説明

遊技機

【課題】 賞球用に払い出された遊技球に付加価値を付与することにより遊技に対する興趣性の向上を図ることができる遊技機を提供する。
【解決手段】 カードユニットに記録媒体を挿入したときの残高に応じて貸球に付加価値を付与するのに寄与する第1付加価値情報が書き込まれたICチップを内蔵した特殊遊技球を貸し出し、さらに、当該特殊遊技球が第1の始動口に入球すると、第1付加価値情報とは異なる第2付加価値情報をICチップに書き込んだ特殊遊技球を賞球として払い出す。当該第2付加価値情報を有する特殊遊技球と計数装置で計数すると個数を割増して計数する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機が挙げられる。このパチンコ機は、遊技球の貸し出しボタンを遊技者が操作することによりパチンコ機に貸球としての遊技球が払い出されるようになっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
【0004】
すなわち、従来のパチンコ機では、貸し出される貸球は予め決められた条件から遊技者の意思によって選択決定されるものであって、遊技場側(ホール)が当該貸し出しの操作にともなって、遊技者に対してサービスを行うことが困難であるといった問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、遊技媒体の貸し出しを条件に遊技者にとって有利な利益供与の機会を与えることによって遊技に対する興趣性の向上を図ることのできる遊技機を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0007】
すなわち、請求項1に記載の発明は、遊技媒体の貸し出しについての操作を受ける貸出手段と、遊技者による前記貸出手段の操作に基づいて遊技媒体の払い出しをする払出手段とを備えた遊技機において、
前記貸出手段が操作されたときの貸出条件を検出する貸出条件検出手段と、
前記貸出条件検出手段の検出結果に応じて、遊技者への利益供与に寄与する特殊遊技媒体を払い出す特殊遊技媒体払出手段と、
払い出された前記特殊遊技媒体が所定入口部に入力されたことを検出する特殊遊技媒体検出手段と、
前記特殊遊技媒体検出手段によって前記特殊遊技媒体が検出されたとき、遊技者の遊技に対して付加価値を付与する付加価値付与手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、貸出条件検出手段は、貸出手段が操作を受けたときの貸出条件を検出する。特殊遊技媒体払出手段は、貸出条件検出手段の検出結果に応じて、遊技者への利益供与に寄与する特殊遊技媒体を払い出す。特殊遊技媒体検出手段は、払い出された特殊遊技媒体が所定入口部に入力されたことを検出する。付加価値付与手段は、特殊遊技媒体検出手段によって特殊遊技媒体が検出されたとき、遊技者の遊技に対して付加価値を付与する。すなわち、遊技媒体を貸し出したときの条件に応じて、遊技者への利益供与に寄与する特殊遊技媒体が払い出され、当該払い出された特殊遊技媒体を使用し、特殊遊技媒体検出手段によって使用された特殊遊技媒体が検出されたときに、付加価値付与手段によって遊技者の遊技に対して付加価値を付与させることができる。その結果、遊技者が付加価値を得ることによって、遊技者の遊技に対する興趣性の向上を図らせることができる。
【0009】
なお、本明細書は、次のような遊技機に係る発明も開示している。
【0010】
(1)請求項1に記載の遊技機において、
前記特殊遊技媒体は、非接触で情報の書込み、書換え、消去および読み出しが可能な記録媒体を内蔵したものであり、
前記遊技媒体払出手段は、さらに、貸出条件検出手段によって検出されたときの検出結果に応じて遊技者に与える付加価値に寄与する第1付加価値情報を予め記憶した記憶手段と、
前記貸出条件検出手段による検出結果に基づいて、払い出される特別遊技媒体の記録媒体に前記記憶手段から読み出した第1付加価値情報を書き込む書込み手段とを含み、
かつ、前記付加価値付与手段は、前記第1付加価値情報が記録媒体に書き込まれた特別遊技媒体を前記特殊遊技媒体検出手段が検出したとき、前記第1付加価値情報とは異なる第2付加価値情報を新たに払い出される特殊遊技媒体に内蔵された記録媒体に書き込むように前記書込み手段に指示する
ことを特徴とする遊技機。
【0011】
[作用・効果]前記(1)に記載の発明によれば、特殊遊技媒体は、非接触で情報の書込み、書換え、消去および読み出しが可能な記録媒体を内蔵したものである。遊技媒体払出手段、さらに、記憶手段と書込み手段を含む。記憶手段は、貸出条件検出手段によって検出されたときの検出結果に応じて遊技者に与える付加価値に寄与する第1付加価値情報を予め記憶している。書込み手段は、貸出条件検出手段による検出結果に基づいて、払い出される特別遊技媒体の記録媒体に記憶手段から読み出した第1付加価値情報を書き込む。付加価値付与手段は、第1付加価値情報が記録媒体に書き込まれた特別遊技媒体を特殊遊技媒体検出手段が検出したとき、第1付加価値情報とは異なる第2付加価値情報を新たに払い出される特殊遊技媒体に内蔵された記録媒体に書き込むように書込み手段に指示する。
【0012】
したがって、所定の貸出条件が成立したときに払い出された第1付加価値情報が記録媒体に書き込まれた特殊遊技媒体を特殊遊技媒体検出手段が検出したことを契機に、第1付加価値情報とは異なる付加価値である第2付加価値情報を記録媒体に書き込んだ特殊遊技媒体を払い出すことができる。その結果、当該第2付加価値情報を有する特殊遊技媒体を得ることができた遊技者は、遊技に対する興趣性が向上する。
【0013】
なお、本発明において使用される記録媒体としては、ICチップなど読み書き、書き換えが可能なものが挙げられる。
【0014】
(2) 前記(1)に記載の遊技機において、
前記貸出手段は、特殊遊技媒体を貸し出しに寄与する媒体であるコインの投入数の読み取り、または磁気カードの情報を読み取りおよび書き換えのうちの少なくとも読み取りを行う装置であって、
前記貸出条件検出手段は、前記貸出手段によって読み取られたコインの投入数や磁気カードのデータ値である実データと予め決めた基準データとの比較判定を行う比較判定部を備え、
前記付加価値付与手段は、前記比較判定部の判定結果によって実データが基準データに達したときに、前記払出手段から払い出される特殊遊技媒体に内蔵された記録媒体に前記第1付加価値情報を書き込むように前記書込み手段に指示する
ことを特徴とする遊技機。
【0015】
[作用・効果]前記(2)に記載の発明によれば、貸出手段は、特殊遊技媒体を貸し出しに寄与する媒体であるコインの投入数の読み取り、または磁気カードの情報を読み取りおよび書き換えのうちの少なくとも読み取りを行う装置である。比較判定部は、貸出条件検出手段は、貸出手段によって読み取られたコインの投入数や磁気カードのデータ値である実データと予め決めた基準データとの比較判定を行う。付加価値付与手段は、比較判定部の判定結果によって実データが基準データに達したときに、払出手段から払い出される特殊遊技媒体に内蔵された記録媒体に第1付加価値情報を書き込むように書込み手段に指示する。
【0016】
したがって、所定の貸出条件が成立したときに第1付加価値情報が記録媒体に書き込まれた特殊遊技媒体を払い出すことができ、払い出された当該特殊遊技媒体が、さらに特殊遊技媒体検出手段によって検出されると、第2付加価値情報が書き込まれた特殊遊技媒体を払い出すことができる。すなわち、前記(1)に記載の遊技機を好適に実施することができる。
【0017】
(3)請求項1に記載の遊技機、または前記(1)または(2)に記載の遊技機において、
さらに、当該遊技機内で使用される特殊遊技媒体を当該遊技機から排出する排出手段と、
前記排出手段から排出される特殊遊技媒体の記録媒体に書き込まれた第1および第2付加価値情報を消去する消去手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機。
【0018】
[作用・効果]前記(3)に記載の発明によれば、排出手段は、当該遊技機内で使用される特殊遊技媒体を当該遊技機から排出する。消去手段は、排出手段から排出される特殊遊技媒体の記録媒体に書き込まれた第1および第2付加価値情報を消去する。すなわち、所定の遊技機で得られた付加価値情報の書き込まれた特殊遊技媒体を他の遊技媒体で使用することができないので、当該遊技機で遊技を行っているものだけが、付加価値による正当な利益を得ることができる。
【0019】
(4)請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(3)のいずれか1つに記載の遊技機において、
さらに、前記所定入口部に前記特殊遊技媒体が入力されたことを検出する入力検出手段と、
前記入力検出手段が特殊遊技球の入力を検出したときに、当該検出結果に基づいて当否抽選を行い、当該抽選に応じて表示手段に表示演出をさせるように表示制御手段に指示する主制御手段と、
第1付加価値情報が記録媒体に書き込まれた特殊遊技媒体が前記所定入口部に入力し、前記特殊遊技媒体検出手段が、当該特殊遊技媒体に内蔵された記録媒体から第1付加価値情報を検出したときに、遊技に対して付加価値が付与されたことを報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機。
【0020】
[作用・効果] 前記(4)に記載の発明によれば、入力検出手段は、所定入口部に特殊遊技媒体が入力されたことを検出する。主制御手段は、入力検出手段が特殊遊技媒体の入力を検出したときに、当該検出結果に基づいて当否抽選を行い、当該抽選に応じて表示手段に表示演出をさせるように表示制御手段に指示する。報知手段は、第1付加価値情報が記録媒体に書き込まれた特殊遊技媒体が前記所定入口部に入力し、特殊遊技媒体検出手段が、当該特殊遊技媒体に内蔵された記録媒体から報第1付加価値情報を検出したときに、遊技に対して付加価値が付与されたことを報知する。
【0021】
したがって、第1特殊遊技媒体が入口部に入力したことを遊技者は知ることができる。当該状況を知った遊技者は、第1付加価値情報によって通常とは異なる付加価値が得られることを知ることができ、遊技に対する興趣性の向上が図かられる。
【0022】
(5) 前記(1)から(4)のいずれかに記載の遊技機において、
前記付加価値付与手段は、前記書込み手段によって前記特殊遊技媒体に内蔵した記録媒体に書き込んだ第1付加価値情報と、前記特殊媒体検出手段によって検出された第1付加価値情報とが一致しているか否かを判定する情報判定手段を備え、
前記付加価値付与手段は、前記判定手段の判定結果において両情報が一致している場合に、新たに払い出される特殊遊技媒体に内蔵された記録媒体に第2付加価値情報を書き込むように前記書込み手段に指示する
ことを特徴とする遊技機。
【0023】
[作用・効果] 前記(5)に記載の発明によれば、付加価値付与手段は、情報判定手段を備えている。当該情報判定手段は、書込み手段によって特殊遊技媒体に内蔵した記録媒体に記憶させた第1付加価値情報と、特殊遊技媒体検出手段によって検出された第1付加価値情報とが一致しているか否かを判定する。そして、付加価値付与手段は、情報判定手段の判定結果において、既に払い出した特殊遊技媒体の記録媒体に書き込んだ第1付加価値情報と特殊遊技媒体検出手段によって検出された第1付加価値情報とが一致していると判定した場合に、付加価値付与手段から新たに払い出される特殊遊技媒体の記録媒体に第1付加価値情報とは異なる第2付加価値情報を書き込むように書込み手段に指示する。
【0024】
したがって、第1付加価値情報の書き込まれた特殊遊技媒体が払い出された当該遊技機に対して、第2付加価値情報が記録媒体に書き込まれた特殊遊技媒体を払い出すことができる。その結果、所定の遊技機で遊技を行っている遊技者に対して、遊技に対する付加価値を適正に付与することができる。
【0025】
(6) 前記(1)から(5)のいずれか一つに記載の遊技機において、
さらに、前記記録媒体に付加価値に寄与する第1付加価値情報の書き込まれた特殊遊技媒体を遊技者が使用する前に検出する使用前検出手段と、
前記使用前検出手段によって前記特殊遊技媒体が検出されたときに、当該特殊遊技媒体の存在を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。
【0026】
[作用・効果] 前記(6)に記載の発明によれば、使用前検出手段は、記録媒体に付加価値に寄与する第1付加価値情報の書き込まれた特殊遊技媒体を遊技者が使用する前に検出する。報知手段は、使用前検出手段によって記録媒体に付加価値に寄与する第1または第2付加価値情報の書き込まれた特殊遊技媒体が検出されたときに、当該特殊遊技媒体の存在を報知する。
【0027】
したがって、この構成によれは、記録媒体に付加価値に寄与する第1付加価値情報が書き込まれた特殊遊技媒体が存在することを遊技者は知ることができ、当該特殊遊技媒体を使用することにより、通常の遊技媒体の払い出しとは異なる付加価値が付与されることに期待を抱く。すなわち、遊技に対する興趣性の向上を図ることができる。
【0028】
(7) 前記(1)から(5)のいずれか一つに記載の遊技機において、
さらに、前記記録媒体に付加価値に寄与する第1付加価値情報の書き込まれた特殊遊技媒体を遊技者が使用した直後に検出する使用後検出手段と、
前記使用後検出手段によって前記特殊遊技媒体が検出されたときに、当該特殊遊技媒体の存在を報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機。
【0029】
[作用・効果] 前記(7)に記載の遊技機によれば、使用後検出手段は、記録媒体に付加価値に寄与する第1付加価値情報の書き込まれた特殊遊技媒体を遊技者が使用した直後に検出する。報知手段は、使用後検出手段によって記録媒体に付加価値に寄与する第1または第2付加価値情報の書き込まれた特殊遊技媒体が検出されたときに、当該特殊遊技媒体の存在を報知する。
【0030】
したがって、この構成によれは、記録媒体に付加価値に寄与する第1付加価値情報が書き込まれた特殊遊技媒体が存在することを遊技者は知ることができ、当該特殊遊技媒体を使用することにより、通常の遊技媒体の払い出しとは異なる付加価値が付与されることに期待を抱く。すなわち、遊技に対する興趣性の向上を図ることができる。
【0031】
(8) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(7)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機。
【0032】
[作用・効果]前記(8)に記載の遊技機によれば、遊技に対する興趣性の向上を図ることができるパチンコ機を提供できる。なお、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて遊技用媒体としての球を所定の遊技領域に発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(または作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報(図柄等)が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞手段(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
【0033】
(9) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(7)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機。
【0034】
[作用・効果]前記(9)に記載の遊技機によれば、遊技に対する興趣性の向上を図ることができるスロットマシンを提供できる。なお、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技用媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0035】
(10) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(7)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機。
【0036】
[作用・効果]前記(10)に記載の遊技機によれば、遊技に対する興趣性の向上を図ることができる、パチンコ機とスロットマシンとを融合させたものを提供できる。なお、この融合させたものの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する識別情報変動表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技用媒体として球を使用するとともに、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
【0037】
本明細書は、さらに、次のような遊技システムも開示している。
【0038】
(11) 請求項1に記載の遊技機、または前記(1)から(10)に記載の遊技機を備えた遊技システムであって、
前記遊技機から払い出された特殊遊技媒体の個数を計数する計数手段を備え、
前記計数手段は、さらに、以下の構成を含む、
前記遊技機から払い出された複数個の特殊遊技媒体の記録媒体に書き込まれている情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取った情報の中に第2付加価値情報の書き込みがあるか否かを判別する情報判定手段と、
前記情報判別手段によって判別抽出した第2付加価値情報に基づいて、前記特殊遊技媒体の実計数値以外に付加価値を付与する第2付加価値付与手段と、
を備えたことを特徴とする遊技システム。
【0039】
[作用・効果]前記(11)に記載の発明によれば、計数手段は、遊技機から払い出された特殊遊技媒体の個数を計数する。また、計数手段は、読取手段と、情報判定手段と、第2付加価値付与手段を備える。読取手段は、遊技機から払い出された複数個の特殊遊技媒体の記録媒体に書き込まれている情報を読み取る。情報判定手段は、読取手段によって読み取った情報の中に第2付加価値情報の書き込みがあるか否かを判別する。第2付加価値付与手段は、読取手段によって読み取った第2付加価値情報に基づいて、特殊遊技媒体の実計数値以外に付加価値を付与する。
【0040】
すなわち、遊技者は、払い出された複数個の特殊遊技媒体が計数手段で計数されるとき、これら特殊遊技媒体に第2付加価値情報の書き込まれた特殊遊技媒体が含まれていると、通常の利益以外に付加価値が付与される。付加価値を得ることができた遊技者は、遊技に対する興趣性が増大する。
【0041】
(12) 前記(11)に記載の遊技システムにおいて、
前記第2付加価値付与手段は、付加価値として特殊遊技媒体の実計数値に、所定の個数分を割増加算する
ことを特徴とする遊技システム。
【0042】
[作用・効果]前記(12)に記載の発明によれば、遊技者に対する付加価値として、特殊遊技媒体の実計数値に所定個数分の値を加算することが好ましい。すなわち、実計数以上に割増された値となることにより、通常以上の利益を遊技者は得ることができる。
【0043】
(13) 前記(11)または(12)に記載の遊技システムにおいて、
さらに、前記遊技機と前記計数手段のそれぞれからの情報を読み取り管理するホストコンピュータを備え、
前記ホストコンピュータは、さらに以下の構成を含む、
前記遊技機側で特殊遊技媒体に書き込んだ第2付加価値情報と、前記計数手段側の読取手段によって読み取った第2付加価値情報とが一致しているか否かを判定する第2付加価値情報判定手段を備え、
前記計数手段は、前記第2付加価値情報判定手段の判定結果によって読み取った前記両第2付加価値情報が一致していた場合に、特殊遊技媒体の実計数以外の付加価値を付与する
ことを特徴とする遊技システム。
【0044】
[作用・効果]前記(13)に記載の発明によれば、ホストコンピュータは、前記遊技機と計数手段のそれぞれからの情報を読み取り管理する。当該ホストコンピュータは、第2付加価値情報判定手段を備える。第2付加価値情報判定手段は、遊技機側で特殊遊技媒体に書き込んだ第2付加価値情報と、計数手段側の読取手段によって読み取った第2付加価値情報とが一致しているか否かを判定する。計数手段は、第2付加価値情報判定手段の判定結果によって読み取った両第2付加価値情報が一致していた場合に、特殊遊技媒体の実計数以外の付加価値を付与する。
【0045】
すなわち、第2付加価値情報が記録媒体に書き込まれた特殊遊技媒体が払い出されたときに、所定の遊技機に対応した分だけの付加価値が付与されるので、当該遊技機で遊技を行っている遊技者のみが適正な付加価値を得ることができる。
【発明の効果】
【0046】
この発明に係る遊技機によれば、貸出条件検出手段は、貸出手段が操作を受けたときの貸出条件を検出する。特殊遊技媒体払出手段は、貸出条件検出手段の検出結果に応じて、遊技者への利益供与に寄与する特殊遊技媒体を払い出す。特殊遊技媒体検出手段は、払い出された前記特殊遊技媒体が所定入口部に入力されたことを検出する。付加価値付与手段は、特殊遊技媒体検出手段によって特殊遊技媒体が検出されたとき、遊技者の遊技に対して付加価値を付与する。すなわち、この構成によれば、遊技媒体を貸し出したときの条件に応じて、遊技者への利益供与に寄与する特殊遊技媒体が払い出され、当該払い出された特殊遊技媒体を使用し、特殊遊技媒体検出手段によって使用された特殊遊技媒体が検出されたときに、付加価値付与手段によって遊技者の遊技に対して付加価値を付与させることができる。その結果、遊技者が付加価値を得ることによって、遊技者の遊技に対する興趣性の向上を図らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は、外枠11に対して内枠12と前面枠セット14とを開放した状態を示す斜視図である。但し、図2では便宜上、下皿ユニット13が内枠12から取り外された状態を示している。
【0048】
図1,2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に詳細に説明する。
【0049】
外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。本実施の形態では、外枠11の上下方向の外寸は809mm(内寸771mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸480mm)となっている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。
【0050】
内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。例えば、内枠12の開閉軸線がハンドル設置箇所側(図1のパチンコ機10の右側)で上下方向にあるとすると、内枠12を開放する際に遊技球発射ハンドル18の頭部等が隣なりのパチンコ機やカードユニット(球貸しユニット)に干渉することになり、内枠12を十分に開放できない。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂により構成されている。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。
【0051】
内枠12の構成を図3も用いて詳細に説明する。図3は、パチンコ機10から前面枠セット14を取り外した状態を示す正面図である(但し、図3では便宜上、遊技盤30面上の遊技領域内の構成を空白で示している)。
【0052】
内枠12は、大別すると、その最下部に取り付けられた下皿ユニット13と、この下皿ユニット13よりも上側の範囲で内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、後述する樹脂ベース20と、この樹脂ベース20の後側に取り付けられる遊技盤30とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。
【0053】
下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と灰皿22と音出力口24が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に貯留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して下方向外部に抜くことができる。遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出して配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、遊技球発射装置38によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。遊技球発射装置38は、遊技球発射ハンドル18と後述するセットハンドル228と発射モータ229(図6参照)などで構成されている。なお、上述した遊技球発射装置38が本発明における遊技球発射手段に相当する。音出力口24は、下皿ユニット13内あるいは背面に設けられたスピーカからの音を出力するための出力口である。また、灰皿22は下皿15の左方に設けられている。灰皿22は左右方向(水平方向)の軸線を軸心にして回動(例えば前方側に向けて前回り)するように、その右側が下皿15に片持ち支持されている。
【0054】
なお、下皿ユニット13はその大部分が内枠12と同様、ABS樹脂にて成形されている。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。特に、下皿15を形成する表面層と下皿奥方の前面パネル部分とを難燃性のABS樹脂にて成形している。このため、この部分は燃え難くなっている。
【0055】
また、前面枠セット14は、図2に示すように、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。しかも前面枠セット14は内枠12の外側壁(リブ)12b(図3参照)内に嵌まり込むようにして取り付けられている。つまり、この前面枠セット14の側面の少なくとも一部が内枠12の外側壁(リブ)12b内に嵌まり込むようにして取り付けられているので、内枠12と前面枠セット14との隙間から異物(針状あるいは薄板状等のもの)を差し入れるなどの不正行為を防止できるようになっている。また、前面枠セット14は、内枠12と同様に、合成樹脂、具体的にはABS樹脂により構成されているので、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。
【0056】
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が一体的に設けられている。ここで、上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。従来のパチンコ機では前面枠セットの下方に内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたのであるが、本実施の形態では前飾り枠が省略され、前面枠セット14に対し直接的に上皿19が設けられている。この上皿19も下皿15と同様、表面層が難燃性のABS樹脂にて成形される構成となっている。
【0057】
ここで、前面枠セット14は、少なくとも遊技球発射ハンドル18に干渉しないようにして本パチンコ機10の下方に拡張して設けられており、具体的な数値を示すと、パチンコ機10の下端から前面枠セット14の下端までの寸法(図1のH1)は、既存の一機種で例えば約201mmであるのに対し、本パチンコ機10では30mm程小さく、約172mmとなっている。また、これに伴いパチンコ機10の下端から上皿19までの寸法(図1のH2)も小さくなっており、既存の一機種では例えば約298mmであるのに対し、本パチンコ機10では261mmとなっている。かかる構成では、上皿19の位置を下げたことにより、球貸し装置のノズル部と上皿19との距離が大きくなって貸し出される遊技球のこぼれ落ちなどが懸念されるが、本実施例では、当該ノズル部からの遊技球を受ける部分(向かって左側部分)で上皿19の周囲壁の一部を高くした(図1の高壁部19a)。これにより、上皿19の位置を下げた構成にあっても貸し遊技球のこぼれ落ち等の不都合が解消されるようになっている。なお、高壁部19aの高さ寸法は、上皿19の下げ寸法に見合うものであればよく、本実施例では25mmとした。
【0058】
図3に示すように、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース20を主体に構成されており、樹脂ベース20の中央部には略円形状の窓孔21が形成されている。樹脂ベース20の後側には遊技盤30が着脱可能に装着されている。遊技盤30は四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース20(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース20の窓孔21を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。なお、遊技盤30の上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは452mmとなっている(従来と同等サイズ)。
【0059】
次に、図4を用いて遊技盤30の構成を説明する。図4は遊技盤30の構成を示す正面図である。遊技盤30は、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33(例えば作動チャッカ)、第2の始動口34(例えばスルーゲート)、可変表示装置ユニット35等を備えている。これらの一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33(例えば作動チャッカ)、第2の始動口34(例えばスルーゲート)、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。前述の一般入賞口31、可変入賞装置32および第1の始動口33に遊技球が入球し、当該入球が後述する検出スイッチ(入賞口スイッチ221、カウントスイッチ223、作動口スイッチ224等)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車37等の各種部材(役物)が配設されている。
【0060】
可変表示装置ユニット35は、第1の始動口33への入賞をトリガとして、識別情報としての第1図柄(例えば特別図柄)を変動表示する第1図柄表示装置42と、第2の始動口34の通過をトリガとして、第2図柄(例えば普通図柄)を変動表示する第2図柄表示装置41とを備えている。
【0061】
第2図柄表示装置41は、第2図柄用の表示部43と保留ランプ44とを有し、遊技球が第2の始動口34を通過する毎に例えば表示部43による表示図柄(普通図柄)が変動し、その変動表示が所定図柄で停止した場合に第1の始動口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。なお、表示部43は、複数のランプの点灯を切り換えることにより変動表示される構成の他、第1図柄表示装置42(液晶表示装置)の一部で変動表示される構成等であっても良い。保留ランプ44も同様に、第1図柄表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。なお、上述した第2図柄表示装置41が本発明における普通識別情報変動表示手段に相当する。
【0062】
第1図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置45により表示内容が制御される。第1図柄表示装置42には、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして第1図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本実施の形態では、第1図柄表示装置42(液晶表示装置)は8インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備える。可変表示装置ユニット35には、第1図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。なお、上述した第1図柄表示装置42が本発明における識別情報変動表示手段に相当し、上述した表示制御装置45が本発明における表示制御手段に相当する。
【0063】
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっている。より詳しくは、第1の始動口33に対し遊技球が入賞すると第1図柄表示装置42で図柄が変動表示され、その停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組合せとなったことを必要条件に特別遊技状態が発生する。そして、可変入賞装置32の大入賞口が所定の開放状態となり、遊技球が入賞しやすい状態(大当たり状態)になるよう構成されている。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数繰り返し開放される。遊技球が第1の始動口33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。なお、保留ランプ46は、第1図柄表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。
【0064】
また、遊技盤30には、遊技球発射装置38から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品(例えば、フッ素樹脂が添加されて成形されたもの)にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。なお、レールユニット50はフッ素樹脂を添加して成形されているので、図3に示す奥面50aについての遊技球の摩擦抵抗を少なくできる。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)が内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51,52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
【0065】
内レール51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51及び外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、外レール52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図4の右上部:外レール52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって跳ね返されるようになっている。外レール52の内側面には、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするべく、つまり遊技球の摩擦抵抗を少なくするべく、長尺状をなすステンレス製の金属帯としての摺動プレート55が取着されている。
【0066】
また、レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされるようになっている。この実施例では、レールユニット50の少なくとも左側を遊技盤30に強固に締結するために、レールユニット50の左側はその右側よりも多いネジで遊技盤30に締結されているので、レールユニット50の左側についての遊技盤30への密着性を上げることができ、遊技球の球飛びを良くすることができる。レールユニット50の左側が遊技盤30に対してぐらついているとこのレールユニット50に出射された遊技球の勢いが当該ぐらつきにより吸収されてしまうからである。
【0067】
さらに本実施の形態では、正面から見てレールユニット50の上下左右の各端部は略直線状に(平坦に)形成されている。つまり、レールユニット50の上下左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、すなわち遊技盤30上の遊技領域の拡張が図られるようになっている。
【0068】
内レール51及び外レール52間の球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。この凸部57は、内レール51からレールユニット50下端部にかけて略鉛直方向に設けられ、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路63(図3参照)に導くための役目をなす。なお、遊技盤30の右下隅部及び左下隅部は、証紙(例えば製造番号が記載されている)等のシール(図4のS1,S2)やプレートを貼着するためのスペースとなっており、この貼着スペースを確保するために、フランジ56に切欠58,59が形成されている。遊技盤30の右下隅部や左下隅部に、証紙等のシール(図4のS1,S2)を貼着することで、遊技盤30と証紙との一義性を持たせることができる。
【0069】
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)により略円形状に区画形成されており、特に本実施の形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領域が従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、外レール52の最上部地点から遊技盤30下部までの間の距離は445mm(従来品よりも58mm長い)、外レール52の極左位置から内レール51の極右位置までの間の距離は435mm(従来品よりも50mm長い)となっている。また、内レール51の極左位置から内レール51の極右位置までの間の距離は418mmとなっている。
【0070】
本実施の形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て、内レール51及び外レール52によって囲まれる領域のうち、内外レール51,52の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。従って、遊技領域と言った場合には誘導レール部分は含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール52によってではなく内レール51によって特定される。同様に、遊技領域の向かって右側限界位置は内レール51によって特定される。また、遊技領域の下側限界位置は遊技盤30の下端位置によって特定される。また、遊技領域の上側限界位置は外レール52によって特定される。
【0071】
従って、本実施の形態では、遊技領域の幅(左右方向の最大幅)は、418mmであり、遊技領域の高さ(上下方向の最大幅)は、445mmである。
【0072】
ここで、前記遊技領域の幅は、少なくとも380mm以上あることが望ましい。より好ましくは390mm以上、400mm以上、410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、さらに460mm以上であることが望ましい。もちろん、470mm以上であってもよい。すなわち、遊技領域の幅は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。また、遊技領域の高さは、少なくとも400mm以上あることが望ましい。より好ましくは410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、さらには460mm以上であることがより望ましい。もちろん、470mm以上、480mm以上、490mm以上としてもよい。すなわち、遊技領域の高さは、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。なお、上記幅及び高さの組合せについては、上記数値を任意に組み合わせたものとしてもよい。
【0073】
本実施の形態では、遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率は約70%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、遊技盤30面に対する遊技領域の面積比は、従来では50%程度に過ぎなかったことから、遊技盤30を共通とした前提においてはかなり遊技領域を拡大しているといえる。尚、パチンコ機10の外形は遊技場への設置の都合上製造者間でほぼ統一されており、遊技盤30の大きさも同様とせざるを得ない状況下において、上記のように遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率を約20%も高めたことは、遊技領域拡大の観点で非常に有意義である。ここで、前記比率は、少なくとも60%以上であることが望ましい。さらに好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。また、本実施形態の場合を越えて75%以上であれば、一層望ましい。さらには、80%以上であってもよい。
【0074】
また、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積の比率は約40%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積比は、35パーセント以上であるのが望ましい。もちろん、40パーセント以上としてもよいし、45パーセント以上、又は50パーセント以上としてもよい。
【0075】
なお、可変表示装置ユニット35の両側に位置する第2の始動口34は、該第2の始動口34を通過した遊技球が中央の方へ寄せられるような案内機構を有している。これにより、遊技領域が左右方向に拡張されている場合であっても、遊技球を中央の第1の始動口33や可変入賞装置32の方へと案内することができ、ひいては、遊技領域が拡張されることにより遊技球が入賞しにくくなることによる興趣の低下が抑制されるようになっている。さらには、遊技領域が左右方向に拡張されていることによって、風車37、第2の始動口34、複数の釘(遊技球を中央に誘導するための誘導釘)、他の役物を種々配設することができ、可変表示装置ユニット35の左右両側の遊技領域での遊技球の挙動を一層面白くすることができるようになっている。また、遊技領域が上下方向にも拡張されていることから、さらに風車37、第2の始動口34、複数の釘、他の役物を種々配設することができ、遊技領域での上下方向の遊技球の挙動をより一層面白くすることができるようになっている。
【0076】
図3の説明に戻り、前記樹脂ベース20において、窓孔21(遊技盤30)の下方には、遊技球発射装置38より発射された直後に遊技球を案内するための発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62を介して樹脂ベース20に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後前述した通りレールユニット50の球案内通路を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。
【0077】
本パチンコ機10の場合、遊技領域が従来よりも大幅に拡張されることは既に述べたが、かかる構成下では、誘導レールの曲率を小さくせざるを得ないことから、打出球を安定化させるための工夫を要する。そこで本実施の形態では、遊技球の発射位置を低くするとともに発射レール61の傾斜角度(発射角度)を既存のものよりも幾分大きくし(すなわち発射レール61を立ち上げるようにし)、さらに発射レール61の長さを既存のものよりも長くして十分な長さの球誘導距離を確保するようにしている。これにより、遊技球発射装置38から発射された遊技球をより安定した状態で誘導レールに案内できるようにしている。この場合特に、発射レール61を、遊技球発射装置38の発射位置から遊技領域の中央位置(アウト口36)を越える位置まで延びるよう形成している。
【0078】
また、発射レール61とレールユニット50(誘導レール)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路63が形成されている。従って、仮に、遊技球発射装置38から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球として誘導レール内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路63を介して下皿15に排出される。因みに、本実施の形態の場合、発射レール61の長さは約240mm、発射レール先端部の隙間の長さ(発射レール61の延長線上の長さ)は約40mmである。
【0079】
ファール球が誘導レール内を逆流してくる際、その多くは外レール52に沿って流れ、外レール52の下端部に到達した時点で下方に落下するが、一部のファール球は誘導レール内で暴れ、内レール51側へ跳ね上がるものもある。この際、跳ね上がったファール球は、球案内通路入口の前記凸部57に当たり、ファール球通路63に誘導される。これにより、ファール球の全てがファール球通路63に確実に案内されるようになる。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
【0080】
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置38には、前面枠セット14側の球出口(上皿19の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。この際、本実施の形態では遊技球の発射位置を低くしたため、前面枠セット14側の球出口から前記発射位置への落差が大きくなるが、発射レール61の基端部付近にはその右側と手前側にそれぞれガイド部材65,66を設置した。これにより、前面枠セット14側の球出口から供給される遊技球が常に所定の発射位置にセットされ、安定した発射動作が実現できる。また、遊技球発射装置38には打球槌が設けられ、軸部を中心とする打球槌の回動に伴い遊技球が発射されるが、打球槌に関して軽量化が望まれている。それ故、アルミニウム等の軽金属への材料変更や軸部寸法の縮小化により打球槌の軽量化を図る一方で、十分な発射力を確保すべく、打球槌のヘッド部(軸部と反対側の端部)に重り部を設けている。これにより、十分でかつ安定した遊技球の発射が実現できる。打球槌の重り部を上方に突出して設けることにより、打球槌を容易に摘んだりひっかけたりすることができ、槌先の打球強さの調整等がし易くなるという効果がある。
【0081】
なお、図3中の符号67は上皿19に通ずる排出口であり、この排出口67を介して遊技球が上皿19に排出される。排出口67には、略水平方向の回転軸を軸心として略水平状態と略垂直状態とに変位する開閉式のシャッタ68が取り付けられている。前面枠セット14を内枠12から開放した状態(図3の状態)では、バネ等の付勢力によりシャッタ68が略水平状態から略垂直状態となり、排出口67から遊技球がこぼれ落ちないようにこの排出口67を閉鎖する。また、前面枠セット14を閉鎖した状態では、当該前面枠セット14の裏面に設けられた球通路樋69(図2参照)によりシャッタ68が押し開けられて略水平状態になり、排出口67の方へ排出された遊技球はもれなく球通路樋69を通って上皿19に排出されるようになる。従って、前飾り枠が省略され前面枠セット14に対して上皿19が直接設けられる構成とした本パチンコ機10において、前面枠セット14の開放に際し払出通路内等の遊技球がパチンコ機10外にこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できるようになっている。
【0082】
樹脂ベース20には、窓孔21の右下部に略四角形状の小窓71が設けられている。従って、遊技盤30の右下隅部に張られた証紙などのシール(図4のS1)は、この小窓71を通じて視認できるようになっている。また、この小窓71からシール等を貼り付けることも可能となっている。
【0083】
また、図3に示すように、内枠12の左端部には、前面枠セット14の支持機構として、支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には図の手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には鉛直方向に突出した突起軸84が設けられている。
【0084】
図3に示すように、内枠12の上側には、前面枠セット14が内枠12に対して開かれたことを検出する前面枠セット開検出スイッチ90が設けられている。前面枠セット14が開かれると、前面枠セット開検出スイッチ90からホール内(パチンコ店内)用コンピュータへ出力されるようになっている。また、前面枠セット14が閉じられると、図5に示す前面枠セット14の金属製の補強板132,131が図3に示す内枠12の一対の金具92に接触するようになっており、前面枠セット14のアースが確保されている。
【0085】
ここで、前述した前面枠セット14について、図1,図5を参照しつつより詳細に説明する。図5は、前面枠セット14の背面図である。前面枠セット14には前記遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。詳しくは、窓部101は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている。なお、前記略中央部が直線状になるようにしてもよい。本実施の形態において、窓部101の上端(外レール52の最上部、遊技領域の上端)と、前面枠セット14の上端との間の距離(いわゆる上部フレーム部分の上下幅)は61mmとなっており、85mm〜95mm程度上部フレーム幅がある従来技術に比べて著しく短くなっている。これにより、遊技領域の上部領域が確保されやすくなるとともに、大型の可変表示装置ユニット35も比較的上方に配置することができるようになっている。前面枠セット14の上端との間の距離は80mm以下であることが望ましく、より望ましくは70mm以下であり、さらに望ましくは60mm以下である。もちろん、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下であっても差し支えない。
【0086】
また、パチンコ機10の正面から見て窓部101の左端と前面枠セット14の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅:図5では右側に示されている)、すなわち開閉軸線側のフレーム幅は、前面枠セット14自体の強度及び支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。この場合、図1及び図3を相互に比較すると明らかなように、前面枠セット14が閉じられた状態において、外レール52の左端部はもちろん、内レール51の左端部も前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。つまり、誘導レールの少なくとも一部が、パチンコ機10の正面からみて前面枠セット14の左側部フレーム部分と重複し覆い隠される。このように遊技球が一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球が遊技領域に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領域において遊技球が視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、前面枠セット14の十分な強度及び支持強度が確保可能となっている。ちなみに、パチンコ機10の正面から見て外レール52の左端位置と外枠11の左端位置との左右方向の距離は21mm、遊技領域の右端位置(内レール51の右端位置)と外枠11の右端位置との左右方向の距離は44mmとなっている。
【0087】
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。さらに、上皿19周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが設けられている。また、環状電飾部102の下端部に隣接するようにして、内枠12表面や遊技盤30表面等の一部を視認できるよう透明樹脂からなる小窓107が設けられている。この小窓107の所定箇所を平面状としているので、遊技盤30の右下隅部に貼り付けられた証紙などを、小窓107の当該平面状箇所から機械で好適に読み取ることができる。
【0088】
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
【0089】
また、図1に示すように、前面枠セット14の左側の小窓107付近を前面側(図1の紙面手前側)に必要以上に突出しないようにしている。こうすることで、パチンコ機10の左側に設けられたカードサンドの球貸し装置から直接に上皿19に遊技球を貸し出す際に、当該球貸し装置のノーズ部(いわゆる象の鼻)の先端排出口を好適に上皿19の上方位置に位置させることができ、当該球貸し装置のノーズ部から貸し出される遊技球を上皿19で受けることができる。
【0090】
前面枠セット14の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、図5に示すように、前面枠セット14の裏側にあって窓部101の上下左右の外側にはそれぞれ補強板131,132,133,134が取り付けられている。これら補強板131〜134は相互に接触して連結されているが、図の左側及び上側の補強板132,133の連結部には直接の接触を避けるための樹脂パーツ135が介在されている。このように補強板132,133の連結部に樹脂パーツ135を介在させているので、ノイズが補強板131〜134でループすることを防止できる。また、図5の右側の補強板131にはその中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前面枠セット14を閉じた状態で内枠12の孔部12a(図3参照)に係合されるように構成されている。この構成により、上皿19を含む形態で前面枠セット14が構成され、その上下の軸支位置が延長されたとしても、中間位置における前面枠セット14の浮き上がりが防止できる。それ故、前面枠セット14を浮かしての不正行為等が抑制されるようになっている。
【0091】
また、下側の補強板134には、前記発射レール61(図3参照)に対向する位置に樹脂製のレール側壁部材136が設けられている。このレール側壁部材136は、前面枠セット14を閉じた際に発射レール61の側壁となる。故に、発射レール61から遊技球がこぼれ落ちないようになっている。
【0092】
上述した補強板131〜134はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えており、これら補強板131〜134の一部が後方に折り返されてガラス保持溝が形成されている。このガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着されるようになっている。
【0093】
前述の通り本実施の形態のパチンコ機10では遊技領域の拡張を図っていることから、前面枠セット14を閉じた状態にあっては、内外のレール52,53により構成された誘導レールの一部が前面枠セット14により覆い隠される構成となっている。それ故、当該誘導レールでは手前側の開放部がガラス137で覆えない部分ができてしまう。かかる場合、例えば、遊技球発射装置38より発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らず戻ってくると、当該遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール52とガラス137との間に挟まってしまうおそれがある。そこで本実施の形態では、前面枠セット14に、誘導レールの手前側開放部を被覆するためのレールカバー140を取り付けている。
【0094】
レールカバー140は略円弧状をなす略平板体であって、透明な樹脂により形成されている。レールカバー140は、その円弧形状が前記誘導レールの形状に対応しており、窓部101の周縁部に沿って、誘導レールの基端部から先端部近傍までの区間を覆うようにして前面枠セット14の裏側に取着されている。特にレールカバー140の内径側の寸法・形状は内レール52のそれにほぼ一致する。レールカバー140が取着された状態では、その表面側がガラス137に当接した状態となる。前面枠セット14が閉じられた状態においては、レールカバー140の裏面が誘導レールのほぼ全域を覆うこととなる。これにより、誘導レールのほとんどの区間において遊技球のガラス137への衝突を防止できる。従って、ガラス137への接触による破損等の悪影響を抑制することができる。
【0095】
また、レールカバー140の右端部(すなわち、レールカバー140を前面枠セット14に取着した図5の状態で右端となる部位)には、誘導レールがガラス137の側縁部からはみ出した部分を被覆するための被覆部141が設けられている。これにより、遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール52とガラス137との間に挟まってしまうといった不具合の発生を防止することができる。
【0096】
さらに、レールカバー140の裏側には、その内側縁に沿って円弧状に延び且つ図5の手前側に突出した突条142が形成されている。突条142は、前面枠セット14が閉じられた状態において、誘導レール内に入り込んだ状態で内レール52にほぼ一体的に重なり合うよう構成されている。従って、例えば前面枠セット14と内枠12との隙間から針金等を侵入させて不正行為を行おうとしても、誘導レールの内側にある遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金等を利用して行われる不正行為を防止することができる。なお、突条142をより広い範囲で、例えばレールカバー140の内側縁の全域に沿って形成する構成としても良く、かかる構成によれば、より広い範囲で針金等を侵入させにくくなり、針金等を利用して行われる不正行為をより確実に防止することができる。
【0097】
また、前面枠セット14の図5の右端部(パチンコ機10正面から見ると左端部)には、内枠12の支持機構として、支持金具151,152が取り付けられている。従って、内枠12側の支持金具81,82(図3参照)に対して前面枠セット14側の支持金具151,152を組み付けることで、内枠12に対して前面枠セット14が開閉可能に装着されるようになる。
【0098】
次に、パチンコ機10の背面の構成を詳しく説明する。図6はパチンコ機10の背面図であり、図7はパチンコ機10の背面構成を主要部品毎に分解して示す分解斜視図である。
【0099】
先ず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主基板と音声ランプ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。
【0100】
また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
【0101】
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、さらにこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
【0102】
実際には、図8の概略図に示すように各ユニット201〜203が配置され、取り付けられている。なお図8において、略L字状をなす第1制御基板ユニット201はパチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方に第2制御基板ユニット202が配置されている。また、第1制御基板ユニット201に一部重なる領域に、裏パックユニット203が配置されている。
【0103】
詳しくは、第1制御基板ユニット201には、パチンコ機10の背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1による軸線Aを中心に当該第1制御基板ユニット201が開閉可能となっている。また、第1制御基板ユニット201には、その右端部(すなわち支軸部と反対側、さらに言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら締結部M2及び係止爪部M3によって第1制御基板ユニット201がパチンコ機本体に対して固定保持されるようになっている。
【0104】
また、第2制御基板ユニット202には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4による軸線Bを中心に当該第2制御基板ユニット202が開閉可能となっている。また、第2制御基板ユニット202には、その左端部(すなわち支軸部と反対側、さらに言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M5が設けられており、この締結部M5によって第2制御基板ユニット202がパチンコ機本体に対して固定保持されるようになっている。
【0105】
さらに、裏パックユニット203には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に当該裏パックユニット203が開閉可能となっている。また、裏パックユニット203には、その左端部(すなわち支軸部と反対側、さらに言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M7が設けられると共に上端部及び下端部にそれぞれ回動式の係止部M8,M9が設けられており、これら締結部M7及び係止部M8,M9によって裏パックユニット203がパチンコ機本体に対して固定保持されるようになっている。
【0106】
この場合、各ユニット201〜203の展開方向は同一でなく、第1制御基板ユニット201は、パチンコ機10の背面から見て左開きになるのに対し、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、同右開きになるよう構成されている。
【0107】
一方、図9は、内枠12に遊技盤30を組み付けた状態でその構成を示す背面図である。また、図10は内枠12を後方より見た斜視図であり、図11は遊技盤30を後方より見た斜視図である。ここでは図9〜図11を用いて内枠12及び遊技盤30の裏面構成を説明する。
【0108】
遊技盤30は、樹脂ベース20に囲まれた四角枠状の設置領域に設置され、内枠12に設けられた複数(本実施の形態では4カ所)の係止固定具211,212によって脱落しないように固定されている。係止固定具211,212は手動で回動でき、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とを切り換えることができるよう構成されており、図9にはロック状態を示す。遊技盤30の左右3カ所の係止固定具211は金属片を折り曲げ形成したL型の金具であり、遊技盤30の固定状態で内枠外方へ張り出さないよう構成されている。なお、遊技盤30の下部1カ所の係止固定具212は樹脂製のI型の留め具である。
【0109】
遊技盤30の中央には可変表示装置ユニット35が配置されている。可変表示装置ユニット35においては、センターフレーム47(図3参照)を背後から覆う樹脂製(例えばABS製)のフレームカバー213が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる第1図柄表示装置42と表示制御装置45とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するためのLED制御基板などが配設されている。
【0110】
また、遊技盤30の裏面には、可変表示装置ユニット35を取り囲むようにして裏枠セット215が取り付けられている。この裏枠セット215は、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成型品(例えばABS製)であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構が形成されている。詳しくは、裏枠セット215の下方には、前述した一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33(それぞれ図3参照)の遊技盤開口部に対応し、且つ下流側で1カ所に集合する回収通路216が形成されている。また、遊技盤30の下方には、内枠12にやはり樹脂製(例えばポリカーボネート樹脂製)の排出通路盤217が取り付けられており、該排出通路盤217には、排出球をパチンコ機10外部へ案内するための排出通路218が形成されている。従って、図9に仮想線で例示するように、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セット215の回収通路216を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36(図3参照)も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。
【0111】
上記構成では、遊技盤30の下端面を境界にして、上方に裏枠セット215(回収通路216)が、下方に排出通路盤217(排出通路218)が設けられており、排出通路盤217が遊技盤30に対して前後方向に重複(オーバーラップ)せずに設けられている。従って、遊技盤30を内枠12から取り外す際において、排出通路盤217が遊技盤取り外しの妨げになるといった不都合が生じることもない。
【0112】
なお、排出通路盤217は、パチンコ機前面の上皿19の丁度裏側辺りに設けられており、上皿19に至る球排出口(図2の球通路樋69)より針金等を差し込み、さらにその針金等を内枠12と排出通路盤217との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで本パチンコ機10では、排出通路盤217の上皿19の丁度裏側辺りに、内枠12にほぼ一体的に重なり合うようにしてパチンコ機前方に延びるプレート219が設けられている。従って、内枠12と排出通路盤217との隙間から針金等を侵入させようとしてもそれがプレート219にて阻害され、遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金等を利用して可変入賞装置32(大入賞口)を強制的に開放する等の不正行為を防止することができる。
【0113】
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出するための入賞感知機構などが設けられている。具体的には、遊技盤30表側の一般入賞口31に対応する位置には入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32には、特定領域スイッチ222とカウントスイッチ223とが設けられている。特定領域スイッチ222は、大当たり状態で可変入賞装置32に入賞した遊技球が特定領域(大当たり状態継続を判定するための領域)に入ったことを判定するスイッチであり、カウントスイッチ223は入賞球をカウントするスイッチである。また、第1の始動口33に対応する位置には作動口スイッチ224が設けられ、第2の始動口34に対応する位置にはゲートスイッチ225が設けられている。なお、上述した作動口スイッチ224が本発明における入賞検出手段に相当する。
【0114】
入賞口スイッチ221及びゲートスイッチ225は、図示しない電気配線を通じて盤面中継基板226に接続され、さらにこの盤面中継基板226が後述する主基板(主制御装置)に接続されている。また、特定領域スイッチ222及びカウントスイッチ223は大入賞口中継基板227に接続され、さらにこの大入賞口中継基板227がやはり主基板に接続されている。これに対し、作動口スイッチ224は中継基板を介さずに直接主基板に接続されている。
【0115】
その他図示は省略するが、可変入賞装置32には、大入賞口を開放するための大入賞口ソレノイドと、入賞球を特定領域に導くための入賞球振分板ソレノイドが設けられ、第1の始動口33には、電動役物を開放するための作動口ソレノイドが設けられている。なお、図9において符号228は打球槌等を備えるセットハンドルであり、符号229は発射モータである。
【0116】
上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。かかる場合、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行う従来方式(いわゆる証拠球方式)とは異なり、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる(すなわち、本パチンコ機10では入賞球処理装置を廃止している)。故に、払い出す遊技球が多量にあっても、その払出をいち早く実施することが可能となる。但し、本発明に従来の「証拠球方式」を適用してもよい。
【0117】
また、裏枠セット215には、第1制御基板ユニット201を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、この取付機構として、遊技盤30の裏面から見て左下隅部には上下方向に延びる支持金具231が設けられ、この支持金具231には同一軸線上に上下一対の支持孔231aが形成されている。その他、遊技盤30の右下部において符号232は上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)であり、同左上部において符号233は係止爪片である。
【0118】
また、内枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、内枠12にはその右端部に長尺状の支持金具235が取り付けられており、その構成を図12に示す。図12に示すように、支持金具235は長尺板状の金具本体236を有し、その金具本体236より起立させるようにして、下方2カ所に第2制御基板ユニット用の支持孔部237が形成されると共に、上方2カ所に裏パックユニット用の支持孔部238が形成されている。それら支持孔部237,238にはそれぞれ同軸の支持孔が形成されている。その他、第2制御基板ユニット用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)239が設けられている。また、裏パックユニット用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)240が設けられている。但し、第2制御基板ユニット用の支持金具と裏パックユニット用の支持金具とを各々個別の部材で設けることも可能である。符号241,242,243は、遊技盤30との間に裏パックユニット203を挟み込んで支持するための回動式の固定具である。
【0119】
その他、内枠12の背面構成において、遊技盤30の右下部には、後述する払出機構部352より払い出される遊技球を上皿19、下皿15、又は排出通路218の何れかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。すなわち、遊技球分配部245の開口部245aは上皿19に通じ、開口部245bは下皿15に通じ、開口部245cは排出通路218に通じる構成となっている。図10,20に示すように、遊技球分配部245は、その上方位置に位置する後述の払出機構部352とは別体としている。図10に示すように、遊技球分配部245は、内枠12にネジで締結固定されており、パチンコ機10の上皿19の排出口67(図3参照)から異物を挿入操作するなどしても動かない、つまり遊技球分配部245が奥側に押されて遊技球分配部245と内枠12との間に隙間が空くようなことが無いし、この隙間に異物を挿入するなどによる不正を防止できる。
【0120】
また、内枠12の下端部には、下皿15に設置されたスピーカの背後を囲むための樹脂製のスピーカボックス246が取り付けられており、このスピーカボックス246により低音域の音質改善が図られている。
【0121】
次に、第1制御基板ユニット201を、図13〜図16を用いて説明する。図13は第1制御基板ユニット201の正面図、図14は同ユニット201の斜視図、図15は同ユニット201の分解斜視図、図16は同ユニット201を裏面から見た分解斜視図である。
【0122】
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、この取付台251に主制御装置261と音声ランプ制御装置262とが搭載されている。ここで、主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263(被包手段)に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット264(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス263が封印されている。
【0123】
封印手段としての封印ユニット264はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは図14等に示すように、5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結されるようになっている。封印ユニット264による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度開封・封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、封印ユニット264を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主基板の不具合などにより基板ボックス263を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス263の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス263に残しておけば、基板ボックス263を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
【0124】
また、音声ランプ制御装置262は、例えば主制御装置261(主基板)又は表示制御装置45からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司るCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、この音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス265に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置262上には電源中継基板266が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板266を介して表示制御装置45及び音声ランプ制御装置262に出力されるようになっている。
【0125】
取付台251は、有色(例えば緑、青等)の樹脂材料(例えばポリカーボネート樹脂製)にて成形され、その表面に平坦状をなす2つの基板搭載面252,253が設けられている。これら基板搭載面252,253は直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。但し、取付台251は無色透明又は半透明の樹脂成型品であっても良い。
【0126】
そして、一方の基板搭載面252上に主制御装置261(主基板)が横長の向きに配置されると共に、他方の基板搭載面253上に音声ランプ制御装置262(音声ランプ制御基板)が縦長の向きに配置されるようになっている。特に、主制御装置261は、パチンコ機10裏面から見て手前側に配置され、音声ランプ制御装置262はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面252,253が前後方向に段差をもって形成されているため、これら基板搭載面252,253に主制御装置261及び音声ランプ制御装置262を搭載した状態において各制御装置261,262はその一部を前後に重ねて配置されるようになる。つまり、図14等にも見られるように、主制御装置261はその一部(本実施の形態では1/3程度)が浮いた状態で配置されるようになる。故に、主制御装置261に重なる領域まで音声ランプ制御装置262を拡張することが可能となり、当該制御基板の大型化にも良好に対処できる。また、各制御装置が効率良く設置できるようになる。また、第1制御基板ユニット201を遊技盤30に装着した状態では、基板搭載面252の後方にスペースが確保され、可変入賞装置32やその電気配線等が無理なく設置できるようになっている。
【0127】
図15及び図16に示すように、主基板用の基板搭載面252には、左右2カ所に横長形状の貫通孔254が形成されている。これに対応して、主制御装置261の基板ボックス263には、その裏面の左右2カ所に回動式の固定具267が設けられている。主制御装置261を基板搭載面252に搭載する際には、基板搭載面252の貫通孔254に固定具267が通され、その状態で固定具267が回動されて主制御装置261がロックされる。従って、上述の通り主制御装置261はその一部が浮いた状態で配置されるとしても、当該主制御装置261の脱落等の不都合が回避できる。また、主制御装置261は、裏パックユニット203を軸線Cを軸心として開き、第1制御基板ユニット201を軸線Aを軸心として開いた後に、この第1制御基板ユニット201(基板搭載面252)の裏面側から固定具267をロック解除しなければ、取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が期待できる。主基板用の基板搭載面252にはその裏面に格子状のリブ255が設けられている。
【0128】
取付台251には、図14等の左端面に上下一対の支軸256が設けられており、この支軸256を図9等に示す支持金具231に取り付けることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に対して開閉可能に支持される。また、取付台251には、右端部に締結具として上下一対のナイラッチ257が設けられると共に上端部に長孔258が設けられており、ナイラッチ257を図9等に示す被締結孔232にはめ込むと共に、長孔258に図9等に示す係止爪片233を係止させることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に固定されるようになる。なお、支持金具231及び支軸256が前記図8の支軸部M1に、被締結孔232及びナイラッチ257が締結部M2に、係止爪片233及び長孔258が係止爪部M3に、それぞれ相当する。
【0129】
次に、第2制御基板ユニット202を、図17〜図19を用いて説明する。図17は第2制御基板ユニット202の正面図、図18は同ユニット202の斜視図、図19は同ユニット202の分解斜視図である。但し、図18では便宜上、カードユニット接続基板314が取付台301から取り外された状態を示している。
【0130】
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台301を有し、この取付台301に払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が搭載されている。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射モータ229の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。カードユニット接続基板314は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314は不要である。
【0131】
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス315,316,317,318にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、前述した主制御装置261と同様、基板ボックス315(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット319(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス315が封印されている。
【0132】
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
【0133】
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、通常手順で(例えばホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入することとしている。
【0134】
取付台301は例えば無色透明な樹脂成型品よりなり、その表面に平坦状をなす基板搭載面302が設けられている。この場合、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は取付台301の基板搭載面302に横並びの状態で直接搭載され、電源装置313の基板ボックス317上に払出制御装置311が搭載されている。
【0135】
また、取付台301には、図17等の右端部に上下一対の支軸305が設けられており、この支軸305を図9等に示す支持孔部237に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、取付台301には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ306が設けられており、ナイラッチ306を図9等に示す被締結孔239にはめ込むことで、第2制御基板ユニット202が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。なお、支持孔部237及び支軸305が前記図8の支軸部M4に、被締結孔239及びナイラッチ306が締結部M5に、それぞれ相当する。
【0136】
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものであり、裏パックユニット203の正面図を図20に示し、分解斜視図を図21に示す。
【0137】
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する(但し本実施の形態では、前述の音声ランプ制御装置262も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置45等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
【0138】
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図21に示す払出通路359等を通じて前記上皿19に供給される。
【0139】
タンクレール356と、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360とが一体化となるようにユニット化されている。つまり、バイブレータ360が例えば2本のネジでタンクレール356に締結されて取り付けられるようになっている。さらに、バイブレータ360は、タンクレール356に面接触するのではなく、当該2本のネジの部分で接触するようになっており、バイブレータ360による振動がより効果的にタンクレール356に伝わるようになっている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
【0140】
タンクレール356の構成について詳述すると、図22に示すように、タンクレール356は上方に開口した長尺樋状をなすレール本体361を有し、レール本体361の始端部には球面状の球受部362が設けられている。この球受部362により、タンク355より落下してきた遊技球が円滑にレール本体361内に取り込まれる。また、レール本体361には長手方向に延びる仕切壁363が設けられており、この仕切壁363により遊技球が二手に分流されるようになっている。仕切壁363により仕切られた2条の球通路は遊技球の直径よりも僅かに幅広となっている。仕切壁363により仕切られた各球通路の底面には、1筋又は2筋の突条364が設けられると共に、その突条364の側方に開口部365が設けられている。
【0141】
また、レール本体361には、その下流側半分程度の天井部分を覆うようにして整流板367が配設されている。この整流板367は、下流側になるほどタンクレール356内の球通路高さを制限するよう弓なりに反った形状をしており、さらにその下面には長手方向に延びる凸部368が形成されている。これにより、タンクレール356内を流れる各遊技球は最終的には上下に積み重なることなく下流側に流出する。従って、タンクレール356に多量の遊技球群が流れ込んできても、遊技球の噛み込みが防止され、タンクレール356内における球詰まりが解消されるようになっている。なお、レール本体361が黒色の導電性ポリカーボネート樹脂により成形されるのに対し、整流板367は透明のポリカーボネート樹脂により成形されている。整流板367は着脱可能に設けられており、当該整流板367を取り外すことによりタンクレール356内のメンテナンスが容易に実施できるようになっている。
【0142】
図20,21の説明に戻り、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
【0143】
タンク355から払出通路359に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する樹脂材料(例えば導電性ポリカーボネート樹脂)にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
【0144】
また、裏パック351には、図20等の右端部に上下一対の支軸385が設けられており、この支軸385を図9等に示す支持孔部238に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、裏パック351には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ386が設けられると共に、上端部に係止孔387が設けられており、ナイラッチ386を図9等に示す被締結孔240にはめ込むと共に、係止孔387に図9等に示す固定具242を係止させることで、裏パックユニット203が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。このとき、図9等に示す固定具241,243によっても裏パックユニット203が内枠12に固定される。なお、支持孔部238及び支軸385が前記図8の支軸部M6に、被締結孔240及びナイラッチ386が締結部M7に、固定具242及び係止孔387が係止部M8に、それぞれ相当する。また、固定具243が係止部M9に相当する。
【0145】
なお、図6,図20に示すように、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ388が設けられている。内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチ388からホール内(パチンコ店内)用コンピュータへ出力されるようになっている。
【0146】
なお、図9に示すように、裏パックユニット203は、被締結孔240及びナイラッチ386と、固定具241,242とによって、内枠12の裏面に着脱自在に取り付けられている。このように固定具241,242も用いているので、タンク355に供給される遊技球の重みで裏パックユニット203が内枠12から外れてしまうことを防止している。
【0147】
次に、本パチンコ機10の電気的構成について、図23を用いて説明する。図23は、本パチンコ機10の電気的構成を示したブロック図である。本パチンコ機10は、主制御装置261と、払出制御装置311と、発射制御装置312と、表示制御装置45と、電源装置313などを備えている。以下に、これらの装置を個別に詳細に説明する。
【0148】
パチンコ機10の主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0149】
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
【0150】
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、NMI割込み処理(図33参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)の復電処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号S1が入力されるように構成されており、停電の発生により、図33の停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
【0151】
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路643、払出制御装置311、表示制御装置45や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。
【0152】
また、払出制御装置311は、払出モータにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
【0153】
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
【0154】
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、NMI割込み処理(図33参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時の復電処理において実行される。
【0155】
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
【0156】
発射制御装置312は、発射モータ229による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射モータ229は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射モータ229が駆動され、遊技球発射ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
【0157】
表示制御装置45は、第1図柄表示装置42における第1図柄の変動表示と、第2図柄表示装置41における第2図柄の変動表示とを制御するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、2つの出力ポート528,529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527の入力には主制御装置261の出力が接続され、入力ポート527の出力には、CPU521、ROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されると共にバスライン530を介して一方の出力ポート528が接続されている。出力ポート528の出力には第2図柄表示装置41(表示部43)や、音声ランプ制御装置262が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529の出力には液晶表示装置である第1図柄表示装置42が接続されている。
【0158】
表示制御装置45のCPU521は、主制御装置261から送信される表示コマンドに基づいて第1図柄表示装置42及び第2図柄表示装置41の表示を制御する。ROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
【0159】
ビデオRAM524は、第1図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、第1図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、第1図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して第1図柄表示装置42に表示させるものである。
【0160】
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給するための電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆部するための+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
【0161】
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号S1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541で交流5ボルトの電圧を監視し、この電圧が5ボルト未満になった時間が例えば20ミリ秒を超えた場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号S1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号S1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(図33のNMI割込み処理)を実行する。
【0162】
なお、電源部541は、電源部541で監視している交流5ボルトが5ボルト未満となった時間が20ミリ秒を越えた後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
【0163】
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアするための回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号S2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,613のデータがクリアされる。
【0164】
ところで、第1図柄表示装置(液晶表示装置)42には、図24に示すように、左・中・右の3つの図柄列L,M,Rが設定されており、図柄列L,M,R毎に上図柄、中図柄、下図柄の3個ずつの図柄(第1図柄:例えば特別図柄)が変動表示される。本実施の形態では、一連の図柄は、「0」〜「9」の数字を各々付した主図柄と、菱形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されており、数字の昇順又は降順に主図柄が表示されると共に各主図柄の間に副図柄が配されて一連の図柄列L,M,Rが構成されている。そして、周期性を持って主図柄と副図柄が上から下へと変動表示されるようになっている。
【0165】
かかる場合、左図柄列Lにおいては、上記一連の図柄が降順(すなわち、主図柄の番号が減る順)に表示され、中図柄列M及び右図柄列Rにおいては、同じく上記一連の図柄が昇順(すなわち、主図柄の番号が増える順)に表示される。そして、左図柄列L→右図柄列R→中図柄列Mの順に変動表示が停止し、その停止時に第1図柄表示装置42上の5つの有効ライン、すなわち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5の何れかで主図柄が大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして特別遊技動画が表示されるようになっている。
【0166】
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
【0167】
本実施の形態では、主制御装置261内のCPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて第1図柄表示装置42の抽選(大当たり抽選)や図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図25に示すように、第1図柄表示装置42の大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、第1図柄表示装置42の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、第1図柄表示装置42が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、第1図柄表示装置42の変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1,CS2と、左列、中列及び右列の各外れ図柄の設定に使用する左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを用いることとしている。上述した各カウンタは、CPU501で実行されるプログラムにより構成されている。
【0168】
このうち、カウンタC1〜C3,CINI,CS1,CS2は、その更新の都度、前回値に「1」が加算され(以下、「更新」という)、最大値に達した後「0」に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、CPU501内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。各カウンタは定期的に更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。また、RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、第1の始動口33への遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
【0169】
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば「0」〜「676」の範囲内で順に「1」ずつ加算され、最大値(つまり「676」)に達した後「0」に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタであり(値=0〜676)、タイマ割込み毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で綴り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が第1の始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の個数は2で、その値は「337,673」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の個数は10で、その値は 「67,131,199,289,337,401,463,523,601,661」である。なお、高確率時とは、予め定められた確率変動図柄によって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる「確変」の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない時をいう。
【0170】
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、第1図柄表示装置42の変動停止時の図柄を決定するものであり、本実施の形態では、第1図柄表示装置42において有効ラインが5ラインであり、特定図柄(主図柄)が10通り設定されていることから、50個(0〜49)のカウンタ値が用意されている。すなわち、大当たり図柄カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が第1の始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
【0171】
また、リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしており、例えば、C3=0,1が前後外れリーチに該当し、C3=2〜21が前後外れ以外リーチに該当し、C3=22〜238が完全外れに該当する。なお、リーチの抽通は、第1図柄表示装置42の抽選確率の状態や変動開始時の作動保留球数等に応じて各々個別に設定されるものであっても良い。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が第1の始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
【0172】
また、2つの変動種別カウンタCS1,CS2のうち、一方の変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、他方の変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS1を「第1変動種別カウンタ」、CS2を「第2変動種別カウンタ」ともいう。第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、第1図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様が決定され、第2変動種別カウンタCS2によって、リーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。また、第1変動種別カウンタCS1だけで図柄変動態様を決定したり、第1変動種別カウンタCS1と停止図柄との組み合わせで同じく図柄変動態様を決定したりすることも可能である。
【0173】
変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、第1図柄表示装置42による第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してCS1,CS2のバッファ値が取得される。
【0174】
左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、第1図柄表示装置42の大当たり抽選が外れとなった時に左列第1図柄、中列第1図柄、右列第1図柄の停止図柄(外れ図柄)を決定するためのものであり、各列では主図柄及び副図柄の合わせて20の第1図柄の何れかが表示されることから、各々に20個(0〜19)のカウンタ値が用意されている。外れ図柄カウンタCLにより左図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCMにより中図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCRにより右図柄列の上・中・下段の各図柄が決定される。
【0175】
本実施の形態では、CPU501に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する構成としている。すなわち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算給果が最大値を超えた場合に20減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして通常処理内で更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、RAM503の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。そして、第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかのバッファ値が取得される。
【0176】
各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、大当たり乱数カウンタC1、リーチ乱数カウンタC3、変動種別カウンタCS1,CS2の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
【0177】
また図示は省略するが、第2図柄表示装置41の抽選には第2図柄乱数カウンタC4が用いられる。第2図柄乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。第2図柄乱数カウンタC4は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が左右何れかの第2の始動口34を通過した時に取得される。当選することとなる乱数の値の数は149あり、その範囲は「5〜153」である。
【0178】
次いで、主制御装置261内のCPU501により実行される各制御処理を図26〜図37のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上ここでは、先ずタイマ割込み処理とNMI割込み処理とを説明し、その後でメイン処理を説明する。
【0179】
図31は、タイマ割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は主制御装置261のCPU501により例えば2msec毎に実行される。
【0180】
図31において、先ずステップS601では、各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置261に接続されている各種スイッチ(但し、RAM消去スイッチ323を除く)の状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
【0181】
その後、ステップS602では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。また、続くステップS603では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、676,49,238)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
【0182】
その後、ステップS604では、第1の始動口33への入賞に伴う始動入賞処理を実行する。この始動入賞処理を図32のフローチャートにより説明すると、ステップS701では、遊技球が第1の始動口33に入賞したか否かを作動口スイッチ224の検出情報により判別する。遊技球が第1の始動口33に入賞したと判別されると、続くステップS702では、第1図柄表示装置42の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する。第1の始動口33への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であることを条件にステップS703に進み、作動保留球数Nを1インクリメントする。
【0183】
また、続くステップS704では、第1図柄の当落に関わる乱数を取得する。具体的には、前記ステップS603で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM503の保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。このように始動入賞処理をした後、CPU501は本タイマ割込処理を一旦終了する。
【0184】
図33は、NMI割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は、主制御装置261のCPU501により停電の発生等によるパチンコ機10の電源断時に実行される。このNMI割込みにより、電源断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される。
【0185】
すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号S1が停電監視回路542から主制御装置261内のCPU501のNMI端子に出力される。すると、CPU501は実行中の制御を中断して図33のNMI割込み処理を開始する。図33のNMI割込み処理は、主制御装置261のROM502に記憶されている。停電信号S1が出力された後所定時間は、主制御装置261の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされており、この所定時間内にNMI割込み処理が実行される。
【0186】
図33のNMI割込み処理において、先ずステップS801では、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aに退避し、続くステップS802では、スタックポインタの値を同バックアップエリア503aに記憶する。さらに、ステップS803では、電源断の発生情報をバックアップエリア503aに設定し、ステップS804では、電源が速断されたことを示す電源断通知コマンドを他の制御装置に対して送信する。
【0187】
ステップS805ではRAM判定値を算出し、バックアップエリア503aに保存する。RAM判定値は、例えば、RAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。ステップS806では、RAMアクセスを禁止する。その後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。
【0188】
なお、上記のNMI割込み処理は払出制御装置311でも同様に実行され、かかるNMI割込みにより、停電の発生等による電源断時の払出制御装置311の状態がRAM513のバックアップエリア513aに記憶される。停電信号S1が出力された後所定時間は、払出制御装置311の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされるのも同様である。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号S1が停電監視回路542から払出制御装置311内のCPU511のNMI端子に出力され、CPU511は実行中の制御を中断して図33のNMI割込み処理を開始する。その内容は図33で説明した通りである(但し、この払出制御装置311のNMI割込み処理ではステップS804の電源断通知コマンドの送信はない)。
【0189】
次に、メイン処理について説明する。
【0190】
図26は、主制御装置261内のCPU501により実行されるメイン処理の一例を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
【0191】
先ず、ステップS101では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置262、払出制御装置311等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウエイト処理を実行する。また、ステップS102では、払出制御装置311に対して払出許可コマンドを送信し、続くステップS103では、RAMアクセスを許可する。
【0192】
その後、CPU501内のRAM503に関してデータバックアップの処理を実行する。つまり、ステップS104では、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押下(ON)されているか否かを判別し、続くステップS105では、RAM503のバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。また、ステップS106ではRAM判定値を算出し、続くステップS107では、そのRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
【0193】
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時に初期状態に戻したい場合にはRAM消去スイッチ323を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ323がONされていれば、RAMの初期化処理(ステップS114等)に移行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM503の初期化処理(ステップS114等)に移行する。つまり、ステップS114ではRAM503の使用領域を0にクリアし、続くステップS115ではRAM503の初期化処理を実行する。また、ステップS116では割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
【0194】
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合には、電源断の発生情報が設定されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS108では、電源断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS109では、電源断の発生情報をクリアする。ステップS110では、サブ側の制御装置を電源断時の遊技状態に複帰させるためのコマンドを送信し、ステップS111では、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aから復帰させる。さらに、ステップS112,S113では、割込み許可/不許可を電源断前の状態に復帰させた後、電源断前の番地へ戻り、それから後述する通常処理(図27参照)に移行する。例えば、通常処理のステップS202まで実行されて電源断となった場合には、電源断前の番地へ戻り、通常処理のステップS203から実行されることになる。
【0195】
次に、通常処理の流れを図27のフローチャートを参照しながら説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS201〜S207の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS209,S210のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
【0196】
図27において、先ずステップS201では、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置311に対して獲得遊技球数に対応する賞球払出コマンドを送信する。また、第1図柄表示装置42による第1図柄の変動表示に際して停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等を表示制御装置45に送信する。なお、第1図柄の変動開始後において、変動パ夕ーンコマンド→左図柄列の停止図柄コマンド→右図柄列の停止図柄コマンド→中図柄列の停止図柄コマンドの順で通常処理の都度1つずつ(すなわち、4msec毎に1つずつ)コマンドが送出され、変動時間経過のタイミングで確定コマンドが送出されるようになっている。
【0197】
次に、ステップS202では、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。続くステップS203では、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新を実行する。
【0198】
各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理を詳しく説明すると、図28に示すように、ステップS301では、左図柄列の外れ図柄カウンタCLの更新時期か否かを判別し、ステップS302では、中図柄列の外れ図柄カウンタCMの更新時期か否かを判別する。そして、左図柄列の更新時期(ステップS301がYES)であればステップS303に進み、左図柄列の外れ図柄カウンタCLを更新する。また、中図柄列の更新時期(ステップS302がYES)であればステップS304に進み、中図柄列の外れ図柄カウンタCMを更新する。さらに、右図柄列の更新時期(ステップS301,S302が共にNO)であればステップS305に進み、右図柄例の外れ図柄カウンタCRを更新する。ステップS303〜S305の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新では、前回のカウンタ値にRレジスタの下位3ビットの値を加算すると共にその加算結果が最大値を超えた場合に20を減算し、その演算結果を外れ図柄カウンタCL,CM,CRの今回値とする。
【0199】
上記CL,CM,CRの更新処理によれば、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRが1回の通常処理で1つずつ順に更新され、各カウンタ値の更新時期が重なることはない。これにより、通常処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCL,CM,CRの1セット分が更新されるようになっている。
【0200】
その後、ステップS306では、上記更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせがリーチ図柄の組み合わせになっているか否かを判別し、リーチ図柄の組み合わせである場合、さらにステップS307では、それが前後外れリーチであるか否かを判別する。外れ図柄カウンタCL,CM,CRが前後外れリーチの組み合わせである場合、ステップS306に進み、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM503の前後外れリーチ図柄バッファに格納する。外れ図柄カタンタCL,CM,CRが前後外れ以外リーチの組み合わせである場合には、ステップS309に進み、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM503の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納する。
【0201】
また、リーチ図柄以外の組み合わせである場合、ステップS310では、外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが外れ図柄の組み合わせになっているか否かを判別し、外れ図柄の組み合わせになっていれば、ステップS311に進み、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM503の外れ図柄バッファに格納する。なお、ステップS306,S310が共にNOの場合は、左・中・右で図柄が揃っている、すなわち大当たりの状態に相当するが、かかる場合、外れ図柄カウンタCL,CM,CRをバッファに格納することなくそのまま本処理を終了する。
【0202】
外れ図柄カウンタの更新処理の後、図27のステップS204では、払出制御装置311より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込む。その後、ステップS205では、第1図柄表示装置42による第1図柄の変動表示を行うための第1図柄変動処理を実行する。この第1図柄変動処理により、大当たり判定や第1図柄の変動パターンの設定などが行われる。但し、第1図柄変動処理の詳細は後述する。
【0203】
その後、ステップS206では、大当たり状態である場合において可変入賞装置32の大入賞口を開放又は閉鎖するための大入賞口開閉処理を実行する。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数だけ入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。このとき、遊技球が特定領域を通過したことを条件に大入賞口の連続開放を許容し、これを所定ラウンド数繰り返し実行する。
【0204】
また、ステップS207では、第2図柄表示装置41による第2図柄の表示制御を実行する。簡単に説明すると、遊技球が第2の始動口34を通過したことを条件に、その都度の第2図柄乱数カウンタC4が取得されると共に第2図柄表示装置41の表示部43にて第2図柄の変動表示が実施される。そして、第2図柄乱数カウンタC4の値により第2図柄の抽選が実施され、第2図柄の当たり状態になると第1の始動口33が所定時間開放される。なお説明は省略したが、第2図柄乱数カウンタC4も、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3と同様に、図31に示すタイマ割込処理にて更新されるようになっている。
【0205】
その後、ステップS208では、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判別する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する(ステップS209,S210)。つまり、ステップS209では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
【0206】
また、ステップS210では、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する(前記ステップS202と同様)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
【0207】
ここで、ステップS201〜S207の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができるようになる。
【0208】
次に、前記ステップS205の第1図柄変動処理を図29のフローチャートを参照して説明する。
【0209】
図29において、ステップS401では、今現在大当たり中であるか否かを判別する。なお、大当たり中には、大当たりの際に第1図柄表示装置42で表示される特別遊技の最中と特別遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。続くステップS402では、第1図柄表示装置42による第1図柄の変動表示中であるか否かを判別する。そして、大当たり中でなくさらに第1図柄の変動表示中でもない場合、ステップS403に進み、第1図柄表示装置42の作動保留球数Nが0よりも大きいか否かを判別する。このとき、大当たり中であるか、又は作動保留球数Nが0である場合、そのまま本処理を終了する。
【0210】
また、大当たり中、第1図柄の変動表示中の何れでもなく且つ作動保留球数N>0であれば、ステップS404に進む。ステップS404では、作動保留球数Nを1減算する。ステップS405では、保留球格納エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、保留球格納エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2ユリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
【0211】
その後、ステップS406では、変動開始処理を実行する。ここで、図30のフローチャートを用いて変動開始処理の詳細を説明すると、ステップS501では、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する。具体的には、大当たりか否かは大当たり乱数カウンタ値とその時々のモードとの関係に基づいて判別され、前述した通り通常の低確率時には大当たり乱数カウンタC1の数値0〜676のうち「337,673」が当たり値であり、高確率時には「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」が当たり値である。
【0212】
大当たりであると判別された場合、ステップS502では、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり図柄カウンタC2の値に対応する図柄、すなわち大当たり図柄を図示しないテーブル(大当たり図柄カウンタC2の値と図柄との対応関係を表すテーブル)に基づいて求め、その図柄を停止図柄コマンドに設定する。このとき、大当たり図柄カウンタC2の数値0〜49は、全5つの有効ライン上における50通りの大当たり図柄の何れかに対応しており、停止図柄コマンドには50通りの大当たり図柄の何れかが設定される。これらの大当たり図柄のうち予め定められた特定図柄で揃った場合には以後確変状態に移行するが、特定図柄でない図柄(非特定図柄〉で揃った場合には確変状態に移行しない。
【0213】
次に、ステップS503では、大当たり時における変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する。このとき、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、第1図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄〉が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様を決定する。なお、第1変動種別カウンタCS1の数値とリーチパターンとの関係、第2変動種別カウンタCS2の数値と停止図柄時間との関係は、それぞれにテーブル等により予め規定されている。
【0214】
一方、ステップS501で大当たりではないと判別された場合には、ステップS504で、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているリーチ乱数カウンタC3の値に基づいてリーチ発生か否かを判別し、リーチ発生の場合、さらにステップS505で、同じくリーチ乱数カウンタC3の値に基づいて前後外れリーチであるか否かを判別する。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3の値は0〜238の何れかであり、そのうち「0,1」が前後外れリーチに該当し、「2〜21」が前後外れ以外リーチに該当し、「22〜238」がリーチなし(完全外れ)に該当する。
【0215】
前後外れリーチ発生の場合、ステップS506に進み、RAM503の前後外れリーチ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する。また、ステップS507では、前後外れリーチ時における変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する。このとき、前記ステップS503と同様に、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、第1図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様を決定する。
【0216】
また、前後外れ以外リーチ発生の場合、ステップS508に進み、RAM503の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する。また、ステップS509では、前後外れ以外リーチ時における変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する。このとき、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値に基づいて変動パターンが決定されるのは前記ステップS503等と同様である。
【0217】
大当たりでなくリーチでもない場合、ステップS510に進み、RAM503の完全外れ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する。また、ステップS511では、完全外れ時における変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する。このとき、リーチ発生しないことで、遊技者の興味は薄れ、多様な図柄変動態様は要求されない。そこで本実施の形態では、ステップS511において、第1変動種別カウンタCS1だけを用いて(すなわち第2変動種別カウンタCS2を使わずに)図柄変動種別を決定する。上記の通り大当たり時、リーチ発生時、リーチ非発生時のそれぞれで図柄停止コマンド及び変動パターンコマンドの設定が完了すると、本処理を終了する。
【0218】
図29の説明に戻り、ステップS402がYES、すなわち第1図柄の変動表示中である場合には、ステップS407に進み、変動時間が経過したか否かを判別する。このとき、第1図柄の変動パターンに応じて当該第1図柄の変動時間が決められており、この変動時間が経過した時にステップS407が肯定判別される。そして、ステップS408では、変動の停止命令を確定コマンドとして設定し、その後本処理を終了する。
【0219】
次に、払出制御装置311内のCPU511により実行される払出制御について説明する。図34は、払出制御装置311のメイン処理を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
【0220】
先ず、ステップS901では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。また、ステップS902では、主制御装置261から送信される払出許可コマンドを受信するまで待機する。そして、払出許可コマンドを受信した時点でステップS903に進んでRAMアクセスを許可すると共に、ステップS904で外部割込みベクタの設定を行う。
【0221】
その後、CPU511内のRAM513に関してデータバックアップの処理を実行する。つまり、ステップS905では、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押下(ON)されているか否かを判別し、続くステップS906では、RAM513のバックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。また、ステップS907ではRAM判定値を算出し、続くステップS908では、そのRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
【0222】
RAM消去スイッチ523がONされていれば、RAMの初期化処理(ステップS915等)に移行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM513の初期化処理(ステップS915等)に移行する。つまり、ステップS915ではRAM513の全領域を0にクリアし、続くステップS916ではRAM513の初期化処理を実行する。また、ステップS917ではCPU周辺デバイスの初期設定を行うと共に、ステップS918では割込み許可を設定し、後述する払出制御処理に移行する。
【0223】
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合には、電源断の発生情報が設定されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS909では、電源断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS910では、電源断の発生情報をクリアする。また、ステップS911では、CPU周辺デバイスの初期設定を行い、ステップS912では、使用レジスタをRAM513のバックアップエリア513aから復帰させる。さらに、ステップS913,S914では、割込み許可/不許可を電源断前の状態に復帰させた後、電源断前の番地へ戻る。
【0224】
次に、払出制御処理の流れを図35のフローチャートを参照しながら説明する。
【0225】
図35において、ステップS1001では、主制御装置261からのコマンドを取得し、賞球の総賞球個数を記憶する。ステップS1002では、発射制御装置312に対して発射許可の設定を行う。また、ステップS1003では、状態復帰スイッチ321をチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。
【0226】
その後、ステップS1004では、下皿15の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する。すなわち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿15の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、ステップS1005では、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する。すなわち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時、タンク球無し解除状態の設定を実行する。
【0227】
その後、ステップS1006では、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には払出制御装置311に設けた7セグメントLEDにより報知する。
【0228】
ステップS1007〜S1009では、賞球払出の処理を実行する。この場合、貸球の払出不可状態でなく、且つ前記ステップS1001で記憶した総賞球個数が0でなければ(ステップS1007,S1008が共にNO)、ステップS1009に進み、賞球制御処理(後述する図36)を開始する。また、賞球の払出不可状態、又は総賞球個数が0であれば(ステップS1007,S1008の何れかがYES)、貸球払出の処理に移行する。
【0229】
その後、ステップS1010〜S1012では、貸球払出の処理を実行する。この場合、貸球の払出不可状態でなく、且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(ステップS1010がNO、S1011がYES)、ステップS1012に進み、貸球制御処理(後述する図37)を開始する。また、貸球の払出不可状態、又は貸球払出要求を受信していなければ(ステップS1010がYES又はS1011がNO)、後続の球抜きの処理を実行する。
【0230】
ステップS1013では、状態復帰スイッチ321をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ358aを駆動させ球抜き処理を実行する。続くステップS1014では、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ360の制御(バイブモータ制御)を実行する。その後、本払出制御処理の先頭に戻る。
【0231】
ここで、図36に示す賞球制御処理において、ステップS1101では、払出モータ358aを駆動させて賞球の払出を実行する。続くステップS1102では、払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別する。払出モータ358aの回転が正常でなければ、ステップS1103に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図35の払出制御処理に戻る。
【0232】
また、払出モータ358aの回転が正常であれば、ステップS1104に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS1105に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図35の払出制御処理に戻る。
【0233】
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS1106に進み、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判別する。払出が完了していれば、ステップS1107で払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図35の払出制御処理に戻る。
【0234】
また、図37に示す貸球制御処理において、ステップS1201では、払出モータ358aを駆動させて貸球の払出を実行する。続くステップS1202では、払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別する。払出モータ358aの回転が正常でなければ、ステップS1203に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図35の払出制御処理に戻る。
【0235】
また、払出モータ358aの回転が正常であれば、ステップS1204に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS1205に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図35の払出制御処理に戻る。
【0236】
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS1206に進み、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が所定の貸球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判別する。払出が完了していれば、ステップS1207で払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図35の払出制御処理に戻る。
【実施例1】
【0237】
本実施例では、非接触で情報(データ)の書込み、書き換え、消去、および読み出しが可能な記録媒体であるICチップを内蔵した特殊な遊技球(以下、適宜「特殊遊技球」という)を使用し、遊技球の貸し出しの際に、所定の貸出条件が成立した場合に、当該特殊遊技球のICチップに付加価値に寄与するデータを書き込んだものを含ませて貸球として払い出し、さらに当該データを有する特殊遊技球が第1の始動口に入球したときに、先に書き込んだデータとは異なる付加価値用のデータをICチップに書き込んだ特殊遊技球を賞球に混ぜて払い出して遊技者の遊技に対して付加価値を付与するように構成したパチンコ機、および当該パチンコ機を遊技場(ホール)に設置して構成した遊技システムについて説明する。なお、本実施例のパンチン機は、機械的な構成としては、特殊遊技球を貸球および賞球として払い出す構成と、これら払い出された特殊遊技球を検出する構成を備えた以外は上記実施例と同じであるので、同じ構成部分については同一符号を付すに留め、異なる部分について具体的に説明する。
【0238】
図38は、本実施例に係るパチンコ機の正面図、図39はパチンコ機の払出機構部周りの要部構成を示した図、図40は特殊遊技球の内部構成を示した部分破断図である。
【0239】
先ず、本実施例のパチンコ機10の機械的な構成について図面に基づいて具体的に説明する。
【0240】
図38に示すように、パチンコ機10の左側には、正面視縦長の長方形状のカードユニット(球貸しユニット)CUが並設されている。カードユニットCUは、カード(記録媒体:磁気カード)に記憶された残高情報(例えば残高金額)のデータを読み取るためのものであり、その上下方向における中央部分には、金額と同等の有価価値を有する(例えば球1個で4円分)カードを挿入するためのカード挿入口CU1が配設されている。
【0241】
カード挿入口CU1の上側には、カード挿入中ランプCU2が、このカード挿入中ランプCU2の上側には、三角形状に形成された上下1対の連結台方向表示ランプCU3が、この1対の連結台方向表示ランプCU3の上側には、LEDで構成されたカード利用可能ランプCU4がそれぞれ配設されている。このカード挿入中ランプCU2は、カードがカード挿入口CU1に挿入されている場合には点灯され、カードがカード挿入口CU1に挿入されていない場合には消灯される。また、1対の連結台方向表示ランプCU3は、カードユニットCUが接続されているパチンコ機10の配設(並設)方向を示すためのものである。よって、例えば、カードユニットCUが右側に並設されるパチンコ機10に接続される場合には下側のLEDが点灯され、カードユニットCUが左側に並設されるパチンコ機10に接続される場合には上側のLEDが点灯される。また、カード利用可能ランプCU4は、例えば、カード挿入口CU1へカードが挿入可能の場合に点灯され、カード挿入口CU1へカードが挿入不可能の場合に消灯される。
【0242】
また、カードユニットCUは、カード挿入口CU1に挿入されたカードに記憶された、遊技球の貸し出し情報を図示しない内部のCPUなどにより処理し、その情報をパチンコ機10に球貸しの情報(制御信号)として送る。つまり、カードユニットCUは、パチンコ機10に対して貸出に関連する指示(例えば、遊技球の貸し出し情報)を制御する貸出制御部(貸出制御機能)を備えている。また、貸出制御部の制御信号(例えば、遊技球の貸し出し情報)は、CPUなどにより、入出力ポートから払出制御装置311の入出力ポートに出力される。
【0243】
また、カードユニットCUは、パチンコ機10における払出制御装置311の入出力ポートを介して発射制御装置312に遊技球の発射を許可するための発射許可信号を送る。つまり、カードユニットCUと払出制御装置311が接続されていないと、パチンコ機10は遊技球を発射する動作を行うことができないようになっている。なお、カードユニットCUは、本発明に貸出手段に相当する。
【0244】
次に、図39に示す遊技盤30の裏面側に配備された払出機構部352は、特殊遊技球Byを貯留したタンク355と、タンク355から払い出された特殊遊技球Byを払出装置358まで誘導するタンクレール356とケースレール357とを備えている。以下、各部の構成について具体的に説明する。
【0245】
タンク355に貯留される特殊遊技球Byは、図40に示すように、その内部中心に非接触で任意に情報類(データ)の書込み、書き換え、および消去が可能な微小なICチップ414が内蔵されている。その形状は略矩形状であり、その大きさは、縦、横および高さが略同一の数mm角程度で、例えば3.0〜0.4mm角程度のものが利用される。また、本実施例の場合、当該ICチップ414が特殊遊技球Byの受ける衝撃によって破損または破壊などすることのないように、外周を緩衝材415で被覆されている。なお、当該緩衝材415は、ICチップ414へのデータの書き込みなどに利用される電波の受信および送信を妨げない材質によって構成されている。
【0246】
ICチップ414への具体的なデータの書込みなどは、内蔵アンテナまたは、特殊遊技球Byの球面を外部アンテナとして利用し、外部からの所定周波数の電波を当該アンテナが受信することでICチップ自体が作動電力を発生させ、データの書込み、書き換え、消去、およびデータの送信が可能な構成となっている。
【0247】
ICチップ414への周波数および出力レベルは、適宜に設定が可能である。周波数および出力レベルは、例えば、後述する書込み手段であるライター418および読出手段であるリーダー422の外部アンテナで受信できるレベルに設定されている。
【0248】
また、ICチップ414は、例えば、図41に示すように、128ビットデータ長に、ヘッダ、ID、アプリケーションデータの記録が可能になっている。IDは、例えば、ICチップ製造時に設定されるICチップ固有の管理データなどに利用される。アプリケーションデータには、任意にデータを書込み、書き換え、および消去などができるようになっている。本実施利において書き込むアプリケーションデータとしては、例えば、次の2通りのデータがある。第1に、後述する貸出条件検出部425によって所定の貸出条件が検出されたときに、貸球に対して遊技者の遊技に対して付与する付加価値に寄与させるための第1付加価値情報である。当該第1付加価値情報はパチンコ機10のIDや、後述する新たに払い出す賞球用の特殊遊技球Byに第2付加価値情報を書き込むことを指示するための指示コマンドなどである。
【0249】
第2に、第1付加価値情報が書き込まれたICチップ414を内蔵する特殊遊技球Byが第1の始動口33に入球したときに、賞球として払い出された特殊遊技球Byに書き込まれる第2付加価値情報である。当該第2付加価値情報は、1個の特殊遊技球Byであるにも関わらず、例えば数個分(本実施例では5個分)の価値に相当するデータである。
【0250】
図39に戻って、ケースレール357の下部には、管路を遮蔽して通過する特殊遊技球Byを停留する停留板416を備えている。当該停留板416は、ソレノイド417と連結されており、主基制御基板261からのON/OFF信号に基づいて当該ソレノイド417が駆動し、停留板416をスライド移動させてケースレール357の管路の開閉を行う。なお、主制御装置261からのON/OFF信号は、遊技状態検出部408が所定の遊技状態を検出し、さらに、第1の始動口33に付加価値用のデータの未記憶状態にある特殊遊技球Byが入球したときにON信号をソレノイド417に送信する。
【0251】
また、ケースレール357の下部側面には、特殊遊技球Byに内蔵したICチップ414にデータを書き込むためのライター418が近接配備されている。ライター418は所定周波数の電波を特定の特殊遊技球Byに向けて出力し、非接触でデータを書き込むようになっている。書き込むためのデータは、主制御装置261に設けられた付加価値情報メモリ419から上述した第1付加価値情報および第2付加価値情報に相当するデータが送信されるようになっている。なお、ライター418は、本発明の書込み手段に相当する。
【0252】
次に、特殊遊技球Byに書き込まれたデータを読み取るための構成について説明する。
【0253】
図42は、第1の始動口を含むその周辺の要部構成を示した図である。
【0254】
第1の始動口33は、その内部に作動口スイッチ224を備えている。また、入球した特殊遊技球Byをパチンコ機10の本体から排出するための排出管路420が連通接続されている。さらに、第1の始動口33に入球した特殊遊技球Byを排出管路420に通過させる途中の上部から下方にかけて、特殊遊技球Byの転動速度を減速させるための減速部421が設けられている。なお、排出管路は、本発明の排出手段に相当する。
【0255】
減速部421の内部は、ジグザグ段差に形成されており、特殊遊技球Byを左右に往復転動移動させながら落下させることによって転動速度を減速させるようになっている。つまり、後述するリーダー422によって、特殊遊技球Byに内蔵されたICチップ414のデータを読み取れるのに充分な速度に減速するようにしている。
【0256】
また、減速部421の最下部には、特殊遊技球Byに内蔵されたICチップ414に書き込まれたデータを読み取るためのリーダー422が近接配備されている。
【0257】
リーダー422は、図示しないが、ICチップ414に書き込まれたデータを読み取るための外部アンテナと、RFモジュールなど構成されている。なお、リーダー422は、本発明の特殊遊技媒体検出手段に相当する
外部アンテナは、所定周波数の電波を発信するとともに、この電波を受信して作動したICチップ414から送信される電波を受信する。
【0258】
RFモジュールは、ICチップ414に向けて所定周波数の電波を発信する発信機、ICチップ414から送信されるデータとしての電波を受信する受信機、および主制御装置261のCPU501に所定の信号に変換して送信する送信機などから構成されている。
【0259】
排出管路420の最後端には、転動移動してきた特殊遊技球ByのICチップ414に書き込まれた付加価値用のデータを消去するための情報消去部423が設けられている。当該情報消去部423は、ライター418と同様の機能を有し、当該箇所では付加価値用のデータのみを消去するようにしている。なお、情報消去部423は、本発明の情報消去手段に相当する。
【0260】
なお、上述の払出機構部352、タンク355、タンクレール356、ケースレール357、払出装置358などを含む構成は、本発明の払出手段に相当する。
【0261】
次に、本実施例のパチンコ機を含む遊技システムの電気的な構成を図43に示すブロック図に基づいて説明する。
【0262】
本実施例の遊技システムは、大きく分けて複数台のパチンコ機10と、貸球や賞球された複数個の特殊遊技媒体Byを計数する計数装置430と、パチンコ機10と計数装置430とを電気的に接続して情報通信可能なホストコンピュータ440とから構成されている。
【0263】
先ず、本実施例のパチンコ機10の要部について説明する。本実施例のパチンコ機10は、図24の電気的なブロック図に示す上述のパチンコ機10の構成以外に、付加価値付与制御部450を備えている。当該付加価値付与制御部450は、さらに、貸出条件検出部425と、付加価値指示部451と、付加価値情報メモリ419とを備えている。以下、上述実施例と同じ構成については同一符号を付すに留め、異なる部分について具体的に説明する。なお、付加価値付与制御部450は、本発明の付加価値付与手段に相当する。
【0264】
貸出条件検出部425は、カードユニットCUによって読み取られた記録媒体の情報(例えば、残高値)を受信し、当該パチンコ機10を使用している遊技者が、継続してどれくらいの貸球を借りたかを検出している。具体的には、貸出条件検出部425は、さらに第1比較判定部426を備えている。当該比較判定部426は、予め決められた記録媒体を使用した残高の基準値を有し、実際に遊技者がカードユニットCUに記録媒体を挿入したときに読み取られた実残高値との比較判定処理を行う。比較判定の結果、実残高値が基準値以上であれば、所定の貸出条件が成立したものと判定し、検出信号を付加価値指示部450に送信する。なお、貸出条件検出部425は、本発明の貸出条件検出手段に相当し、第1比較判定部426は、比較判定手段に相当する。
【0265】
付加価値指示部451は、貸出条件検出部425からの検出信号を受信した場合と、後述するリーダー422によって読み取られた情報(データ)を受信した場合のそれぞれに対応して、遊技者の遊技に対して付加価値を付与させるために寄与する信号を払出制御装置311または/および主制御装置261を介して各部に送信させる処理を行っている。具体的には、次に2通りの処理である。
【0266】
第1に付加価値指示部451は、貸出条件検出部425からの検出信号を受信すると、払出機構部352から貸し出される特殊遊技球Byのうちの、例えば1個のICチップ414に第1付加価値情報を書き込むようにライター418およびソレノイド417に指示するように払出制御装置311にコマンドを送信する。
【0267】
また、同時に、貸出条件が成立し、遊技に対する付加価値の獲得が可能な状態にあることを、例えば図44aに示すように、第1図柄表示装置42に文字「チャンス」を警告表示するように、主制御装置261から表示制御装置45にコマンドを送信するよう指示する。
【0268】
第2に、先に貸し出されて第1付加価値情報がICチップ414に書き込まれた特殊遊技球Byが第1の始動口33に入球し、リーダー422によって当該第1付加価値情報が読み取られた場合、払出機構部352から賞球として払い出される特殊遊技媒体Byのうちの所定個数(例えば、1個または複数個)のICチップ414に対して第2付加価値情報を書き込むように、ライター418や、ソレノイド417に指示するように払出制御装置311にコマンドを送信する。
【0269】
また同時に、第2付加価値情報がICチップ414に書き込まれた特殊遊技球Byを獲得したことを、例えば図44bに示すように、第1図柄表示装置42に文字「げっと」を警告表示するように、主制御装置261から表示制御装置45にコマンドを送信するよう指示する。
【0270】
なお、本実施例の付加価値指示部451は、情報判定部452を備えている。当該情報判定部452は、先に貸し出した特殊遊技球Byに書き込んだ第1付加価値情報を記憶しており、第1の始動口33に入球してリーダー422によって読み取られた第1付加価値情報と、記憶してある第1付加価値情報とが一致しているか否かを判定している。判定の結果、両第1付加価値情報が一致した場合に払出制御手段311にコマンド送信の指示をする。
【0271】
なお、情報判定部452は、本発明の情報判定手段に相当する。
【0272】
付加価値情報メモリ419は、第1付加価値情報および第2付加価値情報を記憶したものである。
【0273】
次に、計数装置430は、遊技球カウンタ431と、リーダー432、情報判定部433、付加価値付与部434、および消去部435を備えている。なお、計数装置430は、本発明の計数手段に相当する。
【0274】
遊技球カウンタ431は、遊技を終了した遊技者が、貸し出しおよび賞球により払い出されて獲得した複数個の特殊遊技媒体Byの個数を計数するためのものである。
【0275】
リーダー432は、特殊遊技球Byに内蔵されたICチップ414に書き込まれているデータを読み取るためのものである。読み取ったデータは、情報判定部433に送信するようになっている。なお、リーダー432は、本発明の読取手段に相当する。
【0276】
情報判定部433は、リーダー432から送信された複数個分の特殊遊技媒体Byのデータから、第2付加価値情報が含まれているものがあるか否かを判定している。なお、情報判定部433は、本発明の情報判定手段に相当する。
【0277】
第2付加価値付与部434は、情報判定部433の判定結果によって検出された第2付加価値情報を、遊技球カウンタ431で計数した特殊遊技球Byの個数に加算するものである。例えば、第2付加価値情報が、特殊遊技球Byの1個につき5個分に相当するデータではれば、遊技球カウンタ431によって計数された合計値に(+4)個分の加算処理を行う。
【0278】
消去部445は、遊技球カウンタ431で特殊遊技球Byを計数した後、または同時にこれら特殊遊技球Byに内蔵されたICチップ414に書き込まれた第2付加価値情報などの各種情報を消去し、ICチップ414を初期状態に戻す。
【0279】
ホストコンピュータ440は、ホールに設置した複数台のパチンコ機10を総括的に管理する。また、その内部には、第2付加価値情報判定部441を備えている。
【0280】
第2付加価値情報判定部441は、各パチンコ機内において第2付加価値情報が付与された特殊遊技球Byが賞球として払い出されたときの情報と、遊技を終了した遊技者が賞球などによって払い出されて獲得した特別遊技球Byの個数を計数するときに、計数装置430側の情報判定部433が読み取った第2付加価値情報とが一致していか否かを判定している。例えば、第2付加価値情報をICチップ414に書き込むときに、当該特殊遊技球ByのIDをパチンコ機10からホストコンピュータ440に送信する。ホストコンピュータ440は、受信したIDを図示しない記録媒体(例えばハードディスクなど)に記憶しておき、計数装置430から送信されるデータとを逐次に比較判定し、判定の結果を計数装置430にフィードバックする。なお、第2付加価値情報判定部441は、本発明の第2付加価値情報判定手段に相当する。
【0281】
次に、上記構成を有する遊技システムによって、遊技者の遊技に対して付加価値を付与する処理について、図45に示すフローチャートに従って説明する。
【0282】
先ず、ステップS1800では、遊技者が遊技の開始または遊技を継続して行っている最中にカードユニットCUに記録媒体を挿入する。カードユニットCUは、記録媒体から残高値を読み取って付加価値付与制御部450に備わった貸出条件検出部425に送信する。
【0283】
ステップS1805では、貸出条件検出部425に備わった第1比較判定部426が、読み取った記録媒体の実残高値と予め設定された基準値を比較する。比較の結果、実残高値が基準値以上となり貸出条件が成立した場合、「Yes」を選択してステップS1810に進む。実残高値が基準値未満であり貸出条件が成立していない場合は、「No」を選択して本処理を終了する。
【0284】
ステップS1810では、貸出条件検出部425からの検出信号を受信した付加価値指示部451が、第2付加価値情報が記憶されたICチップ414を内蔵した特殊遊技球Byを、次に第1の始動口33にデータなしの特殊遊技球Byが入球することによって賞球として獲得が可能状態であること第1図柄表示装置42に警告表示させるよう、払出制御装置311を介して主制御装置か261から表示制御装置45にコマンドを送信させるように指示する。当該コマンドを受信した表示制御装置45は、図44aに示すように、第1図柄表示装置42にチャンス状態を示す文字「チャンス」を表示させる。
【0285】
ステップ1815では、付加価値指示部451が払出機構部352から払い出される貸球である特殊遊技球Byの1個に第1付加価値情報を書き込む指示をするように払出制御装置331にコマンドを送信する。コマンドを受信した払出制御装置311は、ソレノイド417を駆動して停留板416をスライド移動させてケースレール357の最下部の管路を閉じる。また、停留している1個の特殊遊技球Byに内蔵されたICチップ414に向けて所定周波数の電波を送信しライター418を利用して第1付加価値情報を書き込む。同時に情報判定部452には、第1付加価値情報がICチップ414に書き込まれた特殊遊技球Byが払い出された旨の情報が一時的に記録される。この情報は、適時に消去される。例えば、遊技者が遊技を終了したときや、情報消去部423で特殊遊技球Byから各種情報が消去されたときなどである。
【0286】
その後、第1付加価値情報の書き込まれた特殊遊技球By、および第1付加価値情報の書込みのない特殊遊技球Byとが、払出装置358を介してパチンコ機10の前面の下皿15に払い出され、貯留される。
【0287】
ステップS1820では、発射装置が、遊技者の遊技継続に伴って下皿15に貯留された両特殊遊技球Byを遊技盤30に向けて順次に発射してゆく。
【0288】
ステップS1825では、情報消去部423が、第2付加価値情報がICチップ414に書き込まれた特殊遊技球Byを検出したか否かをモニタリングしている。当該特殊遊技球Byを検出し場合は、「Yes」を選択してステップS1830に進み、第2付加価値情報を含む各情報類を消去し、ICチップ414を初期化する。当該特殊遊技球Byを検出しない場合は、「No」を選択してステップS1835に進む。
【0289】
ステップS1835では、第1付加価値情報の書込みのある特殊遊技球Byが貸球として貸し出された後に、リーダー422が第1の始動口33に入球した否かをモニタリングしている。つまり、第1の始動口33に入球した特殊遊技球Byが、内蔵されたICチップ414に第1付加価値情報が書き込まれているものであれば、当該情報をリーダー422で読み取り、当該読み取った結果を付加価値付与部409に送信し、ステップS1840に進む。
【0290】
ステップS1840では、払出機構部352が新たに賞球用の複数個の特殊遊技球Byを払い出す。同時に付加価値指示部451の情報判定部452が、リーダー422によって読み取られた第1付加価値情報と、先に貸球に含ませて貸し出した特殊遊技球ByのICチップ414に書き込んだ第1付加価値情報とが一致しているか否かの判定をする。その結果、両第1付加価値情報が一致していれば、第2付加価値情報をICチップ414に書き込んだ特殊遊技球Byを払い出す処理コマンドを各部に送信するように、付加価値指示部451が払出制御装置311に指示する。
【0291】
払出制御装置261からのコマンドを受信したソレノイド417は駆動し、ケースレール357の最下部の管路を停留板416で閉る。その後、ライター418が、付加価値情報メモリ419から読み取った第2付加価値情報を停留板416で停留している所定数の特殊遊技球Byに書き込む。当該書込み処理が終了すると、第2付加値情報を有するものと、有さない両特殊遊技球Byがパチンコ機10の前面の下皿15に払い出されて貯留される。
【0292】
ステップS1845ではステップS1840と略同時、つまり、リーダー422によってICチップ414から読み取った第1付加価値情報と特殊遊技球Byの貸出時の第1付加価値情報とが一致していた場合に、第2付加価値情報を記憶した遊技者にとって付加価値のある特殊遊技球Byを賞球として獲得できたことを、図42bに示すように、第1図柄表示装置42に文字「げっと」を表示させる。
【0293】
ステップS1850では、遊技者が、遊技を継続して行うか否の判断をする。遊技を継続する場合は、「Yes」を選択してステップS1855に進む。遊技を継続しない場合は、「No」を選択してステップS1860に進む。
【0294】
ステップS1855では、遊技者が、貸球が必要であるか否を判断する。判断の結果、貸球が必要である場合は、「Yes」を選択してステップS1800〜ステップS1850までの処理が繰り返し行われる。貸球が不要な場合は、「No」を選択してステップS1850の処理を繰り返し行う。
【0295】
次に、ステップS1860では、遊技を終了した遊技者が賞球による払い出しによって獲得した複数個の特殊遊技球Byをホールのカウンターテーブルに配備した計数装置430に運ぶ。計数装置430は、運ばれた複数個の特殊遊技球Byの個数を計数する。この計数処理する過程で、次のステップS1865からステップS1880の処理を行う。
【0296】
ステップS1865では、リーダー432が各特殊遊技球Byに内蔵された各種情報を読み取り、読み取った当該情報は、情報判定部433に送信される。情報判定部433は、特殊遊技球Byごとの情報に、第2付加価値情報が含まれているか否かを判定・抽出する。判定の結果、第2付加価値情報が含まれていれば、「Yes」を選択し、情報判定部433が判定して抽出した第2付加価値情報をホストコンピュータ440に送信してステップS1870に進む。第2付加価値情報が含まれていなければ「No」を選択して計数処理をのみを行って本処理を終了する。
【0297】
ステップS1870では、ホストコンピュータ440に備わった第2付加価値情報判定部441が、計数装置430の情報判定部433から送信された第2付加価値情報が正しいか否かを判定する。具体的には、第2付加価値情報判定部441には、ホールに配備された各パチンコ機10からの情報が送信される。当該情報は、各パチンコ機10において第2付加価値情報を特殊遊技球ByのICチップ414に書き込んだときに、当該ICチップ414に付与したIDと同じものである。当該IDは、第2付加価値情報判定部441に備わった図示しない記憶媒体(例えば、ハードディスなど)に記憶させおく。
【0298】
ホストコンピュータ440の第2付加価値情報判定部441は、計数装置430側で読み取った第2付加価値情報と関連付けられたIDを、予め記憶媒体に記憶しているIDデータ群と比較する。比較の結果が、計数装置430にフィードバックされる。つまり、両IDが一致していれば、「Yes」を選択してステップS1875に進む。IDが一致していなければ、「No」を選択して本処理を終了する。
【0299】
ステップS1875では、ホストコンピュータ440での判定の結果、第2付加価値情報が所定のパチンコ機10によって付与されたものであるので、賞球された遊技球の計数値に付加価値が付与される。具体的には、第2付加価値付与部434が、当該第2付加価値情報を有する1個の特殊遊技球Byを5個分として、遊技球カウンタ431によって計数した実計数値に割増加算してゆく。第2付加価値情報がICチップ414に書き込まれた特殊遊技球Byの個数分の加算処理が終了すると、その合計個数をプリンターによって印字出力したり、磁気カードなどに記録したりする。その後、ステップS1880に進む。
【0300】
ステップS1880では、遊技球カウンタ431によって計数された後の特殊遊技球Byについては、それら特殊遊技球Byに内蔵されたICチップ414に書き込まれている各種情報を消去部435によって消去して初期化する。
【0301】
以上で、付加価値付与処理の一連の処理が終了する。
【0302】
上述のように、遊技者が遊技を開始するとき、または、継続的に遊技を行っている過程で、カードユニットCUに記録媒体を挿入し、当該記録媒体の残高値に応じて、遊技に対する付加価値に寄与する第1付加価値情報を特殊遊技球Byに内蔵したICチップ414に書き込むとともに、当該第1付加価値情報を有する特殊遊技球Byが第1の始動口33に入球することによって、付加価値付与に寄与する第2付加価値情報をICチップ414に書き込んだ特殊遊技球Byを複数個の賞球用の特殊遊技球Byに混ぜて払い出すことができる。この第2付加価値情報がICチップ414に書き込まれた特殊遊技球Byを遊技に使用することなく残した状態で、遊技球を終了すると、計数装置430では、当該特殊遊技球Byを1個以上の数量として計数し、実際の特殊遊技球Byの数量よりも多く割増した数量を遊技者が獲得したことになる。したがって、実際の特殊遊技球Byの計数値以上の個数を得た遊技者は喜び感じ、遊技に対する興趣性の向上が図られる。すなわち、本実施例のパチンコ機10および遊技システムは、従来実現することができなかった、貸球の貸し出しによって遊技者に付加価値を与えることができるようになった。
【0303】
また、所定の貸出条件が成立したことを貸出条件検出部425によって検出されたときに、付加価値指示部451が、第2付加価値情報が記憶されたICチップ414を内蔵した特殊遊技球Byを、次に第1の始動口33にデータなしの特殊遊技球Byが入球することによって賞球として獲得が可能な状態の警告表示、第2付加価値情報がICチップ414に書き込まれたお特殊遊技球Byを賞球として獲得したときの警告表示のそれぞれが第1図柄表示装置42に適時に表示されるので、これら表示を見た遊技者は、遊技に対する付加価値が付与されることを期待、または実感することができる。すなわち、遊技に対する興趣性が向上を図らせるパチンコ機を実現することができる。
【0304】
また、遊技者が使用したパチンコ機10以外から払い出された第2付加価値情報を有する特殊遊技球Byは、最終的に計数装置430では計数されないようになっているので、遊技者は自分が得た付加価値を適正に獲得できるとともに、ホール側では偽造された特殊遊技球Byによって不正行為が行なわれるの防止することができる。
【0305】
さらに、第1および第2付加価値情報がICチップ414に書き込まれた全ての特殊遊技球Byは、パチンコ機10からホール側に排出されるときに、当該第1および第2付加価値情報のデータを含む各種情報が消去部423によって消去されて初期化される。したがって、所定のパチンコ機10以外で付与された付加価値による利益を得ることができないので、他の特殊遊技球Byを使用した不正行為を抑制するのに有効となる。
【0306】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0307】
(1)上述した実施例では、カードユニットCUに記録媒体を挿入したときの記録媒体の残高値に応じて第1付加価値情報を特殊遊技球Byに内蔵したICチップ414に書き込む形態であったが、次のような形態であってもよい。
【0308】
例えば、カードユニットCUに記録媒体を挿入したときに、主制御装置261において、第1付加価値情報を付与した特殊遊技球Byを含んだ貸球を払い出すか否かを抽選するようにしてもよい。この構成によれば、上記各実施例と同じ効果を奏する。
【0309】
(2)上述した各実施例では、第1および第2付加価値情報がICチップ414に書き込まれた特殊遊技球Byが払い出されたか否かを、遊技の最中に遊技者は知ることができる形態であったが、遊技者が当該状況を遊技の最中に知ることができない構成にしてもよい。
【0310】
例えば、第1図柄表示装置42への警告表示をなくす。その代わりに計数装置430で計数処理した後に表示画面、印字出力、および磁気カードへの記録表示に、付加価値が付与された情報を「ボーナスポイント」などとして表示する。このような形態にすることにより、遊技を終了した最終時点で付加価値が付与されたことを遊技者は知り、気持ちよく遊技を終了することができるとともに、次回の遊技に対して新たな期待感を抱くようになる。すなわち、遊技に対する興趣性の向上を図ることのできるパチンコ機を提供することができる。
【0311】
(3)上述した実施例では、ICチップ414を内蔵した1種類の特殊遊技球Byを使用していたが、例えば、第1および第2付加価値を付与する遊技球のみをICチップ414を内蔵したものとし、他の遊技球は通常に使用されている強磁性体の金属で構成されたものを使用してもよい。この場合、遊技盤裏面などに配備した通常の遊技球を貯留するタンク355とは個別の特殊遊技球用のタンクを配備し、第1および第2付加価値情報を付与する条件が成立いたときに、通常の遊技球と特殊遊技球とを混ぜて特殊遊技球を払い出すようにすればよい。ICチップ414へのデータの書込みや読み出しは上記実施例1と同じ構成で実現することができる。このように構成しても、上述の実施例と同様の効果を奏する。なお、この場合に、特殊遊技媒球Byは、通常の遊技球と略同じ形状および略同じ重量にする。
【0312】
また、ICチップ414を内蔵しない遊技球を利用して実現してもよい。この場合、第1および第2付加価値情報を付与する遊技球を材料の異なるもので構成すればよい。例えば、通常の遊技球と略同じ重量で、かつ、略同じ形状となる弱磁性体の金属であるステンレス鋼やアルミニウム合金などで構成する。したがって、常時実施例1のようにライター418のようなデータを書き込む装置が不要となる。当該特殊遊技球を検出するには、通常の遊技球の強磁性体のみを検出する近接センサと、通常と特殊遊技球の両方を検出する非接触または接触センサを利用し、両センサからの検出結果に基づいて、いずれの遊技球が第1の始動口33に入球したかを判別するようにすればよい。この構成によれば、装置構成が簡素化されるとともに、上記実施例1と同様の効果を奏する。
【0313】
(4)上述した実施例では、付加価値制御部450を独立的に設けて構成であったが、図46のブロック図に示すように、主制御装置261に組み込んだ構成としてもよい。この場合、付加価値指示部451からの指示コマンドは、主制御装置261を介して払出制御装置311に送信されるようになる。このように構成しても、上述の実施例と同様の効果を奏する。さらに、付加価値制御部450を主制御装置261に組み込むことによって構成が簡素されるとともに、主制御装置261と一体となってケース類に封止されることになるので、付加価値制御部450への不正操作を抑制するのにも有効となる。
【0314】
(5)本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される。)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞されることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。また、球が所定の入賞口に入ることで特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。さらに、パチンコ機以外にも、アレンジボール型パチンコ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機等の各種遊技機として実施するようにしてもよい。
【0315】
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定されるものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技用媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0316】
なお、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受け皿に多量の球が払い出されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0317】
以上のように、この発明は、パチンコ機等の遊技機に適している。
【図面の簡単な説明】
【0318】
【図1】本発明の実施例のパチンコ機の概略正面図である。
【図2】内枠及び前面枠セットを開放した状態のパチンコ機を示す斜視図である。
【図3】前面枠セットを開放した状態における内枠等を示す正面図である。
【図4】遊技盤の構成を示す正面図である。
【図5】前面枠セットの構成を示す背面図である。
【図6】パチンコ機の構成を示す背面図である。
【図7】パチンコ機の背面構成を主要部品毎に分解して示す分解斜視図である。
【図8】パチンコ機裏面における第1制御基板ユニット、第2制御基板ユニット及び裏パックユニットの配置を示す模式図である。
【図9】内枠及び遊技盤の構成を示す背面図である。
【図10】内枠の背面構成を示す斜視図である。
【図11】遊技盤の背面構成を示す斜視図である。
【図12】支持金具の構成を示す斜視図である。
【図13】第1制御基板ユニットの構成を示す正面図である。
【図14】第1制御基板ユニットの構成を示す斜視図である。
【図15】第1制御基板ユニットの分解斜視図である。
【図16】第1制御基板ユニットの背面構成を示す分解斜視図である。
【図17】第2制御基板ユニットの構成を示す正面図である。
【図18】第2制御基板ユニットの構成を示す斜視図である。
【図19】第2制御基板ユニットの分解斜視図である。
【図20】裏パックユニットの構成を示す正面図である。
【図21】裏パックユニットの分解斜視図である。
【図22】タンクレールの分解斜視図である。
【図23】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図24】第1図柄表示装置の表示内容を示す説明図である。
【図25】遊技制御に用いる各種カウンタの概要を示す説明図である。
【図26】主制御装置によるメイン処理を示すフローチャートである。
【図27】通常処理を示すフローチャートである。
【図28】外れ図柄カウンタの更新処理を示すフローチャートである。
【図29】第1図柄変動処理処理を示すフローチャートである。
【図30】変動開始処理を示すフローチャートである。
【図31】タイマ割込み処理を示すフローチャートである。
【図32】始動入賞処理を示すフローチャートである。
【図33】NMI割込み処理を示すフローチャートである。
【図34】払出制御装置によるメイン処理を示すフローチャートである。
【図35】払出制御処理を示すフローチャートである。
【図36】賞球制御処理を示すフローチャートである。
【図37】貸球制御処理を示すフローチャートである。
【図38】実施例1に係るパチンコ機の正面図である。
【図39】払出機構部の要部構成を示した図である。
【図40】特殊遊技球の部分破断図である。
【図41】ICチップの内部構成を示す図である。
【図42】第1の始動口周辺の要部構成を示した図である。
【図43】実施例1に係るパチンコ機を含む遊技システムの電気的構成を示したブロック図である。
【図44】実施例1に係るパチンコ機の警告表示画面を示した図である。
【図45】付加価値処理を示したフローチャートである。
【図46】変形例のパチンコ機を含む遊技システムの電気的構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0319】
CU … カードユニット
By … 特殊遊技球(ICチップ内蔵)
33 … 第1の始動口
261 … 主制御装置
311 … 払出制御装置
414 … ICチップ
416 … 停留板
418 … ライター
422 … リーダー
425 … 貸出条件検出部
430 … 計数装置
431 … 遊技球カウンタ
432 … リーダー
433 … 情報判定部
434 … 第2付加価値付与部
440 … ホストコンピュータ
441 … 第2付加価値情報判定部
450 … 付加価値制御部
451 … 付加価値指示部
452 … 情報判定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体の貸し出しについての操作を受ける貸出手段と、遊技者による前記貸出手段の操作に基づいて遊技媒体の払い出しをする払出手段とを備えた遊技機において、
前記貸出手段が操作されたときの貸出条件を検出する貸出条件検出手段と、
前記貸出条件検出手段の検出結果に応じて、遊技者への利益供与に寄与する特殊遊技媒体を払い出す特殊遊技媒体払出手段と、
払い出された前記特殊遊技媒体が所定入口部に入力されたことを検出する特殊媒体検出手段と、
前記特殊遊技媒体検出手段によって前記特殊遊技媒体が検出されたとき、遊技者の遊技に対して付加価値を付与する付加価値付与手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【公開番号】特開2006−25988(P2006−25988A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207401(P2004−207401)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】