説明

連結容器の内容物放出単一部材および、この内容物放出単一部材を備えたエアゾール式製品

【課題】個別の内容物を収容した二つの容器からなる連結容器の内容物放出部・共通操作部として作用する内容物放出部材の単一部材化を図る。
【解決手段】ヘッド部材5を、共通の操作面を有する操作部5eと、容器本体1,1’のステム3,3’に接続される上流側筒状直線通路部5h,5h’と、この直線通路部のステム3,3’接続部反対側から放出口5j,5jへ続く下流側筒状円弧通路部5g,5g’と、カバー体5aとで構成し、その全体が一体成形にかかる単一パーツとなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部空間へ放出される内容物を個々に収容した第1,第2の容器からなる連結容器に取り付けられることにより、当該連結容器の操作部および内容物放出部として作用する内容物放出単一部材に関する。
【0002】
特に、第1,第2の容器の内容物通過部(ステム内部通路域)の出力端部分に接続される筒状で上下方向(縦方向)の第1,第2の上流側直線通路部からその先の外部空間への内容物放出口までの筒状でいわば横方向の第1,第2の下流側通路部を、円弧態様の通路部に設定した内容物放出単一部材に関する。
【0003】
通常、第1,第2の上流側直線通路部は平行に設定され、当該通路部同士の隔たりは各連結容器のステム間距離となる。このステム間距離のままでは各連結容器の内容物放出口同士が離れすぎてしまう。
【0004】
この隔たりを短くして各連結容器の内容物放出口を近接させるために上述の第1,第2の下流筒状通路部が設けられる。
【0005】
本発明は、この第1,第2の下流側筒状通路部を円弧態様で設定すれば、その成形加工後に当該通路部それぞれの金型が回動作業によって取り外されることに着目したものである。
【0006】
すなわち連結容器に取り付けられる内容物放出・操作機構を、筒状の第1,第2の下流側円弧通路部と、これ以外の構成要素(操作部,筒状の第1,第2の上流側直線通路部、カバー部など)との一体成形加工による、単一部材としたものである。
【0007】
本明細書では、通常の作動モードにおける容器内容物の噴射口の側を「前」とし、それとは容器平面図の中心を挟んで反対の側を「後」とする。すなわち例えば図2の左側方向が「前」で、右側方向が「後」となる。
【0008】
説明の便宜上、以下の記載では主にエアゾール式製品を前提とした内容になっているが、発明の対象としてはこれに限定されるものではなく、ポンプ式製品も当該対象に含まれる。
【背景技術】
【0009】
従来、それぞれ内容物が収容された第1および第2のエアゾール容器からなる連結容器全体の内容物放出・操作機構において、その構成要素部品数の低減化を図ったものが提案されている(特許文献1参照)。なお、背景技術などの説明中の[ ]付き参照番号は特許文献1で使用された番号を示している。
【0010】
この内容物放出・操作機構の場合、筒状の第1,第2の下流側通路部は、筒状の第1,第2の上流側直線通路部と一体成形された直線通路部である。
【0011】
この一体成形にかかるノズル部材[41]は、図5で示すように、第1の通路部(=第1の上流側直線通路部+第1の下流側直線通路部)と第2の通路部(=第2の上流側直線通路部+第2の下流側直線通路部)とが平行状態で近接し、かつ、第1,第2の各通路部の内容物放出口部分が弾性片[44]で連結された形になっている。
【0012】
ノズル部材[41]がキャップ状部材[21]に取り付けられる際には、図4,図8で示すように、当該ノズル部材の全体をその弾性片[44]を中心にして「ハ」の字状に変形させる。なお、キャップ状部材[21]には操作部としての押下げ板[33]が一体成形されている。
【0013】
このように特許文献1の連結容器に対する内容物放出・操作機構は、ノズル部材[41]からなる第1ピースと、キャップ状部材[21]および押下げ板[33]からなる第2ピースとを構成要素としている。
【0014】
【特許文献1】特開平11−278554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
以上の連結容器における内容物放出・操作機構の場合、各容器に対応した筒状の第1,第2の内容物放出通路部(=上流側直線通路部+下流側直線通路部)の最終形態を一体成形できないという問題点があった。
【0016】
それは、上述したように各容器に対応した第1および第2の下流側直線通路部を放出口側からみていわば逆「ハ」の字状に設定しなければならないからである。
【0017】
すなわち、この直線通路部設定用の金型を逆「ハ」の字状にセットしてから成形加工しても加工後に当該金型を取り外すことができず、これを回避するために、各容器に対応した筒状の第1,第2の内容物放出通路部(=上流側直線通路部+下流側直線通路部)の全体を当該通路部が近接する平行態様でいったん一体成形し、続いてこの一体成形物を、第1および第2の下流側直線通路部が逆「ハ」の字状になるようにそれぞれの放出口の接続部分を中心に、回動変形させているからである。
【0018】
当然のことながら、この回動変形作業を必須とする筒状の第1,第2の内容物放出通路部全体の最終形態と、上記内容物放出操作機構の他の構成要素(キャップ状部材[21],押下げ板[33]など)と、を一体成形することはできない。
【0019】
そこで本発明では、第1,第2の各容器に対応した筒状の第1,第2の下流側通路部を円弧態様で設定し、この円弧通路部の成形加工後における使用金型の取り外し作業を可能として、当該下流側通路部を含む第1,第2の内容物放出通路部と、それ以外の構成要素(例えば後述の操作部5e,7e,8a,カバー体5a,7aなど)と、の単一部材化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
(1)外部空間へ放出される内容物を個々に収容した第1,第2の容器(例えば後述の容器本体1,1’,マウンティングキャップ2,2’,ステム3,3’)からなる連結容器に取り付けられることにより、当該連結容器の操作部(例えば後述の操作部5e,7e,8a)および内容物放出部(例えば後述の放出口5j,5j’,7j,7j’)として作用する内容物放出単一部材(例えば後述のヘッド部材5,7,8)であって、
前記連結容器に対する共通の操作面を持つ操作部(例えば後述の操作部5e,7e,8a)と、
前記第1,第2の容器の各内容物通過部(例えば後述のステム3,3’)の出力端部分と個々に接続される筒状で上下方向の第1,第2の上流側直線通路部(例えば後述の上流側筒状直線通路部5h,5h’,7h,7h’)と、
前記操作部の前記共通操作面とは反対の面側に、前記第1,第2の上流側直線通路部それぞれの前記連結にかかる部分とは反対側の端部分に続く円弧部分として、互いの延長仮想円弧部分が交差しない方向に延びる態様で形成され、当該円弧部分それぞれの端部が外部空間への放出口(例えば後述の5j,5j’,7j,7j’)として作用する筒状の第1,第2の下流側円弧通路部(例えば後述の下流側筒状円弧通路部5g,5g’,7g,7g’)と、
前記操作部が、その静止モードと作動モードとに移動可能な態様で設けられているカバー部(例えば後述のカバー体5a,拡大カバー体7a)と、を備え、
前記操作部,前記第1,第2の上流側直線通路部,前記第1,第2の下流側円弧通路部および前記カバー部の全体が、単一パーツとして一体成形されたものを用いる。
(2)上記(1)において、
前記カバー部として、
前記第1,第2の容器を連結容器状態に保持するために前記単一パーツとは別部材の形で設けられた連結保持部(例えば後述の連結保持部4)との、結合作用部分を持つものを用いる。
(3)上記(1)において、
前記カバー部として、
前記第1,第2の容器を連結容器状態に保持するための連結保持作用部分(例えば後述の爪部7b)を持つものを用いる。
【0021】
本発明は、以上の構成からなる連結容器の内容物放出用単一部材や、この内容物放出用単一部材を備えたエアゾール式製品などを対象としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、このように第1,第2の各容器に対応した筒状の第1,第2の下流側通路部を所定の円弧態様で設定し、この円弧通路部の成形加工後における使用金型の取り外し作業を可能としているので、当該下流側通路部を含む第1,第2の内容物放出通路部と、それ以外の構成要素(例えば後述の操作部5e,7e,8a,カバー体5a,7aなど)とからなるヘッド部材が単一部材となる。そのため、連結容器の操作機能および内容物放出機能を備えたヘッド部材の、製造工程の簡単化および製造コストの低減化を図ることができる。
【0023】
また、第1,第2の各容器の連結保持部をヘッド部材とは別部材にしているので、第1の連結容器と、これとは異なる径の容器からなる第2の連結容器とに対してヘッド部材の共通化を図ることができる。
【0024】
また、第1,第2の各容器の連結保持作用部分をヘッド部材自体に設けている、すなわち当該各容器に取り付けられる部材全体を単一ピース化しているので、製品の組立て作業の一層の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】連結容器の内容物放出用のヘッド部材(その1:第1,第2の容器の連結保 持部は別部材で、操作部が回動タイプ)が取り付けられた内容物放出機構を示す説明 図である。
【図2】図1の内容物放出機構におけるヘッド部材,第1,第2の容器および容器連 結保持部の係合関係を示す説明図である。
【図3】図1の内容物放出機構の二つの噴射口部分に内容物混合用の先端チップを取 り付けた状態を示す説明図である。
【図4】連結容器の内容物放出用のヘッド部材(その2:第1,第2の容器本体の連 結保持部を有し、操作部が回動タイプ)を示す説明図である。
【図5】連結容器の内容物放出用のヘッド部材(その3:操作部が上下動タイプ)を 示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1乃至図5を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0027】
以下のアルファベット付き参照番号の構成要素(例えば円筒部4a,4a’)は原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素(例えば連結保持部4)の一部であることを示している。
【0028】
図1〜図4において、
1,1’は後述の内容物および噴射用ガスを収納したエアゾール式製品の(連結状態の)容器本体,
2,2’は容器本体1,1’それぞれの開口端部側に取り付けられた周知のマウンティングキャップ,
2a,2a’は当該マウンティングキャップの外周面下側に設定される環状のアンダーカット部,
3,3’は周知のバルブ機構(図示省略)の構成要素であるステム,
4はマウンティングキャップ2,2’同士を連結保持して容器本体1,1’の連結状態を設定する筒状の連結保持部、
4a,4a’は当該連結保持部の下側部分に形成されてマウンティングキャップ2,2’のそれぞれを保持するための円筒部,
4b,4b’は円筒部4a,4a’の内周面下側部分に形成されてアンダーカット部2a,2a’のそれぞれに係合保持される略環状の突状部,
4cは円筒部4a,4a’の下端部分から容器連結後のステム3,3’の上方までの高さで形成された外周部,
4dは円筒部4a,4a’の上端対向部分に形成された中間連結部、
4e,4e’は外周部4cの内周面および中間連結部4dの両側部分に形成されて連結状態のマウンティングキャップ2,2’の上端側を受ける突出片部,
4fは外周部4cの外周面中間部分(突出片部4e,4e’よりも下側部分)に形成されて後述のヘッド部材5を係合保持する環状突状部,
5は全体が一体成形加工された単一パーツからなり、連結保持部4に取り付けられて連結容器の操作部および内容物放出部として作用する容器共通のヘッド部材,
5aは連結保持部4に係合保持される楕円筒状のカバー体,
5bはカバー体5aの内周面下側に形成されて連結保持部4の環状突状部4f(の直下側域)との係合作用を呈する計四個の周方向突状部,
5cはカバー体5aの前側上部分に形成された内容物噴射空間設定用の前切欠状部,
5dはカバー体5aの後側上部分に形成された操作空間設定用の後切欠状部,
5eはテコ作動する操作部,
5fはカバー体5aと操作部5eとの間に形成されて当該操作部の回動基部となる計二個のヒンジ,
5g,5g’は操作部5eの裏面部分、すなわち操作面とは反対側の同一面部分に後述のように線対称の態様で形成された計二個の下流側筒状円弧通路部,
5h,5h’はそれぞれ下流側筒状円弧通路部5g,5g’へと連続し、かつ、ステム3,3’に接続できる態様で上下方向に形成された計二個の上流側筒状直線通路部,
5j,5j’は下流側筒状円弧通路部5g,5g’の端部である放出口,
5kは操作部5eの前面垂下部に放出口5j,5j’の双方を取り囲む態様で設定された長方形状の突出枠状部,
6は突出枠状部5kに取り付けることにより連結容器の共通噴射部として作用する着脱自在で長方形状の先端チップ(図3のみで使用),
6aは放出口5j,5j’の対向部分にそれぞれ形成された計二個の柱状部,
をそれぞれ示している。
【0029】
図4において、
7はマウンティングキャップ2,2’同士を連結保持する機能をも併せ持つ態様で全体が一体成形加工された単一パーツからなり、連結容器の操作部および内容物放出部として作用するヘッド部材,
7aはヘッド部材5に連結保持部4をいわばマージした形、すなわちマウンティングキャップ2,2aに対する保持機能を併せ備えた形の拡大カバー体,
7bは拡大カバー体7aの内周面の曲面側下部分に形成されてマウンティングキャップのアンダーカット部2a,2a’のそれぞれと三個単位で係合する計六個の爪部,
7cはヘッド部材5と同様の前切欠状部,
7dはヘッド部材5と同様の後切欠状部,
7eはヘッド部材5と同様の操作部,
7fはヘッド部材5と同様の計二個のヒンジ,
7g,7g’はヘッド部材5と同様の計二個の下流側筒状円弧通路部,
7h,7h’はヘッド部材5と同様の計二個の上流側筒状直線通路部,
7j,7j’はヘッド部材5と同様の放出口,
7kはヘッド部材5と同様の突出枠状部,
をそれぞれ示している。
【0030】
図5において、
8はテコ作動タイプ(回動タイプ)の操作部5e,7eに代えて垂直作動タイプの操作部を備えた単一パーツからなるヘッド部材,
8aは上述のカバー体,拡大カバー体に対して全体が上下動する操作部、
8bは上述のカバー体,拡大カバー体の内周面のそれぞれと操作部8aの外周面下端部分との間に、略水平状態で三個単位により形成されて、個々に弾性変形する計六個の操作部支持用片部,
をそれぞれ示している。
【0031】
ここで、ステム3,3’,連結保持部4,ヘッド部材5,7,8および先端チップ6はポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。また、容器本体1,1’およびマウンティングキャップ2,2’は金属製のものである。
【0032】
図1〜図5の内容物放出・操作機構の基本的特徴は、連結容器に取り付けられてその操作部および内容物放出部として作用するヘッド部材5,7,8のそれぞれを、単一パーツとしたことである。
【0033】
すなわち、これらヘッド部材の上流側筒状直線通路部5h,5h’,7h,7h’から外部空間への放出口5j,5j’,7j,7j’までの各筒状通路部を、成形加工後それぞれの金型が取り外せるように円弧形状(=下流側筒状円弧通路部5g,5g’,7g,7g’)にしたことである。
【0034】
この下流側筒状円弧通路部5g,5g’,7g,7g’は、仮にヘッド部材5,7,8(操作部5e,7e,8a)のそれぞれを左右(容器本体1の側と容器本体1’の側)に2等分した場合の仮想境界線を中心とする、線対称形状に設定されている。
【0035】
また、ヘッド部材5,7,8における一対の当該下流側筒状円弧通路部は、それぞれの放出口5j,5j’,7j,7j’からの仮想延長円弧部分が交わらない態様に設定されている。この仮想延長円弧部分は、下流側筒状円弧通路部5g,5g’,7g,7g’と円中心および半径が同一の円(の一部)である。
【0036】
図1〜図3のヘッド部材5と、図4のヘッド部材7との基本的な違いは、マウンティングキャップ2,2’同士の連結保持機能を自ら備えているかどうかである。
【0037】
ヘッド部材7の内周面下端部分には、この連結保持作用を呈する計六個の爪部7bが形成されている(図4参照)。
【0038】
ヘッド部材5自体には、マウンティングキャップ2,2’との連結保持作用部が形成されていない。このマウンティングキャップ2,2’との連結保持作用を呈するのは連結保持部4であり、この連結保持部にヘッド部材5が取り付けられる(図2参照)。
【0039】
ヘッド部材5の場合、連結保持部4を介して容器側に取り付けられるので、容器本体A,Bからなる第1の連結容器と、この容器本体A,Bとは異なるサイズ(径や高さ)の容器本体C,Dからなる第2の連結容器と、の双方に適用可能な共通ヘッド部材として作成することができる。容器本体A,Bが同じ高さで、容器本体C,Dが異なる高さのときにも、この第1,第2の連結容器の共通ヘッド部材として作成可能である。
【0040】
このような容器本体のサイズの違いは、連結保持部4の容器本体対応部分の形状をそれぞれのサイズに対応させ、かつ、共通のヘッド部材との係合部分を当該連結保持部に設けることにより、いわば吸収される。
【0041】
ヘッド部材5を、容器本体1,1’およびマウンティングキャップ2,2’などからなる各容器に組み込む際は、図1,図2に示すように、
(11)連結保持部4の円筒部4a,4a’にその下方から各容器のマウンティングキャップ側を入れることにより、当該円筒部の突状部4b,4b’のそれぞれにマウンティングキャップ2,2’のアンダーカット部2a,2a’を個々に係合させ、
(12)連結保持部4にその上方からヘッド部材5をかぶせることにより、当該連結保持部の環状突状部4fの下側に当該ヘッド部材の周方向突状部5bを係合させる。
【0042】
ヘッド部材7を、容器本体1,1’およびマウンティングキャップ2,2’などからなる各容器に組み込む際は、図4に示すように、
(21)ヘッド部材7にその下方から各容器のマウンティングキャップ側を入れることにより、当該ヘッド部材の三個の爪部7bにマウンティングキャップ2,2’のアンダーカット部2a,2a’を個々に係合させる。
【0043】
連結保持部4およびヘッド部材5や、ヘッド部材7のみで一体化された連結容器の容器本体同士がずれるのを防止するためには、容器本体1,1’の各外周面側を周知の手法により単一筒状部の形でラッピングし、または容器本体1,1’の各外周面側の下部分などを単一環状部材でまとめて保持すればよい。
【0044】
図1〜図4の内容物放出・操作機構において操作部5e,7eの操作面部分を下方に押すと、各容器本体1,1’の内容物が放出口5j,5j’,7j,7j’から外部空間に噴射される。
【0045】
内容物の噴射動作自体は周知である。
すなわち操作面部分が下方に押されると操作部5e,7eはヒンジ5f,7fを中心にして図示右側からみて時計方向に回動する。この回動にともなって当該操作部の裏面側に形成されている下流側筒状円弧通路部5g,5g’,7g,7g’,上流側筒状直線通路部5h,5h’,7h,7h’および当該上流側筒状直線通路部に接続されているステム3,3’がまとまって下動する。
【0046】
このステム3,3’の下動により、周知のバルブ作用部が静止モードの「閉状態」から「開状態」へと移行し、容器本体1,1’の内容物は、それぞれ「バルブ作用部‐ステム3,3’の内部通路‐上流側筒状直線通路部5h,5h’,7h,7h’‐下流側筒状円弧通路部5g,5g’,7g,7g’‐放出口5j,5j’,7j,7j’」を経て外部空間に噴射される。
【0047】
図3は、放出口5j,5j’の回りの突出枠状部5kに先端チップ6を取り付けた状態を示している。
【0048】
この先端チップ6には、放出口5j,5j’の対向部分にそれぞれ柱状部6aが形成されているので、放出口5j,5j’からの噴射内容物は当該柱状部にぶつかって乱流状態となって効率的に混合される。
【0049】
なお、先端チップ6は、ヘッド部材7の突出枠状部7kにも取り付けられて、ヘッド部材5の場合と同じように、放出口7j,7j’からの噴射内容物の混合作用を呈するのは勿論である。
【0050】
図5は、回動タイプの操作部5e,7eに代えて垂直作動タイプ(上下動タイプ)の操作部8aを設けたヘッド部材8を示している。ヘッド部材8の操作部以外の部分は、ヘッド部材5,7のいずれの形態もとりえる。
【0051】
操作面部分を下方に押圧された操作部8aは、六個の操作部支持用片部8bがそれぞれ略一様に下方に弾性変形するので、回動することなしに操作部全体が略水平状態のまま下方向に移動する。
【0052】
この下方向への移動にともない、回動タイプの操作部5e,7eのときと同じように下動して作動モードに移行し、各容器本体の内容物がそれぞれの下流側筒状円弧通路部の放出口から外部空間へと噴射される。
【0053】
なお、垂直作動タイプ(上下動タイプ)の操作部8aは回動タイプの操作部5e,7eに比べて上下方向への移動ストロークを長く設定できるので、当該操作部を備えたヘッド部材8はポンプ式製品にも十分対応しえる。
【0054】
本発明が適用されるエアゾール式製品,ポンプ式製品としては、洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0055】
容器本体に収納する内容物は、例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分などである。
【0056】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0057】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0058】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0059】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0060】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼインなどを用いる。
【0061】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0062】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0063】
エアゾール式製品における内容物噴射用ガスとしては、炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【符号の説明】
【0064】
1,1’:連結状態の容器本体
2,2’:マウンティングキャップ
2a,2a’:環状のアンダーカット部
3,3’:ステム
4:筒状の連結保持部
4a,4a’:円筒部
4b,4b’:略環状の突状部
4c:外周部
4d:中間連結部
4e,4e’:突出片部
4f:環状突状部
5:ヘッド部材
5a:楕円筒状のカバー体
5b:計四個の周方向突状部
5c:前切欠状部
5d:後切欠状部
5e:回動タイプの操作部
5f:計二個のヒンジ
5g,5g’:計二個の下流側筒状円弧通路部
5h,5h’:計二個の上流側筒状直線通路部
5j,5j’:計二個の放出口
5k:長方形状の突出枠状部
【0065】
(以下の6,6aは図3のみで使用)
6:長方形状の先端チップ
6a:柱状部
【0066】
(以下の7〜7kは図4のみで使用)
7:ヘッド部材
7a:拡大カバー体
7b:計六個の爪部
7c:前切欠状部
7d:後切欠状部
7e:回動タイプの操作部
7f:計二個のヒンジ
7g,7g’:計二個の下流側筒状円弧通路部
7h,7h’:計二個の上流側筒状直線通路部
7j,7j’:計二個の放出口
7k:突出枠状部
【0067】
(以下の8〜8bは図5のみで使用)
8:ヘッド部材
8a:垂直作動タイプの操作部
8b:計六個の操作部支持用片部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部空間へ放出される内容物を個々に収容した第1,第2の容器からなる連結容器に取り付けられることにより、当該連結容器の操作部および内容物放出部として作用する内容物放出単一部材であって、
前記連結容器に対する共通操作面を持つ操作部と、
前記第1,第2の容器の各内容物通過部の出力端部分と個々に接続される筒状で上下方向の第1,第2の上流側直線通路部と、
前記操作部の前記共通操作面とは反対の面側に、前記第1,第2の上流側直線通路部それぞれの前記連結にかかる部分とは反対側の端部分に続く円弧部分として、互いの延長仮想円弧部分が交差しない方向に延びる態様で形成され、当該円弧部分それぞれの端部が外部空間への放出口として作用する筒状の第1,第2の下流側円弧通路部と、
前記操作部が、その静止モードと作動モードとに移動可能な態様で設けられているカバー部と、を備え、
前記操作部,前記第1,第2の上流側直線通路部,前記第1,第2の下流側円弧通路部および前記カバー部の全体が、単一パーツとして一体成形されたものである、
ことを特徴とする連結容器の内容物放出単一部材。
【請求項2】
前記カバー部は、
前記第1,第2の容器を連結容器状態に保持するために前記単一パーツとは別部材の形で設けられた連結保持部との、結合作用部分を持つものである、
ことを特徴とする請求項1記載の連結容器の内容物放出単一部材。
【請求項3】
前記カバー部は、
前記第1,第2の容器を連結容器状態に保持するための連結保持作用部分を持つものである、
ことを特徴とする請求項1記載の連結容器の内容物放出単一部材。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の連結容器の内容物放出単一部材を備え、かつ、噴射用ガスおよび内容物を収容した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−126575(P2011−126575A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287329(P2009−287329)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】