説明

速崩壊型製剤

本発明は、水不溶性であるかまたは水難溶性の神経薬を含有する速崩壊型経口医薬剤形に関し、および、患者の口腔内で溶解させることを目的とした速崩壊型製剤の調製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口剤形の分野に関し、特に口腔の唾液中で迅速に崩壊して、飲料水の有無に関わらず容易に嚥下されることが可能な速崩壊型経口医薬剤形の分野に関する。本出願で使用されている「速崩壊型」という用語は、医薬剤形が水性媒体中で5分以内に、好ましくは2分未満で、最も好ましくは1分未満で溶解することを意味する。本発明の実施形態では、薬剤または剤形中の有効薬剤成分は、水難溶性かまたは水不溶性の、神経遮断薬または精神薬理作用薬などの神経薬である。
【背景技術】
【0002】
速崩壊型経口医薬剤形は、当技術分野において知られている。いくつかの速崩壊型医薬剤形は、米国特許第4,371,516号、5,178,878号、5,298,261号、5,464,632号、5,587,180号、5,720,974号、5,807,576号、5,866,163号、5,869,098号、6,024,981号、6,048,541号、6,149,938号、および6,316,029号に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。従来技術の速崩壊型製剤は、凍結乾燥や発泡技術、または発泡剤や高度に微粉化した薬剤などの特別な賦形剤といった複雑な加工技術をしばしば必要とした。これら従来技術の速崩壊錠は、一般に全重量が500mg以上の大型の錠剤であるため、大きさが原因となりある程度の口内の不快感をもたらすことが多い。
【0003】
上記従来技術の製剤のいくつかの中の1つは、Wehlingらによる米国特許第5,178,878号に記載されており、迅速な口腔内崩壊を得るために錠剤基質に組み込まれた発泡剤と併せて、余分な顆粒の微粒子活性を必要とする速崩壊型経口製剤が開示されている。その実施例では、錠剤の全重量は500mgを超える結果となっている。Khankariらによる米国特許第6,024,981号には、最低でも滑沢剤および間接圧縮型充填剤からなる基質を必要とする速崩壊型経口錠が開示されており、参考文献として開示されている通り、少なくとも平均粒径の約80%が100ミクロンを超える市販のマンニトールなどの直接圧縮型充填剤に比べ、優位性が与えられている。その実施例では、錠剤の全重量は500mgを優に超える結果となっている。
【0004】
水不溶性であるかまたは水難溶性の神経薬を含有する市販の速崩壊錠のなかには、薬剤のオランザピン、保存料のメチルパラベンナトリウムおよびプロピルパラビンナトリウムを含有する速崩壊錠であるZYPREXA(登録商標)ZYDIS(登録商標)、薬剤のリスペリドンおよびキャリアレジンのAMBERLITE(登録商標)を含有する速崩壊錠であるRISPERDAL(登録商標)M−TAB、薬剤のミルタザピンおよび発泡剤の重炭酸ナトリウムを含有する速崩壊錠であるREMERON SOLTAB(登録商標)、カルビドパおよびレボドパの治療的併用薬を含有する速崩壊型経口錠であるPARACOPA(登録商標)がある。市販の速崩壊型経口製剤の別の例としては、薬剤のロラタジンを含有する、よく知られたCLARITIN(登録商標)REDITABSが挙げられる。
【特許文献1】米国特許第4,371,516号
【特許文献2】米国特許第5,178,878号
【特許文献3】米国特許第5,298,261号
【特許文献4】米国特許第5,464,632号
【特許文献5】米国特許第5,587,180号
【特許文献6】米国特許第5,720,974号
【特許文献7】米国特許第5,807,576号
【特許文献8】米国特許第5,866,163号
【特許文献9】米国特許第5,869,098号
【特許文献10】米国特許第6,024,981号
【特許文献11】米国特許第6,048,541号
【特許文献12】米国特許第6,149,938号
【特許文献13】米国特許第6,316,029号
【非特許文献1】Reminton、「The Science and Practice of Pharmacy 20th ed.」
【特許文献14】米国特許第6,027,746号
【非特許文献2】「Handbook of Pharmaceutical Excipients」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、経済的に調製することのできる、安全で有効な速崩壊型経口医薬剤形を提供することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、重量が500mg未満であり、好ましくは400mg未満であり、最も好ましくは300mg未満である、速崩壊型経口医薬剤形を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、水難溶性かまたは水不溶性である有効薬剤成分に対し、速崩壊型経口医薬剤形を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、神経遮断薬、向精神薬、および抗うつ薬などの神経薬を含有する速崩壊型経口投与剤型を提供することである。
【0009】
本発明の目的はまた、凍結乾燥などの特別な製造法、または添加レジン、保存料、もしくは発泡剤などの特別な賦形剤を必要としない直接圧縮法により製造できる速崩壊型経口医薬剤形を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述およびその他の目的は、本発明により達成される。本発明は、水不溶性であるかまたは水難溶性の薬剤有効成分に対する、速崩壊型経口医薬固体剤形である。有効薬剤成分には、患者に対する治療効果を有する、1種または複数種の化学化合物(すなわち薬剤)がある。速崩壊型経口医薬固体剤形は、下記にさらに記載されている通り、患者の口腔内で唾液および他の何らかの液体と接触すると溶解する固形物として、当技術分野で典型的には定義することができる。水不溶性であるかまたは水難溶性の好ましい薬剤成分のいくつかは、神経遮断薬と、抗精神病薬や抗うつ薬などの向精神薬として知られる精神薬理作用薬の群とを含む神経薬であり、従来の製薬打錠法を用いて錠剤に圧縮し、錠剤の全重量が500mg未満であり、好ましくは400mg未満であり、最も好ましくは300mg未満である錠剤を生産することができる。
【0011】
水不溶性であるかまたは水難溶性の薬剤有効成分は、充填剤、好ましくは直接圧縮型充填剤、結合剤、風味増強剤、崩壊剤、および安定剤など従来の製薬賦形剤と併用して、従来の製薬打錠剤法を用いて錠剤に圧縮する。有効成分は、ポリマーの存在下で粒状化され、顆粒の全重量に対するポリマーの重量パーセントは30未満であることが好ましい。より好ましい実施形態では、ポリマーは、当技術分野でよく知られた水溶性、または水分散性ポリマーのいずれか1つから選択される。本発明の最終錠剤の全重量は、500mg未満であり、好ましくは400mg未満であり、最も好ましくは300mg未満である。
【0012】
本発明の速崩壊型経口医薬剤形は、溶解剤や流動促進剤、滑沢剤、色素、および顔料など従来の加工助剤を含有してもよい。これら従来の加工助剤は当業者によく知られており、医薬剤形の最終的な性質に著しい影響を与えない量で使用されている。
【0013】
しかし、本発明の速崩壊型経口医薬剤形は、当技術分野で知られた従来の加工法のいずれか1つにより調製することができるが、好ましい方法は、有効成分を用いた造粒と、その後の前記顆粒の打錠とを含む。最も好ましい方法は、a)薬剤、結合剤、好ましくは水溶性の高分子結合剤、直接圧縮型充填剤、風味増強剤、崩壊剤、および場合により安定剤の湿式造粒を行うステップと、b)ステップa)の顆粒を追加の充填剤、風味増強剤、崩壊剤、および場合により安定剤と混合するステップと、c)ステップb)の混合物を錠剤に圧縮するステップとを含む。好ましくは、本発明で用いられる結合剤、充填剤、および崩壊剤はすべて、水溶性であり、水不溶性の原料の使用に伴うことがある不快なざらつき感を減らすためである。また、本発明でマンニトールを使用する場合、マンニトール量の合計は、錠剤の全重量の50重量パーセント未満であることが好ましく、顆粒にマンニトールを使用しないことが最も好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
好ましい実施形態では、本発明の速崩壊型経口固形医薬剤形は以下の成分範囲を含む。
【0015】
成分 好ましい 最も好ましい
有効成分 0.1〜20% 0.25〜10%
充填剤 40〜95% 60〜90%
結合剤 0.5〜20% 1.0〜10%
風味増強剤 0.5〜15% 1.0〜10%
崩壊剤 0.5〜20% 1.0〜15%
安定剤 0〜15% 0.5〜10%
【0016】
上記の表のパーセントはすべて、最終医薬剤形の全重量に対するものである。
【0017】
別の実施形態では、本発明は顆粒と打錠用賦形剤との混合物が含まれる。顆粒には以下の成分が含まれる。
【0018】
成分 好ましい 最も好ましい
有効成分 1.0〜45% 2.5〜35%
充填剤 30〜80% 40〜75%
結合剤 0.1〜30% 0.5〜25%
風味増強剤 0.5〜20% 1.0〜15%
崩壊剤 0.1〜15% 0.5〜10%
安定剤 0〜25% 1.0〜15%
【0019】
上記の表のパーセントはすべて、顆粒の全重量に対するものである。
【0020】
打錠用賦形剤には以下の成分が含まれる。
【0021】
成分 好ましい 最も好ましい
充填剤 50〜98% 65〜95%
結合剤 0.1〜20% 0.5〜15%
風味増強剤 0.5〜15% 1.0〜10%
崩壊剤 0.5〜25% 1.0〜20%
安定剤 0〜15% 0.5〜10%
滑沢剤/流動促進剤 0.25〜10% 0.5〜5%
【0022】
上記の表のパーセントは、打錠用賦形剤の全重量に対するものである。
【0023】
本明細書で使用されている「難溶性」という用語は、薬剤1を溶解させるために100〜1000倍の分量の水が必要であることを意味し、「不溶性」という用語は、薬剤1以下を溶解させるために1000倍を超える分量の水が必要であることを意味する。
【0024】
好ましくは、水不溶性であるかまたは難溶性の薬剤は、神経遮断薬と抗精神病薬や抗うつ薬などの精神薬理作用薬とを含む神経薬剤である。いくつかの一般的な精神薬理作用薬は、Reminton、「The Science and Practice of Pharmacy 20th ed.」に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。向精神薬は、抗不安薬、抗うつ薬、抗そう薬、抗パニック薬、抗精神病薬、もしくはフェノチアジン系薬剤、またはその組合せを含むと考えられる。本発明に有用な抗精神病薬の例のなかには、フルフェナジン、デカン酸塩、ハロペリドール、琥珀酸ロキサピン、チオチキセン、クロラザピン、オランザピン、およびリスペリドンがある。本発明に有用な抗うつ薬の例のなかには、アモキサピン、マレイン酸フルボキサミン、イミプラミンパモエート、ミルタザピン、塩酸トラゾドン、およびマレイン酸トリミプラミンがある。本発明に好適な神経遮断薬の例には、カルビドパおよびレボドパなどのデアカルボキシラーゼ阻害剤のほか、エンタカポンなどのカテコールメチルトランスフェラーゼ阻害剤が挙げられる。さらに、予想される通り、本発明には、製剤的に許容できるすべての塩類、異性体、代謝産物、および前述の物質の多形相が水難溶性または不溶性であるならば、それらが含まれるであろう。
【0025】
製剤に用いる充填剤は、任意の薬剤として許容される充填剤または希釈剤であってよい。好ましい充填剤のいくつかは、乳糖、スターチ、デキストロース、スクロース、フルクトース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、カオリン、微結晶セルロース、粉末セルロース、または前述のいずれかの組合せである。本発明の好ましい実施形態では、患者の口腔内で錠剤が溶解する際の不快なざらつき感を減らすため、充填剤は水溶性の充填剤の混合物からなる。最も好ましくは、充填剤は、菓子用砂糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、フルクトース、マルトース、マンニトール、ポリデキストロース、ソルビトール、または他の糖類および糖誘導体など直接圧縮用の糖となろう。
【0026】
結合剤は、任意の薬剤として許容される結合剤であってよい。結合剤は、好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、および前述のいずれかの組合せからなる群の、水溶性のポリマーである。ポリビニルピロリドンは最も好ましい結合剤である。
【0027】
本発明に用いる崩壊剤は、コーンスターチ、クロスカラメロースナトリウム、クロスポビドン(ポリプラスドン XL−10)、グリコール酸デンプンナトリウム(EXPLOTABまたはPRIMOJEL)、または前述のいずれかの組合せからなる群から選択することができる。最も好ましい崩壊剤は、クロスポビドンまたはグリコール酸デンプンナトリウムである。
【0028】
着香剤は、好ましくは風味増強剤であり、アスパルテーム、サッカリン、グリチルリジン酸ジカリウム、ステビア、タウマチンなどの人工甘味料や、クエン酸、ペパーミントオイル、ウィンターグリーンオイル、メントール、レモン、ライム、オレンジ、グレープ、チェリー、およびバニラエキスなどの香味剤を含めることができる。別の風味増強剤は、米国特許第6,027,746号に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の好ましい実施形態では、着香剤は好ましくは風味増強剤であり、アスパルテームやペパーミントオイル、またはグレープエキスなどの人工甘味料および香味剤の混合物を含んでもよい。
【0029】
本発明に用いられる安定剤は、当業界に一般に知られているいずれかの安定剤でよく、その選択は医薬剤形に使用される薬剤の性質によるであろう。例えば、薬剤が塩基性環境に感受性を示すならば、クエン酸、フマル酸、または酒石酸などの酸性の安定剤を用いる必要がある。同様に、薬剤が酸性環境に感受性を示すならば、リン酸二水素ナトリウム、炭酸カルシウムもしくは炭酸マグネシウム、アルギニン、リジン、またはメグルミンなどの塩基性の安定剤を用いる必要がある。安定剤候補リストは、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」および、米国特許第6,316,029号で見ることができ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
本発明はまた、錠剤滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム)、流動促進剤(コロイド状二酸化ケイ素)、および湿潤剤または溶解剤(ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート)などの従来の加工助剤を含めてもよい。加工助剤は一般に、少量(製剤の全重量の5重量パーセント未満)を医薬剤形に添加するものであり、医薬剤形の最終的な性質に著しい影響を与えるものではない。前述の賦形剤のいくつかは、製剤中で2つ以上の機能を果たすことができる。例えば、グリセルベヘナートやフマル酸ステアリルナトリウムは、滑沢剤および安定剤の両方の機能を果たすことができる。多機能性賦形剤は、当業者に知られている。
【0031】
以下の実施例は本発明を例示したものであるが、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0032】
リスペリドンを含有する抗精神病薬錠は、以下の手順により調製する。
ステージI:造粒
【0033】
エチルアルコール SDA 3a 190プルーフ(エタノール)14.96kgを機械的撹拌機を備えたステンレススチール製容器に入れ、リスペリドンの顆粒16kgを調製した。ペパーミントオイル0.159kgをエチルアルコールに添加し、約5分間撹拌した。次に、精製水2.672kgをエチルアルコールおよびペパーミントオイルに添加した後、L−酒石酸NF1.618kgを添加した。混合物をさらに10分間撹拌した。次に、リスペリドン0.8006kgを撹拌しながら混合物に添加し、さらに10分間撹拌した。次に、ポビドンUSP(コリドン K−30)2.418kgを混合物に添加し、ポビドンが完全に溶解するまで約30分間撹拌する。
【0034】
アスパルテーム1.618kg、コロイド状二酸化ケイ素0.098kg、NF(CAB−O−SIL M−5)、クロスポビドン0.338kg、NF(ポリプラスドン XL−10)、デキストレートNF水和物(EMDEX)11.597kgをGPCG 15 Glatt流動層コーターに入れた。次に、上記の調製したリスペリドン混合物を、以下の目標パラメータを用いて流動層コーターの内容物に噴霧した。
スプレー位置:トップスプレー
挿入径: 45L
フィルター: 2.5ミクロン
ふるい径: 200メッシュ
ノズルチップ径: 1.5mm
フィルターバッグ振とう周期:30秒ごとに3秒
吸気量: 400SCFM(200〜600SCFM)
噴霧圧: 3.0バール(2.0〜4.0バール)
噴霧速度: 100〜400mL/分
製品温度: 35℃(25℃〜55℃)
チューブ径: 24mm
【0035】
リスペリドン混合物が一旦消費されると、その結果得られた顆粒を乾燥減量が5%未満になるまで流動層で乾燥した。乾燥顆粒を流動層から除去し、#1143ふるいおよびスペーサを備えたコーミルを用いてふるいにかけた。次に、ふるいにかけた顆粒を2立方フィートのV−ブレンダーに入れ、最高速で約7分間混合した。
ステージII:打錠
【0036】
1錠あたりの含有量が0.5mg、1mg、および2mgのリスペリドン錠は、以下の通りに調製した。
【0037】
A)0.5mg錠:
錠剤にする原料18.00kgは、以下の通りに調製した。
【0038】
香味混合物は、デキストレート約10g、NF水和物(EMDEX)をプラスチックバッグに入れて調製し、続いてペパーミントオイル42gを入れ、バッグの内容物を約5分間混合した後、30メッシュのふるい(スペーサなし)を備えたコーミルを用いてふるいにかけた。ふるいにかけた原料に、デキストレート約50g、NF水和物(EMDEX)、およびFD&C赤#40HTアルミニウムレーキ27gを添加し、約5分間混合した。混合後、コロイド状二酸化ケイ素113g、NF(CAB−O−SIL M−5)を、着色した香味混合物に添加し、さらに2分間混合した。
【0039】
以下の原料は、30メッシュのステンレススチール製ふるい(スペーサなし)を備えたコーミルを用いてふるいにかけた。
マンニトール7,752.0g(PEARLITOL SD−100)
上記の調製した香味混合物
L−酒石酸600g
アスパルテーム600g、NF
ポビドンUSP900g(コリドン K−30)
クロスポビドン1350g、NF(ポリプラスドン XL−10)
デキストレート4,922g、NF水和物(EMDEX)
【0040】
上記のふるいにかけた原料は、ステージIで調製したリスペリドン顆粒1,545gと共に2立方フィートの混合機に入れた。リスペリドン顆粒量は、顆粒の実際の測定値97.1%をもとに調整した。したがって、マンニトール量は、リスペリドン顆粒の実重量をもとに以下の式を用いて調整した:9.297kg−(リスペリドン顆粒の実重量)=マンニトール量。原料を約20分間混合した後ふるいにかけ、さらに20分間混合した後、ふるいにかけたステアリン酸マグネシウム90g、NFを混合機に添加し、さらに5分間混合した。
【0041】
次に、最終混合物は、HealthStar高速圧縮機を用いて、以下の条件で約150,000錠に圧縮する。
パンチ: 0.3125丸型
個々の重量:120mg(110.4mg〜129.6mg)
硬度: 1.7kp(0.7〜2.7kp)
厚さ: 0.115〜0.135インチ
【0042】
得られた錠剤は、ディスクと1000ml浅型(low form)ビーカーを用いないUSP25に記載の手順<701>と、37±2℃の精製水を用いて崩壊度を試験した。第1回試験では、6つの錠剤すべてが17秒以内で崩壊し、第2回試験では、6つの錠剤すべてが15秒以内で崩壊し、第3回試験では、6つの錠剤すべてが16秒以内で崩壊した。
【0043】
B)1.0mg錠
1.0mg錠は、調製した香味混合物に色素を添加しないことを除いて、上記に記載のステージII、パートAの手順に従って調製した。原料は以下の組成物であった。
リスペリドン顆粒 3.090kg
酒石酸、NF 0.450kg
ポビドンUSP(コリドン K−30) 0.675kg
アスパルテーム、NF 0.450kg
ペパーミントオイル、NF 0.030kg
クロスポビドン、NF(ポリプラスドン XL−10) 1.320kg
マンニトール(PEARLITOL SD−100) 7.659kg
デキストレート、NF水和物(Emdex) 4.131kg
コロイド状二酸化ケイ素(Cab−O−Sil M−5) 0.105kg
ステアリン酸マグネシウム、NF 0.090kg
この量は香味混合物の作成に用いる60gを含む。
【0044】
マンニトール量は、以下の式に使用された実際の測定顆粒量に従って調整した:
10.749kg−(リスペリドン顆粒の実重量)。
【0045】
結果として得られた錠剤は、上記に記載の手順により崩壊度を測定したところ、以下の結果となった。第1回試験では、6つの錠剤すべてが49秒以内に崩壊し、第2回試験では、6つの錠剤すべてが27秒以内で崩壊し、第3回試験では、6つの錠剤すべてが33秒以内で崩壊した。
【0046】
c)2.0mg錠
2.0mg錠は、上記に記載のステージII、パートAの手順に従って調製した。原料は以下の組成物であった。
リスペリドン顆粒 6.179kg
酒石酸、NF 0.150kg
ポビドンUSP(コリドン K−30) 0.225kg
アスパルテーム、NF 0.150kg
ペパーミントオイル、NF 0.006kg
クロスポビドン、NF(ポリプラスドン XL−10) 1.260kg
マンニトール(PEARLITOL SD−100) 7.393kg
デキストレート、NF水和物(Emdex) 2.430kg
コロイド状二酸化ケイ素(Cab−O−Sil M−5) 0.090kg
ステアリン酸マグネシウム、NF 0.090kg
D&C黄#10HTアルミニウムレーキ 0.027kg
この量は香味混合物の作成に用いる60gを含む。
【0047】
マンニトール量は、以下の式により判定した、実際の測定顆粒量に従って調整した:
13.572kg−(リスペリドン顆粒の実重量)。
【0048】
結果として得られた錠剤は、上記に記載の手順により崩壊度を測定したところ、以下の結果となった。第1回試験では、6つの錠剤すべてが45秒以内に崩壊し、第2回試験では、6つの錠剤すべてが42秒以内で崩壊し、第3回試験では、6つの錠剤すべてが39秒以内で崩壊した。
【実施例2】
【0049】
ミルタザピン15mgを含有する抗うつ錠剤は、まず薬剤造粒を行い、次に顆粒を打錠用賦形剤と混合して、混合物を錠剤に圧縮することにより調製する。
【0050】
造粒は以下の組成物を有するものとする。
ミルタザピン 15.0mg/単位
デキストレート、NF水和物(EMDEX) 33.0mg/単位
クロスカラメロースナトリウム、NF(Ac−Di−Sol)0.5mg/単位
アスパルテーム、NF 1.0mg/単位
ポビドンUSP(コリドン K−30) 0.375mg/単位
コロイド状二酸化ケイ素、NF(Cab−O−Sil) 0.125mg/単位
【0051】
顆粒は精製水でポビドンを溶解させて調製する。ミルタザピン、デキストレート、クロスカラメロースナトリウム、およびアスパルテームをふるいにかけ、次に高剪断顆粒機に入れ、ポビドン溶液で粒状にする。顆粒を乾燥機で乾燥し、次に圧搾機に通してコロイド状二酸化ケイ素と混合する。乾燥顆粒をコロイド状二酸化ケイ素と混合した後、次に混合機で以下の賦形剤と混合する。
PHARMBURSTB1 241mg/単位
クロスカラメロースナトリウム、NF(Ac−Di−Sol) 3.5mg/単位
コロイド状二酸化ケイ素、NF(Cab−O−Sil) 1.3mg/単位
人工グレープフレーバー 6.2mg/単位
ステアリン酸マグネシウム、NF 8.0mg/単位
PHARMBURSTはSPI Pharma,Inc.の市販製品であり、スターチおよびポリオール類の特許ブレンドである。
【0052】
賦形剤を顆粒と一旦混合し、高速プレス機を用いて錠剤に圧縮する。錠剤の目標硬度は2〜5kpであり、好ましい硬度は3.5kpである。
【実施例3】
【0053】
ミルタザピン15mgを含有する抗うつ錠剤は、まず薬剤造粒を行い、次に顆粒を打錠用賦形剤と混合して、混合物を錠剤に圧縮することにより調製する。
【0054】
造粒は以下の組成物を有するものとする。
ミルタザピン 48%
デキストレート、NF水和物(EMDEX) 48%
クロスカラメロースナトリウム、NF(Ac−Di−Sol) 1%
アスパルテーム、NF 2.0%
ポビドンUSP(コリドン K−30) 0.75%
コロイド状二酸化ケイ素、NF(Cab−O−Sil) 0.25%
【0055】
顆粒は精製水でポビドンを溶解させて調製する。ミルタザピン、デキストレート、クロスカラメロースナトリウム、およびアスパルテームをふるいにかけ、次に高剪断顆粒機に入れ、ポビドン溶液で粒状にする。顆粒を乾燥機で乾燥し、次に圧搾機に通してコロイド状二酸化ケイ素と混合する。乾燥顆粒をコロイド状二酸化ケイ素と混合した後、次に混合機で以下の賦形剤と混合する。
ミルタザピン顆粒 10.08%
PHARMBURSTB1 84.03%
クロスカラメロースナトリウム、NF(Ac−Di−Sol) 1.0%
コロイド状二酸化ケイ素、NF(Cab−O−Sil) 0.39%
人工グレープフレーバー 2.0%
ステアリン酸マグネシウム、NF 2.5%
【0056】
賦形剤を顆粒と一旦混合し、高速プレス機を用いて錠剤に圧縮する。錠剤の目標硬度は2〜5kpであり、好ましい硬度は3.5kpである。
【0057】
本発明の特定の好ましい実施形態および代替の実施形態を、本発明を開示する目的でこれまで記載してきたが、開示された実施形態に対する変更を当業者が思いつく可能性がある。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明のすべての実施形態、および本発明の趣旨や範囲から逸脱しない様々なその変更を網羅することを意図するものである。
【実施例4】
【0058】
オランザピン5mg、7.5mg、10mg、15mgおよび20mgを含有する錠剤は、上記の実施例1または2に概説した手順により調製することができる。
【実施例5】
【0059】
カルビドパ10mgおよびレボドパ100mgを含有する錠剤は、上記の実施例1または2に概説した手順により調製することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤の全重量が500mg未満である、水不溶性または水難溶性の神経薬を含む速崩壊型経口医薬剤形。
【請求項2】
錠剤の全重量が400mg未満である、請求項1に記載の速崩壊型医薬剤形。
【請求項3】
錠剤の全重量が300mg未満である、請求項1に記載の速崩壊型医薬剤形。
【請求項4】
前記神経薬が抗精神病薬である、請求項1に記載の速崩壊型医薬剤形。
【請求項5】
前記抗精神病薬がオランザピンである、請求項4に記載の速崩壊型医薬剤形。
【請求項6】
前記抗精神病薬がリスペリドンである、請求項4に記載の速崩壊型医薬剤形。
【請求項7】
前記神経薬が抗うつ薬である、請求項1に記載の速崩壊型医薬剤形。
【請求項8】
前記抗うつ薬がミルタザピンである、請求項7に記載の速崩壊型医薬剤形。
【請求項9】
充填剤、結合剤、風味増強剤、崩壊剤、および場合により安定剤をさらに含む、請求項1に記載の速崩壊型医薬剤形。
【請求項10】
(a)顆粒と(b)打錠用賦形剤とを含み、前記顆粒が精神薬理作用薬、充填剤、結合剤、風味増強剤、崩壊剤、および場合により安定剤を含み、(b)の打錠用賦形剤が充填剤、崩壊剤、および風味増強剤を含む、請求項1に記載の速崩壊型医薬剤形。
【請求項11】
(a)水不溶性または水難溶性の神経薬、充填剤、結合剤、崩壊剤、風味増強剤、および場合により安定剤を含む顆粒を調製するステップと、(b)ステップ(a)で調製した前記顆粒を打錠用賦形剤と混合するステップと、(c)ステップ(b)の前記混合物を錠剤に圧縮するステップとを含む速崩壊型医薬剤形の調製方法。
【請求項12】
前記打錠用賦形剤が、充填剤、風味増強剤、崩壊剤、および安定剤からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記神経薬が抗精神病薬である請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記抗精神病薬がオランザピンである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記抗精神病薬がリスペリドンである請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記神経薬が抗うつ薬である請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記抗うつ薬がミルタザピンである請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2007−507548(P2007−507548A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534282(P2006−534282)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/032902
【国際公開番号】WO2005/034921
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(506107254)アンドルックス ファーマスーティカルズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (2)
【Fターム(参考)】