説明

遊間用止水材製造用ホース及び遊間用止水材の製造方法

【課題】遊間が狭い場合等においても簡易な作業で遊間用止水材を製造可能にするホース、および止水性能に優れた遊間用止水材の製造方法を提供する。
【解決手段】伸縮性のホース10には、発泡材料30を上方にのみ選択的に溢れ出させるための網目領域10Nが設けられている。遊間Aに配置されたホース10に発泡材料30を注入すると、ホース10は伸張し、網目領域10Nに設けられた隙間10Gが拡張する。このため、ホース10内に充填された発泡材料30は、隙間10Gを介してホース10の上方に膨張し、硬化する。硬化した発泡材料30により止水材36が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊間からの雨水等の落下を防止する遊間用止水材を製造するためのホース及び遊間用止水材の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
道路橋、高架橋等においては、温度変化や地震等による橋の伸縮を吸収するために、所定の間隔で遊間が設けられ、フィンガージョイントが使用されている(例えば特許文献1)。そして雨水等が落下することを防止するため、遊間においては、一般に止水材が設置されている。止水材は、弾性部材等により形成され、メタル桁等においては遊間の下側での作業により施工されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005―120780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遊間の下側から止水材を施工する場合、作業スペースの確保が容易であるのに対し、例えばPC桁橋等のように遊間が狭い橋梁においては、遊間の下方に充分な作業スペースを確保することは難しい。このため、止水性能に優れた止水材を簡易な作業で施工することは困難である。
【0005】
そこで本発明は、遊間が狭い場合等においても簡易な作業で遊間用止水材を製造可能にするホース、および止水性能に優れた遊間用止水材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明のホースは、遊間用止水材の製造用ホースである。ホースは、伸縮性を有し、遊間用止水材を製造するための発泡材料が通過する網目領域が設けられており、ホースの内部に注入される発泡材料によってホースが伸張して網目領域における隙間が大きくなることにより、隙間を介して発泡材料をホースの外部に溢れ出させることを特徴とする。
【0007】
ホースは径方向に沿って伸縮可能であることが好ましい。網目領域は、遊間に配置されるホースの上側にのみ形成されていることが好ましい。また、ホースは、遊間の端面に密着して遊間に配置されるホースの下側に発泡材料が移動することを防止するための不陸密着層を有することが好ましい。
【0008】
網目領域においては、発泡材料に対する離型処理が施されていることが好ましい。また、ホースは、発泡材料の発泡圧力および/またはホースの内部への注入圧力により発泡材料をホースの外部に溢れ出させることが好ましい。
【0009】
本願発明の止水材の製造方法は、上述のホースを遊間に配置する配置工程と、発泡材料をホースの内部に注入し、発泡材料の発泡圧力および/または発泡材料の注入圧力によって網目領域における隙間を介してホースの上側に溢れ出させて遊間用止水材を形成する止水材形成工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
配置工程は、遊間の上方に設置した紐状部材に、ホースを糸状連結部材で吊り下げる吊下工程を含むことが好ましい。また、配置工程は、網目領域におけるホースの周方向の中心線と交差する糸状連結部材でホースを吊り下げる吊下工程を含むことが好ましい。
【0011】
遊間用止水材の製造方法は、遊間の端面にプライマーを塗布する前処理工程をさらに有することが好ましい。また、遊間用止水材の製造方法は、発泡材料の注入前に、ホースを傾斜させる傾斜工程をさらに有することが好ましい。
【0012】
本願発明の止水材は、遊間に配置された上述のホースの内部に発泡材料を注入し、発泡材料の発泡圧力および/または発泡材料の注入圧力によって網目領域における隙間を介してホースの上側に溢れ出させることにより形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、遊間が狭い場合等においても簡易な作業で遊間用止水材を製造可能にするホース、および止水性能に優れた遊間用止水材の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】遊間用止水材の製造に用いられるホースを示す斜視図である。
【図2】止水材が形成される桁の遊間を示す断面図である。
【図3】桁の遊間端面を清掃する清掃工程を示す断面図である。
【図4】遊間端面にプライマーを塗布する前処理工程を示す断面図である。
【図5】布ホースを遊間の所定の位置に配置する配置工程を示す断面図である。
【図6】布ホースに発泡材料を充填させる状態を示す断面図である。
【図7】発泡材料により止水材を形成する止水材形成工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明におけるホースの実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態における遊間用止水材の製造に用いられるホースを示す斜視図である。
【0016】
ホース10は、止水材形成用の発泡材料を遊間(いずれも図示せず)に供給するために用いられる。ホース10においては、網目領域10Nと非網目領域10Bとが設けられている。すなわちホース10の側面においては、矢印Aの示す長手方向に平行な境界線Mを境にして、上側略半分に網目領域10Nが、下側略半分に非網目領域10Bが設けられている。
【0017】
ホース10は、矢印Bの示す径方向に沿って伸縮可能である。ホース10の端部の開口10Mから供給された発泡材料は、矢印Aの示すように、ホース10の長手方向に沿って移動する。そして、ホース10内部に注入された発泡材料が増えると、伸縮性のホース10が径方向に伸張する。このようにホース10が径方向に伸びて太さを増すと、網目領域10Nの隙間10Gが広がる。このため発泡材料は、発泡しつつ隙間10Gからホース10の外部に溢れ出る。こうしてホース10の外部に移動した発泡材料により、後述するように、遊間用止水材が形成される。
【0018】
ホース10は、例えば、主としてナイロン繊維によるメリヤス布で形成されている。このメリヤス布は、実質的に一方向にのみ伸縮可能な片側メリヤス織布である。ホース10は、円周方向にのみ伸縮するようにメリヤス布を円筒形状に加工し、形成される。このメリヤス布の表面に、例えば樹脂層を部分的にコーティングすることにより、隙間10Gの閉じた非網目領域10Bが形成され、その他の領域は網目領域10Nとなる。ホース10は、矢印Cの示す円周方向にのみ伸縮可能なメリヤス布を用いていることから、長手方向には伸縮せず、円周方向に広がりつつ、実質的に矢印Bの示す径方向にのみ伸縮する。
【0019】
ホース10は、ナイロン繊維以外の化学繊維、あるいは天然繊維等で形成されても良く、単一の繊維、あるいは複数の繊維を組み合わせて形成されても良い。ただし、適度な伸縮性が必要とされるホース10の円周方向には、ウレタン繊維等の伸縮性の繊維、あるいは伸縮性のない繊維をメリヤス織りして伸縮可能にした織布が使用される。これに対し、ホース10の長手方向には、非伸縮性の繊維が用いられる。また、ゴムをホース10の材料として用い、網目領域10Nに多くの孔をあけることにより隙間10Gを形成しても良い。さらに、ホース10の円周方向にゴム糸を用い、長手方向には通常の繊維を用いても良い。なお図1においては、説明の便宜上、網目領域10Nの隙間10Gは誇張されている。
【0020】
次に、ホース10を用いた遊間用止水材の製造方法につき説明する。図2は、止水材が形成される桁の遊間を示す断面図である。図3は、遊間の端面を清掃する清掃工程を示す断面図である。
【0021】
遊間用止水材(図示せず)は、桁12間の遊間Aに形成される。まず、遊間Aの上方かつ中心に、遊間Aの長手方向に沿ってワイヤ14(紐状部材)が設置される。そして、桁12のウェブ面、すなわち遊間端面12Sのうち止水材が形成される領域が清掃される(図3参照)。この清掃は、例えばワイヤ14から吊り下げた一対のブラシ16により行われる。ブラシ16の他にも、高圧ジェット水、あるいはサンドブラストにより遊間端面12Sを清掃しても良い。
【0022】
図4は、遊間端面12Sにプライマーを塗布する前処理工程を示す断面図である。図5は、布ホースを遊間Aの所定の位置に配置する配置工程を示す断面図である。
【0023】
清掃された遊間端面12Sには、プライマー18による前処理が施される(前処理工程)。この前処理工程では、後述する発泡材料と遊間端面12Sとの接着性を向上させるために、プライマー18が遊間端面12Sに塗布される。プライマー18としては、例えばイソシアネート、あるいはシランカップリング剤系のものが用いられる。
【0024】
次に、ホース10(図1参照)が糸状連結部材22によりワイヤ14に吊り下げられる(吊下工程・図5参照)。このとき、ワイヤ14の位置と糸状連結部材22の長さが調整されているため、ホース10は、遊間Aにおける止水材の製造に適した位置、すなわち、遊間Aの中心付近であって、かつ所定の高さに配置される(配置工程)。なおホース10は、網目領域10Nが上側、非網目領域10Bが下側になるように吊り下げられる。
【0025】
このとき、ホース10は、遊間Aの奥行方向(すなわち図5の紙面に垂直な方向)に対して上下に傾斜するように設置される(傾斜工程)。完成された止水材の上部に雨水が流れ込んだ場合に、この雨水を低所に排水させることを可能にするためである。ホース10の傾斜は、例えば路面の傾き等、桁12の状態に応じて調整される。
【0026】
適度な可撓性を有するホース10は、発泡材料が内部に充填されていない配置工程の段階においては、遊間Aの幅Wよりもずっと細い。このため、ホース10には後述する不陸密着層24が設けられているものの、ホース10を吊り下げて止水材の製造に適した位置に配置するための作業は容易である。なお、ゴム等の布以外の材質でホース10を形成する場合においても、吊り下げられたときに遊間Aの幅Wよりも細くてつぶれた形状になるように、ホース10の硬さや厚さは調整される。
【0027】
図6は、ホース10に発泡材料を注入する状態を示す断面図である。図7は、発泡材料により止水材を形成する止水材形成工程を示す断面図である。
【0028】
適当な位置に配置されたホース10の内部には、発泡材料30が注入される。すなわち、ホース10内に発泡材料30がポンプ(図示せず)によって注入、充填される。発泡材料30の充填量が増加し、ホース10が径方向に広がると、網目領域10Nの隙間10G(図1参照)が拡張される。
【0029】
そして、注入開始から例えば2分間程度が経過して発泡材料30が発泡すると、その発泡による圧力とポンプによる発泡材料30の注入圧力により、発泡材料30は徐々に隙間10Gを介してホース10の上側に溢れ出る。このとき、伸縮性を有するホース10は、図7に示されたように網目領域10Nの上端が上方に移動するように伸張する。なおホース10は、上述のように長手方向には実質的に伸縮しない。このため、発泡材料30の注入によってホース10の長手方向における中心部が隆起し、太鼓橋状に湾曲してしまうことが防止される。
【0030】
隙間10Gから溢れ出た発泡材料30は、流動しながらさらに発泡、膨張するとともに硬化反応を継続する。そして例えば発泡開始から12分間ほど経過すると発泡反応が終了し、流動は停止する。その後、発泡開始から例えば40〜50分程度が経過して発泡材料30が硬化すると、ホース10上方で膨張、硬化した発泡材料30により、止水材36(遊間用止水材)が形成される(図7参照・止水材形成工程)。止水材36は、橋の収縮に伴う遊間Aの幅Wの変化に追従するように、徐々に変形可能である。なお止水材36の厚さは、例えば網目領域10Nの上端から約50mm以上となるように調整される。
【0031】
発泡材料30としては、例えば、水酸基末端ポリブタジエンを主成分とし、硬化剤としてのイソシアネートを含むブタジエン系のシール材が用いられる。この場合、平均的な外気温とほぼ等しい25℃前後で、充填から発泡開始までの時間、および発泡、硬化完了までに要する時間が略上述の通りとなり、止水材36の製造作業が容易になる。
【0032】
本実施形態において用いられた発泡材料30および止水材36の特性は、以下の表1〜4の通りである。表1は、発泡材料30に含まれる主剤と硬化剤の25℃で測定した性状、表2は、主剤と硬化剤とを25℃で混合した混合物の性状、表3は、表2の混合物を25℃で72時間、硬化させた止水材36の常態特性、表4は、止水材36の老化後特性をそれぞれ示している。
【0033】
なお表1の粘度は、BH型粘度計を用いて、4番の回転ロータを試料中で2rpmの回転速度で回転させたときの発生トルクに基づいて測定した。表2は、主剤と硬化剤とをほぼ等量ずつ混合して得た600mlの混合物の性状である。また、表4における止水材36の老化後特性は、表3の止水材36を、70℃で168時間、湿度が90%RHの条件下で老化促進させ、24時間乾燥させた後に測定した。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
【表4】

【0038】
上述のように、発泡材料30をホース10の上方にのみ溢れ出させる必要があるため、網目領域10Nは、遊間A内に配置されるホース10の上側にのみ設けられている。そしてホース10は、図6、7に示されたように、糸状連結部材22が網目領域10Nの周方向の中心線Lと交差するように吊り下げられている。このように、ホース10の略半面にのみ網目領域10Nを設け、網目領域10Nの幅方向(ホース10の周方向)の中心がワイヤ14の真下、すなわち発泡材料30の注入前のホース10の断面重心G(図6参照)の真上にあるようにホース10を吊り下げることにより、網目領域10Nの全域が遊間Aの上側を向き、非網目領域10Bは遊間Aの下側を向く。
【0039】
なお、遊間Aの外で静置された状態においてホース10の内部に発泡材料30を注入、充填させると、ホース10は略円筒形になる。そしてそのときの直径は、遊間Aの幅Wよりもわずかに大きくなる。従って、遊間A内に配置されたホース10に発泡材料30が注入され、図6に示されたようにホース10が膨らんで幅が広がると、ホース10の側面が遊間端面12Sに押し付けられる。このように、ホース10が遊間端面12Sを押圧しつつ遊間Aに嵌合して隙間を生じないこと、および非網目領域10Bが発泡材料30を通さないことから、発泡材料30が下方に流れ落ちてしまうことが防止される。
【0040】
さらに本実施形態では、ホース10において、遊間端面12Sに密着する一対の不陸密着層24が形成されている。不陸密着層24は、ホース10と遊間端面12Sとの間の隙間を確実になくすために設けられており、例えば適度に柔軟な樹脂製である。この不陸密着層24により、発泡材料30が下方に流動することは確実に防止される。
【0041】
特に、不陸密着層24の厚さを大きくすることで、発泡材料30の充填時のホース10の直径が遊間Aの幅Wよりも短い場合においても、発泡材料30が下方に流動することを防止できる。また、発泡材料30の成分を吸収すると適度に膨張する材質で不陸密着層24を形成すると、発泡材料30の下方への流動防止効果がさらに大きくなる。
【0042】
ホース10の網目領域10Nにおいては、配置工程に先立って、発泡材料30に対して離型し易くするための離型処理が施されている。すなわち、網目領域10Nにおいては、発泡材料30との親和性の低い樹脂等(図示せず)が塗布されており、ホース10の上方に密着する発泡材料30が、ホース10に対して界面接着することは防止される。
【0043】
上述の離型処理工程は、止水材形成工程よりも先であれば問題はないが、作業性の観点から、ホース10の配置工程の前に行われることが好ましい。
【0044】
なお図7においては、ホース10内に発泡材料30が未硬化のまま残存している状態が示されているが、さらに時間が経過すると、ホース10内の発泡材料30も硬化して止水材36の一部を形成する。ここで、上述の離型処理により、ホース10と発泡材料30との界面接着が防止されているため、以下のように、止水材36の耐久強度が向上する。
【0045】
止水材36の完成後に遊間Aが徐々に伸縮することにより、ホース10と止水材36とは異なる挙動で変形する。すなわち、ホース10は主にその曲率が変化するように変形するのに対し、止水材36は遊間Aの伸縮に応じて伸縮する。このとき、仮にホース10と止水材36とが接着されていると応力が生じ、これが遊間端面12Sと止水材36との界面に集中して止水材36を破壊させる可能性がある。これに対し、ホース10と止水材36とが接着されていない本実施形態では、遊間Aの伸縮に伴ってホース10および止水材36が上述のように変形しても、応力は生じにくい。このため、応力集中による止水材36の破壊は防止され、止水材36の耐久性、強度が向上する。
【0046】
糸状連結部材22の太さは、ホース10を支えるために必要な強度を実現しつつ、可能な限り細くなるように調整される。完成された止水材36が徐々に伸縮した際に、止水材36の変形歪み応力が糸状連結部材22に集中することによる、止水材36の破損を防止するためである。このため、図示されているように、ワイヤ14よりも大幅に細い糸状連結部材22が用いられている。
【0047】
以上のように本実施形態によれば、幅Wの狭い遊間Aにおいても、網目領域10Nを有するホース10を配置して発泡材料30を流し込むという簡易な作業により、止水材36を製造することができる。
【0048】
さらに、伸縮性のホース10を用いたことにより、隙間10G(図1等参照)が所定の広さ以上になるまで網目領域10Nが拡張すると自動的に発泡材料30がホース10の外に溢れ出ることから、止水材36を形成するための諸条件の適正範囲を広くすることができる。例えば、発泡材料30の粘度が高かったり、発泡材料30の注入用ポンプの吐出圧が小さかった場合においても、発泡材料30がホース10内に所定量以上に充填されると、拡張した隙間10Gから自動的に発泡材料30が溢れ出るため、これらの条件をあまり厳密に定めなくても良い。
【0049】
さらに、本実施形態の製造方法により製造された止水材36においては、上述のように遊間端面12Sとの隙間が確実に塞がれているため、止水性能に優れている。
【0050】
ホース10の形状、材質等は、発泡材料30により止水材36を形成できる限り、上述の実施形態には限定されない。例えば、布製のホース10の一部の繊維を取り除くことにより網目領域10Nを形成しても良く、網目領域10Nをホース10の側面の略半分より狭くしても良い。また、上述のように、ホース10は実質的に径方向にのみ伸縮することが好ましいものの、長手方向においても、ホース10の湾曲等の不具合を生じさせない程度に伸縮可能であっても良い。
【0051】
さらに、発泡圧力とポンプによる注入圧力とのいずれか一方のみで発泡材料30をホース10の外部に溢れ出させても良い。また、若干量の発泡材料30のみをホース10から溢れ出させて止水材36を形成しても良い場合がある。例えば、複数の遊間A(図2以下参照)のうち、橋の伸縮に伴って幅Wが変化するものと変化しないものが交互に設けられている場合、後者の遊間Aにおいては、ホース10が遊間端面12Sから離れないように固定するのに十分なだけの止水材36を形成すれば十分である。
【0052】
また、各工程の順序を入れ換えても良い。例えば、ワイヤ14を張る(図2参照)前に、遊間端面12Sの清掃工程(図3参照)、もしくは前処理工程(図4参照)を終了させても良い。
【符号の説明】
【0053】
10 ホース
10G 隙間
10N 網目領域
12 桁
12S 遊間端面
14 ワイヤ(紐状部材)
18 プライマー
22 糸状連結部材
24 不陸密着層
30 発泡材料
36 止水材(遊間用止水材)
A 遊間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊間用止水材の製造用ホースであって、伸縮性を有し、前記遊間用止水材を製造するための発泡材料が通過する網目領域が設けられており、前記ホースの内部に注入される前記発泡材料によって前記ホースが伸張して前記網目領域における隙間が大きくなることにより、前記隙間を介して前記発泡材料を前記ホースの外部に溢れ出させることを特徴とするホース。
【請求項2】
前記ホースが、径方向に沿って伸縮可能であることを特徴とする請求項1に記載のホース。
【請求項3】
前記網目領域が、遊間に配置される前記ホースの上側にのみ形成されていることを特徴とする請求項1に記載のホース。
【請求項4】
遊間の端面に密着して前記遊間に配置される前記ホースの下側に前記発泡材料が移動することを防止するための不陸密着層を有することを特徴とする請求項1に記載のホース。
【請求項5】
前記網目領域において、前記発泡材料に対する離型処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載のホース。
【請求項6】
前記発泡材料の発泡圧力および/または前記ホースの内部への注入圧力により前記発泡材料を前記ホースの外部に溢れ出させることを特徴とする請求項1に記載のホース。
【請求項7】
請求項1に記載のホースを遊間に配置する配置工程と、
発泡材料を前記ホースの内部に注入し、前記発泡材料の発泡圧力および/または前記発泡材料の注入圧力によって前記網目領域における隙間を介して前記ホースの上側に溢れ出させて遊間用止水材を形成する止水材形成工程とを備えることを特徴とする遊間用止水材の製造方法。
【請求項8】
前記配置工程が、前記遊間の上方に設置した紐状部材に、前記ホースを糸状連結部材で吊り下げる吊下工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の遊間用止水材の製造方法。
【請求項9】
前記配置工程が、前記網目領域における前記ホースの周方向の中心線と交差する糸状連結部材で前記ホースを吊り下げる吊下工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の遊間用止水材の製造方法。
【請求項10】
前記遊間の端面にプライマーを塗布する前処理工程をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の遊間用止水材の製造方法。
【請求項11】
前記発泡材料の注入前に、前記ホースを傾斜させる傾斜工程をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の遊間用止水材の製造方法。
【請求項12】
遊間に配置された請求項1に記載のホースの内部に発泡材料を注入し、前記発泡材料の発泡圧力および/または前記発泡材料の注入圧力によって前記網目領域における隙間を介して前記ホースの上側に溢れ出させることにより形成されていることを特徴とする遊間用止水材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−255222(P2010−255222A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104018(P2009−104018)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【出願人】(393024603)旭化工株式会社 (12)
【出願人】(505398941)東日本高速道路株式会社 (66)
【Fターム(参考)】