説明

遊技機用基板ケース

【課題】不正行為が行われる場合に、基板ケースの封止に使用される連結部材を容易に破損できるようにする。
【解決手段】遊技機1に設けられる制御基板の表面側を覆う第1ケース部材25aと、制御基板の裏面側を覆う第2ケース部材25bと、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとが制御基板を収容する状態で、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bを連結して封止する連結部材33とを有する遊技機用基板ケースであって、連結部材33は、第1ケース部材25aを係止する第1係止部材36と、第1係止部材36に接合されるとともに第2ケース部材25bを係止する第2係止部材37とを有し、かつ、第1ケース部材と第2ケース部材とを連結した状態において、第1係止部材が第1ケース部材から露出するように構成され、第1係止部材36は、第2係止部材37よりも衝撃強さの低い合成樹脂材料により形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン、パチンコ機などの遊技機に装備される制御基板を収納する遊技機用基板ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機においては、上ケース(第1ケース部材)と下ケース(第2ケース部材)とで開閉自在に構成された基板ケース内に、ROMやコネクタ等の電子部品を実装した制御基板を収納し、この基板ケースを遊技機の筐体の所定箇所に直接または下ケースに固定した取付プレートを介して取り付け、制御基板側のROM等の電子部品により遊技動作を制御する電子制御方式が採用されている。
【0003】
この種の遊技機では、制御基板に実装されたROM等の電子部品を不正に交換できないようにすると同時に、監督官庁による検査や修理等の際に、基板ケースを開けて容易に検査等ができるようにしておく必要がある。
【0004】
そのために、いわゆる封印方式(封印手段)による基板ケースとして、第1ケース部材を係止する第1係止部と、第2ケース部材を係止する第2係止部とを有するとともに、第1ケース部材と第2ケース部材とを連結する連結部材を備えたものがある(例えば特許文献1参照)。この種の基板ケースでは、連結部材は、第1ケース部材に形成される第1取付部に保持されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−82582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、基板ケース内の制御基板を不正に交換する行為は、その手口が巧妙になってきている。上記のような封印(封止)方式による基板ケースであっても、例えば、非常に鋭利な部材を連結部材の第1係止部と第1ケース部材の第1取付部との間に差し込んで、連結部材を傷つけることなく取り外すことによって不正行為が行われる場合も生じている。
【0007】
上記のような不正行為を完全に防止することは困難であるが、少なくとも不正行為が行われたことを確実に発見できるようにすることも重要である。そのためには、不正行為が行われた場合に、連結部材が容易に大きく破損して、その破損の形跡が目立つような状態になることが望まれる。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、不正行為が行われる場合に、基板ケースの封印に使用される連結部材を容易に破損させることができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためのものであって、遊技機に設けられる制御基板の表面側を覆う第1ケース部材と、制御基板の裏面側を覆う第2ケース部材と、第1ケース部材と第2ケース部材とが制御基板を収容する状態で、第1ケース部材と第2ケース部材を連結して封止する連結部材とを有する遊技機用基板ケースであって、連結部材が、第1ケース部材を係止する第1係止部材と、第1係止部材に接合されるとともに第2ケース部材を係止する第2係止部材とを有し、かつ、第1ケース部材と第2ケース部材とを連結した状態において、第1係止部材が第1ケース部材から露出するように構成され、第1係止部材が、第2係止部材よりも衝撃強さの低い合成樹脂材料により形成されてなることを特徴とする。
【0010】
かかる構成において、連結部材が第1ケース部材と第2ケース部材とを連結した状態において、第1ケース部材及び第2ケース部材を破壊することなく連結を解除するには、不正/公正に係わらず、連結部材を破壊する方法と、連結部材を破壊することなく連結を解除するかの何れかの方法が考えられる。公正に連結を解除する場合は前者の方法がとられるが、この場合にはその痕跡が残る結果となる。一方、後者の方法をとる場合、即ち不正に連結を解除しようとする場合にも、連結部材に何らかの力(以下、解除力という)を加え、連結を解除する必要がある。
【0011】
連結部材に解除力が作用した場合、外側に露出しているのは、連結部材の第1係止部材であるため、該第1係止部材に、上記解除力とこれに対する抗力とが作用することになる。ここで、第1係止部材は第2係止部材よりも衝撃強さの低い材料、即ち脆弱な材料で形成されているため、例えば、第1係止部材と第1ケース部材との隙間に挿入したマイクロドライバーの先端を第1係止部材の縁部にひっかけて、てこの原理により連結を解除しようとした場合には、上記解除力が第1係止部材の縁部に局所的に作用することとなり、これにより第1係止部材に容易に欠けやクラックが生じ、結果として痕跡が残ることになる。また、上記解除力が第1係止部材の一部に局所的に作用しないように慎重な解除を試みたとしても、第1係止部材の第1ケース部材との係合部に上記抗力が局所的に作用するため、これによっても欠けやクラックが生じ、結果として痕跡が残ることになる。
【0012】
従って、連結部材の第1係止部材に痕跡を残すことなく、連結部材による連結を解除することは非常に困難となり、仮に、不正行為が行われた場合には、連結部材の第1係止部材に容易に欠けやクラックが生じ、その痕跡が残ることになる。この結果、不正行為を未然に防止することができると共に、不正行為が行われた場合にはその発見が容易となる。
【0013】
また、本発明に係る遊技機用基板ケースは、前記第1係止部材がAS樹脂材、第2係止部材がABS樹脂材によって形成される共に、第1係止部材と第2係止部材とが溶着により接合されてなる構成を採用できる。
【0014】
かかる構成によれば、一般的に、AS樹脂はABS樹脂よりも衝撃強さが低く、また、AS樹脂とABS樹脂とは、特殊な界面加工等を施すことなく溶着により接合することが可能で、接合後には高い接合強度が得られる特徴を有する。従って、衝撃強さの異なる異種樹脂材料から形成した2部材を接合して構成した連結部材ではあるものの、AS樹脂及びABS樹脂の選択により、単一材料で構成した従来の連結部材との比較において、接合面で2部材が分離するリスクや、接合に係るコストアップを最小限に抑えることができる。
【0015】
また、本発明に係る遊技機用基板ケースは、前記第1係止部材が、一端部が閉塞され他端部が開口される円筒形状を呈する一方、第2係止部材が、その一端部が第1係止部材の内底面に接合された棒状を呈し、第1係止部材の外周面に第1ケース部材と係合する第1係合部が突設されると共に、第2係止部材の他端部に第2ケース部材と係合する第2係合部が形成されていることが望ましい。
【0016】
かかる構成によれば、連結部材は、第1係止部材と第2係止部材とによって、第1ケース部材と第2ケース部材とを確実に連結できるようになる。
【0017】
また、本発明に係る遊技機用基板ケースは、前記第1ケース部材が、連結部材の第1係止部材が挿入される円筒状の取付部を有し、連結部材が第1ケース部材と第2ケース部材とを連結した状態において前記第1係合部と係合する凹部が該取付部の内周面に形成されると共に、取付部の底面に連結部材の第2係止部材が挿通される第1挿通孔が形成され、前記第2ケース部材には、前記第1挿通孔と連通する第2挿通孔が形成され、該第2挿通孔の縁部に前記第2係合部が係合することが望ましい。
【0018】
かかる構成によれば、連結部材は、第1係止部材の第1係合部が第1ケース部材の取付部に設けられる凹部に係合し、第2係止部材の第2係合部が第2ケース部材の第2挿通孔の縁部に係合することによって、第1ケース部材と第2ケース部材とを確実に連結できるようになる。
【0019】
また、本発明に係る遊技機用基板ケースは、前記連結部材が第1ケース部材と第2ケース部材とを連結した状態において、第1ケース部材から露出する連結部材の第1係止部材の一部及びその内側の第2係止部材の軸部を該軸部に対して略垂直な面に沿って切断したとき、該切断後も、前記第1係止部材の第1係合部と前記第1ケース部材の前記凹部との係合が維持されると共に、前記第2係止部材の一部が第1ケース部材の第1挿通孔及び第2ケース部材の第2挿通孔を通して第2ケース部材内に落下し該第2ケース部材内に維持される構成を採用できる。
【0020】
かかる構成によれば、第1ケース部材から露出する連結部材の第1係止部材の一部及びその内側の第2係止部材の軸部を該軸部に対して略垂直な面に沿って切断したとき、即ち公正なケース開封時には、ケース開封後も、第1ケース部材及び第2ケース部材それぞれに、連結部材の一部が残ることになる。これにより、公正に開封された旨の痕跡を残すことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、不正行為が行われる場合に、基板ケースの封止に使用される連結部材を容易に破損させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊技機の斜視図である。
【図2】同じく遊技機の扉が開かれた状態における斜視図である。
【図3】筺体の正面図である。
【図4】基板ケースの斜視図である。
【図5】連結部材を示し、(a)はその平面図、(b)は(a)のA−A矢視線断面図、(c)はその斜視図である。
【図6】第1係止部材を示し、(a)はその平面図、(b)はその側面図、(c)はその底面図である。
【図7】第2係止部材を示し、(a)はその平面図、(b)はその側面図、(c)はその底面図である。
【図8】連結部材が待機状態にある場合の基板ケースの部分断面図である。
【図9】連結部材が封止状態にある場合の基板ケースの部分断面図である。
【図10】連結部材による封止が解除された場合の基板ケースの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1〜図10は、本発明に係る遊技機用基板ケース(以下、単に「基板ケース」という)およびこの基板ケースが内部に組み込まれた遊技機の一実施形態を示している。図1、図2は、本発明に係る遊技機1の例としてスロットマシンを示している。この遊技機1は、筺体2と、この筺体2に開閉自在に取り付けられた前扉3を有する。
【0025】
図1に示すように、前扉3の表側の上部には、筺体2の内側に設けられた3個のリール5a、5b、5cを表示するための表示部6が設けられている。前扉3の表側の中央部には、リール5a、5b、5cを始動させるレバー8、リール5a、5b、5cを停止させる停止スイッチ9、電子データ形式で貯留されたクレジットメダルからゲームへの賭けメダルを設定するためのベットスイッチ10、クレジットメダルを精算するための精算スイッチ11、メダル投入口14等が設けられている。前扉3の表側の下部には、メダル払出口12や払い出されたメダルを受けるメダル受け皿13が設けられている。
【0026】
図2に示すように、筺体2の内側には、ホッパ15を有するメダル払出装置16、3個のリール5a、5b、5cを駆動するリールユニット5、電源ユニット17、遊技の進行を制御する制御基板(主制御基板)18等が設けられている。
【0027】
制御基板18は、基板ケース25内に収納された状態で、リールユニット5の上方位置に設けられている。この制御基板18は、遊技機1の遊技動作を制御するプログラムを記憶したROMや、他の基板、あるいは他の部品と信号線を介して接続するための接続端子等を備えている。
【0028】
制御基板18には、レバー8、停止スイッチ9、ベットスイッチ10等の操作による信号が入力される。これらの信号は、前扉3の裏側に設けられた扉中継基板23を介して制御基板18に送信される。制御基板18は、これらの信号を取り込みながら、リールユニット5、メダル払出装置16等を制御して、遊技の進行を制御するようになっている。
【0029】
この遊技機1は、遊技者が所定の枚数のメダルを賭け、レバー8を操作してリール5a、5b、5cを回転させ、停止スイッチ9を順次押してリール5a、5b、5cを停止させることができ、リール5a、5b、5cに記載された図柄がそろったときに、図柄に応じたメダルの払い出しが行われる。
【0030】
この遊技動作を実現するために、遊技機1側の制御としては、遊技者の操作に応じてメダルの賭け枚数等の変更表示を行うとともに、図柄の揃った状態(以下、「入賞状態」という)を判定するために表示部6に設定される有効ラインを設定する。そして、レバー8の操作入力を検知したことに伴って抽選を行い、同時にリール5a、5b、5cを一斉に回転させる。
【0031】
続いて、停止スイッチ9の操作入力の検出に応じて、順次対応するリール5a、5b、5cを停止させる。停止時には各リール5a、5b、5cに対して、レバー8の操作入力と同時に行った抽選の当否結果に基づいて、停止スイッチ9の操作入力を検出したタイミングから所定駒数の範囲内で停止するように制御する。
【0032】
そして、停止させたときのリール5a、5b、5cの位置データに基づいて、設定した有効ライン上に入賞状態が成立しているかどうかを判定して、成立している場合には、メダル払出装置16を駆動して、入賞状態に応じたメダルを払い出す制御を行う。
【0033】
これらの制御は、制御基板18上のCPUが、種々の信号を取り込み、ROMに書き込まれたプログラムに基づいて各機器に向かって指令信号を発生することにより実現される。
【0034】
図4に示すように、基板ケース25は、制御基板18の表面側を被覆する第1ケース部材25aと、制御基板18の裏面側を覆う第2ケース部材25bとを有する。第1ケース部材25aと第2ケース部材25bは、制御基板18を挟むように収納している。基板ケース25は、図3に示すように、取付板26を介して筺体2側に固定される。取付板26は、金属製で、平面視においてほぼ長方形状に形成されている。
【0035】
第1ケース部材25aおよび第2ケース部材25bは、透明または半透明の合成樹脂により成形されている。これにより基板ケース25は、内部に収納された制御基板18を外側から目視で確認できるようになっている。
【0036】
この基板ケース25には、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとの連結状態を維持するとともに、この基板ケース25が遊技機1の筺体2側へ固定された状態で封止する第1封止手段30が設けられている。また、この基板ケース25には、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとの連結状態を維持して封止する第2封止手段31が設けられている。
【0037】
この第1封止手段30は、基板ケース25が不正に開けられて、制御基板18が不正なものに交換されたり、制御基板18のROMのプログラムが不正に改ざんされたりすることを防止するために、基板ケース25が開かないように第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとを連結して結合させるとともに、この状態を保ちながらこの基板ケース25を遊技機1の筺体2側に固定するものである。
【0038】
さらに、この第1封止手段30は、所定の検査時には、基板ケース25を筺体2から取り外すことができるとともに、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとの連結を解除することができるようになっている。第1封止手段30は、その封止を解除したときに、解除の痕跡が残るようになっており、これによって、適切に検査がなされたかどうか、または、不正に封止が解除されたか否かを事後的に確認できるようになっている。
【0039】
一方、第2封止手段31は、基板ケース25が不正に開けられて、制御基板18が不正なものに交換されたり、制御基板18のROMのプログラムが不正に改ざんされたりすることを防止するために、基板ケース25が開かないように第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとを連結するものである。第2封止手段31は、第1封止手段30と同様に、検査等の際に、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとの連結を解除でき、解除された痕跡を残すことができる。
【0040】
図4〜図10に示すように、第1封止手段30は、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとを連結するいわゆるプッシュピン方式の連結部材33と、この連結部材33を受ける受け部材34を有する。
【0041】
図5に示すように、連結部材33は、第1ケース部材25aを係止する第1係止部材36と、第1係止部材36に接合されるとともに第2ケース部材25bを係止する第2係止部材37と、第1係止部材36と第2係止部材37とを接合する接合部38とを有する。
【0042】
また、この実施形態では、連結部材33は、透明又は半透明の合成樹脂により形成されている。より具体的には、第1係止部材36は、AS樹脂(アクリロニトリル・スチレン共重合合成樹脂)によって形成され、第2係止部材37はABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)によって形成されている。
【0043】
AS樹脂によって形成される第1係止部材36は、ABS樹脂によって形成される第2係止部材37よりも衝撃強さが低くなっている。AS樹脂による第1係止部材36の衝撃強さ(アイゾット衝撃値)は、例えば、24.5J/m以上245J/m以下の範囲内で設定される。また、ABS樹脂による第2係止部材37の衝撃強さ(アイゾット衝撃値)は、例えば、321J/m以上426J/m以下の範囲内で設定される。また、AS樹脂によって形成される第1係止部材36は、ABS樹脂によって形成される第2係止部材37よりも硬度が低く(軟らかく)設定されている。
【0044】
第1係止部材36は、図5、図6に示すように、一端部が閉塞され、他端部が開口する筒状(例えば円筒状)に構成される。以下、第1係止部材36の一端部において閉塞されている部分を閉塞部36aといい、他端部において開口している部分を開口部36bという。この第1係止部材36の外周面には、第1ケース部材25aに係合する第1係合爪41、及び第2係合爪42(以下「第1係止部材の第1係合部」ともいう)が設けられている。図5(c)、図6(b)に示すように、第1係合爪41は、第2係合爪42よりも下方位置に設けられている。
【0045】
第1係止部材36の閉塞部36aの内面(以下「第1係止部材の内底面」ともいう)には、第1係止部材36の内周方向に環状に構成される突起部36cと、第1係止部材36の内周方向に環状に構成される凹部36dとが形成されている。第1係止部材36は、透明又は半透明の合成樹脂(AS樹脂)によって構成されていることから、この突起部36c及び凹部36dは、図6(a)、(b)に示すように、この第1係止部材36の外面側に環状の線となって現れ、目視可能になっている。
【0046】
第2係止部材37は、図5、図7に示すように、筒状(例えば円筒状)又は棒状(例えば中空状の棒状)に構成される胴部37a(以下「第2係止部材の軸部」ともいう)と、胴部37aの一端部から突出して形成されるとともに、第2ケース部材25bを係止するための係止爪37b(以下「第2係止部材の第2係合部」ともいう)とを有する。
【0047】
第2係止部材37の胴部37aは、係止爪37bが形成されている一端部とは反対の他端部が閉塞されている。胴部37aにおいて閉塞されている端部の端面37cは平坦面となっている。
【0048】
この実施形態において、2つの係止爪37bが第2係止部材37に形成されて二股状に構成されている。図7(b)に示すように、各係止爪37bは、胴部37aの中心軸線に対して所定角度で傾斜して形成されている。各係止爪37bは、その先端に向かうにつれて互いに離れるように傾斜している。
【0049】
図5(b)に示すように、第1係止部材36の内径は、第2係止部材37の胴部37aの直径よりも大きく形成されており、この第1係止部材36の内面と第2係止部材37の胴部37aの外面とは、所定の間隔をおいて離れている。
【0050】
接合部38は、第1係止部材36と第2係止部材37とを溶着(例えば超音波溶着)することによって構成される。第1係止部材36と第2係止部材37とを溶着により接合する方法は以下の通りである。まず、第2係止部材37の胴部37aの閉塞された端部を、第1係止部材36の開口部36bに挿入する。次に、第1係止部材36の閉塞部36aの内面に形成される突起部36cと、第2係止部材37の胴部37aの端面37cとを当接させる。このとき、第2係止部材37の胴部37aの端面37cは、その全面が第1係止部材36の閉塞部36aの内面に接触するわけではなく、第1係止部材36の閉塞部36aの内面に形成される突起部36cのみと接触する。
【0051】
次に、上記のように第1係止部材36と第2係止部材37とを当接させた部分を超音波溶接(溶着)によって接合する。この溶着の際には、第2係止部材37の胴部37aの下部から内部に所定の治具を挿入することにより、第2係止部材37が動かないように保持することが望ましい。なお、接合部38は、溶着の他、接着剤その他の接合によって構成されてもよい。
【0052】
図4、図8〜図10に示すように、第1ケース部材25aには、連結部材33を取り付けるための複数の第1取付部47が設けられている。この実施形態では第1取付部47の数は4である。第1取付部47は円筒状に形成されている。第1取付部47の底部47aには、連結部材33の第2係止部材37が挿通される第1挿通孔48が形成されている。この第1挿通孔48は、円形に形成されており、その直径は、第1取付部47の内径よりも小さくなっている。また、第1挿通孔48の直径は、第1係止部材36の外径よりも小さくなっている。また、第1取付部47の内周面には、連結部材33の第1係合爪41が嵌る第1凹部(図示せず)、及び第2係合爪42が嵌る第2凹部52が形成されている。
【0053】
前記受け部材34は内部が空洞とされた直方体状に形成されている。この受け部材34は、取付板26に固定されている。また、図8〜図10に示すように、受け部材34には、その内部に連結部材33の第2係止部材37が収納される複数の第1収納部54が形成されている。第1収納部54は第1ケース部材25aに対応して設けられている。
【0054】
第1収納部54は、受け部材34の内部に第2係止部材37の収納空間を形成する複数の仕切壁部55と、連結部材33が基板ケース25を封止しているときに第2係止部材37の係止爪37bを掛止する第1掛止部56と、封止が解除されたときに、第2係止部材37が第1収納部54から抜け外れないようにする第1抜け止め部57を有する。仕切壁部55は、受け部材34の側壁とともに第2係止部材37の収納空間(第1収納部54)を形成している。
【0055】
第1掛止部56は、平面視において四角形状とされており、受け部材34の頂面34aから突出するように形成されている。この第1掛止部56には、第2係止部材37の係止爪37bを掛止する掛止壁61が設けられている。掛止壁61には第2係止部材37が挿通される円形の第2挿通孔62が形成されている。第2挿通孔62の直径は、第1挿通孔48の直径とほぼ等しくなっている。また、第2挿通孔62の直径は、第1係止部材36の外径よりも小さくなっている。なお、第2ケース部材25bには、第1掛止部56が嵌る貫通孔64が形成されている。この貫通孔64は、第1掛止部56に対応して四角形状に形成されている。
【0056】
第1抜け止め部57は、受け部材34の内部に設けられた抜け止め壁66を有する。この抜け止め壁66は、掛止壁61とほぼ平行に設けられている。抜け止め壁66には、第2係止部材37が挿通される円形の第3挿通孔67が形成されている。この第3挿通孔67は、平面視において、掛止壁61の第2挿通孔62と同心状に形成されている。
【0057】
第1封止手段30の連結部材33は、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとを連結せずに待機する待機状態(図8参照)、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bの結合(連結)状態を維持した状態で、この基板ケース25を筺体2側に固定して封止する封止状態(図9参照)、この封止を解除する解除状態(図10参照)へと状態変更可能となっている。
【0058】
以下、連結部材33が待機状態から封止状態へ状態が変更される場合、および封止状態から解除状態に状態が変更される場合の作用を説明する。
【0059】
図8に示すように、連結部材33が待機状態(待機位置)にあるとき、この第1係止部材36の第1係合爪41は、第1取付部47の第1凹部に嵌っている。これにより、連結部材33は第1取付部47に保持される。このとき、第2係止部材37の係止爪37bは、第1取付部47内に位置している。
【0060】
この位置から第1係止部材36が押されると、図9に示すように、第1凹部に嵌っていた第1係合爪41が第1凹部から抜けはずれる。さらに第1係止部材36が押されると、第2係止部材37の係止爪37bの先端が第1挿通孔48を通じて第2挿通孔62に挿通される。
【0061】
このとき、二股状の係止爪37bは、互いの間隔が狭くなるように、弾性変形を伴って第2挿通孔62に挿通される。さらに第1係止部材36が押されて係止爪37bが受け部材34の第1掛止部56の掛止壁61を越えたとき、係止爪37bは、第1掛止部56の掛止壁61に当たり、第2挿通孔62の縁部を係止することで保持される。このとき、係止爪37bの中途部は、弾性変形(収縮)した状態のままで、第1挿通孔48の縁部と第2挿通孔62の縁部(第1掛止壁61の壁面)に当接している。この状態では、第1係止部材36の第2係合爪42が第2凹部52に嵌合する。
【0062】
以上により、基板ケース25は、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとが連結された状態を維持しながら、受け部材34及び取付板26を介して筺体2側に固定され、この状態で封止される。この封止状態においては、第1係止部材36は、その一部が第1ケース部材25aから露出している。より具体的には、封止状態において、第1係止部材36の閉塞部36aは、第1ケース部材25aの第1取付部47内に入った状態で、この第1取付部47から露出した状態となっている。
【0063】
この状態において、例えば、尖端工具を第1係止部材36に当てて、この封止を無理矢理解除しようとすると、第2係止部材37よりも衝撃強さの低い第1係止部材36自体が破損したり、接合部38による接合が解除されたりして、連結部材33が大きく破損する。これにより、不正行為が行われたことを示す痕跡が目立つ状態になり、不正行為の早期発見が可能になる。
【0064】
この封止を解除するには、まず、図10に示すように、第1取付部47に収容されている連結部材33の第1係止部材36を所定の位置で破断(切断)する。破断に際しては、ニッパその他の切断工具が使用される。この破断は、例えば、第1係止部材36の閉塞部36a内面に形成されている凹部36dに対応する位置で行われることが望ましい。この凹部36dが形成されることにより、この位置における閉塞部36aの肉厚が薄くなっており、破断しやすい状態になっているからである。また、この破断は、第2係止部材37の軸部(胴部37a)の軸方向に対してほぼ垂直な面、又は軸部の軸線方向に対してほぼ直交する面に沿って行われることが望ましい。
【0065】
第1係止部材36を所定位置で破断し、その破断部分を除去すると、閉塞部36aによる第1係止部材36の端部の閉塞が解除される。このとき、第2係止部材37の胴部37aの一部も切除される。これによって、連結部材33の接合部38も除去され、第1係止部材36と第2係止部材37は分離した状態になる。これにより、第1係止部材36によって覆われていた第2係止部材37の胴部37aが露出する。
【0066】
この状態において、図10に示すように、第2係止部材37の係止爪37bの中途部は、弾性変形によって第1挿通孔48の縁部と第2挿通孔67の縁部に当接した状態のままである。すなわち、連結部材33は、第1係止部材36の一部及び第2係止部材37の一部が切除され、第1係止部材36と第2係止部材37の接合が解除されたとしても、第2係止部材37は、下方に落下することなく、封止状態における位置を維持できる。
【0067】
この状態から、第2係止部材37の上部を下方に押圧すると、第2係止部材37は、第1収納部54側に移動する。このとき、第2係止部材37は、2つの係止爪37bの間隔が狭くなるように弾性変形しながら第3挿通孔67に挿通される。第2係止部材37がさらに押されて係止爪37bが第3挿通孔67を越えたとき、係止爪37bが抜け止め壁66によって係止される。これによって、第2係止部材37が第2ケース部材25b内に落下し、第2係止部材37の抜け止めがなされることになる。
【0068】
以上によって、第1封止手段30による基板ケース25の封止が解除され、基板ケース25を筐体2側から取り外すことができるようになる。このように第1封止手段30の封止が解除された状態(解除状態)では、第2係止部材37から分離した第1係止部材36は、第2係合爪42が第2凹部52に嵌合した(抜け止めがなされた)ままで、第1取付部47内に保持される。さらに、第2係止部材37は、第1収納部54内で抜け止めが為された状態で残留した状態となり、封止解除の痕跡が基板ケース25および受け部材34に残り、基板ケース25は、事後的に封止解除がなされたか否かを確認できるようになっている。
【0069】
第2封止手段31は、図5に示すように、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとを連結する連結部材33を有する。この連結部材33は、第1封止手段30と同じものである。
【0070】
図4に示すように、第1ケース部材25aには、この連結部材33を取り付けるための第2取付部68が設けられている。この実施形態では、第1ケース部材25aに、2つの第2取付部68,68が形成されている。第2取付部68は、第1取付部47と1列になるように並んで形成されている。また、この実施形態では、2つの第2取付部68、68は、第1ケース部材25aの幅方向において、4つの第1取付部47を挟むように配置されている。
【0071】
第2取付部68は、第1取付部47と同様に円筒状に形成され、その底部に連結部材33の第2係止部材37が挿通される第4挿通孔70が形成されている。この第4挿通孔70は、その縁部が円形に構成される。この第4挿通孔70の直径は、第1挿通孔48の直径と等しくなっている。第2取付部68の内面には、第1係止部材36の第1係合爪41、第2係合爪42が嵌る第3凹部(図示せず)、第4凹部85が形成されている。
【0072】
図8〜図10に示すように、第2ケース部材25bには、第2封止手段31の連結部材33の第2係止部材37を収納する第2収納部87が形成されている。この実施形態では、2つの第2取付部68、68に対応して、2つの第2収納部87、87が第2ケース部材25bに設けられている。この第2収納部87は、連結部材33が第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとを連結した状態で封止しているときに連結部材33の第2係止部材37を掛止する第2掛止部88と、封止が解除されたときに、第2係止部材37が第2収納部87から抜け外れないようにする第2抜け止め部89を有する。
【0073】
第2掛止部88は、第1掛止部56と同様に、第2封止手段31によって基板ケース25を封止するときに、第2係止部材37の係止爪37bを掛止する第2掛止壁88aを有する。この第2掛止壁88aには、係止爪37bが挿通される第5挿通孔88bが形成されている。この第5挿通孔88bは、その縁部が円形に構成されている。この第5挿通孔88bの直径は、第2挿通孔62の直径と等しくなっている。封止状態において、第2係止部材36の係止爪37bは、第5挿通孔88bから第2収納部87側に抜け出た状態で、第2掛止壁88bに当接し、第5挿通孔88bの縁部を係止している。
【0074】
また、この封止状態においては、第1係止部材36は、その一部が第1ケース部材25aから露出している。より具体的には、封止状態において、第1係止部材36の閉塞部36aは、第1ケース部材25aの第2取付部68内に入った状態で、この第2取付部68から露出した状態となっている。
【0075】
第2抜け止め部89は、第2封止手段31による封止が解除される際に、この第2封止手段31の第2係止部材37の係止爪37bが挿通される第6挿通孔89aを有する。この第6挿通孔89aの内径は、前記連結部材33の2つの係止爪37bの端部間の距離よりも若干小さくなっている。
【0076】
第2封止手段31は、第1封止手段30と同様に、連結部材33を待機状態から封止状態へ、また、封止状態から解除状態へと状態を変更できるようになっている。すなわち、第2封止手段31の連結部材33は、待機状態にある場合には、第2取付部68に保持されている。より具体的には、第1係止部材36に形成される第1係合爪41が、第2取付部の第3凹部に嵌合している。
【0077】
そして、待機状態から封止状態へと変更された場合に、連結部材33の第1係止部材36が第1ケース部材25aの第2取付部68内で係止される。より具体的には、第1係止部材の第2係合爪42が第2取付部68の第4凹部85に嵌合する。
【0078】
さらに封止状態においては、第2係止部材37の係止爪37bが第2ケース部材25bの第2収納部87の第2掛止壁88aに掛止された状態で、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bの連結状態が維持されるようになっている。この状態において、第1封止手段30の場合と同様に、この封止を無理矢理解除しようとすると、連結部材33が大きく破損し、不正行為が行われたことを示す痕跡が目立つ状態になる。
【0079】
さらに、第2封止手段31による封止が解除される場合には、第1封止手段30の封止解除の場合と同様に、第1係止部材36の一部が切除された後、第1係止部材36による第2係止部材37の被覆が解除されるとともに、接合部38も除去される。これにより、第1係止部材36と第2係止部材37とが分離される。そして、第2係止部材37の係止爪37bが、第6挿通孔89aを介して第2抜け止め部89によって係止される。これにより、第2係止部材37は、第2ケース部材25b側に抜け止め状態で残留し、第1係止部材36は、第1ケース部材25aの第2取付部68内に抜け止め状態で残留する。以上により、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとの結合が解除される。
【0080】
以上説明した本実施形態における基板ケース25によれば、第1係止部材36が第2係止部材36よりも衝撃強さの低い材料(例えば、第1係止部材36がAS樹脂、第2係止部材37がABS樹脂)で形成されることで、連結部材33による封止を不正に解除する場合に、連結部材33が大きく破損し、破損の跡が目立つようになり、これによる不正行為の発見が容易になる。
【0081】
しかも、接合部38は、第2係止部材37の胴部37aの端部(端面37c)の一部と第1係止部材36の閉塞部36aの内面に形成される突起部36cとの接触部分に形成されることから、胴部37aの端面37cの全面が第1係止部材36の内面に接触する場合と比較して、その接触面積を可及的に小さくすることで、接合力を弱く設定できる。これによっても、第1係止部材36が不正に操作されたときに、容易に接合部38による接合が容易に解除され、連結部材33を大きく破損させて不正が行われた痕跡を目立たせることが可能になる。
【0082】
この点について、より詳細に説明すると、連結部材33が第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとを連結した状態において、第1ケース部材25a及び第2ケース部材25bを破壊することなく連結を解除するには、不正/公正に係わらず、連結部材33を破壊する方法と、連結部材33を破壊することなく連結を解除するかの何れかの方法が考えられる。公正に連結を解除する場合は前者の方法がとられるが、この場合にはその痕跡が残る結果となる。一方、後者の方法をとる場合、即ち不正に連結を解除しようとする場合にも、連結部材33に解除力を加え、連結を解除する必要がある。
【0083】
連結部材33に解除力が作用した場合、外側に露出しているのは、連結部材33の第1係止部材36であるため、該第1係止部材36に、上記解除力とこれに対する抗力とが作用することになる。ここで、第1係止部材36は第2係止部材37よりも衝撃強さの低い材料、即ち脆弱な材料で形成されているため、例えば、第1係止部材36と第1ケース部材25aとの隙間に挿入したマイクロドライバーの先端を第1係止部材36の縁部にひっかけて、てこの原理により連結を解除しようとした場合には、上記解除力が第1係止部材36の縁部に局所的に作用することとなり、これにより第1係止部材36に容易に欠けやクラックが生じ、結果として痕跡が残ることになる。また、上記解除力が第1係止部材36の一部に局所的に作用しないように慎重な解除を試みたとしても、第1係止部材36の第1ケース部材36との係合部に上記抗力が局所的に作用するため、これによっても欠けやクラックが生じ、結果として痕跡が残ることになる。
【0084】
従って、連結部材33の第1係止部材36に痕跡を残すことなく、連結部材33による連結を解除することは非常に困難となり、仮に、不正行為が行われた場合には、連結部材33の第1係止部材36に容易に欠けやクラックが生じ、その痕跡が残ることになる。この結果、不正行為を未然に防止することができると共に、不正行為が行われた場合にはその発見が容易となる。
【0085】
また、連結部材33は、第1係止部材36がAS樹脂材、第2係止部材37がABS樹脂材によって形成される共に、第1係止部材36と第2係止部材37とが溶着により接合されている。
【0086】
これにより、AS樹脂とABS樹脂とは、特殊な界面加工等を施すことなく溶着により接合することが可能になる。また、連結部材33は、第1係止部材36と第2係止部材36の接合後に、高い接合強度が得られる特徴を有する。従って、衝撃強さの異なる異種樹脂材料から形成した2部材を接合して構成した連結部材33ではあるものの、AS樹脂及びABS樹脂の選択により、単一材料で構成した従来の連結部材33との比較において、接合面で2部材が分離するリスクや、接合に係るコストアップを最小限に抑えることができる。
【0087】
さらに、第2係止部材37の胴部37aが筒状又は棒状に構成されて中空状になっていることから、封止の解除の際に容易に切断され得る。
【0088】
また、連結部材33の第1係止部材36が、一端部が閉塞され他端部が開口される円筒形状を呈する一方、第2係止部材37が、その一端部が第1係止部材の内底面に接合された棒状を呈し、第1係止部材36の外周面に第1ケース部材25aと係合する第1係合部(第2係合爪42)が突設されると共に、第2係止部材の他端部に第2ケース部材と係合する第2係合部(係止爪37b)が形成されている。これによって、連結部材33は、第1係止部材36と第2係止部材37とによって、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとを確実に連結できるようになる。
【0089】
また、連結部材33は、第1係止部材36の第1係合部(第2係合爪42)が第1ケース部材25aの第1取付部47に設けられる第2凹部52に係合し、第2係止部材37の第2係合部(係止爪37b)が第2ケース部材25bの第2挿通孔62の縁部に係合することによって、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとを確実に連結できるようになる。
【0090】
また、封止を解除するために、連結部材33を切断した場合に、切断後も、第1係止部材36の第1係合部(第2係合爪42)と第1ケース部材25aの第2凹部52との係合が維持されると共に、第2係止部材37の一部が第1ケース部材25aの第1挿通孔48及び第2ケース部材25bの第2挿通孔62を通して第2ケース部材25b内に落下し、この第2ケース部材25b内に維持される。
【0091】
これによって、第1ケース部材25aから露出する連結部材33の第1係止部材36の一部及びその内側の第2係止部材37の軸部(胴部37a)を、軸部に対して略垂直な面に沿って切断したとき、即ち公正なケース開封時には、ケース開封後も、第1ケース部材25a及び第2ケース部材25bのそれぞれに、連結部材33の一部が残ることになる。これにより、公正に開封された旨の痕跡を残すことができる。
【0092】
なお、本発明に係る基板ケースは、上記の実施形態に限らず、種々の変形・変更が可能である。
【0093】
例えば、上記の実施形態では、第1係止部材36をAS樹脂で構成し、第2係止部材37をABS樹脂で構成した例を示したが、これに限らず、第1係止部材36と第2係止部材37を他の合成樹脂で構成してもよい。
【0094】
上記の実施形態では、第2係止部材37に2つの係止爪37bが形成された例を示したが、これに限定されず、3以上の複数の係止爪37bを第2係止部材37に形成してもよい。同様に、3以上の複数の第1係合爪41及び第2係合爪42を第1係止部材36に形成してもよい。
【符号の説明】
【0095】
1…遊技機、2…筺体、18…制御基板、25…基板ケース、25a…第1ケース部材、25b…第2ケース部材、30…第1封止手段、31…第2封止手段、33…連結部材、36…第1係止部材、42…第1係合部、37…第2係止部材、37a…軸部、37b…第2係合部、38…接合部、47…取付部、48…第1挿通孔、52…凹部、62…第2挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に設けられる制御基板の表面側を覆う第1ケース部材と、制御基板の裏面側を覆う第2ケース部材と、第1ケース部材と第2ケース部材とが制御基板を収容する状態で、第1ケース部材と第2ケース部材を連結して封止する連結部材とを有する遊技機用基板ケースであって、
連結部材は、第1ケース部材を係止する第1係止部材と、第1係止部材に接合されるとともに第2ケース部材を係止する第2係止部材とを有し、かつ、第1ケース部材と第2ケース部材とを連結した状態において、第1係止部材が第1ケース部材から露出するように構成され、
第1係止部材は、第2係止部材よりも衝撃強さの低い合成樹脂材料により形成されてなることを特徴とする遊技機用基板ケース。
【請求項2】
前記第1係止部材はAS樹脂材、第2係止部材はABS樹脂材によって形成されると共に、第1係止部材と第2係止部材とが溶着により接合されてなる請求項1に記載の遊技機用基板ケース。
【請求項3】
前記第1係止部材は、一端部が閉塞され他端部が開口される円筒形状を呈する一方、第2係止部材は、その一端部が第1係止部材の内底面に接合された棒状を呈し、第1係止部材の外周面に第1ケース部材と係合する第1係合部が突設されると共に、第2係止部材の他端部に第2ケース部材と係合する第2係合部が形成されている請求項1又は請求項2に記載の遊技機用基板ケース。
【請求項4】
前記第1ケース部材は、連結部材の第1係止部材が挿入される円筒状の取付部を有し、連結部材が第1ケース部材と第2ケース部材とを連結した状態において前記第1係合部と係合する凹部が該取付部の内周面に形成されると共に、取付部の底面に連結部材の第2係止部材が挿通される第1挿通孔が形成され、前記第2ケース部材には、前記第1挿通孔と連通する第2挿通孔が形成され、該第2挿通孔の縁部に前記第2係合部が係合する請求項3に記載の遊技機用基板ケース。
【請求項5】
前記連結部材が第1ケース部材と第2ケース部材とを連結した状態において、第1ケース部材から露出する連結部材の第1係止部材の一部及びその内側の第2係止部材の軸部を該軸部に対して略垂直な面に沿って切断したとき、該切断後も、前記第1係止部材の第1係合部と前記第1ケース部材の前記凹部との係合が維持されると共に、前記第2係止部材の一部が第1ケース部材の第1挿通孔及び第2ケース部材の第2挿通孔を通して第2ケース部材内に落下し該第2ケース部材内に維持される請求項4に記載の遊技機用基板ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−85889(P2013−85889A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232005(P2011−232005)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000169477)高砂電器産業株式会社 (294)
【Fターム(参考)】