を設けなくても、通信プロトコルを変えて通話管理システム50との間の通信を開始することができるようになるという効果を奏する。
【0128】
また、本実施形態によれば、第1の通信プロトコルに従い作成されたメッセージが前記呼制御システムに送信できたときであって、通信部11が所定の時間前記メッセージに対する応答を受信しなかった場合、選択部21が第2の通信プロトコルを選択する。これにより、通話端末10は、通話管理システム50と通信できない状態を所定の時間に基づき検知することができるという効果を奏する。
【0129】
更に、本実施形態によれば、第1の通信プロトコルを、通話端末10と通話管理システム50との通信経路の間の所定の通信機器を使用するために、通話端末における所定の設定を必要とする通信プロトコルとし、第2の通信プロトコルが、所定の通信機器を使用するために、上記の所定の設定を必要としない通信プロトコルとする。これにより、通話端末10において所定の設定がされていないことにより第1の通信プロトコルに従い通話管理システム50と通信できない場合でも、第2の通信プロトコルを用いて通話管理システム50と通信できるという効果を奏する。
【0130】
また、本実施形態によれば、通話管理システム50は、要求元及び宛先のいずれか一方の通話端末から送信されたメッセージを他方の通話端末に送信する場合に、送信先の通話端末に対応した通信プロトコルを抽出し、抽出された通信プトコルに従いメッセージを変換する。これにより、要求元通話端末10Aの通信プロトコルと宛先通話端末10Bの通信プロトコルとが異なる場合でも、メッセージの送信ができるという効果を奏する。
【0131】
<<実施形態の補足>>
通話システム1は、携帯電話機の通信システムであってもよい。この場合、例えば、通話端末10は携帯電話機に相当する。この場合の宛先リストの表示例は、図26に示されている。即ち、携帯電話機としての通話端末10は、携帯電話機の本体10−1、この本体10−1に設けられたメニュー画面表示ボタン10−2、本体10−1に設けられた表示部10−3、本体10―1の下部に設けられたマイク10−4、本体10−1に設けられたスピーカ10−5を備えている。このうち、「メニュー画面表示ボタン」10−2は、各種アプリケーションを示すアイコンが表示されているメニュー画面を表示させるためのボタンである。表示部10−3は、タッチパネルになっており、利用者が宛先名を選択することで、相手の携帯電話機と通話を行うことができる。
【符号の説明】
【0132】
1 通話システム
10 通話端末
11 通信部
12 操作入力受付部
13 ログイン要求部13
14 撮像部
15a 音声入力部
15b 音声出力部
16 表示制御部
18 遅延検出部
19 記憶・読出処理部
20 宛先リスト作成部
21 選択部
22 メッセージ作成部
31 通信部
32 状態検知部
33 データ品質確認部
34 変更品質管理部
35 データ品質変更部
50 通話管理システム(呼制御システムの一例)
51 通信部
52 端末認証部
53 状態管理部
54 端末抽出部
55 端末状態取得部
56 中継装置割当部
56a セッションID生成部
56b 中継装置抽出部
56c 割当部
57 セッション管理部
58 品質決定部
60 遅延時間管理部
61 通信プトロコル抽出部
62 変換部
1000 不揮発性記憶部
1001 通信プロトコル優先度管理DB
1002 揮発性記憶部(記憶手段の一例)
2000 スタンザ
2500 メッセージ
3000 不揮発性記憶部
3001 変更品質管理DB
5000 不揮発性記憶部
5001 中継装置管理DB
5002 端末認証管理DB
5003 端末管理DB
5004 宛先リスト管理DB
5005 セッション管理DB
5007 品質管理DB
5008 中継装置割当管理DB
5009 通信プロトコル管理DB
【先行技術文献】
【特許文献】
【0133】
【特許文献1】米国特許第6633985号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話端末間の呼を確立するための制御を行う呼制御システムと、前記呼の確立に関する情報を示す呼情報を含むメッセージを通信し、前記呼が確立されると、他の通話端末と音声データ及び画像データの少なくとも一方を含む通話データを通信する通信部を有する通話端末であって、
前記呼制御システムが解釈することができる複数の通信プロトコルの中から所定の通信プロトコルを選択する選択部と、
前記選択部によって選択された所定の通信プロトコルに従い前記呼制御システムに送信されるメッセージを作成するメッセージ作成部と、を有し、
前記通信部が第1の通信プロトコルに従い作成されたメッセージによって前記呼制御システムと通信できない場合に、前記選択部が、前記複数の通信プロトコルの中から第2の通信プロトコルを選択することを特徴とする通話端末。
【請求項2】
前記第1の通信プロトコルに従い作成されたメッセージを前記呼制御システムに送信できたときであって、前記通信部が前記メッセージを送信してから所定の時間、前記メッセージに対する応答を受信しなかった場合、
前記選択部が、前記第2の通信プロトコルを選択することを特徴とする請求項1に記載の通話端末。
【請求項3】
前記第1の通信プロトコルが、当該通話端末と前記呼制御システムとの通信経路の間の所定の通信機器を使用するために、当該通話端末における所定の設定を必要とする通信プロトコルであり、
前記第2の通信プロトコルが、前記所定の通信機器を使用するために、前記所定の設定を必要としない通信プロトコルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の通話端末。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の通話端末を複数有し、
通話を開始する通話端末と呼情報を含むメッセージを通信し、前記通話を開始する通話端末間の呼を確立するための制御を行う呼制御システムを有することを特徴とする通話システム。
【請求項5】
前記呼制御システムが、
通話端末を識別するための通話端末識別情報と、前記通話端末との通信で用いられる通信プロトコルを示す通信プロトコル情報とを対応付けて管理する通信プロトコル管理部と、
発呼側及び着呼側のいずれか一方の通話端末から送信されたメッセージを他方の通話端末に送信する場合に、送信先の通話端末に対応した通信プロトコル情報を抽出する通信プロトコル抽出部と、
抽出された前記通信プトコル情報によって示される通信プロトコルに従い前記メッセージを変換する変換部と、
を有することを特徴とする請求項4に記載の通話システム。
【請求項6】
通話端末間の呼を確立するための制御を行う呼制御システムと、前記呼の確立に関する情報を示す呼情報を含むメッセージを通信し、前記呼が確立されると他の通話端末と音声データ及び画像データの少なくとも一方を含む通話データを通信する通信部を有する通話端末に用いられる通話端末用プログラムであって、
前記呼制御システムが解釈することができる複数の通信プロトコルの中から所定の通信プロトコルを選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択された通信プロトコルに従い前記呼制御システムに送信されるメッセージを作成するメッセージ作成ステップと、を通話端末に実行させ、
前記通信部が第1の通信プロトコルに従い作成されたメッセージによって前記呼制御システムと通信できない場合に、前記選択ステップで、前記複数の通信プロトコルの中から第2の通信プロトコルを選択することを特徴とする通話端末用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−80398(P2012−80398A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224836(P2010−224836)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】