説明

遊技機

【課題】
操作装置の操作に応じて行われる演出効果を従来以上に高め、遊技者が興味を引くように遊技性を向上させた構成の遊技機を提供する。
【解決手段】
操作装置41(42)に操作装置の操作力を検出する操作力検出手段60,64(65,69)を設け、制御装置50に操作力検出手段の検出により得られる検出操作力に基づいて演出装置の作動制御パターンを決定するパターン決定手段を備えて構成する。また、操作装置41(42)の操作部411(421)の操作時における変位によりこの操作部411(421)と接触して歪みが生じるように操作装置41(42)に配設され、この歪みに応じた起電力を発生する圧電バイモルフ素子60,65と、圧電バイモルフ素子60(65)と電気接続されて圧電バイモルフ素子からの起電力により発光し、前面側からこの発光を視認できるように遊技機基体1に配設されるLED70とを有して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を行うための遊技装置と、この遊技装置の作動操作を行うための操作装置とを備えて構成される遊技機に関し、さらに詳しくは操作装置の操作に応じて行われる演出に関する。
【背景技術】
【0002】
このような遊技機を代表するものとしてスロットマシンが知られている。スロットマシンは、前面開口を有した矩形箱状の筐体と、この前面開口を覆う前扉とをヒンジ結合してなるキャビネットケースにリール装置等のスロット遊技装置が適宜配設されて構成され、メダルを投入してリール装置を回転させた後に停止させ、停止時にリールに描かれる図柄の組み合わせ態様に応じてメダル払出装置からメダルが払い出される遊技に供される。キャビネットケースを構成する前扉の前面側には、スロット遊技装置を作動操作して遊技を行うためのレバー、ボタン等の複数の操作装置からなる操作部が略中央部に位置して設けられる。これら操作装置のうち、操作レバーとしてはリール装置を回転始動させるスタートレバー等があり、操作ボタンとしては回転するリール装置を停止させる停止ボタンの他、ベットボタン、精算ボタン等がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、このようなスロットマシンは、操作装置の操作と同期して、また該操作後の遊技状態に応じて点灯するランプ、効果音等を放音するスピーカ、液晶パネル等からなる表示装置等の演出装置を備えて構成しており、これら演出装置により遊技者の視聴覚に訴えて遊技中の演出効果を高める工夫が凝らされている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2004−215706号公報
【特許文献2】特開2002−177461号公報
【特許文献3】特開2001−351416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスロットマシンでは、ON状態とOFF状態の2値からなる操作装置の操作信号が制御装置に入力され、操作信号を受けた制御装置によりリール等のスロット遊技装置の作動制御が行われるとともに、演出装置の作動制御パターンが予め記憶された複数のパターンから適宜選択されて演出装置の作動制御を行って演出装置を利用した演出を行っている。スロットマシンは、このような構成をもって遊技者が遊技をより楽しく行えるようにする種々の工夫がなされているが、さらなる演出効果を発揮できるような遊技装置構成が求められている。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みたもので、操作装置を備えたスロットマシン等の遊技機において、操作装置の操作に応じて行われる演出効果を従来以上に高めて遊技者が興味を引くように遊技性を向上させた構成の遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的達成のため、本発明に係る遊技機は、遊技装置の操作を行う操作装置と、遊技状態に応じた演出を行う演出装置と、操作装置の操作を受けて遊技装置の作動制御を行うとともに、演出装置の作動制御を行う制御装置とを有して構成される遊技機において、操作装置に操作力を検出する操作力検出手段を設け、制御装置に操作力検出手段の検出により得られる検出操作力に基づいて演出装置の作動制御パターンを決定するパターン決定手段を備えて構成している。
【0007】
なお、操作装置に操作に応じて変位する操作部を備えて構成し、操作力検出手段を、操作部の操作時における変位により操作部と接触して歪みが生じるように配設されてこの歪みに応じた起電力で起電する圧電バイモルフ素子と、圧電バイモルフ素子の起電により発生する電流量を検出する電流量検出手段とから構成し、パターン決定手段を、電流量検出手段の検出により得られる検出電流量に基づいて演出装置の作動制御パターンを決定するように構成することが好ましい。
【0008】
また、第2の本発明に係る遊技機は、操作に応じて変位する操作部を有して構成される操作装置を遊技機基体(例えば、実施形態におけるキャビネットケース1)の前面に備え、この操作部を操作して遊技を行う遊技機において、操作部の操作時における変位により操作部と接触して歪みが生じるように操作装置に配設され、この歪みに応じた起電力を発生する圧電バイモルフ素子と、圧電バイモルフ素子と電気接続されて圧電バイモルフ素子からの起電力により発光し、前面側から該発光を視認できるように遊技機基体に配設されるLEDとを有して構成している。
【発明の効果】
【0009】
第1の本発明に係る遊技機は、操作装置の操作力を検出する操作力検出手段を有し、制御装置により操作力検出手段による検出操作力に基づいて演出装置の作動制御パターンを決定可能に構成される。これにより、遊技者の操作時の力加減によって演出パターンを変更させる制御が行うことが可能となり、従来にない新たな遊技性を有した演出効果の高い遊技機を提供することができる。
【0010】
また、第2の本発明に係る遊技機は、上記圧電バイモルフ素子を遊技操作装置に設け、この圧電バイモルフ素子にLEDを接続し、LEDを圧電バイモルフ素子からの起電力によって発光させるよう構成している。これにより、LEDを点灯させるために制御装置等の外部からの電力供給が不要となり外部配線を省略して演出用のランプを備えた遊技機を提供することができる。さらに、この圧電バイモルフ素子は操作力に応じて起電力が変化するため、LEDの輝度を操作力に応じて変化させることができ、従来よりも演出効果を高めたランプ点灯を行うことが可能となる。なお、圧電バイモルフ素子からの起電力によりLEDを点灯させる原理および基本応用例については、特許文献3に開示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。本発明に係る遊技機の代表例としてスロットマシンを図1〜図3に示しており、まず、図面を参照しながらスロットマシンSMの全体構成について説明する。ここで、図1はスロットマシンSMの斜視図、図2はスロットマシンSMの前扉を180度開放させた状態として内部構成を示す正面図、図3はスロットマシンSMの構成ブロック図である。
【0012】
スロットマシンSMは、前面側に矩形開口を有する箱状の筐体2と、この矩形開口を開閉自在に覆って取り付けられる前扉3とから構成される略直方体状のキャビネットケース1に遊技装置を配設して構成される。前扉3は、筐体2および前扉3の左側縁に跨設される上下のヒンジ機構4,4により横開き開閉可能に取り付けられ、常には右側縁に設けられた施錠装置5を利用して筐体2に閉鎖施錠された状態で保持される。
【0013】
筐体2の内部には、それぞれ外周面に沿って多種の図柄が設けられて電動のリールモータ(図示せず)により回転駆動される3つのリール21a,21b,21cからなるリール装置21、メダルの払出を行うメダル払出装置22、スロットマシンSMの構成機器に電力供給する電源装置23等が配設されている。
【0014】
前扉3には、それぞれ遊技状態に応じ、効果音等を放音するスピーカ31,31,…、所定の演出図柄が表示される液晶パネル32、点灯、消灯する演出ランプ33等の演出装置、および遊技媒体であるメダルを投入するメダル投入口34が取り付けられている。前扉3の前面中央部には、スタートレバー41、3つの停止ボタン42,42,42、3種のベットボタン43,44,45、精算ボタン46等の操作装置が集約的に配設され、操作部40を形成している。
【0015】
操作部40の上方には、リール装置21と位置整合して透視窓35が配設されており、前扉3を閉鎖姿勢としたときに3つのリール21a,21b,21cの所定範囲が機体正面に臨むようになっている。前扉3の下部中央には、前扉3に設けられたメダル通路36と位置整合してメダル払出口37が設けられるとともに、その下部に受け皿38が配設されており、メダルセレクタ39から返却されるメダル、メダル払出装置21から払い出されるメダルがメダル払出口37を通過して受け皿38で受け止められて貯留されるように構成されている。
【0016】
図2,図3に示すようにキャビネットケース1の内部には、遊技処理のためのプログラムを記憶したROM等を有してスロットマシンSMの動作を統括管理する主制御基板51、各演出装置31〜33と接続されて演出制御を行うサブ制御基板52、メダルセレクタ39および各操作装置41〜46と接続されてメダルセレクタ39からのメダル投入信号および各操作装置41〜46からの操作信号を主制御基板51に転送する中央制御基板53、リール装置21に接続されてリール装置21の作動制御を行うリール制御基板54、メダル払出装置22、電源装置23等と接続されてメダル払出装置22の作動制御等を行う下部制御基板55、遊技施設に設けられるホールコンピュータHCと接続されてホールコンピュータHCとスロットマシンSMとの間で情報送受信するための外部中継基板56の各基板が配設されており、主制御基板51と他の基板52〜56のそれぞれとがワイヤーハーネス(図示せず)により接続されて制御装置50を構成している。
【0017】
このように概要構成されるスロットマシンSMでは、前扉3を閉鎖施錠した状態で図4に示す遊技フローに則った遊技に供される。メダル投入口31からメダルが投入されてスタートレバー41が操作されると(ステップS1,S2)、中央制御基板53からメダル投入信号およびスタートレバー41の操作信号が主制御基板51に転送され、主制御基板51によりメダル投入枚数に応じたゲーム設定のもと当該遊技の役抽選が行われ(ステップS3)、サブ制御基板52により、抽選役を参照してリール始動時、回転時、停止時あるいは停止後にスピーカ31,31,…から放音する効果音パターン、液晶パネル32に表示する図柄パターン、演出ランプ33の点灯パターン等の演出パターンが選択される(ステップS4)。役抽選および演出パターン選択が終了するとリール制御基板54を介してリール装置21の始動制御が行われる(ステップS5)。
【0018】
3つのリール21a,21b,21cが回転すると、中央制御基板53から転送される停止ボタン42,42,42の操作信号を受け、操作されたボタンに対応するリールの停止制御がリール制御基板54を介して行われる(ステップS6,S7)。全リール21a,21b,21cが停止すると、透視窓35から前面に臨む停止図柄が抽選役に入賞しているか否かが判断され(ステップS8)、この停止図柄が抽選役に応じた入賞図柄と一致していなければ入賞していないとして当該遊技処理を終了し、停止図柄と入賞図柄とが一致していれば入賞しているとして入賞役に応じた枚数のメダルがスロットマシンSMにクレジットされ、クレジットされているメダル枚数がクレジット限界枚数(例えば、50枚)を超える場合はメダル払出装置21によりメダル払出口37から受け皿38にメダルが払い出され(ステップS9)、当該遊技処理を終了する。また、リール21a,21b,21cが始動してから停止するに至り、選択された演出パターンに則ってスピーカ31,31,…、液晶パネル32、演出ランプ33等の作動制御が行われる。
【0019】
なお、1ベットボタン43は遊技開始時に1回押されるたびにクレジットされているメダルから1枚を消費して投入メダル1枚に対応したゲーム設定を行うようになっている。同様に、2ベットボタン44を押すと、クレジットされているメダルから2枚を消費して投入メダル2枚に対応したゲーム設定を行うようになっており、MAXベットボタン45を押すと、クレジットされているメダルから最大設定可能メダル枚数(例えば、3枚)を消費してこれに対応するゲーム設定がなされる。精算ボタン46を押すと、クレジットされているメダル枚数に対応するメダルがメダル払出装置21からメダル払出口36へ払い出されるようになっている。
【0020】
次いで、図5,図6を参照してスタートレバー41の構成を説明する。図5はスタートレバー41の断面図、図6はスタートレバー41が(下方)傾動操作された状態を示す断面図である。図5に示すように、スタートレバー41は、操作部40の前面を構成する前面パネル40aにネジ結合されるメインケース412と、メインケース412の後部にネジ結合されて取り付けられたカバーケース413とからなるケース内に、操作レバー411を図示するように配設して構成される。なお、メインケース412は外面に操作部40の前面にネジ結合するための結合ネジ412cが形成された円筒状部材からなり、前方に開口して第1凹部412aが形成され、後面に開口して第2凹部412bが形成されている。カバーケース413は中空円筒状に形成されてメインケース412の後部にネジ結合されている。
【0021】
操作レバー411は、例えば樹脂材を射出成型等の成型手段を用いて球状に形成される操作ノブ411aと、この操作ノブ411aと繋がるシャフト411bと、シャフト411bの根元に取り付けられたハブ411cとを有して構成され、先端に反射部411dが設けられている。シャフト411bはメインケース412の第1凹部412aから貫通孔412dを通って第2凹部412bに突出して配設され、第1凹部412a内にシャフト411bの上に摺動可能にワッシャ411eが配設され、ハブ411cとワッシャ411eの間にバネ411fが跨設されている。また、第2凹部412b内に突出するシャフト411bの先端には受け部材411gが取り付けられている。
【0022】
このような構成のスタートレバー41は、バネ411fの付勢によりワッシャ411eが第1凹部412a内に着座してハブ411cを外方に押し出し、受け部材411gは第2凹部412b内に着座する。また、メインケース412の第1凹部412aの前側面には、シャフト411bを左右方向に対して規制するとともに上下方向に対して自由とするガイド孔412eが上下方向に延びて設けられている。この結果、操作レバー411を操作しないときには図5に示すようにシャフト411bが起立し、この起立状態から図6に例示するように操作レバー411を上下方向に傾動操作可能とされる。
【0023】
カバーケース413の後端にはキャップ413aが嵌合して取り付けられ、その内部に発光素子414、受光素子415、集光レンズ416a,416b、コネクタ417が図示のように配設されており、コネクタ417は発光素子414および受光素子415に繋がるとともに配線により中央制御基板53と接続されている。中央制御基板53からコネクタ417を介して送られる電気により発光素子414から信号光が発光されると、この信号光は図5に一点鎖線で示すように集光レンズ416aにより集光されて反射部413dに入射して反射される。図5に示す起立状態では、反射された信号光は集光レンズ416bにより集光されて受光素子415により受光される。受光素子415は反射された信号光を受光すると、受光に応じて発生する電気信号がコネクタ417を介して中央制御基板53に送られ、中央制御基板53から主制御基板51に転送される。図5に示す起立状態から遊技者が操作ノブ411aを操作し、図6に示すように操作レバー411を傾動させると、反射部411dの向きが変化する。このため、発光素子414からの信号光は反射部411dで反射されたときに受光素子415の方向とは異なる方向に反射し、受光素子415に信号光が入射しなくなる。このとき、受光素子415からコネクタ417および中央制御基板53を介して主制御基板51に信号光を受光しなくなったことを示す電気信号が送られる。
【0024】
メインケース412の第1凹部412aの上下両面には、操作レバー411が傾動操作されたときにハブ411cと接触する位置において、スタートレバー41の長手方向(図示左右方向)に延びる矩形状の収容凹部412f,412fがそれぞれ設けられており、この収容凹部412f,412fのそれぞれ内部に圧電バイモルフ素子60,60が収容凹部412fと略同一壁面を形成するようにして収容固定されている。
【0025】
以下、この圧電バイモルフ素子60について、図7に示す概略構成図を参照して説明する。図7に示すように、圧電バイモルフ素子60は、絶縁材でなる矩形平板状とされて弾性のあるベース部材61と、ベース部材61の上下両面にそれぞれ設けられる圧電部材62,62とから構成され、ベース部材61の両端にそれぞれ形成される貫通孔61a,61aを介して圧電バイモルフ素子60は収容凹部412f内にネジ等により固定されている。圧電部材62は、圧電セラミクスあるいは圧電高分子膜により成型されており、応力が加わるとこの応力量に応じた起電力を発生するようになっている。
【0026】
図7に示すように、圧電部材62は、配線により中央制御基板53に接続されており、中央制御基板53上に設けられた電気回路からなる電流測定部64と繋げられている。この電流測定部64により圧電部材62,62の起電に伴う電流量Iがアナログ電気信号として主制御基板51に送られる。
【0027】
このような圧電バイモルフ素子60,60が収容凹部412f,412f内に収容され、一般的な遊技操作と同様に、操作レバー411が操作力Fをもって傾動操作され、直後に操作力Fが解除されると、ハブ411cとベース部材61とが接触することで圧電バイモルフ素子60に歪みが生じ、圧電部材62,62がこの歪みに伴う応力を受けて起電する。圧電部材62,62は受ける応力量に応じた起電力を発生することから、傾動操作の操作力Fに応じた起電力を発生することとなる。そして、操作力Fに応じた電流量Iを示す信号が電流測定部64から主制御基板51に送られる。
【0028】
次いで、図8,図9を参照して停止ボタン42の構成を説明する。図8は停止ボタン42の断面図、図9は停止ボタン42が押圧操作された状態を示す断面図である。停止ボタン42は、遊技者により押圧操作されるボタン部421aを前方(図示上方)に露出する3つの操作ボタン421と、操作ボタン421を付勢するためのバネ422と、3つの操作ボタン421をそれぞれ収容するボタン収容部423aを有してなるケース423とからなり、前面に停止ボタンパネル424が装着されるとともに、後面にスイッチ回路をプリント実装した停止ボタン基板425が備えられている。
【0029】
操作ボタン421は、略円板状のボタン部421aと、ボタン部421aの裏面側に形成される円筒部421bとを有してなり、光散乱性の樹脂材を射出成型等の成型手段を用いて一体的に形成されている。円筒部421bの外径はボタン部421aの外径よりも小さく形成されており、このようなボタン部421aと円筒部421bとの境目部位において操作ボタン421の外側面を縁取ってフランジ部421cが形成されている。また、円筒部421bの周縁の一端には帯板状に延びる遮光辺421dが形成されている。さらに、円筒部421b内にはバネ422が収容される。
【0030】
操作ボタン421は、円筒部421b内にバネ422を収容した状態で、樹脂材等を射出成型等の成型手段を用いて形成されるケース423のボタン収容部423aに嵌挿収容される。ボタン収容部423a内に操作ボタン421を収容した状態で、バネ422はボタン収容部423aの後端に着座して操作ボタン421を前方に付勢するようになっている。ボタン収容部423aには段差部423bが設けられており、この段差部423bには圧電バイモルフ素子65,65が取り付けられている。
【0031】
ケース423の前方側に、ボタン操作部421のボタン部421aを露出させるための孔と、この孔の周縁に設けられてフランジ部421cをブラインドするブラインド部424aとが形成されるボタンパネル424を取り付けて背面側からネジ結合し、ケース423の後方側に、停止ボタン基板425が背面側よりネジ結合される。なお、停止ボタン基板425には、断面視コ字状に形成されて発光部と受光部とからなる光電スイッチ426が突設されている。
【0032】
ここで、停止ボタン42に設けられる圧電バイモルフ素子65について図10の概略構成図を参照して説明する。図10に示すようにこの圧電バイモルフ素子65は、スタートレバー41に設けられた圧電バイモルフ素子60と同様に矩形平板状のベース部材66および圧電部材67,67とからなり、ベース部材66に形成された貫通孔66a,66aを介して段差部423bにネジ等で固定されている。
【0033】
図10に示すように、停止ボタン42に設けられる圧電バイモルフ素子65の圧電部材67,67は、配線によりケース423後方の停止ボタン基板425に接続され、停止ボタン基板425に設けられた電気回路でなる電流測定部69と繋げられている。この電流測定部69により圧電部材67,67の起電に伴う電流量Iがアナログ電気信号として、中央制御基板53を介して主制御基板51に送られる。また、圧電部材67,67は配線によりLED70と接続されており、このLED70がケース423の後端面において操作ボタン421の軸線上に位置して設けられたLED収容部423cに密嵌収容されている。
【0034】
このように構成される停止ボタン42のボタン部421aが押圧操作されると、フランジ部421cの後端面がボタン収容部423aの段差部423bに設けられた圧電バイモルフ素子65,65と接触してボタン部421aの押し込みが規制される。このとき、円筒部421bに形成されている遮光辺421dがボタン部421aと後方連動して光電スイッチ426の信号光を遮光し、光電スイッチ426が遮光されたことを示す電気信号が停止ボタン基板425から中央制御基板53に送られ、さらに主制御基板51に転送される。また、ボタン部421aの押込操作に伴ってフランジ部421cが圧電バイモルフ素子65,65と接触することにより、圧電バイモルフ素子65に操作力Fに応じた歪みが生じて圧電部材67,67に応力が加わる。このため、圧電部材67,67は操作力Fに応じた起電力を発生し、停止ボタン基板425の電流測定部69から操作力Fに応じた電流量Iを示す信号が中央制御基板53を介して主制御基板51に送られる。操作力Fが解除されると、バネ422の作用により操作ボタン421は前方に付勢され、フランジ部421cが停止ボタンパネル424のブラインド部424aと当接して前方動を規制され、操作ボタン421が図8に示す状態に復帰する。
【0035】
さて、このように構成されるスロットマシンSMにおける遊技処理内容を前述した図4および図11,図12に示しており、以下、図4,図11,図12のフローチャートを参照して本発明に係る遊技機の遊技処理について説明する。なお、図11は演出パターン選択時の処理概要を表すフローチャート、図12は停止ボタン42の操作時における処理概要を表すフローチャートをそれぞれ示している。
【0036】
遊技者は、遊技開始にあたって3種のベットボタン43〜45のいずれかを押圧操作し、あるいはメダル投入口34よりメダルを投入して所望のゲーム設定を行い(ステップS1)、スタートレバー41の操作レバー411を傾動操作する(ステップS2)。このとき、下方傾動される操作レバー411と圧電バイモルフ素子60とが接触し、遊技者が操作レバー411に加えた操作力Fに応じて圧電バイモルフ素子60に歪みが生じ、圧電部材62,62はこの歪みにより生じる応力に応じた起電力を発生する。圧電部材62,62の発生起電力に基づく電流量Iを示す信号が、中央制御基板53の電流測定部64より主制御基板51に送られる。
【0037】
スタートレバー41が操作されると受光素子415が受光しなくなったことを示す電気信号が主制御基板51に送られ、これを受けて主制御基板51はスタートレバー41が操作されたと判断し、当該遊技の役抽選が行われ(ステップS3)、抽選された役に応じて演出パターンの選択が行われる(ステップS4)。
【0038】
この演出パターン選択においては図11に示すように、まず主制御基板51に入力される圧電部材67から発生する電流量Iを示す信号を遊技処理に反映させるパターン変更処理を実行するか否かが選択され(ステップS41)、実行しないときは当該遊技における演出装置31〜33の作動制御パターンがそれぞれ従来通り選択され(ステップS42)、メインフローに戻る。パターン変更処理を実行するとした場合は、演出装置31〜33の変更処理実行用の作動制御パターン(パターン1およびパターン2)がそれぞれ選択され(ステップS412a,412b)、メインフローに戻る。このようにして当該遊技の演出制御パターンが決定されると、3つのリール21a,21b,21cの回転始動制御が行われる(ステップS5)。
【0039】
リール21a,21b,21cが回転すると、パターン変更処理のための実行フラグが立っているか否かが判断され(ステップS61)、フラグがOFFである場合は、停止ボタン42が操作されると、光電スイッチ426の受光部が遮光辺421dに遮光されて受光しなくなったことを示す電気信号が中央制御基板53から主制御基板51に転送され、この電気信号を受けてリール制御基板54を介して操作された停止ボタンに対応するリールの停止制御が行われる。このとき、ステップS42で選択された作動制御パターンに則って演出装置を利用した演出が従来通り行われ(ステップS62)、3つの操作ボタン42,42,42が押圧操作されて対応する3つのリール21a,21b,21cの停止処理が行われる(ステップS7)。
【0040】
フラグがONである場合は、液晶パネル32に遊技者に操作力Fを強くして停止ボタン42を押圧操作するように促す表示がなされ(ステップS611)、フラグがOFFとされる(ステップS612)。そして、遊技者によって停止を所望するリールに対応する停止ボタンの押圧操作がなされる。停止ボタン42の操作に伴い、操作ボタン421のフランジ部421cが圧電バイモルフ素子65,65に接触することから、圧電バイモルフ素子65に応力が生じて圧電部材67,67は起電し、この発生起電力に基づく電流量Iを示す信号が電流測定部69より主制御基板51に送られる。ここで、操作力Fが弱い場合は、停止ボタン42のケース423に設けられた圧電部材62,62に生じる応力が小さくなり、圧電部材62,62の発生起電力が小さなものとなって電流量Iも小さなものとなる。また、操作力Fが強い場合は圧電部材62,62に生じる応力が大きくなり、圧電部材62,62の発生起電力が大きなものとなって電流量Iも大きなものとなる。
【0041】
電流量Iを示す信号を受けた主制御基板51により、この電流量Iが予め主制御基板51に設定される所定電流量I0よりも大きいか否かが判断される(ステップS613)。ここで操作に基づく電流量Iが所定電流量I0よりも大きい場合は、ステップS412で選択された演出装置31〜33の作動制御パターン1に則って強い操作力Fで操作されたときの演出が行われ(ステップS621a)、例えば、液晶パネル31に派手な表示がなされ、演出ランプ33を派手に点灯および消滅させるとともに、これらの演出に呼応するような効果音をスピーカ32,32,…から放音するように各演出装置が作動制御される。一方、操作力Fに基づく電流量Iが所定電流量I0よりも小さい場合は、ステップS412で選択された演出装置31〜33の作動制御パターン2に則って弱い操作力Fで操作されたときの演出がなされる(ステップS621b)。このようにして、3つの停止ボタン42,42,42が押圧操作されて対応する3つのリール21a,21b,21cの停止処理が行われる(ステップS7)。
【0042】
なお、ケース423に取り付けられるLED70は、圧電部材62,62と配線により接続されており、パターン変更処理が実行されるとされないとに関わらずこのときの操作力Fに応じて圧電バイモルフ素子65が発生する起電力を受け、この起電力に応じた輝度で発光する。また、操作ボタン421は光を散乱させて透過する性質の樹脂材で成型されているため、遊技者に前面に露出するボタン部421aの全体を発光面として視認される。
【0043】
そして、透視窓35から前面に臨むリール21a,21b,21cの停止図柄と、抽選された役の入賞図柄とが一致するかが判断され(ステップS8)、一致していなければ当該遊技が終了し、一致していれば入賞役に応じたメダルの払出が行われ(ステップS9)、当該遊技が終了する。
【0044】
このように、本実施例のスロットマシンSMは、加わる応力に応じた起電力を発生する圧電部材62,67を有する圧電バイモルフ素子60,65が、操作に応じて変位する操作レバー411および操作ボタン421のそれぞれと操作時において接触するように設けられている。また、圧電部材62,67は起電時に流れる電流量を検出可能とし、検出した電流量を示す信号がスロットマシンSMの遊技処理等を行う主制御基板51に送られるように構成されている。このような本実施例のスロットマシンSMにおいては、送られる信号に基づいて、即ちスタートレバー41、停止ボタン42の遊技者の操作力Fに基づいて演出パターンを変更させるとする新たな演出効果を狙うことができ、従来よりも興趣ある遊技を提供することができる。
【0045】
そして、停止ボタン42に設けられる圧電部材67,67と電気接続されるLED70を光散乱性の樹脂材で成型される操作ボタン421の背面に配設してスロットマシンSMの前面側から発光を視認できるように構成している。このため、停止ボタン42によるリール停止操作時の操作力Fに応じて輝度を変化させて発光させる演出を行うことが可能である。また、このようなLEDを用いた発光演出装置は、圧電バイモルフ素子からの起電力を電源としているため外部配線を必要とせず、簡易に構成することができる。
【0046】
これまで、本発明に係る遊技機の実施例について説明してきたが、必ずしも上記構成に限られない。スタートレバー41においては、メインケース412の第1凹部412a内におけるハブ411cとの接触部位に収容凹部412f,412fを設けて圧電バイモルフ素子60,60を配設する構成としたが、ハブ411c側の接触部位に収容凹部を設けてこれに収容させる構成としても同様に実施できる。また、上記実施例のスタートレバー41はガイド孔412eの規制および案内を受けて上下方向にのみ傾動操作可能とされたが、操作レバー411が全方位方向に傾動可能とされてこの全方位方向の傾動操作に対してリール装置21が回転始動するように構成されるスタートレバーにおいては、例えば、ハブ411cの外周面に圧電バイモルフ素子60,60をほぼ周設させるように設ける等の構成をとることにより適宜同様に実施することが可能となる。
【0047】
停止ボタン42に設けられる圧電部材67,67に接続されるLED70を、図7に示すように停止ボタン42に配設して操作ボタン421の背面側からLED70を発光させる構成としたが必ずしもこれに限られず、LED70を配線により図1に示すように演習用ランプ33,33,33が配設される位置や、透視窓35の周縁部に発光面を配置するようにしてもよい。また、発光面をこのように配置するにあたっては、LEDを直接このような部位に実装してもよいし、図7に示すようにLEDを停止ボタン42に設け、光を伝達可能なガラス繊維等の一端を該LEDに取り付け、他端を所望発光部位に取り付けてこの他端側によって発光面を形成する構成としてもよい。さらに、操作レバー411においても、圧電部材62,62とLED等の発光素子とを接続し、操作レバー411の操作力に応じてこの発光素子の輝度を変更して点灯させることを可能に構成してもよい。
【0048】
また、上記実施例の遊技処理フローは一例であり、圧電バイモルフ素子60,65からの電流量Iに基づいて演出装置31〜33の作動制御パターンを変更可能であればどのような処理を行ってもよい。
【0049】
上記所定電流量I0より高い所定電流量を新たに設定し、スタートレバー41、停止ボタン42,42,42の操作によりこの高い所定量を超える電流量が発生したと判断されたときに、操作力Fを軽減して操作を行うように警告する表示パターンを選択して液晶パネル32の表示制御を行うことも可能である。これにより、遊技者は適正な操作力でスタートレバー41、操作ボタン42を操作するように促され、過度の操作力で操作されることで生じるおそれのある操作装置あるいは圧電バイモルフ素子の損傷を防止することができる。
【0050】
また、本発明においては演出装置の作動制御を操作力に応じて複数のパターンから選択させるものであるとしているが、スタートレバー41、停止ボタン42に配設される圧電バイモルフ素子60,65等の構成は同様のものとし、例えば、主制御基板51による遊技処理において、大当たり役入賞後に行われる特別遊技において電流量Iが所定電流量を超えるように操作された回数を計測し、所定回数以上このような操作がなされた場合に、該特別遊技終了後の通常遊技中に主制御基板51により行われる役抽選において、大当たり役の抽選確率を通常よりも高く設定する等、遊技設定の変更制御に活用することも適宜可能である。
【0051】
また、上記実施例では、スタートレバー41、停止ボタン42に圧電バイモルフ素子60,65を配設し、これら素子の起電時の電流量を用いてスタートレバー41、停止ボタン42の操作力Fを検出する構成としているが、操作力Fを検出する手段は必ずしもこれに限られず、他の手段による振動センサ等を用いて構成してもよい。
【0052】
なお、上記実施例において、スタートレバー41および停止ボタン42に圧電バイモルフ素子を備えて構成したが、他の操作装置に適用してもよい。また、本発明に係る遊技機としてスロットマシンを例にとって説明したが、パチンコ機、雀球遊技機等の他の遊技機の操作装置においても同様にして実施可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0053】
以上説明した本発明の実施形態において、達成される主要な効果を整理すれば、下記のようになる。
【0054】
第1に、加わる応力に応じた起電力を発生する圧電部材62,67を有する圧電バイモルフ素子60,65が、操作に応じて変位する操作レバー411および操作ボタン421のそれぞれと操作時において接触するように設けられている。また、圧電部材62,67は起電時に流れる電流量を検出可能とし、検出した電流量を示す信号がスロットマシンSMの遊技処理等を行う主制御基板51に送られるように構成されている。このような本実施例のスロットマシンSMにおいては、送られる信号に基づいて、即ちスタートレバー41、停止ボタン42の遊技者の操作力Fに基づいて演出パターンを変更させるとする新たな演出効果を狙うことができ、従来よりも興趣ある遊技を提供することができる。
【0055】
第2に、停止ボタン42に配設される圧電バイモルフ素子65の圧電部材67と電気接続されるLEDを、操作ボタン421の背面に配設してスロットマシンSMの前面側から発光を視認できるように構成している。このため、停止ボタン42によるリール停止操作時の操作力Fに応じて輝度を変化させて発光させる演出を行うことができる。また、このようなLEDを用いた発光演出装置は、圧電バイモルフ素子からの起電力を電源としているため外部配線を必要とせず、簡易に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る遊技機の演出装置を適用した遊技機の一例として示すスロットマシンの斜視図である。
【図2】上記スロットマシンにおいて前扉を180度開放して内部構成を示す正面図である。
【図3】上記スロットマシンの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】上記スロットマシンの遊技処理内容を示すフローチャートである。
【図5】スタートレバーの断面図である。
【図6】スタートレバーが傾動操作された状態を示す断面図である。
【図7】スタートレバーに設けられる圧電バイモルフ素子の略構成図である。
【図8】停止ボタンの断面図である。
【図9】停止ボタンが押圧操作された状態を示す断面図である。
【図10】停止ボタンに設けられる圧電バイモルフ素子の略構成図である。
【図11】上記スロットマシンの遊技処理内容を示すフローチャートである。
【図12】上記スロットマシンの遊技処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
SM スロットマシン
1 キャビネットケース
21 リール
22 メダル払出装置
31 スピーカ (演出装置)
32 液晶パネル(演出装置)
33 演出ランプ(演出装置)
41 スタートレバー (操作装置)
42 停止ボタン (操作装置)
43 1ベットボタン (操作装置)
44 2ベットボタン (操作装置)
45 MAXベットボタン(操作装置)
46 精算ボタン (操作装置)
50 制御装置
51 主制御基板
53 中央制御基板
60,65 圧電バイモルフ素子
64,69 電流測定部
70 LED
425 停止ボタン基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技装置の操作を行う操作装置と、
遊技状態に応じた演出を行う演出装置と、
前記操作装置の操作を受けて前記遊技装置の作動制御を行うとともに、前記演出装置の作動制御を行う制御装置とを有して構成される遊技機において、
前記操作装置に、前記操作装置の操作力を検出する操作力検出手段が設けられ、
前記制御装置に、前記操作力検出手段の検出により得られる検出操作力に基づいて前記演出装置の作動制御パターンを決定するパターン決定手段が備えられて構成されること特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記操作装置は、操作に応じて変位する操作部を備えて構成され、
前記操作力検出手段が、前記操作部の操作時における変位により前記操作部と接触して歪みが生じるように配設されて前記歪みに応じた起電力で起電する圧電バイモルフ素子と、前記圧電バイモルフ素子の起電により発生する電流量を検出する電流検出手段とから構成され、
前記パターン決定手段が、前記電流検出手段の検出により得られる検出電流量に基づいて前記演出装置の作動制御パターンを決定するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
操作に応じて変位する操作部を有して構成される操作装置を遊技機基体の前面に備え、前記操作部を操作して遊技を行う遊技機において、
前記操作部の操作時の変位により前記操作部と接触して歪みが生じるように前記操作装置に配設され、前記歪みに応じた起電力を発生する圧電バイモルフ素子と、
前記圧電バイモルフ素子と電気接続されて前記圧電バイモルフ素子からの起電力により発光し、前面側から該発光を視認できるようにして前記遊技機基体に配設されるLEDとを有して構成されることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−75222(P2006−75222A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260067(P2004−260067)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】