説明

遊星歯車装置及び画像形成装置

【課題】各遊星歯車の偏心誤差方向を容易に把握し、容易に各遊星歯車の位相調整を行うことができる遊星歯車装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】駆動源からの回転駆動力を受けて回転する太陽歯車と、太陽歯車と同軸上で配設された内歯歯車と、内歯歯車内に円周方向で等間隔に配設され太陽歯車と内歯歯車とに噛み合う複数の遊星歯車と、遊星歯車を回転自在に支持するとともに太陽歯車や内歯歯車と同軸上で回転自在なキャリアとからなる遊星歯車装置において、遊星歯車の側面には歯車周方向に1箇所以上の目印が設けられており、遊星歯車がキャリアに支持された状態で、前記目印が露出可能な開口部がキャリアに形成されているか、キャリアの外径が前記目印が露出可能な大きさであるかの少なくとも一方である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源の回転数を駆動対象が必要とする回転数まで減速しつつ前記駆動源からの回転力を伝達するための遊星歯車装置、及び、その遊星歯車装置を備えた、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による複写機やプリンタ等では、回転する円筒状の像担持体(以下感光体ドラムという)の表面に静電潜像を形成し、形成した静電潜像にトナーを付着させて現像し、このトナー画像を無端状ベルト(以下転写ベルトという)に一次転写し、さらに記録紙上に二次転写し、定着して画像を得るようにしている。
【0003】
画像形成装置には、感光体ドラム等の像担持体、中間転写ベルトや転写ベルト等のベルト部材を駆動する駆動ローラ、記録材等を搬送するための搬送ローラなど、多くの回転体が使用されている。このような回転体の駆動には、一般に高い精度が要求されるので、駆動源からの回転駆動力を回転変動が少ない状態で駆動対象の回転体まで伝達する機構が望まれる。特に、感光体ドラムや中間転写ベルトなどの表面移動速度に速度変動が生じると、出力された画像上にジッタや濃度ムラが生じる。すなわち、感光体ドラムや中間転写ベルトにある周波数で速度変動が継続すると画像全体に周期的な濃度ムラが生じ、縞模様のバンディングとして目視される。また、感光体ドラムの速度変動は書き込み系の露光ラインの副走査位置ずれを発生させたり、感光体ドラムから中間転写ベルトへのトナー画像の一次転写時の副走査位置ずれを発生させたりする。一方、中間転写ベルトの速度変動は、一次転写時と二次転写時の副走査位置ずれを発生させる。この速度変動に起因したバンディングにより画像品質が著しく低下してしまう。
【0004】
このような高精度駆動が要求される感光体ドラムや中間転写ベルトの駆動伝達部には、溶融樹脂を射出することに成形されたプラスチック歯車が利用されている。プラスチック歯車は金属歯車に比べて、自己潤滑性があり、使用時の騒音が低く、軽量化を図ることができ、耐腐食性が高く、量産性が高い点で優れている。一方、耐久性(耐摩耗性)、高精度、高剛性といった点が金属歯車に比べて劣っている。
【0005】
プラスチック歯車を用いた場合でも十分な耐久性が得られるように、遊星歯車機構を用いることが提案されている(例えば特許文献1など)。遊星歯車機構は、駆動源の回転駆動力を受けて回転する太陽歯車と、太陽歯車と同軸上で配設された内歯歯車と、内歯歯車内に円周方向で等間隔に配設され太陽歯車と内歯歯車とに噛み合う複数の遊星歯車と、遊星歯車を回転可能に支持するとともに太陽歯車及び内歯歯車と同軸上で回転可能なキャリアとを備えている。駆動源からの回転駆動力により太陽歯車を回転させることにより、太陽歯車を中心として複数の遊星歯車が内歯歯車内で自転しつつキャリアを回転させながら公転する。そして、このキャリアの回転による回転駆動力がキャリアと回転体とに接続された出力軸を介して回転体に伝達される。そのため、複数の遊星歯車により回転負荷が分散されるので、プラスチック歯車を用いた場合でも耐久性を得ることができる。
【0006】
ところが、遊星歯車装置は歯車輪列の装置に比べ歯車数が多く、各歯車に偏心等の製造誤差があると、それぞれの製造誤差に起因した回転速度変動が出力軸に伝達されてしまうため、高精度化に大きな課題がある。
【0007】
このような歯車の偏心による回転速度変動を低減する手法として特許文献2では、各遊星歯車の偏心誤差方向が相互に平行となるように、各遊星歯車の位相を調整して遊星歯車装置に遊星歯車を組み付ける方法が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の遊星歯車装置では、キャリアに遊星歯車が支持されるとキャリアで遊星歯車が隠れてしまう。そのため、キャリアに遊星歯車が支持された状態で各遊星歯車の偏心誤差方向が把握できなくなり、各遊星歯車の位相調整が困難になってしまう。
【0009】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、各遊星歯車の偏心誤差方向を容易に把握し、容易に各遊星歯車の位相調整を行うことができる遊星歯車装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、駆動源からの回転駆動力を受けて回転する太陽歯車と、前記太陽歯車と同軸上で配設された内歯歯車と、前記内歯歯車内に円周方向で等間隔に配設され前記太陽歯車と前記内歯歯車とに噛み合う複数の遊星歯車と、前記遊星歯車を回転自在に支持するとともに前記太陽歯車や前記内歯歯車と同軸上で回転自在なキャリアとからなる遊星歯車装置において、前記遊星歯車の側面には歯車周方向に1箇所以上の目印が設けられており、前記遊星歯車が前記キャリアに支持された状態で、前記目印が露出可能な開口部が該キャリアに形成されているか、前記キャリアの外径が前記目印が露出可能な大きさであるかの少なくとも一方であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の遊星歯車装置において、上記遊星歯車の目印は遊星歯車成型時に形成されることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の遊星歯車装置において、上記遊星歯車の目印は周方向に均等間隔で、少なくとも配置される遊星数の複数箇所にあり、それぞれ形状が異なることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1または2の遊星歯車装置において、上記遊星歯車の目印は周方向に均等間隔で、少なくとも配置される遊星数の複数箇所に、それぞれ異なる番号が記載されていることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の遊星歯車装置において、上記遊星歯車の目印は歯車側面部に形成された凹凸形状であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の遊星歯車装置において、上記凹凸形状には傾斜が設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項5の遊星歯車装置において、上記凹凸形状は周方向にわたって傾斜していることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の遊星歯車装置において、上記キャリアの側面に、周方向に均等間隔で配置される遊星数の数に相当する複数箇所に目印が形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8の遊星歯車装置において、上記内歯歯車の側面に、周方向に均等間隔で配置される遊星数の数に相当する複数箇所に目印が形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の遊星歯車装置において、上記内歯歯車または上記太陽歯車の周方向に均等間隔で配置される遊星数の数に相当する複数箇所で、歯幅が長い1歯または2歯が形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、像担持体と、前記像担持体を回転駆動させる駆動手段と、前記像担持体と前記駆動手段とに連結され駆動手段からの回転駆動力を減速させて該像担持体に伝達する遊星歯車手段と、前記像担持体に画像を形成する画像形成手段とを備えた画像形成装置において、前記遊星歯車手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の遊星歯車装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項11の画像形成装置において、上記像担持体と上記遊星歯車装置との連結部にはスプライン状の歯形が形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項11の画像形成装置において、上記像担持体は駆動ローラを含む複数の張架部材に張架されたベルト状部材であり、上記駆動手段からの回転駆動力を銃器遊星歯車装置を介して前記駆動ローラに伝達させて該駆動ローラを回転させることにより前記像担持体が回転駆動し、前記駆動ローラと前記遊星歯車装置との連結部にはスプライン状の歯形が形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明においては、遊星歯車がキャリアに支持された状態で遊星歯車の側面に設けられた目印を露出させて視認することができる。これにより、キャリアに支持された各遊星歯車の偏心誤差方向を容易に把握することができる。よって、キャリアが遊星歯車を隠して各遊星歯車の偏心誤差方向が把握できな場合よりも容易に各遊星歯車の位相調整を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
以上、本発明によれば、各遊星歯車の偏心誤差方向を容易に把握し、容易に各遊星歯車の位相調整を行うことができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)遊星歯車の目印が視認できるようにキャリアの側板の外径を小さくした場合の説明図、(b)キャリアの側板に遊星歯車の目印が視認できる位置に目印確認窓を設けた場合の説明図。
【図2】実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図3】遊星差動歯車減速装置を備える感光体駆動装置の説明図。
【図4】遊星差動歯車減速装置の説明図。
【図5】(a)遊星歯車軸の片軸を持つ構造のキャリアの説明図、(b)U字形状の挿入部で遊星歯車軸の両軸を支持する構造のキャリアの説明図、(c)丸孔の挿入部で遊星歯車軸の両軸を支持する構造のキャリアの説明図。
【図6】(a)遊星歯車の側面部に遊星歯車周方向で均等に3ヶ所の番号を目印として形成した場合の説明図、(b)遊星歯車の側面部に遊星歯車周方向で均等に4ヶ所の番号を目印として形成した場合の説明図。
【図7】(a)遊星歯車の側面部に目印としてリブ形状を設けた場合の遊星歯車の斜視図、(b)遊星歯車の側面部1周にわたって設けられたリブ形状の1箇所以上に目印としての切り欠き形状を設けた場合の遊星歯車の斜視図、(c)遊星歯車の側面部1周にわたって傾斜をもって設けられたリブ形状の最高部または最低部を目印として場合の遊星歯車の斜視図。
【図8】内歯車キャリアに設置する基準目印の例を示す図。
【図9】内歯歯車に設置する基準目印の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図2は、本発明の遊星歯装置を適用する画像形成装置としての複写機の一例を示す概略構成図である。図2において、符号100は複写機本体であり、符号200はそれを載せる給紙テーブルであり、符号300は複写機本体100上に取り付けるスキャナであり、符号400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。この複写機は、タンデム型で中間転写(間接転写)方式を採用する電子写真複写機である。
【0015】
複写機本体100には、その中央に、像担持体としての中間転写体であるベルトからなる中間転写ベルト10が設けられている。この中間転写ベルト10は、3つの支持回転体としての第一支持ローラ14、第二支持ローラ15、第三支持ローラ16に掛け渡されており、図中時計回り方向に回転移動する。第二支持ローラ15の図中左側には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置17が設けられている。また、第一支持ローラ14と第二支持ローラ15との間に張り渡したベルト部分には、そのベルト移動方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成部18が並べて配置されたタンデム画像形成部20が対向配置されている。本実施形態においては、第三支持ローラ16を駆動ローラとしている。また、タンデム画像形成部20の上方には、潜像形成手段としての露光装置21が設けられている。
【0016】
また、中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成部20の反対側には、第二の転写手段としての二次転写装置22が設けられている。この二次転写装置22においては、ローラ23aとローラ23bとの間に記録材搬送部材としてのベルトである二次転写ベルト24が掛け渡されている。この二次転写ベルト24は、中間転写ベルト10を介して第三支持ローラ16に押し当てられるように設けられている。この二次転写装置22により、中間転写ベルト10上の画像を記録材であるシートに転写する。また、この二次転写装置22の図中左方には、シート上に転写された画像を定着する定着装置25が設けられている。この定着装置25は、ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27が押し当てられた構成となっている。上述した二次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備わっている。もちろん、二次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて持たせることが難しくなる。また、本実施形態では、このような二次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成部20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28も設けられている。
【0017】
上記複写機を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。その後、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動する。他方、コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動する。次いで、第一走行体33および第二走行体34を走行する。そして、第一走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第二走行体34に向け、第二走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0018】
この原稿読み取りに並行して、図示しない駆動源である駆動モータで、駆動ローラである第三支持ローラ16を回転駆動させる。これにより、中間転写ベルト10が図中時計回り方向に移動するとともに、この移動に伴って第一支持ローラ14と第二支持ローラ15とが連れ回り回転する。また、これと同時に、個々の画像形成部18Y,18M,18C,18Kにおいて潜像担持体としての感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kを回転させ、各感光体ドラム40Y,40M,40C,40K上に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別情報を用いてそれぞれ露光現像し、単色のトナー画像(顕像)を形成する。そして、各感光体ドラム40Y,40M,40C,40K上のトナー画像を中間転写ベルト10上に互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0019】
このような画像形成に並行して、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、手差し給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と二次転写装置22との間にシートを送り込み、二次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を転写する。画像転写後のシートは、二次転写ベルト24で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着した後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、シートの裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0020】
なお、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【0021】
この複写機を用いて、黒のモノクロコピーをとることもできる。その場合には、図示しない手段により、中間転写ベルト10を感光体ドラム40Y,40M,40Cから離れるようにする。これらの感光体ドラム40Y,40M,40Cは、一時的に駆動を止めておく。黒用の感光体ドラム40Kのみが中間転写ベルト10に接触させ、画像の形成と転写を行う。
【0022】
図3は、遊星差動歯車減速装置を備える感光体駆動装置の説明図である。
次に、減速手段としての遊星差動歯車減速装置を備える駆動手段としての減速機構付き駆動装置である感光体駆動装置について図3で説明する。なお、各感光体ドラム40Y、40M、40C、40Bkは、同一構成の感光体駆動装置により回転駆動されているので、以下、感光体ドラム40Yの感光体駆動装置について説明する。解説しないが、中間転写ベルトの駆動ローラ等にも適用可能である。
【0023】
この感光ドラム40Yの軸方向の端部には、その感光体ドラム40Yを回転支持するドラムフランジ40Aとドラム軸40Cが固定されている。感光体ドラム40Yと帯電器2Y、現像装置9Y、クリーニング装置4Y、図示しない除電ランプ等を収容する感光体ドラムユニットDYに設置されたドラム軸受40Bにより回転支持されている。このドラム軸40Cは、複写機の本体側板150の軸受によっても回転自在に支持されており、駆動側板74に支持される遊星歯車減速機構80の出力軸の回転力が円筒軸75を介して伝達されるように構成されている。感光体ドラムユニットDYは、本体側板150に対し脱着可能であり、装着の際には、図示しないレースガイドで所定の場所へ誘導される。円筒軸75は、感光体ドラム40の交換を可能にするため、ドラム軸40Cの着脱が容易な構成となっている。遊星歯車減速機構80は、本体機構固定ネジ71によって駆動側板74に固定されている。また、内歯歯車84は、内歯歯車固定ネジ70によって後述する内歯歯車固定フランジを介してモータ固定フランジ76に回転不能に固定されており、モータ固定フランジ76の反対側にはモータ73が固定されている。このモータ固定フランジ76によって内歯歯車84はモータ回転に対して、回転不能に固定される。
【0024】
図3に示すドラム駆動装置に用いられる遊星歯車減速機構80は、2KH型2段構成の遊星歯車機構が用いられており、その基本構成を図4に示す。
【0025】
モータ73の出力軸M1に設けられている遊星歯車減速機構80の入力軸M1に一体の太陽歯車82を備え、この太陽歯車82及び内歯歯車固定フランジ94に固定された内歯歯車84に噛み合う1段目の遊星歯車85が1段目のキャリア86により支持されて太陽歯車82の外周を公転するようになっている。遊星歯車85は回転バランスとトルク分担のために同心状に3箇所またはそれ以上の複数個が配置される。本実施例では、周方向で3等分された位置にそれぞれ遊星歯車が配置されている。
【0026】
一段目の遊星歯車85は、太陽歯車82と内歯歯車84との噛み合いにより、自転及び公転回転し、遊星歯車85を支持するキャリア86は、太陽歯車82の回転に対し減速回転し、1段目の減速比が獲得される。
【0027】
次に、このキャリア86の回転中心に設けられた2段目の太陽歯車87が2段目減速機構の入力となる。キャリア86に回転支持部はなく、浮動回転を行うようになっている。
【0028】
同様に、2段目の太陽歯車87には2段目まで一体で形成された内歯歯車84に噛み合う2段目の遊星歯車88が2段目のキャリア89により支持されて2段目の太陽歯車87の外周を公転するようになっている。最終段に相当する2段目のキャリア89には、出力部が設けられており、円筒軸75の内面にスプライン状の内歯が形成されている。一方、ドラム軸40Cには、円筒軸75のスプライン状の内歯に噛み合うように、スプライン状の外歯が形成されており、出力部として用いられるスプライン部91が設けられている。
【0029】
2KH型遊星歯車機構に用いられる一つのユニットは、太陽歯車(sun gear)、遊星歯車(planetary gear)、遊星歯車の公転運動を支持する遊星キャリア(planetary carrier)、内歯歯車(outer gear)の四点の部品から構成されている。
【0030】
太陽歯車の回転、遊星歯車の公転(キャリアの回転)、外輪歯車の回転である3つの要素のうち、一つを固定、一つを入力、一つを出力に接続する。それぞれ、どれを入出力・固定に割り当てるかによって、一つのユニットで複数の減速比や回転方向の切替えが可能である。本実施例において対象とする2KH型の2段構造は、複合遊星歯車機構(2個以上の2KH型)に分類され、2個以上の2KH型があり、それぞれ3つの要素のうち、1つの要素同士を結合し、残りの1つずつを固定し、残り2つを入力軸または出力軸とする機構である。
【0031】
減速比に関しては、太陽歯車の歯数をZa、遊星歯車の歯数をZb、内歯車の歯数をZcとした場合に、数1で表される。なお、式中の添え字1,2は1段目、2段目を意味している。
【0032】
【数1】

【0033】
上述したモータ73の出力軸M1は、2個の軸受を介してモータ固定フランジ76により支持されている。
【0034】
モータ73の回転軸M1を支持することでDCブラシレスモータの回転子であるアウター型ロータを支持することになる。モータ固定フランジ76には、モータ73の図示しない固定子鉄心やモータ駆動回路基板93等も設置されている。
【0035】
内歯歯車84を有する内歯歯車固定フランジ94は、モータ固定フランジ76に対して図示しないネジによって固定されている。または両固定フランジを一体形成してもよい。
【0036】
モータ固定フランジ76は、十分な強度となるように5mm程度の金属板を用いている。モータ73の回転軸M1には太陽歯車82が歯切りで形成されており、太陽歯車82の軸と内歯歯車84の軸との同軸精度を確保するために、内歯歯車84とモータ固定フランジ76はインローによる嵌合で位置決めされている。
【0037】
内歯歯車84におけるモータ固定フランジ76と反対側の端部には、図示しないネジによりエンドキャップ92が締結されている。
【0038】
エンドキャップ92は、遊星減速機構を駆動側板74に組付ける際に、内歯歯車84内に設置されている遊星歯車85,88、キャリア86,89、及び、円筒軸75が内歯歯車84から脱落するのを防止するための部材として用いられている。エンドキャップ92とキャリア89の円筒軸75には十分なクリアランスがあり、エンドキャップ92はキャリア89を回転支持しておらず、キャリア89が浮動回転を行うようになっている。
【0039】
被駆動部材である感光体ドラム40の端部には、ドラムフランジ40Aが固定されており、感光体ドラム40と一体で回転するようになっている。
【0040】
ドラムフランジ40Aは、感光体ドラム40を収容する感光体ドラムユニットDYに設置されたドラム軸受40Bにより回転支持されている。感光体ドラムユニットDYは、本体側板150に対し脱着可能であり、装着の際には、図示しないレールガイドで所定の場所へ誘導される。
【0041】
本体側板150には、ドラム軸受40Bが挿入される浅い嵌合部150Aが設けられており、図示しない位置決めピンの2個所で感光体ドラムユニットDYの位置が決定される。ドラム軸受40Bの支持部と本体側板150とはインローで嵌合されることで、感光体ドラム40とドラム駆動装置における遊星歯車減速機構80との同軸精度が確保される。
【0042】
感光体ドラム40のドラム軸40Cに設けられたスプライン部91と円筒軸75との嵌合部では、両者にスプライン形状が形成されているため、感光体ドラムユニットDYを感光体ドラム軸方向に本体側板150から引き出すだけで、キャリア89の円筒軸75から感光体ドラム40のドラム軸40Cの切り離しが可能となる。つまり、出力部として用いられるドラム軸40Cのスプライン部91は、キャリア89に対して容易に着脱できる部材に相当していることになる。
【0043】
遊星歯車減速機構80の出力である2段目のキャリア89の円筒軸75とドラム軸40Cとの連結をスプライン状歯形の連結を採用することによって、遊星歯車偏心誤差による回転変動がさらに低減される。これによって感光体ドラム40の回転速度変動が大幅に低減され、高品質な画像が得られる。
【0044】
遊星歯車減速機構80の組付け手順としては、まず、遊星歯車85,88をキャリア86,89に設置した後、キャリア86,89、太陽歯車82,87、内歯歯車84の3点を順番に組付ける。3点の組付け順は任意に決められ、例えば、太陽歯車82,87と内歯歯車84とをそれぞれのフランジを用いて組付けた後に、キャリア86,89を挿入して組付けることができる。または、太陽歯車82,87にキャリア86,89を組付けた後に、内歯歯車84を挿入して組付けることもできる。後述する遊星歯車85,88の位相調整は、遊星歯車85,88をキャリア86,89に設置する際、または、設置した状態で実施する。その後、遊星歯車85,89の位相関係を保持して、3点の組付けを行う。
【0045】
ここで、同心状に配置された太陽歯車および内歯歯車と、これらの双方に噛み合っていると共に、自転および太陽歯車の周りに公転可能な状態でキャリアによって支持されている複数の遊星歯車とを有する遊星歯車減速機構において、各遊星歯車を組み立てる時に、各遊星歯車の偏心誤差方向が、軸直角断面で見た場合、相互に平行となるように(以下、平行状組付という)、調整して組み付けることで回転変動の低減に効果的である。また、各遊星歯車の偏心誤差方向が、装置軸線を中心として半径方向の外側に向かうように(以下、放射状組付という)、調整して組み付けることで、各遊星歯車の荷重配分を均一化する効果がある。
【0046】
図5は、本実施形態のキャリア形状の説明図である。
本実施形態におけるキャリア形状について図5を用いて説明する。遊星歯車を回転支持する遊星歯車軸は、キャリアの側面部に固定されている。その遊星歯車軸の片軸を持つキャリア構造が図5(a)で、両軸持ちのキャリア構造が図5(b)、図5(c)である。
【0047】
キャリアに遊星歯車を位相調整して組付ける際には、遊星歯車の位相を確認する必要があるが、キャリアの側面部が、遊星歯車側面部を隠してしまい、遊星歯車側面部に形成された目印などの視認性が悪く調整困難である。図5(a)に示すように片側が開放されているキャリア構造でも、内歯歯車、太陽歯車、キャリアを組付け後に各遊星歯車の位相を確認する際には同様に困難である。
【0048】
遊星歯車軸には、キャリアを回転させる方向のラジアル荷重が発生する。そのため、図5(a)に示すような片持ちキャリア構造は、ラジアル荷重による遊星歯車軸の傾斜が発生しやすく、回転伝達精度を悪化させてしまう。一方、図5(b)や図5(c)に示すような両持ちキャリア構造では遊星歯車軸の傾斜は発生しにくい利点がある。特にキャリア材質に樹脂を採用した場合には、その差は顕著で、両軸持ち構造を採用することで減速機の高剛性化ができる。また、キャリア材質に樹脂が採用できることは、コスト面で非常に有利で、射出成形法によって低コストで大量生産が可能となる。
【0049】
まず、図5(a)に示すキャリア800について詳細に説明する。キャリア800は、図示しない遊星歯車を支持する遊星歯車軸801の片端部をキャリア側板802で支持する構成である。遊星歯車の公転回転がキャリア全体の回転となり、キャリア出力部803に回転が伝達される。キャリア出力部803は、図4に示す1段目のキャリア86であれば2段目の太陽歯車87が形成されており、2段目のキャリア89であればスプライン状の内歯形が形成された円筒軸75が形成されている。
【0050】
キャリア側板803には、後述するように遊星歯車につけられた目印が視認できるように、キャリア側板には遊星歯車側面部に形成された目印が視認できるように確認窓804が形成されている。また、キャリア側板803に確認窓804を形成せずに、遊星歯車につけられた目印が視認できる程度にキャリア側板803の直径を小さくしても良いこのようなキャリア形状の特徴部分は、遊星歯車組付時の調整位相(放射状、平行状)と関連するため、後に詳細に説明する。
【0051】
次に、図5(b)に示すキャリア810について詳細に説明する。キャリア800は、遊星歯車850を支持する遊星歯車軸851の両端部をキャリア側板814とキャリア側板815との2枚の側板で支持する構成である。キャリア側板814とキャリア側板815とは複数のキャリア支柱811によって固定されており、遊星歯車850の公転回転がキャリア全体の回転となり、キャリア出力部813に回転が伝達される。キャリア出力部813は図4に示す1段目のキャリア86であれば2段目の太陽歯車87が形成されており、2段目のキャリア89であればスプライン状の内歯形が形成された円筒軸75が形成されている。キャリア側板814とキャリア側板815とにはU字形の遊星歯車軸挿入部812が複数形成されており、遊星歯車850を支持する遊星歯車軸851は、遊星歯車軸挿入部812に接着または圧入で固定される。また、遊星歯車850の遊星歯車側面部850aに形成された目印852をキャリア側板814やキャリア側板815から露出させて視認可能な程度にキャリア側板803の直径を小さくすることで、キャリア側板814とキャリア側板815とのU字形の溝である遊星歯車軸挿入部812により、遊星歯車軸851がキャリア810に固定された状態でも、遊星歯車側面部850aに形成された目印852を視認することができる。
【0052】
最後に、図5(c)に示すキャリア820について詳細に説明する。キャリア820は、キャリア810と同様に、キャリア支柱821で固定された2枚のキャリア側板824とキャリア側板825とで遊星歯車軸851を支持する構成である。なお、図5(c)においては遊星歯車の図示は省略しているが、図5(b)に示した遊星歯車850を用いている。キャリア側板824とキャリア側板825とには、遊星歯車軸851を挿入する丸孔822が複数設けられており、遊星歯車850をキャリア側板824とキャリア側板825との間に置いた状態で、図中矢印方向に遊星歯車軸851を挿入することで遊星歯車850がキャリア820に回転可能に支持される構成となる。丸孔822と遊星歯車軸851とは圧入で固定される。キャリア側板824とキャリア側板825とのうち少なくとも一方のキャリア側板(図5(c)ではキャリア側板824)の遊星歯車側面部824aには、図5(b)に示すような遊星歯車850の遊星歯車側面部850aに形成された目印852が視認できるように確認窓826が形成されている。また、キャリア側板824とキャリア側板825との少なくとも一方の側板径を、遊星歯車850の目印852が視認できるように小さく形成しても良い。
【0053】
[実施例1]
本実施形態の遊星歯車減速機構80における遊星歯車の位相調整組付けの実施例について、まず、遊星歯車の偏心誤差方向を放射状に位相調整組付けする実施例ついて図1(a)を用いて説明する。
【0054】
図6は減速機軸方向断面図を示しており、遊星歯車3個が角度120°の均等配置され、各遊星歯車の側面部には予め回転周方向に1箇所の目印1が形成されている。
【0055】
図1(a)には遊星歯車85の目印として丸状マーク(目印1)を形成した例を示している。キャリア86として図5(a)に示したキャリア800やキャリア820を採用した場合、遊星歯車85が放射状に位相調整組付けされた状態において、遊星歯車85の目印1が視認できるように、キャリア86の側板の外径は小さく形成されている。また、キャリア86として図5(b)に示すようなキャリア810の場合は、図5(b)に示したようなキャリア側板814やキャリア側板815に形成された遊星歯車軸挿入部812であるU字溝の一部から視認できるように、丸状マークが遊星歯車85に形成されている。したがって、遊星歯車85がキャリア86に組付けられた状態でも、遊星歯車85を回転させれば軸方向から目印1を視認することができる。
【0056】
各遊星歯車85をキャリア86に組付けた後、図1(a)に示すように各遊星歯車85の目印1が視認できる位置に各遊星歯車85の位相を調整しておき、その後、太陽歯車82や内歯歯車84に組み付ける。
【0057】
[実施例2]
次に、遊星歯車の偏心誤差方向を平行状に位相調整組付けする実施例について図1(b)を用いて説明する。
【0058】
図1(b)は、図1(a)と同様に3個の遊星歯車85が均等配置され、各遊星歯車85に形成された目印1が平行状に調整組付けを実施した状態を示している。平行状の組付状態は、図5(a)、図5(b)及び図5(c)のどのキャリア構造を採用しても、キャリア86の側板が3個のうちの1個の遊星歯車85につけられた目印1以外を隠す状態となる。そこで、キャリア86の側板には、各遊星歯車85が平行状に位相調整組付けされた理想状態において、目印1が視認できる位置に目印確認窓834が設けられている。目印確認窓834の形状は、本実施例では丸孔を採用したが、より視認性を向上するために円周方向の長孔形状としても良い。したがって、遊星歯車85がキャリア86に組付けられた状態でも、遊星歯車85を回転させれば軸方向から目印1を視認することができる。
【0059】
[実施例3]
次に、実施例2と同様に遊星歯車の偏心誤差方向を平行状に位相調整組付けする場合で、図1(b)のようなキャリア86の側板に目印確認窓834を必要としない実施例を図6(a)や図6(b)を用いて説明する。
【0060】
本実施例では、遊星歯車85の側面部に複数の互いに形状の異なる目印2を設ける。ここでは、遊星歯車85の目印2として番号を形成した例を示している。遊星歯車85の側面部の周方向に少なくとも遊星歯車数に応じた箇所に番号を形成している。すなわち、図6(a)では遊星歯車85を3個配置しているので、遊星歯車周方向に均等に少なくとも3ヶ所の番号を形成した。図6(b)では遊星歯車85が4個のため4ヶ所の番号を形成した。この番号の目印2は、キャリア86に遊星歯車85が調整組付けされた状態において、キャリア86の側板外形よりも外側に視認できる遊星歯車85の側面部の位置に形成されている。したがって、実施例2のようにキャリア86の側板に目印確認窓834を設けることなく、視認される各遊星歯車85の番号に基づいて調整組付けが実施できる。
【0061】
例えば、本実施例のように各遊星歯車85の側面部に時計回りにナンバリングされた目印2が形成されている場合、配置された各遊星歯車85を時計回りに順次、視認される番号がナンバリングと同様に増えるように各遊星歯車85の位相を調整すれば、各遊星歯車85は平行状の位相関係となる。なお、実施例3は、放射状組付けにも採用することができる。この場合には、各遊星歯車85を同じ番号が視認できるように位相を調整すればよい。
【0062】
また、実施例3の図6(b)では、遊星歯車85の側面部にナンバリングされた各目印2の周方向中間部に補助目印を形成している。これは幅の異なるラインマークで、遊星歯車85の回転位相が目印2が視認できないポイントにある場合には、補助目印であるラインマークの幅に基づいて目印2の各番号のどの位置にあるのか判断することができる。この補助目印によって、位相調整作業の効率化を図ることができる。
【0063】
図7は、遊星歯車減速機構80に用いられる遊星歯車85や遊星歯車88の側面部に設ける目印の他の実施例を示す図であり、ここでは遊星歯車85として説明する。
【0064】
遊星歯車85の側面部へ形成する目印について説明する。成形された各遊星歯車85の所定の位置に目印を設ける。所定の位置とは、歯車精度計測で計測された偏心位相の位置である。
【0065】
例えば、マスタギヤを遊星歯車85に両歯面噛み合うように設置して、遊星歯車85を1回転させながら、両歯車の軸間距離を計測し、最大値となった回転位置(位相)が所定位置となる。最大に限らず、最小や中央値を所定位置としてもよい。
【0066】
遊星歯車85の側面部への目印の形成方法としては、ラベル添付、スタンプ、刻印機によるマーキングがある。ラベル添付では経時の剥がれの不具合がある。また、スタンプ、刻印機では歯車に接触するため歯車の変形や破損の虞がある。そのため、これらの方法よりもレーザーマーカやインクジェットプリンタを利用したマーキングが適している。遊星歯車85として樹脂成形歯車を採用した場合には、レーザーマーカで樹脂自体を発色させ、鮮明な消えない印字が可能である。また、マーキング面の凹凸形状へも安定して印字することができる。
【0067】
しかしながら、このように遊星歯車85を成形してからの目印のマーキングにおいては、遊星歯車85の偏心位相(偏心誤差方向)の計測工程や、遊星歯車85へのマーキング工程が必要であり、遊星歯車減速機構80の生産コストがかかってしまう。
【0068】
近年、画像形成装置に用いられる歯車は、溶融樹脂を射出することによって成形したプラスチックギヤを利用する場合が多い。この場合、歯車の偏心は、主にプラスチックギヤの射出成形時の成形誤差によって生じる。この成形誤差は、成形時の周辺温度分布や樹脂の射出温度分布、金型の組付偏差などが原因で発生する。この成形方法であれば、近年の高精度成形技術により、同一金型で成形された同一ロットのギヤについては、その偏心量のばらつきが非常に少なく、どれも実質的に同一の偏心量となる。
【0069】
つまり、同一金型で成形された同一ロットのギヤについては、その偏心量と偏心位相(偏心誤差方向)のばらつきが非常に少なく、どれも実質的に同一の誤差となる。したがって、各遊星歯車の偏心誤差を計測することなく、金型に予め形成された遊星歯車周方向の目印を利用して、各遊星歯車の目印が平行方向となるように組み付ける。または、キャリア回転中心から外側に向かう放射方向となるように組み付けることで、各遊星歯車の偏心誤差方向の調整が可能となる。
【0070】
金型を用いて遊星歯車を射出成型したときに遊星歯車の側面部に形成される目印形状について図7を用いて説明する。遊星歯車840の側面部に形成する目印としては、図7(a)に示すように突起部としてのリブ形状841や、図7(b)に示すように遊星歯車840の側面部1周にわたりリブ形状842を形成し1箇所以上に切欠き部としての切欠き形状842aを設けたものも利用することができる。リブ形状841や切欠き形状842aの端部を傾斜形状とすると、目印であるリブ形状841や切欠き形状842aの付近であるという意味の補助マークにもなる。本実施形態のキャリア形状では、遊星歯車の側面部の視認領域が少ないため、目印に近いという補助マークの検知も重要な情報となる。図7(c)は、遊星歯車840の側面部1周にわたり傾斜をもつリブ形状843を形成し、リブ形状843の最高部843Hまたは最低部843Lを目印とするものである。最高部843Hと最低部843Lとの間のリブ形状843の途中の傾斜部は補助マークの役割となり、現在の遊星位置が、視認されるリブ高さに応じて最高部843Hや最低部843Lに、どの程度近いかを判断することが可能となる。
【0071】
図7の実施例では、独立に形成されたリブ形状を示したが、歯形が形成されている背面部のリム部分や、軸受部分に切欠き形状や傾斜形状を形成して同様の目印機能を持たせることもできる。
【0072】
その他、金型を用いて遊星歯車を射出成型したときに遊星歯車の側面部に形成される目印形状については、丸、四角、三角、バツなどの形状マークや、実施例3で示した番号マーク、また、各形状マークの大きさを異ならせた複数マーク、及び、これらを組み合わせた形態がある。
【0073】
インクジェットやレーザーマーカにより遊星歯車の側面部に形成された目印では、遊星歯車減速機構80内に注入された潤滑材やグリスの付着による視認性の低下があるのに対し、金型を用いて遊星歯車を射出成型したときに遊星歯車の側面部に形成された凹凸形状では、視認性の低下は少なく、接触式や光学式のセンサによる検知も可能である。
【0074】
<キャリア基準目印>
これまで説明したように、遊星歯車85がキャリア86に組付けられた状態で、各遊星歯車85の位相関係を目印2の位置を基に放射状や平行状に調整される。このとき、目印2の調整位置を決定する基準目印があると調整がしやすい。そこで、遊星歯車85の目印2の理想調整位置を指示するようにキャリア86の側板部にキャリア基準目印を設置すれば良い。図8は、キャリア86の側板部にキャリア基準目印として三角形の目印を設けた場合の例であり、三角形の頂点が遊星歯車85の側面部に形成された目印2の理想調整位置を指示するように形成されている。このようにキャリア86の側板部に設けられるキャリア基準目印も遊星歯車85と同様に、レーザーマーカやインクジェットプリンタによるマーキングの他、金型による成形時に構成される凹凸形状で形成されている。
【0075】
<内歯基準目印>
各遊星歯車85の位相を調整したキャリア86を内歯歯車84と組み付ける時の確認のために、内歯歯車84の側面部に遊星数に応じた数の周方向等間隔の位置に三角形の内歯基準目印を設ける。図9に示すように、内歯基準目印も図8で示したキャリア基準目印と同じように、遊星歯車85の目印1の理想調整位置を指示するように形成されており、遊星歯車85の目印1と内歯基準目印とが一致するように組み付けることで放射状の調整組み付けが容易に実施できる。また、組付け後の確認用にも利用することができる。
【0076】
<リード歯>
各歯車の歯形は、幅方向端部においてテーパ形状に形成されている。これは、各歯車を組付ける際の作業性が向上するだけでなく、各歯車を組付ける際に歯端部が接触して位相調整した遊星歯車が回転してしまうのを防ぐ効果がある。
【0077】
また、内歯歯車の内歯基準目印近傍に1歯または2歯程度のリード歯形を形成しておく。リード歯形とは歯幅を他の歯幅よりも長く形成したものである。これにより、キャリアを内歯歯車に組み付ける際にリード歯によって、遊星歯車がガイドされて組みつけられるため、遊星歯車と内歯歯車との歯側面が接触することなく容易に組み付けることが可能となる。
【0078】
<放射状組付けの効果について>
画像形成装置では、回転速度変動よりもドラム軸位置の振れ低減や、中心安定性が重視される場合がある。感光体ドラム周りには帯電器や現像装置などが配置されており、特に現像部において、現像ローラと感光体ドラム間の隙間(以下、現像ギャップという)を常に一定としたい。現像ギャップが感光体ドラム40の回転に伴い変動すると画像濃度ムラとなり、画像品質が低下する。現像ギャップは約300〜600μmに設定されており、ギャップ変動は10%以下が望まれている。したがって、感光体ドラム40の振れとしては30μm以下にしたい。
【0079】
感光体ドラム40の振れの要因は、感光体ドラム自身の偏心精度と、遊星歯車減速機構80との連結による振動伝達が挙げられる。遊星歯車減速機構80の出力軸である2段目のキャリア89及び連結されたドラム軸40Cの振れは数十μm以下に抑える必要がある。
【0080】
そこで、本実施形態の遊星歯車減速機構80では、遊星歯車85,88の目印を放射状に調整組み付けすることで、遊星歯車減速機構80から発生するドラム軸40Cの振れを抑制する。遊星歯車85,88の目印を平行状と放射状に調整組み付けした場合に、感光体ドラム40を駆動時、それぞれのドラム軸中心軌跡を観察した結果、平行状に調整組み付けした場合には、約50μmppの振れが観測された。一方、放射状に調整組み付けした場合には、約10μm以下となっている。従って、遊星歯車85,88を放射状に調整組み付けすることで、ドラム軸40Cの振れ低減効果が得られる。
【0081】
<平行状組付けの効果について>
遊星歯車85,88の目印の相互関係を不規則に組み付けると、速度変動率0.1〜0.6%ppの変動が発生していたのに対し、平行状に調整組み付けした場合には、遊星歯車自転周期の回転変動は大幅に低減して、速度変動率が0.2%以下となっていることが確認できた。したがって、同一金型、同一ロットで樹脂成形された遊星歯車85,88の目印(偏心誤差方向)を平行状に調整組み付けすることで感光体ドラム40の回転速度変動が大幅に低減され、高品質な画像が得られる。
【0082】
同一金型、同一ロットで射出成形されたプラスチックギヤを使用して、各遊星歯車85,88の偏心量を一致させることが本効果において非常に重要である。金型とロットが異なる遊星歯車、金型は同じだがロットが異なる遊星歯車などを用意し、そのうち3個を本発明の遊星歯車減速機構80に調整組み付けして、遊星歯車減速機構80の回転変動を計測した。その結果、金型、ロットが異なる3個の遊星歯車の場合、偏心量が異なることで平行状調整組み付けによる回転変動低減効果が十分に得られず回転変動が大きく、金型、ロットが一致する3個の遊星歯車の場合、偏心量が一致することで、平行状調整組付けによる回転変動が小さかった。したがって、遊星歯車減速機構80の遊星歯車85,88として、同一金型、同一ロットで形成されたプラスチックギヤを使用することで、大きな回転変動低減効果を得ることができる。
【0083】
以上、本実施形態によれば、駆動源からの回転駆動力を受けて回転する太陽歯車82,87と、太陽歯車82,87と同軸上で配設された内歯歯車84と、内歯歯車84内に円周方向で等間隔に配設され太陽歯車82,87と内歯歯車84とに噛み合う複数の遊星歯車85,88と、遊星歯車85,88を回転自在に支持するとともに太陽歯車82,87や内歯歯車84と同軸上で回転自在なキャリア86,89とからなる遊星歯車装置である遊星歯車減速機構80において、遊星歯車85,88の側面には歯車周方向に1箇所以上の目印が設けられており、遊星歯車85,88がキャリア86,89に支持された状態で、前記目印が露出可能な開口部である視認窓などがキャリア86,89に形成されているか、キャリア86,89の外径が前記目印が露出可能な大きさであるかの少なくとも一方である。これにより、遊星歯車85,88がキャリア86,89に支持された状態で遊星歯車85,88の側面に設けられた目印を露出させて視認することができる。これにより、キャリア86,89に支持された各遊星歯車85,88の偏心誤差方向を容易に把握することができる。よって、キャリア86,89が遊星歯車85,88を隠して各遊星歯車85,88の偏心誤差方向が把握できな場合よりも容易に各遊星歯車85,88の位相調整を行うことができる
また、本実施形態によれば、遊星歯車85,88の目印が、遊星歯車成型時に形成されることで、遊星歯車85,88が成型されてから目印のマーキングが行われる場合よりも、生産コストを低減させることができる。
また、本実施形態によれば、遊星歯車85,88の目印は、周方向に均等間隔で、少なくとも配置される遊星数の複数箇所にあり、それぞれ形状が異なる。例えば、それぞれ異なる番号が記載されていることで、視認される各遊星歯車85の番号に基づいて調整組付けが実施できる。
また、本実施形態によれば、遊星歯車の目印として、遊星歯車の側面部に形成された凹凸形状であるリブ形状や切り欠き形状とすることができる。リブ形状や切欠き形状の端部を傾斜形状とすると、目印であるリブ形状や切欠き形状の付近であるという意味の補助マークにもなる。
また、本実施形態によれば、遊星歯車85,88の目印として、遊星歯車の側面部1周にわたり傾斜をもつリブ形状を形成し、リブ形状の最高部または最低部を目印としても良い。前記最高部と前記最低部との間のリブ形状の途中の傾斜部は補助マークの役割となり、現在の遊星位置が、視認されるリブ高さに応じて前記最高部や前記最低部に、どの程度近いかを判断することが可能となる。
また、本実施形態によれば、キャリア86,89の遊星歯車支持側板に、周方向に均等間隔で配置される遊星数の数に相当する複数箇所に目印であるキャリア基準目印が形成されていることで、そのキャリア基準目印により遊星歯車85の目印の理想調整位置を指示することができ、位相の調整が行い易くなる。
また、本実施形態によれば、内歯歯車84の側面部に、周方向に均等間隔で配置される遊星数の数に相当する複数箇所に目印である内歯基準目印が形成されていることで、遊星歯車85の目印と内歯基準目印とが一致するように組み付けることで放射状の調整組み付けが容易に実施できる。また、組付け後の確認用にも利用することができる。
また、本実施形態によれば、感光体ドラム40と、感光体ドラム40と遊星歯車手段のキャリア回転とを連結する連結部とを有する画像形成装置において、前記遊星歯車手段として、本発明の遊星歯車減速機構80を用いることにより、感光体ドラム40の回転速度変動を低減させたりドラム軸40Cの振れを低減させたりすることができるので、高品質な画像を得ることができる。
また、本実施形態によれば、遊星歯車減速機構80の出力である2段目のキャリア89の円筒軸75とドラム軸40Cとの連結をスプライン状歯形の連結を採用することによって、遊星歯車偏心誤差による回転変動がさらに低減される。これによって感光体ドラム40の回転速度変動が大幅に低減され、高品質な画像が得られる。
また、本実施形態によれば、遊星歯車減速機構80を中間転写ベルトを駆動させる駆動ローラ等の駆動装置にも適用可能であり、上述したのと同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0084】
2 帯電器
4 クリーニング装置
9 現像装置
10 中間転写ベルト
14 第一支持ローラ
15 第二支持ローラ
16 第三支持ローラ
17 中間転写ベルトクリーニング装置
18 画像形成部
20 タンデム画像形成部
21 露光装置
22 二次転写装置
23a ローラ
23b ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第一走行体
34 第二走行体
35 結像レンズ
36 読み取りセンサ
40 感光体ドラム
40A ドラムフランジ
40B ドラム軸受
40C ドラム軸
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ
49 レジストローラ
50 手差し給紙ローラ
51 手差しトレイ
52 分離ローラ
53 給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
70 内歯歯車固定ネジ
71 本体機構固定ネジ
73 モータ
74 駆動側板
75 円筒軸
76 モータ固定フランジ
80 遊星歯車減速機構
82 太陽歯車
84 内歯歯車
85 遊星歯車
86 キャリア
87 太陽歯車
88 遊星歯車
89 キャリア
91 スプライン部
92 エンドキャップ
93 モータ駆動回路基板
94 内歯歯車固定フランジ
100 複写機本体
150 本体側板
150A 嵌合部
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
800 キャリア
801 遊星歯車軸
802 キャリア側板
803 キャリア側板
803 キャリア出力部
804 確認窓
810 キャリア
811 キャリア支柱
812 遊星歯車軸挿入部
813 キャリア出力部
814 キャリア側板
815 キャリア側板
820 キャリア
821 キャリア支柱
822 丸孔
824 キャリア側板
824a 遊星歯車側面部
825 キャリア側板
826 確認窓
834 目印確認窓
840 遊星歯車
841 リブ形状
842 リブ形状
842a 形状
843 リブ形状
843L 最低部
843H 最高部
850 遊星歯車
850a 遊星歯車側面部
851 遊星歯車軸
852 目印
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【特許文献1】特開2008−151868号公報
【特許文献2】特開平11−280853号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源からの回転駆動力を受けて回転する太陽歯車と、
前記太陽歯車と同軸上で配設された内歯歯車と、
前記内歯歯車内に円周方向で等間隔に配設され前記太陽歯車と前記内歯歯車とに噛み合う複数の遊星歯車と、
前記遊星歯車を回転自在に支持するとともに前記太陽歯車や前記内歯歯車と同軸上で回転自在なキャリアとからなる遊星歯車装置において、
前記遊星歯車の側面には歯車周方向に1箇所以上の目印が設けられており、
前記遊星歯車が前記キャリアに支持された状態で、前記目印が露出可能な開口部が該キャリアに形成されているか、前記キャリアの外径が前記目印が露出可能な大きさであるかの少なくとも一方であることを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項2】
請求項1の遊星歯車装置において、
上記遊星歯車の目印は遊星歯車成型時に形成されることを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項3】
請求項1または2の遊星歯車装置において、
上記遊星歯車の目印は周方向に均等間隔で、少なくとも配置される遊星数の複数箇所にあり、それぞれ形状が異なることを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項4】
請求項1または2の遊星歯車装置において、
上記遊星歯車の目印は周方向に均等間隔で、少なくとも配置される遊星数の複数箇所に、それぞれ異なる番号が記載されていることを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の遊星歯車装置において、
上記遊星歯車の目印は歯車側面部に形成された凹凸形状であることを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項6】
請求項5の遊星歯車装置において、
上記凹凸形状には傾斜が設けられていることを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項7】
請求項5の遊星歯車装置において、
上記凹凸形状は周方向にわたって傾斜していることを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7の遊星歯車装置において、
上記キャリアの側面に、周方向に均等間隔で配置される遊星数の数に相当する複数箇所に目印が形成されていることを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8の遊星歯車装置において、
上記内歯歯車の側面に、周方向に均等間隔で配置される遊星数の数に相当する複数箇所に目印が形成されていることを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の遊星歯車装置において、
上記内歯歯車または上記太陽歯車の周方向に均等間隔で配置される遊星数の数に相当する複数箇所で、歯幅が長い1歯または2歯が形成されていることを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項11】
像担持体と、
前記像担持体を回転駆動させる駆動手段と、
前記像担持体と前記駆動手段とに連結され駆動手段からの回転駆動力を減速させて該像担持体に伝達する遊星歯車手段と、
前記像担持体に画像を形成する画像形成手段とを備えた画像形成装置において、
前記遊星歯車手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の遊星歯車装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11の画像形成装置において、
上記像担持体と上記遊星歯車装置との連結部にはスプライン状の歯形が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項11の画像形成装置において、
上記像担持体は駆動ローラを含む複数の張架部材に張架されたベルト状部材であり、
上記駆動手段からの回転駆動力を銃器遊星歯車装置を介して前記駆動ローラに伝達させて該駆動ローラを回転させることにより前記像担持体が回転駆動し、
前記駆動ローラと前記遊星歯車装置との連結部にはスプライン状の歯形が形成されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−62906(P2012−62906A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205079(P2010−205079)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】