説明

遊技場の監視装置

【課題】出玉率が高く設定されている事実を知りつつ遊技しているであろうと思われる人物を特定する。
【解決手段】遊技場の監視装置は、遊技場内に設けられ出玉率を変更可能に構成された複数の遊技機10と、遊技場内の所定領域を撮像可能な撮像手段30と、撮像手段を制御する撮像コントローラ33と、撮像手段により撮像された映像を蓄積可能に構成された映像蓄積手段35とを備える。出玉率が高く設定された遊技機を特定可能な遊技機特定手段21と、各遊技機10における遊技が開始された情報を出力可能な遊技情報出力手段10aとを備え、撮像コントローラは出玉率が高く設定されたとして特定された遊技機からの遊技情報に基づいて撮像手段を制御し、その撮像手段は遊技機特定手段により特定されて遊技が開始された遊技機で遊技する遊技者を撮像するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の遊技機が設けられた遊技場内を撮像手段により撮像して監視する遊技場の監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機やパチスロ機等の遊技機か複数設けられた遊技場では、それらの遊技機により得られた遊技媒体であるパチンコ玉やメダルを集めることにより景品と交換可能なシステムを有している。このため、その景品等を不当に得るために遊技機に対して不正電波の発信や異物混入などの不正行為が一部の心ない遊技者により行われことがあり、不正行為が成された遊技機では異常が発生して遊技媒体であるパチンコ玉やメダルが払い出されてしまうことがあった。そして、これらの不正行為を防止するために、その遊技場内を撮像手段により撮像し、不正行為の有無を監視する遊技場の監視装置(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
【0003】
この遊技場の監視装置では、一台の監視ビデオカメラで複数の遊技機を視界に納めて各遊技機を監視し、遊技機などに設けられた異常検知手段にて検知された情報をホールコンピュータなどの判断処理部において解析し、解析した情報が判断処理部で異常状態であると判定された場合、判断処理部にて駆動手段を制御して異常のあった遊技機に監視ビデオカメラをセットしている。そして、監視ビデオカメラは、異常のある遊技機をズームレンズによりクローズアップして、遊技機が見易く拡大された映像を表示手段に映し出している。クローズアップした映像は判断処理部の指示を受けて、少なくとも異常状態の映像情報を映像記録手段に記録して、後に表示部により反復して再生することにより、遊技機を特定し異常の状況を把握して不正行為を行なったと思われる人物を特定していた。
【特許文献1】特許第2688684号(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の遊技場の監視装置では、監視ビデオカメラにおいて異常状態と判断された遊技機に対して、予め設定された監視状態に駆動制御して撮像するだけであった。このため、異常状態と判断された段階で不正行為者と思われる人物が移動していた場合には、その不正行為者と思われる人物を特定することができない不具合があった。
また、遊技機自体は、その遊技媒体であるパチンコ玉やメダルの出玉率を増減可能に構成されており、その出玉率を増減させた事実を知っているものが不正に加われば、遊技者が遊技機に対して不正電波の発信や異物混入などの不正行為を行うことなく、出玉率が高く設定されている遊技機で順次遊技することにより、遊技媒体であるパチンコ玉やメダルを適正に得ることができることになる。しかし、このような行為も、本来秘密にされなければならない事実、即ち出玉率が高く設定されている事実が外部に漏れていることに起因することであり、不正使用の一形態といえ、このような行為も有効に防止する必要がある。
本発明の目的は、出玉率が高く設定されている事実を知りつつ遊技しているであろうと思われる人物を特定し得る遊技場の監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、遊技場内に設けられ出玉率を変更可能に構成された複数の遊技機10と、遊技場内の所定領域を撮像可能な撮像手段30と、撮像手段30を制御する撮像コントローラ33と、撮像手段30により撮像された映像を蓄積可能に構成された映像蓄積手段35とを備えた遊技場の監視装置の改良である。
その特徴ある構成は、出玉率が高く設定された1又は2以上の遊技機10を特定可能な遊技機特定手段21と、複数の遊技機10に設けられ各遊技機10における遊技情報を出力可能な遊技情報出力手段10aとを備え、撮像コントローラ33は遊技機特定手段21により出玉率が高く設定されたとして特定された遊技機10からの遊技情報に基づいて撮像手段30を制御するように構成され、撮像コントローラ33により制御された撮像手段30は遊技機特定手段21により特定されかつ遊技情報により遊技が開始されたと判断される遊技機10で遊技する遊技者を撮像するように構成されたところにある。
【0006】
この請求項1に記載された遊技場の監視装置では、撮像手段30が遊技機特定手段21により特定されて遊技が開始された遊技機10で遊技する遊技者を撮像するので、例えばパチンコ機10の出玉率を増減させた事実を知っているものが不正に加わり、そのものが直接又はその情報を漏らした第三者が出玉率が高く設定されている遊技機で順次遊技するような事態が生じたとしたならば、映像蓄積手段35に蓄積された遊技者の中でそのものが占める割合が上昇する。従って、映像蓄積手段35に蓄積された遊技者の中で所定以上の割合で撮像された遊技者を、出玉率が高く設定されている事実を知りつつ遊技しているであろうと思われる人物として特定することが可能になる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の遊技場の監視装置では、出玉率が高く設定された遊技機を特定可能な遊技機特定手段と、各遊技機における遊技情報を出力可能な遊技情報出力手段とを備え、撮像コントローラは遊技機特定手段により出玉率が高く設定されたとして特定された遊技機からの遊技情報に基づいて撮像手段を制御するように構成され、撮像コントローラにより制御された撮像手段は遊技機特定手段により特定されかつ遊技情報により遊技が開始されたと判断される遊技機で遊技する遊技者を撮像するように構成したので、例えばパチンコ機の出玉率を増減させた事実を知っているものが不正に加わり、そのものが直接又はその情報を漏らした第三者が出玉率が高く設定されている遊技機で順次遊技するような事態が生じたとしたならば、映像蓄積手段に蓄積された遊技者の中でそのものが占める割合が上昇する。従って、映像蓄積手段に蓄積された遊技者の中で所定以上の割合で撮像された遊技者を、出玉率が高く設定されている事実を知りつつ遊技しているであろうと思われる人物として特定することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図3及び図4に示すように、遊技場には、パチンコ機やパチスロ機等の遊技機が複数設置される。図には、遊技機としてのパチンコ機10が複数設置された例を示し、このパチンコ機10は、このパチンコ機10で使用するパチンコ玉を貸し出す遊技媒体貸出装置11を介して複数並設される。図4に詳しく示すように、遊技媒体貸出装置11は、硬貨投入口11aから投入された硬貨の枚数に応じてパチンコ玉をその下部に設けられた排出口11bから排出するように構成される。また、パチンコ機10は、遊技者によって発射されたパチンコ玉が移動してゲームを進行させるための各種部品が取り付けられた遊技盤12を前面ガラスの内側に備え、その下方正面に、パチンコ玉の受け皿13や、遊技者がパチンコ玉の打ち出し操作するためのハンドル14等を備える。
【0009】
遊技盤12には、発射されたパチンコ玉を遊技盤12と前面ガラスの間の遊技領域へ導くための誘導レール15と、遊技領域を流下するパチンコ玉の流れに変化を与える図示しない多数の釘や風車が配置される。遊技領域の中央には、液晶ディスプレイ等で構成された特賞用ルーレット16があり、さらにその下方に始動口17が設けられ、この始動口17の更に下方には特賞入賞口18が配置される。また、遊技領域には各種の入賞口12aが設けられ、遊技盤12の最下部には何れの入賞口12aや始動口17及び特賞入賞口18にも入らず落下したパチンコ玉をパチンコ機10外に排出するためのアウト口19が設けられる。始動口17や特賞入賞口18又は通常の入賞口12aにパチンコ玉が入賞すると所定数のパチンコ玉が賞として受け皿13に払い出されるように構成される。そして、始動口17や特賞入賞口18又は通常の入賞口12aに入賞するパチンコ玉の流下経路およびその近傍の釘の向きや間隔を調整することで、パチンコ機10は出玉率を変更可能に構成される。
【0010】
このような構成のパチンコ機10が複数併設されて遊技島9(図3)が構成され、それぞれのパチンコ機10の上部には、パチンコ機10毎に表示器20が設けられる。図4に示すように、各パチンコ機10に対応して設けられた表示器20には複数の単位発光体20aが設けられ、これらの単位発光体20aを点灯又は消灯させて対応するパチンコ機10に関するデータを表示するように構成される。この実施の形態におけるパチンコ機10に関するデータとは、表示器20に対応するパチンコ機10の稼働状況,特賞回数,特賞確率,出玉数及びスタート回数である。ここでパチンコ機10の稼働状況とは、対応するパチンコ機10で顧客が遊技をしているか否かを示し、特賞回数とは遊技玉が始動口17に入って、パチンコ機10中央に設けられたルーレット16における3つのデジタル表示の数字又は絵が回転し、これらの数字又は絵が全て揃った回数である。また特賞確率とは、上記ルーレット16における数字又は絵が揃った回数を、遊技玉が始動口17に入った回数で割った数値である。更に出玉数とは顧客が獲得した遊技玉の数であり、スタート回数とは遊技玉が始動口17に入った回数である。そして表示器20は横方向に並んで線状に配設された複数の単位発光体20aの発光する数により稼働状況等を表示するように構成される。
【0011】
なお、この表示器20の左右の端部には複数のスイッチ20bが設けられ、表示器20の左右の外側にはそられのスイッチ20bに対応する発光体20cが設けられる。これらのスイッチ20bは店員との連絡のためものであり、これらのスイッチ20bを操作すると、そのスイッチ20bに対応して設けられた発光体20cが点灯するように構成され、発光体20cが点灯するとその発光体20cごとに異なる色彩を放つように構成される。そして、その発光体20cが放つ色彩及びその発光体20cの位置により遊技者が要求するサービスを特定できるように構成される。
【0012】
図3に示すように、各パチンコ機10には遊技情報出力手段10aが内蔵され、この遊技情報出力手段10a及び表示器20は、それぞれホールコンピュータ21に接続される。このホールコンピュータ21は、遊技場に設置されるパーソナルコンピュータやワークステーション等の情報処理装置からなり、表示手段であるディスプレイ21aと入力装置であるキーボード21bと出力手段であるプリンタ21cが接続される。そして、各パチンコ機10に内蔵された遊技情報出力手段10aからはそれが内蔵されたパチンコ機10における遊技情報をホールコンピュータ21に出力するように構成される。この遊技情報出力手段10aが出力する遊技情報とは、そのパチンコ機10のセーフ玉数,アウト玉数,入賞回数等が挙げられる。情報出力手段10aから出力される遊技情報はホールコンピュータ21に入力されて管理され、そのホールコンピュータ21は入力された遊技情報に基づいて表示器21を制御するように構成される。即ち、ホールコンピュータ21は、パチンコ機10に対応する表示器20の横方向に並んで線状に配設された複数の単位発光体20aを遊技データに基づいて点灯(点滅)又は消灯させ、横方向に並んで線状に配設された複数の単位発光体20aの発光する数により稼働状況等を表示するように構成される。
【0013】
一方、パチンコ機10は、前述したようにパチンコ玉の流下経路およびその近傍の釘の向きや間隔を調整することで出玉率を変更可能に構成され、出玉率を変更した作業者はホールコンピュータ21に接続されたキーボード21bを操作することにより、変更した出玉率をホールコンピュータ21に入力可能に構成される。従って、このホールコンピュータ21は、作業者が入力した出玉率に基づいて、出玉率が高く設定された1又は2以上のパチンコ機10を特定可能に構成される。この出玉率とは、パチンコ機10の遊技領域に打ち込まれたパチンコ玉の数と、賞として受け皿13に払い出されたパチンコ玉の数の比として表されるものである。このため、この出玉率が高いと比較的多くの遊技媒体であるパチンコ玉を賞球として得ることができると予測され、この出玉率が低いと賞球としてのパチンコ玉を受け皿13に払い出させることが困難になると予測される。このため、この出玉率は秘密事項として取り扱われ、表示器20に表示される情報に含まれることはなく、ホールコンピュータ21を操作しうる遊技場関係者のみが知りうる事項として取り扱われる。
【0014】
また、ホールコンピュータ21は、情報出力手段10aから出力される遊技情報に基づいて、その情報出力手段10aが設けられたパチンコ機10における遊技の開始及び終了を判断可能に構成される。この遊技の開始及び終了の判断は、パチンコ機10の遊技領域にパチンコ玉の打ち込みがあるか否かにより判断される。具体的には、その遊技領域に設けられた各種の入賞口12aや始動口17及び特賞入賞口18へパチンコ玉が入賞しており、及びこれらのいずれにも入らず落下したパチンコ玉を排出するアウト口19からのパチンコ玉が排出されており、並びに受け皿13への賞としてのパチンコ玉の払い出されていれば、ホールコンピュータ21はそのパチンコ機10において遊技が開始されていると判断される。一方、遊技領域に設けられた各種の入賞口12aや始動口17及び特賞入賞口18のいずれにもパチンコ玉が入賞しておらず、及びアウト口19からパチンコ玉が排出されてもおらず、並びに受け皿13への賞としてのパチンコ玉の払い出しもない場合には、ホールコンピュータ21はそのパチンコ機10において遊技が終了したと判断される。
【0015】
図1に示すように、この遊技場には、遊技場内の所定領域を撮像可能な撮像手段30が設けられる。撮像手段30は、所定数の追尾カメラ31と、カメラ操作部32を備える。追尾カメラ31は、監視対象となるパチンコ機10を撮像,監視するものであり、カメラのズーム倍率を変更する電動ズームレンズ31aが備えられるとともに、電動雲台31bに搭載されて追尾カメラ31を水平面内で回転する回転角と追尾カメラを鉛直面において傾斜させて水平面と成す角度で表されるチルト角が変更可能になっている。この実施の形態における追尾カメラ31は、図2に示したように、遊技場の遊技島9と遊技島9の間の通路の天井に設置され、各追尾カメラ31は、遊技島9を構成するパチンコ機10を含む所定領域を一度に撮像可能に構成される。
【0016】
図1に戻って、カメラ操作部32は、各追尾カメラ31の駆動制御手段であり、撮像コントローラ33に接続される。撮像コントローラ33は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置からなり、表示手段であるディスプレイ33aと入力装置であるキーボード33bとを備える。カメラ操作部32はこの撮像コントローラ33により制御され、各カメラ31に備えられた電動ズームレンズ31aを駆動してズーム倍率を変更,調整するとともに、各カメラを搭載した電動雲台31bを駆動してカメラ31の回転角,チルト角を変更,調整可能に構成される。そして、この各追尾カメラ31は、撮像コントローラ33からの指令により、カメラ操作部32を介してパチンコ機10毎に設定された回転角,チルト角,ズーム倍率で各パチンコ機10を撮像可能に構成される。
【0017】
また、この各追尾カメラ31には複数のテレビモニタ34が接続され、撮像手段30により撮像された映像を蓄積可能に構成された映像蓄積手段35が更に接続される。複数のテレビモニタ34は、各追尾カメラ31が撮像した映像を対応するテレビモニタ34に映し出すようになっている。即ちこのテレビモニタ34は、追尾カメラ31が撮像したパチンコ機10及びその周辺の映像を映し出すモニタであり、各追尾カメラ31に一対一に対応して備えられている。そして、各追尾カメラ31で撮影される複数のパチンコ機10の映像は、順次あるいは任意に切り替えられてテレビモニタ34に表示され、常時監視されるようになっている。また、テレビモニタ34に接続された映像蓄積手段35は、例えば、ハードディスク,ビデオデッキ等のデータ記録手段からなり、追尾カメラ操作部32の制御により、テレビモニタ34に映し出された映像を記録するようになっている。
【0018】
撮像コントローラ33はホールコンピュータ21と接続され、遊技機特定手段として機能するホールコンピュータ21から遊技機であるパチンコ機10に関する情報を取得可能に構成される。このホールコンピュータ21から取得し得る情報には出玉率が高く設定された1又は2以上の遊技機に関する情報が含まれ、撮像コントローラ33は出玉率が高く設定されたとして特定された遊技機であるパチンコ機10からの遊技情報に基づいて撮像手段30を制御するように構成される。撮像コントローラ33には磁気ディスク,光ディスク,半導体メモリ,その他任意のコンピュータで読取り可能な記録媒体が設けられ、この記憶媒体には、カメラ選択プログラムと、選択されたカメラ31の回転角及びチルト角を設定する角度設定プログラムと、そのカメラ31のズームレンズ31aを設定する焦点設定プログラムと、その追尾カメラ31のズーム倍率を設定するズーム倍率設定プログラムが記憶される。
【0019】
カメラ選択プログラムは、遊技機特定手段として機能するホールコンピュータ21により出玉率が高く設定されたとして特定されたパチンコ機10の近傍に位置する追尾カメラ31を選択するプログラムであり、角度設定プログラムは、選択された追尾カメラ31をそのカメラ31の撮像画面上に対象となるパチンコ機10を中心とする周囲を表示するようにそのカメラ31の回転角及びチルト角を設定するプログラムである。また、焦点設定プログラムは、そのパチンコ機10で遊技する遊技者に焦点を合わせるようにそのカメラ31のズームレンズ31aの焦点を設定するプログラムであり、ズーム倍率設定プログラムは、その遊技者に焦点を合わせた追尾カメラ31からその遊技者までの距離情報を入力してその追尾カメラ31のズーム倍率を計算して設定するプログラムである。これらのプログラムは、記録媒体から必要に応じて読み出されて撮像コンピュータ33にインストールされ、実行されるように構成される。そして撮像コントローラ33において実行されるこれらのプログラムにより撮像手段30は制御され、その撮像手段30は遊技機特定手段21により特定されて遊技が開始されたパチンコ機10で遊技する遊技者を撮像するように構成される。
【0020】
このように構成された遊技場の監視装置における動作を説明する。
遊技機特定手段として機能するホールコンピュータ21からの情報により撮像コントローラ33は出玉率が高く設定されたパチンコ機10を特定する。そして、その特定されたパチンコ機10に設けられた遊技情報出力手段10aが出力する遊技情報からその遊技機であるパチンコ機10における遊技が開始されたとホールコンピュータ21が判断すると、そのホールコンピュータ21からの情報に基づいて撮像コントローラ33は撮像手段30を制御する。具体的に説明すると、その撮像コントローラ33は記録媒体からカメラ選択プログラムを読み出してインストールし、そのプログラムに従って、遊技機特定手段として機能するホールコンピュータ21により出玉率が高く設定されたとして特定されたパチンコ機10の近傍に位置する追尾カメラ31を選択する。
【0021】
次に撮像コントローラ33は記録媒体から角度設定プログラムを読み出してインストールし、そのプログラムに従って、選択された追尾カメラ31をそのカメラ31の撮像画面上に対象となるパチンコ機10を中心とする周囲を表示するようにそのカメラ31の回転角及びチルト角を設定し、カメラ操作部32にコマンドが送られ、特定された追尾カメラ31の電動雲台31bが駆動制御される。このようにして、出玉率が高く設定されたとして特定されたパチンコ機10近傍に位置する追尾カメラ31が回転するとともにそのチルト角が変更され、追尾カメラ31のズームレンズ31aはその特定されたパチンコ機10に向けられる。次に撮像コントローラ33は記録媒体から焦点設定プログラムを読み出してインストールし、そのプログラムに従ってそのカメラ31のズームレンズ31aの焦点を設定し、そのパチンコ機10で遊技する遊技者にそのズームレンズ31aの焦点を合わせる。
【0022】
更に撮像コントローラ33は記録媒体からズーム倍率設定プログラムを読み出してインストールし、そのプログラムに従ってその遊技者に焦点を合わせた追尾カメラ31からその遊技者までの距離情報を入力してその追尾カメラ31のズーム倍率を計算して設定する。これにより追尾カメラ31のズームレンズ31aの倍率が上昇し、そのパチンコ機10で遊技を開始した遊技者を特定できるようにその容姿は拡大された状態で撮像される。このように撮像された映像はモニタ32aに表示されるとともに、映像蓄積手段35に記憶されて蓄積される。従って、この映像蓄積手段35には出玉率が高く設定されたパチンコ機10で遊技した全ての遊技者が、その容姿を特定できるような状態で撮影されて蓄積される。
【0023】
ここで、パチンコ機10の出玉率を増減させた事実を知っているものが不正に加わり、そのものが直接又はその情報を得た第三者が出玉率が高く設定されている遊技機で順次遊技するような事態が生じたとしたならば、映像蓄積手段35に蓄積された遊技者の中でそのものが占める割合が上昇する。従って、映像蓄積手段35に蓄積された遊技者の中で所定以上の割合で撮像された遊技者は、本来秘密にされなければならない事実、即ち出玉率が高く設定されている事実を知った上で遊技している可能性が高いといえる。従って、本発明における遊技場の監視装置では、出玉率が高く設定されている事実を知りつつ遊技しているであろうと思われる人物を特定することが可能になる。
また、本発明における遊技場の監視装置では、遊技機特定手段として機能するホールコンピュータ21により特定された遊技機10で遊技する遊技者を、遊技の開始とともにその容姿を認識し得るように撮像するので、その遊技者がその後移動したとしても、その遊技者を確実に特定することができる。
【0024】
なお、上述した実施の形態では、遊技機としてパチンコ機10を用いて説明したが、遊技機はメダルを遊技媒体とするパチスロ機であっても良い。この場合における出玉率とは、パチスロ機に投入されたメダルの数と、賞として払い出されたメダルの数の比として表されることになる。
また、上述した実施の形態では、ホールコンピュータ21が遊技機特定手段として機能し、そのホールコンピュータ21が、情報出力手段10aから出力される遊技情報に基づいて、その情報出力手段10aが設けられたパチンコ機10における遊技の開始及び終了を判断可能に構成される場合を説明したが、ホールコンピュータ21から得られる情報により、撮像コントローラ33が出玉率が高く設定された1又は2以上の遊技機を特定する遊技機特定手段として機能するようにしてもよく、その撮像コントローラ33が、情報出力手段10aから出力される遊技情報に基づいて、その情報出力手段10aが設けられたパチンコ機10における遊技の開始及び終了を判断するように構成してもよい。
更に、上述した実施の形態では、天井に設けられた追尾カメラ31により遊技者を撮像する場合を説明したが、遊技機10若しくは表示器20又はそれらの近傍にカメラを設け、遊技者を直接的に撮像するように構成しても良い。この場合には、遊技者の顔をその前方から撮像することが可能になり、遊技者の特定を容易にすることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明実施形態の監視装置の全体構成を模式的に示す説明図である。
【図2】その監視装置におけるパチンコ機と追尾カメラの関係を模式的に示す平面図である。
【図3】そのパチンコ機が島を構成する状態を示す図である。
【図4】そのパチンコ機の詳細を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
10 パチンコ機(遊技機)
10a 遊技情報出力手段
21 ホールコンピュータ(遊技機特定手段)
30 撮像手段
33 撮像コントローラ
35 映像蓄積手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技場内に設けられ出玉率を変更可能に構成された複数の遊技機(10)と、前記遊技場内の所定領域を撮像可能な撮像手段(30)と、前記撮像手段(30)を制御する撮像コントローラ(33)と、前記撮像手段(30)により撮像された映像を蓄積可能に構成された映像蓄積手段(35)とを備えた遊技場の監視装置において、
出玉率が高く設定された1又は2以上の遊技機(10)を特定可能な遊技機特定手段(21)と、
前記複数の遊技機(10)に設けられ各遊技機(10)における遊技情報を出力可能な遊技情報出力手段(10a)とを備え、
前記撮像コントローラ(33)は前記遊技機特定手段(21)により出玉率が高く設定されたとして特定された前記遊技機(10)からの遊技情報に基づいて前記撮像手段(30)を制御するように構成され、
前記撮像コントローラ(33)により制御された前記撮像手段(30)は前記遊技機特定手段(21)により特定されかつ前記遊技情報により遊技が開始されたと判断される前記遊技機(10)で遊技する遊技者を撮像するように構成された
ことを特徴とする遊技場の監視装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−209388(P2007−209388A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29556(P2006−29556)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(500436385)アイ電子株式会社 (15)
【Fターム(参考)】