説明

遊技装置の玉貸機

【課題】パチンコ台の台間玉貸機のような狭隘なスペースに設けられる玉貸機において、高額紙幣を始めとする各種紙幣、硬貨、ICコイン及び会員カードによる支払形態を可能とした遊技装置の玉貸機を提供する。
【解決手段】玉貸機1の内部に投入されたICコインの情報を読み取るための上部アンテナ20を有する上部振分け部12と下部アンテナ22を有する下部振分け部14とが保留通路13を介して設けられた遊戯装置の玉貸機であって、上部振分け部12の上部アンテナ20と下部振分け部14の下部アンテナ22とが玉貸機1に設けられた会員カードユニット45であって会員カード50の情報を読み取るための会員カードアンテナ47のアンテナ制御基板48に接続されると共に、上部アンテナ20を制御する機能と下部アンテナ22を制御する機能とが会員カードユニット45のアンテナ制御基板48に組み込まれた構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ台の台間玉貸機のような狭隘なスペースに設けられる玉貸機において、高額紙幣を始めとする各種紙幣、硬貨、ICコイン及び会員カードによる支払い及び釣銭の払出しを可能とした遊技装置の玉貸機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコ店においては、パチンコ島に複数のパチンコ台が並設されると共に、このように並設されたパチンコ台の台間に台間玉貸機が設置されている。このような台間玉貸機においては、利用客による現金の投入により、金額に応じた数量の貸玉を払い出すようにした現金玉貸機が一般的であったが、近年においては、利用客によるCRカード(プリペイドカード)を挿入して玉貸ボタンを押すことにより、所定数量の貸玉を払い出すようにしたCR玉貸機も普及しつつある。
【0003】
ところで、従来の現金玉貸機は、一般的に千円紙幣のみ使用可能であった。このように使用し得る紙幣の額が特定されている理由の一つに、釣銭の問題があった。即ち、高額紙幣を始めとする種々の紙幣、あるいは貨幣の使用を可能とするには、貸出機に通貨の判別装置や釣銭のための収容スペースを確保しなければならず、装置が大型化するため、スペースの限られた台間玉貸機では、釣銭を支払う装置の実現が困難なものとなっていた。
【0004】
その半面、利用客の要望に応じて、従来から、台間玉貸機のような狭隘なスペースに設けられる玉貸機においても、できるだけ多種の玉貸媒体を利用可能とし、しかも利用度数に応じて釣銭の払出しを可能とするようにした玉貸機が開発されるようになっている。
【0005】
特許文献1に記載の装置は、ICコインの採用によって、偽造コイン等を使用した不正な遊技媒体の払い出しや、清算時における不正な釣銭の詐取を防止すると共に、各種紙幣の使用を可能とするようにしたものである。
【0006】
この特許文献1の構成は、図10に示すように、遊技システム61において挿入した紙幣62の金額から購入した遊技媒体の金額を差し引いた金額分のICコイン60を、貸し機A(メダル貸し機A1、玉貸し機A2)から払い出す処理と、このICコイン60の払い出し時に、ICコイン60へのデータの書き込み及び同データの管理コンピュータCへの書き込みを行う処理と、遊技終了時に、残ったICコイン60が精算機Bに投入された時に、ICコイン60に書き込まれたデータと管理コンピュータCに書き込まれたデータとを比較して、一定の条件を満たしたときに、ICコイン60に相当する分の紙幣を払い出す処理とを含むものである。
【特許文献1】特開2002−18109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1の構成において、ICコインは、挿入した紙幣の金額から購入したメダル又は玉のいずれかの遊技媒体の金額を差し引いた金額データが書き込まれたICコインを払出すようにしたものであり、このICデータを管理コンピュータで管理することによって、偽造コイン等を使用した不正な遊技媒体の払い出しや、清算時における不正な釣銭の詐取を防止するようにしたものである。従って、この特許文献1の遊技システムによれば、硬貨や会員カードを使用することができないという欠点がある。
【0008】
なお、ICコインのみならず、硬貨や高額紙幣や会員カードを使用することが可能な玉貸機を構造化すること自体は可能であるが、従来からそのような玉貸機の実現を困難にしていたのは、玉貸機がパチンコ台の狭い台間に設置されたものであり、そのような玉貸機の内部に多様な玉貸媒体を使用可能とする装置を組み込むのが非常に困難であったからである。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、パチンコ台の台間玉貸機のような狭隘なスペースに設けられる玉貸機において、高額紙幣を始めとする各種紙幣、硬貨、ICコイン及び会員カードによる支払い及び釣銭の払出しを可能とした遊技装置の玉貸機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の問題を解決するために、本発明の請求項1の遊技装置の玉貸機は、玉貸機の内部に投入されたICコインの情報を読み取るための上部アンテナを有する上部振分け部と下部アンテナを有する下部振分け部とが保留通路を介して設けられた遊戯装置の玉貸機であって、前記上部振分け部の上部アンテナと前記下部振分け部の下部アンテナとが前記玉貸機に設けられた会員カードユニットであって会員カードの情報を読み取るための会員カードアンテナのアンテナ制御基板に接続されると共に、前記上部アンテナを制御する機能と前記下部アンテナを制御する機能とが前記会員カードユニットのアンテナ制御基板に組み込まれたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成された本発明の遊技装置の玉貸機は、上部振分け部の上部アンテナと下部振分け部の下部アンテナとを玉貸機に設けられた会員カードユニットのアンテナ制御基板に接続すると共に、上部アンテナを制御する機能と下部アンテナを制御する機能とが会員カードユニットのアンテナ制御基板に組み込まれた構成とされたことにより、上部アンテナ専用の制御基板と下部アンテナ専用の制御基板とが不要となったため、従来設置スペースの問題で実現不可能であったICコインの情報を読み取るための上部アンテナ及び下部アンテナの制御機能が有効となり、これによって、会員カードのみならず、ICコインの使用が可能となる。
【0012】
また、上部振分け部におけるICコインのID番号と下部振分け部におけるICコインのID番号とを玉貸機とは別途設けられた管理サーバの管理領域にて記憶し、上部振分け部におけるICコインのID番号に対応する残高を下部振分け部に位置するICコインのID番号に対応する残高に変換することにより、ICコインを使用して遊技した後に、利用度数に応じて、管理サーバに接続された清算機で釣銭を現金で払出すことが可能となる。
【0013】
さらに、玉貸機の内部に投入された紙幣又は硬貨の金額を下部振分け部におけるICコインのID番号に対応した管理サーバの管理領域にて記憶することにより、遊技後に返却された下部振分け部のICコインの残高に応じて、管理サーバに接続された清算機で釣銭を現金で払出すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0015】
図1(a)は本実施例における玉貸機の内部を示す側面図であり、(b)はその玉貸機の前面図である。
【0016】
これらの図1(a)及び(b)を用いて、本発明における玉貸機1の全体構造を説明する。玉貸機1の前面上部には紙幣挿入口2と硬貨投入口3が設けられている。紙幣挿入口2は内部に設けられた紙幣識別機4によって、挿入された紙幣(1000円、2000円、5,000円、10,000円)を識別することができる。
【0017】
また、硬貨投入口3からは、100円硬貨又は500円硬貨のほかに、ICコイン6を投入することができる。硬貨投入口3に投入された硬貨5は、玉貸機1の内部に設けられた投入通路7を経て、硬貨セレクター8を通過し、該硬貨セレクター8によって硬貨5の種別が選別される。即ち、硬貨セレクター8を通過した硬貨が、100円硬貨又は500円硬貨の正貨である場合、正貨通路側9に移行され、その硬貨5による入金額分の貸玉が玉払出口10から不図示の上皿へ排出される。また、硬貨以外のICコイン等は非正貨通路11を経て上部振分け部12へ移行される。
【0018】
この上部振分け部12は、曲線状の保留通路13を介してその下方の下部振分け部14に連結されている。また、保留通路13には予め多数個のICコイン6、6…が貯留されている。
【0019】
これらの上部振分け部12と下部振分け部14とを有するICコイン処理ユニット15の構造をより詳細に述べると、図2に示すように、夫々の上下の振分け部12、14には不図示の電動モータによって回動する振分ディスク16、16が設けられている。夫々の振分ディスク16は、円板形の側面に回転軸17の近傍から周方向へ至るV字形の切欠凹部18を有し、夫々の切欠凹部18が上方を向いた状態で、該切欠凹部18にICコイン6を収納するようにしている。
【0020】
また、上部振分け部12には上部扉19が開閉自在に設けられ、この上部扉19を閉じた状態で振分ディスク16の切欠凹部18に収容されているICコイン6c(図1(a)参照)の情報を読み取るための上部アンテナ20が設けられている。これと同様に、下部振分け部14には下部扉21が開閉自在に設けられ、この下部扉21を閉じた状態で切欠凹部18に収容されているICコイン6d(図1(a)参照)の情報を読み取るための下部アンテナ22が設けられている。
【0021】
ところで、ICコイン6には個々のコインを識別するためのID番号が付されており、上部アンテナ20で読み取られたICコイン6のID番号と下部アンテナ22で読み取られたICコインのID番号は、別途設けられた管理サーバ30の管理領域31に送信される。
【0022】
この管理サーバ30の管理領域31においては、上下部の各アンテナ20、22で読み取られたICコイン6c、6dのID番号とそれに対応する残高を記憶及び管理すると共に、上部振分け部12のICコイン6cに対応するID番号の情報を即座に下部振分け部14のICコイン6dに対応するID番号の情報として変換するという作業を行う。
【0023】
即ち、図5に示すように、上部アンテナ20で読み取られた上部振分け部12におけるICコイン6cのID番号を仮にC(ID:C)とし、下部アンテナ22で読み取られた下部振分け部14におけるICコイン6dのID番号を仮にD(ID:D)とすると、ID番号Cの残高が仮に3,000円である場合、この残高をID番号Dの情報として変換する。また、ID番号を読み取れなかったときは、ICコイン6dを回収通路53へ送出する。
【0024】
このような情報の置き換えによって、下部振分け部14のICコイン6dに対応するID番号に残高として3,000円が記憶されると、上部振分け部12のICコイン6cに対応するID番号には残高としてO円が記憶され、保留通路13に貯留されるICコイン6は管理領域31において全て0円として記憶されることになる。
【0025】
また、下部振分け部14におけるICコイン6は、図1(b)の返却スイッチ23をONすることによって、図1(a)の返却通路24を経て返却口25から返却される。なお、返却口25から返却されるICコイン6は、利用客が硬貨投入口3に投入したICコイン6c(ID:C)とは別のものであって、下部振分け部14に待機してあったICコイン6d(ID:D)が排出されたものとなる。
【0026】
また、返却スイッチ23をONするのは、利用客が払出された貸玉によって遊技を終了した後であり、その貸玉の払出し分は差し引かれ、その残高がID番号DのICコインの情報として記憶される。
【0027】
図6に示すものは、複数の玉貸機1、1…と会員管理サーバ32及び管理サーバ30との接続状況であり、夫々の会員管理サーバ32と管理サーバ30には複数の管理領域31、31…が設けられ、玉貸機1の上部振分け部12の上部アンテナ20と下部振分け部14の下部アンテナ22から送信されたID番号を記憶すると共に、上記のような残高の変換を行い、その情報は管理サーバ30に接続された清算機33に送られ、この清算機33にICコインを投入することによって、そのICコインのID番号に応じた残高を釣銭として現金で払出すようにしている。
【0028】
従って、本実施例の玉貸機においては、釣銭の管理及び実行は、玉貸機の側で行うのではなく、管理サーバ30の管理領域31にて、下部振分け部14のICコインに関するID番号に対応して記憶された残高に応じて釣銭の払出しを行うものである。
【0029】
ここで、図1(a)及び(b)に示す玉貸機1の構造についてさらに説明すると、上部振分け部12においてICコイン6cの情報を上部アンテナ20で読み取った後、振分ディスク16は左方向へ回動して、ICコイン6cを保留通路13へ移動するが、上部振分け部12にて読取りができなかった識別不良硬貨や識別不良ICコインは、振分ディスク16を右側に回動することによって返却通路24へ移行させられ、該返却通路24を経て返却口25から返却される。
【0030】
なお、下部振分け部14において振分ディスク16の切欠凹部18に収容されているICコイン6dは、返却スイッチ23をONすることによって右方向へ回動して、返却通路24へ移行させることにより、返却口25から取り出し可能となる。
【0031】
また、図1(b)において、玉貸機1の前面に設けられた返却スイッチ23は、ICコインや会員カードを返却するために設けられているが、その左方には、玉貸機1の内部に詰まった硬貨又はICコインを返却するための返却ボタン27が設けられている。
【0032】
さらに、玉貸機1の前面には、貸玉数の減算表示を行う残玉回数表示28が設けられ、その下方には、高額紙幣、ICコイン、会員カードの残高度数を表示するための残高・貯玉度数表示29が設けられ、さらにその下方にはICコイン、会員カードの残高表示を切り替えるための表示切替スイッチ34が設けられている。
【0033】
また、その下方には、2000円以上の高額紙幣の受け付け可能時に点灯する高額使用可LED36が設けられ、その下方には後述する会員カードの受け付け可能時に点灯する貯玉使用可LED37が設けられている。
【0034】
また、その並びには、管理サーバ30における管理領域31においてICコインの残高が有りのときにONすることによって、1000円分の玉貸しを行うための高額払出スイッチ38が設けられ、その下方には、会員カードを挿入した際に貯玉を払出すための貯玉払出スイッチ39が設けられている。
【0035】
さらに、玉貸機1の前面下部には、エラーコインを回収するときに使用する鍵41が設けられ、その下方にはICコイン又は硬貨を返却する際の返却口25が設けられ、またその下方には会員カードを挿入するための会員カード挿入口42が設けられている。
【0036】
一方、玉貸機1の内部において、各装置を制御すると共に管理サーバ30と通信を行うための制御部43が設けられ、その下方には、制御部43と通信を行い、玉貸機1の玉払出数や売上状況を記憶したり管理するデータ収集部44が設けられている。
【0037】
さらに、本実施例においては、上記の会員カード挿入口42を有する会員カードユニット45が設けられている。図3に示す会員カードユニット45は、図4に示すように、本体部46と、会員カードアンテナ47を有するアンテナ制御基板48と、スイッチ基板49とを有し、その両側は背面カバー51と前面カバー52とで保護され、本体部46の会員カード挿入口42からは会員カード50を挿入するようにしている。
【0038】
上記の会員カード50としては非接触型ICカードを使用するのが好ましく、会員カード挿入口42から挿着された会員カード50は会員カードアンテナ47で読み取られて制御部43とデータ収集部44を経て会員管理サーバ32に送信される。なお、会員カードとして非接触型ICカードを使用することにより、会員本人による携帯が可能であると共に携帯性に優れ、会員カードユニットにて非接触でデータの書込みや読込みが可能となる。
【0039】
このような構成において、上部振分け部12の上部アンテナ20と下部振分け部14の下部アンテナ22とを会員カードユニット45の会員カードアンテナ47のアンテナ制御基板48に接続すると共に、上部振分け部12の上部アンテナ20を制御する機能と、下部振分け部14の下部アンテナ22を制御する機能とを、会員カードユニット45のアンテナ制御基板48に組み込むことによって、上部アンテナ12の制御機能と下部アンテナ22の制御機能とを会員カードユニット45のアンテナ制御基板48に含ませる構成とし、これによって、上部アンテナ専用の制御基板と下部アンテナ専用の制御基板とを不要とし、そのための設置スペースを不必要なものとしている。
【0040】
なお、従来、上記のように貸玉の利用度数に応じて釣銭の管理及び払出しを行うことが不可能とされていたのは、図1(a)を見ても明らかなように、玉貸機の狭隘な内部に上部アンテナ専用の制御基板と下部アンテナ専用の制御基板とを設置するスペースが全く存在しないからであり、本発明により上部アンテナ12の制御基板と下部アンテナ22の制御基板とを会員カードユニット45のアンテナ制御基板48に組み込むことによって、硬貨、高額紙幣を含むあらゆる紙幣、ICコイン及び会員カードを使用し、いずれの玉貸媒体を使用する場合でも、利用度数に応じて釣銭を現金で支払うことが可能となったのである。
【0041】
ここで、図7により、玉貸機に現金を使用する場合のフローチャートについて説明すると、ステップA1において硬貨投入口3に硬貨を投入したとき、その金額が1000円以下である場合(ステップA2)、入金額分の貸玉が玉払出口10から排出される(ステップA3)。なお、硬貨投入口3にICコインを投入した場合は、後述する図8のフローチャートにおけるステップS1に移行する。
【0042】
また、硬貨投入口に1000円以上の硬貨を投入した場合と、紙幣挿入口2に紙幣を挿入した場合に、その入金額が下部振分け部14のICコインのID番号(このID番号をDとする)に対応する管理サーバ30の管理領域31に記憶される(ステップA4)。
【0043】
次いで、まず1000円分の玉貸しが行われ(ステップA5)、このときから利用客は遊技が可能となり、その金額を差し引いた金額が管理領域30のID番号Dに対する残高として更新される(ステップA5)。その結果、ステップA6において、残高が0円の場合、玉貸しは行われないが、残高がある場合、利用客はその残高を残高貯玉度数表示29に表示された利用可能残高表示によって確認することができる(ステップA7)。このとき、利用客がさらに貸玉を要求する場合、高額払出スイッチ38をONすることによって(ステップA8)、さらに1000円分の玉貸しが行われ、その金額を差し引いた金額が管理領域31のID番号Dに対する残高として更新される(ステップA5)。
【0044】
なお、このように、利用客は残高貯玉度数表示29によって利用可能残高を知り、さらに遊技を続行する場合、高額払出スイッチをONすることによって、1000円分の玉貸しが行われ、その都度、差し引き金額が管理領域のID番号Dに対する残高として更新される。
【0045】
一方、利用客が遊技を終了するとき、返却スイッチ23をONすると(ステップA9)、下部振分け部14から返却口25を経てICコインが払出される(ステップA10)。このように排出されたICコインは上記のID番号DなるICコイン6dであって、そのICコインを清算機33に投入すると、清算機33で読み取られたID番号DのICコイン6dに対する残高が払い戻される。
【0046】
また、玉貸機1のほうでは、次に下部振分け部14に入ったICコインのID番号に対応する残高が管理領域31に設定され(ステップA11)、上記と同様に利用客の利用に応じて残高が管理領域に記憶される。
【0047】
以上説明したように、硬貨を利用する場合でも、紙幣を利用する場合でも、その入金額に応じて遊技後の残高が払い戻されることになる。
【0048】
次いで、図8により、玉貸機1にICコインを使用する場合のフローチャートについて説明すると、硬貨投入口3にICコインを投入したとき、図7のステップS1を経て、このICコインは上部振分け部12に至り、ステップB1にて、この上部振分け部12でICコインのID番号が読み取られた後、そのID番号が管理サーバ30の管理領域31に送られ、この管理領域30に記録されているICコインのID番号に対応する残高が残高貯玉度数表示29に表示される(ステップB2)。このとき、残高がある場合、その残高を下部振分け部14のICコインのID番号に対応する管理領域31に移動し(ステップB3)、上部振分け部12のICコインを保留通路13に移動して保留する(ステップB4)。
【0049】
それ以降は、図7のステップS2に移行し、利用客は残高貯玉度数表示29の利用可能残高表示によって残高を知り、遊技を続行する場合、高額払出スイッチ38をONすることによって、1000円分の玉貸しが行われ、その都度、差し引き金額が管理領域31のID番号Dに対する残高として更新される。また、遊技を終了するとき、返却スイッチ23をONすると、下部振分け部14から返却口25を経てICコインが排出され、そのICコインを清算機33に投入することによって、清算機33で読み取られたID番号DのICコインに対する残高が払い戻される。
【0050】
一方、上記のステップB2において、管理サーバ30の管理領域31に残高がない場合は、上部振分け部12のICコインを保留通路13に移動して保留することとなり(ステップB5)、それ以降は上記の操作を繰り返すこととなる。
【0051】
さらに、図9により、玉貸機1に会員カード50を使用する場合のフローチャートについて説明する。会員カード挿入口42に会員カード50を挿入したとき(ステップC1)、この会員カード50の挿入が検知されると、会員カード50のID番号が読み取られる(ステップC2)。その会員カード50のID番号が読み取られない場合は、ステップC9に至って、会員カード50の返却が行われる。
【0052】
一方、会員カード50のID番号が読み取り可能である場合は、そのID番号の読取りが行われ(ステップC3)、その結果が会員管理サーバ32に送られて、その会員カード50のID番号に対応する管理領域31に貯玉残数があるか否かが判別される(ステップC4)。利用客はその残高を残高貯玉度数表示29に表示された利用可能残高表示によって確認することができる(ステップC5)。
【0053】
次いで、利用客がさらに貸玉を要求する場合、貯玉払出スイッチ39をONすることによって(ステップC6)、一定数分の貯玉の払出しが行われると共に、その払出された貸玉を差し引いた貯玉数が管理領域31の会員カード50のID番号に対する残数として更新される(ステップC7)。
【0054】
また、ステップC6において、利用客が遊技の終了によって貸玉を要求しない場合、返却スイッチ23をONすることによって(ステップC8)、会員カード50が返却されるが(ステップC9)、利用客が遊技を続行する場合は、上記のように貯玉払出スイッチ39をONすることによって(ステップC8)、一定数分の貯玉の払出しが行われると共に、その払出された貸玉を差し引いた貯玉数が管理領域31の会員カード50のID番号に対する残数として更新される(ステップC7)。
【0055】
なお、他の実施の形態として、ICコインにはID番号を付与し、残高は管理サーバ30に記憶させるものとして、不正行為防止のための照合データの書き込みなどを併用すれば、ICコイン自体に残高を記憶するものとすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、パチンコ台の台間玉貸機のような狭隘なスペースに設けられる玉貸機において、高額紙幣を始めとする各種紙幣、硬貨、ICコイン及び会員カードによる玉貸媒体の使用を可能とすると共に、釣銭の払出しを可能とした遊技装置の玉貸機として利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】(a)は本発明に係る玉貸機の内部を示す側面図であり、(b)はその玉貸機の前面図である。
【図2】本発明に係るICコイン処理ユニットの斜視図である。
【図3】本発明に係る会員カードユニットの斜視図である。
【図4】本発明に係る会員カードユニットの分解斜視図である。
【図5】本発明に係る管理サーバの機能を説明するための概略図である。
【図6】本発明に係る複数の玉貸機と会員管理サーバ及び管理サーバとの接続状況を示すための概略図である。
【図7】本発明に係る玉貸機に現金を使用した場合のフローチャートである。
【図8】本発明に係る玉貸機にICコインを使用した場合のフローチャートである。
【図9】本発明に係る玉貸機に会員カードを使用した場合のフローチャートである。
【図10】特許文献1の遊技システムを示す構成図である。
【符号の説明】
【0058】
1…玉貸機
2…紙幣挿入口
3…硬貨投入口
4…紙幣識別機
5…硬貨
6…ICコイン
6c…上部振分け部のICコイン
6d…部振分け部のICコイン
7…投入通路
8…硬貨セレクター
9…正貨通路側
10…玉払出口
11…非正貨通路
12…上部振分け部
13…保留通路
14…下部振分け部
15…ICコイン処理ユニット
16…振分ディスク
17…回転軸
18…切欠凹部
19…上部扉
20…上部アンテナ
21…下部扉
22…下部アンテナ
23…返却スイッチ
24…返却通路
25…返却口
26…エラーコイン収納部
27…返却ボタン
28…残玉回数表示
29…残高貯玉度数表示
30…管理サーバ
31…管理領域
32…会員管理サーバ
33…清算機
34…表示切替スイッチ
35…ICコイン払出通路
36…高額使用可LED
37…貯玉使用可LED
38…高額払出スイッチ
39…貯玉払出スイッチ
41…鍵
42…会員カード挿入口
43…制御部
44…管理するデータ収集部
45…会員カードユニット
46…本体部
47…会員カードアンテナ
48…アンテナ制御基板
49…スイッチ基板
50…会員カード
51、52…夫々の両側カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玉貸機の内部に投入されたICコインの情報を読み取るための上部アンテナを有する上部振分け部と下部アンテナを有する下部振分け部とが保留通路を介して設けられた遊戯装置の玉貸機であって、前記上部振分け部の上部アンテナと前記下部振分け部の下部アンテナとが前記玉貸機に設けられた会員カードユニットであって会員カードの情報を読み取るための会員カードアンテナのアンテナ制御基板に接続されると共に、前記上部アンテナを制御する機能と前記下部アンテナを制御する機能とが前記会員カードユニットのアンテナ制御基板に組み込まれたことを特徴とする遊技装置の玉貸機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−34757(P2006−34757A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221419(P2004−221419)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000162906)狭山精密工業株式会社 (162)
【Fターム(参考)】