説明

連包タイプ回転式カッター装置におけるカット位置調整機構

【課題】一つの回転駆動機構並びに一つの回転制御機構を用いて、直線カットを形成する手段とミシン目カットを形成する手段の二つのカット手段を動かすことができるカッター装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るロータリー式自動包装機のカッター装置は、ミシン目カットを形成する手段(ミシン目カッター機構21)と直線カットを形成する手段(直線カッター機構22)とを隣接して並列設置し、一つの回転駆動機構であるサーボモータ60を用いて二つのカット手段である直線カッター機構22とミシン目カッター機構21を動かすと共にこのミシン目カット手段と直線カット手段の間に回転位相を調節する遊星ギヤ機構64を設けてカット位置調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルムの包装袋に粉末等の内容物を充填して個別包装体を製造するロータリー式自動包装機のカッター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺の包装フィルム(樹脂フィルム)を使用して、粉末等の内容物を多数の包装袋に区分して包装する自動包装機の一つにロータリー式自動包装機がある。このロータリー式自動包装機では、原反ロールから巻き戻した長尺の包装フィルムを水平方向に移動させながらフィルムガイドで折りたたみ、ターンテーブルへと導入する。このターンテーブル上の周囲に配置した多数のシーリングバー(サイドシール装置)は、この導入された包装フィルムに対して、一定間隔の幅シール(サイドシール)を形成しながら保持することにより、折りたたんだ包装フィルムによる包装袋を形成している。
【0003】
この包装袋内に旋回する多数の充填シュートを挿入して所定量の内容物を充填し、充填後にはこのシュートを抜き、シーリングバーを外す。内容物が充填された包装袋は、ガイドを通って、予熱シールバーとトップシールロールとからなるトップシール装置に移送される。トップシール装置に移送された包装袋の上縁部は、予熱シールバーによって暖められ、直ちにトップシールロールによって熱シール(トップシール)されて連続且つ密封された包装体が出来上がることになる。
【0004】
その後、カッター装置によってこの連続した包装体の幅シール(サイドシール)中央付近が切断されて所要の三方シールされた個別包装体形態となる。このような従来のロータリー式自動包装機は、例えば、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2000−355303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来のロータリー式自動包装機のカッター装置は、連続した包装体の間のサイドシール中央付近に対して一対の円筒形状の複数カッター受刃と複数カッター上刃を互いに回転駆動させながら当接するように制御しているが、連包タイプの包装体を作る場合は、この円筒形状の直線複数カッター受刃と直線複数カッター上刃が当接する直線カット手段と、同じく円筒形状のミシン目複数カッター受刃とミシン目複数カッター上刃が当接するミシン目カット手段をそれぞれ個別に設置し、でき上がった連続した包装体の幅シール(サイドシール)中央付近に対して所望の切れ込み状態になるように直線カット手段とミシン目カット手段を予め決められた順番に当接駆動させるように制御していた。
【0006】
即ち、でき上がった連続した包装体に対して、直線カット手段とミシン目カット手段を交互に当接駆動させると2連包の包装体形態となり、また、でき上がった連続した包装体に対して、直線カット手段を1回当接駆動させた後、ミシン目カット手段を連続2回当接駆動させ、その後に再び直線カット手段を1回当接駆動させると3連包の包装体形態となる。
【0007】
このような従来のロータリー式自動包装機のカッター装置は、連続した包装袋間のサイドシール中央付近に対して、それぞれ対応している直線カット手段とミシン目カット手段を予め設定された順番に当接するように駆動制御し、この結果任意の連包形態の包装体を作り上げるための所望の切れ込み動作が実施されていた。
【0008】
そして、上記異なるカット手段を搭載したロータリー式自動包装機のカッター装置においては、それぞれのカット手段毎にサーボモータ等で構成されたカッター駆動機構及びこのカッター駆動機構におけるサーボモータ等の回転速度並びに回転位相をコントロールするカッター駆動制御機構を設けていた。このため、コストの高いサーボモータや制御回路をカット手段数だけ搭載する必要があり、ロータリー式自動包装機全体の価格上昇を招いていた。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、直線カットを形成する手段とミシン目カットを形成する手段が搭載されたロータリー式自動包装機において、コストを安くするために一つの回転駆動機構並びに一つの回転制御機構を用いて上記二つのカット手段を動かすことができるカッター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係るロータリー式自動包装機のカッター装置は、水平方向に移送しながら中央部分を折り曲げた包装フィルムに対して幅方向に熱シールするサイドシール装置と、このサイドシール装置により区分けされた包装フィルム袋部に内容物を投入する充填シュートと、複数配置されたサイドシール装置及び充填シュートを回転作動するターンテーブルと、内容物が充填された包装フィルム袋部の上縁に対して熱シールするトップシール装置と、でき上がった連続包装袋のサイドシールの中央部分に対して所定の切れ込みを施す回転式カッター装置とを備えたロータリー式自動包装機であって、前記カッター装置は、ミシン目切れ込みを形成するカット手段と直線切れ込みを形成するカット手段とを隣接して並列設置し、前記ミシン目カット手段と直線カット手段は、一つの駆動機構に連結されて回転駆動されると共に、このミシン目カット手段と直線カット手段の間に回転位相を調節する機構を設けてカット位置調整を行うことを特徴としている。
【0011】
また、本発明の請求項2に係るカッター装置のカット位置調整機構は、直線カット位置に対してミシン目カット位置が予め設定した位置より短くなった場合は、ミシン目カット手段の回転位相を遅らせるように作動し、直線カット位置に対してミシン目カット位置が予め設定した位置より長くなった場合は、ミシン目カット手段の回転位相を早めるように作動することを特徴としている。
【0012】
また、本発明の請求項3に係るカッター装置のカット位置調整機構は、遊星ギヤ機構を用いて回転位相調整を行うことを特徴としている。
【0013】
本発明の請求項1乃至請求項3に係るカッター装置によれば、直線カットを形成する手段とミシン目カットを形成する手段が搭載されたロータリー式自動包装機において、一つの回転駆動機構並びに一つの回転制御機構を用いて上記二つのカット手段を動かすと共にこの二つのカット手段におけるカット位置を調整することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明のロータリー式自動包装機のカッター装置によれば、コストを安くするために一つの回転駆動機構並びに一つの回転制御機構を用いて、直線カットを形成する手段とミシン目カットを形成する手段の二つのカット手段を動かすと共にこの二つのカット手段におけるカット位置を調整するカッター装置を提供できるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。最初に図1を用いて、本発明にかかるロータリー式自動包装機の全体構成について説明する。
【0016】
図1は、本発明に係るロータリー式自動包装機全体を示す正面図である。なお、以下ではこのロータリー式自動包装機1を自動包装機1と略す。
【0017】
図1に示すように、この自動包装機1は、主たる構成要素として、原反ロール2及び3と、自動フィルムつなぎ装置4と、製袋シュート5と、ターンテーブル6と、サイドシールバー7と、充填シュート8と、計量マス9と、計量回転盤10と、ホッパー11と、トップシールロール12と、操作盤13及び14とを備えている。
【0018】
また、包装フィルムFは、透明又は半透明な材料から構成され、例えば、PET等のベースフィルムと、このベースフィルムよりも融点の低いポリエチレン等のヒートシールフィルムから構成される。また、包装フィルムFは、ベースフィルム、中間フィルム、ヒートシールフィルムの3層構造を有してもよい。
【0019】
原反ロール2及び3は、包装フィルムFを巻き取ったロール状の包材である。このうち、原反ロール2が使用中のものであり、原反ロール3が予備のものである。自動つなぎ装置4は、使用中の原反ロール2の包装フィルムFが無くなりかけたときに、その終端片に予備の原反ロール3の始端片をつなぎ合わせるものである。
【0020】
原反ロール2から引き出された包装フィルムFは、自動つなぎ装置4を通過し、製袋シュート5に導かれる。この製袋シュート5は、包装フィルムFを水平方向に送りながら長手方向に沿って折り目を下にした二つ折り状態にする製袋機構である。一方、ターンテーブル6の円周に沿って複数のサイドシールバー7と、このサイドシールバー7同士の中間位置に充填シュート8が一定間隔で設置されている。そして、製袋シュート5を通過した後、二つ折りされた包装フィルムF内に充填シュート8が挿入され、同時に、充填シュート8が挿入された状態の包装フィルムFに対してサイドシールバー7によるサイドシール(幅シール)が施されて、この包装フィルムFは連続した包装袋形態になる。なお、このサイドシールバー7は、二つ折りされた包装フィルムFを挟み込みながらターンテーブル6の回転運動によって水平移送も行っている。
【0021】
ホッパー11は、原料を貯留する収納容器であって、自動包装機1の上部に設置されている。このホッパー11の下には計量回転盤10が水平回転可能に軸支されている。この計量回転盤10は、ホッパー11から供給される原料を受け取る平面視略円盤状のものである。この計量回転盤10には同心円上に複数の透穴が設けられ、その透穴の各々には計量マス9が嵌合されている。原料を受け取った計量回転盤10は、自身が回転すると共にホッパー11に取り付けられて固定されたマス切りスクレイパーによって計量マス9の内部に原料をすき込むようにしてマス切り計量を行う。計量マス9の下にはシャッター(図示省略)が配置され、このシャッターが開くことにより計量マス9内の原料を充填シュート8に落下させている。
【0022】
充填シュート8は、計量マス9から落下してきた原料を受けて、サイドシールバー7によって形成された連続した各包装袋内に原料を投入するものである。ここで、充填される原料としては、粉剤(粉末)や顆粒などが想定できる。なお、この充填シュート8は、ターンテーブル6の円周に沿ってサイドシールバー7同士の中間位置に設置され、連続した各包装袋内に原料投入が終了したら直ちに各包装袋内から上方に離脱するように動作する。
【0023】
トップシールロール12は、充填シュート8が離脱した包装袋の上部開口を接合し、密封するものである。このトップシールロール12は、2つのシールローラを水平回転させる駆動部と内部にヒーターと温度検知素子を備えている。そして、連続した包装袋の上部開口をこの2つのシールローラによって挟み込んで熱シールを行い、原料が入った包装袋を密封して連続した包装体を作り上げている。
【0024】
なお、操作盤13及び14は、この自動包装機1の動作状態を把握するための情報表示と、動かすための指示を与えるものである。
【0025】
次に、この自動包装機1の連続包装体の搬出口には、搬送装置20が設置されている。この搬送装置20は、ミシン目カッター機構21及び直線カッター機構22と、搬送機構23とを備えている。ミシン目カッター機構21及び直線カッター機構22は、連続した包装袋のサイドシール中央付近に対して任意の直線及びミシン目切れ込みを施すものである。これにより、連続した包装袋は切り離された任意の袋数の連包タイプ包装体となる。搬送機構23は、包装袋を搬送するためのものである。この搬送機構23は、チェーンコンベアならびにハンガークリップなどから成る。ミシン目カッター機構21及び直線カッター機構22によって切り離された連包タイプの包装体は、このハンガークリップに把持されて水平方向に移送されて集積される。
【0026】
図2は、ロータリー式自動包装機の搬送装置20の全体正面図である。図2に示すように、この搬送装置20は、ミシン目切れ込みを行うミシン目カッター機構21と、切り離し(切断)を行う直線カッター機構22と、チェーンコンベアならびにハンガークリップなどから成る搬送機構23と、搬送装置20の動作状態を把握するための情報表示と、動かすための指示を与えるための操作盤29及び切換スイッチ30とで構成されている。
【0027】
そして、ミシン目カッター機構21の正面側には、カッター刃を当接若しくは離間させるためのエアーシリンダ24及びエアーシリンダ25と、駆動部カバー31が取り付けられており、直線カッター機構22の正面側には、カッター刃を当接若しくは離間させるためのエアーシリンダ26及びエアーシリンダ27と、駆動部カバー32が取り付けられている。また、この直線カッター機構22の排出側には、切り離された連包タイプの包装体を受け取るすべり台28が取り付けられており、正面側にはカット位置調整ハンドル76が設置されている。
【0028】
このように、本発明の連包タイプのカッター装置は、ミシン目カッター機構21と直線カッター機構22が並列設置されている。
【0029】
図3は、ロータリー式自動包装機の搬送装置20の部分側面図である。図3に示すように、右側から見た搬送装置20からはミシン目カッター機構21の構造が見て取れる。なお、図3においては、説明のため一部構成品を削除した状態で表記している。
【0030】
ミシン目カッター機構21は、上側固定支持板49と下側固定支持板50に回転可能に保持された回転カッター受刃41と、上側可動支持板44と下側可動支持板45に回転可能に保持された回転カッター上刃40が当接若しくは離間するように構成されている。
【0031】
また、この回転カッター受刃41の回転軸上には、回転駆動力を伝えるための平歯車52とすぐばかさ歯車53が装着されており、回転カッター上刃40の回転軸上には、回転駆動力を伝えるための平歯車51が装着されている。そして、すぐばかさ歯車53には駆動軸55に取り付けられたすぐばかさ歯車54が噛み合っている。この結果、駆動軸55を回転させている駆動力は、すぐばかさ歯車54からすぐばかさ歯車53に伝わって回転カッター受刃41と平歯車52を回転させ、平歯車52から平歯車51と回転カッター上刃40を回転させている。
【0032】
上記のような回転カッター上刃40と回転カッター受刃41の回転駆動は、互いに逆回転しながら同じ回転速度で駆動されており、連続した包装袋の製造速度と同じ速さの搬送速度に比例して速度制御されている。この結果、この回転カッターの上刃と受刃は、連続した包装袋間のサイドシール中央付近の所定位置において正しく向き合うように回転制御されている。
【0033】
次に、回転カッター受刃41と回転カッター上刃40が当接若しくは離間する機構の動作について説明する。回転カッター受刃41は上側固定支持板49と下側固定支持板50によって位置固定且つ回転可能に保持され、これに対して回転カッター上刃40が図3に示す左右方向に位置可動且つ回転可能に保持されている。そして、回転カッター上刃40を軸支している上側可動支持板44と下側可動支持板45が可動連結板48によって連結され、この可動連結板48にはエアーシリンダ42とエアーシリンダ43のシリンダ軸が固定されており、エアーシリンダ42の本体とエアーシリンダ43の本体は、可動連結板47に取り付けられている。さらに、可動連結板47にはエアーシリンダ24とエアーシリンダ25のシリンダ軸が固定されており、エアーシリンダ24の本体とエアーシリンダ25の本体は、固定連結板46に取り付けられている。
【0034】
このように構成された機構において、エアーシリンダ24とエアーシリンダ25とエアーシリンダ42とエアーシリンダ43に対して、シリンダ軸を伸ばす方向に圧縮エアーを同時に供給すると、回転カッター上刃40は回転カッター受刃41と当接するように位置移動して、連続した包装袋間のサイドシール中央付近に対して、所定の切れ込み(図3の場合はミシン目切れ込み)を入れるように動作する。
【0035】
そして、エアーシリンダ24とエアーシリンダ25とエアーシリンダ42とエアーシリンダ43に対して、シリンダ軸を縮める方向に圧縮エアーを同時に供給すると、回転カッター上刃40は回転カッター受刃41と離間するように位置移動して、連続した包装袋間のサイドシール中央付近に対して、所定の切れ込み(図3の場合はミシン目切れ込み)を入れないように動作する。
【0036】
図4は、搬送装置20におけるミシン目カッター機構21と直線カッター機構22の拡大正面図である。また、図5は、搬送装置20におけるミシン目カッター機構21と直線カッター機構22の拡大裏面図である。ここでの説明は図2で説明した内容と一部重複するが、全体の駆動関係を説明するために、再度説明する。図4に示すように、ミシン目カッター機構21には、ミシン目カッター刃を当接若しくは離間させるためのエアーシリンダ24及びエアーシリンダ25と、駆動部カバー31が搭載されており、直線カッター機構22には、直線カッター刃を当接若しくは離間させるためのエアーシリンダ26及びエアーシリンダ27と、駆動部カバー32が搭載されている。また、カット位置調整ハンドル76が正面側に向かって取り付けられている。
【0037】
そして、図3で説明したように、ミシン目カッター機構21の回転駆動力は、搬送装置20の裏面側より貫通している駆動軸55より駆動部カバー31内に設けられたギヤ機構に伝えられている。同じく直線カッター機構22の回転駆動力は、搬送装置20の裏面側より貫通している駆動軸より駆動部カバー32内に設けられたギヤ機構に伝えられている。
【0038】
次に、図5に示すように、搬送装置20の裏面側には、サーボモータ60が設置されており、このモータの駆動力は、ベルト駆動伝達部61によって駆動軸67に伝えられ、この駆動軸67の上端部分にはベルト駆動伝達部62が取り付けられている。このベルト駆動伝達部62によって駆動軸69にサーボモータ60の駆動力が伝えられ、駆動軸69に伝えられた駆動力は、すぐばかさ歯車70とすぐばかさ歯車71を経由して搬送機構23の駆動軸に伝えられている。
【0039】
一方、駆動軸67の中間部分にはすぐばかさ歯車72とすぐばかさ歯車73が取り付けられており、すぐばかさ歯車73を経由して直線カッター機構22の駆動軸に回転駆動力を伝えている。また、駆動軸67の下端部分には遊星ギヤ機構64が設けられており、所定の回転位相調整が成された後にベルト駆動伝達部63を経由して駆動軸68に駆動力が伝えられている。駆動軸68に伝えられた駆動力は、すぐばかさ歯車74とすぐばかさ歯車75を経由してミシン目カッター機構21の駆動軸55に伝えられている。
【0040】
このようにして、サーボモータ60の駆動力は、搬送機構23と直線カッター機構22とミシン目カッター機構21に伝えられることになり、特に、一つの回転駆動機構であるサーボモータ60を用いて二つのカット手段である直線カッター機構22とミシン目カッター機構21を動かすことが可能になった。
【0041】
ここで、連続した包装袋サイドシール部分の正しい位置に対して直線カット及びミシン目カットを施す動作について説明する。サーボモータ60の回転速度並びに回転位相に関する制御は、別に設けられた一つの制御回路(図示省略)によって制御されている。そして、この制御回路によって作り出されたサーボ電源は、サーボモータ60に供給され、このサーボモータ60の回転速度並びに回転位相を制御している。そして、制御されたサーボモータ60の回転駆動はベルト駆動伝達部61、駆動軸67、すぐばかさ歯車72とすぐばかさ歯車73を経由して直線カッター機構22に送られ、この直線カッター機構22の回転カッター上刃と回転カッター受刃におけるカッター刃当接位置を決めている。即ち、搬送装置20に送り込まれた連続した包装袋の所定のサイドシール部分(サイドシール中央付近)に直線カッター機構22のカッター刃が位置するようにサーボモータ60の回転位置が制御されている。なお、直線カッター機構22の回転カッター上刃と回転カッター受刃が当接して実際にカット動作を行うかどうかは直線カッター機構22内に設けられたエアーシリンダの駆動制御により決められている。
【0042】
同時に、制御されたサーボモータ60の回転駆動はベルト駆動伝達部61、駆動軸67、所定の回転位相調整が成された遊星ギヤ機構64、ベルト駆動伝達部63、駆動軸68、すぐばかさ歯車74とすぐばかさ歯車75、駆動軸55を経由してミシン目カッター機構21に送られ、このミシン目カッター機構21の回転カッター上刃と回転カッター受刃におけるカッター刃当接位置を決めている。
【0043】
即ち、搬送装置20に送り込まれた連続した包装袋の所定のサイドシール部分(サイドシール中央付近)にミシン目カッター機構21のカッター刃が位置するようにサーボモータ60の回転位置並びに遊星ギヤ機構64の回転位相が制御されている。そして、サーボモータ60の回転位置は、前述した直線カッター機構22のカッター刃が正しい位置になるように制御されているため、直線カット位置に対するミシン目カッター機構21のカッター刃位置合わせを行っている実質的な部分は、遊星ギヤ機構64の回転位相調整機構が担当している。
【0044】
即ち、遊星ギヤ機構64の回転位相調整機構の動きは、直線カッター機構22の直線カット位置に対して次のミシン目カット位置が予め設定した位置より短くなった場合、遊星ギヤ機構64の回転位相を調整してミシン目カッター機構21の回転位相を遅らせるようにする。逆に、直線カッター機構22の直線カット位置に対して次のミシン目カット位置が予め設定した位置より長くなった場合、遊星ギヤ機構64の回転位相を調整してミシン目カッター機構21の回転位相を早めるようにする。なお、ミシン目カッター機構21の回転カッター上刃と回転カッター受刃が当接して実際にカット動作を行うかどうかはミシン目カッター機構21内に設けられたエアーシリンダの駆動制御により決められている。
【0045】
図6は、搬送装置20に設けられた遊星ギヤ機構64の回転位相調整機構の一部を抜き出した側面図である。図5並びに図6に示した図面を用いて遊星ギヤ機構64の回転位相調整について説明する。図5と図6に示すように、遊星ギヤ機構64は、駆動軸67に直結された中央回転体と、この中央回転体に取り付けられた水平軸上において回転自在に取り付けられた二つの水平すぐばかさ歯車と、この二つの水平すぐばかさ歯車と噛み合っている二つの垂直すぐばかさ歯車と、下側の垂直すぐばかさ歯車と連結されたウォームホイール65と、このウォームホイール65と噛み合っているウォームギヤ66と、このウォームギヤ66の軸延長部分に取り付けられたカット位置調整ハンドル76とによって構成されている。
【0046】
遊星ギヤ機構64の概略動作について説明する。サーボモータ60の回転駆動力は、駆動軸67に伝えられ、続いてこの駆動軸67の下端に取り付けられた遊星ギヤ機構64の中央回転体に伝えられる。中央回転体に伝えられた回転駆動力は、この中央回転体に取り付けられた水平軸に伝えられ、この水平軸上において回転自在に取り付けられた二つの水平すぐばかさ歯車自体を回転させるように動く。その際に、この二つの水平すぐばかさ歯車と噛み合っている下側垂直すぐばかさ歯車がウォームホイール65とウォームギヤ66によって固定されているため、二つの水平すぐばかさ歯車は噛み合っている上側垂直すぐばかさ歯車を回転させるように働く。この結果、上側垂直すぐばかさ歯車と連結されたベルト駆動伝達部63に回転駆動力が伝わり、駆動軸68が回転してミシン目カッター機構21を駆動することになる。
【0047】
そして、カット位置調整ハンドル76を手動操作で回転させることによってウォームギヤ66が回転し、このウォームギヤ66と噛み合っているウォームホイール65の水平位置がカット位置調整ハンドル76の回転具合に応じて回転することになる。この結果、ウォームホイール65と連結された下側垂直すぐばかさ歯車の固定位置が変化することになり、その分だけ駆動軸67から駆動軸68に送られる駆動力の回転位相が変化することになる。このようにして、直線カッター機構22の直線カット位置に対してミシン目カッター機構21のミシン目カット位置の調整が自由にできることになる。
【0048】
以上、図1乃至図6によって説明された本発明のロータリー式自動包装機のカッター装置は、コストを安くするために一つの回転駆動機構並びに一つの回転制御機構を用いて、直線カットを形成する手段とミシン目カットを形成する手段の二つのカット手段を動かすと共にこの二つのカット手段におけるカット位置を調整することができる。
【0049】
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【0050】
例えば、図2の説明において、自動包装機1に近い順にミシン目カッター装置21と直線カッター装置22が並列設置されている旨の説明を行ったが、この設置順に限定するものではなく、自動包装機1に近い方から直線カッター装置22とミシン目カッター装置21を並列設置しても良い。
【0051】
また、例えば、図4乃至図6の説明において、遊星ギヤ機構64の回転位相を調整する場合は、手動操作でカット位置調整ハンドル76を回転させる旨の記載があるが、これに限定されるものではなく、このカット位置調整ハンドル76の代わりに小型サーボモータを取り付けて自動包装機1若しくは搬送装置20よりウォームギヤ66の回転制御を行ってカット位置の調整を実施しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係るロータリー式自動包装機全体を示す正面図である。
【図2】本発明に係るロータリー式自動包装機の搬送装置20の全体正面図である。
【図3】本発明に係るロータリー式自動包装機の搬送装置20の部分側面図である。
【図4】搬送装置20におけるミシン目カッター機構21と直線カッター機構22の拡大正面図である。
【図5】搬送装置20におけるミシン目カッター機構21と直線カッター機構22の拡大裏面図である。
【図6】搬送装置20に設けられた遊星ギヤ機構64の回転位相調整機構の一部を抜き出した側面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 自動包装機
2、3 原反ロール
4 自動フィルムつなぎ装置
5 製袋シュート
6 ターンテーブル
7 サイドシールバー
8 充填シュート
9 計量マス
10 計量回転盤
11 ホッパー
12 トップシールロール
13、14 自動包装機の操作盤
20 搬送装置
21 ミシン目カッター機構
22 直線カッター機構
23 搬送機構
24、25、26、27、42、43 エアーシリンダ
28 すべり台
29、30 搬送装置の操作盤
31、32 駆動部カバー
40 回転カッター上刃
41 回転カッター受刃
44 上側可動支持板
45 下側可動支持板
46 固定連結板
47、48 可動連結板
49 上側固定支持板
50 下側固定支持板
51、52 平歯車
53、54 すぐばかさ歯車
55 駆動軸
60 サーボモータ
61、62、63 ベルト駆動伝達部
64 遊星ギヤ機構
65 ウォームホイール
66 ウォームギヤ
67、68、69 駆動軸
70、71、72、73、74、75 すぐばかさ歯車
76 カット位置調整ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に移送しながら中央部分を折り曲げた包装フィルムに対して幅方向に熱シールするサイドシール装置と、このサイドシール装置により区分けされた包装フィルム袋部に内容物を投入する充填シュートと、複数配置されたサイドシール装置及び充填シュートを回転作動するターンテーブルと、内容物が充填された包装フィルム袋部の上縁に対して熱シールするトップシール装置と、でき上がった連続包装袋のサイドシールの中央部分に対して所定の切れ込みを施す回転式カッター装置とを備えたロータリー式自動包装機であって、
前記カッター装置は、ミシン目切れ込みを形成するカット手段と直線切れ込みを形成するカット手段とを隣接して並列設置し、
前記ミシン目カット手段と直線カット手段は、一つの駆動機構に連結されて回転駆動されると共に、このミシン目カット手段と直線カット手段の間に回転位相を調節する機構を設けてカット位置調整を行うことを特徴とするロータリー式自動包装機のカッター装置。
【請求項2】
前記カッター装置のカット位置調整機構は、直線カット位置に対してミシン目カット位置が予め設定した位置より短くなった場合は、ミシン目カット手段の回転位相を遅らせるように作動し、
直線カット位置に対してミシン目カット位置が予め設定した位置より長くなった場合は、ミシン目カット手段の回転位相を早めるように作動することを特徴とする請求項1記載のロータリー式自動包装機のカッター装置。
【請求項3】
前記カッター装置のカット位置調整機構は、遊星ギヤ機構を用いて回転位相調整を行うことを特徴とする請求項1と請求項2に記載のロータリー式自動包装機のカッター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−127018(P2008−127018A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−309859(P2006−309859)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】