説明

連続洗浄方法

【課題】 米などの被洗浄物を大量に且つ連続して洗浄する場合に、被洗浄物の破砕を抑制し、且つ、研ぎ汁成分や異物等の汚れ成分を十分に除去できる洗浄効率の良い連続洗浄方法を提供することにある。
【解決手段】 (a) 第1洗浄タンク2内に高圧水および/または圧縮ガスをタンク下部から吐出させて被洗浄物を浮遊攪拌させながら、第1洗浄タンク2から被洗浄物を第1のエダクター151にて吸込み、(b)第2洗浄タンク3内に吐出させ、高圧水および/または圧縮ガスをタンク下部から吐出させて浮遊攪拌させながら、第2洗浄タンク3から被洗浄物を第2のエダクター152にて吸込み、(c)分離装置4に吐出させて被洗浄物を水と分離し、(d)被洗浄物を第3洗浄タンク5に導き、微細気泡により洗浄を行いながら、第3洗浄タンク5から被洗浄物を第3のエダクター153にて吸込み、(e)浸漬タンク10内に吐出させ、微細気泡の存在下で浸漬を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀類、豆類、海産物、種子類、香辛料原料、魚卵類等を連続的に洗浄する連続洗浄方法に関し、より詳しくは、例えば米飯加工会社や給食、弁当工場等において、大量の米を一度に炊飯する場合の洗米・浸漬に好適な連続洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
御飯を美味しく炊くには、先ず洗米の過程で御飯の臭みや食味低下の原因となる研ぎ汁成分を十分に除去することが必要であり、浸漬過程では水を均一に浸漬させる必要がある。
【0003】
一般家庭において米を洗浄する場合には、使用する米の量が少ないので、手作業で丁寧に洗米でき、研ぎ汁成分を十分に除去することが可能である。他方、米飯加工会社や給食、弁当工場等では、大量の米を一度に炊飯するので、当然のことながら洗米機・送米機を使って連続で米を洗浄する。
【0004】
洗米機の従来例として、例えば米と洗浄水を共に流す水路の中に洗浄用のスクリュープロペラを設けて、そのスクリュープロペラで米と水を送米機側に移送しながら、そのプロペラの回転によって起こる回転流の作用と、プロペラとの衝突によって米を洗浄するものがある(特許文献1,2を参照)。洗浄水は、その流れ方向において止まることなく供給され、且つ、外部に排出されるので洗浄時に発生した研ぎ汁成分や米粒表面の異物もこれと同時に排出され、米は常に新しい水で洗浄される。また洗浄された米は連続して送米機の方へ送られ、ポンプにより浸漬タンクに移行する。
【0005】
しかしながら、上記のような従来の洗米機・送米機では、回転するプロペラの羽根や配管の曲り角等での衝突で破砕される米粒が多量に発生し、洗浄効果が悪いという問題がある。特に、破砕された米は炊飯すると糊状になるので、御飯がうまく炊けず、釜の内面に焦げができたり、こびりついて無駄な御飯が大量に発生する。
【0006】
また、洗浄によって生じた研ぎ汁成分や異物を水流によって除去して洗浄水を常に新しい状態に保っておくために、洗米機に供給した水は、前記スクリュープロペラの配設領域を過ぎると、そのまま出口から外部に排出してしまい、さらに浸漬タンクまでの送米も米と水とを一緒に送るため大量の水が必要となる。
【0007】
また浸漬工程では、洗米機のいかんに係らず米が大量であると各米粒に均一に水が浸透しにくく、炊飯工程で炊き具合にムラがでてくるという問題がある。
【0008】
特許文献3には、空気の微細気泡による洗米・浸漬方法が記載されている。この方法は、微細気泡によって研ぎ汁成分等を浮上分離させて洗浄するようにしたものであるため、破砕米の削減を図ることができるという利点がある。ところが、この方法は全てバッチ方式であるのに対して、既存の炊飯ラインは連続式である。このため、バッチ方式の洗米・浸漬と、連続式の炊飯ラインとを組み合わせるためには、洗浄・浸漬タンクをいくつも用意しなければならず、またこれらの制御システムも従来の炊飯設備との併合であるため複雑になり、価格面で高くつき、そのため市場性においてあまり高い評価を得ていないのが現状である。
【0009】
外食産業や常温保存可能な御飯が隆盛の昨今、上記のような一度に大量の米を炊く際の問題点の改善が強く要望されている。
【0010】
【特許文献1】特開平5‐104004号公報
【特許文献2】特開平10‐296100号公報
【特許文献3】特許第3081830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、米などの被洗浄物を連続して洗浄する場合に、被洗浄物の破砕を抑制し、且つ、研ぎ汁成分や異物等の汚れ成分を十分に除去できる洗浄効率の良い連続洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明の連続洗浄方法は、以下の構成からなる。
(1)洗浄タンク内に被洗浄物を連続的に供給し、かつ高圧水および/または圧縮ガスを洗浄タンク下部から吐出させて被洗浄物を浮遊攪拌させながら洗浄し、この洗浄タンクから被洗浄物を水と共にエダクターにて吸込み、分離装置に吐出させて被洗浄物を水と分離し、分離装置で水と分離した被洗浄物を浸漬タンク内に導き、この浸漬タンク内で被洗浄物の浸漬を行うことを特徴とする連続洗浄方法。
(2)浸漬タンクでの浸漬が、気体溶解加圧水を大気開放して得られる微細気泡の存在下で行なわれる(1)記載の連続洗浄方法。
(3)洗浄タンク内に被洗浄物を連続的に供給し、かつ高圧水および/または圧縮ガスを洗浄タンク下部から吐出させて被洗浄物を浮遊攪拌させながら、この洗浄タンクから被洗浄物を水と共にエダクターにて吸込み、分離装置に吐出させて被洗浄物を水と分離し、水と分離した被洗浄物を別の洗浄タンクに導き、気体溶解加圧水を大気開放して得られる微細気泡により洗浄を行うことを特徴とする連続洗浄方法。
(4) 前記洗浄タンクが第1洗浄タンクと第2洗浄タンクとからなり、
(a) 第1洗浄タンク内に高圧水および/または圧縮ガスをタンク下部から吐出させて被洗浄物を浮遊攪拌させながら、この第1洗浄タンクから被洗浄物を水と共に第1のエダクターにて吸込み、
(b) 被洗浄物と水とを第2洗浄タンク内に吐出させ、高圧水および/または圧縮ガスをタンク下部から吐出させて被洗浄物を浮遊攪拌させながら、この第2洗浄タンクから被洗浄物を水と共に第2のエダクターにて吸込み、
(c)分離装置に吐出させて被洗浄物を水と分離する(1)〜(3)のいずれかに記載の連続洗浄方法。
(5)(a) 第1洗浄タンク内に高圧水および/または圧縮ガスをタンク下部から吐出させて被洗浄物を浮遊攪拌させながら、この第1洗浄タンクから被洗浄物を水と共に第1のエダクターにて吸込み、
(b) 被洗浄物と水とを第2洗浄タンク内に吐出させ、高圧水および/または圧縮ガスをタンク下部から吐出させて浮遊攪拌させながら、この第2洗浄タンクから被洗浄物を水と共に第2のエダクターにて吸込み、
(c) 分離装置に吐出させて被洗浄物を水と分離し、
(d) 水と分離した被洗浄物を第3洗浄タンクに導き、気体溶解加圧水を大気開放して得られる微細気泡により洗浄を行いながら、第3洗浄タンクから被洗浄物を水と共に第3のエダクターにて吸込み、
(e) ついで被洗浄物を水と共に浸漬タンク内に吐出させ、気体溶解加圧水を大気開放して得られる微細気泡の存在下で浸漬を行うことを特徴とする連続洗浄方法。
(6)前記第2洗浄タンクでは、高圧水および/または圧縮ガスによる浮遊攪拌と渦流とで被洗浄物を洗浄する(4)または(5)記載の連続洗浄方法。
(7)第1洗浄タンク内では高圧水および/または圧縮ガスによる浮遊攪拌で洗浄を行い、第2洗浄タンク内では高圧水および/または圧縮ガスによる浮遊攪拌と渦流との併用による洗浄を行い、第3洗浄タンク内では微細気泡と高圧水および/または圧縮ガスによる浮遊攪拌との併用による洗浄を行なう(5)または(6)記載の連続洗浄方法。
(8)前記気体溶解加圧水が循環流である(2)〜(7)のいずれかに記載の連続洗浄方法。
(9)前記エダクターの流量を流量計と調整弁により一定に保ち、かつ余分な高圧水を回収タンクに回収するようにした(1)〜(8)のいずれかに記載の連続洗浄方法。
【発明の効果】
【0013】
上記(1)の方法によれば、洗浄タンクを使用して被洗浄物を高圧水および/または圧縮ガスにより浮遊攪拌させることにより、迅速に洗浄を完了させることができる。また、被洗浄物の輸送手段してエダクターを使用したため、被洗浄物の破砕が少なく、破砕米等の発生率も低くすることができる。
【0014】
上記(2)の方法によれば、上記高圧水および/または圧縮ガスによる浮遊攪拌洗浄の完了後に、被洗浄物の一部に米糠等の汚れ成分が付着していても、被洗浄物を水と分離し、微細気泡を含む新しい洗浄水にて洗浄することにより汚れ成分をほぼ完全に除去することができる。また、微細気泡にて被洗浄物の浸漬を行うので、例えば、洗米・浸漬の場合、研ぎ汁成分が米粒内に浸透して炊飯後の御飯が糠臭くなるという問題がなくなる。
【0015】
上記(1)〜(5)の方法において、前段階での高圧水および/または圧縮ガスによる浮遊攪拌で洗浄後の洗浄廃液は全て排出するので、第3洗浄タンク(別の洗浄タンク)または浸漬タンク内の洗浄水は糠、異物等の汚れの少ない状態に保たれているため、これを循環させて使用しても洗浄効率が落ちることが少ない。従って、気体溶解加圧水を循環流にて生成させることが可能になり、多量の水を使う必要がなくなり、水の使用量が抑制される。
【0016】
上記(6)または(7)の方法によれば、高圧水および/または圧縮ガスにより浮遊攪拌する洗浄工程においては高圧水および/または圧縮ガスによる浮遊攪拌と輸送を同時に行い、また第2洗浄タンクでは渦流を構成させることで、より一層洗浄効果を増大させることができる。
【0017】
このように、本発明の連続洗浄方法は、従来のスクリュープロペラ式洗米・送米機や微細気泡によるバッチ式洗浄・浸漬装置に比べ、被洗浄物の破砕が少なく、かつ洗浄も連続式であるため少量づつの洗浄でよく、そのため洗浄タンク自体も少容量のものでよく、装置自体の小型化と設置面積の縮小化も図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の一実施形態を説明する。図1はこの実施形態に係る洗米・浸漬方法を実施するための装置の模式図である。
【0019】
この装置は、図1に示すように先ず第1洗浄ブロックAと第2洗浄・浸漬ブロックBとからなる。第1洗浄ブロックAは、貯米タンク1、第1洗浄タンク2、第2洗浄タンク3および圧力ポンプ7(渦巻ポンプ)を備える。第2洗浄・浸漬ブロックBは第3洗浄タンク5、分離装置4、既存設備の浸漬タンク10を備え、空気溶解加圧水形成装置6が閉水路Sの途中に配設されてある。また第1洗浄ブロックAと第2洗浄ブロックBに共通する機器として回収タンク9と圧力ポンプ8(渦巻ポンプ)とがある。
【0020】
第1洗浄ブロックAでは、貯米タンク1内の生米は貯米タンク1内下部に配設された第1洗浄タンク2に貯米タンク1下部の電動シャッター20が開いて米が投入される。前記シャッター20が開くとほぼ同時に圧力ポンプ7から管路P1を通って高圧水が送り出される。高圧水は米を浮遊攪拌するものと搬送するものとに2分割される。これら2つの管路P3、P4の途中には、流量を調整するための調整弁1V、2Vがあり、さらに進むと流量を測定するための流量計16、17が配設されてある。管路P3は第1洗浄タンク2の底部に接続される。
【0021】
第1洗浄タンク2の壁部には側面排出管路P5が設けられ、この排出管路P5は第1のエダクター151に接続される。第1のエダクター151には、搬送用の管路P4も接続される。管路P4には水圧を見るための圧力計18が設けられてあり、このものは第1のエダクター151の手前に配設されてある。第1のエダクター151は第1洗浄タンク2内で高圧水により浮遊攪拌した米を管路P5より吸込むものであり、このように吸込まれた米は管路P6を経て第2洗浄タンク3に搬送される。
【0022】
第2洗浄タンク3も第1洗浄タンク2とほぼ同様に構成される。すなわち、管路P1から分割された2つの管路P3、P4のうち、管路P3は調整弁1Vおよび流量計16を経て第2洗浄タンク3に接続され、一方、管路P4は調整弁2V、流量計17、圧力計18を経て第2のエダクター152に接続される。第2のエダクター152は、第2洗浄タンク3内で高圧水により浮遊攪拌した米を管路P5より吸込むものであり、このように吸込まれた米は管路P6を経て分離装置4に搬送される。
【0023】
圧力ポンプ7から管路P1を通って送り出された高圧水は、浮遊攪拌と米を搬送するものであって、水量および圧力は調整弁1V・2Vで調整する。その調整により発生した余分な高圧水は流量・流圧逃し弁3Vから管路P7を通って管路Sに送られる。
【0024】
分離装置4は上部が開口した受器42と、この受器42の上部開口に取付けられた斜め傾斜のパンチング板41とから構成されている。これにより、分離装置4に送り込まれた水と米はパンチング板41で水と米とに分離され、水は受器42の底部に接続した管路P8から排水溝(図示せず)へ排出される。米はパンチング板41から自然落下して第3洗浄タンク5内に流れ込む。なお、パンチング板41に代えて、網材を使用してもよい。
【0025】
第3洗浄タンク5には、米が流れ込む前に、あらかじめ空気溶解加圧水形成装置6から吐出され、調整弁4Vでの大気開放により微細気泡が発生した水が入れられている。調整弁4Vはタンク5に近接しているのがよい。第3洗浄タンク5内に流れ込んだ米は微細気泡と接触し浮遊攪拌される。また、タンク5の壁面には排出管路P5を通して第3のエダクター153が接続されている。これにより、第3洗浄タンク5の米は微細気泡水と共に管路P5から第3のエダクター153に吸込まれ、管路P6を通って浸漬タンク10に搬送される。
【0026】
空気溶解加圧水形成装置6は、閉水路Sの流れ方向に沿って加圧ポンプおよび圧力タンクをこの順に配設し、圧力タンクにコンプレッサーを接続したものである。なお、コンプレッサーに代えて、二酸化炭素ガス、窒素ガスなどの不活性ガス・ボンベを接続して、空気溶解加圧水でなく不活性ガス溶解加圧水を用いてもよい。
【0027】
第1〜第3のエダクター151、152、153の一例を図2に示す。同図に示すように、このエダクターは、管路P5が接続される接続部52を有する本体51と、この本体51の両側に一体に接続される水室53とディフューザー54とを備える。水室53には高圧水を送る管路P4が接続され、ディフューザー54には管路P6が接続される。本体51の内部には、水室53からディフューザー54に向かって順次径が小さくなるノズル55が設けらている。このため、ノズル55の先端から噴出する高圧水によって、被洗浄物は接続部52を経て本体51内に吸引され、高圧水と共にディフューザー54から吐出される。
【0028】
浸漬を所定の設定時間行った米は、浸漬タンク10下部に設けた電動弁11が開いて水と一緒に計量桝12に移行する。この計量桝12は米の計量と水切を同時に行うものであり、パンチング板などで構成されている。計量桝12の下部には水受け皿31と釜14に米を投入するためのシャッター13とが設けられている。水受け皿31で受けた水は従来方式だと全て外部排水溝へ放出していたが、この実施形態では管路Sから回収タンク9に回収することで水の削減を図っている。釜14はベルトコンベヤなどによってシャッター13の下方に搬送される。
【0029】
前記回収タンク9は、図3に示すように回収タンク上部吐出口23は渦流が形成できる構造を有し、この渦流を形成させることにより閉水路Sを通って回収された濁った水を回収タンク9の中心部にある排水桝22から排水管路P12を経て外部に放出することができる。また、回収タンク9の上限水位には泡が発生するため、その泡を破壊し除去するためにて排水桝22の上縁部を凸凹のあるノコギリ状の構造にしている。
【0030】
第1洗浄タンク2、第2洗浄タンク3、第3洗浄タンク5の底部に設けられる高圧水吐出口は、タンク内の濁れ等を排出するための排出口としても機能し、このための排出弁5Vが管路P8に設けてある。各タンク2,3,5内の排出物は管路P8から排水溝へ送り出される。また、タンク側面に設けられる米排出用の管路P5は、一端がタンク内部に突出しており、その先端は米を受け易くするために斜め傾斜になっている。
【0031】
第1洗浄タンク2、第2洗浄タンク3で高圧水にて浮遊攪拌洗浄と搬送とを同時に行った洗浄水は、第3洗浄タンク5手前の分離装置4で排出される。また第1洗浄タンク2、第2洗浄タンク3および第3洗浄タンク5の上部位置には、汚れ成分を含んだ洗浄水の排水桝32がそれぞれ配設されてあり、このオーバーフローした洗浄水も管路P9を通って排水溝へ排出される。
【0032】
一方、空気溶解加圧水形成装置6を始点として吐出された空気溶解加圧水は2方向に分かれ、一方は第3洗浄タンク5手前の調整弁4Vで大気開放され、他方は浸漬タンク10手前の調整弁4Vで大気開放される。浸漬タンク10内の微細気泡水は一部が上限水位分岐路33から閉水路Sを通って回収タンク9に至る。また、回収タンク9から吐出された洗浄水は微細気泡発生装置6に至って閉水路を閉じている。
【0033】
この装置の操作手順を説明する。先ず装置の稼動前に、前記閉水路S内に給水して水路内を完全に水で満たす。給水は浸漬タンク10内に接続された電磁弁6Vを開いて給水パイプP11から給水を行うほか、回収タンク9のボールタップ21により給水パイプP10から給水を行う。
【0034】
次に、図示しない昇降機が稼働して米Rがバケット搬送され貯米タンク1に投入された段階で圧力ポンプ7が稼働し、管路P1から送られてきた高圧水は管路P3、P4を通って、一方は第1洗浄タンク2下部から吐出され、それと同時に、またはその後に、貯米タンク1のシャッター20が開いて第1洗浄タンク2に米Rが投入される。この段階で高圧水による浮遊攪拌が始まり、タンク側面の排出管路P5から米Rは第1のエダクター151に吸込まれ管路P6から第2洗浄タンク3内に吐出される。前記第2洗浄タンク3手前の吐出口は米Rの洗浄効果を高める手段として図4に示すように渦流形成手段として吐出口24を渦流方向にすることで解決を図っている。
【0035】
第2洗浄タンク3内では渦流形成と高圧水による浮遊攪拌とを同時に行うことによりタンク側面管路P5から第2のエダクター152がより速く米が搬送できることと洗浄効果の増加を図るものである。そのように洗浄された米Rは管路P6から第3洗浄タンク5手前の分離装置4に搬送される。
【0036】
分離装置4に搬送された米Rは水と分離され、米Rは第3洗浄タンク5内に落下して流れ込む。この第3洗浄タンク5内はすでに微細気泡を含む水で満たされている。分離装置4で洗浄水と分離した米Rに表面には研ぎ汁成分や異物等が付着しているため、それを微細気泡の浮上分離の力で除去する。このようにして除去された研ぎ汁成分、異物等は微細気泡水の洗浄水と一緒に分岐路から排水桝32を通って管路P9から排水溝へ排出するか、あるいは閉水路Sを通って回収タンク9に回収し再使用する。また圧力ポンプ8は微細気泡洗浄の途中で間欠的に稼働を行うことで管路P2を通って高圧水を第3洗浄タンク5に送って米を浮遊攪拌しながら、タンク側面管路P5から第3のエダクター153で米を吸引・排出し、管路P6から浸漬タンク10に搬送する。すなわち、管路P2から分割された2つの管路P3、P4のうち、管路P3は調整弁1Vおよび流量計16を経て第2洗浄タンク3に接続され、管路P4は調整弁2V、流量計17、圧力計18を経てエダクター15に接続される。
【0037】
浸漬タンク10内への米Rの吐出は連続式であり、浸漬タンク10の下部から米Rは蓄積され、浸漬を所定の設定時間行う。設定時間経過後、電動弁11が開いて下部計量桝12に水と一緒に米を吐出し、計量桝12が設定量満たした段階で電動弁11が閉まり計量桝12下部のシャッター13が開いて釜14に洗浄・浸漬された米Rが投入される。上記一連の動作は連続的に行うものであり、水の循環も閉水路Sを通して循環させる。
【0038】
閉水路Sの途中に配設した回収タンク9には、浸漬タンク10上限水位分岐路から放出された洗浄水と、計量桝12の下部受け皿31および第1洗浄タンク2および第2洗浄タンク3内浮遊攪拌高圧水およびエダクター15搬送用調整で余った水と、第3洗浄タンク5の上限水位分岐路から閉水路Sを通って回収タンク9に回収された洗浄水が収容される。この水は少量の研ぎ汁成分や異物を含んでいるため、回収タンク9に吐出された時に発生する研ぎ汁成分や異物を含む泡等を除去・排出する目的で回収タンク9中心部の上限水位位置に排水桝22を配設している。
【0039】
このように、第1洗浄ブロックAで前洗浄処理された米は、分離装置4で水と分離されるので、従来の同一タンク内での洗浄・浸漬とは異なり研ぎ汁成分等をほとんど含まないため、浸漬タンク10内の濁度も低く、また研ぎ汁成分等が米の内部に移行して生じる炊飯後のいやな臭いもない。さらに、第2洗浄・浸漬ブロックBにて排出された洗浄水は閉水路Sを通って回収タンク6に回収されるため水使用量の削減にもなる。
【0040】
なお、第3洗浄タンク5は必要に応じて省略することができる。この場合には、分離装置4を浸漬タンク10の上部に設置すればよい。その際、必要に応じて、米Rの表面に付着した研ぎ汁成分や異物等浸漬タンク10内で微細気泡の浮上分離の力で除去してもよい。
【0041】
また、連続式炊飯釜に対する米の投入量は釜の大きさとコンベアーの速さによって決まるが、釜容量等が大きくなったり釜の輸送スピードが速くなった場合にも洗浄タンク数を増加するなどして対応可能である。
【0042】
上記の実施形態では、洗浄タンク下部から高圧水を吐出させて被洗浄物を浮遊攪拌させたが、高圧水に代えて圧縮空気、圧縮窒素ガス、圧縮炭酸ガスなどの圧縮ガスを用いてもよく、また、高圧水と圧縮ガスとを併用してもよい。
【0043】
圧縮ガスを用いる場合、コンプレッサーなどの圧縮ガス供給装置(図示せず)に一端が接続され、散気管40に他端が接続された管路P30と、洗浄タンク2、3、5下部側面に設けた給水管P70が使用される。管路P30には、浮遊攪拌を行う設定時間の前後でON/OFFをし、圧縮ガスの注入を制御する電磁弁80Vと、圧縮ガス流量を調整するための調整弁60Vが配設されている。前記電磁弁80Vは圧縮ガス注入の設定時間内は開き、設定時間外は圧縮ガスを遮断する。圧縮ガスを用いる場合は、前記圧縮ガス装置から出る圧縮ガスを、管路P30を通して散気管40に送り、そこから圧縮ガスを吐出させて被洗浄物を浮遊攪拌させる。この場合、調整弁1Vにより管路P3は予め閉じておくのがよく、また、搬送吸込側電磁弁90Vは閉じる。圧縮ガスの遮断時は、前記搬送吸込側電磁弁90Vは開いておく。洗浄タンク2、3、5には圧縮ガスと共に、洗浄タンク2、3、5から排出される水に対応する量の水が給水管P70を通して連続的に供給される。なお、洗浄タンク5につながる管路P30に接続される圧縮ガス供給装置は、微細気泡洗浄の途中で間欠的な稼動ができるよう、洗浄タンク2、3につながる管路P30に接続される圧縮ガス供給装置とは独立した装置を用いるのがよい。その他は、前記の実施形態と同様である。
【0044】
高圧水と圧縮ガスとを併用する場合、管路P3からの高圧水、管路P30からの圧縮ガス、給水管P70からの給水および側面排出管路P5からの排出水、の各流量バランスを制御して、洗浄タンク2、3、5下部から高圧水の吐出および散気管40からの圧縮ガスの吐出により被洗浄物を浮遊攪拌させる。その他は、前記の実施形態と同様である。なお、給水管P70からの給水は必要に応じて行えばよい。また、洗浄タンク5につながる管路P30に接続される圧縮ガス供給装置は、上記同様、洗浄タンク2、3につながる管路P30に接続される圧縮ガス供給装置とは独立した装置を用いるのがよく、この場合、稼動のタイミングは高圧水の稼動と同期をとるのがよい。
【0045】
なお、洗浄タンク5への高圧水の注水には、より汚れや濁りの少ない水を使って被洗浄物を浮遊攪拌させるのが好ましい。そのため、図5に示すように、給水・回収タンク9に代えて別の給水・回収タンク99を使用してもよい。この場合、浸漬タンク10内の微細気泡水の一部は上限水位分岐路33から閉水路Sを通って給水・回収タンク99に至る。また、給水・回収タンク99から吐出された洗浄水は微細気泡発生装置6に至って閉水路を閉じる。その他は、前記の実施形態と同様である。
【0046】
上記実施形態では、洗米・浸漬方法を説明したが、米以外の穀類、豆類、海産物、種子類、香辛料原料、魚卵類等を連続的に洗浄する連続洗浄方法にも同様にして適用可能である。その際、必要に応じて、浸漬タンク10を使用せず、第3洗浄タンク5から洗浄物を直接、次工程に送るようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態かかる連続洗米・浸漬方法を実施するための装置の模式図である。
【図2】本発明におけるエダクターの一例を示す一部破断正面図である。
【図3】回収タンクの構造を示す概略平面図である。
【図4】第2洗浄タンクの概略平面図である。
【図5】図1で第3洗浄タンクおよび浸漬タンクへの給水・回収タンクを代えた場合の模式図である。
【符号の説明】
【0048】
1 貯留タンク
2 第1洗浄タンク
3 第2洗浄タンク
4 分離装置
5 第3洗浄タンク
6 空気溶解加圧水形成装置
7 圧力ポンプ
8 圧力ポンプ
9 回収タンク
10 浸漬タンク
151 第1のエダクター
152 第2のエダクター
153 第3のエダクター
R 米(被洗浄物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄タンク内に被洗浄物を供給し、かつ高圧水および/または圧縮ガスを洗浄タンク下部から吐出させて被洗浄物を浮遊攪拌させながら、この洗浄タンクから被洗浄物を水と共にエダクターにて吸込み、分離装置に吐出させて被洗浄物を水と分離し、
分離装置で水と分離した被洗浄物を浸漬タンク内に導き、この浸漬タンク内で被洗浄物の浸漬を行うことを特徴とする連続洗浄方法。
【請求項2】
浸漬タンクでの浸漬が、気体溶解加圧水を大気開放して得られる微細気泡の存在下で行なわれる請求項1記載の連続洗浄方法。
【請求項3】
洗浄タンク内に被洗浄物を供給し、かつ高圧水および/または圧縮ガスを洗浄タンク下部から吐出させて被洗浄物を浮遊攪拌させながら、この洗浄タンクから被洗浄物を水と共にエダクターにて吸込み、分離装置に吐出させて被洗浄物を水と分離し、
水と分離した被洗浄物を別の洗浄タンクに導き、気体溶解加圧水を大気開放して得られる微細気泡により洗浄を行うことを特徴とする連続洗浄方法。
【請求項4】
前記洗浄タンクが第1洗浄タンクと第2洗浄タンクとからなり、
第1洗浄タンク内に高圧水および/または圧縮ガスをタンク下部から吐出させて被洗浄物を浮遊攪拌させながら、この第1洗浄タンクから被洗浄物を水と共に第1のエダクターにて吸込み、
被洗浄物と水とを第2洗浄タンク内に吐出させ、高圧水および/または圧縮ガスをタンク下部から吐出させて被洗浄物を浮遊攪拌させながら、この第2洗浄タンクから被洗浄物を水と共に第2のエダクターにて吸込み、
分離装置に吐出させて被洗浄物を水と分離する請求項1〜3のいずれかに記載の連続洗浄方法。
【請求項5】
第1洗浄タンク内に高圧水および/または圧縮ガスをタンク下部から吐出させて被洗浄物を浮遊攪拌させながら、この第1洗浄タンクから被洗浄物を水と共に第1のエダクターにて吸込み、
被洗浄物と水とを第2洗浄タンク内に吐出させ、高圧水および/または圧縮ガスをタンク下部から吐出させて浮遊攪拌させながら、この第2洗浄タンクから被洗浄物を水と共に第2のエダクターにて吸込み、
分離装置に吐出させて被洗浄物を水と分離し、
水と分離した被洗浄物を第3洗浄タンクに導き、気体溶解加圧水を大気開放して得られる微細気泡により洗浄を行いながら、第3洗浄タンクから被洗浄物を水と共に第3のエダクターにて吸込み、
ついで被洗浄物を水と共に浸漬タンク内に吐出させ、気体溶解加圧水を大気開放して得られる微細気泡の存在下で浸漬を行うことを特徴とする連続洗浄方法。
【請求項6】
前記第2洗浄タンクでは、高圧水および/または圧縮ガスによる浮遊攪拌と渦流とで被洗浄物を洗浄する請求項4または5記載の連続洗浄方法。
【請求項7】
第1洗浄タンク内では高圧水および/または圧縮ガスによる浮遊攪拌で洗浄を行い、第2洗浄タンク内では高圧水および/または圧縮ガスによる浮遊攪拌と渦流との併用による洗浄を行い、第3洗浄タンク内では微細気泡と高圧水および/または圧縮ガスによる浮遊攪拌との併用による洗浄を行なう請求項5または6記載の連続洗浄方法。
【請求項8】
前記気体溶解加圧水が循環流である請求項2〜7のいずれかに記載の連続洗浄方法。
【請求項9】
前記エダクターの流量を流量計と調整弁により一定に保ち、かつ余分な高圧水を回収タンクに回収するようにした請求項1〜8のいずれかに記載の連続洗浄方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−845(P2006−845A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143588(P2005−143588)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(501014980)
【Fターム(参考)】