遊技場用管理システム
【課題】優良台の情報リークを受けた不正者が不正を紛らわすために他の遊技機を繰り返し遊技した場合であっても適切に不正者を検出出来る遊技場用管理システムを提供する。
【解決手段】遊技者を特定し、特定した遊技者の遊技期間を示す遊技期間情報を遊技者単位で遊技機別に特定し、遊技者別の遊技期間情報の合計の内、対応する遊技機が他の遊技機よりも遊技者にとって有利に調整された優良台である遊技期間情報の合計の割合を示す優良台稼動率を遊技者単位で特定し、その優良台稼動率が、当該優良台稼動率に対して予め設定される基準値である基準稼動率を超える遊技者を注意遊技者として特定し、注意遊技者である旨を報知出力する。
【解決手段】遊技者を特定し、特定した遊技者の遊技期間を示す遊技期間情報を遊技者単位で遊技機別に特定し、遊技者別の遊技期間情報の合計の内、対応する遊技機が他の遊技機よりも遊技者にとって有利に調整された優良台である遊技期間情報の合計の割合を示す優良台稼動率を遊技者単位で特定し、その優良台稼動率が、当該優良台稼動率に対して予め設定される基準値である基準稼動率を超える遊技者を注意遊技者として特定し、注意遊技者である旨を報知出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技価値の付与率を調整可能な遊技機が設置されている遊技場を管理する遊技場用管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシン等の出玉率(遊技価値の付与率)に対応した遊技機設定値を設定する遊技機が設置される遊技場を管理する場合、例えば出玉率の高い遊技機設定値である高設定値が設定されている遊技機のような優良台に関する情報が遊技場の従業員から情報リークされていないかを注意する必要があり、例えば特許文献1では、カメラにて撮像することで遊技者を特定し、遊技者単位で高設定値の遊技回数割合を管理することが提案されている。
【0003】
しかしながら、上記のように単純に高設定値の遊技回数割合を管理するだけでは、例えば情報リークを受けた不正者が検出を免れるために、一旦、出玉率の低い遊技機設定値である低設定値が設定された他の遊技機(優良台でない遊技機)を少しだけ遊技するような行動を繰り返し取られた場合に対応できなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−006590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、優良台の情報リークを受けた不正者が不正を紛らわすために他の遊技機を繰り返し遊技した場合であっても適切に不正者を検出出来る遊技場用管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明は、遊技価値の付与率を調整可能な遊技機を遊技する遊技者の識別情報を取得し、遊技者を特定する遊技者特定手段と、前記遊技者特定手段による遊技者の特定結果、及び遊技機側から出力される遊技機を遊技した遊技期間を特定可能な稼動信号の少なくとも一方により、遊技者の遊技期間を示す遊技期間情報を遊技者単位で遊技機別に特定する期間情報特定手段と、遊技価値の付与率が他の遊技機よりも遊技者にとって有利に調整された遊技機である優良台であるか否かを特定可能な情報を入力することにより、優良台であるか否かを特定可能な優良台情報を管理する遊技情報管理手段と、前記遊技者特定手段により同一遊技者が同一遊技機にて継続して特定されている期間単位で、当該期間に対応して、前記期間情報特定手段により特定された遊技期間情報を、当該遊技機に対応付けて管理される前記優良台情報と対応付けて遊技者別に管理する期間情報管理手段と、前記期間情報管理手段により管理される遊技者別の遊技期間情報の合計の内、対応する遊技機が優良台である遊技期間情報の合計の割合を示す優良台稼動率を、遊技者単位で特定する優良台稼動率特定手段と、前記優良台稼動率が、当該優良台稼動率に対して予め設定される基準値である基準稼動率を超える遊技者を注意遊技者として特定する注意遊技者特定手段と、前記注意遊技者特定手段による特定結果を報知出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記出力手段は、前記優良台に対応した遊技期間情報を前記優良台稼動率の演算対象に加えることで遊技者が前記注意遊技者として特定される場合に、当該注意遊技者が当該優良台を遊技している期間においては注意遊技者である旨を報知出力せずに、当該優良台とは異なる遊技機にて前記遊技者特定手段により当該遊技者が特定されたこと、及び当該優良台が優良台として調整された遊技場営業日の次営業日以降に当該遊技者が特定されたことの少なくとも一方を条件として前記注意遊技者特定手段による特定結果を報知出力することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載した発明は、予め設定される単位期間において遊技者特定手段により遊技者が特定された最初の遊技機である初回遊技機が、前記優良台であるか否かを特定可能な情報を遊技者別に前記単位期間により区分けして管理する初回遊技管理手段と、前記初回遊技機にて遊技者を特定した回数の内、前記初回遊技機が前記優良台であった回数の割合を示す初回優良率、或いは前記初回遊技機が前記優良台であった回数である初回優良数を、遊技者別に特定する初回優良特定手段と、を備え、前記注意遊技者特定手段は、前記初回優良率が、当該初回優良率に対して予め設定される基準値である基準初優率を超える遊技者、或いは前記初回優良数が、当該初回優良数に対して予め設定される基準値である基準初優数を超える遊技者を注意遊技者として特定することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載した発明は、予め設定される単位期間において遊技者特定手段により遊技者が特定された時刻が、当該時刻に対して予め設定される基準時刻よりも早く、且つ当該遊技者特定手段に対応した遊技機が前記優良台であるか否かを特定可能な情報を遊技者別に前記単位期間により区分けして管理する早時刻遊技管理手段と、遊技者を特定した単位期間数の内、前記基準時刻よりも早く、且つその遊技者特定手段により当該遊技者が特定された遊技機が前記優良台であった単位期間の数である早時刻優良数の割合である早時刻優良率、或いは前記早時刻優数を、遊技者別に特定する早時刻優良率特定手段と、を備え、前記注意遊技者特定手段は、前記早時刻優良率が、当該早時刻優良率に対して予め設定される基準値である基準早優率を超える遊技者、或いは前記早時刻優良数が、当該早時刻優良数に対して予め設定される基準値である基準早優数を超える遊技者を注意遊技者として特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載した発明によれば、優良台稼動率が基準稼動率を超える遊技者を注意遊技者として特定するので、例えば遊技場の従業員から遊技機に関する情報リークを受け、優良台を把握した上で遊技するような不正者が、優良台での遊技回数割合が高くならないように優良台でない他の遊技機を少しだけ遊技することを繰り返した場合であっても、適切に不正者を検出出来る。
【0011】
請求項2に記載した発明によれば、注意遊技者を特定した遊技機に対応する遊技者特定手段とは異なる遊技者特定手段により当該遊技者が特定されたこと(即ち、注意遊技者であると特定された遊技機から移動したこと)、及び、注意遊技者を特定した遊技機が優良台として設定された遊技場営業日の次営業日以降に当該遊技者が特定されたこと(即ち、注意遊技者であることが特定された日とは別の日に当該注意遊技者が来店したこと)の少なくとも一方を条件として注意遊技者特定手段による特定結果を報知出力する。
優良台稼働率に基づいて注意遊技者を特定する場合、その遊技者の最新の遊技を演算対象として優良台稼働率を特定して注意遊技者を特定すると、自ずとその最新の遊技が行われている遊技機が優良台であることが判明する。その場合、注意遊技者がその遊技機を遊技している期間に遊技場の事務所内の例えば管理装置にて注意遊技者特定手段による特定結果を報知出力すると、事務所に入ってきた従業員にその遊技機が優良台であることが把握される虞がある。また、遊技機側の例えば貸出機等にて注意遊技者特定手段による特定結果を報知出力すると、他の遊技者にその遊技機が優良台であることが把握される虞がある。そこで、上記した構成とすることにより、注意遊技者であることが特定された遊技機に対応しない状況、即ち、優良台を特定出来ない状況で報知出力することが可能となり、優良台が従業員や他の遊技者に把握され2次的な情報リークが発生する虞等を低減することが出来る。
【0012】
請求項3に記載した発明によれば、初回優良率或いは初回優良数を遊技者別に特定し、初回優良率或いは初回優良数が予め設定される基準値を超える遊技者を注意遊技者として特定する。情報リークを受けた不正者は、優良台である遊技機を遊技場への来店時から把握している一方、他の遊技者にその遊技機を確保される前に遊技機を確保する必要があるため、結果として来店時の最初に優良台を選択することになり初回優良率が高い値となる。一方、通常の遊技者は、来店時に優良台を把握してはいないため、最初に優良台を選択する可能性が少なく、初回優良率が低い値となる。この場合、初回優良数についても同様であると考えられる。そこで、初回優良率或いは初回優良数に基づいて注意遊技者を特定することにより、不正者と通常の遊技者との振り分けを効果的に実行することが出来る。
【0013】
請求項4に記載した発明によれば、上記した請求項3に記載した発明と同様の考えに基づいて、早時刻優良率或いは早時刻優良数が予め設定される基準値を超える遊技者を注意遊技者として特定することにより、不正者と通常の遊技者との振り分けを効果的に実行することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態による管理装置を適用した遊技場用管理システムの構成を概略的に示す図
【図2】遊技機のリール配列を示す図
【図3】遊技機の役設定を示す図
【図4】遊技機の有効ラインを示す図
【図5】遊技機の内部当選テーブルを示す図
【図6】管理装置が設定する異常収支検出設定を示す図
【図7】管理装置が管理する遊技機の台番と遊技機設定値とを対応付けた遊技機設定を示す図
【図8】管理装置が記憶する遊技者別の遊技者情報記憶領域を示す図その1
【図9】管理装置が記憶する遊技者別の遊技者情報記憶領域を示す図その2
【図10】管理装置が記憶する遊技者別の遊技者情報記憶領域を示す図その3
【図11】本発明の第2実施形態の管理装置が設定する設定する異常収支始検出設定を示す図
【図12】管理装置が記憶する遊技者別の遊技者情報記憶領域を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の複数の実施形態による遊技場用管理システムについて図面を参照しながら説明する。複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による遊技場用管理システムについて、図1から図10を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、遊技場用管理システム1の全体構成を概略的に示している。遊技場用管理システム1が設けられている遊技場内には、複数台の遊技機2が設置されている。本実施形態の場合、遊技機2は所謂スロットマシンである。各遊技機2には、貸出機3がそれぞれ付設されている。これら遊技機2及び貸出機3は中継装置4に接続されており、中継装置4及びLAN5を介して管理装置6に通信可能に接続している。この管理装置6は、遊技場内の例えば事務所等に設置されており、出力手段に相当するモニタ7や図示しないプリンタ等が接続されている。このような遊技場内には、例えば数百台の遊技機2が設置されており、管理装置6の管理対象となっている。
【0017】
遊技機2は、表示窓2a、スタートレバー2b、ストップボタン2c、表示ランプ部2d、メダル投入口2e及びBETボタン2f等が設けられている。遊技者は、表示窓2aを通じて内部に設けられたリールの図柄を視認可能となっている。各図柄は、図2に示すように、左リール、中リール及び右リールの円周面に描かれてり、各リールが停止した状態では、表示窓2aの上段、中段及び下段に対応して停止表示される。即ち、遊技機2には、各リールそれぞれについて3図柄ずつ、合計9図柄分の図柄表示領域が形成されている。遊技機2は、遊技者によってメダル投入口2eからメダル(遊技価値に相当する)を投入、或いは、BETボタン2fを操作することでクレジットメダル(遊技価値に相当する)を所定枚数(通常状態では3枚、ボーナス状態では1枚)投入した状態(BETした状態)でスタートレバー2bが操作されると(ゲームが開始されると)、内部抽選を実行すると共にリールの変動を開始させ、ストップボタン2cを操作することによって所謂引込制御(予め規定された引込範囲例えば4図柄までにある図柄を有効ライン上に引込んで停止表示させる制御)によってリールの変動を停止する。
【0018】
図3は、遊技機2に設定されている内部当選役の役構成を示している。遊技機2には、所謂ボーナス役としてのBB(ビッグボーナス)役とRB(レギュラーボーナス)役、所謂小役としての5枚役、7枚役、2枚役、及びリプレイ役が設けられている。この遊技機2には、図4に示すように、合計5本(表示窓2aの上段、中段及び下段に対応した横方向に1本ずつの3本、及び斜め方向の2本)の有効ライン1〜5が設けられている。ゲームが開始され遊技者によるストップボタン2cの操作によってこれらの有効ライン1〜5のうち何れかの有効ライン上に内部当選役に対応する図柄が揃ったとき、即ち、有効ライン上に停止表示された図柄の組合せが内部当選役に対応する図柄の組合せと一致したときに入賞となる。そして、入賞となった場合には、入賞した役に応じて例えばBB状態やRB状態の発生、或いは、対応する枚数のメダルの払出(遊技価値の付与)が行われる。これにより、1ゲームが終了する。尚、小役が内部当選した場合にはその当選状態は内部当選したゲームでのみ有効である一方、ボーナス役が内部した場合にはその当選状態はボーナス役が入賞するまで持ち越される。また、ボーナス役の入賞に伴って発生したBB状態或いはRB状態は、予め設定される終了条件の成立(例えば、払出したメダル数が300枚を超えたときなど)により終了する。
【0019】
この遊技機2は、ゲーム開始時の内部抽選において、0〜65535の間で発生する乱数のうち1つを抽出し、抽出した乱数と図示しない抽選テーブルとを照合することにより、内部当選であるか否かを判定している。図5は、遊技機2に設定されている内部当選テーブル、即ち、内部抽選における各役に割り振られている当選乱数の数を示している。この内部当選テーブルは、後述する遊技機2の遊技状態に応じて設けられている。例えば、通常状態では、BB役及びRB役には256個、5枚役には4096、15枚役(5枚役が3本の有効ライン上に入賞した状態)には0個、7枚役には8192個、2枚役には656個、リプレイ役には8978個の当選乱数が割り振られており、いずれの役にも該当しないハズレには43102個の乱数が割り振られている。一方、BB状態及びRB状態では、15枚役に65535個の当選乱数が割り振られており、ハズレには1個の乱数が割り振られている。
【0020】
また、遊技機2は、図示しない設定値操作部を備えており、この設定値操作部から内部当選確率等を規定するための複数例えば1〜6の6段階の遊技機設定値が設定される。6段階の遊技機設定値の内、選択的に任意の1つを設定することにより、出玉率(遊技価値の付与率に相当する)が理論値として設定される。遊技機2は、遊技機設定値の値が大きいほど例えばボーナス役の内部当選確率が高くなる等、遊技者にとって有利となるように設定されている。遊技機2では、当選乱数の割り振りを変更することにより入賞率(各役が内部当選する確率)を調整し、その入賞率を遊技機設定値に対応付け、その遊技機設定値を各遊技機2に設定することにより出玉率を調整可能となっている。つまり、遊技機2には、図5に示した内部当選テーブルが遊技機設定値毎に複数設けられている。このため、例えば2枚役等の特定の役が、当選乱数が遊技機設定値別に異なる値となっており、その入賞頻度をカウント等すれば遊技機設定値の推測が可能となる。
【0021】
貸出機3は、図1に示すように、動作状態を示す動作ランプ3a、貨幣投入口3b、メダル払出口3c、及び、カメラ3d(遊技者特定手段に相当する)を備えている。動作ランプ3aは、不具合が生じた場合等に点灯し、従業員に不具合の発生等を報知する。この貸出機3は、遊技者が貨幣投入口3bに有価価値(例えば貨幣)を投入すると、メダル払出口3cから投入された有価価値に応じた数のメダルを遊技機2に貸し出す。カメラ3dは、対応する遊技機2を遊技している遊技者の顔を撮像する。つまり、本実施形態の場合、カメラ3dは、各遊技機2に対応して設けられており、対応する遊技機2を遊技している遊技者を随時撮像する。このカメラ3dにより撮像された遊技者の顔画像(識別情報に相当する)は、中継装置4を介して管理装置6に送信され、後述するように管理装置6において遊技者の特定に利用される。
【0022】
これら遊技機2及び貸出機3等の遊技機2側の機器からは、以下に示すような遊技信号が出力される。
アウト信号:稼動信号に相当し、遊技機2から出力する。ゲームの開始操作に応じてBET状態のメダル数(3枚又は1枚)分がパルス出力されるので、アウト信号数×1がアウト(使用媒体数)となる。尚、リプレイ役入賞時にも対応分を出力する。
セーフ信号:稼動信号に相当し、遊技機2から出力する。メダルが1枚払出される毎に1パルス出力されるので、セーフ信号数×1がセーフ(払出媒体数)となる。尚、リプレイ役入賞時にも、そのゲームに使用されたメダル分を出力する。
BB信号/RB信号:稼動信号に相当し、遊技機2から出力する。対応するボーナス状態(BB状態又はRB状態)時にレベル出力されるので、信号受信期間をボーナス状態として特定する。
売上信号:貸出機3から出力する。投入された有価価値を対価としてメダルの貸出が行われると、貸出メダルが5枚(100円相当)毎に1パルス出力されるので、売上信号数×100が売上金額、売上信号数×5を売上メダルとする等して売上情報を特定する。
中継装置4は、図示しない制御部や信号を送受信する入出力部などを備えており、遊技機2側の機器から出力される遊技信号を受信するとともに、受信した遊技信号をLAN5を介して管理装置6へ送信することにより、遊技機2側の機器と管理装置6との間の通信を中継する。
【0023】
管理装置6(遊技者特定手段、期間情報特定手段、遊技情報管理手段、期間情報管理手段、優良台稼動率特定手段、注意遊技者特定手段、初回遊技者管理手段、初回優良特定手段、早時刻遊技者管理手段、早時刻優良率特定手段に相当する)は、図示しないCPU、ROM、RAM、信号を送受信するための入出力部、及び、HDD等の記憶手段を備えたコンピュータで構成されており、ROMやHDD等に記憶されている制御プログラムに従って作動する。この管理装置6は、周知のように、遊技機2側の機器から送信される遊技信号に基づいて遊技情報を集計する。管理装置6は、例えば遊技機2の遊技状態(通常状態かボーナス状態か)の特定、差数(=セーフ−アウトで算出)、出玉率(=セーフ÷アウトで算出)、ゲーム回数、売上情報等の遊技情報の集計及び管理を行っている。これらの遊技情報は、遊技機2別の遊技情報、或いはそれらを集計した遊技場全体としての遊技情報等、複数の態様にて集計及び管理されている。
【0024】
この管理装置6は、貸出機3に設けられているカメラ3dで撮像した遊技者毎の顔画像に基づいて遊技者を特定する(人物認証を行う)。具体的には、管理装置6は、中継装置4を介して遊技者を識別するための識別情報である遊技者の顔画像を取得すると、周知の画像処理を施して例えば顔画像から特徴点を抽出すること等により遊技者を特定する。より厳密に言えば、管理装置6は、ある遊技者と他の遊技者とを区別可能となる各種のデータの収集を行っている。そして、管理装置6は、特定した遊技者と、当該遊技者が遊技中の遊技機2及び当該遊技機2における遊技情報とを対応付けて管理する。また、管理装置6は、遊技者を特定した顔画像を記憶部等に記憶することにより、カメラ3dにより随時撮像され送信されてくる顔画像に基づいて同一遊技者であるか否かの特定、並びに、遊技信号に基づいて同一遊技者が継続して遊技を行っているかの特定も行っている。
【0025】
また、管理装置6は、本発明に関連して、図6に示す異常収支検出設定を遊技場全体に対して設定可能であると共に、図7に示す遊技機設定を遊技機2毎に操作入力により設定及び管理している。
図6に示す異常収支検出設定には、以下の項目が設定されている。
単位期間:不正検知(注意遊技者の特定)を行うための単位期間。図6では「1日」と営業日基準で設定しているが、時間的な期間だけでなく、遊技する遊技機2を変更する所謂台移動やメダルを計数或いは景品交換する等の事象を基準として開始と終了を特定し、その開始から終了までを単位期間として定めても良い。
基準アウト:アウトに対する単位期間を遊技者の来店として特定するための設定値。単位期間におけるアウトがこの設定値以上となった場合に、その単位期間を遊技単位期間として特定する。
参照設定期間:不正検知を行うために参照する期間であり、単位期間単位で設定する。尚、遊技場の営業日基準ではなく、遊技者毎の遊技単位期間を基準として遊技者の最新遊技単位期間である遡り基準からこの設定値分遡り、その遡った期間を参照設定期間とする。
【0026】
基準設定値:遊技機設定値に対する基準値で、この設定値以上の遊技機設定値を高設定値(優良台)として特定する。
基準稼動率:参照期間等の対象期間の稼動の内、基準設定値以上の設定値にて遊技した稼動の割合である高設稼動率(「対応する遊技機が優良台である遊技期間情報の合計の割合を示す優良台稼動率」に相当する)に対する基準値。参照期間が参照設定期間に達した状態で、参照期間における高設稼動率がこの設定値以上の場合に注意遊技者として検出する。
基準初高率:基準初優率に相当し、参照期間等の対象期間における遊技の内、単位期間毎の最初に遊技した遊技機の遊技機設定値が高設定値である割合を示す初回高設率(「初回遊技機が前記優良台であった回数の割合を示す初回優良率」に相当する)に対する基準値。参照期間が参照設定期間に達した状態で、参照期間における初回高設率がこの設定値以上の場合に注意遊技者として検出する。
また、図7に示す遊技機設定には遊技機2の台番とその台番の遊技機2に設定されている遊技機設定値とが記憶されている。この遊技機設定値(設定値)が「優良台であるか否かを特定可能な情報」に相当する。このように、管理装置6は、遊技機2と当該遊技機2に設定されている遊技機設定値とを対応付けて管理している。
【0027】
次に、上記した遊技場用管理システム1の作用について説明する。
図8から図10は、管理装置6が集計及び管理する遊技者別の遊技情報の一例を示している。管理装置6は、同一遊技者が同一遊技機にて継続して特定されている期間を1単位とし、上記した遊技情報を、図7に示す遊技機設定にて特定される各遊技機2に設定されている遊技機設定値に対応付けて管理している。この場合、図8が遊技者ID=00001の遊技者、図9が遊技者ID=00002の遊技者、図10が遊技者ID=00003の遊技者の遊技情報に対応する。これら図8から図10において集計及び管理されている項目(レコード)は、以下の通りである。
【0028】
NO、来店日:「来店日」は、遊技者を検知した日(単位期間)。「NO」は、遊技者が遊技した最新の遊技機2における遊技情報を「NO1」とし、その前に遊技した遊技機2における遊技情報を「NO2」とする、遊技機2単位で集計した遊技情報の通し番号。各図では、単位期間(営業日)毎の区切りを二重線にて示している。
遊技、アウト:「アウト」は、遊技者が遊技していることを特定している期間(遊技期間)に特定したアウト。ここで、アウトは、スロットマシンでは1ゲームが最短4.1秒で実行され、最速で44程度のアウトが消費されることを考慮し、遊技場では2000のアウトが約1時間(約33のアウトが1分)の遊技に対応し、例えば10000のアウトであれば5時間の遊技期間を示す情報として管理していることから、遊技期間を示す情報となり、「遊技期間情報」に相当する。他に「セーフ」や「売上情報」等も記憶するようにしてもよい。「遊技」は、単位期間のアウトが基準アウト(図6参照)に達していれば「○」、達していなければ「×」が記憶される。
【0029】
設定、高設:「設定」は、遊技者を特定した遊技機2に対して設定される遊技機設定値(図7参照)。「高設」は、「設定」が基準設定値(図6参照)以上であれば「○」、未満なら「×」が記憶される。この「設定」、「高設」の少なくとも一方が、「優良台情報」に相当する。
収支:遊技者の収支(=売上金額−(売上メダル+セーフ−アウト)×交換単価)で算出する。尚、交換単価はメダルを景品交換した際の1メダル当たりの交換価値で、本実施形態では20円を想定している。
参照情報:参照期間における情報。即ち、「遊技」に「×」が記憶されているレコードを除外したNO1を起点として参照設定期間に対応する単位期間分だけ遡った期間の情報で、「合計」は参照期間中の合計、「平均」は1日当たりの平均を示す。
【0030】
累計情報:記憶された全てのレコードにおける「合計」と「平均」。尚、参照情報についても同様であるが、「遊技」、「高設」については「○」が記憶されているレコードの数で、「設定」については対象となる各レコードの平均値を示す。
高設稼動率:対象期間における全アウトの内、「高設」でのアウトの割合。「遊技」に「×」が記憶されているレコードを除いたアウトの合計と、「高設」に「○」が記憶されているレコードのアウトの合計とに基づいて算出される。図8に示した範囲の情報を例にして説明すると、NO3を除いたNO1〜NO8のアウトの合計が47700で、「高設」はNO1、NO6、NO8でありそのアウトの合計が25000であるので、高設稼動率=25000÷47700で約52.4%のようにして算出される。尚、図8では3日分(NO3は「遊技」が「×」であるので除外)の情報のみが示されているものの、実際には10日分が参照期間であり、その10日間の参照期間におけるアウトの合計が150000、「高設」のアウトの合計が62500であったことから、図8では高設稼動率=62500÷150000で約41.7%と算出されている。
【0031】
初回高設率:対象期間において、単位期間で初回に遊技した遊技機2の遊技機設定値が「高設」である割合。図8に示した範囲の情報を例にして説明すると、NO1〜8の単位期間が4(4営業日)であるが、その内、NO6、NO8の2つが初回に遊技した遊技機2の「高設」に「○」が記憶されているため、初回高設率=2÷4=50%のように算出される。尚、NO1の場合、H23.7.8の2回目の遊技に対応し(初回遊技はNO2)、高設が「○」であるが初回遊技に対応するNO2の高設が「×」であるため、H23.7.8の単位期間は初回高設率から除外される。尚、上記した高設稼動率と同様に、10日間の参照期間においては、3回が初回に「高設」の遊技機を遊技していたことから、図8では初回高設率=30%と算出されている。この初回高設率は、「遊技」が「○」か「×」かにより区分けせずに参照期間を特定して算出している。
【0032】
このように、遊技場用管理システム1では、同一の遊技者を特定し遊技機2が同一であると判定した場合には同一レコードを更新することで遊技情報を更新し、同一の遊技者を異なる遊技機2にて特定した場合(遊技者が台移動した場合)には、新たなレコードを作成して遊技情報を更新することで、遊技者別に遊技期間を特定可能な遊技期間情報を管理している。
そして、遊技場用管理システム1は、遊技者単位の合計アウトの内、遊技機設定値が高い「高設」の遊技機2における合計アウトの割合である高設稼動率が、図6の基準稼動率を超える遊技者を注意遊技者として特定している。この特定は、以下のような考察により行われている。以下、説明の簡略化のために、遊技者ID=00001で示される遊技者を遊技者Aと称し、遊技者ID=00002で示される遊技者を遊技者Bと称し、遊技者ID=00003で示される遊技者を遊技者Cと称する。つまり、図8が遊技者Aの遊技情報に対応し、図9が遊技者Bの遊技情報に対応し、図10が遊技者Cの遊技情報に対応する。
【0033】
これら図8から図10に示すように、各遊技者A〜Cが遊技した遊技機2の遊技機設定値の平均は「3」と同一になっているものの、「高設稼動率」に注目すると、図10に示す遊技者Cのみが基準稼動率を超えている。この場合、図9に示す遊技者Bも「高設稼動率」が高い値を示しているが、たとえ上級者であっても来店時から「高設」を見破ることは出来無いため、「高設」と見込んだ遊技機2が「高設」で無い場合が多々有り、「高設」であるか否かを判断するために「高設」でない遊技機2をある程度遊技する必要がある。つまり、図9に示す遊技者Bは、図10に示す遊技者Cほど「高設稼動率」が高い値にはなっていないことから、上級者に分類される通常の(不正者ではない)遊技者であると想定される。
【0034】
また、「初回高設率」に注目すると、図8及び図9に示すように遊技者A、Bは近似した値(30%、40%)となっているものの、図10に示す遊技者Cはその倍程の値(75%)となっている。これは、情報リークを受けた不正者は「高設」の遊技機2を来店時から把握している一方、他の遊技者にその遊技機2を確保される前に遊技機2を確保する必要があるため、結果として来店時の最初に「高設」の遊技機2を遊技することから高い値となると考えられる。但し、図9に示す遊技者Bのような通常の上級者等は、来店時に「高設」の遊技機2を把握していないため最初に「高設」の遊技機2を遊技することが難しいため低い値となると想定される。
【0035】
つまり、図8に示す遊技者Aは、NO1のように収支がプラスとなる等、遊技結果が好調であれば遊技を継続するものの、NO6のように「高設」であっても収支がマイナスになる等、遊技結果が不調であれば遊技を終了するような初心者であると想定される。また、図9に示す遊技者Bは、例えば小役の入賞率等をカウントすることで「高設」であるか否かを見破り、「高設」であると判断した場合にはNO6のように遊技結果が不調になっても遊技を継続するような上級者であるものの、通常の遊技者であると想定される。
【0036】
そして、図10に示す遊技者Cは、「高設稼動率」及び「初回高設率」が共に他の遊技者A、Bに比べて高いことから、情報リークにより「高設」の遊技機2を予め把握しており、その情報リークを紛らわすためにわざと「高設」以外の遊技機2も遊技したものの(「高設」でないレコードが作成されているものの)、その遊技期間は短いため高設稼動率までは低くならない一方、「高設」の遊技機2を他の遊技者に先駆けて確保するために遊技開始から「高設」の遊技機2を遊技することが多くなり、その結果、「初回高設率」が高くなっていると想定される。つまり、遊技者Cは、不正者である可能性がある注意遊技者であると言える。
【0037】
このように、遊技場用管理システム1は、注意遊技者を特定し、注意遊技者である旨を報知出力する。この場合、本実施形態の場合、例えば図10に示すように「高設稼動率」及び「初回高設率」の欄を識別表示することにより、遊技者C(遊技者ID=00003の遊技者)が注意遊技者である旨を報知出力する。図10の場合、「高設稼動率」及び「初回高設率」が共に基準値を超えていることから双方を識別表示しているが、いずれか一方のみが基準値を超えている場合には、基準値を超えたものを識別表示することになる。つまり、遊技場用管理システム1は、「高設稼動率」及び「初回高設率」のうち少なくとも一方に基づいて注意遊技者の特定を行っている。
【0038】
この場合、注意遊技者である旨を報知出力する際には、各遊技機2に対応して設けられているカメラ3dとは異なる他の遊技者特定手段により当該遊技者が特定されたこと、即ち、注意遊技者が注意遊技者であることを特定された遊技機2から移動したことを特定したときや、その遊技機2に高設定値を設定した遊技場営業日の次営業日以降に当該注意遊技者が特定したときに報知出力するとよい。注意遊技者を特定した場合、自ずとその遊技機2に高設定値が設定されていることが明らかになるため、管理装置6にて注意遊技者である旨を報知出力すると従業員にその遊技機2に高設定値が設定されていることが把握される虞があり、また、遊技機2側の機器にて注意遊技者である旨を報知出力すると他の遊技者にその遊技機2に高設定値が設定されていることが把握されてしまう虞がある。そこで、高設定値が設定されている遊技機2を特定出来ない状況、例えば当該注意遊技者であることを特定された遊技機2から移動したことを特定した場合や当該注意遊技者を次営業日以降で特定した場合等に注意遊技者である旨を報知出力することにより、高設定値が設定されていることが第三者に把握されてしまう2次的な情報リークが発生する虞を低減することが出来る。
【0039】
以上説明した遊技場用管理システム1によれば、次のような効果を奏する。
高設稼動率が予め設定される基準値である基準稼動率を超える遊技者を注意遊技者として特定しているので、例えば遊技場の従業員から遊技機2に設定されている遊技機設定値に関する情報リークを受け、高設定値が設定された遊技機2である優良台を把握した上で遊技するような不正者が、高設定値が設定された遊技機2での遊技回数割合が高くならないように高設定値が設定されていない(優良台でない)他の遊技機2を少しだけ遊技することを繰り返した場合であっても、高設稼動率に基づいて不正者を検出することが可能となり、適切に不正者を検出出来る。
【0040】
また、初回高設率を遊技者別に特定し、初回高設率が予め設定される基準値を超える遊技者を注意遊技者として特定するので、情報リークを受けた不正者が他の遊技者にその遊技機2を確保される前に遊技機2を確保する状況を適切に把握出来、不正者と通常の遊技者との振り分けを効果的に実行することが出来る。したがって、情報リークを受けた不正者がその情報リークを紛らわすために「高設」以外の遊技機2を遊技し、「高設」の遊技頻度が通常の遊技者と同様になったとしても、情報リークを受けていない通常の遊技者を排除しつつ不正者を効果的に特定出来る。
【0041】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態による遊技場用管理システムについて、図11及び図12を参照しながら説明する。第2実施形態では、注意遊技者を特定する判定基準に遊技を開始した時刻を加えている点において第1実施形態と異なっている。尚、遊技場用管理システム1の構成は第1実施形態と共通するので詳細な説明は省略する。
図11は、管理装置6が設定する異常収支検出設定を示している。この異常収支検出設定には、図6に示した異常収支検出設定に加えて、基準時刻、基準日数及び基準早高率が設定されている。ここで、「基準早高率」は、後述する「早時刻高設率」に対する基準値である。
【0042】
第2実施形態の遊技場用管理システム1では、管理装置6は、単位期間において遊技者が特定された時刻が基準時刻よりも早く、且つ当該遊技者を特定した遊技機2における遊技機設定値が高設定値であるか否かを特定可能な情報を遊技者別に単位期間により区分けして管理している。また、管理装置6は、遊技者を特定した単位期間数の内、基準時刻よりも早く、且つその遊技者を特定した遊技機2における遊技機設定値が高設定値であった単位期間の数である早時刻高設数及びその割合である早時刻高設率を遊技者別に特定している。つまり、第2実施形態の管理装置6は、早時刻遊技管理手段、及び早時刻高設率特定手段に相当する。
【0043】
具体的には、遊技場用管理システム1は、図12に示すように、各レコードに「時刻」の欄を設け、遊技者毎に高設定値が設定されている遊技機2にて遊技を開始した時刻が基準時刻よりも前であるか否かを単位期間単位で判定し、「時刻」の欄に基準時刻以前に高設定値の遊技機2を遊技していれば「○」、遊技していなければ「×」を記憶する。この「時刻」は「予め設定される基準時刻よりも早く、且つ当該遊技者特定手段に対応した遊技機が前記優良台であるか否かを特定可能な情報」に相当する。また、この場合、遊技開始を検出しなくとも遊技者により遊技機2か占有されたことを検出しても良い。合計、平均の欄については第1実施形態と共通しており、「早時刻高設率」は対象期間における基準時刻以前に遊技した遊技機2の遊技機設定値が「高設」である割合(「優良台であった単位期間の数である早時刻優良数の割合である早時刻優良率」)を示しており、基準早高率(基準早優率に相当する)を超えた場合には第1実施形態と同様に識別表示される。
【0044】
そして、遊技場用管理システム1は、「早時刻高設率」が当該早時刻高設率に対して予め設定される基準値である基準早高率を超える遊技者を注意遊技者として特定する。この場合、「高設稼動率」、「初回高設率」及び「早時刻高設率」を組み合わせ、2つの項目にて基準値を超えていることを条件として注意遊技者を特定しても良い。また、「時刻」の対象として初回だけなど、遊技順序にて対象となる遊技機2を限定しても良い。
第2実施形態では、「早時刻高設率」に基づいて注意遊技者を特定することにより、第1実施形態の「初回高設率」による注意遊技者の特定と同様に、情報リークを受けていない通常の遊技者を排除しつつ不正者を効果的に特定出来る等の効果が得られる。そして、「初回高設率」の場合には来店が遅い遊技者が偶々「高設」の遊技機2にて遊技した場合であっても注意遊技者として特定する虞がある一方、「早時刻高設率」ではその虞が無く、より確実に注意遊技者を特定することが出来る。
【0045】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した各実施形態にて例示したものに限定されることなく、次のように変形又は拡張することが出来る。
【0046】
第1実施形態では「高設稼動率」及び「初回高設率」、第2実施形態では「早時刻高設率」に基づいて注意遊技者を特定したが、各実施形態のように割合にて特定するのではなく、実数にて特定するようにしてもよい。この場合、第1実施形態では初回遊技機が前記優良台であった回数である初回優良数に対して予め設定される基準値である基準初優数を超える遊技者を注意遊技者として特定し、第2実施形態では優良台であった単位期間の数である早時刻優良数に対して予め設定される基準値である基準早優数を超える遊技者を注意遊技者として特定することになる。より具体的には、例えば第2実施形態の場合、図11に示す基準早高率(70%)の代わりに、基準初優数(7日)とする等、割合の代わりに日数等の数値を基準値として設定し、間接的に基準早高率等を超えたかを判定しても良い。
【0047】
各実施形態では管理装置6に設けられているモニタ7にて注意遊技者を報知出力するようにしたが、プリンタに印字出力することで報知出力しても良い。また、例えば貸出機3の動作ランプ3aにより報知出力したり、景品カウンタに遊技者特定手段を設け、注意遊技者を特定したときに景品カウンタにおいて報知出力したりしても良い。
遊技期間情報としてアウトを例示したが、例えば遊技機2での遊技者の検出期間や検出中に連続してアウトを検出(アウト信号の入力間隔が設定期間以内で連続と判定する等)している期間を遊技期間として採用する等、遊技者の遊技期間を示す遊技情報であれば、どのような情報を採用しても良い。
遊技機設定値等の設定値を操作入力にて設定することを例示したが、例えば遊技機2からの信号入力により設定したり、デフォルト設定しておく等、その設定方法はどのような方法を採用しても良い。
【0048】
図8から図10にて「設定」と「高設」とを各々管理対象としたが、一方のみを管理対象としても良い。
アウトが基準アウト以上である単位期間を遊技期間として不正検出(注意遊技者の特定)の対象を限定したが、基準アウトを設定しない構成や基準アウトに達しない場合等、遊技者を検出した全ての単位期間を対象としても良い。また、基準アウトの代わりに収支やセーフ等を採用しても良い。
参照情報のように期間を区切って不正検出の対象を限定したが、累計情報のように期間を区切らずに不正検出を行っても良い。
遊技者の特定としてカメラ3dの撮像による人物認証を例示したが、例えば指紋認証等の生体認証や会員カードや遊技者の所有する携帯電話等により遊技者を特定しても良いし、複数の特定方法を採用して認証精度を上げても良い。この場合、例えば会員カードではカードの挿入期間を、指紋認証等では指紋を検知してから非稼動判定されるまでの期間を遊技期間として特定すれば良い。
【0049】
注意遊技者の報知出力を次営業日以降に行う場合、高設稼動率等の特定を閉店時に行えば自ずと次営業日以降に報知出力されることになるが、例えば営業中に随時高設稼動率等の特定を行っておき、島端に設けられる計数機や、景品カウンタに設けられるPOSのようなメダルを清算する端末にて遊技者を撮像等して識別可能とし、その端末や他の遊技機2にて識別した遊技者が注意遊技者であれば、その旨を報知しても良い。尚、上記した2次的な情報リーク等を考慮しなければ、営業中にそのまま報知しても良い。また、管理装置6による報知だけを先に行い、貸出機3等の遊技機2側の機器による報知出力を次営業日以降に行うようにしても勿論良い。
【0050】
対象となる遊技機2としては、例示したスロットマシン以外のパチンコ遊技機やスロットマシン等、遊技機設定値を設定可能であれば、どのような遊技機を対象としても良い。パチンコ遊技機を対象にすると共にアウトを遊技期間情報とした場合、周知の通り100のアウトを1分に対応付ければアウトにより遊技期間を特定可能である。また、スロットマシンの遊技期間をアウトにより特定する場合、ボーナス状態中の1ゲームに消費するアウトは通常状態よりも少ないが、これは頻度が低いので誤差として考慮しなくても良いし、遊技状態毎にアウトに対応する期間を予め設定すると共に遊技状態毎にアウトを管理し、遊技状態毎に遊技期間を特定して合算することで正確に遊技期間を特定しても良い。また、遊技機内にて遊技媒体を循環させ、ポイントを付与することで収支が変動するような所謂封入式或いはクレジット式の遊技機を対象としても勿論良く、この場合も考慮して、玉やメダル等の遊技媒体とポイントとを包含する遊技価値という表現を採用した。
【0051】
例示した全ての遊技情報について遊技信号から直接的、或いは間接的に特定する等どのように特定しても良い。また、各実施形態における数値や項目等は全て例示であり、どのような数値や項目等を採用しても良く、例示した各構成をどのように組み合わせたり、採用しなかったりしても良い。また、図6の異常収支検出設定を機種或いは島別等のグループ単位で設定しても良い。更に、管理装置6が行う情報処理の一部を中継装置4等にて行う構成としても良い。
【符号の説明】
【0052】
図面中、1は遊技場用管理システム、2は遊技機、3dはカメラ(遊技者特定手段)、6は管理装置(遊技者特定手段、期間情報特定手段、遊技情報管理手段、期間情報管理手段、優良台稼動率特定手段、注意遊技者特定手段、初回遊技者管理手段、初回優良特定手段、早時刻遊技者管理手段、早時刻優良率特定手段)、7はモニタ(出力手段)を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技価値の付与率を調整可能な遊技機が設置されている遊技場を管理する遊技場用管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシン等の出玉率(遊技価値の付与率)に対応した遊技機設定値を設定する遊技機が設置される遊技場を管理する場合、例えば出玉率の高い遊技機設定値である高設定値が設定されている遊技機のような優良台に関する情報が遊技場の従業員から情報リークされていないかを注意する必要があり、例えば特許文献1では、カメラにて撮像することで遊技者を特定し、遊技者単位で高設定値の遊技回数割合を管理することが提案されている。
【0003】
しかしながら、上記のように単純に高設定値の遊技回数割合を管理するだけでは、例えば情報リークを受けた不正者が検出を免れるために、一旦、出玉率の低い遊技機設定値である低設定値が設定された他の遊技機(優良台でない遊技機)を少しだけ遊技するような行動を繰り返し取られた場合に対応できなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−006590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、優良台の情報リークを受けた不正者が不正を紛らわすために他の遊技機を繰り返し遊技した場合であっても適切に不正者を検出出来る遊技場用管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明は、遊技価値の付与率を調整可能な遊技機を遊技する遊技者の識別情報を取得し、遊技者を特定する遊技者特定手段と、前記遊技者特定手段による遊技者の特定結果、及び遊技機側から出力される遊技機を遊技した遊技期間を特定可能な稼動信号の少なくとも一方により、遊技者の遊技期間を示す遊技期間情報を遊技者単位で遊技機別に特定する期間情報特定手段と、遊技価値の付与率が他の遊技機よりも遊技者にとって有利に調整された遊技機である優良台であるか否かを特定可能な情報を入力することにより、優良台であるか否かを特定可能な優良台情報を管理する遊技情報管理手段と、前記遊技者特定手段により同一遊技者が同一遊技機にて継続して特定されている期間単位で、当該期間に対応して、前記期間情報特定手段により特定された遊技期間情報を、当該遊技機に対応付けて管理される前記優良台情報と対応付けて遊技者別に管理する期間情報管理手段と、前記期間情報管理手段により管理される遊技者別の遊技期間情報の合計の内、対応する遊技機が優良台である遊技期間情報の合計の割合を示す優良台稼動率を、遊技者単位で特定する優良台稼動率特定手段と、前記優良台稼動率が、当該優良台稼動率に対して予め設定される基準値である基準稼動率を超える遊技者を注意遊技者として特定する注意遊技者特定手段と、前記注意遊技者特定手段による特定結果を報知出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記出力手段は、前記優良台に対応した遊技期間情報を前記優良台稼動率の演算対象に加えることで遊技者が前記注意遊技者として特定される場合に、当該注意遊技者が当該優良台を遊技している期間においては注意遊技者である旨を報知出力せずに、当該優良台とは異なる遊技機にて前記遊技者特定手段により当該遊技者が特定されたこと、及び当該優良台が優良台として調整された遊技場営業日の次営業日以降に当該遊技者が特定されたことの少なくとも一方を条件として前記注意遊技者特定手段による特定結果を報知出力することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載した発明は、予め設定される単位期間において遊技者特定手段により遊技者が特定された最初の遊技機である初回遊技機が、前記優良台であるか否かを特定可能な情報を遊技者別に前記単位期間により区分けして管理する初回遊技管理手段と、前記初回遊技機にて遊技者を特定した回数の内、前記初回遊技機が前記優良台であった回数の割合を示す初回優良率、或いは前記初回遊技機が前記優良台であった回数である初回優良数を、遊技者別に特定する初回優良特定手段と、を備え、前記注意遊技者特定手段は、前記初回優良率が、当該初回優良率に対して予め設定される基準値である基準初優率を超える遊技者、或いは前記初回優良数が、当該初回優良数に対して予め設定される基準値である基準初優数を超える遊技者を注意遊技者として特定することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載した発明は、予め設定される単位期間において遊技者特定手段により遊技者が特定された時刻が、当該時刻に対して予め設定される基準時刻よりも早く、且つ当該遊技者特定手段に対応した遊技機が前記優良台であるか否かを特定可能な情報を遊技者別に前記単位期間により区分けして管理する早時刻遊技管理手段と、遊技者を特定した単位期間数の内、前記基準時刻よりも早く、且つその遊技者特定手段により当該遊技者が特定された遊技機が前記優良台であった単位期間の数である早時刻優良数の割合である早時刻優良率、或いは前記早時刻優数を、遊技者別に特定する早時刻優良率特定手段と、を備え、前記注意遊技者特定手段は、前記早時刻優良率が、当該早時刻優良率に対して予め設定される基準値である基準早優率を超える遊技者、或いは前記早時刻優良数が、当該早時刻優良数に対して予め設定される基準値である基準早優数を超える遊技者を注意遊技者として特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載した発明によれば、優良台稼動率が基準稼動率を超える遊技者を注意遊技者として特定するので、例えば遊技場の従業員から遊技機に関する情報リークを受け、優良台を把握した上で遊技するような不正者が、優良台での遊技回数割合が高くならないように優良台でない他の遊技機を少しだけ遊技することを繰り返した場合であっても、適切に不正者を検出出来る。
【0011】
請求項2に記載した発明によれば、注意遊技者を特定した遊技機に対応する遊技者特定手段とは異なる遊技者特定手段により当該遊技者が特定されたこと(即ち、注意遊技者であると特定された遊技機から移動したこと)、及び、注意遊技者を特定した遊技機が優良台として設定された遊技場営業日の次営業日以降に当該遊技者が特定されたこと(即ち、注意遊技者であることが特定された日とは別の日に当該注意遊技者が来店したこと)の少なくとも一方を条件として注意遊技者特定手段による特定結果を報知出力する。
優良台稼働率に基づいて注意遊技者を特定する場合、その遊技者の最新の遊技を演算対象として優良台稼働率を特定して注意遊技者を特定すると、自ずとその最新の遊技が行われている遊技機が優良台であることが判明する。その場合、注意遊技者がその遊技機を遊技している期間に遊技場の事務所内の例えば管理装置にて注意遊技者特定手段による特定結果を報知出力すると、事務所に入ってきた従業員にその遊技機が優良台であることが把握される虞がある。また、遊技機側の例えば貸出機等にて注意遊技者特定手段による特定結果を報知出力すると、他の遊技者にその遊技機が優良台であることが把握される虞がある。そこで、上記した構成とすることにより、注意遊技者であることが特定された遊技機に対応しない状況、即ち、優良台を特定出来ない状況で報知出力することが可能となり、優良台が従業員や他の遊技者に把握され2次的な情報リークが発生する虞等を低減することが出来る。
【0012】
請求項3に記載した発明によれば、初回優良率或いは初回優良数を遊技者別に特定し、初回優良率或いは初回優良数が予め設定される基準値を超える遊技者を注意遊技者として特定する。情報リークを受けた不正者は、優良台である遊技機を遊技場への来店時から把握している一方、他の遊技者にその遊技機を確保される前に遊技機を確保する必要があるため、結果として来店時の最初に優良台を選択することになり初回優良率が高い値となる。一方、通常の遊技者は、来店時に優良台を把握してはいないため、最初に優良台を選択する可能性が少なく、初回優良率が低い値となる。この場合、初回優良数についても同様であると考えられる。そこで、初回優良率或いは初回優良数に基づいて注意遊技者を特定することにより、不正者と通常の遊技者との振り分けを効果的に実行することが出来る。
【0013】
請求項4に記載した発明によれば、上記した請求項3に記載した発明と同様の考えに基づいて、早時刻優良率或いは早時刻優良数が予め設定される基準値を超える遊技者を注意遊技者として特定することにより、不正者と通常の遊技者との振り分けを効果的に実行することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態による管理装置を適用した遊技場用管理システムの構成を概略的に示す図
【図2】遊技機のリール配列を示す図
【図3】遊技機の役設定を示す図
【図4】遊技機の有効ラインを示す図
【図5】遊技機の内部当選テーブルを示す図
【図6】管理装置が設定する異常収支検出設定を示す図
【図7】管理装置が管理する遊技機の台番と遊技機設定値とを対応付けた遊技機設定を示す図
【図8】管理装置が記憶する遊技者別の遊技者情報記憶領域を示す図その1
【図9】管理装置が記憶する遊技者別の遊技者情報記憶領域を示す図その2
【図10】管理装置が記憶する遊技者別の遊技者情報記憶領域を示す図その3
【図11】本発明の第2実施形態の管理装置が設定する設定する異常収支始検出設定を示す図
【図12】管理装置が記憶する遊技者別の遊技者情報記憶領域を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の複数の実施形態による遊技場用管理システムについて図面を参照しながら説明する。複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による遊技場用管理システムについて、図1から図10を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、遊技場用管理システム1の全体構成を概略的に示している。遊技場用管理システム1が設けられている遊技場内には、複数台の遊技機2が設置されている。本実施形態の場合、遊技機2は所謂スロットマシンである。各遊技機2には、貸出機3がそれぞれ付設されている。これら遊技機2及び貸出機3は中継装置4に接続されており、中継装置4及びLAN5を介して管理装置6に通信可能に接続している。この管理装置6は、遊技場内の例えば事務所等に設置されており、出力手段に相当するモニタ7や図示しないプリンタ等が接続されている。このような遊技場内には、例えば数百台の遊技機2が設置されており、管理装置6の管理対象となっている。
【0017】
遊技機2は、表示窓2a、スタートレバー2b、ストップボタン2c、表示ランプ部2d、メダル投入口2e及びBETボタン2f等が設けられている。遊技者は、表示窓2aを通じて内部に設けられたリールの図柄を視認可能となっている。各図柄は、図2に示すように、左リール、中リール及び右リールの円周面に描かれてり、各リールが停止した状態では、表示窓2aの上段、中段及び下段に対応して停止表示される。即ち、遊技機2には、各リールそれぞれについて3図柄ずつ、合計9図柄分の図柄表示領域が形成されている。遊技機2は、遊技者によってメダル投入口2eからメダル(遊技価値に相当する)を投入、或いは、BETボタン2fを操作することでクレジットメダル(遊技価値に相当する)を所定枚数(通常状態では3枚、ボーナス状態では1枚)投入した状態(BETした状態)でスタートレバー2bが操作されると(ゲームが開始されると)、内部抽選を実行すると共にリールの変動を開始させ、ストップボタン2cを操作することによって所謂引込制御(予め規定された引込範囲例えば4図柄までにある図柄を有効ライン上に引込んで停止表示させる制御)によってリールの変動を停止する。
【0018】
図3は、遊技機2に設定されている内部当選役の役構成を示している。遊技機2には、所謂ボーナス役としてのBB(ビッグボーナス)役とRB(レギュラーボーナス)役、所謂小役としての5枚役、7枚役、2枚役、及びリプレイ役が設けられている。この遊技機2には、図4に示すように、合計5本(表示窓2aの上段、中段及び下段に対応した横方向に1本ずつの3本、及び斜め方向の2本)の有効ライン1〜5が設けられている。ゲームが開始され遊技者によるストップボタン2cの操作によってこれらの有効ライン1〜5のうち何れかの有効ライン上に内部当選役に対応する図柄が揃ったとき、即ち、有効ライン上に停止表示された図柄の組合せが内部当選役に対応する図柄の組合せと一致したときに入賞となる。そして、入賞となった場合には、入賞した役に応じて例えばBB状態やRB状態の発生、或いは、対応する枚数のメダルの払出(遊技価値の付与)が行われる。これにより、1ゲームが終了する。尚、小役が内部当選した場合にはその当選状態は内部当選したゲームでのみ有効である一方、ボーナス役が内部した場合にはその当選状態はボーナス役が入賞するまで持ち越される。また、ボーナス役の入賞に伴って発生したBB状態或いはRB状態は、予め設定される終了条件の成立(例えば、払出したメダル数が300枚を超えたときなど)により終了する。
【0019】
この遊技機2は、ゲーム開始時の内部抽選において、0〜65535の間で発生する乱数のうち1つを抽出し、抽出した乱数と図示しない抽選テーブルとを照合することにより、内部当選であるか否かを判定している。図5は、遊技機2に設定されている内部当選テーブル、即ち、内部抽選における各役に割り振られている当選乱数の数を示している。この内部当選テーブルは、後述する遊技機2の遊技状態に応じて設けられている。例えば、通常状態では、BB役及びRB役には256個、5枚役には4096、15枚役(5枚役が3本の有効ライン上に入賞した状態)には0個、7枚役には8192個、2枚役には656個、リプレイ役には8978個の当選乱数が割り振られており、いずれの役にも該当しないハズレには43102個の乱数が割り振られている。一方、BB状態及びRB状態では、15枚役に65535個の当選乱数が割り振られており、ハズレには1個の乱数が割り振られている。
【0020】
また、遊技機2は、図示しない設定値操作部を備えており、この設定値操作部から内部当選確率等を規定するための複数例えば1〜6の6段階の遊技機設定値が設定される。6段階の遊技機設定値の内、選択的に任意の1つを設定することにより、出玉率(遊技価値の付与率に相当する)が理論値として設定される。遊技機2は、遊技機設定値の値が大きいほど例えばボーナス役の内部当選確率が高くなる等、遊技者にとって有利となるように設定されている。遊技機2では、当選乱数の割り振りを変更することにより入賞率(各役が内部当選する確率)を調整し、その入賞率を遊技機設定値に対応付け、その遊技機設定値を各遊技機2に設定することにより出玉率を調整可能となっている。つまり、遊技機2には、図5に示した内部当選テーブルが遊技機設定値毎に複数設けられている。このため、例えば2枚役等の特定の役が、当選乱数が遊技機設定値別に異なる値となっており、その入賞頻度をカウント等すれば遊技機設定値の推測が可能となる。
【0021】
貸出機3は、図1に示すように、動作状態を示す動作ランプ3a、貨幣投入口3b、メダル払出口3c、及び、カメラ3d(遊技者特定手段に相当する)を備えている。動作ランプ3aは、不具合が生じた場合等に点灯し、従業員に不具合の発生等を報知する。この貸出機3は、遊技者が貨幣投入口3bに有価価値(例えば貨幣)を投入すると、メダル払出口3cから投入された有価価値に応じた数のメダルを遊技機2に貸し出す。カメラ3dは、対応する遊技機2を遊技している遊技者の顔を撮像する。つまり、本実施形態の場合、カメラ3dは、各遊技機2に対応して設けられており、対応する遊技機2を遊技している遊技者を随時撮像する。このカメラ3dにより撮像された遊技者の顔画像(識別情報に相当する)は、中継装置4を介して管理装置6に送信され、後述するように管理装置6において遊技者の特定に利用される。
【0022】
これら遊技機2及び貸出機3等の遊技機2側の機器からは、以下に示すような遊技信号が出力される。
アウト信号:稼動信号に相当し、遊技機2から出力する。ゲームの開始操作に応じてBET状態のメダル数(3枚又は1枚)分がパルス出力されるので、アウト信号数×1がアウト(使用媒体数)となる。尚、リプレイ役入賞時にも対応分を出力する。
セーフ信号:稼動信号に相当し、遊技機2から出力する。メダルが1枚払出される毎に1パルス出力されるので、セーフ信号数×1がセーフ(払出媒体数)となる。尚、リプレイ役入賞時にも、そのゲームに使用されたメダル分を出力する。
BB信号/RB信号:稼動信号に相当し、遊技機2から出力する。対応するボーナス状態(BB状態又はRB状態)時にレベル出力されるので、信号受信期間をボーナス状態として特定する。
売上信号:貸出機3から出力する。投入された有価価値を対価としてメダルの貸出が行われると、貸出メダルが5枚(100円相当)毎に1パルス出力されるので、売上信号数×100が売上金額、売上信号数×5を売上メダルとする等して売上情報を特定する。
中継装置4は、図示しない制御部や信号を送受信する入出力部などを備えており、遊技機2側の機器から出力される遊技信号を受信するとともに、受信した遊技信号をLAN5を介して管理装置6へ送信することにより、遊技機2側の機器と管理装置6との間の通信を中継する。
【0023】
管理装置6(遊技者特定手段、期間情報特定手段、遊技情報管理手段、期間情報管理手段、優良台稼動率特定手段、注意遊技者特定手段、初回遊技者管理手段、初回優良特定手段、早時刻遊技者管理手段、早時刻優良率特定手段に相当する)は、図示しないCPU、ROM、RAM、信号を送受信するための入出力部、及び、HDD等の記憶手段を備えたコンピュータで構成されており、ROMやHDD等に記憶されている制御プログラムに従って作動する。この管理装置6は、周知のように、遊技機2側の機器から送信される遊技信号に基づいて遊技情報を集計する。管理装置6は、例えば遊技機2の遊技状態(通常状態かボーナス状態か)の特定、差数(=セーフ−アウトで算出)、出玉率(=セーフ÷アウトで算出)、ゲーム回数、売上情報等の遊技情報の集計及び管理を行っている。これらの遊技情報は、遊技機2別の遊技情報、或いはそれらを集計した遊技場全体としての遊技情報等、複数の態様にて集計及び管理されている。
【0024】
この管理装置6は、貸出機3に設けられているカメラ3dで撮像した遊技者毎の顔画像に基づいて遊技者を特定する(人物認証を行う)。具体的には、管理装置6は、中継装置4を介して遊技者を識別するための識別情報である遊技者の顔画像を取得すると、周知の画像処理を施して例えば顔画像から特徴点を抽出すること等により遊技者を特定する。より厳密に言えば、管理装置6は、ある遊技者と他の遊技者とを区別可能となる各種のデータの収集を行っている。そして、管理装置6は、特定した遊技者と、当該遊技者が遊技中の遊技機2及び当該遊技機2における遊技情報とを対応付けて管理する。また、管理装置6は、遊技者を特定した顔画像を記憶部等に記憶することにより、カメラ3dにより随時撮像され送信されてくる顔画像に基づいて同一遊技者であるか否かの特定、並びに、遊技信号に基づいて同一遊技者が継続して遊技を行っているかの特定も行っている。
【0025】
また、管理装置6は、本発明に関連して、図6に示す異常収支検出設定を遊技場全体に対して設定可能であると共に、図7に示す遊技機設定を遊技機2毎に操作入力により設定及び管理している。
図6に示す異常収支検出設定には、以下の項目が設定されている。
単位期間:不正検知(注意遊技者の特定)を行うための単位期間。図6では「1日」と営業日基準で設定しているが、時間的な期間だけでなく、遊技する遊技機2を変更する所謂台移動やメダルを計数或いは景品交換する等の事象を基準として開始と終了を特定し、その開始から終了までを単位期間として定めても良い。
基準アウト:アウトに対する単位期間を遊技者の来店として特定するための設定値。単位期間におけるアウトがこの設定値以上となった場合に、その単位期間を遊技単位期間として特定する。
参照設定期間:不正検知を行うために参照する期間であり、単位期間単位で設定する。尚、遊技場の営業日基準ではなく、遊技者毎の遊技単位期間を基準として遊技者の最新遊技単位期間である遡り基準からこの設定値分遡り、その遡った期間を参照設定期間とする。
【0026】
基準設定値:遊技機設定値に対する基準値で、この設定値以上の遊技機設定値を高設定値(優良台)として特定する。
基準稼動率:参照期間等の対象期間の稼動の内、基準設定値以上の設定値にて遊技した稼動の割合である高設稼動率(「対応する遊技機が優良台である遊技期間情報の合計の割合を示す優良台稼動率」に相当する)に対する基準値。参照期間が参照設定期間に達した状態で、参照期間における高設稼動率がこの設定値以上の場合に注意遊技者として検出する。
基準初高率:基準初優率に相当し、参照期間等の対象期間における遊技の内、単位期間毎の最初に遊技した遊技機の遊技機設定値が高設定値である割合を示す初回高設率(「初回遊技機が前記優良台であった回数の割合を示す初回優良率」に相当する)に対する基準値。参照期間が参照設定期間に達した状態で、参照期間における初回高設率がこの設定値以上の場合に注意遊技者として検出する。
また、図7に示す遊技機設定には遊技機2の台番とその台番の遊技機2に設定されている遊技機設定値とが記憶されている。この遊技機設定値(設定値)が「優良台であるか否かを特定可能な情報」に相当する。このように、管理装置6は、遊技機2と当該遊技機2に設定されている遊技機設定値とを対応付けて管理している。
【0027】
次に、上記した遊技場用管理システム1の作用について説明する。
図8から図10は、管理装置6が集計及び管理する遊技者別の遊技情報の一例を示している。管理装置6は、同一遊技者が同一遊技機にて継続して特定されている期間を1単位とし、上記した遊技情報を、図7に示す遊技機設定にて特定される各遊技機2に設定されている遊技機設定値に対応付けて管理している。この場合、図8が遊技者ID=00001の遊技者、図9が遊技者ID=00002の遊技者、図10が遊技者ID=00003の遊技者の遊技情報に対応する。これら図8から図10において集計及び管理されている項目(レコード)は、以下の通りである。
【0028】
NO、来店日:「来店日」は、遊技者を検知した日(単位期間)。「NO」は、遊技者が遊技した最新の遊技機2における遊技情報を「NO1」とし、その前に遊技した遊技機2における遊技情報を「NO2」とする、遊技機2単位で集計した遊技情報の通し番号。各図では、単位期間(営業日)毎の区切りを二重線にて示している。
遊技、アウト:「アウト」は、遊技者が遊技していることを特定している期間(遊技期間)に特定したアウト。ここで、アウトは、スロットマシンでは1ゲームが最短4.1秒で実行され、最速で44程度のアウトが消費されることを考慮し、遊技場では2000のアウトが約1時間(約33のアウトが1分)の遊技に対応し、例えば10000のアウトであれば5時間の遊技期間を示す情報として管理していることから、遊技期間を示す情報となり、「遊技期間情報」に相当する。他に「セーフ」や「売上情報」等も記憶するようにしてもよい。「遊技」は、単位期間のアウトが基準アウト(図6参照)に達していれば「○」、達していなければ「×」が記憶される。
【0029】
設定、高設:「設定」は、遊技者を特定した遊技機2に対して設定される遊技機設定値(図7参照)。「高設」は、「設定」が基準設定値(図6参照)以上であれば「○」、未満なら「×」が記憶される。この「設定」、「高設」の少なくとも一方が、「優良台情報」に相当する。
収支:遊技者の収支(=売上金額−(売上メダル+セーフ−アウト)×交換単価)で算出する。尚、交換単価はメダルを景品交換した際の1メダル当たりの交換価値で、本実施形態では20円を想定している。
参照情報:参照期間における情報。即ち、「遊技」に「×」が記憶されているレコードを除外したNO1を起点として参照設定期間に対応する単位期間分だけ遡った期間の情報で、「合計」は参照期間中の合計、「平均」は1日当たりの平均を示す。
【0030】
累計情報:記憶された全てのレコードにおける「合計」と「平均」。尚、参照情報についても同様であるが、「遊技」、「高設」については「○」が記憶されているレコードの数で、「設定」については対象となる各レコードの平均値を示す。
高設稼動率:対象期間における全アウトの内、「高設」でのアウトの割合。「遊技」に「×」が記憶されているレコードを除いたアウトの合計と、「高設」に「○」が記憶されているレコードのアウトの合計とに基づいて算出される。図8に示した範囲の情報を例にして説明すると、NO3を除いたNO1〜NO8のアウトの合計が47700で、「高設」はNO1、NO6、NO8でありそのアウトの合計が25000であるので、高設稼動率=25000÷47700で約52.4%のようにして算出される。尚、図8では3日分(NO3は「遊技」が「×」であるので除外)の情報のみが示されているものの、実際には10日分が参照期間であり、その10日間の参照期間におけるアウトの合計が150000、「高設」のアウトの合計が62500であったことから、図8では高設稼動率=62500÷150000で約41.7%と算出されている。
【0031】
初回高設率:対象期間において、単位期間で初回に遊技した遊技機2の遊技機設定値が「高設」である割合。図8に示した範囲の情報を例にして説明すると、NO1〜8の単位期間が4(4営業日)であるが、その内、NO6、NO8の2つが初回に遊技した遊技機2の「高設」に「○」が記憶されているため、初回高設率=2÷4=50%のように算出される。尚、NO1の場合、H23.7.8の2回目の遊技に対応し(初回遊技はNO2)、高設が「○」であるが初回遊技に対応するNO2の高設が「×」であるため、H23.7.8の単位期間は初回高設率から除外される。尚、上記した高設稼動率と同様に、10日間の参照期間においては、3回が初回に「高設」の遊技機を遊技していたことから、図8では初回高設率=30%と算出されている。この初回高設率は、「遊技」が「○」か「×」かにより区分けせずに参照期間を特定して算出している。
【0032】
このように、遊技場用管理システム1では、同一の遊技者を特定し遊技機2が同一であると判定した場合には同一レコードを更新することで遊技情報を更新し、同一の遊技者を異なる遊技機2にて特定した場合(遊技者が台移動した場合)には、新たなレコードを作成して遊技情報を更新することで、遊技者別に遊技期間を特定可能な遊技期間情報を管理している。
そして、遊技場用管理システム1は、遊技者単位の合計アウトの内、遊技機設定値が高い「高設」の遊技機2における合計アウトの割合である高設稼動率が、図6の基準稼動率を超える遊技者を注意遊技者として特定している。この特定は、以下のような考察により行われている。以下、説明の簡略化のために、遊技者ID=00001で示される遊技者を遊技者Aと称し、遊技者ID=00002で示される遊技者を遊技者Bと称し、遊技者ID=00003で示される遊技者を遊技者Cと称する。つまり、図8が遊技者Aの遊技情報に対応し、図9が遊技者Bの遊技情報に対応し、図10が遊技者Cの遊技情報に対応する。
【0033】
これら図8から図10に示すように、各遊技者A〜Cが遊技した遊技機2の遊技機設定値の平均は「3」と同一になっているものの、「高設稼動率」に注目すると、図10に示す遊技者Cのみが基準稼動率を超えている。この場合、図9に示す遊技者Bも「高設稼動率」が高い値を示しているが、たとえ上級者であっても来店時から「高設」を見破ることは出来無いため、「高設」と見込んだ遊技機2が「高設」で無い場合が多々有り、「高設」であるか否かを判断するために「高設」でない遊技機2をある程度遊技する必要がある。つまり、図9に示す遊技者Bは、図10に示す遊技者Cほど「高設稼動率」が高い値にはなっていないことから、上級者に分類される通常の(不正者ではない)遊技者であると想定される。
【0034】
また、「初回高設率」に注目すると、図8及び図9に示すように遊技者A、Bは近似した値(30%、40%)となっているものの、図10に示す遊技者Cはその倍程の値(75%)となっている。これは、情報リークを受けた不正者は「高設」の遊技機2を来店時から把握している一方、他の遊技者にその遊技機2を確保される前に遊技機2を確保する必要があるため、結果として来店時の最初に「高設」の遊技機2を遊技することから高い値となると考えられる。但し、図9に示す遊技者Bのような通常の上級者等は、来店時に「高設」の遊技機2を把握していないため最初に「高設」の遊技機2を遊技することが難しいため低い値となると想定される。
【0035】
つまり、図8に示す遊技者Aは、NO1のように収支がプラスとなる等、遊技結果が好調であれば遊技を継続するものの、NO6のように「高設」であっても収支がマイナスになる等、遊技結果が不調であれば遊技を終了するような初心者であると想定される。また、図9に示す遊技者Bは、例えば小役の入賞率等をカウントすることで「高設」であるか否かを見破り、「高設」であると判断した場合にはNO6のように遊技結果が不調になっても遊技を継続するような上級者であるものの、通常の遊技者であると想定される。
【0036】
そして、図10に示す遊技者Cは、「高設稼動率」及び「初回高設率」が共に他の遊技者A、Bに比べて高いことから、情報リークにより「高設」の遊技機2を予め把握しており、その情報リークを紛らわすためにわざと「高設」以外の遊技機2も遊技したものの(「高設」でないレコードが作成されているものの)、その遊技期間は短いため高設稼動率までは低くならない一方、「高設」の遊技機2を他の遊技者に先駆けて確保するために遊技開始から「高設」の遊技機2を遊技することが多くなり、その結果、「初回高設率」が高くなっていると想定される。つまり、遊技者Cは、不正者である可能性がある注意遊技者であると言える。
【0037】
このように、遊技場用管理システム1は、注意遊技者を特定し、注意遊技者である旨を報知出力する。この場合、本実施形態の場合、例えば図10に示すように「高設稼動率」及び「初回高設率」の欄を識別表示することにより、遊技者C(遊技者ID=00003の遊技者)が注意遊技者である旨を報知出力する。図10の場合、「高設稼動率」及び「初回高設率」が共に基準値を超えていることから双方を識別表示しているが、いずれか一方のみが基準値を超えている場合には、基準値を超えたものを識別表示することになる。つまり、遊技場用管理システム1は、「高設稼動率」及び「初回高設率」のうち少なくとも一方に基づいて注意遊技者の特定を行っている。
【0038】
この場合、注意遊技者である旨を報知出力する際には、各遊技機2に対応して設けられているカメラ3dとは異なる他の遊技者特定手段により当該遊技者が特定されたこと、即ち、注意遊技者が注意遊技者であることを特定された遊技機2から移動したことを特定したときや、その遊技機2に高設定値を設定した遊技場営業日の次営業日以降に当該注意遊技者が特定したときに報知出力するとよい。注意遊技者を特定した場合、自ずとその遊技機2に高設定値が設定されていることが明らかになるため、管理装置6にて注意遊技者である旨を報知出力すると従業員にその遊技機2に高設定値が設定されていることが把握される虞があり、また、遊技機2側の機器にて注意遊技者である旨を報知出力すると他の遊技者にその遊技機2に高設定値が設定されていることが把握されてしまう虞がある。そこで、高設定値が設定されている遊技機2を特定出来ない状況、例えば当該注意遊技者であることを特定された遊技機2から移動したことを特定した場合や当該注意遊技者を次営業日以降で特定した場合等に注意遊技者である旨を報知出力することにより、高設定値が設定されていることが第三者に把握されてしまう2次的な情報リークが発生する虞を低減することが出来る。
【0039】
以上説明した遊技場用管理システム1によれば、次のような効果を奏する。
高設稼動率が予め設定される基準値である基準稼動率を超える遊技者を注意遊技者として特定しているので、例えば遊技場の従業員から遊技機2に設定されている遊技機設定値に関する情報リークを受け、高設定値が設定された遊技機2である優良台を把握した上で遊技するような不正者が、高設定値が設定された遊技機2での遊技回数割合が高くならないように高設定値が設定されていない(優良台でない)他の遊技機2を少しだけ遊技することを繰り返した場合であっても、高設稼動率に基づいて不正者を検出することが可能となり、適切に不正者を検出出来る。
【0040】
また、初回高設率を遊技者別に特定し、初回高設率が予め設定される基準値を超える遊技者を注意遊技者として特定するので、情報リークを受けた不正者が他の遊技者にその遊技機2を確保される前に遊技機2を確保する状況を適切に把握出来、不正者と通常の遊技者との振り分けを効果的に実行することが出来る。したがって、情報リークを受けた不正者がその情報リークを紛らわすために「高設」以外の遊技機2を遊技し、「高設」の遊技頻度が通常の遊技者と同様になったとしても、情報リークを受けていない通常の遊技者を排除しつつ不正者を効果的に特定出来る。
【0041】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態による遊技場用管理システムについて、図11及び図12を参照しながら説明する。第2実施形態では、注意遊技者を特定する判定基準に遊技を開始した時刻を加えている点において第1実施形態と異なっている。尚、遊技場用管理システム1の構成は第1実施形態と共通するので詳細な説明は省略する。
図11は、管理装置6が設定する異常収支検出設定を示している。この異常収支検出設定には、図6に示した異常収支検出設定に加えて、基準時刻、基準日数及び基準早高率が設定されている。ここで、「基準早高率」は、後述する「早時刻高設率」に対する基準値である。
【0042】
第2実施形態の遊技場用管理システム1では、管理装置6は、単位期間において遊技者が特定された時刻が基準時刻よりも早く、且つ当該遊技者を特定した遊技機2における遊技機設定値が高設定値であるか否かを特定可能な情報を遊技者別に単位期間により区分けして管理している。また、管理装置6は、遊技者を特定した単位期間数の内、基準時刻よりも早く、且つその遊技者を特定した遊技機2における遊技機設定値が高設定値であった単位期間の数である早時刻高設数及びその割合である早時刻高設率を遊技者別に特定している。つまり、第2実施形態の管理装置6は、早時刻遊技管理手段、及び早時刻高設率特定手段に相当する。
【0043】
具体的には、遊技場用管理システム1は、図12に示すように、各レコードに「時刻」の欄を設け、遊技者毎に高設定値が設定されている遊技機2にて遊技を開始した時刻が基準時刻よりも前であるか否かを単位期間単位で判定し、「時刻」の欄に基準時刻以前に高設定値の遊技機2を遊技していれば「○」、遊技していなければ「×」を記憶する。この「時刻」は「予め設定される基準時刻よりも早く、且つ当該遊技者特定手段に対応した遊技機が前記優良台であるか否かを特定可能な情報」に相当する。また、この場合、遊技開始を検出しなくとも遊技者により遊技機2か占有されたことを検出しても良い。合計、平均の欄については第1実施形態と共通しており、「早時刻高設率」は対象期間における基準時刻以前に遊技した遊技機2の遊技機設定値が「高設」である割合(「優良台であった単位期間の数である早時刻優良数の割合である早時刻優良率」)を示しており、基準早高率(基準早優率に相当する)を超えた場合には第1実施形態と同様に識別表示される。
【0044】
そして、遊技場用管理システム1は、「早時刻高設率」が当該早時刻高設率に対して予め設定される基準値である基準早高率を超える遊技者を注意遊技者として特定する。この場合、「高設稼動率」、「初回高設率」及び「早時刻高設率」を組み合わせ、2つの項目にて基準値を超えていることを条件として注意遊技者を特定しても良い。また、「時刻」の対象として初回だけなど、遊技順序にて対象となる遊技機2を限定しても良い。
第2実施形態では、「早時刻高設率」に基づいて注意遊技者を特定することにより、第1実施形態の「初回高設率」による注意遊技者の特定と同様に、情報リークを受けていない通常の遊技者を排除しつつ不正者を効果的に特定出来る等の効果が得られる。そして、「初回高設率」の場合には来店が遅い遊技者が偶々「高設」の遊技機2にて遊技した場合であっても注意遊技者として特定する虞がある一方、「早時刻高設率」ではその虞が無く、より確実に注意遊技者を特定することが出来る。
【0045】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した各実施形態にて例示したものに限定されることなく、次のように変形又は拡張することが出来る。
【0046】
第1実施形態では「高設稼動率」及び「初回高設率」、第2実施形態では「早時刻高設率」に基づいて注意遊技者を特定したが、各実施形態のように割合にて特定するのではなく、実数にて特定するようにしてもよい。この場合、第1実施形態では初回遊技機が前記優良台であった回数である初回優良数に対して予め設定される基準値である基準初優数を超える遊技者を注意遊技者として特定し、第2実施形態では優良台であった単位期間の数である早時刻優良数に対して予め設定される基準値である基準早優数を超える遊技者を注意遊技者として特定することになる。より具体的には、例えば第2実施形態の場合、図11に示す基準早高率(70%)の代わりに、基準初優数(7日)とする等、割合の代わりに日数等の数値を基準値として設定し、間接的に基準早高率等を超えたかを判定しても良い。
【0047】
各実施形態では管理装置6に設けられているモニタ7にて注意遊技者を報知出力するようにしたが、プリンタに印字出力することで報知出力しても良い。また、例えば貸出機3の動作ランプ3aにより報知出力したり、景品カウンタに遊技者特定手段を設け、注意遊技者を特定したときに景品カウンタにおいて報知出力したりしても良い。
遊技期間情報としてアウトを例示したが、例えば遊技機2での遊技者の検出期間や検出中に連続してアウトを検出(アウト信号の入力間隔が設定期間以内で連続と判定する等)している期間を遊技期間として採用する等、遊技者の遊技期間を示す遊技情報であれば、どのような情報を採用しても良い。
遊技機設定値等の設定値を操作入力にて設定することを例示したが、例えば遊技機2からの信号入力により設定したり、デフォルト設定しておく等、その設定方法はどのような方法を採用しても良い。
【0048】
図8から図10にて「設定」と「高設」とを各々管理対象としたが、一方のみを管理対象としても良い。
アウトが基準アウト以上である単位期間を遊技期間として不正検出(注意遊技者の特定)の対象を限定したが、基準アウトを設定しない構成や基準アウトに達しない場合等、遊技者を検出した全ての単位期間を対象としても良い。また、基準アウトの代わりに収支やセーフ等を採用しても良い。
参照情報のように期間を区切って不正検出の対象を限定したが、累計情報のように期間を区切らずに不正検出を行っても良い。
遊技者の特定としてカメラ3dの撮像による人物認証を例示したが、例えば指紋認証等の生体認証や会員カードや遊技者の所有する携帯電話等により遊技者を特定しても良いし、複数の特定方法を採用して認証精度を上げても良い。この場合、例えば会員カードではカードの挿入期間を、指紋認証等では指紋を検知してから非稼動判定されるまでの期間を遊技期間として特定すれば良い。
【0049】
注意遊技者の報知出力を次営業日以降に行う場合、高設稼動率等の特定を閉店時に行えば自ずと次営業日以降に報知出力されることになるが、例えば営業中に随時高設稼動率等の特定を行っておき、島端に設けられる計数機や、景品カウンタに設けられるPOSのようなメダルを清算する端末にて遊技者を撮像等して識別可能とし、その端末や他の遊技機2にて識別した遊技者が注意遊技者であれば、その旨を報知しても良い。尚、上記した2次的な情報リーク等を考慮しなければ、営業中にそのまま報知しても良い。また、管理装置6による報知だけを先に行い、貸出機3等の遊技機2側の機器による報知出力を次営業日以降に行うようにしても勿論良い。
【0050】
対象となる遊技機2としては、例示したスロットマシン以外のパチンコ遊技機やスロットマシン等、遊技機設定値を設定可能であれば、どのような遊技機を対象としても良い。パチンコ遊技機を対象にすると共にアウトを遊技期間情報とした場合、周知の通り100のアウトを1分に対応付ければアウトにより遊技期間を特定可能である。また、スロットマシンの遊技期間をアウトにより特定する場合、ボーナス状態中の1ゲームに消費するアウトは通常状態よりも少ないが、これは頻度が低いので誤差として考慮しなくても良いし、遊技状態毎にアウトに対応する期間を予め設定すると共に遊技状態毎にアウトを管理し、遊技状態毎に遊技期間を特定して合算することで正確に遊技期間を特定しても良い。また、遊技機内にて遊技媒体を循環させ、ポイントを付与することで収支が変動するような所謂封入式或いはクレジット式の遊技機を対象としても勿論良く、この場合も考慮して、玉やメダル等の遊技媒体とポイントとを包含する遊技価値という表現を採用した。
【0051】
例示した全ての遊技情報について遊技信号から直接的、或いは間接的に特定する等どのように特定しても良い。また、各実施形態における数値や項目等は全て例示であり、どのような数値や項目等を採用しても良く、例示した各構成をどのように組み合わせたり、採用しなかったりしても良い。また、図6の異常収支検出設定を機種或いは島別等のグループ単位で設定しても良い。更に、管理装置6が行う情報処理の一部を中継装置4等にて行う構成としても良い。
【符号の説明】
【0052】
図面中、1は遊技場用管理システム、2は遊技機、3dはカメラ(遊技者特定手段)、6は管理装置(遊技者特定手段、期間情報特定手段、遊技情報管理手段、期間情報管理手段、優良台稼動率特定手段、注意遊技者特定手段、初回遊技者管理手段、初回優良特定手段、早時刻遊技者管理手段、早時刻優良率特定手段)、7はモニタ(出力手段)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技価値の付与率を調整可能な遊技機を遊技する遊技者の識別情報を取得し、遊技者を特定する遊技者特定手段と、
前記遊技者特定手段による遊技者の特定結果、及び遊技機側から出力される遊技機を遊技した遊技期間を特定可能な稼動信号の少なくとも一方により、遊技者の遊技期間を示す遊技期間情報を遊技者単位で遊技機別に特定する期間情報特定手段と、
遊技価値の付与率が他の遊技機よりも遊技者にとって有利に調整された遊技機である優良台であるか否かを特定可能な情報を入力することにより、優良台であるか否かを特定可能な優良台情報を管理する遊技情報管理手段と、
前記遊技者特定手段により同一遊技者が同一遊技機にて継続して特定されている期間単位で、当該期間に対応して、前記期間情報特定手段により特定された遊技期間情報を、当該遊技機に対応付けて管理される前記優良台情報と対応付けて遊技者別に管理する期間情報管理手段と、
前記期間情報管理手段により管理される遊技者別の遊技期間情報の合計の内、対応する遊技機が優良台である遊技期間情報の合計の割合を示す優良台稼動率を、遊技者単位で特定する優良台稼動率特定手段と、
前記優良台稼動率が、当該優良台稼動率に対して予め設定される基準値である基準稼動率を超える遊技者を注意遊技者として特定する注意遊技者特定手段と、
前記注意遊技者特定手段による特定結果を報知出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする遊技場用管理システム。
【請求項2】
前記出力手段は、前記優良台に対応した遊技期間情報を前記優良台稼動率の演算対象に加えることで遊技者が前記注意遊技者として特定される場合に、当該注意遊技者が当該優良台を遊技している期間においては注意遊技者である旨を報知出力せずに、当該優良台とは異なる遊技機にて前記遊技者特定手段により当該遊技者が特定されたこと、及び当該優良台が優良台として調整された遊技場営業日の次営業日以降に当該遊技者が特定されたことの少なくとも一方を条件として前記注意遊技者特定手段による特定結果を報知出力することを特徴とする請求項1記載の遊技場用管理システム。
【請求項3】
予め設定される単位期間において遊技者特定手段により遊技者が特定された最初の遊技機である初回遊技機が、前記優良台であるか否かを特定可能な情報を遊技者別に前記単位期間により区分けして管理する初回遊技管理手段と、
前記初回遊技機にて遊技者を特定した回数の内、前記初回遊技機が前記優良台であった回数の割合を示す初回優良率、或いは前記初回遊技機が前記優良台であった回数である初回優良数を、遊技者別に特定する初回優良特定手段と、を備え、
前記注意遊技者特定手段は、前記初回優良率が、当該初回優良率に対して予め設定される基準値である基準初優率を超える遊技者、或いは前記初回優良数が、当該初回優良数に対して予め設定される基準値である基準初優数を超える遊技者を注意遊技者として特定することを特徴とする請求項1または2記載の遊技場用管理システム。
【請求項4】
予め設定される単位期間において遊技者特定手段により遊技者が特定された時刻が、当該時刻に対して予め設定される基準時刻よりも早く、且つ当該遊技者特定手段に対応した遊技機が前記優良台であるか否かを特定可能な情報を遊技者別に前記単位期間により区分けして管理する早時刻遊技管理手段と、
遊技者を特定した単位期間数の内、前記基準時刻よりも早く、且つその遊技者特定手段により当該遊技者が特定された遊技機が前記優良台であった単位期間の数である早時刻優良数の割合である早時刻優良率、或いは前記早時刻優数を、遊技者別に特定する早時刻優良率特定手段と、を備え、
前記注意遊技者特定手段は、前記早時刻優良率が、当該早時刻優良率に対して予め設定される基準値である基準早優率を超える遊技者、或いは前記早時刻優良数が、当該早時刻優良数に対して予め設定される基準値である基準早優数を超える遊技者を注意遊技者として特定することを特徴とする請求項1または2記載の遊技場用管理システム。
【請求項1】
遊技価値の付与率を調整可能な遊技機を遊技する遊技者の識別情報を取得し、遊技者を特定する遊技者特定手段と、
前記遊技者特定手段による遊技者の特定結果、及び遊技機側から出力される遊技機を遊技した遊技期間を特定可能な稼動信号の少なくとも一方により、遊技者の遊技期間を示す遊技期間情報を遊技者単位で遊技機別に特定する期間情報特定手段と、
遊技価値の付与率が他の遊技機よりも遊技者にとって有利に調整された遊技機である優良台であるか否かを特定可能な情報を入力することにより、優良台であるか否かを特定可能な優良台情報を管理する遊技情報管理手段と、
前記遊技者特定手段により同一遊技者が同一遊技機にて継続して特定されている期間単位で、当該期間に対応して、前記期間情報特定手段により特定された遊技期間情報を、当該遊技機に対応付けて管理される前記優良台情報と対応付けて遊技者別に管理する期間情報管理手段と、
前記期間情報管理手段により管理される遊技者別の遊技期間情報の合計の内、対応する遊技機が優良台である遊技期間情報の合計の割合を示す優良台稼動率を、遊技者単位で特定する優良台稼動率特定手段と、
前記優良台稼動率が、当該優良台稼動率に対して予め設定される基準値である基準稼動率を超える遊技者を注意遊技者として特定する注意遊技者特定手段と、
前記注意遊技者特定手段による特定結果を報知出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする遊技場用管理システム。
【請求項2】
前記出力手段は、前記優良台に対応した遊技期間情報を前記優良台稼動率の演算対象に加えることで遊技者が前記注意遊技者として特定される場合に、当該注意遊技者が当該優良台を遊技している期間においては注意遊技者である旨を報知出力せずに、当該優良台とは異なる遊技機にて前記遊技者特定手段により当該遊技者が特定されたこと、及び当該優良台が優良台として調整された遊技場営業日の次営業日以降に当該遊技者が特定されたことの少なくとも一方を条件として前記注意遊技者特定手段による特定結果を報知出力することを特徴とする請求項1記載の遊技場用管理システム。
【請求項3】
予め設定される単位期間において遊技者特定手段により遊技者が特定された最初の遊技機である初回遊技機が、前記優良台であるか否かを特定可能な情報を遊技者別に前記単位期間により区分けして管理する初回遊技管理手段と、
前記初回遊技機にて遊技者を特定した回数の内、前記初回遊技機が前記優良台であった回数の割合を示す初回優良率、或いは前記初回遊技機が前記優良台であった回数である初回優良数を、遊技者別に特定する初回優良特定手段と、を備え、
前記注意遊技者特定手段は、前記初回優良率が、当該初回優良率に対して予め設定される基準値である基準初優率を超える遊技者、或いは前記初回優良数が、当該初回優良数に対して予め設定される基準値である基準初優数を超える遊技者を注意遊技者として特定することを特徴とする請求項1または2記載の遊技場用管理システム。
【請求項4】
予め設定される単位期間において遊技者特定手段により遊技者が特定された時刻が、当該時刻に対して予め設定される基準時刻よりも早く、且つ当該遊技者特定手段に対応した遊技機が前記優良台であるか否かを特定可能な情報を遊技者別に前記単位期間により区分けして管理する早時刻遊技管理手段と、
遊技者を特定した単位期間数の内、前記基準時刻よりも早く、且つその遊技者特定手段により当該遊技者が特定された遊技機が前記優良台であった単位期間の数である早時刻優良数の割合である早時刻優良率、或いは前記早時刻優数を、遊技者別に特定する早時刻優良率特定手段と、を備え、
前記注意遊技者特定手段は、前記早時刻優良率が、当該早時刻優良率に対して予め設定される基準値である基準早優率を超える遊技者、或いは前記早時刻優良数が、当該早時刻優良数に対して予め設定される基準値である基準早優数を超える遊技者を注意遊技者として特定することを特徴とする請求項1または2記載の遊技場用管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−81652(P2013−81652A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223997(P2011−223997)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000108937)ダイコク電機株式会社 (893)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000108937)ダイコク電機株式会社 (893)
【Fターム(参考)】
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