運動エネルギーアキュムレータ及び運動エネルギーアキュムレータを備えたエネルギー伝達システム
本発明は、相互に隣接して位置した複数の回転可能に取り付けられたアキュムレータ部材(100、198)と、複数のアキュムレータ部材のうち第1のアキュムレータ部材に回転駆動を与えるように配置された入力駆動機構(116)と、複数のアキュムレータ部材のそれぞれが順次所定の速度以上の角速度で回転せしめられると、複数のアキュムレータ部材のうち連続する前後のアキュムレータ部材を磁気結合するように配置された速度応答結合部材(106、192)とを備えた運動エネルギーアキュムレータに関する。本アキュムレータは運動エネルギーを貯えることで、回転駆動源として作用する。
また、運動エネルギーアキュムレータ(118)と、運動エネルギー源からエネルギーアキュムレータの入力駆動機構(116)に駆動を与えるように配置されたエネルギートランスミッタ機構と、アキュムレータ部材の各々が所定の速度以上の角速度で回転すると、エネルギーアキュムレータに接続され且つ駆動されるように配置された負荷装置とを備えた運動エネルギー伝達システムも提供される。負荷装置は発電機あるいはその他の装置とし得る。
また、運動エネルギーアキュムレータ(118)と、運動エネルギー源からエネルギーアキュムレータの入力駆動機構(116)に駆動を与えるように配置されたエネルギートランスミッタ機構と、アキュムレータ部材の各々が所定の速度以上の角速度で回転すると、エネルギーアキュムレータに接続され且つ駆動されるように配置された負荷装置とを備えた運動エネルギー伝達システムも提供される。負荷装置は発電機あるいはその他の装置とし得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は運動エネルギーアキュムレータ(蓄積器)、及びその実施形態の1つとして、かかるアキュムレータを備えたエネルギー伝達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
フライホイールの原理を実施したものを含め、発生源から負荷に至るまでの伝達中における(規則的または不規則的な)振動もしくは脈動エネルギーの蓄積を必要とするシステムで用いるための、各種の運動エネルギーアキュムレータが知られている。同じく、一部はアキュムレータを具備した各種のエネルギー伝達システムが、移動する車両から発電機や流体圧発生器へ運動エネルギーを伝達するために提案されている。この点については、1979年4月30日付け出願の米国特許 No. 4,239,975 (Chiappetti) 及び2002年12月2日付け出願の米国特許No. 6,767,161 (Calvo et al) の開示を参照のこと。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許No.4,239,975
【特許文献2】米国特許No.6,767,161
【特許文献3】米国特許No.5,590,568
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1997年1月7日付けで付与された米国特許 No. 5,590,568 (Takara) は、低出力電動モータで駆動され、上下に配置され共通の回転軸を有する回転可能な板の形状を成す複数の離間したフライホイールを備えたフライホイールエネルギー貯蔵システムを記述している。永久磁石が、回転可能な板のうち隣接するものの上に、反対の向き (つまり反発極性の向き)となるように芯合わせされて取り付けられている。モータは複数のフライホイールのうち最初のフライホイールの回転を駆動し、さらに連続するフライホイールに取り付けられ芯合わせされた永久磁石間の磁気的反発力によってそれぞれ後続のフライホイールの回転を駆動する。しかし、フライホイールの全てが同時にモータにより駆動されて運動エネルギーをシステム内に蓄積するため、システムが非効率となる。
【0005】
(以下に定義するような)本発明のアキュムレータを、移動する車両から運動エネルギーが得られる種類のエネルギー伝達システムに関連して説明し、以下においてはその観点からの例示として本発明を説明する。但し、アキュムレータ自体だけでなく、移動する人やその他の動物、波、海のうねりや潮夕、道路走行車両、及び反復運動を行う機械的な装置やシステムを含め、運動エネルギーを有する多数の発生源のうち任意のものを利用したエネルギー伝達システムなど、本発明は幅広い応用分野を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
広義において、本発明の一つの観点によれば、回転駆動を与える運動エネルギーアキュムレータであって、
(a) 相互に隣接して位置した複数の回転可能に取り付けられたアキュムレータ部材、
(b) 前記複数のアキュムレータ部材のうち第1のアキュムレータ部材に回転駆動を与えるように配置された入力駆動機構、及び
(c) 前記複数のアキュムレータ部材のそれぞれが順次所定の速度以上の角速度で回転せしめられると、前記複数のアキュムレータ部材のうち連続する前後のアキュムレータ部材を磁気結合するように配置された速度応答結合部材、
を備えた運動エネルギーアキュムレータが提供される。
【0007】
前記のように定義されたアキュムレータの動作時、複数のアキュムレータ部材のうち第1のアキュムレータ部材に回転駆動が(例えば増分的に)与えられると、第1のアキュムレータ部材が回転せしめられ、その角速度が所定のレベルにまで次第に増加する。所定レベルの角速度に達すると、第1のアキュムレータ部材と次の後続する(隣接する)アキュムレータ部材との間で磁気結合が確立され、それにより次のアキュムレータ部材も回転せしめられ、その角速度が所定のレベルにまで次第に増加する。安定した状態の条件に到達し、両方(2つより多い場合は全て)のアキュムレータ部材が所定の角速度で回転すると、例えば運動エネルギーが第1のアキュムレータ部材に与えられているときに、(回転駆動という形態の)運動エネルギーを、アキュムレータから負荷に伝達し得る。つまりアキュムレータは、低慣性のエネルギー源あるいはトランスミッタを比較的高い慣性モーメントを有する負荷に連結するのを容易とするのに使用可能である。さらに運動エネルギーがアキュムレータに与えられていない時間に、回転するアキュムレータ部材に基づき、アキュムレータから負荷へ回転駆動を継続的に与えることもできる。
【0008】
従って、本発明の別の観点によれば、
(a) 相互に隣接して位置した複数の回転可能に取り付けられたアキュムレータ部材と、前記複数のアキュムレータ部材のうち第1のアキュムレータ部材に回転駆動を与えるように配置された入力駆動機構と、前記複数のアキュムレータ部材のそれぞれが順次所定の速度以上の角速度で回転せしめられると、前記複数のアキュムレータ部材のうち連続する前後のアキュムレータ部材を磁気結合するように配置された速度応答結合部材とを備えたエネルギーアキュムレータ、
(b) 運動エネルギー源から前記エネルギーアキュムレータの前記入力駆動機構に駆動を与えるように配置されたエネルギートランスミッタ機構、及び
(c) 前記アキュムレータ部材の各々が前記所定の速度以上の角速度で回転すると、前記エネルギーアキュムレータに接続され且つ駆動されるように配置された負荷装置、
を備えた運動エネルギー伝達システムが提供される。
【0009】
エネルギーアキュムレータは、負荷を運動エネルギー源と適合させるために、(与えられた応用分野で)必要なだけの数のアキュムレータ部材を備えることができる。エネルギーアキュムレータは2つだけのアキュムレータ部材で構成されてもよく、その場合には少なくとも1つの速度応答結合部材をアキュムレータ部材のうちの1つに装着可能である。しかし、エネルギーアキュムレータはn個(但しn≧3)のアキュムレータ部材を備えるのが望ましく、この場合には速度応答結合部材が(n−1)個のアキュムレータ部材に装着されるのが望ましい。
【0010】
複数のアキュムレータ部材は随意(任意選択として)それぞれの軸を中心として回転自在に装着可能であるが、共通の軸を中心として回転自在に装着されるのが望ましい。少なくとも一部の実施形態において、アキュムレータ部材は共通の固定軸に軸受け装着される。
【0011】
アキュムレータ部材は、多角形の外周を含め、任意の形状をとり得るが、円形のディスク形状を有するのが望ましい。また、アキュムレータ要素は(それぞれの回転軸に対して)ほぼ同じ慣性モーメントを呈するように形成してもよいし、あるいは(第1から第n番目へと)順次増加する慣性モーメントを呈するように形成してもよい。
【0012】
アキュムレータの入力駆動機構は、アキュムレータに入力すべき駆動源に応じて随意決められるが、一方向クラッチを含むのが望ましい。
【0013】
速度応答結合部材は、アキュムレータ部材の各々が所定の速度に等しい角速度で回転せしめられると、1つのアキュムレータ部材を別のアキュムレータ部材に磁気結合するように機能する任意の装置あるいは機構を備えることができる。しかし各結合部材は、所定の速度に等しい角速度での対応したアキュムレータ部材の回転に応じた遠心力の作用により、その機能位置へと移動するように配置されるのが望ましい。後者の場合、各結合部材は随意対応したアキュムレータ部材に対し線形移動自在に、あるいは最も望ましくは旋回移動自在に取り付け得る。
【0014】
1つのアキュムレータ部材の別のアキュムレータ部材に対する磁気結合は、随意各種の方法で達成可能である。例えば、永久磁石を結合部材の各々に取り付け、アキュムレータ部材の少なくとも一部を、磁気的に引き付けられる(例えば強磁性の)物質で形成してもよい。あるいは、永久磁石をアキュムレータ部材に取り付け、結合部材の少なくとも一部を、磁気的に引き付けられる物質で形成してもよい。さらに別の代替例として、永久磁石を結合部材とアキュムレータ部材の両方に取り付け、結合部材とアキュムレータ部材との間の(引き合いあるいは反発のいずれかにおける)磁気結合を可能とするような極性の関係で配置してもよい。
【0015】
永久磁石は、希土類磁石からなるのが望ましい。磁気結合は相互間のすべりを容易とするため、隣接するアキュムレータ部材間における滑らから動的結合を容易とする。
【0016】
あるアキュムレータ部材の角速度が所定の速度を下回ったとき、隣接するアキュムレータ部材の磁気結合を切断するように結合部材をバイアス(偏倚)するのに二次の磁石系を用いることもできる。
【0017】
駆動機構は、回転駆動を運動エネルギーアキュムレータに与えるのに適切な任意の機構で構成できる。
【0018】
特に、本発明の別の観点によれば、負荷に回転駆動を与える駆動機構であって、
(a) 第1及び第2の駆動手段で、第2の駆動手段は前記負荷装置を回転駆動するように配置されている第1及び第2の駆動手段、
(b) 一方向クラッチ、及び
(c) 前記エネルギートランスミッタによって駆動されると共に、前記第1の駆動手段を回転駆動する第1の要素と前記第2の駆動手段を回転駆動する第2の要素とを含む駆動システムで、前記第2の要素は前記第1の要素によって回転可能に駆動され且つ前記第1の要素に対し相対的に回転可能であり、前記第1の要素と前記第1の駆動手段は前記第2の要素と前記第2の駆動手段と比較し高い駆動比を有し、前記第1の駆動手段は前記第2の駆動手段を前記一方向クラッチを介して回転駆動する駆動システム、
を備えた駆動機構が提供される。
【0019】
前記駆動システムは、第1及び第2の要素間に配設された別の一方向クラッチを含み、第1の要素が第2の要素をその別のクラッチを介して回転駆動するように配置されてもよい。
【0020】
少なくとも一部の実施形態において、前記駆動システムは、
前記第1の要素と前記第1の駆動手段の周囲に架け渡され、前記第1の駆動手段を回転させる駆動バンド;
前記駆動バンドに張力を加え続けると共に、前記駆動バンドが前記第1の要素によって駆動されると、前記第1の駆動手段の回転軸を中心に初期位置から最終位置へ旋回するダンパー手段で、最終位置へ旋回することによって前記駆動バンドから前記第1の駆動手段に加わる回転駆動を減衰するダンパー手段;及び
前記ダンパー手段を初期位置にバイアスすると共に、前記駆動バンドが前記第1の要素で駆動されていないときは前記ダンパー手段を、前記最終位置から前記初期位置へ前記枢支軸を中心に旋回復帰させる戻し手段で、少なくとも前記第2の要素が初期角速度を得るまでの間前記ダンパー手段は前記初期位置と前記最終位置の間で前後に往復旋回すること、
を備えることも可能である。
【0021】
前記ダンパー手段は前記第1の駆動手段の前記枢支軸を中心に相対的に旋回可能な一対の引っ張りアームを備え、該アームの一方が前記駆動バンドの片側を押圧し、該アームの他方が前記駆動バンドの反対側を押圧し、該両アームが相互に離れるようにバイアスされるようにしてもよい。
【0022】
前記戻し手段は複数の永久磁石を備え、該磁石の少なくとも1つが前記ダンパー手段のアームのうち第1のアームに取り付けられて、第1の前記アームと一緒に前記枢支軸を中心に旋回可能であり、前記磁石のうち別の磁石が第1のアームと別個の固定位置に取り付けられ、前記第1のアーム上の磁石と前記固定位置の磁石は相互に引き合うように逆の極性を対向して配置されてもよい。
【0023】
さらに、前記ダンパー手段の一対の引っ張りアームは、相互に反発し合うように反対の向き(つまり反発極性の向き)で両アームに配置された永久磁石によって相互に離れるようにバイアスされるようにしてもよい。あるいは、ダンパー手段の一対のアームをバイアスするのに、例えばバネ装置を用いることもできる。
【0024】
典型例として、前記第1及び第2の要素は共通の回転軸を中心に回転可能なプーリであり、前記第1及び第2の駆動手段は別の共通の回転軸を有する更なるプーリである。また一般的に、前記第1及び第2のプーリは同一のサイズである。
【0025】
但し自明として理解されるように、ギアやその他の駆動要素を第1及び第2の要素として用いてもよく、あるいは例えば、ギアとプーリまたはその他の適切な駆動要素との組み合わせを用いることもできる。プーリは例えば、歯付きまたはキー溝(スプライン)付きプーリとし得る。駆動バンドは、プーリを用いる場合には駆動ベルト、またギア及び/又は歯付きプーリを用いる場合には駆動チェーンとし得る。
【0026】
本発明によって実施される運動エネルギー伝達システムのエネルギートランスミッタは、運動エネルギー源の直線運動を回転運動に変換するように機能するものを備えるのが望ましい。直線運動は、道路を走行する車両の前進移動によって得られるようなほぼ水平の方向、もしくはほぼ垂直の方向でよい。運動エネルギー源からの運動エネルギーは随意、アキュムレータから、回転ポンプを含む任意の形態の負荷に送出し得るが、発電機に送出されるのが望ましい。アキュムレータの動作原理を実施したものを含むクラッチ機構を、アキュムレータと負荷との間に随意介在してもよい。
【0027】
従って、本発明の別の観点によれば、運動エネルギー源の運動を回転駆動に変換するエネルギートランスミッタであって、
前記運動エネルギー源によって、ニュートラル位置から変位した位置に実質上直線の方向に駆動されるアクチュエータ、
相互に離間して配置され、それぞれの先端が前記アクチュエータに回転可能に接続された少なくとも一対の半径方向アームで、各半径方向アームの反対の基端が回転可能に取り付けられ、前記アクチュエータが前記運動エネルギー源によって直線方向に駆動されると前記一対のアームの少なくとも1つがそれぞれの回転軸を中心に駆動シャフトを回転して回転駆動を与えるように配置された半径方向アーム、及び
磁石の配列であって、該配列の磁石が反発し合う極性の向きで位置され、前記アクチュエータを前記変位した位置から前記ニュートラル位置へ復帰させる磁石の配列、
を備えたエネルギートランスミッタが提供される。
【0028】
前記エネルギートランスミッタは、前記一対の半径方向アーム間に配設され複数の磁石を保持した支持体をさらに備え、別の磁石が前記半径方向アームに取り付けられ、前記支持体上の前記磁石が前記半径方向アーム上の磁石と反発し合うように配置されてもよい。
【0029】
自明として理解されるように、前記エネルギートランスミッタの磁石のそれぞれは希土類永久磁石などの永久磁石とし得るが、任意の適切な永久磁石を使用可能である。
【0030】
本発明の説明中、本発明によって実施される駆動機構の第1の駆動要素及び第1の駆動手段に関して用いられる用語「駆動比」は、第1の駆動手段の回転速度に対する第1の要素の回転速度の比を意味する。同様に、第2の駆動手段に対する第2の要素の「駆動比」とは、第2の駆動手段の回転速度に対する第1の要素の回転速度の比を意味する。
【0031】
本明細書全体を通じて、単語「備える (comprise)」あるいはその変形である「備えている (comprises)」や「備えた (comprising)」は、記載された単数の要素、完全体 (integer) またはステップ、もしくは複数の要素、完全体 (integers) またはステップを含むことを意味するが、その他の単数の要素、完全体 (integer) またはステップ、もしくは複数の要素、完全体 (integers) またはステップを除外するものではないことが理解されるべきである。
【0032】
本明細書に含まれる文書、行為、素材、装置、物品などに関する議論はいずれも単に、本発明の説明を与えることを目的とする。上記事項のいずれかあるいは全ては、本出願の優先日より以前にいずれかに存在していたとしても、従来技術のベースの一部を形成するもの、あるいは本発明に関連した分野における共通の一般的知見であったと認められるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、運動エネルギー伝達システム全体の概略図を示す;
【図2】図2は、本システムのエネルギートランスミッタ部の概略図;
【図3】図3は、本システムに含まれる第1の種類のエネルギーアキュムレータの概略正面図を示す;
【図4】図4は、図3に示したアキュムレータの分解正面図を示す;
【図5】図5は、図4に示す断面5−5の方向に沿って見たアキュムレータ部材の底面図;
【図6】図6は、図1に示した本システムに含まれる別の種類のエネルギーアキュムレータの概略正面図を示す;
【図7】図7は、図6に示す断面7−7の方向に沿って見たアキュムレータ部材の概略底面図;
【図8】図8は、エネルギートランスミッタからアキュムレータへ増分的(インクリメンタル)な回転駆動を与えるように配置された入力駆動機構の概略図で、駆動機構は動作行程(ストローク)の初期位置にある状態で示してある;
【図9】図9は、動作行程のニュートラル(中間)位置にある、図8の駆動機構を示す;
【図10】図10は、動作行程の終端位置にある、図8の駆動機構を示す;
【図11】図11は、本発明によって実施される別のアキュムレータ部材の概略底面図;
【図12】図12は、本発明によって実施される運動エネルギーアキュムレータに回転駆動を与える別の入力駆動機構の概略平面図;
【図13】図13は、使用時における図12の入力駆動機構の概略平面図;
【図14】図14は、図12に示した入力駆動機構を含む、本発明によって実施される運動エネルギー伝達システムの概略側面図;
【図15】図15は、図14の運動エネルギー伝達システムの概略端面図;
【図16】図16は、図11に示した種類の複数のアキュムレータ部材と図12に示した入力駆動機構とを含む、本発明によって実施される運動エネルギー伝達システムの概略部分断面図;
【図17】図17は、本発明によって実施される運動エネルギー伝達システムの概略平面図;
【図18】図18は、図17の運動エネルギー伝達システムの概略端面図;
【図19】図19は、図17の運動エネルギー伝達システムのエネルギートランスミッタ部の概略端面図;及び
【図20】図20は、図19のエネルギートランスミッタ部の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、運動エネルギー伝達システム及びそのシステム内に含まれるエネルギーアキュムレータに関する例示的な実施形態の、図面を参照した以下の説明からより充分に理解されるであろう。
【0035】
図1に示すように、エネルギー伝達システムは、システムの動作中に、運動エネルギーをエネルギートランスミッタ21に供給する運動エネルギー源20を備えている。エネルギー源20は典型的には、連続した移動する複数の車両で、各車両がトランスミッタ21と係合し、トランスミッタ21に動きを与えることによってトランスミッタ21に作用を及ぼす。但し前述したように、エネルギー源は上記の典型例の他、動きをトランスミッタ21へ与えることができる任意の移動する物体とし得る。
【0036】
トランスミッタ21に入力されたエネルギーは、入力駆動機構23により増分された機械的な動きとしてアキュムレータ22に伝えられる。負荷24の静的慣性を越える充分な運動エネルギーがアキュムレータ22に蓄積されると、例えばエネルギーがエネルギー源20からアキュムレータへ増分的に入力された際に、アキュムレータから負荷に対する駆動が(遠心型クラッチなどのクラッチ25を介して)行われる。
【0037】
負荷24は典型的には発電機からなるが、同じく回転あるいは往復駆動が与えられる流体ポンプやその他任意の種類の機械であってもよい。
【0038】
トランスミッタ装置21は、図2に車道27に設けた窪み26内に配置されるものとして示してあり、アクチュエータプレート28を備え、アクチュエータプレート28はその上を通過しそれと係合する車両(図示せず)の前方への移動によってほぼ直線方向に駆動されるように配置されている。アクチュエータプレート28は、2対の希土類製永久磁石29及び30によって(図2に示す)ニュートラル(中間)位置にバイアス(偏倚)されており、各対の磁石は反対の向き(つまり反発極性の向き)で配置されている。
【0039】
アクチュエータプレート28は図示のように2つのラジアル(半径方向)アーム31及び32によって保持され、これら両方のラジアルアームは、前進移動する車両によってアクチュエータプレート28がほぼ直線的に前方へ移動すると回転せしめられ(例えば時計回り方向)、車両の通過後は2対の磁石29及び30によってニュートラル位置に戻される。ラジアルアーム31はアイドラシャフト33によって保持され、ラジアルアーム32は駆動シャフト34に接続され、駆動シャフト34はアクチュエータプレート28のほぼ直線的な移動によって回転せしめられる。考えられる替りの配置(図示せず)においては、ラジアルアーム31とアイドラシャフト33を省き、アクチュエータプレート28をラジアルアーム31によって直接駆動シャフト34に接続してもよい。
【0040】
駆動シャフト34の増分的な回転動は、入力駆動機構23によってアキュムレータ22に伝えられ、入力駆動機構23の一実施形態は図8乃至図10を参照して後述する。
【0041】
図3乃至図5に概略的に示したアキュムレータ22は3つのアキュムレータ部材35、36及び37を備え、各アキュムレータ部材はほぼディスク形状で、非磁性材料から形成され、フライホイールとして効果的に機能する。それらのアキュムレータ部材は共通の固定軸38を中心に独立に回転自在に取り付けられ、従って共通軸を中心に独立に回転可能である。第1及び第2のアキュムレータ部材35及び36は共に、少なくとも1個、望ましくは図示のように4個の旋回式の速度応答結合部材39を保持する。つまり、それぞれの実施形態で、それより少ない(例えば3個)または多い数の結合部材を備えることができる。図示の実施形態においては、第2及び3のアキュムレータ部材36及び37の各々がその外周に沿って、希土類製永久磁石40の外側リングを備え、永久磁石40は(必ずしもではなく)典型的には磁極が交互に位置する(N−S−N−S---)ように配置されている。また、第2及び第3のアキュムレータ部材36及び37の各々は、共通に(N−N−N---またはS−S−S---)磁極化された希土類製永久磁石41の内側リングを備えている。
【0042】
図5から最も明瞭に分かるように、各結合部材39はほぼL字状で、枢支ピン42によりそれぞれのアキュムレータ部材35及び36に旋回自在に取り付けられている。各結合部材39は主に非磁性材料から形成されるが、ほぼ弧状の外側強磁性足部43を備えている。各結合部材の半径方向内端44は、アキュムレータ部材36及び37のうちそれぞれの(後続する)対応部材上の永久磁石41からなる内側リングから反発されるように、共通に(N−N−N---またはS−S−S---)磁極化された永久磁石45の弧状配列を備えている。
【0043】
アキュムレータ22が静止状態にあるとき、内側磁石リング41と弧状の磁石配列45との間に生じる(反発)磁場の強度は、結合部材39をニュートラル位置に維持するように予め決められる。すなわち、結合部材39の強磁性足部43は、アキュムレータ部材36及び37のうちそれぞれの(後続する)対応部材上の磁石からなる外側リング40の各磁石をつないだ磁場から効果的に離間している。但し各結合部材39の重量は、アキュムレータ部材36及び37が所定の角速度で回転させられると、内側磁石リング41と弧状の磁石配列45との間の磁気的反発に打ち克つのに充分で、尚且つ各結合部材の半径方向外側部分を外側に旋回させるのに充分な遠心力が結合部材39に加わるように設定されている。その状態になると、各結合部材39はそれぞれのニュートラル位置から機能位置に移動し、結合部材39の強磁性足部43とアキュムレータ部材36及び37のうちそれぞれの(後続する)対応部材上の磁石からなる外側リング40との間で磁気結合が確立される。
【0044】
すなわち上記したようにアキュムレータ22の動作時において、回転駆動がトランスミッタ装置21から第1のアキュムレータ部材35に増分的に加えられると、第1のアキュムレータ部材35が回転させられ、その角速度が所定のレベルまで徐々に増加する。所定レベルの角速度に達すると、第1のアキュムレータ部材35に取り付けられた結合部材39が遠心力の作用で外側に旋回し、結合部材39と第2のアキュムレータ部材36上の磁石からなる外側リング40とによって、第1及び第2のアキュムレータ部材35及び36間に磁気結合が確立される。それにより第2のアキュムレータ部材36が回転させられ、その角速度が所定のレベルまで徐々に増加すると、さらに第3のアキュムレータ部材37との間で磁気結合が確立し、回転駆動が第3のアキュムレータ部材37に与えられる。定常状態に達し、3個のアキュムレータ部材全てが所定の角速度と等しいかまたはそれより大きい角速度で回転されると、(回転)運動エネルギーをアキュムレータ22から負荷24へ伝達可能となる。このように、低慣性のエネルギートランスミッタ(つまりアクチュエータプレート28)を、相対的に高い慣性モーメントを有する発電機などの負荷24に連結するのを容易とするように、アキュムレータを用いることができる。さらに、運動エネルギーが運動エネルギートランスミッタ21さらにはアキュムレータ22へ供給されなくなった場合でも、各アキュムレータ部材はそれらの回転モーメントによりある期間の間回転を継続する。従って、アキュムレータ部材の角速度が負荷を駆動するのに必要な速度以下に下がるまで、回転駆動はアキュムレータによって負荷に供給され続ける。
【0045】
(車両交通の中休みで生じる場合など)運動エネルギーの印加が一時的にだけ停止すると、運動エネルギートランスミッタに対する運動エネルギーの再印加により、(回転しているもしくは静止している)アキュムレータ部材の駆動が再開される。
【0046】
図6及び図7に示したアキュムレータ22は上記したものと類似しており、同じ構成部品を示すのに同じ参照番号が用いてある。但し、図6及び図7に示したアキュムレータは4個のディスク状アキュムレータ部材35、46、47及び48を備え、これらアキュムレータ部材は非磁性材料で実質上形成されている。第1、第2及び第3のアキュムレータ部材35、46及び47は各々4個の旋回式の速度応答結合部材49を保持し、前記結合部材39と対照的に各結合部材49は、一連の交互に極性化された希土類製永久磁石51によって少なくとも一部が形成されたほぼ弧状の外側足部50を有する。また、第2、第3及び第4のアキュムレータ部材46、47及び48には、磁気的に引き付けられる材料(例えば鋼などの強磁性材料)製の円周リング52が形成されている。
【0047】
図6及び図7に示したアキュムレータの動作は図3乃至図5に示したアキュムレータと実質上同じであるが、前者では磁気結合が、結合部材49に外周に位置した磁石51と第2〜第4のアキュムレータ部材46〜48の各強磁性リング52とによってアキュムレータ部材間で確立される点が異なる。
【0048】
増分的な回転駆動は、入力駆動機構23を介して(上記したアキュムレータ22のいずれの形態においても)第1のアキュムレータ部材35に与えられる。この入力駆動機構は、図8乃至図10に動作の各逐次段階に応じて示した運動変換機構53と、運動変換機構を第1のアキュムレータ部材35に接続する一方向クラッチ(例えばカムクラッチやスプラグ(Sprag)クラッチ、図示せず)とを備えている。
【0049】
運動変換機構53は、トランスミッタ装置21の駆動シャフト34の半径方向延長部を形成するレバーアーム54(図8乃至図10)を備えている。レバーアーム54の外端はリンク56を介して、L字状旋回レバー55の短い方の脚部に枢支され、レバー55の長い方の脚部の外端に、弧状の第1ローラレース59と係合することによって別の旋回レバー58の短い方のアームに作用を及ぼすローラ57が備わっている。旋回レバー58は枢支ピン60を中心に旋回し、その長い方のアーム61の端部に、弧状の第2ローラレース64と係合することによって被駆動アーム63に作用を及ぼすローラ62が備わっている。
【0050】
駆動シャフト34の最初の回転動で、旋回レバー55が図8に示すその開始位置から図9に示す中間位置へ回転させられる。これによってローラ57がレース59内を移動し、その結果旋回レバー58及び被駆動アーム63両方が回転される。その際、被駆動アーム63は、ローラ62がレース64内を移動する結果として回転される。引き続き駆動シャフト34が図10に示す位置にまで移動すると、両レバー55及び58がさらに回転されると共に、被駆動アーム63が図10に示すその終端位置にまで回転される。つまり運動変換機構53は、駆動シャフト34における少量の回転(例えば15°から20°)を、被駆動アーム63及びひいては第1のアキュムレータ部材35のほぼ60°から80°に増分された回転に増幅する機能を果たす。さらにローラ-イン-レースの配置を用いることで、両レバー55及び58に対する回転動が各作動の開始時に最大化され、第1のアキュムレータ部材35に与えられる角速度が最適化される。
【0051】
つまり、本発明の別の観点によれば、回転駆動を負荷に与える駆動機構であって、回転軸を中心に前後に往復回転される回転駆動手段と、一方向クラッチと、第1及び第2のローラとを備えた駆動機構が提供される。第1のレバーがその一端で回転駆動手段に連結され、第1のローラが第1のレバーの他端に回転可能に取り付けられ、第1のレバーは回転駆動手段の回転に伴い枢支軸を中心に旋回するようにピボット取り付けされている。一端に弧状の第1のローラレースを備えた第2のレバーも設けられている。第2のローラが第2のレバーの他端に回転可能に取り付けられ、第1のローラが第の1ローラレース内に配置されており、第2のレバーは、第1のローラが第1のレバーで第1のローラレースに沿って駆動されると、枢支軸を中心に旋回するようにピボット取り付けされている。また駆動機構は駆動アームを備え、駆動アームは第2のローラを受け入れる弧状の第2のローラレースを備えると共に、第2のローラが第2のレバーで第2のローラレースに沿って駆動されると第2のレバーと反対方向に回転軸を中心に旋回するようにピボット取り付けされており、さらに駆動アームはその回転軸を中心とした前記反対方向の回転に伴い、一方向クラッチを介して回転駆動を負荷に与えるように配置されている。図8乃至図10に示した実施形態におけるように、第2のレバー(例えば旋回レバー58)及び第2のローラレース(例えばローラレース64)は典型例として、回転駆動手段(例えば駆動シャフト34)により、第1のレバー(例えばレバー55)の回転度合いよりも大きい回転度合いで駆動アームを回転させるように寸法決めされている。
【0052】
アキュムレータ部材100の別の実施形態の底面図を図11に示す。このアキュムレータ部材はハブ付きホイールの形状を成し、多数の放射方向に延びたスポーク102が中心ハブ103を強磁性材料製の外周リング104に接続している。外側リング104は、スポークより上側に突き出ている。図示した実施形態において、外側リングは鋼製である。3本のスポーク102が図示してあるが、この種のアキュムレータ部材は典型的には9本以上の同様のスポークを有する。
【0053】
図から分かるように、速度応答結合部材106は、それぞれのスポーク102に枢支ピン108を介して旋回自在に取り付けられている。各結合部材106の半径方向外端は、使用時に、隣接する(後続する)アキュムレータ部材の強磁性外周リングと磁気結合するように配置された希土類永久磁石110の弧状配列を備えている。各結合部材106の反対側の内端は、図16により明瞭に示すごとく、後続するアキュムレータ部材100(図11では想像外形線で示す)の希土類永久磁石114からなる内側リングから反発されるように、共通に磁極化された(N−N−N---またはS−S−S---)希土類永久磁石112の別の配列を備えている。アキュムレータ部材100の結合部材106は、図11においてそれぞれの機能位置に示してある。すなわちその機能位置とは、使用時にアキュムレータ部材100の回転に伴い結合部材に加わる遠心力に応答して、結合部材が枢支ピン108を中心に旋回した位置である。
【0054】
ストッパ109(同じく想像外形線で示す)が各結合部材106の上側に取り付けられ、対応するスポーク102と接触し、それぞれの結合部材が枢支ピンを中心に回転し過ぎて強磁性材料製の外周リング104と接触するのを防止する。各ストッパは、結合部材が位置する平面と直交して延びるブラケットと、ストッパピンとを備えている。ストッパピンは、ブラケットに対して直角に配設されスポークと接触すると共に、結合部材上の磁石110の半径方向外側の外周配列と強磁性材料製の外周リング104との間のギャップを最小限とする距離だけブラケットから突出し、磁石110と外周リング104との間の磁気結合の効率を最適化している。
【0055】
本発明によって実施される別の入力駆動機構116が、図12乃至図18に示してある。より詳細には、運動エネルギーアキュムレータ118が外側金属枠120内に設置されている。駆動シャフト122が枠120に対し124で示すように軸受け取り付けされ、駆動シャフトの入力端が図17乃至図20に関連して後で更に説明するエネルギートランスミッタ機構202に接続されている。旋回アーム128が、リンク134によって別の駆動シャフト132に取り付けられた一方向クラッチ装置130に接続されている。さらに駆動シャフト132はその各端で、枠120に軸受け取り付けされている(図14参照)。駆動シャフト122がその軸を中心に前後に往復回転すると、旋回アーム128が前後に往復旋回し、別の駆動シャフト132を反時計回り方向に増分的に回転駆動する。駆動プーリ136が別の駆動シャフト132の下端に取り付けられ、反時計回り方向に回転されると、駆動ベルト140を介して回転伝達プーリ138を回転駆動する。伝達プーリ138はさらに別の駆動シャフト142の下端に取り付けられ、この駆動シャフト142もその各端で枠120に軸受け取り付けされている。
【0056】
駆動プーリ144の形態を成す第1の要素が駆動シャフト142の上端に取り付けられ、一方向クラッチ150を介して、第2の駆動プーリ148の形態を成す第2の駆動要素を回転駆動するように配置されている(図15参照)。第2の駆動プーリ148は「フリーホイール(自在輪)」として機能し、第1の駆動プーリ144と独立に反時計回り方向に回転可能である。図14に最も明瞭に示すように、第1の駆動プーリ144は、上側の駆動ベルト154を介して第1の従動プーリ152の形態を成す第1の駆動手段を回転するように配置されている。第2の駆動プーリ148は、下側の駆動ベルト158を介して第2の従動プーリ156の形態を成す第2の駆動手段を回転駆動する。第1の従動プーリ152は別の一方向クラッチ160によって第2の従動プーリ156に連結され、第2の従動プーリはフリーホイール(自在輪」として機能し、第1の駆動プーリと独立に反時計回り方向に回転可能である。
【0057】
第1及び第2の駆動プーリ144及び148が同一サイズである一方、第1の従動プーリは第1の駆動プーリ144及び第2の従動プーリ156両方より小さいサイズである。従って、第1の駆動プーリ144及び第1の従動プーリ152は、第2の駆動プーリ148及び第2の従動プーリ156より高い駆動比を有する。すなわち、第1の従動プーリ152は別の駆動シャフト132の回転に伴い、第2の従動プーリ156よりも高い角速度で駆動可能である。
【0058】
ここで図12に戻ると、入力駆動機構116は更に、固定軸146を中心に回転するようにピボット取り付けされた上側及び下側引っ張りアーム164及び166の形態を成すダンパー手段162を具備する。アイドラプーリ168及び170が引っ張りアーム164及び166の半径方向外端にそれぞれ回転可能に取り付けされ、上側駆動ベルト154の対向する走行側部を押圧する。永久磁石172の形態を成すバイアス(偏倚)手段が、反対の向き(つまり相互に反発する極性の向き)で引っ張りアーム164及び166にそれぞれ取り付けられ、相互に反発している(図13参照)。すなわち、両磁石172の磁場が引っ張りアーム164及び166を互いに離間させることで、上側駆動ベルト154を引っ張り状態に維持している。永久磁石の代わりに、両引っ張りアーム間に配設したバネ装置を用いることもできる。
【0059】
また入力駆動機構116は、図14に最も明瞭に示すように、上側引っ張りアーム164の他端に取り付けられた希土類製永久磁石173と、金属枠20の固定位置に取り付けられた別の希土類製永久磁石174とを備えた戻し手段を含む。両磁石173及び174は相互に引き合うように逆の極性を対向して配置されているため、初期の位置に引っ張りアーム164及び166をバイアスすると共に、以下さらに述べるごとく、両引っ張りアームを固定軸を中心として入力駆動機構116の動作位置に戻すように作用する。
【0060】
より詳細には、使用時、駆動シャフト132が間欠的に回転して従動伝達プーリ138に回転駆動が与えられると、その回転駆動は第1の駆動プーリ144に与えられる。反時計回り方向における第1の駆動プーリ144の増分的回転は、一方向クラッチ150を介して第2の駆動プーリ148を回転駆動する。第2の駆動プーリ148の回転は更に第2の従動プーリ156を回転駆動し、第2の従動プーリが磁気カップリング(結合器)178を介して磁気的に結合された運動エネルギーアキュムレータ118の第1のアキュムレータ部材176(図16参照)を、反時計回り方向に回転開始する。
【0061】
また回転駆動は第1の駆動プーリ144によって上側駆動ベルト154にも与えられ、上側引っ張りアーム164を下側引っ張りアーム166の方に向かい、両引っ張りアームに保持された両磁石172から加わるバイアスに抗して駆動せしめる。その結果、下側引っ張りアーム166が両磁石172の磁場を介して駆動され、両引っ張りアーム164及び166が固定軸146を中心に、図12に示したそれらの初期位置から図13に示した終端位置へと旋回する。駆動ベルト154から加わる間欠的な回転駆動が停止すると、引っ張りアーム164及び166は固定軸を中心に、相互に引き合う磁石173及び174の作用で初期位置へと旋回して戻る。
【0062】
上記の固定軸146を中心とした引っ張りアーム164及び166の往復旋回が、第1の駆動プーリ144によって上側駆動ベルト154に与えられる間欠的な回転駆動の各サイクルで繰り返される。この作用が上側駆動ベルトから第1の従動プーリ152に与えられる回転駆動を減衰し、第2の駆動プーリ148の作用の下、第2の従動プーリ156が第1のアキュムレータ部材176の角速度を漸次増加させるのを可能とする。第2の従動プーリ156の角速度が増加すると(ひいては第1のアキュムレータ部材176の角速度が増加すると)、第1の従動プーリ152に作用する慣性モーメントが減少し、駆動ベルト154による第1の従動プーリの回転が容易となる。その結果、上側駆動ベルト154に対する回転駆動の印加に伴い引っ張りアーム164及び166が固定軸146を中心に駆動される傾向は、両引っ張りアームが図12に示したそれらの初期位置に留まるまでに減少する。駆動シャフト132に反時計回り方向の増分的な回転駆動がさらに継続して加わると、第1の従動プーリ152は第1の駆動プーリ144により、第2の駆動プーリ146で駆動された場合に第2の従動プーリ144によってたっせいかのうな角速度よりも大きい角速度にまで回転される。そのとき、第1の従動プーリ156が一方向クラッチ160を介して第2の従動プーリ148の回転駆動を開始し、それによって第1のアキュムレータ部材176の角速度を増加させる。
【0063】
このように、第2の駆動プーリ148と第2の従動プーリ156間の相対的に低い駆動比で得られる低速用の「伝動装置(ギアリング)」が、運動エネルギーアキュムレータ118の第1のアキュムレータ部材176の回転を開始する機能を果たす。また、第1の駆動プーリ144と第1の従動プーリ152間の相対的に高い駆動比で得られる高速用の「伝動装置(ギアリング)」が、第1のアキュムレータ部材176を必要な角速度に至るまで駆動されるようにし、上述したごとく運動エネルギーアキュムレータの隣接するアキュムレータ部材が、対応するそれぞれの速度応答結合部材によって順次磁気結合されるのを可能とする。
【0064】
更に図12に示すように、アキュムレータ部材のそれぞれが必要な所定の角速度であるいはそれを超えて回転すると、運動エネルギーアキュムレータ118からの回転駆動が遠心クラッチ182を介し、番号180で示した発電機などの負荷装置に伝達可能となり、遠心クラッチ182はアキュムレータ部材のうち最終部材の下面に取り付けられたまたは回転可能に連結された駆動プーリ186を周回する別の駆動ベルト184によって回転される。
【0065】
図11に示したようなアキュムレータ部材を含む運動エネルギーアキュムレータの部分外略図を、図16に示す。図16に示すように、第1の従動プーリ152と第2の従動プーリ156が固定軸146に対し同軸状且つ回転可能に取り付けられている。更に図から理解されるように、磁気カップリング178が、相互に引き合うように逆の極性を対向して配置された希土類製永久磁石からなる上下2つの配列を備えている。それぞれのアキュムレータ部材176,190の各中心ハブ188が、第1の従動プーリ152及び磁気カップリング178の上下各半体と同様に、固定軸146に取り付けられたスラスト軸受けを中心に回転可能である。この実施形態における各速度応答結合部材192も、第1及び第2のアキュムレータ部材176及び190の下面にそれぞれ旋回自在に取り付けられている。さらに、上述した実施形態と同様、各結合部材192の希土類製永久磁石194からなる外側配列が、それぞれ後続するアキュムレータ部材の外周の強磁性リング198と磁気結合する一方、各結合部材192の希土類製永久磁石196からなる内側配列が、それぞれ対応するアキュムレータ部材の希土類製永久磁石200からなる内側リングと反発する。
【0066】
図2に示したようなエネルギートランスミッタ機構202が、図17乃至図20に詳しく示してある。このトランスミッタ機構は、道路表面206の窪み204に位置して示されており、自動車によって駆動されるように配置されたほぼフラットなアクチュエータプレート208を備えている。車両がアクチュエータプレート208に接触すると、プレートは車両の移動方向に沿ってほぼ直線的に移動する。以下更に述べるように、車両がアクチュエータプレート208を離れると、プレートをそのニュートラル位置に戻すように永久磁石が配置されている。
【0067】
トランスミッタ機構202は、想像外形線で示した駆動シャフト210により、図16に示したような運動エネルギーアキュムレータの入力駆動機構116に回転可能に連結されており、アクチュエータプレート208の動きに伴い軸を中心に前後に往復回転される。
【0068】
アクチュエータプレート208は図19により明瞭に示すように、複数対の回転可能に取り付けられたラジアルアーム212及び214に回転可能に連結されている。より詳細には、各ラジアルアームがその外端で、軸受けハウジング218に取り付けられた軸受け216を介してアクチュエータプレート208に回転可能に連結されている。ラジアルアーム212の半径方向反対側の内端がアイドラシャフト220に取り付けられた軸受けに回転可能に連結される一方、アーム214の半径方向反対側の内端は駆動シャフト222に取り付けられた軸受けに回転可能に連結されている。図17及び図18から分かるように、駆動シャフト222は更に駆動シャフト210に取り付けられている。また図17に示すように、トランスミッタ機構202は複数の支持体224を含み、その1つが各対のラジアルアーム間に配設されている。
【0069】
図19により明瞭に示されているように、希土類製永久磁石226が各支持体224の上端に、ラジアルアーム212及び214にそれぞれ取り付けられた別の希土類製永久磁石228と反対の向き(相互に反発する極性の向き)で取り付けられている。
【0070】
アクチュエータプレート208が車両との接触でそのニュートラル位置から駆動されると、プレートはエネルギートランスミッタ機構202の縦軸を横断する方向に(すなわち図19において左側に)ほぼ直線状に移動される。その結果、ラジアルアーム212及び214はそれぞれの回転軸を中心に回転され、駆動シャフト222は反時計回り方向に回転される。ラジアルアーム214の移動は、そのアームに取り付けられた磁石28を支持体224に取り付けられた逆極性の磁石226と接近するように移動させ、それによってアクチュエータプレート208の動きを緩衝すると共に、車両がアクチュエータプレートから離れた際、ラジアルアームさらにはアクチュエータプレートのニュートラル位置への戻りを駆動する。また図から分かるように、ラジアルアーム212上の磁石228は、支持体224の対応する側の磁石226と共同して、アクチュエータプレート208のそのニュートラル位置への戻りを緩衝する。アクチュエータプレートがそのニュートラル位置へ及びそこから移動するのに伴う駆動シャフトの前後往復回転が、入力駆動機構116に間欠的な回転駆動を与える。図20に示すように、アクチュエータプレート208の両側縁部に相互に離間したフィンガー状延出部230が備えられ、これらフィンガー状延出部230が固定カバープレート234の対応するフィンガー状延出部232間にスライド可能に配設されることで、屑などがアクチュエータプレート下方の内部領域に侵入するのを防止している。
【0071】
図17及び図18に示すように、運動エネルギートランスミッタ機構はコンクリート製ケーシング236内に固定設置され、コンクリート製ケーシング236は番号238で示した排水系に排水導管240を介し配管接続されると共に、コンクリート製ケーシングの底部領域に設けられた出口242を介しても配管接続されている。
【0072】
本実施形態におけるアクチュエータプレート208はほぼフラット状であるが、その形状は隆起状にして、例えば駐車場などに出入りする道路上の自動車の交通を減速させる「スピードバンプ(速度を落とさせるための隆起)」としても作用可能である。
【0073】
上記した実施形態においては、ネオジム(ネオジム、鉄及びホウ素)磁石、サマリウム−コバルト磁石、及びそのような磁石の混合物を含め、任意の適切な希土類製永久磁石を利用できる。
【0074】
従って当業者にとっては、例示した特定の実施形態について、数多くの変形及び/又は変更が可能であることは自明である。そのような変形及び/又は変更も、本発明の範囲内に含まれると考慮されるべきである。従って、上記の実施形態はあらゆる点において、例示的なものであり、限定を意図するものでないと考慮されるべきである。更なる例として、上記したような運動エネルギーアキュムレータは、風や太陽を動力源としたタービンや、その他のほぼ一定の回転駆動源によっても駆動可能である。そのような場合は、任意の適切な(例えばプーリに基づく)駆動装置またはギア機構を介して、アキュムレータを一定の回転源に連結できる。さらに、車両の通過によって駆動されるように配置されたアクチュエータプレートを備えるエネルギートランスミッタ機構に関連して本発明を説明してきたが、海の波、うねり、または潮の動きを伝達するための従来知られている任意の機構を含め、運動エネルギー源から運動エネルギーアキュムレータへ回転駆動を伝達するための任意のエネルギートランスミッタ機構が利用可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は運動エネルギーアキュムレータ(蓄積器)、及びその実施形態の1つとして、かかるアキュムレータを備えたエネルギー伝達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
フライホイールの原理を実施したものを含め、発生源から負荷に至るまでの伝達中における(規則的または不規則的な)振動もしくは脈動エネルギーの蓄積を必要とするシステムで用いるための、各種の運動エネルギーアキュムレータが知られている。同じく、一部はアキュムレータを具備した各種のエネルギー伝達システムが、移動する車両から発電機や流体圧発生器へ運動エネルギーを伝達するために提案されている。この点については、1979年4月30日付け出願の米国特許 No. 4,239,975 (Chiappetti) 及び2002年12月2日付け出願の米国特許No. 6,767,161 (Calvo et al) の開示を参照のこと。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許No.4,239,975
【特許文献2】米国特許No.6,767,161
【特許文献3】米国特許No.5,590,568
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1997年1月7日付けで付与された米国特許 No. 5,590,568 (Takara) は、低出力電動モータで駆動され、上下に配置され共通の回転軸を有する回転可能な板の形状を成す複数の離間したフライホイールを備えたフライホイールエネルギー貯蔵システムを記述している。永久磁石が、回転可能な板のうち隣接するものの上に、反対の向き (つまり反発極性の向き)となるように芯合わせされて取り付けられている。モータは複数のフライホイールのうち最初のフライホイールの回転を駆動し、さらに連続するフライホイールに取り付けられ芯合わせされた永久磁石間の磁気的反発力によってそれぞれ後続のフライホイールの回転を駆動する。しかし、フライホイールの全てが同時にモータにより駆動されて運動エネルギーをシステム内に蓄積するため、システムが非効率となる。
【0005】
(以下に定義するような)本発明のアキュムレータを、移動する車両から運動エネルギーが得られる種類のエネルギー伝達システムに関連して説明し、以下においてはその観点からの例示として本発明を説明する。但し、アキュムレータ自体だけでなく、移動する人やその他の動物、波、海のうねりや潮夕、道路走行車両、及び反復運動を行う機械的な装置やシステムを含め、運動エネルギーを有する多数の発生源のうち任意のものを利用したエネルギー伝達システムなど、本発明は幅広い応用分野を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
広義において、本発明の一つの観点によれば、回転駆動を与える運動エネルギーアキュムレータであって、
(a) 相互に隣接して位置した複数の回転可能に取り付けられたアキュムレータ部材、
(b) 前記複数のアキュムレータ部材のうち第1のアキュムレータ部材に回転駆動を与えるように配置された入力駆動機構、及び
(c) 前記複数のアキュムレータ部材のそれぞれが順次所定の速度以上の角速度で回転せしめられると、前記複数のアキュムレータ部材のうち連続する前後のアキュムレータ部材を磁気結合するように配置された速度応答結合部材、
を備えた運動エネルギーアキュムレータが提供される。
【0007】
前記のように定義されたアキュムレータの動作時、複数のアキュムレータ部材のうち第1のアキュムレータ部材に回転駆動が(例えば増分的に)与えられると、第1のアキュムレータ部材が回転せしめられ、その角速度が所定のレベルにまで次第に増加する。所定レベルの角速度に達すると、第1のアキュムレータ部材と次の後続する(隣接する)アキュムレータ部材との間で磁気結合が確立され、それにより次のアキュムレータ部材も回転せしめられ、その角速度が所定のレベルにまで次第に増加する。安定した状態の条件に到達し、両方(2つより多い場合は全て)のアキュムレータ部材が所定の角速度で回転すると、例えば運動エネルギーが第1のアキュムレータ部材に与えられているときに、(回転駆動という形態の)運動エネルギーを、アキュムレータから負荷に伝達し得る。つまりアキュムレータは、低慣性のエネルギー源あるいはトランスミッタを比較的高い慣性モーメントを有する負荷に連結するのを容易とするのに使用可能である。さらに運動エネルギーがアキュムレータに与えられていない時間に、回転するアキュムレータ部材に基づき、アキュムレータから負荷へ回転駆動を継続的に与えることもできる。
【0008】
従って、本発明の別の観点によれば、
(a) 相互に隣接して位置した複数の回転可能に取り付けられたアキュムレータ部材と、前記複数のアキュムレータ部材のうち第1のアキュムレータ部材に回転駆動を与えるように配置された入力駆動機構と、前記複数のアキュムレータ部材のそれぞれが順次所定の速度以上の角速度で回転せしめられると、前記複数のアキュムレータ部材のうち連続する前後のアキュムレータ部材を磁気結合するように配置された速度応答結合部材とを備えたエネルギーアキュムレータ、
(b) 運動エネルギー源から前記エネルギーアキュムレータの前記入力駆動機構に駆動を与えるように配置されたエネルギートランスミッタ機構、及び
(c) 前記アキュムレータ部材の各々が前記所定の速度以上の角速度で回転すると、前記エネルギーアキュムレータに接続され且つ駆動されるように配置された負荷装置、
を備えた運動エネルギー伝達システムが提供される。
【0009】
エネルギーアキュムレータは、負荷を運動エネルギー源と適合させるために、(与えられた応用分野で)必要なだけの数のアキュムレータ部材を備えることができる。エネルギーアキュムレータは2つだけのアキュムレータ部材で構成されてもよく、その場合には少なくとも1つの速度応答結合部材をアキュムレータ部材のうちの1つに装着可能である。しかし、エネルギーアキュムレータはn個(但しn≧3)のアキュムレータ部材を備えるのが望ましく、この場合には速度応答結合部材が(n−1)個のアキュムレータ部材に装着されるのが望ましい。
【0010】
複数のアキュムレータ部材は随意(任意選択として)それぞれの軸を中心として回転自在に装着可能であるが、共通の軸を中心として回転自在に装着されるのが望ましい。少なくとも一部の実施形態において、アキュムレータ部材は共通の固定軸に軸受け装着される。
【0011】
アキュムレータ部材は、多角形の外周を含め、任意の形状をとり得るが、円形のディスク形状を有するのが望ましい。また、アキュムレータ要素は(それぞれの回転軸に対して)ほぼ同じ慣性モーメントを呈するように形成してもよいし、あるいは(第1から第n番目へと)順次増加する慣性モーメントを呈するように形成してもよい。
【0012】
アキュムレータの入力駆動機構は、アキュムレータに入力すべき駆動源に応じて随意決められるが、一方向クラッチを含むのが望ましい。
【0013】
速度応答結合部材は、アキュムレータ部材の各々が所定の速度に等しい角速度で回転せしめられると、1つのアキュムレータ部材を別のアキュムレータ部材に磁気結合するように機能する任意の装置あるいは機構を備えることができる。しかし各結合部材は、所定の速度に等しい角速度での対応したアキュムレータ部材の回転に応じた遠心力の作用により、その機能位置へと移動するように配置されるのが望ましい。後者の場合、各結合部材は随意対応したアキュムレータ部材に対し線形移動自在に、あるいは最も望ましくは旋回移動自在に取り付け得る。
【0014】
1つのアキュムレータ部材の別のアキュムレータ部材に対する磁気結合は、随意各種の方法で達成可能である。例えば、永久磁石を結合部材の各々に取り付け、アキュムレータ部材の少なくとも一部を、磁気的に引き付けられる(例えば強磁性の)物質で形成してもよい。あるいは、永久磁石をアキュムレータ部材に取り付け、結合部材の少なくとも一部を、磁気的に引き付けられる物質で形成してもよい。さらに別の代替例として、永久磁石を結合部材とアキュムレータ部材の両方に取り付け、結合部材とアキュムレータ部材との間の(引き合いあるいは反発のいずれかにおける)磁気結合を可能とするような極性の関係で配置してもよい。
【0015】
永久磁石は、希土類磁石からなるのが望ましい。磁気結合は相互間のすべりを容易とするため、隣接するアキュムレータ部材間における滑らから動的結合を容易とする。
【0016】
あるアキュムレータ部材の角速度が所定の速度を下回ったとき、隣接するアキュムレータ部材の磁気結合を切断するように結合部材をバイアス(偏倚)するのに二次の磁石系を用いることもできる。
【0017】
駆動機構は、回転駆動を運動エネルギーアキュムレータに与えるのに適切な任意の機構で構成できる。
【0018】
特に、本発明の別の観点によれば、負荷に回転駆動を与える駆動機構であって、
(a) 第1及び第2の駆動手段で、第2の駆動手段は前記負荷装置を回転駆動するように配置されている第1及び第2の駆動手段、
(b) 一方向クラッチ、及び
(c) 前記エネルギートランスミッタによって駆動されると共に、前記第1の駆動手段を回転駆動する第1の要素と前記第2の駆動手段を回転駆動する第2の要素とを含む駆動システムで、前記第2の要素は前記第1の要素によって回転可能に駆動され且つ前記第1の要素に対し相対的に回転可能であり、前記第1の要素と前記第1の駆動手段は前記第2の要素と前記第2の駆動手段と比較し高い駆動比を有し、前記第1の駆動手段は前記第2の駆動手段を前記一方向クラッチを介して回転駆動する駆動システム、
を備えた駆動機構が提供される。
【0019】
前記駆動システムは、第1及び第2の要素間に配設された別の一方向クラッチを含み、第1の要素が第2の要素をその別のクラッチを介して回転駆動するように配置されてもよい。
【0020】
少なくとも一部の実施形態において、前記駆動システムは、
前記第1の要素と前記第1の駆動手段の周囲に架け渡され、前記第1の駆動手段を回転させる駆動バンド;
前記駆動バンドに張力を加え続けると共に、前記駆動バンドが前記第1の要素によって駆動されると、前記第1の駆動手段の回転軸を中心に初期位置から最終位置へ旋回するダンパー手段で、最終位置へ旋回することによって前記駆動バンドから前記第1の駆動手段に加わる回転駆動を減衰するダンパー手段;及び
前記ダンパー手段を初期位置にバイアスすると共に、前記駆動バンドが前記第1の要素で駆動されていないときは前記ダンパー手段を、前記最終位置から前記初期位置へ前記枢支軸を中心に旋回復帰させる戻し手段で、少なくとも前記第2の要素が初期角速度を得るまでの間前記ダンパー手段は前記初期位置と前記最終位置の間で前後に往復旋回すること、
を備えることも可能である。
【0021】
前記ダンパー手段は前記第1の駆動手段の前記枢支軸を中心に相対的に旋回可能な一対の引っ張りアームを備え、該アームの一方が前記駆動バンドの片側を押圧し、該アームの他方が前記駆動バンドの反対側を押圧し、該両アームが相互に離れるようにバイアスされるようにしてもよい。
【0022】
前記戻し手段は複数の永久磁石を備え、該磁石の少なくとも1つが前記ダンパー手段のアームのうち第1のアームに取り付けられて、第1の前記アームと一緒に前記枢支軸を中心に旋回可能であり、前記磁石のうち別の磁石が第1のアームと別個の固定位置に取り付けられ、前記第1のアーム上の磁石と前記固定位置の磁石は相互に引き合うように逆の極性を対向して配置されてもよい。
【0023】
さらに、前記ダンパー手段の一対の引っ張りアームは、相互に反発し合うように反対の向き(つまり反発極性の向き)で両アームに配置された永久磁石によって相互に離れるようにバイアスされるようにしてもよい。あるいは、ダンパー手段の一対のアームをバイアスするのに、例えばバネ装置を用いることもできる。
【0024】
典型例として、前記第1及び第2の要素は共通の回転軸を中心に回転可能なプーリであり、前記第1及び第2の駆動手段は別の共通の回転軸を有する更なるプーリである。また一般的に、前記第1及び第2のプーリは同一のサイズである。
【0025】
但し自明として理解されるように、ギアやその他の駆動要素を第1及び第2の要素として用いてもよく、あるいは例えば、ギアとプーリまたはその他の適切な駆動要素との組み合わせを用いることもできる。プーリは例えば、歯付きまたはキー溝(スプライン)付きプーリとし得る。駆動バンドは、プーリを用いる場合には駆動ベルト、またギア及び/又は歯付きプーリを用いる場合には駆動チェーンとし得る。
【0026】
本発明によって実施される運動エネルギー伝達システムのエネルギートランスミッタは、運動エネルギー源の直線運動を回転運動に変換するように機能するものを備えるのが望ましい。直線運動は、道路を走行する車両の前進移動によって得られるようなほぼ水平の方向、もしくはほぼ垂直の方向でよい。運動エネルギー源からの運動エネルギーは随意、アキュムレータから、回転ポンプを含む任意の形態の負荷に送出し得るが、発電機に送出されるのが望ましい。アキュムレータの動作原理を実施したものを含むクラッチ機構を、アキュムレータと負荷との間に随意介在してもよい。
【0027】
従って、本発明の別の観点によれば、運動エネルギー源の運動を回転駆動に変換するエネルギートランスミッタであって、
前記運動エネルギー源によって、ニュートラル位置から変位した位置に実質上直線の方向に駆動されるアクチュエータ、
相互に離間して配置され、それぞれの先端が前記アクチュエータに回転可能に接続された少なくとも一対の半径方向アームで、各半径方向アームの反対の基端が回転可能に取り付けられ、前記アクチュエータが前記運動エネルギー源によって直線方向に駆動されると前記一対のアームの少なくとも1つがそれぞれの回転軸を中心に駆動シャフトを回転して回転駆動を与えるように配置された半径方向アーム、及び
磁石の配列であって、該配列の磁石が反発し合う極性の向きで位置され、前記アクチュエータを前記変位した位置から前記ニュートラル位置へ復帰させる磁石の配列、
を備えたエネルギートランスミッタが提供される。
【0028】
前記エネルギートランスミッタは、前記一対の半径方向アーム間に配設され複数の磁石を保持した支持体をさらに備え、別の磁石が前記半径方向アームに取り付けられ、前記支持体上の前記磁石が前記半径方向アーム上の磁石と反発し合うように配置されてもよい。
【0029】
自明として理解されるように、前記エネルギートランスミッタの磁石のそれぞれは希土類永久磁石などの永久磁石とし得るが、任意の適切な永久磁石を使用可能である。
【0030】
本発明の説明中、本発明によって実施される駆動機構の第1の駆動要素及び第1の駆動手段に関して用いられる用語「駆動比」は、第1の駆動手段の回転速度に対する第1の要素の回転速度の比を意味する。同様に、第2の駆動手段に対する第2の要素の「駆動比」とは、第2の駆動手段の回転速度に対する第1の要素の回転速度の比を意味する。
【0031】
本明細書全体を通じて、単語「備える (comprise)」あるいはその変形である「備えている (comprises)」や「備えた (comprising)」は、記載された単数の要素、完全体 (integer) またはステップ、もしくは複数の要素、完全体 (integers) またはステップを含むことを意味するが、その他の単数の要素、完全体 (integer) またはステップ、もしくは複数の要素、完全体 (integers) またはステップを除外するものではないことが理解されるべきである。
【0032】
本明細書に含まれる文書、行為、素材、装置、物品などに関する議論はいずれも単に、本発明の説明を与えることを目的とする。上記事項のいずれかあるいは全ては、本出願の優先日より以前にいずれかに存在していたとしても、従来技術のベースの一部を形成するもの、あるいは本発明に関連した分野における共通の一般的知見であったと認められるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、運動エネルギー伝達システム全体の概略図を示す;
【図2】図2は、本システムのエネルギートランスミッタ部の概略図;
【図3】図3は、本システムに含まれる第1の種類のエネルギーアキュムレータの概略正面図を示す;
【図4】図4は、図3に示したアキュムレータの分解正面図を示す;
【図5】図5は、図4に示す断面5−5の方向に沿って見たアキュムレータ部材の底面図;
【図6】図6は、図1に示した本システムに含まれる別の種類のエネルギーアキュムレータの概略正面図を示す;
【図7】図7は、図6に示す断面7−7の方向に沿って見たアキュムレータ部材の概略底面図;
【図8】図8は、エネルギートランスミッタからアキュムレータへ増分的(インクリメンタル)な回転駆動を与えるように配置された入力駆動機構の概略図で、駆動機構は動作行程(ストローク)の初期位置にある状態で示してある;
【図9】図9は、動作行程のニュートラル(中間)位置にある、図8の駆動機構を示す;
【図10】図10は、動作行程の終端位置にある、図8の駆動機構を示す;
【図11】図11は、本発明によって実施される別のアキュムレータ部材の概略底面図;
【図12】図12は、本発明によって実施される運動エネルギーアキュムレータに回転駆動を与える別の入力駆動機構の概略平面図;
【図13】図13は、使用時における図12の入力駆動機構の概略平面図;
【図14】図14は、図12に示した入力駆動機構を含む、本発明によって実施される運動エネルギー伝達システムの概略側面図;
【図15】図15は、図14の運動エネルギー伝達システムの概略端面図;
【図16】図16は、図11に示した種類の複数のアキュムレータ部材と図12に示した入力駆動機構とを含む、本発明によって実施される運動エネルギー伝達システムの概略部分断面図;
【図17】図17は、本発明によって実施される運動エネルギー伝達システムの概略平面図;
【図18】図18は、図17の運動エネルギー伝達システムの概略端面図;
【図19】図19は、図17の運動エネルギー伝達システムのエネルギートランスミッタ部の概略端面図;及び
【図20】図20は、図19のエネルギートランスミッタ部の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、運動エネルギー伝達システム及びそのシステム内に含まれるエネルギーアキュムレータに関する例示的な実施形態の、図面を参照した以下の説明からより充分に理解されるであろう。
【0035】
図1に示すように、エネルギー伝達システムは、システムの動作中に、運動エネルギーをエネルギートランスミッタ21に供給する運動エネルギー源20を備えている。エネルギー源20は典型的には、連続した移動する複数の車両で、各車両がトランスミッタ21と係合し、トランスミッタ21に動きを与えることによってトランスミッタ21に作用を及ぼす。但し前述したように、エネルギー源は上記の典型例の他、動きをトランスミッタ21へ与えることができる任意の移動する物体とし得る。
【0036】
トランスミッタ21に入力されたエネルギーは、入力駆動機構23により増分された機械的な動きとしてアキュムレータ22に伝えられる。負荷24の静的慣性を越える充分な運動エネルギーがアキュムレータ22に蓄積されると、例えばエネルギーがエネルギー源20からアキュムレータへ増分的に入力された際に、アキュムレータから負荷に対する駆動が(遠心型クラッチなどのクラッチ25を介して)行われる。
【0037】
負荷24は典型的には発電機からなるが、同じく回転あるいは往復駆動が与えられる流体ポンプやその他任意の種類の機械であってもよい。
【0038】
トランスミッタ装置21は、図2に車道27に設けた窪み26内に配置されるものとして示してあり、アクチュエータプレート28を備え、アクチュエータプレート28はその上を通過しそれと係合する車両(図示せず)の前方への移動によってほぼ直線方向に駆動されるように配置されている。アクチュエータプレート28は、2対の希土類製永久磁石29及び30によって(図2に示す)ニュートラル(中間)位置にバイアス(偏倚)されており、各対の磁石は反対の向き(つまり反発極性の向き)で配置されている。
【0039】
アクチュエータプレート28は図示のように2つのラジアル(半径方向)アーム31及び32によって保持され、これら両方のラジアルアームは、前進移動する車両によってアクチュエータプレート28がほぼ直線的に前方へ移動すると回転せしめられ(例えば時計回り方向)、車両の通過後は2対の磁石29及び30によってニュートラル位置に戻される。ラジアルアーム31はアイドラシャフト33によって保持され、ラジアルアーム32は駆動シャフト34に接続され、駆動シャフト34はアクチュエータプレート28のほぼ直線的な移動によって回転せしめられる。考えられる替りの配置(図示せず)においては、ラジアルアーム31とアイドラシャフト33を省き、アクチュエータプレート28をラジアルアーム31によって直接駆動シャフト34に接続してもよい。
【0040】
駆動シャフト34の増分的な回転動は、入力駆動機構23によってアキュムレータ22に伝えられ、入力駆動機構23の一実施形態は図8乃至図10を参照して後述する。
【0041】
図3乃至図5に概略的に示したアキュムレータ22は3つのアキュムレータ部材35、36及び37を備え、各アキュムレータ部材はほぼディスク形状で、非磁性材料から形成され、フライホイールとして効果的に機能する。それらのアキュムレータ部材は共通の固定軸38を中心に独立に回転自在に取り付けられ、従って共通軸を中心に独立に回転可能である。第1及び第2のアキュムレータ部材35及び36は共に、少なくとも1個、望ましくは図示のように4個の旋回式の速度応答結合部材39を保持する。つまり、それぞれの実施形態で、それより少ない(例えば3個)または多い数の結合部材を備えることができる。図示の実施形態においては、第2及び3のアキュムレータ部材36及び37の各々がその外周に沿って、希土類製永久磁石40の外側リングを備え、永久磁石40は(必ずしもではなく)典型的には磁極が交互に位置する(N−S−N−S---)ように配置されている。また、第2及び第3のアキュムレータ部材36及び37の各々は、共通に(N−N−N---またはS−S−S---)磁極化された希土類製永久磁石41の内側リングを備えている。
【0042】
図5から最も明瞭に分かるように、各結合部材39はほぼL字状で、枢支ピン42によりそれぞれのアキュムレータ部材35及び36に旋回自在に取り付けられている。各結合部材39は主に非磁性材料から形成されるが、ほぼ弧状の外側強磁性足部43を備えている。各結合部材の半径方向内端44は、アキュムレータ部材36及び37のうちそれぞれの(後続する)対応部材上の永久磁石41からなる内側リングから反発されるように、共通に(N−N−N---またはS−S−S---)磁極化された永久磁石45の弧状配列を備えている。
【0043】
アキュムレータ22が静止状態にあるとき、内側磁石リング41と弧状の磁石配列45との間に生じる(反発)磁場の強度は、結合部材39をニュートラル位置に維持するように予め決められる。すなわち、結合部材39の強磁性足部43は、アキュムレータ部材36及び37のうちそれぞれの(後続する)対応部材上の磁石からなる外側リング40の各磁石をつないだ磁場から効果的に離間している。但し各結合部材39の重量は、アキュムレータ部材36及び37が所定の角速度で回転させられると、内側磁石リング41と弧状の磁石配列45との間の磁気的反発に打ち克つのに充分で、尚且つ各結合部材の半径方向外側部分を外側に旋回させるのに充分な遠心力が結合部材39に加わるように設定されている。その状態になると、各結合部材39はそれぞれのニュートラル位置から機能位置に移動し、結合部材39の強磁性足部43とアキュムレータ部材36及び37のうちそれぞれの(後続する)対応部材上の磁石からなる外側リング40との間で磁気結合が確立される。
【0044】
すなわち上記したようにアキュムレータ22の動作時において、回転駆動がトランスミッタ装置21から第1のアキュムレータ部材35に増分的に加えられると、第1のアキュムレータ部材35が回転させられ、その角速度が所定のレベルまで徐々に増加する。所定レベルの角速度に達すると、第1のアキュムレータ部材35に取り付けられた結合部材39が遠心力の作用で外側に旋回し、結合部材39と第2のアキュムレータ部材36上の磁石からなる外側リング40とによって、第1及び第2のアキュムレータ部材35及び36間に磁気結合が確立される。それにより第2のアキュムレータ部材36が回転させられ、その角速度が所定のレベルまで徐々に増加すると、さらに第3のアキュムレータ部材37との間で磁気結合が確立し、回転駆動が第3のアキュムレータ部材37に与えられる。定常状態に達し、3個のアキュムレータ部材全てが所定の角速度と等しいかまたはそれより大きい角速度で回転されると、(回転)運動エネルギーをアキュムレータ22から負荷24へ伝達可能となる。このように、低慣性のエネルギートランスミッタ(つまりアクチュエータプレート28)を、相対的に高い慣性モーメントを有する発電機などの負荷24に連結するのを容易とするように、アキュムレータを用いることができる。さらに、運動エネルギーが運動エネルギートランスミッタ21さらにはアキュムレータ22へ供給されなくなった場合でも、各アキュムレータ部材はそれらの回転モーメントによりある期間の間回転を継続する。従って、アキュムレータ部材の角速度が負荷を駆動するのに必要な速度以下に下がるまで、回転駆動はアキュムレータによって負荷に供給され続ける。
【0045】
(車両交通の中休みで生じる場合など)運動エネルギーの印加が一時的にだけ停止すると、運動エネルギートランスミッタに対する運動エネルギーの再印加により、(回転しているもしくは静止している)アキュムレータ部材の駆動が再開される。
【0046】
図6及び図7に示したアキュムレータ22は上記したものと類似しており、同じ構成部品を示すのに同じ参照番号が用いてある。但し、図6及び図7に示したアキュムレータは4個のディスク状アキュムレータ部材35、46、47及び48を備え、これらアキュムレータ部材は非磁性材料で実質上形成されている。第1、第2及び第3のアキュムレータ部材35、46及び47は各々4個の旋回式の速度応答結合部材49を保持し、前記結合部材39と対照的に各結合部材49は、一連の交互に極性化された希土類製永久磁石51によって少なくとも一部が形成されたほぼ弧状の外側足部50を有する。また、第2、第3及び第4のアキュムレータ部材46、47及び48には、磁気的に引き付けられる材料(例えば鋼などの強磁性材料)製の円周リング52が形成されている。
【0047】
図6及び図7に示したアキュムレータの動作は図3乃至図5に示したアキュムレータと実質上同じであるが、前者では磁気結合が、結合部材49に外周に位置した磁石51と第2〜第4のアキュムレータ部材46〜48の各強磁性リング52とによってアキュムレータ部材間で確立される点が異なる。
【0048】
増分的な回転駆動は、入力駆動機構23を介して(上記したアキュムレータ22のいずれの形態においても)第1のアキュムレータ部材35に与えられる。この入力駆動機構は、図8乃至図10に動作の各逐次段階に応じて示した運動変換機構53と、運動変換機構を第1のアキュムレータ部材35に接続する一方向クラッチ(例えばカムクラッチやスプラグ(Sprag)クラッチ、図示せず)とを備えている。
【0049】
運動変換機構53は、トランスミッタ装置21の駆動シャフト34の半径方向延長部を形成するレバーアーム54(図8乃至図10)を備えている。レバーアーム54の外端はリンク56を介して、L字状旋回レバー55の短い方の脚部に枢支され、レバー55の長い方の脚部の外端に、弧状の第1ローラレース59と係合することによって別の旋回レバー58の短い方のアームに作用を及ぼすローラ57が備わっている。旋回レバー58は枢支ピン60を中心に旋回し、その長い方のアーム61の端部に、弧状の第2ローラレース64と係合することによって被駆動アーム63に作用を及ぼすローラ62が備わっている。
【0050】
駆動シャフト34の最初の回転動で、旋回レバー55が図8に示すその開始位置から図9に示す中間位置へ回転させられる。これによってローラ57がレース59内を移動し、その結果旋回レバー58及び被駆動アーム63両方が回転される。その際、被駆動アーム63は、ローラ62がレース64内を移動する結果として回転される。引き続き駆動シャフト34が図10に示す位置にまで移動すると、両レバー55及び58がさらに回転されると共に、被駆動アーム63が図10に示すその終端位置にまで回転される。つまり運動変換機構53は、駆動シャフト34における少量の回転(例えば15°から20°)を、被駆動アーム63及びひいては第1のアキュムレータ部材35のほぼ60°から80°に増分された回転に増幅する機能を果たす。さらにローラ-イン-レースの配置を用いることで、両レバー55及び58に対する回転動が各作動の開始時に最大化され、第1のアキュムレータ部材35に与えられる角速度が最適化される。
【0051】
つまり、本発明の別の観点によれば、回転駆動を負荷に与える駆動機構であって、回転軸を中心に前後に往復回転される回転駆動手段と、一方向クラッチと、第1及び第2のローラとを備えた駆動機構が提供される。第1のレバーがその一端で回転駆動手段に連結され、第1のローラが第1のレバーの他端に回転可能に取り付けられ、第1のレバーは回転駆動手段の回転に伴い枢支軸を中心に旋回するようにピボット取り付けされている。一端に弧状の第1のローラレースを備えた第2のレバーも設けられている。第2のローラが第2のレバーの他端に回転可能に取り付けられ、第1のローラが第の1ローラレース内に配置されており、第2のレバーは、第1のローラが第1のレバーで第1のローラレースに沿って駆動されると、枢支軸を中心に旋回するようにピボット取り付けされている。また駆動機構は駆動アームを備え、駆動アームは第2のローラを受け入れる弧状の第2のローラレースを備えると共に、第2のローラが第2のレバーで第2のローラレースに沿って駆動されると第2のレバーと反対方向に回転軸を中心に旋回するようにピボット取り付けされており、さらに駆動アームはその回転軸を中心とした前記反対方向の回転に伴い、一方向クラッチを介して回転駆動を負荷に与えるように配置されている。図8乃至図10に示した実施形態におけるように、第2のレバー(例えば旋回レバー58)及び第2のローラレース(例えばローラレース64)は典型例として、回転駆動手段(例えば駆動シャフト34)により、第1のレバー(例えばレバー55)の回転度合いよりも大きい回転度合いで駆動アームを回転させるように寸法決めされている。
【0052】
アキュムレータ部材100の別の実施形態の底面図を図11に示す。このアキュムレータ部材はハブ付きホイールの形状を成し、多数の放射方向に延びたスポーク102が中心ハブ103を強磁性材料製の外周リング104に接続している。外側リング104は、スポークより上側に突き出ている。図示した実施形態において、外側リングは鋼製である。3本のスポーク102が図示してあるが、この種のアキュムレータ部材は典型的には9本以上の同様のスポークを有する。
【0053】
図から分かるように、速度応答結合部材106は、それぞれのスポーク102に枢支ピン108を介して旋回自在に取り付けられている。各結合部材106の半径方向外端は、使用時に、隣接する(後続する)アキュムレータ部材の強磁性外周リングと磁気結合するように配置された希土類永久磁石110の弧状配列を備えている。各結合部材106の反対側の内端は、図16により明瞭に示すごとく、後続するアキュムレータ部材100(図11では想像外形線で示す)の希土類永久磁石114からなる内側リングから反発されるように、共通に磁極化された(N−N−N---またはS−S−S---)希土類永久磁石112の別の配列を備えている。アキュムレータ部材100の結合部材106は、図11においてそれぞれの機能位置に示してある。すなわちその機能位置とは、使用時にアキュムレータ部材100の回転に伴い結合部材に加わる遠心力に応答して、結合部材が枢支ピン108を中心に旋回した位置である。
【0054】
ストッパ109(同じく想像外形線で示す)が各結合部材106の上側に取り付けられ、対応するスポーク102と接触し、それぞれの結合部材が枢支ピンを中心に回転し過ぎて強磁性材料製の外周リング104と接触するのを防止する。各ストッパは、結合部材が位置する平面と直交して延びるブラケットと、ストッパピンとを備えている。ストッパピンは、ブラケットに対して直角に配設されスポークと接触すると共に、結合部材上の磁石110の半径方向外側の外周配列と強磁性材料製の外周リング104との間のギャップを最小限とする距離だけブラケットから突出し、磁石110と外周リング104との間の磁気結合の効率を最適化している。
【0055】
本発明によって実施される別の入力駆動機構116が、図12乃至図18に示してある。より詳細には、運動エネルギーアキュムレータ118が外側金属枠120内に設置されている。駆動シャフト122が枠120に対し124で示すように軸受け取り付けされ、駆動シャフトの入力端が図17乃至図20に関連して後で更に説明するエネルギートランスミッタ機構202に接続されている。旋回アーム128が、リンク134によって別の駆動シャフト132に取り付けられた一方向クラッチ装置130に接続されている。さらに駆動シャフト132はその各端で、枠120に軸受け取り付けされている(図14参照)。駆動シャフト122がその軸を中心に前後に往復回転すると、旋回アーム128が前後に往復旋回し、別の駆動シャフト132を反時計回り方向に増分的に回転駆動する。駆動プーリ136が別の駆動シャフト132の下端に取り付けられ、反時計回り方向に回転されると、駆動ベルト140を介して回転伝達プーリ138を回転駆動する。伝達プーリ138はさらに別の駆動シャフト142の下端に取り付けられ、この駆動シャフト142もその各端で枠120に軸受け取り付けされている。
【0056】
駆動プーリ144の形態を成す第1の要素が駆動シャフト142の上端に取り付けられ、一方向クラッチ150を介して、第2の駆動プーリ148の形態を成す第2の駆動要素を回転駆動するように配置されている(図15参照)。第2の駆動プーリ148は「フリーホイール(自在輪)」として機能し、第1の駆動プーリ144と独立に反時計回り方向に回転可能である。図14に最も明瞭に示すように、第1の駆動プーリ144は、上側の駆動ベルト154を介して第1の従動プーリ152の形態を成す第1の駆動手段を回転するように配置されている。第2の駆動プーリ148は、下側の駆動ベルト158を介して第2の従動プーリ156の形態を成す第2の駆動手段を回転駆動する。第1の従動プーリ152は別の一方向クラッチ160によって第2の従動プーリ156に連結され、第2の従動プーリはフリーホイール(自在輪」として機能し、第1の駆動プーリと独立に反時計回り方向に回転可能である。
【0057】
第1及び第2の駆動プーリ144及び148が同一サイズである一方、第1の従動プーリは第1の駆動プーリ144及び第2の従動プーリ156両方より小さいサイズである。従って、第1の駆動プーリ144及び第1の従動プーリ152は、第2の駆動プーリ148及び第2の従動プーリ156より高い駆動比を有する。すなわち、第1の従動プーリ152は別の駆動シャフト132の回転に伴い、第2の従動プーリ156よりも高い角速度で駆動可能である。
【0058】
ここで図12に戻ると、入力駆動機構116は更に、固定軸146を中心に回転するようにピボット取り付けされた上側及び下側引っ張りアーム164及び166の形態を成すダンパー手段162を具備する。アイドラプーリ168及び170が引っ張りアーム164及び166の半径方向外端にそれぞれ回転可能に取り付けされ、上側駆動ベルト154の対向する走行側部を押圧する。永久磁石172の形態を成すバイアス(偏倚)手段が、反対の向き(つまり相互に反発する極性の向き)で引っ張りアーム164及び166にそれぞれ取り付けられ、相互に反発している(図13参照)。すなわち、両磁石172の磁場が引っ張りアーム164及び166を互いに離間させることで、上側駆動ベルト154を引っ張り状態に維持している。永久磁石の代わりに、両引っ張りアーム間に配設したバネ装置を用いることもできる。
【0059】
また入力駆動機構116は、図14に最も明瞭に示すように、上側引っ張りアーム164の他端に取り付けられた希土類製永久磁石173と、金属枠20の固定位置に取り付けられた別の希土類製永久磁石174とを備えた戻し手段を含む。両磁石173及び174は相互に引き合うように逆の極性を対向して配置されているため、初期の位置に引っ張りアーム164及び166をバイアスすると共に、以下さらに述べるごとく、両引っ張りアームを固定軸を中心として入力駆動機構116の動作位置に戻すように作用する。
【0060】
より詳細には、使用時、駆動シャフト132が間欠的に回転して従動伝達プーリ138に回転駆動が与えられると、その回転駆動は第1の駆動プーリ144に与えられる。反時計回り方向における第1の駆動プーリ144の増分的回転は、一方向クラッチ150を介して第2の駆動プーリ148を回転駆動する。第2の駆動プーリ148の回転は更に第2の従動プーリ156を回転駆動し、第2の従動プーリが磁気カップリング(結合器)178を介して磁気的に結合された運動エネルギーアキュムレータ118の第1のアキュムレータ部材176(図16参照)を、反時計回り方向に回転開始する。
【0061】
また回転駆動は第1の駆動プーリ144によって上側駆動ベルト154にも与えられ、上側引っ張りアーム164を下側引っ張りアーム166の方に向かい、両引っ張りアームに保持された両磁石172から加わるバイアスに抗して駆動せしめる。その結果、下側引っ張りアーム166が両磁石172の磁場を介して駆動され、両引っ張りアーム164及び166が固定軸146を中心に、図12に示したそれらの初期位置から図13に示した終端位置へと旋回する。駆動ベルト154から加わる間欠的な回転駆動が停止すると、引っ張りアーム164及び166は固定軸を中心に、相互に引き合う磁石173及び174の作用で初期位置へと旋回して戻る。
【0062】
上記の固定軸146を中心とした引っ張りアーム164及び166の往復旋回が、第1の駆動プーリ144によって上側駆動ベルト154に与えられる間欠的な回転駆動の各サイクルで繰り返される。この作用が上側駆動ベルトから第1の従動プーリ152に与えられる回転駆動を減衰し、第2の駆動プーリ148の作用の下、第2の従動プーリ156が第1のアキュムレータ部材176の角速度を漸次増加させるのを可能とする。第2の従動プーリ156の角速度が増加すると(ひいては第1のアキュムレータ部材176の角速度が増加すると)、第1の従動プーリ152に作用する慣性モーメントが減少し、駆動ベルト154による第1の従動プーリの回転が容易となる。その結果、上側駆動ベルト154に対する回転駆動の印加に伴い引っ張りアーム164及び166が固定軸146を中心に駆動される傾向は、両引っ張りアームが図12に示したそれらの初期位置に留まるまでに減少する。駆動シャフト132に反時計回り方向の増分的な回転駆動がさらに継続して加わると、第1の従動プーリ152は第1の駆動プーリ144により、第2の駆動プーリ146で駆動された場合に第2の従動プーリ144によってたっせいかのうな角速度よりも大きい角速度にまで回転される。そのとき、第1の従動プーリ156が一方向クラッチ160を介して第2の従動プーリ148の回転駆動を開始し、それによって第1のアキュムレータ部材176の角速度を増加させる。
【0063】
このように、第2の駆動プーリ148と第2の従動プーリ156間の相対的に低い駆動比で得られる低速用の「伝動装置(ギアリング)」が、運動エネルギーアキュムレータ118の第1のアキュムレータ部材176の回転を開始する機能を果たす。また、第1の駆動プーリ144と第1の従動プーリ152間の相対的に高い駆動比で得られる高速用の「伝動装置(ギアリング)」が、第1のアキュムレータ部材176を必要な角速度に至るまで駆動されるようにし、上述したごとく運動エネルギーアキュムレータの隣接するアキュムレータ部材が、対応するそれぞれの速度応答結合部材によって順次磁気結合されるのを可能とする。
【0064】
更に図12に示すように、アキュムレータ部材のそれぞれが必要な所定の角速度であるいはそれを超えて回転すると、運動エネルギーアキュムレータ118からの回転駆動が遠心クラッチ182を介し、番号180で示した発電機などの負荷装置に伝達可能となり、遠心クラッチ182はアキュムレータ部材のうち最終部材の下面に取り付けられたまたは回転可能に連結された駆動プーリ186を周回する別の駆動ベルト184によって回転される。
【0065】
図11に示したようなアキュムレータ部材を含む運動エネルギーアキュムレータの部分外略図を、図16に示す。図16に示すように、第1の従動プーリ152と第2の従動プーリ156が固定軸146に対し同軸状且つ回転可能に取り付けられている。更に図から理解されるように、磁気カップリング178が、相互に引き合うように逆の極性を対向して配置された希土類製永久磁石からなる上下2つの配列を備えている。それぞれのアキュムレータ部材176,190の各中心ハブ188が、第1の従動プーリ152及び磁気カップリング178の上下各半体と同様に、固定軸146に取り付けられたスラスト軸受けを中心に回転可能である。この実施形態における各速度応答結合部材192も、第1及び第2のアキュムレータ部材176及び190の下面にそれぞれ旋回自在に取り付けられている。さらに、上述した実施形態と同様、各結合部材192の希土類製永久磁石194からなる外側配列が、それぞれ後続するアキュムレータ部材の外周の強磁性リング198と磁気結合する一方、各結合部材192の希土類製永久磁石196からなる内側配列が、それぞれ対応するアキュムレータ部材の希土類製永久磁石200からなる内側リングと反発する。
【0066】
図2に示したようなエネルギートランスミッタ機構202が、図17乃至図20に詳しく示してある。このトランスミッタ機構は、道路表面206の窪み204に位置して示されており、自動車によって駆動されるように配置されたほぼフラットなアクチュエータプレート208を備えている。車両がアクチュエータプレート208に接触すると、プレートは車両の移動方向に沿ってほぼ直線的に移動する。以下更に述べるように、車両がアクチュエータプレート208を離れると、プレートをそのニュートラル位置に戻すように永久磁石が配置されている。
【0067】
トランスミッタ機構202は、想像外形線で示した駆動シャフト210により、図16に示したような運動エネルギーアキュムレータの入力駆動機構116に回転可能に連結されており、アクチュエータプレート208の動きに伴い軸を中心に前後に往復回転される。
【0068】
アクチュエータプレート208は図19により明瞭に示すように、複数対の回転可能に取り付けられたラジアルアーム212及び214に回転可能に連結されている。より詳細には、各ラジアルアームがその外端で、軸受けハウジング218に取り付けられた軸受け216を介してアクチュエータプレート208に回転可能に連結されている。ラジアルアーム212の半径方向反対側の内端がアイドラシャフト220に取り付けられた軸受けに回転可能に連結される一方、アーム214の半径方向反対側の内端は駆動シャフト222に取り付けられた軸受けに回転可能に連結されている。図17及び図18から分かるように、駆動シャフト222は更に駆動シャフト210に取り付けられている。また図17に示すように、トランスミッタ機構202は複数の支持体224を含み、その1つが各対のラジアルアーム間に配設されている。
【0069】
図19により明瞭に示されているように、希土類製永久磁石226が各支持体224の上端に、ラジアルアーム212及び214にそれぞれ取り付けられた別の希土類製永久磁石228と反対の向き(相互に反発する極性の向き)で取り付けられている。
【0070】
アクチュエータプレート208が車両との接触でそのニュートラル位置から駆動されると、プレートはエネルギートランスミッタ機構202の縦軸を横断する方向に(すなわち図19において左側に)ほぼ直線状に移動される。その結果、ラジアルアーム212及び214はそれぞれの回転軸を中心に回転され、駆動シャフト222は反時計回り方向に回転される。ラジアルアーム214の移動は、そのアームに取り付けられた磁石28を支持体224に取り付けられた逆極性の磁石226と接近するように移動させ、それによってアクチュエータプレート208の動きを緩衝すると共に、車両がアクチュエータプレートから離れた際、ラジアルアームさらにはアクチュエータプレートのニュートラル位置への戻りを駆動する。また図から分かるように、ラジアルアーム212上の磁石228は、支持体224の対応する側の磁石226と共同して、アクチュエータプレート208のそのニュートラル位置への戻りを緩衝する。アクチュエータプレートがそのニュートラル位置へ及びそこから移動するのに伴う駆動シャフトの前後往復回転が、入力駆動機構116に間欠的な回転駆動を与える。図20に示すように、アクチュエータプレート208の両側縁部に相互に離間したフィンガー状延出部230が備えられ、これらフィンガー状延出部230が固定カバープレート234の対応するフィンガー状延出部232間にスライド可能に配設されることで、屑などがアクチュエータプレート下方の内部領域に侵入するのを防止している。
【0071】
図17及び図18に示すように、運動エネルギートランスミッタ機構はコンクリート製ケーシング236内に固定設置され、コンクリート製ケーシング236は番号238で示した排水系に排水導管240を介し配管接続されると共に、コンクリート製ケーシングの底部領域に設けられた出口242を介しても配管接続されている。
【0072】
本実施形態におけるアクチュエータプレート208はほぼフラット状であるが、その形状は隆起状にして、例えば駐車場などに出入りする道路上の自動車の交通を減速させる「スピードバンプ(速度を落とさせるための隆起)」としても作用可能である。
【0073】
上記した実施形態においては、ネオジム(ネオジム、鉄及びホウ素)磁石、サマリウム−コバルト磁石、及びそのような磁石の混合物を含め、任意の適切な希土類製永久磁石を利用できる。
【0074】
従って当業者にとっては、例示した特定の実施形態について、数多くの変形及び/又は変更が可能であることは自明である。そのような変形及び/又は変更も、本発明の範囲内に含まれると考慮されるべきである。従って、上記の実施形態はあらゆる点において、例示的なものであり、限定を意図するものでないと考慮されるべきである。更なる例として、上記したような運動エネルギーアキュムレータは、風や太陽を動力源としたタービンや、その他のほぼ一定の回転駆動源によっても駆動可能である。そのような場合は、任意の適切な(例えばプーリに基づく)駆動装置またはギア機構を介して、アキュムレータを一定の回転源に連結できる。さらに、車両の通過によって駆動されるように配置されたアクチュエータプレートを備えるエネルギートランスミッタ機構に関連して本発明を説明してきたが、海の波、うねり、または潮の動きを伝達するための従来知られている任意の機構を含め、運動エネルギー源から運動エネルギーアキュムレータへ回転駆動を伝達するための任意のエネルギートランスミッタ機構が利用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 相互に隣接して位置した複数の回転可能に取り付けられたアキュムレータ部材、
(b) 前記複数のアキュムレータ部材のうち第1のアキュムレータ部材に回転駆動を与えるように配置された入力駆動機構、及び
(c) 前記複数のアキュムレータ部材のそれぞれが順次所定の速度以上の角速度で回転せしめられると、前記複数のアキュムレータ部材のうち連続する前後のアキュムレータ部材を磁気結合するように配置された速度応答結合部材、
を備えた運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項2】
前記複数のアキュムレータ部材は共通の軸を中心として回転自在に装着されている請求の範囲第1項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項3】
前記複数のアキュムレータ部材は共通の固定軸に装着され、各アキュムレータ部材が前記軸に対して回転可能である請求の範囲第1または2項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項4】
前記入力駆動機構は、前記複数のアキュムレータ部材のうち第1のアキュムレータ部材に回転駆動を与える一方向クラッチを含む請求の範囲第1から3項のいずれか一項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項5】
各前記結合部材は、前記所定の速度以上の角速度での対応した前記アキュムレータ部材の回転に応じた遠心力の作用により、初期のニュートラル位置から機能位置へと移動するように配置され、前記複数の結合部材はそれぞれの機能位置にあるとき磁気結合を行う請求の範囲第1から4項のいずれか一項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項6】
各前記結合部材は、対応した前記アキュムレータ部材の回転に応じて、ニュートラル位置から機能位置へそれぞれの枢支軸を中心として旋回するように配置されている請求の範囲第5項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項7】
前記結合部材の各々は半径方向外端と反対側の半径方向内端とを有し、該外端は、前記複数のアキュムレータ部材のうちそれぞれ後続するアキュムレータ部材の半径方向外周領域と磁気的に結合する請求の範囲第5または6項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項8】
各前記結合部材の半径方向内端がそれぞれ後続する前記アキュムレータ部材の半径方向内側中心領域から磁気的に反発されることによって、前記結合部材は機能位置をとらないように抑制され、各結合部材は、前記所定の速度以上の角速度での各前記アキュムレータ部材の回転に伴い機能位置に移動するように重さが設定されている請求の範囲第7項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項9】
各前記結合部材とそれぞれ後続する前記アキュムレータ部材の半径方向内側中心領域との間の磁気的反発は、対応した前記アキュムレータ部材の各速度が前記所定の速度を下回ると、前記結合部材をニュートラル位置に復帰させる大きさである請求の範囲第8項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項10】
前記結合部材それぞれの外周領域に、各前記結合部材と後続する前記アキュムレータ部材のそれぞれとの磁気的結合を行う永久磁石あるいは磁気的に引き付けられる物質が設けられている請求の範囲第7から9項のいずれか一項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項11】
前記永久磁石は前記結合部材の各々の外周領域に設けられ、それぞれ後続の前記アキュムレータ部材の外周領域に沿って配置された磁気的に引き付けられる物質と磁気結合するように配置されている請求の範囲第10項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項12】
前記磁気的に引き付けられる物質は強磁性物質である請求の範囲第10または11項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項13】
前記永久磁石は前記結合部材の各々の外周領域に設けられ、それぞれ後続の前記アキュムレータ部材の外周領域に沿って配置された永久磁石と磁気結合するように配置されている請求の範囲第10項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項14】
前記磁石は希土類永久磁石である請求の範囲第10から13項のいずれか一項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項15】
前記結合部材はそれぞれ相互に実質上同じ慣性モーメントを呈するように形成されている請求の範囲第1から14項のいずれか一項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項16】
前記結合部材は次々に順次増加する慣性モーメントを呈するように形成されている請求の範囲第1から14項のいずれか一項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項17】
前記結合部材は(n―1)個の前記アキュムレータ部材に取り付けされており、nは2またはそれより大きい整数である請求の範囲第1から16項のいずれか一項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項18】
n≧3個のアキュムレータ部材を有する請求の範囲第1から17項のいずれか一項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項19】
(a) 相互に隣接して位置した複数の回転可能に取り付けられたアキュムレータ部材と、前記複数のアキュムレータ部材のうち第1のアキュムレータ部材に回転駆動を与えるように配置された入力駆動機構と、前記複数のアキュムレータ部材のそれぞれが順次所定の速度以上の角速度で回転せしめられると、前記複数のアキュムレータ部材のうち連続する前後のアキュムレータ部材を磁気結合するように配置された速度応答結合部材とを備えたエネルギーアキュムレータ、
(b) 運動エネルギー源から前記エネルギーアキュムレータの前記入力駆動機構に駆動を与えるように配置されたエネルギートランスミッタ機構、及び
(c) 前記アキュムレータ部材の各々が前記所定の速度以上の角速度で回転すると、前記エネルギーアキュムレータに接続され且つ駆動されるように配置された負荷装置、
を備えた運動エネルギー伝達システム。
【請求項20】
前記入力駆動機構は、
(a) 第1及び第2の駆動手段で、第2の駆動手段は前記エネルギーアキュムレータの第1の前記アキュムレータ部材を回転駆動するように配置されている第1及び第2の駆動手段、
(b) 一方向クラッチ、及び
(c) 前記エネルギートランスミッタによって駆動されると共に、前記第1の駆動手段を回転駆動する第1の要素と前記第2の駆動手段を回転駆動する第2の要素とを含む駆動システムで、前記第2の要素は前記第1の要素によって回転可能に駆動され且つ前記第1の要素に対し相対的に回転可能であり、前記第1の要素と前記第1の駆動手段は前記第2の要素と前記第2の駆動手段と比較し高い駆動比を有し、前記第1の駆動手段は前記第2の駆動手段を前記一方向クラッチを介して回転駆動する駆動システム、
を備えた請求の範囲第19項に記載のシステム。
【請求項21】
前記入力駆動機構は、前記第2の要素から前記エネルギーアキュムレータに回転駆動を与える磁気結合を含む請求の範囲第20項に記載の運動エネルギー伝達システム。
【請求項22】
前記エネルギーアキュムレータによって駆動され、前記エネルギーアキュムレータから前記負荷装置に回転駆動を伝達する遠心クラッチを更に備えた請求の範囲第20または21項に記載の運動エネルギー伝達システム。
【請求項23】
負荷に回転駆動を与える駆動機構であって、
(a) 第1及び第2の駆動手段で、第2の駆動手段は前記負荷装置を回転駆動するように配置されている第1及び第2の駆動手段、
(b) 一方向クラッチ、及び
(c) 前記エネルギートランスミッタによって駆動されると共に、前記第1の駆動手段を回転駆動する第1の要素と前記第2の駆動手段を回転駆動する第2の要素とを含む駆動システムで、前記第2の要素は前記第1の要素によって回転可能に駆動され且つ前記第1の要素に対し相対的に回転可能であり、前記第1の要素と前記第1の駆動手段は前記第2の要素と前記第2の駆動手段と比較し高い駆動比を有し、前記第1の駆動手段は前記第2の駆動手段を前記一方向クラッチを介して回転駆動する駆動システム、
を備えた駆動機構。
【請求項24】
前記駆動システムは、前記第1及び第2の要素間に配設された別の一方向クラッチを含み、前記第1の要素が前記第2の要素を前記別のクラッチを介して回転駆動するように配置された請求の範囲第23項に記載の駆動機構。
【請求項25】
前記駆動システムは、
前記第1の要素と前記第1の駆動手段の周囲に架け渡され、前記第1の駆動手段を回転させる駆動バンド;
前記駆動バンドに張力を加え続けると共に、前記駆動バンドが前記第1の要素によって駆動されると前記第1の駆動手段の回転軸を中心に初期位置から最終位置へ旋回するダンパー手段で、最終位置へ旋回することによって前記駆動バンドから前記第1の駆動手段に加わる回転駆動を減衰するダンパー手段;及び
前記ダンパー手段を初期位置にバイアスすると共に、前記駆動バンドが前記第1の要素で駆動されていないときは前記ダンパー手段を、前記最終位置から前記初期位置へ前記枢支軸を中心に旋回復帰させる戻し手段で、少なくとも前記第2の要素が初期角速度を得るまでの間前記ダンパー手段は前記初期位置と前記最終位置の間で前後に往復旋回すること、
を備えている請求の範囲第23または24項に記載の駆動機構。
【請求項26】
前記ダンパー手段は前記枢支軸を中心に相対的に旋回可能な一対の引っ張りアームを備え、該アームの一方が前記駆動バンドの片側を押圧し、該アームの他方が前記駆動バンドの反対側を押圧し、該両アームが相互に離れるようにバイアスされている請求の範囲第25項に記載の駆動機構。
【請求項27】
前記戻し手段は複数の永久磁石を備え、該磁石の少なくとも1つが前記ダンパー手段のアームのうち第1のアームに取り付けられて、第1の前記アームと一緒に前記枢支軸を中心に旋回可能であり、前記磁石のうち別の磁石が第1のアームと別個の固定位置に取り付けられ、前記第1のアーム上の磁石と前記固定位置の磁石は相互に引き合うように逆の極性を対向して配置されている請求の範囲第26項に記載の駆動機構。
【請求項28】
前記ダンパー手段の一対の引っ張りアームは、相互に反発し合うように反発極性の向きで両アームに配置された永久磁石によって相互に離れるようにバイアスされている請求の範囲第26または27項に記載の駆動機構。
【請求項29】
前記第1及び第2の要素は別の共通の回転軸を中心に回転可能なプーリであり、前記第1及び第2の駆動手段は共通の回転軸を有する更なるプーリである請求の範囲第23から28項のいずれか一項に記載の駆動機構。
【請求項30】
前記第1及び第2のプーリは同一のサイズである請求の範囲第29項に記載の駆動機構。
【請求項31】
負荷に回転駆動を与える駆動機構であって、
回転軸を中心に前後に往復回転される回転駆動手段、
一方向クラッチ、
第1及び第2のローラ、
前記回転駆動手段に一端が連結された第1のレバーで、前記第1のローラは該レバーの他端に回転可能に取り付けられ、前記回転駆動手段の回転に伴い枢支軸を中心に旋回するようにピボット取り付けされた第1のレバー、
一端に弧状の第1ローラ用レースを備えた第2のレバーで、前記第2のローラは該第2のレバーの他端に回転可能に取り付けられ、前記第1のローラは前記ローラ用レースに配設され、前記第1のローラが前記第1のレバーにより前記第1ローラ用レースに沿って駆動されると別の枢支軸を中心に旋回するようにピボット取り付けされた第2のレバー、及び
前記第2のローラを受け入れると共に、前記第2のローラが前記第2のレバーにより前記第2ローラ用レースに沿って駆動されると前記第2のレバーと反対の方向に回転軸を中心に旋回するようにピボット取り付けられた駆動アームで、回転軸を中心とした前記反対の方向における前記駆動アームの回転に伴い、回転駆動を前記負荷に前記一方向クラッチを介して与えるように配置された駆動アーム、
を備えた駆動機構。
【請求項32】
前記第2のレバー及び前記第2のローラは、前記回転駆動手段による前記第1のレバーの回転度よりも大きい回転度で前記駆動アームを回転するように寸法決めされている請求の範囲第31項に記載の駆動機構。
【請求項33】
運動エネルギー源の運動を回転駆動に変換するエネルギートランスミッタであって、
前記運動エネルギー源によって、ニュートラル位置から変位した位置に実質上直線の方向に駆動されるアクチュエータ、
相互に離間して配置され、それぞれの先端が前記アクチュエータに回転可能に接続された少なくとも一対の半径方向アームで、各半径方向アームの反対の基端が回転可能に取り付けられ、前記アクチュエータが前記運動エネルギー源によって直線方向に駆動されると前記一対のアームの少なくとも1つがそれぞれの回転軸を中心に駆動シャフトを回転して回転駆動を与えるように配置された半径方向アーム、及び
磁石の配列であって、該配列の磁石が反発し合う極性の向きで位置され、前記アクチュエータを前記変位した位置から前記ニュートラル位置へ復帰させる磁石の配列、
を備えたエネルギートランスミッタ。
【請求項34】
前記一対の半径方向アーム間に配設され、複数の磁石を保持した支持体をさらに備え、別の磁石が前記半径方向アームに取り付けられ、前記支持体上の前記磁石が前記半径方向アーム上の磁石と反発し合うように配置されている請求の範囲第33項に記載のエネルギートランスミッタ。
【請求項35】
前記アクチュエータはアクチュエータプレートであり、前記運動エネルギー源は自動車であり、前記自動車が前記アクチュエータプレート上を通って駆動されると前記アクチュエータプレートが前記自動車と接触するように配置されている請求の範囲第33または34項に記載のエネルギートランスミッタ。
【請求項36】
前記磁石のそれぞれは永久磁石である請求の範囲第33から35項のいずれか一項に記載のエネルギートランスミッタ。
【請求項1】
(a) 相互に隣接して位置した複数の回転可能に取り付けられたアキュムレータ部材、
(b) 前記複数のアキュムレータ部材のうち第1のアキュムレータ部材に回転駆動を与えるように配置された入力駆動機構、及び
(c) 前記複数のアキュムレータ部材のそれぞれが順次所定の速度以上の角速度で回転せしめられると、前記複数のアキュムレータ部材のうち連続する前後のアキュムレータ部材を磁気結合するように配置された速度応答結合部材、
を備えた運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項2】
前記複数のアキュムレータ部材は共通の軸を中心として回転自在に装着されている請求の範囲第1項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項3】
前記複数のアキュムレータ部材は共通の固定軸に装着され、各アキュムレータ部材が前記軸に対して回転可能である請求の範囲第1または2項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項4】
前記入力駆動機構は、前記複数のアキュムレータ部材のうち第1のアキュムレータ部材に回転駆動を与える一方向クラッチを含む請求の範囲第1から3項のいずれか一項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項5】
各前記結合部材は、前記所定の速度以上の角速度での対応した前記アキュムレータ部材の回転に応じた遠心力の作用により、初期のニュートラル位置から機能位置へと移動するように配置され、前記複数の結合部材はそれぞれの機能位置にあるとき磁気結合を行う請求の範囲第1から4項のいずれか一項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項6】
各前記結合部材は、対応した前記アキュムレータ部材の回転に応じて、ニュートラル位置から機能位置へそれぞれの枢支軸を中心として旋回するように配置されている請求の範囲第5項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項7】
前記結合部材の各々は半径方向外端と反対側の半径方向内端とを有し、該外端は、前記複数のアキュムレータ部材のうちそれぞれ後続するアキュムレータ部材の半径方向外周領域と磁気的に結合する請求の範囲第5または6項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項8】
各前記結合部材の半径方向内端がそれぞれ後続する前記アキュムレータ部材の半径方向内側中心領域から磁気的に反発されることによって、前記結合部材は機能位置をとらないように抑制され、各結合部材は、前記所定の速度以上の角速度での各前記アキュムレータ部材の回転に伴い機能位置に移動するように重さが設定されている請求の範囲第7項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項9】
各前記結合部材とそれぞれ後続する前記アキュムレータ部材の半径方向内側中心領域との間の磁気的反発は、対応した前記アキュムレータ部材の各速度が前記所定の速度を下回ると、前記結合部材をニュートラル位置に復帰させる大きさである請求の範囲第8項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項10】
前記結合部材それぞれの外周領域に、各前記結合部材と後続する前記アキュムレータ部材のそれぞれとの磁気的結合を行う永久磁石あるいは磁気的に引き付けられる物質が設けられている請求の範囲第7から9項のいずれか一項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項11】
前記永久磁石は前記結合部材の各々の外周領域に設けられ、それぞれ後続の前記アキュムレータ部材の外周領域に沿って配置された磁気的に引き付けられる物質と磁気結合するように配置されている請求の範囲第10項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項12】
前記磁気的に引き付けられる物質は強磁性物質である請求の範囲第10または11項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項13】
前記永久磁石は前記結合部材の各々の外周領域に設けられ、それぞれ後続の前記アキュムレータ部材の外周領域に沿って配置された永久磁石と磁気結合するように配置されている請求の範囲第10項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項14】
前記磁石は希土類永久磁石である請求の範囲第10から13項のいずれか一項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項15】
前記結合部材はそれぞれ相互に実質上同じ慣性モーメントを呈するように形成されている請求の範囲第1から14項のいずれか一項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項16】
前記結合部材は次々に順次増加する慣性モーメントを呈するように形成されている請求の範囲第1から14項のいずれか一項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項17】
前記結合部材は(n―1)個の前記アキュムレータ部材に取り付けされており、nは2またはそれより大きい整数である請求の範囲第1から16項のいずれか一項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項18】
n≧3個のアキュムレータ部材を有する請求の範囲第1から17項のいずれか一項に記載の運動エネルギーアキュムレータ。
【請求項19】
(a) 相互に隣接して位置した複数の回転可能に取り付けられたアキュムレータ部材と、前記複数のアキュムレータ部材のうち第1のアキュムレータ部材に回転駆動を与えるように配置された入力駆動機構と、前記複数のアキュムレータ部材のそれぞれが順次所定の速度以上の角速度で回転せしめられると、前記複数のアキュムレータ部材のうち連続する前後のアキュムレータ部材を磁気結合するように配置された速度応答結合部材とを備えたエネルギーアキュムレータ、
(b) 運動エネルギー源から前記エネルギーアキュムレータの前記入力駆動機構に駆動を与えるように配置されたエネルギートランスミッタ機構、及び
(c) 前記アキュムレータ部材の各々が前記所定の速度以上の角速度で回転すると、前記エネルギーアキュムレータに接続され且つ駆動されるように配置された負荷装置、
を備えた運動エネルギー伝達システム。
【請求項20】
前記入力駆動機構は、
(a) 第1及び第2の駆動手段で、第2の駆動手段は前記エネルギーアキュムレータの第1の前記アキュムレータ部材を回転駆動するように配置されている第1及び第2の駆動手段、
(b) 一方向クラッチ、及び
(c) 前記エネルギートランスミッタによって駆動されると共に、前記第1の駆動手段を回転駆動する第1の要素と前記第2の駆動手段を回転駆動する第2の要素とを含む駆動システムで、前記第2の要素は前記第1の要素によって回転可能に駆動され且つ前記第1の要素に対し相対的に回転可能であり、前記第1の要素と前記第1の駆動手段は前記第2の要素と前記第2の駆動手段と比較し高い駆動比を有し、前記第1の駆動手段は前記第2の駆動手段を前記一方向クラッチを介して回転駆動する駆動システム、
を備えた請求の範囲第19項に記載のシステム。
【請求項21】
前記入力駆動機構は、前記第2の要素から前記エネルギーアキュムレータに回転駆動を与える磁気結合を含む請求の範囲第20項に記載の運動エネルギー伝達システム。
【請求項22】
前記エネルギーアキュムレータによって駆動され、前記エネルギーアキュムレータから前記負荷装置に回転駆動を伝達する遠心クラッチを更に備えた請求の範囲第20または21項に記載の運動エネルギー伝達システム。
【請求項23】
負荷に回転駆動を与える駆動機構であって、
(a) 第1及び第2の駆動手段で、第2の駆動手段は前記負荷装置を回転駆動するように配置されている第1及び第2の駆動手段、
(b) 一方向クラッチ、及び
(c) 前記エネルギートランスミッタによって駆動されると共に、前記第1の駆動手段を回転駆動する第1の要素と前記第2の駆動手段を回転駆動する第2の要素とを含む駆動システムで、前記第2の要素は前記第1の要素によって回転可能に駆動され且つ前記第1の要素に対し相対的に回転可能であり、前記第1の要素と前記第1の駆動手段は前記第2の要素と前記第2の駆動手段と比較し高い駆動比を有し、前記第1の駆動手段は前記第2の駆動手段を前記一方向クラッチを介して回転駆動する駆動システム、
を備えた駆動機構。
【請求項24】
前記駆動システムは、前記第1及び第2の要素間に配設された別の一方向クラッチを含み、前記第1の要素が前記第2の要素を前記別のクラッチを介して回転駆動するように配置された請求の範囲第23項に記載の駆動機構。
【請求項25】
前記駆動システムは、
前記第1の要素と前記第1の駆動手段の周囲に架け渡され、前記第1の駆動手段を回転させる駆動バンド;
前記駆動バンドに張力を加え続けると共に、前記駆動バンドが前記第1の要素によって駆動されると前記第1の駆動手段の回転軸を中心に初期位置から最終位置へ旋回するダンパー手段で、最終位置へ旋回することによって前記駆動バンドから前記第1の駆動手段に加わる回転駆動を減衰するダンパー手段;及び
前記ダンパー手段を初期位置にバイアスすると共に、前記駆動バンドが前記第1の要素で駆動されていないときは前記ダンパー手段を、前記最終位置から前記初期位置へ前記枢支軸を中心に旋回復帰させる戻し手段で、少なくとも前記第2の要素が初期角速度を得るまでの間前記ダンパー手段は前記初期位置と前記最終位置の間で前後に往復旋回すること、
を備えている請求の範囲第23または24項に記載の駆動機構。
【請求項26】
前記ダンパー手段は前記枢支軸を中心に相対的に旋回可能な一対の引っ張りアームを備え、該アームの一方が前記駆動バンドの片側を押圧し、該アームの他方が前記駆動バンドの反対側を押圧し、該両アームが相互に離れるようにバイアスされている請求の範囲第25項に記載の駆動機構。
【請求項27】
前記戻し手段は複数の永久磁石を備え、該磁石の少なくとも1つが前記ダンパー手段のアームのうち第1のアームに取り付けられて、第1の前記アームと一緒に前記枢支軸を中心に旋回可能であり、前記磁石のうち別の磁石が第1のアームと別個の固定位置に取り付けられ、前記第1のアーム上の磁石と前記固定位置の磁石は相互に引き合うように逆の極性を対向して配置されている請求の範囲第26項に記載の駆動機構。
【請求項28】
前記ダンパー手段の一対の引っ張りアームは、相互に反発し合うように反発極性の向きで両アームに配置された永久磁石によって相互に離れるようにバイアスされている請求の範囲第26または27項に記載の駆動機構。
【請求項29】
前記第1及び第2の要素は別の共通の回転軸を中心に回転可能なプーリであり、前記第1及び第2の駆動手段は共通の回転軸を有する更なるプーリである請求の範囲第23から28項のいずれか一項に記載の駆動機構。
【請求項30】
前記第1及び第2のプーリは同一のサイズである請求の範囲第29項に記載の駆動機構。
【請求項31】
負荷に回転駆動を与える駆動機構であって、
回転軸を中心に前後に往復回転される回転駆動手段、
一方向クラッチ、
第1及び第2のローラ、
前記回転駆動手段に一端が連結された第1のレバーで、前記第1のローラは該レバーの他端に回転可能に取り付けられ、前記回転駆動手段の回転に伴い枢支軸を中心に旋回するようにピボット取り付けされた第1のレバー、
一端に弧状の第1ローラ用レースを備えた第2のレバーで、前記第2のローラは該第2のレバーの他端に回転可能に取り付けられ、前記第1のローラは前記ローラ用レースに配設され、前記第1のローラが前記第1のレバーにより前記第1ローラ用レースに沿って駆動されると別の枢支軸を中心に旋回するようにピボット取り付けされた第2のレバー、及び
前記第2のローラを受け入れると共に、前記第2のローラが前記第2のレバーにより前記第2ローラ用レースに沿って駆動されると前記第2のレバーと反対の方向に回転軸を中心に旋回するようにピボット取り付けられた駆動アームで、回転軸を中心とした前記反対の方向における前記駆動アームの回転に伴い、回転駆動を前記負荷に前記一方向クラッチを介して与えるように配置された駆動アーム、
を備えた駆動機構。
【請求項32】
前記第2のレバー及び前記第2のローラは、前記回転駆動手段による前記第1のレバーの回転度よりも大きい回転度で前記駆動アームを回転するように寸法決めされている請求の範囲第31項に記載の駆動機構。
【請求項33】
運動エネルギー源の運動を回転駆動に変換するエネルギートランスミッタであって、
前記運動エネルギー源によって、ニュートラル位置から変位した位置に実質上直線の方向に駆動されるアクチュエータ、
相互に離間して配置され、それぞれの先端が前記アクチュエータに回転可能に接続された少なくとも一対の半径方向アームで、各半径方向アームの反対の基端が回転可能に取り付けられ、前記アクチュエータが前記運動エネルギー源によって直線方向に駆動されると前記一対のアームの少なくとも1つがそれぞれの回転軸を中心に駆動シャフトを回転して回転駆動を与えるように配置された半径方向アーム、及び
磁石の配列であって、該配列の磁石が反発し合う極性の向きで位置され、前記アクチュエータを前記変位した位置から前記ニュートラル位置へ復帰させる磁石の配列、
を備えたエネルギートランスミッタ。
【請求項34】
前記一対の半径方向アーム間に配設され、複数の磁石を保持した支持体をさらに備え、別の磁石が前記半径方向アームに取り付けられ、前記支持体上の前記磁石が前記半径方向アーム上の磁石と反発し合うように配置されている請求の範囲第33項に記載のエネルギートランスミッタ。
【請求項35】
前記アクチュエータはアクチュエータプレートであり、前記運動エネルギー源は自動車であり、前記自動車が前記アクチュエータプレート上を通って駆動されると前記アクチュエータプレートが前記自動車と接触するように配置されている請求の範囲第33または34項に記載のエネルギートランスミッタ。
【請求項36】
前記磁石のそれぞれは永久磁石である請求の範囲第33から35項のいずれか一項に記載のエネルギートランスミッタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2010−537142(P2010−537142A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522129(P2010−522129)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001264
【国際公開番号】WO2009/026633
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(510054289)パワー 4 カントリー ピーティーワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001264
【国際公開番号】WO2009/026633
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(510054289)パワー 4 カントリー ピーティーワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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